(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】有機化合物、それを含む有機発光ダイオード、及び該有機発光ダイオードを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
C07D 251/24 20060101AFI20240611BHJP
C07D 403/10 20060101ALI20240611BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240611BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20240611BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20240611BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
C07D251/24
C07D403/10 CSP
H05B33/14 A
H05B33/22 B
H10K59/00
G09F9/33
(21)【出願番号】P 2022525735
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 KR2020015101
(87)【国際公開番号】W WO2021086143
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0138126
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0143888
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522173103
【氏名又は名称】ソールブレイン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ジュ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】ソク・ジョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ヨン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ウン・チョル・シン
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0319197(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0093354(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0122023(KR,A)
【文献】国際公開第2019/191665(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/089027(WO,A1)
【文献】特開2019-019126(JP,A)
【文献】国際公開第2019/004599(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0317293(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H05B33/14
H05B33/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されることを特徴とする、有機化合物。
【化1】
(前記化学式1において、X
1~X
3は、独立して、窒素(N)または炭素(C)であり、前記X
1~X
3のうちの少なくとも2つは窒素であり、Ar
1は、フェニル基であり、Ar
2は、フェニル基であり、Ar
3は、置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基であり、R
1は、水素であり、R
2は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。)
【請求項2】
前記化学式1において、Ar
3は、
【化2】
である、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項3】
前記化学式1において、R
2は、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレン基、ピレニル基、ペリレニル基、及びクリセニル基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項4】
前記化学式1は、化学式1-1~1-1-6、1-16~1-25、
1-35、1-36、1-38、1-40、及び1-41のうちの1つであることを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
【化3A】
【化3B】
【化3D】
【化3E】
【化3F】
【化3G】
【化3I】
【化3J】
【化3K】
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の有機化合物を含むことを特徴とする、電子輸送物質。
【請求項6】
請求項5に記載の電子輸送物質を含むことを特徴とする、有機発光ダイオード。
【請求項7】
前記有機発光ダイオードは、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に位置する有機物層を含み、
前記有機物層は前記電子輸送物質を含むことを特徴とする、請求項6に記載の有機発光ダイオード。
【請求項8】
