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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】端子挿入誘導装置及び製造支援システム
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/20 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
H01R43/20 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022080391
(22)【出願日】2022-05-16
(65)【公開番号】P2023168968
(43)【公開日】2023-11-29
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 利紀
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】前島 孝通
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115427(JP,A)
【文献】特開2003-086035(JP,A)
【文献】特開2005-129405(JP,A)
【文献】米国特許第04727637(US,A)
【文献】特開2017-157425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/20
H01B 13/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングを保持する受け治具が内蔵され、第1ステーションから第2ステーションへ搬送されるパレットと、
前記第1ステーション及び前記第2ステーションにそれぞれ設けられ、前記コネクタハウジングのキャビティへの端子挿入を発光により誘導する発光部と、
前記第1ステーション及び前記第2ステーションにそれぞれ設けられ、前記発光部を、前記受け治具に対して近接させ、かつ、前記受け治具から離間させる駆動部と、
前記発光部及び前記駆動部を制御する制御部と、
を備え
一の前記パレットには、単一の前記コネクタハウジングを保持する単一の前記受け治具が内蔵されており、
前記制御部は、前記第1ステーションに設けられた前記発光部を、単一の前記コネクタハウジングが有する複数の前記キャビティのうち前記コネクタハウジングの一部の領域である第1領域に含まれる複数の前記キャビティへの前記端子挿入を発光により誘導するように制御し、前記第2ステーションに設けられた前記発光部を、単一の前記コネクタハウジングが有する複数の前記キャビティのうち前記コネクタハウジングの他の一部の領域である第2領域に含まれる複数の前記キャビティへの前記端子挿入を発光により誘導するように制御する、
端子挿入誘導装置。
【請求項2】
前記発光部は、複数の光ファイバの各他端部が一表面上に配列され、且つ、各前記光ファイバの一端部に接続されたLED素子の発光光を前記一表面から出射する保持基板を備え、
前記パレットの下面には、前記パレットの開口部に内蔵された前記受け治具の下端面と前記開口部の下側の端縁部とにより、凹部が画成されており、
前記発光部が前記受け治具に対して近接した状態では、前記発光部の前記保持基板が前記パレットの前記凹部に嵌め合わされている、
請求項1に記載の端子挿入誘導装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端子挿入誘導装置と、
前記第1ステーションから前記第2ステーションへ前記パレットを搬送する搬送装置と、
を備える、製造支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子挿入誘導装置及び製造支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスは、様々な種類の多数の電線を束ねて一体的に構成した電線の集合体である。このワイヤハーネスは、車載バッテリーなどの電源と、車両上の様々な電装品との間を接続したり、複数の電装品同士の間を接続するために利用される。また、電線接続箇所の着脱を容易にするために、ワイヤハーネスは多数のコネクタを備えている。
【0003】
各コネクタの本体は、一般的に樹脂などの電気絶縁体で形成されるオス型又はメス型のコネクタハウジングとして構成される。また、各コネクタハウジングは、必要数の端子をそれぞれ収容可能なキャビティと呼ばれる多数の独立した空間を有している。ワイヤハーネスを製造する工程においては、各電線の端部に金属製の端子を圧着などにより固定した後、各電線の端子をその電線と共に、特定のコネクタハウジングにおける特定位置のキャビティに挿入して固定する。
【0004】
このように、各電線の端子をコネクタハウジングのキャビティに取り付ける製造工程は、近年ではある程度は特定の製造装置を用いて自動化できる。しかし、ワイヤハーネスの構造上、一部の電線の端子については挿入作業の自動化が困難であったり、コストなどの観点から手作業による取り付けが行われる場合もある。
