(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
H01R 9/26 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
H01R9/26
(21)【出願番号】P 2022003084
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2022-01-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】宮野 ありさ
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】内田 博之
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-81983(JP,U)
【文献】特開昭49-135189(JP,A)
【文献】実開昭60-189966(JP,U)
【文献】登録実用新案第3217019(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/24-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子を有する第1端子台と、
前記第1端子台に対して固定された第1方向に延びるレールと、
第2端子を有するとともに、前記レールに沿って前記第1方向に移動可能な第2端子台と、を備える、端子台であって、
前記第2端子台は、前記第1端子台の上部に位置し、
当該端子台の上面視において、前記第1端子は、前記第2端子台から前記第1方向に直交する第2方向にずれており、
前記第1端子へのケーブル端子の取り付けまたは取り外しの際、前記第2端子台を前記第1方向に移動可能とした、端子台。
【請求項2】
前記第2端子台は、前記第1方向に沿った前記第1端子の長さ以上の距離を移動可能である、請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記第2端子台は、前記レールに対して固定された状態と、前記レールに対して移動可能な状態と、を切り替え可能である、請求項1または2に記載の端子台。
【請求項4】
前記レールは、前記第2端子台に設けられた凹部と嵌合可能な爪部を有する、請求項3に記載の端子台。
【請求項5】
前記第2端子台は、前記第1方向に並んだ複数の前記第2端子を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の端子台。
【請求項6】
前記第2端子台は、前記レールに沿って前記第1端子台より前記第1方向に突出可能である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の端子台。
【請求項7】
前記第1方向に沿った前記第2端子の数は、前記第1方向に沿った前記第1端子の数より少ない、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているような端子台が知られている。端子台は、複数の端子を有している。端子台の端子には、ケーブル等の端子が取り付けられる。
【0003】
端子台には、例えば二段式のように、多段式となっているものがある。多段式端子台では、端子が上下複数の段に配置される。多段式端子台によれば、多数の端子をコンパクトにまとめることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多段式端子台において、上段の端子にケーブル端子を取り付けられたケーブルが、下段の端子へのケーブル端子の取り付けや下段の端子からのケーブル端子の取り外しを制限することがある。下段の端子でのケーブル端子の円滑な取り付けや取り外しのために、上段の端子に取り付けられたケーブル端子を取り外すことになる。ケーブル端子が端子台の端子から取り外されると、ケーブルの接続が絶たれる。下段の端子でのケーブル端子の取り付けや取り外しのために、上段の端子による接続が絶たれてしまうことになる。このように、従来の端子台では、端子の取り付けや取り外しのために、他の端子へ影響してしまうことがある。本実施の形態は、端子台において、他の端子への影響を小さくしながら、端子の取り付けや取り外しを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の端子台は、
第1端子を有する第1端子台と、
前記第1端子台に対して固定された第1方向に延びるレールと、
第2端子を有するとともに、前記レールに沿って前記第1方向に移動可能な第2端子台と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施の形態の端子台の断面図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態の端子台の上面図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態の端子台であって、第2端子台を移動させた状態を示す上面図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態の端子台であって、第2端子台を撓ませた状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態の一変形例に係る端子台の上面図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態の他の変形例に係る端子台の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。本件明細書に添付された図面における縮尺及び縦横の寸法比等は、図示と理解のしやすさのため、実物のそれらから変更され誇張されている。
【0009】
図1には、本実施の形態に係る端子台10の断面図が示されている。端子台10は、取り付け部11と、第1端子台20と、第2端子台30と、レール40と、を有している。
図2には、端子台10の上面図が示されている。
