(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】排気管
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20240611BHJP
F01N 1/04 20060101ALI20240611BHJP
F01N 1/02 20060101ALI20240611BHJP
F01N 13/14 20100101ALI20240611BHJP
【FI】
F01N13/08 A ZHV
F01N1/04 E
F01N1/02 K
F01N13/14
(21)【出願番号】P 2021144190
(22)【出願日】2021-09-03
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松井 俊介
(72)【発明者】
【氏名】貝沼 克彦
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-266844(JP,A)
【文献】特開平11-264317(JP,A)
【文献】実開昭56-169417(JP,U)
【文献】特開2010-169003(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2583462(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
F01N 1/04
F01N 1/02
F01N 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重管構造の排気管であって、
内部を排気ガスが通過する内管と、
前記内管の外周を囲うように配置される外管と、
前記外管と前記内管との間に配置される保持部材と、
を備え、
前記内管は、排気ガスの流れ方向に並ぶ第1内管と第2内管とを有し、前記第1内管の前記第2内管側の端部が前記第2内管に挿入されるように配置され、
前記保持部材は、前記第1内管と前記第2内管との間に形成された隙間に配置される第1保持部と、前記第1内管と前記外管との間に形成された隙間に配置される第2保持部と、を少なくとも有し、
前記第1保持部は、前記流れ方向と直交する平面における単位面積当たりの排気ガスの通過量が前記第2保持部よりも少ない、排気管。
【請求項2】
請求項1に記載の排気管であって、
前記第1保持部と前記第2保持部とは、連結され、
前記第2保持部は、前記第2内管によって前記流れ方向において下流側への移動が規制されるように形成される、排気管。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気管であって、
前記流れ方向において上流側に位置する前記第1内管又は前記第2内管の上流に連結する連結パイプと、前記連結パイプの外周を囲うように配置され、前記外管の上流に連結する外郭部材と、を更に備え、
前記外郭部材と前記連結パイプとの間には、空間を有する、排気管。
【請求項4】
請求項3に記載の排気管であって、
前記連結パイプは、当該連結パイプの内側と外側とを連通する連通孔を有する、排気管。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の排気管であって、
前記外郭部材と前記連結パイプとの間の空間には、吸音材が配置される、排気管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
文献1には、外管の内側に配置される第1内管の開口端が、外管の内側に配置される第2内管の開口端に挿入され、第2内管の開口端を覆うように第2内管の内周から外周に連続する緩衝材が配置される二重管型排気マニホールドが開示されている。この緩衝材は、第1内管及び第2内管の熱膨張差と、第2内管及び外管の熱膨張差と、による擦れ音の発生等を抑制するために、第1内管と第2内管との間に形成される隙間、及び、第2内管と外管との間に形成される隙間に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような二重管構造の部材に配置される緩衝材では、内管同士及び第2内管と外管とのスライド性を高めると排気ガスのシール性が低下しやすく、排気ガスのシール性を高めると管同士のスライド性が低下しやすくなる。このため、緩衝材において、管同士のスライド性と、排気ガスのシール性と、の両立が難しいという問題があった。
