(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ウエハ取り扱い用ウエハチャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240611BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/66 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022066228
(22)【出願日】2022-04-13
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】10 2021 109 210.8
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510203083
【氏名又は名称】ピーヴィエー テプラ アナリティカル システムズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PVA TePla Analytical Systems GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ホフロッジ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ ロヴァック
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-142054(JP,A)
【文献】特開2003-282681(JP,A)
【文献】特開平08-294807(JP,A)
【文献】特開2000-306982(JP,A)
【文献】特開2007-013165(JP,A)
【文献】特開2021-022653(JP,A)
【文献】特開2006-049598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハプロセス装置において、ウエハ(50)を取り扱うためのウエハチャック(1)であって、
前記ウエハ(50)のための固定装置を備え、
該固定装置が、前記ウエハ(50)を受け入れるための自由空間(12)と、前記ウエハ(50)のための複数のウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)を有するホルダ(10,100)とを備え、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、前記ホルダ(10,100)に対して移動可能であり、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、前記ウエハ(50)のための前記自由空間(12)の周りに環状に配置され、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、前記ウエハ(50)のための前記自由空間(12)の方向に移動可能、または前記ウエハ(50)のための前記自由空間(12)から離れる方向に移動可能であり、
複数の前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)がそれぞれピボット軸を有し、
該ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、それぞれの前記ピボット軸を中心に回転することができ、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)の前記ピボット軸が、互いに平行に配置され、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)用の一つの駆動装置(20)が設けられ、該駆動装置が作動されると、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、
同時にそれらの前記ピボット軸を中心に回転され、または回転され得るように構成されているウエハチャック(1)。
【請求項2】
前記駆動装置(20)が作動されると、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、前記ウエハ(50)の縁に接触されることができ、または接触され、または、個々の前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)の前記ウエハ(50)との接触が解除され、または、解除され得る請求項
1に記載のウエハチャック(1)。
【請求項3】
前記固定装置が、前記ウエハ(50)を受け入れるための前記自由空間(12)として形成された円板状の受入孔(12)を有する保持リングをホルダ(10,100)として備え、
前記保持リングが導電性材料から製造されている請求項
1に記載のウエハチャック(1)。
【請求項4】
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、前記保持リング上に環状に配置され、
前記保持リングが、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)を受け入れるための凹部(14)を備えて構成されている請求項
3に記載のウエハチャック(1)。
【請求項5】
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための前記駆動装置(20)が、それぞれ1つの前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための制御曲線(22,24)を有し、
該制御曲線(22,24)が、それぞれ前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)に動作可能に接続されている請求項
1に記載のウエハチャック(1)。
【請求項6】
