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特許7502465放電装置を備える転がり軸受、及び静電荷を放電する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】放電装置を備える転がり軸受、及び静電荷を放電する方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 41/00 20060101AFI20240611BHJP
   F16C 19/52 20060101ALI20240611BHJP
   F16C 19/16 20060101ALI20240611BHJP
   F16C 33/58 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F16C41/00
F16C19/52
F16C19/16
F16C33/58
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022564588
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2020061634
(87)【国際公開番号】W WO2021219194
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】594141406
【氏名又は名称】シュンク・コーレンストッフテヒニーク・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガートナー ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラー シュテファン
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-008820(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0280540(US,A1)
【文献】特開2005-114119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00-19/56,33/30-33/66,
41/00-41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導装置を備えたローラ軸受であって、
前記伝導装置は、少なくとも1つの弾性体を備え、
前記導体は、第1導体部及び第2導体部を有し、
前記第1導体部は、前記ローラ軸受の第1軸受リングに取り付けられ、
前記第2導体部は、前記ローラ軸受の第2軸受リングに取り付けられ、
前記導体によって前記第1軸受リングと前記第2軸受リングとの間に導電接続が確立され、
前記導体は、前記第1軸受リングに支持され、
前記第1導体部は、前記第1軸受リングの少なくとも直線状の凹部に挿入され、
前記第1導体部は、前記導体の両端部に2つの部分セクションを備え、各部分セクションは、前記第1軸受リングの前記凹部にそれぞれ挿入され、前記第2導体部は、前記凹部に挿入された部分セクションの間に形成されることを特徴とする、ローラ軸受。
【請求項2】
請求項1に記載のローラ軸受において、
前記凹部は、前記導体と適合するように形成されることを特徴とするローラ軸受。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のローラ軸受において、
前記導体は、力嵌め、形状嵌め、又は物質対物質結合の形成で前記凹部に挿入されることを特徴とするローラ軸受。
【請求項4】
求項1~3のいずれか1つに記載のローラ軸受において、
前記導体は、炭素繊維の編組から作製された炭素繊維組立体であり、前記炭素繊維組立体は、熱分解炭素を浸透させたものであることを特徴とするローラ軸受。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1つに記載のローラ軸受において、
前記導体は、直線状又は湾曲状であることを特徴とするローラ軸受。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1つに記載のローラ軸受において、
前記第2軸受リングには、前記導体によって、接触力が作用することを特徴とするローラ軸受。
【請求項7】
請求項に記載のローラ軸受において、
