(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】内燃機関の排ガス装置用の加熱ユニット
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
F01N3/20 K
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022173047
(22)【出願日】2022-10-28
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】10 2021 128 240.3
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲアト ガイザー
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-339122(JP,A)
【文献】特開平07-042636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガス装置用の加熱ユニットであって、ガスにより排ガス主流れ方向(A)で通流可能な加熱ユニットハウジング(18)と、前記加熱ユニットハウジング(18)内に配置され、蛇行状に成形された複数の加熱要素(20,22,24,26)とを備え、各々の加熱要素(20,22,24,26)は、加熱要素長手方向(H)で連続する、前記加熱要素長手方向(H)に対して実質的に直交して配置されたかつ/または互いに実質的に平行に配置されたプレート状の複数の加熱区分(28)を有し、各々の加熱要素(20,22,24,26)の、前記加熱要素長手方向(H)で連続して配置された加熱区分(28)は、それぞれ結合区分(30)によって互いに結合されており、各々の加熱要素(20,22,24,26)は、前記加熱要素長手方向で互いに間隔を置いて配置された2つの接続領域(32,34)を有し、前記加熱要素(20,22,24,26)は、各々の接続領域(32,34)で別の加熱要素(20,22,24,26)の接続領域(32,34)にかつ/または電圧源に導電接続されているかまたは導電接続可能であり、各々の加熱要素(20,22,24,26)では、前記加熱要素(20,22,24,26)の接続領域(32,34)の間の加熱導体長さが、前記加熱要素(20,22,24,26)の、前記加熱要素長手方向(H)における前記加熱要素(20,22,24,26)の接続領域(32,34)の間の延在長さよりも大きい、加熱ユニットにおいて、
少なくとも2つの加熱要素(20,22,24,26)は、実質的に等しい加熱導体長さを有し、
実質的に等しい加熱導体長さを有する少なくとも2つの加熱要素(20、22、24、26)の少なくとも1つの加熱要素(20,26)では、前記排ガス主流れ方向(A)に対して横方向のかつ前記加熱要素長手方向(H)に対して横方向の横方向寸法(Q)が、前記加熱要素長手方向(H)の方向において、前記加熱要素長手方向(H)に対して実質的に直交して配置されたかつ/または互いに実質的に平行に配置されたそれぞれ2つの加熱区分(28)を互いに結合する前記結合区分(30)の間で前記加熱要素長手方向(H)の方向において変化して
おり、実質的に等しい加熱導体長さを有する少なくとも2つの加熱要素(20、22、24、26)の少なくとも1つの加熱要素(22,24)では、前記排ガス主流れ方向(A)に対して横方向のかつ前記加熱要素長手方向(H)に対して横方向の横方向寸法(Q)が、それぞれ2つの加熱区分(28)を互いに結合する前記結合区分(30)の間で前記加熱要素長手方向(H)の方向で実質的に一定であることを特徴とする、加熱ユニット。
【請求項2】
全ての加熱要素(20,22,24,26)は、実質的に等しい加熱導体長さを有することを特徴とする、請求項1記載の加熱ユニット。
【請求項3】
各々の加熱要素(20,22,24,26)は、曲げられた平形帯材によって構成されていて、前記排ガス主流れ方向(A)に対して実質的に平行に配置された広幅面(50,52)と、前記排ガス主流れ方向(A)に対して実質的に直交して配置された端面(46,48)とを有し、少なくとも2つの加熱要素(20,22,24,26)は、その各々の端面(46,48)の間に実質的に、等しい加熱導体幅を有し、かつ/またはその各々の広幅面(50,52)の間に実質的に、等しい厚さを有することを特徴とする、請求項1または2記載の加熱ユニット。
【請求項4】
全ての加熱要素(20,22,24,26)は、その各々の端面(46,48)の間に実質的に、等しい加熱導体幅を有し、かつ/またはその各々の広幅面(50,52)の間に実質的に、等しい厚さを有することを特徴とする、請求項3記載の加熱ユニット。
【請求項5】
実質的に一定の横方向寸法(Q)を備えた前記少なくとも1つの加熱要素(22,24)では、前記横方向寸法(Q)は、前記加熱要素長手方向(H)で変化している横方向寸法(Q)を備えた前記少なくとも1つの加熱要素(20,26)の最大の横方向寸法よりも小さいことを特徴とする、請求項
1または2記載の加熱ユニット。
【請求項6】
前記加熱要素(20,22,24,26)は、その接続領域(32,34)で接触要素に導電接続されており、少なくとも2つの加熱要素(20,22,24,26)は、その接続領域(32,34)のうちの1つの接続領域で前記接触要素(36,38,40)のうちの1つの接触要素に導電接続されていて、前記接続領域(32,34)のうちの他の接続領域で前記接触要素(36,38,40)のうちの他の接触要素に導電接続されていることを特徴とする、請求項1または2記載の加熱ユニット。
【請求項7】
前記加熱要素(20,22,24,26)のうちの少なくとも2つの加熱要素を備えた第1のグループ(G
