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特許7502242状態を予防及び治療するための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】状態を予防及び治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20240611BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240611BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20240611BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20240611BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/06
A61K8/892
A61K8/63
A61K8/37
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021148800
(22)【出願日】2021-09-13
(62)【分割の表示】P 2020551787の分割
【原出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2021191791
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】62/607,286
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/609,127
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520217065
【氏名又は名称】アンセラ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ANSELLA THERAPEUTICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】クリシオネ、ジェイソン エム.
【審査官】今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-206573(JP,A)
【文献】特許第5474768(JP,B2)
【文献】特表2003-528821(JP,A)
【文献】特表2008-539176(JP,A)
【文献】特許第6945083(JP,B2)
【文献】特表2007-534661(JP,A)
【文献】特表2009-524609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧組成物の調製方法であって、
水相を調製すること、
シリコーン相を調製すること、
前記水相を前記シリコーン相へ加えること、
シリコーン油中水型エマルションが形成されるまで合わせた相を混合することを備え、前記化粧組成物は、当該化粧組成物の45%~55%の連続シリコーン相と水相を有する安定なシリコーン油中水型エマルションを含み、前記シリコーン相は、シリコーン油およびシリコーンガムによって形成され、前記シリコーン油は、ジメチコーンを含み、前記化粧組成物の35重量%から40重量%であり、前記シリコーンガムは、ジメチコノールとジメチコーンの混合物を含み、前記化粧組成物の10重量%~15重量%であり、前記エマルションが、非シリコーン乳化剤を含み、前記非シリコーン乳化剤は、コレステロールまたはコレステロール誘導体を前記化粧組成物の全重量の0.1重量%~4重量%までの濃度で含み、且つソルビタンエステルを含み、前記化粧組成物がシリコーン系乳化剤を利用せず、前記化粧組成物のpHは3~5である、化粧組成物の調製方法。
【請求項2】
前記化粧組成物がグリコーゲンをさらに含む、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記化粧組成物が、200~500mOsm/kgのモル浸透圧濃度を有する、請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
少なくとも1つの共乳化剤をさらに含む、請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
前記共乳化剤が、ステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノパルミテート、ポリオキシエチレンモノオレエート、レシチン、オクチルドデカノール、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酸化エチレン)-ポリ(酸化プロピレン)-ポリ(酸化エチレン)トリブロックコポリマー、ポリ(アクリル酸)、イソプロピルミリステートの少なくとも1つを含む、請求項に記載の調製方法。
【請求項6】
化粧組成物の45%~55%の連続シリコーン相と水相を有する安定なシリコーン油中水型エマルションを含む化粧組成物であって、前記シリコーン相は、シリコーン油およびシリコーンガムによって形成され、前記シリコーン油は、ジメチコーンを含み、前記化粧組成物の35重量%から40重量%であり、前記シリコーンガムは、ジメチコノールとジメチコーンの混合物を含み、前記化粧組成物の10重量%~15重量%であり、前記エマルションが、非シリコーン乳化剤を含み、前記非シリコーン乳化剤は、コレステロールまたはコレステロール誘導体を前記化粧組成物の全重量の0.1重量%~4重量%までの濃度で含み、且つソルビタンエステルを含み、前記化粧組成物がシリコーン系乳化剤を利用せず、前記化粧組成物のpHは3~5である、化粧組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年12月21日出願の米国仮出願番号第62/609,127号及び2017年12月18日出願の同第62/607,286号の利益を享受し、これらの内容を全て本明細書に参照として組み込む。
【0002】
本発明は、対象における外陰膣適用及びその他の状態のための組成物、方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0003】
潤滑性を提供する及び/又は皮膚及び他の組織を損傷及び/又は感染から保護するために様々な組成物が必要とされる。このような組成物は、単独であるいは1以上の活性薬剤及び/又は生物活性剤と共に用いると有用であり、その場合、組成物はドラッグデリバリー担体(例えば、経皮ドラッグデリバリー担体)として役立つ。
【0004】
さらに、外陰膣ヘルスは、この技術分野のたいていの市場が、特に市販品もしくは処方箋なしで購入可能な製品に関して、ほとんど画一的であるため、依然として見落とされたメディカルニーズとなっている。このため、閉経前から閉経後までの全ての層にわたる婦人科患者であって、1以上の外陰膣疾患を患っている患者は多くの場合、好ましくない製品特性を通常有している処方製品又はレジメンで治療され、特性としては、(1)単回投与による不十分な有効持続期間、(2)生理学的うっ滞の不十分な回復、(3)好ましくない副作用、及び(4)防護できない健康リスクがあげられる。
【0005】
したがって、潤滑性を提供し、皮膚及び他の組織を保護し、及び/又はドラッグデリバリーを促す様々な組成物がいまだ必要である。特に、多数の外陰膣の健康状態に関して、外陰膣の症状緩和を提供できる、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療できる、又は外陰膣組織を予防的に保護できる組成物及び製剤が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
とりわけ、潤滑性を提供し、皮膚、粘膜及び他の組織を保護し、そしてドラッグデリバーを促す組成物、製剤及び方法が本明細書に提示される。重度外陰膣の及び他の状態の症状を治療、予防、及び/又は軽減するための組成物、製剤及び方法も提示される。対象の外陰膣の症状緩和を提供する、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は外陰膣組織を予防的に保護するように設計された外陰膣組成物が本明細書に提示される。いくつかの実施態様において、外陰膣組成物は、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール及び活性薬剤のうち少なくとも1つとを含む。他の実施態様において、外陰膣組成物は、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール及び活性薬剤のうち少なくとも1つとからなる。他の実施態様において、外陰膣組成物は、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール及び活性薬剤のうち少なくとも1つとから本質的になる。
【0007】
皮膚を治療又は保護する組成物、製剤及び方法も提示される。対象の皮膚に治療又は保護を提供するように設計された皮膚科学的組成物が本明細書に提示される。いくつかの実施態様において、皮膚科学的組成物は、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール、セラミド及び活性薬剤のうち少なくとも1つとを含む。他の実施態様において、皮膚科学的組成物は、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール、セラミド及び活性薬剤のうち少なくとも1つとからなる。他の実施態様において、皮膚科学的組成物は、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール、セラミド及び活性薬剤のうち少なくとも1つとから本質的になる。
【0008】
対象の膣の状態を予防又は治療する方法であって、前記方法が、安定なシリコーン油中水型エマルションを含む組成物を対象に投与することを含み、前記エマルションが、前記エマルションの全重量の約0.1%~約4%までの濃度でステロールを有する、前記方法もまた本明細書に提示される。実施態様において、組成物は、膣中、膣上及び/もしくは膣の周囲、又はこれらのいずれかの組み合わせに投与される。
【0009】
他の実施例において、本明細書に記載の方法は、閉経期、閉経周辺期、閉経後、膣乾燥、性交疼痛症、細菌感染症、ウイルス感染症、又は真菌感染症を含む膣の状態を予防又は治療するために使用される。
【0010】
実施態様において、本明細書に記載の方法は、最大1時間、2時間、3時間、6時間、9時間、12時間、18時間、24時間、48時間、3日間、5日間、7日間又は14日間治療上有効な一日量を提供する。さらに、この方法は、1時間おき、2時間おき、3時間おき、6時間おき、9時間おき、12時間おき、18時間おき、24時間おき、48時間おき、3日おき、5日おき、7日おき、又は14日おきに組成物を投与することを含む。
【0011】
水、pH緩衝系、少なくとも1つの活性薬剤又は生物活性剤、及び保存料を含む水相を調製すること、シリコーン油、シリコーンガム、並びにステロール、脂肪酸、トコフェロール及び保存料を含むシリコーン相を別個に調製すること、水相をシリコーン相へ加えること、及びシリコーン油中水型エマルションが形成されるまで合わせた相を混合することを含む、シリコーン油中水型エマルションを調製する方法であって、組成物の全重量に対して、シリコーン相が組成物の約20~80重量%を占め、そして水相が、組成物の約20~80重量%を占める、前記方法もまた本明細書に提示される。実施態様において、この方法はさらに、水相をシリコーン相へ高せん断混合下で加えることも含み、例えば、高せん断混合はローターステーター式ホモジナイザーを利用する。
【0012】
安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール、及び活性薬剤のうち少なくとも1つとを含む、からなる、又はから本質的になる組成物を対象に投与することを含む、対象の外陰膣の症状緩和を提供する、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は外陰膣組織を予防的に保護する方法もまた本明細書に開示する。
【0013】
安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール、セラミド、及び活性薬剤のうち少なくとも1つとを含む、からなる、又はから本質的になる皮膚科学的組成物を対象に投与することを含む、対象の皮膚を治療及び保護する方法もまた本明細書に開示する。
【0014】
対象の外陰膣の症状緩和を提供する、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は外陰膣組織を予防的に保護する外陰膣組成物を製造するためのキットも更に提供する。
【0015】
対象の皮膚を治療及び保護する皮膚科学的組成物を製造するためのキットも更に提供する。本発明は、添付の図面と併せて以降の詳細な説明によってより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1A~1Bは、乳化剤、細胞膜流動性増強剤、脂肪酸、保存料、生物活性剤、pH緩衝系、抗酸化剤、及びトコフェロールを含む、典型的な安定なシリコーン油中水型(water-in-silicone)(W/O)エマルションを示している。図1Aは、乳化剤、細胞膜流動性増強剤、及び脂肪酸といった成分の典型的な物理化学的配向性を表し、乳化剤のみが水とシリコーンとの界面を安定化している。図1Bは、乳化剤、細胞膜流動性増強剤、及び脂肪酸といった成分のもう一つの典型的な物理化学的配向性を表し、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸が協同的に水とシリコーンとの界面を安定化している。
図2図2A~2Bは、乳化剤、細胞膜流動性増強剤、脂肪酸、保存料、生物活性剤、pH緩衝系、抗酸化剤、トコフェロール、及び活性薬剤を含む、典型的な安定なシリコーン油中水型(W/O)エマルションを示している。図2Aは、乳化剤、細胞膜流動性増強剤、及び脂肪酸といった成分の典型的な物理化学的配向性を表し、乳化剤のみが水とシリコーンとの界面を安定化している。図2Bは、乳化剤、細胞膜流動性増強剤、及び脂肪酸といった成分のもう一つの典型的な物理化学的配向性を表し、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸が協同的に水とシリコーンとの界面を安定化している。
図3図3A~3Cは、製剤番号8の光学像を示す。図3Aは、製剤番号8の1日目の肉眼による光学像である。図3Bは、製剤番号8の1日目の光学顕微鏡画像である。図3Cは、製剤番号8の6日目の光学顕微鏡画像である。スケールバーは300ミクロンである。
図4図4A~4Cは、製剤番号9の光学像を示す。図4Aは、製剤番号9の1日目の肉眼で見た像である。図4Bは、製剤番号9の1日目の光学顕微鏡画像である。図4Cは、製剤番号9の31日目の光学顕微鏡画像である。スケールバーは100ミクロンである。
図5図5A~5Cは、製剤番号10の光学像を示す。図5Aは、製剤番号10の1日目の肉眼による光学像である。図5Bは、製剤番号10の1日目の光学顕微鏡画像である。図5Cは、製剤番号10の14日目の光学顕微鏡画像である。スケールバーは100ミクロンである。
図6図6A~6Eは、製剤番号13及び14の光学像を表す。図6Aは、製剤番号13の1日目の肉眼で見た像である。図6Bは、製剤番号13の1日目の光学顕微鏡画像である。図6Cは、製剤番号14の1日目の肉眼による光学像である。図6Dは、製剤番号14の1日目の光学顕微鏡画像である。図6Eは、相分離を示す製剤番号14の光学像である。スケールバーは100ミクロンである。
図7図7A~7Dは、製剤番号9の流動応力スイープ解析グラフを示す。図7Aは、製剤番号9の25℃における流動スイープであって、せん断速度に対して粘度が示されている。図7Bは、製剤番号9の25℃における流動スイープであって、応力に対して粘度が示されている。図7Cは、製剤番号9の37℃における流動スイープであって、せん断速度に対して粘度が示されている。図7Dは、製剤番号9の37℃における流動スイープであって、応力に対して粘度が示されている。
図8図8A~8Bは、製剤番号9の振動振幅スイープを示す。図8Aは、製剤番号9の25℃における振動振幅スイープである。図8Bは、製剤番号9の37℃における振動振幅スイープである。
図9図9A~9Bは、製剤番号9の振動周波数スイープを示す。図9Aは、製剤番号9の25℃における振動周波数スイープである。図9Bは、製剤番号9の37℃における振動周波数スイープである。
図10図10は、製剤番号9の20℃~40℃までの振動温度スイープである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に開示される組成物、方法、及びキットの原理に対する全体的な理解を提供するために、いくつかの代表的な実施態様についてこれより説明する。これら実施態様の1以上の実施例を添付の図面に示す。当業者には、本明細書に具体的に記載されかつ添付の図面に示された組成物、方法及びキットが非限定的な典型的な実施態様であることと、本発明の範囲がクレームによってのみ定義されることが分かるであろう。一つの代表的な実施態様に関して示される又は記載される特徴は、他の実施態様の特徴と組み合わされてよい。このような修正及び変更は、本発明の範疇にあるものとする。
【0018】
さらに、本開示において、実施態様の類似名称の構成要素は一般的に同様の特徴を有するため、特定の実施態様内では、類似名称の各構成要素の特徴それぞれを必ずしも完全に詳述していない。
【0019】
本明細書に提示される組成物は、安定なエマルションであって、比較的粘稠で潤滑な液体、ローション、軟膏又はクリームの形状である。組成物は使用期限中、エマルションとして安定であり、適用後最大約1週間安定した状態を保つことができる。組成物は、本明細書に記載のとおり、局所適用、直腸適用、及び外陰膣適用を含む、様々な目的に使用することができる。さらに、組成物は、活性薬剤及び/又は生物活性剤と共に又はそれらを用いずに使用することができる。より具体的には、とりわけ、シリコーン油中水型(W/O)エマルションを含む組成物が本明細書に提示されるが、前記エマルションは、組成物の全重量の約0.1重量%~約4重量%までの濃度でステロールを有する。予防又は治療を必要とする対象の外陰膣及び他の状態を予防又は治療する(例えば、直腸効用のため、皮膚科学的効用、日焼け防止、経皮ドラッグデリバリー、又は眼科効用のための)方法であって、組成物(例えば、組成物の全重量の約0.1重量%~約4重量%の濃度でステロールを含むエマルション)を適用することを含む方法、及び組成物と薬剤を含むキットもまた本明細書に提示される。本開示内容は、多くの場合、外陰膣の兆候を治療するのに有用な組成物に関するが、これは、本明細書に開示される組成物の多くの典型的な使用のうちの一つであると考えられる。本明細書に説明のとおり、前記組成物が外陰膣適用以外の効用を有することが当業者には分かるであろう。
定義
以降の定義は、本主題を理解すること及び添付の特許請求の範囲を構成することを目的として含まれる。本明細書で使用される略語は、化学的及び生物学的技術分野におけるそれらの従来の意味を表す。
【0020】
別段の定義がなければ、本明細書で使用する科学技術用語はいずれも、本開示内容が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を表す。以降の参考文献は、本開示において使用される多くの用語の一般的な定義を当業者に提供する。ケンブリッジ科学技術辞典(The Cambridge Dictionary of Science and Technology)(ウオーカー編(Walker ed.)、1988年);遺伝学用語集(The Glossary of Genetics)、第5版、アールリーガー等編(R. Rieger et. al.)、スプリンガー出版(Springer Verlag)(1991年);及びヘール、マーハム(Hale & Marham)、ハーパーコリンズ生物学辞(The Harper Collins Dictionary of Biology)(1991年)。本明細書で使用するとき、以降の用語は、別段の定めがない限り、以降の記載に帰する意味を表す。
【0021】
別段の記載がないか又は文脈から明白でない限り、本明細書で使用するとき、用語「又は」は、包括的であると考えられる。別段の記載がないか又は文脈から明白でない限り、本明細書で使用するとき、用語「一つの(a、an)」及び「その(the)」は、単数又は複数であると考えられる。
【0022】
用語「約」は、数値範囲、カットオフ値又は特定の値に関して使用するとき、列挙された値が、記載された値から最大25%変化する可能性があることを示すために使用される。本明細書で使用される数値範囲の多くは経験に基づくので、当業者には、このような測定値は、実験によって変わることがあり、また多くの場合変わるであろうと解されるべきである。本明細書で使用される値は、この特有の変動に基づいて、過度な限定と考えるべきではない。用語「約」は、記載された値から±25%以下の変動範囲、20%以下の変動範囲、10%以下の変動範囲、5%以下の変動範囲、1%以下の変動範囲、0.5%以下の変動範囲、又は0.1%以下の変動範囲を含むように使用される。約は、規定値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%の範囲内と考えられる。文脈から明白でない限り、本明細書に提示される数値はいずれも、用語「約」で修飾されている。
【0023】
本明細書で使用するとき、「対象に投与すること」及び同様の用語は、対象の身体の標的細胞、組織、粘膜又は一部が組成物と接触するように、記載された外陰膣組成物を対象に導入する、注入する、埋め込む、又は適用する、又は塗布する手順を示す。
【0024】
用語「投与すること」は、本明細書で使用するとき、例えば疾病もしくは状態を治療する必要のある対象へ、薬剤を移動させること、送達すること、導入すること、又は輸送することのうちのいずれかの様式を指す。このような様式としては、経口投与、局所投与、静脈内投与、膣投与、粘膜投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮内投与、鼻腔内投与、及び皮下投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書に提示される範囲は、範囲内の値すべての省略表現であると考えられる。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群からのあらゆる数、数の組み合わせ、又は部分範囲、並びに前述の整数の間に介在する全ての十進値、例えば1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、及び1.9を含むと考えられる。部分範囲に関して、そのどちらかの端点から広がる「入れ子部分範囲」を具体的に検討する。例えば、1~50の例示的な範囲の入れ子部分範囲は、ある方向では1~10、1~20、1~30、及び1~40を、又はその反対方向では50~40、50~30、50~20、及び50~10で構成される可能性がある。
