(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】衝撃吸収部材
(51)【国際特許分類】
F16F 7/00 20060101AFI20240611BHJP
B60R 19/34 20060101ALI20240611BHJP
F16F 7/12 20060101ALI20240611BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F16F7/00 K
B60R19/34
F16F7/12
F16F15/02 Z
(21)【出願番号】P 2021054271
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】大沼 健二
(72)【発明者】
【氏名】谷口 剛士
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0290611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0193699(US,A1)
【文献】中国実用新案第211809467(CN,U)
【文献】特開2013-044407(JP,A)
【文献】特開2010-019414(JP,A)
【文献】特開2010-111239(JP,A)
【文献】特開2010-116059(JP,A)
【文献】特開2010-125858(JP,A)
【文献】特開昭56-131849(JP,A)
【文献】国際公開第2005/050053(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 7/00- 7/14
B60R 19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、前記第1部材と対向して配置される第2部材との間に設けられるとともに、前記第1部材から前記第2部材に向けて作用する衝撃力を吸収する衝撃吸収部材であって、
前記第1部材と前記第2部材との対向方向に沿って延びる軸線をそれぞれ有する第1筒体及び第2筒体を備え、
前記第1筒体は、筒状の第1側壁と、前記第1側壁の前記第1部材の側の端を閉塞する多角形状の第1底壁と、を有し、前記第1側壁の前記第2部材の側の端が開放されており、
前記第2筒体は、筒状の第2側壁と、前記第2側壁の前記第2部材の側の端を閉塞する多角形状の第2底壁と、を有し、前記第2側壁の前記第1部材の側の端が開放されており、
前記第1筒体と前記第2筒体とは、互いに隣り合って配置されており、
前記第1側壁と前記第2側壁とは、各々の周方向の一部において互いに連結されており、
2つの前記第1筒体の間に、1つの前記第2筒体が配置されており、
前記第2底壁は、同一長さであり、且つ平行な2つの辺の組を4組有する八角形であり、
1つの前記第2筒体の周囲には、4つの前記第1筒体が
前記第2筒体の周方向において互いに間隔をあけて配置されている、
衝撃吸収部材。
【請求項2】
前記第1筒体は、前記対向方向において前記第1底壁に近づくほど先細状であり、
前記第2筒体は、前記対向方向において前記第2底壁に近づくほど先細状である、
請求項1に記載の衝撃吸収部材。
【請求項3】
前記第1側壁及び前記第2側壁は、各々の周方向の一部を共有している、
請求項1または請求項2に記載の衝撃吸収部材。
【請求項4】
前記周方向において互いに隣り合う前記第1筒体同士の間には、前記第2筒体の外周側に位置するとともに当該第1筒体同士を連結する延出部が設けられている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の衝撃吸収部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材と、第1部材と対向して配置される第2部材との間に設けられ、第1部材から第2部材に向けて作用する衝撃力を吸収する衝撃吸収部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状本体部を備える衝撃吸収部材が記載されている。筒状本体部の断面形状は、略十字状の凹多角形である。
筒状本体部の基端には、接合フランジが設けられている。接合フランジには、ボルト孔が設けられている。このボルト孔によって、衝撃吸収部材の基端が車両のフロントサイドフレームの前端の取付プレートに結合される。
【0003】
筒状本体部の先端には、壁が設けられている。この壁の中央には、軽量孔が開口している。軽量孔の周囲には、ボルト孔が開口している。このボルト孔によって、衝撃吸収部材の先端がバンパリインフォースメントに結合される。
