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特許7502457流路の高温ガスから根元を保護するための改善されたタービン及びブレード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】流路の高温ガスから根元を保護するための改善されたタービン及びブレード
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/04 20060101AFI20240611BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F01D11/04
F02C7/28 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022551542
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2021025073
(87)【国際公開番号】W WO2021175488
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】102020000004585
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディ シスト、パオロ
(72)【発明者】
【氏名】トナレッリ、レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】クベーダ、シモーネ
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0058236(US,A1)
【文献】特開2010-164054(JP,A)
【文献】特開2004-092609(JP,A)
【文献】特表2016-513768(JP,A)
【文献】特開2013-204595(JP,A)
【文献】特開2013-148088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0193293(US,A1)
【文献】特開平10-121903(JP,A)
【文献】特開2003-343206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00-11/24
F02C 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン(14)であって、
高温ガス流路チャネル(F)に流れ込む高温ガスの膨張により回転するように構成された複数のロータ部材(2)であって、各前記ロータ部材(2)が、ロータホイール(3)と、複数のブレード(4)と、を備えた、複数のロータ部材(2)と、
前記高温ガス流路チャネル(F)の延びる方向において2つの隣接するブレード(4)の間に配置され、前記高温ガス流路チャネル(F)からの吸い込まれたガス流(F’、F’’’)がホイールスペース(5)に到達することを回避するように構成されたスペーサ(7)と、
2つの隣接する前記ロータ部材(2)の間に配置されたステータスペーサ(6)と、を備え、
少なくとも1つの前記ロータ部材(2)が、前記吸い込まれたガス流(F’’’と前記ホイールスペース(5)から来たパージ空気(P)を前記スペーサ(7)の上面(71)と前記ステータスペーサ(6)の間に偏向させるように構成された偏向器(8)を備えることを特徴とする、タービン(14)。
【請求項2】
前記偏向器が、前記スペーサ(7)に対応して配置されている、請求項1に記載のタービン(14)。
【請求項3】
前記ロータホイール(3)が、回転軸の周りを回転するように構成され、外側リム(31)を有
前記偏向器(8)が、前記ロータホイール(3)の前記外側リム(31)に配置されている、請求項1又は2のいずれか一項に記載のタービン(14)。
【請求項4】
前記偏向器(8)が、前記スペーサ(7)前記ロータホイール(3)との間のギャップ(73)を覆っている、請求項1~3のいずれか一項に記載のタービン(14)。
【請求項5】
前記ロータホイール(3)が、
回転軸の周りを回転するように構成さ、外側リム(31)及び前記ロータホイール(3)の前記外側リム(31)の周りに円周方向に離間された複数の溝(32)を有
前記ブレード(4)が、シャンク(42)と、前記シャンク(42)に結合され、前記ロータホイール(3)の1つの対応する溝(32)と嵌合するように設計された根元(41)と、前記高温ガス流路チャネル(F)内の高温ガスを受けることによって前記ロータ部材(2)を回転させるためのエアフォイル(43)とを備え、
前記偏向器(8)が、前記シャンク(42)に配置されている、請求項1又は2に記載のタービン(14)。
