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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
G01N35/02 C
G01N35/02 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021063561
(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公開番号】P2022158567
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 雄太
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048880(JP,A)
【文献】特開2010-107433(JP,A)
【文献】特開2021-039135(JP,A)
【文献】特開2005-309578(JP,A)
【文献】特開平06-102278(JP,A)
【文献】特開平03-043728(JP,A)
【文献】特開2009-210536(JP,A)
【文献】特開2012-117942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00- 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体容器をそれぞれ異なる収容ポジションに収容可能なテーブルを有する液体容器収容ユニットと、
前記複数の液体容器の各々に付された液体識別情報の識別子を、前記テーブルの移動により読み取って前記液体識別情報を生成する固定式読み取り装置と、
前記液体容器に付された前記液体識別情報を手動操作によって入力する手動式入力装置と、
前記固定式読み取り装置または前記手動式入力装置を使用して取得した前記液体識別情報を、前記液体容器の前記収容ポジションおよび前記液体識別情報の取得に使用した装置の種別情報と対応付けて記憶する記憶部と、
前記固定式読み取り装置が前記識別子の読み取りに成功した前記収容ポジションに関して、今回の読み取りによって生成した前記液体識別情報と同一の液体識別情報が今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されている場合に、前記装置の種別情報として前記手動式入力装置を示す種別情報が今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されているか否かを判断し、前記手動式入力装置を示す種別情報が今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されている場合は、今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されている前記同一の液体識別情報および前記手動式入力装置を示す種別情報を前記記憶部に記憶保持するように制御する制御部と、
を備える自動分析装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記装置の種別情報として前記手動式入力装置を示す種別情報ではなく前記固定式読み取り装置を示す種別情報が今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されている場合に、今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されている前記同一の液体識別情報および前記固定式読み取り装置を示す種別情報を前記記憶部に記憶保持するように制御する
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記固定式読み取り装置が前記識別子の読み取りに失敗した前記収容ポジションに関して、前記装置の種別情報として前記手動式入力装置を示す種別情報が今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されているか否かを判断し、前記手動式入力装置を示す種別情報が今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されている場合は、今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されている前記手動式入力装置を示す種別情報および今回の読み取り以前に前記手動式入力装置を使用して取得した前記液体識別情報を前記記憶部に記憶保持するように制御する
請求項1または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記固定式読み取り装置が前記識別子の読み取りに失敗した前記収容ポジションに関して、前記装置の種別情報として前記手動式入力装置を示す種別情報が今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されていない場合に、所定のエラー処理を行う
請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
画面を表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記所定のエラー処理として、前記手動式入力装置を使用して前記液体識別情報を入力するよう指示するメッセージを含むエラー画面を前記表示部に表示する処理と、前記エラー画面を表示した後に前記手動式入力装置から入力される前記液体識別情報を受け付ける処理と、前記受け付けた前記液体識別情報と、前記液体識別情報の入力に使用した前記手動式入力装置を示す種別情報とを、前記記憶部に新規に登録する処理と、を行う
請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記固定式読み取り装置が前記識別子の読み取りに成功した前記収容ポジションに関して、今回の読み取りによって生成した前記液体識別情報と異なる液体識別情報が今回の読み取り以前に前記記憶部に記憶されている場合に、前記今回の読み取りによって生成した前記液体識別情報と、前記今回の読み取りに使用した前記固定式読み取り装置を示す種別情報とを、前記記憶部に新規に登録するように制御する
請求項1~5のいずれか一項に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、検体に含まれる成分を迅速かつ高精度に分析する装置であり、生化学検査や輸血検査など様々な分野で用いられている。自動分析装置は、検体を測定する測定部を備えている。測定部は、生体から採取した血液、尿などの検体や、検体の測定に使用する試薬などを取り扱う。測定部では、検体や試薬などを個々に識別する必要がある。このため、検体を入れる容器(以下、「検体容器」という。)には、検体を識別するための情報が割り当てられ、試薬を入れる容器(以下、「試薬容器」という。)には、試薬を識別するための情報が割り当てられる。以降の説明では、検体や試薬などの液体を入れる容器を「液体容器」と総称し、検体や試薬などの液体を識別するための情報を「液体識別情報」と総称する。一般に、液体容器には、液体識別情報を符号化したバーコードが、シールの貼り付けなどによって付されている。
【0003】
特許文献1には、サンプルディスクにセットされた試料容器のバーコードラベルからバーコードを読み取る固定式読み取り装置と、試料容器のバーコードラベルからバーコードを読み取る手動式読み取り装置とを備え、固定式読み取り装置によるバーコードの読み取りでエラーが発生した場合に、手動式読み取り装置によってバーコードを読み取る、自動化学分析装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-167502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、固定式読み取り装置によるバーコードの読み取りでエラーが発生するたびに、手動式読み取り装置によってバーコードを読み取る必要がある。このため、手動式読み取り装置によるバーコードの読み取り回数の増加によってユーザーの作業負担が大きくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、手動式入力装置による液体識別情報の入力回数を従来よりも減らすことができる自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自動分析装置は、複数の液体容器をそれぞれ異なる収容ポジションに収容可能なテーブルを有する液体容器収容ユニットと、複数の液体容器の各々に付された液体識別情報の識別子を、テーブルの移動により読み取って液体識別情報を生成する固定式読み取り装置と、液体容器に付された液体識別情報を手動操作によって入力する手動式入力装置と、固定式読み取り装置または手動式入力装置を使用して取得した液体識別情報を、液体容器の収容ポジションおよび液体識別情報の取得に使用した装置の種別情報と対応付けて記憶する記憶部と、固定式読み取り装置が識別子の読み取りに成功した収容ポジションに関して、今回の読み取りによって生成した液体識別情報と同一の液体識別情報が今回の読み取り以前に記憶部に記憶されている場合に、装置の種別情報として手動式入力装置を示す種別情報が今回の読み取り以前に記憶部に記憶されているか否かを判断し、手動式入力装置を示す種別情報が今回の読み取り以前に記憶部に記憶されている場合は、今回の読み取り以前に記憶部に記憶されている同一の液体識別情報および手動式入力装置を示す種別情報を記憶部に記憶保持するように制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、手動式入力装置による液体識別情報の入力回数を従来よりも減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る自動分析装置の構成例を模式的に示す概略斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る自動分析装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図3】収容ポジションと試薬識別情報と装置の種別情報とを対応付けて記憶部に記憶した状態を示す図である。
図4】比較形態に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書および図面において、実質的に同一の機能または構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
<自動分析装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る自動分析装置の構成例を模式的に示す概略斜視図である。
本実施形態においては、自動分析装置が生化学分析装置である場合を例に挙げて説明するが、本発明に係る自動分析装置は生化学分析装置以外の分析装置に適用してもよい。生化学分析装置は、血液や尿などの検体に含まれる生体成分を分析する装置である。また、本発明に係る自動分析装置は、生化学分析機能と電解質分析機能とを兼ね備えた分析装置に適用してもよい。
