(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】改質充填材を調製するための方法、それを含有する組成物および物品
(51)【国際特許分類】
C01B 33/18 20060101AFI20240611BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240611BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240611BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
C01B33/18 C
C08L101/00
C08K3/013
C08K3/34
(21)【出願番号】P 2022537511
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2020065464
(87)【国際公開番号】W WO2021127081
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-16
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ドス サントス フレイレ, ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ボーエン, シク
(72)【発明者】
【氏名】シルバーネイル, ネイサン ジェイ.
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-524104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/18
C08L 101/00
C08K 3/013
C08K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質充填材を調製するための方法であって、順次、
(a)
(1)事前に乾燥されていない未処理無機充填材
であって、ここで前記未処理無機充填材が、アルミニウムシリケート、シリカゲル、コロイド状シリカ、沈降シリカ、およびそれらの混合物からなる群から選択される、未処理無機充填材と、
(2)乳化剤材料であって、ここで前記乳化剤材料が、脂肪酸、脂肪酸の塩、アルキルサルコシネート、アルキルサルコシネートの塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、乳化剤材料と、
(3)以下の構造式(I)を有する疎水化剤であって、
(I)R
a-M-X
(4-a)
式中、
Rが、C
6~C
22アルキルであり、
Mが、ケイ
素であり、
Xが、OR’であり、
R’が、C
1~C
4アルキルであり、
aが、1である、疎水化剤と、を含む、酸性化水性スラリーを提供するステップと、
(b)(a)の前記酸性化水性スラリーを洗浄および/または濾過して、改質充填材を得るステップと、
(c)必要に応じて、前記改質充填材を乾燥させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記未処理無機充填材(1)が、無機酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記未処理無機充填材(1)が、沈降シリカを含む、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記乳化剤材料(2)が、前記酸性化水性スラリーの総重量に基づいて、0重量パーセント超から、0.25重量パーセントを含めて最大0.25重量パーセントまでの範囲の量で前記酸性化水性スラリー中に存在する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
構造式(I)において、Rが、C
8~C
20アルキルであり、Mが、ケイ素であり、Xが、OR’であり、R’が、C
1~C
2アルキルである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸性化水性スラリーが、メルカプト有機金属化合物、硫黄含有有機金属化合物、非硫黄有機金属化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択されるカップリング剤をさらに含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カップリング剤が、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記改質充填材が、回転乾燥技術および/または噴霧乾燥技術によって乾燥される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月19日に出願された米国仮出願第62/950,494号、および2020年12月15日に出願された米国非仮特許出願第17/121,912号からの優先権の利益を主張し、これらの両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、改質充填材、特にポリマー組成物中の成分として有用な改質充填材を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本発明は、改質無機充填材を調製するための方法、本方法によって調製される改質充填材、およびポリマー組成物におけるそのような充填材の使用に関する。より具体的には、本発明は、最低の炭素および硫黄含有量、最大の抽出可能な炭素含有量を有する粒状または非晶質の充填材、ならびにそのような充填材を含有するポリマー、例えば、硬化性ゴム組成物に関する。最も具体的には、本発明は、ゴム配合組成物などのポリマー組成物を生成する効率、および重合生成物または硬化生成物、例えば、タイヤの性能を改善する、官能化および疎水化した充填材(以下「改質充填材」と称する)に関する。
【0004】
ポリマー組成物の生成において、ポリマーの物理的特性を改善するために充填材を組み込むことが一般的である。そのような充填材の表面は、多くの場合、ポリマー組成物中の充填材の反応性を増加させ、かつ結果として、二次元および三次元のカップリングを増加させるように改質される。カーボンブラックおよび他の強化充填材を天然ゴムおよび合成ゴムに組み込んで、硬化ゴム加硫物の物理的特性を増加させることは、ゴム産業において慣例的である。そのようなポリマー組成物を強化するために使用される充填材としては、天然充填材および合成充填材が挙げられる。ゴム産業で使用される主な非ブラック充填材のうちの1つは、非晶質の沈降シリカである。このシリカ系充填材は、改善された引張強度、耐引き裂き性、および耐摩耗性をゴム加硫物に付与するために使用される。
【0005】
シリカ充填材はまた、カーボンブラックと組み合わせて、乗用車のタイヤおよび道路以外で使用されるタイヤ、例えば、採掘および伐採の作業用のタイヤ、ならびに道路建設機器用のタイヤの最大走行距離を得るために使用される。そのような用途は、十分に確立されている。単独の強化充填材として使用される場合、ゴム中で十分に分散および/またはカップリングしていないシリカ充填材は、カーボンブラックのみの使用によって得られる全体的に改善された性能を提供しない。これは、タイヤ、例えば、タイヤトレッドに対して用いられるゴム加硫物で最も容易に観察される。
【0006】
