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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240611BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240611BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240611BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240611BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/209
H01M50/271 B
H01M50/271 S
H01M50/55 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021185645
(22)【出願日】2021-11-15
(65)【公開番号】P2023072919
(43)【公開日】2023-05-25
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 光俊
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152165(JP,A)
【文献】特開2003-017019(JP,A)
【文献】特開2000-294212(JP,A)
【文献】特開2021-122001(JP,A)
【文献】特開2011-100619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204 - 216
H01M 50/271
H01M 50/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って配列された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを収納する内部空間を有するケースとを備え、
前記ケースは、第1部材と、前記第1部材とともに前記内部空間を形成する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との接合部をシールするシール部とを含み、
前記第1部材は、前記シール部に当接する第1部分を有し、
前記第2部材は、前記シール部を介して前記第1部分に対向する第2部分を有し、
前記内部空間の膨張圧力が前記ケースに作用したとき、前記第1部分と前記第2部分とに挟持された前記シール部にせん断方向の力が作用し、
前記第1部分は、前記第2部分に対して前記ケースの外側に位置し、
前記第1部分の先端は、前記第2部分から離れる方向に傾斜する、電池パック。
【請求項2】
前記複数の電池セルは、電極端子が設けられた上面と、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って前記上面に対向する底面とを各々有し、
前記ケースは、前記複数の電池セルの前記底面と対向する底部と、前記第2の方向に沿って前記底部と対向する蓋部と、前記底部と前記蓋部との間に位置する側壁部とを含み、
前記シール部は、前記側壁部に沿って形成される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第2部材は、前記第1部材に対して前記ケースの前記底部側に位置し、
前記第2部材の前記第2部分は、前記シール部を前記底部側から受けるように前記第2の方向に対して斜めに傾斜して形成される、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
第1の方向に沿って配列された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを収納する内部空間を有するケースとを備え、
前記ケースは、第1部材と、前記第1部材とともに前記内部空間を形成する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との接合部をシールするシール部とを含み、
前記第1部材は、前記シール部に当接する第1部分を有し、
前記第2部材は、前記シール部を介して前記第1部分に対向する第2部分を有し、
前記内部空間の膨張圧力が前記ケースに作用したとき、前記第1部分と前記第2部分とに挟持された前記シール部にせん断方向の力が作用し、
前記複数の電池セルは、電極端子が設けられた上面と、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って前記上面に対向する底面とを各々有し、
前記ケースは、前記複数の電池セルの前記底面と対向する底部と、前記第2の方向に沿って前記底部と対向する蓋部と、前記底部と前記蓋部との間に位置する側壁部とを含み、
前記シール部は、前記側壁部に沿って形成され、
前記シール部の端部が前記ケースの前記蓋部側に露出するように前記第1部分および前記第2部分が形成される、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックの防水性を向上させるための試みが従来からなされている。たとえば特開2011-100619号公報(特許文献1)には、ケース本体とカバープレートの接合面に介在されて、接合界面を防水状態に封止するための封止部材を含む電池パックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-100619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構造は、パックケースの事後的な分解を前提としていた。他方、ケースの膨張圧力に対する耐力については、さらなる向上の余地がある。