【0026】
本明細書で使用するとき、「類似体」は、(一つの原子を、異なる元素の原子でもしくは特定の官能基の存在中に置換する、又は一つの官能基を別の官能基で置換するように)構造が互いに類似しているが組成がわずかに異なる化学化合物を指す。そのため、類似体は、機能上及び見た目は基準化合物と同様の又は同等の化合物であるが、構造又は起源が異なる。本明細書で使用するとき、用語「誘導体」は、共通のコア構造を有する化合物であり、かつ本明細書に記載のとおり様々な群で置換された化合物を指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「エマルション」は、容易に混ざらず溶け合わない少なくとも2つの識別可能な物質(又は相)を含有する液化混合物を指す。本明細書で使用するとき、「エマルション」は、他の相又は物質の不連続な液滴、泡、及び/又は粒子を中に保持する「連続」相(又は「マトリックス」)を含む。用語エマルションとは、そのため、連続液相中に懸濁された気泡を含むフォームを指すこともあり、エマルション中では、第1液体の液滴が、第1液体とは非混和性の第2液体を含む連続相全体に分散されており、そして連続液相全体には固体粒子が分布している。本明細書で使用するとき、用語「エマルション」は、全体に気泡が分布した連続液相を包含しており、連続液相全体には固体粒子(例えば、固体触媒)が分布しており、第1液体の連続相全体には連続相に実質上不溶性の第2液体の液滴が分布しており、そして液相全体には固体粒子、非混和性液滴及び気泡のいずれか1つ又はこれらの組み合わせが分布している。したがって、エマルションは、組み合わせに選択された材料の性質に応じて、場合により均一な混合物(例えば、液/液相)として、又は不均一な混合物(例えば、気/液、固/液又は気/固/液)として存在し得る。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「安定な」又は「安定性」は、本明細書に記載のシリコーン油中水型エマルションに関する。安定性とは、適切な保存条件においてその性質の経時的な変化に抵抗するエマルションの能力を指すことがある。例えば、安定性は通常、室温(例えば、およそ20℃~25℃の間)において少なくとも1カ月間保存したとき、又はその最終包装中で室温(例えば、およそ20℃~25℃の間)において少なくとも12カ月間保存したときに組成物が相分離しないことを意味することができる。安定性のその他の典型的な特徴としては、有効期限という観点では最終包装製品の安定性があげられる。例えば、安定性は、製品の構成要素(例えば、活性又は不活性成分)が変化、劣化、又は分解しなかったこと、分析証明書に規定されている製品特性(例えば、エマルション安定性、ゼロせん断粘度(zero-rate viscosity))が変化しなかったこと、製品保存系が機能を維持していること、又はこれらのいずれかの組み合わせを意味することができる。エマルションの安定性は、本明細書に記載の技法、例えば、光散乱法、光学顕微鏡、凍結融解サイクル、遠心分離、及びレオロジーを含む技法を用いて特性評価することができる。
【0029】
さらに、本明細書で使用するとき、「安定な」又は「安定性」は、本明細書に記載のシリコーン油中水型エマルションを含む組成物(例えば、本明細書に記載のエマルションと追加薬剤とを含む組成物、すなわち「安定な組成物」)にも関する。例えば、組成物は、組成物が様々な活性薬剤(例えば、活性成分)を含むのに好適な担体及び/又は他の物質を含むことができ、組成物中の活性薬剤は、本明細書に記載のとおり、長時間安定であろう。加えて、一部の実施態様による活性薬剤は、本明細書に記載のとおり、組成物中ではある期間安定でなければならない。
【0030】
本開示の組成物との関連において使用するとき、用語「安定な」は、物理的及び化学的安定性を意味する。化学的安定性とは、活性薬剤又は不活性な薬剤自体に関する化学的変化(例えば、薬剤の劣化、薬剤の酸化)を指す。本開示の実施態様において、組成物の保管又は有効期間は化学安定性の測度である。物理的安定性とは、力学的性質、物理的状態(例えば、結晶性、結晶構造)、及び活性薬剤(又は薬物)の放出特性を指す。
【0031】
安定性は、本開示の組成物を、温度及び相対湿度(RH)が約25℃/60%RH~約40℃/75%RHの条件で保管した後に測定する。組成物の有効期間の加速試験及び実時間試験は、有効期間を確認して製品の有効期限を設定するために実施される。加えて、組成物の有効期間もまた、予想される包装条件下で試験される。
【0032】
組成物の安定性は、25℃において少なくとも6カ月間相分離や粒子の沈殿又は凝集が生じずに、組成物の均質な外観を維持することを意味すると理解されるべきである。他の実施態様において、組成物は25℃において少なくとも9カ月間、少なくとも12カ月間、少なくとも18カ月間、又は少なくとも24カ月間安定である。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「クリーム」は、疾患、症状、又は状態(すなわち、外陰膣疾患、症状又は状態)の治療的な処置に使用され得る濃い(高いゼロせん断粘度の)液体、半流動体、又は半固体製剤を指すことができる。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「ローション」は、疾患、症状、又は状態(すなわち、外陰膣疾患、症状又は状態)の治療的な処置に使用され得る中程度に濃い(中程度のゼロせん断粘度の)液体、半流動体、又は半固体製剤を指すことができる。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「軟膏」は、疾患、症状、又は状態(すなわち、外陰膣疾患、症状又は状態)の治療的な処置に使用され得る高粘性液体又は半流動体製剤を指すことができる。
【0036】
本明細書で使用するとき、「液体」は、液状の組成物からなる剤形である。液体は流し出し可能である、すなわち、室温で容器へ流れて容器と同じ形になる。液体は、ニュートン挙動又は疑塑性流動特性を示す。実施態様において、本明細書で使用するとき、「半流動体」又は「半固体」は、液体と別の剤形(すなわち、分散系、懸濁液、エマルション、ローション、クリームなど)の両方の特性を有する場合がある。
【0037】
用語「保湿すること」とは、本明細書で使用するとき、表面の水結合能力が向上するように表面の水和作用を高めることを指す。用語「保湿する」又はその派生語は、対象の表面の含水量の換算又は増強に関する。
【0038】
本明細書で使用するとき、「ゼロせん断粘度」とは、ずり速度がゼロに達したときの流動体又は半固体の流れ抵抗を指す。
前述及びクレームにおいて、「のうちの少なくとも1つ」又は「のうちの1以上」という表現は、要素又は特徴の連結的な列挙がその後に存在する可能性がある。用語「及び/又は」もまた、2つ以上の要素又は特徴の列挙において存在する可能性がある。それが用いられている文脈によって暗黙的に又は明白に相反しない限り、このような表現は、列挙された要素もしくは特徴のいずれかを個別に意味するか、又は列挙された要素もしくは特徴のいずれかを他の列挙された要素もしくは特徴のいずれかと組み合わせて意味するものとする。例えば、表現「A及びBのうち少なくとも1つ」、「A及びBのうち1以上」及び「A及び/又はB」はそれぞれ、「A単独、B単独、又はAとBの両方」を意味するものとする。同様の解釈はまた、3つ以上の項目を含む列挙の場合も対象とする。例えば、表現「A、B及びCのうち少なくとも1つ」、「A、B及びCのうち1以上」及び「A、B、及び/又はC」はそれぞれ、「A単独、B単独、C単独、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、又はAとBとC全体」を意味するものとする。加えて、前述及びクレームにおける用語「に基づいて」の使用は、列挙されていない特徴又は要素も許容されるように、「に少なくとも部分的に基づいて」を意味するものとする。
【0039】
「改善する」とは、例えば偽アレルギー反応のように、疾患もしくは状態の発現又は進行を低下、抑制、減衰、減少、阻止又は安定化させることを意味する。
用語「対象」、「患者」、「個人」などは、本明細書で使用するとき、限定を目的とするものではなくかつ一般的に互換性があり得る。「対象」、「患者」、「個人」などと記載される個体は、必ずしも特定の疾患を有するものではないが、単に医師の診察を受けることがある。用語「対象」、「患者」、「個人」などは、本明細書で使用するとき、示された疾患にかかる可能性のある動物界のあらゆる構成員を含む。いくつかの態様において、対象は哺乳動物であり、またいくつかの態様において、対象はヒトである。
【0040】
用語「周囲」は、前記外陰膣組成物の投与部位に関して使用するとき、身体構造上の対象領域へ従来習得した手順の範囲内で投与することを意味すると当業者には解されるべきである。例えば、身体構造上の関連部位の「周囲」への投与は、部位の直ぐ内側もしくは直ぐ上ではなく、生理学上又は治療上関連した効果を提供するのに十分に部位と近接した位置を指す。これらの当業者は、本開示による外陰膣組成物を用いて生理学上又は治療上関連した効果を提供するのに十分と考えられる特定の身体構造上の部位からの最大距離を容易に決定することが可能である。
【0041】
「薬学的に許容可能な」は、組成物、製剤、安定性、患者の許諾、及びバイオアベイラビリティに関して、薬理学/毒物学上の観点から患者が満足できる性質及び物質、及び物理的/化学的観点から製造業の薬剤師が満足できる性質及び物質に関する。
【0042】
「薬学的に許容可能な賦形剤」及び「薬学的に許容可能な担体」とは、患者への活性薬剤の投与に役立つか、患者による吸収を助けるか、又は活性薬剤の安定性もしくは他の性質を高める物質であって、しかも患者に顕著な毒物学的悪影響を生じさせることなく本発明の組成物に含めることができる物質を指す。特段の記載がない限り、用語「活性薬剤」、「活性成分」、「治療上活性な薬剤」、「治療薬」、「生物活性剤」などは同義語として使用される。薬学的に許容可能な賦形剤の非限定例としては、水、NaCl、生理食塩水、乳酸リンゲル液、ショ糖水溶液、グルコース水溶液、結合剤、注入剤、錠剤分解物質、潤滑剤、コーティング剤、甘味料、香料、塩溶液(例えば、リンゲル液)、アルコール、油、ゼラチン、及びラクトース、アミロース又はデンプンなどの炭化水素、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、並びに着色剤などがあげられる。このような調合剤は滅菌することができ、また必要に応じて、潤滑剤、保存料、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色料、及び/又は芳香剤などのような助剤であって、本発明の化合物と有害な反応を生じない助剤と混合することが可能である。本発明において他の医薬品賦形剤が有用であることが当業者にはわかるであろう。
【0043】
本明細書で使用するとき、用語「活性薬剤」、「活性成分」、「治療上活性な薬剤」、「治療薬」、「生物活性剤」は、例えば、生化学的、薬理学的又は治療学的な活性などの「生物活性を有すること」を意味する。いくつかの実施態様において、生物活性は、対象の、症状を緩和すること、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療すること、又は外陰膣組織を予防的に保護することである。ある実施態様において、生物活性は、皮膚機能及び/又は皮膚の恒常性への影響を亢進する。別の実施例では、生物活性は、直腸系統及び組織を亢進する。更に別の実施例では、生物活性は、眼科系統及び組織を亢進する。さらに、提示するように、生物活性は、日焼けの治療又は予防(例えば、日焼け防止)を目的とする。
【0044】
ある実施態様において、生物活性は、限定されないが、鎮痛、抗真菌性、抗ウイルス性、抗感染症性、抗炎症性、抗悪性腫瘍活性、免疫賦活性、免疫抑制性、免疫調整性、内分泌調整性、細胞生存率の向上作用、細胞膜流動性、抗酸化性、酸素キャリア、避妊作用、細胞動員、細胞付着性、血管新生、創傷治癒活性、宿主株又は前駆細胞の動員、細胞増殖、創傷部への細胞移動の刺激作用、細胞及び組織繊維症の改善、又はこれらのいずれかの組み合わせである。
【0045】
「治療上有効な量」とは、本明細書に記載のとおり、特定の生理学上、生物学上又は治療上の結果、例えば、限定されないが、本明細書に開示、説明又は例示する生理学上、生物学上又は治療上の結果を達成するのに有効な組成物の量を指す。これら生理学上、生物学上又は治療上の結果としては、pHの回復、潤滑性の提供、健康に良いフローラの増進、又は感染の排除(例えば、膣のpHの回復、膣への潤滑性の提供、健康に良いフローラの増進、感染の排除、又は避妊法の提供)があげられるが、これらに限定されない。治療上有効な量は、個体の病状、年齢、性別、及び体重、並びに対象に望ましい反応を引き起こす組成物の性能などの因子に応じて変化する可能性がある。このような結果としては、当該技術分野において好適な任意の手段によって測定されるような、症状緩和の提供、原因となっている病態生理の治療、又は膣の予防的な保護をあげることができるが、これらに限定されない。
【0046】
用語「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、感染、病状もしくは状態の減弱もしくは改善における成功又は成功の兆候に言及し、任意の客観的又は自覚的パラメータ、例えば、症状の軽減、解消、緩和、減少、又は感染、病状、又は状態に対する患者の耐性を増大させること、疾患の進行を遅らせること、状態の悪化を緩和させること、あるいは対象の身体的又は精神的幸福を向上させることがあげられる。治療は、客観的又は自覚的パラメータにより評価することができ、すなわち、理学的検査の結果を含む。
【0047】
本明細書で使用するとき、「予防的に保護する」又は「予防的な保護」は、状態(例えば、外陰部又は膣の状態)を予防手段で処置することを意味する。
本明細書で使用するとき、「混入される」とは、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化物質、トコフェロール、セラミド、活性薬剤、又はこれらのいずれかの組み合わせのうちの少なくとも1つとが、水とシリコーンとのエマルションによって、少なくとも部分的に覆われる、中に含まれる、分散される、分布する、中に入る、又は封入されることを意味する。構成要素、賦形剤、又は薬剤の種類に応じて、構成要素、賦形剤、又は薬剤は、水相中にあってもよく、シリコーン相中にあってもよく、又はその両方にあってもよい。
【0048】
本明細書に開示される実施態様はそれぞれ、それ以外の開示された実施態様それぞれに応用可能であると想定される。したがって、本明細書に記載の様々な要素の組み合わせはいずれも、本発明の範疇にある。
【0049】
本発明の他の特徴及び利点は、以降の好ましい実施態様の説明及びクレームから明白であろう。別段の定義がなければ、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を表す。本明細書に記載するものと同様又は同等の方法及び材料は本発明の実施又は試験において使用可能であるが、好適な方法及び材料を以降に説明する。本明細書で引用される公開された外国特許及び特許出願はいずれも、本明細書に参照として組み込まれる。本明細書で引用される受入番号で示されるGenbank及びNCBIへの寄託は、本明細書に参照として組み込まれる。本明細書で引用されるその他の刊行された参考文献、文書、原稿及び科学論文はいずれも、本明細書に参照として組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書が定義を含み支配するものとする。加えて、材料、方法、及び実施例もまた、単なる例示であって、限定を意図とするものではない。
組成物
本開示内容は、細胞膜流動性増強剤を含むシリコーン油中水型(W/O)エマルションを含む、組成物を提供する。実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、組成物の全重量の約0.1重量%~約4重量%までの濃度である。
【0050】
実施態様において、本明細書に開示される組成物は、安定な水とシリコーンのエマルションであって、クリーム、ローション、軟膏、保湿剤、又はパーソナル潤滑剤があげられるが、これらに限定されない。
【0051】
好適な水とシリコーンのエマルションとしては、シリコーン油中水型(W/O)、水中油型(O/W)又は水中シリコーン油中水型(W/O/W)エマルションがあげられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、水とシリコーンとのエマルションはW/Oエマルションである。好ましい例では、好適なエマルションはシリコーン油中水型(W/O)エマルションである。例えば、限定するものではないが、W/Oエマルションは、(母集団に水を含む)最大50重量%の水を含む水相と、(母集団にシリコーンを含む)20重量%~95重量%のシリコーンを含むシリコーン相とを有することができる。
【0052】
いくつかの実施例では、シリコーン油中水型エマルションは、シリコーン相を含み、シリコーン相は、シリコーン油、シリコーンワックス、シリコーンガム、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0053】
シリコーン油中水型エマルションを作成するとき、多数のシリコーン油、シリコーンガム、又はシリコーンワックスを当該技術分野において既知のものから選択することができる。本開示の目的において、好適なシリコーン油としては、ジメチコーン、シクロメチコーン、カプリルメチコーン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。本開示の目的において、好適なシリコーンガムとしては、ジメチコノールがあげられるが、これらに限定されない。本開示の目的において、好適なシリコーンワックスとしては、ステリルジメチコーンがあげられるが、これらに限定されない。
【0054】
いくつかの実施態様において、分散相(例えば、小さな粒子又は液滴を分散するために使用される相)は、安定なエマルションを作成するために安定化されてよい。安定なエマルションを作成するために安定化するのに使用される典型的な薬剤としては、乳化剤及び共乳化剤があげられるが、これらに限定されない。結果として得られるエマルション(例えば、液-液滴)を安定化するのに好適な乳化剤及び共乳化剤としては、ステロール、ステロール誘導体、コレステロール、コレステロール誘導体、ステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノパルミテート、ポリオキシエチレンモノオレエート、レシチン、PEG/PPG-18/18ジメチコーン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコーン、ジメチコーンコポリオール、オクチルドデカノール、ポリ(ビニルアルコール)、プルロニック(Pluronic)、ポロキサマー(Poloxamer)、カルボマー(Carbomer)、ミリスチン酸イソプロピル、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
【0055】
いくつかの実施例では、本明細書に記載の組成物は、細胞膜流動性の増強、細胞透過の向上、所望の成分、賦形剤又は薬剤の吸収の増強、潤滑性及び保湿の向上、又はこれらのいずれかの組み合わせを可能に(例えば、促進)する1以上の(例えば、少なくとも1つの)細胞膜流動性増強剤を含む(in include)ことができる。好適な細胞膜流動性増強剤としては、ステロール(例えば、ステロイドアルコール)があげられるが、これらに限定されない。ステロールは、A環の3位にヒドロキシル基を有するステロイドのサブグループである。これらは、アセチルコエンザイムAから合成される両親媒性脂質である。ステロールの化学構造を以下に示す。
【0056】
【化1】
1以上の細胞膜流動性増強剤をエマルションに混入することができる。いくつかの実施態様において、1以上の細胞膜流動性増強剤は、エマルションの水相に混入される。他の実施態様において、1以上の細胞膜流動性増強剤は、エマルションのシリコーン相に混入される。さらに別の実施態様において、1以上の細胞膜流動性増強剤は、エマルションの水相とシリコーン相の両方に混入される。
【0057】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大0.1重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大0.25重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大0.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大1重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大1.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大2重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大2.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大3重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大3.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大4重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大4.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤は、これを含む組成物の最大5.5重量%を占めるように配合することができる。
【0058】