【0005】
本開示の一局面は、内管及び外管の熱膨張差による影響を低減しやすく、かつ、内管のシール性を向上させることができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、二重管構造の排気管であって、内管と、外管と、保持部材と、を備える。内管は、内部を排気ガスが通過する。外管は、内管の外周を囲うように配置される。保持部材は、外管と内管との間に配置される。内管は、排気ガスの流れ方向に並ぶ第1内管と第2内管とを有し、第1内管の第2内管側の端部が第2内管に挿入されるように配置される。保持部材は、第1内管と第2内管との間に形成された隙間に配置される第1保持部と、第1内管と外管との間に形成された隙間に配置される第2保持部と、を少なくとも有する。第1保持部は、排気ガスの流れ方向と直交する平面における単位面積当たりの排気ガスの通過量が第2保持部よりも少ない。
【0007】
このような構成では、排気管の径方向において第2内管よりも内側に位置する第1内管と外管との間に形成された隙間に第2保持部が配置される。このため、第2保持部は、第1内管を外管に対してスライド可能に保持しつつ、第1内管と外管との間の隙間を保持するスペーサとして機能し得る。また、第1内管と第2内管との間に形成された隙間に、排気ガスの流れ方向と直交する平面における単位面積当たりの排気ガスの通過量が第2保持部よりも少ない第1保持部が配置される。このため、第1保持部によって、第1内管と第2内管との間の隙間から外管と内管との間の隙間へ排気ガスが漏れにくくなる。したがって、内管及び外管の熱膨張差による影響を低減しやすく、かつ、内管のシール性を向上させることができる。
【0008】
本開示の一態様では、第1保持部と第2保持部とは、連結され、第2保持部は第2内管によって排気ガスの流れ方向において下流側への移動が規制されるように形成されてもよい。このような構成では、第1内管と第2内管との間に形成された隙間に配置される第1保持部と、第1保持部よりも厚みが厚い第2保持部と、が連結されて一体に形成される。このため、例えば第1保持部が排気ガスの流れ方向に沿って移動した場合にも、第2保持部が第2内管に当接することによって第1保持部の第2内管側に向かう移動が規制される。これにより、保持部材が内管又は外管に固定されていなくても、保持部材が内管内へ脱落しにくくなる。したがって、溶接等による保持部材の内管又は外管への固定を要しない。
【0009】
本開示の一態様は、連結パイプと、外郭部材と、を更に備えてもよい。連結パイプは、排気ガスの流れ方向において上流側に位置する第1内管又は第2内管の上流に連結する。外郭部材は、連結パイプの外周を囲うように配置され、外管の上流に連結する。外郭部材と連結パイプとの間には、空間を有してもよい。このような構成によれば、外郭部材と連結パイプとの間の空間の空気層及び排気管の下流側に位置する内管と外管との間の空間の空気層によって、広範囲で輻射熱が低減可能である。これにより、外郭部材及び排気管の近傍に、例えばバッテリーのような温度上昇が好ましくない装置が配置された場合にも、当該装置への熱害を低減することができるため、当該装置の設置可能な範囲が拡大する。その結果、バッテリーが搭載される例えばハイブリッド車両において、外郭部材及び排気管の近傍に配置されるバッテリーの拡大が可能である。
【0010】
本開示の一態様では、連結パイプは、当該連結パイプの内側と外側とを連通する連通孔を有してもよい。このような構成によれば、連結パイプに設けられる連通孔によって、連結パイプ内の排気ガスが連通孔を通って外郭部材と連結パイプとの間の空間に拡がることにより、拡張による消音効果が得られる。また、連通孔によって、車両のエンジンの脈動に起因する音を抑制することができる。
【0011】
本開示の一態様では、外郭部材と連結パイプとの間の空間には、吸音材が配置されてもよい。このような構成では、内管と外管との間の隙間が第2保持部によって閉塞されている。このため、吸音材が例えばグラスウールにより形成されている場合、排気ガスの流れ方向において下流側に位置する内管と外管との間に形成される隙間へのグラスウールの飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】共鳴二重管の上流側にマフラが連結される構成の消音装置を示す模式的な断面図である。
