(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】バルブコア、ピンチバルブおよび電池注液装置
(51)【国際特許分類】
F16K 7/04 20060101AFI20240611BHJP
H01M 50/609 20210101ALI20240611BHJP
【FI】
F16K7/04 A
H01M50/609
(21)【出願番号】P 2022581708
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2021142471
(87)【国際公開番号】W WO2023024380
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】202122035265.3
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523001810
【氏名又は名称】無錫先導智能装備股▲ぶん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100155848
【氏名又は名称】福山 東成
(72)【発明者】
【氏名】蒋 中義
(72)【発明者】
【氏名】孫 建軍
(72)【発明者】
【氏名】孫 一舟
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0087853(US,A1)
【文献】特開2005-207470(JP,A)
【文献】実開平06-001944(JP,U)
【文献】特開平09-199109(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113294550(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101156009(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104712787(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/04
H01M 50/609
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブコアであって、弾性変形可能な本体を備え、前記本体に押出通路と受圧部が形成され、前記本体の両端には前記押出通路に連通する開口を有し、前記押出通路の内壁は対向して配置された2つの半壁構造を含み、前記押出通路の径方向断面内で、互いに垂直に等分する第1軸と第2軸を有し、前記第1軸と前記第2軸と共に円形又は楕円形を規定することができ、2つの前記半壁構造は、前記第2軸の両側に分布し、いずれも前記円形または楕円形の範囲内に位置し、
外力が前記受圧部に作用することで、2つの前記半壁構造を接近させることにより、前記押出通路を閉じることができ
、
前記本体の中央部は内向きに収縮して収縮部を形成し、前記受圧部は前記収縮部に位置し、前記押出通路は前記本体を完全に貫通することなく前記収縮部に対応する位置のみに形成されていることを特徴とするバルブコア。
【請求項2】
前記半壁構造のそれぞれは、第1円弧壁と、前記第1円弧壁の両端に接続されている第2円弧壁とを備え、前記第1円弧壁は前記押出通路の外側に突出し、前記第2円弧壁は前記押出通路の内側に突出し、前記押出通路の径方向断面内で、前記第1軸は前記第1円弧壁を2つのセグメントに分割し、前記第2円弧壁は前記第1円弧壁から離れる延在方向において前記第2軸に向かって徐々に収束することを特徴とする請求項1に記載のバルブコア。
【請求項3】
前記押出通路の半径方向断面内で、2つの前記半壁構造の同一端にある2つの前記第2円弧壁が前記第2軸に延在して接続していることを特徴とする請求項2に記載のバルブコア。
【請求項4】
2つの前記半壁構造の同一端にある2つの前記第2円弧壁が第3円弧壁を介して接続され、前記押出通路の径方向断面内で、前記第2軸は前記第3円弧壁を2つのセグメントに分割し、かつ前記第3円弧壁は前記押出通路の外側に突出することを特徴とする請求項2に記載のバルブコア。
【請求項5】
前記第3円弧壁は、隣接する2つの前記第2円弧壁と滑らかに接続されていることを特徴とする請求項4に記載のバルブコア。
【請求項6】
前記半壁構造のそれぞれは、互いに接続された2つの平面壁を備え、かつ2つの前記平面壁の間の角度は鈍角であることを特徴とする請求項1に記載のバルブコア。
【請求項7】
前記第1軸の長さは、前記第2軸の長さより小さ
いことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のバルブコア。
【請求項8】
ピンチバルブであって、
上記請求項1~6のいずれか1項に記載のバルブコアと、
入液口と出液口とを有する弁体であって、前記バルブコアが前記弁体に収容されかつ両端の前記開口はそれぞれ前記入液口と前記出液口に連通する弁体と、
動力アセンブリと当接部材とを含むアクチュエータであって、前記動力アセンブリが前記当接部材を駆動して、前記受圧部に作用することにより、押出通路を閉じることができるアクチュエータと、を備えることを特徴とするピンチバルブ。
【請求項9】
前記弁体に入気口が設けられ、前記弁体に前記バルブコアの周方向を合囲して配置されたガス室が形成され、前記入気口を介して前記ガス室に通気または排気することで、前記動力アセンブリが前記当接部材を駆動し、前記受圧部に作用させることにより、前記押
出通路を閉じることができることを特徴とする請求項8に記載のピンチバルブ。
【請求項10】