本開示内容全体にわたって、「細胞膜流動性増強剤」という表現は、1以上の細胞膜流動性増強剤が組成物に含まれる場合、1以上の細胞膜流動性増強剤を指すことができる。例えば、唯一の細胞膜流動性増強剤がエマルションに混入されているとき、「細胞膜流動性増強剤50重量%」は、唯一の細胞膜流動性増強剤の50%が含まれていることを意味する。1以上の細胞膜流動性増強剤がエマルションに混入されているとき、「細胞膜流動性増強剤50重量%」という言葉は、細胞膜流動性増強剤の全量50%がエマルションに混入されていることを意味する。したがって、組成物が第1細胞膜流動性増強剤1mgと第2細胞膜流動性増強剤1mgを含む場合、「細胞膜流動性増強剤50重量%」は、細胞膜流動性増強剤全量2mgである50%がエマルションに混入されていることを意味することができる。
【0059】
本明細書で使用するとき、用語「ステロール」は、天然又は合成の植物性又は動物性ステロールを指してよい。典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられる。追加のステロールとしては、ジオスゲニン、スチグマスタノール、チゴゲニン、α-シトステロール、β-シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、カンプエステロール、オレアノール酸、ソヤサポゲノール(例えば、ソヤサポゲノールA又はソヤサポゲノールB)、プロトアシゲニン、及びプロトパナキサジオールがあげられる。いくつかの実施態様において、ステロールはコレステロールである。ステロールがコレステロールであるとき、その生理化学的及び生化学的性質によって、細胞膜流動性増強剤として、シリコーン油中水型液滴界面の安定において重要な役割を果たす乳化剤として、そして生物活性剤として、一意的にかつ同時に機能できるようになる。
【0060】
他の実施例において、本発明に記載の組成物は、1以上(例えば、少なくとも1)の脂肪酸を含むことができる。脂肪酸は、飽和又は不飽和のいずれかの、長鎖脂肪酸を有するカルボン酸である。大抵の天然起源の脂肪酸は、同数の炭素原子、例えば、4~28個の炭素原子からなる非分枝鎖を有する。実施態様において、脂肪酸は、製剤との細胞間相互作用を促進し得る。好適な脂肪酸としては、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロレイン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸、アラキドン酸、ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
【0061】
1以上の脂肪酸がエマルションに混入され得る。いくつかの実施態様において、1以上の脂肪酸は、エマルションの水相に混入される。他の実施態様において、1以上の脂肪酸は、エマルションのシリコーン相に混入される。さらに別の実施態様において、1以上の脂肪酸は、エマルションの水相とシリコーン相の両方に混入される。
【0062】
いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大0.1重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大0.25重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大0.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大1重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大1.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大2重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大2.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大3重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大4重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大6重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大8重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、脂肪酸は、これを含む組成物の最大10重量%を占めるように配合することができる。
【0063】
本開示内容全体にわたって、「脂肪酸」という表現は、1以上の脂肪酸が組成物に含まれる場合、1以上の脂肪酸を指すことができる。例えば、唯一の脂肪酸がエマルションに組み込まれているとき、「脂肪酸50重量%」という言及は、唯一の脂肪酸の50%が含まれていることを意味する。より多くの脂肪酸がエマルションに組み込まれているとき、「脂肪酸50重量%」という言葉は、脂肪酸の全量50%がエマルションに混入されていることを意味する。したがって、組成物が第1脂肪酸1mgと第2脂肪酸1mgとを含む場合、「脂肪酸50重量%」は、脂肪酸の全量2mgである50%がエマルションに混入されていることを意味し得る。
【0064】
他の実施例において/にわたって、「脂肪酸」という表現は、1以上の脂肪酸誘導体が組成物に含まれる場合、1以上の脂肪酸誘導体を指すことができる。好適な脂肪酸誘導体としては、カプリル酸誘導体、ラウリン酸誘導体、ミリスチン酸誘導体、カプロレイン酸誘導体、ラウロレイン酸誘導体、ミリストレイン酸誘導体、パルミトレイン酸誘導体、オレイン酸誘導体、ステアリン酸誘導体、パルミチン酸誘導体、リノール酸誘導体、アラキドン酸誘導体、ステアリドン酸誘導体、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
【0065】
実施態様において、開示される組成物は、1以上の保存料を含むことができる。保存料は、例えば、製剤の安定性及び使用期限を制御するのに使用することができ、安定性及び使用期限は、当業者に既知の方法によって評価される。好適な保存料としては、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、EDTA、パラベン、又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
1以上の保存料を、エマルションを含む組成物に混入することができる。いくつかの実施態様において、1以上の保存料は、エマルションの水相に混入される。他の実施態様において、1以上の保存料は、エマルションのシリコーン相に混入される。さらに別の実施態様において、1以上の保存料は、エマルションの水相とシリコーン相の両方に混入される。
【0066】
いくつかの実施態様において、保存料は、これを含む組成物の最大0.01重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、保存料は、これを含む組成物の最大0.025重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、保存料は、これを含む組成物の最大0.05重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、保存料は、これを含む組成物の最大0.1重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、保存料は、これを含む組成物の最大0.2重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、保存料は、これを含む組成物の最大0.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、保存料は、これを含む組成物の最大1重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、保存料は、これを含む組成物の最大2重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、保存料は、これを含む組成物の最大4重量%を占めるように配合することができる。
【0067】
本開示内容全体にわたって、「保存料」という表現は、1以上の保存料が組成物に含まれる場合、1以上の保存料を指すことができる。例えば、唯一の保存料がエマルションに混入されているとき、「保存料50重量%」という言及は、唯一の保存料が50%含まれていることを意味する。より多くの保存料がエマルションに組み込まれているとき、「保存料50重量%」という言葉は、保存料の全量50%がエマルションに混入されていることを意味する。したがって、組成物が第1保存料1mgと第2保存料1mgとを含む場合、「保存料50重量%」は、保存料の全量2mgである50%がエマルションに混入されていることを意味し得る。
【0068】
開示される組成物は、生物活性剤を含むことができる。実施態様において、生物活性剤は、所望の状態(例えば、外陰部又は膣組織)の生化学又は細胞生理機能に作用する可能性がある。好適な生物活性剤としては、グリコーゲン、コレステロール、乳酸、乳酸塩、トコフェロール、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。追加の生物活性剤を以下に詳細に説明する。
【0069】
本開示内容全体にわたって、「生物活性剤」という表現は、1以上の生物活性剤が組成物に含まれる場合、1以上の生物活性剤を指すことができる。例えば、1以上の生物活性剤をエマルションに混入することができる。いくつかの実施態様において、1以上の生物活性剤は、エマルションの水相に混入される。他の実施態様において、1以上の生物活性剤は、エマルションのシリコーン相に混入される。さらに別の実施態様において、1以上の生物活性剤は、エマルションの水相とシリコーン相の両方に混入される。
【0070】
いくつかの実施例では、生物活性剤は、組成物の全重量に対して約0.01重量%~約100重量%までの量で使用することができる。別の実施例では、生物活性剤は、組成物の約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、又は約0.01重量%~約0.1重量%までの量で使用することができる。
【0071】
実施態様において、開示される組成物は、1以上のpH緩衝系を含むことができる。例えば、pH緩衝系は、(例えば、膣の)生理学的pHを回復できる可能性がある。好適なpH緩衝系としては、乳酸及び乳酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、pH緩衝系は、乳酸及び乳酸ナトリウムである。他の実施態様において、pH緩衝系は、乳酸及び乳酸カルシウムである。さらに、組成物(例えば、外陰膣組成物)は、pH3.8であることができ、そしてpH緩衝系は、3.5~4.2までの範囲の緩衝能力を有し得る。
【0072】
例えば、本開示内容は、1以上のpH調整剤を含むpH緩衝系を有する組成物(例えば、エマルション)を含む。pH調整剤は、例えば、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、リン酸、マレイン酸、グリシン、乳酸ナトリウム、乳酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、酢酸ナトリウム、酢酸、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸、コハク酸ナトリウム、コハク酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸、リン酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、又はこれらのいずれかの組み合わせであってよい。
【0073】
pH調整剤とし有用な化合物としては、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(第一、第二、第三リン酸塩、及びこれらの混合物を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。その他の生理学的に関連性のある緩衝液を使用して、薬物として承認される生理学的pHを与えることによって組成物のpH値を安定化させることも可能である。これら緩衝液は単なる例であり、しかもこれら緩衝液は当該技術分野において周知であることから、当業者は、本開示の組成物に使用され得る適切な緩衝液を選択することができる。
【0074】
実施例では、製剤のpHは、約2~約9までである。他の実施例では、pHは、約3~9まで、約4~9まで、約5~9まで、約6~9まで、約7~9まで、又は約8~9までの範囲である。他の実施例では、pHは、約3~8まで、約4~8まで、約5~8まで、約6~8まで、又は約7~8までの範囲である。他の実施例では、pHは、約3~7まで、約4~7まで、約5~7まで、又は約6~7までの範囲である。他の実施例では、pHは、約3~6まで、約4~6まで、又は約5~6までの範囲である。
【0075】
さらに、本明細書に記載のとおり、開示される組成物は、例えば所望の力学的性質を得るために、1以上の増粘剤を含むことができる。いくつかの実施例では、力学的性質は、当業者に既知のレオロジー手法で測定可能である。好適な増粘剤としては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボマー(Carbomer)、カーボポール(Carbopol)、ポリ(アクリル酸)、ポリカルボフィル、グアーガム、キサンタンガム、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
【0076】
実施態様において、安定なシリコーン油中水型エマルションのゼロせん断粘度は、100Pa・s~1000kPa・sまでの間であってよい。エマルションのゼロせん断粘度の測定に好適な特性評価法としては、レオメトリー及び粘度測定法があげられるが、これらに限定されない。
本開示内容全体にわたって、「増粘剤」という表現は、1以上の増粘剤が組成物に含まれる場合、1以上の増粘剤を指すことができる。例えば、1以上の増粘剤をエマルションに混入することができる。いくつかの実施態様において、1以上の増粘剤は、エマルションの水相に混入される。他の実施態様において、1以上の増粘剤は、エマルションのシリコーン相に混入される。さらに別の実施態様において、1以上の増粘剤は、エマルションの水相とシリコーン相の両方に混入される。
【0077】
開示される組成物は、製剤安定性を高める、細胞生理に作用する、又はこれらのいずれかの組み合わせのために1以上の抗酸化物質を含むことができる。好適な抗酸化物質としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ポリフェノール、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
本開示内容全体にわたって、「抗酸化物質」という表現は、1以上の抗酸化物質が組成物に含まれる場合、1以上の抗酸化物質を指すことができる。例えば、1以上の抗酸化物質をエマルションに混入することができる。いくつかの実施態様において、1以上の抗酸化物質は、エマルションの水相に混入される。他の実施態様において、1以上の抗酸化物質は、エマルションのシリコーン相に混入される。さらに別の実施態様において、1以上の抗酸化物質は、エマルションの水相とシリコーン相の両方に混入される。
【0078】
開示される組成物は、細胞生理、潤滑性、又はこれらのいずれかの組み合わせに作用するために1以上のトコフェロールを含むことができる。好適なトコフェロールとしては、α-トコフェロール、ビタミンE、ビタミンE-TPGS、トコフェロール酢酸エステル、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。トコフェロール(例えば、ビタミンE)は、潤滑性、抗酸化特性、又はこれらのいずれかの組み合わせを提供することができる。
【0079】
本開示内容全体にわたって、「トコフェロール」という表現は、1以上のトコフェロールが組成物に含まれる場合、1以上のトコフェロールを指すことができる。例えば、1以上のトコフェロールをエマルションに混入することができる。いくつかの実施態様において、1以上のトコフェロールは、エマルションの水相に混入される。他の実施態様において、1以上のトコフェロールは、エマルションのシリコーン相に混入される。さらに別の実施態様において、1以上のトコフェロールは、エマルションの水相とシリコーン相の両方に混入される。
【0080】
開示される組成物は、症状緩和を提供する、原因となっている病態生理もしくは感染を処置する、又は対象の組織(例えば、膣)を予防的に保護するために1以上の活性薬剤を含むことができる。好適な分類の活性薬剤としては、抗真菌剤、抗生物質、殺精子剤、エストロゲン、エストロゲン誘導体、プロゲステロン、プロゲステロン誘導体、エストロゲン前駆体、ステロイド、抗炎症薬、抗ウイルス薬/抗レトロウィルス薬(例えば、CCR5拮抗薬、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)、融合阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、付着後阻害剤、薬物動態エンハンサー)、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。好適な活性薬剤としては、ミコナゾール、メトロニダゾール、クロトリマゾール、エストラジオール、プラステロン、ノノキシノール9、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、活性薬剤はミコナゾールである。いくつかの実施態様において、活性薬剤はメトロニダゾールである。いくつかの実施態様において、活性薬剤はクロトリマゾールである。いくつかの実施態様において、活性薬剤はエストラジオールである。いくつかの実施態様において、活性薬剤はプラステロンである。いくつかの実施態様において、活性薬剤はノノキシノール9である。
【0081】
開示される組成物は、対象の皮膚を治療又は保護するために1以上の活性薬剤を含むことができる。好適な分類の活性薬剤としては、抗生物質、抗菌剤、抗真菌剤、消毒薬、局所麻酔薬、鎮痛薬、抗炎症薬、免疫抑制剤、ステロイド、コルチコステロイド、カルシニューリン阻害薬、PDE4阻害剤、サリチル酸、レチノイド、抗ヒスタミン薬、過酸化ベンゾイル、ナノ結晶銀、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
【0082】
典型的な抗生物質としては、アモキシシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、アモキシシリン/クラブラン酸塩、及びレボフロキサシンがあげられるが、これらに限定されない。追加の抗生物質としては、ミカシン(Mikacin)、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、トブラマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン(Bs)、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、リファキシミン、ロラカルベフ、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファドロキシル、セファゾリン、セフラジン、セファピリン、セファロチン、セファレキシン、セファクロル、セフォキシチン、セフォテタン、セファマンドール、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、スピラマイシン、フィダキソマイシン、フラゾリドン、ニトロフラントイン(Bs)、リネゾリド、Posizoli、ラデゾリド(Radezolid)、トレゾリド、アンピシリン、アズロシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、ペニシリンG、テモシリン、チカルシリン、アンピシリン/スルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタム、チカルシン/クラブラン酸塩、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、クロファジミン、ダプソン、カプレオマイシン、サイクロセリンム(Cycloserinem)、ピラジナミド、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、ストレプトマイシン、メトロニダゾール、及びムピロシンがあげられる。
【0083】
典型的な抗菌剤としては、アモキシシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、アモキシシリン/クラブラン酸塩、及びレボフロキサシンがあげられるが、これらに限定されない。
【0084】
典型的な抗真菌剤としては、ミコナゾール、クロトリマゾール、アンホテリシンB、ケトコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、アンデュラファンギン、カスポファンギン、ミカファンギン、及びフルシトシンがあげられるが、これらに限定されない。
【0085】
典型的な消毒薬としては、エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、クロルヘキシジン、ヘキサクロロフェン、ポビドンヨード、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロサン、ナトリウムオキシクロロセン、塩化ベンザルコニウム、及び亜硝酸銀があげられるが、これらに限定されない。
【0086】
典型的な局所麻酔薬としては、アミロカイン、アムブカイン、アルチカイン、ベンゾカイン、ベンゾナテート、ブピバカイン、ブタカイン、ブタニリカイン、クロロプロカイン、シンコカイン(INN)、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジペロドン、ジメトカイン、オイカイン、エチドカイン、ヘキシルカイン、ホモカイン、ホトカイン、ヒドオロキシプロカイン、イソブカイン、レボブピバカイン、リドカイン(リグノカイン)、メピバカイン、メプリルカイン、メタブロキシカイン、ニトラカイン、オルトカイン、オキセタカイン(オキセサゼイン)、オキシブプロカイン、パラエトキシカイン、フェナカイン、ピペロカイン、ピリドカイン、プラモカイン、プリロカイン、プリマカイン、プロカイン、プロカインアミド、プロパラカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、キニソカイン(INN)、ロピバカイン、トリメカイン、テトラキン、トリカイン、及びトロパコカインがあげられるが、これらに限定されない。
