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特許7502306ディスペンサにおけるIR非接触温度検知
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ディスペンサにおけるIR非接触温度検知
(51)【国際特許分類】
   B05C 9/14 20060101AFI20240611BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240611BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240611BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20240611BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240611BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240611BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240611BHJP
   G01J 5/00 20220101ALI20240611BHJP
   B23K 3/06 20060101ALN20240611BHJP
   B23K 3/04 20060101ALN20240611BHJP
【FI】
B05C9/14
B05C11/00
B05C5/00 101
B05C13/02
B05D1/26 Z
B05D3/00 C
B05D3/00 D
B05D7/00 H
G01J5/00 101D
B23K3/06 E
B23K3/04 Y
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021540843
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 US2019066536
(87)【国際公開番号】W WO2020149970
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】16/357,854
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/792,087
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シー.プレンティス
(72)【発明者】
【氏名】スコット エー.リード
(72)【発明者】
【氏名】パッツィー エー.マテロ
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド ジェイ.アギアール
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-513607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0137078(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0011951(US,A1)
【文献】特開2018-001157(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03267147(EP,A1)
【文献】特開2017-053581(JP,A)
【文献】特開昭60-143867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B05D 1/00-7/26
G01J 5/00
B23K 3/04-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注システムであって、
フレームと、
前記フレームに結合された分注ステーションであって、
X軸方向及びY軸方向に移動するように構成された分注ユニットガントリーと、
前記分注ユニットガントリーに結合され、キャリッジによってZ軸方向に移動するように構成された少なくとも1つの分注ユニットであって、基板支持体上に位置決めされた電子基板上に材料を分注するように構成された、少なくとも1つの分注ユニットと、
を有する分注ステーションと、
前記分注ステーション上の前記電子基板の上方に位置決めされ、前記キャリッジ上に前記電子基板に向けて、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動するように取り付けられた赤外線温度センサである、第1の非接触センサと、
前記分注ステーションの上流に位置決めされた予備加熱ステーション上の前記電子基板の上方に、第1の調整可能機構によってX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動するように取り付けられ、前記電子基板を前記分注ステーションに移動させる前に前記電子基板が適切な温度であることを確認する赤外線温度センサである、第2の非接触センサと、
を備える、分注システム。
【請求項2】
前記分注ステーションの下流に位置決めされた後加熱ステーション上の前記電子基板の上方に、第2の調整可能機構によってX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動するように取り付けられ、前記電子基板が前記後加熱ステーションにおいて適切な温度であることを確認する赤外線温度センサである、第3の非接触センサを更に備える、請求項に記載の分注システム。
【請求項3】
前記電子基板を前記分注システムを通して移動させるように構成されたコンベヤを更に備える、請求項1に記載の分注システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2019年1月14日に出願された、「IR Non-Contact Temperature Sensing in a Dispenser」という名称の米国仮特許出願第62/792,087号に対する、米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張するものであり、この出願は引用することによりその全体が本明細書の一部をなし、また、本願は、2017年12月5日に出願された、「Material Temperature Sensor for Stencil Printer」という名称の米国特許出願第15/831,800号の優先権を主張し、この出願は引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、材料を分注する装置及びプロセスに関し、より詳細には、ディスペンサ内のはんだペーストを分注する装置及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
