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特許7502276安定化化合物を含むポリウレタン断熱フォーム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】安定化化合物を含むポリウレタン断熱フォーム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20240611BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20240611BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20240611BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240611BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/00 H
C08G18/76
C08G18/18
C08G101:00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021513965
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019047391
(87)【国際公開番号】W WO2020055559
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】62/730,725
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307912
【氏名又は名称】ハンツマン・インターナシヨナル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ヤンジン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,リーファン
(72)【発明者】
【氏名】シング,サチチダ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ユン-シァン
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-030654(JP,A)
【文献】特表2011-500893(JP,A)
【文献】国際公開第2019/055401(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/055441(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)芳香族イソシアナート化合物;
(ii)イソシアナート反応性化合物;
(iii)水;
(iv)第3級アミン化合物;
(v)親水性カルボン酸化合物;
(vi)ハロゲン化オレフィン発泡剤;及び
(vii)4個以上のヒドロキシル基を有する非アルコキシル化ポリヒドロキシ化合物を含む安定化化合物;
(viii)任意に他の添加剤
を含み、
ここで成分(v)は成分(iv)中の第3級アミンの当量当たり0.2から4当量までのカルボキシル基の範囲の量でポリウレタン断熱フォーム組成物中に存在し、成分(vii)は成分(v)のモル当たり0モルよりも多く且つ0.8モル未満の量で存在するポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項2】
芳香族イソシアナート化合物が、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアナート、トリレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、p-フェニレンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項3】
成分(ii)が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシル-末端ポリチオエーテル、ポリアミン、ポリチオール、グリコール又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項4】
成分(iv)が、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル;N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル;N,N-ジメチルエタノールアミン;N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン;N-メチルジシクロヘキシルアミン;ベンジルジメチルアミン;ペンタメチルジエチレントリアミン;N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン;N’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル-N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン;2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール;N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン;2-[N-(ジメチルアミノエトキシエチル)-N-メチルアミノ]エタノール;N,N,N’-トリメチル-N’-3-アミノプロピル-ビス(アミノエチル)エーテル;N,N,N’,N’-テトラメチレンジアミン;N-エチルモルホリン;2,2’ジモルホリノジエチルエーテル;1,3,5-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-ヘキサヒドロ-s-トリアジン;1,2-ジメチルイミダゾール;N-メチル-,N’-(2-ジメチルアミノ)エチル-ピペラジン;N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン若しくはトリエチレンジアミン又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項5】
成分(v)が次式:
(HO)n-R’-(COOH)m
[式中、R’は二価のC1-C10脂肪族炭化水素部分であり、n及びmは両方とも整数で
あり、且つここでn>0及びm>1である]
の構造又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項6】
成分(v)が、ギ酸、酢酸、乳酸又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項7】
成分(vi)が、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン、ヘキサフルオロブテン又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項8】
成分(vi)が、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン;(z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテ-2-エン;トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペ-1-エン又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項9】
成分(vii)が、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシロース、グルコース、フルクトース、スクロース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、コーンシロップ、アミロペクチン又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項10】
成分(viii)が、空気、窒素、二酸化炭素、ヒドロフルオロアルカン、アルカン、アルケン、モノカルボン酸塩、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせを含む副発泡剤を含む、請求項1に記載のポリウレタン断熱フォーム組成物。
【請求項11】
ポリウレタン断熱フォーム組成物の以下の反応性成分:
(i)芳香族イソシアナート化合物;
(ii)イソシアナート反応性化合物;
(iii)水;
(iv)第3級アミン化合物;
(v)親水性カルボン酸;
(vi)ハロゲン化オレフィン発泡剤;及び
(vii)4個以上のヒドロキシル基を有する非アルコキシル化ポリヒドロキシ化合物を含む安定化化合物;
(viii)任意に他の添加剤
の1つ以上を反応させ、ポリウレタンフォーム製品を製造することを含み、
ここで成分(v)は成分(iv)中の第3級アミンの当量当たり0.2から4当量までのカルボキシル基の範囲の量でポリウレタン断熱フォーム組成物中に存在し、成分(vii)は成分(v)のモル当たり0モルよりも多く且つ0.8モル未満の量で存在し;
ここでポリウレタン断熱フォーム組成物のCT REACTIVITY SHIFTが20以下であり、TFT REACIVITY SHIFTが4以下であり;
且つここでポリウレタン断熱フォーム組成物のCT REACTIVITY SHIFT及びTFT REACTIVITY SHIFTは式X及びY:
それぞれ
式X:
CT REACTIVE SHIFT=100*[(CT79-CT0)/CT0
[式中、
CT17は、オーブン中に置かれた密閉、圧力定格化ガラス容器中で40℃において成分(ii)及び(iii)を含む組成物のB-側を79日間エージングした後にFOAM REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のCTを意味する。
CT0は、40℃において成分(ii)及び(iii)を含む組成物のB-側を0日間
エージングした後にFOAM REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のCTを意味する]
及び
式Y:
TFT REACTIVE SHIFT=100*[(TFT79-TFT0)/TFT0
[式中、
TFT17は、オーブン中に置かれた密閉、圧力定格化ガラス容器中で40℃において成分(ii)及び(iii)を含む組成物のB-側を79日間エージングした後にFOAM
REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のTFTを意味する。
TFT0は、40℃において成分(ii)及び(iii)を含む組成物のB-側を0日
間エージングした後にFOAM REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のTFTを意味する]
の使用により決定される、
ポリウレタン断熱フォーム組成物からのポリウレタンフォーム製品の製造方法。
【請求項12】
ポリイソシアナートが、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアナート、トリレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、p-フェニレンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
