(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ベルト耐久試験装置
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20240611BHJP
G01N 3/56 20060101ALN20240611BHJP
【FI】
G01N17/00
G01N3/56 F
(21)【出願番号】P 2022084438
(22)【出願日】2022-05-24
【審査請求日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】P 2021091457
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】辻 勝爾
(72)【発明者】
【氏名】森山 和也
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-117311(JP,A)
【文献】特開2018-044856(JP,A)
【文献】特表2008-537996(JP,A)
【文献】特開2005-188995(JP,A)
【文献】特開平10-038790(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0290043(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0088628(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111829879(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
G01N 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプーリ及び前記複数のプーリに巻回されたベルトを収容可能な内部空間と、外部から前記内部空間内に粉体を投入するための投入口と、前記内部空間と外部とを連通させる吸引口と、を有する試験槽と、
前記ベルトを走行させるためのベルト走行機構と、
前記内部空間内に配置されたファンを有し、前記ファンを駆動して前記内部空間内に気流を生じさせて前記内部空間内に投入された粉体を撹拌するための撹拌機構と、
前記投入口を閉塞可能なバルブと、
前記バルブに対してエアを噴出して前記バルブに付着した粉体を除去するためのエアジェット機構と、
前記内部空間内のエアを前記吸引口から外部に吸引するための吸引機構とを備えたことを特徴とするベルト耐久試験装置。
【請求項2】
前記撹拌機構は、
前記ファンを駆動させて、前記内部空間内において旋回する気流を生じさせることを特徴とする請求項1に記載のベルト耐久試験装置。
【請求項3】
前記撹拌機構が前記ファンを駆動させて前記内部空間内に生じさせる気流は、水平方向に沿った旋回軸を中心に旋回する気流であり、
前記旋回軸の軸方向から見たときの前記内部空間の下方の2隅は、それぞれ円弧形状であることを特徴とする請求項2に記載のベルト耐久試験装置。
【請求項4】
前記試験槽は、
前記内部空間を、前記ベルトが配置される第1空間と配置されない第2空間とに仕切る仕切板と、
前記第1空間に配置される前記ベルトを挟む位置に形成され、前記第1空間と前記第2空間とを連通させる、第1連通口及び第2連通口とを有しており、
前記撹拌機構は、
前記ファンを駆動させて、前記第1空間、前記第1連通口、前記第2空間、前記第2連通口の順に循環する気流を生じさせることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のベルト耐久試験装置。
【請求項5】
前記投入口は、前記第1空間に配置される前記ベルトよりも上方、且つ、上下方向から見たときに前記ベルトと重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のベルト耐久試験装置。
【請求項6】
前記ベルトにおける前記プーリの間で互いに対向する一対のベルト部分は、前記仕切板からの距離が互いに異なっており、
前記撹拌機構が前記ファンを駆動させたときに前記第1空間を流れる気流の流れ方向は、前記ベルト走行機構が前記ベルトを走行させたときの、前記仕切板から遠い側の前記ベルト部分の走行方向と同じ方向成分を有することを特徴とする請求項4に記載のベルト耐久試験装置。
【請求項7】
前記投入口は、前記内部空間の前記第1空間に面する位置に形成され、
前記吸引口は、前記内部空間の前記第2空間に面する位置に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のベルト耐久試験装置。
【請求項8】
粉体を前記投入口へ供給するためのフィーダと、
前記フィーダを制御するための制御機構とをさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のベルト耐久試験装置。
【請求項9】
前記内部空間内の温度を調整可能な温調機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のベルト耐久試験装置。
【請求項10】
