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特許7502327軸方向スプラインを備えるマイクロボアチューブ保持ポケット接合部を有するルアー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】軸方向スプラインを備えるマイクロボアチューブ保持ポケット接合部を有するルアー
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/12 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
A61M39/12
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021559394
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 US2020025279
(87)【国際公開番号】W WO2020210053
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】16/378,351
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェイス、レイモンド ピー.
(72)【発明者】
【氏名】キップ、ランドール ディー.
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-515564(JP,A)
【文献】特開2012-213867(JP,A)
【文献】特開2018-175544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタであって、
チューブ部分、及び軸方向において前記チューブ部分と向かい合い且つ前記チューブ部分に接続されたルアー部分を有するボディと、
前記コネクタの内部ボアを画定する内側円周表面であって、前記内側円周表面が前記チューブ部分と前記ルアー部分との間で軸方向に延び、前記内部ボアが前記チューブ部分及び前記ルアー部分と流体連通している、内側円周表面と
を有し、
前記内側円周表面が、前記コネクタの前記チューブ部分内で前記内側円周表面の長さに沿って直線的に延びる複数のスプラインを有し、前記複数のスプラインの隣接するスプラインの各ペアが、それらの間にチャネルを画定し、前記チャネルの各々の深さが、前記チューブ部分のポートに向かう方向に次第に減少しており、
前記内側円周表面が、結合構成においてチューブの外部表面と係合するように構成され、
前記結合構成において、前記スプラインのエッジが前記チューブの前記外部表面を握持し且つ前記チューブの前記外部表面と係合し、それにより前記チューブを前記ボディ内に保持する、コネクタ。
【請求項2】
前記チャネルの各々が、前記内側円周表面の長さに沿って軸方向に延びる凹部を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記複数のスプラインの各スプラインの高さが0.00254mm(0.0001インチ)から0.0508mm(0.002インチ)の範囲内である、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数のスプラインの隣接するスプラインの側面の間の角度が30度から150度の範囲内である、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記チューブがマイクロボアチューブを含む、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記複数のスプラインが、前記チューブ部分の前記内側円周表面の周りで互いから均等に離間されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記複数のスプラインの各スプラインの長さが、前記チューブ部分の前記内側円周表面の前記長さの一部分に亘っている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記複数のスプラインの各スプラインの前記長さが、前記内側円周表面の前記長さの半分以下に亘っている、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記凹部が0.00254mm(0.0001インチ)から0.0508mm(0.002インチ)の範囲内の深さを有する、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記複数のスプラインの各スプラインの高さが、前記チューブ部分のポートに向かう方向に次第に減少している、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記チャネルが、内部に溶剤を収容するように構成され、前記結合構成において、前記溶剤が、前記チューブの前記外部表面を前記チューブ部分の前記内側円周表面に接合するように構成されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記ボディが前記チューブ部分と前記ルアー部分との間に配置された制限部をさらに有し、前記制限部が、第1の端部、第2の端部、及び前記第2の端部から軸方向に延びる突出部を有し、
前記結合構成において、前記突出部が前記チューブと係合し、それにより前記制限部の前記第2の端部と前記チューブとの間にシールを形成する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項13】
ボディを有するコネクタであって、
前記ボディが、
チューブ・プロフィール、及び軸方向において前記チューブ・プロフィールと向かい合い且つ前記チューブ・プロフィールに接続されたルアー・プロフィールと、
前記ルアー・プロフィールと前記チューブ・プロフィールとの間に挿置された制限部であって、前記制限部が、前記ルアー・プロフィールに沿った第1の端部、前記チューブ・プロフィールに沿った第2の端部、及び前記第2の端部から軸方向に延びる突出部を有する、制限部と、
少なくとも前記チューブ・プロフィール内に内部長手方向ボアを画定する内側円周表面であって、前記突出部が前記内部長手方向ボア内に延びている、内側円周表面と
を有し、
前記内側周表面が、前記チューブ・プロフィールに沿った前記内側周表面の長さに沿って直線的に延びる複数のスプラインをさらに有し、それにより前記複数のスプラインは前記内部長手方向ボアと平行に延び、
前記内側円周表面が、結合構成においてチューブの外部表面と係合するように構成され、
前記結合構成において、前記突出部が前記チューブを握持し、それにより前記制限部の前記第2の端部と前記チューブとの間にシールを形成する、コネクタ。
【請求項14】