成分(ii)が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシル-末端ポリチオエーテル、ポリアミン、ポリチオール、グリコール又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
成分(iv)が、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル;N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル;N,N-ジメチルエタノールアミン;N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン;N-メチルジシクロヘキシルアミン;ベンジルジメチルアミン;ペンタメチルジエチレントリアミン;N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン;N’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル-N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン;2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール;N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン;2-[N-(ジメチルアミノエトキシエチル)-N-メチルアミノ]エタノール;N,N,N’-トリメチル-N’-3-アミノプロピル-ビス(アミノエチル)エーテル;N,N,N’,N’-テトラメチレンジアミン;N-エチルモルホリン;2,2’ジモルホリノジエチルエーテル;1,3,5-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-ヘキサヒドロ-s-トリアジン;1,2-ジメチルイミダゾール;N-メチル-,N’-(2-ジメチルアミノ)エチル-ピペラジン;N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン若しくはトリエチレンジアミン又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
成分(vi)が、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン、ヘキサフルオロブテン又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
成分(vi)が、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン;(z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテ-2-エン;トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペ-1-エン又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
成分(vii)が、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシロース、グルコース、フルクトース、スクロース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、コーンシロップ、アミロペクチン又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
成分(viii)が、空気、窒素、二酸化炭素、ヒドロフルオロアルカン、アルカン、アルケン、モノカルボン酸塩、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせを含む副発泡剤を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
(i)芳香族イソシアナート化合物;
(ii)イソシアナート反応性化合物;
(iii)水;
(iv)第3級アミン化合物;
(v)親水性カルボン酸;
(vi)ハロゲン化オレフィン発泡剤;及び
(vii)4個以上のヒドロキシル基を有する非アルコキシル化ポリヒドロキシ化合物を含む安定化化合物;
(viii)任意に他の添加剤
を含み、
ここで成分(v)は成分(iv)中の第3級アミンの当量当たり0.2から4当量までのカルボキシル基の範囲の量でポリウレタンフォーム組成物中に存在し、
ここで成分(vii)がポリウレタンフォーム組成物の100グラム当たり0マイクロモルよりも多く且つ10マイクロモル未満の量でポリウレタンフォーム組成物中に存在する、
ポリウレタンフォーム組成物。
【請求項20】
ポリウレタンフォーム組成物が、噴霧適用における使用のための噴霧フォーム組成物であるか又は現場注入適用における使用のための現場注入組成物である、請求項19に記載のポリウレタンフォーム組成物。
【請求項21】
成分(vii)が、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシロース、グルコース、フルクトース、スクロース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、コーンシロップ、アミロペクチン又はそれらの組み合わせを含む、請求項20に記載のポリウレタンフォーム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は一般的にハロゲン化オレフィンを含むポリウレタンフォーム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ポリウレタン断熱フォーム(例えば硬質ポリウレタン断熱フォーム)は、それが低密度で優れた断熱性能を与えるので、冷却及び建築産業において広く用いられる。これらのフォームは通常適した発泡剤の存在下でイソシアナート化合物をイソシアナート反応性化合物と反応させるこしにより製造されてきた。発泡剤に関し、CFC-11及びHCFC-141bのようなクロロフルオロカーボン(“CFCs”)及びヒドロクロロフルオロカーボン(“HCFCs”)が、それらが許容され得る断熱及び寸法安定性を有する独立気泡フォームを生ずることが示されたので広く用いられてきた。しかしながらこれらの利点にかかわらず、CFCs及びHCFCsは、それらが地球の大気中のオゾンの破壊及び温室効果に寄与する場合があるので、好まれなくなった。従ってCFCs及びHCFCsの使用は厳しく制限されてきた。
【0003】
もっと最近、飽和ヒドロフルオロカーボン(“HFCs”)及び炭化水素(“HCs”)はゼロないしゼロ近辺のオゾン破壊係数を有するので、これらの化合物がポリウレタン断熱フォームにおいて用いられてきた。HFC’s及びHC’sの例にはHFC-365mfc、HFC-245fa、シクロペンタン、n-ペンタン及びイソ-ペンタンが含まれる。CFCs及びHCFCsと同様に、これらの化合物はそれら自身の欠点を有する。HFCsの地球温暖化係数は比較的高いと思われ、長期間の解決案としてのそれらの実行可能性に関して疑問が生じた。HCsの地球温暖化係数は低いと思われるが、これらの化合物は高度に可燃性であり得、いくつかは揮発性有機化合物(“VOCs”)であるとみなされる。
【0004】
従って、以下の特性の少なくともいくつかを有する発泡剤を用いるポリウレタン断熱フォーム組成物の開発の必要性が残っている:(i)ゼロないしゼロ近辺のオゾン破壊係数(ozone depletion properties);(ii)ゼロないしゼロ近辺の地球温暖化係数;(iii)VOCsであるとみなされないこと;及び(iv)安全なやり方で配置する(deploy)のに過度に費用がかかりすぎないこと。さらに、そのような組成物から作られるフォームは、独立気泡硬質ポリウレタンフォームが既知である優れた断熱性及び低い密度も保持していなければならない。
【発明の概要】
【0005】
詳細な記述
本明細書で用いられる場合、他に明らかに特定されなければ、値、範囲、量又はパーセンテージを表すもののようなすべての数は、「約」という用語が、明らかに現れていなくてもその用語に前置きされているかのように読まれる場合がある。複数形は単数形を包含し、またその逆も真である。
【0006】
本明細書で用いられる場合、「複数」は2以上を意味し、「数」という用語は1又は1より大きい整数を意味する。
【0007】
本明細書で用いられる場合、「含む」及び同様の用語は「制限なく含むこと」を意味する。
【0008】
数値範囲に言及する場合、そのような範囲は述べられる範囲の最小及び最大の間のそれぞれ及びすべての数及び/又は分数を含むと理解される。例えば「1ないし10」の範囲は、挙げられている1の最小値と挙げられている10の最大値の間の(且つそれらを含む)、すなわち1以上の最小値及び10以下の最大値を有するすべての部分範囲(sub-ranges)を含むものとする。
【0009】
本明細書で用いられる場合、「分子量」はゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0010】
本明細書で他にことわらなければ、いずれの化合物への言及もそのような化合物のいずれの異性体(例えば立体異性体)も含むものとする。
【0011】
ポリウレタン断熱フォーム組成物
ポリウレタンフォーム組成物からのフォーム製造が典型的に多数の反応を含むことは十分に理解される。触媒及び他の成分のような組成物の成分の選択は、意図される適用(例えば噴霧適用、現場注入適用)又は最終的な用途(例えば断熱フォーム)により部分的に定められる(dictated)。一般的にポリウレタンフォーム組成物からのフォーム製品の製造の間に3つの反応が起こる場合がある。第一の反応は多くの場合にゲル化反応と呼ばれる。ゲル化反応はイソシアナート化合物がポリオール化合物と反応する時のウレタン化合物の生成を含む。第二の反応は発泡反応と呼ばれる。発泡反応はイソシアナート化合物が水と反応する時のウレア化合物の生成及び二酸化炭素の放出を含む。第三の反応はトリマー反応と呼ばれる。トリマー反応はイソシアナート化合物がトリマー化触媒の存在下で別のイソシアナート化合物と反応する時のイソシアヌレート化合物の生成を含む。トリマー化触媒の使用は任意的なので、トリマー反応はポリウレタンフォーム製品の製造において必ず起こるわけではない。前記の反応は種々の速度で起こり、温度、触媒レベル(catalyst level)、触媒の型及び同様に他の因子(例えば用いられるポリオール中の第1級又は第2級ヒドロキシル基の存在)のような多様な変数に依存する。しかしながら高質のフォームの製造のために、競争的なゲル化、発泡及びトリマー反応の速度は、ポリウレタンフォーム製品の製造の前又はその間(例えばポリウレタン組成物のフォーム膨張期(foam rise phase)の間)にポリウレタンフォーム製品の内部気泡が崩壊しないことも保証しながら、与えられる適用/用途の要求を満たすように適切に均衡がとれていなければならない。さらに、競争的ゲル化、発泡及びトリマー反応の速度は、与えられる適用のために適切なゲル化時間、膨張終了時間(end of rise time)及びクリーム時間がポリウレタン組成物から得られることを保証するように適切に均衡がとれていなければならない。
