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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】扇風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/52 20060101AFI20240611BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20240611BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20240611BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F04D29/52 C
F04D29/00 C
F04D25/08 301A
F04D29/60 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022030686
(22)【出願日】2022-03-01
(65)【公開番号】P2023127111
(43)【公開日】2023-09-13
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長竹 健樹
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3080137(JP,U)
【文献】特開2022-025920(JP,A)
【文献】特開2021-105365(JP,A)
【文献】実開昭63-131949(JP,U)
【文献】特開平09-051368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/52
F04D 29/00
F04D 25/08
F04D 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用の扇風機であって、
第1ケース、及び該第1ケースの第1方向側に係合される第2ケースを有する本体部と、
インペラを有し、前記第2ケースに対して前記第1方向側に回動可能に設けられた送風ヘッドと、を備え、
前記第1ケースにおける前記第2ケースとの係合部は、該係合部と隙間なく噛み合うように当接されて係合される前記第2ケースの被係合部に対して、前記第1方向側が下方に屈曲する屈曲部を有することにより前記第1方向側で引っ掛かる鉤爪状とされており、
前記被係合部は、前記屈曲部が引っ掛かる部位がR状とされたR状面となっており、その外形が前記係合部の外形に沿った形状とされ、
前記係合部の前記第1方向の端面の一部を前記第2ケースに当接させるとともに前記屈曲部の先端部を前記R状面に当接させ、前記係合部を前記R状面上に沿って摺動させつつ前記第1ケースを前記第2ケースに近づける方向に回動させることにより、前記係合部が前記被係合部に係合されて前記第2ケースと前記第1ケースが組み付けられる、
ことを特徴とする扇風機。
【請求項2】
前記本体部における前記送風ヘッドの組付け部分は、前記係合部と前記被係合部の係合部分の前記第1方向側に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の扇風機。
【請求項3】
前記送風ヘッドは、回動軸の軸周りに回動可能とされ、
前記係合部及び前記被係合部は、前記回動軸の軸方向に離間した形で一対ずつ設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯用の扇風機が知られている。例えば、特許文献1には、本体と、軸体を介して本体に対して回転可能に支持された羽根ユニットとを備える携帯用の扇風機が開示されている。この扇風機では、羽根ユニットに軸体が設けられており、羽根ユニットを軸体の軸周りに回転させることにより、羽根ユニットを本体の前方側に傾倒した姿勢に変化させて送風方向を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3224868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の羽根ユニットのような送風ヘッドを支持する本体部は、内部に回路基板や電池等が収容されるため、通常、一対のケース部材を互いに組付けることにより構成される。このような一対のケース部材の組付け態様として、ネジ締め固定や爪嵌合が想定される。しかしながら、ネジ締め固定ではネジ締めトルクのばらつきやネジの緩み等の問題があった。