(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】排気ヒータおよび排気ヒータを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/06 20060101AFI20240611BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20240611BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H05B3/06 B
F01N3/20 K
H05B3/10 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022133900
(22)【出願日】2022-08-25
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】10 2021 122 082.3
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ハマー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン フロベニウス
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ブレンナー
(72)【発明者】
【氏名】ディートマー クシェル
(72)【発明者】
【氏名】ファティ ウイサル
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヘーベルレ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202021102620(DE,U1)
【文献】特開2002-295236(JP,A)
【文献】特開平5-144549(JP,A)
【文献】特開2002-260831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00~3/86
F01N 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気装置用の排気ヒータであって、
支持体ユニット(24)と、
該支持体ユニット(24)に支持された、少なくとも1つの通電式の加熱導体(14,16;14’)を備えた加熱導体ユニット(18)と、
該加熱導体ユニット(18)を前記支持体ユニット(24)に固く結合する結合ユニット(31)であって、前記加熱導体ユニット(18)は、前記結合ユニット(31)を介して前記支持体ユニット(24)に電気的に絶縁されて支持されている、結合ユニット(31)と
を有しており、
前記結合ユニット(31)は、複数の結合部材(32)を含んでおり、
前記加熱導体ユニット(18)は、少なくとも1つの前記結合部材(32)に、絶縁支持体ユニット(44)を介して少なくとも1つの前記結合部材(32)に対して電気的に絶縁されて支持されており、
少なくとも1つの前記結合部材(32)は、軸部(34)を有しており、前記絶縁支持体ユニット(44)は、前記軸部(34)を取り囲む支持体スリーブ(46)を有しており、該支持体スリーブは、前記軸部(34)に支持される絶縁材(48)を有しており、 少なくとも1つの前記加熱導体(14,16;14’)は、材料結合により、各前記支持体スリーブ(46)に固く結合されており、
前記加熱導体ユニット(18)は、少なくとも1つの前記支持体スリーブ(46)に固く結合された少なくとも1つの前記加熱導体(14,16;14’)を有している、
排気ヒータ。
【請求項2】
少なくとも1つの前記加熱導体(14,16;14’)は、溶接またはろう接により、各前記支持体スリーブ(46)に固く結合されている、請求項1記載の排気ヒータ。
【請求項3】
前記加熱導体ユニット(18)は、排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向に連続する、互いに間隔をあけて配置された複数の前記加熱導体(14,16)を有しており、該加熱導体(14,16)はそれぞれ、少なくとも1つの前記支持体スリーブに固く結合されている、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項4】
前記加熱導体(14,16)はそれぞれ、全ての前記支持体スリーブに固く結合されている、請求項3記載の排気ヒータ。
【請求項5】
前記絶縁材(48)は、前記軸部(34)および前記支持体スリーブ(46)との材料結合式の結合を提供する、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項6】
前記絶縁材(48)は、流動可能な状態で、前記軸部(34)と前記支持体スリーブ(46)との間に形成された中間室内にもたらされているか、または/かつ前記絶縁材(48)は、ガラスセラミック材料を含んでいる、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項7】
