(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ベース固定領域を含む流体採取デバイス、ならびに関連するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 5/455 20060101AFI20240611BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20240611BHJP
A61G 9/00 20060101ALI20240611BHJP
A47K 11/06 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A61F5/455
A61F5/44 Z
A61G9/00 N
A47K11/06
(21)【出願番号】P 2021576074
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 US2020033064
(87)【国際公開番号】W WO2020256865
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-18
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518427339
【氏名又は名称】ピュアウィック コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PureWick Corporation
【住所又は居所原語表記】2030 Gillespie Way, Suite 109, El Cajon, CA 92020, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アシュリー マリー ジョハネス
(72)【発明者】
【氏名】ホリー トラレンク
(72)【発明者】
【氏名】エリック レーム
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル ルート
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0228642(US,A1)
【文献】特開昭55-086855(JP,A)
【文献】特表平09-504566(JP,A)
【文献】特表2003-509565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/00-6/24
A61G 9/00
A47K 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体不透過性バリアと流体透過性本体とを含む流体採取デバイスであって、
前記流体不透過性バリアは、チャンバを少なくとも部分的に画定する内面と、第1の外面部分を含み、かつ前記流体不透過性バリアを通って延びるアパーチャを画定する第1の端部領域と、前記第1の端部領域から遠位にあり、かつ前記第1の外面部分より接着強度の高い第2の外面部分を含む第2の端部領域とを含み、前記第2の外面部分は、前記第1の外面部分と面一であり、前記流体不透過性バリアの長手方向の長さの約4分の1から約2分の1まで延び、かつ前記流体不透過性バリアはまた、前記流体不透過性バリアに沿って長手方向に延び、かつ女性の尿道に隣接して配置されるように構成された開口部を画定し、
前記流体透過性本体は、前記開口部の少なくとも一部にわたって延びるように前記チャンバ内に少なくとも部分的に配置され、かつ流体を前記開口部から吸い取るように構成されている、流体採取デバイス。
【請求項2】
前記第2の外面部分は、前記第1の外面部分より表面粗さが小さい、請求項1記載の流体採取デバイス。
【請求項3】
前記流体不透過性バリアは、前記第1の端部領域の第1の端部と、前記第2の端部領域の第2の端部とを含む、請求項1または2記載の流体採取デバイス。
【請求項4】
前記流体不透過性バリアは、前記第1の端部領域の第1の端部と、前記第2の端部領域の第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長手方向の長さとを含み、
前記第2の外面部分は、前記第2の端部から前記第1の端部に向かって前記長手方向の長さの3分の1未満延びる、請求項1または2記載の流体採取デバイス。
【請求項5】
前記流体不透過性バリアの前記第1の端部領域および前記第2の端部領域は、少なくとも1つのシリコーンまたは熱可塑性エラストマーを含み、前記流体不透過性バリアの前記第2の端部領域は、前記第1の端部領域より単位あたりの油含有量が多い、請求項1から4までのいずれか1項記載の流体採取デバイス。
【請求項6】
入口と出口とを含む導管をさらに含み、前記導管の少なくとも一部は、前記第1の端部領域内の前記アパーチャを通って前記チャンバへと延び、前記流体透過性本体は、前記開口部から前記入口へと流体を吸い取るように構成される、請求項1から5までのいずれか1項記載の流体採取デバイス。
【請求項7】
前記第2の端部領域は、前記第2の外面部分上に接着剤を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の流体採取デバイス。
【請求項8】
前記流体不透過性バリアは、前記第1の端部領域の第1の端部と、前記第2の端部領域の第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長手方向の長さとを含み、前記長手方向の長さは、少なくとも約20cmである、請求項1から7までのいずれか1項記載の流体採取デバイス。
【請求項9】
流体採取デバイスの流体不透過性バリアを形成する方法であって、前記方法は、
シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)の少なくとも1つを含む組成物をバリア金型に挿入することであって、ここで、前記バリア金型は、第1の金型表面を有する第1の金型部分と、前記第1の金型表面より研磨された第2の金型表面を有する第2の金型部分とを含むものとすることと、
前記組成物を前記バリア金型内で成形して流体不透過性バリアを形成することであって、ここで、前記流体不透過性バリアは、チャンバを少なくとも部分的に画定する内面と、前記第1の金型表面に接する第1の外面部分を有する第1の端部領域と、前記第1の端部領域から遠位にあり、かつ前記第2の金型表面に接する第2の外面部分を有する第2の端部領域と、前記流体不透過性バリアに沿って長手方向に延びる開口部と有し、前記開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成され、前記第2の外面部分は、前記第1の外面部分より接着強度が高いものとし、かつ前記第1の外面部分と面一であり、前記流体不透過性バリアの長手方向の長さの約4分の1から約2分の1まで延在することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記シリコーンまたは前記TPEの少なくとも1つを油と混合して前記組成物を形成することをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記シリコーンまたは前記TPEの少なくとも1つの一部を油と混合して、第1の組成物より単位あたりの油含有量の多い第2の組成物を形成することをさらに含み、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つを含む組成物を前記バリア金型に挿入することは、
前記第1の組成物を前記バリア金型の前記第1の金型部分に挿入することと、
前記第2の組成物を前記バリア金型の前記第2の金型部分に挿入することと
を含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記流体不透過性バリアの前記第2の外面部分に接着剤を施与することをさらに含む、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
流体不透過性バリアと流体透過性本体とを含む流体採取デバイスであって、
前記流体不透過性バリアは、チャンバと、前記流体不透過性バリアに沿って長手方向に延び、かつ女性の尿道に隣接して配置されるように構成された開口部と、前記流体不透過性バリアを通って延びるアパーチャとを少なくとも部分的に画定し、
前記流体不透過性バリアは、前記チャンバを少なくとも部分的に画定する内面と、第1の外面部分および前記アパーチャを含む第1の端部領域と、前記第1の端部領域から遠位にあり、かつ第2の外面部分を含む第2の端部領域とを含み、前記流体不透過性バリアの
前記第2の端部領域は、油とシリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)の少なくとも1つとを含む組成物を有し、前記組成物は、ゴム重量100に対する重量部(phr)が100のスチレンブロックコポリマーに対して約60phr~約200phrの油を含み、
前記第1の端部領域の単位あたりの油含有量は、前記第2の端部領域の単位あたりの油含有量より少なく、
前記流体透過性本体は、前記開口部の少なくとも一部にわたって延びるように前記チャンバ内に少なくとも部分的に配置され、かつ流体を前記開口部から吸い取るように構成されている、
流体採取デバイス。
【請求項14】
前記第1の端部領域は、追加の組成物を有する前記流体不透過性バリアの追加の部分を含み、前記追加の組成物は、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つを含
む、請求項
13記載の流体採取デバイス。
【請求項15】
前記第2の外面部分は、前記第1の外面部分よりタックが大きい、請求項
13または
14記載の流体採取デバイス。
【請求項16】
前記第2の外面部分は、前記第1の外面部分より表面粗さが小さい、請求項
13から
15までのいずれか1項記載の流体採取デバイス。
【請求項17】
前記流体不透過性バリアは、前記第1の端部領域の第1の端部と、前記第2の端部領域の第2の端部とを含み、
前記第2の外面部分は、前記第1の外面部分と面一であり、かつ前記第2の端部から前記第1の端部に向かって前記流体不透過性バリアの長手方向の長さの約4分の1から約2分の1まで延びている、請求項
13から
16までのいずれか1項記載の流体採取デバイス。
【請求項18】
前記流体不透過性バリアは、前記第1の端部領域の第1の端部と、前記第2の端部領域の第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長手方向の長さとを含み、
前記第2の外面部分は、前記第2の端部から前記第1の端部に向かって前記長手方向の長さの3分の1未満延びる、請求項
13から
16までのいずれか1項記載の流体採取デバイス。
【請求項19】
入口と出口とを含む導管をさらに含み、前記導管の少なくとも一部は、前記アパーチャを通って前記チャンバへと延び、前記流体透過性本体は、前記開口部から前記入口へと流体を吸い取るように構成されている、請求項
13から
18までのいずれか1項記載の流体採取デバイス。
【請求項20】
前記流体不透過性バリアは、前記第1の端部領域の第1の端部と、前記第2の端部領域の第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長手方向の長さとを含み、前記長手方向の長さは、少なくとも約20cmである、請求項
13から
19までのいずれか1項記載の流体採取デバイス。
【請求項21】
流体採取デバイスの流体不透過性バリアを形成する方法であって、前記方法は、
組成物をバリア金型の少なくとも一部に挿入することであって、ここで、前記組成物は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)の少なくとも1つと、ゴム重量100に対する重量部(phr)が100のスチレンブロックコポリマーに対して約60phr~約200phrの油とを含むものとすることと、
前記組成物を前記バリア金型内で成形して、チャンバと、それを通って延びる開口部とを画定する流体不透過性バリアの少なくとも一部を形成することであって、ここで、前記開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成されるものとすることと、