多様な用途に向けて、正確な量の液体又はペーストを分注するのに用いられる、いくつかのタイプの分注システムが存在する。そのような用途の1つは、集積回路チップ及び他の電子構成要素を、回路基板に組み付けることである。本願では、液体エポキシ樹脂、若しくははんだペースト、又は何らかの他の関連材料のドットを回路基板上に分注するのに、自動分注システムが使用される。自動分注システムは、構成要素を回路基板に機械的に固定するのに用いられ得るアンダーフィル材料及び封入材の線を分注するのにも使用される。上述した例示的な分注システムとしては、CAMALOT(商標)という商標名でイリノイ州グレンビュー所在のITW EAE社によって製造及び流通されているものが挙げられる。
【0004】
一般的な分注システムでは、ポンプ及び/又はディスペンサの組立体が移動組立体又はガントリーに取り付けられ、移動組立体又はガントリーは、コンピューターシステム又はコントローラによって制御されるサーボモーターを用いて、ポンプ及びディスペンサの組立体を3つの相互に直交する軸(X軸、Y軸、Z軸)に沿って移動させる。液体のドットを回路基板又は他の基板の所望の場所に分注するには、ポンプ及びディスペンサの組立体を、同一平面上の水平方向のX軸及びY軸に沿って、所望の場所の上方に位置付けられるまで移動させる。1つの実施形態では、その後、ポンプ及び/又はディスペンサの組立体は、このポンプ及びディスペンサの組立体のノズル/ニードルが電子基板上方の適切な分注高さに置かれるまで、垂直方向に向いた鉛直のZ軸に沿って下げられる。ポンプ及び/又はディスペンサの組立体は、液体のドットを分注し、その後、Z軸方向に沿って上げられ、新しい場所に向けてX軸方向及びY軸方向に沿って移動され、Z軸方向に沿って下げられて、次の液体ドットを分注する。別の実施形態において、材料は、ポンプ及びディスペンサの組立体のノズル/ニードルを上げ下げすることなく、ポンプ及びディスペンサの組立体から噴射される。上述した封止又はアンダーフィル等の用途の場合、ポンプ及びディスペンサの組立体は、典型的には、ポンプ及びディスペンサの組立体が材料の線の所望の経路に沿ってX軸及びY軸方向において移動されるにつれてその線を分注するように制御される。
【0005】
ステンシルプリンター内のはんだペーストの供給カートリッジの温度をモニタリングするためにIR温度センサを使用することが既知であり、プリント堆積を進めるためにペーストが適切な温度に達したことを確実にする必要性によって動機付けられる。同様に、分注システムのポンプ及びディスペンサの組立体における材料温度検知の適用が既知であり、適切な適用温度より低い温度で格納された材料が、堆積のための適切な温度まで実際に温まったことを確実にする必要性によって動機付けられる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つの態様は、電子基板を収納するように構成される任意選択の予備加熱ステーションと、任意選択の予備加熱ステーションから受け取られた電子基板上に材料を分注するように構成される分注ステーションと、分注ステーションから電子基板を収納するように構成される任意選択の後加熱ステーションと、任意選択の予備加熱ステーション、分注ステーション、及び任意選択の後加熱ステーションのうちの少なくとも1つの上で電子基板の上方に位置決めされた非接触センサとを備える、分注システムに関する。
【0007】
分注システムの実施の形態は、電子基板を分注ステーションに移動させる前に、電子基板が適切な温度であることを確実にするために、任意選択の予備加熱ステーション上で電子基板の上方に位置決めされる非接触センサを更に含むことができる。非接触センサは、温度測定のターゲットに向かって、及びターゲットから離れて移動する調整可能機構上に取り付けることができる。非接触センサは、電子基板が分注ステーションにおいて適切な温度であることを確実にするために、分注ステーションの上方に位置決めすることができる。非接触センサは、分注ステーションに関連する調整可能機構上に取り付けることができる。非接触センサは、電子基板が任意選択の後加熱ステーションにおいて適切な温度であることを確実にするために、任意選択の後加熱ステーション上で電子基板の上方に位置決めすることができる。非接触センサは、温度測定のターゲットに向かって、及びターゲットから離れて移動する調整可能機構上に取り付けることができる。非接触センサは赤外線温度センサとすることができる。
【0008】
本開示の別の態様は、電子基板上に粘性組立体材料を分注するように構成される分注システムに関する。1つの実施の形態において、分注システムは、分注システムを通して複数の電子基板を移動させるように構成されるコンベヤと、1つの電子基板上に粘性組立体材料を分注するように構成される分注ユニットを含む分注ステーションと、分注ユニットに結合されたセンサであって、電子基板の温度を測定するように構成される、センサとを備える。
【0009】
分注システムの実施の形態は、非接触センサであるセンサを更に含むことができる。非接触センサは赤外線センサとすることができる。非接触センサは、調整可能ブラケットによって分注ユニットに固定することができる。調整可能ブラケットは、非接触センサを、電子基板の配向に対して或る角度で配向させるように構成することができる。
【0010】
本開示の更に別の態様は、電子基板上に組立体材料をプリントする方法に関する。1つの実施の形態において、方法は、電子基板を分注システムに送出することと、電子基板をプリント位置に位置決めすることと、粘性組立体材料を電子基板上に分注することと、電子基板の温度を測定することとを含む。
【0011】
方法の実施の形態は、温度調節システムの一部として電子基板の温度フィードバックを提供することを更に含むことができる。温度フィードバックを提供することは、電子基板が所望のターゲット温度に達すると、温度制御システムが電子基板に対する加熱をオフし、温度が下限温度を下回ると、温度制御システムが加熱をオンすることを含むことができる。電子基板の温度を測定することはセンサによって達成することができる。センサは非接触センサとすることができる。非接触センサは赤外線センサとすることができる。方法は、調整可能ブラケットによって電子基板に対して非接触センサを位置決めすることを更に含むことができる。
【0012】
少なくとも1つの実施形態の様々な態様が、添付した図を参照して以下に論述される。これらの図は、一律の縮尺で描くことを意図したものではない。図は、様々な態様及び実施形態の図解及び更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成するが、どの特定の実施形態の限定の定義としても意図されていない。図面は、本明細書の残りの部分とともに、説明及び特許請求される態様及び実施形態の原理及び動作を説明するように機能する。図において、様々な図に示された各同一の構成要素又はほぼ同一の構成要素は、同様の参照符号によって表される。明瞭にするために、あらゆる構成要素があらゆる図においてラベル付けされているとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】分注システムの概略図である。
