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特許7502429神経因性疼痛の治療におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用
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  • 特許-神経因性疼痛の治療におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用 図1
  • 特許-神経因性疼痛の治療におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用 図2
  • 特許-神経因性疼痛の治療におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用 図3
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  • 特許-神経因性疼痛の治療におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】神経因性疼痛の治療におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4709 20060101AFI20240611BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20240611BHJP
   A61K 31/453 20060101ALI20240611BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A61K31/4709
A61K31/4025
A61K31/453
A61P25/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022523086
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2019111269
(87)【国際公開番号】W WO2021072642
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】522153563
【氏名又は名称】杭州百誠医薬科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU BIO-SINCERITY PHARMA-TECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B203 Office, 1 Building, Hangzhou Yuhang Economic-Technological Development Area, NO.9 Zhenxing East Road, Yuhang District Hangzhou, Zhejiang 311103 China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】楼 金芳
(72)【発明者】
【氏名】張 馮敏
(72)【発明者】
【氏名】盛 栄
(72)【発明者】
【氏名】金 沢武
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/233483(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103087024(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109651321(CN,A)
【文献】Aminoalkyl-substituted flavonoids: synthesis, cholinesterase inhibition, β-amyloid aggregation, and neuroprotective study,Medicinal Chemistry Research,2019年05月23日,vol.28,pp.974-983,https://doi.org/10.1007/s00044-019-02350-4
【文献】Synthesis and evaluation of histamine H3 receptor ligand based on lactam scaffold as agents for treating neuropathic pain,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2019年04月08日,vol.29,pp.1492-1496,https://doi.org/10.1016/j.bmcl.2019.04.015
【文献】Targeting Neuroprotection as an Alternative Approach to Preventing and Treating Neuropathic Pain,Neurotherapeutics,2009年,vol.6,pp.648-662
【文献】Pharmacological characterization of A-960656, a histamine H3 receptor antagonist with efficacy in animal models of osteoarthritis and neuropathic pain,European Journal of Pharmacology,2012年,684,pp.87-94,doi:10.1016/j.ejphar.2012.03.048
【文献】Effects of S 38093, an antagonist/inverse agonist of histamine H3 receptors, in models of neuropathic pain in rats,Eur J Pain,2018年,vol.22,pp.127-141,doi:10.1002/ejp.1097
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 25/00-25/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経因性疼痛疾患を治療するためのフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用であって、
前記使用は、神経因性疼痛疾患を治療するための薬物の製造におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用であり、
前記フェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体は、下表に示される化合物から選択され、
【表1】
前記フェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体は、その薬学的に許容される塩を含むことを特徴とする、使用。
【請求項2】
前記塩は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、ケトグルタル酸塩、アスコルビン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩またはベンゼンスルホン酸塩のうちの1種であることを特徴とする、請求項に記載の使用。
【請求項3】
前記神経因性疼痛疾患は、末梢神経因性疼痛または中枢性神経因性疼痛のうちの1種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
末梢神経因性疼痛は、三叉神経痛、舌咽神経痛、急性または慢性炎症性脱髄性多発神経炎、アルコール性多発神経痛、化学療法誘発性多発神経痛、複合性局所疼痛症候群、絞扼性神経痛、HIV感覚神経痛、医原性神経痛、腫瘍圧迫または浸潤性神経痛、栄養障害関連神経痛、糖尿病性神経痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、放射線療法後神経叢疼痛、神経根症、毒物暴露関連神経痛、外傷後神経痛のうちの1種であることを特徴とする、請求項に記載の使用。
【請求項5】
中枢性神経因性疼痛は、脳卒中後疼痛、多発性硬化症関連疼痛、パーキンソン病関連疼痛、外傷後脊髄損傷疼痛、脊髄空洞症、虚血後脊髄症、圧迫性脊髄症、HIV脊髄症、放射線脊髄症のうちの1種であることを特徴とする、請求項に記載の使用。
【請求項6】
前記薬物の投与経路は、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与または非経口投与であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
局所投与は、口含み投与、舌下投与または経皮投与であり、非経口投与は、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射または皮内注射であることを特徴とする、請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬技術分野に属し、神経因性疼痛疾患の治療におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用に関し、具体的には、神経因性疼痛を治療するための薬物の製造におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体、その薬学的に許容される塩の使用に関し、投与量が少なく、治療効果が良く、安全性が高く、臨床応用の見通しが良い。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関(WHO)は、痛みを血圧、呼吸、脈拍、体温に続く「第5番目の生命徴候」と定義している。神経因性疼痛(neuropathic pain)は、神経障害性疼痛、神経性疼痛とも呼ばれ、末梢および(または)中枢神経系、一次および(または)二次損傷、機能不全または一過性摂動(transitory perturbation)によって引き起こされる疼痛であって、痛覚過敏、異痛症、知覚異常および自発痛を主な症状とする慢性疼痛である。
【0003】
