(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】放電加工機
(51)【国際特許分類】
B23H 1/10 20060101AFI20240611BHJP
B23H 7/36 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B23H1/10 Z
B23H7/36 Z
(21)【出願番号】P 2022578251
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2022001424
(87)【国際公開番号】W WO2022163413
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2021011586
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 亮佑
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-1249(JP,A)
【文献】特開平7-314256(JP,A)
【文献】特開2014-92041(JP,A)
【文献】特開平11-200473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/10
B23H 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工槽(46)に貯められる液体中で加工対象物を放電加工する放電加工機(10)であって、
前記液体を供給するポンプ(52)と、
前記ポンプにより供給される前記液体を前記加工槽に導入する導入配管(54)と、
前記導入配管の管壁を貫通する貫通孔(54H)と、
を備え、
前記導入配管は、前記加工槽に許容される水面の高さの最大値より高い配管部位(54PT)を有し、
前記貫通孔は、前記配管部位に設けられる、放電加工機。
【請求項2】
請求項1に記載の放電加工機であって、
前記配管部位は、前記加工槽の上端より高い、放電加工機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の放電加工機であって、
前記貫通孔は、前記導入配管の断面中心を通る仮想中心線(LN)より重力方向に設けられる、放電加工機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の放電加工機であって、
前記貫通孔の断面積は、前記配管部位の流路の断面積より小さい、放電加工機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の放電加工機であって、
前記貫通孔から導出する前記液体を貯留する導出液貯留槽(56)を備える、放電加工機。
【請求項6】
請求項5に記載の放電加工機であって、
前記導入配管に接続され、前記貫通孔から導出する前記液体を前記導出液貯留槽に導く導出配管(58)を備える、放電加工機。
【請求項7】
請求項6に記載の放電加工機であって、
前記導出配管の流路の断面積は、前記導入配管の流路の断面積よりも小さい、放電加工機。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載の放電加工機であって、
前記ポンプが供給する前記液体を貯留する貯留槽(50)と、前記導出液貯留槽と前記貯留槽とを連結する連結管(62)と、を備える、放電加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工槽に貯められる液体中で加工対象物を放電加工する放電加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
放電加工機では、加工槽に貯める液体を供給する装置が備えられる。特開2017-019046号公報には、ポンプ(循環ポンプ)と、第1の液回路とを有する加工液供給装置が開示されている。ポンプは、清水槽から液体(清水)を汲み上げる。第1の液回路は、ポンプで汲み上げられた液体を加工槽へ供給する。特開2017-019046号公報には第1の液回路の具体的な記載はないが、一般的には、配管が第1の液回路として適用される。この配管には、一般的に、加工槽からの逆流を防止する逆止弁が設けられる。