【0004】
筒状本体部の内部は、軸線方向に延びるリブによって4つの空間に区画されている。筒状本体部は、基端側から先端側に向かって先細状である。
こうした構成を備える衝撃吸収部材は、バンパリインフォースメントからフロントサイドフレームに向けて作用する衝撃力を、筒状本体部が軸線方向に圧縮変形されることによって吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
衝撃吸収部材においては、バンパリインフォースメントなどの第1部材から衝撃吸収部材に対して衝撃力が作用すると、まずは、衝撃吸収部材が衝撃力に対して突っ張る。そのため、筒状本体部の最初の座屈が生じるまでは、フロントサイドフレームなどの第2部材に作用する荷重が増大する。その後に衝撃吸収部材の座屈が生じることに伴って第2部材に作用する荷重が急激に低下することで、所謂初期荷重のピークが生じる。
【0007】
ところで、特許文献1に記載の衝撃吸収部材は、筒状本体部全体が先端側から座屈する構造である。また、筒状本体部は、4つの筒体が互いに隣り合って配置された構造である。このため、筒状本体部の先端部が座屈する際に、互いに隣り合う筒体同士が座屈を阻害し合うことで、第2部材に作用する初期荷重が増大しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための衝撃吸収部材は、第1部材と、前記第1部材と対向して配置される第2部材との間に設けられ、前記第1部材から前記第2部材に向けて作用する衝撃力を吸収する衝撃吸収部材であって、前記第1部材と前記第2部材との対向方向に沿って延びる軸線をそれぞれ有する第1筒体及び第2筒体を備え、前記第1筒体は、筒状の第1側壁と、前記第1側壁の前記第1部材の側の端を閉塞する多角形状の第1底壁と、を有し、前記第1側壁の前記第2部材の側の端が開放されており、前記第2筒体は、筒状の第2側壁と、前記第2側壁の前記第2部材の側の端を閉塞する多角形状の第2底壁と、を有し、前記第2側壁の前記第1部材の側の端が開放されており、前記第1筒体と前記第2筒体とは、互いに隣り合って配置されており、前記第1側壁と前記第2側壁とは、各々の周方向の一部において互いに連結されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】衝撃吸収部材の一実施形態について、第1部材と第2部材との間に配置された状態の衝撃吸収部材を示す断面図。
【
図4】(a)、(b)は、同実施形態の作用を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図4を参照して、一実施形態について説明する。なお、
図1は、
図3の1-1線に沿った断面図である。
図1に示すように、衝撃吸収部材10は、第1部材91と、第1部材91と対向して配置される第2部材92との間に設けられるとともに、第1部材91から第2部材92に向けて作用する衝撃力を吸収する部材である。
【0011】
第1部材91は、車両の前部に設けられるバンパリインフォースメントである。第2部材92は、フロントサイドメンバである。
第1部材91と第2部材92とは、車両の前後方向に対向して配置される。以降において、第1部材91と第2部材92との対向方向を単に対向方向Aとして説明する。
【0012】
衝撃吸収部材10は、フランジ11、第1筒体20及び第2筒体40を備える。衝撃吸収部材10は、硬質樹脂材料によって一体に成形されている。
第1筒体20は、対向方向Aに沿って延びる軸線L1を有する。第1筒体20は、筒状の第1側壁22と、第1側壁22の第1部材91の側の端を閉塞する多角形状の第1底壁21とを有する。第1側壁22は、第1底壁21の複数の辺に対応する複数の側面を有する。第1側壁22の第2部材92の側の端は、開放されている。第1筒体20は、対向方向Aにおいて第1底壁21に近づくほど先細状である。
【0013】
第2筒体40は、対向方向Aに沿って延びる軸線L2を有する。第2筒体40は、筒状の第2側壁42と、第2側壁42の第2部材92の側の端を閉塞する多角形状の第2底壁41とを有する。第2側壁42は、第2底壁41の複数の辺に対応する複数の側面を有する。第2側壁42の第1部材91の側の端は、開放されている。第2筒体40は、対向方向Aにおいて第2底壁41に近づくほど先細状である。
【0014】
図2及び
図3に示すように、本実施形態の衝撃吸収部材10は、8つの第1筒体20と、3つの第2筒体40とを有している。
3つの第2筒体40は、一列且つ等間隔に並んで設けられている。第2底壁41は、同一長さであり、且つ平行な2つの辺の組を4組有する八角形である。