前記フィーダは、当該フィーダが貯留する粉体を含むフィーダ全体の重量変化を検知し、検知した重量変化に基づいて、前記投入口へ供給する粉体の供給量をフィードバック制御することを特徴とする請求項8に記載のベルト耐久試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト耐久試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝動ベルトの耐久試験は、実際に使用される機械や車両に取り付けて行う実車試験と、実験室においてモータなどで駆動されるプーリに取り付けて行う台上試験とに大別される。実車試験は実際の使用環境での試験であるために信頼性が高い一方で、時間や費用が多く掛かるという欠点がある。一方、台上試験は温度や負荷を調節しての促進試験が容易であり、製品開発を進める上で欠かせないものとなっている。
【0003】
台上試験においては、実車における使用環境の再現を行う要望がある。すなわち、自動車や農業機械のように主に屋外で使用される車両においては、ベルト駆動系に水、砂、土などが付着する場合が多く、このような環境を台上試験で再現することで、耐久試験の信頼性を向上できる。台上試験を行うベルト耐久試験装置としては、例えば特許文献1に、泥水の冠水を模擬するベルト耐久試験装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、自動車が未舗装路を走行する際に巻き上げられた砂利が補機駆動用Vリブドベルトに付着する状態のような、ベルト駆動系に粉体が振り掛かる状態を再現できるベルト耐久試験装置が知られている。この種の従来のベルト耐久試験装置では、試験を行う際に、試験槽内に収容されたプーリとベルトに対して、試験槽に形成された投入口から粉体を徐々に投入することで行われていた。
【0006】
しかしながら、従来の上記ベルト耐久試験装置では、粉体がベルト全体に均一に振り掛からないために試験の信頼性が低くなる上、粉体が試験槽の外部へ飛散して周辺環境を汚染するといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、粉体をベルト全体に従来よりも均一に振り掛けることで、試験の信頼性を高めることが可能であり、且つ、粉体が試験槽の外部へ飛散するのを抑制することで、周辺環境が汚染されることを抑制可能なベルト耐久試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のベルト耐久試験装置は、複数のプーリ及び前記複数のプーリに巻回されたベルトを収容可能な内部空間と、外部から前記内部空間内に粉体を投入するための投入口と、前記内部空間と外部とを連通させる吸引口と、を有する試験槽と、前記ベルトを走行させるためのベルト走行機構と、前記内部空間内に配置されたファンを有し、前記ファンを駆動して前記内部空間内に気流を生じさせて前記内部空間内に投入された粉体を撹拌するための撹拌機構と、前記投入口を閉塞可能なバルブと、前記バルブに対してエアを噴出して前記バルブに付着した粉体を除去するためのエアジェット機構と、前記内部空間内のエアを前記吸引口から外部に吸引するための吸引機構とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、内部空間内に投入された粉体は、撹拌機構により撹拌されるため、粉体をベルト全体に従来よりも均一に振り掛けることができる。その結果として、試験の信頼性を高めることができる。
粉体を内部空間内に投入するとき以外は、バルブで投入口を閉塞することで、粉体が投入口から試験槽の外部へ飛散するのを抑制することができる。その結果として、ベルト耐久試験装置の周辺環境が汚染することを抑制することができる。
また、エアジェット機構により、バルブに付着した粉体を除去することができるので、粉体の付着によるバルブの動作不良を抑制することができる。
ここで、エアジェット機構がバルブに対してエアを噴出した際に、そのエアの一部が内部空間内に入ることで内部空間内の圧力が高まる。これにより、内部空間内の粉体が投入口を介して試験槽の外部へ飛散し易くなる。しかしながら、上記の構成によれば、吸引機構により内部空間内を負圧(陰圧、減圧)にすることができるので、エアを噴射した際に粉体が試験槽の外部へ飛散するのを抑制することができる。
【0010】
また、本発明のベルト耐久試験装置において、前記撹拌機構は、前記ファンを駆動させて、前記内部空間内において旋回する気流を生じさせてもよい。上記の構成によれば、ファンで発生した気流が内部空間内で旋回するので、粉体をベルト全体により均一に振り掛けることができる。
【0011】
また、本発明のベルト耐久試験装置において、前記撹拌機構が前記ファンを駆動させて前記内部空間内に生じさせる気流は、水平方向に沿った旋回軸を中心に旋回する気流であり、前記旋回軸の軸方向から見たときの前記内部空間の下方の2隅は、それぞれ円弧形状であってもよい。上記の構成によれば、ファンで発生した気流が内部空間内で旋回しやすくなるとともに、内部空間の下方の2隅に粉体が滞留するのを抑制することができるので、粉体をベルト全体により均一に振り掛けることができる。
【0012】
また、本発明のベルト耐久試験装置において、前記試験槽は、前記内部空間を、前記ベルトが配置される第1空間と配置されない第2空間とに仕切る仕切板と、前記第1空間に配置される前記ベルトを挟む位置に形成され、前記第1空間と前記第2空間とを連通させる、第1連通口及び第2連通口とを有しており、前記撹拌機構は、前記ファンを駆動させて、前記第1空間、前記第1連通口、前記第2空間、前記第2連通口の順に循環する気流を生じさせてもよい。上記の構成によれば、仕切板により、ファンで発生した気流が内部空間内で循環し易くなるため、粉体をベルト全体により均一に振り掛けることができる。