ゴム加硫物の性能を改善するために、様々なカップリング剤、例えば、チタネート、ジルコネートおよびシランが、そのような充填材がゴムなどのポリマー組成物に組み込まれるときに、充填材とともに使用されることが提案されている。そのような使用のために公知の様々な有機シランカップリング剤の中には、ビス(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド、例えば、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがある。そのようなカップリング剤、特に3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドの適切な量を、シリカ系充填材の強化合成ゴム中で使用することにより、300%弾性率、引張強度、および耐摩耗性などのいくつかの主要な物理的特性において、カーボンブラック強化合成ゴムと少なくとも同等の性能を提供することが報告されている。
【0007】
米国特許第4,436,847号は、シランと組み合わせてアルコキシシランを使用してカップリング組成物を形成することによって、シランカップリング剤、例えば、ビス(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドカップリング剤の効率を増加させることを記載している。そこに記載される1つの特定の実施形態では、シランカップリング組成物は、カップリング組成物およびシリカ系充填材に対して化学的に不活性である好適な非反応性液体中にて、シリカを含む充填材とともに配合され、ゴム配合添加剤、すなわち、シリカ-シラン濃縮物を調製する。
【0008】
米国特許第5,116,886号は、天然または合成の酸化物またはシリケート充填材の表面が、ある特定の有機ケイ素化合物を使用することによって改質される、2ステップのプロセスを記載している。第1のステップでは、有機ケイ素化合物を60℃未満の温度で充填材とともに激しく混合する。第2のステップでは、均質の混合物を60℃~160℃の温度に供して、充填材の表面改質を完了する。
【0009】
米国特許第5,908,660号はまた、疎水性シリカの調製のための2ステップの方法を記載している。第1のステップでは、沈降シリカの水性懸濁液を、触媒量の酸の存在下で有機ケイ素化合物と接触させて、沈降シリカの疎水化を実現する。第2のステップでは、疎水性沈降シリカの水性懸濁液を、溶媒対シリカが5:1を超える重量比で水不混和性有機溶媒と接触させて、水相からの疎水性沈降シリカの分離を実現する。
【0010】
米国特許第6,342,560号は、2.5もしくは2.5未満のpHを有する無機酸化物の水性懸濁液中の官能化剤および疎水化剤のある特定の組み合わせを利用することによって、1重量パーセント超の炭素含有量、0.1重量パーセント超の硫黄含有量、少なくとも0.3のシラン変換指数、および300%伸び時の7または7より大きい標準引張応力で特徴付けられる改質充填材を記載している。改質充填材の酸性水性懸濁液を酸中和剤を用いて処理し、懸濁液のpHを3.0~10の範囲に増加させる。
【0011】
上記にかかわらず、先行技術で開示されている方法は、最適化された特性を得ることができない。現在使用されている疎水化剤は、一般に、シリカに共有結合していない。これは、シリカの特徴付けの困難を引き起こし、加工または混合中に疎水化剤の放出をもたらし、それによって最終的なゴム化合物の特性を損なう可能性がある。
【0012】
今では、改質充填材を生成するプロセスを改善することができることが判明している。この改善により、少量の炭素抽出物で特徴付けられる改質シリカをもたらすことができる。本発明では、乳化剤は、シリカ沈降中に使用される。乳化剤は、長鎖シラン(すなわち、疎水化剤)がより容易にシリカスラリーに溶解/分散することを可能にし、カップリング剤および疎水化剤の充填材との効率的な反応を促進させる。以前は、アルキル鎖が長いアルコキシシランは、水溶性ではないため、シリカ沈降の初期段階では添加されなかった。長鎖シランを用いて処理した充填材は、少量の乳化剤を使用して水性無機充填材スラリー中の長鎖シランを可溶化する場合に、生成することができることが見出された。長鎖シランを無機充填材に結合する能力は、改質充填材が組み込まれるポリマーマトリックスとの改善された相溶性をもたらす。この方法によって生成された改質充填材は、既知の方法によって生成された処理後充填材(treated fillers)よりも加工および性能の利点を提供する。
改善されたプロセスは、改質充填材を提供し、該改質充填材は、それが組み込まれるゴム組成物の改善された強化を提供する。改善された強化により、引き裂き強度、硬度、および耐摩耗性の増加によって証明されるように、得られたゴム製品の機械的耐久性がより良好になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第4,436,847号
【文献】米国特許第5,116,886号
【文献】米国特許第5,908,660号
【文献】米国特許第6,342,560号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明は、改質充填材を調製するための方法を対象とし、この方法は、一般に、順次、
(a)
(1)事前に乾燥されていない未処理無機充填材と、
(2)乳化剤材料と、
(3)以下の構造式(I)を有する疎水化剤であって、
(I) Ra-M-X(4-a)
式中、
Rが、C6~C22アルキルであり、
Mが、ケイ素、チタン、またはジルコニウムであり、
Xが、OR’またはハロゲンであり、
R’が、C1~C4アルキルであり、
aが、1である、疎水化剤と
を含む、酸性化水性スラリーを提供するステップと、
(b)(a)の酸性化水性スラリーを洗浄および/または濾過して、改質充填材を得るステップと、
(c)必要に応じて、改質充填材を乾燥させるステップと
を含む。
【0015】
本方法によって調製される充填材、この充填材を含有する組成物および物品も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本出願の目的のために、別途示されない限り、明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表すすべての数は、すべての例において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、等価物の見解の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有意な桁の数に照らし合わせて、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0017】
本明細書のすべての数値範囲は、列挙された範囲内のすべての数値およびすべての数値の範囲を含む。本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、あらゆる数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に得られる特定の誤差を本質的に含有する。
【0018】
充填材(すなわち、改質充填材)に関して、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「事前に乾燥されていない」という用語は、20重量パーセント未満の水分含有量まで乾燥されていない充填材を意味する。さらに、本発明で使用するための未処理充填材は、20重量パーセント未満の水分含有量まで事前に乾燥させ、再水和した充填材を含まない。
