(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】適応閉ループ超音波療法
(51)【国際特許分類】
A61N 7/00 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
A61N7/00
(21)【出願番号】P 2020531576
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(86)【国際出願番号】 IB2018001603
(87)【国際公開番号】W WO2019116107
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-07-06
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508154863
【氏名又は名称】インサイテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボートマン, コビ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ, ヨアフ
(72)【発明者】
【氏名】プルス, オレグ
(72)【発明者】
【氏名】ビテック, シュキ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508808(JP,A)
【文献】米国特許第06740039(US,B1)
【文献】国際公開第2017/066442(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0150756(US,A1)
【文献】特表2009-505768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 7/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサから伝送される超音波を集束させるためのシステムであって、
複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサと、
標的領域における集束性質を間接的に測定するための検出システムと、
コントローラであって、
(a)前記超音波トランスデューサに、超音波を前記標的領域に伝送させることと、
(b)前記検出システムに、前記集束性質を間接的に測定させることと、
(c)少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における標的治療出力を達成するように、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられるパラメータ値を調節することと、
(d)少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における組織のエネルギー吸収を決定することと、
(e)前記標的領域における組織の前記エネルギー吸収を所定の値と比較することと、
(f)前記標的領域における組織の前記エネルギー吸収が前記所定の値よりも小さいことを決定したことに応じて、
微小気泡が
前記標的領域において前記微小気泡と前記超音波との間の相互作用を介して治療効率を強化するように
投与デバイスに前記
微小気泡を
前記標的領域に導入させることと
を行うように構成される、コントローラと
を備える、システム。
【請求項2】
前記集束性質は、音響圧力またはピーク音響強度のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラはさらに、前記
標的領域を囲繞する非標的組織への損傷を回避するように、前記トランスデューサ要素のうちの前記少なくとも1つと関連付けられる前記パラメータ値を調節するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記検出システムは、ARFI撮像システムまたは音響信号検出器のうちの少なくとも1つを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラはさらに、前記音響信号検出器に、前記
微小気泡からの音響信号を測定させるように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記測定された音響信号と関連付けられるパラメータ値またはスペクトルシグネチャに基づいて、前記集束性質を
推測するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラはさらに、
前記測定された音響信号と関連付けられる前記パラメータ値または前記スペクトルシグネチャと前記集束性質との間の関係を確立する
ことと、
少なくとも部分的に、前記関係に基づいて、前記集束性質を
推測することと
を行うように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記測定された音響信号と関連付けられる前記パラメータ値は、振幅または出力のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラはさらに、前記パラメータ値を調節し、(i)前記微小気泡のキャビテーションを引き起こし、(ii)前記微小気泡を、キャビテーションの間、反射物として挙動させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラはさらに、前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかに、前記
微小気泡からの音響信号を測定させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記パラメータ値は、前記トランスデューサ要素のうちの前記少なくとも1つを駆動する信号の周波数、位相、出力レベル、または振幅のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記検出システムは、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域における前記集束性質を間接的に測定し、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記トランスデューサ要素の前記2つ以上の領域における前記測定に基づいて、前記パラメータ値を調節するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記検出システムは、前記トランスデューサ要素の前記2つ以上の領域において前記標的領域からの音響信号の強度を測定するための2つ以上の音響信号検出器を備え、
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記音響信号の前記測定された強度に基づいて、前記トランスデューサ要素の前記2つ以上の領域と関連付けられる前記出力レベルを調節するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラはさらに、前記トランスデューサ要素の前記2つ以上の領域において測定された前記音響信号の強度の間の差異を補償するように、前記トランスデューサ要素の前記2つ以上の領域と関連付けられる前記出力レベルを調節するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラはさらに、音響シミュレーションに基づいて、前記トランスデューサ要素のうちの前記少なくとも1つと関連付けられる前記パラメータ値を調節するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラはさらに、前記標的領域において音響ビームを成形するように、前記トランスデューサ要素のうちの前記少なくとも1つと関連付けられる前記パラメータ値を調節するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における組織のエネルギー吸収を決定するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記エネルギー吸収に基づいて、前記周波数を決定するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラはさらに、
(g)前記調節されたパラメータ値に基づいて、第2の超音波を前記標的領域に伝送することと、
(h)停止条件が満たされるまで、ステップ(b)、(c)、(g)を繰り返すことと
を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記停止条件は、
現在測定された集束性質と以前に測定された集束性質との間の差異がある閾値を下回ること、または、
反復の回数が、所定の限界を超えること
のうちの1つ以上である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
超音波トランスデューサから伝送される超音波を集束させるためのシステムであって、
トランスデューサ要素の複数のサブセットを備える超音波トランスデューサであって、前記サブセットはそれぞれ、標的領域に対して異なる空間配列を有する、超音波トランスデューサと、
前記標的領域における集束性質を測定するための検出システムと、
コントローラであって、
(a)前記トランスデューサ要素の2つ以上のサブセットに、超音波を前記標的領域に伝送させることと、
(b)前記検出システムに、前記集束性質を間接的に測定させることと、
(c)少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における標的治療出力を達成するように、前記トランスデューサ要素の前記サブセットのうちの少なくとも1つと関連付けられるパラメータ値を調節することと、
(d)少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における組織のエネルギー吸収を決定することと、
(e)前記標的領域における組織の前記エネルギー吸収を所定の値と比較することと、
(f)前記標的領域における組織の前記エネルギー吸収が前記所定の値よりも小さいことを決定したことに応じて、
微小気泡が前記標的領域において
前記微小気泡と前記超音波との間の相互作用を介して治療効率を強化するように
投与デバイスに前記
微小気泡を
前記標的領域に導入させることと
を行うように構成される、コントローラと
を備える、システム。
【請求項22】
前記パラメータ値は、伝送出力を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記コントローラはさらに、前記
標的領域を囲繞する非標的組織への損傷を回避するように、前記トランスデューサ要素の前記サブセットのうちの少なくとも1つと関連付けられる周波数または伝送出力のうちの少なくとも1つを調節するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、その全開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/597,071号、第62/597,076号、および第62/597,073号(全て2017年12月11日に出願された)の利益および優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、超音波療法に関し、特に、集束性質を最適化するために、超音波ビームの集束性質を測定し、それに基づいて、超音波のパラメータを調節するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集束超音波(すなわち、約20キロヘルツを上回る周波数を有する音響波)が、患者内の内部身体組織を撮像する、または療法的に治療するために使用されることができる。例えば、超音波は、腫瘍のアブレーション、標的化薬物送達、血液脳関門(BBB)の途絶、凝血塊の溶解、および他の医療手技を伴う用途において使用され得る。治療の間、圧電セラミックトランスデューサが、患者の外部であるが、治療されるべき標的領域に近接近して設置される。トランスデューサは、電子駆動信号を機械的振動に変換し、音響波の放出をもたらす。トランスデューサは、それらが放出する超音波エネルギーが、標的領域に対応する(またはその中の)「集束帯」において集束ビームを集合的に形成するように、幾何学的に成形され、他のそのようなトランスデューサとともに位置付けられ得る。代替として、または加えて、単一のトランスデューサが、その位相および/または振幅がそれぞれ独立して制御され得る、複数の個々に駆動されるトランスデューサ要素から形成され得る。そのような「位相アレイ」トランスデューサは、トランスデューサの間の相対的位相を調節することによって、集束帯を異なる場所に操向することを促進する。本明細書に使用されるように、用語「要素」は、アレイにおける個々のトランスデューサまたは単一のトランスデューサの独立して駆動可能な部分のいずれかを意味する。