また、爪嵌合では、送風方向の変更時に送風ヘッドを支持する一方のケース部材に過度な負荷が掛かった場合、一対のケース部材の組付け部に割れや破損等が発生する問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、負荷に対する耐久性が高い携帯用の扇風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の扇風機は、携帯用の扇風機であって、第1ケース、及び該第1ケースの第1方向側に係合される第2ケースを有する本体部と、インペラを有し、前記第2ケースに対して前記第1方向側に回動可能に設けられた送風ヘッドと、を備え、前記第1ケースにおける前記第2ケースとの係合部は、該係合部と係合される前記第2ケースの被係合部に対して前記第1方向側で引っ掛かる鉤爪状とされている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、負荷に対する耐久性が高い携帯用の扇風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る扇風機の斜視図である。
図2】実施形態に係る扇風機を前側から見た分解斜視図である。
図3】実施形態に係る扇風機を後側から見た分解斜視図である。
図4】実施形態に係る扇風機の送風ヘッドの回動態様を示す側面図である。
図5】実施形態に係る扇風機の傾倒状態における送風ヘッドを上方左側から見た斜視図である。
図6】実施形態に係る扇風機における係合部と被係合部との係合部を示す拡大側面図である。
図7】実施形態に係る扇風機の前側ケースと後側ケースの組付け態様を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る扇風機1は、携帯用の小型の扇風機1であり、本体部10と、本体部10の上側に設けられた送風ヘッド20と、本体部10の下側に設けられたカラビナ部30とを備えている。扇風機1は、本体部10を把持してスイッチ12を押下することにより、送風ヘッド20から送風させることができる。また、扇風機1は、カラビナ部30に被係留物を係留させることができる。以下では、本体部10のスイッチ12が設けられた側(送風流路の下流側)を扇風機1の前側、その反対側を後側とし、本体部10を前側から見たときの右側及び左側を扇風機1の右側及び左側として説明する。
【0010】
本体部10は、縦長の略直方体状をなしており、後側、即ち送風流路の上流側に設けられる後側ケース(第1ケース)40と、前側(第1方向側)、即ち送風流路の下流側に設けられる前側ケース(第2ケース)50とを有している。後側ケース40の前側に前側ケース50が係合されて組付けられることにより、両者の間に空間が設けられる。図2及び図3に示すように、後側ケース40と前側ケース50の間に設けられる空間には、回路基板14(スイッチ12を含む)、電池16、及び隔離板18等が収容される。隔離板18は、回路基板14と電池16の間に配置され、両者の間を絶縁しつつ隔離する。なお、隔離板18は、組付け時において電池16を一時的に固定するための両面テープとしてもよい。
【0011】
後側ケース40の開口側の上端部には、前方側に壁状に突出する突出壁部41が設けられている。突出壁部41の左右両側には、左右方向に離間した形で一対の係合爪(係合部)42が設けられている。また、後側ケース40の開口側の縁部には、前方側に突出する複数の嵌合凸部43が設けられている。一方、前側ケース50の開口側の上端部における左右両側には、左右方向に離間した形で一対の被係合爪(被係合部)52が設けられている。また、前側ケース50の開口側の縁部には、前方側に凹んでなる複数の嵌合凹部53が設けられている。本体部10は、係合爪42と被係合爪52を係合させ、嵌合凸部43を嵌合凹部53に嵌合させることにより組付けることができる。係合爪42及び被係合爪52の形状、及び後側ケース40と前側ケース50の組付け態様については、後で詳しく説明する。
【0012】
後側ケース40の開口側の下部には、カラビナ部30の一部が収容されるように切り欠かれた後側収容部44が設けられている。一方、前側ケース50の開口側の下部には、カラビナ部30の一部が収容されるように切り欠かれ、カラビナ部30が取り付けられる前側収容部54が設けられている。また、前側ケース50の前面上部寄りの位置には、スイッチ12が前方側に露出する形で収容されるスイッチ開口部56が設けられている。
【0013】
前側ケース50の上端部のうち被係合爪52よりも前側の部分には、送風ヘッド20が組付けられるヘッド組付け部58が設けられている。換言すれば、本体部10における送風ヘッド20の組付け部分は、係合爪42と被係合爪52の係合部分の前方側に設けられている。ヘッド組付け部58の左右両側は、前方側に突出する前側軸支部58aとなっている。前側軸支部58aは、後述する送風ヘッド20の回動軸26b1の前側部分を回動可能に支持する。両前側軸支部58aは、その前端部が側面視において略円弧状をなしている。両前側軸支部58aの左右方向内側部分には、回動軸26b1の前側部分が回動可能に支持されるように半円形状に切り欠かれた前側切欠部58a1がそれぞれ設けられている。両前側軸支部58aの間は、送風ヘッド20の首部26が挿入される首部挿入部58bとなっている。
【0014】