【0019】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「充填材」という用語は、一般に、無機充填材、例えば、ポリマー組成物中で使用され、当該ポリマー組成物および/またはそれから得られるポリマーマトリックスのうちの少なくとも1つの特性、例えば、これらに限定されないが、電気抵抗(ER10)、耐摩滅性、および耐破壊性を本質的に改善することができる、無機酸化物を意味する。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「未処理充填材」という用語は、充填材の1重量%超の量の処理材料を用いて処理されていない充填材を意味する。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「スラリー」という用語は、少なくとも充填材および水を含む混合物を意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「カップリング剤」という用語は、無機酸化物を、それが使用されるポリマー組成物に共有結合させることができる反応性化学物質を意味する。本明細書で使用される場合、「乳化剤」という用語は、疎水性物質を水中で安定化させる物質を意味する。本明細書で使用される場合、「疎水化剤」という用語は、無機酸化物が使用される有機ポリマー組成物に対する無機酸化物の親和性を増加させながら、水に対する無機酸化物の親和性の低下を引き起こす程度に、無機酸化物に結合、および/または会合することができる化学物質を意味する。
【0021】
本発明は、改質充填材を調製するための方法を提供し、この方法は、順次、
(a)
(1)事前に乾燥されていない未処理無機充填材と、
(2)乳化剤材料と、
(3)以下の構造式(I)を有する疎水化剤であって、
(I) Ra-M-X(4-a)
式中、
Rが、C6~C22アルキルであり、
Mが、ケイ素、チタン、またはジルコニウムであり、
Xが、OR’またはハロゲンであり、
R’が、C1~C4アルキルであり、
aが、1である、疎水化剤と、を含む、酸性化水性スラリーを提供するステップと、
(b)(a)の酸性化水性スラリーを洗浄および/または濾過して、改質充填材を得るステップと、
(c)必要に応じて、改質充填材を乾燥させるステップと、を含む。
【0022】
本発明の方法において改質充填材を調製するために使用される未処理無機充填材(1)(事前に乾燥されていない)は、本明細書において、その露出表面に酸素(化学吸着もしくは共有結合)またはヒドロキシル(結合もしくは遊離)のいずれかを有する任意の無機の粒状または非晶質固体材料として定義される無機酸化物であり得る。加えて、無機酸化物は、射出成形、積層、トランスファー成形、圧縮成形、ゴム配合、コーティング(例えば、浸漬、刷毛塗り、ナイフコーティング、ローラーコーティング、シルクスクリーンコーティング、プリント、スプレーコーティングなど)、キャスティングなどを含む、様々な成形、配合、またはコーティングプロセスでの使用に好適な材料である。
【0023】
本発明の方法で使用される無機酸化物(あるいは、2つまたは2つより多くの無機酸化物の混合物)は、天然または合成であり得る。そのような充填材としては、Advanced Inorganic Chemistry:A Comprehensive Text by F.Albert Cotton et al,Fourth Edition,John Wiley and Sons,1980の元素周期表のIb、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb(炭素を除く)、Va、VIa、VIIaおよびVIII族の周期2、3、4、5、および6の金属の酸化物を挙げることができる。天然のシリケートの中では、カオリンまたは粘土が特に好適である。しかしながら、キーゼルグールまたは珪藻土も使用することができる。天然堆積物から得ることができる酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムまたは三水和アルミニウム、および二酸化チタンは、充填材として例として挙げることができる。特に好適な合成充填材は、アルミノシリケート、シリケート、熱分解法シリカ、コロイド状シリカおよび沈降シリカである。
【0024】
「アルミノシリケート」という用語は、二酸化ケイ素のケイ素原子が、天然にまたは合成でのいずれかで、アルミニウム原子によって部分的に置き換えられている、または置換されている、天然材料または合成材料として記載され得る。例えば、二酸化ケイ素の5~90パーセント、例えば10~80パーセントのケイ素原子が、天然にまたは合成で、アルミニウム原子によって置き換えられているか、または置換されて、アルミノシリケートが得られることがある。そのような調製のための好適なプロセスは、例えば、シリケートおよびアルミネートの塩基性溶液、または混合物のpH調整による共沈降によって、また、二酸化ケイ素の表面上のSiO2基、すなわち、シラノール基とNaAlO2との間の化学反応によって、記載されることがある。例えば、そのような共沈降プロセスでは、合成の共沈降されたアルミノシリケートは、シリカ部分から構成されるその表面の5~95パーセント、およびそれに対応して、アルミニウム部分から構成されるその表面の95~5パーセントを有し得る。
【0025】
天然のアルミノシリケートの例としては、白雲母、緑柱石、きん青石、海泡石、およびカオリナイト(Kaolinire)が挙げられる。合成のアルミノシリケートの例としては、ゼオライト、および例えば、[(Al2O3)x(SiO2)y.(H2O)z];[(Al2O3)x(SiO2)yYO]などの式で表され得るものが挙げられ、式中、Yは、マグネシウムまたはカルシウムである。
【0026】
本発明の方法で使用される無機酸化物は、アルミノシリケート、コロイド状シリカ、沈降シリカ、またはそれらの混合物からなる群から選択され得る。無機酸化物は、ゴムとの配合に一般的に用いられるタイプの沈降シリカであり得る。
【0027】
改質充填材を生成するために本発明の方法で使用される沈降シリカは、例えば、シリケート、例えば、ナトリウムシリケートの溶液からの酸性沈降によって生成され得る。沈降シリカの調製方法は、本発明に限定されず、所与の用途に必要な表面積および粒径など、シリカの所望の特性に依存するである。
【0028】
本発明の改質シリカの調製に使用される沈降シリカのBET表面積は、一般に、50m2/g~1000m2/g、例えば100m2/g~500m2/gの範囲である。
【0029】
改質充填材を形成するために使用される沈降シリカは、沈降中に形成されるスラリーまたは再液化した濾過ケークなどの、乾燥ステップに先立つ生成段階からの水性懸濁液の形態であり得る。水性および/または有機懸濁液中の親水性の沈降シリカの濃度は重要ではなく、約1~90重量パーセント、例えば1~50重量パーセント、または1~20重量パーセントの範囲内であり得る。
【0030】
前述のように、酸性化水性スラリーはまた、乳化剤材料(2)を含む。好適な乳化剤材料の非限定的な例としては、これらに限定されないが、水中に実質的に可溶性または実質的に乳化性であり得る脂肪酸および脂肪酸の塩、例えば、以下の一般式を有するものであって、
Z+-O--CO-R1
式中、Zが、H、Na、K、LiまたはNH4を表し、R1が、直鎖または分岐C5~C22アルキルを表すもの、ならびにアルキルサルコシン酸およびアルキルサルコシン酸の塩、例えば、以下の一般式を有するものであって、
Z+-O--CO-CH2-NC-CO-R1
式中、Zが、H、Na、K、LiまたはNH4を表し、R1が、直鎖または分岐C5~C22アルキルを表すものを挙げることができる。例えば、乳化剤材料(2)は、脂肪酸の塩、アルキルサルコシネート、アルキルサルコシネートの塩、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0031】
本発明で使用するための好適な乳化剤材料のさらなる非限定的な例としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、アンモニウムココエート、ラウリン酸ナトリウム、ナトリウムココイルサルコシネート(sodium cocyl sarcosinate)、ナトリウムラウロイルサルコシネート、牛脂のナトリウム石鹸、ココナツのナトリウム石鹸、ナトリウムミリストイルサルコシネート、ステアロイルサルコシン酸、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