【0015】
以降において、第2筒体40の並び方向を単に並び方向Bとし、対向方向Aと並び方向Bとの双方に直交する方向を幅方向Cとして説明する。
図3に示すように、第2底壁41は、並び方向Bに沿って延びる2つの辺と、幅方向Cに沿って延びる2つの辺と、並び方向B及び幅方向Cの双方に対して傾斜して延びる4つの辺とを有する。
【0016】
第1底壁21は、略八角形である(
図2参照)。
8つの第1筒体20は、以下のように配置されている。すなわち、並び方向Bにおいて4つの第1筒体20が等間隔に並設されるとともに、幅方向Cにおいて2つの第1筒体20が互いに間隔をおいて並設されている。
【0017】
1つの第2筒体40の周囲には、4つの第1筒体20が隣り合って配置されている。4つの第1筒体20は、第1筒体20の軸線L1が第2筒体40を中心とする正方形の角の位置となるようにそれぞれ配置されている。2つの第1筒体20の間には、1つの第2筒体40が配置されている(
図1参照)。
【0018】
第1側壁22及び第2側壁42は、各々の周方向の一部を共有している。より詳しくは、第1側壁22及び第2側壁42は、第2底壁41の上記八角形の8つの辺のうち、並び方向B及び幅方向Cの双方に対して傾斜して延びる1つの辺に対応する部分を共有している。すなわち、第1側壁22と第2側壁42とは、各々の周方向の一部において互いに連結されている。
【0019】
第2筒体40の周囲に配置される4つの第1筒体20のうち第2筒体40の周方向において互いに隣り合う第1筒体20の第1側壁22同士が連結されている。
図3の左側及び右側に示すように、並び方向Bにおいてそれぞれ外側に位置するとともに幅方向Cにおいて互いに隣り合う第1筒体20同士は、幅方向Cに沿って延びる延出部23と第2側壁42とによって連結されている。第2側壁42と延出部23とは、並び方向Bに沿って延びる連結部24によって連結されている。
【0020】
第1筒体20は、上記連結部24に対向する部分に、第1側壁22が設けられていない連通部25を有している。連通部25により、第1筒体20の内部と、第2側壁42と延出部23との間の空間とが連通されている。
【0021】
図3の中央に示すように、並び方向Bにおいてそれぞれ内側に位置するとともに幅方向Cにおいて互いに隣り合う第1筒体20同士は、互いに隣り合う第2筒体40の第2側壁42によって連結されている。これら2つの第2側壁42は、並び方向Bに沿って延びる連結部24によって連結されている。
【0022】
第1筒体20は、上記連結部24に対向する部分に、第1側壁22が設けられていない連通部25を有している。連通部25により、第1筒体20の内部と、互いに隣り合う第2側壁42同士の間の空間とが連通されている。
【0023】
図3の上側及び下側に示すように、並び方向Bにおいて互いに隣り合う第1筒体20同士は、並び方向Bに沿って延びる延出部23と第2側壁42とによって連結されている。第2側壁42と延出部23とは、幅方向Cに沿って延びる連結部24によって連結されている。
【0024】
第1筒体20は、上記連結部24に対向する部分に、第1側壁22が設けられていない連通部25を有している。連通部25により、第1筒体20の内部と、第2側壁42と延出部23との間の空間とが連通されている。
【0025】
延出部23、連結部24、及び連通部25は、第1筒体20において対向方向Aの全体にわたって設けられている。
図1~
図3に示すように、フランジ11は、第1側壁22の第2部材92の側の端から第1側壁22の外側に向かって突出している。
【0026】
フランジ11の縁部には、ボルト孔12が設けられている。ボルト孔12に挿通されるボルト(図示略)によって、衝撃吸収部材10が第2部材92に取り付けられる。
なお、図示は省略するが、第1側壁22には、第1部材91の側の端から第1側壁22の外側に向かって突出するステーが設けられている。このステーによって、衝撃吸収部材10が第1部材91に取り付けられる。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4(a)に示すように、車両の衝突に伴って第1部材91から衝撃吸収部材10に対して衝撃力が作用すると、各筒体20,40には、まず、各筒体20,40の軸線L1,L2に直交する径方向外側に向かって力が作用する。
【0028】