ヘッド組付け部58には、その後方側から後側軸支部材59が組付けられる。後側軸支部材59の左右両側の前端部には、回動軸26b1の後側部分が回動可能に支持されるように半円形状に切り欠かれた後側切欠部59aがそれぞれ設けられている。両前側切欠部58a1に回動軸26b1の前側部分が支持された状態で後側軸支部材59がヘッド組付け部58に組付けられることにより、送風ヘッド20の回動軸26b1が前側ケース50に対して組付けられる。後側軸支部材59は、後側ケース40と前側ケース50の間に挟持されて本体部10内に収容される形でヘッド組付け部58に組付けられる。
【0015】
送風ヘッド20は、後側に設けられる後側カバー22と、前側に設けられる前側カバー24と、首部26と、後方インペラ(インペラ)27と、前方インペラ(インペラ)28とを有している。後側カバー22は、後方側がやや縮径されて有底とされた略短円筒状をなしている。後側カバー22には、後側グリル22a,22bが設けられている。前側カバー24は、略円環状をなしている。前側カバー24には、前側グリル24aが設けられている。首部26は、前側カバー24の下端に設けられている。後方インペラ27及び前方インペラ28は、後側カバー22と前側カバー24の間に収容される。
【0016】
後側カバー22の中央部には、後方インペラ27を回転させるための後方モータM1が収容される略円形状の後方モータ収容部22cが設けられている。後側グリル22a,22bは、後方モータ収容部22cから径方向外側に向かって放射状に延びる長尺棒状の枠体により構成されている。同様に、前側カバー24の中央部には、前方インペラ28を回転駆動させるための前方モータM2が収容される略円形状の前方モータ収容部24cが設けられている。前側グリル24aは、前方モータ収容部24cから径方向外側に向かって放射状に延びる長尺棒状の枠体により構成されている。後方モータM1及び前方モータM2には、配線ケーブル21を介して本体部10内の回路基板14から駆動電力が供給される。
【0017】
送風ヘッド20の首部26は、前方側から見て略T字状をなすように、前側カバー24の下端中央部から下方に延びている。首部26は、略T字状の横棒部分を構成する対向部26aと、略T字状の縦棒部分を構成する回動部26bとを有している。対向部26aは、その左右両側が扇風機1において前側ケース50の両前側軸支部58aと対向する。対向部26aにおける両前側軸支部58aと対向する部分には、後述するクッション材60が固定される略矩形状の固定面(不図示)がそれぞれ設けられている。
【0018】
首部26の回動部26bは、対向部26aの左右方向中央部から下方に向けて略角柱状をなして延びており、側面視において略円形状となっている。回動部26bは、ヘッド組付け部58の首部挿入部58bに挿入されて組付けられる。回動部26bの左右両側面からは、左右方向に沿って同一軸状に設けられた回動軸26b1がそれぞれ延びている。回動軸26b1が後側切欠部59aと前側切欠部58a1の間で挟持されることにより、回動軸26b1がその軸周りに回動可能に支持される。扇風機1では、送風ヘッド20を回動軸26b1の軸周りに回動させることにより、送風方向を変更することができる。
【0019】
なお、回動部26bの左側面から延びる一方の回動軸26b1には、その外周に回動軸26b1よりも一回り大きな外径寸法を有する軸受部材29が組付けられる。一方の回動軸26b1は、軸受部材29に軸受けされた状態で後側切欠部59aと前側切欠部58a1の間に挟持され、回動可能に支持される。このように一方の回動軸26b1が軸受部材29を介して支持されることにより、一方の回動軸26b1と両切欠部59a,58a1の間の摩擦力が低減され、回動部26bを円滑に回転できるようになっている。なお、後側切欠部59a及び両前側切欠部58a1は左右で異なっており、一方が回動軸26b1の外径寸法に、他方が軸受部材29の外形寸法に対応した大きさとされている。
【0020】
クッション材60は、略直方体状の緩衝部材であり、例えばシリコンゴムにより形成される。クッション材60の上面は、平坦面とされ、各対向部26aの固定面に両面テープ等により貼り付けされてそれぞれ固定される。クッション材60は、対向部26aと前側軸支部58aの間の隙間において上下方向に圧縮された状態で配置され、その弾性復帰力により対向部26aを押圧する(即ち、クッション材60の厚み寸法は、対向部26aの固定面と前側軸支部58aの間の隙間寸法よりも大きい)。このため、送風ヘッド20の回動に伴って、対向部26aに固定されたクッション材60の下面が前側軸支部58aと摺接する。
【0021】