【0013】
また、本発明のベルト耐久試験装置において、前記投入口は、前記第1空間に配置される前記ベルトよりも上方、且つ、上下方向から見たときに前記ベルトと重なる位置に配置されていてもよい。上記の構成によれば、粉体を投入口から投入する際にベルトを走行させることで、投入口から投入される粉体を、ベルトの走行により生じる風によって、内部空間内において効率よく撹拌することができる。
【0014】
また、本発明のベルト耐久試験装置においては、前記ベルトにおける前記プーリの間で互いに対向する一対のベルト部分は、前記仕切板からの距離が互いに異なっており、前記撹拌機構が前記ファンを駆動させたときに前記第1空間を流れる気流の流れ方向は、前記ベルト走行機構が前記ベルトを走行させたときの、前記仕切板から遠い側の前記ベルト部分の走行方向と同じ方向成分を有していてもよい。上記の構成によれば、撹拌機構がファンを駆動したときに第1空間を流れる気流の流れ方向と、ベルト走行時において仕切板から遠い側のベルト部分の走行により生じる風の向きとが同じ方向成分を有することになる。その結果として、粉体を内部空間内において、より効率よく撹拌することができる。
【0015】
また、本発明のベルト耐久試験装置において、前記投入口は、前記内部空間の前記第1空間に面する位置に形成され、前記吸引口は、前記内部空間の前記第2空間に面する位置に形成されていてもよい。上記の構成によれば、吸引口は、投入口が面している第1空間とは異なる第2空間に面しているため、吸引機構によりエアを吸引する際に粉体が吸引口から吸引され難くすることができる。
【0016】
また、本発明のベルト耐久試験装置においては、粉体を前記投入口へ供給するためのフィーダと、前記フィーダを制御するための制御機構とをさらに備えていてもよい。上記の構成によれば、粉体を供給する量や時間等を正確に制御でき、試験の信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明のベルト耐久試験装置においては、前記内部空間内の温度を調整可能な温調機構をさらに備えていてもよい。上記の構成によれば、内部空間内の温度を調整することで実際の使用環境を再現することができ、試験の信頼性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明のベルト耐久試験装置において、前記フィーダは、当該フィーダが貯留する粉体を含むフィーダ全体の重量変化を検知し、検知した重量変化に基づいて、前記投入口へ供給する粉体の供給量をフィードバック制御してもよい。上記の構成によれば、粉体の供給量を精度よく制御することができるため、試験の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、粉体をベルト全体に従来よりも均一に振り掛けることができ、且つ、粉体が試験槽の外部へ飛散するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】ベルト耐久試験処理について説明するフローチャートである。
【
図4】粉体投入処理について説明するフローチャートである。
【
図5】粉体投入処理について説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態に係るベルト耐久試験装置1の概略構成について説明する。ベルト耐久試験装置1は、例えば自動車が未舗装路を走行する際に巻き上げられた砂利が補機駆動用Vリブドベルトに付着する状態のような、ベルト駆動系に粉体が振り掛かる状態を再現して、ベルトBの耐久性を評価する台上試験を行うための装置である。
【0022】
図1に示すように、ベルト耐久試験装置1は、試験槽2、ベルト走行機構3(
図2参照)、撹拌機構4、バルブ5、エアジェット機構6、吸引機構7、フィーダ8、温調機構9、及び制御機構100を有する。尚、以下では、
図1の紙面手前側をベルト耐久試験装置1の「前方」、紙面向こう側をベルト耐久試験装置1の「後方」と定義する。また、
図1に示す左右方向及び上下方向を、ベルト耐久試験装置1の「左右方向」及び「上下方向」と定義する。以下、前後、左右、上下の各方向語を適宜使用して説明する。なお、前後方向及び左右方向は、水平方向と平行である。また、上下方向は、鉛直方向と平行である。
【0023】
図1及び
図2に示すように、試験槽2は、筐体20、及び仕切板21を備えている。筐体20は、前壁20a、後壁20b、左壁20c、右壁20d、底壁20e、上壁20fを備え、全体として略直方体状に形成されている。筐体20内には、これら壁20a~20fによって画定された内部空間Sが形成されている。本実施形態では、筐体20は、アングル(SS400)と平板(ケイ酸カルシウム板)で形成されている。
【0024】
仕切板21は、内部空間Sを、上部空間SU(「第1空間」に相当)と下部空間SB(「第2空間」に相当)とに上下に仕切る板状の部材である。仕切板21は、内部空間Sの上下方向の略中央において水平方向に延在している。このため、上部空間SUの体積と下部空間SBの体積は略同じである。仕切板21は、SPCC材で形成されている。
【0025】
仕切板21は、その前端が筐体20の前壁20aに連結されており、その後端が筐体20の後壁20bに連結されている。一方で、仕切板21の右端と、筐体20の右壁20dとの間には間隙が形成されおり、この間隙は、上部空間SUと下部空間SBとを連通させる連通口21a(「第1連通口」に相当)として機能する。同様に、仕切板21の左端と、筐体20の左壁20cとの間には間隙が形成されており、この間隙は、上部空間SUと下部空間SBとを連通させる連通口21b(「第2連通口」に相当)として機能する。