【0012】
例えば噴霧フォーム適用において、調製者は組成物を基材(例えば壁又は天井)上に噴霧した後にポリウレタン組成物からの滴下又は流出(draining)を避けるようなやり方でポリウレタン組成物を注文通りに調製(tailor)しなければならない。ポリウレタン組成物において水及び強力な発泡触媒を用いて二酸化炭素(“CO2”)を生成することによりこれを行うことができる。理想的には基材上へのポリウレタン組成物の噴霧から2秒以内にきめの細かい泡(fine froth)(CO2の生成により引き起こされる)が生成し、それにより滴下又は流出の問題を避ける。噴霧フォーム適用と関連して調製者が考慮するべき別の因子は、ポリウレタン組成物の不粘着時間である。例えばポリウレタン組成物が短い不粘着時間を有すると、それはアプリケーターの噴霧装置の頻繁な目詰まりに導く。あるいはまた、ポリウレタン組成物が長い不粘着時間を有すると、それはフォームが基材上に適用された後に適用者の体がうっかりフォームに触れた時、フォームの変形に導く。さらに、ポリウレタン組成物のゲル化時間が遅すぎると、組成物の成分が反応する時に基材(例えば壁)上で生成し始めているフォームが垂れ始める場合
がある。
【0013】
現場注入適用の場合(例えば冷蔵庫、温水器又は壁パネルで用いられるフォーム)、フォーム製品の製造の間のボイド形成に抵抗するために、ポリウレタン組成物中における水及び強力な発泡触媒の存在が必要である。ボイドはゲル化の開始の前に金型における液流を介して生成中のフォーム中に空気が導入されるため、フォーム製品が製造される時にその内部気泡構造内に発達し得る。現場注入適用と関連して調製者が考慮するべき別の因子は、ポリウレタン組成物のゲル化時間である。ポリウレタン組成物が短いゲル化時間を有すると、これはポリウレタン組成物で完全に満たされていない金型に導き得る。あるいはまた、ポリウレタン組成物が長いゲル化時間を有すると、これは最終的なフォーム製品のための長い離型時間に導き得る。
【0014】
ポリウレタン組成物中で用いられるほとんどの第3級アミン触媒は上記の3つの反応のすべてをいくらか駆動するが、ポリウレタン組成物中で用いられる触媒及びそのような組成物中でそれが用いられる量は多くの場合に調製者がどの反応を優先させ(favor)たい/促進し(facilitate)たいかに基づいて選択される。例えば調製者がゲル化反応を優先させたい場合、調製者はそのような反応を優先させない他の触媒(例えばN,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン)よりゲル化反応を優先させる触媒(例えばN-エチルモルホリン)を選ぶであろう。他方、調製者がゲル化反応より発泡反応を優先させたい場合、調製者は発泡反応を優先させる触媒(例えばN,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン)を選ぶであろう。
【0015】
ポリウレタン組成物は第3級アミン触媒の他にハロゲン化オレフィン(“HFO”)発泡剤も含むことができる。しかしながらいくつかのHFOsの使用は、意図されないHFO化合物と第3級アミン触媒の間の不利な反応の故に、第3級アミン触媒を含む組成物中のある反応性成分の反応性の損失を生じ得る。下記でさらに詳細に説明する通り、前記の反応性の損失は、一部にはポリウレタン組成物中で用いられるHFO化合物と第3級アミン触媒の反応生成物(例えばハロゲン化イオン及びアミン塩)の故に、最終的なフォームにおける他の問題に導き得る。
【0016】
HFO化合物と第3級アミンが互いに反応する可能性は一成分ポリウレタン系において問題となるのみでなく、それはポリウレタン断熱フォーム組成物が二成分系として与えられる場合に同様に問題となる。典型的な二成分ポリウレタン系は「A-側」及び「B-側」で構成される。イソ-側としても既知のA-側はイソシアナート化合物及び任意的にイソシアナート化合物と反応しない他の化合物を含む。ポリオール-側としても既知のB-側はイソシアナート反応性化合物及び任意的に水、触媒、発泡剤、フォーム安定化界面活性剤及び他の添加化合物を含む。HFO及び第3級アミン化合物が両方ともB-側に置かれると、これらの2つの化合物がB-側をA-側と混合する前に反応し始め、それにより上記のハロゲン化イオン及びアミン塩反応生成物を製造する可能性が高い。
【0017】
ハロゲン化イオン及びアミン塩反応生成物はいくつかのやり方でポリウレタン組成物に負の影響を有し得る。例えばアミン塩はB-側から析出してB-側を濁らせ得る。さらに、ハロゲン化イオンは種々のポリウレタン組成物中で広く用いられるシリコーンに基づく界面活性剤を分解し得る。シリコーンに基づく界面活性剤の枯渇/劣化は典型的により低い断熱性を有するフォーム製品に導き、それはフォーム製品がより高い全体的な密度を有するのみでなく、それはより大きく且つより開放された内部気泡構造も有し、それはフォームの断熱性に不利に影響するからである。
【0018】
本開示のポリウレタン断熱フォーム組成物は、VOCsであるとみなされず、ゼロないしゼロ近辺のオゾン破壊係数及びゼロないしゼロ近辺の地球温暖化係数を有する発泡剤を
含むポリウレタンフォーム組成物を提供することにより、上記の問題を解決する。さらに、本開示のポリウレタン断熱フォーム組成物は組成物中に存在するHFO化合物と第3級アミン触媒の間の意図されない反応を取り除くか又は減少させもし、それにより組成物の保存寿命を延長するのみでなく、一貫した断熱性及び内部気泡構造を有するフォーム製品の製造を許しもする。
【0019】
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は:(i)イソシアナート化合物;(ii)イソシアナート反応性化合物;(iii)水;(iv)第3級アミン化合物;(v)親水性カルボン酸化合物、(vi)ハロゲン化オレフィン化合物;(vii)4個以上のヒドロキシル基を有する非アルコキシル化ポリヒドロキシ化合物を含む安定化化合物及び(viii)任意に他の添加剤を含む。ある態様において、本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は60以下(例えば50又は40又は30又は25又は20又は15又は10又は5又は1以下或いは0)のCT REACTIVE SHIFT(下記の実施例において定義される)及び60以下(例えば50又は40又は30又は20又は15又は10又は5又は1以下或いは0)のTFT REACTIVE SHIFT(実施例において下記で定義される)を有する。ある態様において、ポリウレタン断熱フォーム組成物は噴霧ポリウレタン断熱フォーム組成物(例えば独立気泡噴霧ポリウレタン断熱フォーム組成物のような噴霧ポリウレタン断熱フォーム組成物)である。他の態様において、ポリウレタン断熱フォーム組成物は独立気泡現場注入ポリウレタンフォーム断熱組成物のような現場注入ポリウレタン断熱フォーム組成物である。
【0020】
成分(i):イソシアナート化合物
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は1種以上のイソシアナート化合物を含む。いくつかの態様において、イソシアナート化合物はポリイソシアナート化合物である。用いられる場合がある適したポリイソシアナート化合物には脂肪族、芳香脂肪族(araliphatic)及び/又は芳香族ポリイソシアナートが含まれる。イソシアナート化合物は典型的に構造R-(NCO)xを有し、ここでxは少なくとも2であり、Rは芳香族、脂肪族又は組み合わせ芳香族/脂肪族基を含む。適したポリイソシアナートの制限ではない例にはジフェニルメタンジイソシアナート(“MDI”)型イソシアナート(例えば2,4’-、2,2’-、4,4’-MDI又はそれらの混合物)、MDIとそのオリゴマーの混合物(例えば高分子MDI又は「粗」MDI)及びポリイソシアナートとイソシアナート反応性水素原子を含む成分との反応生成物(例えば高分子ポリイソシアナート又はプレポリマー)が含まれる。従って用いられる場合がある適したイソシアナート化合物には、SUPRASEC(登録商標) DNRイソシアナート、SUPRASEC(登録商標) 2185イソシアナート、RUBINATE(登録商標) Mイソシアナート及びRUBINATE(登録商標) 1850イソシアナート又はそれらの組み合わせが含まれる。本明細書で用いられる場合、SUPRASEC(登録商標)及びRUBINATE(登録商標)イソシアナートはすべてHuntsman International LLCから入手可能である。
【0021】
適したイソシアナート化合物の他の例にはトリレンジイソシアナート(“TDI”)(例えば2,4 TDI、2,6 TDI又はそれらの組み合わせ)、ヘキサメチレンジイソシアナート(“HMDI”又は“HDI”)、イソホロンジイソシアナート(“IPDI”)、ブチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(例えば4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン)、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート(“TMXDI”)、1,5-ナフタレンジイソシアナート(“NDI”)、p-フェニレンジイソシアナート(“PPDI”)、1,4-シクロヘキサンジイソシアナート(“CDI”)、トリジンジイソシアナート(“TODI”)又はそれらの組み合わせも含まれる。イソシアヌレート、カルボジイミド又はウレトンイミン基
を含む修飾ポリイソシアナートも成分(i)として用いられる場合がある。
【0022】
ブロックポリイソシアナートも成分(i)として用いられ得、但し反応生成物は成分(i)を成分(ii)と反応させる温度より低いブロック解除温度を有する。適したブロックポリイソシアナートには:(a)フェノール又はオキシム化合物とポリイソシアナートの反応生成物又は(b)ポリイソシアナートと塩化ベンジル、塩酸、塩化チオニル又は組み合わせのような酸化合物との反応生成物が含まれ得る。ある態様において、ポリイソシアナートは本明細書で開示される組成物中で用いられる反応性成分(ingredients)/成分(components)中に導入する前に、前記の化合物を用いてブロックされる場合がある。
【0023】
イソシアナートの混合物、例えばTDI異性体の混合物(例えば2,4-及び2,6-TDI異性体の混合物)又はアニリン/ホルムアルデヒド縮合生成物のホスゲン化により製造されるジ-及びもっと高い(higher)ポリイソシアナートの混合物も成分(i)として用いられる場合がある。
【0024】
いくつかの態様において、イソシアナート化合物は室温で液体である。イソシアナート化合物の混合物は当該技術分野において既知の方法に従って製造される場合がある。ジフェニルメタンジイソシアナートの異性体含有率を必要なら当該技術分野において周知の方法により必要な範囲内にする場合がある。例えば異性体含有率を変えるための1つの方法は、望まれるより高い量の高分子MDIを含むMDIの混合物(例えば30%ないし80% w/wの4,4’-MDIを含み、MDIの残りがMDIオリゴマー及びMDI類似物であるMDI)にモノマーMDI(例えば2,4-MDI)を加えることである。
【0025】
成分(i)は組成物の合計重量に基づいてポリウレタン断熱フォーム組成物の30重量%ないし65重量%(例えば33%ないし62%又は35%ないし60%)を占めることができる。
