(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】車両のための方法、装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/30 20060101AFI20240611BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240611BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G01C21/30
G08G1/09 H
G08G1/0969
(21)【出願番号】P 2022581567
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2021067915
(87)【国際公開番号】W WO2022002976
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-28
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント レヒ
(72)【発明者】
【氏名】ザンドラ クライナウ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス プファードラー
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)のための方法であって、該方法が、
1つもしくは複数の集団認識メッセージを受信するステップ(110)であって、各集団認識メッセージは、該集団認識メッセージを生成する車両の絶対位置と該集団認識メッセージを生成する車両によって認識されている1つもしくは複数の別の車両の相対位置とに関する情報を含む、ステップと、
前記1つもしくは複数の集団認識メッセージにおいて受信された位置を使用して、前記集団認識メッセージを生成するそれぞれの車両と前記集団認識メッセージを生成する車両によって認識されている1つもしくは複数の別の車両とをマップ上に配置するステップ(120)と、
前記マップ上の前記車両の位置とそれぞれの車両が走行している道路進路とを相関させるステップ(130)および、前記道路進路と前記車両の位置との間の相関に基づいてそれぞれの位置を補正するステップ(140)と、
を
含み、
少なくとも、第1の集団認識メッセージが第1の車両から受信され、第2の集団認識メッセージが第2の車両から受信され(110)、
前記方法が、前記第1の集団認識メッセージにおいて参照されている車両と前記第2の集団認識メッセージにおいて参照されている車両とを、それぞれの集団認識メッセージに含まれている位置に基づいてかつ/または前記車両の補正された位置に基づいて一致させるステップ(170)を含む、
方法。
【請求項2】
前記方法は、車両の軌跡を決定する(124)ために、前記1つもしくは複数の集団認識メッセージにおいて受信された車両の位置を追跡するステップ(122)を含み、
前記車両の軌跡が、それぞれの車両が走行している道路進路と相関され(130)、車両のそれぞれの位置が、前記道路進路と前記車両の軌跡との間の相関に基づいて補正される(140)、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記車両の軌跡と前記道路進路とを相関させるステップ(130)が、各位置に対して、前記位置の周囲の信頼度領域を決定するステップと、各軌跡に対して、前記軌跡の位置の周囲の信頼度領域に基づいて、前記軌跡の周囲の信頼度領域を決定するステップとを含み、
前記マップ上のそれぞれの位置が前記軌跡の周囲の信頼度領域を使用して補正される、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
各集団認識メッセージは、該集団認識メッセージを生成する車両の識別子を含み、該識別子は、予め定められたスケジュールに従って新たに生成された識別子へ変更され、
前記方法が、新たに生成された識別子と以前に決定された軌跡とを有する集団認識メッセージにおいて受信された位置間の一致を判定するステップ(126)と、その後受信された、前記新たに生成された識別子を含む集団認識メッセージを使用して、それぞれの位置の追跡(122)およびそれぞれの軌跡の決定を続行するステップとを含む、
請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
同じ集団認識メッセージに由来する前記マップ上の前記車両の位置および/または軌跡が、共に前記道路進路と相関される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記同じ集団認識メッセージに由来する前記マップ上の前記車両の位置および/または軌跡が、それぞれの車両と前記道路進路との相関のために前記マップに対して相対的に共に平行移動されかつ/または回転される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記マップ上の前記車両の位置および/または軌跡が、道路の1つもしくは複数の車線に基づいて前記道路進路と相関され、かつ/または
前記マップ上の前記車両の位置および/または軌跡が、道路上の1つもしくは複数の交通規則に基づいて前記道路進路と相関される、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記車両の1つもしくは複数のセンサを介して前記車両の近傍の1つもしくは複数の車両の位置を決定するステップ(150)と、前記マップ上の前記車両の補正された位置に基づいて、前記マップ上の前記車両と前記車両の近傍の1つもしくは複数の車両との間の関係を決定するステップ(160)とを含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記マップ上の前記車両の補正された位置に基づいて、前記マップ上の前記車両を、前記車両の近傍の1つもしくは複数の車両と一致させる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、前記マップ上の前記車両と前記車両の近傍の1つもしくは複数の車両との間の決定された関係に基づいて、前記マップ上の前記車両に関する情報を補足するステップ(162)を含む、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記マップ上の前記車両の補正された位置を使用して自律運転モードまたは半自律運転モードで前記車両を動作させるステップ(180)を含む、請求項1から
10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
コンピュータ、プロセッサ、またはプログラマブルハードウェアコンポーネントにおいて実行される際に、請求項1から
11までのいずれか1項記載の方法を実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【請求項13】