ここで、図4及び図5に示すように、扇風機1は、送風ヘッド20を回動軸26b1の軸周りに回動させることにより、送風流路が前後方向に沿った初期状態P0と、初期状態P0から送風ヘッド20を前方側に略100度傾倒させた傾倒状態P1との間で、送風ヘッド20の傾倒角度を調整可能となっている。即ち、初期状態P0では、回動部26bの後面が後側ケース40の突出壁部41の前端部と当接して回動部26bの後方側への回動が規制され、傾倒状態P1では、回動部26bの前面が前側ケース50の首部挿入部58bの下面に当接して回動部26bの前方側への回動が規制される。なお、送風ヘッド20の回動に伴って各クッション材60が本体部10の前側軸支部58aと摺接しながら前側軸支部58aを押圧することから、送風ヘッド20を任意の傾倒角度で保持させることができる。
【0022】
カラビナ部30は、係留部32と、本体部10に取り付けられる取付部34とを有している。カラビナ部30は、例えば繊維強化プラスチックにより形成される。係留部32は、前方側から見て略C字状をなすフレーム32aと、フレーム32aの一端に開閉可能に接続される略円柱状のゲート32bとを有している。フレーム32aの上側部分には、前側ケース50にビス止めされるビス止め部32a1が設けられている。ビス止め部32a1は、2つのビス孔が設けられており、その下端面が本体部10の下面の形状に沿った形状となっている。フレーム32aにおけるビス止め部32a1より下側の部分は、本体部10の下端部から本体部10の下側に露出する。
【0023】
取付部34は、フレーム32aの上部右側から上方へ略板状に延びている。取付部34には、前側ケース50にネジ止めするためのネジ孔が設けられている。カラビナ部30は、ゲート32bを閉じることにより円環状となり、フレーム32a内に形成される空間内に被係留物を係留させることができる。なお、フレーム32aの上側部分の一部及び取付部34の左側部分は、本体部10内に電池16が収容される際に電池16と干渉しないように、電池16の外周面に沿って曲面状に窪んだ形状となっている。
【0024】
次に、後側ケース40に設けられた係合爪42及び前側ケース50に設けられた被係合爪52の具体的な形状について説明する。図6に示すように、係合爪42は、その前側部分が屈曲した鉤爪状とされている。具体的には、係合爪42は、その前側部分が下方に屈曲している(以下、下方に屈曲する部分を「屈曲部42a」という。)。係合爪42の屈曲部42aが被係合爪52に対してその前方側で引っ掛かることにより、被係合爪52が係合爪42に係合される。また、被係合爪52のうち係合爪42の屈曲部42aが引っ掛かる部分は、後方下側に凸となるR状とされた面(以下、「R状面52a」という。)となっている。
【0025】
係合爪42の前端面は、上下方向及び左右方向に沿った平坦面となっており、前側軸支部58aの後端面に面で当接する。また、被係合爪52の外形は、係合爪42の外形に沿った形状とされている。このため、被係合爪52が係合爪42に係合されることにより、係合爪42と被係合爪52は隙間なく噛み合うように当接する。
【0026】
ここで、仮に送風ヘッド20を前方側へ回動させるときに送風ヘッド20に対して下方側に過度な負荷が掛かった場合、クッション材60と前側軸支部58aとの間に過度な摩擦力が働き、前側軸支部58a(ヘッド組付け部58)に対して前方側へ移動する方向、即ち係合爪42と前側軸支部58aとの当接部分C(図5参照)が離間する方向に力が働く。また、仮に扇風機1が傾倒状態P1のときに送風ヘッド20に対して前方側へ回動させる方向に過度な負荷が掛かった場合、回動部26bの前面が首部挿入部58bの下面を押圧し、押圧部分を支点としたてこの原理により、同様に係合爪42と前側軸支部58aとの当接部分Cが離間する方向に力が働く。
【0027】
これに対し、本実施形態に係る扇風機1は、上記のように係合爪42の屈曲部42aが被係合爪52に対してその前方側で引っ掛かるため、被係合爪52の前側に位置するヘッド組付け部58(前側軸支部58a)が前方側へ移動することが防止ないし抑制される。このため、係合爪42と前側軸支部58aとの当接部分Cが離間する方向に力が働いた場合であっても、係合爪42と被係合爪52の係合部分に割れや破損等が発生することが防止される。
【0028】
次に後側ケース40と前側ケース50の組付け態様について説明する。図7に示すように、本体部10を組み付ける場合、まず、後側ケース40と前側ケース50の間に収容される電池16等の各部材を前側ケース50の開口内に組付け、カラビナ部30を前側ケース50の前側収容部54に取り付ける。さらに、送風ヘッド20の回動軸26b1を前側軸支部58aに支持させた状態でヘッド組付け部58に後方側から後側軸支部材59を組付け、前側ケース50に送風ヘッド20を組み付ける。なお、図7では、送風ヘッド20の図示を省略している。
【0029】
次に、後側ケース40を前側ケース50に対して傾けた状態で、係合爪42の前端面の上部を前側軸支部58aの後端面に当接させるとともに、係合爪42の屈曲部42aの先端部を被係合爪52のR状面52aに当接させる(図7に示す状態)。次に、この状態から、係合爪42と前側軸支部58aとの当接部分を支点として、係合爪42をR状面52a上に沿って摺動させつつ後側ケース40の下側部分を前側ケース50に近づける方向(図7において矢印A1で示す方向)に後側ケース40を回動させる。これにより、係合爪42の屈曲部42aを被係合爪52の前方側に円滑に移動させることができ、係合爪42を被係合爪52に容易に係合させることができる。さらに、後側ケース40の嵌合凸部43を前側ケース50の嵌合凹部53に嵌合させることにより、後側ケース40と前側ケース50を組み付けることができる。