【0026】
成分(ii):イソシアナート反応性化合物
分子当たり少なくとも2個のイソシアナート反応性部分を含むいずれの既知の有機化合物もイソシアナート反応性化合物として用いられる場合がある。例えば25℃で液体であり、60から10,000まで(例えば300ないし10,000又は5,000未満)の範囲の分子量、少なくとも2のノミナルヒドロキシル官能価及び30ないし2000(例えば30ないし1,500又は30ないし800)のヒドロキシル当量を有するポリオール化合物又はそれらの混合物を成分(ii)として用いることができる。
【0027】
成分(ii)として用いられる場合がある適したポリオールの例には、分子当たり2から8個までの活性水素原子を含む開始剤(initiators)へのアルキレンオキシドの付加により製造されるもののようなポリエーテルポリオールが含まれる。いくつかの態様において、前記の開始剤にはグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アニリン、トルエンジアミン(例えば2,4及び2,6-トルエンジアミン)、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、N-アルキルフェニレン-ジアミン、o-クロロ-アニリン、p-アミノアニリン、ジアミノナフタレン又はそれらの組み合わせが含まれる。ポリエーテルポリオールの生成に用いられる場合がある適したアルキレンオキシドにはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチンレオキシド又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0028】
成分(ii)として用いられる場合がある他の適したポリオール化合物には、少なくとも2のノミナルヒドロキシル官能価を有し、且つ分子当たり少なくとも1個の第2級又は
第3級アミン窒素原子を有するマンニッヒポリオールが含まれる。マンニッヒポリオールは芳香族化合物、アルデヒド及びアルカノールアミンの縮合生成物である。例えばフェノールとアルキルフェノールのいずれか又は両方とホルムアルデヒドならびにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミンの1つ以上の縮合によりマンニッヒ縮合生成物を製造する場合がある。いくつかの態様において、マンニッヒ縮合生成物はフェノール又はノニルフェノールとホルムアルデヒド及びジエタノールアミンの反応生成物を含む。本発明のマンニッヒ縮合生成物はいずれの既知の方法により製造される場合もある。いくつかの態様において、マンニッヒ縮合生成物はアルコキシル化のための開始剤として働く。1種以上のマンニッヒ縮合生成物のアルコキシル化のためにいずれのアルキレンオキシド(例えば上記のようなアルキレンオキシド)も用いられる場合がある。重合が完了するとマンニッヒポリオールは脂肪族炭素原子に結合した第1級ヒドロキシル基及び/又は第2級ヒドロキシル基を含む。
【0029】
ある態様において、用いられるポリオールはポリオールのポリマー構造中にプロピレンオキシド(“PO”)、エチレンオキシド(“EO”)又はPOとEO基もしくは部分の組み合わせを含むポリエーテルポリオールである。これらのPO及びEO単位はポリマー構造全体に及んで無作為に又はブロック部分(block section)において配置される場合がある。ある態様において、ポリオールのEO含有率はポリオールの合計重量に基づいて0から100重量%までの範囲である(例えば50重量%ないし100重量%)。いくつかの態様において、ポリオールのPO含有率はポリオールの合計重量に基づいて100から0重量%までの範囲である(例えば100重量%ないし50重量%)。従っていくつかの態様において、ポリオールのEO含有率はポリオールの99重量%から33重量%までの範囲であることができ、一方PO含有率はポリオールの1重量%から67重量%までの範囲である。さらに、いくつかの態様において、EO及び/又はPO単位はポリオールのポリマー構造上の末端に位置することができるか又はポリオールのポリマー主鎖構造の内部内に位置することができる。適したポリエーテルポリオールには当該技術分野で既知の二-又は三官能基性開始剤へのプロピレン及びエチレンオキシドの連続的付加により得られるポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)ジオール及びトリオールが含まれる。ある態様において、成分(ii)は前記のジオール又はトリオールを含むか、あるいはまた成分(ii)はこれらのジオール及びトリオールの混合物を含むことができる。
【0030】
前記のポリエーテルポリオールは水及び低分子量ポリオールのような多官能基性開始剤の存在下におけるエチレンオキシドと他の環状オキシド(例えばプロピレンオキシド)の重合により得られる反応生成物も含む。適した低分子量ポリオールにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0031】
成分(ii)として用いられ得るポリエステルポリオールには、直線状ポリマー構造及び約500から約10,000まで(例えば好ましくは約700から約5,000までもしくは700から約4,000まで)の範囲の数平均分子量(Mn)及び一般的に1.3未満(例えば0.8未満)の酸価を有するポリエステルが含まれる。分子量は末端官能基のアッセイにより決定され、数平均分子量に関する。ポリエステルポリオールは:(1)1種以上のグリコールと1種以上のジカルボン酸又は無水物のエステル化反応;或いは(2)エステル交換反応(すなわち1種以上のグリコールとジカルボン酸のエステルの反応)のような当該技術分野において既知の方法を用いて製造され得る。末端ヒドロキシル基を有する直線状ポリマー鎖を得るために、一般に酸に対して1モルより多く過剰のグリコールのモル比が好ましい。適したポリエステルポリオールには種々のラクトンも含まれ、
それらは典型的にカプロラクトン及びジエチレングリコールのような二官能基性開始剤から製造される。所望のポリエステルのジカルボン酸は脂肪族、脂環式、芳香族又はそれらの組み合わせであることができる。単独で又は混合物において用いられ得る適したジカルボン酸は一般に合計で4から15個までの炭素原子を有し、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの組み合わせが含まれる。前記のジカルボン酸の無水物(例えば無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物又はそれらの組み合わせ)も用いられ得る。いくつかの態様において、アジピン酸は好ましい酸である。適したポリエステルポリオールの生成に用いられるグリコールには合計で2から12個までの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族グリコールが含まれ得る。そのようなグリコールの例にはエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0032】
適したポリオールの追加の例にはヒドロキシル-末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン、ポリシロキサン及びエチレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールのような単純なグリコールならびにそれらの混合物が含まれる。
【0033】
適したポリオールの追加の例には植物油、魚油、ラード及び獣脂油(tallow oil)のような天然源に由来するものが含まれる。植物に基づくポリオールは、大豆油、ひまし油、パーム油、キャノーラ油、亜麻仁油、菜種油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油、ピーナツ油、ごま油、綿実油、クルミ油及び桐油を含むがこれらに限られない不飽和部位を含むいずれの植物油又は油ブレンドからも製造される場合がある。
【0034】
活性水素-含有材料は、制限ではないがポリアミン及びポリチオールのような他のイソシアナート反応性材料を含む場合がある。適したポリアミンには第1級及び第2級アミン-末端ポリエーテル、ジエチルトルエンジアミンなどのような芳香族ジアミン、芳香族ポリアミン及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0035】
成分(ii)は、組成物の合計重量に基づいてポリウレタン断熱フォーム組成物の20重量%ないし50重量%(例えば23%ないし47%又は25%ないし45%)を占めることができる。
【0036】
成分(iii):水
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は水を含む。水はイソシアナート反応性化合物と考えられ得るが、本開示の目的の場合、水は成分(ii)と異なる成分と考えられるべきである。言い換えると、本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は成分(ii)のみでなく水も同様に含む。
【0037】
いずれの型の精製水も成分(iii)として用いることができ、但しそれは不純物を除去するためにろ過又は処理されている。適した型の水には蒸留水及び以下の方法の1つ以上を介して精製された水が含まれる:容量性脱イオン化(capacitive deionization)、逆浸透圧法、活性炭ろ過(carbon filtering)、精密ろ過、限外ろ過、紫外線酸化及び/又は電気脱イオン化。
【0038】
成分(iii)は、組成物の合計重量に基づいてポリウレタン断熱フォーム組成物の0
.25重量%ないし2.5重量%(例えば0.4%ないし9%又は3%ないし8%)を占めることができる。
【0039】
成分(iv):第3級アミン化合物及び他の任意的な触媒
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は1種以上の第3級アミン化合物を含む。いくつかの態様において、第3級アミン化合物は式(I)の構造を有する。
式(I):
12N-CH2-CH2-X-CH2-CH2-Y
式中、
1及びR2は独立してC1-C4アルキル又はC2-C4アルカノールであり;
Xは酸素又はN-R3であり、ここでR3はC1-C4アルキル又はC2-C4アルカノール又はOHであり;そして
YはOH又はNR45であり、ここでR4及びR5は独立してC1-C4アルキル又はC2-C4アルカノールである。
【0040】
少なくとも1個の第3級基を含む適したアミン触媒化合物にはビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(例えばJEFFCAT(登録商標) ZF-20触媒、Evonik Industries AGから入手可能なDABCO BL-19及びNiax
