IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフエヌブイ アイピー ビー.ブイ.の特許一覧

<>
  • 特許-軌道監視システム 図1
  • 特許-軌道監視システム 図2
  • 特許-軌道監視システム 図3A
  • 特許-軌道監視システム 図3B
  • 特許-軌道監視システム 図3C
  • 特許-軌道監視システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】軌道監視システム
(51)【国際特許分類】
   B61K 9/08 20060101AFI20240611BHJP
   G01S 17/88 20060101ALI20240611BHJP
   G01S 19/50 20100101ALI20240611BHJP
   G01S 19/53 20100101ALI20240611BHJP
   B61L 1/18 20060101ALI20240611BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240611BHJP
   E01B 35/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B61K9/08
G01S17/88
G01S19/50
G01S19/53
B61L1/18 Z
B60L3/00 N
E01B35/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021571530
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 NL2020050369
(87)【国際公開番号】W WO2020246890
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2023276
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】521523349
【氏名又は名称】エフエヌブイ アイピー ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】FNV IP B.V.
【住所又は居所原語表記】Veurse Achterweg 10, 2264SG Leidschendam, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ハオユ
(72)【発明者】
【氏名】バーカーズ, アドリアヌス フランシスカス ヴィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】モス, ルーク ウィリアム
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/021224(JP,A1)
【文献】国際公開第2018/208153(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0274772(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102358325(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61K 9/08
G01S 17/88
G01S 19/50
G01S 19/53
B61L 1/18
B60L 3/00
E01B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本のレールを備える軌道上の車両に搭載するための軌道監視システム(100)であって、
前記軌道上の前記車両の少なくとも1回の通過中に前記軌道監視システムの地理的位置および姿勢を決定するように構成された位置および姿勢測定ユニット(101)と、
軌道ジオメトリデータを記憶するための記憶媒体(102)と、
前記少なくとも1回の通過中に前記軌道監視システムに対する前記少なくとも1本のレールの位置ならびに前記軌道監視システムに対する前記少なくとも1本のレールおよび周囲の位置を決定するように構成されたレーザ撮像および/または走査ユニット(103)と、
プロセッサであって、
前記少なくとも1回の通過において、前記軌道監視システムの前記地理的位置および前記姿勢ならびに前記軌道監視システムに対する前記少なくとも1本のレールの前記位置に基づいて第1の地理的に参照されるレール位置を決定し、
前記少なくとも1回の通過において、前記軌道監視システムの前記地理的位置および前記姿勢ならびに前記軌道監視システムに対する前記少なくとも1本のレールおよび前記周囲の前記位置に基づいて第2の地理的に参照されるレール位置を決定し、
前記第1の地理的に参照されるレール位置および前記第2の地理的に参照されるレール位置ならびに対応する地理的に参照される軌道ジオメトリデータに基づいて第3の地理的に参照されるレール位置を決定し、
さらなる通過において、前記軌道監視システムに対する前記レールの前記位置のそれぞれならびに前記位置および姿勢測定ユニットの出力に関連付けられた軌道ジオメトリデータを取得し、
前記レールの前記第3の地理的に参照される位置に基づいて、前記さらなる通過で取得された前記軌道ジオメトリデータを更新し、
更新された前記軌道ジオメトリデータを前記記憶媒体に記憶する、
ように構成されたプロセッサと
を備える軌道監視システム(100)。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記軌道の広がりにわたって、前記少なくとも1本のレールから反射された光に基づいて前記第1の地理的に参照されるレール位置を決定し、前記少なくともレールの前記周囲と組み合わせて前記少なくとも1本のレールから反射された光に基づいて前記第2の地理的に参照されるレール位置を決定するように構成されている、請求項1に記載の軌道監視システム。