【0026】
上部空間SUは、試験対象となる無端状のベルトB、及び4つのプーリPを収容可能である。4つのプーリPは、駆動プーリP1、従動プーリP2、及び一対のアイドラプーリP3からなる。これら4つのプーリPそれぞれに連結された回転軸Fの軸方向は、前後方向と平行である。
【0027】
図2に示すように、後壁20bには、4つの回転軸Fが挿通される4つの貫通孔20b1が形成されている。後壁20bには、4つのプーリPをそれぞれ回転自在に支持する4つのベアリング(不図示)が設けられている。また、回転軸Fと貫通孔20b1の内周面との間の隙間には、オイルシール(不図示)が設けられている。これにより、内部空間S内に投入される粉体が、この隙間を介して試験槽2の外部へ飛散するのを抑制することができる。
【0028】
駆動プーリP1は、連通口21bよりも右側に配置されている。従動プーリP2は、駆動プーリP1よりも右側、且つ、連通口21aよりも左側に配置されている。ベルトBは、駆動プーリP1及び従動プーリP2に巻回されている。従って、ベルトBは、左右方向において2つの連通口21a,21bにより挟まれている。換言すれば、上下方向から見たときに、ベルトBは、仕切板21の領域内に配置されている。
【0029】
図1に示すように、ベルトBにおける、駆動プーリP1と従動プーリP2との間で互いに上下方向に対向する一対のベルト部分Baは、仕切板21からの距離が互いに異なる。詳細には、上側のベルト部分Baは、下側のベルト部分Baよりも仕切板21からの距離が遠い。本実施形態においては、ベルトBは、Vリブドベルトであるが、特にこれに限定されるものではなく、平ベルト等の伝動ベルトであってもよい。
【0030】
一対のアイドラプーリP3は、左右方向において駆動プーリP1及び従動プーリP2に挟まれた位置に配置されている。これらアイドラプーリP3は、ベルトBの背面を上下方向に押し付ける。
【0031】
図2に示すように、4つのプーリPは、上部空間SUにおいて、前後方向の中央位置よりも後側に配置されている。これにより、各プーリPの回転軸Fの長さを短くすることができるので、ベアリングに作用する力や軸たわみを軽減することができる。
【0032】
筐体20の上壁20fには、内部空間Sと外部とを連通させる開口である投入口22が形成されている。この投入口22は、上部空間SUに面した位置に形成されている。また、投入口22は、上部空間SUに収容されるベルトBよりも上方、且つ、上下方向から見たときにベルトBのベルト部分Baと重なる位置(
図2参照)に配置されている。
【0033】
ベルトBに振り掛ける粉体は、この投入口22から内部空間S内に投入される。粉体としては、試験の信頼性を高めるために、JIS3種ケイ砂のような粒径が一定の範囲に分布したものが使用される。
【0034】
図1に示すように、筐体20の右壁20dには、内部空間Sと外部とを連通させる開口である吸引口23が形成されている。この吸引口23は、仕切板21よりも下方の位置に形成されている。すなわち、吸引口23は、下部空間SBに面した位置に形成されている。
【0035】
また、筐体20には、4つの整流板24が設けられている。詳細には、4つの整流板24は、それぞれ、円弧状の形状をしており、前後方向から見たときの筐体20の4隅を塞ぐように設けられている。これにより、前後方向から見たときの内部空間Sの4隅は、それぞれ円弧形状となっている。
【0036】
図2に示すように、ベルト走行機構3は、ベルトBを走行させるための機構であり、ベルト駆動モータ31を備えている。ベルト駆動モータ31は、駆動プーリP1の回転軸F(駆動軸)に連結されている。また、ベルト駆動モータ31は、試験槽2の外部に配置されている。これにより、内部空間S内の粉体等がモータ内部に侵入して、ベルト駆動モータ31が故障することを抑制することができる。ベルト駆動モータ31は、制御機構100の制御の下、駆動プーリP1を回転駆動させる。本実施形態においては、ベルト駆動モータ31は、駆動プーリP1を
図1中時計回りに回転駆動する。これにより、上側のベルト部分Baは右方向に走行し、下側のベルト部分Baは左方向に走行する。
【0037】
撹拌機構4は、投入口22から内部空間S内に投入された粉体を撹拌するための機構である。撹拌機構4は、ファン41、及びファンモータ42を有している。ファン41は、上部空間SU内において、ベルトBよりも右側に配置されている。また、上下方向から見たときに、ファン41は、連通口21aの開口内に配置されている。ファン41のファン軸41a(回転軸)の軸方向は、左右方向と平行である。また、ファン軸41aは、内部空間Sの前後方向の略中央に位置づけられている。ファン41の形態は特に限定されず、シロッコファン、プロペラファン、ターボファンなどであってもよい。
【0038】
試験槽2の右壁20dには、ファン軸41aが挿通される貫通孔20d1が形成されている。ファン軸41aと貫通孔20d1の内周面との間の隙間には、オイルシール(不図示)が設けられている。これにより、内部空間S内に投入される粉体が、この隙間を介して試験槽2の外部へ飛散するのを抑制することができる。
【0039】
ファンモータ42は、試験槽2の外部に配置されている。これにより、内部空間S内の粉体等がモータ内部に侵入して、ファンモータ42が故障することを抑制することができる。
