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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】胚調節システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 6/24 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
A61F6/24
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021073047
(22)【出願日】2021-04-23
(62)【分割の表示】P 2019198410の分割
【原出願日】2008-10-10
(65)【公開番号】P2021112611
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】60/960,715
(32)【優先日】2007-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/960,716
(32)【優先日】2007-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/960,918
(32)【優先日】2007-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517409413
【氏名又は名称】インプランティカ・パテント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フォーセル,ピーター
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-517277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 6/20 - 6/24
A61B 17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の組織壁を有する患者の器官の内腔内の体液の流れを制御する装置であって、
管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔を収縮させて管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔内の前記流れに影響を与える移植可能な収縮デバイスであって、前記収縮デバイスは、管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔と交差する共通の平面内に配置され、管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔の収縮を変更するために、管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔の中心軸に向かっておよびそれから離れるように半径方向に移動可能であるように構成された複数のクランプ要素を含む、収縮デバイスと、
前記クランプ要素の移動を操作するように構成された操作デバイスと、
前記操作デバイスを動作させるように構成された移植可能なモーターと、
前記モーターによって発生した力を前記操作デバイスを動作させる力に伝達するように構成されたギアボックスと、を備え、
前記操作デバイスは、管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔に作用するクランプ力が前記クランプ要素間で分散されるように、前記クランプ要素の移動を操作するように構成されている、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔に作用するクランプ力が、前記クランプ要素間で実質的に均等に分配される、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記クランプ要素は、前記内腔を少なくとも部分的に取り囲むように構成された支持体に取り付けられている、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記複数のクランプ要素は、管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔の円周に沿って180°離れて配置されるように構成された第1のクランプ要素と第2のクランプ要素とを備えている、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記複数のクランプ要素は、管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔の円周に沿って120°離れて配置されるように構成された第1、第2および第3のクランプ要素を備えている、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、
前記操作デバイスは、前記クランプ要素を前記中心軸に向かって押すクランプ力を伝達するように、前記クランプ要素のそれぞれに結合されるように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記操作デバイスは、管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔の収縮させられた部分の壁における血液循環を実質的に制限しないようにしながら、管状の組織壁を有する前記器官の前記内腔の体液の流れが制限されるように、前記クランプ要素間のクランプ力を分配するように構成されている、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記患者に移植され、前記操作デバイスに電力を供給するように構成された内部エネルギー源をさらに備えている、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、
前記内部エネルギー源は電池からなる、装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置において、
前記内部エネルギー源は、コンデンサからなる、装置。
【請求項11】
請求項8に記載の装置において、
前記操作デバイスの動作を制御するように構成された制御デバイスをさらに備えている、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、
前記装置の機能パラメータを検知するように構成されたセンサをさらに備えている、装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置において、
前記制御デバイスは、前記患者の体内の圧力を検知するように構成された移植可能な圧力センサを備えている、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、
前記制御デバイスは、前記圧力センサからの信号に応答して前記収縮デバイスを制御するように適合されている、装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置において、
前記圧力センサは、前記収縮デバイスに作用する圧力を直接または間接的に検知するように構成されている、装置。
【請求項16】
請求項11に記載の装置において、
前記制御デバイスは、スイッチをさらに備えている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療デバイスおよび治療に関し、より詳細には、女性患者の胚調節システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの女性は、妊娠を望んでいないが、利用可能な既存の妊娠調節方法を使用することを望んでいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、女性患者の妊娠調節システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のシステムは、卵巣からの卵を卵管内に保持して妊娠を回避するのを可能にする。2つの卵管上に制限デバイスが配置され、卵管を制限および解放し、それによって上述のような卵の保持を行う。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、妊娠を回避するように女性患者を治療するシステムであって、患者の卵管を術後に制限および解放するように構成された制限デバイスを含むシステムが提供される。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、女性患者の妊娠を回避する方法であって、患者の卵管を制限して制限を形成し、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、制限を解放して卵管内の少なくとも1つの卵を子宮まで送らせるステップとを含む方法が提供される。
【0007】
以下に記載されたすべての実施形態および特徴は、可能なら装置と後述の方法のいずれかとの両方に使用することができ、すなわち、装置に使用するように構成し、かつ後述の方法のいずれかに使用することができる。
【0008】
妊娠を回避するように女性患者を治療するシステムであって、患者の卵管を術後に制限および解放するように構成された制限デバイスを備えるシステム。
【0009】
制限デバイスは、卵管の制限を形成して卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に蓄積するように構成されることが好ましい。
【0010】
制限デバイスは、妊娠が望まれるときおよび妊娠が可能でないときにのみ卵管を解放するように構成することができる。
【0011】
制限デバイスは、卵管通路を制限および解放するように患者の体外から調整され、好ましくは患者の体外から非侵襲的に調整されるように構成することができる。
【0012】
制限デバイスは、手動操作によって調整するか、あるいは電力または磁力によって調整されるように構成するか、あるいは油圧力によって調整されるように構成することもできる。油圧力は、患者によって制御される、皮下に配置された少なくとも1つのリザーバを含んでよい。
【0013】
制限デバイスはもちろん、可逆的に調整されるように構成できることが好ましい。
【0014】
システムは、制限を形成して、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積し、患者にとって妊娠を回避するのに好都合なときに制限を解放するように構成される。所定の期間は、妊娠を回避するように設定され、1日から30日の間または30日を超える所定の期間であってよい。
【0015】
流れ制限 本発明のシステムは、女性患者の子宮への卵の流入を制御するのに適している。基本的に、制限デバイスは、互いに異なる原理的な8つの方法で実施することができる。
油圧制限 機械制限 任意の油圧または機械制限デバイスと制限用の刺激デバイスとの組合せ 刺激デバイスのみを制限に使用する 制限領域の変更。上記のいずれかを任意の組合せで使用して、卵管の制限領域を経時的にある部分から他の部分に変更し、後で元に戻すことができる。このようなシステムでは、制限/領域を変更するのにいくつかの異なる領域を関与させることができる。これによって、卵管は、制限領域を回復し、より長い期間にわたって制限を維持することができる。
移動デバイスを使用する。制限領域を様々な領域間で移動する際、特に制限を上流側に卵巣の方へ移動させる際、制限が解放されさらに上流側に移動するときに、いずれかの卵が新しい上流側の制限領域で圧搾され、誤って放出されてさらに下流側に運ばれるのを移動デバイスを使用して回避すると好都合であることがある。移動デバイスは、卵管壁の移動部を形成して、新しくできる制限領域内に配置されるいずれかの卵の移動部を形成するように構成することができる。これは、上述の制限デバイス、あるいは機械デバイス、油圧デバイス、または刺激デバイスのみ、あるいは任意の組合せのいずれかによって実施することができるが、やはり機械デバイス、油圧デバイス、または刺激デバイスであってよい別個のデバイスであってもよい。一実施形態では、移動デバイスは振動を生じさせる。
卵巣に向かう卵管壁の蠕動状波動運動。もう1つの原理は、卵管壁の蠕動状波動運動を生じさせることによって卵を子宮に到達させないことである。
上流側方向において卵巣に向かうこのような蠕動状波動運動は、子宮に向かう卵の流れを停止し、好ましくは常に、卵管のある部分を完全に制限して精子が通過しないようにすることができ、また、
子宮に向かう卵管壁の蠕動状波動運動。もう1つの原理は、妊娠の恐れが無いときに下流側蠕動波動によって卵を子宮まで移動させることができるようにすることによって、卵が子宮に到達するのを推進することである。
【0016】
この領域について以下に概略的に説明する。
【0017】
油圧制限 操作デバイスが、制限ユニットまたは複合制限/刺激ユニット(d)の狭さくデバイスを油圧式に動作させる場合、操作デバイスは、制限デバイスを調整する油圧手段を含む。
【0018】
本発明の一実施形態では、油圧手段は、狭さくデバイスにおけるリザーバと膨張可能/収縮可能なキャビティとを含み、その場合、操作デバイスは、油圧流体をリザーバから分散させてキャビティを膨張させ、油圧流体をキャビティからリザーバまで分散させてキャビティを収縮させる。キャビティは、患者の器官の組織壁部に当接する狭さくデバイスのバルーンによって形成することができ、したがって、患者の壁部は、キャビティの膨張時に狭さくし、キャビティの収縮時に解放される。
【0019】
あるいは、キャビティは、狭さくデバイスの比較的大きな収縮部材、たとえば、壁部に当接する大きなバルーンを変位させる蛇腹部材によって形成することができ、したがって、患者の壁部は、蛇腹部材の収縮時に狭さくし、蛇腹部材の膨張時に解放される。したがって、蛇腹部材に油圧流体を比較的少量添加すると、壁部の狭さくがかなり増大する。このような蛇腹部材は、適切に構成されたピストン/シリンダ機構で置き換えることもできる。
【0020】
油圧手段が狭さくデバイスにおけるキャビティを含む場合、本発明の装置は、以下に列挙するオプションに従って構成することができる。
【0021】
1)リザーバは、第1および第2の壁部を備え、操作デバイスは、第1および第2の壁部を互いに対して変位させてリザーバの体積を変化させ、したがって、流体がリザーバからキャビティ、またはキャビティからリザーバに分散する。
【0022】
1a)リザーバの第1および第2の壁部は、磁気デバイス、油圧デバイス、電気制御デバイスの少なくとも1つによって互いに対して変位可能である。
【0023】
2)装置は、リザーバとキャビティとの間に流体導管を備え、その場合、リザーバは導管の一部を形成する。導管およびリザーバおよび装置には逆止め弁はない。リザーバは、可変体積を有する流体チャンバを形成し、チャンバの体積を低減させることによって流体をチャンバからキャビティに分散させ、チャンバの体積を増大させることによって流体をキャビティから引き出す。装置は、チャンバの体積を変化させる可動壁を備えるリザーバを駆動するモータをさらに備える。
【0024】
本発明の特殊な実施形態では、操作デバイスは、油圧手段に動作可能に連結された反転サーボを備える。語「反転サーボ」は、短いストロークを有する移動部材に作用する強い力を長いストロークを有する他の移動部材に作用する弱い力に変換する機構、すなわち、通常のサーボ機構の逆の機能であると理解されたい。したがって、より小さいリザーバ内の流体の量のわずかな変化が、反転サーボによって、より大きなリザーバ内の流体の量の大きな変化に変換される。反転サーボは特に、その手動操作に適している。
【0025】
手動リザーバは、手動操作できるように皮下に配置できることが好ましい。
【0026】
機械制限 操作デバイスは、制限デバイスまたは制限/刺激ユニット(d)を機械的に操作する場合、膨張不能であってよい。さらに、操作デバイスは、歯車箱を含んでよいサーボ・システムを備えてよい。語「サーボ・システム」は、サーボ機構の通常の定義、すなわち、非常に小さな力によって非常に大きな力を制御する自動デバイスを包含するが、その代わりにあるいはそれに加えて、長いストロークを有する移動部材に作用する弱い力を短いストロークを有する他の移動部材に作用する強い力に変換する機構の定義を包含してよい。操作デバイスは、狭さくデバイスを非磁気的にならびに/あるいは非手動で操作することが好ましい。操作デバイスにモータを動作可能に連結することができる。操作デバイスは、少なくとも1つの可逆機能を実行するように動作可能であってよく、モータは、この機能を反転させることができてよい。
