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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240611BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20240611BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/50
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022531368
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2020083801
(87)【国際公開番号】W WO2021105479
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】1917451.5
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アビ アウン, ワリド
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-315366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0289908(US,A1)
【文献】国際公開第2019/016740(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/110730(WO,A1)
【文献】特表2015-524261(JP,A)
【文献】特表2018-504127(JP,A)
【文献】米国特許第06053176(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品からエアロゾルを生成する方法であって、
前記消耗品が、前記消耗品に沿って軸方向に延在する複数のトラフを有する波形表面を備え、前記トラフがエアロゾル生成材料を備え、
前記方法が、選択された1つ又は複数のトラフに熱を順次供給して、その結果、所与の時間に、加熱要素によって、前記選択された1つ又は複数のトラフに熱が直接適用されるステップを含み、
前記消耗品の複数の部分に熱を供給するステップが、加熱要素を作動させることを含み、
前記消耗品の複数の部分に熱を順次供給するステップが、前記加熱要素を前記消耗品に対して移動させて、第1のトラフ、次に隣り合うトラフを加熱することをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記複数のトラフのうちの選択されたトラフに熱を順次供給するステップが、実質的に前記軸方向に垂直な方向に沿って、前記加熱要素を前記消耗品に対して移動させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
実質的に前記軸方向に平行な軸線の周りで、前記加熱要素を前記消耗品に対して移動させるステップをさらに含む、請求項又はに記載の方法。
【請求項4】
前記消耗品の複数の部分に熱を順次供給するステップが、実質的に前記軸方向に沿って、前記加熱要素を前記消耗品に対して移動させることを含む、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱要素を前記消耗品に対して移動させて、前記加熱要素と前記消耗品との間の接触をもたらすステップをさらに含む、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
複数の加熱段階を含む予め定められた加熱プロファイル、及び、
前記消耗品に適用される加熱期間
のうちの少なくとも1つから加熱オプションを選択するステップをさらに含む、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するための加熱要素と、
消耗品に沿って軸方向に延在する複数のトラフを有する波形表面を備える消耗品であって、前記複数のトラフがエアロゾル生成材料を備えている、消耗品と
を備え、
前記加熱要素が、選択された1つ又は複数のトラフに熱を供給するように配置され、その結果、所与の時間に、前記加熱要素によって、前記選択された1つ又は複数のトラフに熱が直接適用され、かつ、移動機構によって前記消耗品に対して移動されることによって、第1のトラフ、次に隣り合うトラフを加熱するように、前記消耗品の複数の部分に熱を順次供給するように配置される、エアロゾル供給システム。
【請求項8】
前記移動機構が、実質的に前記軸方向に垂直な方向に沿って、前記加熱要素と前記消耗品との間の相対移動をもたらすように配置される、請求項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
前記移動機構が、実質的に前記軸方向に沿って、前記加熱要素を前記消耗品に対して移動させるように配置されている、請求項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
前記移動機構が、実質的に前記軸方向に平行な軸線の周りで、前記加熱要素と前記消耗品との間の相対移動をもたらすように配置されている、請求項又はに記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
前記消耗品が、前記消耗品に沿って軸方向に延在するチャネルを備え、
使用中の前記加熱要素が、前記消耗品の前記チャネル内に配置されている、請求項10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
少なくとも、
複数のエアロゾル化段階を含む予め定められたエアロゾル生成プロファイルと、
前記エアロゾル生成材料に適用されるエアロゾル化期間と
の間の選択を実現するように、前記加熱要素を制御するように配置された制御回路
をさらに備える、請求項11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
第1のトラフが第1のエアロゾル生成材料を備え、第2のトラフが第2のエアロゾル生成材料を備え、前記第1のエアロゾル生成材料と前記第2のエアロゾル生成材料とは、異なるエアロゾル生成媒体である、請求項12のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
エアロゾル生成手段からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成機構と、
消耗品に沿って軸方向に延在する複数のトラフを有する波形表面手段を備える消耗品であって、前記複数のトラフがエアロゾル生成手段を備える、消耗品と
を備える、エアロゾル供給手段であって、
前記エアロゾル生成機構が、選択された1つ又は複数のトラフに熱を供給するように配置され、その結果、所与の時間に、前記エアロゾル生成機構によって、前記選択された1つ又は複数のトラフに熱が直接適用され、かつ、移動機構によって前記消耗品に対して移動されることによって、第1のトラフ、次に隣り合うトラフを加熱するように、前記消耗品の複数の部分に熱を順次供給するように配置される、エアロゾル供給手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品からエアロゾルを生成するための方法、エアロゾル供給システム、及びエアロゾル供給手段に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル供給システムは、公知である。