【請求項3】
前記プロセッサが
後の期間に別の通過で軌道ジオメトリデータの第2のセットを取得し、
前記軌道ジオメトリデータの一部を前記第2の軌道ジオメトリデータの一部に置き換える
ことによって前記軌道ジオメトリデータを更新するように構成されている、請求項1又は2に記載の軌道監視システム。
【請求項4】
前記軌道ジオメトリデータの前記一部を前記第2の軌道ジオメトリデータの前記一部に置き換えることが、
前記第2の軌道ジオメトリデータの前記一部が前記軌道ジオメトリデータの前記一部からずれていると判定すること、および
前記ずれが所定の閾値を超えているかどうかを判定すること、
前記ずれが前記所定の閾値を超えている場合、前記軌道ジオメトリデータの前記一部を前記第2の軌道ジオメトリデータの前記一部に置き換えること、
を含む、請求項3に記載の軌道監視システム。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記レールの前記第3の地理的に参照される位置に対応する前記地理的に参照される軌道ジオメトリデータを使用して、前記更新された軌道ジオメトリデータを補正するように構成されている、請求項4に記載の軌道監視システム。
【請求項6】
前記軌道ジオメトリデータの前記一部を前記第2の軌道ジオメトリデータの前記一部に置き換えることが、
前記第2の軌道ジオメトリデータの前記一部が前記第1の軌道ジオメトリデータの前記一部からずれていると判定すること、および
前記ずれが所定の閾値を超えているかどうかを判定すること、
前記軌道の前記少なくとも1つの位置における前記ずれが前記所定の閾値を超えている場合、前記軌道監視システムの前記地理的位置および前記軌道監視システムに対する前記少なくとも1本のレールの前記位置に基づき、かつ前記軌道ジオメトリデータの前記一部に対応する前記レールの前記地理的位置を、前記軌道監視システムの前記地理的位置および前記軌道監視システムに対する前記少なくとも1本のレールの前記位置に基づき、かつ前記第2の軌道ジオメトリデータの前記一部に対応する前記レールの前記地理的位置に置き換えること、
を含む、請求項3に記載の軌道監視システム。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記レールの前記第3の地理的に参照される位置を使用して前記レールの前記更新された地理的位置を補正するように構成されている、請求項6に記載の軌道監視システム。
【請求項8】
前記位置および姿勢測定ユニット(101)が、前記軌道監視システムの前記姿勢を決定するように構成された慣性測定ユニットを備える、請求項1に記載の軌道監視システム。
【請求項9】
前記プロセッサが、前記軌道監視システムの前記決定された地理的位置および前記姿勢を補正するようにさらに構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の軌道監視システム。
【請求項10】
前記レーザ撮像および/または走査ユニット(102)が、別のレールを照射するように構成された少なくとも1つのレーザを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の軌道監視システム。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記レールの前記第3の地理的位置を外部コンピューティングシステムに送信し、前記コンピューティングシステムから前記更新された軌道ジオメトリデータを受信するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の軌道監視システム。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記軌道の中心線、互いに隣り合う2つの軌道線間の距離、傾斜、軌間、長手方向レベルを前記軌道ジオメトリデータとして決定するように構成されている、請求項10に記載の軌道監視システム。
【請求項13】
鉄道軌道を監視するための方法であって、前記方法が、車両に搭載された軌道監視システムによって実行され、
前記軌道上の前記車両の少なくとも1回の通過中に前記軌道監視システムの地理的位置を決定するステップと、
前記少なくとも1回の通過中に前記軌道監視システムに対する少なくとも1本のレールの位置ならびに前記軌道監視システムに対する前記少なくとも1本のレールおよび周囲の位置を決定するステップと、
前記少なくとも1回の通過において、前記軌道監視システムの前記地理的位置および前記軌道監視システムに対する前記少なくとも1本のレールの前記位置に基づいて第1の地理的に参照されるレール位置を決定するステップと、
前記少なくとも1回の通過において、前記軌道監視システムの前記地理的位置ならびに前記軌道監視システムに対する前記少なくとも1本のレールおよび前記周囲の前記位置に基づいて第2の地理的に参照されるレール位置を決定するステップと、
前記第1の地理的に参照されるレール位置および前記第2の地理的に参照されるレール位置ならびに対応する地理的に参照される軌道ジオメトリデータに基づいて第3の地理的に参照されるレール位置を決定するステップと、
さらなる通過において、前記軌道監視システムに対する前記レールの前記位置のそれぞれならびに前記位置および姿勢測定ユニットの出力に関連付けられた軌道ジオメトリデータを取得するステップと、
前記レールの前記第3の地理的に参照される位置に基づいて、前記さらなる通過で取得された前記軌道ジオメトリデータを更新するステップと、
更新された前記軌道ジオメトリデータを記憶媒体に記憶するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
請求項2~12のいずれか一項に記載の装置で実行されるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道インフラストラクチャに関し、より詳細には、車両、例えば貨物列車または旅客列車に搭載するのに適した軌道監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