【
図2】
図1の消音装置におけるマフラと共鳴二重管との連結部分の拡大断面図である。
【
図3】マフラの外郭部材の第2直管部と第1内管との間に形成される隙間に保持部材の第2保持部が配置される構成を示す断面図である。
【
図4】マフラの外郭部材の第2直管部と第1内管との間に形成される隙間、及び、外管と第1内管との間に形成される隙間に保持部材の第2保持部が配置される構成を示す断面図である。
【
図5】共鳴二重管の外管がマフラの外郭部材の内部に挿入される構成の消音装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1に示す消音装置100は、内燃機関の排気ガス流路を構成する排気システムに用いられる排気騒音を低減する装置である。消音装置100は、例えば、バッテリー200が搭載されるハイブリッド車両等に設けられる。なお、消音装置100は、バッテリー200が搭載されない車両に設けられていてもよい。消音装置100は、マフラ1と、共鳴二重管2と、保持部材3と、を備える。
図1に示す例では、消音装置100の近傍に配置されるバッテリー200の形状に合わせて共鳴二重管2が屈曲した形状を有する。本実施形態では、共鳴二重管2の上流側にマフラ1が配置される。
【0014】
マフラ1は、外郭部材11と、第1内管12と、連結パイプ13と、触媒装置14と、上流側コーン15と、を備える。本実施形態では、マフラ1は、排気ガスGを浄化する触媒141を有する触媒装置14と一体に形成されている触媒一体型のマフラである。マフラ1は、第1内管12及び第1内管12に連結する連結パイプ13と、第1内管12及び連結パイプ13の外周面を囲うように配置される外郭部材11と、を備える二重管構造を有する。マフラ1は、外郭部材11と連結パイプ13との間に形成される消音を行うための空間である第1消音空間16を有する。マフラ1は、第1消音空間16によって消音効果を発揮する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、外郭部材11は、当該外郭部材11の下流側の端部がマフラ1の中心軸に向かって縮径するように形成された円筒状の金属製のパイプである。具体的には、外郭部材11は、上流側から順に、第1直管部111と、第1円錐台部112と、第2直管部113と、を有する。第1直管部111及び第2直管部113は、それぞれ直径が変化しない、つまり直管状の部分である。なお、第1直管部111の径は、第2直管部113の径よりも大きい。第1円錐台部112は、第1直管部111の下流側の端部から第2直管部113の上流側の端部に向かって断面積が徐々に縮小する円錐台状の部分である。第1直管部111の内部には、触媒装置14が配置される。第1直管部111の上流側の端部の開口には、マフラ1よりも上流側に配置される排気管と接続する上流側コーン15が設けられている。マフラ1よりも上流側に配置される排気管を流れる排気ガスGが上流側コーン15を介して外郭部材11内に導入される。
【0016】
第1内管12及び連結パイプ13は、内部を排気ガスGが通過する金属製のパイプである。第1内管12及び連結パイプ13は、外郭部材11内において、排気ガスGの流れ方向に並ぶように配置される。第1内管12は、連結パイプ13よりも下流側に配置される。
【0017】
第1内管12は、直径が変化しない直管状のパイプであり、外郭部材11の第2直管部113の内部に配置される。第2直管部113と第1内管12との間には、第1消音空間16と連通する第1の隙間17が形成される。第1内管12の下流側の端部121は、外郭部材11の第2直管部113の下流側の端部113Aよりも下流側に突出する。つまり、第1内管12の下流側の端部121は、第2直管部113に囲われないように配置される。
【0018】