【0040】
ファンモータ42の軸42aと、ファン41のファン軸41aとはカップリング等で連結されている。ファンモータ42は、制御機構100の制御の下、ファン41を回転駆動させて、内部空間S内において気流を生じさせる。より詳細には、ファン41を回転駆動すると、上部空間SUのエアは、ファン41に吸い込まれて、連通口21aを介して下部空間SBに吐き出される。これにより、内部空間S内には、上部空間SU、連通口21a、下部空間SB、連通口21bの順に循環する気流(
図1中白抜き矢印に沿って流れる気流)が生じる。すなわち、内部空間S内において、前後方向と平行な方向を旋回軸として、
図1中時計回りに旋回する気流が生じる。
【0041】
図1に示すように、バルブ5は、投入口22の上方に配置されており、投入口22を閉塞可能なバルブである。バルブ5は、制御機構100による制御の下、開閉する。バルブ5が閉弁した状態では、投入口22は閉塞され、内部空間Sは密閉空間となる。従って、バルブ5により投入口22を閉塞すると、内部空間S内に投入された粉体が、試験槽2の外部へ飛散することを抑制することができる。
【0042】
バルブ5の種類は特に限定されるものではなく、ボールバルブやゲートバルブなどであってもよいが、粉体の付着によるバルブ5の動作不良を低減できる点から、バタフライバルブであることが好ましい。本実施形態では、バルブ5は、バタフライバルブである。
【0043】
バルブ5の上方には、漏斗状のホッパー50が配置されている。ホッパー50は、フィーダ8から供給される粉体を、投入口22へ導く。
【0044】
ここで、バルブ5に粉体が付着した状態のままにしておくと、バルブ5に動作不良が生じうる。エアジェット機構6は、このバルブ5に付着した粉体を除去するために、制御機構100の制御の下、バルブ5に対してエアを噴出する機構である。
【0045】
エアジェット機構6は、バルブ5の上方に配置されている。エアジェット機構6は、上下方向から見たときにホッパー50の下端の筒状部分の周りを囲むように形成された円筒状のノズル60を有している。エアジェット機構6は、この円筒状のノズル60から下方に向けてエアを噴出して、バルブ5の全周に対してエアを吹き付ける。これにより、バルブ5に付着した粉体が除去される。なお、円筒をねじるようにノズルに角度を付けることで、ノズルからスパイラル状のエアを噴出するように構成されていてもよい。この場合、バルブ5に付着した粉体を効率よく除去することができる。
【0046】
ここで、エアジェット機構6がバルブ5に対してエアを噴射する際には、そのエアの一部が投入口22から内部空間S内に侵入する。これにより、内部空間S内の圧力が高まることで、内部空間S内の粉体が投入口22から試験槽2の外部へ飛散しやすくなる。吸引機構7は、内部空間S内の圧力が高まることを抑制して、内部空間S内の粉体が試験槽2の外部へ飛散するのを抑制するための機構である。
【0047】
吸引機構7は、試験槽2の外部に配置されており、制御機構100による制御の下、内部空間S内のエアを吸引口23から外部に吸引する。エアジェット機構6がバルブ5に対してエアを噴射する際に、吸引機構7により内部空間S内のエアを吸引して内部空間S内を負圧にする。これにより、内部空間S内の粉体が試験槽2の外部へ飛散するのを抑制することができる。なお、内部空間S内の粉体が吸引口23から吸引されないように、吸引口23にフィルタ等を設けてもよい。
【0048】
フィーダ8は、ホッパー50を介して、投入口22に粉体を供給するための装置である。このフィーダ8により、内部空間S内への粉体の投入を自動で行うことができるので、人手を省略することがきるとともに、粉体を供給する量や時間を正確にすることができる。
【0049】
ここで、内部空間S内に投入された粉体は、プーリPとベルトBとの間で摩耗・圧壊するなどして、時間の経過とともに粒径が小さくなる。このため、ベルト耐久試験中において、定期的に新しい粉体を供給する必要がある。そこで、本実施形態では、ベルト耐久試験中においては、制御機構100の制御の下、フィーダ8により定期的(例えば、1時間当たり1回)、新しい粉体を内部空間S内に投入する。これにより、長時間の試験においても、粉体の品質(粒径など)が安定して、試験の信頼性を高めることができる。
【0050】
フィーダ8の方式は特に限定されず、振動式、容積式(容量式)、重量式(ロスインウェイト式など)などを使用できる。振動式のフィーダは、粉体を貯留したホッパーおよびトラフに振動を与えることにより粉体を下方に移動させる方式であり、振動数やトラフの角度などを変更することにより粉体の吐出量(供給量)を変更できる。しかしながら、振動式のフィーダは、ホッパーの下部でブリッジが発生しやすいこともあり、粉体の吐出量の制御精度は低い。容積式のフィーダは、スクリューや羽根を一定の速度で回転させることにより粉体を送り出す方式であり、ブリッジの発生を抑制することができ、粉体の吐出量の制御精度を高めることができる。しかしながら、容積式のフィーダは、スクリューや羽根の回転速度と吐出量の関係をあらかじめ確認する必要がある上、粉体のかさ密度や空隙率が一定ではない場合などに吐出量が変化しやすい。重量式のフィーダは、貯留する粉体を含むフィーダ全体の重量変化を電子天秤などで検知しながら吐出量を調節する方式であり、フィーダの制御機構により、重量の減少が目標値よりも大きい場合には粉体の吐出量を減少させ、重量の減少が目標値よりも小さい場合には粉体の吐出量を増加させるなど、フィードバック制御が可能となっている。