【0087】
典型的な鎮痛薬としては、コデイン、フェンタニル、ヒドロコドン(Hysingla、Zohydro)、ヒドロコドン/アセトアミノフェン(Lorcet、Lortab、Norco、Vicodin)、ヒドロモルフォン(Dilaudid、Exalgo)、メペリジン(Demerol)、メサドン(Dolophine、Methadose)、モルヒネ(Kadian、MS Contin、Morphabond)、オキシコドン(OxyContin、Oxaydo)、オキシコドンとアセトアミノフェン(Percocet、Roxicet)、並びにオキシコドンとナロキソンがあげられる。
【0088】
典型的な抗炎症薬としては、セレコキシブ(Celebrex)、ジクロフェナク(Cambia、Cataflam、Voltaren-XR、Zipsor、Zorvolex)、ジフルニサル(Dolobid)、エトドラク(Lodine)、イブプロフェン(Motrin、Advil)、インドメタシン(Indocin)、ケトプロフェン(活性ケトプロフェン)、ケトロラク、ナブメトン、ナプロキセン(Aleve、Anaprox、Naprelan、Naprosyn)、オキサプロジン(Daypro)、ピロキシカム(Feldene)、サウサラート、スリンダク、及びトルメチンがあげられる。
【0089】
典型的な免疫抑制剤としては、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン(Deltasone, Orasone)、ブデソニド(Entocort EC)、プレドニゾロン、及び(Millipred))、ヤヌスキナーゼ阻害薬(例えば、トファシチニブ(Xeljanz))、カルシニューリン阻害薬、例えば、シクロスポリン(Neoral、Sandimmune、SangCya)、及びタクロリムス(Astagraf XL、Envarsus XR、Prograf)、mTOR阻害薬、例えば、シロリムス(Rapamune)、及びエベロリムス(Afinitor、Zortress)、IMDH阻害薬、例えば、アザチオプリン(Azasan、Imuran)、レフルノミド(Arava)、及びミコフェノール酸塩(CellCept、Myfortic)、生物製剤、例えば、アバタセプト(Orencia)、アダリムマブ(Humira)、アナキンラ(Kineret)、セルトリズマブ(Cimzia)、エタネルセプト(Enbrel)、ゴリムマブ(Simponi)、インフリキシマブ(Remicade)、イキセキズマブ(Taltz)、ナタリズマブ(Tysabri)、リツキシマブ(Rituxan)、セクキヌマブ(Cosentyx)、トシリズマブ(Actemra)、ウステキヌマブ(Stelara)、ベドリズマブ(Entyvio)、及びモノクローナル抗体、例えば、バシリキシマブ(Simulect)、ダクリズマブ(Zinbryta)、及びムロモナブ(Orthoclone OKT3)があげられる。
【0090】
典型的なカルシニューリン阻害薬としては、アスタグラフXL(astagraf XL)、シクロスポリン(cyclosporine)、シクロスポリン点眼液(cyclosporine ophthalmic)、エリデル(Elidel)、エンバーサスXR(Envarsus XR)、ゲングラフ(Gengraf)、ヘコリア(Hecoria)、ネオラル(Neoral)、ピメクロリムス、プログラフ(Prograf)、プロトピック(Potopic)、レスタシス(Restasis)、サンディミュン(Sandimmune)、タクロリムス(tacrolimus)、及びタクロリムス軟膏(tacrolimus ointment)があげられる。
【0091】
典型的なホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤としては、アジベンダン(Adibendan)、アミノフィリン、アミノフィリン水和物、アミピゾン(Amipizone)、アプレミラスト、アロフィリン(Arofylline)、アチゾラム(Atizoram)、ベフラリン(Befuraline)、ベマリノン塩酸塩、ベモラダン、ベナフェントリン(Benafentrine)、ブクラデシン、ブフロメジル、ブキネラン(Buquineran)、CC-1088、カルバゼラン(Carbazeran)、カトラミラスト(Catramilast)、シロミラスト、シロスタミド、シロスタゾール、シパムフィリン(Cipamfylline)、クリサボロール、ドキサプラム(Daxalipram)、デンブフィリン(Denbufylline)、ジマベフィリン(Dimabefylline)、ジニプロフィリン(Diniprofylline)、ジピリダモール、ドキソフィリン、ドロタベリン、ジフィリン、エノキシモン、エタミフィリン、エトフィリン、フィラミナスト(Filaminast)、フルフィリン(Flufylline)、フルプロフィリン(Fluprofylline)、フラフィリン(Furafylline)、イマゾダン、イマゾダン塩酸塩、イナムリノン、イナムリノン乳酸塩、イスブフィリン(Isbufylline)、リリミラスト(Lirimilast)、リソフィリン、ロミフィリン(Lomifylline)、メドリノン(Medorinone)、メテスクフィリン(Metescufylline)、ミダキシフィリン(Midaxifylline)、ミルリノン、乳酸ミルリノン、モタピゾン(Motapizone)、ナンテリノン(Nanterinone)、ネスチフィリン(Nestifylline)、ニトラクアゾン(Nitraquazone)、オグレミラスト、オグレミラストナトリウム、オルプリノン、オキサグレラート(Oxagrelate)、オキシトリフィリン(Oxtriphylline)、パパベリン、パパベリン塩酸塩、パパベリン硫酸塩、パログレリル(Parogrelil)、ペルリノン塩酸塩、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ペルブフィリン(Perbufylline)、ピクラミスト(Piclamilast)、ピメフィリン(Pimefylline)、ピモペンダン、ピロキシモン(Piroximone)、プリノキソダン(Prinoxodan)、プロキシフィリン、プマフェントリン(Pumafentrine)、クアジノン(Quazinone)、クァゾジン(Quazodine)、ロフルミラスト(Revamilast)、レビジノン(Revizinone)、ロフラミラスト、ロリプラム、ロノミラスト(Ronomilast)、サテリノン(Saterinone)、セナゾダン(Senazodan)、シグアゾダン(Siguazodan)、テトミラスト(Tetomilast)、トフィミラスト(Tofimilast)、トラピジル、ベスナリノン、及びザルダベリン(Zardaverine)があげられる。
【0092】
開示される組成物は、症状緩和を提供する、原因となっている病態生理を処置する、あるいは対象の組織(例えば、直腸)を予防的に保護するために1以上の活性薬剤を含むことができる。好適な分類の活性薬剤としては、血管収縮剤、抗炎症剤、ステロイド、局所麻酔剤、α-アドレナリン受容体作動薬、A型ボツリヌス毒素、カルシウムチャネル阻害薬、硝酸塩、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない
1以上の活性薬剤をエマルションに混入することができる。いくつかの実施態様において、1以上の活性薬剤は、エマルションの水相に混入される。他の実施態様において、1以上の活性薬剤は、エマルションのシリコーン相に混入される。さらに別の実施態様において、1以上の活性薬剤は、エマルションの水相とシリコーン相の両方に混入される。
【0093】
いくつかの実施態様において、活性薬剤は、このような試薬に典型的な量で含まれるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大0.01重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大0.025重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大0.05重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大0.1重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大0.2重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大0.5重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大1重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大2重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大4重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大6重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大8重量%を占めるように配合することができる。いくつかの実施態様において、活性薬剤は、これを含む組成物の最大10重量%を占めるように配合することができる。
【0094】
本開示内容全体にわたって、「活性薬剤」という表現は、1以上の活性薬剤が組成物に含まれる場合、1以上の活性薬剤を指すことができる。例えば、唯一の活性薬剤がエマルションに混入されるとき、「活性薬剤50重量%」という言及は、唯一の活性薬剤が50%含まれていることを意味する。より多くの活性薬剤がエマルションに混入されるとき、「活性薬剤50重量%」という言葉は、活性薬剤の全量50%がエマルションに組み込まれていることを意味する。したがって、組成物が第1活性薬剤1mgと第2活性薬剤1mgとを含む場合、「活性薬剤50重量%」は、活性薬剤の全量2mgである50%がエマルションに混入されることを意味し得る。
【0095】
本発明の組成物は、安全で有効な量のコンディション調整剤、例えば湿潤剤、皮膚軟化剤、保湿剤、及び皮膚コンディション調整剤を含有することができる。様々なこれら材料を用いることができ、また組成物の約0.01重量%~約80重量%まで、より好ましくは約0.1重量%~約25重量%まで、さらに好ましくは約0.5重量%~約10重量%までの濃度で含まれていてよい。組成物に使用される湿潤剤、皮膚軟化剤、保湿剤、及びコンディション調整剤の具体的な含有量(%)は、これら薬剤が可能性として多様性であるため,湿潤剤、皮膚軟化剤、保湿剤、及びコンディション調整剤によって異なる。
【0096】
湿潤剤は、皮膚の水分量保持に役立つ成分である。湿潤剤としては、例えば、多価アルコール、水溶性アルコキシル化ノニオンポリマー、及びこれらの混合物があげられる。本明細書で有用な多価アルコールとしては、上述の多価アルコール及びグリセリン、へキシレングリコール、エトキシル化グルコース、1,2-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トレハロース、ジグリセリン、マルチトール、マルトース、グルコース、フルクトース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アデノシンリン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸塩、グルコサミン、シクロデキストリン、及びこれらの混合物があげられる。本明細書で有用な水溶性アルコキシル化ノニオンポリマーとしては、最大約1000の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、例えば、CTFA名でPEG-200、PEG-400、PEG-600、PEG-1000、及びこれらの混合物があげられる。追加の湿潤剤としては、アセチルアルギニン、藻類抽出物、アロエベラの葉の抽出物、2,3-ブタンジオール、キトサンラウロイルグリシネート(chitosan lauroyl glycinate)、リンゴ酸ジグリセレス-7、ジグリセリン、コハク酸ジグリコールグアニジン、エリスリトール、フルクロース、グルコース、グリセリン、はちみつ、タンパク質加水分解物、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、イノシトール、ラクチトール、マルチトール、マルトース、マンニトール、マンノース、メトキシポリエチレングリコール、酢酸ミリスタミドブチルグアニジン、ポリグリセリルソルビトール、ピロリドンカルボン酸カリウム(PCA)、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム(PCA)、ソルビトール、スクロース、デキストラン硫酸塩(すなわち、あらゆる分子量のもの)、天然保湿成分、及び/又は尿素があげられる。
【0097】
皮膚コンディション調整剤としては、グアニジン、尿素、グリコール酸、グリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び4級アルキルアンモニウム)、サリチル酸、乳酸、乳酸塩(例えば、アンモニウム及び4級アルキルアンモニウム)、様々な形状のうちのいずれかのアロエベラ(例えば、アロエベラゲル)、多価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコールなど、ポリエチレングリコール、プロポキシル化グリセロール、糖類(例えば、メリビオース)、デンプン、糖及びデンプン誘導体、(例えば、アルコキシル化グルコース、フルクトース、グルコサミン)、糖である炭素原子数1~30のモノエステル類及びポリエステル類並びに関連物質、ヒアルロン酸、ラクタミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミン、パンテノール、デクスパンテノール、アラントイン、及びこれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。皮膚コンディション調整剤はまた、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂質、セラミド、コレステロール、コレステロールエステル、蜜ろう、ワセリン、及び鉱油を含むこともできる。
【0098】
エマルションは、対象へ投与及び/又は適用するように設定することができる。好適な投与方法としては、対象の外陰膣組織、直腸組織、皮膚、又は眼に導入する、注入する、埋め込む、適用する、又は塗布することがあげられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの態様において、エマルションは、対象の膣に適用するように設定される。別の態様では、エマルションは、対象の外陰部及びその周囲に塗布するように設定される。
【0099】
身体構造上及び生理学的な相互作用、生理的な排出能、拡散、又はこれらのいずれかの組み合わせは、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、生物活性剤、pH緩衝系、抗酸化物質、トコフェロール、セラミド、活性薬剤、又はこれらのいずれかの組み合わせのうち少なくとも1つとを、安定なシリコーン油中水型エマルションから放出することにつながり、結果として対象に治療上有効量を提供することができる。
【0100】
いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大2時間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大4時間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大8時間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大12時間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大18時間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大24時間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大48時間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大3日間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大5日間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大7日間提供する。いくつかの実施態様において、乳化製剤は、単回投与によって治療上有効な量を最大14日間提供する。
【0101】
実施態様において、組成物は、必要に応じて、例えば、1日1回、1日2~5回まで、1日に最高2回又は最高3回、あるいは1日に最高8回投与することができる。実施態様において、組成物は、1日3回、1日2回、1日1回、14日間投与(1日4回、1日3回、1日2回、又は1日1回)して7日間中止する3週間サイクル、最長5日又は6日間投与(1日4回、1日3回、1日2回、又は1日1回)して14~16日間中止する3週間サイクル、あるいは2日おきに1回、1週おきに1回、2週おきに1回、又は3週おきに1回投与される。
【0102】
別の実施例では、組成物は、1週間に1回、又は2週おきに1回、3週おきに1回もしくは4週おきに1回を、少なくとも1週間、いくつかの実施態様では、1~4週間、2~6週間、2~8週間、2~10週間、又は2~12週間、2~16週間、あるいはそれ以長(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、36週間、48週間、又はそれ以上の週)投与される。
【0103】
薬学的に許容可能な構成要素である賦形剤又は薬剤もまた、本明細書に記載の組成物中に含むことができる。いくつかの態様において、薬学的に許容可能な薬剤は、組成物を安定化させ、対象の外陰膣組織(例えば、外陰部、膣、もしくはその両者)、直腸組織、皮膚、又は眼への投与し易さを可能にし、症状緩和を提供する能力、原因となっている病態生理もしくは感染を治療する能力、又は対象の膣を予防的に保護する能力を高め、あるいは別の方法で、組成物を対象における治療用途に好適なものにする可能性がある。したがって、前記組成物はさらに、関連技術分野に精通する者に既知であるような、薬学的に許容可能な賦形剤を含んでもよい。本明細書に開示される前記の外陰膣組成物、直腸用組成物、皮膚科学的組成物又は眼科用組成物のうちのいくつかに活性薬剤を含有することを考慮すると、本明細書に提示されるような、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化物質、トコフェロール、セラミド、及び活性薬剤のうち少なくとも1つとを有する医薬組成物もまた本明細書に開示される。この医薬組成物は、症状緩和を提供する、原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は対象の膣を予防的保護するために対象に投与されてよい。
【0104】
本開示内容はまた、本明細書に記載の疾患及び状態の治療又は予防のための併用療法を含む方法も提供する。「併用療法」又は「連携療法(co-therapy)」は、本明細書に記載の組成物、例えば、連続シリコーン相と水相とを有する安定なシリコーン油中水型エマルションを含む組成物の投与を含んでおり、前記エマルションは、本明細書に開示のとおり、少なくとも1つの追加試薬と共に、これらの治療用組成物の共活性化によって薬効を提供することを目的とする具体的な治療計画の一部として、組成物の全重量に対し約0.1重量%~約4重量%までの濃度でステロールを含む。
【0105】
実施態様では、併用療法における少なくとも1つの追加試薬は、治療薬であってもよく、非治療薬であってもよい。この組み合わせの薬効には、治療化合物と開示の組成物との組み合わせによってもたらされる薬物動態学的又は薬力学的共活性化があげられるが、これらに限定されない。この組み合わせの薬効はまた、毒性、副作用、又は組み合わせた別の試薬に関連する有害事象の軽減にも関連する可能性がある。「併用療法」は、結果として偶発的かつ恣意的に本開示の組み合わせとなる別個の単独療法計画の一部として、2以上の前記治療化合物の投与を包含することを目的とすることもできるが、一般にはそうではない。
【0106】
併用療法という文脈において、本明細書に記載の組成物の投与は、1以上の追加試薬の投与と同時であっても連続してもよい。別の態様において、併用療法の異なる成分の投与は、様々な頻度であってよい。1以上の追加試薬は、本開示の化合物の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前)に、それと同時に、又はその後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後)に投与されてよい。
【0107】
1以上の追加試薬は、本明細書に記載のとおり、本開示の組成物と同時に単回投与剤形で投与するために配合することができる。1以上の追加試薬は、本開示の組成物を含む剤形とは別に投与することもできる。追加試薬を本開示の組成物とは別に投与するとき、本開示の組成物と投与経路が同じであっても別であってもよい。
【0108】
好ましくは、本開示の組成物と1以上の追加試薬とを組み合わされて投与すると本開示の障害、疾患又は状態を持つ対象に相乗的な反応をもたらす。これに関して、用語「相乗的」とは、組み合わせの有効性がそれぞれの単独治療の相加効果よりも有効であることを指す。本開示による併用療法の相乗効果は、組み合わせたときの少なくとも1つの試薬が、組み合さない場合の用量及び/又は頻度に比べてより少ない用量及び/又はより少ない頻度で使用できる可能性がある。相乗効果は、組み合わせたときにのみ、いずれかの治療の使用と関連した有害な又は好ましくない副作用の回避又は軽減という形で現れることもある。
【0109】
「併用療法」はまた、非薬物療法(例えば、外科的手術又は放射線治療)とさらに組み合わせて本開示の組成物を投与することも包含する。併用療法が非薬物治療も含む場合、非薬物治療は、治療用化合物と非薬物治療との組み合わせの共活性化によって薬効が実現されるのであれば、任意の好適な時期に行うことができる。
シリコーン油中水型エマルションの物理化学的性質液滴寸法