連結パイプ13は、第3直管部131と、第2円錐台部132と、を有する。第3直管部131は、直径が変化しない、つまり直管状の部分である。第2円錐台部132は、第3直管部131の下流側の端部から第1内管12の上流側の端部に向かって断面積が徐々に縮小する円錐台状の部分である。連結パイプ13は、外郭部材11の第1直管部111及び外郭部材11の第1円錐台部112の内部に配置される。連結パイプ13の上流側の端部は、セパレータ19と連結する。セパレータ19は、排気ガスGの流れ方向に交差、より好ましくは直交するように設けられる壁部191と、壁部191の中央に形成された開口部192と、を有している。開口部192は、下流側に向かうに従って縮径して突出している。開口部192の下流側の端部には、上述した連結パイプ13の上流側の端部が連結される。また、排気ガスGの流れ方向において、セパレータ19の上流側に空間を介して触媒装置14が設けられる。これにより、触媒装置14を通過した排気ガスGがセパレータ19、連結パイプ13及び第1内管12を通ってマフラ1から排出され、共鳴二重管2の内部に導入される。
【0019】
連結パイプ13は、当該連結パイプ13の内側と外側とを連通する1つ以上の孔、好ましくは複数の連通孔133を有する。複数の連通孔133は、連結パイプ13の第3直管部131に形成される。外郭部材11と連結パイプ13との間の第1消音空間16には、グラスウール等の吸音材18が配置される。吸音材18は、複数の連通孔133を覆うように、連結パイプ13の第3直管部131の外周面を少なくとも覆うように配置される。なお、吸音材は、外郭部材11と連結パイプ13との間に形成される第1消音空間16内に充填されていてもよい。
【0020】
共鳴二重管2は、第2内管21と、外管22と、を備える二重管構造の排気管である。共鳴二重管2は、第2内管21と外管22との間に形成される消音を行うための空間である第2消音空間23を有する。共鳴二重管2は、第2消音空間23によって消音効果を発揮する。また、共鳴二重管2は、二重管構造により、排気ガスGの輻射熱が低減可能である。
【0021】
第2内管21は、内部を排気ガスGが通過する金属製のパイプである。具体的には、マフラ1から排出された排気ガスGが、第2内管21における上流側の端部211の開口から第2内管21内に導入され、第2内管21における下流側の端部212の開口から排出される。第2内管21は、上流側の端部211及び下流側の端部212がそれぞれ拡径した形状を有する。
【0022】
外管22は、第2内管21の外周面を囲うように配置される金属製のパイプである。外管22の下流側の端部222は、外管22の内周面が第2内管21の外周面と当接可能に縮径した形状を有する。第2内管21の上流側の端部211と外管22との間には、第2消音空間23と連通する第2の隙間24が形成される。外管22は、排気ガスGの流れ方向において、第2内管21よりも長さを有する。外管22の上流側の端部221は、第2内管21の上流側の端部211よりも外側に突出する。つまり、第2内管21は、外管22の上流側の端部221よりも内側に配置された状態で外管22によって覆われている。
【0023】
図2に示すように、マフラ1の下流側の端部が共鳴二重管2の内部に挿入されることで、マフラ1と共鳴二重管2とが連結される。具体的には、マフラ1の外郭部材11の第2直管部113における下流側の端部113Aが、共鳴二重管2の外管22における上流側の端部221の内部に挿入されるように、外郭部材11と外管22とが重なって配置される。第2直管部113の下流側の端部113Aの外周面と、外管22の上流側の端部221の内周面と、は当接する。外郭部材11の第2直管部113と外管22とが溶接等によって固定されることで、マフラ1と共鳴二重管2との連結が固定される。
【0024】
また、マフラ1の第1内管12における下流側の端部121が、共鳴二重管2の第2内管21における上流側の端部211の内部に挿入されるように、第1内管12と第2内管21とが重なって配置される。第1内管12における下流側の端部121の外周面と、第2内管21における上流側の端部211の内周面と、の間には、第3の隙間25が形成される。また、第1内管12における下流側の端部121の外周面と、外管22の内周面と、の間には、第4の隙間26が形成される。第3の隙間25及び第4の隙間26には、保持部材3が配置される。保持部材3は、外管22に対して、第1内管12及び第2内管21の位置を保持可能である。第1内管12と第2内管21とは、保持部材3によってスライド可能に保持されている。また、第1内管12及び第2内管21と外管22とは、保持部材3によってスライド可能に保持されている。
【0025】