【0051】
伝動ベルトの耐久試験においては、粉体の投入量(重量)が伝動ベルトの耐久性に影響を与えることから、粉体の投入量を精度よく制御するのが望ましい。そのため、フィーダとしては容積式もしくは重量式のフィーダを用いるのが好ましく、特に、フィーダの重量変化を検知して粉体の吐出量をフィードバック制御することが可能な重量式のフィーダを用いるのが好ましい。
【0052】
ところで、例えば、自動車の補機駆動用Vリブドベルトなどは、エンジンの高温に曝されることで耐久性が低下しやすい。このため、実車での使用環境に近い温度条件で試験を行うことが望ましい。温調機構9は、内部空間S内の温度を、実車での使用環境に近い温度に調整するための機構である。温調機構9は、ヒータ及び冷却器を含み、制御機構100による制御の下、内部空間S内の温度を調整する。変形例として、温調機構9は、ヒータのみを含み、内部空間S内の温度を加熱調整のみ可能な機構であってもよい。また、温調機構9は、冷却器のみを含み、内部空間S内の温度を冷却調整のみ可能な機構であってもよい。
【0053】
温調機構9は、下部空間SB内に配置されている、より詳細には、温調機構9は、仕切板21を挟んでベルトBと上下で対向する位置に配置されている。これにより温調機構9による温度変化が、ベルトBに直接作用するのを防止して、ベルトBが局所的に加熱または冷却されるのを抑制することができる。
【0054】
制御機構100は、ベルト耐久試験装置1全体の動作を司る機構であり、PLC(Programmable Logic Controller)を含む。PLCは、CPU(Central Processing Unit)、PLCが実行するプログラム等を記憶するメモリ、タイマー等から構成されている。なお、制御機構100は、マイコンやパソコン等であってもよい。制御機構100は、ベルト駆動モータ31、ファンモータ42、バルブ5、エアジェット機構6、吸引機構7、フィーダ8、及び温調機構9等の各駆動機構に接続されており、これらの動作を制御する。
【0055】
以下、
図3を参照して、制御機構100が実行するベルト耐久試験処理の一例について説明する。
【0056】
制御機構100は、まず、温調機構9を制御して内部空間S内の温度を、所望の温度に調整する(S1)。次に、制御機構100は、ベルト駆動モータ31を制御して、ベルトBを走行させる(S2)。この後、制御機構100は、粉体を投入するタイミングか否かを判断する(S3)。本実施形態では、粉体の投入サイクルは、1時間(3600s)で1サイクルと設定されている。従って、制御機構100は、ベルト耐久試験の初回の投入時以外においては、前回の粉体の投入を開始した時点から1時間経過している場合には粉体を投入するタイミングであると判断し、1時間経過していない場合には粉体を投入するタイミングではないと判断する。
【0057】
S3の処理において、粉体を投入するタイミングであると判断した場合(S3:YES)には、制御機構100は、後で
図4を参照して説明する粉体投入処理を実行する(S4)。この粉体投入処理により、内部空間S内に粉体が投入される。また、粉体投入処理の終了時には、ファン41は回転駆動しており、内部空間S内を循環する気流が生じている。この粉体投入処理が終了すると、S3の処理に戻る。
【0058】
S3の処理において、粉体を投入するタイミングではないと判断した場合(S3:NO)には、ベルト耐久試験処理を終了させるタイミングであるか否かを判断する(S5)。ベルト耐久試験処理を終了させるタイミングではないと判断した場合(S5:NO)には、S3の処理に戻る。
【0059】
一方で、ベルト耐久試験処理を終了させるタイミングであると判断した場合(S5:YES)には、制御機構100は、ベルト駆動モータ31を制御して、ベルトBの走行を停止させ、且つ、ファンモータ42を制御してファン41を停止させる(S6)。このS6の処理が終了すると、ベルト耐久試験処理を終了する。
【0060】
次に、
図4及び
図5を参照して、制御機構100が実行する粉体投入処理の一例について説明する。なお、
図5のタイミングチャートにおいて示されている「ON」は「作動中」、「OFF」は「停止」を表している。
【0061】
図4に示すように、まず、制御機構100は、ファン41が回転駆動中か否かを判断する(A1)。A1の処理でファン41が回転駆動中ではないと判断した場合(A1:NO)には、A3の処理に移る。一方で、ファン41が回転駆動中であると判断した場合(A1:YES)には、制御機構100は、ファンモータ42を制御して、ファン41の回転を停止させて(A2)、A3の処理に移る。
【0062】
A3の処理では、制御機構100は、バルブ5の開動作を行う。なお、
図5に示すように、直前にファン41が回転駆動していた場合には、ファン41の回転が停止してから2秒経過後にバルブ5の開動作を開始する。
【0063】
次に、制御機構100は、バルブ5の開動作が完了した後に、フィーダ8を作動させて、粉体の投入口22への供給を開始する(A4)。これにより、投入口22から内部空間S内に粉体が投入される。また、この粉体を投入する際は、ベルトBは走行中である。このため、ベルトBの走行により生じる風によって、投入口22から投入される粉体は、内部空間S内において撹拌される。また、粉体を投入する際は、ファン41は停止している。このため、ファン41により生じる気流によって粉体が投入口22から逆流することを抑制することができる。
【0064】