【0003】
エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル生成材料からエアロゾルを供給するためにエアロゾル供給システムで使用される。エアロゾル生成構成要素は、発振器又は加熱器などであってもよい。エアロゾル生成材料がエアロゾル供給システムに挿入されるとき、適切に配置されたエアロゾル生成構成要素によって、効果的なエアロゾル化が実現され得る。最新のデバイスでは、吸入に望ましいエアロゾルを供給するために、エアロゾル生成構成要素とエアロゾル生成材料とを調整することがよくある。この調整の必要なものの中に柔軟性があることが望ましい。
【0004】
本発明は、上記問題のいくつかを解決することを目的としている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に規定される。
【0006】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、消耗品からエアロゾルを生成する方法が提供され、消耗品は、消耗品に沿って軸方向に延在する複数のトラフを有する波形表面を備え、トラフは、エアロゾル生成材料を備えており、その方法は、選択された1つ又は複数のトラフに熱を順次供給して、その結果、所与の時間に、加熱要素によって、選択された1つ又は複数のトラフに熱が直接適用されることを含む。
【0007】
消耗品の複数の部分に熱を供給することは、加熱要素を作動させることを含み得る。
【0008】
複数のトラフのうちの選択されたトラフに熱を順次供給することは、実質的に軸方向に垂直な方向に沿って、加熱要素を消耗品に対して移動させることを含み得る。
【0009】
この方法は、実質的に軸方向に平行な軸線の周りで、加熱要素を消耗品に対して移動させることをさらに含み得る。
【0010】
消耗品の複数の部分に熱を順次供給することは、実質的に軸方向に沿って、加熱要素を消耗品に対して移動させることを含み得る。
【0011】
この方法は、加熱要素を消耗品に対して移動させて、加熱要素と消耗品との間の接触をもたらすことをさらに含み得る。
【0012】
消耗品の複数の部分に熱を順次供給することは、加熱要素を消耗品に対して移動させて、第1のトラフ、次に隣り合うトラフを加熱することをさらに含み得る。
【0013】
この方法は、複数の加熱段階を含む予め定められた加熱プロファイル、及び消耗品に適用される加熱期間のうちの少なくとも1つから加熱オプションを選択することをさらに含み得る。
【0014】
選択された1つ又は複数のトラフに熱を順次供給することは、加熱要素を消耗品に対して1つ又は複数の方向に移動させることを含み得る。
【0015】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するための加熱要素と、消耗品に沿って軸方向に延在する複数のトラフを有する波形表面を備える消耗品であって、複数のトラフがエアロゾル生成材料を備える、消耗品とを備えており、加熱要素が、選択された1つ又は複数のトラフに熱を供給するように配置され、その結果、所与の時間に、加熱要素によって、前記選択された1つ又は複数のトラフに熱が直接適用される、エアロゾル供給システムが提供されている。
【0016】
そのシステムは、実質的に軸方向に垂直な方向に沿って、加熱要素と消耗品との間の相対移動をもたらすように配置された移動機構をさらに備えることができる。
【0017】
移動機構は、実質的に軸方向に沿って、加熱要素を消耗品に対して移動させるように配置されてもよい。
【0018】
移動機構は、実質的に軸方向に平行な軸線の周りで、加熱要素と消耗品との間の相対移動をもたらすようにさらに配置されてもよい。
【0019】
消耗品は、消耗品に沿って軸方向に延在するチャネルを備えることができ、使用中の加熱要素は、消耗品のチャネル内に配置され得る。
【0020】
このシステムは、少なくとも、複数のエアロゾル化段階を含む予め定められたエアロゾル生成プロファイルと、エアロゾル生成材料に適用され得るエアロゾル化期間との間の選択を実現するように、加熱要素を制御するように配置された制御回路をさらに備えることができる。
【0021】
このシステムは、第1のエアロゾル生成材料を備えた第1のトラフと、第2のエアロゾル生成材料を備える第2のトラフとをさらに備えることができ、第1のエアロゾル生成材料と第2のエアロゾル生成材料とは、異なるエアロゾル生成媒体である。
【0022】
本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、エアロゾル生成手段からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成機構と、消耗品に沿って軸方向に延在する複数のトラフを有する波形表面手段を備える消耗品であって、複数のトラフ手段がエアロゾル生成手段を備える、消耗品とを備えており、加熱要素が、選択された1つ又は複数のトラフに熱を供給するように配置され、その結果、所与の時間に、加熱要素によって、前記選択された1つ又は複数のトラフに熱が直接適用される、エアロゾル供給手段が提供されている。
【0023】
以下の図面を参照して、本教示を例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一例によるエアロゾル供給システムの断面図である。
図2A】一例によるエアロゾル供給システムの横断面図である。
図2B】一例によるエアロゾル供給システムの横断面図である。
図3】一例によるエアロゾル供給システムの横断面図である。
図4】一例によるエアロゾル供給システムの横断面図である。
図5】一例によるエアロゾル供給システムの横断面図である。
図6】一例によるエアロゾル供給システムの縦断面図である。
図7】一例によるエアロゾルを生成する方法のための概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態の影響を受けやすいが、特定の実施形態は、例として図面に示され、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、特定の実施形態の図面及び詳細な説明は、開示された特定の形態に本発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内にあるすべての修正形態、同等物及び代替物を包含する。
【0026】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴を、本明細書で論じ説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来通り実施することができ、これらは、簡潔にするために、詳細には論じられず、説明されない。したがって、本明細書に論じられるが詳細に説明されていない装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実施するための任意の従来の手法に従って実施され得ることが理解されよう。
【0027】