【0004】
音響エネルギーが、組織を通過する際、これは、伝搬、散乱、吸収、反射、および屈折を含む、複数のプロセスを通して組織と相互作用し得る。標的領域に到達する音響エネルギーの強度は、概して、治療の療法的有効性、すなわち、集束帯の近傍において破壊される組織の体積を決定する。集束帯のサイズはまた、トランスデューサ要素特性、音響エネルギーの周波数、および焦点深度(トランスデューサから集束帯までの距離)等のシステムパラメータ、および組織不均質性等の患者関連パラメータに依存し得る。
【0005】
トランスデューサが、アクティブ化されると、各トランスデューサ要素に送達される駆動信号の相対的位相は、集束帯からの各トランスデューサ要素の距離に基づいて、調節され得る。概して、平均音速が、音響エネルギーが組織を通過する速度を概算し、集束帯の場所を予測するために使用される。
【0006】
システムパラメータは、概して、所与のトランスデューサアレイに関して固定されるが、組織均質性は、患者毎に、さらには同一の患者および器官内の異なる組織領域の間で有意に変動し得る。組織不均質性は、集束帯に到達する音響エネルギーの強度を減少させ得、さらには患者の身体内の集束帯の場所を移動させ得る。具体的には、音速は、異なるタイプの組織内で異なるため、音響エネルギーのビームの一部が、ビーム経路内の異なる組織タイプを有する異なる経路に沿って進行する際、それらは、異なる音速を被り得、これは、個別のトランスデューサ要素から伝送される音響エネルギーの相対的位相を偏移させる。本位相偏移は、集束帯における音響エネルギーの強め合う干渉を減少させ、それによって、治療の有効性を低減させ得る、またはさらには予測不可能な様式で集束帯を移動させ得る。
【0007】
組織不均質性はまた、異なる音速を有する組織領域の境界において音響エネルギーの屈折を引き起こし得る。屈折は、強め合う干渉を減少させ、したがって、特に、音響エネルギーが骨を通過するとき、集束帯における音響エネルギーの強度を減少させ得る。歪んだ焦点および低減された音響強度は、標的における治療効率および効能に有意に影響を及ぼし得る。
【0008】
故に、集束性質を最適化するために、特定の患者の標的領域における集束性質を測定し、超音波トランスデューサのパラメータを調節し、それによって、焦点において利用可能な音響エネルギーの量を最大限にするアプローチの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の所望の集束性質を達成するために、治療手技の間にリアルタイムで標的領域における超音波集束性質(例えば、音響出力またはピーク音響強度)を測定し、それに基づいて、トランスデューサ要素の1つ以上のパラメータ(例えば、振幅、周波数、および/または位相偏移)を調節するためのシステムおよび方法を提供する。集束性質は、任意の好適なアプローチを使用して、間接的に測定されてもよい。例えば、一実施形態では、音響放射力インパルス(ARFI)撮像が、治療の間に標的領域における音響圧力からもたらされる組織変位を測定するために採用され、組織変位は、測定される領域に集中するエネルギーの量、したがって、焦点の品質と相関する。代替として、音響圧力(これもまた、送達される音響エネルギーと相関する)が、標的領域からの音響信号を使用して間接的に測定されてもよい。例えば、治療の間、小さい気泡(「微小気泡」)が、標的領域内に発生される、および/またはその中に導入されてもよい。微小気泡は、超音波反射物として作用し得る。代替として、他の外因性作用物質が、導入されてもよく、これらは、反射物として作用する(例えば、http://tinyurl.com/y7ug73lr参照)、または身体内で反射物に変換された状態になり得る(例えば、超音波誘起相転移ナノ液滴(例えば、http://tinyurl.com/yc8ommz5参照))。微小気泡からの反射を特徴付ける情報(例えば、出力、振幅、および/またはスペクトルの形状)を分析することによって、標的領域における音響圧力(およびそれによって、エネルギー集中)が、推定されることができる。種々の実施形態では、(ARFI、微小気泡反射、または任意の好適なアプローチを使用して)測定された音響圧力に基づいて、トランスデューサパラメータ(例えば、位相偏移、周波数、および/または振幅)が、調節されることができる。これらの調節は、検出されたARFI信号または微小気泡反射信号が、対応する音響圧力によって示されるような所望の焦点性質と一貫するまで、繰り返されてもよい。本明細書に使用されるように、用語「間接的に測定される」または「間接的測定」は、集束性質(例えば、焦点における音響出力またはピーク強度)ではないパラメータ値の測定を指し、むしろ、測定されたパラメータ値は、集束性質の関数であり、したがって、パラメータ値の測定に基づいて、集束性質は、推測されることができる。
【0010】
加えて、または代替として、標的から反射された音響信号は、異なるトランスデューサ領域および/または、それぞれ、異なるトランスデューサ領域と関連付けられる複数の音響信号検出器によって測定されてもよい。これらのトランスデューサ領域(または音響信号検出器)によって受信された反射された信号の相対的振幅は、トランスデューサの個別の領域からの標的領域101におけるエネルギーの相対的寄与を露見させ得る。本情報に基づいて、トランスデューサ領域と関連付けられるパラメータ値は、集束性質を改良する、および/または標的において音響ビームを成形するように調節されてもよい。例えば、予想を下回る標的におけるエネルギー強度に寄与することが見出されたトランスデューサ領域の出力振幅が、例えば、それらのビーム経路に沿って失われたエネルギーを補償するために増加されてもよい。加えて、トランスデューサ要素と関連付けられる振幅アポダイゼーションおよび/または位相を調節することによって、焦点は、具体的標的形状に一致するように成形されてもよい。焦点成形は、標的からの反射信号および/または音響シミュレーションに基づいてもよい。
【0011】
概して、記述されるように、標的領域において発生される音響効果は、その領域内のピーク音響強度と正の相関があり、標的組織のエネルギー吸収と正の相関がある。加えて、より高い吸収が、より高い周波数において起こる。一方、標的への途中のビーム強度における音響損失は、周波数と正の相関がある。標的において送達される音響エネルギーを最大限にするために、標的における最大エネルギー付与を提供するための最適な超音波周波数(ビーム経路および標的の両方において、その周波数における吸収係数の値を説明する)を選択することが、望ましくあり得る。種々の実施形態では、これは、音響効果を直接測定するために、標的を超音波処理する試験周波数を反復的に設定し、ARFIを使用することによって、または代替として、標的において発生される音響圧力を測定するために、微小気泡からの反射を使用することによって達成される。測定された音響圧力およびその対応する試験周波数に基づいて、周波数依存性吸収係数が、算出または推定されることができる。一実施形態では、標的領域において吸収されるエネルギーを最大限にする最適な周波数は、次いで、少なくとも部分的に、算出された吸収係数に基づいて決定されることができる。代替として、最大音響圧力に対応する試験周波数が、最適な周波数として選択されてもよい。治療の間、超音波トランスデューサは、標的を治療するために、決定された最適な周波数に従ってアクティブ化されてもよい。
【0012】
最適として選択された周波数は、標的領域において吸収されるエネルギーを最大限にし得るが、これはまた、許容可能なレベルを超えてエネルギーを周辺非標的組織に送達し、それによって、非標的組織への望ましくない損傷をもたらし得る。したがって、非標的組織への損傷を回避するように、より小さい吸収係数(最適な周波数のものと比較して)に対応する周波数を有する超音波処理を印加し、それによって、さらなる臨床安全性のために標的領域における低減されたエネルギー吸収のトレードオフを行うことが、好ましくあり得る。一実装では、標的におけるエネルギー吸収が、最小限に許容可能な治療効率をもたらすために必要とされるものを下回るとき、微小気泡が、超音波治療効果を強化するために、標的領域において導入および/または発生されてもよい。
【0013】
故に、一側面では、本発明は、超音波トランスデューサを集束させるためのシステムに関する。種々の実施形態では、本システムは、複数のトランスデューサ要素を有する、超音波トランスデューサと、標的領域における集束性質(例えば、音響圧力および/またはピーク音響強度)を間接的に測定するための検出システムと、コントローラとを含む。一実装では、コントローラは、(a)超音波トランスデューサに、超音波を標的領域に伝送させ、(b)検出システムに、集束性質を間接的に測定させ、(c)少なくとも部分的に、間接的に測定された集束性質に基づいて、標的領域における標的治療出力を達成するように、1つ以上のトランスデューサ要素と関連付けられるパラメータ値(例えば、周波数、位相、出力レベル、または振幅)を調節するように構成される。
【0014】
加えて、検出システムはさらに、非標的領域における音響圧力および/またはピーク音響強度を測定するように構成されてもよく、コントローラはさらに、非標的組織への損傷を回避するように、トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータ値を調節するように構成される。種々の実施形態では、コントローラはさらに、(d)調節されたパラメータ値に基づいて、第2の超音波を標的領域に伝送し、(e)停止条件が満たされるまで、ステップ(b)、(c)、(d)を繰り返すように構成される。停止条件は、例えば、現在測定された集束性質と以前に測定された集束性質との間の差異がある閾値を下回ること、および/または反復の回数が所定の限界を超えることであってもよい。
【0015】
検出システムは、ARFI撮像システムおよび/または音響信号検出器を含んでもよい。加えて、本システムはさらに、外因性作用物質または微小気泡を標的領域に導入するための投与デバイスを含んでもよい。コントローラは、次いで、さらに、音響信号検出器に、外因性作用物質または微小気泡からの音響信号を測定させるように構成されてもよい。一実施形態では、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、測定された音響信号と関連付けられる値(例えば、振幅、出力、波パターン、および/またはスペクトルシグネチャ)に基づいて、集束性質を決定するように構成される。加えて、コントローラはさらに、測定された音響信号と関連付けられる値と集束性質との間の関係を確立し、少なくとも部分的に、関係に基づいて、集束性質を決定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、パラメータ値を調節し、(i)微小気泡のキャビテーションを引き起こし、(ii)微小気泡を、キャビテーションの間、半波長または四分の一波長剛球反射物として挙動させるように構成される。加えて、コントローラはさらに、トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかに、外因性作用物質または微小気泡からの音響信号を測定させるように構成されてもよい。さらに、コントローラはさらに、間接的に測定された集束性質と関連付けられる測定された治療出力を所定の値と比較し、測定された治療出力が所定の値よりも小さいと決定することに応じて、投与デバイスに、外因性作用物質または微小気泡を標的領域に導入させるように構成されてもよい。