【発明の概要】
【0003】
ところが、メンテナンス等の目的で逆止弁を配管から取り外す作業が複雑であった。
【0004】
そこで、本発明は、逆止弁を設けることなく加工槽からの液体の逆流を抑制し得る放電加工機を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の態様は、
加工槽に貯められる液体中で加工対象物を放電加工する放電加工機であって、
前記液体を供給するポンプと、
前記ポンプにより供給される前記液体を前記加工槽に導入する導入配管と、
前記導入配管の管壁を貫通する貫通孔と、
を備え、
前記導入配管は、前記加工槽に許容される水面の高さの最大値より高い配管部位を有し、
前記貫通孔は、前記配管部位に設けられる。
【0006】
本発明の態様によれば、逆止弁を設けることなく加工槽からの液体の逆流を抑制することができる。すなわち、導入配管の配管部位は、加工槽に許容される水面の高さの最大値より高い。これにより、ポンプが停止されると、配管部位の流路を満たす液体は、貫通孔から自重で落下するように導出し、配管部位の流路には空気が溜まる。したがって、配管部位の流路に溜まる空気で加工槽からの逆流を抑制することができる。こうして、逆止弁を設けることなく加工槽からの液体の逆流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の放電加工機の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、加工液処理装置の一部の構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、加工槽に液体が供給される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は、実施形態の放電加工機10の構成を示す概略図である。
図1には、X方向、Y方向およびZ方向が示される。なお、X方向およびY方向は面内で互いに直交し、Z方向はX方向およびY方向の各々に対して直交する。
【0009】
放電加工機10は、液体中で加工対象物を放電加工する機械である。放電加工機10は、加工対象物とワイヤ電極12との極間に電圧を印加することで極間に発生する放電により加工対象物を加工する。放電加工機10は、加工機本体14と、加工液処理装置16と、加工機本体14および加工液処理装置16を制御する制御装置18と、を備える。
【0010】
ワイヤ電極12の材質は、例えば、タングステン系、銅合金系、黄銅系等の金属材料である。一方、加工対象物の材質は、例えば、鉄系材料、超硬材料等の金属材料である。
【0011】
加工機本体14は、加工対象物(ワーク、被加工物)に向けてワイヤ電極12を供給する供給系統20と、加工対象物を通過したワイヤ電極12を回収する回収系統22とを備える。
【0012】
供給系統20は、ワイヤボビン24と、トルクモータ26と、ブレーキシュー28と、ブレーキモータ30と、張力検出部32と、上ダイスガイド34とを備える。ワイヤボビン24には、未使用のワイヤ電極12が巻かれる。トルクモータ26は、ワイヤボビン24に対してトルクを付与する。ブレーキシュー28は、ワイヤ電極12に対して摩擦による制動力を付与する。ブレーキモータ30は、ブレーキシュー28に対してブレーキトルクを付与する。張力検出部32は、ワイヤ電極12の張力の大きさを検出する。上ダイスガイド34は、加工対象物の上方でワイヤ電極12をガイドする。
【0013】
回収系統22は、下ダイスガイド36と、ピンチローラ38、フィードローラ40と、トルクモータ42と、回収箱44とを備える。下ダイスガイド36は、加工対象物の下方でワイヤ電極12をガイドする。ピンチローラ38およびフィードローラ40は、ワイヤ電極12を挟持し得る。トルクモータ42は、フィードローラ40に対してトルクを付与する。回収箱44は、ピンチローラ38およびフィードローラ40により搬送されたワイヤ電極12を回収する。
【0014】
加工機本体14は、加工液を貯留可能な加工槽46を備える。加工液は、加工時に用いられる液体である。加工液として、例えば、脱イオン水等が挙げられる。加工槽46は、ベース部48上に載置されている。加工槽46内には上ダイスガイド34および下ダイスガイド36が配置され、上ダイスガイド34と下ダイスガイド36との間に加工対象物が設けられる。上ダイスガイド34、下ダイスガイド36、および、加工対象物は、加工槽46に貯められた加工液に浸漬している。