保持部材3は、第3の隙間25及び第4の隙間26において、周方向全体に沿って延びる。具体的には、保持部材3は、第1内管12と第2内管21との間に形成されるリング状の第3の隙間25、及び、第1内管12と外管22との間に形成されるリング状の第4の隙間26を周方向において低減できるように、リング状である。つまり、保持部材3は、第3の隙間25及び第4の隙間26を閉塞するように配置されている。なお、保持部材の形状はリング状に限定されるものではなく、例えば、保持部材は、周方向において、当該保持部材が一部ない領域を有してもよい。保持部材3には、密度の高い材質である、例えばステンレス繊維を成形加工したリング部材、例えばワイヤメッシュが用いられる。なお、保持部材3としてステンレス繊維を用いることで、シール性が向上し、排気ガスGの通過を制限しやすくすることが可能である。
【0026】
保持部材3は、第1保持部31と、第2保持部32と、を有する。第1保持部31は、保持部材3において、第1内管12と第2内管21との間の第3の隙間25に配置される部分である。第2保持部32は、保持部材3において、第1内管12と外管22との間の第4の隙間26に配置される部分である。本実施形態では、第1保持部31と第2保持部32とは、一体に形成されている。保持部材3の第1保持部31は、排気ガスGの流れ方向と直交する平面における単位面積当たりの排気ガスGの通過量が第2保持部32よりも少ない。換言すると、第1保持部31は、単位面積当たりのステンレス繊維の充填密度が第2保持部32よりも高い。これにより、第1保持部31は、第2保持部32と比較して、シール性が向上し、排気ガスGの通過が制限しやすい。
【0027】
例えば、ステンレス繊維の一部を圧縮することによって、圧縮された部分を圧縮されていない部分よりも高い密度とすることで、高密度の部分と、当該部分よりも密度が低い部分と、が一体となった部材を成形することが可能である。つまり、当該方法によって、高密度の第1保持部31及び第1保持部31よりも密度が低い低密度の第2保持部32が一体となった本実施形態の保持部材3を成形することが可能である。このように、ステンレス繊維の一部が圧縮されることによって、圧縮された部分と圧縮されていない部分とに段差が成形されるため、保持部材3は、厚さ方向において段付き形状を有する。つまり、保持部材3において、第2保持部32は、第1保持部31よりも厚みが厚い。なお、第1保持部31と第2保持部32とが一体に形成された保持部材3の形成方法は、上述した方法に限定されるものではなく、例えば、保持部材は、別体の高密度の第1保持部及び低密度の第2保持部を繋ぎ合わせることによって一体に形成されてもよい。
【0028】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)本実施形態では、第1内管12と外管22との間に形成された第4の隙間26に低密度の第2保持部32が配置される。このため、第2保持部32は、第1内管12を外管22に対してスライド可能に保持しつつ、第4の隙間26を保持するスペーサとして機能し得る。また、第1内管12と第2内管21との間に形成された第3の隙間25に、排気ガスGの流れ方向と直交する平面における単位面積当たりの排気ガスの通過量が第2保持部32よりも少ない高密度の第1保持部31が配置される。このため、第1保持部31によって、第3の隙間25から、第2内管21と外管22との間の隙間、具体的には第2の隙間24及び第2消音空間23へ排気ガスが漏れにくくなる。したがって、第1内管12及び第2内管21と外管22との熱膨張差による影響を低減しやすく、かつ、第1内管12及び第2内管21のシール性を向上させることができる。その結果、共鳴二重管2において、ヘルムホルツ共鳴器としての機能を高めることができる。また、共鳴二重管2において、排気ガスによる輻射熱をより低減することができる。
【0029】
(2b)本実施形態では、第1内管12と第2内管21との間に形成された第3の隙間25に配置される第1保持部31と、第1保持部31よりも厚みが厚い第2保持部32と、が一体に形成される。このため、例えば第1保持部31が排気ガスGの流れ方向に沿って移動した場合にも、第2保持部32が第2内管21の上流側の端部211に当接することによって、第1保持部31の第2内管21側に向かう移動が規制される。これにより、保持部材3が、第1内管12の外周面、第2内管21又は外管22の内周面のいずれかの面に溶接等によって固定されていなくても、保持部材3が第2内管21内へ脱落しにくくなる。