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための前記駆動装置(20)が、制御リング(20)として構成され、
該制御リング(20)が、一のまたは前記ホルダ(10,100)に対して移動可能であり、かつ/または、前記制御リング(20)が、導電性材料から製造されている請求項
5に記載のウエハチャック(1)。
【請求項7】
少なくとも2つの異なるタイプのウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)を有する請求項
1に記載のウエハチャック(1)。
【請求項8】
少なくとも2つの異なるタイプのウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)を有し、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための前記制御リングが、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)の各タイプに対して1つの制御曲線(22,24)を有し、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)の各タイプのための前記制御曲線(22,24)が互いに異なる請求項
6に記載のウエハチャック(1)。
【請求項9】
前記制御リング(20)の第1の回転方向への回転移動に伴い、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための前記制御曲線は、第1のタイプの前記ウエハ接触フィンガ(16)のための第1のタイプの制御曲線(22)によって、前記第1のタイプのウエハ接触フィンガ(16)が前記ウエハ(50)の方向に回転し、同時に、第2のタイプの前記ウエハ接触フィンガ(18)のための第2のタイプの制御曲線(24)によって、前記第2のタイプの前記ウエハ接触フィンガ(18)が、前記ウエハ(50)から離れる方向に回転するように構成され、
前記制御リングが前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に移動されると、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための前記制御曲線(22,24)は、前記第1のタイプの前記ウエハ接触フィンガ(16)のための前記第1のタイプの前記制御曲線(22)によって、前記第1のタイプの前記ウエハ接触フィンガ(16)が前記ウエハ(50)から離れる方向に回転し、前記第2のタイプの前記ウエハ接触フィンガ(18)のための前記第2のタイプの前記制御曲線(24)によって、前記第2のタイプの前記ウエハ接触フィンガ(18)が前記ウエハ(50)の方向に回転するように構成されている請求項
8に記載のウエハチャック(1)。
【請求項10】
前記固定装置が、前記ウエハ(50)を受け入れるための多角形または多角形状の、閉じた、自由空間(112,113)を有する保持フレーム(100)として構成され、
多角形または多角形状の前記自由空間(112,113)を有する前記保持フレーム(100)が、導電性材料から製造されている請求項
1に記載のウエハチャック(1)。
【請求項11】
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、前記保持フレーム(100)の多角形または多角形状の前記自由空間(112,113)に隣接して配置されている請求項
10に記載のウエハチャック(1)。
【請求項12】
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための前記駆動装置が、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための、単一の制御体(130,134)、または、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための、複数の制御体(130,134)を有し、
前記制御体(130,134)または複数の前記制御体(130,134)が、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)に動作可能に接続され、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための前記制御体(130,134)または複数の前記制御体(130,134)が、導電性材料から製造されている請求項
1に記載のウエハチャック(1)。
【請求項13】
前記固定装置が、前記ウエハ(50)を受け入れるための多角形または多角形状の、閉じた、自由空間(112,113)を有する保持フレーム(100)として構成され、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための前記制御体(130,134)または複数の前記制御体(130,134)が、前記保持フレーム(100)の多角形または多角形状の前記自由空間(112,113)の側面に沿って移動可能に案内されている請求項
12に記載のウエハチャック(1)。
【請求項14】
前記制御体(130,134)または複数の前記制御体(130,134)のための駆動装置(140)が設けられている請求項
12に記載のウエハチャック(1)。
【請求項15】
前記固定装置が、前記ウエハ(50)を受け入れるための多角形または多角形状の、閉じた、自由空間(112,113)を有する保持フレーム(100)として構成され、
前記制御体(130,134)が移動されるとき、または複数の前記制御体(130,134)が移動方向に移動されるとき、少なくとも1つ以上の第1のウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が回転方向に移動させられ、同時に少なくとも1つのさらなるウエハ接触フィンガ(118)が前記第1のウエハ接触フィンガまたは複数のフィンガ(16,18;116,118,126)の回転方向と反対方向に移動され、または移動され得る請求項