神経因性疼痛の病因および臨床症状は、主に自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症)、代謝性疾患(例えば、糖尿病性ニューロパチー)、感染(例えば、帯状疱疹後神経痛)、血管疾患(例えば、脳卒中)、神経圧迫、神経外傷およびがんなどであり、いずれも神経因性疼痛を引き起こすことができ、主に自発痛、痛覚過敏およびアロディニアとして現れる。自発痛は通常、持続的な灼熱感として記述されているが、断続的な刺痛、裂傷様疼痛、感電様疼痛または感覚鈍感、感覚異常としても分類できる。痛覚過敏は外部の軽微な傷害性刺激に対して異なる程度の高感受性を示す。アロディニアは非侵襲的刺激(生理的刺激)による傷害性反応として現れる。
【0004】
現在、神経因性疼痛を治療するための方法は、主に薬物療法、神経調節(脊髄刺激、経皮的電気刺激、電気ツボ刺激など)、神経ブロック、神経パルス高周波、神経破壊(熱凝固高周波、化学的破壊、ガンマナイフなど)を含む。ほとんどの患者に対して、薬物療法は最も基本的で一般的に使用されている方法である。一般的に使用される薬物は、三環系抗うつ薬であるアミトリプチリン、抗てんかん薬であるガバペンチン、プレガバリンおよびカルバマゼピン、オピオイドであるモルヒネおよびオキシコドン、非ステロイド性抗炎症鎮痛薬、NMDA受容体拮抗薬類であるケタミンおよびメトルファンなどを含む。しかし、これらの薬物は、治療効果が不十分で、深刻な副作用がある。未だに神経因性疼痛症状および機能を効果的に逆転できる薬物がない。そのため、効果的に疼痛症状を制御し、患者の痛苦を軽減し、生活の質を向上できる薬物が必要である。神経因性疼痛の薬物治療に関する研究は、医療分野の先端な課題となっており、重要な医学的および社会的価値を有する。
【0005】
中国特許出願201710488414.7およびPCT/CN2018/089970には、神経変性疾患、低酸素性虚血性脳症、パーキンソン症候群、ナルコレプシー、てんかんおよび筋萎縮性側索硬化症の治療に適用できる「フェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の製造および使用」が提供されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、神経因性疼痛疾患を治療するためのフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用が提供される。前記フェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体は、その薬学的に許容される塩を含む。前記使用は、神経因性疼痛疾患を治療するための薬物の製造におけるフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用であり、前記誘導体の構造式は、下記の(A)である。
【化1】
式中、Xは、
【化2】
であり、RはH、C1-3アルキル基またはC1-3アルコキシ基から選択され、RはH、ヒドロキシル基またはC1-3アルコキシ基から選択され、RはH、ヒドロキシル基、C1-3アルキル基またはC1-3アルコキシ基から選択され、NR’R’’は炭素原子の総数が3-6個の環状アミンおよび開鎖アルキルアミンであり、以下の断片を含むが、これらに限定されない。
【化3】
【0007】
さらに、前記フェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体は、Xが
【化4】
である場合、構造式は下記の(A1)である。
【化5】
式中、R、R、NR’R’’は上記と同義である。
【0008】
Xが
【化6】
である場合、構造式は下記の(A2)である。
【化7】
式中、R、R、R、NR’R’’は上記と同義である。
【0009】
好ましいフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体では、Rは水素、メチル基、エチル基またはイソプロピル基であることが好ましく、Rは水素、ヒドロキシル基またはメトキシであることが好ましく、Rは水素、ヒドロキシル基またはメトキシ基であることが好ましい。
【0010】
具体的には、フェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の好ましい化合物(または化合物の薬学的に許容される塩)は、表1に示される化合物から選択されるが、これらに限定されない。
【0011】
【表1】
【0012】
前記化合物の薬学的に許容される塩は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、ケトグルタル酸塩、アスコルビン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩またはベンゼンスルホン酸塩のうちの1種である。
【0013】
本明細書に記載の「アルキル基」には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルが含まれるが、これらに限定されない。「アルコキシ基」には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシが、これらに限定されない。「アルコキシ基」には、置換アルコキシ基がさらに含まれる。アルコキシ基は、1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよい。
【0014】
前記神経因性疼痛疾患は、末梢神経因性疼痛または中枢性神経因性疼痛である。
【0015】
前記末梢神経因性疼痛は、三叉神経痛、舌咽神経痛、急性または慢性炎症性脱髄性多発神経炎、アルコール性多発神経痛、化学療法誘発性多発神経痛、複合性局所疼痛症候群、絞扼性神経痛(例えば、手根管症候群)、HIV感覚神経痛、医原性神経痛(例えば、乳房切除後疼痛)、腫瘍圧迫または浸潤性神経痛、栄養障害関連神経痛、糖尿病性神経痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、放射線療法後神経叢疼痛、神経根症(頸、胸または腰仙)、毒物暴露関連神経痛、外傷後神経痛のうちの1種である。
【0016】
前記中枢性神経因性疼痛は、脳卒中後疼痛、多発性硬化症関連疼痛、パーキンソン病関連疼痛、外傷後脊髄損傷疼痛、脊髄空洞症、虚血後脊髄症、圧迫性脊髄症、HIV脊髄症、放射線脊髄症のうちの1種である。
【0017】
本発明化合物またはその薬学的に許容される塩、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む薬物の製剤の投与経路は、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与(口含み投与、舌下投与または経皮投与を含む)または非経口投与(包括皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射または皮内注射を含む)である。
【0018】
上記化合物の製造方法は、下記のとおりであるが、これに限定されない。
1.キノリノン系誘導体は、以下のステップで合成することができる。
(1)化合物I(キノリノン系誘導体)シリーズのうちのI-1、I-2の合成方法(この方法はX=Nの場合に適用される)
【化8】
【0019】
具体的な反応過程は以下の通りである。
原料1である1,3-ブロモクロロプロパンおよび炭酸カリウムをアセトニトリルに溶解し、加熱還流し、次にNaOH/CHOH系中で反応させ、中間体1を得る。その後、塩化チオニル溶液中で還流し、中間体2を得る。次にそれとo-アミノアセトフェノンとを室温で反応させ、中間体3を得る。カリウムtert-ブトキシドとマイクロ波中で反応させて中間体4を得る。最後に第二級アミンと還流反応させて目的化合物I-1,I-2を得る。
式中、NR’R’’は上記と同義である。
【0020】
(2)化合物I(キノリノン系誘導体)シリーズのうちのI-3~I-6の合成方法(この方法はX=-NR-の場合に適用される)
【化9】
【0021】
具体的な反応過程は以下の通りである。
実施例1の中間体4をDMFに溶解し、水素化ナトリウムおよびハロゲン化炭化水素を加え、反応させ、中間体5を得る。最後に第二級アミン、トリエチルアミンと還流反応させ、目的化合物I-3~I-6を得る。
式中、NR’R’’は上記と同義である。
【0022】
(3)化合物I(キノリノン系誘導体)シリーズのうちのI-7、I-8の合成方法(この方法はX=-NR-の場合に適用される)
【化10】
【0023】
具体的な反応過程は以下の通りである。
p-ヒドロキシアセトフェノン(原料4)をアセトニトリルに溶解し、1,3-ブロモクロロプロパンおよび炭酸カリウムを加え、還流反応させ、中間体6を得た後、氷浴下で臭素と反応させてブロモケトン中間体7を得る。後者とo-アミノ安息香酸、炭酸カリウムとをDMF中で加熱反応させ、エステル中間体8を得た後、酢酸アンモニウム/酢酸中で還流して環化反応させ、中間体9を得る。最後に第二級アミン、トリエチルアミンと還流反応させ、目的化合物I-7,I-8を得る。
式中、NR’R’’は上記と同義である。
【0024】
(4)化合物I(キノリノン系誘導体)シリーズのうちのI-9、I-10の合成方法(この方法はX=-NR-の場合に適用される)
【化11】
【0025】
具体的な反応過程は以下の通りである。
実施例3の中間体9、硫酸ジメチルおよび炭酸カリウムをアセトンに溶解し、還流反応させ、中間体10を得た後、第二級アミンNHR’R’’およびトリエチルアミンと還流反応させ、目的化合物I-9,I-10を得る。
【0026】
(5)化合物II(フラボノイド系誘導体)シリーズのうちのII-1、II-2の合成方法(この法はX=Oの場合に適用される)
【化12】
【0027】
具体的な反応過程は以下の通りである。
原料6をアセトニトリルに溶解し、1,3-ブロモクロロプロパンおよび炭酸カリウムを加えた後、還流反応させ、中間体11を得る。水酸化カリウム中で後者とp-ヒドロキシアセトフェノンとを縮合反応させ、中間体12を得た後、過酸化水素/KOH系で環化反応させ、中間体13を得る。最後に第二級アミン、トリエチルアミンと還流反応させ、目的化合物II-1,II-2を得る。
式中、NR’R’’は上記と同義である。
【0028】
(6)化合物II(フラボノイド系誘導体)シリーズのうちのII-3、II-4の合成方法(この法はX=Oの場合に適用される)
【化13】
【0029】
具体的な反応過程は以下の通りである。
実施例5の中間体13、ヨードメタンおよび炭酸カリウムをアセトンに溶解し、還流反応させ、中間体14を得た後、第二級アミン、トリエチルアミンと還流反応させ、目的化合物II-3,II-4を得る。
式中、NR’R’’は上記と同義である。
【0030】
(7)化合物II(フラボノイド系誘導体)シリーズのうちのII-5、II-6の合成方法(この法はX=Oの場合に適用される)