図2に示されている例では、端子台10は、1つの第1端子台20と、複数の第2端子台30と、を有している。図示されている例に限らず、端子台10は、複数の第1端子台20を有していてもよいし、1つの第2端子台30のみを有していてもよい。
【0010】
端子台10は、取り付け部11によって、取り付けレール1に取り付けられている。取り付けレール1は、端子台10を取り付けるべき部材に設けられている。取り付けレール1及び取り付け部11によって、端子台10を取り付けるべき部材に容易に設けることができる。
【0011】
第1端子台20は、第1端子台本体21と、第1端子25と、導電性部材26と、を有する。
図2に示されている例において、第1端子台20は、複数の第1端子25を有している。図示されている例に限らず、第1端子台20は、1つの第1端子25のみを有していてもよい。図示された例では、一部の第1端子25には、ケーブル3が有するケーブル端子5が取り付けられている。
【0012】
第1端子台本体21は、第1端子25を支持する。第1端子台本体21には、第1孔23が設けられている。第1孔23は、第1端子台本体21において第1端子25が配置されるべき位置に設けられている。第1端子台本体21は、絶縁性を有している。第1端子台本体21は、例えばポリカーボネート等の樹脂からなる。
【0013】
第1端子25は、ケーブル端子5等の外部からの端子を取り外し可能に固定し、当該端子と電気的に接続する。第1端子25は、第1孔23に挿入され、第1孔23に嵌合している。第1端子25は、ねじ状の部材である。第1端子25は、例えば鋼、鉄等の導電性の材料からなる。
図2に示されている例では、複数の第1端子25が、第1方向d1に沿って並んでいる。2つの第1端子25が、第2端子台30を介して、第2方向d2に並んでいる。第1方向d1と第2方向d2とは、互いに非平行であり、好ましくは互いに直交している。
【0014】
図1に示されているように、第2方向d2に並んだ2つの第1端子25は、第1端子台本体21の内部において、導電性部材26を介して互いに電気的に接続されている。図示されている例に限らず、第1端子25は、第1方向d1に並んだ他の第1端子25と電気的に接続していてもよいし、第2端子35と電気的に接続していてもよい。図示された例では、一部の第1端子25には、ケーブル3が有するケーブル端子5が取り付けられている。
【0015】
図2に示されている例において、複数の第2端子台30は、第1方向d1に沿って並んでいる。第2端子台30は、第2端子台本体31と、第2端子35と、導電性部材36と、を有する。
図2に示されている例において、第2端子台30は、2つの第2端子35を有している。図示されている例に限らず、第2端子台30は、1つの第2端子35のみを有していてもよい。
【0016】
第2端子台本体31は、第2端子35を支持する。第2端子台本体31には、第2孔33が設けられている。第2孔33は、第2端子台本体31において第2端子35が配置されるべき位置に設けられている。第2端子台本体31には、凹部32が設けられている。凹部32は、レール40の後述する爪部42と嵌合可能である。第2端子台本体31は、可撓性を有している。第2端子台本体31は、絶縁性を有している。第2端子台本体31は、例えばポリカーボネート等の樹脂からなる。
【0017】
第2端子35は、ケーブル端子5等の外部からの端子を取り外し可能に固定し、当該端子と電気的に接続する。第2端子35は、第2孔33に挿入され、第2孔33に嵌合している。第2端子35は、ねじ状の部材である。第2端子35は、例えば鉄、鋼等の導電性の材料からなる。
図2に示されている例では、2つの第2端子35が、第2方向d2に並んでいる。
図2に示されている例では、第1方向d1に並んだ複数の第2端子台30において、第2端子35は、第1方向d1に沿って並んでいる。
【0018】
図1に示されているように、第2方向d2に並んだ2つの第2端子35は、第2端子台30の内部において、導電性部材36を介して互いに電気的に接続されている。図示されている例に限らず、第2端子35は、他の第2端子35と電気的に接続していてもよいし、第1端子25と電気的に接続していてもよい。
【0019】
図2に示されている例において、第1方向d1に沿った第1端子25の数は、第1方向d1に沿った第2端子35の数と一致している。第1方向d1に沿った第1端子台20の長さは、第1方向d1に沿った複数の第2端子台30の長さの合計と一致している。
【0020】
図1に示されている例において、端子台10は、第1端子台20が下段となっており、第2端子台30が上段となっている、二段式端子台である。言い換えると、第2端子台30は、第1端子台20の上部に位置している。さらに言い換えると、第2端子台30は、第1端子台20より、第1端子台本体21の第1孔23に第1端子25が挿入される側に位置している。本明細書において、「上」や「下」は、必ずしも鉛直方向の上下方向と一致しない。図示されている例に限らず、端子台10は、三段以上の多段式の端子台であってもよい。
【0021】
レール40は、第1方向d1に延びている。レール40は、第2端子台30が第1方向d1以外の方向に移動することを規制する。第2端子台30は、レール40上を滑ることによって、レール40に沿って第1方向d1に移動可能である。レール40は、第1端子台20に対して固定されている。第2端子台30は、レール40に沿って移動することで、第1端子台20に対して相対的に移動することになる。
図3には、第2端子台30が移動した状態が示されている。
図3に示すように、第2端子台30は、第1方向d1に沿った第1端子25の長さ以上の距離を移動可能である。
図3に示された例では、第1方向d1の一側に配置された複数の第2端子台30が、第1方向d1に沿った1つの第1端子25の長さの距離だけ移動している。
【0022】
第2端子台30は、第1方向d1に沿って移動することで、レール40に沿って第1端子台20より第1方向d1に突出可能である。
図3に示された例では、第1方向d1の最も一側の第2端子台30が、第1方向d1に沿って移動することで、第1端子台20より第1方向d1の一側に突出している。第1方向d1の最も他側の第2端子台30が、第1端子台20より第1方向d1の他側に突出可能であってもよい。複数の第2端子台30が第1端子台20より第1方向d1に突出可能であってもよい。