前記接触力は、前記導体をプレストレスすることによって引き起こされ、前記導体は、プレストレスを生成することによって軸受リング上に配置されることを特徴とするローラ軸受。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1つに記載のローラ軸受において、
前記ローラ軸受は、アキシャル軸受であることを特徴とするローラ軸受。
【請求項9】
請求項に記載のローラ軸受において、
前記導体は、前記ローラ軸受の軸受軸に対して平行であることを特徴とするローラ軸受。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1つに記載のローラ軸受において、
前記ローラ軸受は、滑り軸受であり、
前記第1導体部は、滑り軸受の外輪との接触を確立するための外側導体部であり、
前記第2導体部は、滑り軸受の内輪との接触を確立するための内側導体部であり、
前記導体は、前記外輪又は前記内輪で支持され、かつ前記第1導体部によって前記外輪又は前記内輪の少なくとも1つの前記凹部に挿入されることを特徴とするローラ軸受。
【請求項11】
請求項10に記載のローラ軸受において、
前記内輪の外周又は前記外輪の内周は、前記第2導体部に接触し、
前記第2導体部は、前記内輪又は前記外輪の放射状の溝に支持されることを特徴とするローラ軸受。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のローラ軸受において、
前記導体は、前記内輪に対して接線方向に延び、かつ/又は前記外輪に対して割線方向に延びることを特徴とするローラ軸受。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1つに記載のローラ軸受において、
前記凹部は、前記外輪又は前記内輪の少なくとも前面上の溝として実現されることを特徴とするローラ軸受。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載のローラ軸受において、
前記伝導装置は、導体組立体内に2つ以上の前記導体を備え、
前記導体の前記第1導体部は、それぞれ、前記第1軸受リングの前記凹部内に挿入されることを特徴とするローラ軸受。
【請求項15】
請求項14に記載のローラ軸受において、
前記導体は同一であって、前記ローラ軸受の軸受軸に対して回転対称に前記軸受リング上に配置されることを特徴とするローラ軸受。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のローラ軸受において、
前記導体は、前記軸受リング上に、前記軸受リングの直径に対して軸対称に配置されることを特徴とするローラ軸受。
【請求項17】
ローラ軸受における静電荷の伝導方法であって、
前記ローラ軸受は、少なくとも1つの弾性体を備える伝導装置を備え、
前記導体は、第1導体部及び第2導体部を有するように形成され、
前記第1導体部は、前記ローラ軸受の第1軸受リングに取り付けられ、
前記第2導体部は、前記ローラ軸受の第2軸受リングに取り付けられ、
前記導体は、前記第1軸受リングと前記第2軸受リングとの間に導電接続を確立し、
前記導体は、前記第1軸受リングに支持され、前記第1導体部は、前記第1軸受リングの少なくとも直線状の凹部に挿入され、
前記第1導体部は、前記導体の両端部に2つの部分セクションを備え、各部分セクションは、前記第1軸受リングの前記凹部にそれぞれ挿入され、前記第2導体部は、前記凹部に挿入された部分セクションの間に形成されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝導装置を備えるローラ軸受、及びローラ軸受において静電荷を伝導するための方法に関し、伝導装置は少なくとも1つの弾性導体を備え、導体は、ローラ軸受に接触組立体を形成するための、第1導体部及び第2導体部を有し、第1導体部は、ローラ軸受の第1軸受リング上に取り付けられ、第2導体部は、ローラ軸受の第2軸受リング上に取り付けられ、導体によって、第1軸受リングと第2軸受リングとの間で導電接続が確立される。
【背景技術】
【0002】
前述のタイプのローラ軸受は、従来技術から十分に知られている。例えば、ローラ軸受は、ローラ軸受に隣接して配置された装置によって形成された伝導装置を有することができる。この欠点は、この種の装置が比較的大きな設置スペースを必要とするが、多くの場合、そのような設置スペースは、ローラ軸受の周りでは利用できないことである。
【0003】