【0012】
図1に示すように、自動分析装置1は、検体を測定する測定部10と、制御装置40と、を備えている。測定部10は、検体容器収容ユニット2と、希釈容器収容ユニット3と、第1試薬容器収容ユニット4と、第2試薬容器収容ユニット5と、反応容器収容ユニット6と、を備えている。また、測定部10は、サンプル希釈ユニット7と、サンプリングユニット8と、希釈撹拌装置9と、希釈洗浄装置11と、第1分注ユニット12と、第2分注ユニット13と、第1反応撹拌装置14と、第2反応撹拌装置15と、多波長光度計16と、恒温槽17と、反応容器洗浄装置18と、を備えている。
【0013】
検体容器収容ユニット2は、液体容器収容ユニットの一例として設けられている。検体容器収容ユニット2は、軸方向の一端が開口した略円筒状に形成されている。検体容器収容ユニット2には、複数の検体容器21と、複数の希釈液容器22とが収容されている。検体容器収容ユニット2は、複数の検体容器21をそれぞれ異なる収容ポジションに収容するターンテーブル2aと、複数の希釈液容器22をそれぞれ異なる収容ポジションに収容するターンテーブル2bとを有している。ターンテーブル2aは、検体容器収容ユニット2の外周側に配置され、ターンテーブル2bは、検体容器収容ユニット2の内周側に配置されている。ターンテーブル2a,2bの各々は、図示しない駆動機構によって周方向に回転可能に支持されている。また、ターンテーブル2a,2bの各々は、図示しない駆動機構により、周方向に所定の角度範囲ごとに、所定の速度で回転する。
【0014】
検体容器21は、血液、尿、血清などの検体を収容する容器であり、液体容器に相当する。複数の検体容器21の各々には、検体を識別可能な検体識別情報が付されている。検体識別情報は、個々の検体を区別するために、検体ごとに割り当てられる情報である。検体容器21には、たとえば、検体識別情報が印刷されたシールが貼り付けられる。検体識別情報は、検体を識別可能な情報であれば、どのような情報でもよい。検体識別情報は、たとえば、複数の文字を組み合わせた文字列情報によって構成される。検体識別情報を構成する文字は、数字のみでもよいし、記号のみでもよいし、英字のみでもよいし、他の文字のみでもよいし、任意の二種以上の文字を組み合わせたものでもよい。すなわち、検体識別情報を構成する文字の種類および文字の組み合わせは任意に変更可能である。
【0015】
検体識別情報が印刷されたシールには、検体識別情報の他に、検体識別情報の識別子が印刷される。識別子は、予め決められた規則に従って検体識別情報を生成可能で、且つ、予め決められた方式で読み取り可能なものであれば、どのようなものでもよい。識別子の一例としては、検体識別情報を符号化したコード情報を挙げることができる。コード情報は、このコード情報の元(符号化前)の情報である検体識別情報を復号処理によって生成可能な情報である。コード情報は、たとえば、バーコードによって構成される。バーコードは、光学的に読み取り可能なコード情報の一例である。ただし、コード情報は、光学的に読み取り可能な情報に限らず、他の方式、たとえば磁気的に読み取り可能な情報であってもよい。
【0016】
本実施形態においては、一例として、検体識別情報は文字列情報によって構成され、検体識別情報の識別子は一次元のバーコードによって構成されるものとする。また、各々の検体容器21には、バーコードと文字列情報とを並べて印刷したシールが貼り付けられるものとする。
【0017】
検体容器収容ユニット2には、バーコードリーダ50が固定されている。バーコードリーダ50は、検体容器21に付された検体識別情報の識別子であるバーコードを読み取る。バーコードリーダ50は、バーコードを光学的に読み取るバーコードスキャナによって構成される。バーコードリーダ50の読み取り窓(図示せず)は、検体容器収容ユニット2の半径方向内側を向いて配置されている。バーコードリーダの読み取り窓とは、バーコードに向かって照射される光と、バーコードから反射した光とを通過させるための窓である。
【0018】
ここで、バーコードリーダによるバーコードの読み取り原理について簡単に説明する。
まず、バーコードリーダは、バーコードを光学的に読み取り、その読み取り結果として得られるアナログ信号をデジタル信号に変換する。次に、バーコードリーダは、変換したデジタル信号をバーコードの規格に従って復号処理することにより、バーコードの元の情報である文字列情報を生成する。
【0019】
バーコードリーダ50は、検体容器収容ユニット2の外周面にネジ等で固定されている。すなわち、バーコードリーダ50は、固定式のバーコードリーダである。検体容器収容ユニット2に検体容器21をセットする場合は、バーコードの印刷面が検体容器収容ユニット2の半径方向外側を向くように検体容器21をセットする。これにより、検体容器収容ユニット2に収容された検体容器21がターンテーブル2aの回転によってバーコードリーダ50の近傍に配置された場合に、バーコードリーダ50の読み取り窓に対してバーコードの印刷面が対向(正対)した状態になり、この状態で検体容器21のバーコードがバーコードリーダ50によって読み取られる。
【0020】
次に、ターンテーブル2aの回転移動を利用したバーコードの読み取り動作について説明する。
バーコードリーダ50は、ターンテーブル2aに複数の検体容器21が収容されている状態で、ターンテーブル2aが回転移動することにより、複数の検体容器21の各々に付されたバーコードを自動で順に読み取るとともに、読み取ったバーコードの元の情報である文字列情報を生成する。バーコードリーダ50によるバーコードの読み取りは、制御部41からインターフェイス部45を介してバーコードリーダ50へと送られる読み取り指示信号に従って、ターンテーブル2aの収容ポジションごとに行われる。制御部41は、たとえば、ターンテーブル2aの回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダ(不図示)の出力信号を、インターフェイス部45を介して取り込むことにより、ターンテーブル2aの回転角度位置を検出する。ターンテーブル2aが有する複数の収容ポジションは、ターンテーブル2aの円周方向において、それぞれ異なる回転角度位置に設定されている。このため、制御部41は、ターンテーブル2aの回転中にターンテーブル2aの回転角度位置を検出し、検出した回転角度位置がいずれかの収容ポジションに対応する回転角度位置に達するごとに、バーコードリーダ50に読み取り指示信号を送る。したがって、ターンテーブル2aに合計M個の収容ポジションが設けられている場合は、ターンテーブル2aが1回転(360度回転)する間に、バーコードの読み取りが合計M回行われる。これにより、ターンテーブル2aに収容されたすべての検体容器21のバーコードをバーコードリーダ50によって自動で読み取ることができる。
【0021】
次に、空きポジションにおけるバーコードの読み取り動作について説明する。
ターンテーブル2aが有する複数の収容ポジションのうち、一部の収容ポジションは、検体容器21が収容(セット)されていない空きポジションとなることがある。その場合、バーコードリーダ50は、空きポジションについてもバーコードの読み取りを行う。詳しく説明すると、検体容器収容ユニット2の内部には、ターンテーブル2aの全周にわたって空きポジション専用のバーコード(以下、「専用バーコード」ともいう。)が設けられている。専用バーコードは、ターンテーブル2aのいずれかの収容ポジションが空きポジションである場合に、空きポジションを通してバーコードリーダ50により読み取られる。専用バーコードは、ターンテーブル2aが有するすべての収容ポジションに共通のバーコードである。つまり、いずれの収容ポジションが空きポジションになっていても、空きポジションを通して読み取られる専用バーコードは共通である。バーコードリーダ50は、空きポジションを通して専用バーコードを読み取った場合は、その読み取り結果に基づくデジタル信号を復号処理することにより、空きポジション専用の文字列情報を生成する。専用バーコードは、空きポジションとなっている収容ポジションに検体容器21をセットすると、バーコードリーダ50から見て検体容器21の陰に隠れる。つまり、専用バーコードは、収容ポジションにセットされる検体容器21によって遮蔽される位置に配置されている。したがって、バーコードリーダ50は、収容ポジションが空きポジションとなっている場合は専用バーコードを読み取り、収容ポジションに検体容器21がセットされている場合は、検体容器21に付されたバーコードを読み取ることになる。
【0022】
なお、バーコードリーダ50によるバーコードの読み取り動作は、ターンテーブル2aに複数の検体容器21が収容されている場合(すべての収容ポジションに検体容器21が収容されている場合を含む)に限らず、ターンテーブル2aに検体容器21が1つしか収容されていない場合、あるいはターンテーブル2aに検体容器21が1つも収容されていない場合にも実行可能である。
【0023】
希釈液容器22は、通常の希釈液とは異なる特別な希釈液を収容する容器である。通常の希釈液とは、後述する希釈分注プローブの内部に満たされた液体(たとえば、生理食塩水)をいう。つまり、測定部10で使用される希釈液には、通常の希釈液と、これとは異なる特別な希釈液とがある。
【0024】
複数の検体容器21は、検体容器収容ユニット2の周方向に所定の間隔を開けて並べて配置されている。また、複数の検体容器21は、検体容器収容ユニット2の半径方向に所定の間隔を開けて2列セットされている。
【0025】
複数の希釈液容器22は、検体容器収容ユニット2の半径方向において、複数の検体容器21よりも内側に配置されている。複数の希釈液容器22は、検体容器収容ユニット2の周方向に所定の間隔を開けて並べて配置されている。また、複数の希釈液容器22は、検体容器収容ユニット2の半径方向に所定の間隔を開けて2列セットされている。
【0026】
なお、測定部10の構成としては、上述した特別な希釈液を、検体容器収容ユニット2に配置された希釈液容器22から供給するだけでなく、希釈分注プローブが吸引可能な位置に置かれた容器等から特別な希釈液を供給する構成になっていてもよいし、希釈容器23に直接、特別な希釈液を供給する構成になっていてもよい。また、検体容器収容ユニット2の半径方向における複数の検体容器21の配置は、2列に限らず、1列でもよいし、3列以上でもよい。この点は、複数の希釈液容器22についても同様である。
【0027】
希釈容器収容ユニット3は、検体容器収容ユニット2の周囲に配置されている。希釈容器収容ユニット3は、軸方向の一端が開口した略円筒状に形成されている。希釈容器収容ユニット3には複数の希釈容器23が収容されている。希釈容器収容ユニット3は、複数の希釈容器23をそれぞれ異なる収容ポジションに収容する希釈ターンテーブル3aを有している。希釈ターンテーブル3aは、図示しない駆動機構によって周方向に回転可能に支持されると共に、その駆動機構により、周方向に所定の角度範囲ごとに、所定の速度で回転する。
【0028】