追加の組成物を前記バリア金型の追加の部分に挿入することとを含み、前記追加の組成物は、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つを含み、かつ前記組成物より単位あたりの油含有量が少なく、
ここで、前記組成物を前記バリア金型内で成形することは、前記組成物を前記バリア金型内で成形して、前記追加の組成物を含む第1の端部領域と、前記第1の端部領域から遠位にあり、かつ前記組成物を含む第2の端部領域とを有する前記流体不透過性バリアを形成することを含み、
前記バリア金型から前記流体不透過性バリアを取り出すことと
を含む、方法。
【請求項22】
追加の組成物を前記バリア金型の追加の部分に挿入することは、前記追加の組成物を、第1の金型表面を有する前記バリア金型の前記追加の部分に挿入することを含み、
前記組成物をバリア金型の少なくとも一部に挿入することは、前記組成物を、前記第1の金型表面より研磨された第2の金型表面を有する前記バリア金型の前記部分に挿入することを含み、
前記組成物を前記バリア金型内で成形して、前記流体不透過性バリアの少なくとも一部を形成することは、前記第2の金型表面に接する第2の外面部分を形成するように組成物を成形することと、前記第1の金型表面に接する第1の外面部分を形成するように追加の組成物を成形することとを含む、
前記第2の外面部分は、前記第1の外面部分よりタックが大きい、請求項
21記載の方法。
【請求項23】
前記組成物をバリア金型の少なくとも一部に挿入することは、前記組成物を、第1の金型表面を有する前記バリア金型の第1の部分と、前記第1の金型表面より研磨された第2の金型表面を有する前記バリア金型の第2の部分とに挿入することを含み、
前記組成物を前記バリア金型内で成形することは、前記組成物を前記バリア金型内で成形して前記流体不透過性バリアを形成することを含み、前記流体不透過性バリアは、チャンバを少なくとも部分的に画定する内面と、前記第1の金型表面に接する第1の外面部分を有する第1の端部領域と、前記第1の端部領域から遠位にあり、かつ前記第2の金型表面に接する第2の外面部分を有する第2の端部領域とを有し、前記第2の外面部分は、前記第1の外面部分よりタックが大きい、請求項
21記載の方法。
【請求項24】
前記油を前記シリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して前記組成物を形成することをさらに含む、請求項
21記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月21日に出願された米国仮出願第62/864,656号の優先権を主張し、その開示内容全体を本明細書に援用するものとする。
【0002】
背景
個人は、身体の自由が制限されたまたは損なわれており、典型的な排尿プロセスが困難または不可能である場合がある。例えば、個人は、身体の自由を損なう手術を受けるかまたは障害を有する場合がある。他の例では、個人は、パイロット、運転手、および危険区域での労働者が経験するような、制限された移動条件を有する場合がある。さらに、モニタリング目的または臨床検査のために個人からの流体採取が必要な場合もある。
【0003】
このような状況のいくつかに対処するために、ベッドパンやフォーリーカテーテルなどの尿道カテーテルが使用される場合がある。しかし、ベッドパンおよび尿道カテーテルには、それに付随するいくつかの問題がある。例えば、ベッドパンは、不快感、褥瘡性潰瘍の流出、および他の衛生上の問題を生じやすい場合がある。尿道カテーテルは、違和感、痛み、および尿路感染症を引き起こす可能性がある。
【0004】
したがって、流体採取デバイスの使用者および製造業者は、尿を採取するための新規かつ改良されたデバイス、システム、および方法を求め続けている。
【0005】
概要
本明細書に開示される実施形態は、流体採取デバイス、および流体採取デバイスを組み立てる方法である。一実施形態では、流体採取デバイスは、流体不透過性バリアと流体透過性本体とを含む。流体不透過性バリアは、チャンバを少なくとも部分的に画定する内面と、流体不透過性バリアを通って延びるアパーチャを画定し、かつ第1の外面部分を含む第1の端部領域と、第1の端部領域から遠位にあり、かつ第1の外面部分より接着強度の高い第2の外面部分を含む第2の端部領域とを含む。流体不透過性バリアはまた、流体不透過性バリアに沿って長手方向に延び、かつ女性の尿道に隣接して配置されるように構成された開口部を画定する。流体透過性本体は、開口部の少なくとも一部にわたって延びるようにチャンバ内に少なくとも部分的に配置され、かつ流体を開口部から吸い取るように構成されている。
【0006】
一実施形態では、流体採取デバイスは、流体不透過性バリアと流体透過性本体とを含む。流体不透過性バリアは、チャンバと、流体不透過性バリアに沿って長手方向に延び、かつ女性の尿道に隣接して配置されるように構成された開口部と、流体不透過性バリアを通って延びるアパーチャとを少なくとも部分的に画定する。流体不透過性バリアの少なくとも一部は、油とシリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)の少なくとも1つとを含む組成物を有し、該組成物は、ゴム重量100に対する重量部(phr)が100のスチレンブロックコポリマーに対して約60phr~約200phrの油を含む。流体透過性本体は、開口部の少なくとも一部にわたって延びるようにチャンバ内に少なくとも部分的に配置され、かつ流体を開口部から吸い取るように構成される。
【0007】
一実施形態では、流体採取デバイスの流体不透過性バリアを形成する方法は、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つを含む組成物をバリア金型に挿入することを含む。バリア金型は、第1の金型表面を有する第1の金型部分と、第1の金型表面より研磨された第2の金型表面を有する第2の金型部分とを含む。本方法はまた、組成物をバリア金型内で成形して流体不透過性バリアを形成することを含み、流体不透過性バリアは、チャンバを少なくとも部分的に画定する内面と、第1の金型表面に接する第1の外面部分を有する第1の端部領域と、第1の端部領域から遠位にあり、かつ第2の金型表面に接する第2の外面部分を有する第2の端部領域と、流体不透過性バリアに沿って長手方向に延びる開口部と有する。開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成され、第2の外面部分は、第1の外面部分より接着強度が高い。
【0008】
一実施形態では、流体採取デバイスの流体不透過性バリアを形成する方法は、組成物をバリア金型の少なくとも一部に挿入することを含み、組成物は、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つと、スチレンブロックコポリマー100phrに対して約60phr~約200phrの油とを含む。本方法はまた、組成物をバリア金型内で成形して、チャンバと、それを通って延びる開口部とを画定する流体不透過性バリアの少なくとも一部を形成することを含み、開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成される。本方法はまた、バリア金型から流体不透過性バリアを取り出すことを含む。
【0009】
開示されたすべての実施形態の特徴を、限定されることなく、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を考慮することによって、当業者には明らかになるであろう。
【0010】
図面は、本開示のいくつかの実施形態を説明するものであり、同一の参照数字は、図面に示される異なる図示または実施形態における同一または類似の要素または特徴を指す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】一実施形態による、女性用流体採取デバイスの等角図。
【
図1B】女性使用者に装着された
図1Aの女性用流体採取デバイスの正面図。
【
図2A】様々な実施形態による
図1Aの女性用流体採取デバイスの線2-2に沿った断面図。
【
図2B】様々な実施形態による
図1Aの女性用流体採取デバイスの線2-2に沿った断面図。
【
図3A】第2の実施形態による、女性用流体採取デバイスの等角正面図。
【
図4】流体採取デバイスの流体不透過性バリアを形成する方法のフロー図。
【
図5】一実施形態による、流体採取デバイスを組み立てる方法のフロー図。
【
図6】一実施形態による、流体を採取する方法のフロー図。
【
図7】一実施形態による、流体採取システムのブロック図。
【0012】
詳細な説明
本明細書に開示される実施形態は、流体採取デバイスおよび流体採取デバイスを形成する方法を含む。女性使用者において、流体採取デバイスは、流体不透過性バリアの一部が装着者の臀裂内に少なくとも部分的に配置されると、より良好に機能する。しかし、従来の流体採取デバイスの流体不透過性バリアは、臀裂の間から滑ることがあり、したがって、流体採取デバイスがあまり効果的でなくなることがある。本明細書に記載される流体採取デバイスの1つ以上の実施形態は、流体不透過性バリアの少なくとも一部と臀裂との間の改善された接着を促進する改善された外面を有するベース固定領域を含む。本明細書に記載される流体採取デバイスの1つ以上の実施形態は、より長い長手方向の長さを有する流体不透過性バリアも含み、より大きなまたは肥満の使用者の臀裂内で少なくとも部分的に流体採取デバイスの接着がさらに促進される。本明細書におけるシステムおよび方法と共に使用するための例示的な流体採取デバイスを、以下でより詳細に説明する。
【0013】
一実施形態では、流体採取デバイスは、流体不透過性バリアと流体透過性本体とを含む。流体不透過性バリアは、チャンバを少なくとも部分的に画定する内面と、流体不透過性バリアを通って延びるアパーチャを画定し、かつ第1の外面部分を含む第1の端部領域と、第1の端部領域から遠位にあり、かつ第2の外面部分を含む第2の端部領域とを含む。第2の外面部分は、第1の外面部分より接着強度が高い、表面粗さが小さい、またはタックが大きいのうちの少なくとも1つである。そして第2の外面部分は、従来の流体採取デバイスよりも、臀裂に固定された状態を維持しやすい。流体不透過性バリアはまた、流体不透過性バリアに沿って長手方向に延び、かつ女性の尿道に隣接して配置されるように構成された開口部を画定する。流体透過性本体は、開口部の少なくとも一部にわたって延びるようにチャンバ内に少なくとも部分的に配置され、開口部から流体を吸い取るように構成される。
【0014】
一実施形態では、流体採取デバイスは、流体不透過性バリアと流体透過性本体とを含む。流体不透過性バリアは、チャンバと、流体不透過性バリアに沿って長手方向に延び、かつ女性の尿道に隣接して配置されるように構成された開口部と、流体不透過性バリアを通って延びるアパーチャとを少なくとも部分的に画定する。流体不透過性バリアの少なくとも一部は、油と、シリコーンおよび熱可塑性エラストマー(TPE)の少なくとも1つとを含む組成物を有し、該組成物は、ゴム重量100に対する重量部(phr)が100のスチレンブロックコポリマーに対して約60phr~約200phrの油を含む。油とシリコーンまたはTPEの少なくとも1つとを流体不透過性バリアに組み込むことにより、より臀裂に固定された状態を維持しやすい、よりタックが大きくより柔らかい材料が得られる。流体透過性本体は、開口部の少なくとも一部にわたって延びるようにチャンバ内に少なくとも部分的に配置され、開口部から流体を吸い取るように構成される。
【0015】