前述の乳化剤材料のいずれかの混合物を使用することができる。乳化剤材料(2)は、0パーセント超から、0.25パーセントを含めて最大0.25パーセントまでの範囲の量で水性スラリー中に存在し得、ここで、重量パーセンテージは、スラリーのグラムにおける乳化剤のグラムに基づく。例えば、乳化剤材料(2)は、0.05重量パーセント~0.1重量パーセントの範囲の量で水性スラリー中に存在し得、ここで、重量パーセンテージは、スラリーのグラムにおける乳化剤のグラムに基づく。
【0033】
前述のように、本発明の方法で使用される酸性化水性スラリーはまた、(3)以下の構造式(I)を有する疎水化剤であって、
(I) Ra-M-X(4-a)
式中、
Rが、C6~C22アルキル、例えばC8~C20であり、
Mが、ケイ素、チタン、またはジルコニウムであり、
Xが、OR’またはハロゲンであり、
R’が、C1~C4アルキル、例えばC1~C2であり、
aが、1である、疎水化剤を含む。
例えば、構造式(I)において、Rは、C8~C20アルキルであり得、Mは、ケイ素であり得、Xは、OR’であり得、R’は、C1~C2アルキルである。
【0034】
そのような疎水化剤の好適な非限定的な例としては、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、およびヘキサデシルトリエトキシシラン、ならびに前述のシランのメトキシ-およびクロロ-バージョンを挙げることができる。
【0035】
上記の疎水化剤のいずれかの混合物を使用することができる。
【0036】
加えて、前述の水性スラリー組成物のいずれかはまた、1つまたは1つより多くのカップリング剤、例えば、メルカプト有機金属化合物、硫黄含有有機金属化合物、非硫黄有機金属化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択されるもののいずれかを含み得る。
【0037】
例えば、本発明の方法でカップリング剤として使用されるメルカプト有機金属化合物は、以下の図式IIで表すことができ、
【化1】
式中、Mは、ケイ素であり、Lは、ハロゲンまたは-OR
3であり、Qは、水素、C
1~C
12アルキル、またはハロ置換C
1~C
12アルキルであり、R
2は、C
1~C
12アルキレンであり、R
3は、C
1~C
12アルキル、または2~12個の炭素原子を含有するアルコキシアルキルであり、当該ハロゲンまたは(ハロ)基は、クロロ、ブロモ、ヨード、またはフルオロであり、nは、1、2、または3である。R
2は、好ましくはC
1~C
3アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、およびプロピレンであり、R
3は、好ましくはC
1~C
4アルキル、より好ましくはメチルおよびエチルであり、Lは、好ましくは-OR
3であり、nは、好ましくは3である。2つのメルカプト基を有するメルカプト有機金属反応物質も使用され得る。
【0038】
メルカプト基がブロックされている、すなわち、メルカプトの水素原子が別の基によって置き換えられている、メルカプト有機金属化合物も使用され得る。ブロックされたメルカプト有機金属化合物は、単結合を介して硫黄に直接結合した不飽和のヘテロ原子または炭素を有し得る。特定のブロック基の例としては、これらに限定されないが、チオカルボン酸エステル、ジチオカルバミド酸エステル、チオスルホン酸エステル、チオ硫酸エステル、チオリン酸エステル、チオホスホン酸エステル、およびチオホスフィン酸エステルを挙げることができる。
【0039】
充填材を、それが組み込まれるポリマーマトリックスに「カップリング」させるための、混合物の反応が望ましい場合、脱ブロック剤が、ブロックされたメルカプト有機金属化合物を脱ブロックするために混合物に添加され得る。水および/またはアルコールが混合物中に存在する場合は、加水分解またはアルコール分解によってブロック基の喪失を開始および促進させ、対応するメルカプト有機金属化合物を遊離させるために、触媒、例えば、第三級アミン、ルイス酸、またはチオールが使用され得る。そのような化合物、例えば、ブロックされたメルカプトシランを調製し、使用するための手順は、PCT公開WO99/09036の3頁、6行~28頁、28行に開示されており、その列挙されている部分は、参照により本明細書に組み込まれる。ブロックされたメルカプトシランを調製するための他の手順は、米国特許第3,692,812号の1欄、36行~7欄、65行、および同第3,922,436号の2欄、18行~11欄、10行に開示されており、これらの列挙された部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
有用なメルカプト有機金属化合物の例としては、これらに限定されないが、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトエチルトリプロポキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)ジメチルエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピル-メチルジメトキシシラン、およびそれらの混合物を挙げることができる。特定の好適なメルカプト有機金属化合物としては、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
有用なブロックされたメルカプトシランの例としては、これらに限定されないが、2-トリエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、3-トリメトキシ-シリル-1-プロピルチオオクトエート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)-メチルジチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメチルチオスルフェート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルトルエンチオスルホネート、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0042】
本発明の方法でカップリング剤として使用され得る非硫黄有機金属化合物は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの非硫黄有機金属化合物、または非硫黄有機金属化合物の混合物であり得、
式IIIで表される有機金属化合物:
R4
bMX(4-b) III
式IVで表される有機金属化合物:
R5
(2c+2)SicO(c-1) IV
式Vで表される有機金属化合物:
R6
2dSidOd V
および式VIで表される有機金属化合物:
(R5
3Si)kNR7
(3-k) VI
