(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】発熱部品及びエアロゾル形成装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240611BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240611BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2022575468
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 CN2021082418
(87)【国際公開番号】W WO2022062342
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】202011010204.5
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 守平
(72)【発明者】
【氏名】張 幸福
(72)【発明者】
【氏名】劉 娟
(72)【発明者】
【氏名】張 琳
(72)【発明者】
【氏名】方 日明
(72)【発明者】
【氏名】周 暁勇
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209643859(CN,U)
【文献】特表2020-524981(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111246601(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品は発熱体を含む発熱部品であって、
前記発熱体はエアロゾル形成基質に挿入され、前記エアロゾル形成基質を加熱することに用いられ、
前記発熱体は第一延伸部
と、前記第一延伸部と対向する第二延伸部
と、前記エアロゾル形成基質を完全に挿入して加熱するための第三延伸部と、を有し、前記第一延伸部及び前記第二延伸部は間隔をあけて設置され、
少なくとも一部の前記第一延伸部及び前記第二延伸部は前記エアロゾル形成基質に挿入され、通電されると前記エアロゾル形成基質を加熱することに用いられ
、
前記発熱部品はさらに二つの電極を含み、
一つの前記電極は前記第三延伸部から離れた前記第一延伸部の端部に設置され、
他の前記電極は前記第三延伸部から離れた前記第二延伸部の端部に設置され、
前記第一延伸部の第一表面及び前記第一表面と対向する第二表面にそれぞれ前記電極が設置され、
前記第二延伸部の第一表面及び前記第一表面と対向する第二表面にそれぞれ前記電極が設置されることを特徴とする発熱部品。
【請求項2】
前記エアロゾル形成基質に挿入された前記第一延伸部及び前記第二延伸部の対向する二つの表面は前記エアロゾル形成基質と接触されることを特徴とする請求項1に記載の発熱部品。
【請求項3】
前記第一延伸部及び前記第二延伸部は並列して且つ間隔をあけて設置さ
れ、
前記第一延伸部及び前記第二延伸部の近接する端部が前記第三延伸部によって接続されることを特徴とする請求項1に記載の発熱部品。
【請求項4】
前記発熱体は導電性セラミックスからなる発熱板であり、
前記発熱板の前記第一延伸部及び前記第二延伸部の間隔は0.25mm~0.35mmであることを特徴とする請求項
1に記載の発熱部品。
【請求項5】
前記発熱体は導電性セラミックスからなる発熱棒であり、
前記発熱棒の前記第一延伸部及び前記第二延伸部の間隔は0mm(0を含まず)~1mmであることを特徴とする請求項
1に記載の発熱部品。
【請求項6】
前記第一延伸部と前記第二延伸部との間に支持セラミックが設置され、
前記支持セラミックはガラスセラミックを介して前記第一延伸部および前記第二延伸部に接着されることを特徴とする請求項
5に記載の発熱部品。
【請求項7】
前記発熱体は主成分及び結晶成分を含み、
前記主成分はマンガン、ストロンチウム、ランタン、スズ、アンチモン、亜鉛、ビスマス、ケイ素、チタンのうちの一種又は多種であり、
前記結晶成分はマンガン酸ランタン、マンガン酸ストロンチウムランタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化ケイ素、酸化イットリウムのうちの一種又は多種であることを特徴とする請求項1に記載の発熱部品。
【請求項8】
前記発熱部品はさらに固定カバーを含み、前記固定カバーは前記発熱体に外嵌されることを特徴とする請求項1に記載の発熱部品。
【請求項9】
前記固定カバーの材料は金属であり、前記固定カバーと前記発熱体との間には絶縁誘電体層が配置されることを特徴とする請求項
8に記載の発熱部品。
【請求項10】
取付座を挿入することに用いられる前記第一延伸部及び前記第二延伸部の表面の一部に第一係止構造が設置され、或いは前記取付座を挿入することに用いられる前記固定カバーの表面の一部に第一係止構造が設置されることを特徴とする請求項
8に記載の発熱部品。
【請求項11】
前記発熱部品はさらに保護層を含み、
前記保護層は前記発熱体の表面にコーティングされ、
前記前記二つの電極は前記保護層で被覆されることを特徴とする請求項
1に記載の発熱部品。
【請求項12】
前記保護層はガラス釉薬層であることを特徴とする請求項
11に記載の発熱部品。
【請求項13】
前記第一延伸部は第一内面及び第一外面を有し、
前記第一延伸部に設置される前記電極は前記第一外面から前記第一内面まで延伸し、
前記第二延伸部は第二内面及び第二外面を有し、
前記第二延伸部に設置される前記電極は前記第二外面から前記第二内面まで延伸することを特徴とする請求項
5に記載の発熱部品。
【請求項14】
前記発熱体は第一発熱領域及び前記第一発熱領域に接続された第二発熱領域を含み、
前記発熱体の前記第一発熱領域の発熱温度と前記第二発熱領域の発熱温度との比は2より大きく、
前記二つの電極は前記発熱体の前記第二発熱領域に設置されることを特徴とする請求項
1に記載の発熱部品。
【請求項15】
前記第二発熱領域に位置する前記第一延伸部及び前記第二延伸部の幅又は/及び厚さは前記第一発熱領域に位置する前記第一延伸部及び前記第二延伸部の幅又は/及び厚さと同じであることを特徴とする請求項
14に記載の発熱部品。
【請求項16】
前記第二発熱領域に位置する前記第一延伸部及び前記第二延伸部の幅又は/及び厚さは前記第一発熱領域に位置する前記第一延伸部及び前記第二延伸部の幅又は/及び厚さより大きく、前記発熱体の前記第一発熱領域の温度は前記第二発熱領域の温度より高いであることを特徴とする請求項