一実施形態では、流体採取デバイスの流体不透過性バリアを形成する方法は、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つを含む組成物をバリア金型に挿入することを含む。バリア金型は、第1の金型表面を有する第1の金型部分と、第1の金型表面より研磨された第2の金型表面を有する第2の金型部分とを含む。本方法はまた、組成物をバリア金型内で成形して流体不透過性バリアを形成することを含み、流体不透過性バリアは、チャンバを少なくとも部分的に画定する内面と、第1の金型表面に接する第1の外面部分を有する第1の端部領域と、第1の端部領域から遠位にあり、かつ第2の金型表面に接する第2の外面部分を有する第2の端部領域と、流体不透過性バリアに沿って長手方向に延びる開口部と有する。開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成される。第2の金型表面は第1の金型表面より研磨されているため、第2の外面部分も第1の外面部分より高度に研磨されており、したがって、第1の外面部分より接着強度が高い、表面粗さが小さい、またはタックが大きいのうちの少なくとも1つである。そして第2の外面部分は、従来の流体採取デバイスよりも、臀裂に固定された状態を維持しやすい。
【0016】
一実施形態では、流体採取デバイスの流体不透過性バリアを形成する方法は、組成物をバリア金型の少なくとも一部に挿入することを含み、組成物は、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つと、スチレンブロックコポリマー100phrに対して約60phr~約200phrの油とを含む。本方法はまた、組成物をバリア金型内で成形して、チャンバと、それを通って延びる開口部とを画定する流体不透過性バリアの少なくとも一部を形成することを含み、開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成される。本方法はまた、バリア金型から流体不透過性バリアを取り出すことを含む。
【0017】
本明細書に開示される流体採取デバイスは、個人から流体を採取するように構成される。流体採取デバイスによって採取される流体には、尿が含まれ得る。流体採取デバイスによって採取される流体には、膣分泌物、陰茎分泌物、生殖液、血液、汗、または他の体液のうちの少なくとも1つも含まれ得る。
【0018】
本明細書に記載される流体採取デバイスは、流体採取システムで使用することができる。流体採取システムは、流体採取デバイスと、流体貯蔵容器と、携帯型真空源とを備えることもできる。流体採取デバイス内に採取された流体(例えば、尿または他の体液)は、流体採取デバイスの内部領域内に突出する導管を通じて流体採取デバイスから除去することができる。例えば、導管の第1の開放端部は、流体採取デバイス内にその中の貯留部まで延びることができる。導管の第2の開放端部は、流体採取デバイスまたは携帯型真空源内に延びることができる。吸引力は、導管の第2の端部で施与される吸引(例えば、真空)力に応じて、導管の第1の開放端部を通じて流体採取デバイスの内部領域に導入することができる。携帯型真空源によって、直接または間接的に導管の第2の開放端部に吸引力を施与することができる。
【0019】
本明細書に記載される流体採取デバイスは、女性の尿道の開口部に隣接して配置されるか、または男性の尿道がそれを通るように配置される(例えば、その中に陰茎を収容する)ような形状およびサイズを有することができる。例えば、流体採取デバイスは、流体採取デバイスのチャンバ(例えば、流体採取デバイスの内部領域)を少なくとも部分的に画定する流体不透過性バリアを含むことができる。流体不透過性バリアはまた、外部環境から流体不透過性バリアを通って延びる開口部を画定する。開口部は、女性の尿道に隣接して配置されてもよいし、男性の尿道がそれを通るように配置されてもよい。流体採取デバイスは、流体不透過性バリア内に配置された流体透過性本体を含むことができる。導管は、第1の端部領域で流体採取デバイス内に延び、1つ以上の流体不透過性バリア、流体透過性本体を通って、流体採取デバイスの第2の端部領域まで延びることができる。本明細書におけるシステムおよび方法と共に使用するための例示的な流体採取デバイスを、以下でより詳細に説明する。
【0020】
いくつかの実施形態では、携帯型真空源は、流体採取デバイス内またはその上に配置することができる。そのような実施形態では、導管は、流体採取デバイスから延び、その中の第1の点で携帯型真空源に取り付けることができる。追加の導管は、その上の第2の点で携帯型真空源に取り付けることができ、流体採取デバイスから延びて流体貯蔵容器に取り付けることができる。したがって、流体貯蔵容器を経由して流体採取デバイスを通して真空引き(例えば、吸引)することができる。尿などの流体は、携帯型真空源を使用して流体採取デバイスから排出することができる。
【0021】
図1Aは、一実施形態による流体採取デバイス100の等角図である。流体採取デバイス100は、女性からの流体を収容するように構成された女性用流体採取デバイス100の一例である。流体採取デバイス100は、第1の端部領域125と第2の端部領域127とを有する流体不透過性バリア102を含む。流体不透過性バリア102は、チャンバ104(例えば、
図1Cに示す内部領域)を少なくとも部分的に画定し、かつ開口部106を画定する内部境界または縁部129を含む。流体不透過性バリア102は、第1の端部領域125と第2の端部領域127との間で実質的に円筒形である。他の実施形態では、流体不透過性バリア102は、実質的に平坦な面、三角形、または他の適切な形状のうちの1つ以上などの他の形状を含んでもよい。開口部106は、流体不透過性バリア102内に形成され、かつ流体不透過性バリア102を通って長手方向に延びており、それによって流体採取デバイス100の外側からチャンバ104に流体が進入することができる。開口部106は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成することができる。
【0022】
流体採取デバイス100は、女性の尿道の開口部に近接して配置することができ、尿は、開口部106を通じて流体採取デバイス100の内部領域に進入することができる。流体採取デバイス100は、開口部106を通じてチャンバ104に流体を収容するように構成される。例えば、開口部106は、尿道口の下方の第1の位置(例えば、肛門もしくは膣口またはその近傍)から尿道口の上方の第2の位置(例えば、クリトリスもしくは陰毛またはその近傍)まで延びるように構成された細長い形状を示すことができる。開口部106は、女性の脚が閉じられたときに女性の脚の間の空間が比較的小さいために細長い形状を示すことができ、それによって、開口部106の細長い形状に対応する経路に沿った流体の流れのみが許容される。例えば、開口部106は、流体不透過性バリアに沿って長手方向に延びることができる。流体不透過性バリア102の開口部106は、長手方向に対して横方向に測定される幅を示すことができ、この幅は、流体採取デバイス100の周長の少なくとも約10%、例えば、流体採取デバイス100の周長の約25%~約50%、約40%~約60%、約50%~約75%、約65%~約85%、または約75%~約100%であることができる。導管108を通る真空(例えば、吸引)が流体を導管108内に引き込むため、開口部106は、流体採取デバイス100の周長の50%超の幅を示すことができる。いくつかの実施形態では、開口部106は、縦向きである(例えば、デバイス100の長手方向軸に対して平行な主軸を有する)ことができる。いくつかの実施形態では(図示せず)、開口部106は、横向きである(例えば、デバイス100の長手方向軸に対して垂直な主軸を有する)ことができる。いくつかの実施形態では、流体不透過性バリア102の内部境界または縁部129は、開口部106を画定する。縁部129は、2つの対向する弧状部分を含むことができ、弧状部分は、実質的に円筒形の流体不透過性バリア102の外周または外周縁に続いている。一実施形態では、流体不透過性バリア102は、個人に取り付けられるように構成することができ、例えば接着により(例えば、ヒドロゲル接着剤で)個人に取り付けられるように構成することができる。一実施形態によれば、好適な接着剤は、米国特許出願公開第2017/0189225号明細書に開示されているものなどのヒドロゲル層であり、その開示内容全体を本明細書に援用するものとする。
【0023】
流体不透過性バリア102はまた、流体をチャンバ104内に一時的に貯蔵することができる。例えば、流体不透過性バリア102は、流体不透過性ポリマー(例えば、シリコーン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなど)、ポリウレタンフィルム、TPE、油、ゴム、熱可塑性ポリウレタン、他の適切な材料、またはそれらの組み合わせなど、任意の適切な流体不透過性材料で形成することができる。このように、流体不透過性バリア102は、開口部106から離間したチャンバ104の部分から流体が出ることを実質的に防止する。流体不透過性バリア102は可撓性であり、装着者の身体に配置されたときに流体採取デバイス100が屈曲または湾曲することが可能である。1つ以上のTPEを、シリコーンおよび油の少なくとも1つと組み合わせることができる。多くの実施形態では、流体不透過性バリア102は、少なくともシリコーンおよび油をその中に有する組成物を含むことができる。以下に説明する量の油を有する流体不透過性バリア102は、従来の流体採取デバイスの流体不透過性バリアより接着強度またはタックが大きいより柔らかい外面107を有する流体不透過性バリア102を提供する。
【0024】
例えば、流体不透過性バリア102の接着仕事量は、異なる実施形態により変化し得る。流体不透過性バリア102の接着仕事量は、約200グラム秒(gs)~約3500gs、約200gs~約1850gs、約1850gs~約3500gs、約200gs~約1025gs、約1025gs~約1850gs、約1850gs~約2675gs、約2675gs~約3500gs、約200gs~約800gs、約600gs~約1200gs、約1000gs~約1600gs、約1400gs~約2000gs、約1800gs~約2400gs、約2200gs~約2800gs、約2600gs~約3200gs、約3000gs~約3600gs、少なくとも約200gs、少なくとも約600gs、少なくとも約1000gs、少なくとも約1400gs、少なくとも約1800gs、少なくとも約2200gs、少なくとも約2600gs、少なくとも約3000gs、少なくとも約3400gs、約3500gs未満、約3100gs未満、約2700gs未満、約2300gs未満、約1900gs未満、約1500gs未満、約1100gs未満、約700gs未満、または約300gs未満であり得る。
【0025】
流体不透過性バリア102のタックは、異なる実施形態により変化し得る。例えば、流体不透過性バリア102のタック力は、約50グラム(g)~約500g、約50g~約275g、約275g~約500g、約50g~約100g、約100g~約150g、約150g~約200g、約200g~約250g、約250g~約300g、約300g~約350g、約350g~約400g、約400g~約450g、約450g~約500g、少なくとも約50g、少なくとも約100g、少なくとも約150g、少なくとも約200g、少なくとも約250g、少なくとも約300g、少なくとも約350g、少なくとも約400g、少なくとも約450g、約100g未満、約150g未満、約200g未満、約250g未満、約300g未満、約350g未満、約400g未満、約450g未満、または約500g未満であり得る。
【0026】
流体不透過性バリア102の油の種類は、異なる実施形態により変化し得る。いくつかの実施形態では、流体不透過性バリア102は、鉱油を含むことができる。流体不透過性バリア102中の油の量は、異なる実施形態により変化し得る。例えば、流体不透過性バリア102は、スチレンブロックコポリマー100phrに対して、約60phr~約200phrの油、約50phr~約100phrの油、約100phr~約150phrの油、約150phr~約200phrの油、約60phr~約80phrの油、約80phr~約100phrの油、約100phr~約120phrの油、約120phr~約140phrの油、約140phr~約160phrの油、約160phr~約180phrの油、約180phr~約200phrの油、約60phr~約70phrの油、約70phr~約80phrの油、約80phr~約90phrの油、約90phr~約100phrの油、約100phr~約110phrの油、約110phr~約120phrの油、約120phr~約130phrの油、約130phr~約140phrの油、約140phr~約150phrの油、約150phr~約160phrの油、約160phr~約170phrの油、約170phr~約180phrの油、約180phr~約190phrの油、約190phr~約200phrの油、約200phr未満の油、約180phr未満の油、約160phr未満の油、約140phr未満の油、約120phr未満の油、約100phr未満の油、約80phr未満の油、約60phr未満の油、約200phr超の油、約180phr超の油、約160phr超の油、約140phr超の油、約120phr超の油、約100phr超の油、約80phr超の油、または約60phr超の油のような様々なphrの油を有する組成物を含むことができる。流体不透過性バリア102の材料は、いくつかの例において、Versaflex 2000またはDynaflex G6713のような、その中に混合された油を有するTPE材料を含むことができる。