前記当接部材は、前記ガス室の内側壁に穿設されて前記受圧部に当接し、前記動力アセンブリは、
前記ガス室内に取り付けられているピストンと、
前記ピストンの一端に固定され、前記バルブコアの周方向を合囲して配置され、当接斜面を有するガイドスリーブと、
前記ガス室に収容されるとともに前記ガイドスリーブに作用する弾性部材と、を備え、前記当接斜面が前記弾性部材の作用により前記当接部材に当接するとともに、前記当接部材を前記受圧部に作用させて、前記押
出通路を閉じ、
前記ガス室への通気は、前記ピストンを駆動して前記ガイドスリーブを前記弾性部材の弾性力に抗して前記ガス室に沿ってスライドさせ、前記当接部材は後退して、前記押出通路を開放することができることを特徴とする請求項9に記載のピンチバルブ。
【請求項11】
前記第1軸の長さは、前記第2軸の長さより小さ
いことを特徴とする請求項8に記載のピンチバルブ。
【請求項12】
電解液注液装置であって、上記の請求項8に記載のピンチバルブと、注液カップと、注液ノズルとを備え、前記注液カップおよび前記注液ノズルはそれぞれ前記入液口および前記出液口に連通することを特徴とする電解液注液装置。
【請求項13】
前記弁体に入気口が設けられ、前記弁体に前記バルブコアの周方向を合囲して配置されたガス室が形成され、前記入気口を介して前記ガス室に通気または排気することで、前記動力アセンブリが前記当接部材を駆動し、前記受圧部に作用させることにより、前記押
出通路を閉じることができることを特徴とする請求項12に記載の電解液注液装置。
【請求項14】
前記当接部材は、前記ガス室の内側壁に穿設されて前記受圧部に当接し、前記動力アセンブリは、
前記ガス室内に取り付けられているピストンと、
前記ピストンの一端に固定され、前記バルブコアの周方向に沿って配置され、当接斜面を有するガイドスリーブと、
前記ガス室に収容されるとともに前記ガイドスリーブに作用する弾性部材と、を備え、前記当接斜面が前記弾性部材の作用により前記当接部材と当接するとともに、前記受圧部に前記当接部材を作用させて、前記押
出通路を閉じ、
前記ガス室への通気は、前記ピストンを駆動して前記ガイドスリーブを前記弾性部材の弾性力に抗して前記ガス室に沿ってスライドさせ、前記当接部材は後退して、前記押出通路を開放することができることを特徴とする請求項13に記載の電解液注液装置。
【請求項15】
前記第1軸の長さは、前記第2軸の長さより小さ
いことを特徴とする請求項12に記載の電解液注液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年08月26日に出願された出願番号202122035265.3、発明名称「バルブコア、ピンチバルブおよび電池注液装置」の中国特許出願に基づき優先権を主張し、参考として、その全文をここに援用する。
【0002】
本願はバルブ技術分野に関し、特にバルブコア、ピンチバルブおよび電池注液装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ピンチバルブは一般的な流量制御装置として、電池注液などの分野に広く適用されている。ピンチバルブの主要な要素は、弾性変形を生じることができるホース、即ちバルブコアを含む。正常に使用する場合、気動、電動または手動でホースを押圧することにより、ピンチバルブの開閉状態の切り替えを実現することができる。しかしながら、複数回変形すると、ピンチバルブのホースに経年劣化が生じやすくなり、ピンチバルブが効果を失ってしまうことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、上述の問題に対して、使用寿命の長いバルブコア、ピンチバルブおよび電池注液装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
バルブコアであって、弾性変形可能な本体を備え、前記本体に押出通路と受圧部が形成され、前記本体の両端には前記押出通路に連通する開口を有し、前記押出通路の内壁は対向して配置された2つの半壁構造を含み、前記押出通路の径方向断面内で、互いに垂直に等分された第1軸と第2軸を有し、前記第1軸と前記第2軸と共に円形又は楕円形を規定することができ、2つの前記半壁構造は、前記第2軸の両側に分布し、いずれも前記円形または楕円形の範囲内に位置し、
外力が前記受圧部に作用することで、2つの前記半壁構造を接近させることにより、前記押出通路を閉じることができる。
【0006】
一実施形態において、前記半壁構造のそれぞれは、第1円弧壁と、前記第1円弧壁の両端に接続されている第2円弧壁とを備え、前記第1円弧壁は前記押出通路の外側に突出し、前記第2円弧壁は前記押出通路の内側に突出し、前記押出通路の径方向断面内で、前記第1軸は前記第1円弧壁を2つのセグメントに分割し、前記第2円弧壁は前記第1円弧壁から離れる延在方向において前記第2軸に向かって徐々に収束する。
【0007】
一実施形態において、前記押出通路の半径方向断面内で、2つの前記半壁構造の同一端にある2つの前記第2円弧壁が前記第2軸に延在して前記第2軸と接続している。
【0008】
一実施形態において、2つの前記半壁構造の同一端にある2つの前記第2円弧壁が第3円弧壁を介して接続し、前記押出通路の径方向断面内で、前記第2軸は前記第3円弧壁を2つのセグメントに分割し、かつ前記第3円弧壁は前記押出通路の外側に突出する。
【0009】
一実施形態において、前記第3円弧壁は、隣接する2つの前記第2円弧壁と滑らかに接続されている。
【0010】
一実施形態において、前記半壁構造のそれぞれは、互いに接続された2つの平面壁を備え、かつ2つの前記平面壁の間の角度は鈍角である。