前記絶縁材(48)は、前記軸部(34)および前記支持体スリーブとの力結合式の結合を提供する、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項8】
前記絶縁材(48)は、前記軸部(34)と前記支持体スリーブ(46)との間に形成された中間室内に、圧入によりもたらされているか、または/かつ前記絶縁材(48)は、加圧された粉末材料または加圧された繊維材料を含んでいる、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項9】
前記加圧された粉末材料は酸化マグネシウム材料であり、または前記加圧された繊維材料はグラスファイバマット材料である、請求項8記載の排気ヒータ。
【請求項10】
前記支持体ユニット(24)は、排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向に互いに間隔をあけて配置された、それぞれの間に前記加熱導体ユニット(18)を収容する2つの支持体部材(20,22)を有しており、前記加熱導体ユニット(18)は、前記結合ユニット(31)を介して各前記支持体部材(20,22)に対して軸線方向に間隔をあけて前記支持体ユニット(24)に支持されている、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項11】
前記支持体スリーブ(46)は、各前記支持体部材(20,22)に対して軸線方向に間隔をあけて配置されている、請求項10記載の排気ヒータ。
【請求項12】
請求項1または2記載の排気ヒータ(10)を少なくとも1つ有している、内燃機関用の排気装置。
【請求項13】
請求項1または2記載の排気ヒータを製造する方法であって、以下の手段、すなわち、
a)前記結合部材(32)の前記軸部(34)を前記絶縁材(48)の介在下で取り囲む、該絶縁材(48)を介して前記軸部(34)に支持される前記支持体スリーブ(46)を含む、少なくとも1つの結合部材-支持体スリーブ構成群(54)を準備する手段と、
b)前記加熱導体ユニット(18)を
、前記支持体スリーブ(46)に固く結合し、結合ユニット-加熱導体ユニット構成群(56)を準備する手段と、
c)該結合ユニット-加熱導体ユニット構成群(56)を前記支持体ユニット(24)に結合する手段と
を含む、方法。
【請求項14】
前記手段b)を前記手段a)の前に実施するか、または前記手段b)を前記手段a)の後に実施する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記手段a)では、流動可能な状態の前記絶縁材(48)を、前記軸部(34)と前記支持体スリーブ(46)との間に形成された中間室内にもたらす、または前記手段a)では、前記絶縁材(48)を、前記軸部(34)と前記支持体スリーブ(46)との間に形成された前記中間室内に圧入する、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記手段b)では、複数の前記加熱導体(14,16)を、材料結合により前記支持体スリーブ(46)に固く結合する、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記支持体ユニット(24)が、排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向において前記加熱導体ユニット(18)に隣接する少なくとも1つの支持体部材(20,22)を有し、前記手段c)では、少なくとも1つの前記結合部材-支持体スリーブ構成群(54)の前記軸部(34)を、
前記排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向に位置する少なくとも1つの端部領域(58,60)において、前記支持体ユニット(24
)に結合する、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記支持体ユニット(24)は、排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向に互いに間隔をあけて配置された、それぞれの間に前記加熱導体ユニット(18)を収容する2つの支持体部材(20,22)を有しており、前記手段c)では、少なくとも1つの前記結合部材-支持体スリーブ構成群(54)の前記軸部(34)を、
前記排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向に位置するそれぞれの端部領域(58,60)において、前記支持体ユニット(24)の一方の支持体部材(20,22)に結合する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記支持体ユニット(24)が、排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向において前記加熱導体ユニット(18)に隣接する少なくとも1つの支持体部材(20,22)を有し、前記手段c)では、少なくとも1つの前記結合部材-支持体スリーブ構成群(54)の前記軸部(34)を、