【0005】
本技術の目的は、ケースの膨張圧力に対して大きな耐力を有する電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る電池パックは、第1の方向に沿って配列された複数の電池セルと、複数の電池セルを収納する内部空間を有するケースとを備える。ケースは、第1部材と、第1部材とともに内部空間を形成する第2部材と、第1部材と第2部材との接合部をシールするシール部とを含む。第1部材は、シール部に当接する第1部分を有する。第2部材は、シール部を介して第1部分に対向する第2部分を有する。内部空間の膨張圧力がケースに作用したとき、第1部分と第2部分とに挟持されたシール部にせん断方向の力が作用する。
【発明の効果】
【0007】
ケースに対して膨張圧力が作用した時に、剥離方向ではなく、せん断方向の力をシール部に作用させることにより、大きな耐力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電池パックの構成を示す分解斜視図である。
図2】電池モジュールに含まれる電池セルを示す図である。
図3】比較例1に係る電池パックのケースの概略形状を示す図である。
図4図3におけるIV部の形状を示す断面図である。
図5】比較例2に係る電池パックのケースの概略形状を示す図である。
図6図5におけるVI部の形状を示す断面図である。
図7】1つの実施の形態に係る電池パックのケースの概略形状を示す図である。
図8図7におけるVIII部の形状を示す断面図である。
図9】実施例1に係る電池パックにおけるケースを組み立てる前の状態を示す図である。
図10】実施例1に係る電池パックにおけるケースを組み立てた状態を示す図である。
図11】実施例2に係る電池パックにおけるケースを組み立てる前の状態を示す図である。
図12】実施例2に係る電池パックにおけるケースを組み立てた状態を示す図である。
図13】実施例3に係る電池パックにおけるケースを組み立てる前の状態を示す図である。
図14】実施例3に係る電池パックにおけるケースを組み立てた状態を示す図である。
図15】実施例4に係る電池パックにおけるケースを組み立てる前の状態を示す図である。
図16】実施例4に係る電池パックにおけるケースを組み立てた状態を示す図である。
図17】実施例5に係る電池パックにおけるケースを組み立てる前の状態を示す図である。
図18】実施例5に係る電池パックにおけるケースを組み立てた状態を示す図である。
図19】実施例6に係る電池パックにおけるケースを組み立てる前の状態を示す図である。
図20】実施例6に係る電池パックにおけるケースを組み立てた状態を示す図である。
図21】実施例7に係る電池パックにおけるケースを組み立てる前の状態を示す図である。
図22】実施例7に係る電池パックにおけるケースを組み立てた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0010】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0011】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0012】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0013】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0014】
図1は、電池パック1の構成を示す分解斜視図である。電池パック1は、複数の電池セル100と、ケース200と、熱伝導材300と、冷却プレート400とを含む。
【0015】
複数の電池セル100は、Y軸方向(第1の方向)に沿って積層される。ケース200は、複数の電池セル100を収納する。ケース200は、たとえばアルミニウム、マグネシウムなどの金属材からなる鋳造部品(ダイキャスト材)であってもよいし、カーボン含有素材からなるプレス成型部品であってもよい。ケース200は上記の態様に限定されず、強度、放熱性、熱伝導性などの点において、所定の特性を満たすものであればよい。たとえば樹脂製のケース200である場合もあり得る。
【0016】
熱伝導材300は、電池セル100とケース200との間に設けられ、電池セル100において発生した熱のケース200への伝達を促進する。
【0017】
冷却プレート400(放熱促進機構)は、ケース200からの放熱を促進する。一例として、冷却プレート400は、冷却液が流れる流路を含む水冷式の冷却ユニットであるが、放熱促進機構は、水冷式の冷却装置に限定されず、たとえば強制空冷方式、自然放熱方式の放熱促進機構(放熱フィンなど)が用いられてもよい。また、ケース200と冷却プレート400が一体化されていてもよいし、ケース200の内側に冷却プレート400が設けられていてもよい。電池セル100からの放熱は、ケース200を介した間接的な放熱に限定されず、電池セル100から直接放熱することもある。
【0018】