いくつかの実施例において、本明細書に記載のエマルションは液滴(あるいは、「粒子」)を含む。乳化製剤を含む液-液滴は、最大250ミクロンという中程度の直径を有し得る。例えば、液滴は、約10~約250ミクロンまで、約50~約250ミクロンまで、約100~約250ミクロンまで、約150~約250ミクロンまで、又は約200~約250ミクロンまでの中程度の直径を有することができる。いくつかの実施例において、液滴/粒子の直径は、約10~約100,000ナノメートル(100μm)までである。例えば、液滴/粒子の直径は、約10、50、100、200、300、400、500、1000、10,000、又は100,000ナノメートルであってよい。いくつかの実施態様において、機器又は装置を使用して対象に液滴/粒子を送達してもよい。
【0110】
液滴の寸法は、当該術分野において既知の方法で分析されてよい。好適な液滴寸法分析方法としては、光学顕微鏡、動的光散乱、及びレーザー回析があげられるが、これらに限定されない。
調製方法
油中水型エマルションを含む組成物の調製方法もまた本明細書に提示される。いくつかの実施例において、エマルションは、限定されないが、ローターステーター式乳化、静止型混合、又は高せん断混合を含む技法を用いて調製することができる。
【0111】
実施態様において、組成物は、所望の液滴寸法を有する安定なエマルションを形成するように乳化される。使用可能な高せん断装置としては、IKA製Ultra-Turrax分散機、IKA製Dispax-Reactor DR及びDRS(Dispax-Reactorせん断混合機は、3段型ローター/ステーターコンビネーションを有するDR3-6を備えており、ローター/ステータージェネレーターの先端速度は、モーターを制御する可変周波数駆動によって変えることができる)、Silverson製混合機(2段混合機であって、ローター/ステーター構造を内蔵し、遠心力ポンプと同様の大容量ポンプ特性を有する)、Silverson Corporation製インラインせん断混合機(ローターステーター式乳化法)、ジェットミキサー(ベンチュリ―型/キャビテーションせん断混合機)、Sonic Corporation製Ultrasonolator(超音波乳化法)、Microfluidics Incから入手可能なマイクロ流動化せん断混合機(高圧式ホモジナイザーせん断混合機)、超音波混合機、及び任意の他の入手可能な高せん断混合機があげられるが、これらに限定されない。
他の実施態様において、組成物は、静止型混合器を用いて静止性乳化を形成するように乳化される。静止型混合器は、構成要素を動かさずに液体物質を連続混合する精密工学装置である。
組成、全般
本明細書に記載のとおり、本発明の特定の態様は、化粧品、パーソナルケア製品、女性用ケア製品、生理用品、皮膚科学的製品、眼科用品、医薬品、又は健康な皮膚を維持するため、肌の若返り術のため、傷んだ肌の回復のための薬物を製造する組成物の使用に関し、傷んだ肌としては、限定されないが、美容目的の処置及び皮膚科学手術の後、創傷治癒後、外陰膣萎縮を含むあらゆるヒト組織の萎縮、及び/又は細胞外マトリックス構成成分の変化に関連したヒトの皮膚及び粘膜の他の状態、障害及び疾患の治療後の皮膚があげられる。
【0112】
これは、本発明の組成物を、このような治療を必要とするヒトの皮膚又は粘膜へ局部適用することによって達成される。一部の限られた場合において、これは、本発明の組成物を、このような治療を必要とするヒトに局部投与することによって達成することができる。
【0113】
本発明の特定の態様はさらに、このような組成物を用いた、皮膚科学的用途における治療又は予防方法、並びに創傷治癒を高める方法、外陰膣萎縮を含むあらゆるヒト組織の萎縮を軽減する方法、そしてヒトの皮膚及び粘膜の他の状態、障害及び疾患を改善する方法にも関する。これらの方法は一般に、組成物を罹患皮膚又は患部組織に、必要に応じて、目的に最適な量及び頻度で局所適用することを伴う。皮膚又は粘膜の状態、障害又は疾患を予防する、発症を遅延させる、又は治療する方法についても検討する。
【0114】
当業者はさらに、本発明の組成物及び/又は製剤のいずれかの投与が、ヒトの皮膚及び粘膜の状態、障害及び疾患であって、例えば、損傷した皮膚、美容目的の処置及び皮膚科学手術後の傷んだ肌、加齢以外の原因によって生じた皮膚及び粘膜の萎縮(例えば、情緒的ストレス、経口避妊ピルの使用、アロマターゼ阻害剤の使用、外科的手術によるもの、など)、並びにヒトの皮膚及び粘膜の他の状態、及び/又は障害及び疾患を治療、軽減又は改善することもわかるであろう。
外陰膣組成物
膣及び外陰部組織におけるエストロゲン刺激の低下に起因する外陰膣萎縮症(VVA)は、閉経周辺期及び閉経後の女性において一般的な病状である。VVAは、多くの場合、膣の乾燥、潤滑性欠如、ヒリヒリ感、からだの熱さ、焦燥、感情の高揚、萎縮性膣炎、性交疼痛症(性交中の痛み)、及び一般的な痛みとして認められ得る不快感を現す。VVAは、ほとんどの場合閉経後に生じるが、さらには授乳中、乳がん治療の結果として、又は女性のエストロゲン産生が減少するどの時点でも発症する可能性がある。さらに、最近の知見からは、経口避妊薬を摂取している(テストステロンなどの特定の性ホルモンの産生が減少する可能性のある)女性も外陰膣萎縮に気づくことがある。VVAは、ほとんどの閉経後の女性の生涯においていつか起こり得る。米国には閉経後の女性は推定6400万人おり、そして3200万人程度の女性がVVA症状に悩んでいる可能性がある。
【0115】
既存の処方箋なしで購入可能な処置(例えば、非ホルモン性の市販(OTC)クリーム、保湿剤、及び潤滑剤)は、いくつかの地域では不足しているが、それらは例えば、組織及び生理機能のうっ滞を回復することができず、多くの場合、膣管への耐容性が良くない成分を含有し、多くの場合、等張性でなく、そして症状緩和や原因となっている病態の治療といった観点ではホルモン補充療法(HRT)よりも著しく劣る。
【0116】
VVAの病態生理は、閉経周辺期及び閉経後に関するエストロゲンの濃度低下が、(1)膣粘膜を覆う表面細胞と層状扁平上皮の薄膜化と、(2)扁平上皮でのグリコーゲン代謝の低下を引き起こし、結果として剥離するグリコーゲン化細胞が減少する。グリコーゲンは、膣の健康維持に関与する重要な生体分子である。膣粘膜の有効なフローラである乳酸菌によるグリコーゲンから乳酸への転化は、健康的な低pHの膣を維持するのに極めて重要である。グリコーゲンがなければ、膣のpHは上昇し、その結果、乳酸菌が減少しかつ有害な細菌が異常増殖する可能性が生じて、感染及び炎症を引き起こすことがある。さらに、エストロゲンの濃度低下は、外陰膣血流の減少、粘膜産生の低下、そして膣潤滑性の低下につながる。そのため、これらの必要性に対処する組成物及び方法が本明細書に提示される。非ホルモン性、等張性、持続性のある外陰膣組成物(例えば、潤滑剤、保湿剤、クリーム)であって、VVAの進行を遅延させる(例えば、pHバランスを回復し、優位な潤滑性を提供し、そして症状、すなわち膣乾燥を緩和することによって、単回投与で少なくとも24時間)ことができ、しかも十分な耐容性があって一般に安全と認められる(GRAS)成分であって、天然ゴム及び乳酸菌と混合可能な成分を含む、前記組成物が本明細書に提示されている。
【0117】
組成物、例えば、外陰膣組成物が本明細書に提示される。いくつかの実施態様において、外陰膣組成物は、具体的には、ある種の兆候を治療するための活性薬剤を必要としないように配合される。あるいは、本開示内容はまた、活性薬剤を混入できるように配合される外陰膣組成物も提供する。いずれの場合も、配合方法は、具体的には、1)製剤安定性、2)力学的性質、及び3)所望の成分、賦形剤、又は薬剤の治療上適切な混入を制御するように選択される。
【0118】
開示される外陰膣組成物は、適用によって投与することができる。例えば、外陰膣組成物は、当業者に既知のアプリケータを用いて膣内に適用することができる。加えて、外陰膣組成物は、当業者に既知の方法によって外陰部に塗布することもできる。いくつかの実施態様において、外陰膣組成物は、膣内に投与することができる。いくつかの態様において、外陰膣組成物は、膣内に適用することができる。他の実施態様において、外陰膣組成物は、外陰部又はその周囲に投与することができる。他の実施態様において、外陰膣組成物は、外陰部又はその周囲に塗布することができる。他の実施態様において、外陰膣組成物は、膣の表面細胞又はその周囲に投与することができる。いくつかの態様において、外陰膣組成物は、膣の表面細胞又はその周囲に塗布することができる。さらに他の実施態様において、外陰膣組成物は、膣の扁平上皮細胞又はその周囲に投与することができる。いくつかの態様において、外陰膣組成物は、膣の扁平上皮細胞又はその周囲に塗布することができる。
【0119】
開示される外陰膣組成物は、例えば、膣に組成物を投与することによって、対象の膣の症状緩和を提供する、膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は膣を予防的に保護するのに使用することができる。開示される外陰膣組成物は、例えば、外陰部に組成物を投与することによって、対象の外陰部の症状緩和を提供する、外陰部組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は外陰部を予防的に保護するのに使用することができる。
【0120】
実施態様において、外陰膣組成物は、細菌性膣炎、外陰膣萎縮症、イースト菌感染症を予防又は治療するために、性感染(STI)及び/又は性行為感染症(STD)の予防として、パーソナル潤滑剤、膣保湿剤、局所ホルモン補充療法として、又は避妊として使用することができる。
【0121】
加えて、開示される組成物は、対象の外陰膣の症状緩和を提供する、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を処置する、又は外陰膣組織を予防的に保護するのにも使用することができる。治療又は予防の必要性は、限定されないが、閉経期、閉経周辺期、閉経後、エストロゲン濃度の低下、萎縮性膣炎、外陰膣萎縮症、細菌性膣炎、膣乾燥、膣のかゆみ、膣の焦燥、性交疼痛症、細菌感染、イースト菌感染症、尿路感染症、膣の潤滑及び保湿の必要性、性交、避妊のための予防の必要性、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む多数の状態によって生じる可能性がある。
【0122】
いくつかの実施例において、開示される外陰膣組成物は、生物活性剤を含むことができる。想到される生物活性剤の例としては、グリコーゲン、乳酸、コレステロール、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
【0123】
いくつかの実施例において、開示される組成物は、活性薬剤を含むことができる。想到される活性薬剤の例としては、抗真菌剤、抗生物質、殺精子剤、エストロゲン、エストロゲン誘導体、プロゲステロン、プロゲステロン誘導体、エストロゲン前駆体、ステロイド、抗炎症薬、抗ウイルス薬/抗レトロウィルス薬(例えば、本明細書に記載のCCR5拮抗薬、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI))、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)(例えば、アタザナビル(Reyataz)、ダルナビル(Prezista)、ホスアンプレナビル(Lexiva)、インジナビル(Crixivan)、ロピナビル/リトナビル(Kaletra)、ネルフィナビル(Viracept)、リトナビル(Norvir)、サキナビル(Invirase)、チプラナビル(Aptivus)、アタザナビル/コビシスタット(Evotaz)、及びダルナビル/コビシスタット(Prezcobix))、融合阻害剤(例えば、T-20(エンフビルチド、Fuzeon))、インテグラーゼ阻害剤(例えば、ラルテグラビル、ドルテグラビル、及びカボテグラビル)、付着後阻害剤、並びに薬物動態エンハンサーがあげられるが、これらに限定されない。
【0124】
実施態様において、外陰膣組成物における活性薬剤には、ステロイド系抗炎症剤を含むことができる。ステロイド系抗炎症性生物活性剤としては、限定されないが、プレドニゾンなどのコルチコステロイド、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステル、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸エステル、コロベタゾールバレエート、デソニド、デソキシメタゾン、デソキシコルチコステロン酢酸エステル、デキサメタゾン、ジクロリゾン、ジフロラゾン二酢酸エステル、ジフルコルトロン吉草酸エステル、フルアドレノロン、フルクロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、フルメタゾンピバル酸エステル、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)酢酸エステル、フルランドレノロン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾン二酢酸エステル、フルアドレノロンアセトニド、メソリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン及びそのエステル類の平衡、クロロプレドニゾン、クロロプレドニゾン酢酸エステル、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン吉草酸エステル、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオン酸エステル、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、トリアムシノロンがあげられ、またこれらの混合物も使用可能である。
【0125】
他の実施態様において、活性薬剤は、組成物中で有用な別の分類の抗炎症剤を含んでおり、非ステロイド系抗炎症剤があげられる。この部類に含まれる様々な化合物は、当業者には周知である。
【0126】
一実施態様において、追加試薬は、抗ウイルス薬である。本明細書に記載の組成物と組み合わせて使用可能な非限定的な抗ウイルス薬の例としては、エースマンナン、アシクロビル、アシクロビルナトリウム、アデホビル、アロブジン、アルビルセプトスドトックス、アマンタジン塩酸塩、アラノチン、アリルドン、アテビルジンメシル酸塩、アブリジン、シドオホビル、シパムフィリン、シタラビン塩酸塩、デラビルジンメシル酸塩、デスシクロビル、ジダノシン、ジソキサリル、エドクスジン、エンビラデン、エンビロキシム、ファムシクロビル、塩酸ファモチン、フィアシタビン、フィアルリジン、ホサリネート(Fosarilate)、ホスカルネットナトリウム、ホスホネットナトリウム、ガンシクロビル、ガンシクロビルナトリウム、インドクスウリジン、ケトキサール、ラミブジン、ロブカビル、メモチン塩酸塩、メチサゾン、ネビラピン、ペンシクロビル、ピロダビル、リバビリン、リマンタジン塩酸塩、サキナビルメシル酸塩、ソマンタジン塩酸塩、ソリブジン、スタトロン、スタブジン、チロロン塩酸塩、トリフルリジン、バラシクロビル塩酸塩、ビダラビン、ビダラビンリン酸エステル、ビダラビンナトリウムリン酸塩、ビロキシム、ザルシタビン、ジドブジン、及びジンビロキシムがあげられる。抗ウイルス薬の組み合わせも、本明細書に記載の組成物に含まれる。
【0127】
いくつかの実施態様において、外陰膣組成物は、1以上の活性薬剤及び/又は生物活性剤を含む。いくつかの実施態様において、外陰膣組成物は、2つの活性薬剤、例えば、エストラジオールとプラステロンを含む。別の実施例では、外陰膣組成物は、活性薬剤と生物活性剤、例えば、エストラジオールとグリコーゲンをそれぞれ含む。
【0128】
実施態様において、外陰膣組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の活性薬剤を含む。
【0129】
実施態様において、外陰膣組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の生物活性剤を含む。
【0130】
実施態様において、本開示内容には、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)と保存料とを含む、外陰膣組成物が含まれる。保存料の例としては、抗菌性保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、臭化セチル、塩化セチルピリジウム、臭化ベンジル、EDTA、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メルチオラート、酢酸フェニル水銀及びホウ酸フェニル水銀、ポリキシミンB硫酸塩、メチル及びプロピルパラベン、第4級アンモニウム塩化物、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウム、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられる。
【0131】
実施態様において、保存料は、任意の好適な量で使用することができる。例えば、保存料は、組成物の全重量に対して約0.001重量%~約1.0重量%までの量で使用することができる。
【0132】
実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む外陰膣組成物のpHは、約3~約4.5である。他の実施態様において、pHは約3.8である。
【0133】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む外陰膣組成物のモル浸透圧濃度は、約280~約380 Osm/kgである。
【0134】
外陰膣組成物は、経時的な変化及び/又は温度による変化に抵抗する、ゼロせん断粘度を有する必要がある。用語「粘稠な」、「粘度」、「ゼロせん断粘度」などは、本明細書では、通常の慣習的な良識において、力(例えば、せん断応力又は引張応力)を加えると変形する(例えば、液体挙動)材料の抵抗測度を指す。エマルションの粘度は、温度、並びにいくつかの他の影響、例えばずり速度、平均液滴寸法、及び液滴寸法分布にも左右される可能性がある。本明細書に記載のとおり、粘度は通常、外陰膣組成物のゼロせん断粘度が25℃において約50kPa・s~約1000kPa・sであることがある。実施例において、組成物は好ましいゼロせん断粘度(例えば、25℃において約200kPa・s)を少なくとも12カ月間有する。
【0135】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む外陰膣組成物のゼロせん断粘度は、25℃において50kPa・s~約1000kPa・sである。
【0136】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む外陰膣組成物は、25℃~37℃までの温度においてごくわずかな変化を有するという、レオロジー特性を有する。 外陰膣用の方法
対象の外陰膣の症状緩和を提供する、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は外陰膣組織を予防的に保護する方法であって、本明細書に提示される組成物のいずれかを対象に投与することを含む、前記方法も本明細書に提示される。いくつかの実施形態において、対象の外陰膣の症状緩和を提供する、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は外陰膣組織を予防的に保護する方法は、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール、及び活性薬剤のうち少なくとも1つとを含む外陰膣組成物を対象に投与することを含むことができる。その他の実施形態において、対象の外陰膣の症状緩和を提供する、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は外陰膣組織を予防的に保護する方法は、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール、及び活性薬剤のうち少なくとも1つとからなる外陰膣組成物を対象に投与することを含むことができる。更に別の実施態様において、対象の外陰膣の症状緩和を提供する、外陰膣組織の原因となっている病態生理又は感染を治療する、又は外陰膣組織を予防的に保護する方法は、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化剤、トコフェロール、及び活性薬剤のうち少なくとも1つとから本質的になる外陰膣組成物を対象に投与することを含むことができる。
皮膚科学的組成物
皮膚科学的組成物もまた本明細書に提示される。本明細書に記載の皮膚科学的組成物は、皮膚保護剤又は保湿剤として使用することができる。別の実施例において、皮膚科学的組成物は、湿疹、乾癬、尋常性乾癬、皮膚乾燥、荒れた皮膚、おむつかぶれ、皮膚発疹、じんましん、うるし、皮膚疼痛、ヘルペス後神経痛、やけど、創傷治癒、皮膚感染、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、にきび、膿痂疹、メラノーマ、酒さ、あかぎれ、ひび割れた唇、又は皮膚のしわを治療又は予防するために使用することができる。いくつかの実施態様において、皮膚科学的組成物は、化粧品、化粧水、皮膚用保湿液、又は皮膚用クリームとして配合することができる。
【0137】
いくつかの実施例において、開示される皮膚科学的組成物は、生物活性剤を含むことができる。想到される生物活性剤の例としては、ヒアルロン酸、コレステロール、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
【0138】
いくつかの実施例において、開示される皮膚科学的組成物は、活性薬剤を含むことができる。含まれる典型的な活性薬剤としては、抗生物質、抗菌剤、抗真菌剤、消毒薬、局所麻酔薬、鎮痛薬、抗炎症薬、免疫抑制剤、ステロイド、コルチコステロイド、カルシニューリン阻害薬、PDE4阻害剤、サリチル酸、レチノイド、抗ヒスタミン薬、過酸化ベンゾイル、及びナノ結晶銀があげられるが、これらに限定されない。
【0139】