12に記載のウエハチャック(1)。
【請求項16】
少なくとも2つの異なるタイプのウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)を有する請求項
10に記載のウエハチャック(1)。
【請求項17】
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための前記駆動装置が、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための制御体(130,134)、または、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)のための複数の制御体(130,134)を有し、
前記制御体または複数の前記制御体(130,134)が、第1の方向に移動させられると、第1のタイプの1つ以上の前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が前記ウエハ(50)の方向に回転されまたは回転され得ることができ、同時に第2のタイプの1以上の前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が前記ウエハ(50)から離れる方向に回転されまたは回転され得る請求項
16に記載のウエハチャック(1)。
【請求項18】
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、それぞれ、前記ウエハ(50)の縁に面する自由端を有し、
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)の前記自由端は、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、前記ウエハ(50)の前記縁に圧力嵌めによって、または、前記ウエハ(50)の前記縁との形状合わせによって前記ウエハ(50)を保持するように構成されている請求項
1に記載のウエハチャック(1)。
【請求項19】
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)の前記自由端に、前記ウエハ(50)の前記
縁を受け入れるための溝が設けられ、または前記ウエハ(50)の前記
縁を受け入れるための面取りが設けられている請求項
18に記載のウエハチャック(1)。
【請求項20】
ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)がそれぞれ少なくとも部分的に弾性を有するように構成され、かつ/または、前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)がそれぞれ少なくとも部分的に弾性材料からなる請求項
1に記載のウエハチャック(1)。
【請求項21】
前記ウエハ接触フィンガ(16,18;116,118,126)が、少なくとも部分的に静電気放電(ESD)材料からなる請求項
1に記載のウエハチャック(1)。
【請求項22】
ウエハプロセス装置における請求項
1に記載のウエハチャック(1)の使用。
【請求項23】
請求項
1に記載のウエハチャック(1)を備えるウエハプロセス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハを取り扱うためのウエハチャックに関するものであり、特にウエハプロセス装置、さらに好ましくは走査型音響顕微鏡におけるウエハチャックに関する。
【0002】
また、本発明は、ウエハチャックの使用、およびウエハプロセス装置、好ましくは走査型音響顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0003】
走査型音響顕微鏡において使用する板状の、例えばシリコンなどで作られたウエハのような、物体を保持するために、ウエハチャックと呼ばれるものが使用されることが知られているが、これによりウエハは対応する位置に位置決めされ固定される。ウエハは、このための、走査面に対して調整可能な適切なホルダ上に置かれる。その際、ウエハはその基板側において接触することが条件となる。ウエハの基板全面に触れることができない場合は、ウエハの外周部のみ、なおかつウエハ表面に触れて保持する、いわゆる真空吸着装置などが採用される。
【0004】
走査型音響顕微鏡によるウエハの検査に使用する超音波プローブの被写界深度は、通常約100μmの範囲にある。そのため、ウエハはプローブの被写界深度内の走査面に対して位置決めされている必要がある。また、超音波画像処理の際に、振動や画素サイズの大きさにおける他のタイプの機械的なオフセットを避ける必要があり、これによって、走査型音響顕微鏡による検査におけるアーチファクトを回避することができる。そのためには、検査を行う間ずっと、ウエハを振動させることなく、安定的に保持する必要がある。横方向の安定性の要件としては、10μm以下の偏差しか許容されない。音波の伝搬方向においては、100μm以下の傾きが求められる。走査によるアーチファクトを避けるために、振動は振幅10μm以下に抑えることが要求される。
【0005】
先行技術においては、ウエハを安定した基台に固定するソフト吸引装置も採用されている。ここで基台の位置は、ウエハを整列させるためにZ方向に調整することができる。動作中においては、汚染や粒子測定の際に検出される粒子がソフト吸引装置によってウエハ上に発生する。半導体製造の多くの製造工程においては、活性表面の清浄度に対して非常に高い要求がある。しかし、吸盤で発生した粒子は、「ツールフィンガープリント」と呼ばれる明確な痕跡を残してしまう。多くの製造工程おいては、このフィンガープリントやそれぞれの痕跡を防ぐ必要がある。
【0006】