【0015】
上ダイスガイド34は、ワイヤ電極12を支持する支持部34aを有し、下ダイスガイド36は、ワイヤ電極12を支持する支持部36aを有する。また、下ダイスガイド36は、ガイドローラ36bを備える。ガイドローラ36bは、ワイヤ電極12の向きを変えてピンチローラ38およびフィードローラ40にワイヤ電極12を案内する。
【0016】
なお、上ダイスガイド34は、スラッジ(加工屑)を含まない清潔な加工液を、ワイヤ電極12と加工対象物との極間に向けて噴出する。これにより、加工に適した清潔な液体で極間を満たすことができ、加工に応じて生じたスラッジにより加工精度が低下することを防止することができる。また、下ダイスガイド36も、スラッジ(加工屑)を含まない清潔な加工液を極間に向けて噴出してもよい。
【0017】
加工液処理装置16は、加工槽46に発生したスラッジを除去するとともに、電気抵抗率、温度等を調整することで加工液の液質を管理する装置である。この加工液処理装置16によって液質が管理された加工液は、加工槽46に再び戻されるとともに、少なくとも上ダイスガイド34から噴出される。
【0018】
図2は、加工液処理装置16の一部の構成を示す概略図である。加工液処理装置16は、貯留槽50と、ポンプ52と、導入配管54と、導出液貯留槽56と、導出配管58と、を有する。
【0019】
貯留槽50は、ポンプ52が供給する液体を貯留する。貯留槽50は、スラッジが含まれる加工液(汚水)を貯留する汚水槽であってもよい。また、貯留槽50は、汚水槽から、スラッジを除去するフィルタを経由した加工液(清水)を貯留する清水槽であってもよい。
【0020】
ポンプ52は、貯留槽50に貯留される液体を汲み取り、汲み取った液体を下流側に供給する。ポンプ52は、制御装置18の制御にしたがって駆動される。制御装置18は、例えば、加工の開始指令を受けてから、加工槽46に貯留される液体の水面の高さが予め設定される設定値になったことがセンサで検知されるまで、ポンプ52を駆動する。
【0021】
導入配管54は、ポンプ52により供給される液体を加工槽46に導入する。導入配管54の一端は、ポンプ52の出力端に接続される。導入配管54の他端は、連結機構60に接続される。連結機構60は、加工槽46の側壁46Wを貫通する孔46Hと導入配管54とを連通する。この連結機構60は、導入配管54を流れる液体を貯留可能である。
【0022】
導入配管54は、加工槽46に許容される水面の高さの最大値より高い配管部位54PTを有する。配管部位54PTは、加工槽46の上端より高くてもよい(
図2参照)。また、配管部位54PTは、水平に配置されてもよく(
図2参照)、配管部位54PTの少なくとも一部が傾斜してもよい。なお、加工槽46に許容される水面の高さの最大値は、加工槽46の容量等に応じて予め定められる固定の値であり、加工槽46の上端の高さより低い。この最大値よりも低い位置に連結機構60が設けられる。また、加工対象物を加工する場合、加工槽46に許容される水面の高さの最大値よりも低い位置に、上ダイスガイド34(
図1)が配置される。上ダイスガイド34は、上ダイスガイド34を駆動するモータを制御装置18が制御することによって移動する。
【0023】
配管部位54PTには、導入配管54の管壁を貫通する貫通孔54Hが設けられる。貫通孔54Hは、導入配管54の断面中心を通る仮想中心線LNより重力方向(下方向)に設けられる。なお、貫通孔54Hの一部が仮想中心線LNより重力方向とは逆方向(上方向)に位置してもよい。また、貫通孔54Hは、導入配管54の中間位置に設けられてもよく、中間位置以外の位置に設けられてもよい(
図2参照)。
【0024】
貫通孔54Hの断面積は、配管部位54PTの流路(空洞部分)の断面積と同じであってもよく、異なってもよい。貫通孔54Hの断面積が配管部位54PTの流路の断面積と異なる場合、貫通孔54Hの断面積は、配管部位54PTの流路の断面積より小さいことが好ましい。
【0025】
導出液貯留槽56は、貫通孔54Hから流出する液体を貯留する。導出液貯留槽56は、加工槽46より重力方向(下方向)に設けられてもよく(