典型的な抗生物質としては、アモキシシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、アモキシシリン/クラブラン酸塩、及びレボフロキサシンがあげられるが、これらに限定されない。追加の抗生物質としては、ミカシン(Mikacin)、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、トブラマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン(Bs)、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、リファキシミン、ロラカルベフ、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファドロキシル、セファゾリン、セフラジン、セファピリン、セファロチン、セファレキシン、セファクロル、セフォキシチン、セフォテタン、セファマンドール、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、スピラマイシン、フィダキソマイシン、フラゾリドン、ニトロフラントイン(Bs)、リネゾリド、Posizoli、ラデゾリド(Radezolid)、トレゾリド、アンピシリン、アズロシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、ペニシリンG、テモシリン、チカルシリン、アンピシリン/スルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタム、チカルシン/クラブラン酸塩、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、クロファジミン、ダプソン、カプレオマイシン、サイクロセリンム(Cycloserinem)、ピラジナミド、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、ストレプトマイシン、メトロニダゾール、及びムピロシンがあげられる。
【0140】
典型的な抗菌剤としては、アモキシシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、アモキシシリン/クラブラン酸塩、及びレボフロキサシンがあげられるが、これらに限定されない。
【0141】
典型的な抗真菌剤としては、ミコナゾール、クロトリマゾール、アンホテリシンB、ケトコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、アンデュラファンギン、カスポファンギン、ミカファンギン、及びフルシトシンがあげられるが、これらに限定されない。
【0142】
典型的な消毒薬としては、エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、クロルヘキシジン、ヘキサクロロフェン、ポビドンヨード、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロサン、ナトリウムオキシクロロセン、塩化ベンザルコニウム、及び亜硝酸銀があげられるが、これらに限定されない。
【0143】
典型的な局所麻酔薬としては、アミロカイン、アムブカイン、アルチカイン、ベンゾカイン、ベンゾナテート、ブピバカイン、ブタカイン、ブタニリカイン、クロロプロカイン、シンコカイン(INN)、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジペロドン、ジメトカイン、オイカイン、エチドカイン、ヘキシルカイン、ホモカイン、ホトカイン、ヒドオロキシプロカイン、イソブカイン、レボブピバカイン、リドカイン(リグノカイン)、メピバカイン、メプリルカイン、メタブロキシカイン、ニトラカイン、オルトカイン、オキセタカイン(オキセサゼイン)、オキシブプロカイン、パラエトキシカイン、フェナカイン、ピペロカイン、ピリドカイン、プラモカイン、プリロカイン、プリマカイン、プロカイン、プロカインアミド、プロパラカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、キニソカイン(INN)、ロピバカイン、トリメカイン、テトラキン、トリカイン、及びトロパコカインがあげられるが、これらに限定されない。
【0144】
典型的な鎮痛薬としては、コデイン、フェンタニル、ヒドロコドン(Hysingla、Zohydro)、ヒドロコドン/アセトアミノフェン(Lorcet、Lortab、Norco、Vicodin)、ヒドロモルフォン(Dilaudid、Exalgo)、メペリジン(Demerol)、メサドン(Dolophine、Methadose)、モルヒネ(Kadian、MS Contin、Morphabond)、オキシコドン(OxyContin、Oxaydo)、オキシコドンとアセトアミノフェン(Percocet、Roxicet)、並びにオキシコドンとナロキソンがあげられる。
【0145】
典型的な抗炎症薬としては、セレコキシブ(Celebrex)、ジクロフェナク(Cambia、Cataflam、Voltaren-XR、Zipsor、Zorvolex)、ジフルニサル(Dolobid)、エトドラク(Lodine)、イブプロフェン(Motrin、Advil)、インドメタシン(Indocin)、ケトプロフェン(Active-Ketoprofen)、ケトロラク、ナブメトン ナプロキセン(Aleve、Anaprox、Naprelan、Naprosyn)、オキサプロジン(Daypro)、ピロキシカム(Feldene)、サルサラート、スリンダク、及びトルメチンがあげられる。
【0146】
典型的な免疫抑制剤としては、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン(Deltasone, Orasone)、ブデソニド(Entocort EC)、プレドニゾロン、及び(Millipred))、ヤヌスキナーゼ阻害薬(例えば、トファシチニブ(Xeljanz))、カルシニューリン阻害薬、例えば、シクロスポリン(Neoral、Sandimmune、SangCya)、及びタクロリムス(Astagraf XL、Envarsus XR、Prograf)、mTOR阻害薬、例えば、シロリムス(Rapamune)、及びエベロリムス(Afinitor、Zortress)、IMDH阻害薬、例えば、アザチオプリン(Azasan、Imuran)、レフルノミド(Arava)、及びミコフェノール酸塩(CellCept、Myfortic)、生物製剤、例えば、アバタセプト(Orencia)、アダリムマブ(Humira)、アナキンラ(Kineret)、セルトリズマブ(Cimzia)、エタネルセプト(Enbrel)、ゴリムマブ(Simponi)、インフリキシマブ(Remicade)、イキセキズマブ(Taltz)、ナタリズマブ(Tysabri)、リツキシマブ(Rituxan)、セクキヌマブ(Cosentyx)、トシリズマブ(Actemra)、ウステキヌマブ(Stelara)、ベドリズマブ(Entyvio)、及びモノクローナル抗体、例えば、バシリキシマブ(Simulect)、ダクリズマブ(Zinbryta)、及びムロモナブ(Orthoclone OKT3)があげられる。
【0147】
典型的なカルシニューリン阻害薬としては、アスタグラフXL(astagraf XL)、シクロスポリン(cyclosporine)、シクロスポリン点眼液(cyclosporine ophthalmic)、エリデル(Elidel)、エンバーサスXR(Envarsus XR)、ゲングラフ(Gengraf)、ヘコリア(Hecoria)、ネオラル(Neoral)、ピメクロリムス、プログラフ(Prograf)、プロトピック(Potopic)、レスタシス(Restasis)、サンディミュン(Sandimmune)、タクロリムス(tacrolimus)、及びタクロリムス軟膏(tacrolimus ointment)があげられる。
【0148】
典型的なホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤としては、アジベンダン(Adibendan)、アミノフィリン、アミノフィリン水和物、アミピゾン(Amipizone)、アプレミラスト、アロフィリン(Arofylline)、アチゾラム(Atizoram)、ベフラリン(Befuraline)、ベマリノン塩酸塩、ベモラダン、ベナフェントリン(Benafentrine)、ブクラデシン、ブフロメジル、ブキネラン(Buquineran)、CC-1088、カルバゼラン(Carbazeran)、カトラミラスト(Catramilast)、シロミラスト、シロスタミド、シロスタゾール、シパムフィリン(Cipamfylline)、クリサボロール、ドキサプラム(Daxalipram)、デンブフィリン(Denbufylline)、ジマベフィリン(Dimabefylline)、ジニプロフィリン(Diniprofylline)、ジピリダモール、ドキソフィリン、ドロタベリン、ジフィリン、エノキシモン、エタミフィリン、エトフィリン、フィラミナスト(Filaminast)、フルフィリン(Flufylline)、フルプロフィリン(Fluprofylline)、フラフィリン(Furafylline)、イマゾダン、イマゾダン塩酸塩、イナムリノン、イナムリノン乳酸塩、イスブフィリン(Isbufylline)、リリミラスト(Lirimilast)、リソフィリン、ロミフィリン(Lomifylline)、メドリノン(Medorinone)、メテスクフィリン(Metescufylline)、ミダキシフィリン(Midaxifylline)、ミルリノン、乳酸ミルリノン、モタピゾン(Motapizone)、ナンテリノン(Nanterinone)、ネスチフィリン(Nestifylline)、ニトラクアゾン(Nitraquazone)、オグレミラスト、オグレミラストナトリウム、オルプリノン、オキサグレラート(Oxagrelate)、オキシトリフィリン(Oxtriphylline)、パパベリン、パパベリン塩酸塩、パパベリン硫酸塩、パログレリル(Parogrelil)、ペルリノン塩酸塩、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ペルブフィリン(Perbufylline)、ピクラミスト(Piclamilast)、ピメフィリン(Pimefylline)、ピモペンダン、ピロキシモン(Piroximone)、プリノキソダン(Prinoxodan)、プロキシフィリン、プマフェントリン(Pumafentrine)、クアジノン(Quazinone)、クァゾジン(Quazodine)、ロフルミラスト(Revamilast)、レビジノン(Revizinone)、ロフラミラスト、ロリプラム、ロノミラスト(Ronomilast)、サテリノン(Saterinone)、セナゾダン(Senazodan)、シグアゾダン(Siguazodan)、テトミラスト(Tetomilast)、トフィミラスト(Tofimilast)、トラピジル、ベスナリノン、及びザルダベリン(Zardaverine)があげられる。
【0149】
いくつかの実施態様において、皮膚科学的組成物は、1以上の活性薬剤及び/又は生物活性剤を含む。いくつかの実施態様において、皮膚科学的組成物は、2つの活性薬剤、例えば、リドカインとクリンダマイシンを含む。別の実施例では、皮膚科学的組成物は、活性薬剤と生物活性剤、例えば、レチノールとヒアルロン酸をそれぞれ含む。
【0150】
実施形態において、皮膚科学的組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の活性薬剤を含む。
【0151】
実施態様において、皮膚科学的組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の生物活性剤を含む。
【0152】
実施態様において、本開示内容には、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)と保存料を含む、皮膚科学的組成物が含まれる。保存料の例としては、抗菌性保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、臭化セチル、塩化セチルピリジウム、臭化ベンジル、EDTA、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メルチオラート、酢酸塩及びホウ酸フェニル水銀、ポリキシミンB硫酸塩、メチル及びプロピルパラベン、第4級アンモニウム塩化物、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウム、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられる。
【0153】
実施態様において、保存料は、任意の好適な量で使用することができる。例えば、保存料は、組成物の全重量に対して約0.001重量%~約1.0重量%までの量で使用可能である。
【0154】
実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む皮膚科学的組成物のpHは、約4.5~約6.5である。他の実施態様において、pHは約5.5である。
【0155】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む皮膚科学的組成物のモル浸透圧濃度は、約200~約500 Osm/kgである。
【0156】
皮膚科学的組成物は、経時的な変化及び/又は温度による変化に抵抗する、ゼロせん断粘度を有する必要がある。用語「粘稠な」、「粘度」、「ゼロせん断粘度」などは、本明細書では、通常の慣習的な良識において、力(例えば、せん断応力又は引張応力)を加えると変形する(例えば、液体挙動)材料の抵抗測度を指す。エマルションの粘度は、温度、並びにいくつかの他の影響、例えばずり速度、平均液滴寸法、及び液滴寸法分布にも左右される可能性がある。本明細書に記載のとおり、粘度は通常、皮膚科学的組成物のゼロせん断粘度が25℃において約100Pa・s~約1000kPa・sまでであることを意味することができる。
【0157】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む皮膚科学的組成物のゼロせん断粘度は、25℃において100kPa・s~約1000kPa・sである。
【0158】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む皮膚科学的組成物は、25℃~37℃までの温度においてごくわずかな変化を有するという、レオロジー特性を有する。
【0159】
本明細書に記載のとおり、典型的な皮膚科学的組成物は、セラミドを含む。
皮膚科学的方法
皮膚科学的症状緩和を提供する、原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は対象を予防的に保護する方法であって、本明細書に開示される組成物のいずれかを対象に投与することを含む、前記方法もまた本明細書に提示される。
【0160】
いくつかの実施例において、皮膚科学的効用のための方法は、状態を治療又は予防することを含み、状態としては、湿疹、乾癬、尋常性乾癬、皮膚乾燥、荒れた皮膚、おむつかぶれ、皮膚発疹、じんましん、うるし、皮膚疼痛、ヘルペス後神経痛、やけど、創傷保護及び/又は治癒、皮膚感染、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、にきび、膿痂疹、メラノーマ、酒さ、あかぎれ、ひび割れた唇、又は皮膚のしわがあげられるが、これらに限定されない。他の典型的な実施態様において、本開示の組成物の皮膚科学的効用は、組成物が化粧品、化粧水、皮膚用保湿剤、皮膚用クリーム、又は皮膚保護剤として配合可能であることを規定する。
直腸用組成物
直腸用組成物もまた本明細書に提示される。例えば、組成物は、痔又は裂肛を治療又は予防するために使用することができる。
【0161】
いくつかの実施例において、開示される直腸用組成物は、活性薬剤を含むことができる。典型的に想到される活性薬剤としては、血管収縮剤、抗炎症剤、ステロイド、局所麻酔剤、α-アドレナリン受容体作動薬、A型ボツリヌス毒素、カルシウムチャネルの阻害薬、及び硝酸塩があげられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、直腸用組成物は、1以上の活性薬剤を含む。いくつかの実施態様において、直腸用組成物は、2つの活性薬剤、例えば、リドカインとヒドロコルチゾンを含む。
【0162】
実施態様において、直腸用組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の活性薬剤を含む。
【0163】
実施態様において、直腸用組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の生物活性剤を含む。
【0164】
実施態様において、本開示内容には、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)と保存料を含む、直腸用組成物が含まれる。保存料の例としては、抗菌性保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸2ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、臭化セチル、塩化セチルピリジウム、臭化ベンジル、EDTA、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メルチオラート、酢酸塩及びホウ酸フェニル水銀、ポリキシミンB硫酸塩、メチル及びプロピルパラベン、第4級アンモニウム塩化物、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウム、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられる。
【0165】
実施態様において、保存料は、任意の好適な量で使用することができる。例えば、保存料は、組成物の全重量に対して約0.001重量%~約1.0重量%までの量で使用することができる。
【0166】
実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む直腸用組成物のpHは、約7~約8である。他の実施態様において、pHは約7.4である。
【0167】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む直腸用組成物のモル浸透圧濃度は、約200~約500 Osm/kgである。
【0168】
直腸用組成物は、経時的な変化及び/又は温度による変化に抵抗する、ゼロせん断粘度を有する必要がある。用語「粘稠な」、「粘度」、「ゼロせん断粘度」などは、本明細書では、通常の慣習的な良識において、力(例えば、せん断応力又は引張応力)を加えると変形する(例えば、液体挙動)材料の抵抗測度を指す。エマルションの粘度はまた、いくつかの他の影響、例えばずり速度、平均液滴寸法、及び液滴寸法分布に加えて、温度に応じても変化する可能性がある。本明細書に記載のとおり、粘度は通常、直腸用組成物のゼロせん断粘度が25℃において約50Pa・s~約1000kPa・sまでであることを意味することができる。
【0169】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む直腸用組成物のゼロせん断粘度は、25℃において50kPa・s~約1000kPa・sである。
【0170】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む直腸用組成物は、25℃~37℃までの温度においてごくわずかな変化を有するという、レオロジー特性を有する直腸用の方法。
対象において直腸の症状緩和を提供する又は原因となっている病態生理もしくは感染を治療する方法であって、本明細書に開示される組成物のいずれかを対象に投与することを含む、前記方法もまた本明細書に提示される。
【0171】
いくつかの実施態様において、直腸の効用を目的とした方法は、限定されないが、痔又は裂肛を含む状態を治療することを含む。
日焼け防止組成物
日焼け防止組成物もまた本明細書に提示される。例えば、組成物は日焼けによる損傷(例えば、紫外線照射による損傷)を治療又は予防するために使用することができる。紫外線への暴露によって生じる皮膚の色素沈着の制御は、本明細書に記載の組成物を使用することにより達成することができる。有用な日焼け止め剤としては、例えば、酸化亜鉛及び二酸化チタンがあげられる。紫外線は、皮膚の色素沈着の主な原因である。
【0172】
実施態様において、日焼け防止組成物は、活性薬剤を含むことができる。本明細書に記載の日焼け防止組成物における典型的な活性薬剤(例えば、UV吸収剤)としては、酸化亜鉛、二酸化チタン、オキシベンゾン、アヴォベンゾン、オクチサレート、オクトクリレン、ホモサレートオクチノキサート、及びパラアミノ安息香酸(例えば、PABA日焼け防止組成物)があげられるが、これらに限定されない。
【0173】
いくつかの実施態様において、日焼け防止組成物は、紫外線を吸収可能な1以上の活性薬剤を含む。いくつかの実施態様において、日焼け防止組成物は、2つの活性薬剤、例えば、酸化亜鉛とオキシベンゾンを含む。
【0174】
実施態様において、日焼け防止組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の活性薬剤を含む。
【0175】
実施態様において、日焼け防止組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の生物活性剤を含む。
【0176】
実施態様において、本開示内容には、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)と保存料を含む、日焼け防止組成物が含まれる。保存料の例としては、抗菌性保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、臭化セチル、塩化セチルピリジウム、臭化ベンジル、EDTA、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メルチオラート、酢酸塩及びホウ酸フェニル水銀、ポリキシミンB硫酸塩、メチル及びプロピルパラベン、第4級アンモニウム塩化物、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウム、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられる。
【0177】
実施態様において、保存料は、任意の好適な量で使用することができる。例えば、保存料は、組成物の全重量に対して約0.001重量%~約1.0重量%までの量で使用することができる。
【0178】
実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む日焼け防止組成物のpHは、約4.5~約6.5である。他の実施態様において、pHは約5.5である。
【0179】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む日焼け防止組成物のモル浸透圧濃度は、約200~約500 Osm/kgである。
【0180】
