(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】レトログラフィックセンサー
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240611BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20240611BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G01B11/24 A
G01N21/17 A
G02B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021512669
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(86)【国際出願番号】 US2019049962
(87)【国際公開番号】W WO2020051458
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-12
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519322750
【氏名又は名称】ゲルサイト インク
【氏名又は名称原語表記】GelSight,Inc.
【住所又は居所原語表記】179 Bear Hill Road, Suite #202,Waltham,Massachusetts 02451-1063,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】アデルソン,エドワード,エイチ
(72)【発明者】
【氏名】コットレル,エフ,リチャード
【審査官】佐藤 久則
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-525284(JP,A)
【文献】特開2010-095841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/24
G01N 21/17
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を有する基板であって、画像を透過することができ、第1の硬度を有する第1のエラストマーから形成された基板と;
前記基板の前記第1の表面に配置された変形可能層であって、前記変形可能層が、前記基板を通過して前記第1の表面に入射する光を反射する材料を含む、変形可能層と;
撮像目標と接触して配置するための接触面であって、前記接触面が、前記変形可能層上にパターンを成して配置され、前記変形可能層によって前記基板から分離された粒子を含み、前記粒子が、前記第1のエラストマーの前記第1の硬度よりも大きい第2の硬度を有している、接触面と
を含む、レトログラフィックセンサー。
【請求項2】
前記パターンは、前記変形可能層上に前記粒子の単一の層を形成している、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項3】
前記パターンは、狭い間隔のアレイである、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項4】
前記パターンは、規則的アレイである、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項5】
前記パターンは、複数の局所的に六角形のアレイを含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項6】
前記パターンは、実質的に六角形のアレイである、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項7】
前記粒子が、前記パターン内で互いに接触している、請求項6に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項8】
前記基板の前記第1の表面は、凸状である、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項9】
前記粒子の前記パターンは、前記変形可能層に対向する側に、前記粒子間の空気の流れを可能にする隙間通路を形成している、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項10】
前記粒子は、単分散である、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項11】
前記粒子は、単分散マイクロスフェアである、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項12】
前記粒子は、約5ミクロンの平均直径を有している、請求項11に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項13】
前記粒子は、3~10ミクロンの範囲の平均直径を有している、請求項11に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項14】
前記粒子は、1~25ミクロンの範囲の平均直径を有している、請求項11に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項15】
前記粒子は、非球形粒子を含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項16】
前記粒子は、多分散であり、1~10ミクロンの範囲内の平均粒子サイズを中心とする第1の標準偏差を有している、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項17】
前記粒子は、ポリメチルシルセスキオキサンから形成されている、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項18】
前記粒子は、シリカ、ガラス、メラミン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、スチレン/アクリルコポリマー、セルロース、及びポリ乳酸のうちの1つ以上から形成されている、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項19】
前記粒子は、ナイロン及びポリテトラフルオロエチレンのうちの1つ以上から形成されている、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項20】
前記第1のエラストマーの前記第1の硬度は、40未満のショアA硬度である、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項21】
前記粒子の前記第2の硬度は、40よりも大きいショアA硬度である、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項22】
前記粒子は、前記変形可能層に少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項23】
前記第1のエラストマーは、前記粒子
の第2のショアA硬度よりも少なくとも10だけ低い第1のショアA硬度を有している、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項24】
前記粒子は、接着剤によって前記変形可能層に固定されている、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項25】
前記粒子は、ポリウレタンによって前記変形可能層に固定されている、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項26】
前記粒子は、前記粒子を前記変形可能層に結合する接着剤の層の上に、それらの直径の少なくとも半分だけ延びている、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項27】
前記粒子は、中間層を介して前記変形可能層に間接的に結合されている、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項28】
前記第1のエラストマーは、光学的に透明なエラストマーである、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項29】
前記第1のエラストマーは、シリコーンゴムを含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項30】