複数の希釈容器23は、希釈容器収容ユニット3の周方向に並べて配置されている。希釈容器23には、希釈検体が収容される。希釈検体は、検体容器21から吸引されて希釈された検体である。
【0029】
第1試薬容器収容ユニット4は、液体容器収容ユニットの一例として設けられている。第1試薬容器収容ユニット4は、軸方向の一端が開口した略円筒状に形成されている。第1試薬容器収容ユニット4には、複数の第1試薬容器24が収容されている。第1試薬容器収容ユニット4は、複数の第1試薬容器24をそれぞれ異なる収容ポジションに収容する第1試薬ターンテーブル4aを有している。第1試薬ターンテーブル4aは、図示しない駆動機構によって周方向に回転可能に支持されている。複数の第1試薬容器24は、第1試薬容器収容ユニット4の周方向に並べて配置されている。
【0030】
第1試薬容器24は、第1試薬を収容する容器であり、液体容器に相当する。複数の第1試薬容器24の各々には、第1試薬を識別可能な試薬識別情報が付されている。試薬識別情報は、個々の第1試薬を区別するために、第1試薬ごとに割り当てられる情報である。第1試薬容器24には、たとえば、試薬識別情報が印刷されたシールが貼り付けられる。試薬識別情報が印刷されたシールには、試薬識別情報の他に、試薬識別情報を符号化したコード情報が印刷される。試薬識別情報とコード情報の詳細および具体例については、前述した検体識別情報の場合と同様であるため説明を省略する。
【0031】
第1試薬容器収容ユニット4には、バーコードリーダ51が固定されている。バーコードリーダ51は、第1試薬容器24に付された試薬識別情報の識別子であるバーコードを読み取る。バーコードリーダ51は、バーコードを光学的に読み取るバーコードスキャナによって構成される。バーコードリーダ51の読み取り窓(図示せず)は、第1試薬容器収容ユニット4の半径方向内側を向いて配置されている。バーコードの読み取り原理については前述したとおりである。また、バーコードリーダ51によるバーコードの読み取り動作は、前述したバーコードリーダ50によるバーコードの読み取り動作と同様であるため説明を省略する。
【0032】
バーコードリーダ51は、第1試薬容器収容ユニット4の外周面にネジ等で固定されている。すなわち、バーコードリーダ51は、固定式のバーコードリーダである。第1試薬容器収容ユニット4に第1試薬容器24をセットする場合は、バーコードの印刷面が第1試薬容器収容ユニット4の半径方向外側を向くように第1試薬容器24をセットする。これにより、第1試薬容器収容ユニット4に収容された第1試薬容器24が第1試薬ターンテーブル4aの回転によってバーコードリーダ51の近傍に配置された場合に、バーコードリーダ51の読み取り窓に対してバーコードの印刷面が対向(正対)した状態になり、この状態で第1試薬容器24のバーコードがバーコードリーダ51によって読み取られる。第1試薬ターンテーブル4aの回転移動を利用したバーコードの読み取り動作や、空きポジションにおけるバーコードの読み取り動作については、検体容器収容ユニット2の場合と同様であるため説明を省略する。
【0033】
第2試薬容器収容ユニット5は、液体容器収容ユニットの一例として設けられている。第2試薬容器収容ユニット5は、軸方向の一端が開口した略円筒状に形成されている。第2試薬容器収容ユニット5には、複数の第2試薬容器25が収容されている。第2試薬容器収容ユニット5は、複数の第2試薬容器25をそれぞれ異なる収容ポジションに収容する第2試薬ターンテーブル5aを有している。第2試薬ターンテーブル5aは、図示しない駆動機構によって周方向に回転可能に支持されている。複数の第2試薬容器25は、第2試薬容器収容ユニット5の周方向に並べて配置されている。
【0034】
第2試薬容器25は、第2試薬を収容する容器であり、液体容器に相当する。複数の第2試薬容器25の各々には、第2試薬を識別可能な試薬識別情報が付されている。試薬識別情報は、個々の第2試薬を区別するために、第2試薬ごとに割り当てられる情報である。第2試薬容器25には、たとえば、試薬識別情報が印刷されたシールが貼り付けられる。試薬識別情報が印刷されたシールには、試薬識別情報の他に、試薬識別情報を符号化したコード情報が印刷される。試薬識別情報とコード情報の詳細および具体例については、前述した検体識別情報の場合と同様であるため説明を省略する。また、バーコードリーダ52によるバーコードの読み取り動作は、前述したバーコードリーダ50によるバーコードの読み取り動作と同様であるため説明を省略する。
【0035】
第2試薬容器収容ユニット5には、バーコードリーダ52が固定されている。バーコードリーダ52は、第2試薬容器25に付された試薬識別情報の識別子であるバーコードを読み取る。バーコードリーダ52は、バーコードを光学的に読み取るバーコードスキャナによって構成される。バーコードリーダ52の読み取り窓(図示せず)は、第2試薬容器収容ユニット5の半径方向内側を向いて配置されている。バーコードの読み取り原理については前述したとおりである。
【0036】
バーコードリーダ52は、第2試薬容器収容ユニット5の外周面にネジ等で固定されている。すなわち、バーコードリーダ52は、固定式のバーコードリーダである。第2試薬容器収容ユニット5に第2試薬容器25をセットする場合は、バーコードの印刷面が第2試薬容器収容ユニット5の半径方向外側を向くように第2試薬容器25をセットする。これにより、第2試薬容器収容ユニット5に収容された第2試薬容器25が第2試薬ターンテーブル5aの回転によってバーコードリーダ52の近傍に配置された場合に、バーコードリーダ52の読み取り窓に対してバーコードの印刷面が対向(正対)した状態になり、この状態で第2試薬容器25のバーコードがバーコードリーダ52によって読み取られる。第2試薬ターンテーブル5aの回転移動を利用したバーコードの読み取り動作や、空きポジションにおけるバーコードの読み取り動作については、検体容器収容ユニット2の場合と同様であるため説明を省略する。
【0037】
反応容器収容ユニット6は、検体容器収容ユニット2および希釈容器収容ユニット3の周囲に配置されている。より具体的に記述すると、反応容器収容ユニット6は、検体容器収容ユニット2および希釈容器収容ユニット3と、第1試薬容器収容ユニット4および第2試薬容器収容ユニット5とによって囲まれる空間に配置されている。反応容器収容ユニット6は、軸方向の一端が開口した略円筒状に形成されている。反応容器収容ユニット6には、複数の反応容器26が収容されている。反応容器収容ユニット6は、複数の反応容器26をそれぞれ異なる収容ポジションに収容する反応ターンテーブル6aを有している。反応ターンテーブル6aは、図示しない駆動機構によって周方向に回転可能に支持されると共に、その駆動機構により、周方向に所定の角度範囲ごとに、所定の速度で回転する。
【0038】
複数の反応容器26は、反応容器収容ユニット6の周方向に並べて配置されている。反応容器26には、希釈容器23からサンプリングした希釈検体と、第1試薬容器24からサンプリングした第1試薬と、第2試薬容器25からサンプリングした第2試薬とが注入される。そして、この反応容器26内において、希釈検体、第1試薬および第2試薬が撹拌され、反応が行われる。
【0039】
サンプル希釈ユニット7は、検体容器収容ユニット2および希釈容器収容ユニット3の近傍に配置されている。サンプル希釈ユニット7は、希釈分注プローブ7aを備えるもので、分注機構の一例として設けられている。希釈分注プローブ7aは、図示しない第1駆動部により、検体容器収容ユニット2および希釈容器収容ユニット3の軸方向である上下方向に移動可能に支持されている。また、希釈分注プローブ7aは、検体容器収容ユニット2および希釈容器収容ユニット3の開口と略平行をなす方向、すなわち水平方向に沿って回動可能に支持されている。そして、希釈分注プローブ7aは、水平方向に沿って回動することにより、検体容器収容ユニット2と希釈容器収容ユニット3との間を往復移動する構成となっている。なお、希釈分注プローブ7aが検体容器収容ユニット2と希釈容器収容ユニット3との間を移動する場合、この希釈分注プローブ7aは、図示しない洗浄装置を通過する。
【0040】
ここで、サンプル希釈ユニット7の希釈分注プローブ7aの動作について説明する。
まず、サンプル希釈ユニット7の希釈分注プローブ7aは、検体容器収容ユニット2における開口の上方の所定位置に移動する。次に、希釈分注プローブ7aは、検体容器収容ユニット2の軸方向に沿って下降する。これにより、希釈分注プローブ7aの先端側(下端側)の部分が、検体容器21の内部に挿入される。このとき、希釈分注プローブ7aは、検体容器21に収容されている検体を、図示しないポンプの作動により、所定量だけ吸引する。次に、希釈分注プローブ7aは、検体容器収容ユニット2の軸方向に沿って上昇する。これにより、希釈分注プローブ7aの先端側の部分が、検体容器21の内部から引き上げられる。
【0041】
次に、希釈分注プローブ7aは、水平方向に沿って所定量だけ回動することにより、希釈容器収容ユニット3における開口の上方の所定位置に移動する。次に、希釈分注プローブ7aは、希釈容器収容ユニット3の軸方向に沿って下降する。これにより、希釈分注プローブ7aの先端側の部分が、所定の希釈容器23の内部に挿入される。この状態で、希釈分注プローブ7aは、先ほど吸引した検体と、サンプル希釈ユニット7自体から供給される所定量の希釈液(たとえば、生理食塩水)とを希釈容器23内に吐出する。その結果、希釈容器23内では、検体が所定倍数の濃度に希釈されて、希釈検体が生成される。その後、希釈分注プローブ7aは、洗浄装置によって洗浄される。なお、上述した特別な希釈液で検体を希釈する場合は、まず、希釈分注プローブ7aにより特別な希釈液の吸引および吐出を順に行い、次いで、希釈分注プローブ7aにより検体の吸引および吐出を順に行うことにより、希釈検体を生成する。この場合、希釈分注プローブ7aにより特別な希釈液および検体を順に吸引したのち、希釈容器23に希釈液および検体を合わせて吐出することで希釈検体を生成してもよい。
【0042】
サンプリングユニット8は、希釈容器収容ユニット3と反応容器収容ユニット6との間に配置されている。サンプリングユニット8は、サンプリング分注プローブ8aを備えるもので、分注機構の一例として設けられている。サンプリング分注プローブ8aは、図示しない第2駆動部により、希釈容器収容ユニット3および反応容器収容ユニット6の軸方向である上下方向に移動可能に支持されている。また、サンプリング分注プローブ8aは、希釈容器収容ユニット3および反応容器収容ユニット6の開口と略平行をなす方向、すなわち水平方向に沿って回動可能に支持されている。そして、サンプリング分注プローブ8aは、水平方向に沿って回動することにより、希釈容器収容ユニット3と反応容器収容ユニット6との間を往復移動する構成となっている。
【0043】
サンプリング分注プローブ8aは、希釈容器収容ユニット3にセットされた希釈容器23から希釈検体を吸引すると共に、吸引した希釈検体を、反応容器収容ユニット6にセットされた反応容器26内に吐出する。希釈容器23から希釈検体を吸引する場合は、サンプリング分注プローブ8aの先端側の部分が希釈容器23内に挿入される。また、反応容器26内に希釈検体を吐出する場合は、サンプリング分注プローブ8aの先端側の部分が反応容器26内に挿入される。