前記有機物層は、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層及び正孔注入層からなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項7に記載の有機発光ダイオード。
【請求項9】
請求項6に記載の有機発光ダイオードを含むことを特徴とする、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物、それを含む有機発光ダイオード、及び該有機発光ダイオードを含む表示装置に関し、より詳細には、発光効率、熱的安定性及び寿命特性を向上させることができる有機化合物、それを含む有機発光ダイオード、及び該有機発光ダイオードを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode;OLED)は、自発光型素子であって、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答時間が早く、輝度、駆動電圧及び応答速度特性に優れ、多色化が可能であるという利点を有している。
【0003】
一般の有機発光ダイオードは、陽極(anode)と陰極(cathode)との間に有機物層が挿入された構造からなっており、有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む多層構造からなることができる。
【0004】
このような有機発光ダイオードの2つの電極の間に電圧をかけると、陽極からは正孔(hole)が、陰極からは電子(electron)が有機物層に注入され、注入された正孔と電子が会って再結合(recombination)する過程でエネルギーの高い励起子(exciton)を形成するようになる。このとき、形成された励起子が再び基底状態(ground state)に移動しながら、特定の波長を有する光が発生するようになる。
【0005】
一方、有機発光ダイオードの発光効率の増大、安定性及び寿命の向上のためには、前記有機物層をなす正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質などが、安定でかつ効率的な材料によって裏付けられることが先行しなければならないが、まだこのような有機物層材料の開発が十分になされていない状態である。
【0006】
そのため、新たな材料の開発が続けて求められており、特に電子輸送物質の開発が切実な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0100493号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、発光効率、熱的安定性及び寿命特性を向上させることができる有機化合物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、本記載の有機化合物を用いることで発光効率、熱的安定性及び寿命特性に優れた有機発光ダイオード、及びそれを含む表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の上記目的及びその他の目的は、以下で説明する本発明によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記化学式1で表される有機化合物を提供する。
【0012】
【化1】
(前記化学式1において、X
1~X
3は、独立して、窒素(N)または炭素(C)であり、前記X
1~X
3のうちの少なくとも2つはNであり、Ar
1~Ar
3は、独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基であり、R
1及びR
2は、独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、及び置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基からなる群から選択される。)
【0013】
また、本発明は、本記載の有機化合物を含む電子輸送物質、有機発光ダイオードを提供する。
【0014】
また、本発明は、本記載の有機発光ダイオードを含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発光効率、熱的安定性及び寿命特性を向上させることができる有機化合物、それを含む有機発光ダイオード、及び該有機発光ダイオードを含む表示装置を提供する効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本記載の有機化合物、それを含む有機発光ダイオード、及び該有機発光ダイオードを含む表示装置を詳細に説明する。
【0017】
本明細書において、「置換」とは、別途の定義がない限り、化合物又は分子中の原子団のうちの少なくとも1つの水素がハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、フルオレニル基、C1~C30のアミン基、ニトロ基、C1~C40のシリル基、C1~C30のアルキル基、C1~C10のアルキルシリル基、C3~C30のシクロアルキル基、C6~C30のアリール基、C1~C20のアルコキシ基、フルオロ基、トリフルオロメチル基などのC1~C10のトリフルオロアルキル基またはシアノ基などで置換されたことを意味する。このとき、前記C1~C30のアミン基、C1~C40のシリル基は、水素、ハロゲン基、アルキル基、及びアリール基のうちの1以上の置換基で置換されてもよい。
【0018】