【0027】
一実施形態では、流体不透過性バリア102は、空気透過性であることができる。このような実施形態では、流体不透過性バリア102は、複数の孔を画定する疎水性材料で形成することができる。一実施形態では、流体不透過性バリア102の少なくとも外面の1つ以上の部分は、柔らかいおよび/または滑らかな材料から形成することができ、それにより擦過傷が低減する。流体不透過性バリア102は、その上にマーキングを含むことができ、例えば、装着者の上にデバイス100を位置合わせする際に使用者を支援するための1つ以上のマーキングを含むことができる。例えば、流体不透過性バリア102上の線(例えば、開口部106の反対側)により、医療従事者が開口部106を装着者の尿道上に位置合わせすることが可能となり得る。例では、マーキングは、ストライプまたはハッシュなどの位置合わせガイドまたは方向指示体のうちの1つ以上を含むことができる。そのようなマーキングは、恥骨などの1つ以上の解剖学的特徴にデバイス100を位置合わせするように配置することができる。
【0028】
流体採取デバイス100は、チャンバ104内に配置された流体透過性本体120または層を含むことができる。流体透過性本体120は、開口部106の少なくとも一部(例えば、すべて)を覆うか、またはそれ全体にわたって延びることができる。流体透過性本体120は、任意の流体を開口部106から吸い取るように構成することができ、それによって、流体がチャンバ104から漏れることが防止される。流体透過性本体120はまた、以下でより詳細に論じるように、流体を総じてチャンバ104の内部に向かって吸い取ることができる。流体透過性本体120の一部は、流体採取デバイス100の外面の一部を画定することができる。具体的には、流体採取デバイス100の外面の一部を画定する流体透過性本体120の部分は、流体不透過性バリア102によって画定された開口部106によって露出された、使用者に接触する流体透過性本体120の部分であり得る。さらに、流体採取デバイス100の外面の一部を画定する流体透過性デバイスの部分は、開口部においてガーゼまたは他の吸取り材料による被覆がなくてもよい。
【0029】
流体透過性本体120は、流体を吸い取ることができる任意の材料を含むことができる。本明細書で言及される透過性とは、吸取り、毛管作用、拡散、または他の同様の特性もしくはプロセスであることができ、本明細書では、「透過性」および/または「吸取り」と称される。このような「吸取り」は、吸取り材料への吸収を除外することができる。
【0030】
流体透過性本体120は、一方向に流体が移動する布地を含むことができる。このようにして、流体透過性本体120は、女性の尿道周辺の領域から流体を除去することができ、それによって尿道を乾燥した状態にする。流体透過性本体120は、流体が総じてチャンバ104内に形成された空隙空間の貯留部122(
図2Aおよび
図2Bに示す)に向かって流れることを可能にし得る。例えば、流体透過性本体120は、親水性ポリオレフィンなどの多孔質または繊維状材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、流体透過性本体120は、親水性ポリオレフィンなどの多孔質もしくは繊維状材料からなるか、または実質的にそれらからなる。流体透過性本体120に使用できるポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。多孔質または繊維状材料は、流体不透過性バリア102のチャンバ104内に適合するように実質的に円筒形の形状に押出成形することができる。流体透過性本体120は、様々な密度または寸法を含むことができる。さらに、流体透過性本体120は、成形、押出成形、または焼結などの様々な製造方法により製造することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、流体透過性本体120は、単一の多孔性の本体を含む。すなわち、使用時に、流体透過性本体120は、導管108から延びて、流体不透過性バリア102および開口部106と接する。いくつかの実施形態では、流体透過性本体120の外面109(
図1Cに示す)の大部分は、流体不透過性バリア102の内面103(
図1Cに示す)と接する。単一の流体透過性本体120は、流体採取デバイス100の構成要素の数を低減し、流体採取デバイス100の組み立て時間を短縮し、単一の構成要素の貯蔵寿命データしか必要とせず、かつラテックスを含まない単一の構成要素を提供するため、典型的にはリブ付き布地の圧迫包帯で覆われたエアレイド不織パッドを必要とする従来のシステムに対して有利となり得る。いくつかの実施形態では、流体透過性本体120の単一の多孔質材料の少なくとも一部は、開口部106と貯留部122との間に連続して延びて、任意の流体を開口部106から貯留部122へと直接吸い取る。さらに、流体不透過性バリアは可撓性であり、流体透過性本体120は、身体から流体を吸収して身体に接して流体を保持するのではなく、身体から流体を逃がすように構成されているため、流体採取デバイス100は、いくつかの実施形態では、開口部106を画定する内部縁部129上にシールまたはクッションリングを有しない。これらおよび他の実施形態では、流体透過性本体120は、外面109と、開口部106と流体透過性本体120内に配置された導管108との間の単一の層または一種の材料とを含む。
【0032】
他の実施形態では、流体透過性本体120は、2層以上の流体透過性材料を含むことができ、開口部106と流体透過性本体120内に配置された導管108との間に2層を上回る材料を含まない(または存在しない)ことができる。例えば、流体採取デバイス100は、流体透過性支持体の少なくとも一部を覆うかまたはこれに巻き付く流体透過性膜を含むことができ、流体透過性膜および流体透過性支持体の双方は、チャンバ104内に配置される。流体透過性膜は、開口部106の少なくとも一部(例えば、すべて)を覆うか、またはそれ全体にわたって延びることができる。流体透過性膜は、任意の流体を開口部106から吸い取るように構成することができ、それによって、流体がチャンバ104から漏れることが防止される。本明細書で言及される透過性とは、吸取り、毛管作用、拡散、または他の同様の特性もしくはプロセスであることができ、本明細書では、「透過性」および/または「吸取り」と称される。いくつかの実施形態では、流体透過性膜または流体透過性支持体の少なくとも1つは、流体を開口部106から吸い取るように構成されたナイロンを含む。流体透過性膜および流体透過性支持体の材料はまた、天然繊維を含むことができる。このような例では、材料は、撥水コーティングのような、材料への流体の吸収を防止または制限するためのコーティングを有することができる。このような「吸取り」は、吸取り材料への吸収を含まないことができる。別の言い方をすれば、材料を流体に曝し、これをしばらくの間流体から離した後に、材料への流体の吸収が実質的に生じないことができる。吸収が生じないことが望ましいが、「吸収が実質的に生じない」という用語は、吸取り材料への流体の吸収の名目上の量(例えば、吸収能)が、例えば、吸取り材料の乾燥重量の約10重量%未満、約7重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満であることを許容し得る。
【0033】
流体透過性膜はまた、以下でより詳細に論じるように、流体を総じてチャンバ104の内部に向かって吸い取ることができる。流体透過性膜は、流体を吸い取ることができる任意の材料を含むことができる。例えば、流体透過性膜は、ガーゼ(例えば、絹、麻、ポリエステルなどのポリマー系材料、または綿ガーゼ)、他の柔らかい布地(例えば、ジャージーニット布地など)、または他の滑らかな布地(例えば、レーヨン、サテンなど)などの布地を含むことができる。流体透過性膜をガーゼ、柔らかい布地および/または滑らかな布地から形成することにより、流体採取デバイス100に起因する擦過傷が低減し得る。流体透過性膜、流体透過性支持体、チャンバ、ならびにそれらの形状および構成の他の実施形態は、2017年6月2日に出願された米国特許出願第15/612,325号、2016年9月8日に出願された米国特許出願第15/260,103号、2017年6月1日に出願された米国特許出願第15/611,587号、2019年4月29日に出願されたPCT特許出願PCT/US19/29608号に開示されており、これらの各々の開示内容全体を本明細書に援用するものとする。多くの実施形態では、流体透過性本体120は、多孔質ナイロン構造体(例えば、スパンナイロン繊維)を含む流体透過性支持体と、この多孔質ナイロン構造体の周囲および上方のガーゼを含む流体透過性膜とを含む。
【0034】
図1Bは、女性使用者150に使用されている流体採取デバイス100の正面図である。使用中、流体採取デバイスの流体透過性本体120は、使用者150の尿道に隣接して配置される。流体透過性本体120は、流体採取デバイス100の流体不透過性バリア102のチャンバ104(
図2Aおよび
図2Bに示す)内に配置され、流体採取デバイス100の開口部106を通じて使用者150の尿道に当てられる。流体採取デバイス100は、いくつかの固定デバイスのいずれかを用いて使用者に固定することができる。尿道から流体採取デバイス100のチャンバ104内に収容された流体は、導管108を通じて除去することができる。
【0035】
図2Aは、
図1Aの線2-2に沿った流体採取デバイス100の断面図である。流体採取デバイス100はまた、チャンバ104内に少なくとも部分的に配置された導管108を含む。導管108(例えば、チューブ)は、流体不透過性バリア102の第2の端部領域127にある入口110と、入口110から下流に位置する流体不透過性バリア102の第1の端部領域125にある出口112とを含む。導管108は、チャンバ104の内部領域と、流体貯蔵容器(図示せず)または携帯型真空源(図示せず)との間の流体連通を提供する。例えば、導管108は、チャンバ104の内部領域および/または貯留部122を流体貯蔵容器または携帯型真空源と直接的または間接的に流体連通させることができる。
【0036】
図示された実施形態では、流体透過性本体120は、流体透過性本体120の第1の本体端部121から、第1の本体端部121から遠位にある流体透過性本体120の第2の本体端部123まで流体透過性本体120を通って延びる内腔202を画定する。他の実施形態では、内腔202は、流体透過性本体120の第1の本体端部121から流体透過性本体の中に部分的にのみ延びる。
【0037】
図示された実施形態では、導管108は、チャンバ104内に少なくとも部分的に配置され、流体透過性本体120の内腔202の一部と接する。例えば、導管108は、第1の端部領域125(例えば、出口112に近接)から流体不透過性バリア102内に延びることができ、かつ内腔202を通って第2の端部領域127(例えば、第1の端部領域125の反対側)へ、入口110が貯留部122と流体連通するように貯留部122に近接する点まで延びることができる。例えば、図示された実施形態では、入口110は、貯留部122内に配置される。しかし、他の実施形態では、入口110は、貯留部122を部分的に画定する流体透過性本体120の端部と同一平面上に、またはその後ろに配置することができる。流体採取デバイス100内に採取された流体は、導管108を通じてチャンバ104の内部領域から除去することができる。導管108は、プラスチックチューブ(例えば、医療用チューブ)のような可撓性材料を含むことができる。このようなプラスチックチューブは、TPE、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレンなどのチューブを含むことができる。いくつかの実施形態では、導管108は、シリコーンまたはラテックスを含むことができる。