【0027】
機械または油圧制限デバイスと刺激デバイスとの組合せ 本発明は、制限デバイスと刺激デバイスの有利な組合せを実現し、その結果、卵管の内腔内の卵の流れに2段階の作用を施す。したがって、狭さくデバイスは、壁部に比較的弱い力を加えることによって卵管壁の組織壁を軽く狭さくさせることができ、刺激デバイスは、狭さくした壁部を刺激して内腔内の流れに最終的な所望の作用を施すことができる。
句「組織壁の一部を軽く狭さくさせる」は、組織壁内の血液循環をほとんど阻害することなく壁部を制限することであると理解されたい。
【0028】
第1の流れ制限オプションによれば、制御デバイスは、壁部を狭さくさせ、したがって、内腔内の流れを制限するかあるいは停止させるように狭さくデバイスを制御し、狭さくした壁部を刺激して収縮させ、したがって、内腔内の流れをさらに制限するかあるいはより安全に停止させるように刺激デバイスを制御する。より厳密に言えば、制御デバイスは、第1のモードで、狭さくした壁部を刺激して内腔内の流れをさらに制限するかあるいは停止するように刺激デバイスを制御し、
a)第2のモードで、壁部の刺激を停止して内腔内の流れを増大させるように刺激デバイスを制御するか、あるいは b)第2のモードで、壁部の刺激を停止し、壁部を解放して内腔内の流れを回復するように刺激デバイスおよび狭さくデバイスを制御することができる。
【0029】
したがって、内腔内の流れを制御する方法と内腔内の流れを制御するように構成された装置はどちらも、この明細書に記載されたように任意に組み合わされた様々な実施形態および特徴に従って実施することができる。
【0030】
d)1)刺激による制限と、2)蠕動波動状運動を生じさせることの両方を行い、a)卵管を完全に制限することなく上流側への流れを停止し、かつb)下流側への蠕動波動によって卵を子宮まで移動させるのを可能にすることのできる刺激デバイスのみ。
【0031】
好ましくは、刺激デバイスは、制限デバイスが壁部を制限するときに壁部の様々な領域を刺激するように構成され、制御デバイスは、壁部の各領域を間欠的にかつ個別に刺激するように刺激デバイスを制御する。このように卵管の壁部の様々な領域を間欠的にかつ個別に刺激することによって、壁部の組織は、本発明の装置の動作時にほぼ正常な血液循環を維持することができる。
【0032】
様々な領域の刺激を使用して、内腔を安全に閉鎖することができるだけでなく、卵管内に蠕動波動を生じさせることもできる。
【0033】
卵管内腔内の卵の移動 一実施形態では、制限デバイスは、壁部を狭さくさせて内腔内の流れを制限または変化させるように構成され、制御デバイスは、狭さくした壁部を内腔の上流側または下流側方向に徐々に刺激し、壁部を徐々に収縮させて卵を内腔内の下流側に移動させるか、あるいは卵がさらに子宮に送られるのを防止するように刺激デバイスを制御する。
【0034】
制御デバイスの構成 制限デバイスは、体外から手動で制御されることが好ましい。制限デバイスには動力を供給することができる。制御デバイスは供給を受けることができる。制御デバイスは好適には、患者の体外から制限デバイスまたは刺激デバイスあるいは制限/刺激ユニットを制御する。制御デバイスは、患者によって操作可能であることが好ましい。たとえば、制御デバイスは、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替える手動スイッチを備えてよく、その場合、スイッチは、患者に皮下移植され、患者の体外から手動であるいは磁気的に操作されるように構成される。あるいは、制御デバイスは、好都合なことに、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替えるように患者によって操作可能である手持ち式無線リモート・コントロールを備えることができる。無線リモート・コントロールは、腕時計のように患者の体に取り付けられるように構成することもできる。このような腕時計型のリモート・コントロールは、装置の移植された信号応答手段に患者の体を従わせる制御信号を放出することができる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、狭さくデバイスは、必要に応じて壁部の狭さくの調整を可能にするように調整可能であり、その場合、制御デバイスは、壁部の狭さくを調整するように狭さくデバイスを制御する。制御デバイスは、狭さくデバイスと刺激デバイスを互いに独立してかつ同時に制御することができる。任意に、制御デバイスは、制御デバイスが壁部の狭さくを変化させるように狭さくデバイスを制御する間、刺激デバイスが壁部を刺激するように制御するかあるいは壁部を刺激しないように制御することができる。
【0036】
最初に、制御デバイスを使用して壁部を刺激するように刺激デバイスを制御し、一方、内腔内の流れの所望の制限が実現されるまで壁部の狭さくを調整するように狭さくデバイスを制御することによって、狭さくデバイスを較正することができる。
【0037】
刺激のみまたは制限デバイスとの組合せに関して 制御デバイスは、壁部の1つまたは複数の領域を、たとえばそれぞれの異なる領域を順次刺激することによって一度に刺激するように刺激デバイスを制御することができる。さらに、制御デバイスは、各領域の刺激を、好ましくは所定の刺激パターンに従って壁部に沿って循環的に伝搬させるように刺激デバイスを制御することができる。組織壁を刺激する間に組織壁の所望の反応を生じさせるために、制御デバイスは、壁部の刺激の強度を、好ましくは循環的に変化させるように刺激デバイスを制御することができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、制御デバイスは、好ましくはパルス列を形成するパルスによって壁部の各領域を間欠的に刺激するように刺激デバイスを制御する。壁部の各領域のうちの少なくとも第1の領域および第2の領域は、それぞれ第1のパルス列および第2のパルス列によって、第1のパルス列と第2のパルス列が経時的に互いにずれるように繰り返し刺激することができる。たとえば、第1の領域を第1のパルス列で刺激し、一方、第2の領域を前記第2のパルス列で刺激することを行わず、また、第2の領域を第2のパルス列で刺激し、一方、第1の領域を第1のパルス列で刺激することを行わないことが可能である。あるいは、第1のパルス列と第2のパルス列を少なくとも部分的に重なり合うように第1のパルス列と第2のパルス列を互いにずらすことができる。
【0039】
パルス列は多数の異なる方法で構成することができる。したがって、制御デバイスは、パルス列のパルスの振幅、各パルス列の個々のパルスのデューティ・サイクル、パルス列の各パルスの幅、各パルス列の長さ、パルス列の反復周波数、パルス列の反復周波数、各パルス列のパルス数、および/またはパルス列間のオフ・タイム周期を変化させるように刺激デバイスを制御することができる。様々な構成のいくつかのパルス列を使用して所望の効果を実現することができる。
【0040】
制御デバイスが、壁部のそれぞれの領域を刺激するパルス列同士の間のオフ・タイム周期を変化させるように刺激デバイスを制御する場合、パルス列同士の間の各オフ・タイム周期を、オフ・タイム周期中に領域が刺激されていないときに領域内にほぼ正常な血液循環を回復するのに十分な時間だけ持続するように調節することが可能である。
【0041】
電気刺激デバイスは好適には、壁部に係合し、電気パルスによって壁部を刺激する、電極のような、少なくとも1つ、好ましくは複数の電気部材を備える。任意に、電気部材は、互いに対して一定の向きに配置することができる。制御デバイスは、電気部材を一度に1つずつ、あるいは一度に電気部材の数群ずつ通電するように電気刺激デバイスを制御する。制御デバイスは、電気パルスによって各部材を循環的に通電するように電気刺激デバイスを制御することが好ましい。任意に、制御デバイスは、電気部材が一度に1つずつ通電されるか、あるいはいくつかの電気部材または数群の電気部材が同時に通電されるように電気部材を通電するように刺激デバイスを制御することができる。さらに、数群の電気部材を無作為にあるいは所定のパターンに従って順次通電することができる。
【0042】
電気部材は、電気部材の任意のパターンを形成することができる。好ましくは、電気部材は、電気部材の細長いパターンを形成し、その場合、電気部材は、電気部材の細長いパターンが患者の器官の壁に沿って長さ方向に延び、かつ部材が壁部のそれぞれの領域に当接するように患者の器官の壁に取り付けることができる。電気部材の細長いパターンは、器官の壁に沿って長さ方向に延びる電気部材の1つまたは複数の列を含んでよい。電気部材の各列は、電気部材の直線状、らせん状、またはジグザグの経路、あるいは任意の形態の経路を形成することができる。制御デバイスは、電気部材の細長いパターンに沿って長手方向に、患者の内腔内の流れと逆方向または同じ方向に、電気部材を連続的に通電するように刺激デバイスを制御することができる。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、電気部材は、複数の部材群を形成し、各群は、患者の器官に沿って患者の内腔内の流れ方向に延びる一連の群を形成する。各電気部材群の電気部材は、患者の器官の周りの少なくとも一部を延びる部材の経路を形成することができる。第1の代替実施形態では、各電気部材群の電気部材は、患者の器官のそれぞれの異なる側を、好ましくは患者の内腔内の流れ方向をほぼ横切って延びる2つよりも多くの部材経路を形成することができる。制御デバイスは、一連の電気部材群のうちの各電気部材群を無作為にあるいは所定のパターンに従って通電するように刺激デバイスを制御することができる。あるいは、制御デバイスは、一連の電気部材群のうちの各電気部材群を患者の内腔内の流れと逆方向または同じ方向に、あるいは狭さくした壁部のほぼ中央の位置から両前記方向に連続的に通電するように刺激デバイスを制御することができる。たとえば通電された電気部材の群は、上述のように、通電された電気部材の前進波を形成することができ、すなわち、制御デバイスは、通電された電気部材が、狭さくした壁部の中央から電気部材の細長いパターンの両端の方へ互いに逆の2つの方向へ同時に前進する通電された電気部材の2つの波を形成するように、電気部材群を通電するように刺激デバイスを制御することができる。
【0044】
センサ 制御デバイスは、患者の検知された物理的パラメータまたはシステムの機能パラメータに応答して壁部の刺激を変化させるように刺激デバイスを制御することができる。たとえば、制御デバイスは、卵管内の圧力の上昇が検知されたことに応答して、壁部の刺激の強度を高め、したがって、卵管内の流れが停止したままになるように刺激デバイスを制御することができる。卵管内の圧力に関する患者の体内の圧力のような、患者の物理的パラメータを検知する任意のセンサを設けることができ、その場合、制御デバイスは、センサからの信号に応答して刺激デバイスを制御する。このようなセンサは、たとえば、患者の腹部内の圧力、移植された狭さくデバイスに対する圧力、または体の器官の組織壁に対する圧力を検知することができる。
【0045】
たとえば、ホルモン・レベル・センサを適用することができ、その場合、本発明を使用して卵の流れが制御される。
【0046】
センサ制御制限および/または刺激デバイス 上述のように、システムは、移植可能な少なくとも1つのセンサを備えてよく、その場合、制御デバイスは、センサからの信号に応答して狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを制御する。一般に、センサは、患者の少なくとも1つの物理的パラメータ、またはシステムの少なくとも1つの機能パラメータ、または患者内の医療インプラントの少なくとも1つの機能パラメータを直接または間接的に検知する。
【0047】
システムは、さらに好ましくは、フィードバック情報を体内から体外に送信して、デバイスの任意の機能パラメータまたは患者の物理的パラメータに関するフィードバックを与えるように構成される。
【0048】
デバイスの機能パラメータは、他の個所で述べる内部エネルギー源にエネルギーを充填するためのエネルギーの伝送と相関付けることができる。
【0049】
デバイスの機能パラメータは、エネルギー・バランス、受け取られたエネルギーとデバイスによって蓄積されるエネルギーを含む使用されるエネルギーとのバランスであってよく、エネルギー・バランスは、エネルギー受容率と蓄積率を含むエネルギー使用率とのバランスを含んでよい。
【0050】
物理的パラメータを検知する多数の異なる種類のセンサを使用することができる。
【0051】
制御デバイスは、センサからの信号に応答して狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを直接制御する移植可能な内部制御ユニットを備えてよい。制御デバイスは、患者を機械的に貫通することなく患者の外部から内部制御ユニットの制御パラメータを設定するように構成された無線リモート・コントロールをさらに備えてよい。無線リモート・コントロールによって設定可能な制御パラメータの少なくとも1つは、物理的パラメータまたは機能パラメータである。好適には、内部制御ユニットは、上述のクロック機構を含み、その場合、無線リモート・コントロールもクロック機構を設定するように構成される。
【0052】
あるいは、制御デバイスは、センサからの信号に応答して狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを制御する外部制御ユニットを患者の体外に備えてよい。
【0053】
調整可能な狭さくデバイス 本発明のいくつかの他の実施形態では、狭さくデバイスは調整可能である。これらの実施形態では、患者の組織壁部の狭さくを変化させるように調整可能な狭さくデバイスを動作させる操作デバイスが設けられ、狭さくデバイスと刺激デバイスは狭さく/刺激ユニットを形成する。狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスと刺激デバイスは、移植するのに適した単一の部材として一体化されるのが好ましい。ユニットの狭さくデバイスは、患者の器官の組織壁部にある長さにわたって接触する寸法を有する接触表面を備え、ユニットの刺激デバイスは、接触表面上に設けられ接触表面に沿って分散された複数の刺激部材を備える。制御デバイスが壁部を刺激するように刺激デバイスを制御すると、刺激部材は、壁部の長さに沿って壁部の様々な領域を刺激する。刺激部材は、上述のように、電気パルスによって壁部を刺激する電気部材を備えることが好ましい。しかし、本発明の大部分の用途では、熱刺激のような他の種類の刺激が使用に適している。
【0054】
操作デバイスは、実施形態についての以下の例で説明するように、狭さくデバイスの構成に応じて狭さく/刺激ユニットの調整可能な狭さくデバイスを動作させる。
1)狭さくデバイスは、接触表面を有し、壁部に沿って器官のそれぞれの異なる側を延びる細長い少なくとも2つの細長いクランプ部材を備え、操作デバイスは、クランプ部材同士の間に壁部をクランプ固定して器官の壁部を狭さくさせるようにクランプ部材を動作させる。
【0055】
2)狭さくデバイスは、接触表面を有し、かつ壁部に沿って器官の一方の側を延びる細長い1つのクランプ部材を備え、操作デバイスは、クランプ部材と患者の骨または組織との間に壁部をクランプ固定して壁部を狭さくさせるようにクランプ部材を動作させる。
【0056】
3)狭さくデバイスは、接触表面を有し、かつ器官のそれぞれの異なる側に位置する少なくとも2つの係合部材を備え、操作デバイスは、係合部材を回転させ、したがって、係合部材は、器官の壁部に係合して壁部を狭さくさせる。
【0057】
4)狭さくデバイスは、接触表面を有し、かつ器官のそれぞれの異なる側に位置する少なくとも2つの連節クランプ部材を備え、操作部材は、クランプ部材同士を互いの方へ移動させ、クランプ部材同士の間に器官の壁部をクランプ固定して壁部を狭さくさせる。
【0058】
5)狭さくデバイスは、接触表面を有し、少なくとも一方のクランプ部材が、回動し、したがって、狭さく部材のループが延びる平面内を旋回することができる、少なくとも2つの別個のクランプ部材を備え、操作デバイスは、回動したクランプ部材を旋回させて狭さく開口部のサイズを変化させる。
【0059】
6)狭さくデバイスは、接触表面を有する少なくとも1つの細長い狭さく部材と、狭さく部材を器官の周りの少なくともほぼ閉じたループに形成し、ループが狭さく開口部を形成する形成手段とを備える。操作デバイスは、狭さく開口部のサイズを変化させるように狭さく部材をループ内で動作させる。
【0060】