図2は、電池セル100を示す図である。図2に示すように、電池セル100は、電極端子110と、筐体120とを含む。電極端子110は、正極端子111と、負極端子112とを含む。電極端子110は、筐体120上に形成されている。筐体120には、図示しない電極体および電解液が収容されている。
【0019】
筐体120は、平坦面状の直方体形状に形成されている。筐体120は、X-Y平面に沿って延びる上面121および底面122を有する。上面121と底面122とは、Z軸方向(第2の方向)に沿って対向する。
【0020】
一例として、電池セル100は、リチウムイオン電池である。電池セル100はニッケル水素電池など他の電池であってもよい。また、本技術に係る電池セルは角型の電池セルに限定されず、たとえば円筒型の電池セルであってもよい。
【0021】
図3は、比較例1に係るケース200Aの概略形状を示す図であり、図4は、図3におけるIV部の形状を示す断面図である。
【0022】
図3に示すように、ケース200Aは、第1部材210Aと、第1部材210Aとともに内部空間230Aを形成する第2部材220Aとを含む。
【0023】
図4に示すように、第1部材210Aと第2部材220Aとの接合部をシールするシール部240Aが設けられる。第1部材210Aは、シール部240Aに当接する第1部分211Aを有し、第2部材220Aは、シール部240Aを介して第1部分211Aに対向する第2部分221Aを有する。
【0024】
シール部240Aは、Z軸方向に直交するX-Y平面に沿うように設けられる。ケース200Aの内部空間230Aの圧力が上昇したとき、第1部材210Aの第1部分211Aと第2部材220Aの第2部分221Aとに挟持されたシール部240Aには、剥離方向(図4中の矢印A方向)の力が作用する。
【0025】
図5は、比較例2に係る電池パックのケースの概略形状を示す図であり、図6は、図5におけるVI部の形状を示す断面図である。
【0026】
図5図6に示す比較例2においても、シール部240Aは、Z軸方向に直交するX-Y平面に沿うように設けられる。内部空間230Aの圧力が上昇したとき、第1部材210Aの第1部分211Aと第2部材220Aの第2部分221Aとに挟持されたシール部240Aには、剥離方向(図6中の矢印A方向)の力が作用する。
【0027】
図7は、本実施の形態に係る電池パックのケース200の概略形状を示す図であり、図8は、図5におけるVIII部の形状を示す断面図である。
【0028】
図7に示すように、ケース200は、複数の電池セル100を収納する内部空間230を有する。ケース200は、第1部材210と、第1部材210とともに内部空間230を形成する第2部材220とを含む。第1部材210は、ケース200の蓋部を構成し、第2部材220は、ケース200の底部を構成する。
【0029】
図8に示すように、第1部材210と第2部材220との接合部をシールするシール部240が設けられる。第1部材210は、シール部240に当接する第1部分211を有し、第2部材220は、シール部240を介して第1部分211に対向する第2部分221を有する。
【0030】
シール部240は、ケース200の側壁部に沿って設けられる。ケース200の側壁部は、電池セル100の側面と略平行にZ軸方向に延びる部分である。シール部240は、Z軸方向に沿って設けられる。シール部240は、X-Y平面上において、ケース200の全周にわたって設けられる。このようにすることで、ケース200の内部空間230が密閉される。
【0031】
たとえば複数の電池セル100のうちの1つが熱暴走をおこし、筐体120からガスが噴出したとき、ケース200の内部空間230の圧力が上昇する。上昇した内部空間230の圧力は、膨張圧力としてケース200に作用する。このとき、第1部材210の第1部分211と第2部材220の第2部分221とに挟持されたシール部240には、せん断方向(図8中の矢印A方向)の力が作用する。
【0032】
本実施の形態に係る電池パックにおいては、ケース200に対して膨張圧力が作用した時に、剥離方向ではなく、せん断方向の力をシール部240に作用させることにより、剥離方向の力をシール部240に作用させる場合と比較して、大きな耐力を得ることができる。比較例1,2に係る電池パックにおいては、ケース200Aを組み立てた後の事後的な分解(第1部材210Aを第2部材220Aから取り外すこと)を予定していたのに対し、本実施の形態に係るケース200は、必ずしもケース200の分解を前提としないという発想の転換により得られたものである。
【0033】
図9図10は、実施例1に係るケース200を示す図である。図9は、ケース200を組み立てる前の状態を示し、図10は、ケース200を組み立てた状態を示す。
【0034】
図9図10に示す実施例1においては、第1部材210の第1部分211は、第2部材220の第2部分221に対してケース200の外側に位置する。第1部分211と第2部分221とは、互いに平行に延びる。第1部分211と第2部分221とは、いずれもZ軸方向に延びるように形成される。
【0035】
図11図12は、実施例2に係るケース200を示す図である。図11は、ケース200を組み立てる前の状態を示し、図12は、ケース200を組み立てた状態を示す。
【0036】