1)では、前記加熱要素(20,22)は、その1つの接続領域(32)で前記接触要素(36,38,40)のうちの第1の接触要素に導電接続されていて、前記加熱要素(20,22)の他の接続領域(34)で前記接触要素(36,38,40)のうちの第2の接触要素に導電接続されており、前記加熱要素(20,22,24,26)のうちの少なくとも2つの加熱要素を備えた第2のグループ(G
2)では、前記加熱要素(24,26)は、その1つの接続領域(32)で前記接触要素(36,38,40)のうちの第3の接触要素に導電接続されていて、前記加熱要素(24,26)の他の接続領域(34)で前記接触要素(36,38,40)のうちの前記第2の接触要素に導電接続されていることを特徴とする、請求項
6記載の加熱ユニット。
【請求項8】
前記第1のグループ(G
1)の前記加熱要素(20,22)の数は、前記第2のグループ(G
2)の前記加熱要素(24,26)の数に等しいことを特徴とする、請求項
7記載の加熱ユニット。
【請求項9】
少なくとも2つの加熱要素では、前記加熱要素長手方向(H)で互いに直接連続している加熱区分(28)が、前記加熱要素長手方向(H)で実質的に、等しい相互間隔を有することを特徴とする、請求項1または2記載の加熱ユニット。
【請求項10】
全ての加熱要素では、前記加熱要素長手方向(H)で互いに直接連続している加熱区分(28)が、前記加熱要素長手方向(H)で実質的に、等しい相互間隔を有することを特徴とする、請求項
9記載の加熱ユニット。
【請求項11】
少なくとも1つの加熱要素(20,22,24,26)では、排ガス接触表面が、少なくとも部分的に触媒として有効な材料(78)を備えて提供されていることを特徴とする、請求項1または2記載の加熱ユニット。
【請求項12】
全ての加熱要素(20,22,24,26)では、排ガス接触表面が、少なくとも部分的に触媒として有効な材料(78)を備えて提供されていることを特徴とする、請求項
11記載の加熱ユニット。
【請求項13】
前記加熱ユニットハウジング(18)に前記加熱要素(20,22,24,26)を電気絶縁して保持するための、かつ/または前記加熱要素長手方向(H)に対して横方向に直接隣接した加熱要素(20,22,24,26)を互いに電気絶縁して保持するための保持ユニット(54)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の加熱ユニット。
【請求項14】
前記保持ユニット(54)は、全ての加熱要素(20,22,24,26)を実質的に環状に取り囲む加熱ユニットハウジング保持領域(56)を備え、かつ/または前記保持ユニット(54)は、少なくとも1つの加熱要素(20,22,24,26)に割り当てられて、加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)を備えることを特徴とする、請求項
13記載の加熱ユニット。
【請求項15】
前記保持ユニット(54)は、各々の加熱要素(20,22,24,26)に割り当てられて、加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)を備えることを特徴とする、請求項
14記載の加熱ユニット。
【請求項16】
前記加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)の少なくとも一部は、互いに一体に形成されていることを特徴とする、請求項
14記載の加熱ユニット。
【請求項17】
全ての加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)は、互いに一体に形成されていることを特徴とする、請求項
16記載の加熱ユニット。
【請求項18】
少なくとも1つの加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)は、前記排ガス主流れ方向(A)で連続して配置された、互いに別個に形成された2つの部分(74,76)を備えることを特徴とする、請求項
17記載の加熱ユニット。
【請求項19】
各々の加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)は、前記排ガス主流れ方向(A)で連続して配置された、互いに別個に形成された2つの部分(74,76)を備えることを特徴とする、請求項
18記載の加熱ユニット。
【請求項20】
少なくとも1つの加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)は、前記加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)によって保持される少なくとも1つの加熱要素(20,22,24,26)に割り当てられて、前記加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)によって保持される少なくとも1つの前記加熱要素(20,22,24,26)の少なくとも1つの結合区分(30)を前記加熱要素長手方向(H)への運動に抗して保持するための形状接続保持構成(68)を有することを特徴とする、請求項
14記載の加熱ユニット。
【請求項21】
各々の加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)は、前記加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)によって保持される各々の加熱要素(20,22,24,26)に割り当てられて、前記加熱要素保持領域(58,60,62,64,66)によって保持される少なくとも1つの前記加熱要素(20,22,24,26)の各々の結合区分(30)を前記加熱要素長手方向(H)への運動に抗して保持するための形状接続保持構成(68)を有することを特徴とする、請求項
20記載の加熱ユニット。
【請求項22】