6a)細長い狭さく部材は、接触表面を有するベルトを備え、操作デバイスは、ループ内のベルトの長手方向伸長部を変化させて狭さく開口部のサイズを変化させるようにベルトを動作させる。形成手段は、狭さく部材またはベルトを少なくとも1つの所定のサイズを有するループに形成することができる。
【0061】
6b)細長い狭さく部材は、狭さく開口部のサイズを変化させ、したがって、狭さくデバイスの外周制限表面を変化させるか、あるいは変化させないように動作可能である。
【0062】
6c)細長い狭さく部材は、弾性であり、断面図で見たときの厚さが変化し、狭さく部材の長手方向伸長部を折り返さすように動作可能である。
【0063】
6d)細長い狭さく部材は、接触表面を有し、かつ互いにヒンジ留めされており、したがって、半円部材が、ほぼあるいは部分的に円を形成する完全開放状態から、ほぼ半円を形成する完全折り畳み状態に、互いに対して揺動可能である、ほぼあるいは部分的に半円形の2つのフレーム部材を備える。
【0064】
7)狭さくデバイスは、器官の壁部を湾曲させて狭さくさせるように構成される。
【0065】
上記の実施形態(1)~(7)では、狭さくデバイスが患者の器官の組織壁部を前記長さにわたって狭さくさせるように構成されることが重要である。このために、狭さくデバイスは、壁部の前記長さに沿って一列に取り付けられる前述の狭さく部材のうちの2つ以上を含んでよく、その場合、前記列は、器官の卵管内の流れの方向に延びる。このような狭さく部材は、膨張不能であり、機械的に動作可能または調整可能であることが好ましい。
【0066】
上記の実施形態(1)~(7)では、操作デバイスは、狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを機械または油圧式に調整することができる。さらに、操作デバイスは、狭さくデバイスを動作させる電動操作デバイスを備えてよい。本発明の多くの用途では、操作デバイスは好適には、狭さくデバイスを動作させ、したがって、卵管の流入領域は、刺激デバイスが壁部に接触するのを可能にし、それによって、卵管内の流れを停止させる狭さく状態のサイズになる。
【0067】
機械操作 操作デバイスは、狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを機械的に動作させる場合、膨張不能であってよい。さらに、操作デバイスは、歯車箱を含んでよいサーボ・システムを備えてよい。語「サーボ・システム」は、サーボ機構の通常の定義、すなわち、非常に小さな力によって非常に大きな力を制御する自動デバイスを包含するが、その代わりにあるいはそれに加えて、長いストロークを有する移動部材に作用する弱い力を短いストロークを有する他の移動部材に作用する強い力に変換する機構の定義を包含してよい。操作デバイスは、狭さくデバイスを非磁気的にならびに/あるいは非手動で操作することが好ましい。操作デバイスにモータを動作可能に連結することができる。操作デバイスは、少なくとも1つの可逆機能を実行するように動作可能であってよく、モータは、この機能を反転させることができてよい。
【0068】
油圧操作 操作デバイスが狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを油圧式に動作させる場合、操作デバイスは、狭さくデバイスを調整する油圧手段を含む。
【0069】
本発明の一実施形態では、油圧手段は、狭さくデバイスにリザーバと膨張可能/収縮可能なキャビティとを備え、その場合、操作デバイスは、油圧流体をリザーバから分散させてキャビティを膨張させ、油圧流体をキャビティからリザーバまで分散させてキャビティを収縮させる。キャビティは、患者の器官の組織壁部に当接する狭さくデバイスのバルーンによって形成することができ、したがって、患者の壁部は、キャビティの膨張時に狭さくし、キャビティの収縮時に解放される。
【0070】
あるいは、キャビティは、狭さくデバイスの比較的大きな収縮部材、たとえば、壁部に当接する大きなバルーンを変位させる蛇腹部材によって形成することができ、したがって、患者の壁部は、蛇腹部材の収縮時に狭さくし、蛇腹部材の膨張時に解放される。したがって、蛇腹部材に油圧流体を比較的少量添加すると、壁部の狭さくがかなり増大する。このような蛇腹部材は、適切に構成されたピストン/シリンダ機構で置き換えることもできる。
【0071】
油圧手段が狭さくデバイスにキャビティを備える場合、本発明のシステムは、以下に列挙するオプションに従って構成することができる。
【0072】
1)リザーバは、第1および第2の壁部を備え、操作デバイスは、第1および第2の壁部を互いに対して変位させてリザーバの体積を変化させ、したがって、流体がリザーバからキャビティ、またはキャビティからリザーバに分散する。
【0073】
1a)リザーバの第1および第2の壁部は、磁気デバイス、油圧デバイス、電気制御デバイスの少なくとも1つによって互いに対して変位可能である。
【0074】
2)操作デバイスは、リザーバとキャビティとの間で流体を送るポンプを備える。
【0075】
2a)ポンプは、ポンプを作動させて流体をリザーバからキャビティまで送る第1の作動部材と、ポンプを作動させて流体をキャビティからリザーバまで送る第2の作動部材とを備える。
【0076】
2a1)第1および第2の作動部材は、手動操作によって操作可能である。
【0077】
2a2)少なくとも一方の作動部材は、外部の所定の圧力を受けたときに動作する。
【0078】
2a3)第1および第2の作動部材の少なくとも一方は、磁気手段、油圧手段、または電気制御手段によって動作可能である。
【0079】
2b)システムは、ポンプとキャビティとの間に流体導管を備え、その場合、リザーバは導管の一部を形成する。導管およびポンプには逆止め弁はない。リザーバは、可変体積を有する流体チャンバを形成し、チャンバの体積を低減させることによって流体をチャンバからキャビティに分散させ、チャンバの体積を増大させることによって流体をキャビティから引き出す。システムは、ポンプを駆動するモータをさらに備え、その場合、ポンプは、チャンバの体積を変化させる、リザーバの可動壁を備える。
【0080】
油圧手段が狭さくデバイスに膨張可能なキャビティを備える上記のすべての実施形態1~2bでは、キャビティは、狭さくデバイスを調整するシリンダ/ピストン機構と交換することができる。この場合、操作デバイスは、リザーバとシリンダ/ピストン機構との間で油圧流体を分散させて狭さくデバイスを調整する。
【0081】
本発明の特殊な実施形態では、操作デバイスは、油圧手段に動作可能に連結された反転サーボを備える。語「反転サーボ」は、短いストロークを有する移動部材に作用する強い力を長いストロークを有する他の移動部材に作用する弱い力に変換する機構、すなわち、通常のサーボ機構の逆の機能であると理解されたい。したがって、より小さいリザーバ内の流体の量のわずかな変化が、反転サーボによって、より大きなリザーバ内の流体の量の大きな変化に変換される。反転サーボは特に、その手動操作に適している。
【0082】
好ましくは、反転サーボは、サーボ流体を含む膨張可能なサーボ・リザーバと、サーボ・リザーバに油圧式に連結され、サーボ流体用の密閉導管システムを形成する流体供給リザーバとを備える。膨張可能なサーボ・リザーバは、膨張可能なサーボ・リザーバの体積の変化に応答して互いに対して変位可能な第1および第2の壁部を有する。
【0083】
第1の代替実施形態によれば、サーボ・リザーバの第1および第2の壁部は、油圧手段に動作可能に連結される。反転サーボは、流体供給リザーバと膨張可能なサーボ・リザーバとの間で流体を分散させてサーボ・リザーバの体積を変化させ、それによって、狭さくデバイスを調整するように油圧手段を動作させる。
【0084】
第2の代替実施形態によれば、所定量の油圧流体を含む移植可能な主リザーバが設けられ、その場合、反転サーボは、主リザーバと油圧手段との間で油圧流体を分散させて狭さくデバイスを調整するように動作可能である。具体的には、主リザーバは、膨張可能なサーボ・リザーバの第1および第2の壁部に動作可能に連結された第1および第2の壁部を備え、したがって、膨張可能なサーボ・リザーバの体積が変化すると、主リザーバの体積が変化する。したがって、反転サーボが、流体供給リザーバと膨張可能なサーボ・リザーバとの間でサーボ流体を分散させて主リザーバの体積を変化させると、油圧流体が主リザーバから油圧手段まで、あるいは油圧手段から主リザーバまで分散する。有利なことに、サーボ・リザーバおよび主リザーバは、サーボ・リザーバの体積が比較的少量のサーボ流体の分だけ変化すると、主リザーバの体積が比較的大量の油圧流体の分だけ変化するような寸法を有する。
【0085】
上述のどちらの代替実施形態でも、流体供給リザーバは、互いに対して変位可能であり、流体供給リザーバの体積を変化させて流体供給リザーバと膨張可能なサーボ・リザーバとの間でサーボ流体を分散させる第1および第2の壁部を有してよい。流体供給第リザーバの第1および第2の壁部は、手動操作、磁気デバイス、油圧デバイス、または電気制御デバイスによって互いに対して変位可能であり、流体供給リザーバの体積を変化させて流体供給リザーバと膨張可能なサーボ・リザーバとの間でサーボ流体を分散させる。
【0086】
油圧手段が狭さくデバイスに膨張可能なキャビティを備える上記のすべての実施形態1~2b、または油圧手段が油圧動作可能な機械構成を備える実施形態では、操作デバイスは上述の反転サーボを含んでよい。本発明の他の実施形態では、油圧手段は、油圧式に相互に連結された第1および第2の膨張可能/収縮可能なリザーバを含む。第1のリザーバは、収縮デバイスに動作可能に連結され、したがって、収縮デバイスは、第1のリザーバが膨張または収縮したときに患者の壁部の狭さくを変化させる。第2のリザーバの体積を変化させることによって、2つのリザーバの間で油圧流体が分散し、したがって、第1のリザーバが膨張または収縮する。この実施形態では、2つのリザーバの間の流体連通導管内に逆止め弁は必要でなく、油圧手段の長期稼働に有利である。
【0087】
あるいは、油圧手段は、上述の第1および第2のリザーバではなく油圧式に相互に連結されたピストン/シリンダ機構を含んでよい。第1のピストン/シリンダ機構は、収縮デバイスに動作可能に連結され、したがって、収縮デバイスは、第1のピストン/シリンダ機構の動作時に患者の壁部の狭さくを変化させる。第2のピストン/シリンダ機構を動作させることによって、2つのピストン/シリンダ機構の間で油圧流体が分散し、したがって、第1のピストン/シリンダ機構は収縮デバイスを調整する。
【0088】
収縮デバイスが膨張可能/収縮可能なキャビティを含まない場合、収縮デバイスは、上述の接触表面を有し、かつ壁部に沿って器官のそれぞれの異なる側を延びる、少なくとも2つの細長いクランプ部材を備えてよい。油圧手段は、上述の反転サーボを含んでよく、細長いクランプ部材を壁部の方へ油圧式に移動させて壁部を狭さくさせる。たとえば、狭さくデバイスは、クランプ部材が内部で前後に滑る油圧チャンバを含んでよく、油圧手段は、ポンプと、油圧流体を含む移植可能なリザーバも含んでよい。ポンプは、油圧流体をリザーバからチャンバまで分散させてクランプ部材を壁部に接触するように移動させ、油圧流体をリザーバからチャンバまで分散させてクランプ部材を壁部から離れるように移動させる。
【0089】
複数の制限領域 制限デバイスは、どの種類または種類の組合せが好ましいかとは無関係である。制限デバイスは、複数の制限領域を備え、それによって、経時的に制限領域を変更するように構成される。これによって、卵管の損傷が防止され、しかも卵管が閉鎖されたままになり、卵が子宮まで移動するのが回避され、したがって妊娠が回避される。
【0090】
一実施形態では、システムは、油圧流体を含む2つ以上のリザーバに個別に連結された2つ以上の制限領域を有する油圧制限デバイスを備え、前記リザーバが、前記リザーバから連結された制限領域の各々まで個々に流体を移動させるように調整されるように構成される。この代わりに、油圧流体がどの制限に作用するかを弁で調節する場合、1つのリザーバのみを使用することが可能である。
【0091】
各油圧制限領域は、好ましくは各時間がある程度重複するように所定の期間にわたって制限されるように構成され、かつ最初に卵巣に最も近い制限領域が制限され、次に子宮に向かって制限領域が変更されるように構成される。このように、制限は常に維持されるが、制限同士が重複するためだけでなく、卵が放出される卵巣に最も近い位置から制限が開始されるため、制限領域が変更されるときに卵を通過させることはない。
【0092】
油圧制限領域は、それを手動操作することによって調整されるように構成することができる。
【0093】
システムは、制限領域が変更されると、卵巣に向かう方向に蠕動波動状の制限波動が生じて、卵が子宮に送られるのが防止されるように構成することもできる。この蠕動波動は、前述の様々な種類の制限デバイスまたはそれらの組合せのいずれかによって生じさせることができる。
【0094】
制限デバイスは、卵巣が放出されたときに少なくとも1つの卵が子宮に送られるように構成することもできる。この場合、子宮へ向かうのと逆方向への蠕動波動状の制限波動を用いることができる。
【0095】
妊娠を防止するシステムは、患者の卵管の第1の部分または領域を制限して制限を設け、卵巣から放出された少なくとも1つの卵が所定の期間にわたって卵管に蓄積するように構成し、かつ卵管の第2の部分を制限し、その後第1の部分の制限を解除し、さらに後で第2の部分の制限を解除し、それによって卵が子宮まで送られるように構成するか、あるいはさらに、卵管の第3の部分も制限し、第2の部分の制限を解除するように構成し、さらに、第3の部分の制限を解除し、それによって卵が子宮まで送られるように構成するか、あるいは卵管の第4の部分を制限し、第3の部分の制限を解除するように構成することができる。最後に、システムはさらに、第4の部分の制限を解除し、それによって卵が子宮まで送られるように構成することができる。
【0096】
制限領域の数は、実際的な大きさの問題を除いて制限されず、好ましくは、制限期間は制限領域同士の間で分割される。制限領域は、卵巣からさらに子宮に向かって段階的に移動され、したがって、使用中の連続的な制限領域間で時間を重複させる場合に、制限領域に関与する蓄積された卵に対する干渉を回避するか、あるいは制限領域は上流側と下流側の両方に移動され、次に、好ましくは移動デバイスを使用して卵管内の卵を移動させて卵が制限領域で圧搾されるのを回避する。
【0097】
卵管を部分的にのみ制限する油圧制限デバイスを刺激デバイスと組み合わせて使用して卵管の閉鎖を完了することが好ましい。この場合、刺激デバイスによって、制限領域を移動させることが可能である。油圧デバイスは、たとえば、必要な移動を生じさせる移動機能を有することができる。
【0098】
任意の組合せが可能である。
【0099】
要するに、2つよりも多くの制限領域を使用して、デバイスが制限モードにあるとき、少なくとも1つの制限領域が閉鎖されている間に制限領域を変更することが好ましい。
【0100】
デバイスは、卵管の、卵巣に最も近い第1の部分を制限するように構成される場合、蓄積された卵に干渉せずに第2の制限を制限させる。
【0101】
卵巣に最も近い制限領域、すなわち卵管の一部から始まり、その後子宮に段階的に近づくように新しい領域を制限していくように各制限領域を連続的に制限するように構成され、さらに複数の制限領域が制限される時間を重複させるように構成されたシステムは、蓄積された卵に干渉せずに制限を行う。
【0102】
哺乳類のメスまたはヒトの女性の患者の妊娠を回避する方法は、
術後に患者の卵管を制限して制限を設け、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、
制限を解除して卵管内の卵を子宮まで送らせるステップと、
制限および解放手順を患者の体外から制御するステップとを含む。
【0103】
この方法および他の方法では、所定の期間は、妊娠を回避するように設定され、2日から30日の間であるかあるいは30日より長くてよい。
【0104】
妊娠を回避する移植される2つの制限デバイスをヒトまたは哺乳類の患者に配置して制御する方法は、
針またはチューブ状態術具を患者の体の腹部に挿入するステップと、
針またはチューブ状態術具を使用して腹部にガスを満たし、それによって腹腔を膨張させるステップと、
少なくとも2つの腹腔鏡トロカールを患者の体内に配置するステップと、
カメラを一方のトロカールを通って腹部に挿入するステップと、
少なくとも1つの切開器具をトロカールを通って挿入し、患者の2つの卵管の少なくとも一部の領域を切開するステップと、
移植される2つの制限デバイスを2つの卵管の各々に配置するステップと、