【請求項6】
前記偏向器(8)が、前記シャンク(42)と一体である、請求項5に記載のタービン(14)。
【請求項7】
前記スペーサ(7)が、前記吸い込まれたガス(F’)に面している前記上面(71)を有し、
前記偏向器(8)が、前記高温ガス流路チャネル(F)からの起こり得るガスの吸い込みを前記スペーサ(7)の前記上面(71)に向けて偏向させるように構成された上面(81)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のタービン(14)。
【請求項8】
前記ホイールスペース(5)が、2つの隣接した前記ロータホイール(3)の間に画定され、
パージ空気(P)が、前記ホイールスペース(5)を冷却するために前記タービン(14)内に導入され
前記偏向器(8)が、前記ホイールスペース(5)から来る前記パージ空気(P)が各前記スペーサ(7)と前記ロータ部材(2)との間のギャップ(73)を通過することを可能にするように構成された下面(82)を有する、請求項3~7のいずれか一項に記載のタービン(14)。
【請求項9】
前記スペーサ(7)が、それぞれの前記ロータ部材(2)とギャップ(73)を形成し、前記偏向器(8)が、前記ギャップ(73)に対応して配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のタービン(14)。
【請求項10】
前記タービン(14)が、低圧タービンである、請求項1~9のいずれか一項に記載のタービン(1)。
【請求項11】
前記ステータスペーサ(6)に面する前記スペーサ(7)の前記上面にラビリンスシール(72)が形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のタービン(14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作中に高温ガスをホイールスペース内に吸い込むことからロータアセンブリのホイールのリムを保護することができるガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、ガスタービンは、エネルギー変換プラントであり、通常、とりわけ、ガスを引き込んで圧縮するための圧縮機と、燃料を加えて圧縮空気を加熱するための燃焼器(又はバーナ)と、複数のロータアセンブリを備え、高温ガス流路から出力を抽出して圧縮機を駆動するための高圧タービンと、同じく複数のロータアセンブリを備え、負荷に機械的に接続された低圧タービンと、を備える。
【0003】
特に低圧タービン設計では、通常、高温ガス流路からのガスの吸い込みを低減させるための予防措置がとられており、このガスの吸い込みは、ホイール及びスペーサのような非高温ガス構成要素に悪影響を及ぼし得る。高温ガス流路からのガスの吸い込みの現象は、エンジンが部分負荷で動作するときに、及び/又はエンジン部品が設計要件に完全に適合せずに製造されているときに、及び/又はいくつかの部品(例えば、シール、パージ管)が動作中に損傷を受けた若しくは摩耗したときに起こり得る。
【0004】
より具体的には、上述した典型的な低圧タービンは、複数のロータ部材を備え、これらのロータ部材は、各々、リムを有するロータホイールを有し、ロータホイールに複数のブレードが結合されている。
【0005】
各ブレードは、ロータホイールのリム上に得られた1つの対応する溝と嵌合するように設計された雄型形状ダブテール又は根元を備える。ホイールは、通常は、ブレードよりも卑な材料で作製される。
【0006】
2つの隣接して対向するロータホイールの間で、ホイールスペースが2つのロータ部材の2つのロータホイールの間に個別化されている。
【0007】
高温ガス流路からのガス吸い込みの現象は、通常、高温ガスの一部がホイールスペースに流れ込んだときに起こり、結果として、ホイールリムがそれらの材料温度限界を超えて、又は温度限界付近で動作させられ、これにより、卑な材料で作製されているホイールリムは、損傷を受け、ホイールの耐用年数が低減する場合がある。これは、この現象が、ホイールのダブテールの破損(例えば、大きな変形)及びその結果のブレードの離脱の原因になり得ることを意味する。
【0008】
上記に加えて、ホイールスペースは、通常、冷却される。このために、ガスタービンは、圧縮機から来るパージ空気を低圧タービンに提供するための配管システムを装備している。具体的には、パージ空気が、低圧タービンのホイールスペースの中へ導入される。これは、ホイールスペースの全体的な温度をある程度低下させる。
【0009】