【0023】
図1に示すように、レール40は、爪部42を有している。爪部42は、第2端子台30の第2端子台本体31に設けられた凹部32と嵌合可能である。爪部42が凹部32と嵌合することで、第2端子台30がレール40に対して固定された状態となる。第2端子台30がレール40に対して固定されていると、第2端子台30がレール40に対して移動することが規制される。
図4には、爪部42と凹部32との嵌合が解除された状態が示されている。
図4に矢印で示すように、第2方向d2の両側から第2端子台本体31に力を加えることで、例えば第2端子台本体31を指で挟持することで、第2端子台本体31を撓ませることができる。第2端子台本体31が撓むことで、爪部42と凹部32との嵌合が解除される。爪部42と凹部32との嵌合が解除されると、第2端子台30は、レール40に対して移動可能な状態となる。指を離す等で第2端子台本体31に力が加えられなくなると、爪部42と凹部32とが再度嵌合し、第2端子台30がレール40に対して固定された状態となる。
【0024】
第2端子台30は、爪部と凹部との嵌合以外の方法で、レール40に対して固定された状態と、レール40に対して移動可能な状態と、を切り替え可能であってもよい。
【0025】
図7には、従来の端子台110の上面図が示されている。
図7に示されている例では、第1方向d1における同一の位置において、第1端子台120の第1端子125と第2端子台130の第2端子135とに、ケーブル3のケーブル端子5がそれぞれ取り付けられている。ケーブル3は第2方向d2に延びるため、
図7に示すように、第2端子135に取り付けられたケーブル3が、第1端子125に重なっている。第2端子135に取り付けられたケーブル3によって、第1端子125へのケーブル端子5の取り付けや取り外しが制限される。第1端子125へのケーブル端子5の円滑な取り付けや取り外しのために、第2端子135に取り付けられたケーブル端子5を取り外すことになる。第2端子135に取り付けられたケーブル端子5による接続が絶たれることになる。
【0026】
本実施の形態の端子台10では、第2端子35を有する第2端子台30は、第1端子台20に固定されたレール40に沿って第1方向d1に移動可能である。第2端子台30が第1方向d1に移動することで、第2端子35に取り付けられたケーブル3が、第1端子25に重なる位置から第1方向d1にずれることができる。これにより、第1端子25へのケーブル端子5の取り付けや取り外しが、第2端子35に取り付けられたケーブル3によって制限されにくくなる。第2端子35に取り付けられたケーブル端子5を取り外す等の第2端子35への影響を小さくしながら、第1端子25へのケーブル端子5の取り付けや取り外しができる。
【0027】
第2端子台30は、第1方向d1に沿った第1端子25の長さ以上の距離を移動可能である。第2端子35に取り付けられたケーブル3が、1つの第1端子25以上の長さで第1方向d1にずれる。ケーブル端子5の取り付けや取り外しする第1端子25に重なる位置から、第2端子35に取り付けられたケーブル3を完全にずらすことができる。これにより、第2端子35に取り付けられたケーブル3によってほとんど制限されることなく、第1端子25へのケーブル端子5の取り付けや取り外しができる。
【0028】
第2端子台30は、レール40に沿って第1端子台20より第1方向d1に突出可能である。第1方向d1における第2端子35の数が第1方向d1における第1端子25の数と同じになるように端子台10が複数の第2端子台30を有しても、第1方向d1に突出するよう、第2端子台30を第1方向d1に移動させることができる。多数の第2端子35を省スペースに配置できる。
【0029】
レール40は、第2端子台30に設けられた凹部32と嵌合可能な爪部42を有する。爪部42が凹部32に嵌合された状態と嵌合が解除された状態とを切り換えることで、第2端子台30が、レール40に対して固定された状態と、レール40に対して移動可能な状態と、を切り換えることができる。第2端子台30が意図せずに移動することを抑制し、且つ第2端子台30を容易に移動させることができる。
【0030】
なお、本実施の形態に様々な変更を加えることが可能である。
【0031】
例えば、
図5に示すように、第2端子台30は、第1方向d1に並んだ複数の第2端子35を有していてもよい。
図5に示す各第2端子台30において、3つの第2端子35が第1方向d1に並んでいる。第2端子台30を第1方向d1に移動させることで、第1方向d1に並んだ複数の第2端子35を同時に移動させることができる。第2端子台30を第1方向d1に移動させて第2端子35に取り付けられたケーブル3を第1端子25に重なる位置からずらすために他の第2端子台30を移動させる回数を少なくできる。第2端子35に取り付けられたケーブル端子5を取り外す等の第2端子35への影響を小さくしながら、第1端子25へのケーブル端子5の取り付けや取り外しがより容易にできる。
【0032】
第1方向d1に沿った第2端子35の数は、第1方向d1に沿った第1端子25の数より少なくてもよい。
図6に示された例では、第1方向d1に沿った第2端子35の数は、第1方向d1に沿った第1端子25の数より1つ少ない。このような場合、第1方向d1の一部において、第1端子台20は存在しているが、第2端子台30が存在しない部分が生じる。言い換えると、第1方向d1において、一部の第2端子台30の間に隙間が存在する。第2端子台30を隙間に移動させることで、第1方向d1に移動させることができる。第2端子台30を第1方向d1に突出させることなく第2端子台30を移動させることができるため第2端子台30を移動させても、端子台10をコンパクトにできる。
【符号の説明】
【0033】
1…取り付けレール、3…ケーブル、5…ケーブル端子、10…端子台、11…取り付け部、20…第1端子台、21…第1端子台本体、23…第1孔、25…第1端子、30…第2端子台、31…第2端子台本体、32…凹部、33…第2孔、35…第2端子、40…レール、42…爪部