前記第1のエラストマーは、スチレン系ブロックコポリマーを含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項31】
前記第1のエラストマーは、20重量%の水素化スチレンブロックコポリマーを含む、請求項30に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項32】
前記第1のエラストマーは、80重量%の可塑剤を含む、請求項30に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項33】
前記可塑剤は、粘着付与剤を含む、請求項32に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項34】
前記第1のエラストマーは、熱可塑性エラストマーを含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項35】
前記第1のエラストマーは、ポリウレタン、プラスチゾル、天然ゴム、ポリイソプレン、及びポリ塩化ビニルのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項36】
前記変形可能層は、第2のエラストマーに配置された反射性粒子を含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項37】
前記変形可能層は、金属粒子を含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項38】
前記変形可能層は、非金属粒子を含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項39】
前記変形可能層は、二酸化チタンを含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項40】
前記変形可能層は、前記変形可能層内の前記二酸化チタンにニュートラルグレーを付与するのに十分な量のカーボンブラックを含む、請求項39に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項41】
前記変形可能層は、赤色酸化鉄を含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項42】
前記変形可能層の材料は、光を無指向性で反射する、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項43】
前記変形可能層の材料は、光をすべての方向に実質的に均一に反射する、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項44】
前記変形可能層の材料は、材料に光を適度な指向性で反射させる表面粗さ、不規則形状、及び相互にランダムなアレイのうちの少なくとも1つを示す薄片を含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項45】
前記変形可能層の材料は、実質的に平坦で、鏡のような表面を有し、相互に実質的に十分に整列され、それによって材料に光を高い指向性で反射させる薄片を含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項46】
前記薄片は、アルミニウム薄片及びブロンズ薄片のうちの少なくとも一方を含む、請求項45に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項47】
前記第1の表面に対向する前記基板の第2の表面に結合され
た撮像システムをさらに含み、前記撮像システムが、前記第1のエラストマーを通して前記変形可能層の複数の画像をキャプチャするように構成されている、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項48】
前記第1のエラストマーを通して前記変形可能層を照明するように構成された照明システムをさらに含む、請求項47に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項49】
前記照明システムは、前記変形可能層の面法線の変化の検出を容易にするためにグレージング照明を提供する、請求項48に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項50】
前記照明システムは、2つ以上の光源で照明を提供し、前記2つ以上の光源の各々が、異なる方向から異なる波長帯域で照明する、請求項48に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項51】
2つ以上の異なる波長範囲でキャプチャされた前記変形可能層の2つ以上の画像を使用して、前記変形可能層の面法線と表面高さのうちの少なくとも一方を複数の位置で推定するように構成されたフォトメトリックステレオアナライザをさらに含む、請求項48に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項52】
前記第1の表面を、それぞれ異なる位置にある2つ以上の異なる光源で順次照明するための照明コントローラをさらに含む、請求項1に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項53】
第1の硬度を有する光学的に透明なエラストマーの基板と;
前記基板の表面に配置された変形可能層であって、前記変形可能層が、前記基板を通過して前記変形可能層に入射する光を反射する材料を含む、変形可能層と;
前記変形可能層上に配置された接触面であって、前記接触面が、
前記変形可能層によって前記基板から分離された粒子であって、前記基板
の第1の硬度よりも大きい硬度及び前記変形可能層よりも小さい摩擦係
数を有
する粒子を含み、前記
粒子が、前記接触面の前記
粒子間の空気の流れを可能にする隙間通路を形成している、接触面と
を含む、レトログラフィックセンサー。
【請求項54】
前記
粒子の硬度が、前記変形可能層よりも大きい、請求項53に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項55】
レトログラフィックセンサーを製造するための方法であって、
画像を透過することができるエラストマーの基板を提供すること;
前記基板の第1の表面に変形可能層を配置し、前記変形可能層が、前記基板を通過し、前記基板の前記第1の表面に入射する光を無指向性で反射すること;及び
前記変形可能層上に接触面を形成し、前記接触面が、前記レトログラフィックセンサーで撮像する際に目標面と接触するように構成されており、前記接触面が、前記変形可能層上にパターンを成して配置され、前記変形可能層によって前記基板から分離された粒子を含み、前記粒子が、前記基板よりも大きい第2の硬度を有すること
を含む、方法。
【請求項56】
ポリウレタンの水溶液中で前記粒子を前記変形可能層に付着させることをさらに含む、請求項
55に記載の方法。
【請求項57】
前記エラストマー及び前記変形可能層のうちの少なくとも一方が、粘着付与剤を含み、前記接触面を形成することは、前記粒子の層を前記変形可能層に付着させ、前記粒子上に水性ポリウレタンを流すことを含む、請求項
55に記載の方法。
【請求項58】
前記粒子は、単分散ポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む、請求項
55に記載の方法。
【請求項59】
前記粒子は、多分散ポリメチルシルセスキオキサンを含む、請求項
55に記載の方法。
【請求項60】
前記接触面を形成することは、接着剤とポリメチルシルセスキオキサンの単分散粒子との混合物をスピンコーティングすることを含む、請求項
55に記載の方法。
【請求項61】
表面計測のための方法であって、
(a)第1の表面を有する基板であって、前記基板が、第1のエラストマーから形成されており、前記第1のエラストマーが、画像を透過することができ、前記第1のエラストマーが、第1の硬度を有する、基板と、
前記基板の前記第1の表面に配置された変形可能層であって、前記変形可能層が、前記基板の前記第1の表面に入射する光を反射する材料を含む、変形可能層と、
撮像目標と接触して配置するための接触面であって、前記接触面が、前記変形可能層上に配置され、前記変形可能層によって前記基板から分離された粒子のパターンによって形成されており、前記粒子が、前記第1のエラストマーの前記第1の硬度よりも大きい第2の硬度を有している、接触面と
を含む、レトログラフィックセンサーを提供すること;