あるいは、伝導装置は、該伝導装置がローラ軸受から突出せず、これにより追加の設置スペースを必要としないように、プレストレスを形成しながら第1軸受リングと第2軸受リングとの間にクランプされる弾性導体を備えることができる。この目的のために、導体は、湾曲した形状、例えば、U字形、V字形、波形、螺旋形などを有し、導体は、それを介して、軸受リングに接触するときに、軸受リング間の空間を橋渡しすることが必要とされる。導体は、導体のプレストレスが発生する間に、ローラ軸受に挿入されなければならない。このプレストレスは、導体をローラ軸受に固定して取り付けるのに十分なものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
欠点は、各導体を対応する各ローラ軸受に対して特注で製造しなければならず、さらに、対応する比較的複雑な形状を有しなければならないことである。したがって、そのような導体を製造することは、特に労力がかかるため、コストが集中してしまう。ローラ軸受用の大きすぎる又は広すぎる導体は、ローラ軸受にクランプすることができない場合があり、それによって、ローラ軸受において、もはや静電荷を伝導することができなくなる。対照的に、ローラ軸受用の小さすぎる又は十分に広くない導体は、運転中にローラ軸受から脱落して、伝導装置がローラ軸受との接触を失う危険性があり、それによって、ローラ軸受での静電荷の伝導が遮断されてしまう。これは、ローラ軸受が、迷走(vagabundierende)電流によって損傷する危険性をもたらす。ローラ軸受に正確に嵌合しない導体は、ローラ軸受に過度に大きいプレストレスを与えて取り付けることもできる。このような不適切な伝導装置を取り付けることはまた、例えば、あまりに大きいプレストレスのために、導体がローラ軸受から飛び出すことにつながる可能性があり、それによって、ローラ軸受との接触が失われ、ローラ軸受における静電荷の伝導もまた中断される。
【0005】
したがって、本発明の目的は、伝導装置を備えるローラ軸受、及びローラ軸受において電流を伝導する方法を提案することであり、伝導装置を容易かつ安価に製造することができ、かつローラ軸受を安全に取り付けることができ、同時にローラ軸受において確実に静電荷を伝導することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有するローラ軸受及び請求項20の特徴を有する方法によって達成される。
【0007】
ローラ軸受は、伝導装置を備え、伝導装置は、少なくとも1つの弾性導体を備え、導体は、ローラ軸受上に接触組立体を形成するための、第1導体部及び第2導体部を有し、第1導体部は、ローラ軸受の第1軸受リング上に取り付けられ、第2導体部は、ローラ軸受の第2軸受リング上に取り付けられ、導体により第1軸受リングと第2軸受リングとの間に導電接続が確立され、導体は、第1軸受リングにおいて支持され、第1導体部は、第1軸受リングの少なくとも直線状の凹部内に挿入される。
【0008】
本発明に係るローラ軸受では、伝導装置が特に簡単に形成され、導体は、ローラ軸受の軸受リング間にクランプされる必要がなく、したがって複雑な形態を有する必要がない。代わりに、本発明は、導体が第1軸受リングに固定されることを意図し、導体の第1導体部は、この目的のために、明確に成形された第1軸受リングの凹部に挿入される。対照的に凹部内に支持されていない第2導体部は、ローラ軸受の第2軸受リングに接触し、第2導体部は、第2軸受リングにおいて相対的に自由に移動することができる。この目的のために、伝導装置は、導体がローラ軸受に影響せず、これによりローラ軸受の機能性が妨げられないように、ローラ軸受上に配置され得る。本発明によれば、凹部は直線状であり、例えば、溝又はボアとすることができる。凹部は特に容易に形成することができ、ローラ軸受が製造された後に容易に後付けすることができる。さらに、ローラ軸受の一方又は両方の軸受リングに、1つの凹部だけでなく複数の凹部を形成することができ、この複数の凹部は、一方ではローラ軸受に導体を柔軟に配置することを可能にし、他方ではローラ軸受の同じ伝導装置に2つ以上の導体を配置することも可能にすることが考えられる。導体は、軸受リング間にクランプされる必要がないため、ローラ軸受の動作中に導体が飛び出す危険性を最小限に抑えることが不可欠である。
【0009】