14に記載の発熱部品。
【請求項17】
前記発熱体は一体成型であり、前記第二発熱領域に位置する前記第一延伸部及び前記第二延伸部の部分と、前記第一発熱領域に位置する前記第一延伸部及び前記第二延伸部の部分とは異なる抵抗率を有する材料を採用して、前記発熱体の前記第一発熱領域の温度は前記第二発熱領域の温度より高いことを特徴とする請求項
14に記載の発熱部品。
【請求項18】
筐体と、発熱部品と、電源部品と、を含むエアロゾル形成装置であって、
前記発熱部品及び前記電源部品は前記筐体に設置され、
前記電源部品は前記発熱部品に接続され、前記発熱部品に電力を供給することに用いられ、
前記発熱部品は前記請求項1に記載の発熱部品であることを特徴とするエアロゾル形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は加熱式非燃焼式喫煙品の技術分野に関し、特に発熱部品およびエアロゾル形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコはタバコ代用品として、それが安全で、便利で、健康で、環境に優しい等の利点を有するため、人々の注目及び関心が高まっている。例えば、加熱非燃焼電子タバコは、加熱非燃焼エアゾール形成装置とも呼ばれる。
【0003】
従来の加熱非燃焼エアゾール形成装置の加熱方式は一般的に管状周辺加熱又は中央埋め込み加熱である。管状周辺加熱とは、加熱管がエアロゾル形成基質(例えば、タバコ)の周りに配置され、エアロゾル形成基質を加熱することを意味する。中央埋め込み加熱とは、加熱管がエアロゾル形成基質に挿入されてエーロゾル形成基材を加熱することを意味する。その中で、加熱部品はその製造が簡単で、使用しやすい等の特徴によって幅広く応用される。現在の発熱部品は主にセラミック又は絶縁処理された金属を基板として用い、その後基板に抵抗発熱回路を印刷又はコーティングし、且つ高温処理後に抵抗発熱回路を基板に固定して、発熱部品は形成される。
【0004】
しかしながら、従来の発熱部品の抵抗発熱回路は、後で基板に印刷またはコーティングされる薄膜であるため、加熱部品をエアロゾル形成基質に何度も挿入するプロセスで、基板の曲げ変形により、抵抗発熱回路が高温で加熱されると、基板から剥離しやすく、安定性が低い。発熱プロセス中、抵抗発熱回路は、抵抗発熱回路が基板に配置されている側でのエアロゾル形成基質のみと接触し、抵抗発熱回路が基板に配置されていない側でのエアロゾル形成基質と接触していないため、エアロゾル形成基質の加熱均一性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願が主に解決しようとする技術的問題は発熱部品およびエアロゾル形成装置を提供する。現在の抵抗発熱回路が高温で加熱されると、加基板から剥離しやすく、安定性が悪いという問題、および発熱プロセス中、抵抗発熱回路によるエアロゾル形成基質を加熱する均一性が悪いという問題を解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的問題を解決するために、本願の実施例が採用する一つの技術案は以下のとおりである。発熱部品を提供し、前記発熱部品は発熱体を含み、前記発熱体はエアロゾル形成基質に挿入され、前記エアロゾル形成基質を加熱することに用いられ、前記発熱体は第一延伸部及び第一延伸部と対向する第二延伸部を有し、前記第一延伸部及び前記第二延伸部は間隔をあけて設置され、少なくとも一部の前記第一延伸部及び前記第二延伸部はいずれも前記エアロゾル形成基質に挿入され、通電されると前記エアロゾル形成基質を加熱することに用いられる。
【0007】
上記技術的問題を解決するために、本願の実施例が採用するもう一つの技術案は以下のとおりである。エアロゾル形成装置を提供し、前記エアロゾル形成装置は筐体と、筐体に設置された発熱部品及び電源部品と、を含み、前記電源部品は前記発熱部品に接続され、前記発熱部品に電力を供給することに用いられ、前記発熱部品は上記発熱部品である。
【発明の効果】
【0008】
本出願が提供する発熱部品及びエアロゾル形成装置では、発熱部品が発熱体を含み、発熱体がエアロゾル形成基質を挿入して加熱することができる。発熱体は第一延伸部及び第一延伸部と対向する第二延伸部を有し、第一延伸部及び第二延伸部は間隔をあけて設置され、少なくとも一部の第一延伸部及び前記第二延伸部はいずれもエアロゾル形成基質に挿入され、通電されるとエアロゾル形成基質を加熱する。従来のセラミック基板にシルクプリントされる発熱体と比べて、本願の発熱体は、エアロゾル形成基質に直接に独立して挿入されることができ、高温発熱中に基板から剥離して故障を引き起こすという問題がなく、発熱部品の安定性が大幅に向上する。同時に、発熱体がエアロゾル形成基質に直接に挿入されて加熱されるため、エアロゾル形成基質の加熱均一性が大幅に改善されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1a】本願の第一実施例に係る発熱部品の構造模式図である。
【
図1b】本願の第二実施例に係る発熱部品の構造模式図である。
【
図1c】本願の一実施例に係る発熱部品のエアロゾル形成基質に挿入された形態を示す概略図である。
【
図3a】本願の第三実施例に係る発熱部品の構造模式図である。
【
図3b】本願のもう一つの実施例に係る発熱部品のエアロゾル形成基質に挿入された形態を示す概略図である。
【
図5】本願の一実施例に係る発熱部品の平面構造模式図である。
【
図6】本願のもう一つの実施例に係る発熱部品の平面構造模式図である。
【
図7】本願のもう一つの実施例に係る発熱部品の平面構造模式図である。
【
図8】本願の一実施例に係る発熱板の寸法を示す概略図である。
【
図9】本願の一実施例に係る発熱棒の寸法を示す概略図である。
【
図10a】本願の一実施例に係る電極が発熱体の対向する二つの表面に設置される構造模式図である。
【
図10b】本願の一実施例に係る発熱棒の構造模式図である。
【
図10c】本願の一実施例に係る発熱部品のE矢視図である。
【
図11】本願の一実施例に係る発熱部品の側面図である。
【
図12】本願の一実施例に係る発熱板の第一発熱領域及び第二発熱領域の位置を示す概略図である。
【
図13】本願の一実施例に係る発熱棒の第一発熱領域及び第二発熱領域の位置を示す概略図である。
【
図14】本願の一実施例に係る発熱体が取付座に係止された形態を示す概略図である。
【
図15】本願の一実施例に係る固定カバーの構造模式図である。
【
図16】本願のもう一つの実施例に係る固定カバーの構造模式図である。
【