(b)光源を用いて、前記基板に対向する側から前記変形可能層の前記材料を照明すること;
(c)前記接触面を目標面に接触させ、前記変形可能層を幾何学的に変化させること;
(d)前記材料を照明し、前記接触面を前記目標面に接触させながら、前記基板に対向する側から前記変形可能層の画像をキャプチャすること;及び
(e)前記画像を分析し、前記目標面の三次元幾何形状を判定すること
を含む、方法。
【請求項62】
前記変形可能層を2つ以上の異なる方向から照明し、前記2つ以上の異なる方向の各々から照明されている間に前記変形可能層の画像をキャプチャし、結果として得られた複数の画像を分析して前記目標面の前記三次元幾何形状を判定すること
をさらに含む、請求項
61に記載の方法。
【請求項63】
第1の色の第1の光源と、前記第1の色とは異なる第2の色の第2の光源とを同時に用いて、前記変形可能層を照明すること
をさらに含む、請求項
61に記載の方法。
【請求項64】
前記変形可能層の多色画像をキャプチャし、前記第1の光源及び前記第2の光源からの照明のパターンを区別し、前記多色画像を分析して、前記第1の光源及び前記第2の光源からの照明のパターンに基づいて、前記目標面の前記三次元幾何形状を判定すること
をさらに含む、請求項
63に記載の方法。
【請求項65】
光学的に透明なエラストマーの基板と;
前記基板の表面に配置された変形可能層であって、前記変形可能層が、前記基板を通過して前記変形可能層に入射する光を反射する材料を含む、変形可能層と;
前記変形可能層上に配置された接触面であって、前記接触面が、その上にパターンを成して配置された前記基板よりも硬い複数のマイクロスフェアを有しており、前記パターンが、少なくとも2のQスコアを有している、接触面と
を含む、レトログラフィックセンサー。
【請求項66】
前記パターンは、少なくとも3のQスコアを有している、請求項
65に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項67】
前記マイクロスフェアは、実質的に単分散である、請求項
65に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項68】
前記マイクロスフェアは、1~20ミクロンの間の直径を有している、請求項
65に記載のレトログラフィックセンサー。
【請求項69】
前記Qスコアは、ピーク周波数を、前記パターンの画像の放射状に平均化された二次元パワースペクトルの一対のハーフパワー周波数の差で割ったものに等しい、請求項
65に記載のレトログラフィックセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2018年9月6日に出願された米国仮出願第62/727,816号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[分野]
本開示は、概して、レトログラフィックセンサーに関し、より具体的には、様々な目標面での使用が容易になるように設計された表面を有する接触センサーに関する。
【背景技術】
【0003】
レトログラフィックセンサーは、反射性粒子を含む変形可能層で覆われた透明なエラストマーの基板と、その層を物体に押し付けながらその層が歪んだときにその層の画像をキャプチャするための光学系とを含む。センサーが複雑な表面形状の目標面に忠実に適合するためには、変形可能層が、目標面に一致するように伸び、スライドし、及び歪む必要がある。大抵のエラストマーに言えるように、センサー表面の摩擦係数(COF)が高い場合、センサー表面が、目標面の形状に容易に滑り込むことはなく、目標面に容易に適合しない。また、大半のエラストマーは、閉じ込められた空気が逃げることを妨げる。例えば、エラストマーセンサーが窪みに押し付けられると、窪みの縁の周りにシールが形成され、それによって窪みの中に空気が閉じ込められる。閉じ込められた空気は、センサーが窪みの底に到達することを妨げ、したがって正確な測定を妨げる。これらの特性に関連する画像欠陥を低減する改良されたレトログラフィックセンサーの必要性が、依然としてある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[概要]
レトログラフィックセンサーは、透明なエラストマー基板と、変形可能な反射層と、材料又は粒子のパターンから形成された剛性の非平面形状のアレイを備えた接触面とを含み、対象領域付近における閉じ込められた空気の排出を可能にしつつ、目標面との接着を低減する。それらの形状の組み合わせにより、センサーの接触面を目標面によりぴったりと適合させることができ、同時に、目標面の表面形状を変形可能層に物理的に転写し、基板を通して撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に記載される装置、システム、及び方法の上記及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面に例示されるように、その具体的実施形態に関する以下の説明から明らかになるであろう。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ、本明細書に記載される装置、システム、及び方法の原理を例示することに重点が置かれている。
【
図1】撮像システム及びレトログラフィックセンサーを示す図である。
【
図2】使用のために配置されたレトログラフィックセンサーを示す図である。
【
図3】目標面に適用されたレトログラフィックセンサーを示す図である。
【
図4】レトログラフィックセンサーの接触面を示す図である。
【
図5】レトログラフィックセンサーの側面図である。
【
図6】レトログラフィックセンサーの側面図である。
【
図7】レトログラフィックセンサーの側面図である。
【
図8】レトログラフィックセンサーを製造するための方法を示すフロー図である。
【
図9】レトログラフィックセンサーを用いた表面計測の方法を示すフロー図である。
【
図10】第1のタイプの6ミクロンのマイクロスフェアのアレイの光学顕微鏡画像を示す図である。
【
図11】第2のタイプの6ミクロンのマイクロスフェアのアレイの光学顕微鏡画像を示す図である。
【
図12】
図10及び
図11のマイクロスフェアアレイの平均放射状パワースペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[説明]
次に、添付の図面を参照して種々の実施形態を説明する。ただし、上記のものは、多くの異なる形態で具体化されてよく、上記のものを、本明細書に記載された例示的実施形態に限定されると解釈してはならない。
【0007】
本明細書で言及されるすべての文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。単数形の項目への言及は、特に明記されていない限り、又は本文から明らかでない限り、複数形の項目を含むと理解されるべきであり、その逆も同様である。文法上の接続詞は、特に明記されていない限り、又は文脈から明らかでない限り、結合された節、文、単語などのあらゆる分離・結合の組み合わせを表現することを意図としている。したがって、「又は」という語は、一般に、「及び/又は」などを意味すると理解されるべきである。
【0008】
本明細書における値の範囲の記載は、限定を意図するものではなく、むしろ、本明細書に別段の記載がない限り、その範囲内に入る任意のすべての値を個別に言及し、そのような範囲内の個々の値が、あたかも個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれることを意図している。「約」、「おおよそ」などの用語は、数値を伴う場合、意図された目的のために満足な動作を得るための、当業者には理解される偏差を意味していると解釈されるべきである。同様に、物理的特性に関して使用される場合の「ほぼ」や「実質的に」などの近似語も、対応する使用、機能、目的などのために満足な動作を得るための、当業者には理解される偏差の範囲を意図していると理解されるべきである。値及び/又は数値の範囲は、本明細書では例としてのみ提供され、記載された実施形態の範囲に対する制限を構成するものではない。値の範囲が提供されている場合、特に明記されていない限り、その範囲内の各値が、あたかも個別に記載されているかのように含まれることが意図されている。本明細書で提供される任意のすべての例又は例示的な語(「例えば」、「など」等)の使用は、単に実施形態を分かりやすく示すことを意図しており、実施形態の範囲に制限を課すものではない。明細書のいかなる文言も、実施形態の実施に不可欠であるとして請求の範囲にない要素を意味すると解釈されてはならない。
【0009】