高温ガスの吸い込みは、通常、パージ空気の量が、ホイールによってポンプ圧送される空気量以上であるときに阻止される。空気量よりも少ない場合、パージシステムによって提供されない分を、ポンプ効果が、ホイールの遠くで吸い込まれてホイールの近くで排出される高温ガス空気で補償する(再循環)。再循環は、エンジンが低出力で動作し、その後に圧縮機がより少ないパージ空気を低圧タービンに提供するが、低圧タービンが依然としてその最大速度で動作し得るときに起こり得る。
【0010】
低圧ガスタービンからホイールスペースへと通過する高温ガス流路のガスの吸い込みを低減させるために、最新技術では、いくつかの解決策を利用することができる。
【0011】
具体的には、スペーサがホイールの間に加えられ得、これらのスペーサは、ホイールによって覆われていない空間を軸方向に覆うリムを有し得、これらのスペーサリムはまた、ホイールスペースキャビティの上側のホイールリムの部分を最小にするために、ホイールの同じ外径まで半径方向にも延在し得る。スペーサは、高温ガスの吸い込みに対する物理的バリアを実現するが、通常、スペーサは隣接するホイールのリムと接触しておらず、したがって、高温ガスがギャップの内側に流れて、ホイールスペースに到達し得る。スペーサは、スペーサリムを円錐形に成形することによってホイールが異なる外径を有する場合であっても、隣接したホイールを保護し得る。
【0012】
したがって、本技術では、高温ガス流路からのあらゆる起こり得るガスの吸い込みを低減することができる、改善されたタービン及びブレードが歓迎されることになる。
【発明の概要】
【0013】
上述したスペーサの改善は、高温ガス経路近くのホイールスペースシーリングを押すことができる、近流路シール(near seal flow path、NFPS)の提供である。NFPSは、ホイールキャビティの内側だけでなくラボシールを通しても起こり得る高温ガスの吸い込みからホイールリムをより良好に保護するために、より従来的なスペーサを置き換えている。構造的観点を形成する、NFPSは、セグメント(すなわちアーム部材)であり、リングではなく(スペーサが行うような)、したがって、隣接したロータ部材間に漏れをもたらす。その上、NPFSは、内部支持ロータホイールに係合させるために、多重接続システムを必要とし、必然的に解決策の複雑さを増加させる。NFPSは、実際には、従来のスペーサと比較して小さい構成要素であり、したがって、より貴な材料で作製され得る。
【0014】
しかしながら、最近では、ガスタービンの出力及び効率を高めるために、高温ガス流路の温度が高くなっている。このために、圧縮機からのパージ空気の流れが低下し、高温ガス流路からガスを吸い込む危険性が増している。
【0015】
また、低圧タービンが低速で回転するとき、高温ガス流路はより低い速度ではより少ない膨張を有し、1つの段から別の段へ、又は1つのロータアセンブから別のロータアセンブリへ通過するので、圧力は、圧力変動の低下を比例的に起こす。同時に、上述のように、低圧タービンが低速で回転するとき、ポンピング効果が低下する。
【0016】
最後に、ホイールスペースの温度は、通常、適切な熱電対によって監視される。しかしながら、タービンの以前からのより小さいレイアウトにより、熱電対の設置がはるかにより複雑になり、その結果、熱電対の信頼性がより低くなる。更なる理由として、スペーサ又は任意の他の機械的バリアが2つのロータアセンブリの間に配置される場合、熱電対の設置が複雑になる。よって、設置される熱電対の数が低減される傾向があり、これは、ホイールリムの温度上昇及びそれらの起こり得る劣化の危険性の制御を低下させる。
【0017】
したがって、一態様では、本明細書に開示される主題は、複数のロータ部材を備え、高温ガス流路チャネルに流れ込む高温燃焼ガスの膨張により回転するように構成されたタービンを対象とする。各ロータ部材は、2つの対向するロータ部材の間に配置されたスペーサを備える。スペーサは、吸い込まれたガス流が高温ガス流路チャネルからホイールスペースに到達することを回避する機能を有する。各ロータ部材はまた、対応するスペーサの近くに配置され、吸い込まれたガス流をスペーサの上面上へ偏向させるように構成された偏向器を備える。
【0018】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、偏向器が、各ブレードのシャンクに配置されていることに関する。
【0019】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、偏向器が、ブレードのロータホイールのリムに配置され、スペーサとホイールとの間のギャップを覆うことができることに関する。
【0020】
別の態様では、本明細書は、高温ガス流路チャネルからの起こり得るガスの吸い込みを、スペーサの上面に向けて偏向させるように構成された上面を有する偏向器が開示される。また、偏向器は、ホイールスペースから来るパージ空気が各スペーサとロータ部材との間のギャップを通過することを可能にするように構成された下面を有し得る。