【化14】
【0031】
具体的な反応過程は以下の通りである。
中間体11および2,6-ジヒドロキシアセトフェノンをエタノールに溶解し、水酸化カリウムを加え、還流反応させ、中間体15を得た後、ヨウ素および濃硫酸の作用下で環化反応させ、中間体16を得る。最後に第二級アミン、トリエチルアミンと還流反応させ、目的化合物II-5,II-6を得る。
式中、NR’R’’は上記と同義である。
【0032】
(8)化合物II(フラボノイド系誘導体)シリーズのうちのII-7、II-8の合成方法(この法はX=Oの場合に適用される)
【化15】
【0033】
具体的な反応過程は以下の通りである。
実施例7の中間体16、ヨウ化カリウムおよび炭酸カリウムをアセトンに溶解し、還流反応させ、中間体17を得る。その後、第二級アミン、トリエチルアミンと還流反応させ、目的化合物II-7,II-8を得る。
式中、NR’R’’は上記と同義である。
【0034】
フェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体(A)またはその薬学的に許容される塩は、神経因性疼痛疾患の治療に適用できる。前記神経因性疼痛は、末梢神経因性疼痛および中枢性神経因性疼痛を含む。末梢神経因性疼痛は、三叉神経痛、舌咽神経痛、急性または慢性炎症性脱髄性多発神経炎、アルコール性多発神経痛、化学療法誘発性多発神経痛、複合性局所疼痛症候群、絞扼性神経痛(例えば、手根管症候群)、HIV感覚神経痛、医原性神経痛(例えば、乳房切除後疼痛)、腫瘍圧迫または浸潤性神経痛、栄養障害関連神経痛、糖尿病性神経痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、放射線療法後神経叢疼痛、神経根症(頸、胸または腰仙)、毒物暴露関連神経痛、外傷後神経痛を含む。中枢性神経因性疼痛は、脳卒中後疼痛、多発性硬化症関連疼痛、パーキンソン病関連疼痛、外傷後脊髄損傷疼痛、脊髄空洞症、虚血後脊髄症、圧迫性脊髄症、HIV脊髄症、放射線脊髄症を含む。
【0035】
本発明によれば、神経因性疼痛を治療するためのフェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体の使用が提供される。前記フェニルキノリノン系誘導体およびフラボノイド系誘導体は、その薬学的に許容される塩を含む。本発明の化合物はヒスタミンH受容体拮抗薬であり、従来の薬物の作用メカニズムと異なり、神経因性疼痛疾患を治療するための薬物の製造に適用できる。本発明の化合物は、神経因性疼痛の治療効果がアミトリプチリン、ガバペンチン、プレガバリンおよびカルバマゼピンよりも高いため、本発明の化合物は、治療効果がより良好であり、投与量が小さく、薬効が良好で、バイオアベイラビリティおよび安全性が高い利点を有する。オピオイド薬物に比べて、本発明の化合物は、中毒性がなく、非常に効果的な神経因性疼痛疾患の治療薬である。したがって、臨床応用の見通しが非常に良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】PSLラットの熱痛覚閾値(Mean±SEM,N=4)に対するI-6化合物(0.3,1,3mg/kg,P.O.)およびプレガバリン(30mg/kg,P.O.)の単回投与の影響を示す。one-way ANOVAによりmodel群とsham群とを比較した結果、△,P<0.05,△△,P<0.01であり、各投与群とmodel群とを比較した結果、*,P<0.05,**,P<0.01であり、I-6とPre群とを比較した結果、#,P<0.05,##,P<0.01である。
図2】PSLラットの熱痛覚閾値(Mean±SEM,N=4)に対するI-4(1mg/kg,P.O.)、I-6(1mg/kg,P.O.)、II-4(1mg/kg,P.O.)およびガバペンチン(50mg/kg,P.O.)、カルバマゼピン(100mg/kg,P.O.)、アミトリプチリン(10mg/kg,P.O.)の単回投与の影響を示す。one-way ANOVAによりmodel群とsham群とを比較した結果、△,P<0.05,△△,P<0.01であり、各投与群とmodel群とを比較した結果、*,P<0.05,**,P<0.01である。
図3】CCIラットの機械的刺激痛覚閾値(Mean±SEM,N=4)に対するI-4化合物(1、3、9mg/kg,P.O.)およびガバペンチン(Gab,50mg/kg,P.O.)の単回投与の影響を示す。one-way ANOVAによりmodel群とsham群とを比較した結果、△,P<0.05,△△,P<0.01であり、各投与群とmodel群とを比較した結果、*,P<0.05,**,P<0.01であり、I-4とGab群とを比較した結果、#,P<0.05,##,P<0.01である。
図4】STZ誘導糖尿病性神経因性疼痛ラットの熱痛覚閾値(Mean±SEM,N=4)に対するI-6化合物(1mg/kg,P.O.)およびガバペンチン(50mg/kg,P.O.)の単回投与の影響を示す。one-way ANOVAによりmodel群とNormal群とを比較した結果、△,P<0.05,△△,P<0.01であり、各投与群とmodel群とを比較した結果、*,P<0.05,**,P<0.01であり、I-6化合物とガバペンチン群とを比較した結果、#,P<0.05,##,P<0.01である。
図5】OXA誘導神経因性疼痛ラットの機械的刺激痛覚閾値(Mean±SEM,N=4)に対するII-4化合物(1、3、9mg/kg,P.O.)およびPre(30mg/kg,P.O.)の単回投与の影響を示す。one-way ANOVAによりmodel群とNormal群とを比較した結果、△,P<0.05,△△,P<0.01であり、各投与群とmodel群とを比較した結果、*,P<0.05,**,P<0.01であり、II-4化合物とPre群とを比較した結果、#,P<0.05,##,P<0.01である。
図6】CCIラットの機械的刺激痛覚閾値(Mean±SEM,N=4)に対するI-10化合物(0.3、1、3mg/kg,P.O.)およびガバペンチン(Gab,50mg/kg,P.O.)の5日間連続投与の影響を示す。one-way ANOVAによりmodel群とsham群とを比較した結果、△,P<0.05,△△,P<0.01であり、各投与群とmodel群とを比較した結果、*,P<0.05,**,P<0.01であり、I-10とGab群とを比較した結果、#,P<0.05,##,P<0.01である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面および実施例によりさらに説明する。以下の特定の実施例は、例示的に説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。また、本発明の内容に基づいて、当業者が本発明に対して様々な変更または修正を行うことができ、これらの変更および修正は、添付する特許請求の範囲に定められる範囲に含まれる。
【0038】
実施例1:Iシリーズ化合物(キノリノン系)のうちのI-1、I-2の合成
【0039】
ステップ1:4-(3-クロロプロポキシ)安息香酸(中間体1)
p-ヒドロキシ安息香酸エチルII-1(12g,72mmol)、1,3-ブロモクロロプロパン(14.2mL,144mmol)およびKCO(20g,144mmol)を100mLアセトニトリルに溶解し、12h加熱還流した。吸引濾過で過剰なKCOを除去し、減圧蒸発により溶媒を除去し、無色油状液体を得た。15mLの6N NaOH溶液および30mLのCHOHを直接添加し、1h還流した。反応液が澄明になった後、冷却し、2N塩酸でpH=2まで酸化して大量の白色固体を析出させ、吸引濾過し、水で洗浄し、乾燥させて白色固体粉末14.5gを得た。収率は94%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.08(d,J=8.5Hz,2H),6.96(d,J=8.5Hz,2H),4.21(t,J=6.0Hz,2H),3.77(t,J=6.5Hz,2H),2.30-2.25(m,2H);ESI-MS:m/z=215[M+H]
【0040】
ステップ2:N-(2-アセチルフェニル)-4-(3-クロロプロポキシ)ベンズアミド(中間体3)
中間体1(5.0g,23mmol)を10mL SOCl中で1h還流し、反応系に1~2滴のDMFを添加した。反応終了後、過剰なSOClを減圧除去し、無色液体である中間体2を得た。o-アミノアセトフェノン(2.83g,21mmol)を15mL無水CHClおよび6.5mL無水TEAに溶解し、0℃で中間体2をゆっくりと滴下し、滴下終了後、室温で引き続き2h反応させ、吸引濾過し、回転乾燥させ、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=10:1)により分離し、白色固体5.0gを得た。収率は72%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ12.65(s,1H),8.11(d,J=9.0Hz,1H),8.05(d,J=9.0Hz,2H),7.97(dd,J=8.0,1.5Hz,1H),7.64(t,J=8.0Hz,1H),7.16(t,J=8.0Hz,1H),7.02(d,J=9.0Hz,2H),4.21(t,J=6.0Hz,2H),3.78(t,J=6.5Hz,2H),2.73(m,3H),2.31-2.26(m,2H);ESI-MS:m/z=332[M+H]
【0041】
ステップ3:2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)キノリン-4(1H)-オン(中間体4)
中間体3(995mg,3.0mmol)、カリウムtert-ブトキシド(1.68g,15mmol)を15mLのTHFに溶解し、密閉容器内で110℃で20minマイクロ波反応させた。反応終了後、室温に冷却し、100mL氷水を加え、2NのHClを加えてpHを5~6に調整して大量の黄色固体を析出させ、水で洗浄し、少量の氷アセトンおよびCHCl(1:1)で洗浄し、中間体4を750mg得た。収率は80%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ11.63(s,1H),8.10(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.83(d,J=9.0Hz,2H),7.78(d,J=8.0,1H),7.68(t,J=7.5Hz,1H),7.35(t,J=7.5Hz,1H),7.17(d,J=9.0Hz,2H),6.33(s,1H),4.21(t,J=6.0Hz,2H),3.84(t,J=6.5Hz,2H),2.24-2.18(m,2H);ESI-MS:m/z=314[M+H]