図17】本願の一実施例に係る固定カバーを含む発熱部品の構造模式図である。
【
図18】
図17に示す構造体が組み立てられていない前の構造模式図である。
【
図19】本願のもう一つの実施例に係る固定カバーを含む発熱部品の構造模式図である。
【
図20】
図19に示す構造体が組み立てられていない前の構造模式図である。
【
図21】本願の一実施例に係る取付座の構造模式図である。
【
図22】本願の一実施例に係る取付座と発熱板とが組み立てられた後の構造模式図である。
【
図23】本願の一実施例に係る取付座と発熱棒とが組み立てられた後の構造模式図である。
【
図24】本願のもう一つの実施例に係る取付座と発熱棒とが組み立てられた後の構造模式図である。
【
図25】本願の一実施例に係る取付座と発熱部品とがみ立てられた後の構造模式図である。
【
図26】本願の一実施例に係るエアロゾル形成装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら本願の実施例の技術方案を明確且つ完全に説明する。理解されるように、ここで説明される具体的な実施例は本願を解釈するためのものであって、本願を限定するものではない。本願の実施例に基づいて、当業者が進歩性のある労働を必要とせずに取得するすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0011】
本願における用語「第一」、「第二」、「第三」等は、説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を示しまたは暗示したり、示された技術的特徴の数を暗示したりすると解釈されるべきではない。 従いまして、「第一」、「第二」、「第三」として定義される特徴は、その特徴の少なくとも一つを明示的または黙示的に含むことができる。本願の説明において、「複数」とは、別段の明確かつ具体的な定義がない限り、少なくとも二つ、例えば二つ、三つなどを意味する。 本願の実施例におけるすべての方向指示(例えば、上、下、左、右、前、後など)は、特定の姿勢(図に示すように)のさまざまな構成要素間の相対的な位置関係および動作状況等を説明するためにのみ使用される。 特定の姿勢が変化すると、方向指示もそれに応じて変化する。また、用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図している。例えば、一連のステップ又はユニットを含む過程、方法、システム、製品又は装置は列挙したステップ又はユニットに限定されず、選択的に列挙しないステップ又はユニットを更に含み、又は選択的にこれらの過程、方法、製品又は装置固有の他のステップ又はユニットを更に含む。
【0012】
本明細書に言及した「実施例」とは、実施例を参照して説明した特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも一つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の各箇所に該連語が出現することは必ずしもいずれもが同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と相互排他的な独立した又は代替の実施例でもない。当業者であれば明示的及び暗示的に理解されるように、本明細書に説明される実施例は他の実施例と組み合わせられることができる。
【0013】
以下では図面と実施例とを参照しながら本出願を詳細に説明する。
【0014】
図1a~
図4を併せて参照して、
図1aは本願の第一実施例に係る発熱部品の構造模式図であり、
図1bは本願の第二実施例に係る発熱部品の構造模式図であり、
図1cは本願の一実施例に係る発熱部品のエアロゾル形成基質に挿入されたことを示す概略図であり、
図2は
図1bに示す構造体の分解概略図であり、
図3aは本願の第三実施例に係る発熱部品の構造模式図であり、
図3bは本願のもう一つの実施例に係る発熱部品のエアロゾル形成基質に挿入されたことを示す概略図であり、
図4は
図3aに示す構造体の分解概略図である。本実施例において、発熱部品10を提供する。該発熱部品10はエアロゾル形成基質102を挿入して加熱することに用いられる。一つの実施例において、発熱部品10はタバコを挿入して加熱することに用いられる。本実施例では、エアロゾル形成基質102がタバコである。
【0015】
具体的には、発熱部品10は発熱体11を含む。一つの実施例では、発熱体11は自立構造体であり、すなわち、発熱体11は、他のキャリアに取り付けられることなく独立して存在することができる。基板にシルクスクリーンされたまたはコーティングされた従来の抵抗発熱回路と比較して、本願の発熱体11は、エアロゾル形成基質102に直接に独立して挿入されることができ、高温発熱中に基板から剥離して故障を引き起こすという問題がなく、発熱部品10の安定性が大幅に向上する。発熱体11は自立構造体であり、基板に設置される必要がなく、発熱体11の2つの対向する表面はいずれもタバコと直接に接触することができ、エネルギー利用率が高いだけでなく、また、タバコを均一に加熱でき、設定温度場の境界が明確であり、特に低電圧の起動により、即時の電力制御と設計が容易になる。
【0016】
そのうち、発熱体11の材料は導電性セラミックであってもよい。従来の金属材料に比べて、該セラミック材料の発熱体11の導電効率が高く、加熱により発生する温度が均一である。且つ該セラミックの発熱体11のパワーは3ワット~4ワットに調整し及び設計することができる。その導電率は1*10-4オーム1~1*10-6オームに達することができ、その曲げ強度は40MPaより大きく、その耐火性能は1200℃より高い。同時に、該セラミックの発熱体11は全起動電圧の特性を有する。
【0017】
具体的には、該セラミックの発熱体11の電磁気熱波長は中赤外波長であり、タバコ油を霧化し且つ口当たりを向上させることに有利である。また、該セラミックの発熱体11の結晶相構造は高温安定型の酸化物セラミックスであり、酸化物セラミックスの耐疲労性が良好であり、強度が高く、密度が大きく、それにより有害な重金属揮発及び粉塵問題を効果的に回避することができ、発熱体11の耐用年数を大幅に向上させる。
【0018】
理解できるように、上記セラミックの発熱体11を用い、最高温度ホットスポット面積を減少させることができ、疲労亀裂及び疲労抵抗の増加のリスクを解消し、良好な均一性を有する。且つ該セラミック発熱材料の高強度及び微結晶構造による平滑度により、該発熱体11の表面が洗浄しやすく、付着しにくい。また、セラミック製造プロセスを用いて発熱体11を製造する。セラミック生産プロセスは主に原料混合と、成形及び焼結と、切断工程と、を含む。プロセスがシンプルで且つ制御しやすく、コストが低く、生産化の普及及び経済効果の向上に有利である。
