(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/651 20140101AFI20240611BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240611BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240611BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20240611BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240611BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240611BHJP
【FI】
H01M10/651
H01M10/613
H01M10/6568
H01M10/653
H01M10/647
H01M10/6556
(21)【出願番号】P 2022015552
(22)【出願日】2022-02-03
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内記 大輔
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-051894(JP,A)
【文献】特開2013-077432(JP,A)
【文献】特開2012-190675(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0220397(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0229749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/651
H01M 10/613
H01M 10/6568
H01M 10/653
H01M 10/647
H01M 10/6556
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並んで配置された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの各々に隣接して配置され、前記複数の電池セルを冷却する冷却機構とを備え、
前記冷却機構は、前記第1の方向において前記複数の電池セルの各々に沿って前記冷却機構の内部に延在し、冷却水が通流可能な流路部
と、
前記流路部が設けられた冷却部材と、
前記複数の電池セルと前記冷却部材とに隣接して挟まれ、前記冷却部材より低い熱伝導率を有する伝熱部材とを含み、
前記冷却機構の前記複数の電池セルに対する熱抵抗は、前記流路部の上流から下流へ向かうにしたがって低下
し、
前記伝熱部材の厚みは、前記流路部の前記上流から前記下流に向かうにしたがって薄く、
前記冷却部材の厚みは、前記流路部の前記上流から前記下流に向かうにしたがって厚い、電池モジュール。
【請求項2】
第1の方向に並んで配置された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの各々に隣接して配置され、前記複数の電池セルを冷却する冷却機構とを備え、
前記冷却機構は、
前記第1の方向において前記複数の電池セルの各々に沿って前記冷却機構の内部に延在し、冷却水が通流可能な流路部と、
前記流路部が設けられた冷却部材と、
前記複数の電池セルと前記冷却部材とに隣接して挟まれ、前記冷却部材より低い熱伝導率を有する伝熱部材と
を含み、
前記冷却機構の前記複数の電池セルに対する熱抵抗は、前記流路部の上流から下流へ向かうにしたがって低下し、
前記複数の電池セルおよび前記伝熱部材の接触する領域は、前記流路部の前記上流から前記下流に向かうにしたがって広い、
電池モジュール。
【請求項3】
前記伝熱部材は、シート状である、請求項
1または請求項
2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記伝熱部材は、ゲル状態から硬化可能なシリコーン系樹脂により構成されている、請求項
1または請求項
2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記流路部の断面積は、前記流路部の前記上流から前記下流に向かうにしたがって小さい、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記冷却機構は、前記流路部に接続され、かつ、前記上流から前記下流の間において前記冷却水を反対方向に流す折り返し部を有し、
前記上流および前記下流は、前記第1の方向の一方側に位置し、
前記折り返し部は、前記第1の方向の他方側に位置している、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記複数の電池セルの各々は、電極端子が配置された上面および該上面に対向する下面を有するケース体を含み、