【0038】
流体不透過性バリア102は、その中の貯留部122に流体を貯蔵することができる。貯留部122は、チャンバ104の非占有部分であり、他の材料が存在しない。いくつかの実施形態では、貯留部122は、流体透過性本体120および流体不透過性バリア102によって少なくとも部分的に画定される。例えば、一実施形態では、貯留部122は、入口110に最も近いチャンバ104の部分(例えば、第2の端部領域)に配置することができる。したがって、
図2Aの実施形態では、貯留部122は、流体透過性本体120の第2の本体端部123と、流体不透過性バリア122の第2の端部領域127とによって画定される。しかし、貯留部122は、入口110に最も近いチャンバ104の部分(例えば、第2の端部領域)に配置することができる。貯留部122はまた、チャンバ104の異なる位置に配置することができる。例えば、貯留部122は、出口112に最も近いチャンバ104の端部に配置することができる。これらおよび他の実施形態では、導管108は、流体透過性本体120を通って延びることなく、流体不透過性バリア102の第1の端部領域125を通って貯留部122まで延びることができる。したがって、これらおよび他の実施形態では、流体透過性本体120は、内腔を有しないことができる。他の実施形態では、流体採取デバイス100は、チャンバ104のうち入口110に最も近い部分(例えば、第2の端部領域)に位置する第1の貯留部、およびチャンバ104のうち出口112に最も近い部分(例えば、第1の端部領域)に位置する第2の貯留部など、複数の貯留部を含むことができる。他の例では、流体透過性本体120は、導管108の少なくとも一部から離間しており、貯留部122は、流体透過性本体120と導管108との間の空間であることができる。
【0039】
貯留部、流体不透過性バリア、流体透過性膜、流体透過性本体、チャンバ、ならびにそれらの形状および構成の他の実施形態は、2017年6月2日に出願された米国特許出願第15/612,325号、2016年9月8日に出願された米国特許出願第15/260,103号、および2017年6月1日に出願された米国特許出願第15/611,587号に開示されており、これらの各々の開示内容全体を本明細書に援用するものとする。
【0040】
流体不透過性バリア102および流体透過性本体120は、導管108がチャンバ104内に少なくとも部分的に配置されるように構成することができる。例えば、流体透過性本体120は、内腔202のような導管108を収容する空間を形成するように構成することができる。他の例では、流体不透過性バリア102は、導管108(例えば、少なくとも1つのチューブ)を収容する大きさのアパーチャ124を画定することができる。少なくとも1つの導管108は、アパーチャ124によりチャンバ104内に配置することができる。アパーチャ124は、導管108または少なくとも1つのチューブに対して少なくとも実質的に流体密シールを形成するように構成することができ、それによって流体がチャンバ104から漏れることが実質的に防止される。
【0041】
いくつかの実施形態では、導管108は、
図2Aに示すように、流体透過性本体120を通って貯留部122の中に少なくとも部分的に延びることができる。いくつかの実施形態では、導管108は、流体透過性本体120を通って延び、導管108が貯留部122内に延びない(または貯留部122には導管108が存在しない)ように流体透過性本体120の第2の本体端部123またはその前で終端することができる。例えば、
図2Bに示すように、導管108の端部は、流体透過性本体120の第2の本体端部123と概ね同一平面上にあるかまたは共平面であることができる。他の実施形態では、導管108の端部は、流体透過性本体120の第2の本体端部123から凹んでいることができる。導管108の端部はまた、貯留部122の中に部分的に延びる(
図2Aに示す)ことと、流体透過性本体の第2の本体端部123から凹むかまたはそれと同一平面上にある(
図2Bに示す)こととの間で選択的に移動可能であることができる。
【0042】
流体採取デバイス100に固定されたとき、導管108は、1つ以上の流体貯蔵容器(図示せず)と携帯型真空源(図示せず)との間に流体連通を提供し、かつこれらの間に少なくとも部分的に延びるように構成される。例えば、導管108は、1つ以上の流体貯蔵容器と携帯型真空源との間に流体的に結合され、かつこれらの間に少なくとも部分的に延びるように構成することができる。一実施形態では、導管108は、携帯型真空源(図示せず)に直接接続されるように構成される。そのような例では、導管108は、流体不透過性バリア102から、少なくとも1フィート、少なくとも2フィート、少なくとも3フィート、または少なくとも6フィート延びることができる。他の例では、導管108は、流体貯蔵容器(図示せず)または携帯型真空源(図示せず)のうちの少なくとも1つに間接的に接続されるように構成される。いくつかの例では、導管は、その中の流体の可視性を不明瞭にするために、つや消しまたは不透明(例えば、黒色)であることができる。いくつかの実施形態では、導管は、米国特許第6,117,163号明細書、同第6,123,398号明細書、および同第8,211,063号明細書(これらの開示内容全体を本明細書に援用するものとする)に開示されるものを含むがこれらに限定されないC. R. Bard, Inc.,より入手可能なSTATLOCK(登録商標)カテーテル固定デバイスなどのカテーテル固定デバイスで装着者の皮膚に固定される。
【0043】
入口110および出口112は、携帯型真空源(図示せず)とチャンバ104(例えば、貯留部122)との間の流体連通が(例えば、直接的または間接的に)提供されるように構成される。例えば、導管108の入口110および出口112は、携帯型真空源を貯留部122に直接的または間接的に流体的に結合させるように構成することができる。一実施形態では、入口110および/または出口112は、オスコネクタを形成することができる。他の例では、入口110および/または出口112は、メスコネクタを形成することができる。一実施形態では、入口110および/または出口112は、確実な結合を容易にするように構成されたリブを含むことができる。一実施形態では、入口110および/または出口112は、テーパ形状を形成することができる。一実施形態では、入口110および/または出口112は、剛性または可撓性材料を含むことができる。
【0044】
入口110をチャンバ104の重心的に低い点またはその近くに配置することにより、入口110が他の場所に配置された場合よりも、導管がより多くの流体を収容することができ、プーリング(例えば、流体のプーリングは、微生物の増殖および悪臭の原因となり得る)の可能性を低減させることができる。例えば、流体透過性本体120内の流体は、毛管力によりどの方向にも流れることができる。しかし、流体は、特に流体透過性本体120の少なくとも一部が流体で飽和している場合、重力の方向に流れる優先性を示すことができる。
【0045】
携帯型真空源が導管108内に真空/吸引をかけると、チャンバ104内(例えば、第1の端部領域125、第2の端部領域127、またはチャンバ104内の他の中間位置に配置された貯留部122内など)の流体を、入口110の中に引き込み、導管108を通って流体採取デバイス100の外に出すことができる。
【0046】
一実施形態では、導管108は、チャンバ104に少なくとも挿入可能であるように構成される。そのような実施形態では、導管108は、その外側に、導管108のチャンバ104への挿入を容易にするように構成された1つ以上のマーカ131(
図1に示す)を含むことができる。例えば、導管108は、導管108が貯留部122内またはそれに隣接して配置されるように構成された入口110を画定する場合など、導管108の過剰または過小な挿入を防ぐように構成された1つ以上のマーキングをその上に含むことができる。他の実施形態では、導管108は、チャンバ104に対する導管108の正しい回転を容易にするように構成された1つ以上のマーキングをその上に含むことができる。一実施形態では、1つ以上のマーキングは、線、点、ステッカー、または任意の他の適切なマーキングを含むことができる。例において、導管108は、第1の端部領域(例えば、出口112に近接)から流体不透過性バリア102内に延びることができ、かつ第2の端部領域(例えば、第1の端部領域の反対側)へ、入口110が貯留部122と流体連通するように貯留部122に近接する点まで延びることができる。いくつかの実施形態(図示せず)において、導管108は、第2の端部領域に入り、入口110は、第2の端部領域内(例えば、貯留部122内)に配置することができる。流体採取デバイス100内に採取された流体は、導管108を通じてチャンバ104の内部領域から除去することができる。導管108は、本明細書に開示されるようなプラスチックチューブ(例えば、医療用チューブ)のような可撓性材料を含むことができる。いくつかの例では、導管108は、例えば導管が可撓性であることを可能にする直径または肉厚のうちの1つ以上を有することにより、弾性を有する1つ以上の部分を含むことができる。
【0047】
一実施形態では、流体採取デバイス100の1つ以上の構成要素は、流体採取デバイスが装着者または装着者の体液に接触する可能性のあるところに、抗細菌性材料などの抗微生物性材料を含むことができる。抗微生物性材料は、ニトロフラゾンまたは銀コーティングなどの抗微生物性コーティングを含むことができる。抗微生物性材料は、流体のプーリングまたは停滞による微生物の増殖など、微生物の増殖を抑制することができる。一実施形態では、流体採取デバイス100の1つ以上の構成要素(例えば、不透過性バリア102、導管108など)は、シクロデキストリン含有材料またはTPEポリマーなどの臭気遮断または吸収材料を含むことができる。
【0048】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、導管108は、その中の流体の流れを測定するための流量計(図示せず)、導管108を本明細書に開示されるシステムまたはデバイスの1つ以上の構成要素(例えば、携帯型真空源または流体貯蔵容器)に固定する1つ以上の固定デバイス(例えば、StatLock固定デバイス、図示せず)もしくは継手、または本明細書のシステムおよびデバイスにおける流体の流れを制御するための1つ以上のバルブを含むかまたはそれらに動作可能に結合することができる。
【0049】
一実施形態では、本明細書における流体採取デバイスまたはシステムの導管108のうちの少なくとも一部は、その中に存在する流体を不明瞭にし得る、少なくとも部分的に不透明な材料で形成することができる。例えば、本明細書に開示される導管108の第1のセクションは、不透明な材料または半透明な材料で形成することができ、一方で、導管108の第2のセクションは、透明な材料または半透明な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、第1のセクションは、透明な材料または半透明な材料を含むことができる。不透明またはほぼ不透明な材料とは異なり、半透明な材料によって、本明細書におけるデバイスおよびシステムの使用者が、流体、または導管108内の流体の流れを阻害する事柄を視覚的に識別することが可能となる。
【0050】