【0019】
具体的には、該導電セラミックスで製造される発熱体11は主成分及び結晶成分を含む。そのうち、主成分は導電に用いられ、且つ導電性セラミックスの発熱体11に特定の抵抗を形成させる。具体的には、主成分はマンガン、ストロンチウム、ランタン、スズ、アンチモン、亜鉛、ビスマス、ケイ素、チタンのうちの一種又は複数種であってもよい。結晶成分は、すなわち、セラミック材料の主材料である。具体的には、結晶成分はマンガン酸ランタン、マンガン酸ストロンチウムランタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化ケイ素、酸化イットリウムのうちの一種又は複数種であってもよい。他の実施例では、発熱体11は金属合金で形成されてもよく、あるいは鉄ケイ素合金からなるセラミック合金、鉄ーケイ素ーアルミニウム合金からなるセラミック合金であってもよい。
【0020】
具体的に、
図1aを参照して、一つの実施例において、発熱部品10は第一延伸部111と、第一延伸部111に接続された第二延伸部112と、を含む。一つの実施例において、第一延伸部111及び第二延伸部112はいずれも少なくとも部分的にエアロゾル形成基質102に挿入され、且つ通電されると、熱を発生させてエアロゾル形成基質102を加熱することに用いられる。理解されるように、該第一延伸部111及び第二延伸部112はエアロゾル形成基質102に直接に独立して挿入されることができる。従来の基板にシルクスクリーンまたはコーティングされた抵抗発熱回路は、基板を介してエアロゾル形成基質102に挿入される必要があり、それ自体がエアロゾル形成装置に直接に挿入されることができない。本願に提供する第一延伸部111及び第二延伸部112は高温で発熱する時に基板から剥離して故障するという問題がない。これにより、発熱部品10の安定性を大幅に向上させることができる。
【0021】
具体的には、エアロゾル形成基質102に挿入される第一延伸部111及び第二延伸部112の部分の対向する二つの表面は、いずれもエアロゾル形成基質102と接触される。本願の発熱体11はエアロゾル形成基質102に直接に挿入されるため、基板又は他の基底を用いる必要がない。これにより、該発熱体11の第一延伸部111及び第二延伸部112の少なくとも二つの対向する表面はいずれもエアロゾル形成基質102と直接に接触されることができ、熱量の利用率及び加熱効率を大幅に向上させることができる。
【0022】
別の実施例において、
図1bおよび
図3aを参照すると、さらに、発熱部品10は、エアロゾル形成基質102を完全に挿入して加熱することに用いられる第三延伸部113を含む。具体的には、該実施例において、第一延伸部111及び第二延伸部112が並列に間隔をあけて設置され、且つ第一延伸部111及び第二延伸部112の近接する一端が該第三延伸部113によって接続される。具体的には、第一延伸部111及び第二延伸部112の接近する一端は最初にエアロゾル形成基質102に接触して挿入される端部である。理解できるように、第一延伸部111、第二延伸部112及び第三延伸部113は略U字形構造体に形成される。具体的な実施例において、第一延伸部111、第二延伸部112及び第三延伸部113は導電性セラミックで一体成形により焼結される。具体的には、レーザ切断の方式によって発熱体11の基板を切断してスロット114を形成することができ、それにより、第一延伸部111、第二延伸部112及び第三延伸部113を有する発熱体11が得られる。一つの実施例において、発熱体11は直接に焼結して成形されてもよい。
【0023】
具体的には、第一延伸部111、第二延伸部112及び第三延伸部113の形状は制限されず、実際の必要に応じて設計することができる。具体的には、第一延伸部111及び第二延伸部112の形状はストリップ状である。第三延伸部113は、第一延伸部111に近接する一端から第一延伸部111から離れる一端に向かって徐々に幅が狭くなり、先端が形成される。これにより、発熱体11がエアロゾル形成基質102に挿入されることを容易にする。本実施例では、第一延伸部111及び第二延伸部112の形状は直方体であり、第三延伸部113の形状は略V字状である。他の実施例において、第三延伸部113の形状はU字型又は等辺台形であってもよく、又は幅が第一延伸部111及び第二延伸部112に近接する一端から第一延伸部111及び第二延伸部112から離れる一端に向かって徐々に減少する他の形状であってもよい。本実施例において、スロット114は、同じ幅を有する長方形であるか、または第三延伸部113に近い長方形の一端に凸状のガイド円弧が形成される。具体的には、スロット114は軸対称構造であり、その長手方向はその中心軸に平行である。第一延伸部111と第二延伸部112とが間隔をあけて並列して平行に設置され、且つ長手方向がスロット114の中心軸方向と平行である。第一延伸部111、第二延伸部112及び第三延伸部113の幅方向がスロット114の中心軸方向に垂直である。発熱体11はスロット114の中心軸に対して対称な構造体であり、すなわち、第一延伸部111、第二延伸部112及び第三延伸部113はすべてスロット114の中心軸に対して対称な構造体である。このような構造により、スロット114の両側の第一延伸部111、第二延伸部112及び第三延伸部113の幅方向に対応する位置の温度が一致し、煙霧の口当たりをより良くする。
【0024】
他の実施例において、
図5を参照すると、
図5は本願の具体的な実施例に係る発熱部品の平面模式図である。第一延伸部111及び第二延伸部112は同様に並列して設置されるが、スロット114は、その幅が第三延伸部113から離れる端から第三延伸部113に近い一端に向かって次第に減少する中心対称構造である。対応する第一延伸部111及び第二延伸部112の外側辺は平行であり、且つ第一延伸部111及び第二延伸部112の幅が第三延伸部113から離れる一端から第三延伸部113に近い一端に向かって徐々に増大する。これにより、第三延伸部113から離れる一端の抵抗がやや大きくなり、第三延伸部113との抵抗(第三延伸部113の抵抗が大きい)をバランスさせて、全体の発熱をバランスさせることができる。
【0025】
他の実施例において、
図6を参照すると、