車両(100)のための装置(10)であって、該装置は、
他車両(200)からの集団認識メッセージを受信するためのインタフェース(12)と、
請求項1から
11までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成された処理モジュール(14)と、
を備える、装置(10)。
【請求項14】
請求項
13記載の装置(10)を備えた車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のための方法、装置、およびコンピュータプログラムに関し、より具体的には、受信された集団認識メッセージに基づいて他車両の位置を決定するための方法、装置、およびコンピュータプログラムに関する。
【0002】
デバイス・ツー・デバイス(D2D)通信、車車間(V2V)通信、またはカー・ツー・カー(C2C)通信とも称されるモバイルデバイス間の直接通信は、新世代のモバイル通信システムの開発中のフィーチャであり続けている。車両間の直接通信を可能にすることにより、低いレイテンシでのメッセージ交換を可能にすることができる。こうしたメッセージは、道路参加者間で情報を共有するために使用することができる。
【0003】
車両間で交換されるメッセージの種類の1つとして「集団認識メッセージ」(CPM)が挙げられ、これは欧州電気通信標準化機構(ETSI)で規格化されている。ここでのメッセージは、CPMを生成する車両の環境の抽象的表現を含む。当該メッセージは、車両のセンサ到達範囲内にその時点で位置しない他車両を認識するために使用することができる。CPMにおいては、他の対象物、例えば他車両が、一般的にはCPMを生成する車両の位置に対して相対的に参照される。換言すれば、CPMは、絶対座標における送信側車両の位置を含むことができ、また当該車両のセンサによって検出された、送信側車両に対して相対的な対象物に関する情報を含むことができる。これらの対象物は、他の道路利用者、特に他車両でありうる。また、歩行者に関する情報もCPM対象物の形態で送信可能である。こうしたトピックは様々な研究プロジェクトで取り扱われており、交通安全性を高めるための重要な用途であって、例えば交差点に持続的に設置されている路側センサシステムにとって重要である。さらに、静的な対象物に関する情報が、CPM対象物、例えば道路作業障壁として送信されることもある。
【0004】
受信された集団認識メッセージに基づいて他車両の位置を決定するための改善されたコンセプトの提供が望まれうる。
【0005】
こうした要望に対して、各独立請求項の主題により対処がなされる。
【0006】
本開示の実施形態は、CPMにおいて参照されている他車両の相対位置がCPMを生成する車両に対して適切に正確に得られるものの、CPMを生成する車両の絶対位置が衛星測位システムを介して決定されたときに、車両の位置決定における不正確性を生じさせることがあるという発見に基づいている。例えば、CPMを生成する車両の絶対位置と進行方向との双方の精度が低くなることがあり、この場合にはCPMを生成する車両の位置に対して相対的に規定された他車両の位置が、CPMを受信する車両の認識において僅かにずれる可能性がある。実施形態は、CPMを生成する車両の位置とCPMにおいて参照されている車両の位置との双方を道路進路に相関させ、これに従って位置を補正することによって、こうした制限を克服しようと努めるものでありうる。
【0007】
実施形態は、車両のための方法を提供する。方法は、1つもしくは複数の集団認識メッセージを受信することを含む。各集団認識メッセージは、集団認識メッセージを生成する車両の絶対位置と集団認識メッセージを生成する車両によって認識されている1つもしくは複数の別の車両の相対位置とに関する情報を含む。方法は、1つもしくは複数の集団認識メッセージにおいて受信された位置を使用して、集団認識メッセージを生成するそれぞれの車両と集団認識メッセージを生成する車両によって認識されている1つもしくは複数の別の車両とをマップ上に配置することを含む。方法は、マップ上の車両の位置とそれぞれの車両が走行している道路進路とを相関させることを含む。方法は、道路進路と車両の位置との間の相関に基づいてそれぞれの位置を補正することを含む。CPMを生成する車両の位置とCPMにおいて参照されている車両の位置との双方を使用することにより、例えばマップに対して相対的にそれぞれの車両を共に平行移動させるかつ/または回転させることで、それぞれの位置を高い精度で補正することができる。
【0008】
幾つかの実施形態では、車両の位置は、離散的な位置として(のみ)みなされるわけではなく、むしろ道路上を走行する車両の軌跡としてみなすことができる。したがって、方法は、1つもしくは複数の集団認識メッセージにおいて受信される車両の位置を追跡して、車両の軌跡を決定することを含みうる。車両の軌跡は、それぞれの車両が走行している道路進路と相関させることができる。車両のそれぞれの位置は、道路進路と車両の軌跡との間の相関に基づいて補正可能である。これにより、時間の経過に伴う位置と道路進路との相関に要求される労力を低減させつつ、精度をさらに向上させることができる。
【0009】
例えば、車両の軌跡と道路進路とを相関させることは、各位置に対して、当該位置の周囲の信頼度領域を決定することと、各軌跡に対して、当該軌跡の位置の周囲の信頼度領域に基づき、当該軌跡の周囲の信頼度領域を決定することとを含みうる。マップ上のそれぞれの位置は、軌跡の周囲の信頼度領域を使用して、例えば当該信頼度領域に対する相関を制限することによって、補正することができる。例えば、軌跡の周囲の信頼度領域は、時間の経過に伴って収縮することからより正確なものとなりうる、軌跡の周囲の「信頼度チューブ」とみなすことができる。
【0010】
一般的に、車両間で交換されるメッセージは、短期的な識別を可能にしつつ車両の長時間の追跡を回避するために定期的に変更される一時的な識別子を含みうる。例えば、各集団認識メッセージは、集団認識メッセージを生成する車両の識別子を含みうる。当該識別子は、予め定められたスケジュールに従って、新たに生成された識別子へと変更されうる。方法は、新たに生成された識別子と以前に決定された軌跡とを有する集団認識メッセージにおいて受信された位置間の一致を判定することと、その後受信された、新たに生成された識別子を含む集団認識メッセージを使用して、それぞれの位置の追跡およびそれぞれの軌跡の決定を続行することとを含みうる。換言すれば、車両の識別子が変更された場合、方法は、軌跡の追跡を続行するために、新たに生成された識別子と以前に決定された軌跡との間の一致の判定を試みることができる。
【0011】
様々な実施形態において、同じ集団認識メッセージに由来するマップ上の車両の位置および/または軌跡は、共に道路進路と相関される。例えば、同じ集団認識メッセージに由来するマップ上の車両の位置および/または軌跡は、それぞれの車両と道路進路との相関のために、マップに対して相対的に共に平行移動されかつ/または回転されうる。これにより、車両が静的配置に留まっているときには相関に必要な労力が低減され、精度を向上させることができる。