少なくとも1つの形状接続保持構成(68)は、それぞれ、前記加熱要素長手方向(H)で直接隣接した2つの結合区分(30)の間に係合する複数の保持突起(70;70a,70b)を備え、かつ/または少なくとも1つの形状接続保持構成(68)は、それぞれ、1つの結合区分(30)によって互いに結合された2つの加熱区分(28)の間に係合する複数の保持突起(72a,72b)を備えることを特徴とする、請求項
20記載の加熱ユニット。
【請求項23】
各々の形状接続保持構成(68)は、それぞれ、前記加熱要素長手方向(H)で直接隣接した2つの結合区分(30)の間に係合する複数の保持突起(70;70a,70b)を備え、かつ/または各々の形状接続保持構成(68)は、それぞれ、1つの結合区分(30)によって互いに結合された2つの加熱区分(28)の間に係合する複数の保持突起(72a,72b)を備えることを特徴とする、請求項
22記載の加熱ユニット。
【請求項24】
前記保持ユニット(54)は、少なくとも前記加熱要素(20,22,24,26)に接触している領域で電気絶縁材料を備えて構成されている、かつ/または電気絶縁材料によって被覆されていることを特徴とする、請求項
14記載の加熱ユニット。
【請求項25】
前記保持ユニット(54)は、少なくとも前記加熱要素(20,22,24,26)に接触している領域で実質的に完全に電気絶縁材料を備えて構成されている、かつ/または電気絶縁材料によって被覆されていることを特徴とする、請求項
24記載の加熱ユニット。
【請求項26】
少なくとも2つの加熱要素(20,22,24,26)は、前記排ガス主流れ方向(A)に対して横方向で相並んで配置されており、かつ/または少なくとも2つの加熱要素(20,22,24,26)は、互いに実質的に平行な加熱要素長手方向(H)を有して配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の加熱ユニット。
【請求項27】
全ての加熱要素(20,22,24,26)は、前記排ガス主流れ方向(A)に対して横方向で相並んで配置されており、かつ/または全ての加熱要素(20,22,24,26)は、互いに実質的に平行な加熱要素長手方向(H)を有して配置されていることを特徴とする、請求項
26記載の加熱ユニット。
【請求項28】
請求項1または2記載の加熱ユニット(14)を排ガス処理ユニット(16)の上流に備える、内燃機関用の排ガス装置。
【請求項29】
前記排ガス処理ユニット(16)は、触媒および/またはパティキュレートフィルタを備えることを特徴とする、請求項
28記載の排ガス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガス装置用の加熱ユニットであって、排ガスにより排ガス主流れ方向で通流可能な加熱ユニットハウジングと、加熱ユニットハウジング内に配置され、蛇行状に成形された複数の加熱要素とを備え、各々の加熱要素は、加熱要素長手方向で連続する実質的にプレート状の複数の加熱区分を有し、各々の加熱要素の、加熱要素長手方向で連続して配置された加熱区分は、それぞれ結合区分によって互いに結合されており、各々の加熱要素は、加熱要素長手方向で互いに間隔を置いて配置された2つの接続領域を有し、加熱要素は、各々の接続領域で別の加熱要素の接続領域にかつ/または電圧源に導電接続されているかまたは導電接続可能であり、各々の加熱要素では、加熱要素の接続領域の間の加熱導体長さが、加熱要素の、加熱要素長手方向における加熱要素の接続領域の間の延在長さよりも大きい、加熱ユニットに関する。
【0002】
このような加熱ユニットは、独国特許出願公開第102020132800号明細書に基づき公知である。
【0003】
本発明の課題は、このような加熱ユニットを改良して、加熱ユニットを通して導かれるガス流のより効果的でより均一な加熱を保証する加熱ユニットを提供することである。
【0004】
この課題は、本発明によれば、内燃機関の排ガス装置用の加熱ユニットであって、ガス、特に内燃機関から排出された排ガスにより排ガス主流れ方向で通流可能な加熱ユニットハウジングと、加熱ユニットハウジング内に配置され、蛇行状に成形された複数の加熱要素とを備え、各々の加熱要素は、加熱要素長手方向で連続する実質的にプレート状の複数の加熱区分を有し、各々の加熱要素の、加熱要素長手方向で連続して配置された加熱区分は、それぞれ結合区分によって互いに結合されており、各々の加熱要素は、加熱要素長手方向で互いに間隔を置いて配置された2つの接続領域を有し、加熱要素は、各々の接続領域で別の加熱要素の接続領域にかつ/または電圧源に導電接続されているかまたは導電接続可能であり、各々の加熱要素では、加熱要素の接続領域の間の加熱導体長さが、加熱要素の、加熱要素長手方向における加熱要素の接続領域の間の延在長さよりも大きい、加熱ユニットによって解決される。
【0005】
本発明に係る加熱ユニットは、少なくとも2つの、好ましくは全ての加熱要素が、実質的に等しい加熱導体長さを有する点で優れている。
【0006】
蛇行状もしくは波状の構造を備えた加熱要素を提供することによって、この蛇行状の構造を備えて配置された加熱要素の加熱要素長手方向における延在長さが、加熱導体長さ、つまり、蛇行状の構造を備えて配置されているのではなく、接続領域同士の間で直線的に延びている加熱要素の長さよりも、全般的に明らかに短いという状況に基づき、比較的小さな体積にて、各々の加熱要素の周りを流れるガスに熱を伝達するための大きな表面積を得ることができる。これにより、熱を吸収するガス、特に内燃機関から排出された排ガスによって、大きな熱量を、排ガス装置の、加熱要素の下流に位置決めされたシステム領域、特に触媒に伝達することができ、これによって、触媒を、触媒反応を実施するのに必要な開始温度に迅速にもたらすことができる。本発明のように構成された加熱ユニットでは、個々の加熱要素の全てまたは少なくとも幾つかが、互いに実質的に等しい加熱導体長さを有しているので、これにより、異なる加熱要素の、実質的に均一に構成された電気抵抗に基づき、各々の加熱要素を介して、電圧の印加による加熱要素の加熱時に実質的に等しい熱量を、加熱要素の周りを流れる排ガスに供給することができ、これによって、加熱ユニットを通流する排ガス流が、その横断面にわたって分配されて実質的に均一に加熱される。