図6は本願のもう一つの実施例に係る発熱部品の平面模式図である。スロット114は、その幅が第三延伸部113から離れた端から第三延伸部113に近い一端に向かって次第に大きくなる中心対称構造である。対応する第一延伸部111及び第二延伸部112の外側辺は平行であり、且つ第一延伸部111及び第二延伸部112の幅が第三延伸部113から離れる一端から第三延伸部113に近い一端に向かって徐々に減少する。これにより、発熱体11の上端に近接する抵抗が大きくなり、発熱体11の高温が中央及び上部に集中する加熱方式の設計要件を満たすことができる。
【0026】
他の実施例において、
図7を参照すると、
図7は本願の別の具体的な実施例に係る発熱部品の平面模式図である。第一延伸部111及び第二延伸部112は矩形であるが、並列して平行に設置されるのではなく、特定の角度で設置され、例えば、その角度は3゜~10゜の角度である。この時に、スロット114はその幅が第三延伸部113から離れた端から第三延伸部113に近い一端に向かって次第に減少する中心対称構造である。
【0027】
具体的な実施例において、
図8を参照すると、
図8は本願の実施例が提供する発熱板の寸法を示す概略図である。発熱体11の形状は
図8に示す板状であってもよく、具体的には導電性セラミックスで製造された発熱板であってもよい。本実施例において、第一延伸部111と第二延伸部112との間隔は発熱体11の幅全体の10分の1より小さい。具体的には、第一延伸部111と第二延伸部112との間隔L1は0.25mm~0.35mmである。これにより、発熱体11の強度を効果的に保証すると同時に、短絡の問題を回避することができる。
【0028】
具体的には、発熱板に用いられるセラミックの抵抗率は5*10-5オームであってもよく、その設計電力は2ワットであってもよく、抵抗は0.71オームであってもよい。具体的には、発熱板は単一の直列型式(中央にスロット114が設置される)であってもよい。すなわち、第一延伸部111、第三延伸部113及び第二延伸部112が順に直列に接続される。発熱板の厚さH1は0.5ミリメートルであってもよく、全長L2は18ミリメートルであってもよい。第一延伸部111及び第二延伸部112の長さL3は16ミリメートルであってもよく、理解できるように、発熱体11の単一の有効長さは32.0ミリメートルであってもよい。発熱体11の第三延伸部113の長さは2ミリメートルであってもよい。具体的には、発熱板の幅W1は4.0ミリメートルであってもよい。具体的には、発熱板の各寸法の誤差範囲は0.05ミリメートルを超えない。板状の発熱体11の対向する二つの表面がいずれもエアロゾル形成基質102に接触され、エアロゾル形成基質102を加熱することに用いられる。
【0029】
他の具体的な実施例において、
図4及び
図9を参照すると、
図9は本願の実施例に係る発熱棒の寸法を示す概略図である。発熱体11の形状は棒状であってもよく、具体的には、導電性セラミックスで製造される発熱棒であってもよい。本実施例において、第一延伸部111と第二延伸部112との間隔L4は発熱棒の直径φの3分の1以下である。具体的には、該間隔L4は0(0を含まず)~1ミリメートルであってもよく、例えば、0.3ミリメートルあるいは0.4ミリメートルであってもよい。具体的には、該実施例において、第一延伸部111と第二延伸部112との間にさらに支持セラミック14が設置され、発熱体11の強度を向上させる。これにより、発熱体11がエアロゾル形成基質102に挿入される過程において、発熱体11をエアロゾル形成基質102にさらにスムーズに挿入することができ、発熱体11が受ける応力による屈曲問題の発生確率を効果的に低下させる。具体的には、支持セラミック14はガラスセラミック15を介して第一延伸部111及び第二延伸部112に接着され、それにより相互間の結合力を向上させることができる。本実施例において、支持セラミック14は、ジルコニア、強化ジルコニア、およびアルミナ材料などのセラミック材料から選択することができる。
【0030】
具体的には、発熱棒に用いるセラミック材料の抵抗率は3*10-5オームであってもよい。その設計電力は3ワット~4ワットであってもよく、例えば、具体的には3.3ワットである。その抵抗は0.3オーム~1オームであり、例えば、0.5オームである。具体的には、発熱棒は単一の直列式であってもよく、すなわち、第一延伸部111、第三延伸部113及び第二延伸部112が順に直列に接続される。具体的には、その直径φは2ミリメートル~5ミリメートルであってもよく、例えば、3ミリメートルであってもよい。その長さL5は18ミリメートル~22ミリメートルであってもよく、例えば、19.7ミリメートルであってもよい。第一延伸部111及び第二延伸部112の長さL6は12ミリメートル~18ミリメートルであってもよく、例えば、16ミリメートルであってもよい。理解できるように、発熱体11の単一の有効長さは30ミリメートル~35ミリメートルであってもよく、例えば、32.0ミリメートルであってもよい。第三延伸部113の長さは2ミリメートル~5ミリメートルであってもよく、例えば、3.7ミリメートルであってもよい。具体的には、第一延伸部111と第二延伸部112との間に設置された支持セラミック14の長さL7は12ミリメートル~18ミリメートルであってもよく、例えば、17ミリメートルであってもよい。幅W2は発熱棒の直径φと同じであってもよく、幅W2は2ミリメートル~5ミリメートルであってもよく、例えば、3ミリメートルであってもよい。厚さH2は第一延伸部111と第二延伸部112との間隔よりもわずかに小さくてもよい。ガラスセラミック15を容易に設置するために、厚さH2は0.8ミリメートル~1.2ミリメートルであってもよく、例えば、0.9ミリメートルであってもよい。
【0031】
具体的な実施例において、
図1b~
図4を参照すると、該発熱部品10はさらに2つの電極12を含む。2つの電極12のうちの1つは第一延伸部111に設置され、他の電極12は第二延伸部112に設置される。具体的な使用過程において、2つの電極12はそれぞれ電極リード線を介して電源部品に電気的に接続され、それにより発熱体11が電源部品に電気的に接続される。具体的には、
図1b及び
図2を参照すると、2つの電極12はそれぞれ第一延伸部111及び第二延伸部112が第三延伸部113から離れる一端の同じ側に設置される。2つの電極12は導電性銀ペーストを導電性セラミックの下端の外表面にコーティングして形成される。具体的には、2つの電極12はほぼ半円筒形であり、且つ発熱体11の横断面の両端からそれぞれスロット114まで延伸し、このようにできるだけ導電性セラミックスと接触する面積を増加させ、接触抵抗を低減し、電極リード線の溶接を容易にするために面積を大きくしている。従来技術のシルクスクリーンまたはコーティングによって形成された抵抗発熱回路が小型であり、電極