【0012】
様々な実施形態において、マップ上の車両の位置および/または軌跡は、道路の1つもしくは複数の車線に基づいて道路進路と相関させることができる。付加的にもしくは代替的に、マップ上の車両の位置および/または軌跡を、道路上の1つもしくは複数の交通規則に基づいて道路進路と相関させることができる。道路の車線とそれぞれの交通規則との双方が、相関のための有意なコンテキスト情報を提供することができる。
【0013】
一般的に、補正された位置は、車両の近傍の他車両を識別するために当該車両によって使用されうる。例えば、方法は、車両の1つもしくは複数のセンサを介して車両の近傍の1つもしくは複数の車両の位置を決定することを含みうる。方法は、マップ上の車両の補正された位置に基づいて、マップ上の車両と当該車両の近傍の1つもしくは複数の車両との間の関係を決定することを含みうる。例えば、マップ上の車両を、その補正された位置に基づいて、当該車両の近傍の1つもしくは複数の車両と一致させることができる。マップ上の車両の補正された位置を使用することにより、各位置間の関係の決定が容易となりかつ/またはより正確となりうる。
【0014】
幾つかの実施形態では、車両の近傍の1つもしくは複数の車両に関する追加情報が、車両のセンサを使用して決定されうる。当該情報は、それぞれの車両について以前に既知となっている情報に追加可能である。換言すれば、方法は、マップ上の車両と当該車両の近傍の1つもしくは複数の車両との間の決定された関係に基づいて、マップ上の車両に関する情報を補足することを含みうる。
【0015】
幾つかのケースでは、同じ車両が複数の車両によって認識され、このため複数の集団認識メッセージに含まれることがある。したがって、方法は、マップ上の複数の車両によって認識されている車両を一致させることができる。換言すれば、少なくとも、第1の集団認識メッセージを第1の車両から受信することができ、第2の集団認識メッセージを第2の車両から受信することができる。方法は、第1の集団認識メッセージにおいて参照されている車両と第2の集団認識メッセージにおいて参照されている車両とを、それぞれの集団認識メッセージに含まれている位置に基づいてかつ/または車両の補正された位置に基づいて一致させることを含みうる。
【0016】
様々な実施形態において、補正された位置は、他車両間における車両の自律的または半自律的なナビゲーションを補助するために使用されうる。換言すれば、方法は、マップ上の車両の補正された位置を使用して、自律運転モードまたは半自律運転モードで車両を動作させることを含みうる。
【0017】
本開示の実施形態は、さらに、コンピュータ、プロセッサまたはプログラマブルハードウェアコンポーネントにおいて実行される際に提示の方法を実行するためのプログラムコードを有する、対応するコンピュータプログラムを提供する。
【0018】
本開示の実施形態は、さらに、車両のための対応する装置を提供する。装置は、他車両からの集団認識メッセージを受信するためのインタフェースを備える。装置は、上述した方法を実施するように構成された処理モジュールを備える。実施形態によればさらに、装置を備えた車両および/または方法を実行するように構成された車両が提供される。
【0019】
他の幾つかの特徴または態様につき、例示としてにすぎないが、装置または方法またはコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品の以下の非限定的な実施形態を使用して、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】車両のための方法の一実施例を示すフローチャートである。
【
図1b】車両のための方法の別の実施例を示すフローチャートである。
【
図1c】車両のための装置の一実施例を示すブロック図である。
【0021】
ここで、幾つかの例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、様々な例示的な実施形態についてさらに詳細に説明する。図では、線の太さ、層の厚さまたは領域の厚みにつき、簡明性のために誇張して示したところがある。任意選択手段としての構成要素は、破線、鎖線または点線を使用して示したところがある。
【0022】
したがって、例示的な実施形態は様々な修正形態および代替形態とすることが可能であるが、そのうちの幾つかの実施形態を例として図に示し、本明細書で詳細に説明するものとする。しかし、例示的な実施形態を開示の特定の形態に限定することは意図しておらず、むしろ、例示的な実施形態は、本発明の範囲内に該当する全ての修正形態、等価形態および代替形態をカバーすることを理解されたい。なお、各図の説明を通して、同様の参照番号は同様のもしくは類似の要素を指すものとする。
【0023】
本明細書で使用される用語「または」は、別様の示唆(例えば「またはさもなければ」もしくは「または代替的に」など)がない限り、非排他的な「または」をいうものとする。さらに、本明細書で用いられる場合、要素間の関係の記述に用いられる語は、別様の示唆がない限り、直接の関係を含んでもよくまたは介在する要素の存在を含んでもよいよう、広義に解釈されたい。例えば、ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」という場合、この要素は他の要素に直接に接続もしくは結合されていてもよいし、または介在する要素が存在してもよい。これとは対照的に、ある要素が別の要素と「直接に接続されている」または「直接に結合されている」という場合、介在する要素は存在しない。同様に、「~の間」、「~に隣接する」などの語も類似の方式で解釈されたい。
【0024】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、例示的な実施形態の限定を意図しない。本明細書で使用される単数形「1つの(“a”,“an”,“the”)」は、文脈において明示的な別様の示唆がない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」または「含んでいる(including)」は、本明細書で用いられる場合、記載している特徴、整数、ステップ、動作、要素または構成要素の存在を規定するが、1つもしくは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことが理解されるであろう。
【0025】
別様の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および学術用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、例えば一般的に使用されている辞書において定義されている用語は、関連分野の文脈におけるそれらの意味と矛盾しない意味を有していると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されていない限り、観念的な意味または過度に形式的な意味で解釈されるものでないことを理解されたい。