以下の説明において、「第1」、「第2」、「上の」、「下の」、「上に」、「下に」などの用語は、便宜上の言葉であり、限定用語として解釈されるべきではないと考えられる。
【0010】
図1は、撮像システム及びレトログラフィックセンサーを示している。一般に、レトログラフィックセンサー100を撮像システム150と共に使用することで、表面計測その他の三次元撮像の応用事例で使用するための定量的又は定性的な表面形状測定のための接触型撮像システムを提供することができる。
【0011】
レトログラフィックセンサー100は、目標面(図示せず)の方を向いた第1の表面104と、撮像システム150の方を向いた第2の表面106とを有する基板102を含む場合がある。第2の表面106は、例えば、基板102の裏打ち部材108に隣接している場合があり、裏打ち部材108は、ガラス、ポリカーボネート、又はアクリルのような光学的に透明な剛性の材料から形成されている。裏打ち部材108によれば、一般に、撮像の際に基板102に光を透過させ、基板102から光を受け取りながら、レトログラフィックセンサー100による目標面の表面形状の撮像が可能になるような形で、レトログラフィックセンサー100を目標面に係合させる力を加えることが可能になる。
【0012】
基板102は、そこを通して光を透過するのに適した光学的に透明な任意の変形可能材料から形成されてよく、レトログラフィックセンサー100が使用の際に目標面に対して配置されたときに、目標面に適合しながらの撮像を容易にする。例えば、基板102は、画像を透過することができ、かつ、接触面に適合するのに適した硬度を有するエラストマーから形成される場合がある。エラストマーの硬度は、40未満のショアA硬度であってもよいし、又は関心のある目標材料に適合させるのに適した他の任意の硬度であってもよい。基板102のエラストマーは、例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、プラスチゾル、天然ゴム、ポリイソプレン、及びポリ塩化ビニルのような光学的に透明なエラストマーであってもよいし、又は任意の他の熱可塑性エラストマーなどであってもよい。一態様では、エラストマーは、スチレンブロックコポリマーを含み、例えば、約20重量%のスチレンブロックコポリマーと最大80重量%の可塑剤を含み、又はスチレンブロックコポリマーと可塑剤の1:4の比率を有する場合がある。より一般には、この状況では、約1:2~約1:9のポリマーと可塑剤の比率が、有用に使用される場合がある。可塑剤は、油と、粘着付与剤又は他の適当な添加剤又は他の成分とを含む場合がある。
【0013】
第1の表面104は、実質的に平坦であるように図示されているが、他の形状が代わりに使用されてもよいことが理解されるであろう。例えば、第1の表面104は、例えば、凸状(撮像システム150から離れる方向に)であってもよい。これによって、例えば、ハンドヘルドセンサー等の場合に、姿勢の自由度を大きくすることができる。
【0014】
レトログラフィックセンサー100は、変形可能層110をさらに含む場合がある。変形可能層110は、基板102の第1の表面104に配置される場合がある。一般に、変形可能層110は、第1の矢印112によって示されるように、基板102を通過し、第1の表面104に入射する光を反射する材料を含むか、又はそのような材料から形成される場合がある。これは、二次元撮像又は三次元撮像のような画像処理に使用される、第2の矢印114によって示されるような第1の表面104からの反射光の画像のキャプチャを容易にするためである。
【0015】
変形可能層110は、本明細書に記載されるエラストマーのうちの何れかのような、様々な変形可能材料のうちの任意のものから形成されてよい。ただし、基板102との区別として、変形可能層110は、光学的に透明である必要はなく、基板102の第1の表面104に対向する表面で、光学的に反射性であることが好ましい。これは、使用中にレトログラフィックセンサー100の変形された表面の撮像を容易にするためである。変形可能層110は、例えば、第2のエラストマー内に配置された金属粒子のような反射性粒子を含む場合がある。変形可能層110は、追加又は代替として、基板102の第1の表面104と接触する場所である変形可能層110に適当な表面特性を付与する非金属粒子を含む場合がある。例えば、変形可能層110は、光を無指向性で、すなわち実質的にすべての方向に均一に反射する場合がある。これは、反射光の強度に基づいて面法線又は勾配を推定するときに通常であれば発生する可能性がある偏りを軽減するためである。
【0016】
一態様では、変形可能層110は、二酸化チタンを含む場合がある。変形可能層110は、例えば変形可能層110内の二酸化チタンにニュートラルグレーを付与するのに十分な量のカーボンブラックを含む場合がある。別の態様では、変形可能層110は、赤色酸化鉄を含む場合がある。別の態様では、変形可能層110の材料は、材料に光を適度な指向性で反射させる表面粗さ、不規則形状、及び相互にランダムなアレイのうちの少なくとも1つを示す薄片を含む場合がある。あるいは、変形可能層110の材料は、実質的に平坦で、鏡のような表面を有し、相互に実質的に十分に整列され、それによって材料に光を高い指向性で反射させる薄片を含む場合がある。この後者の実施形態では、薄片は、アルミニウム薄片、ブロンズ薄片、又は任意の他の適当な金属薄片若しくは他の薄片を含むことが有用な場合がある。
【0017】
レトログラフィックセンサー100は、撮像目標と接触して配置するための接触面120をさらに含む場合がある。一般に、接触面120は、変形可能層110上にパターンを成して配置され、変形可能層110によって基板102から分離された粒子122を含む場合がある。粒子122は、好ましくは、基板102内の第1のエラストマーの硬度よりも大きい硬度を有しており、その結果、レトログラフィックセンサー100が基板102を変形させるのに十分な力で目標面に適用されたときに、粒子122は、その形状を維持する。したがって、粒子122のアレイは、レトログラフィックセンサー100が目標面に適用されたときに、空気その他の閉じ込められたガスを再分配及び排出するための空気の通路を形成することができる。取得画像の解像度への影響を最小限に抑えながら空気の通路の構造を維持するために、パターンは、例えば、
図1に示されるように、変形可能層110上に粒子の単一の層を形成することが有用な場合がある。
【0018】
粒子は、40よりも大きいショアA高度、又はより一般には、基板102のエラストマーの対応する硬度よりも大きいショアA硬度を有する場合がある。例えば、基板102のエラストマーは、粒子のショアA硬度よりも少なくとも10だけ低いショアA硬度を有する場合がある。同様に、変形可能層110のショアA硬度は、粒子122のショアA硬度よりも低くてもよく、基板102のショアA硬度以上であってもよい。弾性率又は同様の測定値は、材料のバルク特性を表し、場合によっては、基板102又は変形可能層110に使用される比較的柔軟な材料を、変形可能層110上に配置された粒子122の比較的剛性のある材料から区別するのに有用な場合があることが理解されよう。ただし、例えば、本明細書に記載されるようなショアAスケールを使用して測定された硬度は、物体内の位置によって変わる場合がある。この文脈では、基板102のショアA硬度は、変形可能層110が基板102に適用されていない基板102の表面で測定することが有用な場合があり、基板102の第1の表面104の中心又は任意の他の適当な場所で測定することができる。より一般には、レトログラフィックセンサー100の様々な材料又は構成要素のショアA硬度は、基板102、変形可能層110、及び粒子122の相対硬度が協調し、本明細書に記載された接触面120の有利な特性を維持しながら、目標面に対するレトログラフィックセンサー100の変形が確実に可能となるための有用な信号が得られる如何なる形で測定されてもよい。
【0019】
撮像システム150は、例えば裏打ち部材108と、変形可能層110から基板102を通して反射された画像をキャプチャする位置に撮像システム150を固定するための他の任意のハードウェアとによって、基板102の第2の表面106に結合される場合がある。一般に、撮像システム150は、1つ以上のカメラ152を含む場合があり、例えば、電荷結合デバイスのような光学センサー、相補型金属酸化物半導体画像センサー、N型金属酸化物半導体画像センサー等を、それらのセンサーに向けて入射光を集束させ、画像のキャプチャを容易にする適当なレンズその他の光学素子と共に使用する場合がある。一般に、1つ以上のカメラ152は、入射光の画像を得るために、基板102の第1のエラストマーを通して変形可能層110の複数の画像をキャプチャするように構成される場合がある。カメラ152は、ピクセルごとのカラーフィルタ、又は他の制御可能なフィルタなどを使用して、特定の波長又は波長帯域の入射光を選択的に撮像することができる。