【0005】
しかし、端子の挿入作業を手作業で行う場合には、作業ミスが起こり得る。すなわち、コネクタハウジング、キャビティ、および端子(電線)の組合せが、設計仕様とは異なる状態で組み付けられた電線を含むワイヤハーネスが製造されてしまう可能性がある。そこで、コネクタハウジングの端子収容室に誤った端子金具を挿入することを抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1の端子金具の誘導装置は、電線収容棚とコネクタ保持治具と切り換えスイッチとを備えている。電線収容棚は、複数の電線収容筒と電線収容筒に対応したLEDとを備えている。コネクタ保持治具は、照射部を備えかつコネクタハウジングを保持する。照射部は、端子収容室に対応した照明ユニットを備えている。照明ユニットは、端子収容室の開口部を照らす。点灯したLEDに対応した電線収容筒から電線が取り出されLEDが押されると、照明ユニットは、端子金具を挿入すべき端子収容室の開口部を照らす。端子収容室に端子金具が挿入されて切り換えスイッチが押されると、次の電線収容筒に対応するLEDが点灯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-227857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ある種のコネクタにおいては、同一のコネクタに対して、複数の作業者がそれぞれ、作業者ごとに割り当てられた領域内のキャビティに端子挿入を行う場合がある。この場合、複数のステーションのそれぞれに誘導装置及び作業者を配置し、コネクタハウジングがセットされたパレットを、搬送装置によって次の誘導装置に搬送することによって、ステーション毎に作業者がコネクタハウジングへの端子挿入を行うことが考えられる。具体的に、4名の作業者が端子挿入を行う場合を想定する。
【0009】
まず、第1ステーションにおいて、作業者Aが、コネクタハウジングを保持する受け治具に、コネクタハウジングをセットして、誘導装置の誘導に従って、自身が担当するキャビティ内への端子挿入を順次行う。その後、作業者Aは、一部に端子挿入済みのコネクタハウジングを、受け治具から外してパレットにセットする。パレットにセットされた一部端子挿入済みのコネクタハウジングは、次の第2ステーションに、搬送装置によって搬送される。次に、第2ステーションにおいて、作業者Bが、作業者Aによって一部端子挿入済みのコネクタハウジングを、パレットから外して、第2ステーションの受け治具にセットする。そして、作業者Bは、第2ステーションの受け治具にセットされたコネクタハウジングの、自身が担当するキャビティへ端子挿入を行う。その後、作業者Bは、作業者A及び作業者Bによって一部端子挿入済みのコネクタハウジングを、受け治具から外してパレットにセットする。パレットにセットされた一部端子挿入済みのコネクタハウジングは、次の第3ステーションに、搬送装置によって搬送される。第3ステーションにおいて作業者Cによって作業者Bと同様に端子挿入が行われ、続く第4ステーションにおいても、作業者Dによって同様に端子挿入が行われる。
【0010】
このように、各ステーションにおいて誘導装置の誘導により、誤ったキャビティへの端子挿入は抑制されるものの、各作業者B~作業者Dは、コネクタハウジングをパレットから外して各ステーションの受け治具にセットし直す作業を行う必要がある。このため、コネクタハウジングの載せ替えに作業時間を要していた。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のステーションにおいて端子挿入が行われる際の作業時間を短縮できる端子挿入誘導装置及び製造支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る端子挿入誘導装置は、下記を特徴としている。
コネクタハウジングを保持する受け治具が内蔵され、第1ステーションから第2ステーションへ搬送されるパレットと、
前記第1ステーション及び前記第2ステーションにそれぞれ設けられ、前記コネクタハウジングのキャビティへの端子挿入を発光により誘導する発光部と、
前記第1ステーション及び前記第2ステーションにそれぞれ設けられ、前記発光部を、前記受け治具に対して近接させ、かつ、前記受け治具から離間させる駆動部と、
前記発光部及び前記駆動部を制御する制御部と、
を備え
一の前記パレットには、単一の前記コネクタハウジングを保持する単一の前記受け治具が内蔵されており、
前記制御部は、前記第1ステーションに設けられた前記発光部を、単一の前記コネクタハウジングが有する複数の前記キャビティのうち前記コネクタハウジングの一部の領域である第1領域に含まれる複数の前記キャビティへの前記端子挿入を発光により誘導するように制御し、前記第2ステーションに設けられた前記発光部を、単一の前記コネクタハウジングが有する複数の前記キャビティのうち前記コネクタハウジングの他の一部の領域である第2領域に含まれる複数の前記キャビティへの前記端子挿入を発光により誘導するように制御する