【0026】
図1aおよび
図1bは、車両100のための方法の実施例のフローチャートを示している。方法は、1つもしくは複数の集団認識メッセージ(CPM)を受信すること110を含む。各集団認識メッセージは、当該集団認識メッセージを生成する車両の絶対位置および当該集団認識メッセージを生成する車両によって認識されている1つもしくは複数の別の車両の相対位置に関する情報を含む。当該方法は、1つもしくは複数の集団認識メッセージにおいて受信された位置を使用して、集団認識メッセージを生成するそれぞれの車両と集団認識メッセージを生成する車両によって認識されている1つもしくは複数の別の車両とをマップ上に配置すること120を含む。方法は、マップ上の車両の位置と、それぞれの車両が走行している道路進路とを相関させること130を含む。方法は、道路進路と車両の位置との間の相関に基づいてそれぞれの位置を補正すること140を含む。
【0027】
図1cは、車両のための対応する装置10の一実施例のブロック図を示している。装置10は、他車両200からの集団認識メッセージを受信するためのインタフェース12を備えている。装置は、例えばインタフェース12に関連して
図1aおよび/または
図1bの方法を実行するように構成された処理モジュール14を備えている。処理モジュール14は、インタフェース12と接続されており、また任意選択手段として車両の1つもしくは複数の認識センサ(図示せず)とも接続されている。
図1cは、装置10を備えた車両100をさらに示している。
【0028】
以下の説明は、
図1aおよび/または
図1bの方法ならびに対応する装置10または車両100に関する。
【0029】
本開示の様々な実施形態は、車両、例えばいわゆる「コネクテッド」車両、すなわち近傍の他車両と通信するためのインタフェース12を備えた車両のための方法、装置およびコンピュータプログラムに関する。本願の文脈では、このような車両を、V2X車両、すなわちV2X(ビークル・ツー・エニシング)通信が装備された車両と称することがある。こうした車両は、互いに直接の通信、すなわち車車間(V2V)通信、デバイス・ツー・デバイス(D2D)通信とも称される、基地局トランシーバを関与させない通信を行うことができる。このようなD2D/V2V通信またはV2X通信を可能にする技術には、802.11pおよびそれ以降、3GPP(Third Generation Partnership Project)システム(4G(第4世代)、5G(第5世代)、NR(NewRadio)およびそれ以降)などが含まれる。例えば、車両は、所定のメッセージ、例えばCPM、協調的認識メッセージ(CAM)または分散環境通知メッセージ(DENM)などを交換する。このようなメッセージの内容によって、受信者は自身の環境を認識できるようになり、車両環境のマップを決定できるようになる。例として、提案のコンセプトの視点が車両に焦点を当てているので、車両100を自車両と称することもできる。
【0030】
本開示の様々な実施形態は、事前知識の助けを借りて自車両の環境モデルにCPM対象物を関連付けるためのコンセプトに関する。一般に、CPMは、当該CPMを生成する車両によって認識されている、CPMを生成する車両の環境の抽象表現を含む。CPMにおいては、他車両などの他の対象物が、一般的にはCPMを生成する車両の位置に対して参照される。換言すれば、CPMは、絶対座標における送信側の車両(すなわちCPMを生成する車両)の位置と、車両センサによって検出された、送信側車両に対して相対的な対象物に関する情報とを含むことができる。ここでの対象物は、他の道路利用者、特に他車両でありうる。また、歩行者に関する情報をCPM対象物の形式で送信することも可能である。提案のコンセプトは、CPM対象物以外の車両に限定することができる。したがって、各集団認識メッセージは、集団認識メッセージを生成する車両の絶対位置(すなわち絶対座標)に関する情報と、(前記車両の認識センサを使用して)集団認識メッセージを生成する車両によって認識されている1つもしくは複数の別の車両の相対位置(すなわちCPMを生成する車両に対する相対座標)に関する情報とを含む。
【0031】
CPM送信側の車両(すなわちCPMメッセージを生成する車両)と当該CPM送信側の車両によって検出された(CPMにおいて参照されている)CPM対象物との間での、受信側の車両自体によって検出された対象物への割り当ては、通常きわめて困難であり、多くの場合に不可能である。その理由は、CPM伝達側の車両が各自の自姿勢(位置および向き)を十分な精度で決定することができないことが多いためである。CPM伝達側の車両によって検出されたCPM対象物に関する情報は、相応に不正確である。センサの測定および較正の不正確さに加えて、車両の向き(進行方向)の推定における誤差もこれに影響を与える。角度誤差は、遠方の対象物を検出する際に特に大きな影響を有する。
【0032】
幾つかの他のコンセプトとは対照的に、本提案のコンセプトは、V2Xメッセージ(CAM、DENM、CPM)を送信する車両の関連付けに焦点を当てることができるだけでなく、CPM対象物、すなわちCPMにおいて送信されておりかつCPM車両のセンサによって検出されている車両の関連付けにも対処することができる。
【0033】
提案のコンセプトは、次の特徴、すなわち
‐CPMメッセージを受信すること110、
‐受信されたCPMメッセージを、例えば履歴を作成するためのテーブルに記憶すること、
‐CPM送信側の車両とそのCPM対象物とをマップ(すなわちV2X環境マップ)上に配置すること120、
‐論理的結合に基づいて(例えばCPM送信側の車両およびCPM対象物と道路進路とを相関させること130、ならびにこれに従ってマップ上の位置を補正すること140により)、車線および位置への割り当てを改善すること、
‐自車両によって検出された車両とV2X環境マップからの対応するCPM対象物とを高レベルで融合させること150、
のうちの1つもしくは複数を含みうる。
【0034】
提案の方法を使用するために、受信側の車両(すなわち車両100)は、
‐CPM、CAMおよびDENMの受信を可能にするV2X受信機ユニット(例えばインタフェース12)、
‐十分な精度を有するデジタルマップ、例えば(道路進路を表現した)高精細マップ、
‐自位置特定のためのシステム(例えばGPS受信機)、
‐対象物検出のためのセンサシステム、例えばカメラ、LiDAR、レーダーなど、
‐環境モデルを計算し、V2X車両およびCPM対象物を関連付けるための計算ユニット(例えば処理モジュール)、
の各装置のうちの1つもしくは複数の部品を含みうる。
【0035】
関連付けを実行するために、以下の措置の1つもしくは複数が講じられる。