【0007】
本発明に係る加熱ユニットでは、各々の加熱要素は、曲げられた平形帯材によって構成されていて、排ガス主流れ方向に対して実質的に平行に配置された広幅面と、排ガス主流れ方向に対して実質的に直交して配置された端面とを有してよい。この場合、少なくとも2つの、好ましくは全ての加熱要素が、その各々の端面の間に実質的に、等しい、好ましくは実質的に一定の加熱導体幅を有し、かつ/またはその各々の広幅面の間に実質的に、等しい、好ましくは実質的に一定の厚さを有すると、異なる加熱要素における実質的に等しい電気抵抗の提供ひいてはガス流の可能な限り均一な加熱がサポートされる。
【0008】
加熱ユニットハウジングの横断面幾何学形状への加熱要素の構成の適合を達成するために、少なくとも1つの加熱要素では、排ガス主流れ方向に対して横方向のかつ加熱要素長手方向に対して横方向の横方向寸法が、加熱要素長手方向の方向で実質的に一定であり、かつ/または少なくとも1つの加熱要素では、横方向寸法が、加熱要素長手方向の方向で変化していることが提案される。
【0009】
また、加熱要素のこのような異なる構成でも、実質的に等しい電気抵抗の提供を加熱要素によってサポートするために、実質的に一定の横方向寸法を備えた少なくとも1つの加熱要素では、横方向寸法は、加熱要素長手方向で変化している横方向寸法を備えた少なくとも1つの加熱要素の最大の横方向寸法よりも小さくてよい。
【0010】
加熱要素を電気的に接触接続するために、加熱要素は、その接続領域で接触要素に導電接続されており、少なくとも2つの加熱要素は、その接続領域のうちの1つの接続領域で接触要素のうちの1つの接触要素に導電接続されていて、接続領域のうちの他の接続領域で接触要素のうちの他の接触要素に導電接続されていてよい。
【0011】
互いに電気的に並列接続されている加熱要素と、互いに電気的に直列接続されている加熱要素との組合せを得るために、加熱要素のうちの少なくとも2つの加熱要素を備えた第1のグループでは、加熱要素は、その1つの接続領域で接触要素のうちの第1の接触要素に導電接続されていて、加熱要素の他の接続領域で接触要素のうちの第2の接触要素に導電接続されており、加熱要素のうちの少なくとも2つの加熱要素を備えた第2のグループでは、加熱要素は、その1つの接続領域で接触要素のうちの第3の接触要素に導電接続されていて、加熱要素の他の接続領域で接触要素のうちの第2の接触要素に導電接続されていることが提案される。
【0012】
この場合にも、ガス流の可能な限り均一な加熱を保証するために、第1のグループの加熱要素の数は、第2のグループの加熱要素の数に等しくてよい。
【0013】
加熱ユニットの横断面にわたって実質的に一定の熱入力によるガス流の可能な限り均一な加熱は、少なくとも2つの、好ましくは全ての加熱要素では、加熱要素長手方向で互いに直接連続している加熱区分が、加熱要素長手方向で実質的に、等しい、好ましくは実質的に一定の相互間隔を有し、かつ/または少なくとも2つの、好ましくは全ての加熱要素では、加熱要素長手方向で互いに直接連続している加熱区分が、互いに実質的に平行に配置されていることによって達成することができる。
【0014】
既に加熱ユニット自体において、加熱要素の周りを流れる排ガスを浄化するための触媒反応を引き起こすことができるようにするために、好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは全ての加熱要素では、排ガス接触表面が、少なくとも部分的に触媒として有効な材料を備えて提供されていることが有利である。
【0015】
加熱ユニットハウジングにおける加熱要素の規定の位置決めのために、加熱ユニットハウジングに加熱要素を電気絶縁して保持するための、かつ/または加熱要素長手方向に対して横方向に直接隣接した加熱要素を互いに電気絶縁して保持するための保持ユニットが設けられていてよい。
【0016】
この場合、保持ユニットは、全ての加熱要素を実質的に環状に取り囲む加熱ユニットハウジング保持領域、例えば、例えばセラミックス繊維材料またはこれに類するもののような電気絶縁性の繊維材料から成る加熱ユニットハウジング保持領域を備え、かつ/または保持ユニットは、少なくとも1つの、好ましくは各々の加熱要素に割り当てられて、加熱要素保持領域を備えていてよい。
【0017】
簡単かつ安定的に実現可能な構造では、加熱要素保持領域の少なくとも一部、もしくは全ての加熱要素保持領域が、互いに一体に、つまり、一体構造もしくはモノリシック構造として形成されていてよい。
【0018】
加熱要素と保持ユニットとの簡単な結合を可能にするためには、少なくとも1つの、好ましくは各々の加熱要素保持領域が、排ガス主流れ方向で連続して配置された、互いに別個に形成された2つの部分を備えることが有利である。
【0019】
保持ユニットにおける加熱要素の規定の位置決めは、少なくとも1つの、好ましくは各々の加熱要素保持領域が、加熱要素保持領域によって保持される少なくとも1つの、好ましくは各々の加熱要素に割り当てられて、加熱要素保持領域によって保持される少なくとも1つの加熱要素の少なくとも1つの、好ましくは各々の結合領域を加熱要素長手方向への運動に抗して保持するための形状接続保持構成を有することによってサポートすることができる。
【0020】
このためには、少なくとも1つの、好ましくは各々の形状接続保持構成が、それぞれ、加熱要素長手方向で直接隣接した2つの結合区分の間に係合する複数の保持突起を備え、かつ/または少なくとも1つの、好ましくは各々の形状接続保持構成が、それぞれ、1つの結合区分によって互いに結合された2つの加熱区分の間に係合する複数の保持突起を備えてよい。