本開示は、eシガレットのようなエアロゾル供給システムとも称されることがあるエアロゾル供給システムに関する。本開示によれば、「不燃式」エアロゾル供給システムは、ユーザへの送達を容易にするために、エアロゾル供給システム(又はその構成要素)の成分たるエアロゾル化可能な材料が燃焼されない、又は燃やされないシステムである。以下の説明全体を通して、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用する場合があるが、この用語は、エアロゾル供給システム/デバイスと、電子エアロゾル供給システム/デバイスとを言い換え可能に使用され得ることが理解されよう。さらに、本技術分野で一般的であるように、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語、並びに関連する用語、例えば「気化する」、「揮発する」及び「エアロゾル化する」などは、一般的に言い換え可能に使用されてもよい。
【0028】
図1の例では、エアロゾル供給システム100が示されている。エアロゾル供給システム100は、横断面図で示されている。エアロゾル供給システム100は、エアロゾル生成構成要素120を備える。エアロゾル生成構成要素120は、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのものである。エアロゾル供給システム100は、エアロゾル生成材料140を備える消耗品130も備える。消耗品130は、消耗品130に沿って軸方向に延在するトラフ134を有する波形表面132を備える。トラフ134は、エアロゾル生成材料140を備える。エアロゾル生成構成要素120は、選択された1つ又は複数のトラフ134に熱を供給するように配置され、その結果、所与の時間に、エアロゾル生成構成要素120によって、前記選択された1つ又は複数のトラフ134に熱が直接適用される。
【0029】
エアロゾル生成構成要素120は、加熱要素であってもよい。エアロゾル生成構成要素120は、加熱機構又は加熱機構の一部であってもよい。一例では、エアロゾル生成構成要素120は、消耗品130でエアロゾル生成材料に熱を供給するための加熱器であってもよい。エアロゾル生成構成要素120は、電気的に接続された動力源によって流される電流から消耗品130に熱を供給するための抵抗加熱器であってもよい。エアロゾル生成構成要素120は、金属又はセラミックなどでできていてもよい。或いは、又はさらに、エアロゾル生成構成要素120は、消耗品130に熱を供給するための誘導加熱器又は誘導加熱システムの一部であってもよい。
【0030】
消耗品130は、波形表面132のトラフ134に配置されたタバコなどのようなエアロゾル生成材料を有していてもよい。消耗品130は、表面上にエアロゾル生成材料140を配置し、次いで、例えば表面を変形させることによって、表面を波形にすることで形成されてもよい。
【0031】
加熱要素(さもなければ、「エアロゾル生成構成要素」とも呼ばれる)120は、消耗品130の波形表面132のトラフ134に実質的に一致するように形成され得る。これにより、加熱要素が、表面132の波形の隙間内へ突出することができる。これにより、今度は、表面132への熱伝達、ひいては、表面132に配置されたエアロゾル生成材料140への熱伝達がより効率的になる。したがって、この効率的な熱伝達によって、形状があまり対応していない加熱要素よりも、任意の1回の喫煙セッションの間に使用される電力を少なくすることができ、したがって、エアロゾル供給システム100の充電寿命がより長くなる。
【0032】
エアロゾル供給システム100は、ハウジング110などを有することができ、その内部には、加熱要素120と消耗品130とが使用前に配置されているか、又は挿入されている。加熱要素120は、消耗品130の内部に配置されてもよい。加熱要素120は、消耗品の外部又は外側ではあるが、ハウジング110の内部に配置されてもよい。
【0033】
表面132は、加熱要素120から表面132のエアロゾル生成材料140に熱がより容易に流れるように熱伝導性の材料で形成されていてもよい。一例では、表面132は、アルミニウムなどの誘導性材料で形成されていてもよい。誘導性材料は、誘導によってエアロゾル生成材料140の加熱が起こるのを可能にすることができる。
【0034】
加熱要素120は、アルミニウム表面(又は、表面の一部として、アルミニウムサセプタ)と連動して、消耗品130のエアロゾル生成材料140に熱エネルギーを供給することができるワークコイルであってもよい。加熱要素120は、消耗品130のエアロゾル生成材料140の部分を加熱するために移動されるカラー(collar)であってもよい。カラーは、セラミック又は金属のような任意の適切な材料でできていてもよい。
【0035】
図2Aの例では、エアロゾル供給システム200が示されている。エアロゾル供給システム200は、横断面図で示されている。エアロゾル供給システム200は、ハウジング210と、加熱要素220と、複数のトラフ234を備えた波形表面232を有する消耗品230と、表面232上に配置されたエアロゾル生成材料240とを有する。図2のエアロゾル生成材料240の構成体は、図1のものとはわずかに異なるが、両方とも、開示された本発明に適している。図2の加熱要素220は、2つのトラフT1、T2の間に突出して示されている。加熱要素220からの熱は、これらのトラフ内のエアロゾル生成材料240に熱エネルギーを供給し、前記エアロゾル生成材料240のエアロゾル化を引き起こす。
【0036】
特定のトラフの間の加熱要素220の移動によって、加熱要素220は、表面232のエアロゾル生成材料240の部分を選択的に加熱することができる。エアロゾル生成材料240は、表面232(ひいてはトラフ234)上で変更してもよく、例えば、異なる配合物が異なるトラフに提供され得る。例えば、あるトラフは、ニコチン含有エアロゾル生成材料を含んでいてもよい。一例では、別のトラフは、グリセロール含有エアロゾル生成材料を含んでいてもよい。一例では、さらなるトラフは、酸含有エアロゾル生成材料を含んでいてもよい。
【0037】
加熱要素220は、特定のトラフを加熱するように制御できることにより、特定のエアロゾルを生成することができる。このように、個人向けのエアロゾルが、1人のユーザによる吸入のために生成され得る。以て、システム200のユーザ体験が改善される。
【0038】
特定の例では、移動機構は、加熱要素220と消耗品230との間のラインに沿って、加熱要素220と消耗品230との間の相対移動をもたらすように配置され、加熱要素220と消耗品230との間の接触をもたらす。これにより、加熱要素220から消耗品230への効果的な熱伝達が実現される。
【0039】
図2Bの例では、エアロゾル供給システム200が示されている。エアロゾル供給システム200は、横断面図で示されている。エアロゾル供給システム200は、実質的に軸方向に垂直な方向に沿って、加熱要素220と消耗品230との間の相対移動をもたらすように配置された移動機構250を有する。
【0040】
移動機構250は、加熱要素220を消耗品230に対して移動させて、第1のトラフT1、次いで第2のトラフT2、次いで第3のトラフT3を加熱するように配置され得る。エアロゾル供給システム200は、加熱要素220を消耗品230に対して移動させて、第1のトラフを加熱し、次いで隣り合うトラフを加熱することを可能にし得る。或いは、エアロゾル供給システム200は、加熱要素220を消耗品230に対して移動させて、第1のトラフ(例えばT1)、次いで隣り合っていないトラフ(例えばT3)、次いで隣り合うトラフ(例えばT2)を加熱することを可能にし得る。トラフの連続的又は非連続的な加熱の制御によって、特にトラフに提供されるエアロゾル生成材料240が変化するとき、上述のように個人向けのエアロゾルを作成するオプションがユーザに与えられてもよい。トラフの選択的な加熱を制御することで、1回の喫煙セッションの間、消耗品230を部分的に消耗することが可能であるが、後の喫煙セッションのために部分的に保存することも可能になり得る。