式中、各Mは独立して、ケイ素、チタンまたはジルコニウムであり、各R4は独立して、1~18個の炭素原子を含有する炭化水素基であるか、またはR4は、1~12個の炭素原子を含有する有機官能性炭化水素基であり得、ここで、例えば、官能基はアミノ、カルボン酸、カルビノールエステル、またはアミドであり、各Xは独立して、ハロゲン、アミノ、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基、および1~12個の炭素原子のアシルオキシ基からなる群から選択され、bは、整数1、2または3であり、各R5は独立して、ハロ、ヒドロキシ、または1~18個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、ただし、R5置換基のうちの少なくとも50モルパーセントが1~18個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、cは、2~10,000の整数であり、各R6は独立して、ハロ、ヒドロキシ、または1~18個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、dは、3~20の整数であり、各R7は独立して、水素または1~18個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、kは、1または2であり、ハロゲンまたは(ハロ)基は、クロロ、ブロモ、ヨードまたはフルオロから選択される。式III、IV、V、およびVIに示される置換基の定義において、同様の記号は、別段の記載がない限り、同じ意味を有する。
【0043】
式IIIにおいて、各R4は、飽和もしくは不飽和の一価の炭化水素基、または置換もしくは非置換の一価の炭化水素基であり得る。R4は、例えば、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、イソ-ブチル、t-ブチル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびドデシル;アルケニル基、例えばビニル、アリル、およびヘキセニル;置換アルキル基、例えばクロロメチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、および6-クロロヘキシル;シクロアルキル基、例えばシクロヘキシルおよびシクロオクチル;アリール基、例えばフェニルおよびナフチル;または置換アリール基、例えばベンジル、トリル、およびエチルフェニルであり得る。
【0044】
Xが式IIIにおいてハロゲンである場合、ハロゲンは、例えば、クロロであり得る。Xがアルコキシ基である場合、Xは、例えば、メトキシ、エトキシ、またはプロポキシであり得る。Xがアシルオキシ基である場合、Xは、例えば、アセトキシであり得る。一般に、Xは、クロロおよびメトキシからなる群から選択され得る。
【0045】
前述の有機金属化合物の粘度は制限されず、流体からガムまでの粘度の範囲であり得る。一般に、より高い分子量の有機金属化合物は、それが親水性無機酸化物と反応することを可能にする化学修飾ステップの酸性条件によって開裂され得る。
【0046】
式IV、V、およびVIでは、各R5、R6、およびR7は、R4について記載した炭化水素基と同じであり得る。本発明の目的のために、有機金属反応物質が有機ケイ素反応物質である場合、ケイ素は金属であると見なされる。
【0047】
非硫黄有機金属化合物は、式III、IV、V、VI、または当該有機金属化合物の混合物で表すことができ、式中、各Mはケイ素である。さらに、非硫黄有機金属は、式IIIで表すことができ、式中、R4はC1~C6アルキルであり、Xはクロロであり、bは2である。
【0048】
有用な有機ケイ素化合物の例としては、これらに限定されないが、ジエチルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、トリメチルブトキシシラン、sym-ジフェニルテトラメチルジシロキサン、トリビニルトリメチル-シクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ペンチルメチルジクロロシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキセニルメチルジクロロシラン、ヘキセニルジメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリビニルトリメチルシクロトリシラザン、3~約20のジメチルシロキシ単位を含むポリジメチルシロキサン、および25℃にて1~1,000mPa.sの範囲内の見かけ粘度を有する、トリメチルシロキシまたはヒドロキシジメチルシロキシで末端がブロックされたポリ(ジメチルシロキサン)ポリマーからなる群から選択される化合物ならびに化合物の混合物を挙げることができる。
【0049】
使用され得る有機チタン化合物の例としては、これらに限定されないが、テトラ(C1~C18)アルコキシチタネート、メチルトリエトキシチタン(iv)、メチルチタン(iv)トリイソプロポキシド、メチルチタン(iv)トリブトキシド、メチルチタン(iv)トリ-t-ブトキシド、イソプロピルチタン(iv)トリブトキシド、ブチルチタン(iv)トリエトキシド、ブチルチタン(iv)トリブトキシド、フェニルチタン(iv)トリイソプロポキシド、フェニルチタン(iv)トリブトキシド、フェニルチタン(iv)トリイソブトキシド、[Ti(CH2Ph)3(NC5H10)]、および[Ti(CH2SiMe3)2(NEt2)2]を挙げることができる。
【0050】
使用され得る有機ジルコニウム化合物の例としては、これらに限定されないが、テトラ(C1~C18)アルコキシジルコネート、フェニルジルコニウム(iv)トリクロリド、メチルジルコニウム(iv)トリクロリド、エチルジルコニウム(iv)トリクロリド、プロピルジルコニウム(iv)トリクロリド、メチルジルコニウム(iv)トリブロミド、エチルジルコニウム(iv)トリブロミド、プロピルジルコニウム(iv)トリブロミド、クロロトリペンチルジルコニウム(iv)を挙げることができる。有機チタン化合物について上記したものと同様のジルコニウム化合物、およびその逆もまた、企図される。
【0051】
メルカプト有機金属反応物質は、少なくとも1:1を超える、例えば、1.01:1のメルカプト有機金属化合物対硫黄含有有機金属化合物の重量比において、メルカプト有機金属化合物と、異なる硫黄含有有機金属化合物との組み合わせによって置き換えられ得る。比率は、1.01:1~100:1、例えば5:1~50:1、もしくは10:1~30:1の範囲であり得るか、または重量比は、列挙された値を含む、これらの値の任意の組み合わせの間の範囲であり得る。
【0052】
有用な硫黄含有有機金属化合物の例としては、米国特許第3,873,489号の2欄、26行~6欄、56行、および同第5,580,919号の11欄、9~41行に記載されているビス(アルコキシシリルアルキル)-ポリスルフィドを挙げることができ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。そのような化合物は、以下の式VIIで表され、
Z-alk-S
n’-alk-Z、VII
式中、alkは、1~18個、好ましくは1~6個、より好ましくは2~3個の炭素原子を有する二価の炭化水素ラジカルであり、n’は、2~12、好ましくは2~6、より好ましくは3~4の整数であり、Zは、
【化2】
であり、式中、R
8は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基またはフェニルであり、R
8’は、1~8個、好ましくは1~4個、より好ましくは1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基、5~8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、または1~8個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルメルカプト基である。R
8およびR
8’基は、同じでも異なってもよい。二価のalk基は、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基または環状炭化水素基であり得る。米国特許第5,580,919号に開示されている高純度有機シランジスルフィドは、式VIIのn’の80パーセントが、2であることを必要とする。