【0021】
加熱ユニット自体によって引き起こされる電気的な短絡を回避するために、保持ユニットは、少なくとも加熱要素に接触している領域で、好ましくは実質的に完全に、電気絶縁材料を備えて構成されている、かつ/または電気絶縁材料によって被覆されていることが提案される。
【0022】
本発明のように構成された加熱ユニットでは、少なくとも2つの、好ましくは全ての加熱要素が、排ガス主流れ方向に対して横方向で相並んで配置されており、かつ/または少なくとも2つの、好ましくは全ての加熱要素が、互いに実質的に平行な加熱要素長手方向を有して配置されていてよく、かつ/または少なくとも1つの、好ましくは各々の加熱要素では、好ましくは全ての加熱区分の少なくとも一部が、加熱要素長手方向に対して実質的に直交して配置されていてよい。
【0023】
本発明は、さらに、本発明により構成された加熱ユニットを、例えば触媒および/またはパティキュレートフィルタを備える排ガス処理ユニットの上流に備える、内燃機関用の排ガス装置に関する。
【0024】
次に添付の図面を参照しながら本発明について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】内燃機関の排ガス装置用の加熱ユニットを示す横断面図である。
【
図2】排ガス装置用の加熱ユニットの代替的な構成形式を示す横断面図である。
【
図3】内燃機関の排ガス装置用の加熱ユニットの別の代替的な構成形式の一部を示す横断面図である。
【
図4】a)およびb)は、蛇行状に成形された加熱要素を規定の位置で保持するための、加熱要素保持領域の異なる構造形式を示す図である。
【
図5】代替的に形成された加熱要素保持領域を備えた加熱ユニットの一部を示す別の横断面図である。
【
図6】a)およびb)は、例えば
図2の加熱ユニットで使用された加熱要素保持領域を示す図である。
【
図7】内燃機関の排ガス装置用の加熱ユニットを示す別の横断面図である。
【
図8】一体構造として提供された加熱要素保持領域を備えた保持ユニットを示す図である。
【
図9】加熱ユニットが排ガス処理ユニットの上流に配置された排ガス装置を示す原理図である。
【0026】
後で
図1~
図8を参照しながら加熱ユニットの構成詳細について説明する前に、
図9を参照しながら、どのようにこのような加熱ユニットが、内燃機関の排ガス装置に組み込まれているかについて記載する。
【0027】
図9には、このような排ガス装置10の一部が示してあり、この排ガス装置10では、一体にまたは互いに連続する複数の部分でまとめられた、例えば管状のハウジング12内に、全体を符号14で示した加熱ユニットと、排ガス主流れ方向Aに関して下流に排ガス処理ユニット16とが配置されている。排ガス処理ユニット16は、1つまたは複数の触媒および/またはパティキュレートフィルタを含んでいてよく、例えば酸化還元触媒またはこれに類するものとして作用することができる。排ガス処理ユニット16がSCR触媒を含んでいる場合には、加熱ユニット14の上流に、管状のハウジング12内でガイドされる排ガス流内に例えば尿素水溶液である反応剤を供給するためのインジェクタが設けられていてよい。
【0028】
加熱ユニット14によって、内燃機関の作動運転の始動段階で、内燃機関から排出された排ガスが比較的低温を有している場合に、加熱ユニット14に電圧が印加されると、熱を排ガスに伝達し、排ガスによって排ガス処理ユニット16の方向に搬送し、排ガス処理ユニット16に伝達することができる。これによって、排ガス処理ユニット16を、触媒反応を実施するのに必要な温度へと迅速に到達させることが可能になる。内燃機関が作動させられる前でも、管状のハウジング12を通して、例えば空気流であるガス流を導くことができ、これによって加熱ユニット14で熱を加熱ユニット14に、ひいてはその下流に続く排ガス処理ユニット16に伝達することができる。
【0029】
このような加熱ユニット14の第1の実施形態は、
図1に示してある。加熱ユニット14は、例えば管状の加熱ユニットハウジング18を含んでいて、この加熱ユニットハウジング18は、例えば排ガス装置10自体の管状のハウジング12によって提供されていてもよいし、ハウジング12に挿入されていてもよい。加熱ユニットハウジング18の内部には、
図1に示した実施例では、
図1の図平面に対して直交する排ガス主流れ方向Aに対して横方向に4つの加熱要素20,22,24,26が配置されている。加熱要素20,22,24,26は、蛇行状もしくは波状の構造に曲げられた平形帯材によって構成されていて、この平形帯材は、金属材料からまたはその他の導電性で加熱する材料から構成されており、加熱要素20,22,24,26の蛇行状の構造は、加熱要素長手方向Hで長く延ばされて形成されている。
【0030】
図1で左に示した加熱要素20から分かるように、蛇行状の構造を備えて構成されたこれらの加熱要素20,22,24,26の各々の加熱要素は、加熱要素長手方向Hに対して実質的に直交して配置されたプレート状の複数の加熱区分28と、加熱要素長手方向Hで互いに直接連続しているそれぞれ2つの加熱区分28を結合する結合区分30とを備えて構成されている。結合区分30は、蛇行状もしくは波状の構造の各々の頂点領域を提供し、加熱要素長手方向Hで互いに直接連続している2つの結合区分30の、加熱要素長手方向Hに対して横方向もしくは直交方向での間隔は、各々の加熱要素20,22,24,26の横方向寸法Qを規定する。
図1において明確に認識できるように、加熱ユニット14の中央領域に配置された2つの加熱要素22,24では、横方向寸法Qは加熱要素長手方向Hにおいて実質的に一定であり、これに対して加熱ユニットハウジング18の湾曲構造に適合するために外側の2つの加熱要素20,26は、加熱要素長手方向Hで変化する横方向寸法Qを有しており、この横方向寸法Qは、加熱要素20,26の、加熱要素長手方向Hで中央の領域において、その最大値をとり、この中央領域を起点として両方向で減少している。