【0041】
移動機構250は、マルタクロスなどのような割出デバイスであってもよい。移動機構250は、軸方向に垂直な、又は実質的に垂直な2次元での加熱要素220の相対移動を可能にし得る。「軸方向」とは、図2Bに示す図に対して、ページ内へ向かう方向である。
【0042】
移動機構250は、軸方向に沿って、又は軸方向に実質的に沿って、加熱要素220を消耗品230に対して移動させるように配置されてもよい。
【0043】
図3の例では、エアロゾル供給システム300が示されている。エアロゾル供給システム300は、横断面図で示されている。エアロゾル供給システム300は、ハウジング310と、加熱要素320と、複数のトラフ334を備えた波形表面332を有する消耗品330と、表面332上に配置されたエアロゾル生成材料340とを有する。
【0044】
消耗品330は、波形表面332を有し、この波形表面は、管状の横断面でそれ自体に接合しなおすように形成されている。図3の例で示す波形表面332は星形であり、トラフ334は、エアロゾル生成材料340を備えている。加熱要素320は、消耗品330内に配置され、表面332を通してエアロゾル生成材料340に熱を供給する。図示されている加熱要素320は、トラフ334の間にうまく適合しないが、加熱要素320は、上述のようにトラフ334の間に適合するように成形されてもよい。
【0045】
波形表面332は、平坦な表面を波形にすることによって形成することができる。図3に示す管状の消耗品330は、消耗品自体の上に波形表面を接合することによって、例えば、表面332の長手方向の縁部を互いに接着することによって、形成することができる。
【0046】
図4の例では、エアロゾル供給システム400が示されている。エアロゾル供給システム400は、横断面図で示されている。エアロゾル供給システム400は、図3に示すシステム300と同様である。移動機構(図示せず)は、加熱要素420を消耗品430に対して移動することができる。移動機構は、矢印A及び矢印Bによって示す方向に加熱要素420を移動することができる。加熱要素420をこれらの2方向に移動することにより、加熱要素420は、特定のトラフ434の間で移動されて、エアロゾル生成材料440の特定のセクション又は部分を加熱することができる。これは、システム400によるユーザ個人向けのエアロゾルの生成を導くことができる。
【0047】
移動機構は、矢印A及び矢印Bによって示す方向に消耗品430を移動することができる。一例では、移動機構は、エアロゾル供給システム400の一端に配置され、管状の波形表面432の内部に形成されたチャネル内に適合するように対応した形状であってもよい。消耗品表面432と移動機構との「鍵及び錠」の嵌合によって、移動機構が、例えば、矢印A及び矢印Bの方向に並進することが可能になり得る。表面432の並進によって、したがって、エアロゾル生成材料440を加熱要素420に近づけたり遠ざけたりすることによって、システム400は、所望の、又は個人向けのエアロゾルを生成することができる。
【0048】
加熱要素420と消耗品430との間の距離を短くすることにより、エアロゾル生成の効率を上げることができる。加熱要素420が抵抗性加熱器である例では、熱は、加熱器と消耗品430との間のより短い距離にわたって、より効率的に伝達される。このように、1回の加熱プロセスの間により多くのエアロゾルが供給される。このように、エアロゾル供給システム400の動力源がより効率的に使用されることにより、動力源の1回の満充電におけるエアロゾル供給システムの寿命が改善される。
【0049】
図5の例では、エアロゾル供給システム500が示されている。エアロゾル供給システム500は、横断面図で示されている。エアロゾル供給システム500は、図4に示すシステム400と同様であり、同様の特徴は、番号が100ずつ増加する同様の数字を有する。これらの同様の特徴は、ここでは必ずしも詳細に説明しない。
【0050】
エアロゾル供給システム500は、加熱要素520を有する。加熱要素520は、前方部分522と後方部分524とを有する。前方部分522は、トラフ間に突出するように成形されて、トラフ内のエアロゾル生成材料540への効率的な熱伝達を可能にすることができる。後方部分524は、トラフ間に突出しないように成形されて(図5の例では、後方部分524は、より引っ込んで丸くなっている)、その結果、トラフが加熱要素520によって選択的に加熱されるように制御される。
【0051】
エアロゾル供給システム500は、軸などの形態で移動機構550を有する。移動機構550は、加熱要素520に接続することができ、加熱要素520を回転させて、実質的に特定のトラフに熱を導き、それらのトラフ内のエアロゾル生成材料540の特定の部分を加熱することができる。移動機構550は、加熱要素520に恒久的に接続されるか、又は、取り外し可能に接続され得る。
【0052】
開示された実施形態のいずれかの移動機構は、実質的に軸方向に平行な軸線の周りで、加熱要素と消耗品との間の相対移動をもたらすように配置することができる。この相対移動は、軸方向に平行な軸線を中心とした回転、又は、軸方向に平行な軸線を中心としたやや円状の並進であってもよい。
【0053】
図6の例では、エアロゾル供給システム600が示されている。エアロゾル供給システム600は、横断面図で示されている。エアロゾル供給システム600は、図4に示すシステム400と同様であり、同様の特徴は、番号が200ずつ増加する同様の数字を有する。これらの同様の特徴は、ここでは必ずしも詳細に説明しない。
【0054】
エアロゾル供給システム600は、ハウジング610内に配置された消耗品630内に配置された加熱要素620を有する。この特定の断面では、エアロゾル生成材料640は、消耗品630の下縁に示されているが、消耗品630を取り囲んでいるか、又は、部分的に取り囲んでいてもよい。ハウジング610は、出口614を有する。加熱器620は、消耗品630に対して矢印Dによって示す方向に相対的に移動することができる。移動機構(図示せず)は、加熱要素620及び/又は消耗品630に対して相対移動をもたらすことができる。軸方向に平行な方向に移動することによって、加熱要素620は、消耗品630の軸方向長さに沿って配置されたエアロゾル生成材料640に熱を供給することができる。このように、消耗品630上のエアロゾル生成材料640の全量は、消耗品630上のエアロゾル生成材料640を効率的に使用して、加熱要素620によってエアロゾル化することができる。さらに、図6に示す構成体は、ハウジング610内の空間の有用性との関連で、かなり空間効率がよい。
【0055】
開示されたエアロゾル供給システムのいずれかは、複数のエアロゾル化段階を含む少なくとも予め決められたエアロゾル生成プロファイルと、エアロゾル生成材料に適用され得るエアロゾル化期間との間の選択を実現するように、加熱要素を制御するように配置された制御回路を有することができる。エアロゾル化期間は、エアロゾル供給システムのデフォルト加熱オプションとして提供することができる連続的な加熱期間であってもよい。