本明細書において、「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、1つの作用基内にN、O、S及びPからなる群から選択されるヘテロ原子を1つ~3つ含有し、残りは炭素であるものを意味する。
【0019】
本明細書において、「*-」は、炭素原子又は炭素以外の原子と連結される部分、すなわち、置換基(group)や官能基が連結される部分を意味する。
【0020】
本明細書において、「アルキル(alkyl)基」とは、別途の定義がない限り、飽和脂肪族炭化水素基を意味する。
【0021】
本明細書において、「アリール(aryl)基」は、環状である置換基の全ての元素がp-オービタルを有しており、これらのp-オービタルが共役(conjugation)を形成している置換基を意味し、単環式または縮合多環式(即ち、炭素原子の隣接する対を共有する環)作用基を含む。
【0022】
本明細書において、「ヘテロアリール(heteroaryl)基」は、アリール基内にN、O、S及びPからなる群から選択されるヘテロ原子を1つ~3つ含有し、残りは炭素であるものを意味する。前記ヘテロアリール基が縮合環である場合、それぞれの環毎に前記ヘテロ原子を1つ~3つ含んでいてもよい。
【0023】
本明細書において、特に言及がない限り、「電子輸送物質」は、有機発光ダイオードを構成する部品のうち、電子(election)や正孔(hole)などの発光に必要な電子の注入及び輸送を担当する有機物質を意味する。
【0024】
本発明者らは、様々な化合物を合成して有機物層、特に電子輸送層に使用する場合、結果的に、低い駆動電圧でも高い発光効率を有するだけでなく、熱的安定性及び寿命特性に優れた有機発光ダイオードが製造されることを確認し、これに基づいてさらに研究に邁進して本発明を完成するようになった。
【0025】
本発明の有機化合物は、下記化学式1で表されることを特徴とし、これは、有機発光ダイオードの発光効率、熱的安定性及び寿命特性を向上させる効果がある。
【0026】
【化2】
(前記化学式1において、X
1~X
3は、独立して、窒素(N)または炭素(C)であり、前記X
1~X
3のうちの少なくとも2つは窒素であり、Ar
1~Ar
3は、独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基であり、R
1及びR
2は、独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、及び置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基からなる群から選択される。)
【0027】
本記載の化学式において、炭素に結合された水素原子は省略した。
【0028】
前記化学式1において、X1~X3は、一例として、独立して、窒素(N)または炭素(C)であってもよく、前記X1~X3のうちの少なくとも2つは窒素である。
【0029】
具体例として、前記化学式1において、X1~X3のうちの2つは窒素、1つは炭素であるか、またはX1~X3が全て窒素であってもよく、この場合、電子輸送効果に優れるので発光効率が向上するという効果がある。
【0030】
前記化学式1において、Ar1~Ar3は、独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基であってもよく、この場合、低い駆動電圧でも高い発光効率を有し、寿命特性が向上するという効果がある。
【0031】
好ましい例として、前記Ar
1~Ar
3は、一例として、独立して、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレン基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、カルバゾール基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリン基、アクリジル基、
【化3】
(ここで、前記R
1’及びR
2’は、独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、及び置換もしくは非置換の炭素数1~20のアリール基からなる群から選択される)であってもよく、この場合、電子輸送性能が向上し、発光効率及び寿命特性に優れるという効果がある。
【0032】
前記R1’及びR2’は、具体的な一例として、独立して、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレン基、ピレニル基、トリフェニレン基、ペリレニル基、クリセニル基、カルバゾール基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリン基及びアクリジル基からなる群から選択されてもよい。
【0033】
前記Ar1及びAr2は、一例として、独立して、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレン基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、カルバゾール基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリン基及びアクリジル基からなる群から選択されてもよく、好ましくは、Ar1及びAr2が全てフェニル基であってもよく、この場合、電子輸送効果に優れるので発光効率が向上するという効果がある。
【0034】
前記Ar3は、具体的な一例として、下記化学式2~6のうちの1つで表されてもよく、これは、有機発光ダイオードの発光効率、熱的安定性及び寿命特性を向上させる効果がある。
【0035】
【0036】