【0042】
ステップ4:2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)キノリン-4(1H)-オン(I-1)
中間体4(60mg,0.19mmol)を3mLアセトニトリルに溶解し、41mg(0.57mmol)ピロリジンおよび96mg(0.96mmol)TEAを滴下し、一晩加熱還流反応させた。反応終了後、冷却し、減圧蒸発により溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc:TEA=1:5:0.1)により分離し、黄色固体40mgを得た。収率は60%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.33(d,J=9.0Hz,1H),7.86(d,J=8.0Hz,1H),7.62(t,J=7.5Hz,1H),7.55(t,J=8.5Hz,2H),7.34(t,J=7.5Hz,1H),6.76(d,J=8.5Hz,2H),6.38(s,1H),3.91(t,J=6.0Hz,2H),2.95-2.88(m,6H),2.12-2.07(m,2H),1.98-1.93(m,2H);13C NMR(125MHz,CDCl):δ174.19,155.44,146.00,136.03,127.08,124.08,122.23,120.66,120.41,118.90,113.92,109.83,102.77,60.93,48.61, 47.68,22.01,18.61;ESI-MS:m/z=349[M+H]
【0043】
2-(4-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)キノリン-4(1H)-オン(I-2)
ピロリジンの代わりにピペリジンを使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は75%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.33(d,J=8.5Hz,1H),7.79(d,J=8.5Hz,1H),7.62(t,J=7.5Hz,1H),7.59(t,J=8.5Hz,2H),7.34(t,J=7.5Hz,1H),6.84(d,J=8.5Hz,2H),6.39(s,1H),3.95(t,J=6.0Hz,2H),2.59-2.54(m,6H),2.04-1.99(m,2H),1.70-1.66(m,4H),1.51-1.48(m,2H);13C NMR(125MHz,CDCl):δ174.16,155.86,145.64,135.72,127.17,123.84,121.89,120.82,120.43,118.94,113.68,110.07,102.82,61.52,50.78,49.56,21.23,20.50,19.15;ESI-MS:m/z=363[M+H]
【0044】
実施例2:Iシリーズ化合物(キノリノン系)のうちのI-3~I-6の合成
【0045】
ステップ1:2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)-1-メチルキノリン-4(1H)-オン(中間体5a)
中間体4(276mg,0.88mmol)を5mLのDMFに溶解し、42mgのNaH(60%,1.05mmol)を加え、室温で30min撹拌した後、ヨードメタン(138mg,0.97mmol)を加え、35℃に昇温し、30min反応させた。反応液を50mLのHOに入れ、EtOAcで抽出し、水で洗浄し、飽和NaClで洗浄した後、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を回収した後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=10:1)により分離し、白色固体250mgを得た。収率は87%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.17(d,J=8.0Hz,1H),8.10-8.08(m,3H),7.71(d,J=8.0,1H),7.48(t,J=7.5Hz,1H),7.14(s,1H),7.05(d,J=9.0Hz,2H),4.21(t,J=6.0Hz,2H),4.12(s,3H),3.79(t,J=6.5Hz,2H),2.31-2.26(m,2H);ESI-MS:m/z=328[M+H]
【0046】
2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)-1-エチルキノリン-4(1H)-オン(中間体5b)
ヨードメタンの代わりに臭化エチルを使用する以外、化合物中間体5aと同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は67%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.21(d,J=8.0Hz,1H),8.09-8.07(m,3H),7.71(d,J=8.0,1H),7.48(t,J=7.5Hz,1H),7.12(s,1H),7.05(d,J=9.0Hz,2H),4.37(q,J=7.0Hz,2H),4.21(t,J=6.0Hz,2H),3.79(t,J=6.5Hz,2H),2.31-2.26(m,2H),1.62(s,3H);ESI-MS:m/z=342[M+H]
【0047】
ステップ2:2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-1-メチルキノリン-4(1H)-オン(I-3)
中間体4の代わりに中間体5aを使用し、第二級アミンをピロリジンにする以外、化合物I-1と同様の製造方法により、白色固体I-3を得た。収率は74%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.17(d,J=8.0Hz,1H),8.09-8.06(m,3H),7.70(t,J=8.0,1H),7.47(t,J=7.5Hz,1H),7.14(s,1H),7.04(d,J=9.0Hz,2H),4.13(t,J=6.0Hz,2H),4.12(s,3H),2.71(t,J=6.5Hz,2H),2.61-2.57(m,4H),2.10-2.05(m,2H),1.85-1.80(m,4H);13C NMR(100MHz,CDCl):δ162.70,160.18,158.36,149.15,132.72,129.87,128.95,128.79,125.01,121.57,120.15,114.66,97.40,66.51,55.59,54.28,53.17,28.82,23.44;ESI-MS:m/z=363[M+H]
【0048】
2-(4-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-1-メチルキノリン-4(1H)-オン(I-4)
中間体4の代わりに中間体5aを使用し、第二級アミンとしてピロリジンの代わりにピペリジンを使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により白色固体I-4を得た。収率は71%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.17(d,J=8.0Hz,1H),8.09-8.06(m,3H),7.70(d,J=8.0,1H),7.47(t,J=7.5Hz,1H),7.14(s,1H),7.04(d,J=9.0Hz,2H),4.12(s,3H),4.11(t,J=6.0Hz,2H),2.58-2.52(m,2H),2.50-2.44(m,4H),2.08-2.03(m,2H),1.66-1.62(m,4H),1.47-1.45(m,2H);13C NMR(100MHz,CDCl):δ162.70,160.22,158.41,149.18,132.75,129.92,128.99,128.83,125.06,121.61,120.18,114.69,97.46,66.65,56.04,55.64,54.69,26.80,25.97,24.43;ESI-MS:m/z=377[M+H]
【0049】
2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-1-エチルキノリン-4(1H)-オン(I-5)
中間体4の代わりに中間体5bを使用し、第二級アミンをピロリジンにする以外、化合物I-1と同様の製造方法により淡黄色固体I-5を得た。収率は74%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.21(d,J=8.0Hz,1H),8.07-8.05(m,3H),7.70(t,J=8.0,1H),7.47(t,J=7.5Hz,1H),7.12(s,1H),7.04(d,J=9.0Hz,2H),4.37(q,J=7.0Hz,2H),4.13(t,J=6.0Hz,2H),2.77-2.75(m,2H),2.71-2.64(m,4H),2.14-2.10(m,2H),1.89-1.85(m,4H),1.62(t,J=7.0Hz,3H);13C NMR(100MHz,CDCl):δ161.98,160.17,158.35,149.25,132.85,129.77,128.96,128.78,124.86,121.69,120.26,114.67,97.95,66.53,63.97,54.27,53.16,28.82,23.46,14.54;ESI-MS:m/z=377[M+H]
【0050】
2-(4-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-1-エチルキノリン-4(1H)-オン(I-6)