【0056】
予め定められたエアロゾル生成プロファイルは、非加熱期間によって区切られた一連の加熱期間を含み得る。加熱期間は、加熱要素が到達するための異なる動作温度又は目標温度を有することができる。非加熱期間の長さは、変化してもよい。エアロゾル供給システムは、消耗品に設けられたエアロゾル生成材料に基づいて、エアロゾルオプションの範囲をユーザに提供するように設計された複数の予め定められたエアロゾル生成プロファイルを有していてもよい。
【0057】
一例では、エアロゾル供給システムは、加熱要素によって加熱されるエアロゾル生成材料の部分を制御するために、加熱要素と消耗品との相対移動を制御するためのコントローラを有することができる。コントローラは、移動機構によって消耗品と加熱要素との間の相対移動をもたらすための予め定められた移動指示を有することができる。予め定められた移動指示は、エアロゾル供給システムから予め定められたエアロゾルを供給するための予め定められた加熱プロファイルの一部であってもよく、又は加熱プロファイルとともに用いられてもよい。移動指示及び加熱プロファイルは、個人向けのエアロゾルを提供するためにユーザによって変更され得る。
【0058】
一例では、エアロゾル供給システムは、エアロゾル供給システムに提供される消耗品を検出することができるセンサを有していてもよい。この検出は、コントローラに通知されてもよい。コントローラは、データベースへのアクセスを有することができ、そのデータベースは、コントローラが消耗品を認識し、その後、担体支持体でエアロゾル生成材料のレイアウトを提供され得る。コントローラは、次いで、ユーザに所望のエアロゾルを供給するために加熱要素及び消耗品の相対移動を制御することができる。これは、予め定められた複数の加熱プロファイルからユーザが選択することができるか、又は、ユーザによって作成された特注の加熱プロファイルであり得る。
【0059】
移動機構によってもたらされる移動は、加熱要素にもたらされてもよい。エアロゾル供給システムの加熱要素の移動は、エアロゾル供給システム内の空間を効率的に使用する。消耗品は、エアロゾル供給システムのいくつかの重要な部分又は大部分を満たすために提供され得る。次いで、加熱要素は、エアロゾル供給システムのその部分内で移動されて、消耗品の異なる領域からエアロゾルを生成することができる。このことは、加熱要素が、消耗品の面積よりも小さな面積を典型的に有することに起因する。
【0060】
或いは、移動機構によってもたらされる移動は、消耗品にもたらされてもよい。加熱要素は、動作のための電気信号を受け取るために関連する電子機器を有するであろう。したがって、加熱要素を移動することは、そのような電子機器を移動することも含み得る。したがって、消耗品(関連する電子機器を有していなくてもよい)を移動することは、組織的に単純な作業である。さらに、消耗品は、消耗品に移動をもたらすために移動面上に配置することができる。これは、例えば、移動面が消耗品320をエアロゾル供給システムの縁部からエアロゾル供給システムの中央加熱部分へ移動するのに役立つ場合、消耗品320をエアロゾル供給システム内に挿入しやすくするように動作することもできる。移動面は、エアロゾル供給システムの外部の開口部からエアロゾル供給システムの内部の加熱部分へ、エアロゾル供給システムに入るのを可能にするためのコンベアベルトシステムなどであってもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、不燃式エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END:electronic nicotine delivery system)としても知られている電子タバコであるが、エアロゾル化可能な材料におけるニコチンの存在は要件ではないことに留意されたい。
【0062】
いくつかの実施形態では、不燃式エアロゾル供給システムは、非燃焼‐加熱式システムとしても知られるタバコ加熱システムである。
【0063】
いくつかの実施形態では、不燃式エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能な材料の混合物を使用してエアロゾルを生成するためのハイブリッドシステムであり、エアロゾル化可能な材料のうちの1つ又は複数は、加熱され得る。エアロゾル化可能な材料の各々は、例えば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含んでいても含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲル状のエアロゾル化可能な材料と、固体のエアロゾル化可能な材料とを含む。固体のエアロゾル化可能な材料は、例えば、タバコ又は非タバコ製品を含んでいてもよい。
【0064】
典型的には、不燃式エアロゾル供給システムは、不燃式エアロゾル供給デバイスと、不燃式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品とを備えることができる。しかしながら、それ自体がエアロゾル生成構成要素に電力を供給するための手段を備える物品は、それ自体が不燃式エアロゾル供給システムを形成し得ることが想定される。
【0065】
いくつかの実施形態では、不燃式エアロゾル供給デバイスは、動力源とコントローラとを備えていてもよい。動力源は、例えば、電源であってもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、不燃式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料、エアロゾル生成構成要素、エアロゾル生成領域、マウスピース、及び/又はエアロゾル化可能な材料を受容する領域を含んでいてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能な材料から1つ又は複数の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように、エアロゾル化可能な材料と相互作用可能な加熱器である。
【0068】
加熱器は、例えば、1つ又は複数のニクロム抵抗加熱器(複数可)、及び/又は、1つ又は複数のセラミック加熱器(複数可)を含む、1つ又は複数の電気抵抗加熱器を備えていてもよい。1つ又は複数の加熱器は、1つ又は複数の誘導加熱器を備えていてもよく、誘導加熱器は、使用中に、エアロゾル化可能な材料を含む物品が挿入されるか、さもなければ配置されるチャンバを形成し得る1つ又は複数のサセプタを備える構成体を含んでいる。或いは、又はさらに、1つ又は複数のサセプタは、エアロゾル化可能な材料に設けられてもよい。他の加熱構成体も使用することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、送達される物質は、エアロゾル化可能な材料であってもよい。本明細書ではエアロゾル生成材料と呼ばれることもあるエアロゾル化可能な材料は、例えば、加熱され、照射され、又はその他の方法で通電されるときに、エアロゾルを生成することが可能な材料である。