【0016】
検出システムは、トランスデューサ要素の2つ以上の領域における集束性質を間接的に測定してもよく、コントローラは、次いで、さらに、少なくとも部分的に、トランスデューサ要素の2つ以上の領域における測定に基づいて、パラメータ値を調節するように構成されてもよい。例えば、検出システムは、トランスデューサ要素の2つ以上の領域において標的領域からの音響信号の強度を測定するための2つ以上の音響信号検出器を含んでもよく、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、音響信号の測定された強度に基づいて、トランスデューサ要素の2つ以上の領域と関連付けられる出力レベルを調節するように構成される。種々の実施形態では、コントローラはさらに、トランスデューサ要素の2つ以上の領域において測定された音響信号の強度の間の差異を補償するように、トランスデューサ要素の2つ以上の領域と関連付けられる出力レベルを調節するように構成される。加えて、または代替として、コントローラはさらに、音響シミュレーションに基づいて、トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータ値を調節するように構成されてもよい。コントローラはさらに、標的領域において音響ビームを成形するように、トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータ値を調節するように構成されてもよい。一実施形態では、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、間接的に測定された集束性質に基づいて、標的領域における組織のエネルギー吸収を決定するように構成される。コントローラは、次いで、さらに、少なくとも部分的に、エネルギー吸収に基づいて、周波数を決定するように構成されてもよい。
【0017】
別の側面では、本発明は、複数のトランスデューサ要素を有する超音波トランスデューサを集束させるための方法に関する。種々の実施形態では、本方法は、(a)超音波トランスデューサに、超音波を標的領域に伝送させるステップと、(b)標的領域における集束性質(例えば、音響圧力および/またはピーク音響強度)を間接的に測定するステップと、(c)少なくとも部分的に、間接的に測定された集束性質に基づいて、標的領域における標的治療出力を達成するように、1つ以上のトランスデューサ要素と関連付けられるパラメータ値(例えば、周波数、位相、出力レベル、または振幅)を調節するステップとを含む。
【0018】
加えて、本方法はさらに、非標的領域における音響圧力および/またはピーク音響強度を測定するステップと、非標的組織への損傷を回避するように、トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータ値を調節するステップとを含んでもよい。種々の実施形態では、本方法はさらに、(d)調節されたパラメータ値に基づいて、第2の超音波を標的領域に伝送するステップと、(e)停止条件が満たされるまで、ステップ(b)、(c)、(d)を繰り返すステップとを含む。停止条件は、例えば、現在測定された集束性質と以前に測定された集束性質との間の差異が、ある閾値を下回ること、および/または反復の回数が、所定の限界を超えることであってもよい。
【0019】
集束性質は、ARFI撮像システムおよび/または音響信号検出器を使用して、間接的に測定されてもよい。加えて、本方法はさらに、外因性作用物質または微小気泡を標的領域に導入するステップを含んでもよい。本方法は、次いで、導入された外因性作用物質または微小気泡からの音響信号を測定するステップを含んでもよい。加えて、本方法はさらに、少なくとも部分的に、測定された音響信号と関連付けられる値(例えば、振幅、出力、波パターン、またはスペクトルシグネチャ)に基づいて、集束性質を決定するステップを含んでもよい。一実施形態では、本方法はさらに、測定された音響信号と関連付けられる値と集束性質との間の関係を確立するステップと、少なくとも部分的に、関係に基づいて、集束性質を決定するステップとを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、パラメータ値を調節し、(i)微小気泡のキャビテーションを引き起こし、(ii)微小気泡を、キャビテーションの間、半波長または四分の一波長剛球反射物として挙動させるステップを含む。加えて、本方法はさらに、トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかに、導入された外因性作用物質または微小気泡からの音響信号を測定させるステップを含んでもよい。さらに、本方法は、間接的に測定された集束性質と関連付けられる測定された治療出力を所定の値と比較するステップと、測定された治療出力が、所定の値よりも小さいと決定することに応じて、投与デバイスに、外因性作用物質または微小気泡を標的領域に導入させるステップとを含んでもよい。
【0020】
種々の実施形態では、本方法はさらに、トランスデューサ要素の2つ以上の領域において集束性質を間接的に測定するステップと、少なくとも部分的に、トランスデューサ要素の2つ以上の領域における測定に基づいて、パラメータ値を調節するステップとを含む。例えば、本方法はさらに、トランスデューサ要素の2つ以上の領域において標的領域からの音響信号の強度を測定するステップと、少なくとも部分的に、音響信号の測定された強度に基づいて、トランスデューサ要素の2つ以上の領域と関連付けられる出力レベルを調節するステップとを含んでもよい。一実装では、本方法はさらに、トランスデューサ要素の2つ以上の領域において測定された音響信号の強度の間の差異を補償するように、トランスデューサ要素の2つ以上の領域と関連付けられる出力レベルを調節するステップを含む。加えて、または代替として、本方法はさらに、音響シミュレーションに基づいて、トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータ値を調節するステップを含んでもよい。本方法はさらに、標的領域において音響ビームを成形するように、トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータ値を調節するステップを含んでもよい。一実施形態では、本方法はさらに、少なくとも部分的に、間接的に測定された集束性質に基づいて、標的領域における組織のエネルギー吸収を決定するステップを含む。本方法は、次いで、少なくとも部分的に、エネルギー吸収に基づいて、周波数を決定するステップを含んでもよい。
【0021】
本発明の別の側面は、超音波トランスデューサを集束させるためのシステムに関する。種々の実施形態では、本システムは、トランスデューサ要素の複数のサブセットを有する、超音波トランスデューサであって、サブセットはそれぞれ、標的領域に対して異なる空間配列を有する、超音波トランスデューサと、標的領域における集束性質を測定するための検出システムと、コントローラとを含む。一実装では、コントローラは、トランスデューサ要素の2つ以上のサブセットに、超音波を標的領域に伝送させ、検出システムに、集束性質を間接的に測定させ、少なくとも部分的に、間接的に測定された集束性質に基づいて、標的領域における標的治療出力を達成するように、トランスデューサ要素の1つ以上のサブセットと関連付けられるパラメータ値(例えば、伝送出力)を調節するように構成される。検出システムはさらに、非標的領域における音響圧力および/またはピーク音響強度を測定するように構成されてもよく、コントローラは、次いで、さらに、非標的組織への損傷を回避するように、トランスデューサ要素のサブセットと関連付けられる周波数および/または伝送出力を調節するように構成されてもよい。
【0022】
さらに別の側面では、本発明は、トランスデューサ要素の複数のサブセットを有する超音波トランスデューサを集束させるための方法に関し、サブセットはそれぞれ、標的領域に対して異なる空間配列を有する。種々の実施形態では、本方法は、トランスデューサ要素の2つ以上のサブセットに、超音波を標的領域に伝送させるステップと、標的領域における集束性質を間接的に測定するステップと、少なくとも部分的に、間接的に測定された集束性質に基づいて、標的領域における標的治療出力を達成するように、トランスデューサ要素の1つ以上のサブセットと関連付けられるパラメータ値(例えば、伝送出力)を調節するステップとを含む。本方法はさらに、非標的領域における音響圧力および/またはピーク音響強度を測定するステップと、非標的組織への損傷を回避するように、トランスデューサ要素のサブセットと関連付けられる周波数および/または伝送出力を調節するステップとを含んでもよい。
【0023】
本明細書に使用されるように、用語「実質的に」は、±10%、いくつかの実施形態では、±5%を意味する。本明細書全体を通した「一実施例」、「ある実施例」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の言及は、実施例と関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した種々の箇所における語句「一実施例では」、「ある実施例では」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の出現は、必ずしも全てが同一の実施例を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、本技術の1つ以上の実施例において任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。本明細書に提供される見出しは、便宜上のためだけのものであり、請求される技術の範囲または意味を限定または解釈することを意図していない。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
超音波トランスデューサを集束させるためのシステムであって、
複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサと、
標的領域における集束性質を間接的に測定するための検出システムと、
コントローラであって、
(a)前記超音波トランスデューサに、超音波を前記標的領域に伝送させることと、
(b)前記検出システムに、前記集束性質を間接的に測定させることと、
(c)少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における標的治療出力を達成するように、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられるパラメータ値を調節することと
を行うように構成される、コントローラと
を備える、システム。
(項目2)
前記集束性質は、音響圧力またはピーク音響強度のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記検出システムはさらに、非標的領域における前記音響圧力またはピーク音響強度のうちの少なくとも1つを測定するように構成され、前記コントローラはさらに、前記非標的組織への損傷を回避するように、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられる前記パラメータ値を調節するように構成される、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記検出システムは、ARFI撮像システムまたは音響信号検出器のうちの少なくとも1つを備える、項目2に記載のシステム。
(項目5)
外因性作用物質または微小気泡を前記標的領域に導入するための投与デバイスをさらに備える、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記コントローラはさらに、前記音響信号検出器に、前記外因性作用物質または微小気泡からの音響信号を測定させるように構成される、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記測定された音響信号と関連付けられる値に基づいて、前記集束性質を決定するように構成される、項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記コントローラはさらに、