【0036】
V2X環境マップを作成することができる。本願の文脈において、V2X環境マップは、それぞれの車両が配置されたマップとしても参照可能である。幾つかの実施形態では、CPMメッセージにおいて参照される車両の位置をV2X環境テーブルに記憶することができ、このV2X環境テーブルを用いてマップを生成することができる。受信されたCPMメッセージに基づいて、送信側の車両の位置(当該車両の信頼度楕円/領域を有する位置)および車両の進行方向をV2X環境テーブルに記憶することができる。さらに、CPM対象物は、CPMにおいて規定されているその信頼度レベルの規定(例えばCPM車両の座標系に対するx方向、y方向およびz方向における信頼度レベルの規定であり、以下では信頼度距離と称する)と共に当該テーブルに記憶することができる。テーブルのための順序基準は、送信者のスードニム(すなわちCPMメッセージに含まれる識別子)および伝送時間でありうる。V2X環境テーブルは周期的に更新されうる。更新は、予め定められた期間、例えば直近の30秒に制限することができる。循環バッファと同様に、不使用の情報を新しい情報によって置き換えることができ、必要に応じて他の場所に格納することができる。V2X環境テーブルの内容はデジタルマップに入力可能である。換言すれば、方法は、1つもしくは複数の集団認識メッセージにおいて受信された位置を使用して、集団認識メッセージを生成するそれぞれの車両と集団認識メッセージを生成する車両によって認識されている1つもしくは複数の別の車両とをマップ上に配置すること120を含む。例えば、1つもしくは複数の集団認識メッセージにおいて受信される位置は、各CPMに対して、CPMを生成する車両の絶対位置と、1つもしくは複数の別の車両のためにCPMを生成する車両の絶対位置に対する1つもしくは複数の相対位置とを含むことができる。例えば、(V2X環境)マップは、1つもしくは複数の道路、交差点、交通インフラストラクチャ(信号機、標識、横断歩道など)、建物などの進路を含む静的マップであってよい。
【0037】
(V2X環境)マップは、車両の軌跡の少なくとも一部に沿った車両環境内の静的対象物および動的対象物を含みうる。軌跡の当該部分は、例えば、車両が次の30秒、1分、5分、10分などにおいて走行を計画している部分であってよい。動的対象物とは、他の道路参加者、歩行者、車両などの持続的に静止していない/固定されていない対象物であるが、移動していく建設工事現場、道路もしくは車線の狭隘部を表す交通標識などの半静的な対象物であることもある。例えばこうした動的対象物は、他車両、歩行者、自転車、道路参加者などとすることができる。環境モデルを決定する際には、モデル内の全ての対象物を同じ信頼度で決定できるわけではない。他よりも高い確実性を達成することができる対象物が存在する。例えば、複数のCPMまたはセンサが所定の対象物を識別もしくは確認することができた場合、その存在および/またはその運動状態は、単一のCPMまたはセンサからのデータのみが対象物を示す場合と比較して潜在的により高い信頼度で決定することができる。
【0038】
CPM送信側の車両では、車両が走行する経路に関する軌跡と信頼度チューブ(すなわち軌跡の周囲の信頼度領域)とを、車両の位置および/または信頼度楕円から導出することができる。換言すれば、方法は、1つもしくは複数の集団認識メッセージにおいて受信された車両の位置を追跡して122、車両の軌跡を決定すること124を含むことができる。例えば、車両の軌跡は、時間の経過に伴う車両の個々の位置から導出することができる。方法は、各位置に対して、当該位置周囲の信頼度領域を決定することを含みうる。例えば、CPMは、当該CPMを生成する車両の絶対位置の信頼度に関する情報を有することができ、これを用いて当該位置周囲の信頼度領域を生成することができる。各CPM対象物が走行した経路に関して、CPMに含まれるx方向、y方向およびz方向の信頼度距離は、信頼度チューブを有する軌跡(すなわち軌跡の周囲の信頼度領域)を生じさせることがある。観察期間の間に信頼度が変化する場合、信頼度チューブの幅を変化させることができる。方法は、軌跡の位置の周囲の信頼度領域に基づき、各軌跡に対して、(例えば位置の周囲の信頼度領域を組み合わせることによって)軌跡の周囲の1つの信頼度領域を決定することを含みうる。これらは、例えば相関を位置もしくは軌跡の周囲の信頼度領域に制限することによって、後にマップ上の位置を補正するために使用されうる。換言すれば、マップ上のそれぞれの位置は、軌跡の周囲の信頼度領域を用いて補正可能である。各信頼度チューブは、CPMと共に送信された位置から得られた軌跡を含みうる。認識されたCPM対象物の軌跡は、その個々の位置から導出可能であり、またはその個々の位置から構成可能である。軌跡は信頼度チューブによって補足することができる。個々のCPMメッセージが受信されなかった場合、例えば平均化によって、欠落した位置を近隣の値から推定もしくは補間することができる。送信側のV2X車両の位置は、CPMにおいて絶対座標として規定可能である。CPM対象物(軌跡、信頼度チューブ)の値は、CPM対象物に対して相対的なものとすることができる。外れ値は破棄することができ、受信されないメッセージのケースに応じて(道路の車線に対する)軌跡および信頼度チューブの最良適合を行うことができる。
【0039】
多くのケースにおいて、軌跡がマップ上の車線に明示的に割り当てられないことがある。したがって、別のステップにおいて、例えばオントロジまたはルールを使用する論理的関係を使用して補正を行うことができ、軌跡および信頼度チューブを移動させることができる。方法は、マップ上の車両の位置とそれぞれの車両が走行している道路進路とを相関させること130を含む。例えば、マップ上の車両の位置と道路進路とを相関させることは、制約に違反することなく、かつ/または論理的関係に従って、例えば車線間もしくは路側を走行することなく、または交通規則に違反することなく、車両を道路進路に最良に適合させるにはどのようにすればよいかを決定することを含みうる。すなわち、道路進路と車両の位置との間の相関に基づいて、それぞれの位置が相応に補正される140。例えば、道路進路と車両の位置との間の相関は、制約および/または論理的関係に最良に適合する道路進路に対する車両の相対位置に関連付けることができる。補正された軌跡/位置の値および/または信頼度チューブの値は、第2のテーブルに記憶することができる。初期の値を有するテーブルは、例えば制御目的またはさらなる補正のために後に利用可能とすることができるよう、保持可能である。各補正の正確性の確率が推定されて記憶され、次いでこれを関連付けの間に処理することができる。
【0040】
例えば(例えばGPSシステムを用いて可能な)自位置の測定誤差によって引き起こされて送信側の車両(すなわちCPMを生成する車両)の位置データに跳躍的変化が生じた場合、軌跡および信頼度チューブのセクションごとの補正を実行することができる。そのCPM対象物の軌跡および信頼度チューブは、相応に補正可能である。