エアロゾル化可能な材料は、例えば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチン及び/又は香味料を含んでいても含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、「非晶質固体」を含んでいてもよく、代わりに、「モノリシック固体」(すなわち、非繊維性)と呼ぶこともできる。いくつかの実施形態では、非晶質固体は、乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、液体などのいくつかの流体を内部に保持することができる固体材料である。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、例えば、非晶質固体の約50wt%、60wt%又は70wt%から、非晶質固体の約90wt%、95wt%又は100wt%まで含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、及びグリセリンなどの1つ又は複数の多価アルコールと、グリセロール、モノアセテート、ジアセテート又はトリアセテートなどの多価アルコールのエステルと、及び/又は、ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなどのモノカルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸の脂肪族エステルとを含む。
【0071】
特定の実施形態では、エアロゾル生成材料は、セルロース系ゲル化剤及び/又は非セルロース系ゲル化剤、活性物質、及び酸を含むゲル化剤を含む。
【0072】
ゲル化剤は、セルロース系ゲル化剤、非セルロース系ゲル化剤、グアーガム、アカシアガム、及びそれらの混合物から選択される1つ又は複数の化合物を含んでいてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、セルロース系ゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC:carboxymethylcellulose),ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:hydroxypropyl methylcellulose)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート(CA:cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(CAB:cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP:cellulose acetate propionate)及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0074】
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、1つ又は複数のヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース、グアーガム又はアカシアガムを含む(又は、それらである)。
【0075】
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、寒天、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、カラギーナン、デンプン、アルギン酸塩、及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない1つ又は複数の非セルロース系ゲル化剤を含む(又は、それらである)。好ましい実施形態では、非セルロースベースのゲル化剤は、アルギン酸塩又は寒天である。
【0076】
エアロゾル生成材料は、酸を含んでいてもよい。酸は、有機酸であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、酸は、一塩基酸、二塩基酸及び三塩基酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、少なくとも1つのカルボキシル官能基を含んでいてもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、α-ヒドロキシ酸、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びケト酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、α-ケト酸であってもよい。
【0077】
いくつかのこのような実施形態では、酸は、コハク酸、乳酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、レブリン酸、酢酸、リンゴ酸、蟻酸、ソルビン酸、安息香酸、プロパン酸及びピルビン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0078】
酸は、乳酸であることがふさわしい。別の実施形態では、酸は、安息香酸である。別の実施形態では、酸は、無機酸であってもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、酸は、鉱酸であってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、硫酸、塩酸、ホウ酸及びリン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかの実施形態では、酸は、レブリン酸である。
【0079】
酸を含むことは、エアロゾル生成材料がニコチンを含む実施形態では特に好ましい。このような実施形態では、酸の存在によって、エアロゾル生成材料が形成されるスラリー内の溶存種を安定化することができる。酸の存在は、スラリーの乾燥中にニコチンの蒸発を低減又は実質的に防止することにより、生産中のニコチンの損失を低減することができる。
【0080】
エアロゾル生成材料は、着色剤を含んでいてもよい。着色剤の添加によって、エアロゾル生成材料の視覚的外観を変えることができる。エアロゾル生成材料における着色剤の存在によって、エアロゾル生成材料の視覚的外観が向上する。エアロゾル生成材料に着色剤を添加することによって、エアロゾル生成材料は、エアロゾル生成材料を含む物品の他の構成要素に色合わせすることができる。
【0081】
非晶質固体の所望の色に応じて、様々な着色剤を使用することができる。非晶質固体の色は、例えば、白、緑、赤、紫、青、茶、又は黒であってもよい。他の色も想定される。天然又は合成染料、食品グレードの着色剤、及び医薬品グレードの着色剤などの天然又は合成着色剤が使用されてもよい。特定の実施形態では、着色剤はカラメルであり、茶色の外観を有する非晶質固体を与えることができる。このような実施形態では、非晶質固体の色は、非晶質固体を含むエアロゾル生成材料における他の構成要素(タバコ材料など)の色と類似していてもよい。いくつかの実施形態では、非晶質固体への着色剤の添加によって、エアロゾル生成材料における他の構成要素と非晶質固体を視覚的に区別できないようにする。
【0082】
着色剤は、エアロゾル生成材料の形成の間(例えば、エアロゾル生成材料を形成する材料を含むスラリーを形成するとき)に組み込まれ得るか、又は、その形成後に(例えば、エアロゾル生成材料に着色剤を噴霧することによって)、エアロゾル生成材料に塗布され得る。