A-99)、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル(例えばJEFFCAT(登録商標) ZF-10触媒)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N,N-ジイソプロパノールアミン(例えばJEFFCAT(登録商標) DPA触媒)、N,N-ジメチルエタノールアミン(例えばJEFFCAT(登録商標) DMEA触媒)、N,N-ジメチルエタノールアミンアニエチレンジアミンのブレンド(例えばJEFFCAT(登録商標) TD-20触媒)、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(例えばJEFFCAT(登録商標) DMCHA触媒)、N-メチルジシクロヘキシルアミン(例えばEvonik Industries AGから入手可能なPOLYCAT 12)、ベンジルジメチルアミン(例えばJEFFCAT(登録商標) BDMA触媒)、ペンタメチルジエチレントリアミン(例えばJEFFCAT(登録商標) PMDETA触媒)、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン(例えばJEFFCAT(登録商標) ZR-40触媒)、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン(例えばJEFFCAT(登録商標) ZR-50触媒)、N’-(3-ジメチルアミノ)プロピル-N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(例えばJEFFCAT(登録商標) Z-130触媒)、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール(例えばJEFFCAT(登録商標) ZR-70触媒)、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン(例えばJEFFCAT(登録商標) Z-110触媒、Evonik Industries AGから入手可能なDABCO T及びTosho Corporationから入手可能なTOYOCAT-RX5)、2-[N-(ジメチルアミノエトキシエチル)-N-メチルアミノ]エタノール(例えばEvonikから入手可能なDABCO NE200触媒)、N,N,N’-トリメチル-N’-3-アミノプロピル-ビス(アミノエチル)エーテル(例えばEvonikから入手可能なDABCO NE300触媒)、N,N,N’,N’,N”-ペンタメチル-ジエチレントリアミン(例えばKaolizer #3)、N,N,N’,N’-テトラメチレンジアミン(例えばTosho Corporationから入手可能なTOYOCAT-TE)、N-エチルモルホリン(例えばJEFFCAT(登録商標) NEM触媒)、N-メチルモルホリン(例えばJEFFCAT(登録商標) NMM触媒)、4-メトキシエチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン(例えばJEFFCAT(登録商標) DMP触媒)、2,2’ジモルホリノジエチルエーテル(例えばJEFFCAT(登録商標) DMDEE触媒)、1,3,5-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-ヘキサヒドロ-s-トリアジン(例えばJEFFCAT(登録商標) TR-90触媒)、1-プロパンアミン、3-(2-(ジメチル
アミノ)エトキシ)、置換イミダゾール(例えば1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール(例えばEvonik Industries AGから入手可能なDABCO 2040及びTosho Corporationから入手可能なTOYOCAT DM70)、1-メチル-2-ヒドロキシエチルイミダゾール(例えばN-(3-アミノプロピル)イミダゾール、1-n-ブチル-2-メチルイミダゾール、1-イソ-ブチル-2-メチルイミダゾール、N,N’-ジメチルピペラジン)、ビス-置換ピペラジン(例えばアミノエチルピペラジン、N,N’,N’-トリメチルアミノエチルピペラジン又はビス-(N-メチルピペラジン)ウレア)、N-メチルピロリジン及び置換メチルピロリジン(例えば2-アミノエチル-N-メチルピロリジン又はビス-(N-メチルピロリジン)エチルウレア)、3-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N,N”,N”-テトラメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン、1,2-ビス-ジイソプロパノール又はそれらの組み合わせが含まれる。アミン触媒の他の例にはN-アルキルモルホリン、N-ブチルモルホリン及びジモルホリノジエチルエーテル、N,N’-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-アミノ-2-プロパノール、ビス-(ジメチルアミノ)-2-プロパノール、ビス-(N,N-ジメチルアミノ)エチルエーテル;N,N,N’-トリメチル-N’ヒドロキシエチル-ビス-(アミノエチル)エーテル;N,N-ジメチルアミノエチル-N’-メチルアミノエタノール;テトラメチルイミノビスプロピルアミン;N,N-ジメチル-p-トルイジン;ジエチルトルエンジアミン(Ethacure 100);3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン(Ethacure 300)、ポリ(オキシプロピレン)トリアミン(JEFFAMINE(登録商標) T-5000)、反応性酸ブロック触媒(reactive acid blocked catalysts)(例えば1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7のフェノール性酸塩(POLYCAT SA-1)、JEFFCAT(登録商標) LED及びJEFFCAT(登録商標) ZF銘柄触媒)又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0041】
本明細書で開示されるポリウレタン組成物中で用いられる場合がある他のアミン触媒は、Herrington et al.による“Dow Polyurethanes Flexible Foams”(1997)中のAppendix DにおいてD.1-D.23頁に見いだされる場合があり、その記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。さらなる例は“JEFFCAT(登録商標) Amine Catalysts for the Polyurethane Industry”version
JCT-0910において見いだされる場合があり、その記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。
【0042】
成分(iv)を構成する第3級アミン化合物と組み合わせて非アミン触媒化合物を用いる場合がある。用いられ得る適した非アミン触媒化合物には有機金属化合物(例えばチタン、鉄、ニッケルのような遷移金属の有機塩)、ポスト遷移金属(post-transition metals)(例えば亜鉛、錫及びビスマス)、アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム及びカルシウム)又はそれらの組み合わせが含まれる。他の適した非アミン触媒化合物には塩化鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトネート、カルボン酸の亜鉛塩、2-エチルヘキサン酸亜鉛、塩化錫(II)、塩化錫(IV)、カルボン酸の錫塩、カルボン酸のジアルキル錫塩、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ジブチルスズジラウレート(例えばEvonik Industries AGから入手可能なDABCO T-12)、ジメチルスズジメルカプチド(例えばMomentive Performance Materials Inc.から入手可能なFOMREZ UL-22)、ビスマス(III)カルボキシレート塩(例えばビスマス(2-エチルヘキサノエート)、ビスマスネオデカノエート(例えばEvonik Industries AGから入手可能なDABCO MB-20)、ビスマスピバレート、ビスマスに基づく触媒(例えば米国特許第016/0
20888号明細書において同定されている化合物)、1,1’,1”,1”’-(1,2-エタンジイルジニトリロ)テトラキス[2-プロパノール]ネオデカノエート錯体(例えばSphepherd Chemicals Co.から入手可能なBICAT 8840)、2,2’,2”,2”’ -(1,2-エタンジイルジニトリロ)テトラキス[エタノール]ネオデカノエート錯体(例えばSphepherd Chemicals
Co.から入手可能なBICAT 8842)、K-KAT XC-C227ビスマス塩(King Industriesから入手可能)、酢酸ナトリウム、N-(2-ヒドロキシ-5-ノニルフェノール)メチル-N-メチルグリシン酸ナトリウム(JEFFCAT(登録商標) TR52)、ビスマス(2-エチルヘキサノエート)又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0043】
上記で挙げた触媒(すなわち成分(iv)及び/又は非アミン触媒化合物)と組み合わされて用いられる場合がある適した三量化触媒にはカルボン酸のカリウム塩(例えば酢酸カリウム、ピバル酸カリウム、カリウムオクトエート、トリエチル酢酸カリウム、ネオヘプタン酸カリウム、ネオオクタン酸カリウム)、第四級アンモニウムカルボキシレート(例えば2-エチルヘキサン酸(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム(“TMR”)、ギ酸(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム(“TMR-2”)、ピバル酸テトラメチルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラメチルアンモニウム、TOYOCAT TRX(Tosoh Corpから入手可能))或いはそれらの組み合わせが含まれる。
【0044】
成分(iv)は組成物の合計重量に基づいてポリウレタン断熱フォーム組成物の0.5重量%ないし4重量%(例えば0.7%ないし3.7%又は0.5%ないし3.5%)を占めることができる。他のアミン又は非アミン触媒と組み合わされて用いられる場合、そのような触媒(すなわち成分(iv)として用いられる化合物でない)は組成物の合計重量に基づいてポリウレタン断熱フォーム組成物の0重量%ないし4重量%(例えば0.2%ないし3.7%又は0.5%ないし3.5%)を占めることができる。
【0045】
触媒の量は、地理的及び季節的要件を含んで適用の反応性要件に依存するが、(1)式(I)の第3級アミン触媒対(2)少なくとも1個のアミン基を含むアミン触媒及び/又は非アミン触媒の重量比は少なくとも1:5(例えば少なくとも1:2、少なくとも1:1、少なくとも2:1又は少なくとも5:1)である。
【0046】
成分(v):親水性カルボン酸化合物
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は式(II)の構造を含む1種以上の親水性カルボン酸化合物を含む。
式(II):
(HO)n-R’-(COOH)m
式中、
R’は二価のC1-C10脂肪族炭化水素部分であり、n及びmは両方とも整数であり、且つここでn0及びm1である。
【0047】