図2参照)、加工槽46が設置される設置面と同じ面上に設けられてもよい。また、導出液貯留槽56は、貯留槽50が設置される設置面と同じ面上に設けられてもよく(
図2参照)、当該設置面とは異なる面上に設けられてもよい。
【0026】
導出液貯留槽56は、連結管62を通じて貯留槽50と連通する。連結管62は、導出液貯留槽56と貯留槽50とを連結する管であり、連結管62には、バルブ64が設けられる。バルブ64は、制御装置18の制御にしたがって開閉する。制御装置18は、例えば、貯留槽50の液体の貯留量が既定量以下になったことがセンサで検知されたときから所定の時間を経過するまで、バルブ64を開ける。
【0027】
導出配管58は、貫通孔54Hから流出する液体を導出液貯留槽56に導く。導出配管58は、重力方向(下方向)に沿って延びている。導出配管58の一端は、導入配管54に接続される。導出配管58の他端は、導出液貯留槽56の槽内に向けて開口する。
【0028】
導出配管58の流路(空洞部分)の断面積は、導入配管54の流路(空洞部分)の断面積と同じであってもよく、異なっていてもよい。導出配管58の流路の断面積が導入配管54の流路の断面積と異なる場合、導出配管58の流路の断面積は、導入配管54の流路の断面積より小さいことが好ましい。なお、導入配管54に設けられる貫通孔54Hの断面積が配管部位54PTの流路の断面積より小さい場合、導出配管58の流路の断面積は、導入配管54の流路の断面積より大きくてもよい。
【0029】
図3は、加工槽46に液体が供給される様子を示す図である。貯留槽50に貯留される液体は、ポンプ52により導入配管54に供給されると、ポンプ52の下流側に向かって流れる。
【0030】
導入配管54を流れる液体の一部は、配管部位54PTに設けられた貫通孔54Hから導出配管58に流れる。導出配管58に流れない液体は、連結機構60を通じて加工槽46の側壁46Wに設けられる孔46Hから槽内に流入する。一方、導出配管58に流れた液体は、導出液貯留槽56の槽内に流入する。なお、導出液貯留槽56の槽内に流入した液体は、制御装置18によりバルブ64が開けられたときに、連結管62を通じて貯留槽50に戻される。
【0031】
本実施形態では、導入配管54の配管部位54PTは、加工槽46に許容される水面の高さの最大値より高い。このため、ポンプ52が停止すると、配管部位54PTの流路(空洞部分)を満たす液体は、貫通孔54Hから自重で落下する。その結果、配管部位54PTの流路には空気が溜まる(
図2参照)。したがって、配管部位54PTの流路に溜まる空気で加工槽46からの逆流を抑制することができる。こうして、本実施形態によれば、逆止弁を設けることなく加工槽46からの液体の逆流を抑制することができる。
【0032】
なお、配管部位54PTが加工槽46の上端より高い場合には、配管部位54PTが加工槽46の上端より低い場合に比べて、配管部位54PTの流路に空気が溜まるまでの速度を上げることができる。
【0033】
また、貫通孔54Hは、仮想中心線LNより重力方向に設けられる場合には、ポンプ52の停止時に配管部位54PTの流路(空洞部分)を満たす液体を、その液体の自重で効率よく貫通孔54Hから流出させることができる。
【0034】
また、貫通孔54Hの断面積が配管部位54PTの流路(空洞部分)の断面積より小さい場合には、配管部位54PTを通じて加工槽46に向かって流れる液体が、貫通孔54Hから流出し難い。つまり、貯留槽50から加工槽46に液体を供給している場合に、貫通孔54Hから流出する液体量を低減することができる。
【0035】
本実施形態では、貫通孔54Hから流出する液体を貯留する導出液貯留槽56が備えられる。これにより、貫通孔54Hから流出する液体が外部に飛び散ることが導出液貯留槽56の壁部によって低減される。したがって、貫通孔54Hから流出する液体が意図しない周囲に流れ出ることを抑制することができる。なお、導出液貯留槽56は備えられていなくてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、導出液貯留槽56と、ポンプ52が供給する液体を貯留する貯留槽50とが連結管62により連結される。これにより、導出液貯留槽56に貯留する液体を貯留槽50に戻すことができ、加工槽46に供給する液体の無駄を削減することができる。なお、連結管62は備えられていなくてもよい。連結管62が備えられていない場合には、連結管62に設けられるバルブ64も備えられない。