【0020】
発光ダイオードのような1つ以上の光源162を含む照明システム160がさらに含まれる場合がある。照明システム160は、例えば、基板102のエラストマーを通して変形可能層110を照明するように構成される場合があり、例えば、変形可能層110の面法線の変化の検出を容易にするグレージング照明又は任意の他の指向性照明で照明する場合がある。一態様では、照明システムは、2つ以上の光源162で照明を提供する場合があり、光源162の各々は、異なる方向から異なる波長帯域で照明する場合がある。対応する波長範囲内の画像をキャプチャする1つ以上のカメラ152と組み合わせて使用される場合、この種の照明を使用して異なる方向から異なる波長で変形可能層110を照明することにより、異なる方向からそれぞれ同時に照射された別々の画像をキャプチャすることができる。例えば、赤、緑、及び青の波長帯域の3つの光源162を、同様にフィルタリングされた撮像チャネルを有するカラーカメラと共に使用することで、3つの異なる方向から照明された表面を同時に撮像することができる。
【0021】
マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は他のプログラマブル回路若しくは専用回路(あるいは、前記の組み合わせ)のようなコントローラ170を使用して、撮像システム150と照明システム160の動作を連携させ、照明された変形可能層110の画像をキャプチャし、結果として得られた画像を処理することにより、下にある目標面の表面形状を再現することができる。例えば、カメラ152で受信された照明の強度に基づいて面法線を評価し、面法線を使用して表面形状を再現することによって、下にある目標面の表面形状を再現することができる。
【0022】
図2は、使用のために配置されたレトログラフィックセンサーを示している。レトログラフィックセンサー200(本明細書に記載されたレトログラフィックセンサーの何れであってもよい)は、使用のために、表面形状画像又は他の定量的若しくは定性的画像を取得したい目標面202の上に配置される場合がある。
【0023】
図3は、目標面に適用されたレトログラフィックセンサーを示している。レトログラフィックセンサー300(本明細書に記載されたレトログラフィックセンサーの何れであってもよい)が、撮像のために、概して矢印304で示されるように、目標面302に下降されることによって配置されると、レトログラフィックセンサー300の接触面320(本明細書に記載された接触面のうちの何れであってもよい)は変形し、目標面302に適合することができる。重要な利点として、接触面320は、例えば材料の選択や本明細書に記載される粒子の導入によって、比較的低い摩擦係数を示すように構成されることができ、それによって接触面320は、目標面302の上を滑ることができ、接触面320が目標面302と接触する場所における握力や弾性ひずみによって導入されるアーチファクトなしに、目標面302に容易に適合することができる。もう一つの重要な利点として、接触面320を本明細書に記載されるように構成することで、通常であればレトログラフィックセンサー300を使用した正確な表面測定を妨げるようにガスを捕捉する可能性がある凹部322のような目標面302の表面形状に変化のある領域を接触面320が取り囲んで移動する際に、空気その他のガス又は流体の排出のための空気の通路を提供することができる。
【0024】
レトログラフィックセンサー300の接触面320は、目標面302との接触に応答して幾何学的に変化するため、この幾何学的変化は、面法線の局所的変化を引き起こし、変形可能層(図示せず)から
図1を参照して説明したようなカメラ152のような撮像装置に向けて反射される光の量に、それに伴う局所的変化を引き起こす。この画像データを分析することにより、変形可能層110に接触している目標面302の三次元形状を再現することができ、又は、この画像データを他の仕方で処理することにより、二次元データ又は三次元データを抽出し、及び/又は表示することができる。本明細書に記載されたレトログラフィックセンサー及び関連するハードウェアを使用して、様々な適当な構成及び画像化技術が可能である。例えば、
図1を参照すると、コントローラ170は、カメラ(複数可)152を使用して第1の色でキャプチャされた変形可能層の第1の画像と、カメラ(複数可)152を使用して第2の色でキャプチャされた変形可能層の第2の画像とを使用して、変形可能層110の面法線と表面高さのうちの少なくとも一方を複数の位置で推定するように構成されたフォトメトリックステレオアナライザを実施することができる。すなわち、より一般には、2つ以上の異なる波長範囲でキャプチャされた変形可能層の2つ以上の画像を使用して、三次元データを抽出することができる。コントローラ170は、例えばコントローラ170上で実行されるコンピュータ実行可能コードを使用して、それぞれ異なる位置にある2つ以上の異なる光源162を用いて、基板102を通して第1の表面104を順次照明するための照明コントローラを実施することができる。
【0025】
図4は、レトログラフィックセンサーの接触面を示している。一般に、レトログラフィックセンサー400(本明細書に記載されたレトログラフィックセンサーのうちの何れであってもよい)は、レトログラフィックセンサー400の接触面420の一部又は全部を形成するようにパターンを成して配置された複数の粒子402を含む場合がある。そのようなパターンが、接触面420に対して平行なxy平面の平面図として、
図4に示されている。粒子402は円で示されているが、これらの円が必ずしも一定の縮尺である必要はなく、粒子のサイズや形状は、使用目的に応じて変わっていてもよいことが理解されよう。粒子402の直径は、例えば1~25ミクロンの間であってよく、又はより一般には、レトログラフィックセンサー400の所望の画像解像度以下の寸法であってよい。
【0026】
一般に、パターンは、狭い間隔のアレイを形成する場合があり、このアレイは、正方形アレイや六角形アレイのような規則的アレイであってもよいし、不規則アレイであってもよい。一態様では、パターンは、実質的に六角形のアレイであってもよく、例えば、粒子402の大部分が他の6つの隣接する粒子402と接触することを妨げない様々な隙間の不規則性を有する概ね六角形であってもよい。パターンは、追加的又は代替的に、そうでなければ六角形領域の間の領域にまたがる粒子402の他のアレイによって結合された複数の局所的に六角形のアレイを含む場合がある。最近傍距離のような、規則性のさまざまな客観的尺度が考案されている。一態様では、実質的に同サイズの粒子402の六角形アレイの規則性は、隣接する粒子402との平均接触数に基づいて評価される場合がある(例えば、6つの接触点に近くなるほど、より高い規則性のアレイであることを意味している)。
【0027】
規則性は、撮像が容易になるように接触面420が確実に良好に覆われることを意味しているが、接触面420が目標面に押し付けられたときのガスの排出のための物理的通路を粒子間に堅実に維持できるくらい粒子402が互いに十分に近くにある場合は、狭い間隔の粒子402の他のパターン(例えば、不規則パターン)が、追加的又は代替的に使用されてもよい。すなわち、粒子402のパターンは、レトログラフィックセンサー400の変形可能層に対向する側(例えば、接触面420上)にある粒子402間の空気の流れを可能にする隙間通路を有利に形成することができ、そのため、通常であれば目標面の正確な撮像を妨げる可能性がある空気その他のガスの閉じ込めを有利に回避することができる。さらに、粒子402は一般に、パターン内で互いに接触(例えば、直接接触の形で)していてもよいし、分離されていてもよく、分離は、粒子402が比較的低い充填密度であるからであってもよいし、又は接着剤又は隙間エラストマーの層によって粒子402が物理的分離されている(例えば、変形可能層から)からであってもよい。
【0028】
粒子402は、様々なサイズ範囲及び分布を有する場合がある。一態様では、粒子402は、単分散、又は実質的に単分散である。粒子402は、より具体的には、単分散の球体であってもよく、したがって、粒子402は、平面内で実質的に六角形のアレイを成して配置される傾向がある。一態様では、粒子402は、約5ミクロンの平均直径を有する場合がある。別の態様では、粒子402は、3~10ミクロンの範囲、又は1~25ミクロンの範囲の平均直径を有する場合がある。上記のように、粒子402の直径は、レトログラフィックセンサー400を使用する装置の所望の撮像解像度よりも大きくないことが好ましい。別の態様では、粒子402は、上記の範囲内で最大の直径を有する非球形粒子を含む場合がある。一般には、空気を逃がすための隙間通路が封鎖されるほど粒子が高い密度で詰め込まれない限り、そのような如何なる形状が使用されてもよい。