【0011】
一実施形態において、前記第1軸の長さは、前記第2軸の長さより小さい。
【0012】
一実施形態において、前記本体の中央部は内向きに収縮して収縮部を形成し、前記受圧部は前記収縮部に位置し、前記押出通路は前記本体が前記収縮部と対応する位置に形成されている。
【0013】
ピンチバルブであって、
上記好ましい実施形態のいずれか1項に記載のバルブコアと、
入液口と出液口とを有する弁体であって、前記バルブコアが前記弁体に収容され、かつ両端の前記開口はそれぞれ前記入液口と前記出液口に連通する弁体と、
動力アセンブリと当接部材とを含むアクチュエータであって、前記動力アセンブリは前記当接部材を駆動して、前記受圧部に作用することにより、押出通路を閉じることができる、アクチュエータと、を備える。
【0014】
一実施形態において、前記弁体に入気口が設けられ、前記弁体に前記バルブコアの周方向を合囲して配置されたガス室が形成され、前記入気口を介して前記ガス室に通気または排気することで、前記動力アセンブリが前記当接部材を駆動して前記受圧部に作用することにより、前記押出通路を閉じることができる。
【0015】
一実施形態において、前記当接部材は、前記ガス室の内側壁に穿設され前記受圧部に当接し、前記動力アセンブリは、
前記ガス室内に取り付けるピストンと、
前記ピストンの一端に固定され、前記バルブコアの周方向に合囲して配置され、当接斜面を有するガイドスリーブと、
前記ガス室に収容されるとともに前記ガイドスリーブに作用する弾性部材と、を備え、前記当接斜面が前記弾性部材の作用により前記当接部材に当接するとともに、前記当接部材を前記受圧部に作用させて、前記押出通路を閉じ、
前記ガス室への通気は、前記ピストンを駆動して前記ガイドスリーブを前記弾性部材の弾性力に抗して前記ガス室に沿ってスライドさせ、前記当接部材は後退して、前記押出通路を開放することができる。
【発明の効果】
【0016】
上記のピンチバルブは、従来のピンチバルブと比較して、少なくとも以下の利点を有する。
【0017】
1.円形または楕円形の流体通路に比べて、前記押出通路は流量がほぼ同じであることを確保する前提で、さらに厚い肉厚を持っているため、バルブコアの本体の耐圧と疲労抵抗性能もより優れて、本体は複数回の開閉切替を経た後でも良好な弾性を維持することができる。このようにして、前記ピンチバルブが長い寿命を有し、バルブコアの経年劣化速度を顕著に遅らせることができる。
【0018】
2.肉厚が厚いため、バルブコアの本体の支持性もより強くなる。ピンチバルブの使用中に、押出通路内の圧力の変化に引き起こされる不必要な変形がバルブコアに生じにくくなり、流量制御の精確さを確保する。
【0019】
3.円形または楕円形の流体通路に比べて、2つの半壁構造が互いに当接して押出通路を閉じる場合、当接部材に必要なストロークが小さいため、上記のピンチバルブの開閉の応答がよりタイムリーである。
【0020】
電解液注液装置であって、上記の好ましい実施形態のいずれか1項に記載のピンチバルブと、注液カップと、注液ノズルとを備え、前記注液カップおよび前記注液ノズルはそれぞれ前記入液口および前記出液口に連通する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願の実施形態または先行技術における発明をより明確に説明するために、以下、実施形態または先行技術の説明において使用する必要のある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施形態にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働を必要としない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0022】
【
図1】本願の好適な実施形態におけるピンチバルブの構造を示す図である。
【
図2】
図1に示すピンチバルブのA-Aに沿った断面図である。
【
図3】
図1に示すピンチバルブが軸線回りに90度回転する構成を示す図である。
【
図4】
図3に示すピンチバルブのB-Bに沿った断面図である。
【
図5】
図1に示すピンチバルブにおけるバルブコアの正面図である。
【
図6】
図5に示すバルブコアのC-Cに沿った断面図である。
【
図7】別の実施形態におけるバルブコアのC-Cに沿った断面図である。
【
図8】第3の実施形態におけるバルブコアのC-Cに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確にわかりやすくするために、以下、添付図面を用いて本願の具体的な実施形態について詳しく説明する。以下の説明では、本願を十分に理解するために、多くの具体的な細部を説明する。しかしながら、本願は、本明細書に記載されているものとは異なる多くの他の方法で実施することができ、当業者は、本願の内容を逸脱することなく類似する改良を行うことができるので、本願は、以下に開示される特定の実施形態に限定されない。
【0024】
本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「上」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などに示される方位または位置関係は、図面に示される方位または位置関係に基づくものであり、指定された装置または要素が特定の方位を有していなければならないこと、特定の方位で構成され、動作されなければならないことを示したり暗示したりするのではなく、単に、本願を説明し、説明を簡略化するためのものであり、したがって本願に対する制限と理解するべきではない。