経時的に運航の安全性を確保するために、線路またはこれを構成する枕木、レールなどの状態を監視することが不可欠である。軌道は、例えば、列車の移動によって生じる物理的ストレス、気象条件、および軌道の材料を損傷する他の要因に起因して、経時的に摩耗および引き裂きならびに損傷にさらされる。定期的に軌道を監視することは、このような損傷または劣化を特定するのに役立つ。結果的に、これは、例えば検出時に修理では済まなかった損傷した軌道に起因する追加のコストを負担することなく、軌道の効果的な保守を可能にする。
【0003】
近年、多くの専用軌道検査システムが市販されるようになっている。レールの凹凸/変形を検出する目的で軌道の異なる位置を検査するために、GPSシステムおよび/またはカメラ機器を有するトロリーを手動で操作することが可能である。しかしながら、このような検査は、費用がかかり、時間がかかり、また、オペレータによって方法が実行されるためには、軌道が自由である(すなわち、使用中でない)ことを必要とする。
【0004】
さらに、その地理空間的座標の3Dストリングに関してレール位置の正確な測定値を提供することに加えて、保守作業を案内するために、軌道ジオメトリと呼ばれる、軌道の軌間、長手方向レベル(longitudinal level)、アライメント、傾斜、およびねじれのようなパラメータに関して軌道の品質および安全性を監視することが重要である。正確な軌道ジオメトリ値を取得する方法は、軌道を複数回測定し、取得された軌道ジオメトリ結果を平均化すること、または低速で、例えば20km/h未満で軌道ジオメトリを測定することを含む。
【0005】
高い取得コストに起因して、測定値は、ほとんどの国でまれにしか、通常は、軌道品質を評価するために年に2回、軌道の地理的位置を取得するために数年に1回しか収集されない。
【0006】
軌道の地理的位置およびそのジオメトリの同時測定は、GNSSシステムと組み合わせて走査および撮像機器を組み込むことによって実現可能となっている。しかしながら、軌道の地理空間的位置および軌道ジオメトリ(軌道状態)は、これらの相関があまり分析されていないことに起因して、当技術分野では別個の測定値として扱われている。さらに、GPS信号の不正確さに起因して、当技術分野では、軌道ジオメトリ値を改善するためにレールの地理的位置データを使用することは可能ではなかった。
【0007】
したがって、軌道の地理空間的/地理的位置とその品質(または軌道プロファイル/ジオメトリ)との相関を研究し、前記相関を使用して定期的に軌道の品質を監視および更新する必要がある。その経路にわたって高速で移動する車両の1回の通過中に軌道ジオメトリを収集および更新できることがさらに必要である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上記の欠点のうちの少なくとも1つを克服することを目的とする。本発明の他の利点は、技術的特徴の詳細な説明においてより明らかになる。
【0009】
本発明の一態様によれば、少なくとも1本のレールを備える軌道上の車両に搭載するための軌道監視システム(およびその方法)が提供される。軌道監視システムは、軌道上の車両の少なくとも1回の通過中に本システムの地理的位置および姿勢を決定するように構成された位置および姿勢測定ユニットと、軌道ジオメトリデータを記憶するための記憶媒体と、少なくとも1回の通過中に軌道監視システムに対する少なくとも1本のレールの位置ならびに軌道監視システムに対する少なくとも1本のレールおよび周囲の位置を決定するように構成されたレーザ撮像および/または走査ユニットと、プロセッサであって、少なくとも1回の通過において、レール監視システムの地理的位置および姿勢ならびに本システムに対する少なくとも1本のレールの位置に基づいて第1の地理的に参照されるレール位置を決定し、少なくとも1回の通過において、レール監視システムの地理的位置および姿勢ならびにレール監視システムに対する少なくとも1本のレールおよび周囲の位置に基づいて第2の地理的に参照されるレール位置を決定し、第1の地理的に参照されるレール位置および第2の地理的に参照されるレール位置ならびに対応する地理的に参照される軌道ジオメトリデータに基づいて第3の地理的に参照されるレール位置を決定し、さらなる通過において、レール監視システムに対するレールの位置のそれぞれならびに位置および姿勢測定ユニットの出力に関連付けられた軌道ジオメトリデータを取得し、レールの第3の地理的に参照される位置に基づいて、さらなる通過で取得された軌道ジオメトリデータを更新し、更新された軌道ジオメトリデータを記憶媒体に記憶するように構成されたプロセッサとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による、車両搭載位置にある軌道監視システムを示す。
図2】本発明の一実施形態による、軌道監視システムの構成要素のブロック構成および方法のフローチャートを示す。
図3a】本発明の一実施形態の軌道監視システムによって取得された絶対高さ(z)プロファイルの一例を示す。
図3b】本発明の一実施形態のシステムによって実行される方法のさらなる例を示す。
図3c】本発明の一実施形態のシステムによって実行される方法のさらに別の例を示す。
図4】本発明の一実施形態による、軌道ジオメトリプロファイルを更新するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で例示される事柄は、添付の図面を参照して開示される本発明の様々な例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供される。したがって、当業者は、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される例示的な実施形態の様々な変更および修正が行われ得ることを認識するであろう。特に、本発明の様々な態様の特定の特徴の組み合わせが行われ得る。本発明の態様または実施形態は、本発明の別の態様または実施形態に関連して説明された特徴を追加することによってさらに好適に強化され得る。