本明細書に開示される例、システムまたはデバイスのいずれにおいても、流体採取デバイスのシステムは、流体採取デバイスのチャンバの内部に配置された水分センサ(図示せず)を備えることができる。このような例では、水分センサは、コントローラに動作可能に結合されてもよく、または携帯型真空源に直接結合されてもよく、チャンバの1つ以上の部分において水分が検出されるかまたは検出されないことを示す電気信号を提供することができる。水分センサは、水分が存在するという表示を提供することができ、それに応答して、コントローラまたは携帯型真空デバイスは、そこから流体を除去するためにチャンバへの吸引の開始を指示することができる。適切な水分センサは、静電容量センサ、体積センサ、電位センサ、抵抗センサ、周波数領域反射率センサ、時間領域反射率センサ、または他の任意の適切な水分センサを含むことができる。実際には、水分センサは、チャンバ内の水分を検出し、コントローラまたは携帯型真空源に信号を提供して、携帯型吸引デバイスを作動させることができる。
【0051】
図面を先に進めて
図3A~
図3Cを参照すると、これらの図には、1つ以上の実施形態による流体採取デバイス300の様々な図示が提供されている。特に断らない限り、流体採取デバイス300は、流体採取デバイス100に関連して説明された特徴のいずれかを含むことができる。
図3Cを参照すると、流体採取デバイス300は、流体不透過性バリア302を含み、この流体不透過性バリア302は、流体不透過性バリア302の第1の端部306から延びる第1の端部領域325と、流体不透過性バリア302の第2の端部311から第1の端部領域325に向かって延びる第2の端部領域327とを有する。第1の端部領域325は、第1の外面部分305およびアパーチャ124を含み、第2の端部領域は、第2の外面部分310を含む。
【0052】
流体不透過性バリア302はまた、第1の端部306から第2の端部311まで延びる長手方向の長さLを含むことができる。第1の外面部分305は、長手方向の長さLに沿って第1の長さL1だけ延びることができ、第2の外面部分310は、長手方向の長さLに沿って第2の長さL2だけ延びることができる。第2の長さL2は、異なる実施形態により変化し得る。例えば、第2の長さL2は、長手方向の長さLの少なくとも約10分の1、長手方向の長さLの少なくとも約5分の1、長手方向の長さLの少なくとも約4分の1、長手方向の長さLの少なくとも約3分の1、長手方向の長さLの少なくとも約2分の1、長手方向の長さLの約10分の1~約2分の1、長手方向の長さLの約5分の1~約2分の1、長手方向の長さLの約4分の1~約2分の1、長手方向の長さLの約3分の1~約2分の1、長手方向の長さLの約10分の1、長手方向の長さLの約5分の1、長手方向の長さLの約4分の1、長手方向の長さLの約3分の1、長手方向の長さLの約2分の1、長手方向の長さLの約10分の1未満、長手方向の長さLの約5分の1未満、長手方向の長さLの約4分の1未満、長手方向の長さLの約3分の1未満、または長手方向の長さLの約2分の1未満であることができる。
【0053】
流体不透過性バリア302の長手方向の長さLは、異なる実施形態により変化し得る。いくつかの実施形態では、流体不透過性バリア302は、従来の流体採取デバイスより長い長手方向の長さを含むことができる。流体不透過性バリア302がより長いと、肥満またはより大きな患者に対する流体採取デバイス300の配置および使用がより容易となり得るため、長手方向の長さがより長いことは、より短い従来の流体採取デバイスに対して有利である。流体不透過性バリア302に特定の言及がなされているが、流体不透過性バリア102はまた、流体不透過性バリア302に関連して説明された長手方向の長さおよび横方向の幅のいずれも含むことができる。流体不透過性バリア302の長手方向の長さLは、約7.5インチ(約19.0cm)~約20インチ(約50.8cm)、約7.5インチ~約15インチ(約38.1cm)、約7.5インチ~約13インチ(約33.0cm)、約7.5インチ~約11インチ(約27.9cm)、約7.5インチ~約9インチ(約22.9cm)、約9インチ~約20インチ、約9インチ~約15インチ、約9インチ~約13インチ(約33.0cm)、約9インチ~約11インチ、約10インチ(約25.4cm)~約20インチ、約10インチ~約15インチ、約10インチ~約13インチ、約10インチ~約11インチ、少なくとも約7.5インチ、少なくとも約8インチ(約20.3cm)、少なくとも約9インチ、少なくとも約10インチ、少なくとも約11インチ、少なくとも約12インチ(約30.4cm)、少なくとも約13インチ、少なくとも約14インチ(約35.6cm)、少なくとも約15インチ、少なくとも約20インチ、約7.5インチ、約8インチ、約9インチ、約10インチ、約11インチ、約12インチ、約13インチ、約14インチ、約15インチ、または約20インチであることができる。
【0054】
流体不透過性バリア302はまた、直径または横方向の幅Lwを含むことができる。流体不透過性バリアの横方向の幅Lwは、約0.5インチ(約1.3cm)~約2.0インチ(約5.1cm)、約0.5インチ~約1.5インチ(約3.8cm)、約0.5インチ~約1.25インチ(約3.18cm)、約0.5インチ~約1.0インチ(約2.5cm)、約0.5インチ~約0.75インチ(約1.9cm)、約0.75インチ~約2.0インチ、約0.75インチ~約1.5インチ、約0.75インチ~約1.25インチ、約0.75インチ~約1.0インチ、約1.0インチ~約2.0インチ、約1.0インチ~約1.5インチ、約1.0インチ~約1.25インチ、約0.5インチ、約0.75インチ、約1インチ、約1.25インチ、約1.5インチ、約1.75インチ(約4.4cm)、約2.0インチ、約0.5インチ未満、約0.75インチ未満、約1インチ未満、約1.25インチ未満、約1.5インチ未満、約1.75インチ未満、または約2.0インチ未満であることができる。
【0055】
多くの実施形態では、第1の端部領域325の第1の外面部分305は、第2の端部領域327の第2の外面部分310と異なる特性を有する。第2の外面部分310は、使用者に対する流体採取デバイス300の固定性を向上するように構成されたベース固定領域を含むことができる。例えば、第2の外面部分327は、第1の外面部分より表面粗さが小さく、タックが大きく、かつ/または接着強度が高いことができる。図示された実施形態では、第1の端部領域325の第1の外面部分305と第2の端部領域327の第2の外面部分310との間の移行部は、鋭いかまたははっきりしている。しかし、他の実施形態では、第1の端部領域325の第1の外面部分305と第2の端部領域327の第2の外面部分310との間の移行部は緩やかであり、第1の外面部分305と第2の外面部分310との間の流体不透過性バリア302の外面の特性は徐々に移行または変化することができる。
【0056】
1つ以上の実施形態では、第1の端部領域325および第2の端部領域327は、互いに異なる組成を含むことができ、それによって第1の外面部分305は第2の外面部分310と異なる特性を有することになる。例えば、第2の端部領域327の組成は、第1の端部領域325の組成より多くの油を含むことができ、それによって第2の外面部分310は、第1の外面部分305より柔らかく、かつ/または接着強度もしくはタックが大きくなる。第1の端部領域325および第2の端部領域327の双方の組成物はまた、流体不透過性バリア102に関連して上述したように、他の成分を含むことができる。第2の端部領域327の油の量は、異なる実施形態により変化し得る。例えば、第2の端部領域327は、スチレンブロックコポリマー100phrに対して、約60phr~約200phrの油、約50phr~約100phrの油、約100phr~約150phrの油、約150phr~約200phrの油、約60phr~約80phrの油、約80phr~約100phrの油、約100phr~約120phrの油、約120phr~約140phrの油、約140phr~約160phrの油、約160phr~約180phrの油、約180phr~約200phrの油、約60phr~約70phrの油、約70phr~約80phrの油、約80phr~約90phrの油、約90phr~約100phrの油、約100phr~約110phrの油、約110phr~約120phrの油、約120phr~約130phrの油、約130phr~約140phrの油、約140phr~約150phrの油、約150phr~約160phrの油、約160phr~約170phrの油、約170phr~約180phrの油、約180phr~約190phrの油、約190phr~約200phrの油、約200phr未満の油、約180phr未満の油、約160phr未満の油、約140phr未満の油、約120phr未満の油、約100phr未満の油、約80phr未満の油、約60phr未満の油、約200phr超の油、約180phr超の油、約160phr超の油、約140phr超の油、約120phr超の油、約100phr超の油、約80phr超の油、または約60phr超の油のような様々なphrの油を有する組成物を含むことができる。
【0057】
第2の端部領域327の組成物が油を含む場合、第1の端部領域325の組成物は、第2の端部領域327より油含有量が少ないことができる。例えば、第1の端部領域325は、油を有しないか、またはスチレンブロックコポリマー100phrに対して、約0phr~約150phrの油、約1phr~約50phrの油、約50phr~約100phrの油、約100phr~約150phrの油、約1phr~約20phrの油、約20phr~約40phrの油、約40phr~約60phrの油、約60phr~約80phrの油、約80phr~約100phrの油、約100phr~約120phrの油、約120phr~約140phrの油、約140phr~約160phrの油、約160phr未満の油、約140phr未満の油、約120phr未満の油、約100phr未満の油、約80phr未満の油、約60phr未満の油、約40phr未満の油、または約20phr未満の油のような様々なphrの油を有する組成物を含むことができる。
【0058】
多くの実施形態では、第2の端部領域327は、第1の端部領域325より高度に研磨することができ、それによって、第1の外面部分305は、第2の外面部分310と異なる特性を有することになる。第2の端部領域327は、異なる表面仕上げが施された金型における流体不透過性バリア302の形成に少なくとも部分的に起因して、第1の端部領域325より表面粗さが低いことができる。例えば、流体不透過性バリア302は、第1の外面部分305と接する第1の金型部分と、第2の外面部分310と接する第2の金型部分とを有するバリア金型内で成形することができ、第2の金型部分は、第1の金型部分より研磨されているかまたはより滑らかな表面仕上げを有する。得られる第2の外面部分310は、第1の外面部分305より接着強度が高く、表面粗さが低く、かつ/またはタックが大きい。
【0059】
例えば、いくつかの実施形態では、第2の金型部分は、プラスチック産業協会(SPI)のA1、A2、A3、B1、B2、またはB3の格付けを有する表面を含むことができる。その場合、対応する第2の外面部分310も、第2の金型部分の表面とほぼ等しいSPI格付けを含むことができ、したがって、第2の外面部分310は、SPIの約A1、A2、A3、B1、B2、またはB3の格付けを有することになる。第1の金型部分は、SPIのC1、C2、C3、D1、D2、またはD3の格付けを有する表面を含むことができる。その場合、対応する第1の外面部分305も、第1の金型部分の表面とほぼ等しいSPI格付けを含むことができ、したがって、第1の外面部分305は、SPIのC1、C2、C3、D1、D2、またはD3の格付けを有することになる。
【0060】
多くの実施形態では、第2の端部領域327は、第2の外面部分310上に接着剤を含むことができ、それによって、第1の外面部分305は、第2の外面部分310と異なる特性を有することになる。接着剤は、流体不透過性バリア302の形成後に第2の外面部分310に施与することができ、ヒドロゲル接着剤などの、皮膚での使用に適した任意の接着剤を含むことができる。得られた第2の外面部分310は、第1の外面部分305より接着強度が高く、かつ/またはタックが大きい。
【0061】
図面を先に進めて