【0030】
以上説明したように本実施形態に係る扇風機1は、携帯用の扇風機1であって、後側ケース40、及び後側ケース40の前方側に係合される前側ケース50を有する本体部10と、後方インペラ27及び前方インペラ28を有し、前側ケース50に対して前方側に回動可能に設けられた送風ヘッド20と、を備えている。そして、後側ケース40における前側ケース50との係合部である係合爪42は、係合爪42と係合される前側ケース50の被係合爪52に対して前方側で引っ掛かる鉤爪状とされている。
【0031】
本実施形態に係る扇風機1は、このような構成とされていることにより、係合爪42に係合される被係合爪52が前方側へ移動することを防止ないし抑制することができ、被係合爪52の前側に位置するヘッド組付け部58が前方側へ移動することを防止ないし抑制することができる。このため、送風ヘッド20の回動時に前側ケース50の一部に過度な負荷が掛かった場合であっても、後側ケース40と前側ケース50の組付け部分(係合爪42と被係合爪52の係合部分)に割れや破損等が発生することを防止することができる。その結果、負荷に対する耐久性が高い携帯用の扇風機1を実現することができる。
【0032】
また、扇風機1では、本体部10における送風ヘッド20の組付け部分、即ちヘッド組付け部58は、係合爪42と被係合爪52の係合部分の前方側に設けられている。これにより、送風ヘッド20を前方側へ回動させるときにヘッド組付け部58に対して前方側へ移動する方向に過度な負荷が掛かった場合であっても、係合爪42とヘッド組付け部58との当接部分Cが離間することを防止ないし抑制することができる。このため、後側ケース40と前側ケース50の組付け部分に割れや破損等が発生することを効果的に防止することができる。
【0033】
また、扇風機1では、係合爪42と被係合爪52は、隙間なく噛み合うように当接されて係合される。これにより、係合爪42と被係合爪52の係合部分に隙間が設けられる構成に比して係合爪42と被係合爪52の係合の程度を高めることができ、被係合爪52が前方側へ移動することを効果的に防止ないし抑制することができる。その結果、扇風機1において負荷に対する耐久性をより高めることができる。
【0034】
また、扇風機1では、被係合爪52において係合爪42が引っ掛かる部位がR状とされたR状面52aとなっている。このため、後側ケース40と前側ケース50の組付け時に、係合爪42の先端部をR状面52aに当接させて後側ケース40を回動させることにより、係合爪42の屈曲部42aを被係合爪52の前方側に円滑に移動させることができる。その結果、係合爪42を被係合爪52に容易に係合させることができ、後側ケース40と前側ケース50の組付けを容易にすることができる。
【0035】
また、扇風機1では、送風ヘッド20は、回動軸26b1の軸周りに回動可能とされ、係合爪42及び被係合爪52は、回動軸26b1の軸方向(左右方向)に離間した形で一対ずつ設けられている。これにより、本体部10の上端部において係合爪42と被係合爪52の係合部分を左右方向に離間した形で一対設けることができ、係合爪42と被係合爪52の係合の程度を高めることができる。その結果、扇風機1において負荷に対する耐久性をより高めることができる。
【0036】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 扇風機 10 本体部
12 スイッチ 14 回路基板
16 電池 18 隔離板
20 送風ヘッド 21 配線ケーブル
22 後側カバー 22a 後側グリル
22b 後側グリル 22c 後方モータ収容部
24 前側カバー 24a 前側グリル
24c 前方モータ収容部 26 首部
26a 対向部 26b 回動部
26b1 回動軸 27 後方インペラ
28 前方インペラ 29 軸受部材
30 カラビナ部 32 係留部
32a フレーム 32a1 ビス止め部
32b ゲート 34 取付部
40 後側ケース 41 突出壁部
42 係合爪 42a 屈曲部
43 嵌合凸部 44 後側収容部
50 前側ケース 52 被係合爪
52a R状面 53 嵌合凹部
54 前側収容部 56 スイッチ開口部
58 ヘッド組付け部 58a 前側軸支部
58a1 前側切欠部 58b 首部挿入部
59 後側支持部材 59a 後側切欠部
60 クッション材 C 当接部分
M1 後方モータ M2 前方モータ
P0 初期状態 P1 傾倒状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7