図2】予備加熱ステーション、分注ステーション、及び後加熱ステーションを開示するためにパッキングが取り除かれた状態の、分注システムの斜視図である。
図3】予備加熱ステーション及び後加熱ステーションに関連する赤外線(「IR」)検知構成グラフィックのグラフィックユーザーインターフェース(「GUI」)を示す図である。
図4】分注ステーションに関連するIR検知構成グラフィックのGUIを示す図である。
図5】プロセスプログラミンググラフィックのGUIを示す図である。
図6】プロセスプログラミンググラフィックのGUIを示す図である。
図7】プロセスモニタリンググラフィックのGUIを示す図である。
図8】プロセスモニタリンググラフィックのGUIを示す図である。
図9】IR検知コマンドの動作のフローチャートである。
図10】IR検知コマンドグラフィックのGUIを示す図である。
図11】加熱オプショングラフィックのGUIを示す図である。
図12】加熱コントローラグラフィックのGUIを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示のためだけであり、普遍性を限定するものではないが、ここで、添付の図面を参照しながら本開示が詳細に説明される。本開示は、その応用形態に関して、以下の説明に記載されるか、又は図面に示される構成の細部及び構成要素の配置には限定されない。本開示において記載される原理は、他の実施形態でも使用可能であり、種々の方法において実践又は実行することができる。また、本明細書において用いられる言い回し及び用語は、説明することを目的としており、限定するものと見なされるべきではない。本明細書において単数のものとして参照されるシステム及び方法の例、実施形態、構成要素、要素又は動作に対する任意の参照は、複数のものを含む実施形態も包含することができ、本明細書における任意の実施形態、構成要素、要素又は動作に対する複数のものとしての任意の参照は、単数のもののみを含む実施形態も包含することができる。単数形又は複数形における参照は、本明細書において開示されるシステム又は方法、それらの構成要素、動作又は要素を限定することを意図されていない。本明細書において「~を含む」、「~を備える」、「~を有する」、「~を含有する」、「~を伴う」及びそれらの変形の用語を使用することは、その前に列挙される物品と、その均等物及び追加の物品とを包含することを意味する。「又は/若しくは」に対する参照は、「又は/若しくは」を用いて説明される任意の用語が、この説明される用語の単一のもの、2つ以上、及び全てのもののうちの任意のものを示すことができるような包括的なものと解釈することができる。加えて、本明細書と、引用することにより本明細書の一部をなす書類との間で用語の使用法が一貫しない場合、本明細書の一部をなす文献における用語の使用法は、本明細書の使用法に対する補足であり、非一貫性が矛盾をきたすものである場合、本明細書における用語の使用法が有効である。
【0015】
本開示は、堆積される材料の温度だけでなく、材料がその上に堆積される電子基板の温度も検知することを対象とする。例えば、アンダーフィル材料の堆積前にディスペンサ内の電子基板がしばしば予備加熱されることが、SMT組立産業で既知である。典型的な用途は、分注される材料を収納するために、電子基板が分注ゾーン内に輸送される前に、予備加熱「チャック(chuck)」(電子基板を所定の温度まで加熱するエリア又はゾーン)として知られているものを利用する。予備加熱ゾーンに関する問題は、予備加熱チャック全体の温度を測定する1つのフィードバックセンサのみが典型的には存在することであり、予備加熱チャックは典型的には330mm×250mmである。単一センサからのこのフィードバックは、概して、1つの場所の温度を検知し、その結果は、予備加熱ゾーン全体についての温度を示すと仮定され、特定の関心の場所の実際の温度、例えば、重要な構成要素の温度を必ずしも反映しない。さらに、電子基板の特定の場所の実際の温度のフィードバックがない状態で、電子基板を予備加熱するために割り当てられる時間は、電子基板の温度が安定化するために、少なくとも十分な時間が経過したことを確実にするようにしばしば選択される。これは、過剰に長い「十分な(sufficient)」時間を待って、価値ある時間が浪費されることを意味し得る。
【0016】
本開示の実施形態は、電子基板が所定の温度に達することを確実にするために必要であるよりも長く待つ必要なしで、分注動作を進める前に電子基板が実際に適切な温度にあることを確認するために、予備加熱チャック上の電子基板の上方に位置決めされた非接触センサを含む。電子基板上の特定の場所を覆って非接触温度センサを取り付けることによって、重要な場所の実際の温度を測定することができる。さらに、電子基板にわたってX軸方向及びY軸方向において移動することができる分注ユニット(又は、プリンター内の視覚プローブ等の他の機構)にセンサを取り付けることによって、任意の特定のスポットの温度を測定することができる。また、センサは、温度測定のターゲットに向かって、及びターゲットから離れて移動する機構上に取り付けることができる、又は、ターゲットは、センサに対してX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向において移動することができる。そのような構成は、センサの有効スポットサイズが、用途の必要性に合うように調整又は調節されることを可能にする。例えば、センサは、鉛直ステージに取り付け、電子基板を見下ろすように配向させることができる。鉛直ステージ及びセンサを下に、したがって、電子基板の近くに移動させることによって、より小さい局所スポットの温度を測定することができる。鉛直ステージ及びセンサを上に、したがって、電子基板から離れて移動させることによって、測定される温度は、より大きいエリアにわたって効果的に平均することができる。これは、センサに対してターゲットを特定の場所に移動させ、特定のスポットサイズを達成することによって達成することもできる。そのような配置構成は、用途要件について検知エリアのサイズをそこで最適化することができる制御可能なサイズ領域にわたって平均された温度の検知を可能にする。そのため、例えばポンプ取り付けブラケットからX-Y位置決めシステムに取り付けられるZ軸ステージにセンサを取り付けることによって、場所及びスポットサイズをともに制御することができる。
【0017】
本開示の原理を実装することによって、機器のピースによって分注される材料の温度、及び、材料が分注される電子基板上の重要な場所の温度をモニタリングすることができ、堆積プロセスにおける全ての関与物が所望の温度にあることを確実にする。これらの測定温度のそれぞれは、堆積プロセスを進める前に、プロセス変数がプリセット範囲内にあることを確認するために利用することができる。さらに(又はおそらくは代替的に)、これらの測定値は、プロセスの品質又は収量が、プロセス最適化のためにプロセス内の測定変数と相関することができる統計的プロセス制御(SPC:Statistical Process Control)等のデータ収集のために共有又は記憶することができる。