前記測定された音響信号と関連付けられる前記値と前記集束性質との間の関係を確立することと、
少なくとも部分的に、前記関係に基づいて、前記集束性質を決定することと
を行うように構成される、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記測定された音響信号と関連付けられる前記値は、振幅、出力、波パターン、またはスペクトルシグネチャのうちの少なくとも1つを含む、項目7に記載のシステム。
(項目10)
前記コントローラはさらに、前記パラメータ値を調節し、(i)前記微小気泡のキャビテーションを引き起こし、(ii)前記微小気泡を、キャビテーションの間、半波長または四分の一波長剛球反射物として挙動させるように構成される、項目5に記載のシステム。
(項目11)
前記コントローラはさらに、前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかに、前記外因性作用物質または微小気泡からの音響信号を測定させるように構成される、項目5に記載のシステム。
(項目12)
前記コントローラはさらに、
前記間接的に測定された集束性質と関連付けられる測定された治療出力を所定の値と比較することと、
前記測定された治療出力が、前記所定の値よりも小さいと決定することに応じて、前記投与デバイスに、外因性作用物質または微小気泡を前記標的領域に導入させることと
を行うように構成される、項目4に記載のシステム。
(項目13)
前記パラメータ値は、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つを駆動する信号の周波数、位相、出力レベル、または振幅のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のシステム。
(項目14)
前記検出システムは、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域における前記集束性質を間接的に測定し、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域における前記測定に基づいて、前記パラメータ値を調節するように構成される、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記検出システムは、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域において前記標的領域からの音響信号の強度を測定するための2つ以上の音響信号検出器を備え、
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記音響信号の測定された強度に基づいて、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域と関連付けられる前記出力レベルを調節するように構成される、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記コントローラはさらに、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域において測定された前記音響信号の強度の間の差異を補償するように、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域と関連付けられる前記出力レベルを調節するように構成される、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記コントローラはさらに、音響シミュレーションに基づいて、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられる前記パラメータ値を調節するように構成される、項目14に記載のシステム。
(項目18)
前記コントローラはさらに、前記標的領域において音響ビームを成形するように、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられる前記パラメータ値を調節するように構成される、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における組織のエネルギー吸収を決定するように構成される、項目13に記載のシステム。
(項目20)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記エネルギー吸収に基づいて、前記周波数を決定するように構成される、項目19に記載のシステム。
(項目21)
前記コントローラはさらに、
(d)前記調節されたパラメータ値に基づいて、第2の超音波を前記標的領域に伝送することと、
(e)停止条件が満たされるまで、ステップ(b)、(c)、(d)を繰り返すことと
を行うように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目22)
前記停止条件は、
現在測定された集束性質と以前に測定された集束性質との間の差異がある閾値を下回ること、または、
反復の回数が、所定の限界を超えること
のうちの1つ以上である、項目21に記載のシステム。
(項目23)
複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサを集束させるための方法であって、
(a)前記超音波トランスデューサに、超音波を標的領域に伝送させることと、
(b)前記標的領域における集束性質を間接的に測定することと、
(c)少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における標的治療出力を達成するように、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられるパラメータ値を調節することと
を含む、方法。
(項目24)
前記集束性質は、音響圧力またはピーク音響強度のうちの少なくとも1つを含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
非標的領域における前記音響圧力またはピーク音響強度のうちの少なくとも1つを測定することと、
前記非標的組織への損傷を回避するように、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられる前記パラメータ値を調節することと
をさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記集束性質は、ARFI撮像システムまたは音響信号検出器のうちの少なくとも1つを使用して間接的に測定される、項目24に記載の方法。
(項目27)
外因性作用物質または微小気泡を前記標的領域に導入することをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記導入された外因性作用物質または微小気泡からの音響信号を測定することをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
少なくとも部分的に、前記測定された音響信号と関連付けられる値に基づいて、前記集束性質を決定することをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記測定された音響信号と関連付けられる前記値と前記集束性質との間の関係を確立することと、
少なくとも部分的に、前記関係に基づいて、前記集束性質を決定することと
をさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記測定された音響信号と関連付けられる前記値は、振幅、出力、波パターン、またはスペクトルシグネチャのうちの少なくとも1つを含む、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記パラメータ値を調節し、(i)前記微小気泡のキャビテーションを引き起こし、(ii)前記微小気泡を、キャビテーションの間、半波長または四分の一波長剛球反射物として挙動させることをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目33)
前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかに、前記導入された外因性作用物質または微小気泡からの音響信号を測定させることをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目34)
前記間接的に測定された集束性質と関連付けられる測定された治療出力を所定の値と比較することと、
前記測定された治療出力が、前記所定の値よりも小さいと決定することに応じて、前記投与デバイスに、外因性作用物質または微小気泡を前記標的領域に導入させることと
をさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目35)
前記パラメータ値は、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つを駆動する信号の周波数、位相、出力レベル、または振幅のうちの少なくとも1つを含む、項目23に記載の方法。
(項目36)
前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域において前記集束性質を間接的に測定することと、
少なくとも部分的に、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域における前記測定に基づいて、前記パラメータ値を調節することと
をさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域において前記標的領域からの音響信号の強度を測定することと、
少なくとも部分的に、前記音響信号の測定された強度に基づいて、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域と関連付けられる前記出力レベルを調節することと
をさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域において測定された前記音響信号の強度の間の差異を補償するように、前記トランスデューサ要素の2つ以上の領域と関連付けられる前記出力レベルを調節することをさらに含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
音響シミュレーションに基づいて、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられる前記パラメータ値を調節することをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目40)
前記標的領域において音響ビームを成形するように、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられる前記パラメータ値を調節することをさらに含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における組織のエネルギー吸収を決定することをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目42)
少なくとも部分的に、前記エネルギー吸収に基づいて、前記周波数を決定することをさらに含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
(d)前記調節されたパラメータ値に基づいて、第2の超音波を前記標的領域に伝送することと、
(e)停止条件が満たされるまで、ステップ(b)、(c)、(d)を繰り返すことと
をさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目44)
前記停止条件は、
現在測定された集束性質と以前に測定された集束性質との間の差異が、ある閾値を下回ること、または、
反復の回数が、所定の限界を超えること