術後の、妊娠しないのに好都合な時間に制限デバイスを調整するステップと、
患者の体外から調整を制御するステップと、
術後に2つの卵管を制限して妊娠するのを回避するステップとを含む。
【0105】
前述の方法はどちらも、卵管を制限する際に、
患者の卵管の領域の第1の部分を制限して制限を設け、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、
卵管の第2の部分を制限するステップと、
第1の部分の制限を解放するステップと、
各制限領域でより短い卵管制限周期を可能にするステップとを含んでよい。
【0106】
この方法は、
第2の部分の制限を解除するステップと、
卵を子宮まで送らせるステップとをさらに含んでよい。
【0107】
この方法は、
卵管の第3の部分を制限するステップと、
第2の部分の制限を解除するステップと、
各制限領域でより短い卵管制限周期を可能にするステップとをさらに含んでよい。
【0108】
この方法は、
第3の部分の制限を解除するステップと、
卵を子宮まで送らせるステップとをさらに含んでよい。
【0109】
この方法は、
卵管の第4の部分を制限するステップと、
第3の部分の制限を解除するステップと、
各制限領域でより短い卵管制限周期を可能にするステップとをさらに含んでよい。
【0110】
この方法は、
第4の部分の制限を解除するステップと、
卵を子宮まで送らせるステップとをさらに含んでよい。
【0111】
これらの両方の方法において、通常、卵管の制限された第1の部分が卵巣のより近くに位置する場合、それによって、
蓄積された卵に干渉せずに第2の制限を制限することができる。
【0112】
通常、これらの方法では、
2つよりも多くの制限領域が設けられ、
制限を行うことが望ましいときには、制限領域が変更され、一方、
少なくとも1つの制限領域が閉鎖されたままになる。
【0113】
好ましい実施形態では、各制限領域は、卵巣に最も近い卵管の部分の制限領域から連続的に制限され、
新しい領域が1段階ずつ子宮に近づくように制限が行われ、
複数の制限領域の制限が時間的に重複され、それによって、
蓄積された卵に干渉せずに制限が行われる。
【0114】
一方法は、順序とは無関係に、術後に制限領域を変更して、卵管を回復させるかあるいは制限による損傷を回避し、一方、卵管を常に制限しておくことのみを含んでよい。
【0115】
女性の患者の妊娠を防止する他の方法は、
ヒトまたは哺乳類の患者の卵管内の卵が子宮に送られるのを防止するステップと、
卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、
卵管壁の一部の蠕動状制限波動運動を生じさせ、卵が子宮まで送られるのを防止し、一方、卵管を常に制限しておくステップと、
卵が蓄積される間に精子が卵に到達するのを防止するステップと、
術後にヒトの体外から調節された卵を放出し、卵管内の少なくとも1つの卵を子宮まで送るのを可能にするステップとを含む。
【0116】
上述のデバイスを配置し、ヒトまたは哺乳類の患者における妊娠を回避するように移植されたデバイスを制御する方法は、
針またはチューブ状態術具を患者の体の腹部に挿入するステップと、
針またはチューブ状態術具を使用して腹部にガスを満たし、それによって腹腔を膨張させるステップと、
少なくとも2つの腹腔鏡トロカールを患者の体内に配置するステップと、
カメラを一方のトロカールを通って腹部に挿入するステップと、
少なくとも1つの切開器具をトロカールを通って挿入し、患者の2つの卵管の少なくとも一部の領域を切開するステップと、
移植されるデバイスの2つの部分の各々を2つの卵管のそれぞれに配置するステップと、
手術を終了し、術後に最終的な縫合の後で術具を引き出すステップと、
術後に、妊娠を回避するのに適切な時間にデバイスを調整するステップと、
患者の体外から調整を制御するステップと、
上記のステップによって、卵の流れが2つの卵管において子宮に到達するのを所定の期間にわたって防止して妊娠を回避するステップと、
上記のステップによって、卵巣から放出された卵を卵管内に蓄積させるステップと、
卵管壁の一部の蠕動状波動運動を生じさせて、卵が子宮に送られるのを防止し、卵管を常に制限しておくステップと、
卵が蓄積される間精子が卵に到達するのを防止するステップと、
妊娠の危険性が低いときに、卵管内の卵を体外から放出させて卵を通常どおりに子宮に送らせるステップとを含む。
【0117】
制限実施形態 制限デバイスは、機械制限デバイス、または油圧制限デバイス、または刺激デバイス、または刺激デバイスと機械制限デバイスもしくは油圧制限デバイスとの組合せ、または任意の他の組合せを備えてよい。
【0118】
この方法は、リザーバを備え、ガスまたは流体を前記制限デバイスに移動させるかあるいは制限デバイスから移動させ、前記リザーバが、
i.患者が手を届かせて、
ii.流体を手動で前記制限デバイスに移動させるかあるいは前記制限デバイスから移動させることができるように皮下に配置される油圧制限デバイスを含んでよい。
【0119】
移動デバイス 移動デバイスは、変更され新たに制限される領域から、新しい領域が制限される前に卵を移動させておくように構成され、制限を長期間維持する必要がある場合に有用であり、したがって、制限領域は、卵巣に向かう方向へも移動させる必要があり、その場合、卵は、1つの制限領域によって圧搾され、後で放出される場合滑る恐れがある。
【0120】
移動デバイスは、卵の移動を制限する際または卵を移動させる際に異なるように動作するように構成された、制限デバイスと同じデバイスであってよく、あるいは卵の移動を制限する際または卵を移動させる際に異なるように動作するように構成された、制限デバイスとは異なるデバイスであってよい。
【0121】
移動デバイスは、卵管壁で振動または波動状の運動を生じさせ、それによって卵を移動させることができる。
【0122】
したがって、ヒトの女性の患者または哺乳類のメスの患者の妊娠を防止する他の方法であって、
患者の卵管の領域の第1の部分を制限して制限を設け、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、
蓄積された卵を前記移動デバイスによって卵管内を制限領域から卵巣に向かって移動させるステップと、
蓄積された卵に干渉せずに、卵巣により近い卵管の第2の部分を制限させるステップと、
第1の部分の制限を解除するステップと、
第1の部分の制限を繰り返すステップと、
第2の部分の制限を解除するステップと、
制限区間間に卵管を回復させるステップとを含む方法を提供することができる。
【0123】
これらのステップの後に、
蓄積された卵を前記移動デバイスによって卵管内を制限された第1の領域から卵巣に向かって移動させるステップと、
蓄積された卵に干渉せずに、卵巣により近い卵管の第2の部分を制限させるステップを繰り返すステップと、
さらに第1の部分の制限を解除するステップを繰り返すステップと、
完全な手順を繰り返し、制限区間間に卵管を回復させるステップとが実行されることが好ましい。
【0124】
制限領域を3つ以上の領域間で変更されるように構成し、一方、卵管を常に閉鎖しておくことが好ましい。
【0125】
前記移動デバイスは、前記卵管の壁の少なくとも一部を振動させて、蓄積された卵を移動させる振動デバイスを備えてよく、前記移動が繰り返される。
【0126】
前記移動デバイスは、機械デバイス、または油圧デバイス、または刺激デバイス、または複合デバイスを備えてよい。
【0127】
制御デバイスの構成 制御デバイスは好適には、患者の体外から狭さくおよび/または刺激ユニットを制御する。制御デバイスは、患者によって操作可能であることが好ましい。たとえば、制御デバイスは、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替える手動スイッチを備えてよく、その場合、スイッチは、患者に皮下移植され、患者の体外から手動であるいは磁気的に操作されるように構成される。あるいは、制御デバイスは、好都合なことに、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替えるように患者によって操作可能である手持ち式無線リモート・コントロールを備えることができる。無線リモート・コントロールは、腕時計のように患者の体に取り付けられるように構成することもできる。このような腕時計型のリモート・コントロールは、システムの移植された信号応答手段に患者の体を従わせる制御信号を放出することができる。
【0128】
制御デバイスが患者の体外から狭さく/刺激ユニットを無線で制御する場合、無線制御機能は好ましくは、非磁気的に実行され、すなわち、制御デバイスは、狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを非磁気的に制御する。患者は、リモート・コントロールを使用して、刺激強度を調整しかつ/あるいは壁部の狭さくを調整するように狭さく/刺激ユニットを制御する。無線リモート・コントロールは、少なくとも1つの外部信号送信器またはトランシーバと、患者に移植可能な少なくとも1つの内部信号受信器またはトランシーバとを備えてよい。
【0129】
無線リモート・コントロールは、狭さく/刺激ユニットを制御する少なくとも1つの無線制御信号を送信することが好ましい。制御信号は、周波数変調信号、振幅変調信号、位相変調信号、またはそれらの組合せを含んでよく、アナログ信号、またはデジタル信号、またはアナログ信号とデジタル信号の組合せであってよい。リモート・コントロールは、デジタル制御信号またはアナログ制御信号を送る電磁搬送波信号を送信することができる。さらに、搬送波信号は、デジタル信号、アナログ信号、またはデジタル信号とアナログ信号の組合せであってよい。
【0130】
上記の制御信号はいずれも、波信号、たとえば音波信号、超音波信号、電磁波信号、赤外線信号、可視光信号、紫外線信号、レーザ光信号、マイクロ波信号、無線信号、X線放射信号、またはγ放射信号を含んでよい。あるいは、制御信号は、電界、または磁界、または電界と磁界の組合せを含んでよい。
【0131】
上述のように、制御信号は、患者の体をシステムの移植された信号応答手段に従わせることができる。
【0132】
制御デバイスは、患者に移植可能であり、狭さく/刺激ユニットを制御するマイクロプロセッサのようなプログラム可能な内部制御ユニットを含んでよい。制御デバイスは、患者の体外に位置する外部制御ユニットをさらに含んでよく、その場合、内部制御ユニットは外部制御ユニットによってプログラム可能である。たとえば、内部制御ユニットは、好適には活動スケジュール・プログラムに従って、経時的に狭さく/刺激ユニットを制御するようにプログラム可能であってよい。本発明のシステムは、外部データ通報器と、外部データ通報器と通信する移植可能な内部データ通報器とを備えてよく、その場合、内部通報器が狭さく/刺激ユニットに関するデータを外部データ通報器にフィードバックするか、あるいは外部データ通報器が内部データ通報器にデータを送る。
【0133】
エネルギー源 本発明は、狭さく/刺激ユニットの動作に関連して使用されるエネルギーを供給する解決手段も提供する。したがって、広い意味では、本発明は、患者の器官の組織壁によって形成される卵管内の卵の流れを制御するシステムであって、組織壁の一部を軽く狭さくさせて卵管内の流れに影響を及ぼす移植可能な狭さくデバイスと、狭さくデバイスが壁部を狭さくさせるときに壁部の様々な領域を間欠的にかつ個別に刺激し、壁部を収縮させて卵管内の流れにさらに影響を与え、狭さくデバイスと共に動作可能な狭さく/刺激ユニットを形成する刺激デバイスと、エネルギー源と、狭さく/刺激ユニットの動作に関連して使用されるエネルギーを放出するようにエネルギー源を患者の体外から操作可能な制御デバイスとを備える。本発明の簡素な形態では、電池やアキュムレータなどのエネルギー源を患者の体内に移植可能である。
【0134】
無線エネルギーの伝送 本発明の好ましいより高度な形態では、エネルギー源は患者の体の外部に位置し、制御デバイスは、無線エネルギーを放出するように外部エネルギー源を制御する。本発明のこの高度な形態では、システムは、放出された無線エネルギーを患者の体外から患者の体内に伝送するエネルギー伝送デバイスを備える。特に、無線エネルギーは、電磁エネルギー、電界、電磁界、または磁界、またはそれらの組合せ、または電磁波を含んでよい。エネルギー伝送デバイスは、無線エネルギーが伝送されるときに狭さく/刺激ユニットの動作に関連して直接使用される無線エネルギーを伝送することができる。たとえば、電気モータまたはポンプが狭さくデバイスを動作させる場合、磁界または電磁界の形態の無線エネルギーを使用してモータまたはポンプを直接駆動することができる。
【0135】
したがって、モータまたはポンプは、無線エネルギーが伝送されている間直接動作する。これは、2つの異なる方法、すなわち、a)患者に移植された変換デバイスを使用して無線エネルギーを異なる形態のエネルギー、好ましくは電気エネルギーに変換し、変換されたエネルギーによってモータまたはポンプを駆動する方法、または、b)無線で伝送されたエネルギーを使用してモータまたはポンプを直接駆動する方法で実現することができる。好ましくは、電磁界または磁界の形態の無線エネルギーを使用して、モータまたはポンプの特定の構成部材に直接影響を与え、モータまたはポンプを駆動する運動エネルギーが生成される。このような構成部材は、モータまたはポンプと一体化されたコイル、あるいは磁界の影響を受ける材料、または永久磁石を含んでよく、その場合、磁界または電磁界は、コイルに影響を与えてモータまたはポンプを駆動する電流を生成するか、あるいは材料または永久磁石に影響を与えてモータまたはポンプを駆動する運動エネルギーを生成する。
【0136】
エネルギー伝送デバイスは、少なくとも1つの無線信号、好適には波信号によってエネルギーを伝送することが好ましい。波信号は、赤外線信号、可視光信号、紫外線信号、レーザ信号、マイクロ波信号、無線信号、X線放射信号、およびγ放射信号のうちのいずれかを含む電磁波信号を含んでよい。あるいは、波信号は、音声信号または超音波信号を含んでよい。無線信号は、デジタル信号、またはアナログ信号、またはデジタル信号とアナログ信号の組合せであってよい。
【0137】
無線エネルギーの変換 本発明の特定の実施形態によれば、エネルギー伝送デバイスによって伝送された第1の形態の無線エネルギーを、通常第1の形態のエネルギーとは異なる第2の形態のエネルギーに変換する移植可能なエネルギー変換デバイスが設けられる。狭さく/刺激ユニットは、第2の形態のエネルギーに応じて動作可能である。たとえば、第1の形態の無線エネルギーは音波を含み、一方、第2の形態のエネルギーは電気エネルギーを含む。この場合、エネルギー変換デバイスは、音波を電気エネルギーに変換する圧電素子を含んでよい。任意に、第1の形態のエネルギーと第2の形態のエネルギーの一方は、磁気エネルギー、運動エネルギー、音声エネルギー、化学エネルギー、放射エネルギー、電磁エネルギー、光エネルギー、核エネルギー、または熱エネルギーを含んでよい。第1の形態のエネルギーと第2の形態のエネルギーの一方は、非磁気エネルギー、非運動エネルギー、非化学エネルギー、非音声エネルギー、非核エネルギー、または非熱エネルギーであることが好ましい。
【0138】
エネルギー変換デバイスは、エネルギー伝送デバイスと異なるようにあるいは同様に機能することができる。特殊な実施形態では、エネルギー変換デバイスは、エネルギー伝送デバイスによって伝送された第1の形態のエネルギーにさらされると正の領域および負の領域を有する少なくとも1つの半導体のような少なくとも1つの素子を備え、この場合、素子は、正の領域と負の領域との間にエネルギー場を形成することができ、エネルギー場は第2の形態のエネルギーを生成する。より具体的には、素子は、エネルギー伝送デバイスによって伝送された第1の形態のエネルギーにさらされると正の領域と負の領域との間に電界を誘導することのできる電気接合素子を備えてよく、それによって、第2の形態のエネルギーは電気エネルギーを含む。
【0139】
エネルギー変換デバイスは、第1の形態のエネルギーを第2の形態のエネルギーに直接または間接的に変換することができる。狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを動作させる移植可能なモータまたはポンプを設けることができ、その場合、モータまたはポンプは第2の形態のエネルギーによって駆動される。狭さくデバイスは、少なくとも1つの可逆機能を実行するように動作可能であってよく、モータは、機能を反転させることが可能であってよい。たとえば、制御デバイスは、第2の形態のエネルギーの極性をシフトさせてモータを反転させることができる。