【0021】
別の態様では、本明細書は、シャンク、シャンクに結合された根元、及び吸い込まれたガス流を偏向するように構成された偏向器を備える、ロータ部材を回転させるためのエアフォイルが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の開示の実施形態とそれに付随する利点の多くは、添付図面に関連して考えながら以下の発明を実施するための形態を参照することによって、理解が深まるにつれてすぐにより完全に分かるようになるであろう。
図1】ガスタービンの概略図を例示する。
図2】ブレードの分解図を例示する。
図3】第1の実施形態による低出力タービンの部分断面図を例示する。
図4】第1の実施形態による低出力タービンセクションの断面図を例示し、通常動作条件でのパージ空気の流れを示す。
図5図4の低出力タービンの断面図を例示し、低いガスの吸い込みを示す。
図6図4の低出力タービンの断面図を例示し、高いガスの吸い込みを示す。
図7】第2の実施形態による低出力タービンの部分断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ガスタービンの改善点が発見された。ガスタービンは、多数の部品、とりわけ、低圧タービンを有する。そのような低圧タービンは、中央ハブから放射状に広がっている多数のブレードで形成され、エンジンを通して空気を移動させるように角度付けされている。ガスタービンのいくつかの領域は、非常に高温である。他の領域は、より低温である。既知の問題は、ブレードによって移動される高温ガスの一部が中央ハブに向かって流れ、したがって、損傷を生じさせて、タービンの耐用年数を低減させることである。
【0024】
発明者らは、各ブレードのシャンクに対応し、かつブレード自体と各ブレードの間に配置されたスペーサとの間に介在する新しい偏向器要素を配置することによって、この問題が軽減及び/又は対処され得ることを発見した。偏向器は、高温ガス流路からの任意の起こり得るガスの吸い込みを、スペーサの上面に向けて偏向するように成形されている。このようにして、偏向器は、タービン内部の部品を保護し、その中の温度の平均上昇を阻止する。
【0025】
図1は、全体的に参照番号1で示されるガスタービンを概略的に例示する。ガスタービン1は、とりわけ、燃料を加えて圧縮空気を加熱するための燃焼室又はバーナ(図示せず)に供給されるガスを引き込んで圧縮するための圧縮機11と、複数のロータアセンブリを備え、高温ガス流路から出力を抽出して、圧縮機11を駆動するための高圧タービン12と、圧縮機11及び高圧タービン12を接続しているシャフト13と、同じく複数のロータアセンブリを備え、更なるシャフト15によって、例えば、ギアボックス及び遠心圧縮機、又は任意の他の負荷を駆動するための低圧タービン14と、を含む。
【0026】
加えて、ガスタービン1は、パージ空気を低圧タービン14に提供するためのパージシステム16を含む。パージシステムは、一般に、接続管162によって冷却器163に接続された漏出抽出161を備え、次に冷却器が、パージ管164によって低圧タービン14に接続されて、ロータアセンブリ間のホイールスペース(以下を参照されたい)を冷却する。これは、ホイールスペースの全体的な温度をある程度低下させるための効果及び機能を有する。
【0027】
以下、図2及び図3も参照すると、低圧タービン14は、通常、本明細書では参照番号2で示され、回転軸Rの周りを回転し、シャフト15と結合されている複数のロータ部材を備えている。
【0028】
より具体的には、各ロータ部材2は、シャフト15に結合され、リム31と、リム31の周りの、複数の円周方向に離間された雌型ダブテール形状のスロット又は溝32と、を有する、ロータホイール3を備えている。本実施形態では、各溝32は、フィットスリー形状を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、溝は、異なる形状を有することができる。
【0029】
各ロータ部材2はまた、複数のブレード4も備え、次に各ブレードは、挿入方向に沿って、ロータホイール31の1つの対応する溝32と嵌合するように設計された雄型形状のダブテール又は根元41を備えている。したがって、各根元41は、対応する溝32とほぼ同じ形状を有する。
【0030】
ブレード4の根元41は、ブレード4を回転ホイール3に、特にロータホイール31の溝32に強固に結合するための機械的な機能だけを有する。
【0031】