前記化学式1において、R1~R2は、一例として、独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、及び置換もしくは非置換の炭素数5~20のヘテロアリール基からなる群から選択されてもよい。
【0037】
具体例として、前記R1は水素であってもよい。
【0038】
具体例として、前記R2は、水素、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレン基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、カルバゾール基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリン基及びアクリジル基からなる群から選択されてもよく、好ましくは、水素、またはフェニル基であってもよく、この場合、電子輸送性能が向上し、発光効率及び寿命特性に優れるという効果がある。
【0039】
前記化学式1は、一例として、化学式1-1~1-44のうちの1つであってもよく、この場合、低い駆動電圧でも高い発光効率を有し、寿命特性が向上する効果がある。
【0040】
【化5A】
【化5B】
【化5C】
【化5D】
【化5E】
【化5F】
【化5G】
【化5H】
【化5I】
【化5J】
【化5K】
【0041】
本発明の有機発光ダイオードは、一例として、第1電極;第2電極;及び前記第1電極と前記第2電極との間に位置する有機物層;を含むことができる。
【0042】
前記有機物層は、一例として、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層及び正孔注入層からなる群から選択された1種以上を含むことができ、前記有機物層のうちの少なくとも1層以上は、本記載の有機化合物を含むことができ、この場合、順方向バイアスを印加すると、第1電極から正孔が発光層に流入し、第2電極から電子が発光層に流入し、発光層に流入した電子と正孔が結合してエキシトンを形成し、前記エキシトンが基底状態に転移しながら光が放出されることで、視野角が広く、応答時間が早く、輝度、駆動電圧及び応答速度特性に優れるという効果がある。
【0043】
前記有機化合物は、電子輸送物質、正孔輸送物質及び発光層のホスト物質からなる群から選択されるいずれか1つの物質として使用されてもよい。
【0044】
前記電子輸送層は、一例として電子輸送物質を含むことができ、前記電子輸送物質は、本記載の有機化合物を含むことができ、この場合、電子輸送性能が向上して発光効率に優れるという効果がある。
【0045】
前記有機化合物を電子輸送物質として使用する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優れた電子輸送特性を得ることができ、これを通じて、有機発光ダイオードの発光効率、熱的安定性及び寿命を向上させることができる。
【0046】
以下では、前記有機発光ダイオードについて詳細に説明する。但し、下記に例示された内容が本発明の有機発光ダイオードを限定するものではない。
【0047】
前記有機発光ダイオードは、一例として、第1電極;正孔注入層;正孔輸送層;発光層;電子輸送層(ETL);電子注入層;及び第2電極;が順次積層された構造を有することができ、具体的に、前記第1電極と発光層との間に電子遮断層(EBL)を、第2電極と発光層との間に正孔遮断層(HBL)をさらに含むことができる。
【0048】
前記第1電極は、一例としてアノードであり、前記第2電極は、一例としてカソードであってもよく、この場合、アノードから正孔が注入されて発光層に移動し、カソードから電子が注入されて発光層に移動し、前記正孔と電子が発光層で結合してエキシトン(exciton)を生成して、赤色、緑色及び青色の発光色の実現効果に優れる。
【0049】
前記アノードは、一例として、伝導性金属酸化物、金属及び炭素からなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0050】
前記伝導性金属酸化物は、一例として、ITO(indium tin oxide)、FTO(fluorine tin oxide)、AZO(aluminium zinc oxide)、GZO(galium zinc oxide)、ATO(antimony tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)及びOMO(oxide/metal/oxide)からなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、透明性に優れるという効果がある。
【0051】
前記金属は、一例として、当業界で通常用いられるものであれば、特に制限されない。
【0052】
前記炭素は、一例として、黒鉛、グラフェン及び炭素ナノチューブからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0053】
前記カソードは、一例として、当業界で通常用いられるものであれば、特に制限されないが、一例として、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、インジウム、リチウム、銀、鉛及びセシウムからなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0054】