のうちの1つ以上である、項目43に記載の方法。
(項目45)
超音波トランスデューサを集束させるためのシステムであって、
トランスデューサ要素の複数のサブセットを備える超音波トランスデューサであって、前記サブセットはそれぞれ、標的領域に対して異なる空間配列を有する、超音波トランスデューサと、
前記標的領域における集束性質を測定するための検出システムと、
コントローラであって、
(a)前記トランスデューサ要素の2つ以上のサブセットに、超音波を前記標的領域に伝送させることと、
(b)前記検出システムに、前記集束性質を間接的に測定させることと、
(c)少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における標的治療出力を達成するように、前記トランスデューサ要素のサブセットのうちの少なくとも1つと関連付けられるパラメータ値を調節することと
を行うように構成される、コントローラと
を備える、システム。
(項目46)
前記パラメータ値は、伝送出力を含む、項目45に記載のシステム。
(項目47)
前記検出システムはさらに、非標的領域における音響圧力またはピーク音響強度のうちの少なくとも1つを測定するように構成され、前記コントローラはさらに、前記非標的組織への損傷を回避するように、前記トランスデューサ要素のサブセットのうちの少なくとも1つと関連付けられる周波数または伝送出力のうちの少なくとも1つを調節するように構成される、項目45に記載のシステム。
(項目48)
トランスデューサ要素の複数のサブセットを備える超音波トランスデューサを集束させるための方法であって、前記サブセットはそれぞれ、標的領域に対して異なる空間配列を有し、前記方法は、
(a)前記トランスデューサ要素の2つ以上のサブセットに、超音波を前記標的領域に伝送させることと、
(b)前記標的領域における集束性質を間接的に測定することと、
(c)少なくとも部分的に、前記間接的に測定された集束性質に基づいて、前記標的領域における標的治療出力を達成するように、前記トランスデューサ要素のサブセットのうちの少なくとも1つと関連付けられるパラメータ値を調節することと
を含む、方法。
(項目49)
前記パラメータ値は、伝送出力を含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
非標的領域における音響圧力またはピーク音響強度のうちの少なくとも1つを測定することと、
前記非標的組織への損傷を回避するように、前記トランスデューサ要素のサブセットのうちの少なくとも1つと関連付けられる周波数または伝送出力のうちの少なくとも1つを調節することと、
をさらに含む、項目48に記載の方法。
【0024】
図面では、同様の参照文字は、概して、異なる図全体を通して同一の部分を指す。また、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、概して、本発明の原理を図示することに重点が置かれている。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、種々の実施形態による、集束超音波システムを図示する。
【0026】
【
図2】
図2は、本発明の種々の実施形態による、例示的MRI装置を図示する。
【0027】
【
図3A】
図3Aは、本発明の種々の実施形態による、標的領域からの検出された音響信号のパラメータ値と標的領域における対応する集束性質との間の関係を確立するためのアプローチを図示する、フローチャートである。
【0028】
【
図3B】
図3Bは、本発明の種々の実施形態による、標的領域からの音響信号のパラメータ値と標的領域における対応する集束性質との間の例示的関係を描写する。
【0029】
【
図4A】
図4Aは、種々の実施形態による、集束超音波システムにおける3D頭蓋骨レプリカまたは生体外頭蓋骨の実装を図示する。
【0030】
【
図4B】
図4Bは、本発明の種々の実施形態による、3D頭蓋骨レプリカまたは生体外頭蓋骨を使用して、標的領域からの音響信号のパラメータ値と標的領域における対応する集束性質との間の関係を確立するためのアプローチを図示する、フローチャートである。
【0031】
【
図5】
図5は、本発明の種々の実施形態による、標的領域からの音響信号を測定するための複数のトランスデューサ領域および複数の音響信号検出器を描写する。
【0032】
【
図6】
図6は、本発明の種々の実施形態による、標的領域からの音響信号のスペクトルシグネチャと標的領域における対応する集束性質との間の関係を確立するためのアプローチを図示する、フローチャートである。
【0033】
【
図7】
図7は、本発明の種々の実施形態による、治療の間にリアルタイムで標的領域における集束性質を測定および改良するためのアプローチを図示する、フローチャートである。
【0034】
【
図8】
図8は、本発明の種々の実施形態による、標的領域における集束性質を直接測定することなく、標的領域における所望の集束性質を達成するためのアプローチを図示する、フローチャートである。
【0035】
【
図9A】
図9Aは、本発明の種々の実施形態による、集束超音波治療における超音波印加周波数を決定するための例示的アプローチを図示する、フローチャートである。
【0036】
【
図9B】
図9Bは、本発明の種々の実施形態による、超音波手技の治療効果を強化するために微小気泡を利用するための例示的アプローチを図示する、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、集束音響エネルギービームを発生させ、患者の身体内の標的領域101に送達するための例示的超音波システム100を図示する。図示されるシステム100は、トランスデューサ要素104の位相アレイ102と、位相アレイ102を駆動するビーム形成器106と、ビーム形成器106と通信するコントローラ108と、入力電子信号をビーム形成器106に提供する周波数発生器110とを含む。種々の実施形態では、本システムはさらに、標的領域101における焦点についての情報を測定するための検出システム112と、下記にさらに説明されるように患者の身体の中に外因性作用物質(例えば、種々の液体パーフルオロカーボン剤から成るエマルションおよび/または液滴を含む)および/または微小気泡を導入するための投与システム113とを含む。
【0038】
アレイ102は、患者の身体の表面上での設置のために好適な湾曲(例えば、球形または放物線状)または他の輪郭形状を有してもよい、または1つ以上の平面または別様に成形される区分を含んでもよい。その寸法は、数ミリメートル~数十センチメートルに変動し得る。アレイ102のトランスデューサ要素104は、圧電セラミック要素であってもよく、シリコーンゴムまたは要素104の間の機械的結合を減衰させるために好適な任意の他の材料内に搭載されてもよい。圧電複合材料、または概して、電気エネルギーを音響エネルギーに変換することが可能な任意の材料もまた、使用されてもよい。トランスデューサ要素104への最大電力伝達を確実にするために、要素104は、入力コネクタインピーダンスに合致する、50Ωにおける電気共振のために構成されてもよい。
【0039】
トランスデューサアレイ102は、ビーム形成器106に結合され、これは、それらが集束超音波ビームまたは場を集合的に生成するように個々のトランスデューサ要素104を駆動する。n個のトランスデューサ要素に関して、ビーム形成器106は、それぞれ、増幅器118と、位相遅延回路120とを含む、またはそれらから成る、n個の駆動回路を含有してもよく、各駆動回路は、トランスデューサ要素104のうちの1つを駆動する。ビーム形成器106は、典型的には、0.1MHz~10MHzの範囲内の無線周波数(RF)入力信号を、例えば、Stanford Research Systemsから入手可能なModel DS345発生器であり得る周波数発生器110から受信する。入力信号は、ビーム形成器106のn個の増幅器118および遅延回路120のためにn個のチャネルに分割されてもよい。いくつかの実施形態では、周波数発生器110は、ビーム形成器106と統合される。無線周波数発生器110およびビーム形成器106は、トランスデューサアレイ102の個々のトランスデューサ要素104を、同一の周波数であるが、異なる位相および/または異なる振幅において駆動するように構成される。
【0040】
ビーム形成器106によって課される増幅または減衰定数α1-αnおよび位相偏移a1-anは、トランスデューサ要素104と標的領域との間に位置する介在組織を通して標的領域101上に超音波エネルギーを伝送および集束させ、介在組織において誘発される波歪みを考慮する役割を果たす。増幅定数および位相偏移は、コントローラ108を使用して算出され、これは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハード配線、またはそれらの任意の組み合わせを通してコンピュータ機能を提供してもよい。種々の実施形態では、コントローラ108は、所望の焦点または任意の他の所望の空間場パターンを取得するために必要な位相偏移および増幅定数を決定するために、従来の様式で、過度の実験を伴わず、ソフトウェアを用いてプログラムされる汎用または専用デジタルデータプロセッサを利用する。
【0041】
焦点の場所を確認し、その性質を測定するために、種々の実施形態では、検出システム112は、ARFI撮像システムを含む、またはそれから成る。ARFIは、概して、他の方法よりも整合および較正手技の間に少ない超音波エネルギーを要求し、実際の治療に先行する超音波強度は、好ましくは、標的外の組織への損傷を回避するように最小限にされるため、ARFIが、典型的には、好ましい。一実装では、ARFI撮像システムは、磁気共鳴ベース(すなわち、MR-ARFI)である。典型的には、MR-ARFIでは、超音波トランスデューサ102は、超音波/パルスを身体の中に、標的領域101またはその近傍において集束させるように駆動される。超音波は、音響放射力をその経路に沿った物質上に付与する。波が収束する焦点において、本圧力は、最も高く、縦方向における物質の一時的局所変位および/または焦点から離れるように半径方向に伝搬する剪断波をもたらす。したがって、超音波圧力は、音響場に直接対応する変位場を生成する。変位場は、次いで、MRI装置によって可視化され得る。
【0042】
図2は、電磁石204のボア206内に必須の静的磁場を発生させる、円筒形電磁石204を含む、例示的MRI装置200を描写する。医療手技の間、患者が、移動可能支持クレードル208上でボア206の内側に設置される。着目領域210(例えば、患者の頭部)が、電磁石204が実質的に均質な場を発生させる撮像領域212内に位置付けられてもよい。円筒形磁場勾配コイル213のセットもまた、ボア206内に提供され、患者を囲繞してもよい。勾配コイル213は、所定の時間に、3つの相互に直交する方向において、所定の大きさの磁場勾配を発生させる。磁場勾配を伴うと、異なる空間的場所が、異なる歳差運動周波数と関連付けられ、それによって、MR画像にその空間分解能を与えることができる。撮像領域212を囲繞するRF送信機コイル214が、RFパルスを撮像領域212の中に放出し、着目領域210から放出されるMR応答信号を受信する。(代替として、別個のMR送信機および受信機コイルが、使用されてもよい。)
【0043】
MRI装置200は、概して、パルスシーケンス、すなわち、磁場勾配の相対的タイミングおよび強度およびRF励起パルスおよび応答検出周期を制御するMRIコントローラ216を含む。MRIコントローラ216は、トランスデューサコントローラ108とともに統合システム制御設備に組み合わせられてもよい。
【0044】
MR応答信号は、従来の画像処理システムを使用して、増幅され、調整され、未加工データにデジタル化され、当業者に公知の従来の方法によって画像データのアレイにさらに変換される。画像処理システムは、MRIコントローラ216の一部であってもよい、またはMRIコントローラ216および/またはトランスデューサコントローラ108と通信する別個のデバイス(例えば、画像処理ソフトウェアを含有する汎用コンピュータ)であってもよい。
【0045】