【0030】
また、本実施形態では、マフラ1の外郭部材11の第2直管部113における下流側の端部113Aが、共鳴二重管2の外管22における上流側の端部221の内部に挿入される。このため、例えば第2保持部32が排気ガスGの流れ方向とは反対側の方向に沿って移動した場合にも、第2保持部32が第2直管部113における下流側の端部113Aに当接することによって、第2保持部32の第2直管部113側に向かう移動が規制される。したがって、溶接等による保持部材3の固定を要しない。
【0031】
(2c)本実施形態では、マフラ1及び共鳴二重管2が共に二重管構造であるため、広範囲で輻射熱が低減可能である。また、第1内管12が第2内管21の内部に挿入されることで重なって配置され、第1内管12と第2内管21との間に形成される隙間に第1保持部31が配置される。このため、二重管構造における第2内管21と外管22との間の隙間、具体的には第2の隙間24及び第2消音空間23に排気ガスが流入しにくくなり、共鳴二重管2の輻射熱が低減可能である。これにより、マフラ1及び共鳴二重管2の近傍に配置される温度上昇が好ましくないバッテリー200への熱害を低減することができるため、バッテリー200の設置可能な範囲が拡大する。その結果、バッテリー200が搭載される例えばハイブリッド車両において、マフラ1及び共鳴二重管2の近傍に配置されるバッテリー200の拡大が可能である。
【0032】
(2d)本実施形態では、連結パイプ13に複数の連通孔133が設けられる。このため、当該複数の連通孔133によって、連結パイプ13内の排気ガスが複数の連通孔133を通って外郭部材11と連結パイプ13との間の空間、具体的には第1消音空間16に拡がることにより、拡張による消音効果が得られる。また、複数の連通孔133によって、車両のエンジンの脈動に起因する音を抑制することができる。
【0033】
(2e)本実施形態では、第1内管12と外管22との間の第4の隙間26が第2保持部32によって閉塞されている。このため、排気ガスGの流れ方向において下流側に位置する第2内管21と外管22との間の隙間、具体的には第2の隙間24及び第2消音空間23へのグラスウールの飛散を抑制することができる。
【0034】
(2f)本実施形態では、マフラ1が触媒装置14と一体に形成された触媒一体型のマフラであるため、車両の床下における排気システムの省スペース化を図ることができる。
なお、第1内管12、第2内管21及び外管22が排気管の一例に相当する。
【0035】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0036】
(3a)上記実施形態では、保持部材3が有する第2保持部32が、第1内管12と外管22との間の第4の隙間26に配置される構成を例示したが、第2保持部の配置される場所はこれに限定されるものではない。
【0037】
例えば、
図3に示す保持部材3aのように、第2保持部32aは、外郭部材11の第2直管部113と第1内管12との間の第1の隙間17に配置されてもよい。つまり、保持部材3aは、第3の隙間25に配置される第1保持部31と、第1の隙間17に配置される第2保持部32aと、を有してもよい。保持部材3aの第1保持部31は、上記実施形態の保持部材3と同様に、排気ガスGの流れ方向と直交する平面における単位面積当たりの排気ガスGの通過量が第2保持部32aよりも少ない。
【0038】
このような構成では、マフラ1と共鳴二重管2との連結前に、先にマフラ1の外郭部材11における第2直管部113と第1内管12との間に保持部材3aの第2保持部32aを圧入固定させる。このため、マフラ1と共鳴二重管2との連結の際に、保持部材3aをマフラ1側にスポット等により固定しなくても、保持部材3aの第1保持部31が共鳴二重管2へ挿入されやすい。また、このような構成では、保持部材3aの第2保持部32aが、第2直管部113と第1内管12との間の隙間でスペーサとして機能するため、マフラ1と共鳴二重管2との連結の際に、第1内管12が斜めに組み付けられることを抑制することができる。
【0039】
また、例えば、
図4に示す保持部材3bのように、第2保持部32bは、第1内管12と外管22との間の第4の隙間26に加え、外郭部材11の第2直管部113と第1内管12との間の第1の隙間17にまで広がるように配置されてもよい。つまり、保持部材3bは、第3の隙間25に配置される第1保持部31と、第4の隙間26及び第1の隙間17に配置される第2保持部32bと、を有してもよい。第2保持部32bは、第4の隙間26に配置される第3保持部33と、第1の隙間17に配置される第4保持部34と、有する。