図4を参照すると、この図は、流体採取デバイスの流体不透過性バリアを形成する方法400のフロー図である。本方法400は、任意に、油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して組成物を形成する行為405を含むことができる。本方法はまた、組成物をバリア金型に挿入する行為410を含む。本方法はまた、組成物をバリア金型内で成形して流体不透過性バリアを形成する行為415を含む。本方法はまた、バリア金型から流体不透過性バリアを取り出す行為420を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、方法400は、油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して組成物を形成する行為405を含み、組成物は、スチレンブロックコポリマー100phrに対して、約60phr~約200phrの油、約50phr~約100phrの油、約100phr~約150phrの油、約150phr~約200phrの油、約60phr~約80phrの油、約80phr~約100phrの油、約100phr~約120phrの油、約120phr~約140phrの油、約140phr~約160phrの油、約160phr~約180phrの油、約180phr~約200phrの油、約60phr~約70phrの油、約70phr~約80phrの油、約80phr~約90phrの油、約90phr~約100phrの油、約100phr~約110phrの油、約110phr~約120phrの油、約120phr~約130phrの油、約130phr~約140phrの油、約140phr~約150phrの油、約150phr~約160phrの油、約160phr~約170phrの油、約170phr~約180phrの油、約180phr~約190phrの油、約190phr~約200phrの油、約200phr未満の油、約180phr未満の油、約160phr未満の油、約140phr未満の油、約120phr未満の油、約100phr未満の油、約80phr未満の油、約60phr未満の油、約200phr超の油、約180phr超の油、約160phr超の油、約140phr超の油、約120phr超の油、約100phr超の油、約80phr超の油、または約60phr超の油のような様々なphrの油を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して組成物を形成する行為405は、1つ以上の成分を混合して第1の組成物を形成することと、油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して、第1の組成物より油含有量の多い第2の組成物を形成することとを含む。1つ以上の成分を混合して第1の組成物を形成することは、油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して、第2の組成物より油含有量の少ない第1の組成物を形成することを含むことができる。シリコーンまたはTPEの少なくとも1つを油と混合して第1の組成物を形成することは、油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して、スチレンブロックコポリマー100phrに対して、約0phr~約150phrの油、約1phr~約50phrの油、約50phr~約100phrの油、約100phr~約150phrの油、約1phr~約20phrの油、約20phr~約40phrの油、約40phr~約60phrの油、約60phr~約80phrの油、約80phr~約100phrの油、約100phr~約120phrの油、約120phr~約140phrの油、約140phr~約160phrの油、約160phr未満の油、約140phr未満の油、約120phr未満の油、約100phr未満の油、約80phr未満の油、約60phr未満の油、約40phr未満の油、または約20phr未満の油のような様々なphrの油を有する第1の組成物を形成することを含むことができる。
【0064】
油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して第2の組成物を形成することは、油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して、スチレンブロックコポリマー100phrに対して、約60phr~約200phrの油、約50phr~約100phrの油、約100phr~約150phrの油、約150phr~約200phrの油、約60phr~約80phrの油、約80phr~約100phrの油、約100phr~約120phrの油、約120phr~約140phrの油、約140phr~約160phrの油、約160phr~約180phrの油、約180phr~約200phrの油、約60phr~約70phrの油、約70phr~約80phrの油、約80phr~約90phrの油、約90phr~約100phrの油、約100phr~約110phrの油、約110phr~約120phrの油、約120phr~約130phrの油、約130phr~約140phrの油、約140phr~約150phrの油、約150phr~約160phrの油、約160phr~約170phrの油、約170phr~約180phrの油、約180phr~約190phrの油、約190phr~約200phrの油、約200phr未満の油、約180phr未満の油、約160phr未満の油、約140phr未満の油、約120phr未満の油、約100phr未満の油、約80phr未満の油、約60phr未満の油、約200phr超の油、約180phr超の油、約160phr超の油、約140phr超の油、約120phr超の油、約100phr超の油、約80phr超の油、または約60phr超の油のような様々なphrの油を有する第2の組成物を形成することを含むことができる。
【0065】
方法400の代替的な実施形態では、油とシリコーンまたはTPEの少なくとも1つとを含む組成物を、あらかじめ一緒に混合した状態で提供することができる。したがって、方法400は、時として、油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合することを含まない場合がある。油とシリコーンまたはTPEの少なくとも1つとを含む組成物は、例えば、油とシリコーンまたはTPEの少なくとも1つとを含むストック材料を含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、組成物をバリア金型に挿入する行為410は、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つを含む組成物をバリア金型に挿入することを含むことができる。これらおよび他の実施形態では、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つを含む組成物を挿入するバリア金型は、第1の金型表面を有する第1の金型部分と、第1の金型表面より研磨されかつ/または表面粗さが小さい第2の金型表面を有する第2の部分とを含むことができる。例えば、第2の金型表面は、SPIのA1、A2、A3、B1、B2、またはB3の格付けを有することができ、第1の金型表面は、SPIのC1、C2、C3、D1、D2、またはD3の格付けを有することができる。いくつかの実施形態では、方法400はまた、流体不透過性バリアの射出成形のための射出成形金型に組成物を挿入することを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法400はまた、流体不透過性バリアの液体シリコーンまたはTPEゴム成形のための成形部に組成物を挿入することを含むことができる。
【0067】
油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して組成物を形成することが、1つ以上の成分を混合して第1の組成物を形成することと、油をシリコーンまたはTPEの少なくとも1つと混合して、第1の組成物より油含有量の多い第2の組成物を形成することとを含む方法400の実施形態では、組成物をバリア金型に挿入する行為410はまた、第1の組成物をバリア金型の第1の金型部分に挿入することと、第2の組成物をバリア金型の第2の金型部分に挿入することとを含むことができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、組成物をバリア金型に挿入する行為410は、油とシリコーンまたはTPEの少なくとも1つとを含む組成物を、バリア金型の少なくとも一部に挿入することを含むことができる。これらおよび他の実施形態では、油とシリコーンまたはTPEの少なくとも1つとを含む組成物をバリア金型の少なくとも一部に挿入する行為はまた、追加の組成物をバリア金型の追加の部分に挿入することを含むことができる。追加の組成物は、シリコーンまたはTPEの少なくとも1つを含むことができ、また、組成物より油含有量が少ないことができる。これらおよび他の実施形態では、追加の組成物をバリア金型の追加の部分に挿入することは、追加の組成物を、第1の金型表面を有するバリア金型の追加の部分に挿入することを含み、組成物をバリア金型の少なくとも一部に挿入することは、組成物を、第1の金型表面より研磨された第2の金型表面を有するバリア金型の部分に挿入することを含む。
【0069】
組成物をバリア金型内で成形して流体不透過性バリアを形成する行為415は、組成物をバリア金型内で1回以上加熱および冷却して流体不透過性バリアを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物をバリア金型内で成形して流体不透過性バリアを形成する行為415は、組成物をバリア金型内で成形して、チャンバと、それを通って延びる開口部とを画定する流体不透過性バリアの少なくとも一部を形成することを含むことができ、開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成される。形成された2つ以上の異なる組成物を有する方法400の実施形態では、組成物をバリア金型内で成形する行為415は、組成物をバリア金型内で成形して、より油含有量の少ない追加のまたは第1の組成物を含む第1の端部領域と、第1の端部領域から遠位にあり、かつ第2の組成物またはより油含有量の多い組成物を含む第2の端部領域とを有する流体不透過性バリアを形成することを含むことができる。
【0070】
バリア金型が、第1の金型表面を有する第1の金型部分と、第1の金型表面より研磨されかつ/または表面粗さが小さい第2の金型表面を有する第2の部分とを含む方法400の実施形態では、組成物をバリア金型内で成形して流体不透過性バリアを形成する行為415は、組成物をバリア金型内で成形して流体不透過性バリアを形成することを含むことができ、流体不透過性バリアは、チャンバを少なくとも部分的に画定する内面と、第1の金型表面に接する第1の外面部分を有する第1の端部領域と、第1の端部領域から遠位にあり、かつ第2の金型表面に接する第2の外面部分を有する第2の端部領域と、流体不透過性バリアに沿って長手方向に延びる開口部とを有する。これらおよび他の実施形態では、開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成され、第2の外面部分は、第1の外面部分より接着強度が高い。
【0071】
方法400のいくつかの実施形態では、方法400はまた、流体不透過性バリアの成形後に流体不透過性バリアの第2の外面部分に接着剤を施与することを含むことができる。第2の外面部分に施与される接着剤は、ヒドロゲル接着剤など、皮膚での使用に適した任意の接着剤を含むことができる。一実施形態によれば、好適な接着剤は、米国特許出願公開第2017/0189225号明細書に開示されているものなどのヒドロゲル層であり、その開示内容全体を本明細書に援用するものとする。得られた第2の外面部分は、第1の外面部分より接着強度が高く、かつ/またはタックが大きい。
【0072】
方法400の行為405、410、415、および420は、例示のためのものである。例えば、方法400の行為405、410、および415は、異なる順序で行ってもよく、複数の行為に分割してもよく、修正してもよく、補足してもよく、または組み合わせてもよい。一実施形態では、方法400の行為405、410、および415のうちの1つ以上を、方法400から省略することができる。行為405、410、および415のいずれも、本明細書に開示される流体不透過性バリアのいずれかを形成することを含むことができる。