種々の実施形態では、勾配コイル213は、超音波圧力によって生成される物質の変位場を可視化するために、過渡的運動または変位増感磁場勾配を撮像領域212に印加する。超音波パルスが、そのような勾配の存在下で印加されるとき、結果として生じる変位は、MR応答信号の位相に直接エンコードされる。例えば、勾配コイル213およびトランスデューサ102は、超音波パルスが、焦点の近傍の物質を、より高い磁場強度を伴う磁場の領域に向かって押動するように構成されてもよい。結果として生じる磁場の変化に応答して、MR応答信号の位相は、比例して変化し、それによって、信号において超音波放射力によって引き起こされる変位をエンコードする。一般に、音響力が強いほど、焦点の中心における最大変位は、大きくなるであろう。本関係は、下記にさらに説明されるように、焦点における所望の圧力を達成するように、トランスデューサ要素を調節するために活用されてもよい。MR-ARFIについてのさらなる詳細が、米国特許第8,932,237号および米国特許公開第2013/0150756号(その全開示が、本明細書に参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0046】
代替として、または加えて、検出システム112は、標的領域101から反射された音響信号を測定するための音響信号検出器(例えば、ハイドロホン)を含んでもよく、反射信号は、標的領域101についての情報(音響圧力またはピーク強度等)を提供し得る。故に、音響信号検出器は、治療の間にリアルタイムで標的における集束性質を間接的に監視し得る。一実施形態では、トランスデューサ要素104は、伝送能力および受信能力の両方を保有する。したがって、トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかは、標的領域101から音響信号を測定するように構成されてもよい。反射された信号を検出するためにトランスデューサ要素104を構成することに対するアプローチが、例えば、米国特許出願第62/861,282号(その内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0047】
種々の実施形態では、トランスデューサ要素104によって放出される音響エネルギーは、ある閾値を上回り、それによって、組織内に含有される液体中に泡または気泡(または「微小気泡」)の小さい群の発生を引き起こしてもよい。その中でのガスのそのカプセル化のため、微小気泡は、超音波の反射物として作用する。加えて、または代替として、微小気泡(および/または外因性作用物質)は、標的からより強い反射信号を提供するように、投与システム113を介して標的領域101の中に導入されてもよい。印加される音響場の振幅および周波数に応じて、微小気泡は、発振する、流れる、および/または圧潰し得る。故に、種々の実施形態では、超音波パラメータ(例えば、トランスデューサ要素と関連付けられる振幅および/または周波数)は、微小気泡が、キャビテーションの間、媒体中で局所不連続を発生させ、半波長(またはいくつかの実施形態では、四分の一波長)剛球反射物として挙動するように調節されてもよい。破裂する微小気泡からの信号の振幅は、局所ピーク音響強度に直接関連し、キャビテーション事象の詳細な微細構造から独立し得る。故に、微小気泡破裂からの信号の振幅または出力を検出することによって、標的領域101における集束性質(例えば、音響出力またはピーク強度)が、取得または推定されることができる。微小気泡を発生させる、および/またはそれらを標的領域101の中に導入することに対するアプローチが、例えば、米国特許出願第15/708,214号、第15/837,392号、および第62/597,073号、国際出願第PCT/IB2017/000990号、および「Controlling Delivery of Therapeutic Agent in Microbubble-Enhanced Ultrasound Procedures」および「Control of Exogenous Agent Characteristics in Microbubble-Mediated Ultrasound Procedures」と題され、本明細書と同日付に出願された、国際特許出願(その内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0048】
種々の実施形態では、検出された音響信号のパラメータ(例えば、出力または振幅)の値と標的領域における1つ以上の集束性質(例えば、音響出力またはピーク音響強度)との間の関係が、超音波治療に先立って、またはその間に確立される。一実装では、関係は、同一または異なる患者に対する以前の治療からの測定、患者を横断する平均化、または生体外実験室実験に基づいて確立される。
図3Aは、本明細書による、ARFIシステムと併せて音響信号検出器(または超音波トランスデューサ)を使用して、治療の開始時に関係を確立するための例示的アプローチ300を描写する。第1のステップ302において、トランスデューサ要素が、超音波パルス/波を標的領域に印加してもよい。トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータ値(例えば、振幅、位相、および/または周波数)が、上記に説明されるように標的領域において焦点を発生させるように、経験的に、および/または物理モデルを使用して推定されてもよい。第2のステップ304において、超音波の印加に応じて、音響信号検出器112およびARFIシステムが、それぞれ、標的からの音響信号および標的における組織変位を実質的に同時に測定するようにアクティブ化されてもよい。第3のステップ306において、測定された組織変位は、次いで、一連の測定に基づいて経験的に確立される、または文献から入手され得る、既知の関係に基づいて、対応する音響圧力に変換される。第4のステップ308において、超音波パラメータ(例えば、振幅、位相、または周波数)が、次いで、調節されることができる。トランスデューサ要素は、次いで、調節されたパラメータ値に基づいてアクティブ化されてもよく、調節されたパラメータ値に応答する音響信号および組織変位が、測定される。種々の実施形態では、ステップ302-308は、(
図3Bに描写されるような)音響信号の値と標的領域101における集束性質との間の関係を確実に確立するために十分なデータが入手されるまで繰り返される。関係は、次いで、コントローラ108にアクセス可能なメモリ内に記憶されてもよい(ステップ310において)。
【0049】
代替として、
図4Aおよび4Bを参照すると、検出された音響信号のパラメータ値(例えば、出力または振幅)と標的領域における集束性質(例えば、音響出力またはピーク音響強度)との間の関係は、患者特有3D頭蓋骨レプリカ(または生体外頭蓋骨)402および標的領域101における印刷された頭蓋骨(または生体外頭蓋骨)内に展開される第2の検出器デバイス(例えば、ハイドロホン)404を使用して確立されてもよい。一実施形態では、治療に先立って、MRI装置200および/または他の撮像デバイス(例えば、コンピュータトモグラフィ(CT)デバイス、陽電子放出トモグラフィ(PET)デバイス、単一光子放出コンピュータトモグラフィ(SPECT)デバイス、または超音波検査デバイス)が、患者の頭蓋骨の解剖学的特性(例えば、タイプ、性質、構造、厚さ、密度等)および/または物質特性(例えば、採用される周波数または音速における組織のエネルギー吸収)を入手するようにアクティブ化される(ステップ412において)。患者特有3D頭蓋骨レプリカ402が、例えば、3D印刷を使用して、入手された解剖学/物質特性に基づいて作成されてもよい(ステップ414において)。3D頭蓋骨レプリカは、次いで、患者を治療するために使用されるものと類似する環境内に置かれてもよく、超音波が、3D頭蓋骨レプリカを横断することを介して標的領域101に印加されてもよい(ステップ416において)。標的領域101において展開される第2の検出器デバイス404が、印加される超音波によって生成される集束性質(例えば、音響出力および/またはピーク音響強度)を測定するようにアクティブ化されてもよい(ステップ418において)。加えて、検出システム112が、標的領域101から音響信号を測定してもよい(ステップ420において)。再び、超音波パラメータは、調節されることができ(ステップ422において)、トランスデューサは、次いで、調節されたパラメータに基づいてアクティブ化され、調節されたパラメータ値に応答する音響信号および集束性質が、それぞれ、検出システム112および第2の検出器デバイス404を使用して測定されてもよい。一実施形態では、ステップ416-422は、(
図3Bに描写されるような)音響信号の値と標的領域101における集束性質との間の関係を確実に確立するために十分なデータが入手されるまで繰り返される。再び、関係は、次いで、制御装置108にアクセス可能なメモリ内に記憶されてもよい(ステップ424において)。患者特有3D頭蓋骨レプリカを作成することに対するアプローチが、例えば、米国特許出願第16/132,630号(その内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0050】
測定と1つ以上の集束性質との間の確立された関係を利用して、標的領域における集束性質(例えば、音響出力またはピーク強度)が、測定された音響信号および/または組織変位からこれを推測することによって監視されてもよい。測定された音響出力および/または組織変位に基づいて、コントローラ108は、所望の音響圧力を達成するために、閉ループ方式で超音波パラメータを自動的に調節してもよい。例えば、測定された音響出力が、所望の値未満である場合、コントローラ108は、超音波出力を増加させる、および/またはトランスデューサ要素104と関連付けられる周波数および/または位相偏移を調節し、標的領域における音響出力を増加させてもよい。超音波が、微小気泡から反射される際の測定および調節の反復的サイクルを通して、高出力超音波焦点が、標的領域101において確実に発生されてもよい。
【0051】
加えて、または代替として、
図5を参照すると、標的領域101からの音響信号は、トランスデューサ102の異なる領域502-508に位置するトランスデューサ要素104および/またはトランスデューサ102の異なる領域と関連付けられる複数の音響信号検出器510-516によって検出されてもよい。トランスデューサ102の異なる領域において受信される反射された音響信号の相対的振幅を分析することによって、トランスデューサの個別の領域からの標的領域101におけるエネルギーの相対的寄与が、決定されてもよい。コントローラ108は、次いで、標的領域101における集束性質を改良し、非標的組織への損傷を回避する、および/または標的に音響ビームを成形するように、決定された相対的エネルギー寄与に基づいて、超音波パラメータ値を調節してもよい。例えば、トランスデューサ領域502、504において受信された音響信号の振幅が、トランスデューサ領域506、508において受信されたものよりも大きい場合、トランスデューサ領域502、504は、トランスデューサ領域506、508よりも標的領域101においてより多くのエネルギーに寄与している(言い換えると、トランスデューサ領域506、508からのより多くのエネルギーが、標的領域101に到達する前に、ビーム経路上で吸収/屈折/反射される)。故に、コントローラ108は、トランスデューサ領域506、508から放出されたエネルギーを増加させ、標的101へのビーム経路に沿って失われたエネルギーを補償し、それによって、標的領域101における音響出力を改良してもよい。代替として、コントローラ108は、トランスデューサ領域506、508から放出されるエネルギーを低減させ、標的へのビーム経路上に位置する組織の過熱を回避してもよい。これは、例えば、ビーム経路上に位置する非標的組織が重要な器官である、および/または非常に感熱性であるときに有益であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラ108は、異なるトランスデューサ領域において受信される音響信号に基づいて、焦点を成形してもよい。例えば、コントローラ108は、具体的標的形状に一致するように焦点を成形するように、トランスデューサ領域からの伝送位相および振幅アポダイゼーションを調節してもよい。代替として、または加えて、コントローラ108は、トランスデューサ領域から標的101への音響ビームをシミュレートする物理モデルを使用して焦点を成形してもよい。音響シミュレーションを実施するために、物理モデルを確立し、物理モデルを使用することに対するアプローチが、国際特許公開第WO 2018/130867号および米国特許公開第2015/0359603号(その全開示が、本明細書に参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0052】