【0018】
例示のために、ここで、本開示の1つの実施形態による、全体として10で示される分注システムを参照して本開示の実施形態が説明される。図1を参照すると、分注システム10は、プリント回路基板(「PCB」)又は半導体ウェハー等の電子基板12上に、粘性材料(例えば、接着剤、封入材、エポキシ樹脂、はんだペースト、アンダーフィル材料等)又は半粘性材料(例えば、はんだフラックス等)を分注するのに用いられる。分注システム10は、代替的に、自動車用ガスケット材料を塗布するため、又は、或る特定の医療分野に適用するため、又は、導電性インクを塗布するため等の、他の用途において用いることができる。本明細書において用いられる場合、粘性材料又は半粘性材料に対する参照は例示であり、非限定的なものであることが意図されることが理解されるべきである。分注システム10は、いくつかの分注ユニット、例えば、それぞれ全体として14及び16で示される第1の分注ユニット及び第2の分注ユニットと、分注システムの動作を制御するコントローラ18とを備える。分注ユニットは、本明細書において、分注ポンプ及び/又は分注ヘッドと称されることもあることが理解されるべきである。2つの分注ユニットを示すが、分注ユニットを3つ以上利用することができることが理解されるべきである。
【0019】
また、分注システム10は、電子基板12を支持するベース又は支持体22を有するフレーム20と、分注ユニット14、16を支持し、移動させるためにフレーム20に移動可能に結合された分注ユニットガントリー24と、例えば、較正手順の一部として、粘性材料の分注された量を計量し、重量データをコントローラ18に与える重量測定デバイス又は計量器26とを備えることができる。分注システムに対する電子基板の装着及び取外しを制御するために、分注システム10において、コンベヤシステム(図示せず)又は移動ビーム等の他の移送機構を使用してもよい。ガントリー24は、コントローラ18の制御下においてモーターを用いて移動し、分注ユニット14、16を電子基板の上方の所定の場所に位置決めすることができる。分注システム10は、オペレーターに種々の情報を表示するためにコントローラ18に接続されたディスプレイユニット28を備えることができる。分注ユニットを制御する任意選択の第2のコントローラを設けてもよい。また、各分注ユニット14、16は、Z軸センサを用いて、電子基板12の上方又は電子基板上に実装される機構の上方に分注ユニットが配置される高さを検出するように構成することができる。Z軸センサは、コントローラ18に結合され、センサによって取得された情報をコントローラに中継する。
【0020】
上記のような、分注動作を実行する前に、電子基板、例えば、プリント回路基板は、分注システムの分注ユニットに対して整列、又は、別の方法で位置合わせしなければならない。分注システムは、視覚システム30を更に備え、1つの実施形態では、視覚システム30は、視覚システムガントリー32に結合され、視覚システムガントリー32は、視覚システムを支持するとともに移動させるために移動可能にフレーム20に結合される。別の実施形態では、視覚システム30は、分注ユニットガントリー24上に設けられていてもよい。上記のように、視覚システム30は、電子基板上の、基準部(fiducials)として知られるランドマーク又は構成要素の場所を照合するために利用される。位置特定されると、コントローラは、電子基板上に材料を分注するように分注ユニット14、16のうちの1つ以上の動きを操作するようにプログラミングすることができる。
【0021】
1つの実施形態では、分注動作は、コントローラ18によって制御され、コントローラ18は、材料分注ユニットを制御するように構成されたコンピューターシステムを含んでいてもよい。別の実施形態では、コントローラ18はオペレーターが操作するようにしてもよい。コントローラ18は、電子基板12の1つ以上の画像を取得するように視覚システムを移動させるために視覚システムガントリー32の動きを操作するように構成される。コントローラ18は、分注動作を実行するために、分注ユニット14、16を移動させるように分注ユニットガントリー24の動きを操作するように更に構成される。
【0022】
図2を参照すると、分注システムは全体的に200で示される。図示するように、分注システム200は、全体的に202で示される分注ステーションと、全体的に204で示され、分注ステーションの前の上流に設けられる予備加熱ステーションと、全体的に206で示され、分注ステーションの後の下流に設けられる後加熱ステーションとを備える。予備加熱ステーション204は分注システム200の予備加熱ゾーンを画定し、分注ステーション202は分注システム200の分注ゾーンを画定し、後加熱ステーション206は分注システム200の後加熱ゾーンを画定する。コンベヤ208は、基板12等の電子基板を、予備加熱ステーション204から分注ステーション202に及び後加熱ステーション206に(図2では左から右に)移動させるために設けられる。図示するように、コンベヤ208は、基板が、分注ステーションにより効率的にかつより速いレートで入ることを可能にするために2つのレーン208A、208Bを含む。予備加熱ステーション204は、分注ステーションで分注するための許容可能な温度に電子基板を加熱するように構成される。予備加熱ステーション204は、電子基板の温度を20℃~200℃で上昇させるように構成することができる。後加熱ステーション206は、分注システム200から下流の別の処理ステーションに渡される前に、電子基板の温度を低下させるように構成される。予備加熱ステーション204の場合と同様に、後加熱ステーションは、電子基板の温度を20℃~200℃の範囲で低下させるように構成することができる。
【0023】
1つの実施形態では、予備加熱ステーション204及び後加熱ステーション206は、分注ステーション202を含む分注システム200の一部とすることができる。別の実施形態では、分注システム200は、分注ステーション202のみを含むように構成することができ、予備加熱ステーション204及び/又は後加熱ステーション206は、分注システムとともに組み立てられる別個のユニットとすることができ、コンベヤ208は3つ全てのステーションを通って延在する。
【0024】
予備加熱ステーション204は、全体的に210で示す調整可能ブラケットを備え、調整可能ブラケット210は、コンベヤのレーン208A、208Bを覆う高い位置でコンベヤ208上に取り付けられる。図示するように、調整可能ブラケット210は、電子基板が予備加熱ステーション204を通ってコンベヤ208のレーン208A、208Bに沿って進行する際の電子基板を覆って位置決めされる。各レーン208A、208Bについて、赤外線センサ212は、調整可能ブラケット210上に取り付けられ、コンベヤのレーン上で調整可能ブラケット及び赤外線センサの下を電子基板が進行する際の電子基板に向かって方向付けられるように位置決めされる。予備加熱ステーション204の調整可能ブラケット210は、各赤外線センサ212をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向において移動させるように構成することができる。