複雑な構造を確認する際、超音波を透過させる走査型音響顕微鏡を用いてウエハを検査することも行われる。この場合、ウエハは送信用プローブと受信用プローブの間に配置され、プローブは例えばウエハの上方またはその下方に位置するように配置される。ここでは、ウエハの超音波検査は、ウエハおよび支持体のための保持吸引装置によって中断される。さらに、この場合、ウエハには検査できない領域が存在する。
【0007】
走査型音響顕微鏡によるウエハの超音波画像化には、カップリング媒体として水が必要である。ウエハの走査プロセスにおいて、水は流動し、ウエハに振動やその他の動きを誘発することができる。ウエハは通常3点にのみ配置されるため、その弾性特性の結果として、単純な振動モードの誘発による低周波振動を形成することができ、この振動は、その大きな振幅により、超音波イメージング中に明確に検出可能な干渉やアーチファクトを発生させることがある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、ウエハ処理装置、例えば走査型音響顕微鏡において、簡単な方法でウエハを再現性よく固定することを可能にすることである。
【0009】
その目的は、特にウエハプロセス装置において、さらに好ましくは走査型音響顕微鏡において、ウエハを取り扱うためのウエハチャックであって、ウエハのための固定装置を備え、固定装置が、ウエハを受け入れるための自由空間と、ウエハのための複数のウエハ接触フィンガを有するホルダとを備え、ウエハ接触フィンガがホルタに対して移動可能であり、ウエハ接触フィンガがウエハのための自由空間の周りに環状に、好ましくは一平面内に配置され、ウエハ接触フィンガが、ウエハのための自由空間の方向に移動可能、またはウエハのための自由空間から離れる方向に移動可能であり、複数のウエハ接触フィンガがそれぞれピボット軸を有し、ウエハ接触フィンガが、それぞれのピボット軸を中心に回転することができ、ウエハ接触フィンガのピボット軸が、互いに平行に配置され、好ましく専ら、ウエハ接触フィンガ用の一つの駆動装置が設けられ、その駆動装置が作動されると、ウエハ接触フィンガが、同時にそれらのピボット軸を中心に回転され、または回転され得るように構成されているウエハチャックによって実現される。
【0010】
本発明は、ウエハプロセス装置、例えば走査型音響顕微鏡のウエハチャックの場合、ウエハは固定装置の自由空間に受け入れられ、ウエハの自由空間の周りに配置され、ウエハの縁または縁領域に接触させられる複数のウエハ接触フィンガを用いてここで保持および固定されるという考えに基づいている。このため、移動可能なウエハ接触フィンガは、自由空間の周りに環状に、好ましくは一平面内に配置され、自由空間に配置されたウエハの方向に移動してウエハを固定する。ウエハが取り除かれた場合、ウエハ接触フィンガと対応するウエハの縁またはその縁領域との接触が解除され、その際、ウエハ接触フィンガは自由空間からまたは個々のウエハから遠ざけられる。ウエハ接触フィンガを可逆的に同時に動かすために、複数のウエハの接触フィンガを同期して同時に動かすことができる駆動装置が提供される。
【0011】
自由空間に配置されたウエハは、ウエハチャックを用いて、それぞれ同期して移動可能または移動するウエハ接触フィンガを用いて保持されるので、例えば、走査型音響顕微鏡の場合、ウエハの上面および下面に障害となる構造が存在しなくなるので、ウエハを完全に検査またはそれぞれ超音波検査することが可能である。ここで、個々のウエハ接触フィンガは、ウエハを形状合わせ式または圧力嵌め式によって保持し、ウエハ接触フィンガは、保持位置においてウエハの周辺の縁に接触させられる。ここで、縁におけるウエハの安定化が達成され、それによって、例えば、走査型音響顕微鏡による検査中のウエハの破壊的な振動及び動きが抑制される。その結果、走査型音響顕微鏡の超音波画像には、画像の乱れやアーチファクトが生じないようにすることができる。
【0012】
本発明の文脈において、本発明によるウエハチャックが、さらなるウエハプロセス装置において採用され、またはそれぞれ使用されることが可能である。例えば、欠陥分析装置、コーティング装置、リソグラフィ装置、ウエハ検査装置、ウエハ製造装置、およびウエハ処理装置などの、適切な用途のためのウエハプロセス装置において、ウエハを固定するために用いられることが可能である。なお、以下では、ウエハの固定を走査型音響顕微鏡を例にとって説明するが、本実施の形態は、さらなるウエハプロセス装置にも適宜適用されるものである。
【0013】
さらに、本発明は、固定プロセスにおけるウエハ接触フィンガの規定された同期した移動により、ウエハ接触フィンガがウエハの縁または縁領域に接触させられるので、ウエハチャックを用いることにより再現性のある結果が得られる点で特徴的である。その際、ウエハ接触フィンガは、駆動装置によって、ウエハの縁領域または縁の方向へ同時に、つまり同期して移動される。
【0014】
また、ウエハ接触フィンガがウエハの端に接触するため、ウエハの位置決めの高い再現性を実現することができる。
【0015】
このために、ウエハチャックの有利な実施形態においては、ホルダの複数のウエハ接触フィンガがそれぞれピボット軸を有し、ウエハ接触フィンガが、それぞれのピボット軸を中心に回転することができ、ウエハ接触フィンガのピボット軸が、互いに平行に配置され、ウエハ接触フィンガための、好ましくは単一の、駆動装置が作動されるときに、ウエハ接触フィンガが、同時にそれらのピボット軸を中心に回転され、または回転され得るように構成される装置が設けられている。
【0016】
別の実施形態においては、複数のウエハ接触フィンガは、直線的にかつ可逆的に移動することができ、直線的に案内され同時に移動するウエハ接触フィンガは、駆動装置が作動したときに、ウエハの縁領域と接触させることができ、またはウエハから離れる方向に移動することができる。
【0017】
特に、ウエハのための自由空間の周りに環状に、特に一定の距離において、および/または一平面内に配置される3つ以上のウエハ接触フィンガが、ホルダ上に配置される。駆動装置によって、ウエハ接触フィンガは、ウエハとの接触が解除されたときに、ウエハの方向に、具体的には回転して移動させられ、または、ウエハから、具体的には回転して遠ざかるように、移動させられる。好ましくは、駆動装置は、駆動手段によって作動され、またはそれぞれ移動される。