前記冷却機構は、下面側に設けられている、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記複数の電池セルの各々は、電極端子が配置された上面および前記上面に交差する側面を有するケース体を含み、
前記冷却機構は、側面側に設けられている、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電モジュールの構成を開示した先行技術文献として、特開2013-016301号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された蓄電モジュールは、組電池と、冷却構造部と、ケースと、ファンとを備える。組電池は、複数個の電池セルが電気的に接続されている。冷却構造部は、電池セルに熱的に結合して配置されている。冷却構造部は、冷却媒体が流入し、電池セルを冷却する。ケースは、組電池および冷却構造部を収容する。ファンは、ケース内に配置される。ファンは、ケース内の空気を冷却構造部側に向けて送風し、ケース内部の空気を対流させることによって、対流する空気により電池セルを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された蓄電モジュールにおいては、冷却構造部に流入する冷却媒体の上流で冷却媒体と電池セルが発する熱とが熱交換されることにより、下流で冷却媒体の温度が上昇する。この場合、下流側の電池セルが冷却媒体により十分に冷却されないため、上流側の電池セルに比べて下流側の電池セルの温度が上昇することによって、複数の電池セル間において電池セルの温度ばらつきが発生する可能性がある。
【0005】
本技術は、上記の課題を解決するためになされたものであって、複数の電池セル間における電池セルの温度ばらつきの発生を抑制することができる、電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に基づく電池モジュールは、複数の電池セルと、冷却機構とを備える。複数の電池セルは、第1の方向に並んで配置されている。冷却機構は、複数の電池セルの各々に隣接して配置され、複数の電池セルを冷却する。冷却機構は、流路部を含む。流路部は、第1の方向において複数の電池セルの各々に沿って冷却機構の内部に延在し、冷却水が通流可能である。冷却機構の複数の電池セルに対する熱抵抗は、流路部の上流から下流へ向かうにしたがって低下する。
【発明の効果】
【0007】
本技術によれば、複数の電池セル間における電池セルの温度ばらつきの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本技術の実施の形態1に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。
【
図2】本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1の電池モジュールをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【
図4】本技術の実施の形態1に係る電池モジュールにおける冷却機構の流路部の位置に対する電池セルの温度、冷却機構を流れる冷却水の温度および冷却機構の熱抵抗を評価した結果を示すグラフである。
【
図5】本技術の実施の形態2に係る電池モジュールの構成を示す断面図である。
【
図6】本技術の実施の形態3に係る電池モジュールが備える冷却機構の構成を示す斜視図である。
【
図7】本技術の実施の形態4に係る電池モジュールが備える冷却機構の構成を示す斜視図である。
【
図8】本技術の実施の形態5に係る電池モジュールの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0010】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。
【0011】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0012】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0013】
なお、図面においては、電池セルの積層方向に直交し、かつ、電池セルの高さ方向に直交する方向をX方向、電池セルの積層方向をY方向、電池セルの高さ方向をZ方向とする。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本技術の実施の形態1に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1は、電池セル100と、エンドプレート200と、拘束部材300と、冷却機構400とを備える。
【0015】
複数の電池セル100は、第1の方向(Y方向)に並んで配置されている。電池セル100同士の間には、図示しないセパレータが介装されている。2つのエンドプレート200に挟持された複数の電池セル100は、エンドプレート200によって押圧され、2つのエンドプレート200の間で拘束されている。
【0016】