【0013】
また、前述した目的を達成するために、本発明に係る製造支援システムは、下記を特徴としている。
上記端子挿入誘導装置と、
前記第1ステーションから前記第2ステーションへ前記パレットを搬送する搬送装置と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のステーションにおいて端子挿入が行われる際の作業時間を短縮できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る製造支援システムの構成例を模式的に示す平面図である。
図2図2は、図1の製造支援システムの構成例を概略的に示す縦断面図である。
図3図3は、コネクタハウジングにおける端子挿入箇所と作業者との関係の一例を示す模式図である。
図4図4は、図1の製造支援システムにおける端子挿入誘導装置の要部構成例を示す概略縦断面図である。
図5図5は、図4の端子挿入誘導装置において、発光部をパレットに接続した状態を示す概略縦断面図である。
図6図6は、変形例に係る製造支援システムの構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0018】
<製造支援システム100の概要>
図1は、本発明の実施形態に係る製造支援システム100の構成例を模式的に示す平面図である。図2は、図1の製造支援システム100の構成例を概略的に示す縦断面図である。図3は、コネクタハウジング5における端子挿入箇所と作業者との関係の一例を示す模式図である。図1及び図2に示した製造支援システム100は、一例として、ワイヤハーネスを構成する中間部品である各種のサブハーネスを製造する際に利用される。
【0019】
サブハーネスは、一般的に1本以上の電線とその端部に配置されたコネクタとを備える。電線は、導電性の芯線の外側を樹脂で構成される電気絶縁性の被覆で覆った被覆電線であり、その端部の芯線と電気的に接続されるように金属製の端子が圧着等の作業により固定される。コネクタの主要部品であるコネクタハウジングには、1つ以上のキャビティが端子を収容するための空間として形成されている。
【0020】
サブハーネスやワイヤハーネスを製造する場合には、予め1本の被覆電線と一体化された端子を、コネクタハウジングの中の特定位置のキャビティに挿入して固定する。このような端子挿入の作業は、自動化設備を用いて自動的に行う場合もあるが、図1及び図2に示した製造支援システム100は、作業者が手作業で端子の挿入を行う場合に作業を支援する機能を有している。
【0021】
本実施形態においては、図3に示すように、コネクタハウジング5の複数のキャビティ51が、複数の作業者に割り当てられている。具体的には、コネクタハウジング5の複数のキャビティ51は、領域51A、51B、51C、及び51Dに分けられ、各領域51A、51B、51C、及び51Dは、作業者A、B、C、及びDがそれぞれ端子挿入を行う複数のキャビティ51を含む。
【0022】
製造支援システム100は、パレット10と、左右方向に並べて配置された複数のステーションST1、ST2、ST3、及びST4と、搬送装置50とを備える。搬送装置50は、ステーションST1、ST2、ST3、及びST4(以下、ステーションSTともいう)間においてパレット10を搬送し、各ステーションSTの所定位置にパレット10を位置決めする。各ステーションST1、ST2、ST3、及びST4には、作業者A、B、C、及びDがそれぞれ配置されている。また、製造支援システム100は、各部の動作を制御する制御部40を備える。
【0023】
<パレット10の構成>
パレット10は、扁平な略直方体形状を有し、図1に示すように、略中央部分に設けられた直方体形状の開口部に、コネクタハウジング5を保持する受け治具11が内蔵されている。パレット10は、受け治具11の下方に、発光部20の一部を収容可能な凹部10aを有する。凹部10aは、平面視直方体形状を有する。
【0024】
受け治具11は、パレット10の開口部の形状に沿う外形を有し、略中央部分に、コネクタハウジング5を収容可能なハウジング収容室を有する。このハウジング収容室は、受け治具11の上面から中ほどまでがくり抜かれた開口部として形成され、コネクタハウジング5の外形形状に対応した形状を有する。受け治具11の底部には、ハウジング収容室とパレット10の凹部10aとを連通する複数の貫通孔11aが設けられる。受け治具11の形状、配置は、図示のものに限定されない。
【0025】
パレット10は、コネクタハウジング5を保持した状態で、制御部40の指示に従い、搬送装置50によって、ステーションST1から、ステーションST2、ステーションST3、及びステーションST4へと順次搬送される。
【0026】
<ステーションSTの構成>
ステーションST1は、フレーム8と、発光部20と、駆動部30とを主に備え、電線収容筒や部品箱等が配置されている。
【0027】
フレーム8は、搬送装置50を介してパレット10が載置され、作業台を構成する。また、フレーム8は、駆動部30を支持する。
【0028】