図11図12に示す実施例2においても、実施例1と同様に、第1部材210の第1部分211は、第2部材220の第2部分221に対してケース200の外側に位置する。第1部分211は、Z軸方向に延びるように形成される。第2部分221は、先端側に向かうにつれてケース200の内側に向かうようにZ軸方向に対して傾斜する。したがって、第2部分221の根元側(ケース200の底部側)から第2部分221の先端側(ケース200の蓋部側)に向かって第1部分211と第2部分221とが互いに離れる(間隔が大きくなる)。第2部分221を上記のとおり傾斜させることにより、第1部材210と第2部材220との組み合わせが行いやすい。また、ケース200の底部側からシール部240を第2部分221により受けることができるので、第1部材210と第2部材220との組み合わせ時にシール材が流れ落ちることを抑制できる。
【0037】
図13図14は、実施例3に係るケース200を示す図である。図13は、ケース200を組み立てる前の状態を示し、図14は、ケース200を組み立てた状態を示す。
【0038】
図13図14に示す実施例3においても、実施例1,2と同様に、第1部材210の第1部分211は、第2部材220の第2部分221に対してケース200の外側に位置する。第1部分211は、先端側に向かうにつれてケース200の外側に向かうようにZ軸方向に対して傾斜する。第2部分221は、Z軸方向に延びるように形成される。したがって、第1部分211の根元側(ケース200の蓋部側)から第1部分211の先端側(ケース200の底部側)に向かって第1部分211と第2部分221とが互いに離れる(間隔が大きくなる)。第1部分211を上記のとおり傾斜させることにより、第1部材210と第2部材220との組み合わせが行いやすい。また、実施例3の構造は、実施例2の構造と比較して、部材の加工が容易である。
【0039】
図15図16は、実施例4に係るケース200を示す図である。図15は、ケース200を組み立てる前の状態を示し、図16は、ケース200を組み立てた状態を示す。
【0040】
図15図16に示す実施例4においては、第1部材210の第1部分211は、第2部材220の第2部分221に対してケース200の内側に位置する。第1部分211は、Z軸方向に延びるように形成される。第2部分221は、先端側に向かうにつれてケース200の外側に向かうようにZ軸方向に対して傾斜する。したがって、第2部分221の根元側(ケース200の底部側)から第2部分221の先端側(ケース200の蓋部側)に向かって第1部分211と第2部分221とが互いに離れる(間隔が大きくなる)。第2部分221を上記のとおり傾斜させることにより、第1部材210と第2部材220との組み合わせが行いやすい。また、ケース200の底部側からシール部240を第2部分221により受けることができるので、第1部材210と第2部材220との組み合わせ時にシール材が流れ落ちることを抑制できる。また、実施例4の構造は、実施例3と同様、実施例2の構造と比較して、部材の加工が容易である。さらに、シール部240の端部がケース200の蓋部側に露出するように第1部分211および第2部分221が形成されているため、第1部材210と第2部材220との組み合わせ時にシール部240をケース200の上側(蓋部側)から確認することができ、位置合わせが容易である。
【0041】
図17図18は、実施例5に係るケース200を示す図である。図17は、ケース200を組み立てる前の状態を示し、図18は、ケース200を組み立てた状態を示す。
【0042】
図17図18に示す実施例5においても、実施例4と同様に、第1部材210の第1部分211は、第2部材220の第2部分221に対してケース200の内側に位置する。第2部材220の第2部分221は、その先端がケース200の底部から離れる方向に位置するように形成される。第2部分221は、先端側に向かうにつれてケース200の外側に向かうようにZ軸方向に対して傾斜する。第1部分211は、Z軸方向に延びるように形成される。したがって、第1部分211の根元側(ケース200の蓋部側)から第1部分211の先端側(ケース200の底部側)に向かって第1部分211と第2部分221とが互いに離れる(間隔が大きくなる)。第2部分221を上記のとおり傾斜させることにより、第1部材210と第2部材220との組み合わせが行いやすい。また、シール部240の端部がケース200の蓋部側に露出するように第1部分211および第2部分221が形成されているため、第1部材210と第2部材220との組み合わせ時にシール部240をケース200の上側(蓋部側)から確認することができ、位置合わせが容易である。
【0043】
図19図20は、実施例6に係るケース200を示す図である。図19は、ケース200を組み立てる前の状態を示し、図20は、ケース200を組み立てた状態を示す。
【0044】
図19図20に示す実施例6においても、実施例5と同様に、第2部材220の第2部分221は、その先端がケース200の底部から離れる方向に位置するように形成される。第1部分211および第2部分221は、いずれも先端側に向かうにつれてケース200の外側に向かうようにZ軸方向に対して傾斜する。第1部分211および第2部分221の根元側(ケース200の蓋部側)から先端側(ケース200の底部側)に向かって第1部分211と第2部分221とが互いに近づく(間隔が小さくなる)。第2部分221を上記のとおり傾斜させることにより、ケース200の底部側からシール部240を第2部分221により受けることができるので、第1部材210と第2部材220との組み合わせ時にシール材が流れ落ちることを抑制できる。