【0140】
エネルギー変換デバイスは、第2の形態のエネルギーが第1の形態のエネルギーから変換されるときに変換されたエネルギーによってモータまたはポンプを直接駆動することができる。好ましくは、エネルギー変換デバイスは、第2の形態のエネルギーによって狭さく/刺激ユニットを非磁気的、非熱的、または非機械的に直接動作させる。
【0141】
通常、狭さく/刺激ユニットは、電気エネルギーによって通電される電気構成部材を備える。システムの移植可能な他の電気構成部材は、少なくとも1つの一電圧レベル・ガードまたは少なくとも1つの定電流ガードであってよい。したがって、エネルギー変換デバイスは、第1の形態のエネルギーを直流電流、または脈動直流電流、または直流電流と脈動直流電流の組合せに変換することができる。
【0142】
あるいは、エネルギー変換デバイスは、第1の形態のエネルギーを交流電流または直流電流と交流電流の組合せに変換することができる。
【0143】
本発明のシステムは、患者に移植可能であり、狭さく/刺激ユニットを動作させるエネルギーを供給する内部エネルギー源を備えてよい。システムは、内部エネルギー源が使用されない「オフ」モードから、内部エネルギー源が狭さく/刺激ユニットを動作させ、かつ/あるいはシステムの移植された電子構成部材を通電するエネルギーを供給する「オン」モードに切り替えるように操作することのできる移植可能なスイッチをさらに備えてよい。スイッチは、エネルギー伝送デバイスによって伝送された第1の形態のエネルギー、またはエネルギー伝送デバイスから供給される第2の形態のエネルギーによって操作可能である。上述のスイッチ構成は、各動作間のシステムの電力消費量を削減する。
【0144】
内部エネルギー源は、エネルギー変換デバイスから供給された第2の形態のエネルギーを蓄積することができる。この場合、内部エネルギー源は好適には、少なくとも1つのコンデンサまたは少なくとも1つの再充電可能な電池、もしくは少なくとも1つのコンデンサと少なくとも1つの再充電可能な電池の組合せのようなアキュムレータを備える。内部エネルギー源は、再充電可能な電池である場合、患者に好都合なとき、たとえば、患者の就寝時にのみ充電することができる。あるいは、内部エネルギー源は、狭さく/刺激ユニットを動作させるエネルギーを供給することができるが、第2の形態のエネルギーを蓄積するのには使用されない。この代替実施形態では、内部エネルギー源は電池であってよく、上述のスイッチを設けても設けなくてもよい。
【0145】
好適には、本発明のシステムは、第2の形態のエネルギーを安定させる移植可能なスタビライザを備える。第2の形態のエネルギーが電気エネルギーである場合、スタビライザは好適には、少なくとも1つのコンデンサを備える。
【0146】
エネルギー変換デバイスは、患者の腹部領域、胸部領域、または頭部領域に皮下移植されるように構成することができる。あるいは、エネルギー変換デバイスは、患者の開口部内の、粘膜の下方または開口部の粘膜の外側の筋肉内に移植されるように構成することができる。
【0147】
上述の実施形態における狭さく/刺激ユニットは、移植に関してより実際的な単一の部材として構成されるが、代替実施形態として狭さくデバイスと刺激デバイスを別個の部材として構成できることに留意されたい。上述の狭さくユニットおよび刺激ユニットのいずれかを、互いに独立して制御される2つ以上の別個の狭さく/刺激部材で置き換えることができる。
【0148】
システムを使用して女性の子宮への卵の流入を制御する場合、システムは、女性の子宮管のそれぞれを狭さくさせてその通路を制限する移植可能な狭さくデバイスと、子宮管を制限し、したがって、子宮管の通路に現れた卵が子宮腔に進入するのを防止し、かつ子宮管を解放し、したがって、子宮管の通路内に存在する卵を子宮腔に進入させるように前記狭さくデバイスを制御する制御デバイスとを備える。狭さくデバイスは、子宮管の組織壁の少なくとも一部を軽く狭さくさせてその通路を制限することができ、かつ組織壁部を刺激する移植可能な刺激デバイスを設けることができ、その場合、制御デバイスは、組織壁部を刺激するように前記刺激デバイスを制御し、前記狭さくデバイスは、組織壁部を狭さくさせ、組織壁部を収縮させて子宮管の通路をさらに制限する。
【0149】
あるいは、卵流れ制御システムは、女性の子宮管のそれぞれの組織壁の少なくとも一部を軽く狭さくさせてその通路を制限する移植可能な狭さくデバイスと、子宮管の組織壁部を刺激する刺激デバイスと、前記狭さくデバイスが組織壁部を狭さくさせるときに組織壁部を刺激し、組織壁部を収縮させて子宮管の通路をさらに制限し、子宮管内に存在する卵が子宮腔に進入するのを防止するように前記刺激デバイスを制御する制御デバイスとを備える。
【0150】
あるいは、卵流れ制御システムは、女性の子宮管のそれぞれの組織壁の一部を刺激する移植可能な刺激デバイスと、子宮管の組織壁部を刺激して組織壁部を収縮させ、したがって、子宮管の通路を制限して、子宮管に現れた卵が子宮腔に進入するのを防止し、かつ子宮管の組織壁部の刺激を停止して、子宮管の通路に存在する卵を子宮腔に進入させるように前記刺激デバイスを制御する制御デバイスとを備える。
【0151】
本発明は、上述のシステムを使用して、患者の器官の組織壁によって形成される卵管内の卵の流れを制御する方法であって、
患者の体外から狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを制御するように構成された無線リモート・コントロールを設けることと、
患者が卵管内の卵の流れに影響を与えることを望むときに、患者によって無線リモート・コントロールを操作することとを含む方法も提供される。
【0152】
本発明は、患者の器官の組織壁によって形成された卵管内の卵の流れを制御する方法であって、
a)組織壁の少なくとも一部を軽く狭さくさせて卵管内の流れに影響を与えることと、
b)狭さくした壁部を刺激し、壁部を収縮させて卵管内の流れにさらに影響を与えることとを含む方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0153】
図1A】制限デバイスが非制限動作状態にある、女性患者の卵管上に取り付けられた本発明によるシステムを示す図である。
図1B】制限デバイスが制限動作状態にある、図1Aと同様の図である。
図2A】女性患者の卵管上に取り付けられたリモート・コントロールを有し、制限デバイスが非制限動作状態にある、本発明によるシステムを示す図である。
図2B】制限デバイスが制限動作状態にある、図2Aと同様の図である。
図3A図1A、1Bの実施形態の制限デバイスを動作させるのに適した皮下に配置されたリザーバを有する油圧操作手段の概略図である。
図3B】狭さくデバイスが患者の卵管の組織壁を狭さくさせる図3Aの実施形態を示す図である。
図4A図2図11の実施形態の狭さくデバイスを動作させるのに適した機械操作手段の概略図である。
図4B】患者の器官の組織壁を狭さくさせる狭さくデバイスを有する図4Aの実施形態を示す図である。
図4C図4Bの実施形態の変形例を示す図である。
図5A】患者の器官の組織壁に取り付けられたシステムによるそれぞれの異なる動作状態を示す図2の実施形態の断面図である。
図5B】患者の器官の組織壁に取り付けられたシステムによるそれぞれの異なる動作状態を示す図2の実施形態の断面図である。
図5C】患者の器官の組織壁に取り付けられたシステムによるそれぞれの異なる動作状態を示す図2の実施形態の断面図である。
図6A】患者の器官の組織壁に取り付けられたシステムによるそれぞれの異なる動作状態を示す図2の実施形態の変形例の断面図である。
図6B】患者の器官の組織壁に取り付けられたシステムによるそれぞれの異なる動作状態を示す図2の実施形態の変形例の断面図である。
図6C】患者の器官の組織壁に取り付けられたシステムによるそれぞれの異なる動作状態を示す図2の実施形態の変形例の断面図である。
図7A】本発明によるシステムの一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図7B】本発明によるシステムの一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図7C】本発明によるシステムの一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図7D】本発明によるシステムの一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図7E】本発明によるシステムの一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図7F】一般的な実施形態の変形例のそれぞれの異なる動作状態を示す図である。
図7G】一般的な実施形態の変形例のそれぞれの異なる動作状態を示す図である。
図7H】一般的な実施形態の変形例のそれぞれの異なる動作状態を示す図である。
図7I】一般的な実施形態の変形例の、他の動作モードを示す図である。
図7K】一般的な実施形態の変形例の、他の動作モードを示す図である。
図7L】一般的な実施形態の変形例の、他の動作モードを示す図である。
図8A】本発明のシステムによって生成され、患者の器官の組織壁を刺激する電気刺激パルスを示すパルス/時間図である。
図8B】混合周波数および/または振幅のパルスが使用される、図8Aに示されている電気刺激の変形例を示すパルス/時間図である。
図8C】それぞれ、パルス列を形成するパルスによる組織壁の異なる2つの領域の電気刺激を表す2つのパルス/時間図である。
図8D】それぞれ、パルス列を形成するパルスによる組織壁の異なる2つの領域の電気刺激を表す2つのパルス/時間図である。
図9A】熱刺激デバイスを含み、システムが患者の卵管の組織壁を狭さくさせる、本発明のシステムの一実施形態の長手方向断面図である。
図9B】熱刺激デバイスが作動した図9Aと同じ実施形態の図である。
図10A】本発明によって使用される油圧操作可能で膨張可能な狭さくデバイスの概略図である。
図10B】狭さくデバイスが膨張した、図10Aに示されているのと同じ実施形態の図である。
図11A図10Aに示されている狭さくデバイスの油圧動作の異なる4つの原理を示すブロック図である。
図11B図10Aに示されている狭さくデバイスの油圧動作の異なる4つの原理を示すブロック図である。
図11C図10Aに示されている狭さくデバイスの油圧動作の異なる4つの原理を示すブロック図である。
図11D図10Aに示されている狭さくデバイスの油圧動作の異なる4つの原理を示すブロック図である。
図12】リモート・コントロール・モータによって制御される可変体積を有するリザーバの断面図である。
図13A図11Cに示されている油圧操作原理の特定の実施形態による反転サーボの斜視図である。
図13B図11Cに示されている油圧操作原理の特定の実施形態による反転サーボの斜視図である。
図14】本発明によって使用される油圧操作可能な他の狭さくデバイスの概略図である。
図15A】狭さく状態にある図34の狭さくデバイスを示す図である。
図15B】解放状態にある図14の狭さくデバイスを示す図である。
図16】エネルギーが、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される、本発明のシステムの一般的な実施形態を示す概略ブロック図である。
図17】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図18】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図19】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図20】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図21】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図22】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図23】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図24】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図25】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図26】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図27】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図28】それぞれ、図37に示されている一般的な実施形態に基づく実施形態であり、無線エネルギーが、患者の体外から、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される12の実施形態を示す概略ブロック図である。
図29】本発明の一実施形態の制御構成部材を示すブロック図である。
図30】無線エネルギーが電流に変換される、本発明の一実施形態の例示的な回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0154】
図面において、同じ参照符号は、いくつかの図全体にわたって同一のあるいは対応する部材を示す。
【0155】
図1Aおよび図1Bは、女性患者の卵管31a、31b上に取り付けられた、妊娠を防止するように女性患者を治療するシステムの第1の実施形態を示している。制限または狭さくデバイス2のクランプ部材5、6は卵管31a、31bを狭さくさせる。(図を明確にするために、ハウジングは図示されておらず、クランプ部材5、6は誇張されている。)この実施形態では、制御デバイスは、患者によって手動で「オン」と「オフ」が切り替えられる皮下移植された押しボタンを含んでいる。この制御デバイスについては、図3Aおよび図3Bを参照して以下により詳しく説明する。このような手動操作可能な押しボタンを緊急ボタンとしてのリモート・コントロールと組み合わせて設け、患者が緊急または誤動作の場合にシステムの動作を停止するのを可能にすることもできる。このようなリモート・コントロールについては、図2Aおよび図2Bを参照して以下に説明する。このシステムは、たとえば、図3A図3D、または図15Aおよび図15B、または図10Aおよび図10B、または図11A図11Dのいずれかに示されているような油圧制限デバイスを制御する油圧リザーバを手動操作することによって、完全に手動で制御することもできる。図3Cおよび図3Dのように流体を手動で移動させるリザーバのみを使用して制限デバイスを調整できることに留意されたい。このリザーバは、リザーバの手動操作が行われた後でリザーバの体積の変化が安定するように制御することができる。この特定の例ではルッキング・デバイスが示されているが、多数の異なる方法を使用することができる。リザーバ内の少量の流体によって、上記のいくつかの実施形態に記載された制限デバイスをより広範囲に移動させることができる。
【0156】
図2Aおよび図2Bは、女性患者の卵管31a、31b上に取り付けられた他の実施形態を示している。狭さくデバイス2のクランプ部材5、6は卵管31a、31bを狭さくさせる。(図を明確にするために、ハウジングは図示されておらず、クランプ部材5、6は誇張されている。)この実施形態では、制御デバイスは、手持ち式無線リモート・コントロール32の形をした外部制御ユニットと、マイクロプロセッサを含んでよく、狭さくデバイスおよび刺激デバイスを制御する、移植された内部制御ユニット33とを含んでいる。リモート・コントロール32は、制限デバイスのオンとオフを切り替えるように内部制御ユニット33を制御するように患者によって操作可能である。
【0157】
内部制御ユニット33は、クランプ部材5、6を移動させるように、移植された操作デバイス34を制御する。再充電可能な電池のような移植されたエネルギー源35は、操作デバイス34を駆動する。内部制御ユニット33は、皮下または腹部に移植することができ、エネルギー受信器として機能することもでき、すなわち、無線エネルギーを電気エネルギーに変換し、移植されたエネルギー源35(再充電可能な電池)に電気エネルギーを充填する。
【0158】