有利には、凹部は、導体と適合するように形成することができる。この場合、凹部は、対応する導体の断面に適合して形成され、これはそのような導体のみが凹部内に挿入されて、提供されることができる意味し、この導体は、ローラ軸受において対応する大電流を伝導するのに適している。この目的のために、凹部は、円筒形又は部分的に円筒形の形状を有することができる。しかし、伝導装置の対応する導体を収容するのに適した凹部のための他の形状も可能である。さらに、凹部は、くさび形又はくさび形の溝の形状であることが考えられ、これは、凹部が異なるサイズの直径を有する導体を収容することができることを意味し、例えば、凹部内に導体をクランプ又は固定することができるということを意味する。
【0010】
導体は、力嵌め、形状嵌め、又は物質対物質結合方式で凹部に挿入することができる。この目的のために、導体は、凹部に挿入されるときに、クランプされ、くさび止めされ、又は他の力嵌め及び/又は形状嵌めの方法で凹部に固定され得る。これに加えて又はこれに代えて、導体は、凹部の領域において軸受リングに接着、はんだ付け、又は別の物質対物質結合方式で接続することができる。このように、凹部の領域において導体を第1軸受リングに固定することにより、導体が凹部から抜け落ちることを効果的に防止することができ、これにより、伝導装置の機能性を確実に確保することができる。
【0011】
導体が炭素繊維の編組から作製された炭素繊維組立体として実現される場合、炭素繊維組立体は、熱分解炭素を浸透させることができる点で有利である。この種の導体は、容易に製造可能であり、少しのコストで大量に製造することができる。炭素繊維組立体から導体を形成することはまた、接触領域における乾燥潤滑を達成するに助けとなり得る。さらに、導体は、熱分解炭素を浸透させた炭素繊維組立体を介して形態安定性を得ることができ、形態安定性は、浸透の程度を選択することによって、導体の製造中にカスタムすることができる。
【0012】
第1導体部は、導体の端部によって形成することができ、第2導体部は、導体の反対側の自由端部によって形成することができる。この場合、第1導体部を第1軸受リングに固定することができ、第2軸受リングは、第2導体部に接触される。第2導体部は、導体に固定されていない状態、すなわち自由端部に形成することができる。この目的のために、導体は、軸受リング間を導体によって橋渡しできる距離であって、ローラ軸受が必要とする距離であれば、全体的に形成することができる。この場合、導体の自由端部は、第2軸受リングに直接接触することができる。あるいは、自由端部から離間された第2導体部の部分セクションが、自由端部自体の代わりに第2軸受リングに接触するように、導体を橋渡しされるべき距離よりも長くすることも考えられる。この接触は、第2軸受リング上で接線方向に行うことができる。
【0013】
あるいは、第1導体部が導体の両端に2つの部分セクションを備えることができ、各部分セクションはそれぞれ、第1軸受リングの凹部に挿入することができ、第2導体部は、凹部に挿入された部分セクションの間に形成することができる。この実施形態では、導体の両端が第1軸受リングの凹部内に固定され、導体の両端の間の部分が第2軸受リングに接触するための第2導体部を形成する。この場合、第1軸受リングは、第1導体部の部分セクションを受け入れるための少なくとも2つの凹部を有することができる。このように導体を両端に固定することにより、導体を第1軸受リングに特に安定して固定することができる。導体の自由端部が第2軸受リングに直接接触しないという事実により、導体の端部のほつれをさらに防止することができる。したがって、このような伝導装置の導体を有するローラ軸受の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0014】
有利には、導体は、直線状であってもよいし、湾曲していてもよい。このようにして形成された導体は、例えば、多数のロール又はストランドから、所望の長さで容易かつ迅速に切断することができる。導体は、例えば、炭素繊維組立体を有することができ、あるいは、電線として、好ましくは金属電線、例えば銅電線で形成することができる。切断された後、導体は、コーティングされた状態又はコーティングされていない状態で、ローラ軸受内に直接配置され得る。
【0015】
さらに、導体によって、第2軸受リングに接触力を作用させることができると有利である。この目的のために、導体は、柔軟に又は弾性的に形成することができ、導体が接触力を形成するようにローラ軸受上に配置することができる。接触力は、例えば、その安定性又は弾性により、ローラ軸受内の板バネとして作用する導体を通って作用する、該導体のばね力の形で発生させることができる。接触力を加えることによって、第1軸受リングに固定された導体と第2軸受リングとの間の接触の損失を防止することができる。
【0016】