【0018】
別の実施形態においては、駆動装置が作動されると、ウエハ接触フィンガがウエハの縁に接触されることができ、または接触され、または、個々のウエハ接触フィンガのウエハとの接触が解除され、または、解除され得る。ウエハは、ここでは、固定装置の自由空間内に、好ましくはウエハ接触フィンガの平面内に位置決めされる。
【0019】
さらに、ウエハチャックの一実施形態においては、固定装置が、ウエハを受け入れるための自由空間として形成された円板状の受入孔を有する保持リングをホルダとして備え、特に保持リングが導電性材料、特に金属、さらに好ましくは鋼またはステンレス鋼から製造されている。その結果、ウエハ接触フィンガが配置された保持リングによって、ホルダの単一部品としての実施形態が実現される。この場合、保持リングの円板状または円形の受入孔は、ウエハのための自由空間を形成し、その中に、例えば、走査型顕微鏡検査またはさらなるウエハプロセス装置への適用のために、ウエハが配置される。
【0020】
このために、また、ウエハチャックの一実施形態によれば、ウエハ接触フィンガが保持リング上に環状に配置され、特に、保持リングが、ウエハ接触フィンガを受け入れるための凹部を備えている。ウエハ接触フィンガは、好ましくは、保持リングの受入孔の周りに一定の間隔に配置される。
【0021】
特に、別の態様によれば、ウエハ接触フィンガのための駆動装置が、それぞれ1つのウエハ接触フィンガのための制御曲線を備え、制御曲線が、それぞれウエハ接触フィンガに動作可能に接続されている。制御曲線によって、動作可能に接続されたウエハ接触フィンガを、ウエハの方向に、またはそれぞれウエハから離れる方向に動かすことが可能である。回転可能であるため、ウエハ接触フィンガは可逆的に移動可能である。制御曲線により、ウエハ接触フィンガは、駆動装置により同期して案内されながら移動する。これにより、検査するウエハを正確に調整することが可能となる。
【0022】
特に、ウエハ接触フィンガのための駆動装置が、制御リングとして構成され、特に制御リングが、一のまたはホルダに対して、特に、一のまたはウエハ接触フィンガのための保持リングに対して移動可能であり、かつ/または、特に、制御リングが、導電性材料、特に金属、さらに好ましくは、鋼またはステンレス鋼から製造されている。
【0023】
一実施形態においては、制御リングは、好ましくは、保持リングに対して同軸に回転させることができ、制御リングは、さらに、保持リングに対して同軸に案内されることもできる。制御リングは、それぞれのウエハ接触フィンガのための対応する制御曲線によって構成されているため、ウエハ接触フィンガが、制御リングの制御曲線によって指定された位置に案内される可能性がある。
【0024】
ウエハチャックの有利な実施形態は、ウエハチャックが少なくとも2つの異なるタイプのウエハ接触フィンガを有することから生じる。その結果、例えば、第1のタイプのウエハ接触フィンガによって、ウエハが自由空間またはそれぞれ任意にウエハのための受入孔に形状合わせ式により保持され、または第2のタイプのウエハ接触フィンガによってウエハが圧力嵌め式により保持されることができる。ウエハを圧力嵌め式により固定する場合、ウエハ接触フィンガの自由端の側面は垂直に構成され、ウエハは静止摩擦によってその位置に保持される。ウエハの形状合わせ式の固定の場合、ウエハに接触するウエハ接触フィンガの自由端には、例えば、(保持)溝や面取りが施されている。この場合、ウエハは、例えば、摺動摩擦によって保持溝内に案内され、固定される。特に、ウエハの形状合わせ式による保持のためのウエハ接触フィンガは、ウエハの縁と形状合わせを形成するために、形状および/または機能が相補的である端部により構成されている。
【0025】
ウエハチャックの別の実施形態においては、少なくとも2つの異なるタイプのウエハ接触フィンガを有し、ウエハ接触フィンガのための制御リングが、ウエハ接触フィンガの各タイプに対して1つの制御曲線を有し、ウエハ接触フィンガの各タイプのための制御曲線が互いに異なっている。その結果、それぞれの制御曲線により、各タイプのウエハ接触フィンガを同時に移動させることが可能となる。
【0026】
さらに、本発明のウエハチャックの実施態様においては、制御リングの第1の回転方向への回転移動に伴い、ウエハ接触フィンガのための制御曲線は、第1のタイプのウエハ接触フィンガのための第1のタイプの制御曲線によって、第1のタイプのウエハ接触フィンガがウエハの方向に回転し、同時に、第2のタイプのウエハ接触フィンガのための第2のタイプの制御曲線によって、第2のタイプのウエハ接触フィンガが、ウエハから離れる方向に回転するように構成され、制御リングが第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に移動されると、ウエハ接触フィンガのための制御曲線は、第1のタイプのウエハ接触フィンガのための第1のタイプの制御曲線によって、第1のタイプのウエハ接触フィンガがウエハから離れる方向に回転し、同時に、第2のタイプのウエハ接触フィンガのための第2のタイプの制御曲線によって、第2のタイプのウエハ接触フィンガがウエハの方向に回転するように構成されていることを特徴とする。これにより、第1のタイプのウエハ接触フィンガと第2のタイプのウエハ接触フィンガを交互にウエハに接触させることができる。ここで、第1のタイプのウエハ接触フィンガは、ウエハを圧力嵌め式により固定し、第2のタイプのウエハ接触フィンガは、ウエハを形状合わせ式により固定することができる。
【0027】