エンドプレート200は、複数の電池セル100の第1の方向(Y方向)の両端に設けられている。エンドプレート200は、電池モジュール1を収納する筐体などの基台に固定される。エンドプレート200は、たとえば、アルミニウムまたは鉄により構成されている。
【0017】
図1に示すように、拘束部材300は、複数の電池セル100およびエンドプレート200のX方向の両端に設けられている。積層された複数の電池セル100およびエンドプレート200に対してY方向の圧縮力を作用させた状態で拘束部材300をエンドプレート200に係合させ、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート200を接続する拘束部材300に引張力が働く。その反作用として、拘束部材300は、2つのエンドプレート200を互いに近づける方向に押圧する。その結果、拘束部材300は、複数の電池セル100をY方向に拘束する。
【0018】
冷却機構400は、複数の電池セル100の各々に隣接して配置され、複数の電池セル100を冷却する。本実施の形態における冷却機構400は、後述するケース体120の下面122側に設けられている。
【0019】
図2は、本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。
図2に示すように、複数の電池セル100の各々は、電極端子110と、ケース体120と、ガス排出弁130とを含む。
【0020】
電極端子110は、正極端子111と、負極端子112とを有する。電極端子110は、ケース体120上に形成されている。
【0021】
ケース体120は、図示しない電極体および電解液を収容する容器である。ケース体120は、略直方体形状を有している。ケース体120は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0022】
ケース体120は、上面121と、下面122と、一対の長側面123と、一対の短側面124とを有する。
【0023】
上面121には、電極端子110が配置されている。下面122は、第3の方向(Z方向)において上面121に対向している。
【0024】
一対の長側面123および一対の短側面124は、ケース体120の側面を構成している。ケース体120の側面としての一対の長側面123および一対の短側面124は、上面121および下面122の各々に交差している。一対の長側面123の各々は、第1の方向(Y方向)において互いに対向している。一対の短側面124の各々は、第2の方向(X方向)において互いに対向している。一対の長側面123の各々は、一対の短側面124の各々より大きな面積を有している。
【0025】
ガス排出弁130は、ケース体120内の圧力が所定値以上となった際に破断する。これにより、ケース体120内のガスがケース体120外に排出される。
【0026】
図3は、
図1の電池モジュールをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
図3においては、発明の理解を容易にするため、複数の電池セル100の数量を5つにしている。
【0027】
図3に示すように、冷却機構400は、冷却部材410と、伝熱部材420とを含む。
【0028】
本実施の形態に係る冷却部材410は、プレート状である。冷却部材410は、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されている。本実施の形態に係る冷却部材410の熱伝導率は、たとえば、220W/(m・K)である。
【0029】
冷却部材410は、流路部411を有している。流路部411は、第1の方向(Y方向)において複数の電池セル100の各々に沿って冷却機構400の内部に延在し、冷却水が通流可能である。流路部411において、図中の矢印方向に示すように、上流412から下流413に向かって冷却水が流れる。
【0030】
本実施の形態における流路部411は、たとえば、図示しない配管を冷却部材410の内部に挿通させることによって形成されている。なお、流路部411は、配管による構造に限定されず、冷却部材410に孔をあけるなどにより形成されてもよい。
【0031】
冷却部材410の厚みは、流路部411の上流412から下流413に向かうにしたがって厚くなっている。本実施の形態における冷却部材410は、流路部411に対して電池セル100側の厚みが厚くなっている。冷却部材410の熱伝導率は後述する伝熱部材420の熱伝導率に対して高いため、冷却部材410の厚みの変化は、冷却機構400における上流412から下流413までの熱抵抗に対して影響が小さい。
【0032】
伝熱部材420は、複数の電池セル100と冷却部材410とに隣接して挟まれている。本実施の形態における伝熱部材420は、シート状である。伝熱部材420は、たとえば、シリコーン樹脂により構成されている。
【0033】
伝熱部材420は、冷却部材410より低い熱伝導率を有している。本実施の形態における伝熱部材420の熱伝導率は、たとえば、3W/(m・K)である。
【0034】