【0044】
第1分注ユニット12は、第1試薬容器収容ユニット4と反応容器収容ユニット6との間に配置されている。第1分注ユニット12は、第1分注プローブ12aを備えるもので、分注機構の一例として設けられている。第1分注プローブ12aは、図示しない第3駆動部により、反応容器収容ユニット6の軸方向である上下方向に移動可能に支持されている。また、第1分注プローブ12aは、反応容器収容ユニット6の開口と略平行をなす方向、すなわち水平方向に沿って回動可能に支持されている。そして、第1分注プローブ12aは、水平方向に沿って回動することにより、第1試薬容器収容ユニット4と反応容器収容ユニット6との間を往復移動する構成となっている。
【0045】
第1分注プローブ12aは、第1試薬容器収容ユニット4にセットされた第1試薬容器24から第1試薬を吸引すると共に、吸引した第1試薬を、反応容器収容ユニット6にセットされた反応容器26内に吐出する。第1試薬容器24から第1試薬を吸引する場合は、第1分注プローブ12aの先端側の部分が第1試薬容器24内に挿入される。また、反応容器26内に第1試薬を吐出する場合は、第1分注プローブ12aの先端側の部分が反応容器26内に挿入される。
【0046】
第2分注ユニット13は、第2試薬容器収容ユニット5と反応容器収容ユニット6との間に配置されている。第2分注ユニット13は、第2分注プローブ13aを備えるもので、分注機構の一例として設けられている。第2分注プローブ13aは、図示しない第4駆動部により、反応容器収容ユニット6の軸方向である上下方向に移動可能に支持されている。また、第2分注プローブ13aは、反応容器収容ユニット6の開口と略平行をなす方向、すなわち水平方向に沿って回動可能に支持されている。そして、第2分注プローブ13aは、水平方向に沿って回動することにより、第2試薬容器収容ユニット5と反応容器収容ユニット6との間を往復移動する構成となっている。
【0047】
第2分注プローブ13aは、第2試薬容器収容ユニット5にセットされた第2試薬容器25から第2試薬を吸引すると共に、吸引した第2試薬を、反応容器収容ユニット6にセットされた反応容器26内に吐出する。第2試薬容器25から第2試薬を吸引する場合は、第2分注プローブ13aの先端側の部分が第2試薬容器25内に挿入される。また、反応容器26内に第2試薬を吐出する場合は、第2分注プローブ13aの先端側の部分が反応容器26内に挿入される。
【0048】
希釈撹拌装置9は、希釈容器収容ユニット3の周囲に配置されている。希釈撹拌装置9は、図示しない撹拌子を備えている。撹拌子は、希釈容器23の内部に挿入され、そこに収容されている検体と希釈液とを撹拌する。
【0049】
希釈洗浄装置11は、上述した希釈撹拌装置9と共に、希釈容器収容ユニット3の周囲に配置されている。希釈洗浄装置11は、サンプリングユニット8によって希釈検体が吸引された後の希釈容器23を洗浄する。希釈洗浄装置11は、図示しない複数の希釈容器洗浄ノズルを有している。複数の希釈容器洗浄ノズルは、図示しない廃液ポンプと、図示しない洗剤ポンプとに接続されている。
【0050】
希釈洗浄装置11による希釈容器23の洗浄工程は、次のような手順で行われる。
まず、希釈洗浄装置11は、希釈容器洗浄ノズルを希釈容器23の内部に挿入して廃液ポンプを駆動することにより、希釈容器23内に残留する希釈検体を希釈容器洗浄ノズルによって吸い込む。また、希釈洗浄装置11は、希釈容器洗浄ノズルによって吸い込んだ希釈検体を、図示しない廃液タンクに排出する。
【0051】
次に、希釈洗浄装置11は、洗剤ポンプを駆動することにより、希釈容器洗浄ノズルに洗剤を供給すると共に、供給した洗剤を希釈容器洗浄ノズルから希釈容器23の内部に吐出する。この洗剤の吐出によって希釈容器23の内部が洗浄される。その後、希釈洗浄装置11は、希釈容器23に残留する洗剤を希釈容器洗浄ノズルによって吸引した後、希釈容器23の内部を乾燥させる。以上で、希釈容器23の洗浄が完了する。
【0052】
第1反応撹拌装置14、第2反応撹拌装置15および反応容器洗浄装置18は、反応容器収容ユニット6の周囲に配置されている。第1反応撹拌装置14は、図示しない撹拌子を有し、この撹拌子を反応容器26の内部に挿入することにより、希釈検体と第1試薬とを撹拌する。これにより、希釈検体と第1試薬との反応が、均一かつ迅速に行われる。なお、第1反応撹拌装置14の構成は、希釈撹拌装置9の構成と同一である。このため、第1反応撹拌装置14の構成に関する説明は省略する。
【0053】
第2反応撹拌装置15は、図示しない撹拌子を有し、この撹拌子を反応容器26の内部に挿入することにより、希釈検体と第1試薬と第2試薬とを撹拌する。これにより、希釈検体と第1試薬と第2試薬との反応が、均一かつ迅速に行われる。なお、第2反応撹拌装置15の構成は、希釈撹拌装置9の構成と同一である。このため、第2反応撹拌装置15の構成に関する説明は省略する。
【0054】
多波長光度計16は、反応容器収容ユニット6の周囲に、反応容器収容ユニット6の外壁と対向するように配置されている。多波長光度計16は、反応容器26の内部に注入され、かつ、第1試薬および第2試薬と反応した希釈検体に対して、光学的測定を行う。多波長光度計16は、希釈検体の反応状態を検出するための光度計であり、希釈検体を検出(測定)対象として得られる「吸光度」という数値データを出力する。多波長光度計16が出力する吸光度の数値データは、検体中の様々な成分の量に応じて変化するため、この数値データから各成分の量を求めることができる。
【0055】
恒温槽17は、反応容器収容ユニット6にセットされる反応容器26の温度を一定に保持する。これにより、反応容器26に収容される液体が一定の温度に保持される。
【0056】
反応容器洗浄装置18は、検査が終了した反応容器26の内部を洗浄する装置である。反応容器洗浄装置18は、図示しない複数の反応容器洗浄ノズルを有している。複数の反応容器洗浄ノズルは、上述した希釈容器洗浄ノズルと同様に、図示しない廃液ポンプと、図示しない洗剤ポンプとに接続されている。なお、反応容器洗浄装置18による反応容器26の洗浄工程は、洗浄対象が異なる以外は、上述した希釈洗浄装置11による希釈容器23の洗浄工程と同様である。このため、反応容器洗浄装置18による反応容器26の洗浄工程に関する説明は省略する。
【0057】
制御装置40には、キーボード54と、ハンディタイプのバーコードリーダ55とが接続されている。制御装置40とキーボード54との接続方式は、有線接続方式でも無線接続方式でもよい。同様に、制御装置40とバーコードリーダ55との接続方式は、有線接続方式でも無線接続方式でもよい。バーコードリーダ55は、検体識別情報のコード情報として検体容器21に付されたバーコードや、試薬識別情報のコード情報として第1試薬容器24に付されたバーコード、あるいは試薬識別情報のコード情報として第2試薬容器25に付されたバーコードを読み取るものである。バーコードの読み取り原理については前述したとおりである。
【0058】
バーコードリーダ55はスイッチ55aを有している。スイッチ55aは、バーコードリーダ55を使用してバーコードを読み取る場合に、ユーザーによって操作されるスイッチである。たとえば、スイッチ55aが押しボタン式のスイッチである場合、ユーザーは、バーコードリーダ55を使用してバーコードを読み取るためにスイッチ55aを押す。
【0059】
バーコードリーダ55によるバーコードの読み取りは、ユーザーの手動操作によって行われる。具体例として、第1試薬容器24に貼り付けられたシールのバーコードをバーコードリーダ55によって読み取る場合、まず、ユーザーは、片方の手で第1試薬容器24を持ち、もう片方の手でバーコードリーダ55を持つ。次に、ユーザーは、第1試薬容器24に付されたバーコードにバーコードリーダ55の読み取り窓を近づける。次に、ユーザーは、バーコードリーダ55のスイッチ55aを押す。これにより、第1試薬容器24に付されたバーコードがバーコードリーダ55によって読み取られる。また、検体容器21に付されたバーコードや、第2試薬容器25に付されたバーコードをバーコードリーダ55によって読み取る場合も、上記同様の手動操作によってバーコードの読み取りが行われる。
【0060】
なお、本実施形態においては、バーコードリーダ55によるバーコードの読み取りがスイッチ55aの操作によって行われる構成になっているが、本発明はこれに限らない。たとえば、後述する操作画面でユーザーが所定の操作を行うことにより、バーコードリーダ55がバーコードを読み取り可能な状態となる構成を採用してもよい。所定の操作としては、たとえば、操作画面上で試薬識別情報を入力する入力欄にマウスカーソルの位置を合わせてマウスをクリックするなどの操作が考えられる。
【0061】
また、本実施形態においては、ユーザーがバーコードリーダ55を把持して使用する場合を想定しているが、本発明はこれに限らず、たとえば自動分析装置1の筐体にバーコードリーダ55を固定して使用してもよい。自動分析装置1の筐体にバーコードリーダ55を固定して使用する場合、ユーザーは、上記所定の操作を行った後、バーコードリーダ55の読み取り窓に試薬容器のシールを近づけることにより、バーコードリーダ55にバーコードを読み取らせることができる。
【0062】
図2は、本発明の実施形態に係る自動分析装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置40は、制御部41と、記憶部42と、表示部43と、入力操作部44と、インターフェイス部45と、各部(41~45)を相互に接続するバス48と、を備えるコンピュータである。制御装置40には、インターフェイス部45を介して、測定部10と、4つのバーコードリーダ50,51,52,55とが接続されている。なお、図2においては、説明の便宜上、測定部10と、4つのバーコードリーダ50,51,52,55とを別々に示しているが、4つのバーコードリーダ50,51,52,55のうち、3つのバーコードリーダ50,51,52は測定部10に付属する機器である。具体的には、バーコードリーダ50は検体容器収容ユニット2に付属し、バーコードリーダ51は第1試薬容器収容ユニット4に付属し、バーコードリーダ52は第2試薬容器収容ユニット5に付属する。また、バーコードリーダ50は、検体容器収容ユニット2に収容される検体容器21のバーコードを読み取るための専用のバーコードリードである。また、バーコードリーダ51は、第1試薬容器収容ユニット4に収容される第1試薬容器24のバーコードを読み取るための専用のバーコードリーダであり、バーコードリーダ52は、第2試薬容器収容ユニット5に収容される第2試薬容器25のバーコードを読み取るための専用のバーコードリーダである。これに対して、バーコードリーダ55は、検体容器21、第1試薬容器24および第2試薬容器25のうち、いずれの液体容器のバーコードでも読み取り可能な共用のバーコードリーダである。共用のバーコードリーダは、自動分析装置1の製造コストを低く抑えるために1つのバーコードリーダ55によって構成することが好ましいが、複数のバーコードリーダ55によって構成してもかまわない。