二価のC1-C10脂肪族炭化水素部分は、1ないし10個の炭素原子を含む直鎖状/分枝鎖状脂肪族部分を含むことができる。そのようなC1-C10脂肪族炭化水素部分の適した例にはメチレン、エチレン、n-プロピレン、イソ-プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、n-アミレン、n-デシレン、2-エチルヘキシレン又はそれらの組み合わせが含まれる。前記のC1-C10脂肪族炭化水素部分は2つの利用可能な置換部位を含むが、炭化水素上の追加の水素がさらなるヒドロキシル及び/又はカルボキシル基で置き換えられ得ることが意図されている。
【0048】
成分(v)として用いられ得る適した化合物にはモノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸のような)、ヒドロキシカルボン酸(グリコール酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸のような)、ジカルボン酸(マロン酸、グルタル酸、マレイン酸のような)及びヒドロキシポリカルボン酸(クエン酸のような)、AGS酸又はそれらの組み合わせが含まれる。AGS酸は、アジピン酸製造法におけるシクロヘキサノール及び/又はシクヘキサノンの酸化の副生成物として得られるジカルボン酸(すなわちアジピン酸、グルタル酸及びコハク酸)の混合物である。成分(v)として用いられる場合がある適したAGS酸にはRHODIACID AGS(Solvay S.A.から入手可能)、DIBASIC
ACID(Invista S.a.r.l.から入手可能)、“FLEXATRAC-AGS-200(Ascend Performance Materials LLCから入手可能)及びGlutaric acid、工業銘柄(AGS)(Lanxess A.G.から入手可能)が含まれる。
【0049】
本明細書で用いられる場合、カルボン酸は25℃において100グラムの水当たり25グラム以上(例えば40グラム以上又は60グラム以上)のカルボン酸が溶解可能である場合に親水性とみなされる。
【0050】
ギ酸、酢酸及び乳酸は好ましい親水性カルボン酸である。ギ酸及び酢酸は最も好ましい親水性カルボン酸である。
【0051】
成分(v)は組成物の合計重量に基づいてポリウレタン断熱フォーム組成物の0.1重量%ないし4重量%(例えば0.15%ないし3.5%又は0.2%ないし3%)を占めることができる。
【0052】
成分(vi):ハロゲン化オレフィン化合物
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は1種以上のハロゲン化オレフィン(“HFOs”)化合物を含み、それはポリウレタンフォーム組成物のための発泡剤として働く。
【0053】
成分(vi)として用いられるハロゲン化オレフィン化合物は3から4個までの炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む少なくとも1種のハロアルケン(例えばフルオロアルケン又はクロロフルオロアルケン)を含む。成分(vi)として用いられる場合がある適した化合物にはトリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン(例えばテトラフルオロプロペン(1234))、ペンタフルオロプロペン(例えばペンタフルオロプロペン(1225))、クロロトリフルオロプロペン(例えばクロロトリフルオロプロペン(1233))、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン、ヘキサフルオロブテン(例えばヘキサフルオロブテン(1336))又はそれらの組み合わせのようなヒドロハロオレフィンが含まれる。ある態様において、成分(vi)として用いられるテトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン及び/又はクロロトリフルオロプロペン化合物は、不飽和炭素鎖の末端炭素原子に結合するフッ素又は塩素置換基を1個より多く持たない(例えば1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze);1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(1225ye)、1,1,1-トリフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(1225zc)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(1225yc)、(Z)-1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(1225yez)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテ-2-エン(1336mzzm)又はそれらの組み合わせ)。
【0054】
上記のHFOsと組み合わされて用いられる場合がある他の発泡剤には空気、窒素、二
酸化炭素、ヒドロフルオロカーボン(“HFCs”)、アルカン、アルケン、モノカルボン酸塩、ケトン、エーテル又はそれらの組み合わせが含まれる。適したHFCsには1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)又はそれらの組み合わせが含まれる。適したアルカン及びアルケンにはn-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、1-ペンテン又はそれらの組み合わせが含まれる。適したモノカルボン酸塩にはギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル又はそれらの組み合わせが含まれる。適したケトン及びエーテルにはアセトン、ジメチルエーテル又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0055】
成分(vi)は、組成物の合計重量に基づいてポリウレタン断熱フォーム組成物の2重量%ないし10重量%(例えば2.5%ないし9%又は3%ないし8%)を占めることができる。
【0056】
成分(vii):安定化化合物
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は、ポリウレタンフォーム組成物の全体的な安定化を助ける1種以上の安定化化合物を含む。例えば成分(vii)は、成分(v)として求電子性二重結合を有する化合物(例えばHFO-1233zd)を用いるポリウレタンフォーム組成物の安定化を助ける。成分(vii)なしの場合、HFO-1233zdが成分(iv)中で用いられる設計により求核性である第3級アミン化合物と相互作用する可能性がある。これらの意図されない相互作用は組成物中における望ましくない化合物の生成に導き得、それにより組成物を不安定にする。成分(vii)はそのようなHFO-1233zdとの相互作用を遮蔽するか又は妨げるのを助け、それによりポリウレタン断熱フォーム組成物の全体的な安定性を強化する。いくつかの場合、成分(vii)は成分(iv)の周りに保護的水和層を形成し、それが化合物をHFO-1233zdから遮蔽すると思われる。
【0057】
成分(vii)として用いられ得る適した化合物には4個以上のヒドロキシル基を有する非アルコキシル化ポリヒドロキシ化合物が含まれる。そのような化合物の例はエリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシロース、グルコース、フルクトース、スクロース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、コーンシロップ、アミロペクチン又はそれらの組み合わせを含む糖及び糖アルコールである。
【0058】
ある態様において、成分(vii)はポリウレタンフォーム組成物の100グラム当たり10マイクロモル未満(例えば5マイクロモル未満、2マイクロモル未満)で存在する。さらに別の態様において、親水性カルボン酸化合物(すなわち成分(v))は第3級アミン化合物(すなわち成分(iv))中の第3級アミンの当量当たり0.2から4当量まで(例えば0.25ないし2、0.3ないし1.5又は0.3ないし1当量)のカルボキシル基の範囲の量でポリウレタン断熱フォーム組成物中に存在し、一方、成分(vii)は成分(v)のモル当たり0.8モル未満(例えば0.6モル未満、0.5モル未満又は0.4モル未満)の量で存在する。
【0059】
成分(viii):他の助剤及び添加剤
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物は、イソシアナートに基づく断熱フォーム技術の分野で既知の種々の助剤及び添加剤を含むことができる。適した添加剤には界面活性剤、難燃剤、煙抑制剤、架橋剤、粘度低下剤、赤外線抑制剤(infra-red pacifiers)、気泡寸法縮小化合物(cell-size reducing compounds)、顔料、充填剤、強化剤、離型剤、酸化防止剤、染料、顔
料、帯電防止剤、殺生物剤又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0060】
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物中で用いられる場合がある適した難燃剤の例には有機-リン化合物(例えば有機ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、ポリホスフェート、ポリホスファイト、ポリホスホネート)、アンモニウムポリホスフェート(例えばトリエチルホスフェート、ジエチルエチルホスホネート及びトリス(2-クロロプロピル)-ホスフェート);ならびにハロゲン化難燃剤(例えばテトラブロモフタレートエステル及び塩素化パラフィン)が含まれる。
【0061】
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物中で用いられる場合がある他の適した助剤及び添加剤の例にはトリエタノールアミン及びグリセロール架橋剤;プロピレンカーボネート及び1-メチル-2-ピロリジノン粘度低下剤;カーボンブラック、二酸化チタン及び金属フレーク赤外線抑制剤;不活性、不溶性フッ素化化合物及び過フッ素化気泡寸法縮小化合物;炭酸カルシウム充填剤;ガラス繊維及び/又は磨砕された廃フォーム(ground up foam waste)強化剤;ステアリン酸亜鉛離型剤;ブチル化ヒドロキシトルエン酸化防止剤;アゾ/ジアゾ染料及びフタロシアニン顔料が含まれる。
【0062】
ある態様において、本開示のフォーム組成物中で用いられる界面活性剤は1種以上のシリコーンに基づく又は非シリコーンに基づく界面活性剤を含むことができる。これらの界面活性剤は典型的に、フォーム組成物が反応してポリウレタンフォーム製品が製造される時に生成する気泡の寸法を制御し、それによりフォーム製品の内部気泡構造を制御することを可能にするために用いられる。ある態様において、小さい寸法の気泡(例えば<300μm)の均一な組を含むフォームが望ましく、それはフォームが非常に優れた物理的性質(例えば圧縮強度及び熱伝導性)を示すからである。さらに、前記の界面活性剤は内部気泡の安定化も助け、それにより組成物が反応してポリウレタンフォーム製品が製造される時に気泡が崩壊しないことを保証するであろう。
【0063】