と発熱回路との間の接触抵抗が大きいことと比較して、本願の発熱体11は、電極12との接触面積を大幅に増加させることができ、それによって接触抵抗を減少させ、使用時の発熱体11の安定性を向上させる。
【0032】
具体的な実施例において、
図10aを参照して、
図10aは本出願の実施例が提供する電極が発熱体の対向する2つの表面に設置される構造模式図である。発熱体11が発熱板である際、電極12は第一延伸部111及び第二延伸部112の対向する2つの表面に配置されてもよい。すなわち、第一延伸部111の端部の第一表面C及び第一表面Cと対向する第二表面Dにはそれぞれ電極12が設置され、第二延伸部112の端部の第一表面C及び第一表面Cと対向する第二表面Dにはそれぞれ電極12が設置される。2本の電極リード線を接続する場合には、1本のY字形電極リード線は、第一延伸部111の2つの表面における2つの電極12に接続され、他方のY字形電極リード線は、第二延伸部112における電極12に接続される。発熱体11が発熱棒である場合に、10bを参照して、
図10bは本出願の実施例が提供する発熱体棒の構造模式図である。2つの電極12にそれぞれスロット114に対応する内壁面まで延伸することができる。具体的には、発熱棒の第一延伸部111は第一内面
111b及び第一外面
111aを有し、第二延伸部112は第二内面
112b及び第二外面
112aを有する。第一延伸部111に設置される電極12は第一外面111aから第一内面111bまで延伸し、第二延伸部112に設置される電極12は第二外面112aから第二内面112bまで延伸する。発熱体11の2つの表面に電極12を設置することにより、溶接に便利なだけでなく、且つ抵抗が小さく、通電されると発生する熱量が小さく、損傷を効果的に防止することができる。且つ導電セラミックスの2つの表面に同時に通電され、同じ電位を形成し、2つの表面間の導電成分電界を均一にすることに有利であり、発熱効果がより良好である。
【0033】
本実施例において、スリット114は、第一表面C及び第二表面Dを貫通している。さらに、
図10cを参照すると、10cは本出願の実施例に係る発熱部品のE矢視図である。具体的には、発熱体11の厚さ方向において、第一延伸部111、第二延伸部112及び第三延伸部113の辺縁が第一表面C及び第二表面Dと平行する中間表面からそれぞれ第一表面C及び第二表面Dに延伸してガイド表面118を形成する。ガイド表面118は具体的にはガイド傾斜面(
図10cを参照)であってもよく、又は弧状を呈する。これにより、タバコへの挿入を容易にするだけでなく、抵抗を減らし、それによって発熱体11をよりよく保護することができる。
【0034】
具体的な実施例において、コーティング方式を用いて第一延伸部111及び第二延伸部112の2つの端部に電極12を形成することができ、それにより電極12と発熱体11との間の結合力を向上させ、電極12に接続された電極リード線と発熱体11との接続安定性を向上させる。理解できるように、セラミックは微細孔構造を有し、セラミックの微細孔構造はコーティングされた電極12の厚さが大きい場合に、電極12と発熱体11との間の結合力を強くすることができ、それにより電極12と発熱体11との間の結合力を大幅に向上させることができる。具体的には、上記コーティング材料は銀ペーストを選択することができる。理解できるように、電極12は、金属膜を堆積することによって形成されてもよく、例えば、金、白金、銅等のような1*10-6オームを超える金属材料を堆積することによって形成されてもよい。
【0035】
具体的な実施例において、
図11を参照すると、
図11は本願の実施例に係る発熱部品の側面図である。発熱体11の表面に保護層115がコーティングされてもよい。保護層115は2つの電極12を被覆し、それによりタバコを加熱する際に形成するタバコ油が、電極12および発熱体11を損傷または汚染するのを防ぐことができる。具体的には、保護層115はガラス釉薬層であってもよい。
【0036】
具体的には、
図12及び
図13を参照すると、
図12は本願の実施例に係る発熱板の第一発熱領域及び第二発熱領域の位置を示す概略図であり、
図13は本願の実施例に係る発熱棒の第一発熱領域及び第二発熱領域の位置を示す概略図である。発熱体11は、第一発熱領域Aおよび第一発熱領域Aに接続された第二発熱領Bを含む。そのうち、第一発熱領域Aは、タバコに挿入されて加熱された主要霧化領域である。その霧化温度が280℃~350℃に集中して、第一発熱領域Aは霧化領域の面積の75%以上を占める。第二発熱領Bは、発熱体11の嵌合部であり、その温度が150℃以下である。一つの実施例において、発熱棒の第一発熱領域Aの長さは14.5ミリメートルであってもよく、第二発熱領域Bの長さは5.2ミリメートルであってもよい。
【0037】
一つの実施例において、第一延伸部111及び第二延伸部112の第一発熱領域A及び第二発熱領域Bにおける大部分の第一発熱領域Aのみがエアロゾル形成基質102に挿入され、小さい部分の第一発熱領域A及び第二発熱領域Bはエアロゾル形成基質102の外側に露出される。一つの実施例において、第一発熱領域Aの全体は全てエアロゾル形成基質102に挿入され、第二発熱領域Bはエアロゾル形成基質102の外に露出される。もう一つの実施例において、第一発熱領域Aの全てはエアロゾル形成基質102に挿入され、且つ小部分の第二発熱領域Bもエアロゾル形成基質102に挿入され、大部分の第二発熱領域Bのみがエアロゾル形成基質102の外に露出される。
【0038】
一つの実施例において、具体的に、2つの電極12は発熱体11の第二発熱領域Bに設置され、それにより第二発熱領域Bに位置するセラミック発熱体11の霧化温度を低下させる。本実施例において、発熱体11の第一発熱領域Aの発熱温度と第二発熱領域Bの発熱温度との比は2より大きい。
【0039】
一つの実施例において、第二発熱領域Bに位置する発熱体11の材料の抵抗率は第一発熱領域Aに位置する発熱体11の材料の抵抗率より小さく、これにより、発熱体11の第一発熱領域Aの温度は第二発熱領域Bの温度より高い。同時に、異なる発熱領域に異なる抵抗率を有する材料を設置することにより、抵抗率差によって異なる発熱領域の温度を制御できる。具体的には、第二発熱領域Bに位置する発熱体11及び第一発熱領域Aに位置する発熱体11におけるセラミック材料の本体成分は実質的に同一で且つ一体成形されるが、第二発熱領域Bに位置する発熱体11及び第一発熱領域Aに位置する発熱体11には、セラミック材料の比率が異なるか又は他の成分が異なり、それにより第二発熱領域Bに位置する発熱体11及び第一発熱領域Aに位置する発熱体11の抵抗率が異なる。従来技術(例えば、アルミニウムフィルムと金フィルムとの2つの異なる導電性材料を接合する方式)と比較して、第一発熱領域Aと第二発熱領域Bは異なる導電性材料を使用し、発熱体11の第一発熱領域Aと第二発熱領域Bとの導電体が破断するという問題を効果的に回避することができる。