フィーダ8の作動を開始してから300秒経過後に、制御機構100は、フィーダ8の作動を停止させて、粉体の投入口22への供給を停止する(A5)。フィーダ8の作動を停止させてから1秒経過後に、制御機構100は、吸引機構7を作動させて、内部空間S内のエアを吸引口23から外部に吸引する(A6)。これにより、内部空間S内が負圧となる。
【0065】
次に、制御機構100は、吸引機構7を作動させてから1秒経過後に、エアジェット機構6を作動させてバルブ5に対してエアを噴出する(A7)。これにより、粉体の投入時などにおいてバルブ5に付着した粉体等の異物が除去される。
【0066】
その後、制御機構100は、エアジェット機構6を作動させてから3秒経過後に、エアジェット機構6の作動を停止する(A8)。そして、制御機構100は、エアジェット機構6の作動を停止させてから1秒経過後に吸引機構7の作動を停止する(A9)。
【0067】
次に、制御機構100は、吸引機構7の作動を停止してから1秒経過後に、バルブ5の閉動作を開始する(A10)。そして、制御機構100は、バルブ5の閉動作が完了した後に、ファンモータ42を制御して、ファン41を回転駆動させる(A11)。以上で、粉体投入処理を終了する。
【0068】
また、制御機構100は、ベルト耐久試験処理を実行中において、ベルト走行機構3やフィーダ8等の駆動機構の異常の有無を検知しており、異常を検知した場合には、ベルト走行機構3やフィーダ8等の駆動機構の作動を停止する。
【0069】
以上、本実施形態によると、内部空間S内に投入された粉体は、撹拌機構4により撹拌されるため、粉体をベルトB全体に均一に振り掛けることができる。その結果として、試験の信頼性を高めることができる。粉体を内部空間S内に投入するとき以外は、バルブ5で投入口22を閉塞することで、粉体が投入口22から試験槽2の外部へ飛散するのを抑制することができる。その結果として、ベルト耐久試験装置1の周辺環境が汚染することを抑制することができる。また、エアジェット機構6により、バルブ5に付着した粉体を除去することができるので、粉体の付着によるバルブ5の動作不良を抑制することができる。また、吸引機構7により試験槽2の内部空間Sを負圧にすることができるので、エアジェット機構6がエアをバルブ5に対して噴射した際に、粉体が試験槽2の外部へ飛散するのを抑制することができる。
【0070】
また、撹拌機構4は、ファン41を駆動させて、内部空間S内において循環(旋回)する気流を生じさせている。これにより、内部空間S内において粉体も循環することになるため、粉体をベルトB全体により均一に振り掛けることができる。また、仕切板21により、ファン41で発生した気流が内部空間S内において循環し易くなるため、粉体をベルトB全体により均一に振り掛けることができる。
【0071】
また、前後方向から見たときの内部空間Sの4隅は、円弧形状である。これにより、ファン41で発生した気流が、内部空間S内で循環しやすくなるとともに、内部空間Sの下方の2隅に粉体が滞留するのを抑制して、粉体をベルトB全体により均一に振り掛けることができる。
【0072】
また、投入口22は、上部空間SUに配置されるベルトBよりも上方、且つ、上下方向から見たときにベルトBと重なる位置に配置されている。これにより、粉体を投入口22から投入する際にベルトBを走行させることで、投入口22から投入される粉体を、ベルトBの走行により生じる風によって、内部空間S内において効率よく撹拌することができる。
【0073】
また、上述の実施形態では、撹拌機構4がファン41を駆動させたときに上部空間SUを流れる気流の流れ方向は、右方向である。また、ベルト走行機構3がベルトBを走行させたときの、上側のベルト部分Baの走行方向は、右方向である。このように上部空間SUを流れる気流の流れ方向と、上側のベルト部分Baの走行方向は同じ方向成分を有することになる。ここで、撹拌機構4がファン41を駆動させたときに、内部空間S内において循環する気流の流れの強さは旋回中心よりも外側の方が強くなる。すなわち、上部空間SUにおいては、仕切板21の近傍よりも、筐体20の上壁20fの近傍の方が、気流の流れは強い。このため、上側のベルト部分Baの走行方向を気流の流れと同じ方向にしたほうが、下側のベルト部分Baの走行方向を気流の流れと同じ方向にした場合と比べて、ベルトBの走行により生じる風と、ファン41により生じる風との相乗効果により、内部空間S内において粉体をより撹拌することができる。
【0074】
投入口22は、上部空間SUに面する位置に形成され、吸引口23は、下部空間SBに面する位置に形成されている。このように、吸引口23は、投入口22が面している上部空間SUとは異なる下部空間SBに面しているため、吸引機構7によりエアを吸引する際に、投入口22から内部空間S内に投入された粉体が吸引口23から吸引され難くすることができる。
【0075】
また、温調機構9により、内部空間S内の温度を調整することで実際の使用環境を再現することができる。これにより、試験の信頼性を向上させることができる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例について説明する。上記のベルト耐久試験処理を、下記の試験条件で行った。なお、粉体投入処理における各駆動機構の動作タイミングは、
図4及び
図5を参照して説明したタイミングと同じである。
【0077】
・駆動プーリの直径:176mm
・従動プーリの直径:76mm
・アイドラプーリの直径:76mm
・駆動プーリの駆動軸の回転数:2500rpm