日焼け防止組成物は、経時的な変化及び/又は温度による変化に抵抗する、ゼロせん断粘度を有する必要がある。用語「粘稠な」、「粘度」、「ゼロせん断粘度」などは、本明細書では、通常の慣習的な良識において、力(例えば、せん断応力又は引張応力)を加えると変形する(例えば、液体挙動)材料の抵抗測度を指す。エマルションの粘度はまた、いくつかの他の影響、例えばずり速度、平均液滴寸法、及び液滴寸法分布に加えて、温度に応じても変化する可能性がある。本明細書に記載のとおり、粘度は通常、日焼け防止組成物のゼロせん断粘度が25℃において約100Pa・s~約1000kPa・sまでであることを意味することができる。
【0181】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む日焼け防止組成物のゼロせん断粘度は、25℃において100kPa・s~約1000kPa・sである。
【0182】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む日焼け防止組成物は、25℃~37℃までの温度においてごくわずかな変化を有するという、レオロジー特性を有する日焼け防止用の方法。
本明細書に開示される組成物のいずれかを対象に投与することを含む、紫外線損傷から対象を予防的保護する方法もまた本明細書に提示される。
【0183】
いくつかの実施態様において、日焼け防止効用のための方法は、対象における紫外線損傷(例えば、日焼けによる損傷)を含む状態を治療又は予防することを含む。本明細書に記載の目的において、組成物は、UVA及び/又はUVBへの暴露に対して保護又は治療するために使用することができる。
経皮ドラッグデリバリー組成物
経皮ドラッグデリバリー組成物もまた本明細書に提示される。経皮ドラッグデリバリーは、亜慢性及び慢性の兆候を治療するのに用いられる強力な薬品(例えば、10mg未満の経口投与量)においてうまく機能する。経皮ドラッグデリバリーは、初回通過肝循環及び肝クリアランスを回避したい場合に、好ましい投与経路を与える。例えば、組成物は、疼痛、糖尿病、神経学的疾患又は障害、ホルモン欠乏症、又は悪心を治療又は予防するために使用することができる。
【0184】
いくつかの実施例において、開示される経皮ドラッグデリバリー組成物は、生物活性剤を含むことができる。想到される生物活性剤の例としては、セリンプロテアーゼ、化学的浸透促進剤、コレステロール、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
【0185】
いくつかの実施例において、開示される経皮ドラッグデリバリー組成物は、活性薬剤を含むことができる。想到される典型的な活性薬剤としては、鎮痛薬、局所麻酔薬、ホルモン、ステロイド、スルホニル尿素、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬、ジペプチジルペプチダーゼ4(DDP-4)阻害剤、インスリン、選択的ナトリウム-グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、抗うつ剤、抗けいれん薬、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、及び制吐薬があげられるが、これらに限定されない。
【0186】
いくつかの実施態様において、経皮ドラッグデリバリー組成物は、1以上の活性薬剤及び/又は生物活性剤を含む。いくつかの実施態様において、経皮ドラッグデリバリー組成物は、2つの活性薬剤、例えば、エストロゲンとプロゲステロンを含む。別の実施例では、経皮ドラッグデリバリー組成物は、活性薬剤と生物活性剤、例えば、テストステロンとセリンプロテアーゼをそれぞれ含む。
【0187】
実施態様において、経皮ドラッグデリバリー組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の活性薬剤を含む。
【0188】
実施態様において、経皮ドラッグデリバリー組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の生物活性剤を含む。
【0189】
実施態様において、本開示内容には、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)と保存料を含む、経皮ドラッグデリバリー組成物が含まれる。保存料の例としては、抗菌性保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、臭化セチル、塩化セチルピリジウム、臭化ベンジル、EDTA、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メルチオラート、酢酸塩及びホウ酸フェニル水銀、ポリキシミンB硫酸塩、メチル及びプロピルパラベン、第4級アンモニウム塩化物、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウム、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられる。
【0190】
実施態様において、保存料は、任意の好適な量で使用することができる。例えば、保存料は、組成物の全重量に対して約0.001重量%~約1.0重量%までの量で使用可能である。
【0191】
実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む経皮ドラッグデリバリー組成物のpHは、約4.5~約6.5である。他の実施態様において、pHは約5.5である。
【0192】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む経皮ドラッグデリバリー組成物のモル浸透圧濃度は、約200~約500 Osm/kgである。
【0193】
経皮ドラッグデリバリー組成物は、経時的な変化及び/又は温度による変化に抵抗する、ゼロせん断粘度を有する必要がある。用語「粘稠な」、「粘度」、「ゼロせん断粘度」などは、本明細書では、通常の慣習的な良識において、力(例えば、せん断応力又は引張応力)を加えると変形する(例えば、液体挙動)材料の抵抗測度を指す。エマルションの粘度はまた、いくつかの他の影響、例えばずり速度、平均液滴寸法、及び液滴寸法分布に加えて、温度に応じても変化する可能性がある。本明細書に記載のとおり、粘度は通常、経皮ドラッグデリバリー組成物のゼロせん断粘度が25℃において約100Pa・s~約1000kPa・sまでであることを意味することができる。
【0194】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む経皮ドラッグデリバリー組成物のゼロせん断粘度は、25℃において100kPa・s~約1000kPa・sである。
【0195】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む経皮ドラッグデリバリー組成物は、25℃~37℃までの温度においてごくわずかな変化を有するという、レオロジー特性を有する経皮用の方法。
本明細書に開示される組成物のいずれかを対象に投与することを含む、経皮ドラッグデリバリーシステムを提供する方法もまた本明細書に提示される。
【0196】
いくつかの実施態様において、経皮ドラッグデリバリーシステムのための方法は、限定されないが、疼痛、糖尿病、神経学的疾患又は障害、ホルモン欠乏症、又は悪心を含む状態を治療及び予防することを含む。
眼科用組成物
眼科用組成物もまた本明細書に提示される。本明細書に記載の眼科用組成物は、眼表面の障害、眼疾患、眼科疾患などを治療又は予防するために使用することができ、前記障害及び疾患とは、ドライアイ、ものもらい、角膜上皮欠損、網膜剥離、結膜炎(例えば、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎又はアレルギー性結膜炎)、上方輪部角結膜炎、乾性角結膜炎、神経障害性角膜症、シェーグレン症候群、眼部瘢痕性類天疱瘡(OCP)、薬物性結膜炎、角膜潰瘍及びびらん、並びに黄斑変性症があげられるが、これらに限定されない。加えて、眼科用組成物は、眼科手術の前又は後に使用することができ、眼科手術としては、例えば、網膜手術、全層角膜移植及び屈折矯正手術である、レーザー角膜切削形成術(LASIK)、レーザー上皮細胞屈折矯正術(LASEK)又はレーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)があげられる。
【0197】
本明細書で使用するとき、「眼科用組成物」とは、眼、又は例えば瞼もしくは角膜などのその関連組織もしくは周辺組織に適用することを目的とする組成物を指す。この用語はまた、眼自体又は眼周辺の組織の状態の治療的な処置を目的とする組成物も含む。眼科用組成物は、当業者に既知の、局所的に又は他の手法、例えば眼への注射によって適用することができる。眼への好適な局所投与の例としては、点眼薬における及び噴霧製剤による投与があげられる。更に好適な局所投与経路は、結膜下注射によるものである。組成物はさらに、眼の周囲に又は後眼窩に提供してもよい。
【0198】
いくつかの実施例において、開示される眼科用組成物は、活性薬剤を含むことができる。想定される典型的な活性薬剤としては、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス薬、消毒薬、局所麻酔薬、抗ヒスタミン薬、血管収縮剤、鎮痛薬、抗炎症薬、免疫抑制剤、免疫賦活剤、ステロイド、及びコルチコステロイドがあげられるが、これらに限定されない。
【0199】
いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、1以上の活性薬剤を含む。例えば、眼科用組成物は、血管収縮剤と抗ヒスタミン薬、例えば、ナファゾリンとフェニラミンを含む。
【0200】
実施態様において、眼科用組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の活性薬剤を含む。
【0201】
実施態様において、眼科用組成物は、組成物の約0.0001重量%~約90重量%まで、約0.0001重量%~約1重量%まで、約0.0001重量%~約10重量%まで、約0.0001重量%~約20重量%まで、約0.0001重量%~約30重量%まで、約0.0001重量%~約40重量%まで、約0.0001重量%~約50重量%まで、約0.0001重量%~約60重量%まで、約0.0001重量%~約70重量%まで、約0.0001重量%~約80重量%まで、組成物の約0.001重量%~約90重量%まで、約0.001重量%~約1重量%まで、約0.001重量%~約10重量%まで、約0.001重量%~約20重量%まで、約0.001重量%~約30重量%まで、約0.001重量%~約40重量%まで、約0.001重量%~約50重量%まで、約0.001重量%~約60重量%まで、約0.001重量%~約70重量%まで、約0.001重量%~約80重量%まで、約0.01重量%~約90重量%まで、約0.01重量%~約1重量%まで、約0.01重量%~約10重量%まで、約0.01重量%~約20重量%まで、約0.01重量%~約30重量%まで、約0.01重量%~約40重量%まで、約0.01重量%~約50重量%まで、約0.01重量%~約60重量%まで、約0.01重量%~約70重量%まで、約0.01重量%~約80重量%まで、約0.1重量%~約90重量%まで、約0.1重量%~約1重量%まで、約0.1重量%~約10重量%まで、約0.1重量%~約20重量%まで、約0.1重量%~約30重量%まで、約0.1重量%~約40重量%まで、約0.1重量%~約50重量%まで、約0.1重量%~約60重量%まで、約0.1重量%~約70重量%まで、組成物の約0.1重量%~約80重量%まで、及びこれらの間のいずれかの範囲の生物活性剤を含む。
【0202】
実施態様において、本開示内容には、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)と保存料を含む、眼科用組成物が含まれる。保存料の例としては、抗菌性保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、臭化セチル、塩化セチルピリジウム、臭化ベンジル、EDTA、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メルチオラート、酢酸塩及びホウ酸フェニル水銀、ポリキシミンB硫酸塩、メチル及びプロピルパラベン、第4級アンモニウム塩化物、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウム、又はこれらのいずれかの組み合わせがあげられる。
【0203】
実施態様において、保存料は、任意の好適な量で使用することができる。例えば、保存料は、組成物の全重量に対して約0.001重量%~約1.0重量%までの量で使用することができる。
【0204】
実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む眼科用組成物のpHは、約7~約7.4(例えば、中性pH、又は生理学的pH)である。他の実施態様において、pHは約7である。
【0205】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む眼科用組成物のモル浸透圧濃度は、約200~約500 Osm/kgである。
【0206】
眼科用組成物は、経時的な変化及び/又は温度による変化に抵抗する、ゼロせん断粘度を有する必要がある。用語「粘稠な」、「粘度」、「ゼロせん断粘度」などは、本明細書では、通常の慣習的な良識において、力(例えば、せん断応力又は引張応力)を加えると変形する(例えば、液体挙動)材料の抵抗測度を指す。エマルションの粘度はまた、いくつかの他の影響、例えばずり速度、平均液滴寸法、及び液滴寸法分布に加えて、温度に応じても変化する可能性がある。本明細書に記載のとおり、粘度は通常、眼科用組成物のゼロせん断粘度が25℃において約100Pa・s~約1000kPa・sまでであることを意味することができる。
【0207】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む眼科用組成物のゼロせん断粘度は、25℃において100kPa・s~約1000kPa・sである。
【0208】
いくつかの実施態様において、細胞膜流動性増強剤(例えば、ステロールであって、典型的なステロールとしては、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール、又はこれらの任意の組み合わせがあげられる)を含む眼科用組成物は、25℃~37℃までの温度においてごくわずかな変化を有するという、レオロジー特性を有する。 眼科用の方法
眼科症状緩和を提供する、原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は対象を予防的に保護する方法であって、本明細書に開示される組成物のいずれかを対象に投与することを含む、前記方法もまた本明細書に提示される。いくつかの実施態様において、眼科効用のための方法は、限定されないが、眼表面の障害、眼疾患、眼科疾患などを治療又は予防することを含み、前記障害及び疾患とは、ドライアイ、ものもらい、角膜上皮欠損、網膜剥離、結膜炎(例えば、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎又はアレルギー性結膜炎)、上方輪部角結膜炎、乾性角結膜炎、神経障害性角膜症、シェーグレン症候群、眼部瘢痕性類天疱瘡(OCP)、薬物性結膜炎、角膜潰瘍及びびらん、並びに黄斑変性症があげられるが、これらに限定されない。加えて、眼科用組成物は、眼科手術の前又は後に使用することができ、眼科手術としては、例えば、網膜手術、全層角膜移植及び屈折矯正手術である、レーザー角膜切削形成術(LASIK)、レーザー上皮細胞屈折矯正術(LASEK)又はレーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)があげられる。他の典型的な実施態様において、本開示に組成物の眼科効用は、組成物が溶液、懸濁液、半固体、エマルション、半流動体、軟膏、クリーム、又は制御放出/持続放出賦形剤として配合可能であることを規定する。例えば、組成物は、コンタクトレンズ溶液、点眼薬、眼軟膏剤などの形態であってよい。
【0209】
実施態様において、眼疾患を治療する方法には、眼の表面、涙腺もしくは結膜の炎症の治療に関連する又は起因するドライアイ、涙成分を改変するいずれかの疾患に関連するドライアイ、甲状腺疾患において眼が突き出たときのように眼の表面の増加に関連するドライアイ、及び/又は美容整形、例えば、手術中に瞼を過度に開けた場合に関連するドライアイを治療することが含まれる。
【0210】
実施態様において、眼疾患を治療する方法には、眼の刺傷もしくはやけど、眼に何かが入ったようなザラツキ又はじゃりじゃりする感覚、眼が強く乾いた後の涙の分泌過剰の発現、眼からの粘質物の放出、眼の痛み及び赤味、視力低下の発現、眠気による瞼の重み、感情的ストレスが多いときに涙が出ないこと、コンタクトレンズの不快感、読書、コンピュータでの作業、又は持続的な視覚的注意を必要とする任意の活動への耐容能の低下、及び/又は眼精疲労を含む症状の改善が含まれる。
追加適用
組成物は、本明細書に記載のとおり、様々な産業上の利用を目的として配合することができ、潤滑の付与、保護、又は適用される表面の保湿があげられるが、これらに限定されない。
【0211】
例えば、本発明の組成物には、自動車及びモータースポーツ用途、船舶用途、農業用途、自動車修理工場/作業場用途、ホビークラフト用途、及び住まい及び庭の用途などの分野において多くの用途がある。例えば、組成物は、成型による錆を防ぐために金属体に保護コーティングを付与するため、接触している金属部品に潤滑性を付与するため、移動中の部品を清浄及び潤滑化するため、固着した物体に潤滑剤を付ける及び浸透させるため、用具、ノコギリ及び刃を清浄及び潤滑化するため、表面を(表面に物理化学的変化が生じた後に)回復させる又は磨くために使用することができる。典型的な表面としては、木材、磁器、エナメル質、タイル、ステンレス鋼、ガラス繊維、クローム、及びゴムがあげられる。
キット
症状緩和のため、状態に関連する組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療するため、対象の組織を保護的に予防するための組成物用のキットもまた本明細書に提示される。実施態様において、キットは、安定なシリコーン油中水型エマルションと細胞膜流動性増強剤を含む。別の実施態様において、キットはさらに、乳化剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化物質、トコフェロール、セラミド、又は活性薬剤のうちの少なくとも1つと、組成物の製造説明書を含む。説明書には、乳化によって組成物を製造するための工程及び試薬を記載することができる。このような工程及び試薬は、乳化のための本出願の開示内容に基づくことがある。
【0212】
実施態様において、対象の外陰膣症状緩和を提供する、外陰膣組織の原因となっている病態生理もしくは感染を治療する、又は外陰膣組織を予防的に保護する外陰膣組成物を製造するためのキットであって、組成物が、安定なシリコーン油中水型エマルションと、乳化剤と、細胞膜流動性増強剤と、脂肪酸と、保存料と、生物活性剤、pH緩衝系、増粘剤、抗酸化物質、トコフェロール、及び活性薬剤のうちの少なくとも1つと、外陰膣組成物の製造説明書を含む、からなる、又はから本質的になる前記キットが本明細書に提示される。説明書には、乳化によって外陰膣組成物を製造するための工程及び試薬を記載することができる。このような工程及び試薬は、乳化のための本出願の開示内容に基づくことがある。
【0213】
本明細書に記載の組成物を含む皮膚科学的キットもまた本明細書に提示される。本明細書に提示される皮膚科学的組成物は、状態を治療又は予防することを目的としており、状態としては、湿疹、乾癬、尋常性乾癬、皮膚乾燥、荒れた皮膚、おむつかぶれ、皮膚発疹、じんましん、うるし、皮膚疼痛、ヘルペス後神経痛、やけど、創傷治癒、皮膚感染、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、にきび、膿痂疹、メラノーマ、酒さ、あかぎれ、ひび割れた唇、又は皮膚のしわがあげられるが、これらに限定されない。他の典型的な実施態様において、本開示の組成物の皮膚科学的キットは、キットの組成物が化粧品、化粧水、皮膚用保湿剤、皮膚用クリーム、又は皮膚保護剤として配合可能であることを規定する。
【0214】
他の実施例において、本明細書に記載の組成物を含む直腸用キットもまた本明細書に提示される。本明細書に提示される直腸用キットは、限定されないが、痔又は裂肛を含む状態を治療又は予防することを目的とする。
【0215】
他の実施例において、本明細書に記載の組成物を含む日焼け防止用キットもまた本明細書に提示される。本明細書に提示される日焼け防止用キットは、限定されないが、紫外線損傷(例えば、日焼けによる損傷)を含む状態を治療又は予防することを目的とする。
【0216】
他の実施例において、本明細書に記載の組成物を含む経皮ドラッグデリバリーシステムキットもまた本明細書に提供される。本明細書に提示される経皮ドラッグデリバリーシステムキットは、限定されないが、疼痛、糖尿病、神経学的疾患又は障害、ホルモン欠乏症、又は悪心を含む状態を治療及び予防することを目的とする。
【0217】
他の実施例において、本明細書に記載の組成物を含む眼科用キットもまた本明細書に提示される。本明細書に提示される眼科用キットは、限定されないが、眼表面の障害、眼疾患、眼科疾患などを含む状態を治療又は予防することを目的とする。
【実施例
【0218】
本発明のより完全な理解を促すために以下に実施例を提示する。以降の実施例は、本発明を製造及び実施するための典型的な様式を表す。とはいえ、本発明の範囲は、これら実施例に開示された具体的な実施態様に限定されるものではなく、別の方法を利用して同様の結果を得ることができることから、これら実施例は単なる例示を目的とするものである。実施例1:シリコーン油中水型(W/O)乳化法によって製造される外陰膣クリーム
W/O乳化されたクリームを、ローターステーター方式ホモジナイザーを用いた高せん断混合法によって製造する。乳酸緩衝系(乳酸/乳酸ナトリウム、pH3.8、250 Osm/kg)、グリコーゲン0.5重量%、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量%、及びソルビン酸カリウム0.1重量%を含む水分散相を、これら構成要素を脱イオン水に溶解することによって調製する。Span80 1重量%、Tween80 2重量%、コレステロール1重量%、ステアリン酸0.2重量%、オレイン酸0.2重量%、リノール酸0.2重量%、トコフェロール酢酸エステル1重量%、及び安息香酸0.1重量%を含むシリコーン連続相を、これら構成要素をジメチコーンに溶解することによって調製する。得られた水分散相(250mL)を、得られたシリコーン連続相(500mL)にローターステーター式ホモジナイザーを用いた一定の高せん断混合下で加える。得られた安定なマイクロエマルションを30分間均質化することで、安定なシリコーン油中水型乳化クリームが得られる。