前記突出部が、前記内部長手方向ボアの中心軸を中心として円状に配置されており、且つ前記制限部の前記第2の端部と前記チューブとの間に前記シールを形成するように前記チューブに食い込むように構成されている、請求項13に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記結合構成において、前記複数のスプラインのエッジが前記チューブの前記外部表面を握持し且つ前記チューブの前記外部表面と係合し、それにより前記チューブを前記ボディ内に保持する、請求項13に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記複数のスプラインの隣接するスプラインの各ペアがそれらの間にチャネルを画定し、前記チャネルの各々が、前記内側円周表面の長さに沿って軸方向に延びる凹部を有する、請求項15に記載のコネクタ。
【請求項17】
請求項1に記載のコネクタを製造する方法であって、
第1のコア・ピン及び第2のコア・ピンを提供するステップであって、前記第1のコア・ピンが、互いに接続されたルアー成形部分及び制限部成形部分を有する第1のコア・ピン・ボディを有し、前記第2のコア・ピンが、互いに接続されたベース部分及びチューブ成形部分を有する第2のコア・ピン・ボディを有し、複数の軸方向に延びる歯及び軸方向に延びる凹部が、前記チューブ成形部分の径方向外側部分に沿って形成されている、ステップと、
前記コネクタの前記ルアー部分を形成する展性材料の第1の部分の中に前記第1のコア・ピンを挿入し、また前記コネクタの前記チューブ部分を形成する前記展性材料の第2の部分の中に前記第2のコア・ピンを挿入するステップであって、前記第1及び第2のコア・ピンが軸方向に位置合わせされ、且つ反対側の端部から前記展性材料の中に挿入される、ステップと、
前記軸方向に延びる歯及び前記軸方向に延びる凹部を、前記コネクタの前記チューブ部分を形成する前記展性材料に接触させるステップであって、それにより前記コネクタの前記内側円周表面内に前記複数のスプライン及び複数の凹部を画定する、ステップと
を含む方法。
【請求項18】
前記第1のコア・ピンが、その遠位端に制限部成形部分をさらに有し、前記第2のコア・ピンが、その遠位端に軸方向突出部形成プロフィールをさらに有し、
前記第1及び第2のコア・ピンの前記遠位端を接触させるステップであって、それにより前記第1のコア・ピンの前記遠位端が、前記第2のコア・ピンの前記遠位端のところの空洞、及び前記制限部成形部分と前記軸方向突出部形成プロフィールとの間の空間内に少なくとも部分的に受けられる、ステップと、
前記空間を前記展性材料で埋めることにより、前記制限部成形部分と前記軸方向突出部形成プロフィールとの間の前記空間内に軸方向突出部を形成するステップと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記軸方向に延びる歯の各々の高さが0.00254mm(0.0001インチ)から0.0508mm(0.002インチ)の範囲内である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、医療コネクタに関し、より詳細には、チューブ内の流体の減少を原因として医療コネクタに結合されるチューブがコネクタから外れたり又は分離したりするのを防止するための保持機構と、チューブとコネクタとの間で流体が誤って漏洩するのを防止するための密閉機構とを有する医療コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野では、流体が頻繁に輸液として投与される。可撓性静脈(IV:intravenous)バッグなどの医療用流体を保持する容器が、1つ又は複数の取付具又はコネクタを有するチューブを含む使い捨てのIVセットにより、IVニードルなどの輸液用デバイスに接続される。IVセットは、中間ポート又は接続ポイントをさらに有する可能性があり、ここに、追加の流体容器が流体を導入するか又は抜き取るために接続され得る。チューブは、チューブの内部に挿入された1つ又は複数の機械的アタッチメントの形態によって、及び取付具の内部ポケットとチューブの外部表面との間の溶剤溶接(solvent weld)などの接続手法によって、取付具又はコネクタに接続される。
【0003】
医療コネクタは、静脈(IV)流体ラインとの接続、血液アクセス、血液透析、腹膜透析、経腸栄養法、薬物バイアルのアクセス(drug vial access)などに使用されるような流体送達システムで広く使用されている。医療コネクタは一般に2つの流体ライン又はチューブを接続することができる。
【発明の概要】
【0004】
医療コネクタは、その一方の端部で流体ライン又はチューブを受けるための中空管状構造であってよい。コネクタが、チューブから入ってくる流体を反対側の端部からコネクタの外に出すための流れ経路を提供する。チューブ内に流体が存在することにより、チューブの外側表面と医療コネクタの内側表面との間に気密シールが形成され得る。気密シールがチューブを医療コネクタから分離するのを防止することができる。しかし、チューブの中に流体が存在しない場合又はチューブ内の流体の量が減少する場合、気密シールが脆化する可能性があり、チューブがコネクタから容易に分離する可能性があり、それにより「自由流れ」の漏洩(free flow leak)が発生する可能性がある。
【0005】
さらに、マイクロボアチューブが使用される場合、接合のためのマイクロボアチューブの表面積が最小になることにより、マイクロボアチューブをコネクタ内で保持することにおけるさらなる問題が生じる。
【0006】
本開示の種々の実施例によると、コネクタが、チューブ部分、及び軸方向においてチューブ部分の反対側にあってチューブ部分に接続されるルアー部分を有するボディと、コネクタの内部ボアを画定する内側円周表面とを有する。内側円周表面がチューブ部分とルアー部分との間を軸方向に延在し、内部ボアがチューブ部分及びルアー部分と流体連通している。内側円周表面が、コネクタのチューブ部分内で内側円周表面の長さに沿って軸方向に延在する複数のスプラインを有する。内側円周表面が、結合構成でチューブの外部表面と係合するように構成される。結合構成において、ボディ内でチューブを保持するために、スプラインのエッジがチューブの外部表面を握持し、チューブの外部表面に係合される。
【0007】
本開示の種々の実施例によると、コネクタが、チューブ・プロフィール及び軸方向においてチューブ部分の反対側にあってチューブ部分に接続されるルアー・プロフィールと、ルアー・プロフィールとチューブ・プロフィールとの間に挿置される制限部と、少なくともチューブ・プロフィール内に内部ボアを画定する内側円周表面と、を有するボディを有する。制限部が、ルアー・プロフィールに沿う第1の端部、チューブ・プロフィールに沿う第2の端部、及び第2の端部から軸方向に延在する突出部を有し、突出部が内部ボアの中まで延在する。内側円周表面が、結合構成でチューブの外部表面と係合するように構成される。結合構成では、突出部が、制限部の第2の端部とチューブとの間にシールを形成するためにチューブを握持する。
【0008】
以下の図は実施例の特定の態様を示すために含まれるものであり、排他的な実施例とみなされるべきではない。開示される主題は、当業者であれば思い付くような、本開示の恩恵を受ける、形態及び機能の相当な修正、変更、組合せ、及び均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のいくつかの実施例による、本開示の原理を採用することができる医療コネクタを有するIVセットを示す斜視図である。