・負荷:なし
・ベルト張力:290N
・雰囲気温度:55℃
・試験対象のベルト:Vリブドベルト(6PK1200、K形、リブ数6、周長1200mm)
・ファンの回転数:2000rpm・粉体:JIS3種ケイ砂(JISZ8901(2006)準拠)
・粉体投入量:30g/h
・試験時間:12h
【0078】
(試験結果)
ベルト耐久試験中において粉体が試験槽の外部へ飛散することはほとんどなく、周辺環境が汚染されることを抑制できていた。また、撹拌機構を備えていない従来のベルト耐久試験装置と比べて、粉体をベルト全体に均一に振り掛けることができていた。
【0079】
(フィーダの吐出量の制御精度の試験)
容積式のフィーダ、及び、重量式のフィーダそれぞれを使用した場合の粉体の吐出量の制御精度を調べる試験を行った。
【0080】
具体的には、容積式のフィーダとして(株)ヨシカワ製マイクロディスチャージャー:MD-125SR-DVを使用した場合と、重量式のフィーダとして(株)アイシンナノテクノロジーズ製マイクロンフィーダー(登録商標):TF-70-CT(AD)を使用した場合の粉体の吐出量の制御精度の比較を行った。粉体にはJIS3種ケイ砂を用い、各フィーダの粉体の吐出量の目標値は30g/hとした。
【0081】
試験の結果、容積式のフィーダ(MD-125SR-DV)では粉体の吐出量が33.37g/hであったのに対して、重量式のフィーダ(TF-70-CT(AD))では30.03g/hとなり、重量式のフィーダの粉体の吐出量の制御精度が高いことが確認された。伝動ベルトの耐久試験では、粉体の投入量がベルトの耐久性に影響を与えることから、吐出量をより厳密に制御できる重量式のフィーダを用いるのが好ましい。
【0082】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、仕切板が、内部空間をベルトが配置される空間と配置されない空間に、前後に仕切るまたは左右に仕切るように形成されていてもよい。この場合、撹拌機構は、内部空間内において、上下方向と平行な方向を旋回軸として、旋回(循環)する気流を生じさせる。
【0083】
整流板は、前後方向から見たときの試験槽の筐体の下方の2隅のみを塞ぐように設けられていてもよい。すなわち、前後方向から見たときの内部空間の下方の2隅のみ円弧形状となっていてもよい。また、試験槽の筐体を球状等にすることで、整流板を設けずに、筐体の壁のみで、各隅が円弧形状となる内部空間を画定していてもよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、上部空間SUと下部空間SBとを連通させる連通口21a,21bは、仕切板21と筐体の壁20c,20dとの間に形成された間隙であったが、これに限定されるものではなく、仕切板を貫通する貫通孔であってもよい。プーリの回転軸の軸方向は、前後方向と平行である必要はなく、例えば、上下方向と平行であってもよい。
【0085】
仕切板は、必須ではない。また、撹拌機構は、上述のような内部空間内を旋回する気流を生じさせる必要はなく、内部空間内に投入された粉体を撹拌することができればよい。ベルト及びファンの配置位置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、内部空間内であれば何れの場所であってもよい。同様に、温調機構の配置位置についても、上述の実施形態に限定されるものではない。温調機構が、試験槽の外部から内部空間の温度を調整できるのであれば、温調機構は、試験槽の外部に配置されていてもよい。
【0086】
また、上述の実施形態では、各駆動機構の動作を、単一の制御機構100で制御していたが、これに限定されるものではなく、各駆動機構の動作を、複数の制御機構で分担して行ってもよい。また、投入口22への粉体の供給等は、人手で行ってもよい。
【0087】
上述の実施形態では、粉体を投入する際に、ファン41の回転駆動を停止させていたが、停止させなくてもよい。すなわち、ベルト耐久試験処理の実行中において、ファンを常に回転駆動させていてもよい。この場合、内部空間内において粉体をより撹拌することができるので、粉体をベルト全体により均一に振り掛けることができる。なお、この場合、投入口の開口向きを、内部空間内の気流の流れ方向下流側に傾ける等、内部空間内に投入された粉体が投入口から試験槽の外部へ逆流するのを低減する手段を講じておくことが好ましい。
【0088】
吸引機構の動作タイミングは、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、吸引機構を、ベルト耐久試験処理中において、常に駆動させていてもよい。この場合、ベルト耐久試験処理中において、内部空間内を常に負圧にすることができるため、粉体が試験槽の外部へ飛散することをより抑制することができる。
【0089】
温調機構は、必須ではない。また、投入口や吸入口の形成位置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、内部空間と外部とを連通させる開口であればよい。
【符号の説明】
【0090】
1 ベルト耐久試験装置
2 試験槽
3 ベルト走行機構
4 撹拌機構
5 バルブ
6 エアジェット機構
7 吸引機構
8 フィーダ
9 温調機構
21 仕切板
21a,21b 連通口
22 投入口
23 吸引口
41 ファン
100 制御機構
B ベルト
Ba ベルト部分
P プーリ
S 内部空間
SU 上部空間(第1空間)
SB 下部空間(第2空間)