【0029】
多分散粒子が、追加的又は代替的に使用されてもよい。例えば、粒子402は、多分散であってもよく、1~10ミクロンの範囲内に入る範囲を定義する平均粒子サイズを中心とする第1の標準偏差を有する場合がある。多分散の程度は、他の様々な方法で特徴付けることができる。例えば、下記のような変動係数(c
ν)や相対標準偏差のような無次元メトリックを使用できる。
【数1】
ここで、σは、粒子サイズの分布の標準偏差であり、μは、平均である。これらの値は、バルクマイクロスフェアやその他の関心のある粒子の商業プロバイダーによって一般に報告されている。
【0030】
一般に、粒子の形状の一貫性が高いほど、粒子によって形成されるアレイの規則性は、他の分布(バイモーダル分布又は規則的に詰め込まれたアレイを生成する可能性がある他の特定の分布のうちの特定の場合を除く)よりも高くなり、撮像の際の関連する欠陥は、軽減されることになる。したがって、低い変動係数(例えば、完全に単分散の粒子の場合は0%)は、粒子サイズの分布をレトログラフィックセンサーの性能に関連付ける性能指数として機能する。経験的に、1~10ミクロン程度のマイクロスフェアの場合、0%付近の変動係数が好ましい。ただし、15~25%の変動係数でも許容できる結果が得られ、その(15~25%)範囲内で異なると知覚できる撮像性能が得られる。もちろん、もっと分散度の高い粒子402を使用してもよく、そのような粒子分布からも、空気排出のための隙間通路や摩擦係数の低下のような特定の利点が得られる場合がある。ただし、こうした比較的分散度の高い粒子402は、平均粒子サイズに不相応な画像解像度の損失を生じさせるだけでなく、レトログラフィックセンサーを使用する撮像の精度や再現を妨げる他の画像アーチファクトを生じさせる原因になることがある。
【0031】
粒子402は、ポリマー、天然ポリマー、及びミネラルを含む様々な材料から形成される場合がある。例えば、粒子402は、ポリメチルシルセスキオキサンから形成され、又はポリメチルシルセスキオキサンを有用に含む場合がある。ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)は、接触面420において粒子402として使用される場合、特定の利点を提供する。PMSQは、比較的低い摩擦係数を有し、硬く(エラストマー基板に比べて)、狭いサイズ分布のPMSQのマイクロスフェアを、市場から容易に入手することができる。ただし、非球形粒子が、追加的又は代替的に使用されてもよく、粒子402は、他のタイプの材料から有用に形成される場合もある。例えば、粒子402は、シリカ、ガラス、メラミン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、スチレン/アクリルコポリマー、セルロース、及びポリ乳酸から形成される場合がある。粒子402は、追加的又は代替的に、ナイロン又はポリテトラフルオロエチレンから形成される場合がある。より一般には、適当なサイズ及び形状の任意の入手可能な剛性材料が、本明細書で企図されるように、接触面420において粒子402として使用されてよい。他の適当な市販の微粒子としては、限定はしないが、メタクリル酸メチルクロスポリマー、アクリル酸ポリブチル及びシリカ、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー及びアクリレート/エチルヘキシルアクリレート/ジメチコンメタクリレートコポリマー、HDI/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマー及びシリカ、HDI/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマー及びシリカ、エチレン/アクリル酸コポリマー、ポリエチレン、ナイロン-6、ナイロン-12、ケイ酸カルシウム、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、及び前記の組み合わせから形成されたマイクロスフェアが挙げられる。
【0032】
図5は、レトログラフィックセンサーの側面図を示している。レトログラフィックセンサー500は、特に断りのない限り、本明細書に記載されたレトログラフィックセンサーのうちの何れであってもよい。レトログラフィックセンサー500の粒子522は、例えば上記のように変形可能層510に、少なくとも部分的に埋め込まれてもよく、粒子522は、追加的又は代替的に、ポリウレタンのような接着剤580によって変形可能層510に固定されていてもよいし、又は、他の手段によって1つ以上の中間層を介して変形可能層510に間接的に結合されていてもよい。一般に、粒子522は、接着剤580の外にまで延びている場合がある。これは、何らかの関連する低い摩擦係数、並びに結果として得られる隙間通路から、恩恵を得るためである。ただし、接着剤580を超えて延びる粒子522の量は、接着剤580の強度や粒子522の形状のような複数の要因に左右される場合がある。一態様において、粒子522は、球形粒子であってよく、粒子522を変形可能層510に結合する接着剤580の層の上に、粒子522の直径の少なくとも半分だけ延びていてもよい。
【0033】
図6は、レトログラフィックセンサーの側面図を示している。レトログラフィックセンサー600は、特に断りのない限り、本明細書に記載されたレトログラフィックセンサーのうちの何れであってもよい。本明細書に記載された粒子は、1つの可能な接触面を提供することができるが、レトログラフィックセンサー600は、より一般には、非平面形状622間の空気の流れを可能にする隙間通路690を形成する非平面形状622を備えた変形可能層610上に配置された接触面620を含む場合がある。これらの非平面形状622は、接触時に目標面の表面形状を変形可能層610及び基板602に確実に転写するために、基板602よりも大きい硬度を有用に有する場合がある。また、レトログラフィックセンサー600が使用の際に目標面上に配置されたときに、接触面620を目標面に沿って移動させることが容易になるように、変形可能層610よりも小さい摩擦係数を有用に有する場合がある。
【0034】
非平面形状622は、本明細書に記載されるように、変形可能層610上に配置された粒子を含む場合がある。非平面形状622は、追加的又は代替的に、変形可能層610から延びるピラーを含む場合がある。非平面形状622の硬度は、変形可能層610よりも大きくてもよい。非平面形状622は、一般に、基板602の表面に垂直に延びていてよく、例えば垂直壁を含む場合がある。あるいは、非平面形状622は、基板法線に平行な軸に沿って湾曲し、角度を有し、又は他の形で変化する形状であってもよい。粒子又は他の個別の物体を変形可能層610(又は、変形可能層610に結合された接着剤680)に埋め込むことによって様々なそのような形状を形成できるが、非平面形状622は、追加的又は代替的に、変形可能層610に形成されてもよい。例えば、突起のアレイを、変形可能層610に直接成形することができる。これは例えば、小さな窪みのアレイの型を形成し、それらの窪みに、硬化したときに比較的低い摩擦係数を有する比較的硬い表面を提供する材料を充填することによって成形される場合がある。その後、これらの充填された窪みは、センサー表面に転写され、取り付けられ、その時点で、それらは、本明細書に記載された粒子と同様の利点を提供する非平面形状622のアレイを形成することができる。
【0035】
図7は、レトログラフィックセンサーの側面図を示している。レトログラフィックセンサー700は、特に断りのない限り、本明細書に記載されたレトログラフィックセンサーのうちの何れであってもよい。レトログラフィックセンサー700は、本明細書に記載されるように撮像を向上させるために、複数の非平面形状722を含む場合がある。一態様では、非平面形状722は、変形可能層から延びるテーパー構造を含む場合がある。テーパー構造は、例えば、角錐、円錐、円錐台、又は他の任意のテーパー構造等を含む場合がある。高アスペクトの構造は、レトログラフィックセンサー700の接触面720に、剪断力に基づくアーチファクトを付与する可能性がある。そのため、そのような力の検出が特定の撮像事例で意図され、又は役立つ場合を除き、高アスペクトの構造は避けることが好ましい。
【0036】
図8は、レトログラフィックセンサーを製造するための方法のフロー図を示している。
【0037】