種々の実施形態では、標的領域101における1つ以上の集束性質(例えば、音響出力)が、微小気泡からの検出された音響信号のスペクトルシグネチャに基づいて推定される。これは、異なるタイプのキャビテーションが、典型的には、異なるスペクトルシグネチャを有するため、適している。例えば、比較的に低い音響出力(例えば、微小気泡発生閾値を1~2ワット上回る)において、発生された微小気泡は、大きさが等しい圧縮および希薄化を伴う発振を受け、したがって、微小気泡は、概して、破裂しないままである(すなわち、「安定したキャビテーション」)。微小気泡の音響応答は、本低音響出力において線形であり、微小気泡から放出される超音波の周波数は、入射超音波のものと同一である、またはその高調波である(すなわち、基本周波数または基底高調波周波数)。より高い音響出力(例えば、微小気泡発生閾値を10ワットを超えて上回る)において、発生された微小気泡は、圧縮を上回る希薄化を受け、これは、微小気泡のキャビテーションおよび非線形音響応答を引き起こし得る。キャビテーション事象から戻った音響信号は、基本周波数および/または基本周波数の高調波、超高調波、および/または副高調波における周波数を含み得る。本アプローチは、したがって、種々のスペクトルシグネチャとキャビテーション事象を誘発するそれらの対応する音響出力との間のマッピングを伴ってもよく、これは、再び、治療に先立って簡単に確立されることができる。本明細書に使用されるように、用語「基本」周波数または「基底高調波」周波数f0は、トランスデューサアレイ102から放出される超音波/パルスの周波数(または時間変動周波数)を指し、用語「高調波」は、基本周波数の整数(例えば、2f0、3f0、4f0等)を指し、用語「超高調波」は、2つの非ゼロ整数高調波の間の分数周波数(例えば、3f0/2、5f0/4等)を指し、用語「副高調波」は、基本周波数と第1の高調波との間の分数(例えば、f0/2、f0/3、f0/4等)を指す。
【0053】
図6は、本明細書による、スペクトルシグネチャとそれらの対応する音響出力との間のマッピングを確立するための例示的アプローチ600を描写する。第1のステップ602において、微小気泡が、標的領域101内に発生される、および/またはその中に導入されてもよい。第2のステップ604において、トランスデューサ要素104が、超音波パルス/波を標的領域に印加してもよい。再び、トランスデューサ要素104と関連付けられるパラメータ値(例えば、振幅、位相、または周波数)が、上記に説明されるように標的領域に焦点を発生させるように、経験的に、および/または物理モデルを使用して推定されてもよい。第3のステップ606において、超音波の印加に応じて、音響信号検出器112(またはいくつかの実施形態では、トランスデューサ要素104)およびARFIシステムが、それぞれ、標的からの音響信号および標的における組織変位を実質的に同時に測定するようにアクティブ化されてもよい。第4のステップ608において、測定された音響信号は、次いで、それと関連付けられるスペクトルシグネチャを決定するためにコントローラ108に伝送される。加えて、測定された組織変位は、上記に説明されるような既知の関係に基づいて、対応する音響圧力に変換されてもよい。第5のステップ610において、超音波パラメータ(例えば、振幅、位相、または周波数)が、次いで、調節されることができ、調節されたパラメータ値に応答する音響信号および組織変位が、測定される。ステップ604-610は、音響信号のスペクトルシグネチャと標的領域101における集束性質または複数の性質(例えば、音響出力)との間の関係を確実に確立するために十分なデータが入手されるまで繰り返されてもよい。再び、確立された関係は、次いで、コントローラ108にアクセス可能なメモリ内に記憶されてもよい(ステップ612において)。
【0054】
いったん音響信号のパラメータ値(またはいくつかの実施形態では、スペクトルシグネチャ)と標的領域における集束性質との間の関係が、例えば、
図3B、4B、および6に説明されるアプローチを使用して確立されると、標的領域101における超音波集束性質は、治療手技の間にリアルタイムで監視されてもよい。特に、標的領域101からの音響信号が、取得され、それに基づいて、トランスデューサ要素104の1つ以上のパラメータ(例えば、位相偏移、周波数、および/または振幅)が、推測され、集束性質を改良するために調節されてもよい。
図7は、本明細書による、超音波集束性質を測定および改良するための例示的アプローチ700を描写する。第1のステップ702において、超音波パラメータ値が、上記に説明されるように標的領域101に焦点を発生させるために、経験的に、および/または物理モデルを使用して推定される。第2のステップ704において、トランスデューサ要素104が、推定されたパラメータ値に基づいてアクティブ化される。第3のステップ706において、検出システム112(例えば、MR-ARFI撮像システムおよび/または音響信号検出器)が、治療の間に標的領域101において印加される音響圧力からもたらされる応答(例えば、組織変位および/または音響信号)を測定するために採用される。随意に、音響圧力は、標的領域101内に発生される、および/またはその中に導入される微小気泡を使用して測定されてもよい。第4のステップ708において、ステップ706において測定された応答に基づいて、標的領域101における音響圧力が、推定されることができる。一実装では、本ステップは、上記に説明されるような検出された音響信号(および/または検出された組織変位)の値(例えば、出力または振幅)と標的領域101における対応する集束性質(例えば、音響出力またはピーク音響強度)との間の確立された関係の使用を伴う。続けて、トランスデューサパラメータ値(例えば、位相偏移、周波数、および/または振幅)が、標的における推定された音響出力に基づいて調節されることができる(ステップ708において)。ステップ702-708は、検出されたARFI信号および/または音響反射信号が、所望の音響圧力と一貫するまで繰り返されてもよい。
【0055】
別の実施形態では、標的領域101において所望の出力を達成するために、標的領域における集束性質を入手することは、必要ではない。例えば、
図8を参照すると、より高い反射強度は、焦点におけるより高いビーム強度を示すため、治療効率は、反射された超音波の最大強度(または振幅)を見出すことによって最適化されてもよい。したがって、トランスデューサ要素104は、最初に、超音波パルス/波を標的領域101に印加してもよい(ステップ802において)。標的101からの音響反射信号は、次いで、音響信号検出器112および/またはトランスデューサ要素104を使用して検出されてもよい(ステップ804において)。いくつかの実施形態では、測定された音響信号は、コントローラ108に伝送され、これは、それと関連付けられる強度を決定する(ステップ806において)。コントローラ108は、現在受信された反射の強度を以前に受信された反射の強度(存在する場合)と比較してもよく(ステップ808において)、差異に基づいて、コントローラは、次の超音波処理における超音波ビームの振幅および/または位相を調節してもよい(ステップ810において)。再び、ステップ802-810は、反射された音響ビームの強度が、最大に到達するまで反復されることができる(すなわち、次の超音波処理のためのトランスデューサ要素の初期パラメータ値が、以前の測定の結果に基づいて決定される)。いくつかの実施形態では、反復プロセスは、現在の測定された強度と以前に測定された強度との間の差異が、ある閾値を下回る、および/または反復の回数が、所定の限界を超えるときに停止する。閾値は、例えば、それを下回っていかなる臨床効果も観察されない値として確立されてもよい。
【0056】
集束超音波病変治療の目標は、概して、標的を囲繞する健常組織、およびトランスデューサと標的との間の経路に沿った組織の超音波への暴露を最小限にしながら、標的において吸収されるエネルギーを最大限にすることである。組織内の伝搬長に対する超音波吸収度は、
【化1】
よって与えられる周波数の関数であり、式中、Iは、標的領域101における音響強度を表し、I
0は、トランスデューサ要素から放出される超音波ビームの初期強度を表し、fは、超音波の周波数(MHz単位で測定される)を表し、αは、関連する周波数範囲における圧力吸収係数(cm
-1・MHz
-1単位で測定される)を表し、公知の文献から入手されてもよく、zは、超音波ビームが標的領域に到達することに先立って組織を通して伝搬する距離(cm単位で測定される)を表す。積α・fが高いほど、標的領域におけるエネルギー吸収は、大きくなるであろう。故に、いくつかの実施形態では、超音波の周波数は、試験周波数範囲内の異なる「試験周波数」を有する波を用いて標的領域101を連続的に超音波処理することによって最適化され、試験される周波数毎に、標的領域101におけるエネルギー吸収を示す音響出力が、例えば、ARFIシステムを使用して測定される。加えて、または代替として、試験周波数における超音波は、標的領域における微小気泡に伝送されてもよく、それから反射された音響信号が、標的における音響強度Iを入手するために分析されてもよい。標的におけるエネルギー吸収が、次いで、積I・α・fから推測されることができる。試験範囲は、超音波治療のために好適な周波数の範囲全体(例えば、種々の実施形態では、0.1MHz~10MHz)に及び得るが、典型的には、最適な周波数が予期される、そのはるかに小さい部分範囲である。そのような部分範囲は、例えば、最適な周波数を推定する物理モデル、シミュレーションの結果、または他の患者における同一の標的に関して入手された経験的データに基づいて決定されてもよい。試験されるべき周波数は、試験範囲にわたって均一または不均一に分布してもよい。種々の実施形態では、試験周波数の密度は、例えば、同一の器官または組織での以前の経験に基づいて推定された最適な周波数に近接するにつれて増加する。試験範囲およびその中の試験周波数は、事前決定される、または最適化プロセスの間に動的に調節されてもよい。例えば、一実施形態では、試験は、最初に、標的領域101における高エネルギー吸収をもたらす周波数の部分範囲を決定するために、大きい試験範囲(例えば、0.1~1MHz)にわたる大きい周波数間隔において(例えば、20kHzずつ)実施され、最適な周波数が、その後、より小さい間隔において(例えば、5kHzずつ)試験することによって決定された部分範囲内で決定される。別の実施形態では、試験は、所定の潜在的試験周波数のサブセットに関して実施され、各実際の試験周波数は、以前の試験またはシミュレーションの結果に基づいて、潜在的試験周波数のセットから選択される。
【0057】
したがって、超音波周波数を最適化することは、試験周波数を反復的に設定し、選択された周波数において標的領域101を超音波処理し、標的領域101における結果として生じる音響出力を定量的に評価することを伴い得る。音響強度Iは、音響圧力Pの関数である(I=P2/Zであり、式中、Zは、音響インピーダンスを表す)ため、標的組織の周波数依存性吸収係数が、試験周波数およびその結果として生じる音響圧力に基づいて算出されることができる。一実施形態では、最も高い積I・α・fを有する周波数が、標的領域において吸収されるエネルギーの量を最大限にするために最適な周波数であるように選択される。別の実施形態では、最大音響圧力に対応する試験周波数は、最適な周波数であるように決定される。いずれの場合も、治療の間、超音波トランスデューサ102は、標的を治療するために、決定された最適な周波数に従ってアクティブ化される。容易な参照のために、本明細書における説明は、標的領域における音響出力を評価することのみを指すが、既知かつ予測可能な様式で、標的領域101におけるエネルギー吸収と相関するパラメータを測定するための任意の好適な実験技法が、使用され得、本発明の範囲内であることを理解されたい。例えば、MRI温度測定が、吸収されたエネルギーからもたらされる標的領域101における温度増加を測定するために採用されてもよい。超音波印加のための最適な周波数を決定することについてのさらなる詳細が、例えば、米国特許公開第2016/0008633号(その内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0058】