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物中で用いられ得る適したシリコーン界面活性剤には、ポリオルガノシロキサンポリエーテルコポリマー及びポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマー(例えばMomentiveのL-5345、L-5440、L-6100、L-6642、L-6900、L-6942、L-6884、L-6972及びEvonik Industries AGのDC-193、DC5357、Si3102、Si3103、Tegostab B8490;B8496、B8536;B84205;B84210;B84501;B84701、B84715)が含まれる。やはり用いられ得る他のシリコーン界面活性剤は米国特許第8,906,974号明細書及び米国特許公開第US2016/0311961号明細書(U.S.Patent Publication No.US2016/0311961)に開示されている。
【0064】
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物中で用いられ得る非シリコーン界面活性剤には非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、半極性、双性イオン性有機界面活性剤が含まれる。適した非イオン性界面活性剤にはフェノールアルコキシレート及びアルキルフェノールアルコキシレート(例えばそれぞれエトキシル化フェノール及びエトキシル化ノニルフェノール)が含まれる。他の有用な非シリコーン非イオン性界面活性剤にはLK-443(Evonik Industries AGから入手可能)及びVORASURF 504(Dow Chemicalsから入手可能)が含まれる。
【0065】
成分(viii)は組成物の合計重量に基づいてポリウレタン断熱フォーム組成物の0.5重量%ないし10重量%(例えば0.8%ないし9%又は1%ないし8%)を占める
ことができる。
【0066】
いくつかの態様において、ポリウレタン断熱フォーム組成物はグアニジン化合物を含まない。
【0067】
加工
ポリウレタン断熱フォーム製品(例えば独立気泡ポリウレタン断熱フォーム製品)は一成分、二成分又は多成分(すなわち二成分より多い)系を介して本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物から製造される場合がある。本明細書で用いられる場合、ポリウレタンフォーム製品は、そのようなフォームの独立気泡含有率がASTM D6226-15により測定される場合に70%より高い(例えば80%又は85%)と「独立気泡」フォームであるとみなされる。さらに、ある態様において、本開示のポリウレタン断熱フォーム製品はASTM C518-17により測定される場合に75oFの平均プレート温度において0.10から0.16Btu-in/hr.ft2oFまで(例えば0.11ないし0.15Btu-in/hr.ft2oF又は0.12ないし0.14Btu-in/hr.ft2oF)の範囲の熱伝導率値(K-値)を示す。二成分系において、典型的に液体状態にあるポリウレタン断熱フォーム組成物のB-側を組成物のA-側と混合し、それにより反応系の重合を活性化する。当業者により理解されるであろう通り、本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物の成分(i)は二成分系のA-側中にあり、一方、成分(ii)はB-側中にあるであろう。しかしながら、成分(iv)、(v)、(vi)、(vii)及び(viii)はA-側及びB-側の一方又は両方に加えられ得ることが注目される。言い換えると、成分(iv)-(viii)を、単にこれらの化合物と成分(i)及び(ii)の化学的及び物理的適合性に基づいて、成分(i)及び(ii)の一方又は両方と合わせることができる。
【0068】
本明細書で開示されるポリウレタン断熱フォーム組成物と関連して用いられる成分の数にかかわらず、相対的な割合の成分を重量により又は容積により計量し、ポリウレタン断熱フォーム組成物中に存在する合計イソシアナート及びイソシアナート反応性化合物に基づいて0.9から5まで(例えば0.95ないし4又は1ないし3.5)の範囲の遊離のイソシアナート基対イソシアナート反応性基の合計の比を与える場合がある。
【0069】
ある態様において、衝突混合法のような混合法と一緒にポリウレタン断熱フォーム組成物及びワンショット(one-shot)、プレポリマー又は半プレポリマー法を用いてポリウレタンフォーム製品を製造する場合がある。他の態様において、混合後にポリウレタン断熱フォーム組成物(まだ実質的に液体状態にある)を空洞中に分配するか(空洞充填)、成形するか、開放注入するか(open poured)(例えばスラブストックの製造方法)、噴霧するか、発泡させるか(frothed)又は紙、金属、プラスチック又は木板のような面材(facing materials)と積層する場合がある。そのようなフォーム製品は家、屋根ふき材、建築物、冷蔵庫、冷凍庫、電化製品、配管及び自動車のようないずれの断熱表面又は包囲空間(enclosures)においても有用である。
【0070】
本明細書に記載される組成物を用いるポリウレタンフォームの製造は当該技術分野において周知の方法のいずれかに従う場合があり、用いられ得る(例えばSaunders and Frisch,Volumes I and II Polyurethanes Chemistry and technology,1962,John Wiley and Sons,New York,N.Y.;又はOertel,Polyurethane Handbook 1985,Hanser Publisher,New York;又はRandall and Lee,The Polyurethanes Book 2002を参照されたい)。
【0071】
ポリイソシアヌレートフォーム製品
本開示はポリウレタン断熱フォーム組成物及び得られるポリウレタンフォーム製品(例えば硬質、独立気泡ポリウレタン断熱フォーム製品)に焦点を当ててきたが、単に明細書に開示される反応系に1種以上の三量化触媒を加えることにより、前記組成物をポリイソシアヌレートフォーム製品(例えば硬質、独立気泡ポリイソシアヌレートフォーム製品)の製造に用いることもできる。成分(i)-(viii)に加えられる場合がある適したイソシアナート三量化触媒には上記で挙げたものが含まれる。従っていくつかの態様において、ポリウレタン断熱フォーム組成物はポリイソシアヌレート断熱フォーム組成物である。ポリイソシアヌレート断熱フォーム組成物はポリイソシアヌレート及びポリウレタン反応生成物の両方を含むポリイソシアヌレートフォーム製品を生成するであろうことが注目される。
【0072】
ある態様において、ポリイソシアヌレート断熱フォーム組成物の形成に用いられる成分の相対的な割合を重量により又は容積により計量し、ポリウレタン断熱フォーム組成物中に存在する合計イソシアナート及びイソシアナート反応性化合物に基づいて2から5まで(例えば2.25ないし4)の範囲からの範囲の遊離のイソシアナート基対イソシアナート反応性基の合計の比を与える場合がある。
【0073】
変更(modification)
開示の特定の態様を詳細に記載してきたが、開示の記述全体を見てそれらの詳細への種々の改変及び代案(alternatives)を開発し得ることが当業者により認識されるであろう。従って開示されている特定の配置は例のみであり、開示の範囲に関する制限ではないことを意味しており、開示の範囲には添付の請求項及びそのすべての同等事項の全範囲が与えられるべきである。従って上記で挙げた特徴及び/又は要素のいずれもいずれの組み合わせにおいても互いに組み合される場合があり、それでもまだ本開示の範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
実施例
成分:
実施例において以下の化合物に言及する:
【0075】
ポリオール1:スクロースとジエチレングリコールの混合物のプロポキシル化により製造される360mgKOH/gのOH価を有するポリエーテルポリオール。
【0076】
ポリオール2:ポリメチレンポリフェニレンポリアミンとジエチレングリコールの混合物のプロポキシル化により製造され、291mgKOH/gのOH価を与えるように粘度低下剤とブレンドされたポリエーテルポリオール。
【0077】
ポリオール3:グリセロールのプロポキシル化により製造され、650mgKOH/gのOH価を有するポリエーテルポリオール。
【0078】
ポリオール4:ポリメチレンポリフェニレンポリアミンとジエチレングリコールの混合物のプロポキシル化により製造され、のOH価を有するポリエーテルポリオール。
【0079】
ポリオール5:ポリメチレンポリフェニレンポリアミンとジエチレングリコールの混合物のプロポキシル化により製造され、437mgKOH/gのOH価を与えるように粘度低下剤とブレンドされたポリエーテルポリオール。
【0080】
スクロース:Research Products Internationalから入手可能。
【0081】
DABCO(登録商標) 2040:Evonik Industries AGから入手可能な硬質ポリウレタンフォームにおける硬化及び接着を強化するために用いられる低臭アミン触媒。
【0082】
JEFFCAT(登録商標) ZF-20:Huntsman Petrochemical LLCから入手可能なビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル触媒。
【0083】
POLYCAT(登録商標) 203:Evonik Nutrition & Care GmbHから入手可能なアミンに基づく触媒。
【0084】
JEFFCAT(登録商標) DMCHA:Huntsman Petrochemical LLCから入手可能なN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン触媒。
【0085】
JEFFCAT(登録商標) PMDETA:Huntsman Petrochemical LLCから入手可能なペンタメチルジエチレントリアミン触媒。
【0086】
JEFFCAT(登録商標) ZF-10:Huntsman Petrochemical LLCから入手可能なN,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル触媒。
【0087】
JEFFCAT(登録商標) Z-110:Huntsman Petrochemical LLCから入手可能なN,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン触媒。
【0088】
JEFFCAT(登録商標) DMEA:Huntsman Petrochemical LLCから入手可能なN,N-ジメチルエタノールアミン触媒。
【0089】
JEFFCAT(登録商標) ZR-70:Huntsman Petrochemicalから入手可能な2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール触媒。
【0090】
ギ酸:Aldrich Chemicalから入手可能。
【0091】
D-ソルビトール:Research Products Internationalから入手可能。
【0092】
TEGOSTAB(登録商標) EP-A-69:Evonik Industries
AGから入手可能な加水分解-抵抗性シリコーン界面活性剤。
【0093】