伝熱部材420は、ゲル状態から硬化可能なシリコーン系樹脂により構成されていてもよい。この場合における伝熱部材420は、たとえば、ギャップフィラーなどの初期状態がゲル状態で、塗布した後に硬化して固体となる、熱伝導性を有するシリコーン系樹脂である。ゲル状態から硬化可能なシリコーン系樹脂を使用した場合の伝熱部材420は、初期状態がゲル状態であるため、形状を変化させやすい。
【0035】
伝熱部材420は、第1部分421と、第2部分422とを含む。第1部分421は、電池セル100と冷却部材410の上流412との間に位置している。第2部分422は、電池セル100と冷却部材410の下流413との間に位置している。
【0036】
伝熱部材420の厚みは、流路部411の上流412から下流413に向かうにしたがって薄くなっている。本実施の形態における伝熱部材420は、第1部分421の厚みに対して、第2部分422の厚みが薄くなっている。
【0037】
伝熱部材420の厚みを、冷却部材410の厚みの変化と同じ分だけ変化させた場合、伝熱部材420は冷却部材410より熱伝導率が低いため、冷却部材410と比較して、冷却機構400の熱抵抗に対して影響が大きい。このため、伝熱部材420の厚みが流路部411の上流412から下流413に向かうにしたがって薄くなることによって、冷却機構400の複数の電池セル100に対する熱抵抗は、流路部411の上流412から下流413へ向かうにしたがって低下する。
【0038】
なお、本実施の形態における冷却部材410および伝熱部材420の各々は、連続的に厚みが変化しているが、この構成に限定されず、たとえば、段階的に厚みが変化する構成であってもよい。
【0039】
ここで、本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1における、冷却機構400の流路部411の位置に対する、電池セル100の温度、冷却機構400を流れる冷却水の温度および冷却機構400の熱抵抗の評価を行なった結果について説明する。
【0040】
本評価の条件として、まず、
図3に示すように、上流412から下流413に向かって厚みが大きくなっている冷却部材410、および、上流412から下流413に向かって厚みが小さくなっている伝熱部材420を準備した。次に、本実施の形態に係る複数の電池セル100の各々を発熱させた後、流路部411に冷却水を流した。次に、複数の電池セル100の各々の温度測定位置P1,P2,P3,P4,P5において電池セル100の温度を測定した。このとき、上流412から下流413までの間における、冷却水の温度を測定し、冷却機構400の熱抵抗を算出した。なお、本実施の形態に係る電池セル100の温度測定位置P1,P2,P3,P4,P5は、電池セル100の略中央に位置しているが、この構成に限定されず、たとえば、電池セル100の上面121側に位置していてもよい。
【0041】
図4は、本技術の実施の形態1に係る電池モジュールにおける冷却機構の流路部の位置に対する電池セルの温度、冷却機構を流れる冷却水の温度および冷却機構の熱抵抗を評価した結果を示すグラフである。
【0042】
図4に示すように、流路部411を流れる冷却水の温度は、上流412から下流413
までの領域において冷却水と複数の電池セル100の各々で発生した熱とが熱交換されるため、上流412から下流413に向かうにしたがって上昇する。
【0043】
冷却機構400の熱抵抗は、冷却部材410より低い熱伝導率を有する伝熱部材420の厚みが上流412から下流413に向かうにしたがって薄くなるため、上流412から下流413に向かうにしたがって低くなる。本評価における冷却機構400の熱抵抗は、上流412から下流413までの領域において約53%低くなった。本評価における冷却機構400の熱抵抗は、上流412において約0.52K/Wであり、下流413において約0.25K/Wであった。
【0044】
本評価における複数の電池セル100の各々の温度は、上流412から下流413にかけて略一定になった。具体的には、複数の電池セル100の各々の温度測定位置P1,P2,P3,P4,P5における電池セル100の温度ばらつきが略一定である約0.1℃未満になることを確認することができた。
【0045】
冷却水の温度は上流412から下流413に向かうにしたがって上昇するものの、上流412から下流413に向かうにしたがって冷却機構400の熱抵抗を低下させることによって、上流412と比較して下流413において冷却水と電池セル100で発生した熱とが熱交換されやすいため、下流413における電池セル100の温度上昇を抑制することができる。その結果、複数の電池セル100の各々の温度を上流412から下流413までの領域において略一定にすることができる。
【0046】
本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1においては、冷却水が通流する流路部411の上流412から下流413に向かうにしたがって冷却機構400の電池セル100に対する熱抵抗を低下させることによって、上流412から下流413へ向かうほど複数の電池セル100との熱交換によって温度が上昇する冷却水を、下流413において電池セル100と熱交換しやすくして電池セル100の温度上昇を抑制することができるため、複数の電池セル100間における電池セル100の温度ばらつきの発生を抑制することができる。