【0031】
加熱要素26によって分かるように、加熱要素20,22,24,26の各々の加熱要素は、加熱要素長手方向Hに位置しているその端部領域にそれぞれ1つの接続領域32,34を有している。各々の加熱要素20,22,24,26は、その両接続領域32,34の各々の接続領域で、プレート状もしくはレール状に形成された接触要素36,38;40に導電接続されている。この接続は、例えば材料接続的に、つまり、例えばろう接、溶接またはボンディングによって行うことができるか、または形状接続的に、つまり、例えばねじまたはリベットまたはこれに類するものによって行うことができるか、または例えば力接続的に、つまり、例えばクランプ、プレス、圧着またはこれに類するものによって行うことができる。
【0032】
接触要素36,38,40の領域で、接触要素36,38,40を流れる電流によって実質的に熱を発生させないようにするために、接触要素36,38,40を、例えば加熱要素20,22,24,26よりも大きな厚さを有して提供することができるか、または基本的に低い電気抵抗を有する材料によって構成することができる。
【0033】
図1に示した配置形態では、相並んで位置している2つの加熱要素20,22は、この図で上側のその接続領域32で接触要素36に接続され、かつ
図1で下に配置されたその接続領域34で接触要素38に導電接続されている。これによって両加熱要素20,22は、加熱要素が互いに電気的に並列接続されている、加熱要素の第1のグループG
1を形成している。同様に、
図1で右に示した両加熱要素24,26は、この図で上に位置しているその接続領域32で、接触要素40に導電接続されていて、下に位置しているその接続領域34で、接触要素38に同様に導電接続されており、これによってこの両加熱要素24,26は、加熱要素が互いに電気的に並列接続されている、加熱要素の第2のグループG
2を形成している。加熱要素の両グループG
1,G
2は、互いに直列接続されている。そのために加熱要素36,40は、加熱ユニットハウジングに関して電気絶縁されたブッシング42,44を介して、電圧源、例えば車両またはこれに類するものにおけるバッテリの2つの極に接続されているかまたは接続可能である。
【0034】
加熱要素の両グループG1,G2は、それぞれ提供するこれらの加熱要素に関して、互いに実質的に同一に構成されている。各々のグループG1,G2は、実質的に一定の横方向寸法Qを備えた加熱要素22,24を含んでいて、両グループG1,G2の各々のグループは、変化する横方向寸法Qを備えた加熱要素20,26を含んでいる。そのために好ましくは、実質的に一定の横方向寸法Qを備えた両加熱要素22,24は互いに同一であり、これに対して変化する横方向寸法Qを備えた両加熱要素20,26も互いに同一である。
【0035】
各々の加熱要素20,22;24,26の、グループG1,G2内で選択されたこの構成によって、各々のグループG1,G2に存在する電気抵抗に関して等しい構成がサポートされる。
【0036】
このように電気抵抗を均一化させるためには、加熱ユニット14の、
図1に示した構造において全ての加熱要素20,22,24,26が、互いに実質的に等しい加熱導体長さを有していて、この加熱導体長さが、加熱要素20,22,24,26の蛇行状の構造に基づき、各々の加熱要素20,22,24,26の、加熱要素長手方向Hにおけるその接続領域32,34間の延在長さLよりも著しく大きいことも貢献する。さらに言及しておくと、この加熱導体長さは、各々の加熱要素20,22,24,26の長さであって、加熱要素20,22,24,26が、長く延ばされた構成で提供されていて、つまり、蛇行状もしくは波状の構造で提供されておらず、例えば
図1に示した蛇行状の構造を起点として、その両接続領域32,34の間で、加熱要素20,22,24,26が実質的に直線の構造を有するまで長く延ばされた場合に、加熱要素20,22,24,26がその各々の接続領域32,34の間に有している長さである。
【0037】
等しい加熱導体長さを備えた全ての加熱要素20,22,24,26のこの構成も、各々の加熱要素20,22,24,26に実質的に等しい電気抵抗が存在することに貢献する。特にこのことには、一定の横方向寸法Qを備えた保持要素22,24を比較する際、この横方向寸法Qが、変化する横方向寸法Qを備えた両方の加熱要素20,26の最大の横方向寸法Qよりも小さいものの、変化する横方向寸法Qを備えた両方の加熱要素20,26の最小の横方向寸法Qよりも小さいことも貢献する。
【0038】
加熱要素20,22,24,26の電気抵抗を均一化させるためには、加熱要素20,22,24,26が、排ガス主流れ方向Aで見て排ガス主流れ方向に対して実質的に直交して配置された各々の端面46,48(
図9参照)の間で、互いに等しくかつ好ましくは一定の幅を有していること、および全ての加熱要素20,22,24,26が、その端面46,48の間で延びている両広幅面50,52の間で、等しい厚さ、好ましくは実質的に一定の厚さ、つまり、材料厚を有していることも貢献する。
【0039】
例えば、導電性の扁平材料の互いに実質的に同一のブランクを、一方では加熱要素22,24のための、他方では加熱要素20,26のための様々な蛇行状の構造に曲げることによって得ることができる、加熱要素20,22,24,26のこの構造によって、加熱要素20,22,24,26の互いに実質的に等しい電気抵抗に基づき、これらの加熱要素の各々の加熱要素の領域で、実質的に等しい加熱出力を発生させ、これによって等しい熱量を、加熱要素20,22,24,26の周りを流れるガス流、例えば排ガス流に供給することができることが保証される。
【0040】
ガス流もしくは排ガス流への放熱をさらに均一化させるためには、加熱要素20,22,24,26の加熱区分28が互いにそれぞれ等しい間隔を有していることも貢献する。加熱区分28が加熱要素20,22,24,26の各々の加熱要素において加熱要素長手方向Hに対してそれぞれ実質的に直交して配置されている、