図2】本開示のいくつかの実施例による、図1の医療コネクタを示す断面図である。
図3】本開示のいくつかの実施例による、図2のコネクタのチューブ・セクションの軸方向スプライン及びチャネルを示す部分断面図である。
図4】本開示のいくつかの実施例による、図2のコネクタのチューブ・セクションの軸方向スプライン及びチャネルを示す拡大部分図である。
図5】本開示のいくつかの実施例による、中に挿入されるチューブを有する図2のコネクタを示す断面図である。
図6】本開示のいくつかの実施例による、図2のコネクタの内側円周表面上にチューブ・プロフィール及びルアー・プロフィールを形成するのに使用されるコア・ピンを示す図である。
図7】本開示のいくつかの実施例による、中に配置された図6のコア・ピンを有する図2のコネクタ(想像線で示される)を示す切断図である。
図8】本開示のいくつかの実施例による図7の線8-8に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の種々の実施例は、接合のための最小の表面積を有するマイクロボアチューブを使用するIVセットのための、チューブ保持を強化されたコネクタを提供することを対象とする。
【0011】
本開示の種々の実施例はさらに、チューブ(例えば、マイクロボアチューブ)の外部表面とコネクタの内部表面との間で流体が誤って漏洩するのを防止するために向上した密閉能力を有するコネクタを提供することを対象とする。
【0012】
開示される実施例は、チューブ内での流体の不在時(又は減少時)に、コネクタに結合されるマイクロボアチューブがコネクタから外れる及び/又は分離するのを防止するための保持機構を有するコネクタを対象とする。本明細書で開示される実施例はさらに、コネクタ内でチューブを保持するための及びチューブとコネクタの内側表面との間を密閉するための制限機構を有するコネクタを対象とする。本明細書で開示されるように、保持機構が、コネクタのチューブ部分の内側円周に沿って軸方向に延在する複数のスプラインを有することができる。流体ライン(チューブ)がチューブ部分の中に挿入されるとき、軸方向スプラインのエッジが、コネクタのチューブ部分内でのチューブ保持を強化するために、チューブの中に食い込んでチューブを握持する。例えば、流体ラインが締まり嵌めによりチューブ部分の中に挿入され得、したがって、流体ラインの外径がチューブ部分の内径よりわずかに大きい。結果として、チューブをコネクタから分離したり又は外したりするためには、比較的大きい引張力をチューブに作用させることが必要となる。したがって、チューブが誤って分離することが最小となり得る。
【0013】
さらに、有利には、隣接する隣り合うスプラインが、コネクタのチューブ部分の内側円周に沿って軸方向に延在する対応する凹部又はチャネルをそれらの間に画定する。したがって、流体ライン又はチューブをチューブ部分に接合するための大量の溶剤が最高レベルの接合のためにチャネルの中に集められ得る。これにより溶剤が一様に広がることが保証され、接合面上で流体が押しつぶされる可能性が排除される。これは従来のコネクタと流体ラインとの接合技法とは対照的であり、従来の技法では、溶剤がコネクタの中に流れ込み、チューブをコネクタの中に挿入するときにチューブにより溶剤が押しつぶされ、それにより接合のためのチューブとコネクタとの間での溶剤の表面積が低減されてしまう。
【0014】
本明細書で開示されるように、制限機構が、径方向突出部、密閉リング、又は、チューブを保持することができる、別法としての、棘付きフィッティング、棘付きエッジ、又は同様の構造、を有することができる。制限機構が、低圧状態中(例えば、チューブ内での流体の不在中)にチューブとコネクタの内側表面との間でシールを維持するのを保証する。その理由は、チューブとコネクタとの間に締まり嵌めが形成されるからである。結果として、チューブをコネクタから分離したり又は外したりするためには、比較的大きい引張力をチューブに作用させることが必要となる。したがって、チューブが誤って分離することが最小となり得る。
【0015】
いくつかの実施例では、制限機構が、チューブをコネクタの中に挿入するときのコネクタ内でのチューブの延在量を制限する1つ又は複数の径方向突出部又は突起部をコネクタの内部表面上に有することができる。後で考察するように、チューブを受ける端部の反対側の端部のところのコネクタが雌型ルアー取付具を有することができる。制限機構が、組み立て中に雌型ルアー取付具の中までチューブが延在するのを防止し、それにより医療コネクタの正確な動作を保証する。
【0016】
開示される実施例による医療コネクタの別の利点が、医療コネクタの製造コストが有意に増大しないことである。例示の医療コネクタを製造するために、既存の製造設備が最小コストで修正され得る。例えば、医療コネクタを製造するのに使用される射出成形設備のコア・ピンが、軸方向スプライン及びチャネル、並びに制限機構を作るために再設計され得る。
【0017】
本明細書で使用される「チューブ」、「流体ライン」という用語、及びその任意の変化形は、医療ケア下で、液体、溶剤、又は流体(ガスを含む)を患者まで送達するか又は患者から送達するのに使用される医療ライン又は医療用管を意味する。例えば、流体ライン(チューブ)が、流体の静脈(IV)内送達、流体排出、酸素運搬、及びその組合せなどのために使用され得る。
【0018】
本明細書で使用される「医療コネクタ」、「コネクタ」、「フィッティング(取付具)」という用語、及びその任意の変化形が、コネクタに結合される2つ以上の流体ラインの間に流体流れ経路を提供するのに使用される任意のデバイスを意味する。例えば、医療コネクタが接合部ポケット(bond pocket)又は他の種類のコネクタであってよいか或いは接合部ポケット又は他の種類のコネクタを有することができる。
【0019】
図1が、本開示のいくつかの実施例による、本開示の原理を採用することができる医療コネクタ100を有するIVセット10の斜視図を描いている。描かれるように、IVセットが、患者に投与すべき食塩液又は他の流体を有することができるか又は収容することができる流体バッグ2などの流体源を有することができる。示されるように、第1のチューブ6が、液滴チャンバ4からコネクタ100を通して第2の流体ライン又はチューブ170の中まで流れを運ぶ。IVポンプ(図示せず)が、第2のチューブ170を介して流体システム2から流体を受け取り、そこからの流体を制御して患者まで計量分配する。後でさらに詳細に説明されるように、コネクタ100の管状部分が、第2のチューブ170を受けるように構成される内部ボアを有する。本開示では、第2のチューブ170がマイクロボアチューブ又はスモールボアチューブとして説明され、したがって、コネクタ100が、マイクロボアチューブを受けて保持するように構成されるものとして説明される。しかし、本明細書で説明されるコネクタの種々の実施例が、例えば、マクロボアチューブ又はラージボアチューブなどの、他の種類のチューブに適用され得る。
【0020】