【0025】
1つの実施形態において、調整可能ブラケット210は、レーン208Aを覆って延在する第1のレール部材214及びレーン208Bを覆って延在する第2のレール部材216を備える。第1のレール部材214は、第1のレール部材内に形成されたトラックに沿って載るように構成される第1の支持部材218を備える。第1のつまみねじ220は、第1の支持部材を所定の場所に係止するために第1の支持部材218を第1のレール部材214に固定するために設けられる。赤外線センサ212は、第1の支持部材218の自由端上に取り付けられる。同様に、第2のレール部材216は、第2のレール部材内に形成されたトラック又はスロットに沿って載るように構成される第2の支持部材222を備える。第2のつまみねじ224は、第2の支持部材を所定の場所に係止するために第2の支持部材222を第2のレール部材216に固定するために設けられる。赤外線センサ212は、第2の支持部材222の自由端上に取り付けられる。赤外線センサ212の場所は、つまみねじ220、224を係止解除し、それぞれの第1の支持部材218及び第2の支持部材222を所望の場所に移動させることによって調整することができる。
【0026】
各レーン208A、208Bについて、電子基板がレーンに沿って進行する際の電子基板の特定の場所を覆って赤外線センサ212を取り付けることによって、電子基板の重要な場所の実際の温度を測定することができる。調整可能ブラケット210は、各赤外線センサ212をZ軸方向において温度測定のターゲットに向かって、及びターゲットから離れて移動させ、赤外線センサをX軸方向及びY軸方向において位置決めするように構成される。そのような構成は、赤外線センサの有効スポットサイズが、用途の必要性に合うように調整又は調節されることを可能にする。上記で述べたように、赤外線センサ212は、電子基板を見下ろすように配向させることができる。赤外線センサ212を電子基板の近くに下げるように調整可能ブラケット210を操作することによって、より小さい局所スポットの温度を測定することができる。逆に、赤外線センサ212を電子基板から離れて上げるように調整可能ブラケット210を操作することによって、より大きいスポットの温度を、測定することができ、それにより、より大きいエリアにわたって効果的に平均する。そのような構成は、用途要件について検知エリアのサイズをそこで最適化することができる制御可能なサイズ領域にわたって平均された温度の検知を可能にする。
【0027】
同様に、後加熱ステーション206は、全体的に230で示す調整可能ブラケットを備え、この調整可能ブラケットは、予備加熱ステーション204の調整可能ブラケット210と同一であり、電子基板が後加熱ステーションを通ってコンベヤのレーン208A、208Bに沿って進行する際の、電子基板12等の電子基板を覆う高い位置でコンベヤ208上に取り付けられる。各レーン208A、208Bについて、予備加熱ステーション204で使用される赤外線センサと同一である赤外線センサ212が、調整可能ブラケット230上に取り付けられ、調整可能ブラケット及び赤外線センサの下を電子基板が進行する際の電子基板に向かって方向付けられるように位置決めされる。後加熱ステーション206の調整可能ブラケット230は、各赤外線センサ212をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向において移動させるように構成することができる。
【0028】
述べたように、1つの実施形態において、調整可能ブラケット230は、調整可能ブラケット210と同一であり、レーン208Aを覆って延在する第3のレール部材234及びレーン208Bを覆って延在する第4のレール部材236を備える。第3のレール部材234は、第3のレール部材内に形成されたトラック又はスロットに沿って載るように構成される第3の支持部材238を備える。第3のつまみねじ240は、第3の支持部材を所定の場所に係止するために第3の支持部材238を第3のレール部材234に固定するために設けられる。赤外線センサ212は、第3の支持部材238の自由端上に取り付けられる。同様に、第4のレール部材236は、第4のレール部材内に形成されたトラックに沿って載るように構成される第4の支持部材242を備える。第4のつまみねじ244は、第4の支持部材を所定の場所に係止するために第4の支持部材242を第4のレール部材236に固定するために設けられる。赤外線センサ212は、第4の支持部材242の自由端上に取り付けられる。赤外線センサ212の場所は、第3のつまみねじ240及び第4のつまみねじ244を係止解除し、第3の支持部材238及び第4の支持部材242を所望の場所に移動させることによって調整することができる。
【0029】
1つの実施形態において、分注ステーション202は、分注ユニット252を支持するキャリッジ250上に又は分注ユニット上に直接取り付けられた赤外線センサ212を更に備える。そのため、赤外線センサ212は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向においてガントリーによって移動される。赤外線センサ212は、電子基板が、コンベヤ208のレーン208A又は208B上で分注ステーション202内に位置決めされると、分注のための適切な温度であることを確実にするために動作することができる。上述したように、予備加熱ステーション204及び後加熱ステーション206に関して、分注ステーションは、電子基板の温度を20℃~200℃で上昇させる、維持する、及び/又は低下させるように構成することができる。
【0030】
代替的に、別の実施形態において、赤外線センサ212は、赤外線センサを、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向において移動させるために、分注システム10の視覚システムガントリー32等の視覚システムガントリー上に取り付けることができる。分注システム10の場合と同様に、分注システム200は、2つ以上の分注ユニットを備えることができ、赤外線センサ212は分注ユニットのうちの1つに取り付けられる。
【0031】
そのため、赤外線検知は、コンベヤによって運ばれる電子基板上の構成要素にわたる非接触温度追跡のために使用される。温度検知は、オペレーターが機械内の各プロセスゾーン(最大6つ)において基板の温度をモニタリングし記録することを可能にする。予備加熱ゾーン及び後加熱ゾーンは、調整可能ブラケットに取り付けられた赤外線センサを使用し、調整可能ブラケット内で、赤外線センサは所定の場所に位置決めされ係止される。分注ゾーン(複数の場合もある)は、カートリッジ及び/又は分注ユニットに取り付けられた赤外線センサを使用するため、構成は、プロセスプログラムにおいて設定されるものとして、場所に関して融通性がある。
【0032】