【0219】
ローターステーター方式ホモジナイザーを用いた高せん断混合法によってW/O乳化されたクリームを製造する。乳酸緩衝系(乳酸/乳酸ナトリウム、pH3.8、250 Osm/kg)、グリコーゲン0.5重量%、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量%、及びソルビン酸カリウム0.1重量%を含む水分散相を、これら構成要素を脱イオン水に溶解することによって調製する。PEG/PPG-18/18 2重量%、オクチルドデカノール1重量%、コレステロール1重量%、ステアリン酸0.2重量%、オレイン酸0.2重量%、リノール酸0.2重量%、トコフェロール酢酸エステル1重量%、及び安息香酸0.1重量%を含むシリコーン連続相を、これら構成要素をジメチコーンに溶解することによって調製する。得られた水分散相(250mL)を、得られたシリコーン連続相(500mL)にローターステーター式ホモジナイザーを用いた一定の高せん断混合下で加える。得られた安定なマイクロエマルションを30分間均質化することで、安定なシリコーン油中水型乳化クリームが得られる。
実施例2:シリコーン油中水型(W/O)乳化法によって製造される外陰膣クリームシリコーン油中水型(W/O)乳化法によって製造される、ミコナゾール2%を含む外陰膣クリーム。
ローターステーター方式ホモジナイザーを用いた高せん断混合法によってW/O乳化されたクリームを製造する。乳酸緩衝系(乳酸/乳酸ナトリウム、pH3.8、250Osm/kg)、グリコーゲン0.5重量%、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量%、及びソルビン酸カリウム0.1重量%を含む水分散相を、これら構成要素を脱イオン水に溶解することによって調製する。PEG/PPG-18/18 2重量%、オクチルドデカノール1重量%、コレステロール1重量%、ステアリン酸0.2重量%、オレイン酸0.2重量%、リノール酸0.2重量%、トコフェロール酢酸エステル1重量%、安息香酸0.1重量%、及びミコナゾール3重量%を含むシリコーン連続相を、これら構成要素をジメチコーンに溶解することによって調製する。得られた水分散相(250mL)を、得られたシリコーン連続相(500mL)にローターステーター式ホモジナイザーを用いた一定の高せん断混合下で加える。得られた安定なマイクロエマルションを30分間均質化することで、安定なシリコーン油中水型乳化クリームが得られる。シリコーン油中水型(W/O)乳化法によって製造される、1%クロトリマゾールを含む外陰膣クリーム。
ローターステーター方式ホモジナイザーを用いた高せん断混合法によって、W/O乳化クリームを製造する。乳酸緩衝系(乳酸/乳酸ナトリウム、pH3.8、250 Osm/kg)、グリコーゲン0.5重量%、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量%、及びソルビン酸カリウム0.1重量%を含む水分散相を、これら構成要素を脱イオン水に溶解することによって調製する。PEG/PPG-18/18 2重量%、オクチルドデカノール1重量%、コレステロール1重量%、ステアリン酸0.2重量%、オレイン酸0.2重量%、リノール酸0.2重量%、トコフェロール酢酸エステル1重量%、安息香酸0.1重量%、及びクロトリマゾール1.5重量%を含むシリコーン連続相を、これら構成要素をジメチコーンに溶解することによって調製する。得られた水分散相(250mL)を、得られたシリコーン連続相(500mL)にローターステーター式ホモジナイザーを用いた一定の高せん断混合下で加える。得られた安定なマイクロエマルションを30分間均質化することで、安定なシリコーン油中水型乳化クリームが得られる。シリコーン油中水型(W/O)乳化法によって製造される、メトロニダゾール1%を含む外陰膣クリーム。
ローターステーター方式ホモジナイザーを用いた高せん断混合法によって、W/O乳化クリームを製造する。乳酸緩衝系(乳酸/乳酸ナトリウム、pH3.8、250 Osm/kg)、グリコーゲン0.5重量%、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量%、ソルビン酸カリウム0.1重量%、及びメトロニダゾール1.5重量%を含む水分散相を、これら構成要素を脱イオン水に溶解することによって調製する。PEG/PPG-18/18
2重量%、オクチルドデカノール1重量%、コレステロール1重量%、ステアリン酸0.2重量%、オレイン酸0.2重量%、リノール酸0.2重量%、トコフェロール酢酸エステル1重量%、安息香酸0.1重量%を含むシリコーン連続相を、これら構成要素をジメチコーンに溶解することによって調製する。得られた水分散相(250mL)を、得られたシリコーン連続相(500mL)にローターステーター式ホモジナイザーを用いた一定の高せん断混合下で加える。得られた安定なマイクロエマルションを30分間均質化することで、安定なシリコーン油中水型乳化クリームが得られる。シリコーン油中水型(W/O)乳化法によって製造される、ノノキシノール-9 4%の外陰膣クリーム。
ローターステーター方式ホモジナイザーを用いた高せん断混合法によって、W/O乳化クリームを製造する。乳酸緩衝系(乳酸/乳酸ナトリウム、pH3.8、250Osm/kg)、グリコーゲン0.5重量%、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量%、及びソルビン酸カリウム0.1重量%を含む水分散相を、これら構成要素を脱イオン水に溶解することによって調製する。PEG/PPG-18/18 2重量%、オクチルドデカノール1重量%、コレステロール1重量%、ステアリン酸0.2重量%、オレイン酸0.2重量%、リノール酸0.2重量%、トコフェロール酢酸エステル1重量%、安息香酸0.1重量%、及びノノキシノール9 6重量%を含むシリコーン連続相を、これら構成要素をジメチコーンに溶解することによって調製する。得られた水分散相(250mL)を、得られたシリコーン連続相(500mL)にローターステーター式ホモジナイザーを用いた一定の高せん断混合下で加える。得られた安定なマイクロエマルションを30分間均質化することで、安定なシリコーン油中水型乳化クリームが得られる。シリコーン油中水型(W/O)乳化法によって製造される、エストラジオール0.1%を含む外陰膣クリーム。
ローターステーター方式ホモジナイザーを用いた高せん断混合法によって、W/O乳化クリームを製造する。乳酸緩衝系(乳酸/乳酸ナトリウム、pH3.8、250 Osm/kg)、グリコーゲン0.5重量%、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量%、及びソルビン酸カリウム0.1重量%を含む水分散相を、これら構成要素を脱イオン水に溶解することによって調製する。PEG/PPG-18/18 2重量%、オクチルドデカノール1重量%、コレステロール1重量%、ステアリン酸0.2重量%、オレイン酸0.2重量%、リノール酸0.2重量%、トコフェロール酢酸エステル1重量%、安息香酸0.1重量%、及びエストラジオール0.15重量%を含むシリコーン連続相を、これら構成要素をジメチコーンに溶解することによって調製する。得られた水分散相(250mL)を、得られたシリコーン連続相(500mL)にローターステーター式ホモジナイザーを用いた一定の高せん断混合下で加える。得られた安定なマイクロエマルションを30分間均質化することで、安定なシリコーン油中水型乳化クリーム。
【0220】
当業者には、本発明の好ましい実施態様に対して多くの変更及び修正が可能であり、しかもそのような変更及び修正が本発明の主旨から逸脱することなく可能であることが分かるであろう。したがって、添付のクレームは、本発明の趣旨及び範囲の範疇にあるこれらの同等物をいずれも網羅するものとする。
実施例3:シリコーン油中水型(W/O)乳化法によって製造される外陰膣クリーム方法
Silverson製ローターステーター方式ホモジナイザーを用いた高せん断混合法によって、シリコーン油中水型乳化クリームを製造する。手短に言えば、乳酸緩衝系(100mM乳酸/乳酸ナトリウム緩衝液、pH3.8、300 Osm/kg)とグリコーゲン0.1重量%を含む水分散相を、これら構成要素を脱イオン水中80℃で混合しながら溶解することによって調製した(加熱中の蒸発損失を考慮して脱イオン水を補った)。2-オクチルドデカノール13重量%、Span60 0.25重量%、コレステロール2重量%、ステアリン酸0.2重量%、及びトコフェロール酢酸エステル0.1重量%を含むシリコーン連続相を、これら構成要素を、ジメチコーン35.65重量%とジメチコーン/ジメチコノール12.3重量%の混合液に80℃で混合しながら溶解することによって調製した。得られた水分散相(80℃)を、得られたシリコーン連続相(80℃)に、Silverson製ローターステーター式ホモジナイザーを用いて6500RPMで10分間作動させて一定の高せん断混合下で加えた。その後、乳化に関するずり速度を8000RPMで5分間まで高めることで、安定なシリコーン油中水型乳化クリームが得られた。次いで、この安定なマイクロエマルションをオーバーヘッドスターラーに移して室温と平衡した周囲温度によって冷却して、凝固した安定なシリコーン油中水型乳化クリームを得た。成分の重量割合はいずれも、組成物全量に対する割合を表す。
レオロジー:流動応力スイープ手順
流動応力スイープ手順は、20mm並行板構造及びギャップ1000μmのTA Instruments製Discovery HR-3応力制御型レオメーターにおいて25℃及び37℃で行った。手順を実行するために、装置パラメータは次のように設定した。
【0221】
ステップ1)コンディショニング-任意
モード 無効
パージガスのみ(強制放熱なし):オフモード 無効
ステップ2)流動スイープ
温度25℃ 引継ぎ設定点:オフ
浸漬時間60.0秒 設定温度まで待機オン
Logスイープ
応力:0.1~500Pa
1ディケード当たりの測定数:5
定常感度:オン(最大平衡時間60.0秒)
サプル(Saple)周期:10.0秒
許容度(%)5.0
連続測定:3
縮尺倍率平均:オフレオロジー:振動周波数及び振動振幅スイープ手順
振動周波数及び振幅スイープ手順は、20mm並行板構造及びギャップ1000μmのTA Instruments製Discovery HR-3応力制御型レオメーターにおいて25℃及び37℃で行った。手順を実行するために、装置パラメータは次のように設定した。
【0222】
ステップ1)振動-周波数
温度引継ぎポイント:オン
温度に向けた浸漬時間0.0秒待機:オフ
歪み(%)1%
Logスイープ
周波数:0.1-30Hz
1ディケード当たりの測定数:5
ステップ2)振動-周波数
温度引継ぎポイント:オン
温度に向けた浸漬時間0.0秒待機:オフ
歪み(%)1%
Logスイープ
周波数:30-0.1Hz
1ディケード当たりの測定数:5
ステップ3)振動-振幅
温度引継ぎポイント:オン
角振動数10rad/秒
Logスイープ
歪み(%)0.1-100%
1ディケード当たりの測定数:10レオロジー:振動温度スイーププロトコル
振動温度スイープ手順は、20mm並行板構造及びギャップ1000μmのTA Instruments製Discovery HR-3応力温度レオメーターにおいて、応力5Pa及び周波数10rad/秒を用いて20℃~40℃でまで行った。手順を実行するために、装置パラメータは次のように設定した。
【0223】
ステップ1)コンディショニング-任意
温度20℃引継ぎポイント:オフ
温度に向けた浸漬時間600.0秒待機オン
軸力の待機:オフ
前せん断の実行:オフ
平衡の実行:オフ
ステップ2)振動-温度勾配
開始温度:20℃
浸漬時間60.0秒 設定温度まで待機オン
終了温度:40℃
温度上昇後の浸漬時間:0.0秒
温度勾配:0.5℃/分
サンプリング間隔:10秒/点
応力:5Pa
シングルポイント
角振動数10rad/秒
レオロジー:結果及び考察
表1:シリコーン油中水型乳化クリーム製剤マトリックス型
【0224】
【表1】
略語DiM=ジメチコーン、DiM/DiM-ol=ジメチコーン/ジメチコノール、Chol=コレステロール、SA=ステアリン酸、TA=トコフェロール酢酸エステル、Glyc=グリコーゲン、LA=乳酸/乳酸ナトリウム水性緩衝液
表1に従って製剤を生成し、そして肉眼で見た光学像と光学顕微鏡画像の両方から分析して安定性を求めた。製剤番号1は、安定な標準的エマルションを含まない、中程度の粘稠な白色クリームをもたらした。相分離は10日目から始まり、徐々に拡大が認められた。製剤番号2は、安定な標準的エマルションを含まない、高粘度の白色クリームをもたらした。高粘度はジメチコノールの混入によるものであった。相分離が10日目から始まり、徐々に拡大が認められた。製剤番号3は、安定な標準的エマルションを含まない、粘稠な白色クリームをもたらした。相分離は最初1日目に認められ、コレステロールの混入上限の存在が示された。製剤番号4は、粘稠な白色クリームと安定な標準的エマルションのどちらも生成しなかった。相分離は乳化直後に認められ、Span60の混入上限の存在が示された。この現象はおそらく、Span60の濃度がシリコーン混合液中のSpan60の臨界ミセル濃度(CMC)を上回ったことにも関連していた。製剤番号5は、安定な標準的エマルションを含まない、粘稠な白色クリームをもたらした。相分離は14日目から始まり、徐々に拡大が認められた。この現象はおそらく、2-オクチルドデカノールの増加とも関連しており、Span60及びコレステロールと良好な界面を作成することで水-シリコーン界面において水滴を更に安定化させた。製剤番号6は、安定な標準的エマルションを含まない、粘稠な白色クリームをもたらした。相分離は4日目から始まり、徐々に拡大が認められた。この現象からは、ろう状のジメチコノール成分を増やすことによってエマルションに物理的安定性を付与しようとする試みが役に立たず、その結果、エマルション安定性が物理化学的及び熱力学的パラメータによって優位に支配されることが分かった。製剤番号7は、安定な標準的エマルションを含まない、粘稠な白色クリームをもたらした。相分離は5日目から始まり、徐々に拡大が認められた。この現象からは、Span60の濃度低下の有用性が示された。製剤番号8は、安定な標準的エマルションとよりうまく整合するエマルションを含む、粘稠な白色クリームをもたらした(図3A~3C)。シリコーン相の浸出が6日目に認められたが、エマルションは中程度の安定した統合性を維持することが観測された。相分離は15日目から始まり、徐々に拡大が認められた。この現象は、乳化剤の特定のバランスがエマルション安定性付与に必須であるという仮説も支持している。さらに、油相の滲出からは、水とシリコーンの割合を変えることでより多くの水性分散相を混入できることも分かった。製剤番号9は、安定な標準的エマルションを含む、粘稠な白色クリームをもたらした(図4A~4C)。このクリームは、相分離の兆候も不安定性も示さなかったことから、エマルション安定性には水とシリコーンの割合が重要であることを裏付けた。製剤番号10(図5A~5C)及び製剤番号11もまた、安定な標準的エマルションを含む、粘稠な白色クリームをもたらした。これらのクリームは、相分離の兆候も不安定性も示さなかった。製剤番号12は、安定な標準的エマルションを含まない、粘稠な白色クリームをもたらした。この現象からは、シリコーン相組成を制御することの重要性が示された。製剤番号13もまた、安定な標準的エマルションを含まない、粘稠な白色クリームをもたらした。製剤番号13からコレステロールを除去して製剤番号14を作成すると、完全に相分離して、エマルションが形成しなかった(図6A~6E)。この現象からは、乳化剤及び界面安定化剤としてのコレステロールの重要性が示された。
【0225】
抜粋した製剤の力学的性質をレオメトリーで評価した。結果を以下の表2にまとめる。表2:前記外陰膣クリームとレオロジー特性の比較
【0226】
【表2】
流動応力スイープ手順を用いて、製剤番号9において25℃及び37℃においてゼロせん断粘度95kPa・s及び105kPa・sを測定した(図7A~7D)。振動周波数スイープからは、高周波数では幾分の収束もあるが、貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G”)との間でほぼ平行な関係が示された(図8A~8B)。さらには、全周波数域にわたって拡張もヒステリシスも見られず、また25℃及び37℃におけるG'とG”の間の差がごくわずかであることが観測された。振動振幅スイープからは、G'とG”の交差点と25℃及び37℃における歪みとの間にほんの小さな差があることが分かったことから、固体体様から液体様への転移が規定温度領域全体ではよく似ていることが分かった(図9A~9B)。振動温度スイープからは、G'、G”及び複素粘度においてわずかな負勾配が示された(図10)。さらに、このことから、製剤番号9の25℃と37℃でのごくわずかな差の裏付けとして、別の証拠が提示された。凝集を考慮すると、これらのレオロジー特性は、室温で保管して体温で組織に適用されるように設計された外陰膣クリームにとって理想的な性質であることを示している。製剤番号11では、これら理想的な性質も認められた。力学的性質とモル浸透圧濃度の比較:製剤番号9 対 膣適用のための前記クリーム
製剤番号9及び膣適用のための前述のクリーム(例えば、Monistat 7、Vagisil、及び2%クロトリマゾール)において、力学的性質とモル浸透圧濃度の比較を行った。結果を以下の表3に示す。
【0227】
表3:力学的性質とモル浸透圧濃度の比較
【0228】
【表3】
他の実施態様
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、上述の説明は本発明の範囲を例示するものであって制限するものではなく、本発明は、添付のクレームの範囲によって定義されるものである。その他の態様、利点及び修正は、以降のクレームの範疇に含まれる。
【0229】
本明細書中で言及される特許及び科学論文は、当業者に入手可能な知識を規定している。本明細書で引用される米国特許及び公開もしくは未公開の米国特許出願はいずれも参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で引用される公開された外国特許及び特許出願はいずれも、本明細書に参照として組み込まれる。本明細書で引用される寄託番号によって示されるGenbank及びNCBIへの寄託は、本明細書に参照として組み込まれる。本明細書で引用される他の刊行された参考文献、文書、原稿及び科学論文はいずれも、本明細書に参照として組み込まれる。
【0230】
本発明について、その好ましい実施態様を参照して具体的に示しかつ説明してきたが、クレームによって網羅される本発明の範囲から逸脱しなければ、形態及び詳細において様々な変更をなし得ることが当業者にはわかるであろう。含まれる追加の典型的な実施態様
実施態様において、連続シリコーン相と水相を有する安定なシリコーン油中水型エマルションを含む皮膚科学的組成物であって、エマルションが、組成物の全重量の約0.1重量%~約4重量%までの濃度でステロールを含む、前記組成物が本明細書に提示される。実施態様において、ステロールは、コレステロール、又はコレステロール誘導体を含む。
【0231】
実施態様において、対象の皮膚科学的状態を予防又は治療する方法であって、前記方法が、安定なシリコーン油中水型エマルションを含む組成物を対象に投与することを含み、前記エマルションが、前記組成物の全重量の約0.1%~約4%までの濃度でステロールを有する、前記方法もまた本明細書に提示される。
【0232】
実施態様において、連続シリコーン相と水相を有する安定なシリコーン油中水型エマルションを含む直腸組成物であって、前記エマルションが、前記組成物の全重量の約0.1重量%~約4重量%までの濃度でステロールを含む、前記組成物が本明細書に提示される。実施態様において、ステロールは、コレステロール、又はコレステロール誘導体を含む。
【0233】
実施態様において、対象の直腸状態を治療する方法であって、前記方法が、安定なシリコーン油中水型エマルションを含む組成物を対象に投与することを含み、前記エマルションが、前記組成物の全重量の約0.1%~約4%までの濃度でステロールを有する、前記方法もまた本明細書に提示される。
【0234】
実施態様において、連続シリコーン相と水相を有する安定なシリコーン油中水型エマルションを含む日焼け防止組成物であって、前記エマルションが、前記組成物の全重量の約0.1重量%~約4重量%までの濃度でステロールを含む、前記組成物が本明細書に提示される。実施態様において、ステロールは、コレステロール、又はコレステロール誘導体を含む。
【0235】
実施態様において、対象のUV照射損傷を予防する方法であって、前記方法が、安定なシリコーン油中水型エマルションを含む組成物を対象に投与することを含み、前記エマルションが、前記組成物の全重量の約0.1%~約4%までの濃度でステロールを有する、前記方法もまた本明細書に提示される。
【0236】
実施態様において、連続シリコーン相と水相を有する安定なシリコーン油中水型エマルションを含む経皮ドラッグデリバリー組成物であって、前記エマルションが、前記組成物の全重量の約0.1重量%~約4重量%までの濃度でステロールを含む、前記組成物が本明細書に提示される。実施態様において、ステロールは、コレステロール、又はコレステロール誘導体を含む。
【0237】
実施態様において、対象の疼痛、糖尿病、神経学的疾患又は障害、ホルモン欠乏症、又は悪心を治療する方法であって、前記方法が、安定なシリコーン油中水型エマルションを含む組成物を対象に投与することを含み、前記エマルションが、前記組成物の全重量の約0.1%~約4%までの濃度でステロールを有する、前記方法もまた本明細書に提示される。
【0238】
実施態様において、連続シリコーン相と水相を有する安定なシリコーン油中水型エマルションを含む眼科用組成物であって、前記エマルションが、前記組成物の全重量の約0.1重量%~約4重量%までの濃度でステロールを含む、前記組成物が本明細書に提示される。実施態様において、ステロールは、コレステロール、又はコレステロール誘導体を含む。
【0239】
実施態様において、対象の眼疾患を予防又は治療するための方法であって、前記方法が、安定なシリコーン油中水型エマルションを含む組成物を対象に投与することを含み、前記エマルションが、前記組成物の全重量の約0.1%~約4%までの濃度でステロールを有する、前記方法もまた本明細書に提示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図10