前記正孔注入層は、一例として正孔注入物質を含むことができ、前記正孔注入物質は、一例として、銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルアミノ)フェノキシベンゼン(m-MTDAPB)、スターバースト(starburst)型アミン類である4,4’,4”-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)及び4,4’,4”-トリス(N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ)-トリフェニルアミン(2-TNATA)からなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、アノードから発光層への正孔の注入効率を高めるという効果がある。
【0055】
前記正孔注入層の厚さは、一例として、100~10,000Å、または100~5,000Å、好ましくは100~1,000Åであってもよく、この範囲内で、駆動電圧の上昇なしに正孔注入特性を向上させるという効果がある。
【0056】
本記載において、厚さは、別途に定義されない限り、エリプソメータ(Ellipsometer)装備を用いて測定することができる。
【0057】
前記正孔輸送層は、一例として正孔輸送物質を含むことができ、前記正孔輸送物質は、一例として、ビス(N-(1-ナフチル-N-フェニル))ベンジジン(α-NPD)、N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビフェニル-ベンジジン(NPB)、及びN,N’-ビフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)からなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、アノードから発光層への正孔の輸送効率を高めるという効果がある。
【0058】
前記正孔輸送層の厚さは、一例として、100~10,000Å、または100~5,500Å、好ましくは100~3,000Åであってもよく、この範囲内で、駆動電圧の上昇なしに正孔輸送特性を向上させるという効果がある。
【0059】
前記発光層は、一例として発光物質を含むことができ、前記発光物質は、一例として、トリス(8-ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Alq3)、Balq(8-ヒドロキシキノリンベリリウム塩)、DPVBi(4,4’-ビス(2,2-ビフェニルエテニル)-1,1’-ビフェニル)系、スピロ(Spiro)物質、スピロ-DPVBi(スピロ-4,4’-ビス(2,2-ビフェニルエテニル)-1,1’-ビフェニル)、LiPBO(2-(2-ベンゾオキサゾリル)-フェノールリチウム塩)、ビス(ビフェニルビニル)ベンゼン、アルミニウム-キノリン金属錯体、イミダゾール、チアゾール及びオキサゾールからなる群から選択された1種以上であってもよいが、これに限定されない。
【0060】
前記発光層は、一例として、厚さが100~1,000Å、100~700Å、または100~300Åであってもよく、この範囲内で、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優れた発光特性を示すことができる。
【0061】
前記電子輸送層は、一例として電子輸送物質を含むことができ、前記電子輸送物質は、好ましくは、本記載の化学式1で表される化合物であってもよく、この場合、有機発光ダイオードの発光効率、安定性及び寿命特性が向上するという効果がある。
【0062】
前記電子輸送層の厚さは、一例として、100~1,000Å、または100~500Å、好ましくは100~300Åであってもよく、この範囲内で、実質的な駆動電圧の上昇なしに電子輸送特性を向上させることができる。
【0063】
前記電子注入層は、一例として電子注入物質を含むことができ、前記電子注入物質は、一例として、当業界で通常用いられるものであれば、特に制限されないが、一例として、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaO、BaF2、及びLiq(リチウムキノレート)からなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、カソードから発光層への電子の注入効率を高めるという効果がある。
【0064】
前記電子注入層の厚さは、一例として、1~500Å、または3~300Å、好ましくは5~100Åであってもよく、この範囲内で、駆動電圧の上昇なしに電子注入特性を向上させるという効果がある。
【0065】
本発明に係る有機発光ダイオードは、上述したような順序、すなわち、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の順に製造してもよく、その逆に、第2電極/電子注入層/電子輸送層/正孔遮断層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層/第1電極の順に製造しても構わない。
【0066】
前記有機発光ダイオードの製造方法は、一例として、基板の表面に陽極用物質を通常の方法でコーティングして陽極を形成し、前記基板は、一例として、透明性、表面平滑性、取り扱いの容易性及び防水性に優れたガラス基板またはプラスチック基板が好ましい。
【0067】
前記基板上に形成された陽極の表面に正孔注入物質を真空熱蒸着又はスピンコートして正孔注入層を形成する。
【0068】
前記真空熱蒸着によって正孔注入層を形成する場合、蒸着条件は、正孔注入物質、正孔注入層の構造及び特性によって異なるが、一例として、蒸着温度が100~400℃、真空度が10-8~約10-6torr、蒸着速度が0.01~2Å/secの範囲で選択されてもよく、これに限定されるものではない。
【0069】