前記排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向に位置する少なくとも1つの端部領域(58,60)において、前記支持体ユニット(24)
にねじ締結または/および材料結合により結合する、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ヒータであって、自動車の排気装置において、排気装置内を流れる、内燃機関から放出された排気に熱を伝達することができ、これにより、特に内燃機関の運転の始動段階において、排気ヒータに対して下流側に配置された、例えば触媒または粒子フィルタ等のシステム領域を、より迅速に運転温度にもたらす、排気ヒータに関する。
【0002】
後から公開された独国特許出願公開第102021109568号明細書から公知の排気ヒータでは、支持体ユニットの、金属薄板材料から形成された、実質的に板状の2つの支持体部材の間に、加熱導体ユニットの、平材からの切出しにより準備された、実質的に板状もしくは面状に形成された2つの加熱導体が、排気ヒータ長手方向に相応する排気主流れ方向に連続して配置されている。ピン状に形成された複数の結合部材を含む結合ユニットにより、支持体部材と、その間に配置された加熱導体との積層構造体がまとめて結合されている。支持体部材に対する加熱導体の電気的な絶縁もしくは加熱導体相互の電気的な絶縁を達成するために、これらの間にはそれぞれ、電気的に絶縁性の材料、例えばセラミック材料から成る複数のサポートユニットが配置されている。支持体部材と、加熱導体と、その間に配置されたサポートユニットとから成る積層構造体は、結合ユニットの結合部材によりまとめて結合されている。
【0003】
本発明の課題は、支持体ユニットにおける加熱導体ユニットの、電気的に絶縁された安定した保持を保証することができる排気ヒータおよびこのような排気ヒータを製造する方法を提供することにある。
【0004】
この課題は本発明に基づき、内燃機関の排気装置用の排気ヒータであって、
-支持体ユニットと、
-支持体ユニットに支持された、少なくとも1つの通電式の加熱導体を備えた加熱導体ユニットと、
-加熱導体ユニットを支持体ユニットに固く結合する結合ユニットであって、加熱導体ユニットは、結合ユニットを介して支持体ユニットに電気的に絶縁されて支持されている、結合ユニットと
を有しており、
結合ユニットは、複数の結合部材を含んでおり、
加熱導体ユニットは、少なくとも1つの結合部材に、絶縁支持体ユニットを介して少なくとも1つの結合部材に対して電気的に絶縁されて支持されている、
排気ヒータにより解決される。
【0005】
本発明に基づき形成された排気ヒータでは、支持体ユニットにおける加熱導体ユニットの所定の保持が、排気ヒータ長手方向軸線に関して軸線方向に支持体ユニットと加熱導体ユニットとの間で働くサポート部材により達成されているのではなく、結合ユニットの、やはり支持体ユニットに固く結合された少なくとも1つの結合部材における加熱導体ユニットの電気的に絶縁された保持により達成されている。
【0006】
これに関連して述べておくと、安定性を高めるためには、結合ユニットの好適には複数の、最も好適には全ての結合部材を利用して、加熱導体ユニットにこのような支持体機能を提供することができる。
【0007】
結合ユニットのこの支持作用は、少なくとも1つの結合部材が軸部を有しており、絶縁支持体ユニットが、軸部を取り囲む支持体スリーブを有しており、支持体スリーブが、軸部に支持される絶縁材を有していることにより提供され得る。
【0008】
加熱導体ユニットと結合ユニットとの固い結合は、加熱導体ユニットが、少なくとも1つの支持体スリーブに固く結合された少なくとも1つの加熱導体を有していることにより提供され得る。例えばこのために、少なくとも1つの加熱導体は、材料結合、好適には溶接またはろう接により、各支持体スリーブに固く結合されていてよい。
【0009】
高い加熱能力を得るために、加熱導体ユニットは、排気ヒータ長手方向軸線の方向に連続する、互いに間隔をあけて配置された複数の加熱導体を有していてよい。これらの加熱導体はそれぞれ、少なくとも1つの、好適には全ての支持体スリーブに固く結合されていてよい。
【0010】
絶縁材により安定した支持機能を得るために、絶縁材は、軸部および支持体スリーブとの材料結合式の結合を提供し得る。
【0011】
この材料結合を、軸部に対しても支持体スリーブに対しても達成するために、絶縁材は流動可能な状態で、軸部と支持体スリーブとの間に形成された中間室内にもたらされていてよい。このためには例えば、絶縁材は、溶融された状態で中間室内に流し込まれるガラスセラミック材料を含んでいてよい。流動可能な状態でもたらされてから硬化する絶縁材により、特に湿分の進入に対して耐性を有する構成の絶縁支持体ユニットが達成される。
【0012】
1つの択一的な構成では、絶縁材は、軸部および支持体スリーブとの力結合式の結合、つまり摩擦結合による結合を提供し得る。