【0041】
CPM車両およびCPM対象物についての補正のために、とりわけ、以下の論理的関係のうちの1つもしくは複数が使用可能である。
【0042】
例えば、補正では、マップ上の通過可能領域および通過不能領域(こちらが図示されている)を考慮することができる。例えば、車両が建物内を通過したり橋の脇を通過したりすることはできない。換言すれば、車両の位置は、道路進路と相関している。マップ上の車両の位置および/または軌跡は、道路の1つもしくは複数の車線に基づいて、道路進路と相関させることができる。付加的にもしくは代替的に、補正により、CPM対象物をグループとして移動させる際の論理的関係を考慮することができる。CPM送信側の車両およびそのCPM対象物は、平行移動および回転により全体としてマップに挿入可能となるグループを形成する。換言すれば、同じ集団認識メッセージに由来するマップ上の車両の位置および/または軌跡は、共に道路進路に相関させることができる。換言すれば、相関中、同じ集団認識メッセージに由来するマップ上の車両の位置および/または軌跡は、相互に相対的にその位置を保持することができる。例えば、同じ集団認識メッセージに由来するマップ上の車両の位置および/または軌跡は、それぞれの車両と道路進路とを相関させるために、マップに対して相対的に共に平行移動させるかつ/または回転させることができる。付加的にもしくは代替的に、補正は、軌跡の形状から得られる論理的関係、例えばカーブの始点などの顕著な点まで走行した半径または距離から得られる論理的関係を考慮することもできる。付加的にもしくは代替的に、補正は、有効な交通規則を考慮することもできる。これらは、妥当性検査のために、かつ補正の正確性の確率を決定するために使用することができる。換言すれば、マップ上の車両の位置および/または軌跡は、道路上での1つもしくは複数の交通規則に基づいて道路進路と相関される。
【0043】
上で指摘したように、位置と道路進路とを相関させる場合、車両の位置だけでなく軌跡も考慮することができる。換言すれば、車両の軌跡は、それぞれの車両が走行している道路進路と相関させることができる130。車両のそれぞれの位置は、道路進路と車両の軌跡との間の相関に基づいて補正することもできる140。
【0044】
V2X環境マップに加えて、別のマップまたはモデルを生成することができ、これは、対象物環境マップとも称されうる。以下では、対象物環境マップの作成について説明する。V2X環境マップを作成するための上記のステップと並行して、車両は、自身のセンサを使用して、その環境内の対象物を定常的に検出することができる。方法は、車両の1つもしくは複数のセンサを介して、車両の近傍の1つもしくは複数の車両の位置を決定すること150を含みうる。例えば、車両は、視覚/光学センサ(カメラ)、レーダーセンサ、超音波センサ、LiDAR(光検出および測距)センサ、または他のセンサを含みうる。対象物環境マップは、車両のセンサデータに基づく車両環境のデジタルモデルであってよい。車両は、当該センサデータを使用して自身の周囲をモデル化することができる。
【0045】
対象物環境マップの生成は、対象物検出における測定の不正確性および自位置決定における不正確性を含みうる。各対象物の位置は、対象物環境テーブルおよび/または対象物環境マップに入力されうる。各車両に対して、走行された観察距離の履歴(軌跡、位置‐時間進行)も記憶することができる。また、自軌跡および自信頼度チューブも対象物環境マップに含まれうる。対象物環境テーブルまたは対象物環境マップは、周期的に更新することができる。
【0046】
以下では、対象物マップからの対象物とV2X環境マップからの対象物との一致確認について論じる。例えば、ここで、対象物環境マップ内の車両が、V2X環境マップの対応する領域からの車両と比較されうる。V2X通信の範囲はセンサ範囲よりも大きいことが多いため、環境マップは、通常、V2X環境マップのサブセットのみを含みうる。センサによって検出された対象物の軌跡とV2X対象物(CAM送信側、DENM送信側、CPM送信側の車両およびCPM対象物)の軌跡とを比較することができる。換言すれば、方法は、マップ上の車両の補正された位置に基づいて、マップ上の車両と当該車両の近傍の1つもしくは複数の車両との間の関係を決定すること160を含みうる。例えば、マップ上の車両を、マップ上の車両の補正された位置に基づいて、当該車両の近傍の1つもしくは複数の車両と一致させることができる。このために、統計的方法を使用することができる。とりわけ、空間進路および速度プロファイルを考慮することができる。定義される閾値(例えば相関の尺度)から割り当てを行うことができ、すなわち、V2X送信機またはCPM対象物を検出された車両に割り当てることができる。こうした割り当てによって、車両クラス(トラック、自動車)など、V2Xメッセージに含まれる情報も考慮することができる。割り当てによって、V2X車両の軌跡の補正の確率を考慮することもできる。センサを介して収集された情報が、V2X環境マップに含まれる情報を拡張するために使用されうる。したがって、方法は、例えばそれぞれの車両の位置および/または軌跡の精度を改善することによって、マップ上の車両と当該車両の近傍の1つもしくは複数の車両との間の決定された関係に基づいて、マップ上の車両に関する情報を補足すること162を含むことができる。
【0047】
CPM対象物は、CAM(Cooperative Awareness Message)送信側の車両、またはDENM(Decentralized Environmental Notification Message)送信側の車両、または他のCPM送信側の車両であることもある。また、複数のCPM送信側の車両によって1つの車両がCPM対象物として識別されている可能性もある。例えば、少なくとも第1の集団認識メッセージを第1の車両から受信し、第2の集団認識メッセージを第2の車両から受信することができる110。したがって、様々な実施形態において、こうした曖昧性を解消し、車両間の一致を判定することがタスクとなりうる。換言すれば、方法は、第1の集団認識メッセージにおいて参照されている車両と第2の集団認識メッセージにおいて参照されている車両とを、それぞれの集団認識メッセージに含まれている位置に基づいてかつ/または車両の補正された位置に基づいて一致させること170を含みうる。様々な実施形態において、この目的のために、補正されたマップエントリを使用することができる。第1のステップにおいて、影響を受けるV2X車両またはCPM対象物を識別することができる。例えば、このために、軌跡および信頼度チューブの空間的近接性または重なりの尺度を用いることができる。次に、同じ対象物であることの妥当性検査を可能とする基準を考慮することができる。適切な基準は、例えば速度‐時間曲線(同時に減速し始める)の比較または車両の向き(進行方向)の変化についての角度‐時間曲線の比較である。さらに、車両クラス(トラック、乗用車)などのV2Xメッセージに含まれる情報を考慮することができる。ここで、統計的手法を用いることができる。定義される閾値(例えば相関の尺度)から割り当てを行うことができる。