【0083】
エアロゾル化可能な材料は、1つ又は複数の活性成分、1つ又は複数の担体成分、及び任意選択で1つ又は複数の他の機能的成分を含んでいてもよい。
【0084】
活性成分は、ユーザにおいて生理学的及び/又は嗅覚的反応を達成するために、エアロゾル化可能な材料に含まれる1つ又は複数の生理学的及び/又は嗅覚的活性成分を含んでいてもよい。活性成分は、例えば、栄養補助食品、向知性薬及び向精神薬から選択することができる。活性成分は、天然に存在するものでも、合成的に得られるものでもよい。活性成分は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、又は任意の他の適切な成分を含んでいてもよい。活性成分は、タバコ若しくは他の植物の成分、誘導体、又は抽出物を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、活性成分は、生理学的活性成分であって、ニコチン、ニコチン塩(例えば、ニコチン二酒石酸塩(nicotine ditartrate)/ニコチン酒石酸塩(nicotine bitartrate))、ニコチンを含まないタバコ代替品、カフェインなどの他のアルカロイドから選択されてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、活性成分は、嗅覚的活性成分であって、「香料」及び/又は「香味料」から選ばれてもよく、これらは、地方条例が許可する場合、成人の消費者用の製品に、所望の味、香り又はその他の体性感覚を作り出すために使用されてもよい。いくつかの例では、このような成分は、香料、香味料、冷却剤、加熱剤、又は甘味剤と呼ばれることがある。これらは、天然に存在する香料材料、植物性物質、植物性物質の抽出物、合成的に得られた材料、又はそれらの組合せ(例えば、タバコ、大麻、リコリス(甘草)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、カエデ、抹茶、メンソール、ハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドのスパイス類、アジアのスパイス類、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、桃、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、桑、柑橘類、ドランビュイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、カート、ナスワール、キンマ、シーシャ、マツ、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、わさび、ビーマン、生姜、コリアンダー、コーヒー、麻、ハッカ属の任意の種からのミント油、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、マテ茶、オレンジの皮、バラ、緑茶又は紅茶等の茶、タイム、ジュニパー、ニワトコの花、バジル、月桂樹の葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンの皮、ミント、シソ、クルクマ、コリアンダー葉、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ヒメウイキョウ(carvi)、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤又は刺激剤、糖類及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤などの他の添加物を含むことができる。これらは、模倣品、合成若しくは天然成分、又はこれらの混合物としてもよい。これらは、任意の適切な形態、例えば、油等の液体、粉末等の固体、若しくは、気体、1つ又は複数の抽出物(例えば、リコリス、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、桃、リンゴ、ドランビュイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、生姜、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤又は刺激剤、糖類及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤などの他の添加物とすることができる。これらは、模倣品、合成若しくは天然成分、又はこれらの混合物としてもよい。これらは、任意の適切な形態、例えば、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、香料は、メンソール、スペアミント及び/又はペパーミントを含む。いくつかの実施形態では、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類及び/又はレッドベリーの香料成分を含む。いくつかの実施形態では、香料はオイゲノールを含む。いくつかの実施形態では、香料は、タバコから抽出された香料成分を含む。いくつかの実施形態では、香料は、感覚惹起剤を含んでいてもよく、この感覚惹起剤は、香り又は味覚神経に加えて、又は代わりに、第5脳神経(三叉神経)の刺激によって、通常は化学的に誘導され知覚される体性感覚を実現するように意図されており、加熱効果、冷却効果、ひりひりする効果、しびれ効果をもたらす薬剤を含んでいてもよい。適切な熱効果剤は、バニリルエチルエーテルであり得るが、これに限定されず、適切な冷却剤は、ユーカリプトール、WS-3であり得るが、これに限定されない。
【0087】
担体成分は、エアロゾルを形成することが可能な1つ又は複数の成分を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、担体成分は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及びプロピレンカーボネートのうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0088】
1つ又は複数の他の機能性成分は、pH調整剤、着色剤、防腐剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、不燃式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料、又はエアロゾル化可能な材料を受容するための領域を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、不燃式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、マウスピースを備えていてもよい。エアロゾル化可能な材料を受容するための領域は、エアロゾル化可能な材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。例えば、貯蔵領域は、リザーバであってもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料を受容するための領域は、エアロゾル生成領域と別々であってもよいし、又は組み合わされていてもよい。
【0090】