図2が、開示される実施例による図1の医療コネクタ100の断面図を示す。示されるように、医療コネクタ100(又は簡単には、コネクタ)が、「第1」の部分又はチューブ部分103と、軸方向においてチューブ部分103の反対側にあってチューブ部分103に接続される「第2」の部分又はルアー部分105とを有する概略円筒形ボディ101を有することができる。いくつかの実施例では、ボディ101が、ボディ101の外側表面に沿って配置されるグリップ107をさらに有することができる。チューブ部分103が、後で説明するように、流体ライン(以降、「チューブ」と称される)を受けるようにサイズ決定及び成形されるか又は他の形で構成されるチューブ・ポート120を有することができる。同様に、ルアー部分105が、雄型ルアーコネクタを受けるようにサイズ決定及び成形されるか又は他の形で構成されるルアー・ポート125を有することができる。描かれるように、ボディ101が、チューブ・ポート120からルアー・ポート125まで延在してチューブ・ポート120及びルアー・ポート125を互いに流体的に接続する長手方向内部通路又は孔140を画定する。
【0021】
描かれる実施例では、内部ボア140がボディ101の内側円周表面112によって画定され、チューブ・ポート120からルアー・ポート125まで繋がっている。いくつかの実施例では、チューブ部分103及びルアー部分105の中の内側円周表面112が2つの非類似のプロフィールを有する。具体的には、チューブ部分103内の内側円周表面112がチューブ・プロフィール135を有し、ルアー部分105内の内側円周表面115がルアー・プロフィール133を有する。コネクタ100のチューブ・プロフィール及びひいてはチューブ部分103がチューブを受けるようにサイズ決定及び成形される(又は、他の形で構成される)。具体的には、チューブ・プロフィール135が、マイクロボアチューブ170を受けるようにサイズ決定され得、成形され得、及び他の形で構成され得る(後でより詳細に説明される)。例えば、0.254cm(0.100インチ)未満の内径を有するチューブ、また具体的には、約0.201cm(0.079インチ)以下の外径を有するチューブが、「スモールボア」又は「マイクロボア」とみなされ、チューブ・プロフィール135内に画定される内部ボア140などのチューブ・ポケットの中に接合される。0.254cm(0.100インチ)を超える内径を有するチューブが、通常、「マクロボア」とみなされる。本開示の例示の実施例は、「スモールボア」チューブ又は「マイクロボア」チューブの形態であるチューブ及び「スモールボア」チューブ又は「マイクロボア」チューブのためのポケット接合部に関連して示され、本明細書で説明される。しかし、本開示の種々の実施例は上で言及した構成のみに限定されず、「ラージボア」チューブ又は「マクロボア」チューブ及び関連のコネクタにも、さらには任意の他の中間サイズのチューブ及び「マイクロボア」コネクタと「マクロボア」コネクタとの間の任意の他のコネクタにも、同様に適用され得る。コネクタ100のルアー・プロフィール133及びひいてはルアー部分105が、雄型ルアー取付具を受けるようにサイズ決定及び成形され得る(又は、他の形で構成され得る)。ルアー・プロフィール133及びひいてはルアー部分105がISO-594準拠となり得る。
【0022】
組み立て中、コネクタ100の中に挿入されるか、コネクタ100の中を前進するか、又は他の形でコネクタ100の中に「滑り入る」チューブの延在量を制限するために、内側円周表面115が制限機構(以降、「制限部(restriction)130」と称される)を有することができる。制限部130が内側円周表面115から径方向内側に突出するように画定され得、ルアー・プロフィール133とチューブ・プロフィール135との間に挿置され得る。いくつかの実施例では、制限部115が、ルアー・プロフィール133内に画定される内部ボア140の中へのチューブの挿入のための停止部として機能する。したがって、制限部130が、チューブ・プロフィール135内に画定される内部ボア140の最小径D1より小さい直径D2(図6に示される)を有することができる。
【0023】
いくつかの実施例によると、チューブ部分103のチューブ・プロフィール135が、コネクタ100の中に挿入されるマイクロボアチューブ170を保持するための及びひいてはコネクタ100からマイクロボアチューブ170が分離する(又は、他の形で外れる)のを防止するための、コネクタ100の能力を向上させるための保持機構を有することができる。例えば、保持機構が、チューブ内の流体の減少を原因として作られるチューブ内の低圧状態中にコネクタ100からマイクロボアチューブ170が分離する(又は、他の形で外れる)のを防止することができる。実例として、示されるように、保持機構が、コネクタ100のチューブ部分130の内側円周表面112に沿って軸方向に延在する複数のスプライン115であってよいか又はこのような複数のスプライン115を有することができる。マイクロボアチューブ170(図5に示される)がコネクタ100のチューブ部分103の中に挿入されるとき、チューブ部分103内の内側円周表面112が結合構成でマイクロボアチューブ170の外部表面と係合するように構成される。例えば、マイクロボアチューブ170がチューブ部分103の中に挿入されるとき、軸方向スプライン115のエッジ135が、コネクタのチューブ部分内でのチューブ保持を強化するために、チューブの外部表面の中に食い込んでチューブの外部表面を握持することができる。したがって、結合構成では、マイクロボアチューブ170が締まり嵌めによりチューブ部分の中に挿入され得、その結果、軸方向スプライン115のエッジ135がマイクロボアチューブ170の外部表面の中に食い込み、マイクロボアチューブ170の外部表面を握持し、マイクロボアチューブ170の外部表面と係合し、それによりコネクタ100のチューブ部分103内でマイクロボアチューブ170を保持する。上で言及した構成には、本開示の範囲から逸脱することなく、軸方向スプライン115のエッジ135がマイクロボアチューブ170の外部表面の中に食い込み、マイクロボアチューブ170の外部表面を握持し、マイクロボアチューブ170の外部表面と係合すると、マイクロボアチューブ170と内側円周表面112との間の摩擦が増大し、その結果、マイクロボアチューブ170がコネクタ100から容易に外れ得なくなる、という利点がある。例えば、マイクロボアチューブ170の外部表面に食い込む(bite)か又はその中に突っ込む(dig)ことにより、コネクタ100からマイクロボアチューブ170を取り外そうとするような引張力(図5に示される矢印Fによって示される方向)がマイクロボアチューブ170に加えられるときに軸方向スプラインがコネクタ100とマイクロボアチューブ170との間の摩擦を増大させることができる。結果として、有利には、コネクタ100からマイクロボアチューブ170を取り外すか又は他の形で外すのに必要となる引張力が増大し、したがってマイクロボアチューブ170がコネクタ100内でより良好に固定されて保持される。さらに、マイクロボアチューブ170内の流体が径方向外向きの方向の圧力を作用させることができ、それによりマイクロボアチューブ170と内側円周表面112との間の摩擦をさらに増大させることができる。
【0024】