【0040】
他の実施例において、
図12を参照すると、第二発熱領域Bに位置する発熱体11の第一延伸部111及び第二延伸部112の幅又は/及び厚さは第一発熱領域Aに位置する発熱体11の第一延伸部111及び第二延伸部112の幅又は/及び厚さより大きいため、発熱体11の第一発熱領域Aの温度は第二発熱領域Bの温度より高い。一つ実施例において、発熱体11の第二発熱領域Bの拡幅部は取付座20に係止され、発熱体11の拡幅部が取付座20を限位することができる。これにより、取付座20が挿抜過程において発熱体11と相対的に変位し、電極リード線と電極12との間の接続安定性に影響を与えることを防止できる。
【0041】
他の実施例において、
図14を参照して、
図14は本願の一実施例に係る発熱体が取付座に係止された形態を示す概略図である。材料の制御によって、発熱体11の第一発熱領域Aの温度が第二発熱領域Bの温度より高くなるようにすることができる。例えば、発熱体11の下半部分には導電成分を増加させ、下半部分の抵抗をより小さくし、発熱時に温度が低い。従いまして、本実施例において、第二発熱領域Bに位置する第一延伸部111及び第二延伸部112の幅又は/及び厚さは第一発熱領域Aに位置する第一延伸部111及び第二延伸部112の幅又は/及び厚さと同じにすることができる。それにより、加工しやすく、且つ拡幅部がタバコ又は煙油を接着する問題が発生するのを回避することができる。
【0042】
具体的な使用過程において、発熱部品10がタバコに挿入され、通電された後に発熱部品10が作動し始め、タバコを加熱して且つ煙道ガスを発生させる。
【0043】
本実施例が提供する発熱部品10において、該発熱部品10が発熱体11を含む。該発熱体11が第一延伸部111と、第一延伸部111と間隔をあけて設置された第二延伸部112と、を含む。且つ該第一延伸部111及び第二延伸部112がいずれも少なくとも一部にエアロゾル形成基質102に挿入され、かつ通電されると、熱が発生してエアロゾル形成基質102が加熱される。基板にシルクスクリーンされたまたはコーティングされた従来の抵抗発熱回路と比較して、本願の発熱体11は、エアロゾル形成基質102に直接に独立して挿入されることができ、高温発熱中に基板から剥離して故障を引き起こすという問題がなく、発熱部品10の安定性が大幅に向上する。同時に、発熱体11は自立構造体であり、基板に設置される必要がなく、発熱体11の2つの対向する表面はいずれもエアロゾル形成基質102と直接に接触されることができ、それにより発熱部品10がエアロゾル形成基質102を加熱する均一性を効果的に向上させる。
【0044】
本実施例において、
図15~
図20を参照すると、
図15は、本願の一実施例に係る固定カバーの構造模式図である。
図16は、本願のもう一つの実施例に係る固定カバーの構造模式図である。
図17は、本願の一実施例に係る固定カバーを含む発熱部品の構造模式図である。
図18は、
図17に示す構造体が組み立てられていない前の構造模式図である。
図19は、本願のもう一つの実施例に係る固定カバーを含む発熱部品の構造模式図である。
図20は、
図19に示す構造体が組み立てられていない前の構造模式図である。
【0045】
すなわち、発熱部品10はさらに固定カバー13を含み、固定カバー13は発熱体11に外嵌され、発熱体11の耐疲労強度を向上させ、さらに発熱部品30の耐用年数を延長させる。具体的には、固定カバー13の材料は金属であってもよく、例えば、鋼である。固定カバー13の壁の厚さは0.1ミリメートル~0.5ミリメートルであってもよい。
【0046】
具体的には、発熱体11が発熱板である場合、固定カバー13の具体的な構造は
図15に示すとおりであり、固定カバー13が板状発熱体11に外嵌された後の製品構造は
図17に示すとおりであり、その分解概略図は
図18に示すとおりである。具体的には、固定カバー13も板状であり、且つ一端が開口され、一端が閉鎖される。固定カバー13の閉鎖端には先端が形成され、開口端の対向する2つの側壁は切欠131を有し、2つの電極12はそれぞれ第一延伸部111及び第二延伸部112のスロット114から離れる側面に設置され、且つ2つの切欠131によって露出され、それにより電極リード線23に接続されることができる。
【0047】
発熱体11が発熱棒である場合、固定カバー13の具体的な構造は
図16に示すとおりであり、固定カバー13が棒状の発熱体11に外嵌された後の製品構造は
図19に示すとおりであり、その分解模式図は
図20に示すとおりである。具体的には、固定カバー13も棒状であり、且つ一端が開口され、一端が閉鎖される。固定カバー13の閉鎖端には先端が形成され、開口端の対向する2つの側壁は切欠131を有し、2つの電極12はそれぞれ第一延伸部111及び第二延伸部112のスロット114から離れる側面に設置され、且つ2つの切欠131によって露出され、それにより電極リード線23に接続されることができる。
【0048】
具体的には、
図20を参照すると、発熱体11と固定カバー13との間に絶縁誘電体層24が設置され、それにより固定カバー13と発熱体11との間の結合力を向上させ、且つ短絡を回避することができる。具体的には、絶縁誘電体層24はプロセスに応じて発熱体11の外表面又は固定カバー13の内面に塗布することができ、且つその厚さは0.05ミリメートル~0.1ミリメートルであってもよい。一つの実施例において、絶縁誘電体層24が発熱体11の表面に塗布され、且つスロット114及び電極12が露出される。
【0049】
具体的には、固定カバー13の長さは発熱体11の長さと同じであるか又は発熱体11の長さより小さくてもよい。理解されるように、固定カバー13は先端を有するため、第三延伸部113も先端を有さず、加工を容易にすることができる。他の実施例において、固定カバー13の長手方向の長さは発熱体11の長手方向の長さより短い。すなわち、電極12の設置された部分は固定カバー13で覆われていない。このように、発熱体11の2つの表面が取付座20に直接に固定され、且つ第一延伸部111及び第二延伸部112のタバコに挿入される部分が補強され、変形又は破損することがない。
【0050】
図21~
図24を参照すると、