【0063】
制御部41は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)と、を有する。制御部41は、CPUがROMからRAMへと読み出したプログラムを実行することにより、測定部10を含む自動分析装置1全体の処理および動作を制御する。
【0064】
記憶部42は、たとえば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などで構成される。記憶部42は、制御部41が自動分析装置1の処理および動作を制御する際に参照するデータ、パラメーターなど各種の電子情報を記憶する。記憶部42に記憶されるデータには、測定部10で行われる各種の処理、たとえば、生化学分析のための測定処理や、保守処理などに用いられるデータが含まれる。
【0065】
表示部43は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどによって構成される。表示部43には、測定部10での測定によって得られる測定データや、この測定データに基づく解析結果などが表示される。また、表示部43には、各種の設定画面や操作画面、測定部10の状態を示すステータス画面、エラーや警告を含むアラーム画面など、様々な画面が表示される。
【0066】
入力操作部44は、自動分析装置1に対してユーザーが各種のデータを入力するために操作する部分である。入力操作部44は、たとえば、上述したキーボード54や、図示しないマウス、タッチパネル等によって構成される。入力操作部44によって入力されたデータは、制御部41に取り込まれると共に、必要に応じて記憶部42に記憶される。
【0067】
インターフェイス部45は、測定部10から出力される各種のデータを受け取るとともに、受け取ったデータを制御部41に与える。測定部10から出力されるデータには、測定部10での測定によって得られる測定データなどが含まれる。また、インターフェイス部45は、制御部41から各種の制御データを受け取るとともに、受け取った制御データを測定部10に与える。このように、制御部41と測定部10との間でインターフェイス部45が制御データの受け渡しを行うことにより、制御部41は、測定部10の各部の動作を制御することができる。
【0068】
また、インターフェイス部45は、各々のバーコードリーダ50,51,52,55から出力されるデータを個別に受け取るとともに、受け取ったデータを制御部41に与える。各々のバーコードリーダ50,51,52,55から出力されるデータには、バーコードの元の情報である文字列情報などが含まれる。また、インターフェイス部45は、制御部41から各種の制御データを受け取るとともに、受け取った制御データを各々のバーコードリーダ50,51,52,55に個別に与える。このように、制御部41と各バーコードリーダ50,51,52,55との間でインターフェイス部45が制御データの受け渡しを行うことにより、制御部41は、各々のバーコードリーダ50,51,52,55の動作を制御することができる。また、測定部10に付属する3つのバーコードリーダ50,51,52は、制御部41から個別に与えられる読み取り指示信号に従ってバーコードの読み取り動作を実行する。
【0069】
続いて、制御部41によって行われる処理の一例として、第1試薬容器収容ユニット4で第1試薬容器24を交換(以下、「試薬交換」ともいう。)する場合に行われる処理について説明する。試薬交換は、測定部10の測定を継続したまま行うことができる。試薬交換の概念には、それまで第1試薬容器収容ユニット4にセットされていた第1試薬容器24を、同じ第1試薬または異なる第1試薬を収容する別の第1試薬容器24に入れ替える場合のほか、それまで空きポジションになっていた収容ポジションに新たに第1試薬容器24をセット(追加)する場合、あるいは、それまで第1試薬容器収容ユニット4にセットされていた第1試薬容器24を取り出す場合などを含む。この点は、検体容器収容ユニット2で検体容器21を交換する場合、あるいは、第2試薬容器収容ユニット5で第2試薬容器25を交換する場合についても同様である。
【0070】
まず、測定部10の測定中に第1試薬容器24を交換する場合、ユーザーは、表示部43に表示されている操作画面をマウス等で操作することにより、試薬交換が必要になった旨の指示を出す。ユーザーからの指示は、入力操作部44から制御部41へと送られる。そうすると、制御部41は、測定部10の測定を継続したまま、第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作を中断する。第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作を中断しても測定部10の測定を継続できる理由は、次のとおりである。まず、第1試薬を第1分注ユニット12で分注してから測定結果が出るまでには時間がかかる。また、試薬交換後の第1試薬を測定に使用するまでにも時間がかかる。したがって、それらの時間を含めた許容時間内に試薬交換を済ませることにより、第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作を中断しても測定部10の測定を継続させることが可能となる。
【0071】
なお、試薬交換等のために中断する第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作は、測定部10の各部(検体容器収容ユニット2、希釈容器収容ユニット3、サンプル希釈ユニット7、希釈洗浄装置11など)と同期して検体の測定を測定部10で行うための動作を意味する。そして、第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作を中断している場合でも、試薬交換等の作業を行うために第1試薬容器収容ユニット4を動作させることは可能である。
【0072】
制御部41は、第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作を中断した後、第1試薬容器収容ユニット4において試薬交換が可能になった旨のメッセージを操作画面に表示する。ユーザーは、操作画面のメッセージを確認した後、試薬交換作業を実施する。
【0073】
その後、ユーザーは、試薬交換作業を終えた段階で操作画面をマウス等で操作することにより、試薬交換作業を終えた旨の通知を出す。ユーザーからの通知は、入力操作部44から制御部41へと送られる。そうすると、制御部41は、第1試薬ターンテーブル4a上のすべての収容ポジションを対象にバーコードリーダ51を使用したバーコードの読み取りを実行し、読み取りに失敗した収容ポジションについては、キーボード54またはバーコードリーダ55を使用して試薬識別情報を取得する。そして、制御部41は、第1試薬ターンテーブル4a上のすべての収容ポジションについて、試薬識別情報と装置の種別情報とを記憶部42に記憶し終えた段階で、それまで中断していた第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作を再開する。以下、第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作を中断してから再開するまでの間に、制御部41の制御下で行われる処理について説明する。この処理は、第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作を再開する前に必ず行われる。
【0074】
まず、制御部41は、第1試薬ターンテーブル4aの回転移動により、第1試薬ターンテーブル4aのすべての収容ポジションを対象にバーコードを読み取るよう、バーコードリーダ51に読み取り指示を出す。また、制御部41は、各々の収容ポジションでバーコードリーダ51により第1試薬容器24のバーコードを読み取って取得した試薬識別情報を、第1試薬容器24の収容ポジションおよび試薬識別情報の取得に使用した装置の種別情報と対応付けて記憶部42に記憶する。装置の種別情報は、試薬識別情報の取得に使用した装置が、固定式読み取り装置および手動式入力装置のいずれであるかを示す情報である。本実施形態においては、バーコードリーダ51が固定式読み取り装置に相当し、ハンディタイプのバーコードリーダ55およびキーボード54がそれぞれ手動式入力装置に相当する。また、キーボード54は、液体容器に付された液体識別情報を手動操作により入力する入力装置に相当し、バーコードリーダ55は、液体容器に付された液体識別情報のコード情報を手動操作により読み取って液体識別情報を生成する手動読み取り装置に相当する。
【0075】
以下に、試薬識別情報等を記憶部42に登録(記憶)する場合の具体例について説明する。
まず、説明の前提として、たとえば第1試薬ターンテーブル4aに合計60個の収容ポジションが設けられ、これらの収容ポジションに1番から60番までの番号が割り当てられているものとする。また、バーコードリーダ51によるバーコードの読み取りは、1番の収容ポジションから開始し、60番の収容ポジションで終了するものとする。また、装置の種別情報は、試薬識別情報の取得に使用した装置がバーコードリーダ51であれば「1」の情報を記憶部42に記憶し、キーボード54またはバーコードリーダ55であれば「2」の情報を記憶部42に記憶するものとする。
【0076】
そうした場合、記憶部42は、固定式読み取り装置(バーコードリーダ51)または手動式入力装置(キーボード54、バーコードリーダ55)を使用して取得した試薬識別情報を、第1試薬容器24の収容ポジションおよび試薬識別情報の取得に使用した装置の種別情報と対応付けて記憶する。記憶部42への情報の記憶は制御部41が行う。これにより、記憶部42には、図3に示すように、収容ポジションの番号と、試薬識別情報と、装置の種別情報とが、互いに対応付けて記憶される。
【0077】
たとえば、7番の収容ポジションに第1試薬容器24が収容され、この第1試薬容器24に付されたバーコードをバーコードリーダ51で読み取って取得した試薬識別情報が仮に「AAAAAA」であったとすると、制御部41は、図3に示すように、7番の収容ポジションに関して、試薬識別情報を「AAAAAA」、装置の種別情報を「1」と記憶する。また、10番の収容ポジションに第1試薬容器24が収容され、この第1試薬容器24に付されたバーコードをバーコードリーダ51で読み取って取得した試薬識別情報が仮に「BBBBBB」であったとすると、制御部41は、図3に示すように、10番の収容ポジションに関して、試薬識別情報を「BBBBBB」、装置の種別情報を「1」と記憶する。また、20番の収容ポジションが空きポジションになっていて、この空きポジションを通して見える専用バーコードをバーコードリーダ51で読み取って取得した試薬識別情報が仮に「ZZZZZZ」であったとすると、制御部41は、図3に示すように、20番の収容ポジションに関して、試薬識別情報を「ZZZZZZ」、装置の種別情報を「1」と記憶する。空きポジションに対応付けて記憶される試薬識別情報は、すべて共通の情報「ZZZZZZ」となる。
【0078】