【0013】
このために、絶縁材は、軸部と支持体スリーブとの間に形成された中間室内に、圧入によりもたらされてよい。例えばこの場合、絶縁材は、加圧された粉末材料、好適には酸化マグネシウム材料、または加圧された繊維材料、好適にはグラスファイバマット材料を含んでいてよい。
【0014】
排気ヒータの安定的な構造のために、支持体ユニットは、排気ヒータ長手方向軸線の方向に互いに間隔をあけて配置された、それぞれの間に加熱導体ユニットを収容する2つの支持体部材を有していてよく、加熱導体ユニットは、結合ユニットを介して各支持体部材に対して軸線方向に間隔をあけて支持体ユニットに支持されていてよい。
【0015】
この場合、一般に金属材料により形成される支持体スリーブを介した電気的な短絡を回避するために、支持体スリーブは、各支持体部材に対して軸線方向に間隔をあけて配置されている、ということを提案する。
【0016】
本発明はさらに、本発明により形成された少なくとも1つの排気ヒータを有する、内燃機関用の排気装置に関する。
【0017】
さらに本発明は、本発明による排気ヒータを製造する方法であって、以下の手段、すなわち、
a)結合部材の軸部を絶縁材の介在下で取り囲む、絶縁材を介して軸部に支持される支持体スリーブを含む、少なくとも1つの結合部材-支持体スリーブ構成群を準備する手段と、
b)加熱導体ユニットを、少なくとも1つの結合部材-支持体スリーブ構成群の支持体スリーブに固く結合し、結合ユニット-加熱導体ユニット構成群を準備する手段と、
c)結合ユニット-加熱導体ユニット構成群を支持体ユニットに結合する手段と
を含む、方法に関する。
【0018】
手段a)において、製造しようとする結合部材-支持体スリーブ構成群の個々のコンポーネントを容易に取り扱うことができるようにするために、手段b)を、手段a)の後に実施することを提案する。つまり、まず支持体スリーブを、対応する結合部材に絶縁材を介して固く結合し、その後、支持体スリーブを、対応する、各加熱導体ユニットの加熱導体に結合する。1つの択一的な方式では、手段b)を手段a)の前に実施してもよい。つまり、まず1つまたは複数の支持体スリーブを、対応する、各加熱導体ユニットの加熱導体に結合し、その後、このような支持体スリーブそれぞれに対応して、結合部材をその軸部でもって、絶縁材を介して電気的に絶縁されるように、支持体スリーブに結合する。つまりこの場合、手段a)と手段b)とは互いに移行し合うもしくは互いに重畳している。手段c)は、好適には、手段a)および手段b)が実施されてから初めて実施される。
【0019】
手段a)では、流動可能な状態の絶縁材を、軸部と支持体スリーブとの間に形成された中間室内にもたらしてよい。1つの択一的な構成では、手段a)では、絶縁材を、軸部と支持体スリーブとの間に形成された中間室内に圧入してよい。
【0020】
機械的に安定しておりかつ排気の化学的な影響に対して耐性を有する構成を得るために、手段b)では、少なくとも1つの加熱導体、好適には複数の加熱導体を、材料結合により支持体スリーブに固く結合する、ということを提案する。
【0021】
支持体ユニットとの固い結合のために、手段c)では、少なくとも1つの結合部材-支持体スリーブ構成群の軸部を、排気ヒータ長手方向軸線の方向に位置する少なくとも1つの、好適にはそれぞれの端部領域において、支持体ユニットの一方の支持体部材に、好適にはねじ締結または/および材料結合により結合してよい。
【0022】
以下に、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】排気ヒータの支持体ユニットにおける、加熱導体ユニットの電気的に絶縁された保持を示す詳細図である。
【0024】
図3を参照して、排気ヒータの支持体ユニットにおける加熱導体ユニットの、本発明による形式で電気的に絶縁された保持を詳細に説明する前に、
図1および
図2を参照して、例えば自動車に設けられる内燃機関の排気装置12用の、このような排気ヒータ10の基本的な構成を説明する。
【0025】
排気装置12内では、排気が排気主流れ方向Hに、このような排気ヒータ10を通流可能であり、排気ヒータ10は、排気ヒータ長手方向軸線Lの方向に連続して配置された、ひいては実質的に排気主流れ方向Hに流れる排気が連続して周りを流動可能な、全体的に符号18で表された加熱導体ユニットの2つの加熱導体14,16を有している。加熱導体14,16は、実質的に板状にもしくは平材から形成されており、平材素材、特に金属素材からの切出しにより、蛇行状構造で延びる複数の部分が提供された構造を備えて形成され得る。
【0026】
2つの加熱導体14,16の、排気ヒータ長手方向軸線Lの方向において互いに反対の側には、全体的に符号24で表された支持体ユニットの、実質的に板状に形成された支持体部材20,22が設けられている。板状の支持体部材20,22の外周領域には、実質的に円筒状の支持体ケーシング26が固定されている。
【0027】