いくつかの実施例によると、隣接する隣り合うスプライン115がその間に対応する凹部又はチャネル145を画定する。同様に、チャネル145がコネクタ100のチューブ部分103の内側円周表面112に沿って軸方向に延在する。有利には、チューブ部分103内に画定される内側円周表面135に対してマイクロボアチューブ170を接合するための大量の溶剤が最高レベルの接合のためにチャネル145の中に集められ得る。具体的には、チャネル145内に溶剤を集めることにより、チューブ部分103の内側円周表面135に対してマイクロボアチューブ170を接合するのに大量の溶剤を利用することが可能となる。チャネル145の中に溶剤が集められることにより、溶剤が一様に広がることになり、チューブ部分103の接合面上で流体が押しつぶされる可能性が排除される。したがって、チューブ部分103の内側円周表面135に対してマイクロボアチューブ170を接合するのに利用される溶剤が最大量で留まることになり、さらに強化されたチューブ保持が達成され得る。これは従来のコネクタとチューブとの接合技法とは対照的であり、従来の技法では、溶剤がコネクタの中に流れ込むことで、流体ライン/チューブがコネクタの中に挿入されるとき溶剤がチューブにより押しつぶされることになり、それによりチューブとコネクタとの間での溶剤の表面積が低減されてしまう。
【0025】
図3が、本開示のいくつかの実施例による、図2のコネクタのチューブ・セクションの軸方向スプライン及びチャネルの部分断面図である。図4が、本開示のいくつかの実施例による、図2のコネクタのチューブ・セクションの軸方向スプライン及びチャネルを示す拡大部分図である。
【0026】
図3及び4を参照すると、及び図2を継続して参照すると、各々の軸方向スプラインが、第1の傾斜表面117、第2の傾斜表面119、及び第1の傾斜表面117と第2の傾斜表面119との間に挿置されるエッジ135によって画定され得る。描かれるように、軸方向スプラインがスプライン歯車の歯の形状として形成され得る。チャネル145が隣接するスプライン115の間に画定されることを理由として、各々のチャネル145が、頂点121のところで交わる隣接する第1の傾斜表面117及び第2の傾斜表面119によって画定される。しかし、軸方向スプライン115及びチャネル145の形状は上で言及した構成のみに限定されない。例えば、軸方向スプライン115がマイクロボアチューブ170の外側表面の中に「食い込む」か、マイクロボアチューブ170の外側表面の中に「突っ込む」か、マイクロボアチューブ170の外側表面を握持するか、又はマイクロボアチューブ170の外側表面と他の形で係合する限りにおいて、且つ、チャネル145が中に溶剤を収容するのに十分な深さを有する凹部を形成する限りにおいて、軸方向スプライン115及びチャネル145は任意特定の形状又はサイズに限定されなくてよい。
【0027】
いくつかの実施例によると、軸方向スプライン115及びチャネル145が、チューブ部分103の内側円周表面112に沿って規則的な間隔で配置され得る。しかし、他の実施例では、軸方向スプライン115及びチャネル145が、チューブ・プロフィール135の内側円周表面112に沿って不規則な間隔で配置されてもよい。
【0028】
いくつの実施例によると、隣接するスプラインの第1の傾斜側面117と第2の傾斜側面119との間の角度αが、約30度から150度、より一般的には約60度から120度、又は80度から100度の範囲であるか、或いはいくつかの事例では約90度である。特定の範囲が記載されるが、下限のうちの最も小さい値から上限のうちの最も大きい値までのすべての範囲が含まれ、これには、この全範囲における又は具体的に記載される任意の範囲における、すべての中間範囲又は特定の角度が含まれる、ことを理解されたい。
【0029】
いくつかの実施例では、頂点121から各スプラインのエッジ135までで測定される各々のスプラインの高さが、約0.000254cm(0.0001インチ)から0.00508cm(0.002インチ)、より一般的には約0.00127cm(0.0005インチ)から0.00495cm(0.00195インチ)、又は0.00254cm(0.001インチ)から0.00508cm(0.002インチ)の範囲であってよいか、或いはいくつかの事例では約0.00381cm(0.0015インチ)であってよい。したがって、隣接するスプライン115によって画定される各々のチャネル145の深さは、約0.000254cm(0.0001インチ)から約0.00508cm(0.002インチ)、より一般的には約0.00127cm(0.0005インチ)から0.00495cm(0.00195インチ)、又は0.00254cm(0.001インチ)から0.00508cm(0.002インチ)の範囲であってよいか、或いはいくつかの事例では約0.00381cm(0.0015インチ)であってよい。特定の範囲が記載されるが、下限のうちの最も小さい値から上限のうちの最も大きい値までのすべての範囲が含まれ、これには、この全範囲における又は具体的に記載される任意の範囲における、すべての中間範囲又は特定の寸法が含まれる、ことを理解されたい。
【0030】
いくつかの実施例では、各々のチャネルの深さがチューブ・ポート120に向かう方向にテーパ状(先細、又は漸減状)になっている。例えば、各々のチャネル145が制限部130の第2の端部155に隣接する領域に最大深さを有することができる。チャネル145がチューブ・ポート120に接近するにつれて、各々のチャネル145が終端するところまで、各々のチャネル145の深さが漸進的に減少していてよい。
【0031】
再び図2を参照すると、各々の軸方向スプライン115の長さが、チューブ部分103の内側円周表面112の長さの一部分に及ぶ。いくつかの実施例では、軸方向スプライン115の長さが、チューブ部分103の内側円周表面112の長さの約10%から90%の間、より一般的には約25%から75%の間、約40%から60%の間に及ぶか、或いはいくつかの事例ではチューブ部分103の内側円周表面112の長さの約50%に及ぶ。チャネル145が隣接する軸方向スプライン115の間に画定されることを理由として、各々のチャネル145の長さが同様に、チューブ部分103の内側円周表面112の長さの約10%から90%の間、より一般的には約25%から75%の間、約40%から60%の間に及んでよいか、或いはいくつかの事例ではチューブ部分103の内側円周表面112の長さの約50%に及んでよい。特定の範囲が記載されるが、下限のうちの最も小さい値から上限のうちの最も大きい値までのすべての範囲が含まれ、これには、この全範囲における又は具体的に記載される任意の範囲における、すべての中間範囲又は特定の割合が含まれる、ことを理解されたい。誤って流体が漏洩するのを防止するために、さらには誤って溶剤がチューブ部分103から漏出するのを防止するために、チャネルが確実にチューブ・ポートの全体にわたって延在していないことが有利である。
【0032】