【0048】
マップから曖昧性を除去することができる。消去された対象物は、後の検査および補正を可能にするために、別のテーブルに保存することができる。例えば、マップ内に残っている対象物は、複数回検出されたものとしてマークすることができる。幾つかの実施形態では、個々の対象物の複数回の検出はより長い期間にわたって行われうる。なぜなら、例えばこうした結果は、交通および車両の流れが実質的に相互に並行して動作することから生じるからである。この場合、妥当性検査を単純化することができ、例えば周期的な確認として定義される間隔でのみ行うことができる。重複を削除する場合、どの対象物が削除され、どの対象物が保持されているかの評価を行うこともできる。この目的のために、どの情報がより正確である確率が高いかに関しての評価を行うことができる。より不正確なものが削除されうる。幾つかの実施形態では、当該ステップ中に対象物の位置の補正が行われ、補正された値のみがマップに残される。
【0049】
一般的に、各集団認識メッセージは、この集団認識メッセージを生成する車両の識別子を含む。識別子は、(静的であってよいまたは近傍の車両の数に基づいていてもよい)予め定められたスケジュールに従って新たに生成された識別子へと変更可能である。スードニムが(新たな識別子の生成によって)変更された場合、V2X車両は消滅し、新たな車両が作成される。したがって、両方の車両が同一であることを保証するために妥当性検査を行うことができる。方法は、新たに生成された識別子と以前に決定された軌跡とを有する集団認識メッセージにおいて受信された位置間の一致を判定すること126を含みうる。例えば、新たに生成された識別子を有する集団認識メッセージにおいて受信された位置が以前に決定された軌跡の拡張である場合、一致を確認することができる。方法は、それぞれの位置の追跡122、およびその後受信された、新たに生成された識別子を含む集団認識メッセージを用いたそれぞれの軌跡の決定を続行することを含みうる。例えば、新しいスードニムと同じセンサセットおよび同じ古いスードニムで認識されている対象物ならびに道路進路を用いた運転により、新しい車両の再評価が許容されない場合、同一の車両が関与している可能性が高い。
【0050】
生成されたV2X環境は、車両を動作させるために使用可能である。換言すれば、方法は、マップ上の補正された車両の位置を使用して、自律運転モードまたは半自律運転モードで車両を動作させること180を含みうる。例えば、補正された位置を含むマップが車両によって使用されて、車両の近傍の他車両の位置、他車両の(投影された)軌跡および/または他車両までの距離を決定することができ、これを使用して道路上の車両の進路をプロットすることができる。
【0051】
実施形態では、インタフェース12は、アナログまたはデジタルの信号または情報を取得し、受信し、送信しもしくは提供する任意の手段、例えば信号または情報の提供もしくは取得を可能にする任意のコネクタ、コンタクト、ピン、レジスタ、入力ポート、出力ポート、導体、レーンなどに対応することができる。インタフェースは無線または有線とすることができ、別の内部または外部のコンポーネントと信号、情報を通信すなわち送受信するように構成することができる。インタフェース12は、例えば移動通信システムにおいて、通信に従って有効化される別のコンポーネントを有することができ、こうしたコンポーネントは、通信装置(送信機および/または受信機)のコンポーネント、例えば1つもしくは複数の低雑音増幅器(LNA)、1つもしくは複数の電力増幅器(PA)、1つもしくは複数のデュプレクサ、1つもしくは複数のダイプレクサ、1つもしくは複数のフィルタもしくはフィルタ回路、1つもしくは複数のコンバータ、1つもしくは複数のミキサ、相応に適応化された無線周波数コンポーネントなどを含むことができる。インタフェース12は、任意の送信アンテナおよび/または受信アンテナ、例えばホーンアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、セクタアンテナなどに対応することのできる1つもしくは複数のアンテナに接続可能である。アンテナは、定義された幾何学的設定で配置することができ、例えば均一なアレイ、直線的なアレイ、円形アレイ、三角形アレイ、均一なフィールドアンテナ、フィールドアレイ、これらの組み合わせなどで配置することができる。幾つかの実施例では、インタフェース12は、情報の送信もしくは受信もしくは送受信、例えばケイパビリティ、制御情報、ペイロード情報、アプリケーション要件、トリガ指示、要求、メッセージ、データパケット、肯定応答パケット/メッセージなどに関連する情報の送信もしくは受信もしくは送受信の目的に利用することができる。
【0052】
図2aに示されているように、インタフェース12は、装置10における各処理モジュール14に接続されている。実施形態では、処理モジュール14は、1つもしくは複数の処理ユニット、1つもしくは複数の処理デバイス、任意の処理手段、例えばプロセッサ、コンピュータ、または相応に適応化されたソフトウェアによって動作可能なプログラマブルハードウェアコンポーネントを使用して実装されうる。換言すれば、処理モジュール14について説明した機能は、ソフトウェアとして実装されてもよく、この場合、ソフトウェアは、1つもしくは複数のプログラマブルハードウェアコンポーネントにおいて実行される。このようなハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを含みうる。
【0053】
実施形態では、通信、すなわち送信もしくは受信もしくは送受信が、車両間で直接に、かつ/またはモバイル通信装置/車両とネットワークコンポーネント/エンティティ(インフラストラクチャまたはモバイル通信装置、例えば基地局、ネットワークサーバ、バックエンドサーバなど)との間で行われうる。こうした通信は、移動通信システムを利用することができる。こうした通信は、例えばデバイス・ツー・デバイス(D2D)通信によって直接に行うことができ、このデバイス・ツー・デバイス(D2D)通信は、車両のケースでは車車間(V2V)通信またはカー・ツー・カー(C2C)通信も含みうるものであり、移動通信システムの仕様を使用して実行することができる。
【0054】
実施形態では、インタフェース12は、移動通信システムにおいて無線通信を行うように構成することができる。例えば、V2Xが少なくともV2V、V2インフラストラクチャ(V2I)、V2歩行者(V2P)、3GPPリリース14以降に準拠した送信などを含む、ダイレクト・セルラ・ビークル・ツー・エニシング(C-V2X)通信は、インフラストラクチャによって管理され(LTEにおけるいわゆるモード3)、またはUEにおいて実行されうる(LTEにおけるいわゆるモード4)。
【0055】