さらに、接触力は、導体のプレストレスによって生じさせることができ、導体は、プレストレスを生じさせることによって軸受リング上に配置することができる。これに関連して、プレストレスを生成しながら、導体を第2軸受リングに向かって方向付けるように、凹部を実現させることが考えられ得る。第1軸受リング上の直線状の凹部の対応する角度は、第2軸受リング上への導体の単純な取り付けの角度には対応しないように設定することができる。導体は、ローラ軸受に配置された後、すなわち、第1軸受リングの凹部に挿入されて、第2軸受リングにマウントされた後、プレストレスを受けることが必須であり、プレストレスは、例えば、導体をわずかに曲げることによって達成される。プレストレスは、導体が第2軸受リング上の第2導体部に接触力を及ぼすことを可能にする。これにより、ローラ軸受の軸受リングが導体を介して安全に接触することが保証される。
【0017】
ローラ軸受は、アキシャル軸受とすることができる。ここで、アキシャル軸受又はスラスト軸受とは、深溝玉スラスト軸受、アキシャルシリンダローラ軸受、自動調心ローラスラスト軸受、円すいローラスラスト軸受である。
【0018】
この目的のために、導体は、ローラ軸受の軸受軸に実質的に平行に配置することができる。導体が棒状導体として実現される場合、導体は、ローラ軸受の軸受軸に完全に平行に配置することができる。一方で、湾曲導体は、ローラ軸受の軸受軸に実質的に平行に配置することができる。また、棒状又は湾曲導体が、第2軸受リングにおいて曲げられるか、又は第2軸受リングに接触することができる曲げ端部を有することも考えられる。
【0019】
ローラ軸受は、滑り軸受であってもよく、第1導体部は、滑り軸受の外輪に接触するための外側導体部であり、第2導体部は、ラジアル軸受の内輪に接触するための内側導体リングであり、導体は、外輪又は内輪に支持され、導体は、第1導体部によって外輪又は内輪の少なくとも凹部に挿入される。これに関して、滑り軸受は、深溝玉軸受、アンギュラボールベアリング点軸受、分離可能な玉軸受、自動調心玉軸受、円筒ローラ軸受、円すいローラ軸受、球面ローラ軸受、ニードル軸受、CARBトロイダルローラ軸受、玉ローラ軸受又はインサート軸受である。
【0020】
これに関連して、内輪の外周又は外輪の内周は、第2導体部によって接触することができ、第2軸受部は、内輪又は外輪の半径方向の外側溝部にマウントすることができる。第2導体部は、内輪の外周又は外輪の内周に移動可能に配置することができるが、溝によって軸受軸に向かって所定の位置に固定されている。溝は、導体と適合するように形成することができる。導体の形状に応じて溝を形成することにより、導体部が溝内で動いたり、溝から抜けたりすることを効果的に防止することができる。第2導体部は、該第2導体部が導体の一方の端部上に、又は導体の端部間の一部に配置されることによって、溝上に取り付けることができる。
【0021】
導体は、内輪に対して接線方向に、及び/又は外輪に対して割線方向に配置することができる。導体が内輪上に接線方向に配置される場合、導体の第2導体部は、内輪上に接線方向に取り付けることができ、導体の第1導体部は、外輪上に支持することができる。これに代えて、導体の第1導体部は、外輪に割線方向に配置することができ、導体の第2導体部は、内輪に支持され得る。
【0022】
凹部は、外輪又は内輪の少なくとも前面に溝として形成することもできる。また、外輪又は内輪の前面には、2つ以上の凹部を形成することができる。凹部は、外輪又は内輪の一方又は両方の前面に配置することもできる。凹部は、溝又はボアとして形成することができる。凹部は直線状、すなわち、外輪又は内輪上の軸受軸に対して半径方向に延在しないことが必須である。
【0023】
有利には、伝導装置は、導体組立体内に2つ以上の導体を備えることができ、導体の第1導体部はそれぞれ、第1軸受リングの凹部内に挿入することができる。第1軸受リングは、導体を第1軸受リングに固定するための対応する数の凹部を有することができる。これに関連して、最初に、1つの導体のみを凹部の1つに挿入することができ、必要に応じて、1つ、2つ、又はそれ以上のさらなる導体を第1軸受リングの凹部に挿入することができる。複数の導体を第1軸受リングに同時に固定することも可能である。この場合、第1導体部を第1軸受リングの凹部に挿入することによって、導体を同様に取り付けることができ、これにより、伝導装置の取り付けを特に容易にすることができる。さらに、導体組立体に2つ以上の導体を使用することにより、導体が摩耗したり、落下したりしても、少なくとも1つの他の導体がローラ軸受で静電荷を伝導するために利用可能であるので、迷走(vagabundierende)電流を介してローラ軸受への損傷のリスクを大幅に低減することができる。