【0073】
図5は、一実施形態による、本明細書に開示される流体採取デバイスおよび/または流体採取システムを組み立てる方法500のフロー図である。方法500は、流体不透過性バリアを提供する行為505を含むことができる。流体不透過性バリアは、チャンバと、流体不透過性バリアを通って延びる開口部とを少なくとも部分的に画定する。開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように構成されるか、または男性の尿道がそれを通るように配置される。流体透過性本体は、実質的に円筒形の形状に押出成形、成形、または焼結された単一でかつ多孔質の親水性ポリオレフィン材料を含むことができる。
【0074】
本方法は、実質的に円筒形の流体透過性本体を流体不透過性バリアのチャンバに挿入する行為510を含むことができる。流体透過性本体が流体不透過性バリアのチャンバに挿入されると、流体透過性本体は、流体不透過性バリアの少なくとも一部に接し、開口部の少なくとも一部を覆う。流体透過性本体は、実質的に円筒形であり、かつ開口部から任意の流体を吸い取るように構成された単一の多孔質材料を含む。いくつかの実施形態では、行為510は、第1の本体端部から遠位にある流体透過性本体の第2の本体端部と、アパーチャから遠位にある流体不透過性バリアの第2の端部領域とによってチャンバ内で貯留部が画定されるように、流体透過性本体を流体不透過性バリアのチャンバに挿入することを含むことができる。いくつかの実施形態では、行為510は、流体透過性本体および導管がチャンバの実質的にすべてを満たすように、実質的に円筒形の流体透過性本体を流体不透過性バリアのチャンバに挿入することを含むことができる。
【0075】
本方法は、導管の入口を流体不透過性本体に挿入する行為515を含むことができる。導管は、流体不透過性バリアの第1の端部領域で流体不透過性バリアによって画定されるアパーチャを通じて流体不透過性本体に挿入することができる。いくつかの実施形態では、行為515は、導管が貯留部から流体透過性本体を通り、アパーチャを通じて流体不透過性バリアの外側まで延びるように、導管の入口を内腔に、第1の本体端部で流体透過性本体の内腔を通って流体透過性本体の第2の本体端部を通じて貯留部に挿入することを含むことができる。
【0076】
本方法は、導管の入口を流体透過性本体の第1の本体端部で内腔に少なくとも部分的に挿入する行為520を含むことができる。内腔は、流体透過性本体を通って少なくとも部分的に延び、流体透過性本体によって画定される。導管は、流体透過性本体の少なくとも一部と接する。
【0077】
方法500の行為505、510、515、および520は、例示のためのものである。例えば、方法500の行為505、510、515、および520は、異なる順序で行ってもよく、複数の行為に分割してもよく、修正してもよく、補足してもよく、または組み合わせてもよい。一実施形態では、方法500の行為505、510、515、および520のうちの1つ以上を、方法500から省略することができる。行為505、510、515、および520のいずれも、本明細書に開示される流体採取デバイスまたはシステムのいずれかを使用することを含むことができる。
【0078】
図6は、流体を採取する方法600のフロー図である。方法600は、流体採取デバイスの流体透過性本体を使用者の女性の尿道に隣接して配置する行為605を含む。流体透過性本体を、流体採取デバイスの流体不透過性バリアのチャンバ内に配置し、流体不透過性バリアによって画定される流体採取デバイスの開口部を通じて使用者の女性の尿道に当てる。方法600はまた、流体採取デバイスを使用者に固定する行為610を含む。方法600はまた、流体採取デバイスのチャンバ内に女性の尿道から流体を収容する行為615を含む。いくつかの実施形態では、方法600は、中に配置された導管を通じてチャンバから流体を吸引するのに有効な吸引を適用する行為を含む。
【0079】
方法600の行為605、610、および615は、例示のためのものである。例えば、方法600の行為605、610、および615は、異なる順序で行ってもよく、複数の行為に分割してもよく、修正してもよく、補足してもよく、または組み合わせてもよい。一実施形態では、方法600の行為605、610、および615のうちの1つ以上を、方法600から省略することができる。行為605、610、および615のいずれも、本明細書に開示される流体採取デバイスまたはシステムのいずれかを使用することを含むことができる。
【0080】
図7は、一実施形態による流体採取システム10のブロック図である。システム10は、流体採取デバイス12と、流体貯蔵容器14と、携帯型真空源16とを備える。流体採取デバイス12は、流体採取デバイス100など、本明細書に記載される流体採取デバイスのいずれかを含むことができる。流体採取デバイス12、流体貯蔵容器14、および携帯型真空源16は、1つ以上の導管17を通じて互いに流体的に結合することができる。導管17は、導管108など、本明細書に記載される導管のいずれかを含むことができる。流体採取デバイス12は、導管17を通じて流体貯蔵容器14または携帯型真空源のうちの1つ以上に動作可能に結合することができる。流体採取デバイス12に採取された流体(例えば、尿または他の体液)は、流体採取デバイス12の内部領域内に突出する導管17を通じて流体採取デバイス12から除去することができる。例えば、導管17の第1の開放端部は、流体採取デバイス12内にその中の貯留部まで延びることができる。導管17の第2の開放端部は、流体採取デバイス12または携帯型真空源16内に延びることができる。吸引力は、導管17の第2の端部で施与される吸引(例えば、真空)力に応じて、導管17の第1の開放端部を通じて流体採取デバイス12の内部領域に導入することができる。携帯型真空源16によって、直接または間接的に導管17の第2の開放端部に吸引力を施与することができる。
【0081】
吸引力は、流体貯蔵容器14を通じて間接的に施与することができる。例えば、導管17の第2の開放端部は、流体貯蔵容器14内に配置することができ、追加の導管17は、流体貯蔵容器14から携帯型真空源16まで延びることができる。したがって、携帯型真空源16は、流体貯蔵容器14を通じて流体採取デバイス12に吸引を施与することができる。吸引力は、流体貯蔵容器14を通じて直接施与することができる。例えば、導管17の第2の開放端部は、携帯型真空源16内に配置することができる。追加の導管17は、携帯型真空源16から流体採取デバイス12の外部の点、例えば、流体貯蔵容器14まで延びることができる。このような例では、携帯型真空源16は、流体採取デバイス12と流体貯蔵容器14との間に配置することができる。
【0082】
流体採取デバイス12は、女性の尿道に隣接して配置されるような形状およびサイズを有することができる。流体採取デバイス12の流体採取部材は、流体採取デバイス12のチャンバ(例えば、流体採取デバイス部材の内部領域)を少なくとも部分的に画定する流体不透過性バリアを含むことができる。上記でより詳細に説明したように、流体採取デバイス12は、従来の流体採取デバイスより柔らかく、より薄い流体不透過性バリアを含むことができる。流体不透過性バリアはまた、外部環境から流体不透過性バリアを通って延びる開口部を画定する。開口部は、女性の尿道に隣接して配置されるように流体採取部材上に配置することができる。流体採取デバイス12の流体採取部材は、流体不透過性バリア内に配置された流体透過性本体を含むことができる。流体透過性本体は、流体透過性膜と、流体透過性膜内に配置された流体透過性支持体とを含むことができる。導管17は、第1の端部領域で流体採取デバイス12内に延び、流体不透過性バリア、流体透過性膜、または流体透過性支持体のうちの1つ以上を通って、流体採取デバイス12の流体採取部材の第2の端部領域まで延びることができる。本明細書におけるシステムおよび方法と共に使用するための例示的な流体採取デバイスを、以下でより詳細に説明する。
【0083】
いくつかの実施形態では、流体貯蔵容器14は、バッグ(例えば、排液バッグ)、ボトルまたはカップ(例えば、採取ジャー)、または尿などの体液を貯蔵するための任意の他の密閉容器を含むことができる。例では、導管17は、流体採取デバイス12から延び、その中の第1の点で流体貯蔵容器14に取り付けることができる。追加の導管17は、その上の第2の点で流体貯蔵容器14に取り付けることができ、携帯型真空源16まで延びてこれに取り付けることができる。例えば、流体貯蔵容器14は、流体採取デバイス12の流体採取部材にも流体的に結合された第1の導管セクションに流体的に結合された容器を含むことができる。容器は、携帯型真空源にも流体的に結合された導管17の第2のセクションに流体的に結合することができる。このような例では、携帯型真空源16は、流体採取部材のチャンバ内に吸引を提供するために、容器を通じて流体採取部材に真空/吸引を提供することができる。したがって、流体貯蔵容器14を経由して流体採取デバイス12を通して真空引き(例えば、吸引)することができる。流体がチャンバから排出されると、流体は、導管の第1のセクションを通って流体貯蔵容器に移動し、そこで保持することができる。尿などの流体は、携帯型真空源16を使用して流体採取デバイス12から排出することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、携帯型真空源16は、流体採取デバイス12内またはその上に配置することができる。そのような例では、導管17は、流体採取デバイスから延び、その中の第1の点で携帯型真空源16に取り付けることができる。追加の導管17は、その上の第2の点で携帯型真空源16に取り付けることができ、流体採取デバイス12の外に延びることができ、かつ流体貯蔵容器14に取り付けることができる。したがって、流体貯蔵容器14を経由して流体採取デバイス12を通して真空引き(例えば、吸引)することができる。
【0085】
携帯型真空源16は、手動真空ポンプ、および電気真空ポンプ、ダイヤフラムポンプ、遠心ポンプ、置換ポンプ、磁気駆動ポンプ、蠕動ポンプ、または真空を生成するように構成された任意のポンプのうちの1つ以上を含むことができる。携帯型真空源16は、真空または吸引を提供して、流体採取デバイス12の流体採取部材から流体を除去することができる。いくつかの実施形態では、携帯型真空源16は、電源コード(例えば、電源ソケットに接続される)、1つ以上の電池、またはさらには手動電力(例えば、手動で操作する真空ポンプ)のうちの1つ以上によって電力を供給することができる。例では、携帯型真空源16は、流体採取デバイス12の外側、その上、またはその内部に適合する大きさおよび形状であることができる。例えば、携帯型真空源16は、1つ以上の小型化ポンプまたは1つ以上のマイクロポンプを含むことができる。本明細書に開示される携帯型真空源16は、スイッチ、ボタン、プラグ、リモート、または携帯型真空源16を起動するのに適した任意の他のデバイスのうちの1つ以上を含むことができる。本明細書に開示される携帯型真空源16は、真空ラインが患者の部屋に配管されている、または大きな(例えば、患者が容易に運べるより大きいまたは重い)真空源が配置されている病院または介護施設環境の外での本明細書におけるデバイスおよびシステムの使用を可能にする、吸引または真空を提供する携帯型手段を提供し得ることが理解されるべきである。例えば、携帯型真空源は、使用者の移動中に使用者(例えば、患者)または補助者(例えば、看護師)によって運ばれるのに十分に小さく、軽いものであることができる。
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「約」または「実質的に」は、「約」または「実質的に」により修飾される用語±10%または±5%の許容される変動を意味する。さらに、用語「未満」、「以下」、「超」、「を上回る」、または「以上」は、端点として、用語「未満」、「以下」、「超」、「を上回る」、または「以上」により修飾される値を含む。
【0087】
本明細書において様々な態様および実施形態を開示したが、他の態様および実施形態も企図されている。本明細書に開示された様々な態様および実施形態は、説明を目的とするものであって、限定することを意図するものではない。