前記スピンコーティングによって正孔注入層を形成する場合、コーティング条件は、正孔注入物質、正孔注入層の構造及び特性によって異なるが、コーティング速度2000~5000rpm、コーティング後に溶媒の除去のための熱処理温度80~200℃の範囲で行われてもよく、これに限定されるものではない。
【0070】
次に、前記正孔注入層の表面に正孔輸送物質を真空熱蒸着又はスピンコートして正孔輸送層を形成し、前記正孔輸送層の表面に発光物質を真空熱蒸着又はスピンコートして発光層を形成する。
【0071】
前記発光層の表面に電子輸送物質を真空熱蒸着又はスピンコートして電子輸送層を形成することができ、このときに使用される電子輸送物質として本発明の有機化合物を使用する場合、有機発光ダイオードの発光効率、安定性及び寿命特性が向上する効果がある。
【0072】
次に、電子輸送層の表面に電子注入物質を通常の方法で形成し、以降、電子注入層の表面に陰極用物質を真空熱蒸着して陰極を形成する。
【0073】
本発明の表示装置は、一例として、本記載の有機発光ダイオードを含むことができ、前記表示装置は、一例として、携帯機器(携帯用コンピュータ、電子手帳、時計、リモコン、カムコーダー)、道路標識板、電子機器の表示部または壁掛けTVであってもよく、この場合、目的とする効果が良好に発現される。
【0074】
本発明を実施するための上述した全ての構成は、本発明の課題の解決手段の大きな枠の中で任意に組み合わせ及び置換可能であることを明示する。
【0075】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、以下の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【実施例】
【0076】
<製造例1>
1)化合物1-1の製造
【化6】
5Lの丸底フラスコに2-ブロモ-4-クロロフェノール(2-bromo-4-chlorophenol)100g(482.04mmol、1eq)とフェニルボロン酸(Phenylboronic acid)58.7g(482.04mmol、1eq)、Pd(PPh
3)
427.8g(24.10mmol、0.05eq)、K
2CO
3199g(1446mmol、3eq)を入れ、トルエン(Toluene)/エタノール(Et-OH)/H
2Oのそれぞれを2.4L/480mL/480mL入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物1-1 86gを87%の収率で得た。
【0077】
2)化合物1-2の製造
【化7】
3Lの丸底フラスコに5-クロロ-[1,1’-ビフェニル]-2-オール(5-chloro-[1,1’-biphenyl]-2-ol)80g(390.91mmol、1eq)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-octamethyl-2,2’-bi(1,3,2-dioxaborolane))198.53g(781.82mmol、2eq)、Pd(dba)
211.2g(19.54mmol、0.05eq)、Pcy3 10.96g(39.09mmol、0.1eq)、酢酸カリウム(Potassium acetate)153.3g(1564mmol、4eq)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)2Lを入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物1-2 92gを80%の収率で得た。
【0078】
3)化合物1-3の製造
【化8】
3Lの丸底フラスコに5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール(5-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolane-2-yl)-[1,1’-biphenyl]-2-ol)90g(303.87mmol、1eq)と2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)89.5g(334.26mmol、1.1eq)、Pd(PPh
3)
417.5g(15.19mmol、0.05eq)、K
2CO
3125.8g(911.63mmol、3eq)を入れ、トルエン(Toluene)/エタノール(Et-OH)/H
2Oのそれぞれを1.5L/303mL/303mL入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物1-3 92gを75%の収率で得た。
【0079】
4)化合物1-4の製造
【化9】
2Lの丸底フラスコに5-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール(5-(4,6-diphenyl-1,3,5-triazine-2-yl)-[1,1’-biphenyl]-2-ol)90g(224.17mmol、1eq)、トリエチルアミン(Triethyl amine)45.36g(448.35mmol、2eq)、塩化メチレン(Methylene chloride;MC)1.1Lを入れ、0℃で撹拌した。トリフルオロメタン無水硫酸(Trifluoromethane sulfuric anhydride)75.9g(269.01mmol、1.2eq)を滴加した後、1時間撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物1-4 101gを85%の収率で得た。
【0080】
5)化合物1-5の製造
【化10】