【0012】
さらに、任意の特定の手段に関連する機能は、ローカルまたはリモートにかかわらず、集中されても分散されてもよい。「含む(include)」および「備える(comprise)」という用語ならびにこれらの派生語は、限定なしの包含を意味することを明らかにすることは好適であり得る。加えて、不定冠詞「ある(a)」または「ある(an)」による要素への言及は、文脈が1つの要素のみが存在することを明確に要求しない限り、1つより多くの要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「ある(a)」または「ある(an)」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0013】
「軌道」または「線路」という用語は、鉄道の枕木(スリーパ(sleeper))、枕木に固定されたレール、および前記枕木を埋め込む道床(またはスラブ軌道)ならびに基礎となる路盤を備える構造として理解される。軌道は、軌道の多数の表面上での車両の移動を可能にする少なくとも前記部分の集合体としてさらに理解され得る。「レール」という用語は、説明において軌道と交換可能に使用され得るが、主に軌道の構成部分として理解される。各レールは、内面および外面を備え得、レールの内面は互いに向き合う。
【0014】
「レールヘッド」という用語は、車両が軌道を走行するときに車両と接触するように配置されるレールの上部として理解される。「レールフット」という用語は、地面と接触するように配置されるレールの下部として理解される。レールヘッドおよびレールフットは、単一の連続した表面を形成するように互いに接続されてもよい。
【0015】
「周囲」という用語は、レールまたは軌道の周りまたは近傍に位置する領域を包含し得る。周囲は、車両の経路の近くの物体または障害物を含み得、隣り合う軌道も含み得る。
【0016】
デカルト座標系が、本発明の例示的な実施形態の空間座標/位置データを記述するために使用されている。「x」座標は、軌道の方向の軸線上にある空間内の点を示すために使用され得、軌道上の車両の移動方向に対応し得る。「y」座標は、レールの外面/内面に垂直な軸線上にある空間内の点を示すために使用され得る。「z」座標は、地面に垂直な軸線上にある空間内の点を示すために使用され得、地面から測定されたレールの高さを示すために参照され得る。「位置」は、x、y、z方向で表現された座標の集まりとして理解される。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による軌道監視システムを示す。
【0018】
軌道監視システムは、車両に搭載され得る単一のユニットとして構成されてもよい。本システムは、車両、例えば列車の外側部分(例えば、前方または後方)に取り付けられてもよく、本システムの位置データ(角度位置/向きを含む)を測定するための位置および姿勢測定ユニット101と、本システムの加速度および回転を測定するための、位置および姿勢測定ユニットの一部として含まれる慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)1011と、記憶媒体またはメモリ102と、本システムに対するレールおよび/もしくは周囲(例えば、プラットフォーム、植物、橋)の距離/および向きを取得する、例えば360度光検出および測距(LIDAR:light detection and ranging)スキャナ1032を含む少なくとも1つのレーザスキャナ1031ならびに/またはレールおよび/もしくは周囲の画像もしくは動画を取得するための少なくとも1つの画像センサもしくはカメラ1033を備えるレーザ走査および/または撮像ユニット103とを備える。レーザ走査ユニットは、軌道を構成する各レールまたは/および周囲の物体に照射し、これらの情報を収集するための少なくとも1つのレーザを備え得る。走査ユニットは、線路の近傍に対応する測距データを取得するために、その軸線を中心に360度にわたって回転可能なように適合される。
【0019】
軌道監視システムは、本システムの要素によって取得されたデータを処理するためのプロセッサ104と、通信ユニット105とをさらに備える。プロセッサは、位置および姿勢測定ユニットならびにレーザ走査/および撮像ユニットに対応する出力を処理する中央ユニットとして、または各出力を別々に処理する分散ユニットとして実施されてもよい。測位ユニットは、例えば、本システムの地理的位置を測定するための全地球航法衛星システム(GNSS:global navigation satellite system)送受信機/受信機1012を備えてもよい。これらのGNSSユニットは、炭素繊維のような硬質材料で構成されたマスト/ポール1013に取り付けられてもよい。ポールは、レーザ走査および/または撮像ユニットを収容する軌道監視システムの一部から軌道に垂直な方向に突出するように適合され、適切な長さを有する。ポールは、容易な輸送のために折り畳み可能であってもよい。
【0020】
軌道監視システムは、単一のユニット内に含まれてもよいし、または別々のエンティティとして含まれてもよく、車両の外側セクション/部分、例えばその前端または後端に搭載され得る。任意の適切な取り付け手段が、本システムを車両に取り付けるまたは結合するために使用され得る。車両は、例えば適切なアダプタを介して本システムを列車に結合することができる適切なカプラを装備していてもよい。ユニットの設置は取り外し可能である。設置および取り外しは、2分未満の期間で実行され得、通常の列車の停止中に容易に達成される。これにより、通常の列車の運行を妨げることなく軌道測定を可能にするための特別な測定列車、または追加の列車経路の敷設の必要性が低減される。
【0021】