【0024】
導体は、同一であって、ローラ軸受の軸受軸に対して軸受リング上に回転対称に配置されてもよい。伝導装置の導体が同一である場合、それらは、特に容易に製造することができ、ローラ軸受の軸受リングに取り付けられるときに混同することができず、したがって、間違った位置に固定されない。このような簡単な取付けは、同じ消費者との軸受リングの接触が常に保証されるので、ローラ軸受を操作する際の安全性を高める。導体を回転対称に配置することができることにより、ローラ軸受の軸受リングの均一な接触、ひいては電流の均一な伝導を引き起こすことができる。
【0025】
さらに、導体は、軸受リングの直径に対して軸対称に軸受リング上に配置することができる。これは、第1導体部が第1軸受リング上の凹部に挿入され得る2つの部分セクションを有する場合であり得る。すなわち、第2導体部が凹部に挿入された部分セクション間の導体上に形成され得ることを意味する。
【0026】
あるいは、導体は、軸受リングの直径に対して軸方向に対称に軸受リング上に配置され得る。この場合、導体は一方の端部のみで第1軸受リング上に固定することができ、これは、自由端部が第2導体部を形成することができることを意味する。
【0027】
本発明に係る方法は、ローラ軸受において静電荷を伝導するのに役立つものであり、ローラ軸受は、少なくとも1つの弾性導体を備える伝導装置を備え、導体は、ローラ軸受上に接触組立体を形成するための、第1導体部及び第2導体部を有するように形成され、第1導体部は、ローラ軸受の第1軸受リング上に取り付けられ、第2導体部は、ローラ軸受の第2軸受リング上に取り付けられ、導体は、第1軸受リングと第2軸受リングとの間の導電接続を確立する。導体は、第1軸受リングで支持され、第1導体部は、第1軸受リングの少なくとも直線状の凹部に挿入される。本方法の有利な効果について、本発明に係るローラ軸受の利点を説明する。
【0028】
本方法の有利な実施形態は、請求項1の装置を参照する従属請求項の特徴の説明から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、実施形態1に係るローラ軸受の斜視図を示す。
図2図2は、実施形態2に係るローラ軸受の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0031】
図1は、第1軸受リング12及び第2軸受リング13と、軸受リング12、13の間に配置された転動体14とを備える、ボールベアリング11の形態のローラ軸受10を示す。第1軸受リング12は、ローラ軸受10の外輪15であり、第2軸受リング13は、ローラ軸受10の内輪16である。さらに、ローラ軸受10は、導体組立体19内に2つの導体18を備える伝導装置17を備える。導体18は、熱分解炭素を浸透させた炭素繊維組立体20として形成される。導体18は、それぞれ、ローラ軸受10上に接触組立体23を形成するための、第1導体部21及び第2導体部22を有する。これに関連して、第1導体部21は、導体18の端部24によってそれぞれ形成され、端部24は、第1軸受リング12の直線状の凹部25に挿入される。導体18の反対側の端部26は、第2導体部22を形成し、導体18の端部26は、第2軸受リングの放射状の溝27内に配置される。第2導体部22は、移動可能に溝27内に配置されており、第1導体部21は、凹部25内に固定されている。導体部21、22のこの組立体は、導体18によって軸受リング12、13間の導電接続を確立することを可能にし、それによって、静電荷は、ローラ軸受10の周りに追加の設置空間を必要とすることなく、ローラ軸受10から伝導され得る。
【0032】
図1とは対照的に、図2は、導体組立体31内に2つの導体30を備える伝導装置29を有するローラ軸受28を示し、導体30はそれぞれ、導体30の両端部32上において、ローラ軸受28の第1軸受リング34の凹部33内に挿入される。これにより、導体30の両端部32上の2つの部分セクション36を介して、各導体30の第1導体部35を形成することができる。導体30の第2導体部37は、それぞれの場合において導体30の部分セクション36の間に形成される。第2導体部37はまた、ローラ軸受28の第2軸受リング39の溝38内に配置される。これに関連して、第2導体部37は、移動可能に溝38内に配置され、第1導体部35の部分セクション36は凹部33内に固定される。
図1
図2