最適な周波数は、標的において吸収されるエネルギーの量を最大限にし得るが、これはまた、標的を囲繞する健常組織の超音波への暴露を最大限にし、それによって、それに望ましくない損傷を引き起こし得る。故に、いくつかの実施形態では、非標的組織への損傷を回避するように、(最適な周波数のものと比較して)より低い積I・α・fに対応する周波数を有する超音波処理を印加することが、好ましい。しかしながら、これは、標的領域101において利用可能なエネルギーの量を有意に低減させ得る。故に、いくつかの実施形態では、標的によって吸収されるエネルギーが、最小限に許容可能な治療効率に対応する所定の値を下回るとき、微小気泡が、微小気泡と音響ビームとの間の相互作用を介して治療効率を強化するために、標的領域101において導入および/または発生される。標的におけるエネルギー吸収の量は、再び、ARFIを使用して測定される音響出力または他のエネルギー相関パラメータ、標的101から反射または伝送される音響信号、および/または他の適切なアプローチから推測されることができる。加えて、治療効率を強化するための微小気泡の投与後、標的におけるエネルギー吸収を特徴付ける情報は、更新されてもよく、それに基づいて、微小気泡の投与プロファイル(例えば、濃度、投与量、速度、またはタイミング)が、調節されてもよい。
【0059】
図9Aは、本明細書による、集束超音波治療における超音波印加周波数を決定するための例示的アプローチ900を描写する。第1のステップ902において、標的および/または非標的組織についての情報(例えば、解剖学的性質)が、撮像デバイス(例えば、MRI装置200)を使用して入手される。入手された情報に基づいて、標的および/または非標的組織の物質性質を特徴付ける組織モデルが、作成されてもよい(第2のステップ904において)。組織モデルを作成することに対するアプローチが、例えば、国際出願第PCT/IB2017/001689号(2017年12月13日に出願された)(その全開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されている。第3のステップ906において、標的101において吸収されるエネルギーを最大限にする最適な周波数が、上記に説明されるアプローチを使用して決定されてもよい。第4のステップ908において、非標的組織に対する超音波エネルギーの効果およびそれに損傷を引き起こすリスクが、組織モデルおよび決定された最適な周波数に基づいて推定される。非標的組織が、熱に高い耐性がある、および/または有害な臨床効果を伴わずに損傷に耐えることができる場合(または組織に損傷を及ぼすリスクが低い、例えば、20%未満である場合)、トランスデューサは、治療のためにステップ806において決定された最適な周波数においてアクティブ化されてもよい(ステップ910において)。しかしながら、非標的器官が、感熱性である、および/またはこれに損傷を及ぼすリスクが高い(例えば、50%よりも高い)場合、超音波印加周波数は、非標的組織への損傷を回避するように、(最適な周波数のものと比較して)より低い積I・α・fを達成するように調節される(ステップ912において)。トランスデューサ102は、次いで、治療手技を開始するために、調節された周波数に基づいてアクティブ化されてもよい(ステップ910)。
【0060】
図9Bを参照すると、治療の間、標的101におけるエネルギー吸収の量は、ARFIを使用して測定される音響出力または他のエネルギー相関パラメータ、標的101から反射または伝送される音響信号、および/または上記に説明されるような他の好適なアプローチから推測される(ステップ914において)。標的101によって吸収されるエネルギーが、最小限に許容可能な治療効率に対応する所定の値を下回るとき、微小気泡が、超音波治療効果を強化するために、上記に説明されるように標的領域101において導入および/または発生されてもよい(ステップ916において)。標的におけるエネルギー吸収は、連続的に監視および更新されてもよく、それに基づいて、微小気泡の投与プロファイル(例えば、濃度、投与量、速度、またはタイミング)が、集束性質を改良するために調節されてもよい(ステップ818において)。
【0061】
故に、本発明における種々の実施形態は、有利なこととして、治療の間にリアルタイムで標的における所望の音響出力またはエネルギー吸収を達成するために、超音波パラメータが調節されること(またはいくつかの実施形態では、微小気泡が導入されること)を可能にするように、標的についての閉ループフィードバック情報(例えば、音響出力)をオペレータまたは自動コントローラ108に提供するために検出システム112を利用する。
【0062】
本明細書における実施例は、超音波エネルギーの送達に関する技法を説明するが、超音波手技は、放射線療法または標的化薬物送達等の他の療法的方法と組み合わせて実施され得ることを理解されたい。例えば、超音波誘発微小気泡発振/キャビテーションが、標的領域101における血管組織を途絶し得、これは、放射線への組織増感を可能にし、したがって、依然として所望の治療効能を達成しながら、放射線療法において必要とされる放射線量を低減させる。別の治療シナリオでは、超音波誘発微小気泡発振/キャビテーションは、標的領域における組織透過性を増加させ得(例えば、BBBを開放する)、これは、より多い用量の治療剤が標的組織に到達し、それによって、全身毒性を最小限にしながら治療効果を強化することを可能にする。放射線療法における放射線量を低減させ、標的領域101における組織透過性を増加させるために微小気泡発振/キャビテーションを利用することに対するアプローチが、例えば、それぞれ、米国特許出願第15/637,163号(2017年6月29日に出願された)および国際出願第PCT/IB2018/000811号(2018年6月29日に出願された)(その内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0063】
トランスデューサ102全体からの伝送の測定に加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、上記に説明されるアプローチは、トランスデューサ要素104の1つ以上のサブセットからの伝送の測定に適用されることができる。一実施形態では、標的101に対して異なる空間配列を有する要素のいくつかのサブセットからの伝送が、別個に測定され、上記に説明されるように測定を分析することによって入手された情報が、相互に対するサブセット要素の伝送出力を調節するために使用される。いくつかの実施形態では、サブセット要素の周波数および/または出力は、非標的組織に対する加熱効果を最小限にするために調節されることができる。
【0064】
本明細書に説明される超音波集束手技は、超音波を反射するために微小気泡を利用するが、超音波は、他のアプローチを使用して反射され得ることに留意されたい。例えば、投与システム113は、種々の液体パーフルオロカーボン剤から成るエマルションおよび/または液滴を、治療に先立って、および/またはその間に標的領域101の中に投与してもよい。超音波パルスの初期印加は、液滴を微小気泡に蒸発させ得、超音波パルスの後続印加は、微小気泡から反射され得る。標的領域101からの反射は、上記に説明されるように検出および分析されてもよい。
【0065】
一般に、上記に説明されるように、例えば、標的領域に焦点を発生させるために超音波パラメータ値を推定すること、推定されたパラメータ値に基づいて、トランスデューサ要素104に、超音波パルス/波を標的領域に伝送させること、それぞれ、標的から反射される音響信号および標的における組織変位を測定するために、音響信号検出器および/またはARFIシステムをアクティブ化すること、測定された音響反射信号と関連付けられるスペクトルシグネチャおよび/または強度を決定すること、測定された組織変位を対応する音響圧力に変換すること、現在受信された音響信号の強度を以前に受信された音響信号の強度と比較すること、超音波パラメータ値を調節すること、1つ以上の撮像モダリティ(例えば、超音波撮像、MR撮像、またはカメラ)を使用して入手された標的および/または非標的領域の撮像データを分析すること、標的場所を決定すること、撮像データに基づいて、標的/非標的領域の物質特性を特徴付ける組織モデルを作成すること、標的101において吸収されるエネルギーの量を最大限にする最適な周波数を決定すること、非標的組織に対する超音波エネルギーの効果およびそれに損傷を引き起こすリスクを推定すること、入手された解剖学的/物質特性に基づいて、患者特有3D頭蓋骨レプリカを作成させること、微小気泡を標的領域内に発生させる、および/またはその中に導入させること、および/または微小気泡の投与プロファイル(例えば、濃度、投与量、速度、またはタイミング)を調節することを含む、超音波治療の間にリアルタイムで標的領域101における集束性質を測定および改良するための機能性は、超音波システム100および/またはMRI装置200のコントローラ内に統合される、または別個の外部コントローラまたは他のコンピュータエンティティまたは複数のエンティティによって提供されるかどうかにかかわらず、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせにおいて実装される1つ以上のモジュール内に構築されてもよい。超音波コントローラ108および/またはMRコントローラ216は、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせにおいて実装される1つ以上のモジュールを含んでもよい。機能が1つ以上のソフトウェアプログラムとして提供される実施形態に関して、プログラムは、PYTHON、FORTRAN、PASCAL、JAVA(登録商標)、C、C++、C#、BASIC、種々のスクリプト言語、および/またはHTML等のいくつかの高レベル言語のうちのいずれかにおいて書き込まれてもよい。加えて、ソフトウェアは、標的コンピュータ上に常駐するマイクロプロセッサを対象とするアセンブリ言語において実装されることができ、例えば、ソフトウェアは、これがIBM PCまたはPCクローン上で起動するように構成される場合、Intel 80×86アセンブリ言語において実装されてもよい。ソフトウェアは、限定ではないが、フロッピーディスク、ジャンプドライブ、ハードディスク、光学ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはCD-ROMを含む製造品上で具現化されてもよい。ハードウェア回路を使用する実施形態は、例えば、1つ以上のFPGA、CPLD、またはASICプロセッサを使用して実装されてもよい。
【0066】
加えて、本明細書に使用される用語「コントローラ」または「自動コントローラ」は、上記に説明されるような任意の機能性を実施するために利用される全ての必要なハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールを広く含み、コントローラは、複数のハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールを含んでもよく、機能性は、異なるコンポーネントおよび/またはモジュール間で分散されることができる。
【0067】
本明細書に採用される用語および表現は、限定ではなく、説明の用語および表現として使用され、そのような用語および表現の使用において、示され、説明される特徴の任意の均等物またはその一部を除外する意図は全く存在しない。加えて、本発明のある実施形態を説明したが、本明細書に開示される概念を組み込む他の実施形態も、本発明の精神および範囲から逸脱することなく使用され得ることが、当業者に明白となるであろう。故に、説明される実施形態は、あらゆる点で例証的にすぎず、制限的ではないと見なされるものである。