各プロセスゾーンについて、オペレーターは、製品が、「準備完了(ready)」と考えられるために達する必要があるターゲット温度及び公差範囲を選択する。「準備完了」は、製品が次のコンベヤゾーンに移動することができること、又は、分注ゾーンにある場合、分注プロセスが始まるための「準備完了」を意味することができる。他の目的は、「準備完了」状態に基板を維持することであるため、所定の温度にあるとき、製品を所望の公差範囲内に維持するように機械は加熱設定を自動的に調整する。
【0033】
グラフィックユーザーインターフェースすなわちGUI300を示す図3を参照すると、電子基板温度についての赤外線すなわちIR検知は、専用ソフトウェアを通して、3つ全てのゾーン、すなわち、予備加熱ゾーン、分注ゾーン、及び後加熱ゾーンについて構成することができる。これらのゾーン内で、IR検知は、非接触熱センサ及び電子基板クランピングによって達成され、また、実行ソフトウェアを通して単一レーン及び2重レーンの両方の機械について構成することができる。
【0034】
GUI400を示す図4を参照すると、予備加熱検知及び後加熱検知はともに、非接触熱検知によって構成することができる。分注ステーション構成は、IR検知を可能にするオプションを含む。
【0035】
オペレーターは、新しいプロセスプログラムを作成している間に、温度タブ下で、各プログラムについて温度設定を個々にプログラムすることができる。オペレーターは、温度タブ下で機械構成からの温度設定を上書きするためにオプション「プロセスプログラムからの温度設定を使用する(Use Temperature Settings from Process Program)」をチェックする。アラーム状態は、「機械構成パラメーターを使用(Using Machine Config Parameters)」から「プロセスプログラムパラメーターを使用(Using Process Program Parameters)」に変化する。プロセスが加熱を必要とする場合、「加熱が必要(Heat Required)」オプションを、いずれのプロセスプログラムも適切な加熱なしで実行されないことを確実にするためにチェックすることができる。ソフトウェアは、この場合、アラームを発するように構成することができる。
【0036】
GUI500を示す図5を参照すると、IR検知についての最高温度限界は、3つ全てのゾーン、すなわち、予備加熱ゾーン、分注ゾーン、及び後加熱ゾーンについて100℃である。オペレーターは、プロセスプログラム内で各ゾーンについてのIR検知オン/オフを可能にするオプションを有する。「最低温度(Min. Temperature)」、「最高温度(Max. Temperature)」、「浸漬時間(Soak Time)」、「タイムアウト(Timeout)」、及び「ポーリングレート(Polling Rate)」についてのデフォルト値は、各ゾーンについて表示され、それらは表1に示される。
【0037】
【表1】
【0038】
GUI600を示す図6を参照すると、IR検知が予備加熱ゾーン及び/又は後加熱ゾーンについてディセーブルされる場合、これらのゾーンに関連する加熱チャックは、タイマーを用いて加熱されるべきである。予備加熱及び/又は後加熱継続時間タイマーは、チャックを加熱するために始動される。タイマーが終了すると、循環ステーション空気が、入力される値に基づいてオン/オフに交互に切り換えられるべきである。
【0039】
IRセンサについての実際の読み取り値は、データディスプレイパネルを通してGUI上でリアルタイムに表示されるとともに、以下で説明されるように、各ゾーンにおける電子基板ハンドリングの追跡可能MES機能の所望の挙動である。
【0040】
予備加熱ゾーン及び/又は後加熱ゾーンにおいて、プロセスは、電子基板を収納すること及び加熱を開始することを含む。最低温度になると、浸漬時間が開始される。浸漬しているか又は移動するために待つ間に、温度が最低又は最高の予め設計された温度に達すると、加熱は、オン/オフを繰り返す。浸漬時間が終了し、次のゾーンが空くと、電子基板は移動し、タイムアウト時間が終了する前に、電子基板が所定の範囲内に入らない場合、アラームがトリガーされる。回復のために、ステップは、リトライ、アボート、又は次のゾーンへのリリースである。エラー状態中に、オペレーターがエラー回復を実施しない場合、電子基板は、加熱される場合があり、最高温度値に達する。この効果を回避するために、オペレーターがエラー回復を実施するまで、ソフトウェアは、アラームを提示し、機械を一時停止させ、ステーション空気を循環させ、電子基板温度を測定し続けるように構成される。
【0041】
分注ゾーンにおいて、プロセスは、電子基板を収納すること及び電子基板の温度を測定することを含む。所定の範囲内にない場合、タイムアウトが終了する前に所定の範囲になるまで、加熱が開始される。温度を測定することは、所定の範囲になるまで継続する。所定の範囲になった場合、処理は、すぐに開始される。分注サイクルが終わると、電子基板は、できる限り速く次のステーションに移動する。エラー状態中に、オペレーターがエラー回復を実施しない場合、電子基板は、加熱され、最高温度値に達する場合がある。この効果を回避するために、オペレーターがエラー回復を実施するまで、ソフトウェアは、ステーション空気をオフし、アラームを提示し、機械を一時停止させ、電子基板温度を測定し続けるように構成される。プロセスプログラムは、複数のIR検知コマンドを有することができ、IR検知は、分注パス(dispense pass)を用いてバッチ処理される。分注パス内で電子基板温度を複数回検知する能力がある。最低温度が存在するだけであることになる(最高温度はない)。IR検知コマンドが作動されると、分注は、最低温度に達するまで中断される。予備加熱検知及び後加熱検知の場合と同様にアラーム時間が各IR検知コマンドに適用される。
【0042】
赤外線温度検知コマンドは、電子基板上の同じプロセスプログラム内で、所望の電子基板場所で複数回プログラムすることができる。チャック温度、IR検知状態タイマー、電子基板温度、IR検知状態(ランピング、浸漬、維持)、ステーション空気オン/オフは、容易なプロセスモニタリングのためにデータディスプレイ上に列挙される。データディスプレイ上のステーション空気ライトは、オンのとき緑色に変わり、オフのとき赤色に変わる。状態は、プロセスプログラムが実行されているときにのみ表示される。
【0043】
IR検知がイネーブルされているときのGUI700を示す図7を参照すると、タイマーは、IR検知状態の継続時間(すなわち、温度がどれだけの時間ランプアップするか、どれだけの時間浸漬するか、又はどれだけの時間維持するか)を告げる。タイマーは、状態が変化するとリセットする。
【0044】
IR検知の異なる状態は表2に示される。
【0045】
【表2】
【0046】
「温度を維持する(Maintain Temp)」がオペレーターによって選択されるときのGUI800を示す図8を参照すると、IRセンサは、温度を読み取り、空気を循環させることによって温度を最低と最高との間に維持し続ける。IRセンサは、予備加熱ステーション/後加熱ステーションが現在のところ行うのと同じように行動する。