移植されたセンサ36は、温度のような患者の物理的パラメータを検知し、内部制御ユニット33は、センサ36からの信号に応答して狭さくデバイス2および/または刺激デバイス3を制御する。この実施形態では、センサ36は、ホルモン・レベル・センサであり、内部制御ユニット33は、センサ36が所定の値の測定値を検知したことに応答して患者の卵管31の狭さくを変化させるように狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを制御する。たとえば、制御ユニット33は、センサがホルモン・レベルの上昇または低下を検知したことに応答して患者の卵管31の狭さくを強めるように狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを制御することができる。この代わりにあるいはこれに組み合わせて、リモート・コントロール32は、内部制御ユニット33と同様に、センサ36からの信号に応答して狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを制御する。
【0159】
リモート・コントロール32は、センサ36からの信号に応答して、音声信号や表示情報などの表示を生成する手段を備えてよい。患者は、前記センサ入力に基づいて卵管の解放を示すそのような表示に気付くと、リモート・コントロールを使用して、患者の卵管を通って卵を汲み出すように狭さくデバイスまたは刺激デバイスを制御することができる。
【0160】
図3Aおよび図3Bは、図1Aおよび図1Bを参照して上記に説明した実施形態の狭さくデバイスを動作させるのに適した油圧操作手段を示している。具体的には、図3Aおよび図3Bは、狭さくデバイス2のそのような油圧操作手段を備えた図1Aおよび図1Bのシステムを示している。したがって、ハウジング1は、2つのクランプ部材5、6が、患者の卵管の管状組織壁部8に対して内部で前後に滑り可能である2つの油圧チャンバ22aおよび22bを形成している。油圧操作手段は、油圧流体を含む、弾性バルーンのような膨張可能なリザーバ23と、リザーバ23と油圧チャンバ22a、22bとの間の導管24aおよび24bと、導管24a、24b内の油圧流体を汲み出す2方向ポンプ25とを含んでいる。リザーバ23は、図では実線で示されている皮膚と、通常、破線で示されている筋膜/筋肉層との間の皮下に配置されている。制御デバイス4は、図3Bを見ると分かるように、油圧流体をリザーバ23からチャンバ22a、22bまで送ってクランプ部材5、6を移動させて壁部8に接触させ、それによって管状壁部8を狭さくさせ、かつ図3Aを見ると分かるように、油圧流体をチャンバ22a、22bからリザーバ23まで送ってクランプ部材5、6を移動させて壁部8から離し、それによって管状壁部8を解放するようにポンプ25を制御する。
【0161】
あるいは、油圧流体を膨張可能なリザーバ23と油圧チャンバ22a、22bとの間で分散させる手動操作可能な適切な油圧手段を適用することによって、図3Aおよび図3Bの実施形態を手動で操作することができる。この場合、ポンプ25は省略される。さらに、この場合も、制御デバイス4はリザーバの手動操作に過ぎない。一例が図3Cおよび図3Dに示されている。この特定の実施形態では、リザーバ壁(4b)の小さなルッキングが供給されるが、これは、この実施形態を実現する多数の方法の1つに過ぎない。
【0162】
図4Aおよび図4Bは、患者の器官の管状組織壁部8上に取り付けられた開放端部付きの管状ハウジング26と、ハウジング26内に配置された狭さくデバイス27と、狭さくデバイス27を制御する制御デバイス4とを備える、本発明の機械的に操作可能な実施形態を概略的に示している。上述の刺激デバイス(不図示)もハウジング26内に設けられている。狭さくデバイス27は、管状ハウジング26内を半径方向に、図4Aを見ると分かる引き込み位置と、図4Bを見ると分かるクランプ部材28が管状壁部8を軽く狭さくさせるクランプ固定位置との間で、管状壁部8に接近したり離れたりするように移動可能である。クランプ部材28を機械的に動作させる機械操作手段は、ハウジング26に取り付けられた電気モータ29と、モータ29によって駆動され、クランプ部材28に動作可能に連結された伸縮デバイス30とを含む。制御デバイス4は、図4Bを見ると分かるように、伸縮デバイス30を膨張させてクランプ部材28を移動させて壁部8に接触させ、それによって管状壁部8を狭さくさせるように電気モータ29を制御し、かつ図4Aを見ると分かるように、伸縮デバイス30を引き込んでクランプ部材28を移動させて壁部8から離し、それによって壁部8を解放するようにモータ29を制御する。
【0163】
あるいは、図4Cに示されているように、モータ29を省略し、伸縮デバイス30を手動操作できるように修正することができる。したがって、クランプ部材28を壁部8に押し付けるように伸縮デバイス30を膨張したままにしておくばね30aを設けることができる。機械操作手段は、皮下移植され、伸縮デバイス30に動作可能に連結されたレバー機構29aを含んでよい。患者は、仮想線で示されているように、患者の皮膚29bを通じてレバー機構29aを押し、ばね30aの作用に抗して伸縮デバイス30を伸縮デバイス30の引き込み位置まで引っ張る。患者がレバー機構29aを解放すると、ばね30aは伸縮デバイス30を膨張させ、それによってクランプ部材28が壁部8に押し付けられる。
【0164】
図5A図5Cは、システムが患者の卵管の管状組織壁の一部8上に取り付けられときの、図1のシステムの機能の原理を示している。したがって、図5Aは、非クランプ状態のシステムを示しており、この場合、クランプ部材5、6はその引き込み位置にあり、かつ壁部8は、クランプ部材5、6によって狭さくされることなくハウジング1の開放端部を通って延びている。図5Bは、クランプ状態のシステムを示しており、この場合、クランプ部材5、6は、その引き込み位置からそのクランプ位置まで移動されており、クランプ位置では、クランプ部材5、6が、壁部8を軽く狭さくさせて、狭さくした壁部8内の血液循環がほぼ制限されず、かつ壁部8の卵管内の流れが制限される狭さく状態にする。図5Cは、任意の刺激状態のシステムを示しており、この場合、クランプ部材5、6は壁部8を狭さくさせ、刺激デバイス3の電気部材7は、壁部8のそれぞれの異なる領域を電気的に刺激し、したがって、壁部8が収縮して(厚くなって)卵管を閉鎖する。
【0165】
システムがその任意の刺激状態にあるとき、壁部8のそれぞれの異なる領域がその自然な物理的特性を経時的にほぼ維持して各領域が損傷するのを防止するように各領域を刺激することが重要である。したがって、制御デバイス4は、壁部8の各領域を連続する期間にわたって間欠的に刺激するように刺激デバイス3を制御し、この場合、各期間は、各領域で十分な血液循環を経時的に維持するのに十分な程度に短い。さらに、制御デバイス4は、壁部8の各領域の刺激を制御し、したがって、現在刺激されていない各領域は、再び刺激される前にほぼ正常な血液循環を回復する。刺激の効果を経時的に維持し、すなわち、壁部8を収縮させることによって卵管を閉鎖されたままにしておくために、制御デバイス4は、1つまたは複数の領域を一度に刺激し、かつ刺激を経時的にある領域から別の領域に移すように刺激デバイス3を制御する。制御デバイス4は、各領域の刺激を、たとえば所定の刺激パターンに従って、管状壁部8に沿って循環的に伝搬させるように刺激デバイス3を制御することができる。組織壁の刺激時に組織壁の所望の反応を得るために、制御デバイスは、壁部8の刺激の強度を、好ましくは循環的に変化させるように刺激デバイスを制御することができる。
【0166】
図5Cに示されている完全に制限された状態が、電気刺激を伴わない純粋に機械的な手段によって実現できることが理解されよう。
【0167】
図6A図6Cは、管状ハウジング9と、管状ハウジング9内を半径方向に、図6Aを見ると分かる引き込み位置と、図6Bを見ると分かるクランプ位置との間で、ハウジング9の中心軸に接近したり離れたりする、細長い3つのクランプ部材10a、10b、10cとを含む本発明の他の実施形態を示している。3つのクランプ部材10a~10cは、ハウジング9の中心軸の周りに対称的に配置されている。この実施形態の刺激デバイスは、長手方向に細長いクランプ部材10a~10cに沿って延びる一連の数群の部材を形成する電気部材11a、11b、11cを含んでおり、各電気部材群の電気部材11a~11cは、ハウジング9の中心軸の周りを周方向に延びる3つの電気部材11a、11b、および11cの経路を形成する。各群の3つの電気部材11a~11cはそれぞれ、3つのクランプ部材10a~10c上に位置している。したがって、3つの電気部材11a~11cの経路は患者の器官の周りを延びている。もちろん、各電気部材経路の電気部材11a~11cの数は3つよりも大きくてよく、互いに平行な数列の電気部材11a~11cが各電気部材経路を形成する。
【0168】
図7A図7B、および図7Cは、システムがBOで示された卵管の壁部上に取り付けられたときの、本発明による一般的な構成のシステムのそれぞれの異なる動作状態を概略的に示している。システムは、CSDで示された狭さくデバイスおよび刺激デバイスと、CDで示され、狭さくデバイスおよび刺激デバイスCSDを制御する制御デバイスとを含んでいる。図7Aは、非作動状態のシステムを示しており、この場合、狭さくデバイスは器官BOを狭さくさせず、刺激デバイスが器官BOを刺激することはない。図7Bは、狭さく状態のシステムを示しており、この場合、制御デバイスCDは、器官BOの壁部を軽く狭さくさせて、狭さくした壁部内の血液循環がほぼ制限されず、かつ壁部の卵管内の流れが制限される狭さく状態にするように狭さくデバイスを制御する。図7Cは、刺激状態のシステムを示しており、この場合、制御デバイスCDは、狭さくした壁部のそれぞれの異なる領域を刺激し、したがって、器官BOの壁部のほぼ全体が収縮して(厚くなって)卵管を閉鎖するように刺激デバイスを制御する。
【0169】
図7Dおよび図7Eは、壁部の左側領域(図7D参照)が刺激され、一方、壁部の右側領域が刺激されない第1の刺激モードと、壁部の右側領域(図7E参照)が刺激され、一方、壁部の左側領域が刺激されない第2の刺激モードとの間で循環的に、狭さくした壁部の刺激を変化させて、狭さくした壁部内に経時的に十分な血液循環を維持するにはどうすればよいかを示している。
【0170】
図7Dおよび図7Eに示されている刺激モードが、器官BOの狭さくした壁部を刺激するにはどうすればよいかについての原理例を構成するものに過ぎないことに留意されたい。したがって、狭さくした壁部の2つよりも多くの異なる領域を同時に反復的に刺激するかあるいは連続的に刺激することができる。さらに、狭さくした壁部のそれぞれの異なる領域の各群を連続的に刺激することができる。
【0171】
図7F図7G、および図7Hは、図7A図7Eに示されている一般的な実施形態の変形例のそれぞれの異なる動作状態を示しており、この場合、狭さくデバイスおよび刺激デバイスCSDは、いくつかの別個の狭さく/刺激部材、ここでは3つの部材CSDE1、CSDE2、およびCSDE3を含んでいる。図7Fは、第1の動作状態の部材CSDE1が作動して器官BOを狭さくさせると共に刺激し、したがって、器官BOの卵管を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE2およびCSDE3が作動しない状態を示している。図7Gは、次の第2の動作状態の部材CSDE2が作動し、したがって、器官BOの卵管を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE1およびCSDE3が作動しない状態を示している。図7Hは、次の第3の動作状態の部材CSDE3が作動し、したがって、器官BOの卵管を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE1およびCSDE2が作動しない状態を示している。第1の動作状態と第2の動作状態と第3の動作状態とを無作為にあるいは所定の順序に従って切り替えることによって、器官のそれぞれの異なる部分を一時的に狭さくさせて刺激し、一方、器官の卵管を閉鎖されたままにしておくことができ、器官が損傷する危険性が最小限に抑えられる。部材CSDE1~CSDE3を器官の卵管に沿って連続的に作動させて卵管内の流体および/または他の体物質を移動させることも可能である。
【0172】
図7I図7K、および図7Lは、一般的な実施形態の変形例の、他の動作モードを示している。図7Iは、第1の動作状態の部材CSDE7が作動して器官BOを狭さくさせると共に刺激し、したがって、器官BOの卵管を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE2およびCSDE3が作動して器官BOを狭さくさせるが刺激はせず、したがって、器官BOの卵管は完全には閉鎖されず、部材CSDE2およびCSDE3が器官BOに係合する状態を示している。図7Kは、次の第2の動作状態の部材CSDE2が作動して器官BOを狭さくさせると共に刺激し、したがって、器官BOの卵管を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE7およびCSDE3が作動して器官BOを狭さくさせるが刺激はせず、したがって、器官BOの卵管は完全には閉鎖されず、部材CSDE1およびCSDE3が器官BOに係合する状態を示している。図7Lは、次の第3の動作状態の部材CSDE3が作動して器官BOを狭さくさせると共に刺激し、したがって、器官BOの卵管を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE1およびCSDE2が作動して器官BOを狭さくさせるが刺激はせず、したがって、器官BOの卵管は完全には閉鎖されず、部材CSDE1およびCSDE2が器官BOに係合する状態を示している。第1の動作状態と第2の動作状態と第3の動作状態とを無作為にあるいは所定の順序に従って切り替えることによって、器官のそれぞれの異なる部分を一時的に刺激し、一方、器官の卵管を閉鎖されたままにしておくことができ、それによって、器官が損傷する危険性が低減する。部材CSDE1~CSDE3の刺激を器官BOの卵管に沿って連続的に作動させて卵管内の流体および/または他の体物質を移動させることも可能である。
【0173】
この実施形態は、機械または油圧部分制限システムと刺激位置を変化させる刺激システムとの組合せを有し、好ましくは、卵管をより長い期間にわたって閉鎖することが望ましいときに使用される。システムは、好ましくは、位置を変更する必要があるのは刺激だけであり、刺激が再び同じ位置に戻るまで卵管を回復することができるため、エネルギー効率が高い。制限領域が互いにより近くに配置され、機械制限または油圧制限が連続的である場合、卵管内の任意の方向に蠕動状波動を生じさせることができる。制限が、卵巣に最も近い制限から連続的に移動する場合、制限領域内で卵が圧搾されることはなくなる。制限を子宮に向かう逆方向に移動させる場合、移動デバイスを使用して卵を新しい制限領域から遠ざけることができる。そのような移動デバイスは、刺激デバイスがその領域を閉鎖する前に卵管壁内で移動させる油圧または機械部分制限デバイスとすることができる。
【0174】
図8Bは、図8Aに示されている電気刺激の変形例を示すパルス/時間図である。したがって、図8Aのパルス組合せは、図8Aのパルス組合せの正パルスPLと同時に現れる高周波数/低振幅パルスの比較的長い第1のパルス列PTLと、図8Aに示されているパルス組合せの負パルスPSと同時に現れる高周波数/低振幅パルスの比較的短い第2のパルスPTSとを有するパルス列組合せと混合される。その結果、高周波数/低振幅パルス列PTLおよびPTSは、図8Bに示されているように、図8Aの正パルスPLおよび負パルスPSに重畳される。図8Bのパルス構成およびその変形例は、ヒトの特定の器官の刺激に関連して使用して所望の刺激効果を得るうえで有利である。
【0175】
電気パルスは、図8Cおよび図8Dのパルス/時間図P/tに示されているようにパルス列を形成することが好ましい。図9Aのパルス/時間図P/tは、パルス列18Aによって刺激された患者の管状器官の壁部の個々の領域を表している。パルス列18Aは、各パルスの持続時間が短く振幅(電圧)が高く、かつ持続時間が長く振幅が短い1つの正パルスの後に負パルスが続く、3つの初期負パルスを含んでいる。器官の各領域がほぼ正常な血液循環を回復するのを可能にする遅延の後で、パルス列18Aが反復される。
【0176】
図8Dのパルス/時間図P/tは、パルス列18Aと同じ構成を有するパルス列18Bによって刺激された壁部の他の個々の領域を表している。パルス列18Aおよび18Bは互いに対してずらされ、したがって、必要に応じて狭さくした壁部が常に刺激されて収縮するように部分的に重なり合っている。
【0177】