【0053】
ビス(アルコキシシリルアルキル)-ポリスルフィドの例としては、トリアルコキシ基が、トリメトキシ、トリエトキシ、トリ(メチルエトキシ)、トリプロポキシ、トリブトキシなどからトリオクチルオキシまでであり、ポリスルフィドが、ジスルフィド、トリスルフィド、テトラスルフィド、ペンタスルフィド、およびヘキサスルフィドである、ビス(2-トリアルコキシシリルエチル)-ポリスルフィドを挙げることができる。対応するビス(3-トリアルコキシシリルプロピル)-、ビス(3-トリアルコキシシリルイソブチル)、-ビス(4-トリアルコキシシリルブチル)-などからビス(6-トリアルコキシシリル-ヘキシル)ポリスルフィドまでを、使用することもできる。ビス(3-トリメトキシ-、-トリエトキシ-、および-トリプロポキシシリル-プロピル)ポリスルフィド、すなわち、ジスルフィド、トリスルフィド、およびテトラスルフィドを含む、比較的単純な構造の有機シランを使用することができる。
【0054】
そのようなビス(アルコキシシリルアルキル)-ポリスルフィドの具体例は、前述の米国特許第3,873,489号の6欄、5~55行、および米国特許第5,580,919号の11欄、11~41行に記載されている。そのような化合物の代表的な非限定的な例としては、
3,3’ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、
3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、
3,3’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、
2,2’-ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、
3,3’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、
3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、
3,3’-ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、
3,3’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ヘキサスルフィド、および
3,3’-ビス(トリオクトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
多くの場合、化合物3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)が使用される。
【0055】
TESPTは、Degussa Corp.から「Si-69」の商品名で入手可能である。3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィド、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、および平均3.5のスルフィドを有するより高級なスルフィド同族体の混合物であることが報告されている。
【0056】
本発明の方法では、酸性化水性スラリー(a)は、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、およびそれらの混合物からなる群から選択されるカップリング剤をさらに含み得る。
【0057】
本発明の方法によって調製される改質無機充填材は、当該技術分野で既知の様々な方法のいずれかを使用して調製することができる。例えば、改質充填材は、可溶性金属シリケートの水溶液を酸性溶液と組み合わせて酸性化水性スラリーを形成することによって調製することができ、シリカスラリーは、必要に応じて熟成させることができ、酸または塩基をシリカスラリーに添加して、スラリーのpHを調整することができ、シリカスラリーを濾過し、洗浄し、次いで、当業者に既知の従来の技術を使用して乾燥させる。例えば、改質充填材は、回転乾燥技術および/または噴霧乾燥技術によって乾燥させることができる。乳化剤材料(2)および疎水化剤(3)は、一般に、洗浄前にスラリーに添加されるが、乾燥前の上記プロセスの任意のステップにて組み込まれてもよい。改質充填材(例えば、シリカ)を形成するための方法のさらなる詳細な説明は、本明細書の以下の実施例に見出すことができる。
【0058】
好適な金属シリケートは、当該技術分野で既知の多種多様な材料を含み得る。非限定的な例としては、これらに限定されないが、アルミナ、リチウム、ナトリウム、カリウムシリケート、およびそれらの混合物を挙げることができる。また、金属シリケートは、以下の構造式M2O(SiO2)xで表すことができ、式中、Mは、アルミナ、リチウム、ナトリウムまたはカリウムであり、xは、1~4の整数である。
【0059】
好適な酸は、当該技術分野で既知の多種多様な酸から選択され得る。非限定的な例としては、これらに限定されないが、鉱酸、有機酸、炭酸(二酸化炭素)、およびそれらの混合物を挙げることができる。典型的には、硫酸が使用される。
【0060】
前述のように、本発明の方法によって調製される改質充填材は、有機ポリマー組成物、例えば、処理後充填材(treated filler)が有利に含まれ得る任意の有機ポリマー組成物に含めるのに特に好適である。本発明のプロセスによって調製される処理後充填材材料(treatedfiller materials)は、ゴム配合組成物、特に、タイヤおよびタイヤトレッドなどのタイヤ構成要素の製造に使用されるゴム組成物において特に有用である。
【0061】
そのようなポリマーは、Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,1996,Volume 19,pp 881-904に記載されており、この説明は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の処理後充填材は、ポリマーまたはその重合性成分と混合することができ、一方で、ポリマーまたは重合性成分の物理的形態は、溶液、懸濁液、ラテックス、分散体などの任意の液体または配合可能な形態をしている。本発明の処理後充填材を含有するポリマー組成物は、当該技術分野で既知の任意の方法によって、ポリマー物品を形成するようにミリング、混合、成形および硬化されてもよい。好適なポリマーとしては、これらに限定されないが、熱可塑性および熱硬化性樹脂、ゴム化合物、およびエラストマー特性を有する他のポリマーを挙げることができる。
【0062】
前述のポリマーとしては、例えば、アルキド樹脂、油変性アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、天然油(例えば、亜麻仁、きり、大豆)、エポキシド、ナイロン、熱可塑性ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、すなわち、熱可塑性および熱硬化性の、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマーおよびエチレンプロピレンターポリマー、アクリル系(アクリル酸、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、それらの塩、ハイドロハライドなどのホモポリマーおよびコポリマー)、フェノール樹脂、ポリオキシメチレン(ホモポリマーおよびコポリマー)、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリスルフィドゴム、ニトロセルロース、ビニルブチレート、ビニル(塩化ビニルおよび/または酢酸ビニルを含有するポリマー)、エチルセルロース、酢酸セルロース、および酪酸セルロース、ビスコースレーヨン、シェラック、蝋、エチレンコポリマー(例えば、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー、エチレンアクリレートコポリマー)、有機ゴム(合成および天然ゴムの両方)などを挙げることができる。