発光部20は、コネクタハウジング5のキャビティ51への端子挿入を発光により誘導する。発光部20の構成については後述する。
【0029】
作業者Aは、フレーム8の前側において、コネクタハウジング5の領域51A内に含まれる複数のキャビティ51への端子挿入作業を、発光部20の誘導に従って行う。
【0030】
駆動部30は、ロッドの先端が発光部20に固定されたシリンダ31と、シリンダ31に空気を供給するエア供給部32と、シリンダ31とエア供給部32とを接続するエア流路33と、を含む。駆動部30は、制御部40の指示に従って、エア供給部32からシリンダ31に供給される空気圧を調節することにより、発光部20を受け治具11に対して近接させ、かつ、発光部20を受け治具11から離間させる。シリンダ31は、フレーム8における、パレット10が載置される位置の直下に配置される。
【0031】
ステーションST2、ST3、ST4は、ステーションST1と同様に構成される。図1には、複数のパレット10が示されているが、実際には、一のパレット10が各ステーションST1、ST2、ST3、ST4に順次移動される。各ステーションST2、ST3、ST4において、各作業者B、C、Dは、自身が担当する各領域51B、51C、51Dにそれぞれ含まれるキャビティ51への端子挿入作業を、発光部20の誘導に従ってそれぞれ行う。
【0032】
端子挿入誘導装置1は、パレット10と、制御部40と、各ステーションSTにそれぞれ配置された発光部20及び駆動部30とを含む。
【0033】
<端子挿入誘導装置1の構成>
図4は、図1の製造支援システム100における端子挿入誘導装置1の要部構成例を示す概略縦断面図である。図5は、図4において、発光部20をパレット10に接続した状態を示す概略縦断面図である。
【0034】
図4及び図5に示すように、発光部20は、LED基板21と、複数の光ファイバ22と、保持基板23と、ボルト24とを含む。LED基板21は、少なくとも光ファイバ22の数に応じた数のLED素子が配置されており、制御部40の指示に従って、各LED素子が発光する。LED基板21には、電源供給口25が設けられ、接続ケーブル41及びインターフェイスを介して制御部40に接続される。
【0035】
光ファイバ22は、一端部がLED基板21上のLED素子に接続され、他端部が保持基板23に保持され、LED素子の発光光を保持基板23側の端部から出射する。保持基板23は、複数の光ファイバ22の各他端部が平面上に配列されるように複数の光ファイバ22を保持する。LED基板21と保持基板23とは、複数のボルト24により一定距離離間した状態で固定される。
【0036】
コネクタハウジング5が受け治具11に保持された状態のパレット10は、各ステーションSTにおいて、図5に示すように、底面側に発光部20が近接して、保持基板23が凹部10aに嵌め合わされる。このように、発光部20がパレット10に接続された状態になると、LED素子から光ファイバ22を通して出射された発光光がコネクタハウジング5へと導かれる。受け治具11に保持されたコネクタハウジング5において、貫通孔11aから出射される発光光により、端子が挿入されるべきキャビティ51が照明される。このように、端子挿入誘導装置1が、LED素子からの発光光により、端子挿入箇所を誘導するので、作業者A~Dは、端子を正しいキャビティ51に挿入できる。発光部20の光源は、LED素子に限らず、他の光源を用いることができるが、LED素子からの発光光により端子挿入誘導を行うことにより、TFT(Thin Film Transistor)液晶を用いた場合に比べて視認性が向上する。
【0037】
<製造支援システム100の動作>
製造支援システム100は、例えばバーコード読み取りにより、制御部40に製造対象のコネクタの型番データが入力されると、制御部40は、各ステーションSTの発光部20及び駆動部30に必要な制御情報を入力する。図1に示す作業者Aが、コネクタハウジング5を取り出してパレット10の受け治具11にセットする。受け治具11に正しいコネクタハウジング5セットされたことが検知されると、制御部40の指示により、ステーションST1の駆動部30が発光部20に接近して接続され(図5参照)、発光部20は、型番データに対応した適切な誘導パターンで各LED素子を順次発光させる。作業者Aによる端子挿入作業が完了すると、作業者Aが例えばスイッチを操作することにより、制御部40に操作完了信号が入力され、制御部40の指示により搬送装置50が、コネクタハウジング5を保持したパレット10を次のステーションST2に搬送し、位置決めする。ステーションST2において、同様の動作が行われ、作業者Bが端子挿入を完了すると、パレット10は、ステーションST3に搬送される。ST3、ST4のそれぞれにおいて、同様の動作が行われ、コネクタハウジング5への端子挿入が完了する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の製造支援システム100によれば、端子挿入誘導装置1が、パレット10の受け治具11にセットされたコネクタハウジング5が、ステーションST1からステーションST2、ST3、ST4へ順次搬送される。各ステーションST1~ST4にパレット10が搬送されて位置決めされる都度、発光部20が、駆動部30によって受け治具11に近接され、発光により端子挿入を誘導する。よって、各ステーションST1~ST4において、各作業者A~Dは、パレット10に保持された状態のコネクタハウジング5に対して、発光部20の誘導に従って端子挿入を行うことができる。したがって、作業者が従来行っていた、第1ステーションで、一部端子挿入されたコネクタハウジングを、受け治具から外してパレットにセットする作業、及び、第2ステーションで、このコネクタハウジングをパレットから受け治具に載せ替える作業を廃止できる。このため、これらの作業に要していた時間分、作業時間を短縮できる。