中間体4の代わりに中間体5bを使用し、第二級アミンをピペリジンにする以外、化合物I-1と同様の製造方法により淡黄色固体I-6を得た。収率は85%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.21(d,J=8.0Hz,1H),8.07-8.05(m,3H),7.70(t,J=8.0,1H),7.47(t,J=7.5Hz,1H),7.12(s,1H),7.04(d,J=9.0Hz,2H),4.37(q,J=7.0Hz,2H),4.11(t,J=6.0Hz,2H),2.60-2.52(m,2H),2.51-2.44(m,4H),2.10-2.05(m,2H),1.68-1.63(m,4H),1.62(t,J=7.0Hz,3H),1.50-1.45(m,2H);13C NMR(100MHz,CDCl):δ162.00,160.18,158.40,149.25,132.85,129.83,128.96,128.81,124.91,121.73,120.26,114.68,98.00,66.63,64.01,56.00,54.66,26.77,25.93,24.41,14.59;ESI-MS:m/z=391[M+H]
【0051】
実施例3:Iシリーズ化合物(キノリノン系)のうちのI-7、I-8の合成
【0052】
ステップ1:4-(3-クロロプロポキシ)アセトフェノン(中間体6)
p-ヒドロキシアセトフェノン(5.0g,36.7mmol)、1,3-ブロモクロロプロパン(7.3mL,73.5mmol)およびKCO(10g,73.5mmol)を30mLアセトニトリルに溶解し、10h加熱還流した。吸引濾過で過剰なKCOを除去し、減圧蒸発により溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=10:1)により分離し、無色液体7.6gを得た。収率は98%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.95(d,J=9.0Hz,2H),6.95(d,J=9.0Hz,2H),4.20(t,J=6.0Hz,2H),3.77(t,J=6.0Hz,2H),2.56(s,3H),2.29-2.24(m,2H);ESI-MS:m/z=213[M+H]
【0053】
ステップ2:2-ブロモ-1-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)エチルケトン(中間体7)
【0054】
中間体6(2.12g,10mmol)を20mLエチルエーテルに溶解し、0℃でBr(0.51mL,10mmol)をゆっくりと滴下し、滴下終了後、室温で16h撹拌した。反応液を飽和NaHCO溶液に入れ、エチルエーテルで抽出し、有機層を無水NaSOで乾燥させた後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:CHCl=3:1)により分離し、淡黄色固体2.45gを得た。収率は84%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.97(d,J=9.0Hz,2H),6.97(d,J=9.0Hz,2H),4.40(s,2H),4.22(t,J=6.0Hz,2H),3.77(t,J=6.0Hz,2H),2.30-2.25(m,2H);ESI-MS:m/z=291[M+H]
【0055】
ステップ3:2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)-2-オキソエチル-2-アミノ安息香酸エステル (中間体8)
o-アミノ安息香酸(720mg,5.25mmol)およびKCO(760mg,5.5mmol)を10mLのDMFに溶解し、室温で30min撹拌し、中間体7(1.46g,5.0mmol)を加え、50℃に昇温し、3h反応させた後、反応液を100mL水に入れ、EtOAcで抽出し、有機層を1NのNaOH溶液、飽和NaCl溶液で洗浄した後、乾燥させ、溶媒を減圧蒸留で除去した後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=3:1)により精製し、白色固体1.6gを得た。収率は92%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.02(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.96(d,J=8.5Hz,2H),7.32(t,J=7.5Hz,1H),6.98(d,J=8.5Hz,2H),6.72-6.68(m,2H),5.49(s,2H),4.22(t,J=6.0Hz,2H),3.77(t,J=6.0Hz,2H),2.30-2.25(m,2H);ESI-MS:m/z=348[M+H]
【0056】
ステップ4:2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)-3-ヒドロキシキノリン-4(1H)-オン(中間体9)
中間体8(1.6g,4.6mmol)および酢酸アンモニウム(5.3g,69mmol)を30mL乙酸に溶解し、3h加熱還流した。反応終了後、反応液を250mL水に入れ、大量の固体が析出した後、吸引濾過し、中性まで水で洗浄し、乾燥させ、淡黄色固体1.02gを得た。収率は67%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.32(d,J=8.5Hz,1H),7.80-7.76(m,2H),7.61-7.57(m,2H),7.32(t,J=7.5Hz,1H),6.97-6.95(m,2H),6.72-6.68(m,2H),4.12(t,J=6.0Hz,2H),3.76(t,J=6.0Hz,2H),2.26-2.23(m,2H);ESI-MS:m/z=330[M+H]
【0057】
ステップ5:2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-3-ヒドロキシキノリン-4(1H)-オン(I-7)
中間体4の代わりに中間体9を使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法によりベージュの固体を得た。収率は59%であった。
H NMR(500MHz,DMSO-d):δ11.48(s,1H),8.29(s,1H),8.13(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.78(d,J=9.0Hz,2H),7.73(d,J=8.5Hz,1H),7.60(t,J=7.5Hz,1H),7.28(t,J=7.5Hz,1H),7.13(d,J=9.0Hz,2H),4.12(t,J=6.5Hz,2H),2.56(t,J=7.0Hz,2H),2.46-2.42(m,4H),1.95-1.89(m,2H),1.70-1.67(m,4H);13C NMR(125MHz,DMSO-d):δ170.22,159.80,138.42,138.01,131.81,131.11,130.85,124.85,124.80,122.24,122.15,118.84,114.66,66.54,54.13,52.68,28.63,23.58;ESI-MS:m/z=365[M+H]
【0058】
2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-3-ヒドロキシキノリン-4(1H)-オン(I-8)
中間体4の代わりに中間体9を使用し、ピロリジンの代わりにピペリジンを使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は67%であった。
H NMR(500MHz,DMSO-d):δ11.47(s,1H),8.28(s,1H),8.12(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.77(d,J=9.0Hz,2H),7.72(d,J=8.5Hz,1H),7.59(t,J=7.5Hz,1H),7.27(t,J=7.5Hz,1H),7.12(d,J=9.0Hz,2H),4.12(t,J=6.5Hz,2H),2.56(t,J=7.0Hz,2H),2.46-2.42(m,4H),1.95-1.89(m,2H),1.70-1.67(m,4H),1.51-1.48(m,2H);13C NMR(125MHz,DMSO-d):δ 170.25,159.49,138.43,138.03,131.75,131.17,130.84,125.04,124.83,122.26,122.14,118.88,114.67,65.99,54.29,53.08,28.58,24.19,23.74;ESI-MS:m/z=379[M+H]
【0059】
実施例4:Iシリーズ化合物(キノリノン系)のうちのI-9、I-10の合成
【0060】
ステップ1:2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)-3-メトキシ-1-メチルキノリン-4(1H)-オン(中間体10)
中間体9(660mg,2.0mmol)、硫酸ジメチル(0.75mL,8.0mmol)およびKCO(1.1g,8.0mmol)を10mLアセトンに溶解し、4h加熱還流反応させた。反応終了後、冷却し、吸引濾過し、減圧下で濾液から溶媒を回収した後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=1:2)により精製し、黄色固体558mgを得た。収率は78%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.59(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.71(t,J=7.5Hz,1H),7.53(d,J=8.5Hz,1H),7.42(t,J=7.5Hz,1H),7.31(d,J=8.5Hz,2H),7.07(d,J=8.5Hz,2H),4.22(t,J=6.0Hz,2H),3.81(t,J=6.0Hz,2H),3.65(s,3H),3.54(s,3H),2.36-2.24(m,2H);ESI-MS:m/z=358[M+H]
【0061】
ステップ2:2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-3-メトキシ-1-メチルキノリン-4(1H)-オン(I-9)
中間体4の代わりに中間体10を使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法によりオフホワイトの固体を得た。収率は65%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.59(dd,J=8.0,1.5Hz,1H),7.70(t,J=8.0Hz,1H),7.53(d,J=8.5Hz,1H),7.40(t,J=7.5Hz,1H),7.28(d,J=8.0Hz,2H),7.05(d,J=8.5Hz,2H),4.12(t,J=6.0Hz,2H),3.65(s,3H),3.53(s,3H),2.70(t,J=7.5Hz,2H),2.61-2.55(m,4H),2.13-2.05(m,2H),1.85-1.81(m,4H);13C NMR(125MHz,CDCl):δ172.96,159.69,147.31,141.26,140.20,131.85,130.38,127.14,126.79,124.35,122.99,115.78,114.67,66.46,59.89,54.30,53.15,37.12,28.74,23.47;ESI-MS:m/z=393[M+H]