【0037】
また、本実施形態では、導入配管54に接続され、貫通孔54Hから流出する液体を導出液貯留槽56に導く導出配管58が備えられる。これにより、導出配管58が備えられていない場合に比べて、貫通孔54Hから流出する液体が飛び散ることを低減することができる。導出配管58の流路(空洞部分)の断面積が、導入配管54の流路(空洞部分)の断面積よりも小さい場合には、配管部位54PTを通じて加工槽46に向かって流れる液体が、貫通孔54Hから流出し難い。つまり、貯留槽50から加工槽46に液体を供給している場合に、貫通孔54Hから流出する液体量を低減することができる。なお、導出配管58は備えられていなくてもよい。
【0038】
[変形例]
上記の実施形態は、下記のように変形してもよい。
【0039】
放電加工機10は、実施形態では、ワイヤ電極12と加工対象物との極間に発生する放電により加工対象物を加工するワイヤ放電加工機であった。しかし、放電加工機10は、型彫り用の電極と加工対象物との極間に発生する放電により加工対象物を加工する型彫り放電加工機であってもよい。なお、放電加工機10が型彫り放電加工機である場合、供給系統20および回収系統22は備えられない。この場合、加工槽46の槽内には、加工対象物を固定するテーブルと、型彫り用の電極とが配置される。また、テーブルと型彫り用の電極とを相対移動させるアクチュエータが設けられ、そのアクチュエータが制御装置18により制御される。
【0040】
[実施形態および変形例から把握しうる発明]
以下は、上記の実施形態および変形例から把握しうる発明について記載する。
【0041】
本発明は、加工槽(46)に貯められる液体中で加工対象物を放電加工する放電加工機(10)であって、液体を供給するポンプ(52)と、ポンプにより供給される液体を加工槽に導入する導入配管(54)と、導入配管の管壁を貫通する貫通孔(54H)と、を備え、導入配管は、加工槽に許容される水面の高さの最大値より高い配管部位(54PT)を有し、貫通孔は、配管部位に設けられる。
【0042】
これにより、逆止弁を設けることなく加工槽からの液体の逆流を抑制することができる。すなわち、導入配管の配管部位が加工槽に許容される水面の高さの最大値より高い。このため、ポンプの停止時に配管部位の流路を満たす液体は、貫通孔から自重で落下し、配管部位の流路には空気が溜まる。したがって、配管部位の流路に溜まる空気で加工槽からの逆流を抑制することができる。こうして、逆止弁を設けることなく加工槽からの液体の逆流を抑制することができる。
【0043】
配管部位は、加工槽の上端より高くてもよい。これにより、配管部位が加工槽の上端より低い場合に比べて、配管部位の流路に空気が溜まるまでの速度を上げることができる。
【0044】
貫通孔は、導入配管の断面中心を通る仮想中心線(LN)より重力方向に設けられてもよい。これにより、ポンプの停止時に配管部位の流路を満たす液体を、その液体の自重で効率よく貫通孔から導出させることができる。
【0045】
貫通孔の断面積は、配管部位の流路の断面積より小さくてもよい。これにより、配管部位を通じて加工槽に液体を流しているときに、貫通孔から分流する液体量を低減することができる。
【0046】
放電加工機は、貫通孔から導出する液体を貯留する導出液貯留槽(56)を備えてもよい。これにより、貫通孔から導出する液体が周囲に飛び散ることを低減することができる。
【0047】
放電加工機は、導入配管に接続され、貫通孔から導出する液体を導出液貯留槽に導く導出配管(58)を備えてもよい。これにより、貫通孔から導出する液体が周囲に飛び散ることを低減することができる。
【0048】
導出配管の流路の断面積は、導入配管の流路の断面積よりも小さくてもよい。これにより、配管部位を通じて加工槽に液体を流しているときに、貫通孔から分流する液体量を低減することができる。
【0049】
放電加工機は、ポンプが供給する液体を貯留する貯留槽(50)と、導出液貯留槽と貯留槽とを連結する連結管(62)と、を備えてもよい。これにより、導出液貯留槽に貯留する液体を貯留槽に戻すことができ、加工槽に供給する液体の無駄を削減することができる。