また、より具体的な例として、30番目の収容ポジションに第1試薬容器24が収容され、この第1試薬容器24に付されたバーコードをバーコードリーダ51で読み取って取得した試薬識別情報が18桁の数字「123456789076543215」であったとする。また、最後の1桁(18桁目の数字)は、これを除く17桁の数字が正しいかどうかをチェックするための数字、すなわちチェックデジットであったとする。チェックデジットは、17桁の数字を用いた計算によって求められる。チェックデジットの計算方法は予め決められている。チェックデジットの計算は、制御部41で行ってもよいし、バーコードリーダ51に内蔵された演算回路で行ってもよい。
【0079】
本実施形態においては、チェックデジットの計算を制御部41が行うものとする。その場合、制御部41は、実際に17桁の数字を用いて計算したチェックデジットの値が、バーコードリーダ51の読み取り結果から得られる試薬識別情報の18桁目の数字に一致するかどうかを確認し、一致する場合はバーコードの読み取りに成功したと判断し、一致しない場合はバーコードの読み取りに失敗したと判断する。バーコードの読み取りに成功する場合には、第1試薬ターンテーブル4a上の空きポジションを通してバーコードリーダ51が空きポジション専用のバーコードを読み取って専用の文字列情報を生成した場合も含まれる。また、バーコードの読み取りに失敗する場合には、バーコードリーダ51によってバーコードがまったく読み取れなかった場合、あるいはバーコードの一部しか読み取れなかった場合も含まれる。このような読み取りの失敗は、たとえば、第1試薬容器24に貼り付けられたシールのバーコード印刷部分に汚れ、擦れ、滲みなどが生じている場合に起こり得る。
【0080】
バーコードの読み取りに失敗した場合、制御部41は、その都度、第1試薬ターンテーブル4aの回転を停止するか、すべての収容ポジションでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りを終えた段階で、第1試薬ターンテーブル4aの回転を停止する。
次に、制御部41は、表示部43にエラー画面を表示する。エラー画面は、手動式入力装置であるキーボード54またはバーコードリーダ55を使用して試薬識別情報を入力するよう指示するメッセージを含む画面である。また、エラー画面は、バーコードの読み取りに失敗した収容ポジションを特定する情報(収容ポジションの番号等)を含む画面である。
【0081】
ユーザーは、上記のエラー画面を確認した後、読み取りに失敗した収容ポジションから第1試薬容器24を取り出す。次に、ユーザーは、第1試薬容器24を取り出した収容ポジションを操作画面上で指定した後、キーボード54を操作して第1試薬容器24の試薬識別情報を入力するか、バーコードリーダ55を操作して第1試薬容器24のバーコードを読み取る。次に、ユーザーは、先ほど取り出した第1試薬容器24を元の収容ポジションに戻す。
【0082】
また、ユーザーは、試薬識別情報の入力にキーボード54を使用する場合は、第1試薬容器24に貼り付けられたシールに印刷されている試薬識別情報(文字列情報)を目視で確認しながら、キーボード54を操作して試薬識別情報を入力する。入力された試薬識別情報は、制御部41に取り込まれる。また、ユーザーは、試薬識別情報の入力にバーコードリーダ55を使用する場合は、第1試薬容器24に貼り付けられたシールに印刷されているバーコードにバーコードリーダ55の読み取り窓を近づけてスイッチ55aを押す。これにより、バーコードリーダ55は、バーコードの元の情報である試薬識別情報を生成し、この試薬識別情報が制御部41に取り込まれる。
【0083】
こうして制御部41に取り込まれた試薬識別情報は、操作画面上でユーザーが指定した収容ポジションおよび試薬識別情報の取得に使用した装置の種別情報と対応付けて、記憶部42に記憶される。たとえば、制御部41は、操作画面上でユーザーが50番の収容ポジションを指定した後、キーボード54またはバーコードリーダ55から「CCCCCC」の試薬識別情報を取り込んだ場合は、図3に示すように、50番の収容ポジションに関して、試薬識別情報を「CCCCCC」、装置の種別情報を「2」と記憶する。
【0084】
その後、ユーザーは、バーコードの読み取りに失敗したすべての収容ポジションについて、キーボード54またはバーコードリーダ55を使用した試薬識別情報の入力を終えた段階で、操作画面でマウス等を操作することにより、動作再開の指示を出す。ユーザーからの指示は、入力操作部44から制御部41へと送られる。そうすると、制御部41は、それまで中断していた第1試薬容器収容ユニット4および第1分注ユニット12の動作を再開する。
【0085】
図4は、本実施形態と比較するための比較形態に係る制御部41の処理手順を示すフローチャートである。図示した処理は、第1試薬容器収容ユニット4でユーザーが試薬交換作業を終えて、その旨の通知をマウス等によって制御部41に通知したことをきっかけとして開始される。また、図示した処理は、第1試薬ターンテーブル4aの収容ポジションごとに行われる。
【0086】
まず、制御部41は、第1試薬ターンテーブル4aを回転移動させ、この回転移動中に、第1試薬ターンテーブル4aの各収容ポジションでバーコードリーダ51を使用したバーコードの読み取りを実行する(ステップS101)。
【0087】
次に、制御部41は、バーコードの読み取りに成功したか否かを判断する(ステップS102)。たとえば、第1試薬容器24に貼り付けられるシールにチェックデジット付きのバーコードが印刷される場合、制御部41は、バーコードリーダ51の読み取り結果から得られたチェックデジットの数字と、バーコードリーダ51の読み取り結果から計算により求めたチェックデジットの値とが一致するかどうかを確認し、一致する場合は読み取りに成功したと判断し、それ以外は読み取りに失敗したと判断する。そして、制御部41は、バーコードの読み取りに成功するとステップS103の処理に進み、バーコードの読み取りに失敗するとステップS106の処理に移行する。
【0088】
次に、ステップS103において、制御部41は、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに成功した収容ポジションに関して、今回の読み取りによって生成した試薬識別情報(ID)と同一の試薬識別情報が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されているか否かを判断する。そして、今回の読み取りによって生成した試薬識別情報と異なる試薬識別情報が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている場合、つまりステップS103でNOと判断した場合、制御部41は、今回の読み取りによって生成した試薬識別情報(ID)と、今回の読み取りに使用したバーコードリーダ51を示す種別情報「1」とを、記憶部42に新規に登録(記憶)する(ステップS104)。たとえば、ステップS102でバーコードリーダ51によるバーコードの読み取りに成功したと判断した収容ポジションが15番の収容ポジションであり、この15番の収容ポジションに関して、今回の読み取りによってバーコードリーダ51が生成した試薬識別情報が「001」で、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている試薬識別情報が「002」である場合は、制御部41は、15番の収容ポジションに対し、新たに試薬識別情報「001」および装置の種別情報「1」を対応付けて記憶部42に記憶する。つまり、バーコードリーダ51を使用してバーコードの読み取りに成功した15番の収容ポジションに関しては、試薬識別情報および装置の種別情報を新規に登録する。
【0089】
これに対し、今回の読み取りによって生成した試薬識別情報と同一の試薬識別情報が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている場合、つまりステップS103でYESと判断した場合、制御部41は、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている上記同一の試薬識別情報(ID)をそのまま記憶部42に記憶保持するとともに、今回の読み取りに使用したバーコードリーダ51を示す種別情報「1」を記憶部42に記憶する(ステップS105)。たとえば、ステップS102でバーコードリーダ51によるバーコードの読み取りに成功したと判断した収容ポジションが16番の収容ポジションであり、この16番の収容ポジションに関して、今回の読み取りによってバーコードリーダ51が生成した試薬識別情報が「001」で、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている試薬識別情報が「001」である場合は、制御部41は、16番の収容ポジションに関して、試薬識別情報「001」をそのまま記憶部42に記憶保持するとともに、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報の異同にかかわらず、装置の種別情報「1」に記憶部42に記憶する。つまり、バーコードリーダ51を使用してバーコードの読み取りに成功した16番の収容ポジションに関しては、試薬識別情報を変更することなく、装置の種別情報を「1」に更新する。
【0090】
一方、ステップS106において、制御部41は、バーコードの読み取りに失敗した収容ポジションに関して、装置の種別情報として手動式入力装置(キーボード54またはバーコードリーダ55)を示す種別情報、すなわち装置の種別情報「2」が、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されているか否かを判断する。そして、制御部41は、装置の種別情報「2」が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている場合、つまりステップS106でYESと判断した場合は、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報「2」および今回の読み取り以前に手動式入力装置(キーボード54またはバーコードリーダ55)を使用して取得した試薬識別情報(ID)を記憶部42に記憶保持する(ステップS107)。たとえば、ステップS102でバーコードの読み取りに失敗したと判断した収容ポジションが17番の収容ポジションであり、この17番の収容ポジションに関して、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報が「2」、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている試薬識別情報が「003」である場合は、制御部41は、17番の収容ポジションに関して、装置の種別情報「2」および試薬識別情報「003」をそのまま記憶部42に記憶保持する。つまり、バーコードリーダ51を使用してバーコードの読み取りに失敗した17番の収容ポジションに関しては、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている試薬識別情報および装置の種別情報をそのまま記憶保持する。