図1に示した構成では、つまり、これによって加熱区分28は、互いに平行に配置されていて、それぞれ直接隣接した加熱区分28に対して、好ましくは全ての加熱要素20,22,24,26において等しい間隔を有している。互いに平行に配置されていない加熱区分28でも、例えば直接隣接した加熱区分28が互いにV字形の配置形態を有している場合では、各々の間隔は、直接隣接した加熱区分28の各々の対では等しくすることができ、しかしながら加熱要素長手方向Hに対して横方向では変化することになる。このような配置形態によっても、全加熱ユニット14の横断面にわたって可能な限り均一な、ガス流への放熱が達成される。それというのは、横断面積単位毎では実質的に等しい加熱出力が発生させられ、これによってガス流もしくは排ガス流への放熱のために実質的に等しい熱長さが提供されるからである。
【0041】
全般的に54で示した保持ユニットを用いて、加熱要素20,22,24,26および接触要素36,38,40が共に規定されて加熱ユニットハウジング18内に保持される形態を、以下において詳しく説明する前に、
図2を参照しながら、加熱要素20,22,24,26の電気接続に関して代替的な配置形態について記載する。
図2に示した加熱ユニット14では、全て4つの加熱要素20,22,24,26はその各々の上側の接続領域32で、全て4つの加熱要素20,22,24,26を覆う接触要素36に導電接続されており、これに対して全ての加熱要素20,22,24,26の、下側に位置している接続領域34は、下側に位置決めされた接触要素38に接続されている。接触要素36は、ブッシング42を用いて、電圧源の一方の極に接続されているかまたは接続可能であり、接触要素38は、ブッシング44を用いて、電圧源の他方の極に接続されているかまたは接続可能である。
【0042】
全ての加熱要素20,22,24,26のこのような直列接続形態でも、上で詳しく説明した加熱要素20,22,24,26の構造に基づき、加熱ユニットハウジング18を通流するガス流への、加熱ユニットハウジング18の横断面にわたって実質的に均一な放熱が保証される。
【0043】
既に上で
図1を参照しながら述べた保持ユニット54は、最外位の領域として、実質的に全ての加熱要素20,22,24,26と接触要素36,38と
図1の場合では接触要素40をも環状に取り囲む加熱ユニットハウジング保持領域56を含んでいる。この加熱ユニットハウジング保持領域56は、例えば、例えばセラミックス繊維材料またはこれに類するもののような電気絶縁性の繊維材料を備えてまたは成形品として構成されていて、一般的に金属材料を備えて構成された加熱ユニットハウジング18への様々なコンポーネントの電気的な短絡を阻止している。
【0044】
保持ユニット54は、さらに5つの加熱要素保持領域58,60,62,64,66を含んでいる。例えば、加熱ユニットハウジング18の湾曲状の領域の外側に位置決めされた2つの加熱要素保持領域58,66は、互いに実質的に同一に構成されていてよく、加熱要素20,22,24,26のうちの2つの加熱要素の間にそれぞれ位置決めされた加熱要素保持領域60,62,64,66も、互いに実質的に同一に構成されていてよい。
【0045】
様々な加熱要素保持領域58,60,62,64,66も、特に互いに直接隣接した加熱要素20,22,24,26同士の間の電気的な短絡を回避するために、完全に例えばプラスチック材料またはセラミックス材料のような電気絶縁性の材料から構成されていてもよいし、例えば、少なくとも、加熱要素20,22,24,26の各々の加熱要素への接触部が存在している箇所に、例えばセラミックス材料またはこれに類するものを備えた電気絶縁性の被覆層を有している、金属材料から構成されていてもよい。
【0046】
周方向で、外側に位置決めされた2つの加熱要素保持領域58,66の周方向端部の間には、様々な接触要素36,38,40が配置されており、加熱要素保持領域58,66と接触要素36,38および場合によっては接触要素40とから成る、この環状の構造は、加熱ユニットハウジング保持領域56の、上に既に記載した環状の構造によって取り囲まれている。
【0047】
加熱要素保持領域58,60,62,64,66によって、加熱要素長手方向Hに対して実質的に横方向に、互いにもしくは加熱ユニットハウジング18に関して加熱要素22,24,26を相互に保持もしくは支持することが保証されるのみならず、個々の加熱要素20,22,24,26は、その各々の結合区分30でも、特に加熱ユニット長手方向Hへの運動に抗して保持される。そのために加熱要素保持領域58,60,62,64,66は、これによって保持されるもしくは支持される加熱要素20,22,24,26の各々の加熱要素に割り当てられて、全般的に68で示したそれぞれ1つの形状接続保持構成を有している。様々な構成例を参照しながら後で述べる形状接続保持構成68は、各々の結合区分30の領域における加熱要素20,22,24,26と加熱要素保持領域58,60,62,64,66との間に、加熱要素長手方向Hで有効な形状接続を形成し、これによって加熱要素20,22,24,26がその結合区分30の領域において加熱要素長手方向Hで運動することは、実質的に排除されている。
【0048】
図3に示した構成では、各々の形状接続保持構成68は、直接隣接した2つの結合区分30の間に係合する複数の保持突起70を有している。加熱要素長手方向Hにおける直接隣接した保持突起70の相互間隔は、実質的に加熱要素長手方向Hにおける結合区分の長さにも、もしくは加熱区分28の相互間隔にも相当している。
【0049】
図4に示すように、これらの保持突起70は、排ガス主流れ方向A、つまり、これによってそれぞれ保持される結合区分30の延在方向で、端面46,48の間に連続して形成されていてもよいし、例えばそれぞれ単に端面46,48に隣接して位置している長さ領域でだけ作用する各々の保持突起区分70a,70bとして形成されていてもよい。