本発明の文脈において、ウエハチャックが複数の異なるタイプのウエハ接触フィンガを有することが可能である。この場合、ウエハ接触フィンガは、ウエハの縁との圧力嵌めによって、またはウエハの縁との形状合わせによって、ウエハが保持されるように構成される。さらに、別の実施形態においては、ウエハ接触フィンガは、ウエハのための支持面を有するように構成することができる。例えば、本発明によるウエハチャックは、ウエハとの(保持)形状合わせを形成するための少なくともまたは専ら3つのウエハ接触フィンガを有し、さらにウエハとの(保持)圧力嵌めを形成するための複数の、少なくとも3つの、ウエハ接触フィンガを有している。さらに、ウエハチャックには、圧力嵌め式または形状合わせ式のウエハ接触フィンガに加え、またはその代わりに、支持面を有するウエハ接触フィンガを有することができる。これにより、ウエハはウエハのための自由空間において再現性よく固定される。
【0028】
例えば、支持面を有するウエハ接触フィンガは、半自動装填・取出しシステムの使用中、ウエハが圧力嵌めまたは形状合わせによってウエハ接触フィンガにより固定される前に、ウエハを支持面上に配置する役割を担う。固定後、支持面を持つウエハ接触フィンガのそれぞれのウエハへの接触は、例えば、回転‐離間移動によって解除される。
【0029】
ウエハチャックの有利な実施形態の別の態様において、固定装置が、ウエハを受け入れるための多角形または多角形状の、特に閉じた、自由空間、特に受入孔を有する保持フレームとして構成され、特に多角形または多角形状の自由空間、特に受入孔を有する保持フレームが、導電性材料、特に金属、さらに好ましくは、鋼またはステンレス鋼から製造されている。例えば、自由空間は、ウエハに対して平面内に矩形または正方形の形状を有する。回転可能なウエハ接触フィンガは、自由空間に配置されたウエハを保持するために、多角形または多角形状の自由空間の周辺領域に配置される。好ましくは、ウエハのための自由空間は、ウエハの設計と相補的な形状になるように構成される。この目的のために、固定されるウエハは、例えば、多角形、特に矩形または正方形の形状を有していてもよい。好ましくは、ウエハのための自由空間は、受入孔として、またはウエハのための支持面を有するように構成され、ウエハのための自由空間の周りにウエハ接触フィンガが配置される。
【0030】
ウエハを保持するために、ウエハチャックの別の態様においては、ウエハ接触フィンガが保持フレームの多角形または多角形状の自由空間に隣接して配置されている。
【0031】
有利には、ウエハチャックの一実施形態は、ウエハ接触フィンガのための駆動装置が、ウエハ接触フィンガのための、特に単一の、制御体、特に制御ケーブルおよび/または制御棒、または複数の制御体、好ましくは一緒に動作する、特に制御ケーブルおよび/または制御棒を有し、特に制御体または複数の制御体が、ウエハ接触フィンガに動作可能に接続、特に接続され、特に、ウエハ接触フィンガのための制御体または複数の制御体が、導電性材料、特に金属、さらに好ましくは鋼またはステンレス鋼から製造されている。動作可能な制御体または複数の制御体によって、多角形または多角形状の自由空間またはそれぞれウエハのための受入孔の外周に沿って配置されたウエハ接触フィンガを同時に、すなわち同期して動かすことが可能である。ここで、好ましくは、複数の多角形の側面の複数のウエハ接触フィンガが、同期して回転させられるか、回転させることができるように設けられている。制御体または複数の制御体は、この場合、可撓性または剛性であるように構成することができる。
【0032】
制御体の一実施形態において、制御体は、複数または全てのウエハ接触フィンガのための、特に可撓性の、制御ケーブルとして構成され、制御ケーブルは、例えば、リダイレクションローラ、再方向ガイドなどを用いて、自由空間、特に受入孔の端部領域において保持フレーム上に配置され、回転させられるウエハ接触フィンガに接続されている。異なる実施形態において、制御体が多角形の自由空間またはそれぞれ受入孔の両側に1つの、好ましくは剛性の制御棒を有する場合、例えば、本発明の文脈においては、動作可能な制御棒が、再配向装置を用いて互いに接続されている。さらに、本発明の文脈において、ウエハ接触フィンガのための制御体は、少なくとも1つの制御ケーブルおよび/または少なくとも1つの制御棒を有する。
【0033】
また、ウエハチャックの一実施形態において、固定装置が、ウエハを受け入れるための多角形または多角形状の、特に閉じた、自由空間、特に受入孔を有する保持フレームとして構成され、ウエハ接触フィンガのための制御体または複数の制御体が、保持フレームの多角形または多角形状の自由空間、特に受入孔の側面に沿って移動可能に案内される。
【0034】
また、ウエハ接触フィンガに接続された制御体または複数の制御体を移動させるために、ウエハチャックの場合、制御体または複数の制御体のための駆動装置が設けられている。
【0035】
さらに、ウエハチャックの一実施形態においては、固定装置が、ウエハを受け入れるための多角形または多角形状の、特に閉じた、自由空間、特に受入孔を有する保持フレームとして構成され、制御体が移動されるとき、または複数の制御体が移動方向、好ましくは保持フレームの多角形または多角形状の自由空間、特に受入孔に沿って移動されるとき、少なくとも1以上の第1のウエハ接触フィンガが回動方向に移動させられ、同時に少なくとも1以上のさらなるウエハ接触フィンガが第1のウエハ接触フィンガまたは複数のフィンガの回動方向と反対に移動され、または移動され得る。
【0036】
別の態様によれば、ウエハチャックは、好ましくは、保持フレームの多角形または多角形状の自由空間、特に受入孔の縁に配置される少なくとも2つの異なるタイプのウエハ接触フィンガを有する。
【0037】
また、ウエハチャックの一実施形態においては、ウエハ接触フィンガのための駆動装置が、ウエハ接触フィンガのための制御体、または、前記ウエハ接触フィンガのための複数の制御体を有し、制御体または複数の制御体が、第1の方向に移動させられると、第1のタイプの1つ以上のウエハ接触フィンガがウエハの方向に回転されまたは回転され得ることができ、同時に第2のタイプの1以上のウエハ接触フィンガがウエハから離れる方向に回転されまたは回転され得る。
【0038】