図9Aおよび図9Bは、2つのクランプ部材20aおよび20bを有する狭さくデバイスと、それぞれクランプ部材20a、20bと一体化された2つの熱刺激部材21aおよび21bの形をした刺激デバイスと、クランプ部材20a、20bおよび刺激部材21a、21bを制御する制御デバイス4とを備え、血管19内の血液流を制御する本発明の他の実施形態を示している。クランプ部材20aおよび20bは、図5A図5Cによる実施形態に関連して上記に説明したのと同様に互いに接近したり離れたりすることができる。熱刺激部材21aおよび21bは、ペルチェ素子を含んでよく、クランプ部材20a、20b上に位置し、したがって、熱部材21aが熱部材21bに面している。図11Aは、クランプ部材20a、20bが血管19を狭さくさせ、したがって、血流が制限された状態を示している。図11Bは、血管19の壁を冷却し、したがって、壁が血管19を収縮させて閉鎖するように熱刺激部材21a、21bを制御する。血管19を解放する場合、制御デバイス4は、血管19の壁を加熱し、したがって壁を膨張させるように熱刺激部材21a、21bを制御する。
【0178】
図10Aおよび図10Bは、油圧流体を含む調整可能なリザーバ74と流体連通する膨張可能/収縮可能なキャビティ73を有するバンド72の形をした油圧操作可能な細長い狭さくデバイスを示している。図10Aは、バンドが非狭さく状態にあるときを示し、図10Bは、バンドが狭さく状態にあり、キャビティ73が、リザーバ74から供給される油圧流体によって膨張された状態を示している。
【0179】
図31A図31B図31C、および図31Dは、それぞれ異なるように動作する油圧狭さくデバイスのブロック図である。図31Aは、キャビティ73がリザーバ75と流体連通っている、図10Aのバンド72を示している。図31Bは、バンド72のキャビティ73が、2方向ポンプ76の形をした操作デバイスを介してリザーバ74と流体連通っている、図10Aの実施形態を示している。図11Cは、第2のシステムを制御する閉鎖された第1のシステムを有する反転サーボ・システムの形をした操作デバイスを示している。反転サーボ・システムは、調整可能な流体供給リザーバ77と調整可能なサーボ・リザーバ78とを備えている。サーボ・リザーバ78は、患者の器官の管状組織壁の一部の周りに取り付けられたバンド72に関連してバンド72のキャビティ73の体積を変化させ、それによって壁部の狭さくを変化させるより大きな調整可能なリザーバ79を制御する。図11Dは、より大きなリザーバ79が省略されていることを除いて、図11Cの実施形態と同一の実施形態を示している。より大きなリザーバ79が省略される代わりに、サーボ・リザーバ78は、バンド72のキャビティと流体連通っている。
【0180】
図12A図10Bによる上記のすべての実施形態において、刺激デバイスは、狭さくデバイス上に位置する多数の電気部材7(図12A図15図18図20図23図26図11Bに示されている)が刺激デバイスに含まれる狭さく/刺激ユニットを形成するように設けることができる。
【0181】
図12は、遠隔操作される電気モータ82を備える操作デバイスによってサイズを変化させることができる、チャンバ81を形成する蛇腹リザーバ80を含む流体供給デバイスの断面図である。リザーバ80およびモータ82は、ハウジング83内に配置されている。大きな壁84を移動させるとチャンバ81が変化する。壁84は、回転可能なスピンドル86上に通されたナット85に固定されている。スピンドル86はモータ82によって回転される。ハウジング83内に配置された電池89はモータ82を駆動する。モータ82を制御する信号受信器90もハウジング83内に配置されている。あるいは、電池89および信号受信器90を別個の場所に取り付けることができる。モータ82は、送信された信号から変換されたエネルギーによって駆動することもできる。
【0182】
適用可能なら、図12の流体供給デバイスを使用して、本明細書に記載された狭さくデバイスの動作させる油圧流体を供給することができる。たとえば、図10Aによる実施形態におけるリザーバ74を図12の流体供給デバイスで置き換えることができる。
【0183】
図13Aおよび図13Bは、矩形のハウジング91とハウジング91内を移動可能である中間壁92とを含む反転サーボを示している。比較的大きくほぼ円筒形の蛇腹リザーバ93が、ハウジング91内に配置され、移動可能な中間壁92に接合されている。他の円筒形の蛇腹リザーバ94は、リザーバ93よりもかなり小さく、ハウジング91内の、中間壁92の反対側に配置され、やはり壁92に接合されている。小さな蛇腹リザーバ94は流体供給管95を有しており、大きな蛇腹リザーバ93は流体供給管96を有している。
【0184】
図13Aを参照する。少量の油圧流体が供給管95を通って小さな蛇腹リザーバ94内に導かれると、小さな蛇腹リザーバ94は移動可能な中間壁92を膨張させて大きな蛇腹リザーバ93の方へ押す。その結果、図13Bに示されているように、大きな蛇腹リザーバ93が中間壁92によって収縮され、それによって、大量の油圧流体が供給管96を通って大きな蛇腹リザーバ93から押し出される。
【0185】
たとえば、図13Aおよび図13Bの反転サーボを図11Cの実施形態で使用することができ、その場合、小さな蛇腹リザーバ94は小さなサーボ・リザーバ78に相当し、かつ大きな蛇腹リザーバ93は大きなリザーバ79に相当する。さらに、図13Aおよび図13Bの反転サーボを図10Aおよび図10Bの実施形態で使用することができ、その場合、小さな蛇腹リザーバ94は調整可能なリザーバ74に連結され、かつ大きな蛇腹リザーバ93はバンド72のキャビティ73に連結される。
【0186】
図14は、油圧システムが異なるように構成されることを除いて、図10Aに示されている実施形態と同様な、本発明のシステムの油圧操作可能な狭さくデバイス97を概略的に示している。すなわち、狭さくデバイス97は、油圧流体を含むリザーバ99と流体連通する比較的小さな膨張可能なキャビティ98と、小さなキャビティ98によって変位可能である比較的大きなキャビティ100とを含んでいる。小さなキャビティ98は、膨張したときに患者の管状壁部を狭さくさせるように大きなキャビティ100を変位させ、かつ収縮したときに壁部を解放するように大きなキャビティ100を変位させるように構成されている。したがって、比較的少量の油圧流体をリザーバ99から小さなキャビティ98に添加すると、壁部の狭さくがかなり強まる。
【0187】
大きなキャビティ100は、大きなキャビティ100の体積を較正する注入口(不図示)に連結することのできる大きなバルーン101の形をした収縮部材によって形成される。注射器を用いて流体を注入口に添加するかあるいは注入口から引き出すことによって、バルーン101の体積が較正される。小さなキャビティ98は、狭さくデバイス97の環状のフレーム103に取り付けられた小さな蛇腹102によって形成され、反対側の端部の所でバルーン101に取り付けられている。
【0188】
図15Aおよび図15Bは、環状のフレーム103が患者の器官の管状壁部の周りに取り付けられたときの、狭さくデバイス97の動作を概略的に示している。図15Aを参照すると分かるように、小さなキャビティ98を収縮させると、蛇腹102がバルーン101を環状のフレーム103の内側に引き入れ、したがって、狭さくデバイス97が壁部を狭さくさせる。図15Bを参照すると分かるように、小さなキャビティ98を膨張させると、蛇腹102がバルーン101を環状のフレーム103から引き出し、したがって、狭さくデバイス97が壁部を解放する。
【0189】
上述のように、狭さくデバイスと刺激デバイスは協働して、患者の器官の卵管内で卵を積極的に移動させる。これは、図2に示されている狭さく/刺激ユニットを使用して実現することができる。したがって、第1の協働オプションによれば、狭さくデバイスのクランプ部材5、6は、卵管を完全に閉鎖することなく壁部8を狭さくさせ、それによって、卵管内の流れが制限され、制御デバイス4は、狭さくした壁部を卵管の下流側または上流側方向に徐々に刺激して壁部8を徐々に収縮させ、卵管内で卵を移動させるように電気部材7を制御する。
【0190】
第2の協働オプションによれば、狭さくデバイスは、壁部を狭さくさせ、したがって、卵管内の流れが制限され、制御デバイス4は、狭さくした壁部8を刺激して壁部8の上流側端部または下流側端部の所で卵管を閉鎖するように、細長いクランプ部材5、6の一方の端部の所のいくつかの電気部材7を制御する。卵管をこのように閉鎖した状態で、制御デバイス4は、壁部の狭さくを強め、それによって卵管内の卵を壁部8の上流側または下流側に移動させるように狭さくデバイスを制御する。
【0191】
第2の協働オプションを実施する本発明の他の実施形態では、狭さくデバイスは、壁部を狭さくさせ、したがって、卵管内の流れが制限され、制御デバイス4は、狭さくした壁部を刺激するように刺激デバイスを制御し、一方、狭さくデバイスが、壁部のそれぞれの異なる領域の狭さくを変化させ、したがって、壁部は、卵管の下流側または上流側方向に徐々に狭さくしていく。図16A図16Eは、壁部8にそのそれぞれの側である長さにわたって当接する凸状表面107、108を有する細長い2つの狭さく部材105、106と、凸状表面107、108上に位置する多数の電気部材7(電極など)とを含む狭さくデバイス104を備えるこのような他の実施形態のそれぞれの異なる動作段階を示している。制御デバイス4は、狭さくデバイス104の動作時に電気部材7を制御し、図16A図16Dを見ると分かるように、細長い狭さく部材105、106を、管状壁部8に対して移動し、したがって、狭さく部材105、106が壁部8を徐々に狭さくさせるように制御する。
【0192】
したがって、図16Aに示されている狭さく部材105、106の初期位置では、壁部は狭さく部材105、106によって狭さくされず、電気部材7は通電されない。この初期位置から、制御デバイス4は、図16Bを見ると分かるように、狭さく部材105、106の左側端部を壁部の方へ(矢印で示されている)揺動させて管状壁部8を狭さくさせるように狭さく部材105、106を制御し、一方、電気部材7を通電し、したがって、壁部8に接触する電気部材7が壁部8を収縮させる。図16Cは、管状壁部8の卵管が厚くなった壁部8によって完全に閉鎖された状態を示している。次に、図16Cに示されているように、制御デバイス4は、狭さく部材105、106の右側端部が互いの方へ移動し(矢印で示されている)、一方、図16Dを見ると分かるように、狭さく部材105、106の凸状表面107、108が、狭さくした壁部8を間に挟んで互いに転動するように狭さく部材105、106を制御する。その結果、器官の卵管内の体物質は右側に押し出される(白い矢印で示されている)。狭さく部材105、106が、図16Eに示されている位置まで互いに転動すると、制御デバイス4は、狭さく部材105、106の右側端部を互いに離れる方向へ(図16Eの矢印で示されている)、図16Aに示されている初期位置まで移動するように制御する。図16A図16Eによって説明した動作段階は、所望の量の体物質が器官の卵管内を蠕動しながら移動するまで数回にわたって循環的に繰り返すことができる。
【0193】
あるいは、狭さく部材105、106のうちの一方のみに凸状表面を設け、一方、他の狭さく部材が、壁部に当接する平面状表面を有してもよい。器官の管状部分8を患者の骨に押し付ける凸状表面を含む単一の狭さく部材を使用することも可能である。
【0194】
図16は、エネルギーが、患者に移植されたシステムのエネルギー消費構成部材に伝送される、本発明のシステムの一般的な実施形態を概略的に示している。図16のシステムは、患者の器官の管状組織壁の一部を軽く狭さくさせ、かつ狭さくした部分のそれぞれの異なる領域を刺激して壁部を収縮させるように動作可能である、移植された狭さく/刺激ユニット110を備えている。狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスは、可逆機能を実行することができ、すなわち、壁部を狭さくさせたり解放したりすることができ、したがって、狭さく/刺激ユニット110は、人工括約筋として機能する。
【0195】
エネルギー源111は、狭さく/刺激ユニット110のエネルギー消費構成部材に電力供給線112を介してエネルギーを供給するように構成されている。無線リモート・コントロール、またはエネルギー源からのエネルギーの供給のオンとオフを切り替えるように患者によって操作可能な皮下移植されたスイッチを設けることができる。エネルギー源は、移植可能な永久電池または再充電可能な電池であってよく、あるいは狭さく/刺激ユニットのエネルギー消費構成部材に無線エネルギーを伝送するように患者によって直接操作可能であるかまたは患者によって操作可能なリモート・コントロールによって制御することができる外部エネルギー伝送デバイスに含めることができる。あるいは、エネルギー源は、移植可能で再充電可能な電池と、外部エネルギー伝送デバイスと、外部エネルギー伝送デバイスによって伝送された無線エネルギーを移植可能で再充電可能な電池に充電される電気エネルギーに変換する移植可能なエネルギー変換デバイスの組合せを備えてよい。
【0196】
図17は、患者に移植されたいくつかの部分と、患者の体外に配置された他の部分とを有する、図16の一般的な実施形態の特殊な実施形態を示している。したがって、図17では、患者の皮膚109の右側に配置されたすべての部分は移植されており、皮膚109の左側に配置されたすべての部分は患者の体外に配置されている。システムの移植されたエネルギー変換デバイス111Aは、狭さく/刺激ユニット110のエネルギー消費構成部材に電力供給線112を介してエネルギーを供給するように構成されている。システムの外部エネルギー伝送デバイス111は、移植されたエネルギー変換デバイス111Aに組み込まれた単一の受信器によって受信された無線信号を送信する無線リモート・コントロールを含んでいる。移植されたエネルギー変換デバイス111Aは、信号からのエネルギーを電気エネルギーに変換し、電気エネルギーは電力供給線112を介して狭さく/刺激ユニット110に供給される。
【0197】
図17のシステムは、システムの移植されたエネルギー消費構成部材を通電する移植された再充電可能な電池も含んでよい。この場合、移植されたエネルギー変換デバイス111Aはまた、信号からのエネルギーを電気エネルギーに変換したときに電池に電気エネルギーを充填する。
【0198】
マイクロプロセッサのような、電気スイッチ114の形をした反転デバイスが、患者に移植され、狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスを反転させる。外部エネルギー変換デバイス113の無線リモート・コントロールは、エネルギーを送る無線信号を送信し、移植されたエネルギー変換デバイス111Aは、無線エネルギーを、スイッチ114を動作させる電流に変換する。電流の極性がエネルギー変換デバイス111Aによって変化すると、スイッチ114は、狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスによって実行される機能を反転させる。
【0199】
図18は、エネルギー変換デバイス111Aと、狭さく/刺激ユニット110と、狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスを動作させるモータ115の形をした移植された操作デバイスとを含む本発明の実施形態を示している。モータ115は、エネルギー変換デバイス113のリモート・コントロールがエネルギー変換デバイス111Aの受信器に無線信号を送信したときにエネルギー変換デバイス111Aからのエネルギーによって駆動される。
【0200】
図19は、エネルギー変換デバイス111Aと、狭さく/刺激ユニット110と、モータ/ポンプ・ユニット117および流体リザーバ118を含む移植された組立体116とを含む本発明の実施形態を示している。この場合、狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスは油圧操作され、すなわち、モータ/ポンプ・ユニット117によって油圧流体がリザーバ118から狭さく/刺激ユニット110に送られて壁部が狭さくし、モータ/ポンプ・ユニット117によって油圧流体が逆に狭さく/刺激ユニット110からリザーバ118に送られて壁部が解放される。移植されたエネルギー変換デバイス111Aは、無線エネルギーを電流に変換してモータ/ポンプ・ユニット117を駆動する。
【0201】