【0062】
2-(4-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-3-メトキシ-1-メチルキノリン-4(1H)-オン(I-10)
中間体4の代わりに中間体10を使用し、ピロリジンの代わりにピペリジンを使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法によりオフホワイトの固体を得た。収率は67%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.58(d,J=8.0Hz,1H),7.70(t,J=7.5Hz,1H),7.53(d,J=8.5Hz,1H),7.41(t,J=7.5Hz,1H),7.29(d,J=8.5Hz,2H),7.05(d,J=8.5Hz,2H),4.10(t,J=6.0Hz,2H),3.65(s,3H),3.53(s,3H),2.57-2.51(m,2H),2.47-2.43(m,4H),2.08-2.03(m,2H),1.66-1.58(m,4H),1.48-1.44(s,2H);13C NMR(125MHz,CDCl):δ172.95,159.72,147.28,141.27,140.21,131.82,130.38,127.15,126.79,124.36,122.97,115.77,114.68,66.60,59.88,55.96,54.66,37.10,26.77,25.92,24.39;ESI-MS:m/z=407[M+H]
【0063】
実施例5:IIシリーズ化合物(フラボノイド系)のうちのII-1、II-2の合成
【0064】
ステップ1:4-(3-クロロプロポキシ)ベンズアルデヒド(中間体11)
p-ヒドロキシアセトフェノンの代わりにp-ヒドロキシベンズアルデヒドを使用する以外、中間体6と同様の方法により淡黄色固体を得た。収率は98%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ9.89(s,1H),7.85(d,J=9.0Hz,2H),7.02(d,J=9.0Hz,2H),4.22(t,J=6.0Hz,2H),3.77(t,J=6.0Hz,2H),2.30-2.25(m,2H);ESI-MS:m/z=199[M+H]
【0065】
ステップ2:1-(2-ヒドロキシフェニル)-3-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル) プロプ-2-エン-1-オン(中間体12)
p-ヒドロキシアセトフェノン(1.36g,10mmol)および中間体11(1.98g,10mmol)を15mL COHに溶解し、1.68gのKOH(30mmol)を加え、2h還流反応した。冷却し、一部の溶媒を減圧除去し、残留物に200mL氷水を加え、2NのHClでpHを4-5に調整し、大量の固体が析出した後、吸引濾過して乾燥させ、黄色固体2.82gを得た。収率は89%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ12.92(s,1H),7.94-7.89(m,2H),7.63(d,J=8.5Hz,2H),7.57and 7.54(s,1H),7.49(t,J=7.5Hz,1H),7.03(d,J=8.5Hz,1H),6.97-6.93(m,3H),4.20(t,J=6.0Hz,2H),3.78(t,J=6.5Hz,2H),2.30-2.25(m,2H);ESI-MS:m/z=317[M+H]
【0066】
ステップ3:2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)-3-ヒドロキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(中間体13)
中間体12(1.05g,3mmol)を10mLのCOHに溶解し、10mL(0.5N)KOH溶液を加え、さらに0.6mLのH水溶液(30%)をバッチで加え、室温で1h撹拌した後、反応液を氷水に入れ、大量の固体が析出した後、吸引濾過し、濾過ケーキを水で洗浄した後、乾燥させ、黄色固体930mgを得た。収率は94%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.61(d,J=7.5Hz,1H),8.04(d,J=9.0Hz,2H),7.61-7.58(m,2H),7.28(t,J=7.0Hz,1H),7.01(d,J=9.0Hz,2H),4.15(t,J=6.0Hz,2H),3.83(t,J=6.5Hz,2H),2.23-2.17(m,2H);ESI-MS:m/z=331[M+H]
【0067】
ステップ4:2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-3-ヒドロキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(II-1)
【0068】
中間体4の代わりに中間体13を使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により、黄色固体を得た。収率は68%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.25-8.21(m,3H),7.71(t,J=7.5Hz,1H),7.59(d,J=8.5Hz,1H),7.42(t,J=7.5Hz,1H),7.06(d,J=9.0Hz,2H),4.14(t,J=6.0Hz,2H),2.74-2.67(m,2H),2.64-2.58(m,4H),2.11-2.06(m,2H),1.86-1.80(m,4H);13C NMR(125MHz,DMSO-d):δ173.10,160.32,154.88,146.04,138.65,133.96,129.87,125.20,124.95,123.92,121.81,118.80,114.94,66.52,54.10,52.64,28.56,23.56;ESI-MS:m/z=366[M+H]
【0069】
2-(4-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-3-ヒドロキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(II-2)
中間体4の代わりに中間体13を使用し、ピロリジンの代わりにピペリジンを使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は61%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.25-8.21(m,3H),7.71(t,J=7.5Hz,1H),7.59(d,J=8.5Hz,1H),7.42(t,J=7.5Hz,1H),7.06(d,J=9.0Hz,2H),4.12(t,J=6.5Hz,2H),2.56(t,J=7.0Hz,2H),2.46-2.42(m,4H),1.95-1.89(m,2H),1.70-1.67(m,4H),1.52-1.48(m,2H);13C NMR(125MHz,DMSO-d):δ173.47,160.24,154.85,145.98,138.02,133.85,129.77,125.19,124.87,124.09,121.78,118.78,114.93,66.61,55.56,54.59,26.69,26.07,24.61;ESI-MS:m/z=380[M+H]
【0070】
実施例6:IIシリーズ化合物(フラボノイド系)のうちのII-3、II-4の合成
【0071】
ステップ1:2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)-3-メトキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(中間体14)
中間体13(660mg,2.0mmol)、ヨードメタン(8.0mmol)およびKCO(1.1g,8.0mmol)を10mLアセトンに溶解し、4h加熱還流反応させた。反応終了後、冷却し、吸引濾過し、減圧下で濾液から溶媒を回収した後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=1:2)により精製し、黄色固体558mgを得た。収率は78%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.59(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.71(t,J=7.5Hz,1H),7.53(d,J=8.5Hz,1H),7.42(t,J=7.5Hz,1H),7.31(d,J=8.5Hz,2H),7.07(d,J=8.5Hz,2H),4.22(t,J=6.0Hz,2H),3.81(t,J=6.0Hz,2H),3.65(s,3H),3.54(s,3H),2.36-2.24(m,2H);ESI-MS:m/z=358[M+H]
【0072】
ステップ2、2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-3-メトキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(II-3)
中間体4の代わりに中間体14を使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により赤色固体を得た。収率は54%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.26(d,J=8.0Hz,1H),8.12(d,J=8.5Hz,2H),7.68-7.64(m,1H),7.53-7.50(m,1H),7.40-7.37(m,1H),7.00(d,J=8.5Hz,2H),4.12(t,J=6.0Hz,2H),3.90(s,3H),2.74-2.67(m,2H),2.64-2.58(m,4H),2.11-2.06(m,2H),1.86-1.80(m,4H);13C NMR(125MHz,CDCl):δ175.01,161.01,155.72,155.15,140.80,133.28,130.24,125.77,124.58,124.20,123.07,117.90,114.50,66.52,59.92,54.29,53.07,28.68,23.46;ESI-MS:m/z=380[M+H]