車両が軌道を逆走するとき、搭載システムは、車両と共に軌道を移動する。以下のセクションは、軌道監視システムの各構成要素を詳述し、前記構成要素によって取得されたデータを使用して軌道ジオメトリデータを取得し更新するための方法を説明する。当業者によって容易に理解されるように、本システムは、電力ユニット、ならびに本システムの様々な要素/構成要素の動作のための他の動作および制御システム(図示せず)によってさらに増強されてもよい。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態による軌道監視システムのブロック構成を示す。
【0023】
一実施形態によれば、位置および姿勢測定ユニット201は、本システムおよび/または本システムが搭載された車両の地理的位置を、車両が軌道を走行するときに測定する。位置および姿勢測定ユニットは、位置のリアルタイム測定のために、全地球ポジションシステム(GPS:global position system)を備えるGNSS受信機/送受信機を含み得る。GNSSアンテナは、この目的のために所定の位置(高さ)でマスト/ポールに取り付けられてもよい。
【0024】
例に限定するものではないが、GPS受信機は、2つの測定点の間に15m、好ましくは10m、より好ましくは8mの間隔をおいて本システムの位置の3D(x,y,z)座標を決定してもよい。データはまた、ランダムな間隔で収集されてもよい。位置および姿勢測定ユニットは、160km/hの平均速度で移動する車両、例えば列車に結合されながら、本システムの地理空間的位置を提供することができる。
【0025】
一実施形態では、GPS/GNSS受信機によって決定される位置データは、連続作動基準局(CORS:continuously operating reference station)から取得されるデータを使用して改善されてもよい。このような補正は、GPS測定値の精度を+/-50mmの帯域幅に改善する。
【0026】
移動車両では、センサの位置は一様に固定されていない。振動、衝撃、車両の加速度および移動を含む多くの要因が、不正確さの原因となっており、本システムの位置を算出する際に考慮される必要がある。したがって、意味のある/正確なレールまたは軌道ジオメトリ測定を行うために、これらの様々な要因の影響は、測定されたデータから消去されるべきである。
【0027】
一実施形態では、位置および姿勢測定ユニットは、車両の回転/加速度を検出する慣性測定ユニット(IMU)を備える。IMUは、基準の慣性フレームまたは別のエンティティに対する本システムの向きを制御することによって本システムの姿勢をさらに制御する。IMUは、1つ以上の加速度計および1つ以上のジャイロスコープ(例えば、垂直ジャイロスコープ、レートジャイロスコープ)などの慣性センサの組み合わせを含む。IMUは、車両の移動に基づいて速度/加速度データを取得する。IMUによって、軌道監視システムの位置は、+/-15mmの精度に補正され得る。IMUの測定は、200~500Hz、好ましくは300Hzの動作周波数で、軌道に沿って3m、好ましくは1m、より好ましくは0.1~0.3mの間隔で行われてもよい。当業者には明らかなように、GNSSおよびIMUは、本発明において同じまたは別個のエンティティとして実施されてもよい。
【0028】
軌道監視システムの姿勢を測定することによる位置補正に加えて、IMUもまた、勾配、傾斜、長手方向レベル、交差レベル(cross-level)、軌道曲率のような軌道ジオメトリパラメータを決定するために使用され得る、車両のピッチ、ロール、およびヨー情報に関するデータを取得し得る。GPSセンサと検査される軌道またはレールとの間の相対運動の正確な同時測定は、正しいレールプロファイルおよび軌道ジオメトリ測定値を取得する際に非常に重要である。
【0029】
測位ユニットの出力はプロセッサに供給され、プロセッサは、軌道の広がりまたは車両の経路に沿った本システムの位置プロファイルを取得するために、本システムの測定された各地理的位置を処理する。例えば、図3aは、軌道監視システムの絶対高さ(z)ztmsが軌道に沿ってどのように変化するかの図を示す。
【0030】
撮像センサおよび/または走査センサを備えるレーザ撮像および/または走査ユニット202は、車両が鉄道軌道を走行するときに各レールおよび/または周囲の画像および/または走査データを取り込むことができる。光検出および測距(LIDAR)撮像センサが使用されてもよい。撮像ユニットは、所定の特性(パルス幅、強度、電力出力など)を有し、適切な波長範囲で動作する少なくとも1つのレーザを備える。好ましい実施形態では、レーザ撮像および/または走査ユニット内に含まれる各レーザは、いずれかのレールにビームを投射するように構成され、レーザビームスポットは楕円形の空間断面を有する。楕円形ビームは、特徴的な光切断方法において、所定のx座標でそのy軸または/およびz軸に沿って軌道/レールのセクションを照明する。光切断の原理および3Dトポロジ測定におけるその応用は、当業者には明らかであり、したがってさらなる詳細からは省略される。波長可変レーザは、レーザ発光特性を調整するのに特に有用である。撮像ユニットは、連続波(CW:continuous wave)レーザまたはパルスレーザのいずれかを組み込んでもよく、放射は経時的にまたは断続的に連続する。可視波長からの干渉が最小限に抑えられるので、紫外線領域レーザ(例えば、エキシマ)が軌道を調査するのには好ましい。あるいはまたはそれに関連して、各センサによって検出される放射の波長を制御するために、波長フィルタを有する異なる個々のセンサが、撮像ユニットに搭載されてもよい。
【0031】
撮像および/または走査ユニットに含まれるレーザは、レールを照射し、その後、その中に含まれる検出器(例えば、CCDカメラ、フォトダイオード)が、例えば、レール表面から反射された光の強度を検出する。任意の反射分光原理、例えば飛行時間(TOF:time-of-flight)が、そのために使用されてもよい。本システムに対するレールの位置(本システムからの距離)は、レールの表面から反射された放射に基づいて決定される。各レーザは、各レールの関心点を照射するように構成される。反射光は、反射面、例えばレールの対応するジオメトリを解釈するために、対応するセンサによって検出され、入射/放射ビームに関して分析される。