3Lの丸底フラスコに5-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル トリフルオロメタンスルホネート(5-(4,6-diphenyl-1,3,5-triazin-2-yl)-[1,1’-biphenyl]-2-yl trifluoromethanesulfonate)100g(187.47mmol、1eq)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-octamethyl-2,2’-bi(1,3,2-dioxaborolane))95.2g(374.86mmol、2eq)、Pd(dba)
210.77g(18.74mmol、0.1eq)、Pcy3 10.5g(37.48mmol、0.2eq)、酢酸カリウム(Potassium acetate)73.5g(750.87mmol、4eq)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)1.8Lを入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物1-5 69gを72%の収率で得た。
【0081】
6)目的化合物の製造
【化11】
500mLの丸底フラスコに化合物1-5(1eq)と下記表1のAr1-X(1eq)、Pd(PPh
3)
4(0.05eq)、K
2CO
3(3eq)を入れ、トルエン/Et-OH/H
2Oを入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、下記表1の構造の目的化合物を得た。
【0082】
【0083】
<製造例2>
1)化合物2-1の製造
【化12】
5Lの丸底フラスコに2-ブロモ-5-クロロフェノール(2-bromo-5-chlorophenol)80g(385.63mmol、1eq)とフェニルボロン酸(Phenylboronic acid)47g(385.63mmol、1eq)、Pd(PPh
3)
422g(19.28mmol、0.05eq)、K
2CO
3160g(1157mmol、3eq)を入れ、トルエン(Toluene)/エタノール(Et-OH)/H
2Oのそれぞれを1.9L/385mL/385mL入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物2-1 65gを83%の収率で得た。
【0084】
2)化合物2-2の製造
【化13】
3Lの丸底フラスコに4-クロロ-[1,1’-ビフェニル]-2-オール(4-chloro-[1,1’-biphenyl]-2-ol)60g(293.18mmol、1eq)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-octamethyl-2,2’-bi(1,3,2-dioxaborolane))149g(586.36mmol、2eq)、Pd(dba)
28.4g(14.66mmol、0.05eq)、Pcy3 8.2g(29.31mmol、0.1eq)、酢酸カリウム(Potassium acetate)115g(1174mmol、4eq)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)1.4Lを入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物2-2 70gを81%の収率で得た。
【0085】
3)化合物2-3の製造
【化14】
3Lの丸底フラスコに4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール(4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-[1,1’-biphenyl]-2-ol)70g(236.35mmol、1eq)と2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)69.4g(259.98mmol、1.1eq)、Pd(PPh
3)
413.6g(11.81mmol、0.05eq)、K
2CO
395.7g(709.05mmol、3eq)を入れ、トルエン(Toluene)/エタノール(Et-OH)/H
2Oのそれぞれを1.1L/240mL/240mL入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物2-3 74gを78%の収率で得た。
【0086】
4)化合物2-4の製造
【化15】
2Lの丸底フラスコに4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール(4-(4,6-diphenyl-1,3,5-triazine-2-yl)-[1,1’-biphenyl]-2-ol)70g(174.36mmol、1eq)、トリエチルアミン(Triethyl amine)35.28g(348.71mmol、2eq)、塩化メチレン(Methylene chloride;MC)870mLを入れ、0℃で撹拌した。トリフルオロメタン無水硫酸(Trifluoromethane sulfuric anhydride)59g(209.23mmol、1.2eq)を滴加した後、1時間撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物2-4 75gを81%の収率で得た。
【0087】
5)化合物2-5の製造
【化16】