【0047】
概して、電子基板が予備加熱ゾーンに入ると、IR検知状態は、次の通りに変化する:ランピング→浸漬→完了→維持。
【0048】
図9を参照すると、プロセス900は、電子基板を受け入れるために次のステーションが空くまで温度が維持されることを確実にすることを含む。図示するように、電子基板を受け入れるために下流のステーションが空いているか否かについての判定が902にて行われる。下流のステーションが空いている場合、IR検知コマンドは、904にて完了し、動作は終了する。下流のステーションが空いていない場合、温度は、906にて非接触センサによって検出され、温度が所定の範囲内にあるか否かについての判定が908にて行われる。温度が所定の範囲内にある場合、プロセスは、電子基板を受け入れるために下流のステーションが空いているか否かに戻る。温度が所定の範囲内にない場合、プロセスが、電子基板を受け入れるために下流のステーションが空いているか否かに戻るまで、910にて、空気がオン/オフで循環される。
【0049】
GUI1000を示す図10を参照すると、オペレーターは、「温度を維持する(maintain temperature)」が必要とされる場合、IR検知コマンドを主プロセスプログラム内に置くべきである。IR検知コマンドがコールの内部に位置する場合、このフィーチャー(feature)を無視することができる。「パス(pass)」を使用すると、オペレーターは、最後のパスをIR検知コマンドに割り当てるべきである。
【0050】
アイドリング時のGUI1100を示す図11を参照すると、全ての加熱はパワーオフされる。オペレーターは、分単位のプログラムされた時間に基づいて、チャック及びニードル加熱を含む全ての加熱をパワーオフしようと決めることができる。この機能は、機械構成内の温度タブの下に存在し、分注自動モード(AUTOMATIC MODE)においてのみ働く。オペレーターは、生産運転中に加熱パワーオフ機能をディセーブルするオプションをチェックすることもできる。
【0051】
起動時のGUI1200を示す図12を参照すると、加熱コントローラがパワーオンされる。オペレーターがこのオプションをチェックする場合、最大6つのチャック及び2つのニードル加熱器を含む加熱コントローラは、起動後にパワーオンされることになる。全ての加熱器は、サーバー起動後にのみ、最後の機械のシャットダウン中にオペレーターがイネーブルしたままにしたランピングアップを開始することになる。何らかの理由でサーバー起動が自動でない場合、加熱コントローラはパワーオンされないことになる。その場合、オペレーターは、加熱コントローラをパワーオンするために、サーバーを手動で起動しなければならない。この機能は、機械構成内の温度タブの下に存在し、全ての分注モードで働く。
【0052】
1つの実施形態において、非接触センサが電子基板から離間する距離は、選択される非接触センサのタイプに応じる。例えば、1つのタイプのセンサの場合、センサは、電子基板から1ミリメートル(mm)~100mmの距離だけ離間することができる。1つの実施形態において、非接触センサによって生成される検知スポットサイズは、電子基板からの非接触センサの間隔に対応する。そのため、電子基板からの非接触センサの間隔の距離を増加させることによって、検知スポットサイズは増加する。したがって、本開示の実施形態のプリントヘッド組立体内で使用するための範囲は、1mm~100mmの距離である。1つの実施形態において、25mmの距離が選択される。
【0053】
非接触センサは、分注動作の前に分注システムのための設定を分注システムのオペレーターが入力するユーザーセットアッププロセスによって予め決定される基準を使用して、特定の用途のために温度が正しいか否かを確認するために電子基板の温度を検出するように構成される。非接触センサは、コントローラに接続され、堆積のために電子基板の準備ができていない場合、オペレーターに即座に通知するように構成される。さらに、単数又は複数の電子基板の温度データは、コントローラによって収集することができる。収集されたデータは、更なる動作のために分注システムにフィードバックすることができる、又は、収集されたデータは、下流の機械等のデータ収集システム若しくは内部若しくはリモートの統計処理に送信することができる。
【0054】
或る特定の実施形態において、非接触センサは、電子基板の温度を検出する赤外線センサである。赤外線センサは、センサの視野内に位置決めされた物体から放射する赤外光を測定するように構成される電子センサである。絶対ゼロ度を超える温度を有する物体は、放射の形態で熱を放出する。或る特定の実施形態において、赤外線センサは、ミネソタ州ミネアポリス所在のBanner Engineering Corporation社によって提供されるT-GAGE(商標)M18Tシリーズ赤外線温度センサである。T-GAGE(商標)センサは、受動型で、非接触型で、温度ベースのセンサであり、検知窓内の物体の温度を検出し、センサの構成に応じて比例電圧又は電流を出力するために使用される。
【0055】
予備加熱チャック上で電子基板の上方に位置決めされた、非接触センサ等の非接触センサは、システムの構成要素が適切な温度にあることを確実にするために必要であるよりも長く待つ必要なしで、分注動作を進める前に、電子基板が実際に適切な温度にあることを確認するために利用することができる。電子基板上の特定の場所を覆って非接触センサを取り付けることによって、重要な場所の実際の温度を測定することができる。さらに、電子基板にわたってx軸方向及びy軸方向において移動することができる分注ユニット(又は、プリンター内の視覚プローブ等の他の機構)にセンサを取り付けることによって、分注ステーション内の任意の特定のスポットの温度を、測定することができる。また、非接触センサは、温度測定のターゲットに向かって、及びターゲットから離れて移動する機構上に取り付けることができる、又は、ターゲットは、センサに対してx軸方向、y軸方向、及びz軸方向において移動することができる。そのような構成は、センサの有効スポットサイズが、用途の必要性に合うように調整又は調節されることを可能にする。例えば、非接触センサは、鉛直ステージに取り付け、電子基板を見下ろすように配向させることができる。鉛直ステージ及びセンサを下に、したがって、電子基板の近くに移動させることによって、より小さい局所スポットの温度を測定することができる。鉛直ステージ及びセンサを上に、したがって、電子基板から離れて移動させることによって、測定される温度は、より大きいエリアにわたって効果的に平均することができる。これは、センサに対してターゲットを特定の場所に移動させ、特定のスポットサイズを達成することによって達成することもできる。そのような配置構成は、用途要件について検知エリアのサイズをそこで最適化することができる制御可能なサイズ領域にわたって平均された温度の検知を可能にする。そのため、X-Y位置決めシステムに取り付けられるZ軸ステージにセンサを取り付けることによって、場所及びスポットサイズをともに制御することができる。