ウエハチャックの好ましい実施形態においては、ウエハ接触フィンガが、それぞれ、ウエハの縁に面する自由端を有し、ウエハ接触フィンガの自由端は、ウエハ接触フィンガが、ウエハの縁との圧力嵌めによって、またはウエハの縁との形状合わせによってウエハを保持するように構成されている。
【0039】
ウエハチャックによる ウエハの形状合わせ固定のために、ウエハ接触フィンガの自由端に、ウエハの縁領域を受け入れるための溝が設けられ、またはウエハの縁領域を受け入れるための面取りが設けられている。
【0040】
さらに、一実施形態においては、ウエハ接触フィンガが、それぞれ少なくとも部分的に弾性を有するように構成され、かつ/またはウエハ接触フィンガがそれぞれ少なくとも部分的に弾性材料からなることが好ましい。それにより、ウエハ接触フィンガの弾性と軌道を適応させるために、ウエハ接触フィンガごとに所定の、好ましくは最大の保持力を設定できるように、ウエハ接触フィンガを設計することが可能であり、例えば、ウエハ接触フィンガの軌道曲線または制御曲線とウエハ接触フィンガの弾性によって、ウエハの縁上の力を定義できる。また、その弾性により、バネ性の要素として構成されることも可能である。さらに、本発明の文脈において、ウエハ接触フィンガは、減衰材料から製造されるか、または、例えば、ウエハ接触面に対して減衰材料により構成されることが可能である。一実施形態においては、ウエハ接触フィンガは、バネまたはバネ要素等によって動かされる。
【0041】
好ましくは、ウエハ接触フィンガが、少なくとも部分的に静電気放電(ESD)材料からなる。
【0042】
さらに、この目的は、ウエハプロセス装置、好ましくは走査型音響顕微鏡におけるウエハチャックの使用によって達成され、ウエハチャックは、前述の実施形態に従って構成される。これに関しては、繰り返しを避けるために、上記の説明を明示的に参照する。
【0043】
さらに、この目的は、上述したように、本発明によるウエハチャックを用いて構成されたウエハプロセス装置、好ましくは走査型音響顕微鏡によって達成される。この点に関して繰り返しを避けるために、上記の説明を明示的に参照する。
【0044】
本発明の更なる特徴は、特許請求の範囲および添付の図面と共に、本発明による実施形態の説明から明らかになるであろう。本発明による実施形態は、個々の特徴または複数の特徴の組合せを満たすことができる。
【0045】
本発明の文脈においては、「特に」または「好ましくは」と表示されている特徴は、任意の特徴であると理解される。
【0046】
本発明は、図面を参照して例示的な実施形態に基づいて、本発明の概略概念を制限することなく、以下に説明され、それによって、本文においてより詳細に説明されていない本発明によるすべての詳細の開示に関して、図面を明示的に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明に係る走査型音響顕微鏡用ウエハチャックのベースプレートを概略的に示す透視図である。
【
図2】本発明に係るウエハチャックを概略的に示す透視図である。
【
図3】
図2のウエハチャックを概略的に示す平面図である。
【
図4】他の実施形態に係るウエハチャックを概略的に示す平面図である。
【
図5】他の実施形態に係るウエハチャックを概略的に示す平面図である。
【0048】
図面において、同一または類似の要素および/または部品は、それぞれの場合において、再びそれらが示されないように、同一の参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1には、走査型音響顕微鏡用ウエハチャック1の一部であるベースプレート10の外観が概略的に示されている。
図2および
図3には、ウエハチャック1の透視図および平面図が示されている。
【0050】
ベースプレート10は、中央に受入孔12を有し、その受入孔12の中央に配置されるウエハを受入れる。円形の受入孔12の周囲には、ベースプレート10にポケット14が隣接して形成されており、そのポケットには、受入孔12の周方向に交互にウエハ接触フィンガ16,18が配置されている。ウエハ接触フィンガ16,18は、対応するピボット軸26またはそれぞれ28を有し、このピボット軸を中心にウエハ接触フィンガ16,18が回転可能に取付けられる。ピボット軸26,28は、ここではベースプレート10の平坦面に対して垂直に配置されている。
【0051】
制御リング20は、受入ポケット14またはそれぞれそこに配置されたウエハ接触フィンガ16,18の上方に配置されている(
図2,3参照)。制御リング20は、ここでは、ウエハ接触フィンガ16,18のための駆動装置として構成されている。
図3に示すように、制御リング20は、その下に配置された受入ポケット14とその中に配置されたウエハ接触フィンガ16,18が見えるように、透視的に図示している。
図1からわかるように、ウエハ接触フィンガ16,18がそれぞれ、上面に突起19を有する(
図1参照)。
【0052】
制御リング20は、ウエハ接触フィンガ16,18の突起19が係合する制御曲線22,24を有し、これにより、制御リング20はウエハ接触フィンガ16,18に動作可能に接続される。ベースプレート10に対して制御リング20を捻ると、制御曲線22,24によりウエハ接触フィンガ16,18を回転させることができる。
図2に示すように、ウエハ接触フィンガ18の自由端はポケット14から回転して出ており、一方で、ウエハ接触フィンガ16はそれぞれのポケット14内に配置されている。制御リング20の回転方向に応じて、ウエハ接触フィンガ16またはウエハ接触フィンガ18は、受入孔12に配置されたウエハに交互に接触させられる。
【0053】
図1から
図3に示す例示的な実施形態において、ウエハ接触フィンガ16は、ウエハを圧力嵌め式に固定するように構成されており、ウエハ接触フィンガ16は、ここでは特に、ウエハ接触フィンガ16の自由端がウエハの外縁上に位置するように弾性を有するように構成されている。ウエハ接触フィンガ18は、ウエハ接触フィンガ16とは異なり、ウエハ接触フィンガ18は、ここでは特に、形状合わせ式により受入れるように構成されている。例えば、ウエハ接触フィンガ18は、この場合、ウエハの縁領域がウエハ接触フィンガ18の溝または凹部に接触させられるように、対応する溝または凹部などを有する。