図21は本願の実施例に係る取付座の構造模式図であり、
図22は本願の実施例に係る取付座と発熱板とが組み立てられた構造模式図であり、
図23は本願のもう一つの実施例に係る取付座と発熱棒とが組み立てられた構造模式図であり、
図24は本願の他の実施例に係る取付座と発熱棒とが組み立てられた構造模式図である。一つの実施例では、使用中に発熱部品10が取付座20に設置されて発熱装置が形成される。取付座20と発熱部品10との係合により、取付座20によって発熱部品10がエアロゾル形成装置の本体に設置される。一つの実施例において、発熱体11が発熱板である場合、取付座20及び発熱体11が組み立てられた後の製品構造は
図22に示すとおりである。発熱体11が発熱棒であり、且つ固定カバー13が発熱体11に外嵌されない場合、取付座20及び発熱体11が組み立てられた製品構造は
図23に示すとおりである。固定カバー13が発熱体11の外側に設置される場合、取付座20は実際の状況に基づいて発熱体11又は固定カバー13に取り付けられることができる。例えば、固定カバー13の長さが発熱体11の長さと同じである場合、取付座20が固定カバー13に外嵌されることができ、具体的には
図24に示すとおりである。固定カバー13の長さが発熱体11の長さより短い場合、電極12が設置された発熱体11の一端が固定カバー13の外に露出され、取付座20が固定カバー13の外に露出される発熱体11の一端に固定され、即ち、発熱体11の第二発熱領域Bに固定され、且つ取付座20は取付座20に近い固定カバー13の一端に突き当てられる。好ましくは、電極12の設置された発熱体11の一端は固定カバー13の外に露出される際、取付座20が固定さカバー13の開口端に固定される。即ち、固定カバー13の開口端が取付座20に挿入され、且つ電極12の設置された発熱体11の一端が取付座20を貫通する。
【0051】
具体的には、取付座20の材料は、融点が160℃以上である有機材料又は無機材料を採用することができ、例えば、PEEK材料であってもよい。取付座20は接着剤を介して発熱部品10に接着されることができる。接着剤は高温に耐える接着剤であってもよい。
【0052】
一つの実施例において、
図21及び
図22を参照して、取付座20は取付本体21を含む。取付本体21に貫通孔22が設置される。発熱体11は貫通孔22に挿入され、取付座20に取り付けられる。一つの実施例において、第二発熱領域Bに対応する発熱体11の部分は貫通孔22に挿入される。具体的に、貫通孔22の側壁に二つの逃げ溝211が設置されることができる。電極リード線23は二つの逃げ溝211によって、取付座20に延伸し、かつ発熱体11に設置された電極12に接続される。取付本体21は、少なくとも二つの係合部分241をさらに備える。取付座20は、係合部241を介してエアロゾル形成装置の筐体に固定されることができる。
【0053】
一つの実施例において、
図25を参照すると、本願の一実施例に係る取付座と発熱体との組立てられた後の正面図である。発熱部品10が発熱体11によって取付座20に固定される際(
図25を参照)、取付座20を挿入するための発熱体11の第一延伸部111及び第二延伸部112の表面の一部は、第一係止構造116を有し、取付座20の貫通孔22における第一係止構造116に対応する位置は、第二係止構造117を有する。取付座20及び発熱体11は、第一係止構造116と第二係止構造117との係合により両者の固定を達成し、それによって、取付座20と発熱体11との接続の安定性を向上させる。発熱部品10の固定カバー13が取付座20に固定される際、取付座20を挿入するための固定カバー13の表面の一部に第一係止構造116が設置されることができ、取付座20における第二係止構造117との係合により、両者の固定を達成できる。具体的には、第一係止構造116は複数の突起(または窪み)であってもよく、第二係止構造117は第一係止構造116に対応する窪み(または突起)であってもよい。
【0054】
本願実施例によって提供される発熱部品10の発熱方式は自立構造を有するセラミック発熱板(又は発熱棒)を直接に使用して発熱することができ、且つ発熱体11は電極12の配置位置及び抵抗値に基づいて、単一の直列型に配置されるものができる。同時に発熱体11はセラミック材料を採用し、従来の基板に金属発熱材料をコーティングして形成された発熱体構造に比べて、その2つの表面が同時にタバコを接触しかつ加熱することができ、加熱がより均一で、安定である。
【0055】
図26を参照すると、
図26は本願の実施例に係るエアロゾル形成装置の構造模式図である。本実施例では、エアロゾル形成装置100を提供する。該エアロゾル形成装置100は筐体101と、発熱部品10と、取付座20と、電源部品30と、を含む。発熱部品10、取付座20及び電源部品30は筐体101に設置される。
【0056】
そのうち、発熱部品10は取付座20に設置され、且つ取付座20によって筐体101の内側壁に固定され且つ取り付けられる。具体的に、発熱部品10及び取付座20の具体的な構造及び機能は上記実施例に提供される発熱部品10に関連する文字で説明され、ここでは説明を省略する。電源部品30は発熱部品10に接続され、発熱部品10に給電する。一つの実施例において、電源部品30は充電可能なリチウムイオン電池であってもよい。
【0057】
本実施例が提供するエアロゾル形成装置100は発熱部品10を設けることにより、タバコを挿入した後、タバコを加熱して霧化する。発熱部品10は発熱体11を含む。発熱体11は第一延伸部111及び第一延伸部111と対向する第二延伸部112を有し、前記第一延伸部111及び前記第二延伸部112は間隔をあけて設置され、少なくとも一部の第一延伸部111及び前記第二延伸部112はいずれもエアロゾル形成基質102に挿入され、通電されるとエアロゾル形成基質102を加熱することに用いられる。従来のセラミック基板にシルクプリントされる発熱体と比べて、本願の発熱体11は、エアロゾル形成基質102に直接に独立して挿入されることができ、高温発熱中に基板から剥離して故障を引き起こすという問題がなく、発熱部品10の安定性が大幅に向上する。同時に、発熱体11が自立構造体であるため、基板に設置される必要がなく、発熱体11の全部の表面がエアロゾル形成基質102に直接に接触され、発熱部品の加熱均一性を向上させることができる。
【0058】
以上は本願の実施形態であって、本願の特許範囲を制限するものではなく、本願の明細書及び図面の内容を利用して行われる等価構造又は等価プロセス変換、又は他の関連する技術分野に直接又は間接的に適用されるものは、いずれも同様に本願の特許保護範囲内に含まれる。