【0047】
本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1においては、上流412に位置する伝熱部材420の第1部分421の厚みと比較して、下流413に位置する伝熱部材420の第2部分422の厚みを薄くすることによって、冷却機構400の下流413における電池セル100で発生する熱を熱交換しやすくすることができる。
【0048】
本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1においては、上流412における冷却部材410の厚みと比較して、下流413における冷却部材410の厚みを厚くすることによって、伝熱部材420と冷却部材410とを合わせた厚みを均一にすることができる。これにより、電池セル100が第1の方向(Y方向)に傾斜することを抑制しつつ、上流412から下流413に向かうにしたがって冷却機構400の熱抵抗を低くすることができる。
【0049】
本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1においては、伝熱部材420をシート状にすることによって、伝熱部材420を廉価に構成することができる。
【0050】
本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1においては、伝熱部材420にゲル状態から硬化可能なシリコーン系樹脂を使う場合には、伝熱部材420の厚みを容易に調整することができる。
【0051】
本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1においては、複数の電池セル100の下面122側に冷却機構400を配置して、複数の電池セル100間における電池セル100の温度ばらつきの発生を抑制することができる。
【0052】
(実施の形態2)
以下、本技術の実施の形態2に係る電池モジュールについて説明する。本技術の実施の形態2に係る電池モジュールは、冷却部材の構成が本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0053】
図5は、本技術の実施の形態2に係る電池モジュールの構成を示す断面図である。
図5に示すように、本技術の実施の形態2に係る電池モジュール1Aは、電池セル100と、冷却機構400Aとを備える。
【0054】
冷却機構400Aは、冷却部材410Aと、伝熱部材420とを含む。冷却部材410Aには、流路部411Aが設けられている。流路部411Aの断面積は、流路部411Aの上流412Aから下流413Aに向かうにしたがって小さくなっている。
【0055】
一般に、熱抵抗は、流体が層流状態で強制対流される場合には、流体の流速の1/2乗に反比例する。具体的には、熱抵抗をR、冷却水の流速をvとした場合、R∝1/(v1/2)の関係が成立する。また、流路部411Aにおける冷却水の流量をQ、流路部411Aの断面積をSとした場合、v=Q/Sが成り立つ。したがって、流路部411Aの断面積Sを小さくすることによって、冷却水の流速vを速くすることができる。
【0056】
本技術の実施の形態2に係る電池モジュール1Aにおいては、流路部411Aの上流412Aから下流413Aに向かうにしたがって流路部411Aの断面積を小さくすることにより、上流412Aに対して下流413Aの冷却水の流速を速くすることによって、下流413Aにおける冷却機構400Aの熱抵抗を下げることができるため、下流413Aにおいて効率良く冷却機構400Aと電池セル100との熱交換をすることができる。
【0057】
(実施の形態3)
以下、本技術の実施の形態3に係る電池モジュールについて説明する。本技術の実施の形態3に係る電池モジュールは、冷却機構の構成が本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0058】
図6は、本技術の実施の形態3に係る電池モジュールが備える冷却機構の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、本実施の形態に係る冷却機構400Bは、冷却部材410Bと、伝熱部材420Bとを有する。
【0059】
冷却機構400Bは、上流412Bから下流413Bまでの領域において同じ厚みを有している。伝熱部材420Bは、上流412Bに位置する第1部分421Bから下流413Bに位置する第2部分422Bまでの領域において同じ厚みを有している。
【0060】
伝熱部材420Bは、上流412Bから下流413Bに向かうにしたがってX方向の幅が広い。これにより、複数の電池セルおよび伝熱部材420の接触する領域は、流路部411Bの上流412Bから下流413Bに向かうにしたがって広くなっている。
【0061】
本技術の実施の形態3に係る電池モジュールにおいては、上流412Bに対して下流413Bにおいて伝熱部材420Bが電池セルに接触する領域を広くすることによって、下流413Bにおいて冷却水と電池セルとの熱交換をしやすくして電池セルの温度上昇を抑制することができるため、複数の電池セル間における電池セルの温度ばらつきの発生を抑制することができる。