図5が、本開示のいくつかの実施例による、中に挿入されるマイクロボアチューブ170を有する図2のコネクタ100の断面図である。上で説明したように、コネクタ100が制限部130を有することができる。図5に示されるように、制限部130が、ルアー・プロフィール133に沿って画定される第1の表面150と、チューブ・プロフィール135に沿って画定される第2の表面155とを有することができる。描かれる実施例では、第2の表面155が、チューブ・プロフィール135の内側円周表面112から径方向内側に一定の角度で突出する(又は、他の形で突き出る)径方向突出部160を有することができる。径方向突出部160が、マイクロボアチューブ170の第1の端部の中に食い込むか、マイクロボアチューブ170の第1の端部を握持するか、又はマイクロボアチューブ170の第1の端部と他の形で係合するように構成され得、それにより制限部130の第2の表面155とマイクロボアチューブ170との間にシールを形成し、それによりマイクロボアチューブ170の外部表面172とチューブ部分103内に画定される内側円周表面112との間で誤って流体が漏洩するのを防止する。いくつかの実施例では、径方向突出部160が内部ボア140の中心軸Xを中心として円状に配置される。
【0033】
径方向突出部160が、マイクロボアチューブ170の外側表面とチューブ部分103内に画定される内側円周表面112との間で誤って流体が漏洩するのを防止する密閉リングを形成することができる。いくつかの実施例では、径方向突出部160が、マイクロボアチューブ170の第1の端部の中で十分に「食い込む」か又はマイクロボアチューブ170の第1の端部と他の形で十分に係合するための刻み目を有するように形成され得る。
【0034】
いくつかの実施例では、内部ボア140の中へ径方向突出部160が突出する最大距離が、マイクロボアチューブ170の厚さ以下である。これにより、コネクタ100の中に挿入されるチューブを流体が移動するのを径方向突出部160により妨げられることが防止される。制限部130がコネクタ100の中に挿入されるチューブの延在を防止する限りにおいて、制限部130は特定の形状又はサイズに限定されなくてよい。
【0035】
したがって、いくつかの実施例では、径方向突出部160がさらに、例えば、チューブ内の流体の減少を原因として作られるチューブ内の低圧状態中に、中に挿入されるマイクロボアチューブ170を保持するための及びそれによりコネクタ100からマイクロボアチューブ170が分離する(又は、他の形で外れる)のを防止するためのコネクタ100の能力を向上させるための保持機構として機能することができる。実例では、示されるように、径方向突出部160が、チューブ部分とルアー部分105との間に境界部分のところに配置され得るか又はこの境界部分に隣接するように配置され得る。描かれるように、径方向突出部160が、内側円周表面112から、チューブ部分103内に画定される内部ボア140の中へ一定の距離で径方向内側に突出することができる。実例では、径方向突出部160が、内側円周表面115から延在するスパイクのような構造であってよい。
【0036】
したがって、有利には、径方向突出部160が、マイクロボアチューブ170の外側表面と内側円周表面112との間の摩擦を増大させる構造であってよく、その結果、本開示の範囲から逸脱することなく、マイクロボアチューブ170がコネクタ100から容易に外れ得なくなる。いくつかの実施例では、径方向突出部160が、マイクロボアチューブ170をコネクタ100の中に挿入するか又はコネクタ100の中へ前進させるときにマイクロボアチューブ170をわずかに圧縮するように構成されるわずかな刻み目を有する傾斜部分として構成され得る。マイクロボアチューブ170が引かれてコネクタから引き抜かれる場合、傾斜部分の頂部分、及びいくつかの実施例では刻み目部分が、図5に示されるように、コネクタ100内でマイクロボアチューブ170を固定することになる。いくつかの実施例では、後でさらに説明するように、マイクロボアチューブ170をコネクタ100の中から引き抜こうとする場合、傾斜部分の頂部又は刻み目部分がマイクロボアチューブ170の中に食い込むことになるか又はマイクロボアチューブ170を握持することになる。
【0037】
図5を参照すると、及び継続して図2を参照すると、マイクロボアチューブ170が概して矢印Aの方向においてコネクタ100の中に挿入され得、径方向突出部160が、コネクタ100の中にマイクロボアチューブ170を挿入する方向の概して方向付けられるテーパ状の遠位端162を有することができる。マイクロボアチューブ170は比較的容易にコネクタ100の中に挿入され得る。しかし、コネクタ100からマイクロボアチューブ170を取り外すために引張力(矢印Fによって示される方向)が加えられる場合、径方向突出部160がコネクタ100とマイクロボアチューブ170との間の摩擦を増大させることができる。結果として、有利には、コネクタ100からマイクロボアチューブ170を取り外そうとするか又は他の形で外そうとするのに必要な引張力が増大し、したがってマイクロボアチューブ170がコネクタ100内でより良好に固定されるようになる。さらに、マイクロボアチューブ170内の流体が径方向外向きの方向の圧力を作用させることができ、それによりマイクロボアチューブ170と径方向突出部160との間の摩擦をさらに増大させることができる。
【0038】
図中の内側円周表面112上の径方向突出部のロケーションが単に例であり、本開示の範囲から逸脱することなくこのロケーションが変更され得ることに留意されたい。さらに、図は1つの径方向突出部を示すが、径方向突出部は例えば突起部及び/又は棘付き構造部に交換されてもよく、その数は限定されなくてよく、本開示の範囲から逸脱することなく増やされても又は減らされてもよい。例えば、複数の突起部が、チューブ部分103内の内側円周表面122に沿って規則的な間隔で配置され得る。しかし、他の実施例では、突起部が内側円周表面112に沿って不規則な間隔で配置されてもよい。同様に、複数の棘付き構造部が、チューブ部分103内の内側円周表面122に沿って規則的な間隔で配置され得る。しかし、他の実施例では、棘付き構造部が不規則な間隔で配置されてもよい。棘付き構造部の円周方向の延在量は内側円周表面112の四分円の約4分の1であってよい。しかし、他の実例では、本開示の範囲から逸脱することなく、棘付き構造部の円周方向の延在量は用途又はデザインによって必要とされる場合に増減され得る。
【0039】
図6が、本開示のいくつかの実施例による、図2のコネクタ100の内側円周表面112上にチューブ・プロフィール135及びルアー・プロフィール133をそれぞれ形成するのに使用されるコア・ピン201及び203を示す。いくつかの実施例によると、コネクタ100が射出成形プロセスを利用して製造され得る。しかし、本開示の範囲から逸脱することなく、コネクタ100を製造するのに他の製造プロセスが利用されてもよい。実例では、コア・ピン201が内側円周表面112のルアー・プロフィール133を形成することができ、コア・ピン203が内側円周表面112のチューブ・プロフィール135を形成することができる。簡潔さのために、ボディ101の外側表面上の構造部(例えば、グリップ107)を作るのに利用される処理ステップ及びモールドは省かれる。
【0040】
描かれるように、コア・ピン201が、ルアー成形部分206及び制限部成形部分208を有する概して細長いボディ202を有する。ルアー成形部分206が、制限部成形部分208の直径より大きい直径を有する概略円筒形の外側表面212を有する。ルアー成形部分206の外側表面212がルアー・プロフィール133(図2に示される)を形成するように成形される。制限部形成プロフィール210が、ルアー成形部分206の遠位端211の近傍で外側表面212上に形成され得る。