【0073】
2-(4-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-3-メトキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(II-4)
【0074】
中間体4の代わりに中間体14を使用し、ピロリジンの代わりにピペリジンを使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は57%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):8.26(d,J=8.0Hz,1H),8.12(d,J=8.5Hz,2H),7.68-7.64(m,1H),7.53-7.50(m,1H),7.40-7.37(m,1H),7.00(d,J=8.5Hz,2H),4.12(t,J=6.5Hz,2H),3.89(s,3H),2.56(t,J=7.0Hz,2H),2.46-2.42(m,4H),1.95-1.89(m,2H),1.70-1.67(m,4H),1.52-1.48(m,2H);13C NMR(125MHz,CDCl):δ175.00,161.03,155.71,155.16,140.82,133.27,130.24,125.80,124.57,124.22,123.09,117.90,114.51,66.65,59.93,55.89,54.67,26.68,25.90,24.38;ESI-MS:m/z=394[M+H]
【0075】
実施例7:IIシリーズ化合物(フラボノイド系)のうちのII-5、II-6の合成
【0076】
ステップ1:1-(2,6-ジヒドロキシフェニル)-3-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)プロプ-2-エン-1-オン(中間体15)
o-ヒドロキシアセトフェノンの代わりに2,6-ジヒドロキシアセトフェノンを使用する以外、中間体12と同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は85%であった。
ESI-MS:m/z=333[M+H]
【0077】
ステップ2:2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)-5-ヒドロキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(中間体16)
中間体15(1.00g,3.2mmol)を15mLのDMSOに溶解し、I(128mg,0.5mmol)および0.5mL濃硫酸を加え、85℃で24h撹拌した。反応液を200mLのHOに入れ、EtOAcで3回抽出し、有機層を合わせ、水で洗浄し、飽和NaClで洗浄した後、無水NaSOで乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=4:1)により分離し、白色固体565mgを得た。収率は45%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.88(d,J=9.0Hz,2H),7.55(t,J=8.5Hz,1H),7.05(d,J=9.0Hz,2H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),6.82(d,J=8.0Hz,1H),6.66(s,1H),4.23(t,J=6.0Hz,2H),3.79(t,J=6.0Hz,2H),2.32-2.27(m,2H);ESI-MS:m/z=331[M+H]
【0078】
ステップ3:2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-5-ヒドロキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(II-5)
中間体4の代わりに中間体16を使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は58%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.88(d,J=9.0Hz,2H),7.55(t,J=8.5Hz,1H),7.05(d,J=9.0Hz,2H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),6.82(d,J=8.0Hz,1H),6.66(s,1H),4.12(t,J=6.0Hz,2H),2.78(t,J=6.0Hz,2H),2.65-2.61(m,4H),2.11-2.06(m,2H),1.89-1.86(m,4H);ESI-MS:m/z=366[M+H]
【0079】
2-(4-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-5-ヒドロキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(II-6)
中間体4の代わりに中間体16を使用し、ピロリジンの代わりにピペリジンを使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は64%であった。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.87(d,J=9.0Hz,2H),7.56(t,J=8.5Hz,1H),7.04(d,J=9.0Hz,2H),6.99(d,J=8.0Hz,1H),6.81(d,J=8.0Hz,1H),6.65(s,1H),4.13(t,J=6.0Hz,2H),2.59-2.53(m,2H),2.50-2.44(m,4H),2.10-2.04(m,2H),1.70-1.62(m,4H),1.48-1.45(m,2H);ESI-MS:m/z=380[M+H]
【0080】
実施例8:IIシリーズ化合物(フラボノイド系)のうちのII-7、II-8の合成
【0081】
ステップ1:2-(4-(3-クロロプロポキシ)フェニル)-5-メトキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(中間体17)
中間体13の代わりに中間体16を使用する以外、中間体14と同様の製造方法によりオフホワイトの固体を得た。収率は75%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.88(d,J=9.0Hz,2H),7.55(t,J=8.5Hz,1H),7.05(d,J=9.0Hz,2H),6.99(d,J=8.0Hz,1H),6.82(d,J=8.0Hz,1H),6.68(s,1H),4.21(t,J=6.0Hz,2H),3.90(s,3H),3.78(t,J=6.0Hz,2H),2.32-2.27(m,2H);ESI-MS:m/z=345[M+H]
【0082】
ステップ2:2-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-5-メトキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(II-7)
中間体4の代わりに中間体17を使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は61%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.87(d,J=9.0Hz,2H),7.55(t,J=8.5Hz,1H),7.05(d,J=9.0Hz,2H),6.99(d,J=8.0Hz,1H),6.82(d,J=8.0Hz,1H),6.68(s,1H),4.13(t,J=6.0Hz,2H),3.91(s,3H),2.76(t,J=6.0Hz,2H),2.65-2.60(m,4H),2.10-2.05(m,2H),1.89-1.85(m,4H);ESI-MS:m/z=380[M+H]
【0083】
2-(4-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-5-メトキシ-4H-ベンゾピラン-4-オン(II-8)
【0084】
中間体4の代わりに中間体17を使用し、ピロリジンの代わりにピペリジンを使用する以外、化合物I-1と同様の製造方法により黄色固体を得た。収率は67%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.88(d,J=9.0Hz,2H),7.56(t,J=8.5Hz,1H),7.05(d,J=9.0Hz,2H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),6.83(d,J=8.0Hz,1H),6.66(s,1H),4.12(t,J=6.0Hz,2H),3.89(s,3H),2.54-2.49(m,2H),2.48-2.41(m,4H),2.06-2.00(m,2H),1.65-1.59(m,4H),1.47-1.43(m,2H);ESI-MS:m/z=394[M+H]
【0085】
実施例9: PSLモデルラットの熱痛覚閾値に対する異なる用量の作用
SD雄性ラット(200-250g)を用いて、右後肢の坐骨神経の1/3-1/2の部分を結紮し、筋肉および皮膚を縫合し、PSLモデルを構築した。偽手術群モデル(sham)については、結紮せずにそのまま筋肉および皮膚を縫合した。6日目に足底熱刺激測定装置(BME-410)を用いて熱痛覚閾値を2日間連続測定し、熱痛覚閾値が安定したラットを選択し、モデル群(model)、プレガバリン群(Pre,30mg/kg)、I-6化合物群(3mg/kg)、I-6化合物群(1mg/kg)、I-6化合物群(0.3mg/kg)の5群にランダムに分け、1ml/100gで強制経口投与し、投与前に基礎値を測定し、偽手術群およびモデル群(model)に同体積の生理食塩水を強制経口投与し、単回投与後の1、2、4、6時間目に足底熱刺激測定装置を用いて各群の熱痛覚閾値を測定した。結果を図1に示す。