第1筒体20においては、第2部材92側の端が開口している。また、第2筒体40においては、第1部材91の側の端が開口している。第1底壁21側においては、第1筒体20と隣り合って配置される第2筒体40が開口していることで第2筒体40が変形しやすい。このため、第1筒体20の径方向外側への変形が第2筒体40によって阻害されにくい。第2底壁41側においては、第2筒体40と隣り合って配置される第1筒体20が開口していることで第1筒体20が変形しやすい。このため、第2筒体40の径方向外側への変形が第1筒体20によって阻害されにくい。
【0029】
これらのことから、
図4(b)に示すように、第1筒体20は、上記衝撃力によって、第1底壁21側から座屈を開始するようになる。また、第2筒体40は、上記衝撃力によって、第2底壁41側から座屈を開始するようになる。すなわち、第1筒体20及び第2筒体40は、互いに異なる位置から座屈を開始するようになる。これにより、第1筒体20と第2筒体40とが互いの変形を阻害しにくくなるため、上記衝撃力が衝撃吸収部材10によって吸収されやすくなる(以上、作用1)。
【0030】
また、第2部材92に対して第2筒体40の第2底壁41が当接して配置されることで、第1部材91から衝撃吸収部材10を介して第2部材92に作用する衝撃力を、第2底壁41によって分散させることができる。これにより、衝撃吸収部材10の大きな変形及び横倒れを抑制できる(以上、作用2)。
【0031】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)衝撃吸収部材10は、互いに隣り合って配置された第1筒体20及び第2筒体40を備える。第1筒体20は、筒状の第1側壁22と、第1側壁22の第1部材91の側の端を閉塞する多角形状の第1底壁21とを有し、第1側壁22の第2部材92の側の端が開放されている。第2筒体40は、筒状の第2側壁42と、第2側壁42の第2部材92の側の端を閉塞する多角形状の第2底壁41とを有し、第2側壁42の第1部材91の側の端が開放されている。第1側壁22と第2側壁42とは、各々の周方向の一部において互いに連結されている。
【0032】
こうした構成によれば、上記作用1及び作用2を奏する。したがって、第2部材92に作用する初期荷重の増大を好適に抑制することができる。
(2)第1筒体20は、対向方向Aにおいて第1底壁21に近づくほど先細状である。第2筒体40は、対向方向Aにおいて第2底壁41に近づくほど先細状である。
【0033】
こうした構成によれば、第1筒体20の断面係数は、対向方向Aにおいて第1底壁21に近づくほど小さくなる。このため、第1筒体20の第1底壁21側からの座屈が促進されるようになる。また、第2筒体40の断面係数は、対向方向Aにおいて第2底壁41に近づくほど小さくなる。このため、第2筒体40の第2底壁41側からの座屈が促進されるようになる。したがって、第2部材92に作用する初期荷重の増大を一層好適に抑制することができる。
【0034】
(3)第1側壁22及び第2側壁42は、各々の周方向の一部を共有している。
こうした構成によれば、第1筒体20と第2筒体40とを近接して配置することができる。したがって、上記対向方向Aに直交する方向における衝撃吸収部材10の体格を小さくできる。
【0035】
(4)2つの第1筒体20の間に、1つの第2筒体40が配置されている。
こうした構成によれば、2つの第1筒体20によって第2筒体40が両側から支えられる。これにより、第2筒体40の大きな変形及び横倒れを抑制することができる。したがって、衝撃吸収部材10の大きな変形及び横倒れを一層抑制できる。
【0036】
(5)第2底壁41は、同一長さであり、且つ平行な2つの辺の組を4組有する八角形である。1つの第2筒体40の周囲には、4つの第1筒体20が配置されている。
こうした構成によれば、第2筒体40が上記八角形の筒状をなすため、第2筒体40による衝撃吸収性を好適に高めることができる。
【0037】
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0038】
・幅方向Cにおいて第1筒体20を3つ以上設けるようにしてもよい。
・並び方向Bにおいて第2筒体40を4つ以上設けるようにしてもよい。また、並び方向Bにおいて第2筒体40を1つまたは2つ設けるようにしてもよい。
【0039】
・連結部24を省略することもできる。
・延出部23を省略することもできる。この場合、連結部24及び連通部25を省略することで第1底壁21は八角形となる。
【0040】
・第2底壁41の形状は八角形に限定されず、四角形や六角形などの他の多角形に変更することもできる。
例えば
図5~
図7に示す第1変形例の衝撃吸収部材10、
図8~
図10に示す第2変形例の衝撃吸収部材10、
図11~