ステップ802に示されるように、方法800は、本明細書に記載されるように画像を透過することができるエラストマーから形成された基板を提供することから開始される場合がある。基板には、厚み約3mmの透明なポリスチレンコポリマーのエラストマーのブロックから形成された基板、又は本明細書で企図されるような撮像に適した任意の他の寸法や材料の基板が含まれる場合がある。
【0038】
ステップ804に示されるように、方法800は、基板上に変形可能層を形成することを含む場合がある。変形可能層は、例えば、赤色酸化鉄顔料を含む変形可能材料の2.33ミクロンの層であってもよいし、又は本明細書に記載された他の変形可能層材料のうちの何れかであってもよく、例えば、基板を通過し、変形可能層に隣接する基板の表面に入射する光を無指向性で反射する変形可能材料であってもよい。変形可能層は、例えば、変形可能材料を基板上にスピンコーティングすることによって、若しくは他の方法で変形可能材料の層を基板上に配置することによって、若しくは変形可能材料の予め形成された層上に基板を成形することによって形成される場合がある。変形可能層(の基板に対向する側)は、追加的又は代替的に、耐摩耗性熱可塑性エラストマーの1ミクロンの層でコーティングされる場合があり、これによって有用なことに、マイクロスフェア又は他の粒子を付着させるための粘着性の表面が得られる。
【0039】
ステップ806に示されるように、方法800は、変形可能層上に本明細書に記載された接触面のうちの何れかのような接触面を形成することを含む場合がある。例えば、接触面は、レトログラフィックセンサーで撮像する際に目標面と接触するように構成される場合がある。例えば、接触面は、基板よりも硬い粒子であって、変形可能層上にパターンを成して配置され、変形可能層によって基板から分離された粒子を含む場合がある。
【0040】
一態様では、これは、ポリメチルシルセスキオキサンの6ミクロンの単分散マイクロスフェアの粉末を、高密度で詰め込まれた単層になるように分配する形で、変形可能層に付着させることを含む場合がある。接触面を形成することは、追加的又は代替的に、水性ポリウレタン懸濁液その他の接着剤を表面に付着させ、接着剤を広げて、接着剤によって変形可能層及びマイクロスフェアを濡らすことを含む場合がある。例えば、スピンコーターの回転速度及び懸濁液の粘度(又はマイクロスフェアの濃度、あるいは粘度又は流れの任意の他の代わりの指標)の適当な調整を条件として、スピンコーティングを使用して、水性ポリウレタンを変形可能層に付着させることができる。
【0041】
別の態様では、接触面を形成することは、ポリウレタンの水溶液中で粒子を変形可能層に付着させることを含む場合がある。別の態様では、これは、接着剤と、ポリメチルシルセスキオキサンの単分散粒子のような粒子と混合物を、変形可能層にスピンコーティングすることを含む場合がある。変形可能層へのポリメチルシルセスキオキサン。いずれの場合でも、接触面を形成することは、接着剤を乾燥させ、変形可能層の熱可塑性エラストマー材料に接着された露出した上面及び底面を有する粒子のアレイを提供することをさらに含む場合がある。
【0042】
上記のように、変形可能層又は基板のエラストマーは、粒子の接着を容易にする粘着付与剤を含む場合がある。この場合、上記のように、接触面を形成することは、粒子の層を変形可能層に付着させた後、水性ポリウレタン又は他の適当な接着剤を粒子上に流すことを含む場合がある。非限定的な例として、粒子は、約1~25ミクロンの範囲のサイズを有する場合がある。一態様では、粒子は、単分散ポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む。別の態様では、粒子は、多分散ポリメチルシルセスキオキサンを含む。より一般には、粒子は、様々な形状、寸法、材料、サイズ、及びサイズ分布の粒子を含む、本明細書に記載された粒子のうちの何れかを含む場合がある。
【0043】
図9は、レトログラフィックセンサーを用いた表面計測のための方法を示すフロー図である。
【0044】
ステップ902に示されるように、方法900は、本明細書に記載されたレトログラフィックセンサーのうちの何れかのようなレトログラフィックセンサーを提供することを含む場合がある。非限定的な例として、レトログラフィックセンサーは、基板と、変形可能層と、接触面とを含む場合がある。基板は、画像を透過することができ、第1の硬度を有する第1のエラストマーから形成される場合がある。変形可能層は、基板の第1の表面に配置される場合があり、基板の第1の表面に入射する光を反射する材料を含む場合がある。接触面は、撮像目標と接触して配置するための表面を提供することができる。接触面は、変形可能層上に配置され、変形可能層によって基板から分離された粒子のパターンによって形成される場合がある。接触面の粒子は、基板の第1のエラストマーの第1の硬度よりも大きい第2の硬度を有する場合がある。
【0045】
ステップ904に示されるように、方法900は、発光ダイオード又は発光ダイオードのアレイのような光源を用いて、基板に対向する側から変形可能層の材料を照明することを含む場合がある。
【0046】
ステップ906に示されるように、方法900は、レトログラフィックセンサーの接触面を目標面に接触させ、変形可能層を幾何学的に変化させることを含む場合がある。
【0047】
ステップ908に示されるように、方法900は、材料を照明し、接触面を目標面に接触させながら、基板に対向する側から変形可能層の画像をキャプチャすることを含む場合がある。これは、追加的又は代替的に、異なる角度の側面照明を提供するために複数の画像をキャプチャすることを含む場合があり、これによって、精度を高め、閉塞表面に関する追加の情報を得ることができ、あるいは、その結果得られる再現された三次元画像の定量的精度を改善することができる。
【0048】
ステップ910に示されるように、方法900は、画像を処理し、表面の表面形状その他の二次元情報又は三次元情報のような目標面情報を復元することを含む場合がある。一態様では、これは、画像(又は複数の画像)を分析し、目標面の三次元幾何形状を判定することを含む。これは例えば、反射光の強度から複数の面法線を推定し、面法線を統合することによって画像内の種々の位置における目標面の高さを判定することにより実施される場合がある。追加的又は代替的に、これは例えば、異なる角度又は方向のグレージング照明を用いて得られた複数の画像を分析することを含む場合がある。したがって、例えば、方法900は、2つ以上の異なる方向から変形可能層を照明し、2つ以上の異なる方向の各々から照明されている間に変形可能層の画像をキャプチャし、結果として得られた複数の画像を分析して目標面の三次元幾何形状を判定することを含む場合がある。
【0049】
別の態様では、撮像システムは、例えば異なる方向からの照明の同時撮像をサポートするように、色を使用してチャネル形成される場合がある。したがって、例えば、方法900は、第1の色の第1の光源と、第1の色とは異なる第2の色の第2の光源とを同時に用いて、変形可能層を照明することを含む場合がある。この態様では、方法900は、変形可能層の多色画像をキャプチャし、第1の光源及び第2の光源からの照明のパターンを区別し、多色画像を分析して、第1の光源及び第2の光源からの照明のパターンに基づいて、目標面の三次元幾何形状を判定することをさらに含む場合がある。より一般には、複数の異なる色を使用することができ、特に、カラーカメラやカラーイメージセンサーのような市販の光学系は、赤、緑、及び青のような3つの異なる色を容易に区別することができ、複数の異なる色を使用して撮像システムをチャネル形成することで、同時に、3つの異なる方向からの照明の同時撮像(例えば、単色画像)をサポートすることができる。
【0050】
図10は、第1のタイプの6ミクロンマイクロスフェアのアレイの光学顕微鏡画像を示しており、
図11は、第2のタイプの6ミクロンマイクロスフェアのアレイの光学顕微鏡画像を示している。一般に、
図11(タイプA)のマイクロスフェアは、
図10のマイクロスフェア(タイプB)に比べて、多くのマイクロスフェアが単分散であること(例えば、均一な直径を有すること)が知られており、したがって、二次元アレイを成すように詰め込まれたとき(例えば、単層としてレトログラフィックセンサーの接触面に付着されたとき)に、より高い規則性のパターンを形成することが予想される。
【0051】
図12は、
図10及び
図11のマイクロスフェアアレイの平均放射状パワースペクトルを示している。多数の技術を使用して幾何学構造の規則性を測定することができるが、撮像面のパワースペクトルは、高解像度で誤差のない撮像を行うための粒子パターンの適合性を評価するための有用なメトリックになる。この量を導出するために、接触面の光学顕微鏡画像を帯域通過処理し、閾値処理することによってコントラストを高めることができ、その結果、