3Lの丸底フラスコに4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル トリフルオロメタンスルホネート(4-(4,6-diphenyl-1,3,5-triazine-2-yl)-[1,1’-biphenyl]-2-yl trifluoromethanesulfonate)75g(140.57mmol、1eq)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-octamethyl-2,2’-bi(1,3,2-dioxaborolane))71.4g(281.14mmol、2eq)、Pd(dba)
28.08g(14.05mmol、0.1eq)、Pcy3 7.88g(28.11mmol、0.2eq)、酢酸カリウム(Potassium acetate)55.2g(563.15mmol、4eq)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)1.4Lを入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、化合物2-5 54gを76%の収率で得た。
【0088】
6)目的化合物の製造
【化17】
500mLの丸底フラスコに化合物2-5(1eq)と下記表2のAr2-X(1eq)、Pd(PPh
3)
4(0.05eq)、K
2CO
3(3eq)を入れ、トルエン/Et-OH/H
2Oを入れて還流撹拌した。反応終了後、CH
2Cl
2/H
2Oで抽出し、CH
2Cl
2層をMgSO
4で乾燥させた。シリカゲル(Silica-gel)カラム精製して、下記表2の構造の目的化合物を得た。
【0089】
以上、収得した目的化合物は、下記表3及び表4に記載したNMR及びFD-MS分析結果で確認した。
【0090】
【表2A】
【表2B】
【表2C】
【表2D】
【表2E】
【0091】
【0092】
【0093】
<実施例1>
素子の作製に使用される基板は、蒸留水で超音波洗浄を10分間行い、100℃状態のオーブンで30分間乾燥させた後、真空蒸着装置のチャンバに移送させた。
【0094】
実施例に使用される基板は、トップエミッション(Top emission)方式であり、アノード電極(anode)の構成は、金属/ITO層(layer)で形成した。このとき、金属としては銀(Ag)を使用し、ITO(Indium Tin Oxide)の厚さは10nmで形成した。ITO電極上には正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、有機発光層、電子輸送層及び電子注入層の順に蒸着した。
【0095】
具体的に、正孔注入層(HIL、Hole Injection Layer)は、5nmの厚さに蒸着した。また、正孔注入層上に正孔輸送層(HTL、Hole Transport Layer)を120nmの厚さに蒸着した。前記蒸着された正孔輸送層上に電子遮断層(EBL、Electron Blocking Layer)を15nmの厚さに蒸着した。次いで、有機発光層(organic emitting layer)としてBH化合物を20nmの厚さに蒸着し、不純物としてBD化合物5重量%を添加した。また、有機発光層上に、製造例1で合成した化学式1-1とリチウムキノレート(LiQ、Lithium Quinolate)を2:1の重量比で混合し、30nmの厚さに蒸着して電子輸送層(ETL、Electron Transport Layer)を形成した。また、電子注入層(EIL、Electron Injection Layer)は、LiFを使用して1nmの厚さに蒸着した。
【0096】
前記過程において、有機物層の蒸着速度は0.5~1.0Å/secに維持し、蒸着時の真空度は1~4×10-7torrを維持した。
【0097】
また、共振効果を極大化するために、電子注入層上に半透明電極(cathode)を適用し、このとき、半透明電極の形成は、マグネシウム(Mg)-銀(Ag)合金を使用し、半透明電極は厚さ14nmで形成した。
【0098】
最後に、光効率改善層(capping layer、CPL)は63nmの厚さに蒸着した。また、真空蒸着後に、基板はグローブボックス(Glove Box)に移されて封止工程を行った。封止部材は、内部に吸湿剤(getter)が備えられたガラスキャップ(glass cap)を使用した。また、各層の蒸着時に使用した化合物は、下記の通りである。
【0099】
【0100】
<実施例2~17>
化学式1-1の代わりに表5の化合物を使用した以外は、実施例1と同様に実験した。
【0101】
<比較例1>
化学式1-1の代わりに化合物ET1を使用した以外は、実施例1と同様に実験した。
【0102】
【0103】
<比較例2>
化学式1-1の代わりに化合物ET2を使用した以外は、実施例1と同様に実験した。
【0104】
【0105】
<比較例3>
化学式1-1の代わりに化合物ET3を使用した以外は、実施例1と同様に実験した。
【0106】
【0107】
<比較例4>
化学式1-1の代わりに化合物ET4を使用した以外は、実施例1と同様に実験した。
【0108】
【0109】
<比較例5>
化学式1-1の代わりに化合物ET5を使用した以外は、実施例1と同様に実験した。
【0110】
【0111】
<比較例6>
化学式1-1の代わりに化合物ET6を使用した以外は、実施例1と同様に実験した。
【0112】
【0113】
[実験例]
実施例及び比較例で製造した有機発光素子を対象として、10mA/cm2の電流密度で駆動電圧及び発光効率を測定し、1,000cd/m2の初期輝度に対して95%になる時間(LT95)を測定し、その測定結果を下記の表5に示した。
【0114】
【0115】
前記表5に示したように、本発明の有機化合物を含む有機発光ダイオード(実施例1~17)は、比較例1~6と比較して、駆動電圧、発光効率及び寿命特性が全て優れることが確認できた。