【0091】
これに対し、上記ステップS106において、制御部41は、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗した収容ポジションに関して、装置の種別情報「2」が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されていない場合、つまりステップS106でNOと判断した場合は、所定のエラー処理を行う。以下に、エラー処理の具体的な内容について説明する。
【0092】
まず、制御部41は、手動式入力装置(キーボード54またはバーコードリーダ55)を使用して試薬識別情報を入力するよう指示するメッセージを含むエラー画面を表示部43に表示する(ステップS108)。
その後、制御部41は、手動式入力装置から入力される試薬識別情報(ID)を受け付ける(ステップS109)。試薬識別情報は、ユーザーがキーボード54を手動操作するか、ユーザーがバーコードリーダ55を手動操作することにより、制御部41に入力される。
【0093】
次に、制御部41は、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗した収容ポジションに関して、上記ステップS109で受け付けた試薬識別情報(ID)と、この試薬識別情報の入力に使用した手動式入力装置を示す種別情報「2」とを、記憶部42に新規に登録(記憶)する(ステップS110)。たとえば、ステップS102でバーコードの読み取りに失敗したと判断した収容ポジションが18番の収容ポジションであり、この18番の収容ポジションに関して、ステップS109でキーボード54またはバーコードリーダ55からの入力を受け付けた試薬識別情報が「004」である場合は、制御部41は、18番の収容ポジションに関して、新たに試薬識別情報「004」および装置の種別情報「2」を対応付けて記憶部42に記憶する。つまり、バーコードリーダ51を使用してバーコードの読み取りに失敗した18番の収容ポジションに関しては、手動式入力装置から入力を受け付けた試薬識別情報と、この試薬識別情報の入力に使用した装置の種別情報とを新規に登録する。
【0094】
以上説明したように、比較形態において、制御部41は、第1試薬ターンテーブル4aが有する収容ポジションごとに、固定式読み取り装置(バーコードリーダ51)または手動式入力装置(キーボード54、バーコードリーダ55)を使用して取得した試薬識別情報を、その試薬識別情報の取得に使用した装置の種別情報と対応付けて記憶部42に記憶している。そして、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗した場合は、その失敗した収容ポジションに関して、手動式入力装置を示す種別情報「2」が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されていれば、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報および試薬識別情報をそのまま記憶部42に記憶保持する。これにより、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗するたびに、手動式入力装置を使用した試薬識別情報の入力をやり直す必要がなくなる。このため、手動式入力装置による試薬識別情報の入力回数を従来よりも減らすことができる。
【0095】
また、制御部41は、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗した収容ポジションに関して、手動式入力装置を示す種別情報「2」が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されていない場合は、所定のエラー処理を行う。これにより、手動式入力装置を使用した試薬識別情報の入力をユーザーに促すことができる。また、ユーザーの手動操作により入力された試薬識別情報と、この試薬識別情報の入力に使用した装置の種別情報とを、記憶部42に新規に登録することができる。
【0096】
また、制御部41は、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに成功した場合は、その成功した収容ポジションに関して、今回の読み取りによって生成した試薬識別情報と同一の試薬識別情報が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されているか否かを判断し、同一の試薬識別情報が記憶されていれば、上記同一の試薬識別情報を記憶保持するとともに、固定式読み取り装置を示す種別情報を記憶部42に記憶する。これにより、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに成功した収容ポジションに関して、装置の種別情報を最新の情報に更新することができる。ただし、このように装置の種別情報を最新の情報に更新すると、次のような新たな課題が生じることを本発明者は見出した。
【0097】
第1試薬ターンテーブル4aの収容ポジションにセットされた第1試薬容器24のバーコードをバーコードリーダ51によって読み取る場合、同一の第1試薬容器24のバーコードであっても、バーコードの印刷が不鮮明であったりすると、バーコードの読み取りに成功する場合と失敗する場合とがある。このため、ある収容ポジションにセットされた同一の第1試薬容器24に関して、たとえば前回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗したために、手動式入力装置を使用して試薬識別情報を入力して記憶部42に記憶した後、今回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに成功すると、記憶部42に記憶される装置の種別情報が「2」から「1」へと書き換えられる。そして、装置の種別情報を「1」に書き換えた後に、上記同一の第1試薬容器24に関して、次回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗した場合は、再び手動式入力装置を使用して試薬識別情報を入力し直す必要があり、手間がかかる。そこで本実施形態においては、以下のような処理を採用することとした。
【0098】
図5は、本実施形態に係る制御部41の処理手順を示すフローチャートである。
ここでは主に、本実施形態に係る制御部41の処理内容と上記比較形態に係る制御部41の処理内容との共通点および相違点について説明する。
【0099】
(共通点)
図5において、ステップS201の処理は、上記ステップS101の処理と同様に行われ、ステップS202の処理は、上記ステップS102の処理と同様に行われる。また、ステップS203の処理は、上記ステップS103の処理と同様に行われ、ステップS204の処理は、上記ステップS104の処理と同様に行われる。また、ステップS206の処理は、上記ステップS106の処理と同様に行われ、ステップS207の処理は、上記ステップS107の処理と同様に行われる。また、ステップS208~S210の処理は、上記ステップS108~S110の処理と同様に行われる。
【0100】
(相違点)
本実施形態においては、上記比較形態の処理内容と比較して、ステップS211の処理が追加されるとともに、ステップS211における制御部41の判断結果に基づいて、ステップS205またはステップS207の処理が行われる点が異なる。以下、詳しく説明する。
【0101】
まず、ステップS203からステップS211に移行する場合とは、ステップS201でバーコードリーダ51がバーコードの読み取りを実施した収容ポジションに関して、ステップS202でバーコードの読み取りに成功し、かつ、バーコードの読み取りによってバーコードリーダ51が生成した試薬識別情報と同一の試薬識別情報が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている場合である。
【0102】
この場合、制御部41は、バーコードの読み取りに成功した収容ポジションに関して、装置の種別情報として固定式読み取り装置(バーコードリーダ51)を示す種別情報、すなわち種別情報「1」が、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されているか否かを判断する(ステップS211)。そして、制御部41は、種別情報「1」が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている場合、つまりステップS211でYESと判断した場合は、ステップS205の処理に移行する。
【0103】
ステップS205において、制御部41は、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報「1」および今回の読み取り以前に固定式読み取り装置(バーコードリーダ51)を使用して取得した試薬識別情報(ID)を記憶部42に記憶保持する。たとえば、ステップS202でバーコードの読み取りに成功したと判断した収容ポジションが27番の収容ポジションであり、この27番の収容ポジションに関して、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報が「1」、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている試薬識別情報が「001」である場合は、制御部41は、27番の収容ポジションに関して、装置の種別情報「1」および試薬識別情報「001」をそのまま記憶部42に記憶保持する。つまり、バーコードリーダ51を使用してバーコードの読み取りに成功した27番の収容ポジションに関しては、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている試薬識別情報および装置の種別情報をそのまま記憶保持する。
【0104】
これに対し、上記ステップS211において、制御部41は、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに成功した収容ポジションに関して、装置の種別情報「1」が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されていない場合、つまりステップS211でNOと判断した場合は、ステップS207の処理に移行する。なお、制御部41がステップS211でNOと判断する場合とは、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報が「1」ではなく「2」であった場合、換言すると、前回のバーコード読み取り時にステップS208~S210の処理を経て記憶部42に試薬識別情報と装置の種別情報とが記憶(新規登録)された場合である。
【0105】