【0041】
いくつかの実施例によると、コア・ピン203が、円筒形の外側表面226を有するベース部分225と、円筒形の外側表面222を有するチューブ成形部分220とを有する概して細長いボディ222をさらに有する。いくつかの実施例では、ベース部分225の直径D4がチューブ成形部分220の直径D3より大きい。円筒形の外側表面222が、チューブ部分103のチューブ・プロフィール135(図2)を形成するように成形及びサイズ決定される。描かれる実施例では、チューブ成形部分220の円筒形の外側表面222が、外側表面222の径方向外側部分に沿って形成される複数の軸方向に延在する歯224を有するように形成され得る。隣接する歯224がそれらの間に凹部215を画定することができる。後で説明されるように、製造中、歯224がチャネル145の形状を画定し、凹部215がコネクタの軸方向スプライン115の形状を画定する。
【0042】
描かれる実施例では、各々の軸方向に延在する歯224の長さが、チューブ部分103の内側円周表面112の長さの一部分に及んでよい。いくつかの実施例では、軸方向に延在する歯224の長さが、チューブ部分103の内側円周表面112の長さの約10%から90%の間、より一般的には約25%から75%の間、約40%から60%の間に及ぶか、或いはいくつかの事例ではチューブ部分103の内側円周表面112の長さの約50%に及ぶ。凹部215が隣接する軸方向に延在する歯224の間に画定されることを理由として、各々の凹部の長さが同様に、チューブ部分103の内側円周表面112の長さの約10%から90%の間、より一般的には約25%から75%の間、約40%から60%の間に及んでよいか、或いはいくつかの事例ではチューブ部分103の内側円周表面112の長さの約50%に及んでよい。特定の範囲が記載されるが、下限のうちの最も小さい値から上限のうちの最も大きい値までのすべての範囲が含まれ、これには、この全範囲における又は具体的に記載される任意の範囲における、すべての中間範囲又は特定の割合が含まれる、ことを理解されたい。
【0043】
図7が、本開示のいくつかの実施例による、中に配置された図6のコア・ピン201及び203を有する図2のコネクタ(想像線で示される)を示す切断図である。図8が、本開示のいくつかの実施例による、図7の線8-8に沿うコネクタ100及びコア・ピン203の断面図である。いくつかの実施例によると、コネクタ100が射出成形プロセスを利用して製造され得る。コネクタ100が、所望の形状となるように成形され得るプラスチック又は同様の材料で作られ得る。外部モールド(示されない)がコネクタ100の外部構造部を作るのに使用され得る。これらの外部構造部が、グリップ107、及び円筒形ボディ101の外側表面を含むことができる。内部ボア140、チューブ・プロフィール135、ルアー・プロフィール133、制限部130、及び径方向突出部160が、コア・ピン201及び203を使用して形成され得る。
【0044】
製造中、コネクタ100を形成する材料が、軸方向において互いに位置合わせされるコア・ピン201及び203を有する成形ツールの中に配置される。コア・ピン201及び203が同時に軸方向において反対側の端部から材料の中へ送られ得る。材料が所望の形状に成形されるように半固体の展性のある状態であってよい。コア・ピン201及び203が互いの方に送られ、最終的にコア・ピン201及び203が図7に示されるように結合される。
【0045】
再び図6を参照すると、コア・ピン203のチューブ成形部分220の遠位端219が、径方向内向きの角度を付けられる内側表面229及びそこを通過するように画定される空洞230をリングとして形成されることを含む、径方向突出部を形成するプロフィール228を有することができる。コア・ピン201及び203が互いに結合される場合、コア・ピン201の遠位端218が、径方向突出部を形成するプロフィール208によって画定される空洞230の中で部分的に受けられる。具体的には、描かれるように、コア・ピン201の遠位端218が、径方向突出部を形成するプロフィール228の内側表面229の径方向内側に同心円状に配置される。制限部成形部分208及び径方向突出部を形成するプロフィール228が協働して制限部130及び径方向突出部を形成する。具体的には、コア・ピン201及び203が互いに結合される場合、制限部成形部分208と径方向突出部を形成するプロフィール228との間に空隙が形成される。空隙が半固体の展性を有するコネクタの材料で埋められ、コネクタの材料がこの空隙の形状(つまり、径方向突出部160の形状)に成形される。
【0046】
さらに、製造中、コア・ピン201及び203が互いに結合されて半固体の展性を有するコネクタ材料が、軸方向において互いに位置合わせされるコア・ピン201及び203を有する成形ツールの中に配置されると、軸方向に延在する歯224がこの半固体の展性を有するコネクタ材料の中に穴を開けてその中に刻印を形成する。半固体の展性を有する材料がさらに凹部215を埋めることができ、凹部215によって画定される形状へ成形され得る。半固体の展性を有するコネクタ材料が固化すると、コア・ピン201及び203が取り外される。コア・ピン203が取り外されるとき、チューブ部分103の内側円周表面112に沿って軸方向に延在する凹部が作られ、ここが軸方向に延在する歯224によりコネクタ材料に穴が開けられたところとなる。軸方向に延在するチャネルが、チューブ部分103のチューブ・プロフィール135内の軸方向に延在するチャネル145に対応する。同様に、コア・ピン203が取り外されるとき、軸方向に延在するスプラインがチューブ部分103の内側円周表面112に沿って突出し、ここが半固体の展性を有するコネクタ材料が凹部215を埋めたところとなる。埋められた凹部215がチューブ部分103のチューブ・プロフィール135上に形成される軸方向スプライン115に対応する。
【0047】
上で説明したように、いくつかの実施例では、各々のチャネル145の深さがチューブ・ポート109に向かう方向においてテーパ状である。各々のチャネル145の深さがテーパ状であるのはチューブ・プロフィール135の構成によるものである。例えば、描かれるように、制限部130に隣接するチューブ・プロフィール135の端部のところの内部ボア140の直径D1は、チューブ・ポート120に隣接するチューブ・プロフィール135の端部のところの内部ボア140の直径D2より小さい。したがって、チューブ・プロフィール135は、チューブ・ポート120に隣接する端部から制限部130に隣接する端部に向かう方向においてテーパ状になっている。軸方向に延在する歯224を有するコア・ピン203が、コネクタ100を形成するのに使用される材料を有するモールド内に配置されると、歯224が、制限部130に隣接するチューブ・プロフィールのエリア内のコネクタ材料の中の深くまで食い込み(直径D1が小さいため)、チューブ・ポート120の方に向かうにつれてコネクタ材料の中のこの食い込みの深さが漸進的に小さくなる(チューブ・ポートの方に向かうにつれて直径がD2まで増加するため)。制限部130の隣接するチューブ・プロフィール135のエリアでは歯224がコネクタの中の深くに食い込むことから、このエリアでは、得られるチャネル145がチューブ・ポート120により接近するエリアよりも大きい深さを有し、得られる軸方向スプラインがより大きい高さを有する。