図20は、必要に応じてモータ115を反転させるように制御ユニット122を制御する外部エネルギー伝送デバイス113と、狭さくデバイスが油圧操作される狭さく/刺激ユニット110と、移植されたエネルギー変換デバイス111Aとを備え、移植された油圧流体リザーバ119と、移植されたモータ/ポンプ・ユニット120と、油圧弁シフト・デバイス121の形をした移植された反転デバイスと、別個の外部無線リモート・コントロール111Bとをさらに備える本発明の実施形態を示している。モータ/ポンプ・ユニット120のモータは電気モータである。移植されたエネルギー変換デバイス111Aは、外部エネルギー伝送デバイス113の無線リモート・コントロールからの制御信号に応答して、制御信号によって送られたエネルギーからのエネルギーによってモータ/ポンプ・ユニット120を駆動し、それによって、モータ・ポンプ・ユニット120は、リザーバ119と狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスとの間で油圧流体を分散させる。リモート・コントロール111Bは、モータ/ポンプ・ユニット120によって流体がリザーバ119から狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスに送られて壁部が狭さくする一方向と、モータ/ポンプ・ユニット120によって流体が逆に狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスからリザーバ119に送られて壁部が解放される、他の逆の方向との間で油圧流体の流れ方向を変化させる。
【0202】
図21は、エネルギー変換デバイス111Aと狭さく/刺激ユニット110とを含む本発明の実施形態を示している。制御ユニット122、アキュムレータ123、コンデンサ124も患者に移植されている。別個の外部無線リモート・コントロール111Bは制御ユニット122を制御する。制御ユニット122は、エネルギーを狭さく/刺激ユニット110に供給するアキュムレータ123に電気エネルギーを蓄積するようにエネルギー変換デバイス111Aを制御する。制御ユニット122は、無線リモート・コントロール111Bからの制御信号に応答して、アキュムレータ123から電気エネルギーを放出させ、放出されたエネルギーを電力線を介して伝送するか、あるいはエネルギー変換デバイス111Aからの電気エネルギーを、電流を安定させるコンデンサ124を介して直接伝送して、狭さく/刺激ユニット110を動作させる。
【0203】
一代替実施形態によれば、図21の実施形態のコンデンサ124を省略することができる。他の代替実施形態によれば、この実施形態のアキュムレータ123を省略することができる。
【0204】
図22は、エネルギー変換デバイス111Aと狭さく/刺激ユニット110とを含む本発明の実施形態を示している。狭さく/刺激ユニット110を動作させるエネルギーを供給する電池125および狭さく/刺激ユニット110の動作を切り替える電気スイッチ126も患者に移植される。スイッチ126は、エネルギー変換デバイス111Aから供給されるエネルギーによって操作され、電池125が使用されないオフ・モードから、電池125が狭さく/刺激ユニット110を動作させるエネルギーを供給するオン・モードに切り替わる。
【0205】
図23は、制御ユニット122も患者に移植されることを除いて、図43の実施形態と同一の本発明の実施形態を示している。別個の外部無線リモート・コントロール111Bは制御ユニット122を制御する。この場合、スイッチ126は、無線リモート・コントロール111Bが制御ユニット122を制御するのを妨げられ、かつ電池125が使用されないオフ・モードから、無線リモート・コントロール111Bが、電池125から電気エネルギーを放出させて狭さく/刺激ユニット110を動作させるように制御ユニット122を制御するのが可能になる待機モードに切り替わるように、エネルギー変換デバイス111Aから供給されるエネルギーによって動作させられる。
【0206】
図24は、電池125がアキュムレータ123で置き換えられ、移植された各構成部材が異なるように相互連結されることを除いて、図44の実施形態と同一の本発明の実施形態を示す図である。この場合、アキュムレータ123はエネルギー変換デバイス111Aからのエネルギーを蓄積する。移植された制御ユニット122は、無線リモート・コントロール111Bからの制御信号に応答して、アキュムレータ123が使用されないオフ・モードから、アキュムレータ123が狭さく/刺激ユニット110を動作させるエネルギーを供給するオン・モードに切り替わるようにスイッチ126を制御する。
【0207】
図25は、電池125も患者に移植され、移植された各構成部材が異なるように相互連結されることを除いて、図45の実施形態と同一の本発明の実施形態を示している。移植された制御ユニット122は、無線リモート・コントロール111Bからの制御信号に応答して、スイッチ126を動作させるエネルギーを供給し、電池125が使用されないオフ・モードから、電池125が狭さく/刺激ユニット110を動作させる電気エネルギーを供給するオン・モードに切り替わるように、コンデンサであってよいアキュムレータ123を制御する。
【0208】
あるいは、スイッチ126は、無線リモート・コントロール111Bが、電気エネルギーを供給するように電池125を制御するのが妨げられ、かつ電池125が使用されないオフ・モードから、無線リモート・コントロール111Bが、狭さく/刺激ユニット110を動作させる電気エネルギーを供給するように電池125を制御するのが可能になる待機モードに切り替わるように、アキュムレータ123から供給されるエネルギーによって動作させることができる。
【0209】
図26は、モータ115、歯車箱127の形をした機械反転デバイス、および歯車箱127を制御する制御ユニット122も患者に移植されることを除いて、図43の実施形態と同一の本発明の実施形態を示している。別個の外部無線リモート・コントロール111Bは、狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイス(機械的に操作される)によって実行される機能を反転させるように歯車箱127を制御するように、移植された制御ユニット122を制御する。
【0210】
図27は、移植された各構成部材が異なるように相互連結されることを除いて図46の実施形態と同一の本発明の実施形態を示している。したがって、この場合、電池125は、アキュムレータ123、好適にはコンデンサが、スイッチ126を作動させてオン・モードに切り替わったときに制御ユニット122を駆動する。スイッチ126がそのオン・モードにあるとき、制御ユニット122は、狭さく/刺激ユニット110を動作させるエネルギーを供給するかあるいは供給しないように電池125を制御することが可能になる。
【0211】
図28は、モータ115を狭さく/刺激ユニット110に連結する歯車箱127、およびモータ115を駆動するようにエネルギー変換デバイス111Aを制御する制御ユニット122も患者に移植されることを除いて図39の実施形態と同一の本発明の実施形態を示している。必要に応じてモータ115を反転させるように制御ユニット122を制御する別個の外部無線リモート・コントロール111Bが設けられている。
【0212】
任意に、図21に示されているアキュムレータ123を図49の実施形態に設けることができ、この場合、移植された制御ユニット122は、変換されたエネルギーをアキュムレータ123に蓄積するようにエネルギー変換デバイス111Aを制御する。制御ユニット122は、無線リモート・コントロール111Bからの制御信号に応答して、狭さく/刺激ユニット110を動作させるエネルギーを供給するようにアキュムレータ123を制御する。
【0213】
当業者には、図17図28による上記の様々な実施形態を多数の異なる方法で組み合わせることができることが認識されよう。たとえば、エネルギー操作スイッチ114を図18図21図28の実施形態のいずれかに組み込むことができ、油圧シフト・デバイス121を図21の実施形態に組み込むことができ、歯車箱127を図39の実施形態に組み込むことができる。スイッチ114は、切り替えができるように構成された電子構成部材、たとえばマイクロプロセッサやFGPA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)を含む種類のスイッチであってよい。あるいは、患者によって「オン」と「オフ」が手動で切り替えられる、皮下移植された押しボタンでエネルギー操作スイッチ114を置き換えることができる。
【0214】
あるいは、図38図49に示されている実施形態のエネルギー変換デバイス111Aを永久電池または再充電可能な電池で置き換えることができる。
【0215】
図29は、狭さく/刺激ユニット110を制御する本発明のシステムのリモート・コントロールの基本部品を示している。この場合、狭さく/刺激ユニットの刺激デバイスは、電気パルスによって壁部を刺激する。リモート・コントロールは、100kHz~1gHz程度の高周波数であることが多い電磁波信号の、患者の皮膚132を通した無線送信に基づくものである。図29では、皮膚132の左側に配置されたすべての部品は患者の体外に配置されており、皮膚132の右側に配置されたすべての部品は移植されている。
【0216】
外部信号送信デバイス133は、皮膚132の近くに移植された信号受信デバイス134の近くに位置する。この代わりに、信号受信デバイス134を、たとえば患者の腹部の内側に配置することができる。信号受信デバイス134は、非常に細いワイヤが巻かれ、コンデンサによって特定の高周波数に調整される、直径約1mm~100mm、好ましくは25mmのコイルを備えている。信号受信デバイス134が、患者の皮膚の下に移植される場合は小さなコイルが選択され、患者の腹部に移植される場合は大きなコイルが選択される。信号送信デバイス133は、信号受信デバイス134のコイルとほぼ同じサイズを有するが、必要なより大きな電流に対処できる太いワイヤが巻かれたコイルを備えている。信号送信デバイス133のコイルは、信号受信デバイス134のコイルと同じ特定の高周波数に調整される。
【0217】
信号送信デバイス133は、電力増幅器および信号受信デバイス134を介して、移植された制御ユニット135にデジタル情報を送信するように構成されている。誤って無作為の高周波数場が制御コマンドをトリガするのを回避するために、デジタル信号コードが使用される。信号送信デバイス133上に配置された従来のキーパッドは、狭さく/刺激ユニットの制御のためのデジタル信号を送信するように信号送信デバイス133に指示するのに使用される。信号送信デバイス133は、高周波数信号を生成することによってコマンドを開始する。しばらくして、信号が制御システムの移植された部分を通電すると、コマンドが送信され、狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスが事前に定義されたステップで動作する。コマンドは、以下に示す形態のデジタル・パケットとして送信される。
開始パターン、8ビット コマンド、8ビット カウント、8ビット チェックサム、8ビット
【0218】
コマンドは、かなり長時間にわたって(たとえば約30秒以上)連続的に送信される。新しい狭さくステップまたは解放ステップが必要である場合、カウント・バイトが1だけ増加され、移植された制御ユニット135が、信号送信デバイス133によって他のステップが要求されたことを復号して理解するのが可能になる。デジタル・パケットのいずれかの部分に誤りがある場合、その内容は単に無視される。
【0219】
移植された付勢(エナジャザ)ユニット137は、信号受信デバイス134によって受信された高周波数電磁波信号から線136を通じてエネルギーを引き出す。付勢ユニット137は、大型コンデンサなどのエネルギー源にエネルギーを蓄積し、制御ユニット135を駆動し、線138を介して狭さく/刺激ユニット110を駆動する。
【0220】
制御ユニット135は、復調器とマイクロプロセッサとを備える。復調器は、信号送信デバイス133から送信されたデジタル信号を復調する。マイクロプロセッサは、デジタル・パケットを受信して復号し、信号線139を介して制御信号を送信し、受信されたコマンド・コードに応じて患者の器官の壁部を狭さくさせるかあるいは解放するように狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスを制御する。
【0221】
図30は、無線エネルギーが電流に変換される本発明の実施形態の回路を示している。回路の外部構成部材は、マイクロプロセッサ140と、信号生成機構141と、それに接続された電力増幅器142とを含んでいる。マイクロプロセッサ140は、信号発生器141のオン/オフを切り替え、かつ信号発生器141によって生成された信号をデジタル・コマンドによって変調するように構成されている。電力増幅器142は、信号を増幅し、増幅した信号を外部信号送信アンテナ・コイル143に送信する。アンテナ・コイル143は、コンデンサ144に並列して接続され、信号発生器141によって生成された周波数に調整される共振回路を形成する。
【0222】
回路の移植された構成部材は、送信アンテナ・コイル143と同じ周波数に調整された共振回路を共に形成する信号受信アンテナ・コイル145とコンデンサ146とを含んでいる。信号受信アンテナ・コイル145は、受信された高周波数電磁波から電流を誘導し、整流ダイオード147は、蓄積コンデンサ148を充電する誘導された電流を整流する。蓄積コンデンサ148は、モータ149を駆動し、狭さく/刺激ユニット110の狭さくデバイスを駆動する。アンテナ・コイル145とダイオード147との間に接続されたコイル150は、コンデンサ148およびダイオード147が信号受信アンテナ145の回路により高い周波数で負荷を与えるのを防止する。したがって、コイル150は、コンデンサ148を充電し、かつ振幅変調を使用してデジタル情報を送信するのを可能にする。
【0223】
並列接続されたコンデンサ151および抵抗器152と、ダイオード153とは、振幅変調されたデジタル情報を検出するのに使用される検出器を形成する。接地を介して抵抗器154に直列接続されたコンデンサ156に直列接続された抵抗器155に直列接続された抵抗器154と、一方の端子が抵抗器154、155間に接続され、他方の端子がダイオード153と、コンデンサ151および抵抗器152によって形成される回路との間に接続されたコンデンサ157とによってフィルタ回路が形成される。フィルタ回路は、望ましくない低周波数および高周波数を除外するために使用される。検出され除外された信号は、デジタル情報を復号し、かつトランジスタ160、161、162、および163を備えるHブリッジ159を介してモータ149を制御する移植されたマイクロプロセッサ158に送られる。モータ149は、Hブリッジ159によって互いに逆の2つの方向に駆動することができる。
【0224】
マイクロプロセッサ158は、蓄積コンデンサ148内の蓄積されたエネルギーの量も監視する。マイクロプロセッサ158は、信号を送信してモータ149を作動させる前に、蓄積コンデンサ148に蓄積されているエネルギーが十分であるかどうかを検査する。蓄積されているエネルギーが要求された動作を実行するのに十分なエネルギーではない場合、マイクロプロセッサ158は、モータ149を作動させる前に、受信された信号が蓄積コンデンサ148を充填するのを待つ。
【0225】
あるいは、蓄積コンデンサ148に蓄積されているエネルギーをスイッチを駆動するためだけに使用してもよく、かつ比較的高い容量を有する移植された他のエネルギー源、たとえば電池から、モータ149を駆動するエネルギーを得ることができる。この場合、スイッチは、蓄積コンデンサ148によって駆動されたときにオン・モードで電池をモータ149に接続し、駆動されないときには待機モードで電池をモータ149から切り離したままにしておくように構成される。
【0226】
本発明について現在最も実際的で好ましい実施形態と考えられるものに関連して説明したが、本発明が開示された実施形態に限定されず、逆に、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる様々な変形例および均等な構成を対象とするものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0227】
2 狭さくデバイス; 5,6 クランプ部材; 8 管状壁部; 22 油圧チャンバ; 23 リザーバ; 24a, 24b 導管; 25 2方向ポンプ; 26 管状ハウジング; 27 狭さくデバイス; 28 クランプ部材; 31 卵管; 32 無線リモート・コントロール; 33 内部制御ユニット; 34 操デバイス; 35 エネルギー源; 36 センサ。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7K
図7L
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30