【0040】
このような構成では、第1保持部31、第3保持部33及び第4保持部34によって、第1の隙間17、第4の隙間26及び第3の隙間25が閉塞されるため、排気ガスのシール性が更に向上する。その結果、消音装置における断熱性を更に向上させることができる。また、このような構成では、マフラ1と共鳴二重管2との連結前に、先にマフラ1の外郭部材11における第2直管部113と第1内管12との間に保持部材3bの第4保持部34を圧入固定させる。このため、マフラ1と共鳴二重管2との連結の際に、保持部材3bをマフラ1側にスポット等により固定しなくても、保持部材3bの第1保持部31及び第3保持部33が共鳴二重管2へ挿入されやすい。また、このような構成では、第3保持部33が第2直管部113と第1内管12との間の隙間でスペーサとして機能し、第4保持部34が外管22と第1内管12との間の関間でスペーサとして機能する。このため、マフラ1と共鳴二重管2との連結の際に、第1内管12が斜めに組み付けられることを更に抑制することができる。
【0041】
(3b)上記実施形態では、マフラ1と共鳴二重管2との連結部分において、マフラ1の外郭部材11の第2直管部113における下流側の端部113Aが、共鳴二重管2の外管22における上流側の端部221の内部に挿入される構成を例示した。しかし、マフラ1と共鳴二重管2との連結方法はこれに限定されるものではない。例えば、
図5に示す消音装置100cのように、共鳴二重管2の外管22における上流側の端部221が、マフラ1cの外郭部材11cの第2直管部113cにおける下流側の端部113Cの内部に挿入される構成であってもよい。このように、マフラと共鳴二重管との連結方法は限定されないため、外郭部材と外管とが溶接等によって固定される場合に、マフラ側からの溶接パターン又は共鳴二重管側からの溶接パターンなど、保有している設備によって、連結方法を変えて溶接に対応することができる。
【0042】
(3c)上記実施形態では、第1保持部31と第2保持部32とが一体形成される構成を例示したが、第1保持部31と第2保持部32とは、別体に形成されていてもよい。
(3d)上記実施形態では、触媒装置14と一体に形成されている触媒一体形のマフラ1を例示したが、マフラの構成はこれに限定されるものではない。例えば、マフラは、触媒装置14と別体に形成されていてもよい。
【0043】
(3e)上記実施形態では、連結パイプ13に複数の連通孔133が設けられる構成を例示したが、連結パイプは複数の連通孔を有しない構成であってもよい。
(3f)上記実施形態では、外郭部材11と連結パイプ13との間の第1消音空間16には、グラスウール等の吸音材18が配置される構成を例示したが、第1消音空間16に吸音材が配置されない構成であってもよい。
【0044】
(3g)連結パイプ13と第1内管12とは、一体でも別体であってもよい。
(3h)上記実施形態では、二重管構造のマフラ1を例示したが、マフラは、第1消音空間16を有する二重管構造以外の構成であってもよい。例えば、マフラは、管状以外の形状である筐体と排気管とを備え、当該筐体内に第1消音空間を有する構成であってもよい。
【0045】
(3i)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0046】
1,1c…マフラ、2…共鳴二重管、3,3a,3b…保持部材、11,11c…外郭部材、12…第1内管、13…連結パイプ、14…触媒装置、15…上流側コーン、16…第1消音空間、17…第1の隙間、19…セパレータ、24…第2の隙間、25…第3の隙間、26…第4の隙間、18…吸音材、21…第2内管、22…外管、23…第2消音空間、31…第1保持部、32,32a,32b…第2保持部、33…第3保持部、34…第4保持部、100,100c…消音装置、111…第1直管部、112…第1円錐台部、113,113c…第2直管部、133…連通孔、131…第3直管部、113A,113C,121,211,212,221,222…端部、132…第2円錐台部、141…触媒、191…壁部、192…開口部、200…バッテリー。