【0062】
(実施の形態4)
以下、本技術の実施の形態4に係る電池モジュールについて説明する。本技術の実施の形態4に係る電池モジュールは、冷却機構の構成が本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0063】
図7は、本技術の実施の形態4に係る電池モジュールが備える冷却機構の構成を示す斜視図である。
図7に示すように、本実施の形態に係る冷却機構400Cは、冷却部材410Cと、伝熱部材420Cとを有する。
【0064】
冷却機構400Cにおける冷却部材410Cは、折り返し部414Cを有している。折り返し部414Cは、流路部411Cに接続され、かつ、上流412Cから下流413Cの間において冷却水を反対方向に流す。
【0065】
上流412Cおよび下流413Cは、第1の方向(Y方向)の一方側に位置している。折り返し部414Cは、第1の方向(Y方向)の他方側に位置している。このように、本実施の形態における流路部411Cは、Z方向から見て、U字形状を構成している。
【0066】
伝熱部材420Cは、第1部分421Cと、第2部分422Cと、第3部分423Cとを含む。第1部分421Cは、電池セルと冷却部材410Cの上流412Cとの間に位置している。第2部分422Cは、電池セルと冷却部材410Cの下流413Cとの間に位置している。第3部分423Cは、電池セルと折り返し部414Cとの間に位置している。
【0067】
伝熱部材420Cの厚みは、流路部411Cの上流412Cから下流413Cに向かうにしたがって薄くなっている。具体的には、伝熱部材420Cにおいて、第1部分421Cは厚みt1を有し、第2部分422Cは厚みt2を有し、第3部分423Cは厚みt3を有している。伝熱部材420Cの厚みは、t2<t3<t1の関係を満たしている。
【0068】
本技術の実施の形態4に係る電池モジュールにおいては、冷却機構400Cが折り返し部414Cを有することによって、流路部411CがU字形状の場合の冷却機構400Cの冷却方式に対応することができる。
【0069】
(実施の形態5)
以下、本技術の実施の形態5に係る電池モジュールについて説明する。本技術の実施の形態5に係る電池モジュールは、拘束部材および冷却機構の構成が本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0070】
図8は、本技術の実施の形態5に係る電池モジュールの構成を示す断面図である。
図8においては、エンドプレートの記載を省略している。
【0071】
本実施の形態に係る電池モジュール1Dは、電池セル100と、拘束部材300Dと、冷却機構400Dとを備える。
【0072】
拘束部材300Dには、第1の方向(Y方向)の両端に開口301が設けられている。開口301は、拘束部材300Dの外部空間と内部空間とを接続する。
【0073】
冷却機構400Dは、拘束部材300Dの内部に設けられている。また、冷却機構400Dは、側面側に設けられている。本実施の形態においては、冷却機構400Dは、電池セル100の一対の短側面124側に設けられている。
【0074】
冷却機構400Dには、流路部411Dが設けられている。流路部411Dの内部を上流412Dから下流413Dまで冷却水が通流する。伝熱部材420Dは、第1部分421Dと、第2部分422Dとを含む。第1部分421Dは、上流412D側に位置している。第2部分422Dは、下流413D側に位置している。
【0075】
本実施の形態における伝熱部材420の厚みは、第1部分421Dに対して、第2部分422Dの厚みが薄くなっている。これにより、冷却機構400Dの複数の電池セル100に対する熱抵抗は、流路部411Dの上流412Dから下流413Dへ向かうにしたがって低下する。
【0076】
本技術の実施の形態5に係る電池モジュール1Dにおいては、電池セル100の側面側に冷却機構400Dを配置して、複数の電池セル100間における電池セル100の温度ばらつきの発生を抑制することができる。
【0077】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1,1A,1D 電池モジュール、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 ケース体、121 上面、122 下面、123 一対の長側面、124 一対の短側面、130 ガス排出弁、200 エンドプレート、300,300D 拘束部材、301 開口、400,400A,400B,400C,400D 冷却機構、410,410A,410B,410C 冷却部材、411,411A,411B,411C,411D 流路部、412,412A,412B,412C,412D 上流、413,413A,413B,413C,413D 下流、414C 折り返し部、420,420B,420C,420D 伝熱部材、421,421B,421C,421D 第1部分、422,422B,422C,422D 第2部分、423C 第3部分、P1,P2,P3,P4,P5 温度測定位置。