各ブレード4はまた、根元41が接続されるプラットフォーム又はシャンク42と、シャンク42に結合されたエアフォイル43と、を備えている。エアフォイル43は、著しい熱及び機械的応力を受けるので、エアフォイル43は、貴な材料で作製される。エアフォイル43の頂部には、各ブレード4を近傍のものに接続して、エアフォイル43が受ける可変の圧力場によりタービンが回転している間、ブレード4が曲がることを阻止するためのエアフォイルシュラウド44が存在している。
【0032】
上述のように、2つの隣接して対向するロータホイールの間には、ホイールスペース5が個別化されて2つのロータ部材2の2つのロータホイール3の間にある。
【0033】
図3はまた、2つのロータ部材2とノズル6’との間に介在している、タービン14のステータ(図示せず)のステータスペーサ6も例示する。
【0034】
高温ガス流路は、矢印Fで示され、当然ながらブレード4のエアフォイル43を通過する、高温ガス流路チャネルを流れる。
【0035】
2つの隣接したブレード4の間には、高温ガス流路チャネルFからホイールスペース5へのガスの吸い込みを阻止するためのバリアを実現する機能を有するスペーサ7が配置されており、ガスの吸い込みは、ホイールスペース5の上側の温度を上昇させ、その結果、ブレード4の根元41の温度を上昇させ得る。上述のように、根元41への過剰な熱応力は、根元の動作に悪影響をもたらす。この実施形態では、スペーサ7は、円錐形である。しかしながら、いくつかの実施形態では、スペーサ7は、円筒形とすることができ、又は他の形状を有することができ、常時、ホイールスペース5の保護を画定し、生じさせる機能を有する。また、ステータスペーサ6に面する各スペーサ7の上面71には、スペーサ7とステータスペーサ6との間に流れているガスの速度に種をまくためのラビリンスシール72が存在する。
【0036】
図3を更に参照すると、矢印Pは、パージシステム16から来るパージ空気経路を示す。パージ空気は、ホイールスペース5の温度を低下させるように、並びにその圧力によって、高温ガス流路チャネルFからのガスの注入に対する圧力バリアを生じさせる機能を有する。各ブレード4のシャンク42は、偏向器8を有し、偏向器は、各ブレード4のシャンク42上に得られ、スペーサ7に、特にその縁部に対応して配置されて、各スペーサ7とロータ部材2との間の、特に、図3の実施形態を参照すると、スペーサ7とロータホイール3のリム31との間のギャップ73を覆うように配置されている。
【0037】
換言すれば、いくつかの実施形態では、実際にはリング形状である偏向器8は、スペーサ7とロータホイール3との間のギャップを閉じるために、偏向器に対応するように、スペーサ7の縁部の前方に面した突出縁部を有する。実際には、スペーサ7もリング形状であり、縁部が回転ホイール3に面している。偏向器8の表面は、下でより良好に説明されるように高温ガスを偏向することができるようなものである。
【0038】
図3に示される実施形態では、及び特に同じ図に示される拡大窓を参照すると、偏向器8は、起こり得るガスの吸い込みを、高温ガス流路チャネルFからスペーサ7の上面71に向けて、かつラビリンスシール72の上へ偏向させることを意図した上面81と、ホイールスペース5から来るパージ空気が、各スペーサ7とロータ部材2との間のギャップ73を通過することを可能にすることを意図した下面82と、を有するように成形されている。
【0039】
いくつかの実施形態では、偏向器8は、異なる位置に配置することができ、より具体的には、リム31にほぼ対応して、ロータホイール3上に得られ得る。
【0040】
一般に、スペーサ7の機械的バリアを乗り越えることができるように、そして、例えば、ホイールスペーサ5からのパージ空気圧力Pが、一般には高温ガスがホイールスペース5に進入することを阻止するのに十分でないときにはいつでも、偏向器8が、任意の起こり得るガスの吸い込みを高温ガス流路チャネルFから偏向させることができることが必要である。
【0041】
低圧タービン14及び偏向器8は、以下のように動作する。
【0042】
低圧タービン14が動作してロータ部材2が回転すると、圧縮機163から来てパージ管164によって搬送されるパージ空気Pがホイールスペース5を冷却する。同時に、スペーサ7によって実現されるバリアとともに、低圧タービン14の、すなわちロータ部材2の回転速度によるポンピング効果の複合効果は、高温ガス流路チャネルFからホイールスペース5へのガスの吸い込みを阻止する。また、任意の起こり得るガスの吸い込みは、局所的であっても、偏向器8の作用によって更に阻止され、偏向器は、一方では、スペーサ7に対応して配置され、第1の表面81によって高温ガス流路チャネルFからの起こり得る局所的なガスの吸い込みを偏向させ、他方では、パージ空気Pがギャップ73を通過することも可能にする。局所的なガスの吸い込みは、高温ガス流路チャネルF内の高温ガス流れによって生じる圧力場が必ずしも一定ではないという事実によっても起こり得る。偏向器8を参照すると、スペーサ7に対応して配置されていることは、いくつかの実施形態では、高温ガスをスペーサ7の上面に向けて偏向させることができることを意味する。