したがって、消耗品からエアロゾルを生成する方法が記載され、消耗品は、消耗品に沿って軸方向に延在するトラフを有する波形表面を備え、トラフは、エアロゾル生成材料を備えており、その方法は、選択された1つ又は複数のトラフに熱を順次供給して、その結果、所与の時間に、加熱要素によって、前記選択された1つ又は複数のトラフに熱が直接適用されることを含む。
【0091】
エアロゾル供給システムは、タバコ工業製品、例えば、不燃式エアロゾル供給システムで使用することができる。
【0092】
一実施形態では、タバコ工業製品は、加熱器及びエアロゾル化可能な基材など、不燃式エアロゾル供給システムの構成要素のうちの1つ又は複数を備える。
【0093】
一実施形態では、エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイスとしても知られている電子タバコである。
【0094】
一実施形態では、電子タバコは、加熱器と、加熱器に電力を供給することが可能な電源と、液体又はゲルなどのエアロゾル化可能な基材と、ハウジングと、任意選択でマウスピースとを備える。
【0095】
一実施形態では、エアロゾル化可能な基材は、基材容器内又は基材容器上に収容される。一実施形態では、基材容器は、加熱器と組み合わされているか、又は加熱器を備えている。
【0096】
一実施形態では、タバコ工業製品は、基材材料を燃焼させるのではなく加熱することによって1つ又は複数の化合物を放出する加熱製品である。基材材料は、例えば、タバコ又は他の非タバコ製品であり得るエアロゾル化可能な材料であり、これらはニコチンを含んでいても含んでいなくてもよい。一実施形態では、加熱デバイス製品は、タバコ加熱製品である。
【0097】
一実施形態では、加熱製品は、電子デバイスである。
【0098】
一実施形態では、タバコ加熱製品は、加熱器と、加熱器に電力を供給することが可能な電源と、固体又はゲル材料などのエアロゾル化可能な基材とを備える。
【0099】
一実施形態では、加熱製品は、非電子物品である。
【0100】
一実施形態では、加熱製品は、固体又はゲル材料などのエアロゾル化可能な基材と、チャコールなどの燃焼物質を燃焼させることなどにより電子的な手段を用いずにエアロゾル化可能な基材に熱エネルギーを供給することが可能な熱源とを備える。
【0101】
一実施形態では、加熱製品はまた、エアロゾル化可能な基材を加熱することによって生成されるエアロゾルを濾過することが可能なフィルタを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な基材材料は、エアロゾル、又はエアロゾル生成剤、又はグリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、若しくはジエチレングリコールなどの保湿剤を含んでいてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD:cannabidiol)、テトラヒドロカンナビノール(THC:tetrahydrocannabinol)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA:tetrahydrocannabinolic acid)、カンナビジオール酸(CBDA:cannabidiolic acid)、カンナビノール(CBN:cannabinol)、カンナビゲロール(CBG:cannabigerol)、カンナビクロメン(CBC:cannabichromene)、カンナビシクロール(CBL:cannabicyclol)、カンナビバリン(CBV:cannabivarin)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV:tetrahydrocannabivarin)、カンナビジバリン(CBDV:cannabidivarin)、カンナビクロメバリン(CBCV:cannabichromevarin)、カンナビゲロバリン(CBGV:cannabigerovarin)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM:cannabigerol monomethyl ether)及びカンナビエルソイン(CBE:cannabielsoin)、カンナビシトラン(CBT:cannabicitran)からなる群から選択される1つ又は複数のカンナビノイド化合物を含む。
【0104】
エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)からなる群から選択される1つ又は複数のカンナビノイド化合物を含んでいてもよい。
【0105】
エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)を含んでいてもよい。
【0106】
エアロゾル生成材料は、ニコチン及びカンナビジオール(CBD)を含んでいてもよい。
【0107】
エアロゾル生成材料は、ニコチン、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含んでいてもよい。
【0108】
一実施形態では、タバコ工業製品は、基材材料の組合せを燃焼させるのではなく加熱することによってエアロゾルを生成するためのハイブリッドシステムである。基材材料は、例えば、固体、液体又はゲルを含んでいてもよく、これらはニコチンを含んでいても含んでいなくてもよい。一実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルの基材と、固体の基材とを含む。固体の基材は、例えばタバコ製品又は他の非タバコ製品であってもよく、これらはニコチンを含んでいても含んでいなくてもよい。一実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルの基材と、タバコとを含む。
【0109】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示の全体は、特許請求される発明を実施することができ、優れた電子エアロゾル供給システムを提供し得る様々な実施形態を例証として示している。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的な実例に過ぎず、網羅的及び/又は排他的なものではない。本開示の利点及び特徴は、特許請求される特徴の理解を促し、教示するためだけに提示される。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定される本開示に対する限定又は特許請求の範囲の均等物に対する限定であると見なされるべきではないこと、並びに本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、修正を加えることができることを理解されたい。様々な実施形態は、開示される要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に含んでもよく、そのような組合せからなっていてもよく、又はそのような組合せから本質的になっていてもよい。さらに、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求され得る他の発明を含む。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7