【0063】
ポリマー組成物中で使用され得る改質充填材の量は、ポリマー組成物、およびポリマー組成物から形成される物品の所望の特性に応じて大きく変化し得る。例えば、ポリマー組成物中に存在する改質充填材の量は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、5から最大70重量パーセントまでの範囲であり得る。
【0064】
ポリマー組成物は、有機ゴムを含み得る。そのようなゴムの非限定的な例としては、これらに限定されないが、天然ゴム;ブタジエンおよびその同族体および誘導体の単独重合から形成されるもの(例えば:シス-1,4-ポリイソプレン;3,4-ポリイソプレン;シス-1,4-ポリブタジエン;トランス-1,4-ポリブタジエン;1,2-ポリブタジエン)、ならびに、ブタジエンおよびその同族体および誘導体と、エチレン性不飽和を含有する1つまたは1つより多くの共重合性モノマー(例えばスチレンおよびその誘導体、ビニル-ピリジンおよびその誘導体、アクリロニトリル、イソブチレンおよびアルキル置換アクリレート、例えばメチルメタクリレート)との共重合から形成されるものを挙げることができる。さらなる非限定的な例としては、様々なパーセンテージのスチレンおよびブタジエンから構成され、必要に応じてブタジエンの様々な異性体を用いる、スチレン-ブタジエンコポリマーゴム(以下、「SBR」);スチレン、イソプレン、およびブタジエンポリマーのターポリマー、およびそれらの様々な異性体;アクリロニトリル系コポリマーおよびターポリマーゴム組成物;ならびにイソブチレン系ゴム組成物;またはそれらの混合物を挙げることができ、例えば、米国特許第4,530,959号、同第4,616,065号、同第4,748,199号、同第4,866,131号、同第4,894,420号、同第4,925,894号、同第5,082,901号、および同第5,162,409号に記載されているとおりである。
【0065】
好適な有機ポリマーの非限定的な例としては、エチレンと、他の高級アルファオレフィン(例えばプロピレン、ブテン-1およびペンテン-1、ならびにジエンモノマー)とのコポリマーを挙げることができる。有機ポリマーは、ブロックポリマー、ランダムポリマーまたはシーケンシャルポリマーであり得、これらに限定されないが、乳化重合プロセス(例えば、e-SBR)または溶液重合プロセス(例えば、s-SBR)などの当該技術分野で公知の方法によって調製され得る。本発明で使用するためのポリマーのさらなる非限定的な例としては、カップリングしたポリマーまたは星型分岐ポリマーを含む、部分的または完全に官能化されたものを挙げることができる。官能化有機ゴムの追加の非限定的な例としては、ポリクロロプレン、クロロブチル、およびブロモブチルゴム、ならびに臭素化イソブチレン-co-パラメチルスチレンゴムを挙げることができる。非限定的な実施形態では、有機ゴムは、ポリブタジエン、s-SBR、およびそれらの混合物であり得る。
【0066】
ポリマー組成物は、硬化性ゴムであり得る。「硬化性ゴム」という用語は、天然ゴムならびにその様々な原料形態および再生形態、ならびに様々な合成ゴムを含むことを意図している。硬化性ゴムはまた、SBRとブタジエンゴム(BR)の組み合わせ、SBRとBRと天然ゴムの組み合わせ、および有機ゴムとして以前に開示された材料の任意の他の組み合わせを含み得る。本発明の説明において、「ゴム」、「エラストマー」、および「ゴム状エラストマー」という用語は、別途示されない限り、互換的に使用され得る。「ゴム組成物」、「配合ゴム」、および「ゴム化合物」という用語は、様々な成分および材料とブレンドまたは混合されたゴムを指すために互換的に使用され、そのような用語は、ゴム混合またはゴム配合技術分野の当業者に周知である。
【0067】
多数のゴム物品、例えば、タイヤ、タイヤのうちの少なくとも1つの構成要素、例えば、トレッドの製造に使用され得る、本発明の方法によって生成された改質充填材を含むゴム組成物は、硬化ゴム組成物および他のゴム物品、例えば靴底、ホース、シール、ケーブルジャケット、ガスケット、ベルトなどを含む。本発明のプロセスによって生成された処理後充填材を含むゴム組成物は、特に、タイヤトレッドが天然ゴムをベースとする場合、低い転がり抵抗および高い耐摩滅性を示すタイヤトレッドの製造に使用するのに特に有利である。さらに、本発明のプロセスによって生成された処理後充填材を含有するそのような天然ゴム組成物について、より低い硬化温度を達成することができることが観察されている。
【0068】
本発明は、以下の実施例でより詳細に記載されるが、それらの多くの修正および変更が当業者に明らかであるために、これらの実施例は、単に例示することを意図としている。別段の指定がない限り、すべての部およびすべてのパーセンテージは、重量によるものである。
【実施例】
【0069】
比較実施例1
(乳化剤未添加)
ナトリウムシリケート溶液を硫酸を用いて酸性化することによって、沈降シリカを作製した。沈降物の大部分は、8.5を上回るpHで形成された。溶液のpHが約3.5のレベルに達するまで酸添加を続けることによって、さらなる沈降物を作製した。容器の内容物を撹拌しながら、乾燥ベースにて作製したシリカの総量に対して10%のビス(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド(Si69)を、10分間にわたって添加した。添加が完了したら、10%のn-オクタデシルトリメトキシシラン(Gelestから購入したODMS)を、さらに10分間にわたって添加した。
【0070】
沈降シリカを濾過プレスにて洗浄して、すすぎ水が約300~800マイクロジーメンスの導電率レベルを示すまで残留塩を除去した。得られた濾過ケークを、高せん断撹拌器を使用して再液化し、液体懸濁液中に固体を形成した。懸濁液を、Niro噴霧乾燥機(入口温度約360℃および出口温度約110℃)内で乾燥させた。乾燥後、処理シリカの粉末を造粒した。
【0071】
実施例2
処理シリカを実施例1と全く同じように調製したが、Si69を添加する前に、1g/Lの乳化剤を反応器に添加した。使用した乳化剤は、ステアリン酸ナトリウムであった。
【0072】
実施例2の炭素含有量が比較実施例1の炭素含有量よりもはるかに高いことを、以下の表1に見ることができる。これは、オクタデシルトリメトキシシランが、本発明による方法を使用する場合に、比較実施例1の方法よりもはるかに効率的に組み込まれたことを示す。
【表1】
【0073】
本出願の実施例において報告された重量パーセントの炭素(C)および硫黄(S)の値は、Flash 2000元素分析器を使用して決定した。このシステムを、炭素および硫黄をモニタするために設定した。典型的なパラメータは以下のものを含んだ。燃焼炉は950℃に設定し、GCオーブン温度は65℃に設定し、キャリアヘリウムガスの流速は140mL/分に設定し、参照ヘリウムガスの流速は100mL/分に設定し、酸素流速は250mL/分および酸素注入時間は5秒間に設定した。各実行については、通常、較正標準、試料、および対照を実行した。各8~10mgの五酸化バナジウム(V2O5)を添加した。試料サイズは2~4mgであり、それらを分析前にスズカプセル内に密封した。対照標準が、既知の許容値の±10%の相対値以内でない場合、または二連で実行した試料が一致しない場合(±5%の相対値)、実行した全試料を再分析した。
【0074】
ゴム配合