ステップS207において、制御部41は、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報「2」および今回の読み取り以前に手動式入力装置(キーボード54、バーコードリーダ55)を使用して取得した試薬識別情報(ID)を記憶部42に記憶保持する。たとえば、ステップS202でバーコードの読み取りに成功したと判断した収容ポジションが28番の収容ポジションであり、この28番の収容ポジションに関して、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報が「2」、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている試薬識別情報が「001」である場合は、制御部41は、28番の収容ポジションに関して、装置の種別情報「2」および試薬識別情報「001」をそのまま記憶部42に記憶保持する。つまり、バーコードリーダ51を使用してバーコードの読み取りに成功した28番の収容ポジションであっても、装置の種別情報を更新(書き換え)することなく、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている試薬識別情報および装置の種別情報をそのまま記憶保持する。
【0106】
このように本実施形態において、制御部41は、上記比較形態と同様に、第1試薬ターンテーブル4aが有する収容ポジションごとに、固定式読み取り装置(バーコードリーダ51)または手動式入力装置(キーボード54、バーコードリーダ55)を使用して取得した試薬識別情報を、その試薬識別情報の取得に使用した装置の種別情報と対応付けて記憶部42に記憶している。そして、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗した場合は、その失敗した収容ポジションに関して、手動式入力装置を示す種別情報が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されていれば、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報および試薬識別情報をそのまま記憶部42に記憶保持する。これにより、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗するたびに、手動式入力装置を使用した試薬識別情報の入力をやり直す必要がなくなる。このため、手動式入力装置による試薬識別情報の入力回数を従来よりも減らすことができる。
【0107】
また、本実施形態において、制御部41は、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗した収容ポジションに関して、手動式入力装置を示す種別情報「2」が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されていない場合は、上記比較形態の場合と同様に、所定のエラー処理を行う。これにより、手動式入力装置を使用した試薬識別情報の入力をユーザーに促すことができる。また、ユーザーの手動操作により入力された試薬識別情報と、この試薬識別情報の入力に使用した装置の種別情報とを、記憶部42に新規に登録することができる。
【0108】
また、本実施形態において、制御部41は、バーコードリーダ51がバーコードの読み取りに成功した場合は、その成功した収容ポジションに関して、今回の読み取りによって生成した試薬識別情報と同一の試薬識別情報が今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されているか否かを判断し、同一の試薬識別情報が記憶されていれば、この同一の試薬識別情報に対応付けて記憶部42に記憶されている装置の種別情報が、固定式読み取り装置を示す種別情報「1」であるか否かを判断する。そして、同一の試薬識別情報に対応付けて記憶部42に記憶されている装置の種別情報が「1」である場合は、記憶部42に記憶されている試薬識別情報および装置の種別情報をそのまま記憶保持する。また、制御部41は、同一の試薬識別情報に対応付けて記憶部42に記憶されている装置の種別情報が「1」ではなく「2」である場合も、記憶部42に記憶されている試薬識別情報および装置の種別情報をそのまま記憶保持する。これにより、比較形態の場合と比べて、手動式入力装置による試薬識別情報の入力回数を更に減らすことができる。その理由は以下のとおりである。
【0109】
まず、比較形態に係る制御部41の処理内容では、第1試薬ターンテーブル4aのいずれかの収容ポジションに関して、前回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗し、今回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに成功した場合、記憶部42に記憶される装置の種別情報が「2」から「1」へと書き換えられる。このため、次回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗すると、再び手動式入力装置を使用して試薬識別情報を入力し直す必要がある。
【0110】
これに対して、本実施形態に係る制御部41の処理内容では、第1試薬ターンテーブル4aのいずれかの収容ポジションに関して、前回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗し、今回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに成功した場合でも、記憶部42に記憶される装置の種別情報が書き換えられることがない。つまり、装置の種別情報を更新することがない。また、次回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗した場合でも、バーコードの読み取りに失敗した収容ポジションに関して、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている装置の種別情報が「2」であれば、今回の読み取り以前に記憶部42に記憶されている試薬識別情報および装置の種別情報をそのまま記憶保持する。このため、次回の読み取りでバーコードリーダ51がバーコードの読み取りに失敗しても、再び手動式入力装置を使用して試薬識別情報を入力し直す必要がない。したがって、本実施形態によれば、比較形態の場合と比べて、手動式入力装置による試薬識別情報の入力回数を更に減らすことができる。
【0111】
なお、本明細書においては、上記比較形態と比較した場合の上記実施形態の有利な効果を説明するために、まず、比較形態の処理内容を説明し、その後で、実施形態の処理内容を説明している。しかし、比較形態の処理内容は、本発明の技術的範囲から除外されるものではなく、上記比較形態を第1実施形態、上記実施形態を第2実施形態としてもよい。すなわち、比較形態は、本発明の実施形態の1つとなり得るものである。
【0112】
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0113】
たとえば、上記実施形態においては、バーコード等を印刷したシールを液体容器に貼り付けた場合を想定しているが、これに限らず、液体容器に直接、バーコード等を印刷してもよい。
【0114】
また、上記実施形態においては、テーブルの移動の具体的態様として、ターンテーブルの回転移動を例に挙げて説明したが、テーブルの移動は回転移動に限らず、たとえば直線移動であってもよい。つまり、テーブルの移動は、テーブルに収容された各々の液体容器のバーコードを、測定部10に付属するバーコードリーダを固定したまま読み取ることができる態様であれば、どのような態様であってもかまわない。
【0115】
また、上記実施形態において、自動分析装置1は、液体容器に付された液体識別情報を手動操作によって入力する手動式入力装置として、キーボード54およびバーコードリーダ55の両方を備える構成を例に挙げて説明したが、これに限らず、キーボード54およびバーコードリーダ55のうちいずれか一方のみを備える構成であってもよい。
【0116】
また、上記実施形態においては、第1試薬容器収容ユニット4でユーザーが試薬交換作業を終えた後に制御部41が行う処理内容を一例として説明したが、これと同様の処理内容は、第2試薬容器収容ユニット5で試薬交換作業を終えた後や、検体容器収容ユニット2で検体交換作業を終えた後、あるいは、試薬交換作業後または検体交換作業後の処理で手動式入力装置(キーボード54、バーコードリーダ55)を使用して液体識別情報(検体識別情報、試薬識別情報)を入力した後に行ってもよい。手動式入力装置を使用して液体識別情報を入力した後に上記同様の処理内容を行う理由は、次のとおりである。
【0117】
まず、ユーザーは、キーボード54またはバーコードリーダ55を使用して液体識別情報を入力する場合は、それに先立って、いずれの収容ポジションについての入力であるかを操作画面上で指定する。しかし、液体識別情報を入力した後に、ユーザーが液体容器を置き間違えてしまう可能性がある。置き間違いとは、操作画面上で指定した収容ポジションとは異なる収容ポジションに液体容器をセットしてしまうことをいう。置き間違いが発生すると、ユーザーが操作画面上で指定した収容ポジションは空きポジションになり、この空きポジションに対して、キーボード54またはバーコードリーダ55を使用して入力された液体識別情報が対応付けて記憶される。このため、液体の識別ミスが発生するおそれがある。
【0118】
これに対し、手動式入力装置を使用して液体識別情報を入力した後に上記同様の処理内容を行うと、液体容器の置き間違いが発生した場合でも、液体の識別ミスが発生するおそれはなくなる。具体的には、まず、置き間違いによって空きポジションになった収容ポジションに関しては、固定式読み取り装置が空きポジション専用のバーコードの読み取りに成功するため、空きポジション専用の液体識別情報が新規に登録される。また、ユーザーが置き間違えて液体容器をセットしてしまった収容ポジションに関しては、置き間違いが発生する以前に記憶部42に記憶されている空きポジション専用の液体識別情報が、固定式読み取り装置を使用して入力された液体識別情報、または、手動式入力装置を使用して入力された液体識別情報へと書き換えられる。このため、置き間違いが発生しても、液体の識別ミスが発生するおそれはなく、測定部10の測定を正常に継続することが可能となる。
以上の理由により、手動式入力装置を使用して液体識別情報を入力した後でも、上記同様の処理内容を行うこととしている。
【符号の説明】
【0119】
1…自動分析装置
2…検体容器収容ユニット(液体容器収容ユニット)
2a…ターンテーブル(テーブル)
4…第1試薬容器収容ユニッ(液体容器収容ユニット)
4a…第1試薬ターンテーブル(テーブル)
5…第2試薬容器収容ユニット(液体容器収容ユニット)
5a…第2試薬ターンテーブル(テーブル)
21…検体容器(液体容器)
24…第1試薬容器(液体容器)
25…第2試薬容器(液体容器)
41…制御部
42…記憶部
43…表示部
50,51,52…バーコードリーダ(固定式読み取り装置)
54…キーボード(手動式入力装置)
55…バーコードリーダ(手動式入力装置)
図1
図2
図3
図4
図5