【0056】
さらに(又はおそらくは代替的に)、測定値は、プロセスの品質又は収量が、プロセス最適化のためにプロセス内の測定変数と相関することができる統計的プロセス制御(SPC)等のデータ収集のために共有又は記憶することができる。
【0057】
本開示の別の実施形態において、赤外線非接触温度センサは、温度調節システムの一部として電子基板温度の温度フィードバックを提供するために使用される。特に、電子基板が、一般に設定点温度と呼ばれる所望のターゲット温度に達すると、温度制御システムは、電子基板に対する加熱をオフする。その後、温度が下限温度を下回ると、温度制御システムは加熱をオンする。いくつかの実施形態において、加熱をオン又はオフする動作は、加熱器に対して電力をイネーブル又はディセーブルすることを伴うことができる。他の実施形態において、この動作は、熱伝達機構をイネーブル又はディセーブルすることを伴うことができる。例えば、本発明の1つの実施形態において、空気は、加熱される表面を通過し、その後基板まで循環する。空気流がイネーブルされると、加熱器から基板への熱伝達が高められる。空気流がディセーブルされると、加熱器から基板への熱伝達が阻止される。この単純なリミットサイクル手法は、多くの用途について十分な温度制御精度を提供することができる。
【0058】
本開示の他の実施形態において、赤外線非接触温度センサは、閉ループ温度制御システムの一部として電子基板温度の温度フィードバックを提供するために使用される。そのようなシステムでは、コントローラは、測定される温度及び所望の設定点温度を、制御アルゴリズムへの入力として使用する。アルゴリズムは、加熱器の比例制御を有することもでき、加熱器の比例制御は、加熱をイネーブル又はディセーブルするだけでなく、完全オン又は完全オフの間で多数のより細かいステップで加熱器をイネーブルする能力を提供する。本開示の1つの実施形態において、一般にPIDコントローラと呼ばれるデジタル比例/積分/微分コントローラは、加熱器のオン/オフデューティサイクルを変動させるパルス幅変調(PWM)手段を通してPIDアルゴリズムの出力を使用する。PIDコントローラと加熱器のデジタル比例制御とのこの組み合わせは、リミットサイクル調節器を用いて達成されるよりもより正確でありかつより厳密に調節することができる温度調節を達成することができる。
【0059】
このように、本開示の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明してきたが、当業者には種々の改変、変更、及び改善が容易に思い浮かぶことが理解されるべきである。そのような改変、変更、及び改善は、本開示の一部であることを意図しており、本開示の趣旨及び範囲内にあることを意図している。したがって、これまでの説明及び図面は例にすぎない。
上述の実施形態は下記のようにも記載され得るが下記には限定されない。
[構成1]
電子基板を収納するように構成される任意選択の予備加熱ステーションと、
前記任意選択の予備加熱ステーションから受け取られた前記電子基板上に材料を分注するように構成される分注ステーションと、
前記分注ステーションから前記電子基板を収納するように構成される任意選択の後加熱ステーションと、
前記任意選択の予備加熱ステーション、前記分注ステーション、及び前記任意選択の後加熱ステーションのうちの少なくとも1つの上で前記電子基板の上方に位置決めされた非接触センサと、
を備える、分注システム。
[構成2]
前記非接触センサは、前記電子基板を前記分注ステーションに移動させる前に、前記電子基板が適切な温度であることを確実にするために、前記任意選択の予備加熱ステーション上で前記電子基板の上方に位置決めされる、構成1に記載の分注システム。
[構成3]
前記非接触センサは、前記温度の測定のターゲットに向かって、及び該ターゲットから離れて移動する調整可能機構上に取り付けられる、構成2に記載の分注システム。
[構成4]
前記非接触センサは、前記電子基板が前記分注ステーションにおいて適切な温度であることを確実にするために、前記分注ステーションの上方に位置決めされる、構成1に記載の分注システム。
[構成5]
前記非接触センサは、前記分注ステーションに関連する調整可能機構上に取り付けられる、構成4に記載の分注システム。
[構成6]
前記非接触センサは、前記電子基板が前記任意選択の後加熱ステーションにおいて適切な温度であることを確実にするために、前記任意選択の後加熱ステーション上で前記電子基板の上方に位置決めされる、構成1に記載の分注システム。
[構成7]
前記非接触センサは、前記温度の測定のターゲットに向かって、及び該ターゲットから離れて移動する調整可能機構上に取り付けられる、構成6に記載の分注システム。
[構成8]
前記非接触センサは赤外線温度センサである、構成1に記載の分注システム。
[構成9]
電子基板上に粘性組立体材料を分注するように構成される分注システムであって、
該分注システムを通して複数の電子基板を移動させるように構成されるコンベヤと、
1つの電子基板上に粘性組立体材料を分注するように構成される分注ユニットを含む分注ステーションと、
前記分注ユニットに結合されたセンサであって、前記電子基板の温度を測定するように構成される、センサと、
を備える、分注システム。
[構成10]
前記センサは非接触センサである、構成9に記載の分注システム。
[構成11]
前記非接触センサは赤外線センサである、構成10に記載の分注システム。
[構成12]
前記非接触センサは、調整可能ブラケットによって前記分注ユニットに固定される、構成10に記載の分注システム。
[構成13]
前記調整可能ブラケットは、前記非接触センサを、前記電子基板の配向に対して或る角度で配向させるように構成される、構成12に記載の分注システム。
[構成14]
電子基板上に組立体材料をプリントする方法であって、
電子基板を分注システムに送出することと、
前記電子基板をプリント位置に位置決めすることと、
粘性組立体材料を前記電子基板上に分注することと、
前記電子基板の温度を測定することと、
を含む、方法。
[構成15]
前記電子基板の温度を測定することはセンサによって達成される、構成14に記載の方法。
[構成16]
前記センサは非接触センサである、構成15に記載の方法。
[構成17]
前記非接触センサは赤外線センサである、構成16に記載の方法。
[構成18]
調整可能ブラケットによって前記電子基板に対して前記非接触センサを位置決めすることを更に含む、構成16に記載の方法。
[構成19]
温度調節システムの一部として前記電子基板の温度フィードバックを提供することを更に含む、構成14に記載の方法。
[構成20]
温度フィードバックを提供することは、電子基板が所望のターゲット温度に達すると、前記温度の制御システムが前記電子基板に対する加熱をオフし、温度が下限温度を下回ると、前記温度の制御システムが加熱をオンすることを含む、構成19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12