【0039】
<変形例>
図6は、変形例に係る製造支援システムの構成を模式的に示す平面図である。
図6に示す製造支援システム100Aは、図1に示した製造支援システム100においてパレット10に受け治具11が内蔵されていたのに対し、パレット10Aに受け治具11A、11Bが内蔵される点が異なる。受け治具11Aは、第1車両用のコネクタハウジングを保持可能に構成され、受け治具11Bは、第1車両のコネクタハウジングとは形状や大きさが異なる第2車両用のコネクタハウジングを保持可能に構成される。
このように、パレット10Aが、形状等の異なる複数種類のコネクタハウジングを保持可能な受け治具11A、11Bを内蔵することにより、製造対象のコネクタが別の種類に変更された場合であっても、作業を中断することなく継続できる。
【0040】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る端子挿入誘導装置1及び製造支援システム100、100Aの特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0041】
[1] コネクタハウジング(5)を保持する受け治具(11、11A、11B)が内蔵され、第1ステーション(ステーションST1等)から第2ステーション(ステーションST2等)へ搬送されるパレット(10、10A)と、
前記第1ステーション及び前記第2ステーションにそれぞれ設けられ、前記コネクタハウジングのキャビティ(51)への端子挿入を発光により誘導する発光部(20)と、
前記第1ステーション及び前記第2ステーションにそれぞれ設けられ、前記発光部を、前記受け治具に対して近接させ、かつ、前記受け治具から離間させる駆動部(30)と、
前記発光部及び前記駆動部を制御する制御部(40)と、
を備える、端子挿入誘導装置(1)。
【0042】
上記[1]の構成の端子挿入誘導装置1によれば、パレット10の受け治具11にセットされたコネクタハウジング5が、ステーションST1からステーションST2、ST3、ST4へ順次搬送される。各ステーションST1~ST4にパレット10が搬送されて位置決めされる都度、発光部20が、駆動部30によって受け治具11に近接され、発光により端子挿入を誘導する。よって、各ステーションST1~ST4において、各作業者A~Dは、パレット10に保持された状態のコネクタハウジング5に対して、発光部20の誘導に従って端子挿入を行うことができる。したがって、従来の作業者が従来行っていた、第1ステーションで、一部端子挿入されたコネクタハウジングを、受け治具から外してパレットにセットする作業、及び、第2ステーションで、このコネクタをパレットから受け治具に載せ替える作業を廃止して、作業時間を短縮できる。
【0043】
[2] 前記パレット(10A)は、第1車両用の第1コネクタハウジングを保持する第1受け治具(受け治具11A)と、第2車両用の第2コネクタハウジングを保持する第2受け治具(受け治具11B)と、を有する、
上記[1]に記載の端子挿入誘導装置(1)。
【0044】
上記[2]の構成の端子挿入誘導装置1によれば、パレット10Aが、形状等の異なる複数種類のコネクタハウジングを保持可能な受け治具11A、11Bを内蔵することにより、製造対象のコネクタが別の種類に変更された場合であっても、作業を中断することなく継続できる。
【0045】
[3] 上記[1]又は[2]に記載の端子挿入誘導装置と、
前記第1ステーションから前記第2ステーションへ前記パレットを搬送する搬送装置(50)と、
を備える、製造支援システム(100、100A)。
【0046】
上記(3)の構成の製造支援システム100、100Aによれば、ステーション間のパレットの移動を自動化できる。
【符号の説明】
【0047】
1 端子挿入誘導装置
5 コネクタハウジング
8 フレーム
10、10A パレット
10a 凹部
11、11A、11B 受け治具
11a 貫通孔
20 発光部
21 LED基板
22 光ファイバ
23 保持基板
24 ボルト
25 電源供給口
30 駆動部
31 シリンダ
32 エア供給部
33 エア流路
40 制御部
41 接続ケーブル
50 搬送装置
51 キャビティ
51A、51B、51C、51D 領域
100、100A 製造支援システム
A、B、C、D 作業者
ST、ST1、ST2、ST3、ST4 ステーション
図1
図2
図3
図4
図5
図6