図13に示す第3変形例の衝撃吸収部材10を採用することもできる。なお、これら変形例において上記実施形態の構成と同一または対応する構成には、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0041】
<第1変形例>
図5~
図7に示すように、第1変形例の衝撃吸収部材10は、4つの第1筒体20と、1つの第2筒体40とを有している。第1筒体20は、正方形状の第1底壁21を有している。第2筒体40は、正方形状の第2底壁41を有している。第1筒体20は、第2筒体40を中心に十字状に配置されている。
【0042】
こうした構成によれば、上記実施形態の効果(1)~(4)と同様な作用効果を奏することができる。
<第2変形例>
図8~
図10に示すように、第2変形例の衝撃吸収部材10は、基本的には、第1変形例の衝撃吸収部材10と同様な構成を有している。以下、第1変形例との相違点を中心に説明する。
【0043】
第1筒体20は、対向方向Aにおいて第1底壁21に近づくほど先細状ではなく、第1側壁22の断面の大きさは、対向方向Aにおいて同一である。また、第2筒体40についても同様である。
【0044】
第1側壁22において第1底壁21に隣り合う部分には、薄肉部22aが設けられている。薄肉部22aは、1つの第1筒体20における第1側壁22の4つの外面にそれぞれが設けられている。薄肉部22aは、側面視長方形状である。薄肉部22aは、第1側壁22の外面を他の部分よりも窪ませることにより形成されている。
【0045】
図10に示すように、第2側壁42において第2底壁41に隣り合う部分には、薄肉部42aが設けられている。薄肉部42aは、1つの第2筒体40における第2側壁42の4つの外面にそれぞれ設けられている。薄肉部42aは、側面視長方形状である。薄肉部42aは、第2側壁42の外面を他の部分よりも窪ませることにより形成されている。
【0046】
こうした構成によれば、上記実施形態の効果(1)、(3)及び(4)と同様な効果に加えて、以下の効果(6)を奏する。
(6)第1筒体20は、薄肉部22aを基点として座屈するようになる。また、第2筒体40は、薄肉部42aを基点として座屈するようになる。したがって、第2部材92に作用する初期荷重の増大を一層好適に抑制することができる。
【0047】
なお、薄肉部22a,42aに代えて、側壁22,42を貫通する孔部を設けるようにしてもよい。この場合であっても、上記(6)の効果と同様な作用効果を奏することができる。
【0048】
<第3変形例>
図11~
図13に示すように、第3変形例の衝撃吸収部材10は、4つの第1筒体20と、3つの第2筒体40とを有している。第1筒体20は、正六角形状の第1底壁21を有している。第2筒体40は、正六角形状の第2底壁41を有している。
【0049】
3つの第2筒体40は、直線状に並んで配置されている。互いに隣り合う第2筒体40同士は、第2側壁42を共有している。
第1筒体20は、第2筒体40の並び方向Dに交差する方向において第2筒体40の両側に隣り合って配置されている。
【0050】
上記交差する方向において第2筒体40の両側には、それぞれ2つの第1筒体20が、第2筒体40の並び方向Dに並んで配置されている。互いに隣り合う第1筒体20同士は、第1側壁22を共有している(図示略)。
【0051】
こうした構成によれば、上記実施形態の効果(1)~(4)と同様な作用効果を奏することができる。
・第2筒体40は、少なくとも第1筒体20と隣り合って配置されているものであればよく、第2筒体40が2つの第1筒体20によって挟まれていないものであってもよい。
【0052】
・第1側壁22と第2側壁42とは、各々の周方向の一部を共有しない構成であってもよい。例えば第1筒体20と第2筒体40とを各別に設けるとともに、第1側壁22と第2側壁42とを、各々の周方向の一部において互いに連結するようにしてもよい。
【0053】
・第1筒体20及び第2筒体40は、先細状に限定されない。第1筒体20及び第2筒体40は、対向方向Aにおいて同一の断面形状及び大きさを有するものであってもよい。
・第1部材91を、車両の後部に設けられるバンパリインフォースメントとし、第2部材92をリアサイドメンバとすることもできる。
【0054】
・第1部材91を、バンパカバーとし、第2部材92をバンパリインフォースメントとすることもできる。
【符号の説明】
【0055】
10…衝撃吸収部材
11…フランジ
12…ボルト孔
20…第1筒体
21…第1底壁
22…第1側壁
22a…薄肉部
23…延出部
24…連結部
25…連通部
40…第2筒体
41…第2底壁
42…第2側壁
42a…薄肉部
91…第1部材
92…第2部材