【0050】
形状接続保持構成68の、
図5に示した発展形態もしくは代替的な構成では、特に加熱要素保持領域60の参照で分かるように、保持突起70は波状の表面構造を備えて提供されていてよく、この波状の表面構造は、特に、それぞれ2つの加熱要素の間で作用する加熱要素保持領域60,62,64で、これらの加熱要素保持領域60,62,64の全体的に波状の構造によって提供することができる。形状接続保持構成68の波状の構造の、特に
図5に示した構成では、形状接続保持構成68は、互いに結合される個々のコンポーネントもしくは層に形成されていてもよいし、加熱要素保持領域のそれぞれ1つの加熱要素保持領域を提供する一体の部材に形成されていてもよい。
【0051】
図3と
図5との比較から分かるように、形状接続保持構成68が波状の構造によって提供されている構成では、直接隣接した加熱要素20,22,24,26の支持区分30は、加熱要素長手方向Hで互いにずらされており、これに対して
図3に示した構成形式では、保持突起70、ひいては各々の結合区分30を収容するための、保持突起70の間に形成された切欠きも、加熱要素長手方向Hで互いにずらされていない。
【0052】
図6に示した構成では、加熱要素保持領域58を参照して分かる形状接続保持構成68は、例えばピン状に形成された保持突起72a,72bを含んでおり、これらの保持突起72a,72bは、これらが結合区分30によって互いに結合された加熱区分28の間に係合するように位置決めされている、もしくは形成されている。この係合を可能にするために、好ましくは、このような形状接続保持構成68を有する加熱要素保持領域は、排ガス主流れ方向Aで連続して位置決めされた2つの部分74,76を備えて構成されている。これらの部分74,76の各々の部分は、それぞれ対を成して互いに割り当てられた保持突起72a,72bを有している。組立て時にこれらの両部分74,76は、保持突起72a,72bが
図6b)に示した位置をとり、ここに示した加熱要素20の蛇行状の構造内に係合するまで、両側から端面46;48に接近させることができる。
【0053】
任意選択的なもしくは付加的な保持のために、両部分74,76のうちの1つの部分には、複数の保持突起70が設けられていてよく、各々のこのような保持突起70は、上で
図4に関連して記載したように、このとき、それぞれ1対の保持突起72a,72bによって保持された2つの結合区分30の間に、係合するように位置決めされる。
【0054】
保持ユニット54の別の代替的な構成は、
図7および
図8に示してある。この保持構成54も、例えばセラミックス繊維材料を備えて構成されたまたは例えばセラミックス材料製の成形品として構成された加熱ユニットハウジング保持領域56を含んでおり、この加熱ユニットハウジング保持領域56は、加熱要素20,22,24,26と接触要素36,38,40とを環状に取り囲んでいて、これによって
図8には示していない加熱ユニットハウジングに対する電気絶縁を生じさせる。
【0055】
全ての加熱要素保持領域58,60,62,64,66は、この構成では一体構造、つまり、モノリシック構造として提供されている。この構成形式でも、結合区分30によって互いに結合されたそれぞれ2つの加熱区分28の間に係合する、
図7に示した保持突起72a,72bを簡単に使用できるようにするために、加熱要素保持領域58,60,62,64,66のこの一体構造もしくはモノリシック構造でも、
図6に示したように排ガス主流れ方向Aで連続する2つの部分を備えた構造が設けられていてよい。これらの両部分の各々の部分には、このとき、加熱要素保持領域58,60,62,64,66の各々の加熱要素保持領域のそれぞれ1つの部分の一体構造もしくはモノリシック構造が設けられている。
【0056】
この一体構造において特に好ましくは、接触要素36,38,40を収容するための切欠きが設けられていてよく、このように構成されていると、接触要素36,38,40も規定の位置で保持される。
【0057】
既に述べたように、好ましくは、加熱要素保持領域58,60,62,64,66は、例えばセラミックス材料またはガラスセラミックス材料のような電気絶縁性の材料を備えて構成されていてよい。代替的に、電気絶縁性の外被を備えた金属性のベース材料を提供することが可能であり、電気絶縁性の外被は、同様にセラミックス材料を備えて構成されていてよく、代替的にエナメル層またはガラスセラミックス層として形成されていてもよい。加熱ユニットハウジング18に関して電気絶縁性の加熱ユニットハウジング保持領域56は、例えばセラミックス製の成形品としてシングルピースまたはマルチピースで形成されていてもよいし、例えばセラミックス繊維材料、ガラス繊維材料、鉱物繊維材料のような繊維材料としてまたはガラスセラミックス製の剛性構造として提供することも可能である。
【0058】
本発明に係る加熱ユニット14の別の特に有利な発展形態では、加熱要素20,22,24,26のうちの1つまたは複数の加熱要素を、部分的にまたは完全に触媒として有効な材料78によって被覆するという可能性がある。そのためには例えば導電性の構造材料は、約5%のアルミニウム含有量を備えた鋼合金、例えば1.4767から構成されていてよく、かつこの金属ベース材料には、用途に応じて、ガソリン機関との関連で使用するためのTWC被覆層またはディーゼル機関との関連で使用するためのDOC被覆層を被着させることができる。
【0059】
触媒として有効なこのような被覆層の提供によって、この被覆層を直接電気的に加熱するという可能性に基づき、冷間始動後に極めて迅速に、触媒反応が開始する温度を得ることが保証され、これによって内燃機関から排出された排ガスが触媒反応なしに周囲に放出される時間を、さらに著しく短縮することができる。