図10~
図11に示されるような画像が得られる。次に、帯域通過処理され、閾値処理された画像(
図10~
図11の画像など)にガウスウィンドウを乗算すると、(画像の黒い境界からの)縁部アーチファクトを最小限に抑えることができ、その結果、ガウスウィンドウによる画像の周波数領域表現の畳み込みが得られる。次に、周波数領域表現の大きさを二乗すると、二次元パワースペクトルを得ることができる。一般に、規則性が低いパターンの粒子のパワースペクトルは、規則性が高いパターンの粒子に比べて低い周波数を有し、強い周波数の帯域が広いことが予想される。アレイの支配的周波数を表す周波数領域での帯域の形状を評価することにより、これらの特性を定量化することができる。
【0052】
一般に、二次元パワースペクトルは、放射状に対称になるため、信号を放射状に平均化することができ、DCその他の非常に低い周波数成分は、破棄されてもよい。
図10(タイプA)及び
図11(タイプB)のパターンについて得られたパワースペクトルが、
図12に示されている。これらのパワースペクトルの場合、ピークパワーν
pは、ピーク周波数f
pに位置する可能性がある。そして、ハーフパワー周波数f
a及びf
bは、パワーがピークパワーν
pの50%であるピーク周波数f
pの上下の周波数として定義される。これらの値は、
図12に、タイプBの粒子についてラベル付けされている。特定のパターンの粒子のパワースペクトルについて判定されたこれらの値を用いると、支配的周波数帯域のQスコアは、
【数2】
のように、定義することができる。
【0053】
このQスコアは、規則性の性能指数として機能し、スコアが高いほど、接触面における粒子のアレイの規則性が高いことを示している。この式を
図10~
図11のパターンに適用すると、タイプBの粒子のQスコアは、約4.7であり、撮像に非常に適している。タイプAの粒子のQスコアは、約3.9であり、これも撮像に適している。
【0054】
経験的に、1~20ミクロンのマイクロスフェアの場合、2を超えるQスコアは、そのパターンが、精度や解像度に支障をきたす重大な撮像アーチファクトを生じることなく、レトログラフィックセンサーで使用するのに十分な規則性であることを示している。したがって、一態様では、レトログラフィックセンサーの接触面は、少なくとも2のQスコアを有する放射状に平均化された二次元パワースペクトルを有するマイクロスフェアのパターンを有することが有用な場合がある。ここで、Qスコアは、ピーク周波数を(放射状に平均化された二次元パワースペクトルの)ハーフパワー周波数の差で割った値に等しい。3を超えるQスコアは、一般に、著しく改善された性能をもたらし、4.5を超えるQスコアは、粒子の単層を通して可能な限り最高の撮像をもたらすように見える。また、4.5のQスコアは、比較的均一なサイズ及び形状(例えば、単分散)のマイクロスフェアを備えた、非常に高い規則性の詰め込みであることも示している。ただし、高度に単分散の粒子は、粒子が不均一に分布している場合や、粒子が表面を部分的にしか覆っておらず、比較的広い領域が覆われていないままである場合のような特定の状況下においても、Qスコアが低くなる場合があることを理解すべきである。このような場合、個々の粒子の幾何学的規則性が高いにもかかわらず、接触面は、低いQスコア(おそらく使用できないほど低いQスコア)を生成する可能性がある。
【0055】
上記のシステム、装置、方法、及びプロセス等は、ハードウェア、ソフトウェア、又は特定の応用事例に適したこれらの任意の組み合わせで実現することができる。ハードウェアは、汎用コンピュータ及び/又は専用コンピューティングデバイスを含む場合がある。これには、内部メモリ及び/又は外部メモリを備えた1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、組み込みマイクロコントローラ、プログラマブルデジタルシグナルプロセッサ又は他のプログラマブルデバイス若しくは処理回路での実現が含まれる。追加的又は代替的に、これには、1つ以上の特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジックコンポーネント、又は電気信号を処理するように構成可能な任意の他の装置が含まれる場合がある。さらに理解されるように、上記のプロセス又は装置の実現には、Cのような構造化プログラミング言語、C++のようなオブジェクト指向プログラミング言語、又は他の任意の高レベル若しくは低レベルプログラミング言語(アセンブリ言語、ハードウェア記述言語、データベースプログラミング言語及びテクノロジを含む)を使用して作成されたコンピュータ実行可能コードが含まれる場合があり、コンピュータ実行可能コードは、上記の装置の何れかにおいて実行するために、並びに、プロセッサの異種の組み合わせ、プロセッサアーキテクチャ、又はハードウェアとソフトウェアの異なる組み合わせにおいて実行するために、記憶され、コンパイルされ、又は解釈される場合がある。別の態様では、方法は、そのステップを実行するシステムにおいて具体化されてもよく、方法は、いくつかの方法で装置全体に分散されてもよい。同時に、処理は、上記のさまざまなシステムのような装置全体に分散されてもよい。あるいは、すべての機能が、専用のスタンドアロンの装置又は他のハードウェアに統合されてもよい。別の態様では、上記のプロセスに関連するステップを実施するための手段は、上記のハードウェア及び/又はソフトウェアのうちの何れを含んでいてもよい。そのようなあらゆる順列と組み合わせが、本開示の範囲内に入ることが意図されている。
【0056】
本明細書に開示された種々の実施形態は、コンピュータ実行可能コード又はコンピュータ使用可能コードを含むコンピュータプログラム製品であって、それらのコードが1つ以上のコンピューティングデバイス上で実行されたときに、そのステップの何れか及び/又はすべてを実施する、コンピュータプログラム製品を含む場合がある。こうしたコードは、非一時的な形でコンピュータメモリに記憶されてもよいし、又は記憶装置に記憶されてもよい。コンピュータメモリは、そこから読み出されたプログラムが実行されるメモリ(プロセッサに関連付けられたランダムアクセスメモリなど)であってもよく、記憶装置は、ディスクドライブ、フラッシュメモリ又は他の光学的、電磁的、磁気的、赤外線又は他の装置又は装置の組み合わせ等であってもよい。別の態様では、上記のシステム及び方法のうちの何れかが、コンピュータ実行可能コード及び/又は同コードからの任意の入力又は出力を運ぶ任意の適当な伝送媒体又は伝搬媒体の形で具体化されてもよい。
【0057】
本明細書に記載された種々の実施形態の方法ステップは、異なる意味が明示的に提供されるか、又は文脈から明らかでない限り、特許請求の範囲に記載された発明の特許性と一貫性を有する形でそのような方法ステップが実施されることになる、任意の適当な方法を含むことを意図している。したがって、例えば、Xのステップを実施することは、リモートユーザ、リモート処理リソース(例えば、サーバー又はクラウドコンピュータ)又はマシンのような他の者にXのステップを実施させるための任意の適当な方法を含む。同様に、ステップX、Y、及びZを実施することは、そのような他の者又はリソースの任意の組み合わせに命令して、又はそれらを制御して、ステップX、Y、及びZを実施させ、そのようなステップの利益を得ることを含む場合がある。したがって、本明細書に記載された種々の実施形態の方法ステップは、異なる意味が明示的に提供されるか、又は文脈から明らかでない限り、特許請求の範囲に記載された発明の特許性と一貫性を有する形で、1つ以上の他の者又は団体にステップを実施させる任意の適当な方法を含むことを意図している。そのような者又は団体が、何らかの他の者又は団体の命令又は制御下にある必要はなく、特定の管轄区域内にある必要もない。
【0058】
上記の装置、システム、及び方法は、限定ではなく例として示されていることが理解されよう。反対の明示的な指示がない限り、開示されたステップは、本開示の範囲から外れることなく、修正され、補足され、省略され、及び/又は並び替えられてもよい。多数の変形、追加、省略、及び他の修正が、当業者には明らかであろう。さらに、上記の説明及び図面における方法ステップの順序や表現は、特定の順序が明示的に要求されるか、又は文脈から明らかでない限り、記載したステップをこの順序で実施することを意図するものではない。したがって、特定の実施形態が示され、説明されているが、本開示の精神及び範囲から外れることなく、形態や詳細に様々な変更や修正を加えてもよく、それらも、特許請求の範囲に規定された本発明の一部を形成することを意図している。