【0045】
図21図22は、実施例7に係るケース200を示す図である。図21は、ケース200を組み立てる前の状態を示し、図22は、ケース200を組み立てた状態を示す。
【0046】
図21図22に示す実施例7においては、第1部材210の第1部分211は、第2部材220の第2部分221に対してケース200の内側に位置する。第2部材220の側壁には、内部空間230に向かって突出する突起部222が形成される。第1部材210と第2部材220とが組み合わされたときは、第1部分211の先端が突起部222に当接する。
【0047】
第1部材210と第2部材220とが組み合わされたときのシール部240の厚みは、シール性が確保される限り、できるだけ小さいことが好ましく、たとえば10mm以下程度であることが好ましい。
【0048】
第1部材210と第2部材220とが組み合わされたときのシール部240のZ軸方向の長さは、シール材の特性、ケース200のサイズなどにより適宜決定されるが、たとえば100mm以下程度であることが好ましい。
【0049】
シール部240は、たとえば以下の素材により形成することが可能である。
【0050】
(1)ゲル状のもの
(a)Sikaflex221(ポリウレタン系)湿気硬化型[sika製]
耐薬品性:淡水、海水、石灰水、下水排水、希酸、希アルカリ溶液に耐性有
硬度(CQP023-1/ISO868):ShoreA40
引張り強度(CQP036-1/ISO37):1.8MPa
破断時の伸び(CQP036-1/ISO37):500%
引き裂き強度(CQP045-1/ISO34):7N/mm
長期耐熱温度(CQP513-1):+90℃
短期耐熱温度:最長1日約+120℃、最長1時間約+140℃
適用温度範囲:-40℃~+90℃
【0051】
(b)BESIL9339(シリコーン系)常温硬化型[BEGINOR製]
硬度(GB/T531-2008):ShoreA40
引張り強度(CQP036-1/ISO37):2.8MPa
破断時の伸び(GB/T528-2009):500%
せん断強度(GB/T7124-2008):2.3MPa
適用温度範囲:-60℃~+250℃
【0052】
(c)DOWSILEA-4700(シリコーン系)常温硬化型[東レ製]
硬度:JISタイプA19
引張り強度(CQP036-1/ISO37):3.7MPa
破断時の伸び(GB/T528-2009):630%
適用温度範囲:-45~150°C
【0053】
(d)SU-3802(ウレタン系)常温硬化型[サンユレック製]
耐薬品性:LLC、エンジンオイル
硬度:ASTMD2240,TypeA43
弾性率(DMS法):2.4MPa
引張り強度(JISK6301):1.5MPa
破断時の伸び(JISK6301):100%
【0054】
(e)MS650(変性シラン系)湿気硬化型[ヘンケル製]
硬度(ISO868,DurometerA):ShoreA60
引張り強度(ISO37):3.0MPa
破断時の伸び(ISO37):180%
せん断強度(DINEN1465):2.0MPa
適用温度範囲:-40℃~+90℃
【0055】
(f)EAE-60HP(エポキシ系)常温硬化型[ヘンケル製]
耐薬品性:有機溶媒
硬度(ISO868,DurometerD):80
引張強度(ISO527-2):35MPa
破断時の伸び(ISO527-3):9%
【0056】
(2)リワーク可能な素材
(a)TB3081J(アクリル系)UV硬化型[スリーボンド製]
耐熱性、耐寒性
硬度(3TS-215-01,デュロメータA):A27
弾性率(3TS-501-04):2.1MPa
引張り強度(3TS-320-01):1.8MPa
破断時の伸び(3TS-320-01):180%
適用温度範囲:-40℃~+120℃
【0057】
(b)LoctiteAA5884(アクリル系)UV硬化型[ヘンケル製]
耐薬品性:耐オイル性
硬度(ISO868,DurometerA):A55-65
引張り強度(ISO37):4.0MPa
破断時の伸び(ISO37):200%
適用温度範囲:-40℃~+150℃
【0058】
(c)ACG-576(アクリル系)UV硬化型[積水化学製]
耐薬品性:耐オイル性
硬度(Durometer A):30
引張り強度(ISO37):2.1MPa
破断時の伸び(ISO37):285%
【0059】
本実施の形態に係る電池パック1によれば、シール部240のサイズを低減し、シール部240を構成するための素材のコストを削減することができるとともに、ケース200の耐力を得るための第1部材210と第2部材220の締結部材を省略し得るため、ケース200のシール性を損なうことなく電池パック1の製造コストを低減することができる。
【0060】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 電池パック、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 筐体、121 上面、122 底面、200,200A ケース、210,210A 第1部材、211,211A 第1部分、220,220A 第2部材、221,221A 第2部分、222 突起部、230,230A 内部空間、240,240A シール部、300 熱伝導材、400 冷却プレート。
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