結果から分かるように、SDラットPSL神経因性疼痛モデルに対して、I-6化合物を0.3mg/kg、1.0mg/kg、3.0mg/kgの3つの用量で単回投与することにより、PSLモデルラットの熱痛覚閾値が用量依存的に向上し、I-6化合物を0.3mg/kgの用量で投与した2時間後、PSLモデルラットの熱痛覚閾値は高くなり、モデル群に比べて有意差があり(P<0.01)、I-6化合物1.0mg/kgの用量で向上したPSLモデルラットの熱痛覚閾値はプレガバリン(Pre)30.0mg/kgの用量に相当し、I-6化合物を3.0mg/kgの用量で投与した後の1から2時間内でPSLモデルラットの熱痛覚閾値が偽手術群ラットのレベルまで向上し、プレガバリン30.0mg/kgよりも優れた。これは、I-6化合物がPSL神経因性疼痛モデルの熱痛覚閾値を正常レベルまで効果的に向上させることができ、薬効がプレガバリン(Pre)よりも優れることを示している。
【0086】
実施例10:PSLモデルラットの熱痛覚閾値に対する影響の比較
SD雄性ラット(200-250g)を用いて、右後肢の坐骨神経の1/3-1/2の部分を結紮し、筋肉および皮膚を縫合し、PSLモデルを構築した。偽手術群モデル(sham)を結紮せずに、そのまま筋肉および皮膚を縫合した。6日目に足底熱刺激測定装置(BME-410)を用いて熱痛覚閾値を2日間連続測定し、熱痛覚閾値が安定したラットを選び、モデル群(model)、ガバペンチン群(Gab,50mg/kg)、カルバマゼピン群(Car,100mg/kg)、アミトリプチリン群(Ami,10mg/kg)、I-4化合物群(1mg/kg)、I-6化合物群(1mg/kg)およびII-4化合物群(1mg/kg)の7群にランダムに分け、1ml/100gで強制経口投与し、投与前に礎値を測定し、偽手術群(sham)およびモデル群(model)に同体積の生理食塩水を強制経口投し、単回投与後の1、2、4、6日目に足底熱刺激測定装置を用いて各群の熱痛覚閾値を測定した。結果を図2に示す。
結果から分かるように、SDラットPSL神経因性疼痛モデルに対して、I-4、I-6、II-4化合物を1mg/kgで強制経口投与した1時間後に、ラット熱痛覚閾値が顕著に向上し、モデル群に比べて有意差があり、各化合物の1mg/kg用量でのラット熱痛覚閾値の向上は、ガバペンチン50mg/kg、カルバマゼピン100mg/kg、アミトリプチリン10mg/kgの効果に相当し、前記化合物の薬効が顕著であることを示している。
【0087】
実施例11:CCIモデルラットの機械的刺激痛覚閾値に対する作用
SD雄性ラット(200-250g)を用いて、右後肢に坐骨神経を露出させ、坐骨神経の分岐部の近位の位置に、滅菌クロム腸線(4号,直径0.15mm)を用いて約1~2mmの間隔で4つの結紮を緩く結び、筋肉および皮膚を縫合し、CCIモデルを構築した。偽手術群では、坐骨神経を露出させるだけ、結紮せずに、筋肉および皮膚を縫合した。3日間観察した後、7日目に電子痛覚測定装置(IITC-2391)を用いて機械的刺激痛覚閾値を2日間連続測定した。機械的刺激痛覚閾値が安定したCCIモデルラットを、モデル群、ガバペンチン(Gab)群 (50mg/kg)、I-4化合物群(9mg/kg)、I-4化合物群(3mg/kg)、I-4化合物群(1mg/kg)の5群にランダムに分け、1ml/100gで強制経口投与し、偽手術群(sham)およびモデル群(model)に同体積の生理食塩水を強制経口投与し、投与前に基礎値を測定し、単回投与後の1、2、4、6時間目に機械的刺激痛覚閾値を測定した。結果を図3に示す。
結果から分かるように、SDラットCCI神経因性疼痛モデルに対して、I-4化合物を1mg/kg、3mg/kg、9mg/kgの3つの用量でそれぞれ投与することにより、CCIモデルラットの機械的刺激痛覚閾値が用量依存的に向上し、I-4化合物を3mg/kgの用量で投与した後の1時間から4時間でCCIモデルラットの機械的刺激痛覚閾値は高くなり、モデル群に比べて有意差があり(P<0.01)、ガバペンチン(Gab)を50mg/kgの用量でした1時間から2時間後のみのCCIモデルラットの機械的刺激痛覚閾値は高くなり、モデル群に比べて有意差があり、I-4化合物の効果的な作用時間がより長く、ガバペンチンよりも優れることを示している。
【0088】
実施例12:糖尿病性神経因性疼痛モデルに対する作用
血糖値が正常なSD雄性ラット(200-250g)を用いてモデルを構築した。12時間絶食(給水制限なし)処置した後、ストレプトゾトシン(STZ)60mg/kgを腹腔内注射してラット糖尿病モデルを誘導し、1週間後に、食後2時間尾静脈血を取って血糖値を測定した。血糖値が16mmol/Lよりも高く、糖尿病モデルが成功に構築されたことを示している。正常対照群(Normal)に同体積のクエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液(pH4.2)を投与し、STZ投与の2週間後に、底熱刺激測定装置(BME-410)を用いて正常対照群、STZラットの足底熱痛覚閾値を測定し、STZ誘導神経因性疼痛の糖尿病ラットをモデル群(Model)、ガバペンチン群(50mg/kg)、I-6化合物群(1mg/kg)にランダムに分け、1ml/100gで強制経口投与し、正常対照群およびモデル群に同体積の生理食塩水を投与し、投与前に基礎値を測定し、単回投与後の1、2、4、6時間目に熱痛覚閾値を測定した。結果を図4に示す。
結果から分かるように、SDラット糖尿病性神経因性疼痛モデルに対して、I-6化合物およびガバペンチンはいずれも糖尿病性神経因性疼痛モデルの熱痛覚閾値を向上させることができ、ガバペンチンの50mg/kgの用量に比べ、I-6化合物の1mg/kgの用量での熱痛覚閾値の向上作用はより高く(P<0.01)、作用時間も長い。
【0089】
実施例13:化学療法による神経因性疼痛モデルに対する作用
SD雄性ラット(200-250g)を用い、オキサリプラチン(OXA)4mg/kgを腹腔内注射により1週間2回で4週間(1、2、8、9、15、16、22および23日目)連続投与した。正常対照群(Normal)およびモデル対照群(Model)のラットについて24日目に電子痛覚測定装置(IITC-2391)を用いて機械的刺激痛覚閾値を測定し、機械的刺激痛覚閾値が安定したラットをモデル群(Model)、プレガバリン(Pre)群(30mg/kg)、II-4化合物群(9mg/kg)、II-4化合物群(3mg/kg)、II-4化合物群(1mg/kg)にランダムに分け、1ml/100gで強制経口投与し、正常対照群およびモデル群に同体積の生理食塩水を投与し、投与前に基礎値を測定し、単回投与後の1、2、4、6時間目に機械的刺激痛覚閾値を測定した。
図5の結果から分かるように、SDラットの化学療法による神経因性疼痛モデルに対して、II-4化合物を1mg/kg、3mg/kg、9mg/kgの 3つの用量でそれぞれ単回投与することにより、OXAモデルラットの機械的刺激痛覚閾値が用量依存的に向上し、II-4化合物を1mg/kgの用量で投与した1から2時間後のOXAモデルラットの機械的刺激痛覚閾値は高くなり、モデル群に比べて有意差があり(P<0.01)、投与した2から4時間後にII-4化合物3mg/kg、9mg/kgによるOXAモデルラットの機械的刺激痛覚閾値の向上は、プレガバリン(Pre)30.0mg/kgよりも高い(P<0.05)。これは、II-4化合物がOXA神経因性疼痛モデルの機械的刺激痛覚閾値をより効果的に向上させることができ、効果持続時間がより長いが、プレガバリンのほうは効果が現れる時間が速い。
【0090】
実施例14:CCIモデルラットの機械的刺激痛覚閾値に対する5日間連続投与の作用
SD雄性ラット(200-250g)を用いて、右後肢に坐骨神経を露出させ、坐骨神経の分岐部の近位の位置に、滅菌クロム腸線(4号,直径0.15mm)を用いて約1~2mmの間隔で4つの結紮を緩く結び、筋肉および皮膚を縫合し、CCIモデルを構築した。偽手術群では、坐骨神経を露出させるだけ、結紮せずに、筋肉および皮膚を縫合した。3日間観察した後、7日目に電子痛覚測定装置(IITC-2391)を用いて機械的刺激痛覚閾値を2日間連続測定した。機械的刺激痛覚閾値が安定したCCIモデルラットをモデル群、ガバペンチン(Gab)群(50mg/kg)、I-10化合物群(3mg/kg)、I-10化合物群(1mg/kg)、I-10化合物群(0.3mg/kg)の6群にランダムに分け、1ml/100gで強制経口投与し、偽手術群(sham)およびモデル群(model)に同体積の生理食塩水を強制経口投与し、投与前に基礎値を測定し、5日間連続投与し、毎回投与の2時間後に機械的刺激痛覚閾値を測定した。結果を図6に示す。
結果から分かるように、SDラットCCI神経因性疼痛モデルに対して、I-10化合物を0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgの3つの用量でそれぞれ投与することにより、CCIモデルラットの機械的刺激痛覚閾値が用量依存的に向上し、I-10化合物を1mg/kgの用量で投与した1日から5日後のCCIモデルラットの機械的刺激痛覚閾値は、モデル群よりも顕著に高く(P<0.01)、ガバペンチン(Gab)を50mg/kgの用量で投与した2日から5日後のCCIモデルラットの機械的刺激痛覚閾値は高くなり、モデル群に比べて有意差があり、I-10化合物が良好な用量依存性および薬効安定性を有し、ガバペンチンよりも優れることを示している。
【0091】
実施例15:バイオアベイラビリティ
SDラット(n=3)体内でのI-6化合物の薬物動態学研究の結果から分かるように、I.V投与後(用量1.00mg/kg)、ラット体内での半減期T1/2は6.00±1.43hである。
I-6化合物のP.O投与(用量10.0mg/kg)後、ラット体内での血中薬物濃度がピークに達するまでの平均時間は2.00±1.73hであり、半減期T1/2は3.79±0.12hである。
SDラット体内でのI-6化合物の絶対的バイオアベイラビリティは51.32%である。
【0092】
実施例16:安全性
ICRマウス(各群n=4)にI-6化合物を強制経口投与した。64mg/kg用量群では、マウスの異常が観察されなかった。256mg/kg用量群では、1匹が痙攣を起こしたが、翌日に正常に回復し、死亡が認められなかった。1024mg/kg用量群では、1匹が痙攣を起こし、翌日に死亡した。半数致死量が得られなかった。これは、I-6化合物のLD50が1024mg/kgよりも高く、安全性が高いことを示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6