提案のコンセプトの様々な例には、CPM送信側の車両のトレースと、CPMにおいて記述されている検出された対象物との記録が含まれうる。提案のコンセプトは、マップ上の位置/トレース(V2X環境マップ)の割り当て、ならびにCPM送信側の車両およびCPMにおいて記述されている検出された対象物の双方に関する論理的関係に基づく車線および位置への割り当ての改善を含むことができる。様々な例には、車両センサによって観察される対象物のトレースを記録し、これらのトレースを別のマップ(対象物環境マップ)に割り当てることが含まれうる。提案のコンセプトは、V2X環境マップからの検出された車両と対応する対象物との高レベルでの融合、およびトレースの相関の評価を提供することができる。
【0056】
既に述べたように、実施形態では、それぞれの方法が、それぞれのハードウェアにおいて実行可能なコンピュータプログラムまたはコードとして実装されうる。したがって、別の実施形態は、コンピュータ、プロセッサまたはプログラマブルハードウェアコンポーネントにおいて実行される際に、上記の方法のうちの少なくとも1つを実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラムである。別の実施形態は、コンピュータ、プロセッサまたはプログラマブルハードウェアコンポーネントによって実行される際に、本明細書で説明した方法のうちの1つをコンピュータに実行させるための命令を記憶した、コンピュータ可読記憶媒体である。
【0057】
当業者であれば、プログラミングされたコンピュータにより上述した様々な方法の各ステップを実行でき、例えばスロットの位置を決定もしくは計算できることは容易に理解されよう。本明細書では、幾つかの実施形態は、プログラムストレージデバイス、例えば機械可読もしくはコンピュータ可読であって機械実行可能もしくはコンピュータ実行可能な命令のプログラムを符号化したデジタルデータ記憶媒体もカバーすることを意図しており、ここで、前記命令は、本明細書に記載した方法のステップの一部または全部を実行するためのものである。プログラムストレージデバイスは、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードディスクドライブ、または光学的に読み出し可能なデジタルデータ記憶媒体であってよい。実施形態はまた、本明細書に記載した方法の前記ステップを実行するようにプログラミングされたコンピュータ、または上述した方法の前記ステップを実行するようにプログラミングされた(フィールド)プログラマブルロジックアレイ((F)PLA)もしくは(フィールド)プログラマブルゲートアレイ((F)PGA)をカバーすることも意図している。
【0058】
説明および図面は本発明の基本方式の例示にすぎない。したがって、当業者であれば、本明細書に明示的に説明または図示されていなくても、本発明の基本方式を具現化する様々な装置を考案することができ、またこれらが本発明の思想および範囲に含まれることを理解することができよう。さらに、本明細書に記載した全ての例は、基本的に、本発明の基本方式および発明者が技術促進に寄与するものとしたコンセプトについての読者の理解を助けるための教示の目的のものにすぎないことが明確に意図されており、具体的に言及したこうした例および条件への限定なしに考察されるべきである。さらに、本明細書で言及した本発明の基本方式、態様および実施形態ならびにその特定の例についての本明細書の全ての論述は、これらのものの等価物を包含することが意図されている。各機能は、プロセッサによって提供される場合、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または幾つかの機能を共有することができる複数の個別のプロセッサによって、提供可能である。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」なる用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することのできるハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、以下に限定されるわけではないが、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶する読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および不揮発性ストレージを暗示的に含みうる。他のハードウェア、従来のハードウェアまたはカスタムハードウェアも含まれうる。これらのものの機能は、プログラムロジックの動作を通じて、もしくは専用ロジックを通じて、もしくはプログラム制御と専用ロジックとのインタラクションを通じて、または手動でも実行することができ、文脈からより具体的に理解されるように、当業者が特定の技術を選択することができる。
【0059】
当業者に明らかな通り、本明細書のいずれのブロック図も、本発明の基本方式を具現化した例示的な回路の概念的なビューを表している。同様に、任意のフローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体内に実質的に表現されており、かつコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらずこうしたコンピュータまたはプロセッサによって実行可能である、様々なプロセスを表現していることが理解されよう。
【0060】
さらに、以下の特許請求の範囲はここでの詳細な説明に組み込まれるものであり、各請求項はそれ自体が別個の実施形態として独立しうるものである。各請求項が個別の実施形態として独立しうる一方で、ある従属請求項が特許請求の範囲において1つもしくは複数の他の請求項との特定の組み合わせに言及するとしても、他の実施形態が従属請求項と他の各従属請求項の主題との組み合わせを含んでもよいことに留意されたい。特定の組み合わせを意図しないことが言明されていない限り、このような組み合わせは本明細書で提案されているものとする。さらに、ある請求項が直接に任意の他の独立請求項に従属していない場合であっても、当該独立請求項に対する請求項の特徴も含まれることが意図されている。
【0061】
さらに、明細書または特許請求の範囲に開示されている方法は、これらの方法の対応するステップのそれぞれを実行する手段を有するデバイスによって実装されうることに留意されたい。
【符号の説明】
【0062】
10 装置
12 インタフェース
14 処理モジュール
100 車両
110 1つもしくは複数の集団認識メッセージを受信する
120 車両をマップ上に配置する
122 車両の位置を追跡する
124 車両の軌跡を決定する
126 一致を判定する
130 車両の位置と道路進路とを相関させる
140 それぞれの位置を補正する
150 車両の近傍の車両の位置を決定する
160 関係を決定する
162 情報を補足する
170 車両を一致させる
180 車両を動作させる
200 車両