2つの加熱導体14,16は、互いに直列または並列に接続されていてよい。電圧源との電気的な接続のために、支持体ケーシング26を貫通する2つの接続ユニット28,30が設けられており、接続ユニット28,30は、支持体ケーシング26により取り囲まれた内部空間内で、加熱導体14,16に導電接続されている。
【0028】
安定的な複合体を得るために、2つの支持体部材20,22と、その間に配置された、互いにすぐ隣に位置する加熱導体14,16とは、ピン状に形成された複数の結合部材32を含む結合ユニット31により、互いに固く結合されている。結合部材32は、例えば軸部34とヘッド36とを備えたスタッドとして形成されていてよい。軸部34には、例えばナット部材37がねじ嵌められていてよく、これによりヘッド36とナット部材37との間に、支持体部材20,22と加熱導体14,16とから成る積層構造体を挟み込むことができる。
【0029】
支持体ユニット24の、一般に金属材料から形成される支持体部材20,22に対して、加熱導体14,16の電気的な絶縁を達成するためには、加熱導体部材14と支持体部材20との間に、例えば各結合部材32に対応して、電気的に絶縁性の材料、例えばセラミック材料により形成され、実質的に板状に形成され、かつ対応する結合部材32が、内部に設けられた開口の領域を貫通する支持体ユニット-サポートユニット38が設けられている。同様に、例えば各結合部材32に対応して、加熱導体16と支持体部材22との間に配置された支持体部材-サポートユニット40が設けられている。
【0030】
隣り合って位置する2つの加熱導体14,16を互いに対して電気的に絶縁して支持するためには、例えば各結合部材32に対応して、加熱導体サポートユニット42が設けられている。各加熱導体サポートユニット42も、1つまたは複数のディスクでもって実質的に板状に形成されており、セラミック材料により形成されている。結合部材32が加熱導体14,16を貫通している場所では、加熱導体14,16に形成された開口内に、スリーブ状の絶縁部材47が挿入されており、これにより、加熱導体14,16に設けられた開口内での結合部材32の所定の位置決めを達成することができる。
【0031】
次に
図3を参照して、本発明の原理に基づき、その基本的な構造に関して上述した構成を有する排気ヒータ10において、上述したサポートユニット38,40,42を必要とすることなしに、加熱導体ユニット18を、結合ユニット31もしくは結合ユニット31の結合部材32を介して電気的に絶縁して支持体ユニット24もしくは支持体ユニット24の2つの支持体部材20,22に支持することができる方法を詳細に説明する。
【0032】
図3には、排気ヒータ10の、結合ユニット31の結合部材32の領域の一部が詳細に示されている。この場合、
図3には、図示の結合部材32の左側もしくは右側に位置する領域に、2つの異なる構成の加熱導体ユニット18が示されている。結合部材32の左側に位置する領域には、排気ヒータ長手方向軸線Lの方向に連続する、互いに間隔をあけて配置された2つの加熱導体14,16を備えた加熱導体ユニット18が示されている。
図3において結合部材32の右側に位置する領域には、単一の加熱導体14’のみを備えた加熱導体ユニット18が示されている。ただし、加熱導体ユニット18を以下に説明する方法で、結合ユニット31を介して支持体ユニット24もしくは支持体ユニット24の2つの支持体部材20,22に支持する方法は、加熱導体ユニット18の加熱導体の数とは無関係である。
【0033】
図3には、加熱導体ユニット18の各加熱導体14,16もしくは14’は、支持体ユニット24において、加熱導体14,16もしくは14’と支持体部材20,22との間で働くサポートユニットにより実現されているのではなく、加熱導体14,16もしくは単一の加熱導体14’は、結合部材32に対応して設けられた絶縁支持体ユニット44を介して支持体ユニット24に電気的に絶縁されて支持されている、ということが示されている。加熱導体ユニット18との強固な複合体を形成するこのような絶縁支持体ユニット44は、好適には結合ユニット31の複数の結合部材32に対応して、最も好適には結合ユニット31の全ての結合部材32に対応して設けられている、ということに留意されたい。
【0034】
絶縁支持体ユニット44は、段付きピンとして形成された結合部材32の軸部34を取り囲む支持体スリーブ46を有している。環状に形成されかつ軸部34を好適にはその周面領域全体において取り囲む支持体スリーブ46と軸部34との間に形成された中間室には、絶縁材48が充填されている。絶縁材48は、半径方向においても軸線方向においても強固な、結合部材32の軸部34と支持体スリーブ46との複合体を形成する。
【0035】
加熱導体ユニット18もしくはその加熱導体14,16もしくは14’は、支持体スリーブ46に材料結合により、例えば
図3に認められる溶接部50,52もしくは50’により固く結合されている。例えば加熱導体14,16もしくは14’は、支持体スリーブ46とのこのような固い結合が生ぜしめられるべき場所に開口を有していてよく、支持体スリーブ46は、この開口を通って案内されてから、例えば全周に延びる溶接シームによりまたはスポット溶接により、各加熱導体14,16もしくは14’に結合される。