【0054】
ウエハチャック1は、例えば、サンプルホルダの一部であり、走査型音響顕微鏡による検査のために、走査型顕微鏡の走査面に対して平行に調整することができる。例えば、サンプルホルダは、このために対応する調整手段を備えている。
【0055】
図4は、他の実施形態に係るウエハチャック1を示す平面図である。ここで、ウエハチャック1は、矩形状のベース本体100を有している。ベース本体100は、フレーム状のホルダとして構成され、内部にウエハ50の自由空間として、破線により示す矩形のウエハ50の受入孔112を有している。この受入孔112は、矩形、すなわち多角形であるため、ウエハ50の矩形状と相補的な形状となるように構成されている。なお、本発明の文脈においては、受入孔112とウエハ50とが異なる多角形構造を有していてもよい。
【0056】
矩形の受入孔112の各辺に沿って、ベース本体100には、ウエハ50のための回転可能なウエハ接触フィンガ116,117,118が配置されている。ウエハ接触フィンガ116は、ここでは、直線状の細長い物体として構成されている。また、ウエハ接触フィンガ117は、屈曲体または弓形体として構成されている。ウエハ接触フィンガ117に対向して配置されたウエハ接触フィンガ118は、支持フィンガとして構成され、ウエハ接触フィンガ118は、ウエハ50のための対応する支持面128を有する。
【0057】
ウエハ接触フィンガ116,117,118は、回転可能に取り付けられ、それぞれピボット軸119を有している。ウエハ接触フィンガ116,117,118をそれらのピボット軸119を中心に同期して回転させるために、ウエハ接触フィンガ116,117,118は、閉じた引張(制御)ケーブル130に接続されている。
【0058】
引張ケーブル130は、ここでは矩形の受入孔112の側面に沿って案内され、矩形の受入孔112の角部には、リダイレクションローラ132が配置され、ここでは引張ケーブル130はリダイレクションローラ132の周りに約270°の移行角で案内される。リダイレクションローラ132の1つには駆動装置140が設けられ、他のリダイレクションローラ132はこれと一緒に回転するローラとして構成されている。ここでの引張ケーブル130は、駆動装置140によって駆動されるリダイレクションローラ132によって引張ケーブル130が移動すると、ウエハ接触フィンガ116,117,118が同時に回転するように、各ウエハ接触フィンガ116,117,118に接続されている。
【0059】
支持面128を有するウエハ接触フィンガ118は、ウエハ接触フィンガ118のピボット運動またはそれぞれのピボット方向がウエハ接触フィンガ116,117のピボット方向と反対になるように、他のウエハ接触フィンガ116,117と反対方向に取り付けられている。
【0060】
ウエハ50が受入孔112に配置されると、ウエハ接触フィンガ116,117は離れる方向に回転され、支持面128を有するウエハ接触フィンガ118は、ウエハ50がウエハ接触フィンガ118の支持面128に接触されるように、またはそれぞれその上に横たわるように回転させられる。本発明の文脈においては、ウエハ50のためのそれぞれの支持面128を有する複数のウエハ接触フィンガ118も、受入孔112上に配置することができる。その後、ウエハ接触フィンガ116,117はウエハ50の方向に回転させられ、ウエハ接触フィンガ118はウエハ50から離れる方向に回転させられる。
【0061】
図5は、矩形のベース本体100を備えたウエハチャック1の他の例示的な実施形態を示し、ベース本体100は、ウエハ50のための自由空間として支持面113を有し、その上にウエハ50が配置される。矩形の支持面113に沿って、ピボット可能なウエハ接触フィンガ116,126が配置されている。ウエハ接触フィンガ116,126は、それぞれ対応するピボット軸119を中心に回転可能に取り付けられている。
【0062】
ウエハ接触フィンガ116が同期して回転するピボット運動を実行するために、ウエハ接触フィンガ116は、リダイレクションローラ132の周りに案内される引張ケーブル130に接続される。さらに、引張ケーブル130は、支持面113の(長手方向の)側面に配置されているウエハ接触フィンガ126用の、特に剛性のあるガイドロッド134に接続されており、ガイドロッド134は、それに接続されたウエハ接触フィンガ126用の対応する制御曲線135を有している。ここでのガイドロッド134は、剛性であるように構成され、引張ケーブル130に接続されているため、引張ケーブル130が移動すると、ガイドロッド134が直線的に移動し、それによって、ガイドロッド134の制御曲線135によって、引張ケーブル130に直接接続されているウエハ接触フィンガ116と共にウエハ接触フィンガ126が同期した回転移動を実行する。
【0063】
図面のみから推測される特徴、および他の特徴と組み合わせて開示される個々の特徴を含む、示されたすべての特徴は、単独および組み合わせの両方において本発明に必須であるとみなされる。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組み合わせによって実現され得る。
【符号の説明】
【0064】
1 ウエハチャック
10 ベースプレート
12 受入孔
14 ポケット
16 ウエハ接触フィンガ
18 ウエハ接触フィンガ
19 突起
20 制御リング
22 制御曲線
24 制御曲線
26 ピボット軸
29 ピボット軸
50 ウエハ
100 ベース本体
112 受入孔
113 支持面
116,117,118 ウエハ接触フィンガ
119 ピボット軸
126 ウエハ接触フィンガ
128 支持面
130 引張ケーブル
132 リダイレクションローラ
134 ガイドロッド
135 制御曲線
140 駆動装置