以下の表2に列挙されるモデル乗用トレッド配合物を使用して、ゴム化合物を調製した。比較実施例1および実施例2からのシリカ試料は処理したため、これらのゴム化合物の混合中に追加のシランを添加しなかった。以下の表2で対照実施例Aとして示されるゴム化合物は、PPG Industriesから市販されている未処理シリカ(HI-SIL EZ160G)を含んでいた。比較実施例Bは、乳化剤を使用しないで調製した比較実施例1の処理シリカを含み、実施例Cは、本発明に従って調製した実施例2の処理シリカを含んでいた。
【表2】
(1)溶液スチレン-ブタジエンゴム(SSBR);ビニル含有量:52%、スチレン含有量:28%、27.3% TDAE油、ムーニー粘度(ML(1+4)100℃:50;Arlanxeoから市販されているものを入手。
(2)ブタジエンゴム(BR);シス1,4含有量97%、ムーニー粘度(ML(1+4)100℃):55;The Goodyear Tire&Rubber Co.から市販されているものを入手。(3)TDAE加工油、Hansen&Rosentalから市販されているものを入手。
(4)酸化亜鉛、Kadox(登録商標)720C、Zinc Corporation of Americaから市販されているものを入手。
(5)ゴムグレードのステアリン酸、R.E.Carrollから市販されているものを入手。(6)3,3’-ビス(トリエトキシ-シリルプロピル)ジスルフィド、Momentiveから市販されているものを入手。
(7)Santoflex 13、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンオゾン劣化防止剤、Harwick Standardから市販されているものを入手。
(8)Rubber Makers硫黄、100%活性、Taber,Inc.から市販されているものを入手。
(9)N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、Flexsysから市販されているものを入手。
(10)ジフェニルグアニジン、Monsantoから市販されているものを入手。
【0075】
4翼ローターを備えた、1.89LのKobelco Steward Bolling Inc.のミキサー内で、67%の充填率を使用して、化合物を混合した。配合物を2回の非生産的パスを使用して混合し、化合物をパスの間で冷却し、続いて生産的パスを使用して硬化剤を添加した。第1のパスでは、ミキサーローターの速度を60rpmに設定し、混合の最初の60秒間に、投入1の成分をミキサー内に添加した。混合サイクルの60秒後、投入2の成分をミキサー内に添加した。第1のパスを混合開始から4分間で中断し、その時点で混合温度は約160℃に達した。第2のパスでは、ミキサーローターの速度を60rpmに維持し、冷却した第1のパスのマスターバッチを、混合の最初の1分間に、ミキサーを失速させないように、ゆっくりと添加した。第2のパスを、4分間で約160℃の温度低下に達したときに中断した。最終のパスでは、ミキサー速度を40rpmに維持し、冷却した第2のパスのマスターバッチを、混合の最初の1分間に、ミキサーを失速させないように、ゆっくりと添加した。マスターバッチを添加した後、投入3を添加した。第2のパスを、3分間で約100℃の温度低下に達したときに中断した。得られたゴム組成物を、オシレーティングディスクレオメーター(90% ODR)+5分間(T90+5分間)を使用して得られた90%の最大トルクに達するのに十分な時間、150℃で硬化させた。
【0076】
ゴム試験
得られた加硫物を、標準ASTM手順に従って様々な物理的特性について試験した。以下の表3は、ゴム化合物の特性を示す。
【表3】
【0077】
上記の表3に提示したデータは、両方の改質シリカ試料が未処理シリカよりも改善された分散を提供したが、本発明の方法に従って調製された実施例2の改質シリカは、より低いG’値によって示されるように、より低い充填材間の相互作用を提供し、また、より低いtanδ値によって示されるように、ヒステリシスを低減したことを示す。
【0078】
本発明は、その特定の実施形態の具体的な詳細を参照して記載されている。そのような詳細は、添付の特許請求の範囲に含まれない限り、本発明の範囲について、添付の特許請求の範囲に含まれる範囲への限定と見なされることを意図されてはいない。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
改質充填材を調製するための方法であって、順次、
(a)
(1)事前に乾燥されていない未処理無機充填材と、
(2)乳化剤材料と、
(3)以下の構造式(I)を有する疎水化剤であって、
(I)R
a
-M-X
(4-a)
式中、
Rが、C
6
~C
22
アルキルであり、
Mが、ケイ素、チタン、またはジルコニウムであり、
Xが、OR’またはハロゲンであり、
R’が、C
1
~C
4
アルキルであり、
aが、1である、疎水化剤と、を含む、酸性化水性スラリーを提供するステップと、
(b)(a)の前記酸性化水性スラリーを洗浄および/または濾過して、改質充填材を得るステップと、
(c)必要に応じて、前記改質充填材を乾燥させるステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記未処理無機充填材(1)が、無機酸化物を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記未処理無機充填材(1)が、アルミニウムシリケート、シリカゲル、コロイド状シリカ、沈降シリカ、およびそれらの混合物からなる群から選択される、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記未処理充填材(1)が、沈降シリカを含む、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記乳化剤材料(2)が、脂肪酸、脂肪酸の塩、アルキルサルコシネート、アルキルサルコシネートの塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記乳化剤材料(2)が、前記スラリーの総重量に基づいて、0重量パーセント超から、0.25重量パーセントを含めて最大0.25重量パーセントまでの範囲の量で前記水性スラリー中に存在する、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
構造式(I)において、Rが、C
8
~C
20
アルキルであり、Mが、ケイ素であり、Xが、OR’であり、R’が、C
1
~C
2
アルキルである、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記酸性化水性スラリーが、メルカプト有機金属化合物、硫黄含有有機金属化合物、非硫黄有機金属化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択されるカップリング剤をさらに含む、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記カップリング剤が、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記改質充填材が、回転乾燥技術および/または噴霧乾燥技術によって乾燥される、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
項目1~10のいずれか一項に記載の方法によって調製される、改質充填材。
(項目12)
項目11に記載の改質充填材を含む、ポリマー組成物。
(項目13)
ゴム組成物である、項目12に記載のポリマー組成物。
(項目14)
項目11または12に記載のポリマー組成物を含む、物品。
(項目15)
前記物品が、タイヤである、項目14に記載の物品。