【0036】
支持体スリーブ46は、例えば同様に金属材料により形成された2つの支持体部材20,22に対して軸線方向に間隔を有するように設計されているもしくは結合部材32の軸部34に固定されているため、支持体部材20,22と支持体スリーブ46との間に電気的な短絡の可能性は生じない。よって、絶縁支持体ユニット44および結合部材32もしくはこのような絶縁支持体ユニット44と協働する各結合部材32を介して、加熱導体ユニット18は、軸線方向において支持体ユニット24の2つの支持体部材20,22の間の所定の位置に保持されている。加熱導体14,16もしくは14’を軸線方向において支持するための追加的な手段は不要である。
【0037】
支持体スリーブ46と、結合部材32の軸部34との強固な複合体は、例えば、絶縁材48が流動可能な、例えば溶融された状態で、支持体スリーブ46と軸部34との間に形成された中間室内に流し込まれることにより形成され得る。このためには例えば、硬化後に軸部34にも支持体スリーブ46にも付着して材料結合式の結合を提供するガラスセラミック材料が利用され得る。
【0038】
1つの択一的な構成では、絶縁材48は、支持体スリーブ46と軸部34との間に形成された中間室内に、圧入によりもたらされてよい。例えばこのためには粉末状の材料、例えば酸化マグネシウム材料等が利用され得、粉末状の材料は、中間室内にもたらされてその中で加圧され、その結果、最初は粉末状の材料自体内に安定した結合が生じ、これにより、軸部34の外周面と支持体スリーブ46の内周面とに対する力結合、つまり摩擦結合も生じることになる。この結合を強めるために、最初は粉末状の絶縁材48に、その構造的なまとまりを強固にする接着剤が組み込まれていてもよい。
【0039】
1つの別の択一的な構成では、絶縁材は、例えば排気装置の実質的に管状の触媒ケーシング内に触媒ブロックを保持するためにも利用される繊維材料、例えば繊維マット材料等を含んでいてよい。例えばこのためには軸部34が繊維材料により取り囲まれ、さらに支持体スリーブ46が、繊維材料もしくは繊維マット材料により取り囲まれた軸部34に被せ嵌められてよく、このとき繊維材料は加圧され、摩擦結合に基づき軸部34と支持体スリーブ46との間に強固な結合を生ぜしめる。
【0040】
このような排気ヒータ10の製造に際しては、例えばまず、上述した方法のうちの1つで絶縁材48をもたらすことにより支持体スリーブ46を対応する結合部材32のところに位置固定することにより、結合ユニット31の結合部材32もしくは各結合部材32と、それぞれに対応する支持体スリーブ46とでもって結合部材-支持体スリーブ構成群54を準備するように進めてよい。このようにして準備した結合部材-支持体スリーブ構成群54を、次いで次の方法ステップにおいて加熱導体ユニット18の加熱導体14,16もしくは14’に固く結合してよく、このようにして、結合ユニット-加熱導体ユニット構成群56を準備する。このためには、排気ヒータ10に設けようとする結合部材-支持体スリーブ構成群54の支持体スリーブ46を、上述したように溶接部50,52もしくは50’を形成することにより、場合により1つの択一的な方式ではろう接により、加熱導体ユニット18の1つもしくは複数の加熱導体に固く結合してよい。
【0041】
次いで、段付きピンとして形成された結合部材32の軸線方向端部領域58,60に設けられたねじ山部分を、支持体部材20,22に設けられた対応する開口を通して案内し、次いで前記ねじ山部分にナット部材37,37’をねじ嵌めることにより、前記のように製造した結合ユニット-加熱導体ユニット構成群56を、支持体ユニット24の2つの支持体部材20,22に結合してよい。択一的に、結合部材32の軸線方向端部領域58,60は、例えば材料結合、例えば溶接によっても支持体部材20に固定され得る。
【0042】
1つの択一的な方式では、まず加熱導体ユニット18を、例えば材料結合により、1つもしくは複数の支持体スリーブ46に固く結合してよい。次いで、加熱導体ユニット18の加熱導体14,16もしくは14’に既に結合された支持体スリーブ46内に、対応する結合部材32を挿入し、支持体スリーブ46内で、絶縁材48により位置固定してもよい。つまり、各結合部材-支持体スリーブ構成群54を準備する手段は、加熱導体ユニット18を1つもしくは複数の支持体スリーブ46に結合する手段の後になる。よって、結合ユニット-加熱導体ユニット構成群56を準備する手段は、結合部材-支持体スリーブ構成群54を準備する手段の前もしくは結合部材-支持体スリーブ構成群54を準備する手段に重畳して行われる。
【0043】
本発明に基づき設けられたもしくは設けようとする排気ヒータの構成により、構造的により簡単な構成において、排気ヒータの支持体ユニットにおける加熱導体ユニットの、適用された様々な構成部材相互の結合に基づき機械的かつ熱的に、さらには化学的な影響に対しても耐性を有する、電気的に絶縁された確実な保持が実現される。