【0048】
上で言及した構成は、軸方向スプライン115が、制限部130に隣接するチューブ・プロフィールのエリアにおいてマイクロボアチューブ170の中のより深いところで食い込むことができる又はマイクロボアチューブ170を握持することができるという点で、有利であり、それにより、コネクタ100からマイクロボアチューブ170を分離するか又は外すためには比較的大きい引張力をマイクロボアチューブ170に作用させることが必要となる。したがって、コネクタ100からマイクロボアチューブ170が誤って分離することが最小となり得る。
【0049】
いくつかの実施例によると、軸方向スプライン115及びチャネル145がチューブ部分130の内側円周表面112に沿って規則的な間隔で配置され得る。しかし、他の実施例では、軸方向スプライン115及びチャネル145がチューブ・プロフィール135の内側円周表面112に沿って不規則な間隔で配置されもよい。
【0050】
いくつの実施例によると、隣接するスプラインの第1の傾斜側面117と第2の傾斜側面119との間の角度αが、約30度から150度、より一般的には約60度から120度、又は80度から100度の範囲であるか、或いはいくつかの事例では約90度である。特定の範囲が記載されるが、下限のうちの最も小さい値から上限のうちの最も大きい値までのすべての範囲が含まれ、これには、この全範囲における又は具体的に記載される任意の範囲における、すべての中間範囲又は特定の角度が含まれる、ことを理解されたい。
【0051】
いくつかの実施例では、軸方向スプライン115と同様に、各々の凹部215の深さが、約0.000254cm(0.0001インチ)から0.00508cm(0.002インチ)、より一般的には約0.00127cm(0.0005インチ)から0.00495cm(0.00195インチ)、又は0.00254cm(0.001インチ)から0.00508cm(0.002インチ)の範囲であってよいか、或いはいくつかの事例では約0.00381cm(0.0015インチ)であってよい。したがって、軸方向チャネル145と同様に、各々の軸方向に延在する歯224の高さHが、約0.000254cm(0.0001インチ)から0.00508cm(0.002インチ)、より一般的には約0.00127cm(0.0005インチ)から0.00495cm(0.00195インチ)、又は0.00254cm(0.001インチ)から0.00508cm(0.002インチ)の範囲であってよいか、或いはいくつかの事例では約0.00381cm(0.0015インチ)であってよい。特定の範囲が記載されるが、下限のうちの最も小さい値から上限のうちの最も大きい値までのすべての範囲が含まれ、これには、この全範囲における又は具体的に記載される任意の範囲における、すべての中間範囲又は特定の寸法が含まれる、ことを理解されたい。
【0052】
上記の記述は、本明細書で説明される種々の態様を当業者が実施するのを可能にするために提供されるものである。上記は最良の形態とみなされるもの及び/又は他の実例を説明しているが、これらの態様に対しての種々の修正形態が当業者には容易に明らかになること、及び本明細書で定義される一般的な原理が他の態様にも適用され得ることが理解されよう。したがって、特許請求の範囲は本明細書で示される態様のみに限定されることを意図されず、言語による特許請求の範囲(language claims)に矛盾しない全範囲を与えられるべきであり、ここでは、単数の要素に言及することは、特に明記されない限り「1つ且つ1つのみ」を意味することを意図されず、「1つ又は複数」を意味することを意図される。特に明記されない限り、「セット」及び「いくつかの」という用語は1つ又は複数を意味する。男性の代名詞(例えば、his)は女性及び中性(例えば、her及びits)も含み、逆も同様である。存在する場合の見出し及び小見出しは便宜のためのみに使用されるものであり、本発明を限定しない。
【0053】
開示されるプロセスのステップの特定の順序又は序列が例示のアプローチの例示であることを理解されたい。設計嗜好に基づき、プロセスのステップの具体的な順序及び序列が再構成され得ることを理解されたい。ステップのうちのいくつかのステップが同時に実施されてもよい。添付の方法クレームは見本の順序で種々のステップの要素を提示しており、提示される特定の順序又は序列のみに限定されることを意図されない。
【0054】
本開示で使用される、「頂部」、「底部」、「前方」、及び「後方」などの用語は、通常の重力座標系ではなく、任意の座標系を意味するものとして理解されるべきである。したがって、頂部表面、底部表面、前方表面、及び後方表面は、重力座標面において、上方、下方、斜め、又は水平に延在してもよい。
【0055】
「態様」などのフレーズは、これらの態様が主題のテクノロジに不可欠であること暗に意味しているわけではなく、また、これらの態様が主題のテクノロジのすべての構成に適用されることも暗に意味しているわけでもない。態様に関連する開示はすべての構成或いは1つ又は複数の構成に適用され得る。態様(an aspect)などのフレーズは1つ又は複数の態様(one or more aspects)を意味することができ、逆も同様である。「実施例」などのフレーズは、これらの実施例が主題のテクノロジに不可欠であること暗に意味しているわけではなく、また、これらの態様が主題のテクノロジのすべての構成に適用されることも暗に意味しているわけでもない。実施例に関連する開示はすべての実施例或いは1つ又は複数の実施例に適用され得る。実施例(an embodiment)などのフレーズは1つ又は複数の実施例(one or more embodiments)を意味することができ、逆も同様である。
【0056】
「例示」という単語は本明細書では「例又は実例として働く」ことを意味するのに使用される。本明細書で「例示」として説明される任意の態様又はデザインは、必ずしも、他の態様又はデザインに優る好適なもの又は有利なものと解釈されるわけではない。
【0057】
当業者には既知であるか又は当業者に今後知られる、本開示を通して説明される種々の態様の要素に対してのすべての構造的均等物及び機能的均等物は参照により本明細書に明確に組み込まれており、特許請求の範囲に包含されることを意図される。さらに、これらの開示が特許請求の範囲に明確に記載されているかどうかにかかわらず、本明細書で開示されるものはいずれも公共に提供されることを意図されない。クレーム要素はいずれも、「のための手段」というフレーズ又は方法クレームの場合は「のためのステップ」というフレーズを使用して明確に記載されない限り、米国特許法第112条の第6段落の規定で解釈されない。さらに、「include」又は「have」などの用語が本記述又は特許請求の範囲の記述で使用される範囲においては、これらの用語は、「comprise」を特許請求の範囲での伝統的な単語として採用する場合に解釈するときの「comprise」という用語と同様に包括的であることを意図される。
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