【0032】
レーザ撮像および/または走査ユニットは、レーザビームがレール上を通過するときに、例えば少なくとも1つのカメラを使用してレールプロファイルの高解像度画像をさらに取得する。この画像は、測定中の物体(例えば、レールまたはその表面)の同一性への基準を提供する。各カメラは、反射された放射に関連するレールの表面または関心点の画像を取得するために、各レーザの位置にまたはその近くに配置されてもよい。撮像ユニットは、少なくとも5メガピクセル程度、より好ましくは12メガピクセル、さらにより好ましくは30メガピクセルを有する画像データを取得してもよい。画像を収集するために、任意の適切なカメラ機器が使用されてもよい。本システムは、車両がその経路(調査ルート)に沿って移動するときに調査領域および周囲の物体を見るために複数のジオリファレンスビデオカメラ(georeferenced video camera)をさらに備えてもよい。
【0033】
画像は、軌道に沿って0.5~1.5mの間隔で、好ましくは、軌道上を150~200km/hの平均速度で移動する車両の通過中に0.09mの間隔で取り込まれてもよい。撮像ユニットは、毎秒500回(500Hzの周波数)で、レールヘッド当たり1,400を超えるレーザ点の座標を測定してもよい。したがって、撮像および/または走査ユニットは、プロセッサ203を介して、レール表面のビーム位置の座標データ、例えば、x(軌道の長手方向)、y(軌道/レール表面に対して平面的に垂直な方向)、およびz(地面に対するレールの深さまたは高さ)を含むバイナリデータを生成し、および/またはレーザビームをその周囲に対して示す画像を生成するように構成され得る。次に、位置データは、地面より上のレールの高さ(z方向)、レール間の軌間距離(y方向)、軌道の中心(y方向)、互いに隣り合う2つの軌道線(track lines)間の距離(x方向)および傾斜(z方向)などのうちの少なくとも1つに対応する軌道ジオメトリを算出するために、プロセッサによって使用され得る。例えば、軌道の距離にわたる傾斜プロファイルは、軌道の連続的または断続的なx位置(x1、x2、…、xi)における2本のレールのzxi値の差に対応する位置データを集約することによってマッピングされ得る。軌道の距離にわたる軌道の構成レールの高さ、したがって長手方向レベルプロファイルは、軌道の連続的または断続的なx位置(x1、x2、…、xi)における第1のレールのzxiまたは第2のレールのzxiに対応する位置データを集約することによって取得され得る。軌間プロファイルの場合、両方のレールのyxiに対応する位置データの差が、軌道の距離(長さ、Xkm)にわたって様々な位置x1、x2、…、xiで決定される。ジオメトリプロファイルは、軌道中心線に関してさらに表現されてもよい。軌道中心線は、軌道の広がり(x)に沿って、それぞれのy座標間で算出された個々の各軌間距離の中心点を集約することによって取得される。
【0034】
レール(レールヘッドおよび/またはレールフット)の取り込まれた各画像は、レールの地理的に参照される3D位置を獲得し、さらに、軌道の様々な位置で、取り込まれた画像と基準レール画像とを比較することによってレールの摩耗を算出するために、プロセッサによって、GPS/およびIMUによって取得されたデータと組み合わされてもよい。図3bは、軌道の特定の位置で基準(302)と比較される、撮像および/または走査ユニットによって取得された画像(301)の一例を示し、摩耗(303)が、基準との現在のプロファイルのずれによって示されている。
【0035】
視野を拡大するために、複数の撮像センサが、レーザ撮像ユニットにおいて、あるいは360度LIDARスキャナと共に用いられてもよい。好ましい実施形態では、中央撮像センサが、使用中に検査されるレールの付近に一般に配置されてもよく、2つの撮像センサが、レールの両側に配置されてもよい。中央センサは、使用中の軌道の上面視を提供するが、側面に対するセンサは、軌道に対して斜めに傾斜しており、軌道の残りの部分の、レールの各側面への視点を提供する。360度LIDARスキャナは、鉄道車両の周りの放射領域内の物体(障害物)を検出する。このスキャナは、毎秒150~200回転の速度で所定の軸線を中心に回転するレーザを備えてもよい。360度LIDARスキャナの走査データは、軌道および周囲に関連付けられた地理的位置の3D点群を取得するために、GPS/およびIMUによって取得されたデータと組み合わされる。
【0036】
軌道の広がりに沿った軌道監視システムとレール表面との間の距離は、図3cに示されているように、GPSおよび/またはIMUによって取得された軌道監視システムの座標位置とレールの座標位置とを比較することによって、プロセッサによってさらに決定され得る。所定の閾値を上回る距離変化(Δ)は、軌道の欠陥を判定するために使用され得る。
【0037】
GPSおよび/またはIMUによる本システムの地理的位置の測定は、レーザ撮像/走査ユニットによる本システムに対するレール位置の決定と組み合わせて、プロセッサがGNSSデータを参照するレールの3D地理的位置、および対応する地理的に参照される3D軌道ジオメトリデータを正確な精度で決定することを可能にする。
【0038】
GPSおよび/またはIMU、ならびに軌道の広がり(例えば、長さおよび/または幅および/または高さ)に沿ってレーザ走査/および撮像ユニット(高解像度画像データ)を使用するレールの測定を集約することによって、地理的に参照される3D位置および軌道ジオメトリプロファイルが軌道に関して取得され得る。地理的に参照される軌道ジオメトリデータは、傾斜、軌間、軌道中心線のようなパラメータを含んでもよい。
【0039】