【0043】
偏向器の動作は、低圧ガスタービン14の回転速度が低下した場合に、例えば、低圧ガスタービン14がその公称動作速度の50%で動作しているときに、特定の影響を及ぼす。この場合、ポンピング効果の保護作用は、速度の低下に比例して低下する。
【0044】
特に、偏向器8の動作をより良好に説明するために、図4図5、及び図6は、低圧タービン14のいくつかの動作状態を例示する。図4では、パージ空気Pの典型的な流路が見られ、いかなるガスの吸い込みも予測されない。この場合、圧縮機11から来るパージ空気Pは、ホイールスペース5を通過して、高温ガス流路チャネルFに到達し、ホイールスペース5を高温ガスの高温から保護する。
【0045】
以下、図5を参照すると、低いガスの吸い込み現象が示されており、高温ガス流路チャネルFの高温ガスの一部(矢印F’を参照されたい)は、偏向器8のおかげで、スペーサ7に到達し、特に、上面71及びラビリンスシール72にも到達する。この場合、ホイールスペース5のガスの吸い込みは、偏向器8によって、並びに圧縮機163から来るパージ空気Pのいずれかによって少なくとも部分的に阻止され、これは、偏向器8の下面82の形状によって高温ヘア流路Fからの吸い込まれたガスF’を対比することを可能にする。高温ガスは、シャンク42に到達して、その温度が上昇し、したがって、ブレード4の根元41の潜在的な危険性を生じさせる。偏向器8はまた、高温ガス流路チャネルFの高温ガス流から来る起こり得る高温の吸い込まれたガスF’がホイールスペーサ5内に漏れることによってシャンク42を加温し得ることを阻止することを支援する。
【0046】
図6では、例えば、低圧タービンの低速の場合の高いガスの吸い込み現象の場合を示す。特に、第1の矢印F’’が示され、矢印は、ブレード4が偏向器8を装備していない場合に吸い込まれる高温ガス流路チャネルFの高温ガスを表しており、その場合、高温ガスがホイールスペース5に到達し、シャンク42を加熱し、その結果、ブレード4の根元41を加熱して損傷を生じさせることは明らかであり、第2の矢印F’’’は、ブレード4が偏向器8を装備している場合に吸い込まれる高温ガス流路チャネルFの高温ガスを表している。後者の場合、高温ガスが偏向されて、ホイールスペース5に到達することが阻止されることが容易に認識される。
【0047】
上述した動作条件では、上記の通り、低圧タービン14が低速で動作しており、ホイールスペース5から来るパージ空気Pが、吸い込まれたガスF’’’を対比するのに十分ではなく、よって、偏向器8が、吸い込まれたガス流F’’’を、スペーサ7の上面71及びラビリンスシール72に向けて偏向させる。偏向器8の上面81は、一方の側から、吸い込まれたガスF’’’がホイールスペース5に到達することを妨げ、他方の側からは、上述のように、高温ガスをシャンク42から離れたスペーサ7の上へ偏向させ、したがって、シャンク42自体の温度の低下、その結果、ブレード4の根元41の温度の低下を可能にする。
【0048】
図7を参照すると、改善された低圧タービン14の第2の実施形態が示されている。言及した図では、同じ参照番号は、図3にすでに例示されており、上で説明したものと同じ又は対応する部品、要素、又は構成要素を表し、ここでは再度説明しない。しかしながら、この場合、スペーサ7は、円錐形ではなく、円筒形である。また、この場合、偏向器8は、スペーサ7に対応して、シャンク7に、又はロータホイール3のリム31に配置されている。
【0049】
図7はまた、パージ管164通って圧縮機11から来るパージ空気Pのいくつかの経路も例示する。
【0050】
この場合、低出力タービン14の動作は、先の図に開示されたものと同じである。
【0051】
本発明は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0052】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ以上の例は、図面に例示されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して述べられる特定の特徴、構造、又は特性が、開示の主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同じ実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0053】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7