TEGOSTAB(登録商標) B8491:Evonik Industries AGから入手可能な加水分解-抵抗性シリコーン界面活性剤。
【0094】
HFO-1233zd(E):Honeywell International Inc.からSolstice(登録商標) LBAとして入手可能な1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン。
【0095】
RUBINATE M:Huntsman Petrochemical LLCから入手可能な30.5%のNCO値を有する高分子MDI。
【0096】
フォーム反応性試験の記述
組成物(例えば表1に記載される組成物)のREACTIVE SHIFT(すなわち式Xにより計算されるCT REACTIVE SHIFT、式Yにより計算されるTFT REACTIVE SHIFT及び式Zにより計算されるEOR REACTIVE
SHIFT)をFOAM REACTIVITY TESTを介して集められる種々のデータ点を使用して計算した。FOAM REACTIVITY TESTは以下の段階を含む:(i)A-及びB-側を冷却サーモスタット(例えばLAUDA Alpha RA 24 Cooling thermostat)中に置くことにより、組成物のA-側(ポリオールプレミックス)及びB-側(イソシアナート)を15℃に平衡化し;(ii)平衡化したA-側及びB-側の内容物を32オンスのワックス処理されていない紙のカップ(例えばSolo H4325-2050)中に注ぎ、それにより2つの成分を合わせ;(ii)合わされた成分を機械撹拌機(例えばCaframo BDC3030撹拌機)を用いて2500rpmで4秒間混合し;(iii)組成物の成分を反応させ、それによりポリウレタンフォーム製品を製造し;そして(iv)ポリウレタンフォーム製品の製造の間に組成物のCT、TFT及び/又はEOR(それぞれ下記で定義される)の1つ以上を測定する。
【0097】
本開示の目的のために、以下の用語を以下の通りに定義する:
【0098】
クリーム時間(cream time)(“CT”)は、組成物のイソシアナート成分が組成物のイソシアナート反応性成分と混合される瞬間と組成物中におけるきめの細かい泡又はクリームの生成の間の経過時間を意味する。
【0099】
不粘着時間(“TFT”)は、組成物のイソシアナート成分が組成物のイソシアナート反応性成分と混合される瞬間とフォームの外皮がその粘着性又は接着特性を失う時点の間の経過時間を意味する。実験的に、そのような粘着性の喪失は、6インチの木製舌圧子(例えばPuritan 705)を反応混合物の表面と接触させ、それを表面から取り除く時に粘着性でないように見える時である。
【0100】
膨張終了時間(“EOR”)は、組成物のイソシアナート成分が組成物のイソシアナート反応性成分と混合される瞬間とフォームの膨張が完了する時点の間の経過時間を意味する。
【0101】
REACTIVE SHIFTの計算
式Xを用いて組成物のCT REACTIVE SHIFTを計算した:
式X
CT REACTIVE SHIFT=100*[(CT79-CT0)/CT0
式中、
CT79は、オーブン(例えばVWR 1370GMオーブン)中に置かれた密閉、圧力定格化(pressure-rated)ガラス容器(例えばACE GLASS Pressure Bottle(#8648-251))中で40℃において組成物のB-側を79日間エージングした後にFOAM REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のCTを意味する。
CT0は、オーブン(例えばVWR 1370GMオーブン)中に置かれた密閉、圧力定格化ガラス容器(例えばACE GLASS Pressure Bottle(#8648-251))中で40℃において組成物のB-側を0日間エージングした後にFOAM REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のCTを意味する。
【0102】
式Yを用いて組成物のTFT REACTIVE SHIFTを計算した:
式Y
TFT REACTIVE SHIFT=100*[(TFT79-TFT0)/TFT0
式中、
TFT79は、オーブン(例えばVWR 1370GMオーブン)中に置かれた密閉、圧力定格化ガラス容器(例えばACE GLASS Pressure Bottle(#8648-251))中で40℃において組成物のB-側を79日間エージングした後にFOAM REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のTFTを意味する。
TFT0は、オーブン(例えばVWR 1370GMオーブン)中に置かれた密閉、圧力定格化ガラス容器(例えばACE GLASS Pressure Bottle(#8648-251))中で40℃において組成物のB-側を0日間エージングした後にFOAM REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のTFTを意味する。
【0103】
式Zを用いて組成物のEOR REACTIVE SHIFTを計算した:
式Z
EOR REACTIVE SHIFT=100*[(EOR79-EOR0)/EOR0
式中、
EOR79は、オーブン(例えばVWR 1370GMオーブン)中に置かれた密閉、圧力定格化ガラス容器(例えばACE GLASS Pressure Bottle(#8648-251))中で40℃において組成物のB-側を79日間エージングした後にFOAM REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のEORを意味する。
EOR0は、オーブン(例えばVWR 1370GMオーブン)中に置かれた密閉、圧力定格化ガラス容器(例えばACE GLASS Pressure Bottle(#8648-251))中で40℃において組成物のB-側を0日間エージングした後にFOAM REACTIVITY TESTを用いて決定される組成物のEORを意味する。
【0104】
いくつかの態様において、上記の組成物のB-側のエージングに用いられる温度は30℃から40℃まで(例えば30℃ないし55℃)の範囲であり得ることに注目しなければならない。
【0105】
表1:
表1は、ポリウレタンフォーム製品の製造に用いられる4つのポリウレタン組成物に関する種々のデータ点を示す。各組成物のためのB-側はACE GLASS Pressure Bottle(#8648-251)中で、且つVWR 1370GMオーブン中に置かれて40℃で、表1に挙げられる合計日数に及んでエージングされた。特定の日に到達した時(例えば22日、57日又は79日に)、B-側をオーブンから取り出し、15℃における水浴中に置いた。ポリオールプレミックスが浴温度に達したら、ポリオールプレミックスの視覚検査を行い、それが透明か又は曇っているか及び容器の底に沈殿(本明細書に開示される表中で「ppt」と省略される)が見られ得るかどうかを評価した。視覚検査の後、FOAM REACTIVITY TEST(上記)の段階を用いてフォーム製品を製造し、FOAM REACTIVE TESTの間に測定されるデータ点を用いて組成物のREACTIVE SHIFT(すなわち式Xにより計算されるCT REACTIVE SHIFT、式Yにより計算されるTFT REACTIVE SHIFT及び式Zにより計算されるEOR REACTIVE SHIFT)を計算した。
【0106】
表中に示されるそれぞれの日(例えば0日、22日、57日又は79日)に関してフォーム製品を製造したことに注目しなければならない。
【表1-1】
【表1-2】
【0107】
フォームA及びBのための組成物(すべて本開示のある態様を示す)から製造されるフォーム製品が優れた内部の様子(internal excellent appearance)(例えば均一な内部気泡寸法及び内部ボイドがないこと)を有し、気泡崩壊の形跡がない微細な内部気泡を有することにも注目しなければならない。言い換えると、用いられるポリオールプレミックスが新しいか又はエージングを経ているかにかかわらず、本明細書に開示される組成物を用いて優れた質のフォーム製品が製造された。
【0108】
表2:
表2はポリウレタンフォーム製品の製造に用いられる3つのポリウレタン組成物に関する種々のデータ点を示す。B-側をオーブンから取り出して水浴中に置く正確な日が11日、14日、49日又は79日であることを除いて、これらのポリウレタン組成物に関し、表1に挙げたポリウレタン組成物と関連して用いられた製造法に従った。これらのポリウレタン組成物は本開示の1つ以上の態様を用いなかったことが注目される。さらに特定的に、調製物「C」は成分(vii)(すなわち安定化化合物)を用いず;調製物「E」は成分(v)(すなわち親水性カルボン酸化合物)を用いず;そして調製物「D」は成分(vii)と成分(v)のいずれも用いなかった。
【表2-1】
【表2-2】
【0109】
新しい(すなわち0日又はエージングされない)ポリオールプレミックスが用いられた場合、調製物C、D及びEから製造されるポリウレタンフォーム製品は均一な小さい気泡構造を有し、ボイドがなかった。エージング時間が増加するとともにフォームCの反応性は失われた(40℃における79日間の事前ブレンド(pre-blend)エージング後のそれぞれ30、13、5のそれぞれCT、GT及びTFTシフトを参照されたい)。
【0110】
調製物D及びEに関し、反応性の損失は11日間の事前ブレンドエージング時間の直後に非常に大きかった。事前ブレンドエージングのちょうど11日後、調製物D及びEから製造されたフォーム製品は非常に劣った様子(例えば粗い内部気泡、多くの内部ボイド及び気泡崩壊の形跡)を有した。言い換えると、事前ブレンドエージング時間がわずか11日であってさえ、調製物D及びEから劣った質のフォーム製品が製造された。これらの結果の故に、調製物D及びEのエージングは11日後に中止されたが、反応性の損失が継続したと仮定することは合理的である(CT、GT及びTFT反応性シフトがフォームDに関してそれぞれ40、50、84より、そしてフォームEに関してそれぞれ30、27,33より有意に高かったことを見てほしい)。
【0111】
表2は、本開示の1つ以上の態様を用いなかったフォーム組成物が事前ブレンドをエージングすると反応性における有意な損失を示し、いくつかの場合にはフォームが崩壊することを示している。
【0112】
表3:
表3は本開示の記載によってポリウレタンフォーム製品を製造するために用いられる5つのポリウレタン組成物に関する種々のデータ点を示す。
【表3-1】
【表3-2】
【0113】
調製物F、G、H、I及びJに関する反応性シフトは低く、用いられたポリオールプレミックスのエージング(age)にかかわらず優れた質のフォーム製品が製造された。フォームは優れた内部の様子(例えば均一な内部気泡寸法及び内部ボイドがないこと)を有し、均一な気泡寸法を持ち、ボイドがなかった。
【0114】
表4:
表4は、本開示の態様に従うポリウレタンフォーム製品の製造のために用いられる2つの追加のポリウレタン組成物に関する種々のデータ点を示す。
【表4-1】
【表4-2】
【0115】
調製物フォームK及びIは用いられたポリオールプレミックスが新しいか又はエージングを経たかにかかわらず、優れた質のフォームを作った。フォームは均一な気泡寸法を持ち、ボイドがなく、優れた内部の様子を有した。