軌道測定システムの撮像および/または走査ユニットは、3次元で軌道の周囲と組み合わせてレールの3D位置/測距データをさらに取得するために、中心軸線を中心に回転するように構成される。これにより、レール、および軌道の近傍の物体から取得された反射データから抽出された3次元点マップ/点群が生成される。上述したように、このようなデータは、GPSおよび/またはIMUによって取得された3D地理的位置と組み合わされ、これにより、データ点の地理的に参照される点群がもたらされ、そこから、軌道の広がりにわたる対応する軌道ジオメトリパラメータが算出される。点群位置データから取得されるこのような軌道ジオメトリデータは、レールジオメトリ測定の精度を改善するために、地理的に参照される軌道ジオメトリデータと照合/比較されてもよい。
【0040】
一実施形態では、軌道調査は、複数回(例えば、3~4回の通過)にわたって特定の経路/軌道上で車両を運転することによって繰り返えされてもよい。軌道上の車両の各通過は、地理的に参照されるデータの3D点群をもたらし、そこから、軌道ジオメトリプロファイル、例えば軌道中心線がさらに算出され、GPSおよび/またはIMUからの位置データと組み合わせてレールからの反射データに関連付けられた軌道ジオメトリ、例えば軌道中心線と比較/照合され得る。本発明に必須ではないが、このような複数の通過によって取得されたデータは、レールの地理的位置、したがって地理的に参照される軌道ジオメトリデータの精度をさらに改善し得る。
【0041】
軌道の中心の算出は、軌道の複数の測定にわたって収集された軌道ジオメトリプロファイルまたはLIDAR点群をマージする際に特に効果的である。軌道の中心(基準)からいずれかのレールまでの距離は一定または略一定であるべきであるため、中心といずれかのレールとの間の距離が閾値を上回るずれを示した場合、比較結果は軌道不整合を検出する。
【0042】
精度を改善するために、軌間、傾斜、長手方向レベルのような他の軌道ジオメトリプロファイルも、同様に照合され、取得され得る。軌道ジオメトリ測定は、10mの測定あたり+/-0.5mmのずれの精度で実行され得る。地理的に参照される各3D点群測定は、軌道の非常に正確な地理的に参照される位置を取得するために、地理的に参照されるレールデータと照合される。この方法を使用して、レールの位置は、xおよびy方向では8mm未満のずれ、z方向では12mm未満のずれの精度で決定され得る。取得された絶対軌道ジオメトリプロファイルおよび軌道位置は、後の期間に軌道の軌道ジオメトリ値を決定するための基準としての役割を果たし得る。軌道の追加の調査は、例えば毎月行われてもよい。各調査は、レールの上述の地理的に参照される位置および関連する軌道/レールジオメトリデータを生成し、これらは定期的に更新される。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態による、軌道ジオメトリプロファイルを更新するためのフローチャートを示す。
【0044】
上述したように、GPSおよび/またはIMUによる本システムの地理的位置の測定は、GNSSデータを参照するレールの3D地理的位置および対応する地理的に参照される3D軌道ジオメトリデータ(プロファイル)を決定するために、レーザ撮像/走査ユニットによって本システムに対して決定されたレール位置と組み合わされてもよい。
【0045】
本システムは、軌道の第1の測定の地理的に参照される3D軌道ジオメトリプロファイルTG0を取得するために第1の通過/測定の実行において軌道に沿って移動される。後の時点で、例えば1ヶ月の間隔をおいて、軌道の第2の地理的に参照される軌道ジオメトリプロファイルTG1を取得するために第2の測定の実行が行われる。
【0046】
プロセッサが、鉄道軌道の第2の測定の実行中に取得された地理的に参照される軌道ジオメトリプロファイルが第1の測定の実行のものに対して変化した、例えば、所定の閾値よりも高いと判定した場合、プロセッサは、軌道の特定の位置(x)または複数の位置(x1、x2、…、xi)で軌道ジオメトリパラメータの不一致を検出する。
【0047】
一例として、軌道の長さ20mにわたって測定された2.5mmの傾斜差は、不一致または「軌道変化」と見なされる。
【0048】
プロファイルの前記変化が軌道のどの位置または複数の位置(例えば、Xm)に位置するのかがさらに決定される。軌道の前記Xmの第1の傾斜プロファイルTG0は、軌道のXmにある第2の傾斜プロファイルの一部に置き換えられる。一実施形態では、第1の(古い)プロファイルと第2の(新しい)プロファイルとの間のずれが特定の軌道距離(Xm)で所定の閾値よりも高い場合、プロセッサは、軌道の現在の状態を反映するために、特定の軌道距離の古い軌道ジオメトリプロファイルの一部を新しいプロファイルに置き換える。新しいデータは、任意の適切なフィッティングプログラムを使用して古いデータにフィッティング/マージされてもよい。結果として得られるマージは、変化した軌道セクションの新しいデータおよび変化していないセクションの古いデータを含み、これにより、更新された第1の軌道ジオメトリプロファイル測定がもたらされる。
【0049】
あるいは、またはそれに加えて、レールの走査データと、第1の測定の実行でGPSおよび/またはIMUによって収集されたデータとを組み合わせることによって取得された、レールの地理的位置の一部は、第2の測定の実行で取得されたレールの地理的位置に置き換えられる。したがって、本方法は、軌道の更新された地理的位置データ、および測定期間の間に軌道位置、したがって軌道ジオメトリがどのように変化したかの概要を提供する。さらに、そうでない場合に軌道データセット全体を更新するために必要とされるリソースが、第1の軌道ジオメトリプロファイルの関連する部分を置き換えることによって効果的に利用され得る。
【0050】
上記したように、レール、および軌道の近傍の物体から取得された反射データから抽出された3次元点マップ/点群は、GPSおよび/またはIMUによって取得された3D地理的位置と組み合わされ、これにより、精度が改善された、データ点の地理的に参照される点群がもたらされ、そこから、軌道の広がりにわたる対応する軌道ジオメトリパラメータが算出される。点群位置データから取得されるこのような軌道ジオメトリデータは、軌道ジオメトリデータの精度を改善するために、地理的に参照される軌道ジオメトリデータと照合/比較されてもよい。
【0051】
更新された第1の軌道ジオメトリプロファイルが取得されると、更新された/置き換えられた変化した軌道セグメントは、地理的に参照される3D点群測定と地理的に参照されるレールデータとを照合することによって決定された、レール/軌道の改善された地理的に参照される位置および対応する地理的に参照される軌道ジオメトリを使用して、地理的位置/軌道ジオメトリ精度の必要なレベルにされ得る。
【0052】
例えば、レールの取得された地理的位置から算出された、互いに隣り合う2つの軌道線間の距離/軌道距離は、データの補正に使用されてもよい。好ましい実施形態では、軌道距離値を使用して、マージされた軌道ジオメトリを補正することの一部として、360度レーザスキャナ(点群データ)および画像取得ユニットの地理的に補正された測定を使用して取得された軌道の所定の長さに含まれる軌道の数が比較され、それらの数が同一であるかどうかが判定されてもよい。軌道の数が一致しない軌道の位置は、さらなる処理のために無視される。
【0053】
その後、位置および姿勢測定ユニット(GNSS/GPS)の正しくない測定に続いて取得されるレール/軌道の地理的位置から導出され得るそれらの軌道ジオメトリ値、例えばこの場合は互いに隣り合う2つの軌道線間の距離/軌道距離は、データセットから除外される。このような不一致は、通常、スイッチを含む軌道の位置で発生する。これは、地理的に参照される3D点群データと地理的に参照されるレールデータとの比較によって軌道ジオメトリデータを算出しながら、残余誤差の初期チェックによって行われる。少なくともレール/軌道の位置で残余誤差が閾値を超えるかどうかが判定され、そうである場合、その点の軌道ジオメトリ値は、軌道ジオメトリ更新に使用される基準軌道ジオメトリデータから除外される。これは、相対的に信頼性の低いGNSSデータが軌道の特定の位置で自由に利用され得るシナリオを補償することによって、更新の精度を改善する。
【0054】
さらに、点群測定(360度スキャナ)および画像取得ユニットを使用して算出された地理的に参照される軌道距離間の差は、所定の許容絶対位置標準偏差を使用して最小化される。ステップが実行される順序は、方法の機能とは無関係である。更新のための基準軌道距離(プロファイル)が、軌道上の車両の複数回の通過からの値を集約することによって測定される場合、異なる実行のプロファイルのずれの補正を組み込むさらなるステップがさらに実行されてもよい。
【0055】
上記したように、本システムは、測定の実行中に軌道の高解像度画像を取得し得、そこから相対レール位置プロファイルも決定され得る。各相対レール位置プロファイルから、対応する軌道ジオメトリパラメータが算出され得、これはさらなる測定の実行で更新され得る。プロセッサは、この方法を使用してレール/軌道の改善された地理的に参照される位置を使用してこのような軌道ジオメトリを更新するように構成され得る。
【0056】
本システムによって取得されるレールの正確な地理的位置に起因して、異なる測定の実行から取得される軌道ジオメトリプロファイルは、軌道ジオメトリプロファイル間の位置のずれが無視できるものであれば、互いに容易に重ね合わされ得る。レール/軌道の改善された地理的に参照される位置および/または地理的に参照される軌道ジオメトリを使用して、更新されたデータを補正することにより、1回の測定の実行だけを使用して必要な精度で軌道品質パラメータを更新することが可能になる。したがって、本システムは、軌道ジオメトリパラメータの更新を頻繁な間隔で実行することを可能にし、軌道の品質(例えば、劣化)をより効率的に監視することを可能にする。
【0057】
更新され改善された軌道ジオメトリは、通信ユニット(図示せず)を介してリモートコンピュータ(ユーザコンピュータ)に送信されるか、または軌道監視システムと一体的に配置されたか、もしくはこれから分散された記憶媒体に記憶される。
【0058】
一実施形態では、GPSおよび撮像ユニットの測定を処理することに加えて、データは、前処理されて集中コンピューティングシステムに送信されてもよい。別個の通信ユニットが、このために軌道監視システムに含まれてもよい。通信デバイスは、収集されたデータをワイヤレス通信し得るワイヤレスデバイス、または1つ以上の商用セル周波数/プロトコル(4/5G)で、これに従ってリモート受信機に送信する無線周波数(RF:radio frequency)送信機であってもよい。コンピューティングシステムは、外部エンティティであってもよいし、または本システムの一部として組み込まれてもよい。また、コンピューティングシステムは、遠隔地にあるサーバであってもよい。これは、軌道測定に関連する大量のデータを処理するシステムの負荷を軽減する。
【0059】
データ記憶媒体またはメモリは、GPSおよび/または撮像ユニットに電気的に接続され、画像および/または位置データを記憶するように構成されてもよい。データ記憶媒体は、1つ以上のコンピュータハードディスクドライブ、リムーバブルドライブ、磁気ドライブ、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュドライブまたは他のソリッドステート記憶デバイスなどを含み得る。任意選択で、データ記憶デバイスは、中央コンピューティングシステムと共に遠隔に配置されてもよい。
【0060】
本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して特に示され説明されてきたが、その添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中で行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4