【0025】
さらに、用語「第1」、「第2」は説明する目的のためだけに使用され、相対的な重要性を示したり暗示したり、示された技術的特徴の数を暗黙的に示したりすると理解してはいけない。従って、「第1」、「第2」を規定する特徴は、少なくとも1つの特徴を明示的または暗黙的に含むことができる。本願の説明において、「複数」とは、特に明確な限定がない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0026】
本願において、特に明確な規定と限定がない限り、用語「取付け」、「つながる」、「接続」、「固定」などの用語は広義に理解するべきである。例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体になっていてもよい。機械的接続でもよいし、電気的接続でもよい。特に明確な限定がない限り、直接的に接続してもよいし、中間媒体を介して間接的に接続してもよいし、2つの要素内部の連通または2つの要素の相互作用関係であってもよい。本明細書における上記用語の具体的な意味は、当業者にとっては、状況に応じて理解するべきである。
【0027】
本願では、特に明確な規定と限定がない限り、第1の特徴は、第2の特徴の「上」又は「下」にある場合、第1及び第2の特徴が直接接触してもよいし、または第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。また、第1の特徴は、第2の特徴の「の上」、「上方」、および「上面」にある場合、第1の特徴は、第2の特徴の真上または斜め上にあるか、または、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より高いことのみを表す。第1の特徴が第2の特徴の「の下」、「下方」、および「下面」にある場合、第1の特徴が第2の特徴の直下または斜め下にあるか、または第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことのみを表す。
【0028】
なお、一つの要素が別の要素に「固定され」または「設置され」と呼ばれる場合、別の要素に直接、または仲介としての要素が存在してもよい。1つの要素が別の要素に「接続」されていると認識される場合、それは別の要素に直接接続されているか、あるいは仲介要素が同時に存在している可能性がある。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」および類似する表現は、説明の目的のためだけであり、唯一の実施形態であることを意味するものではない。
【0029】
図1~
図4を参照して、本願はピンチバルブ10およびバルブコア100を提供する。ここで、ピンチバルブ10は、バルブコア100と、弁体200と、アクチュエータ300とを備える。
【0030】
図5を併せて参照して、バルブコア100は、一般的にゴムなどの弾性材料から成型された弾性変形可能な本体110を備える。本体110は両端が開口した中空構造であり、その両端に開口102が形成されている。本体110に押出通路101および受圧部111が形成され、両端の開口102は押出通路101に連通している。具体的には、押出通路101は、本体110を貫通して一端の開口102から他端の開口102まで延びることができる。また、押出通路101は、受圧部111の位置に対応している、本体110内の中空部分の一部のみであってもよい。
【0031】
受圧部111に作用することで、本体110を変形させて押出通路101を閉じることによって、ピンチバルブ10を閉じることができる。
【0032】
弁体200は、バルブコア100を支持して収容するためのものであり、一般的には両端が開口した筒状構造である。弁体200は、入液口201と出液口202を有し、バルブコア100が弁体200に収容され、かつ両端の開口102はそれぞれ入液口201および出液口202に連通している。電解液のような流体は、入液口201を通ってバルブコア100に入り、押出通路101を流れた後に出液口202から流出することができる。弁体200は、一体成形された構造であってもよいし、複数の部分から組み立てられたものであってもよい。例えば、本実施例では、弁体200はベース210と、筒体230と、上蓋220とを備え、バルブコア100はまずベース210に位置決められ、それから筒体230と上蓋220によって実装することができる。
【0033】
アクチュエータ300は、動力アセンブリ310と当接部材320とを備え、動力アセンブリ310は、受圧部111に当接部材320を作用させる動力を提供することにより、押出通路101を閉じることができる。当接部材320は、棒状、ブロック状などの構造であってもよい。動力アセンブリ310は、電動、気動または手動などの手段で当接部材320を作動させることにより、ピンチバルブ10の開閉状態を制御することができる。
【0034】
再び
図2と
図4を参照して、本実施形態では、弁体200に入気口203が設けられ、弁体200にバルブコア100の周方向を合囲して配置されたガス室204が形成されており、入気口203がガス室204に通気または排気することで、動力アセンブリ310が当接部材320を駆動し、受圧部111に作用することによって、押出通路101を閉じることができる。
【0035】
具体的には、ガス室204は、ベース210と、上蓋220と、筒体230との間に形成されている。また、ベース210と筒体230との間には、ガス室204の気密性を確保するためにシールリング240が配置されている。入気口203を介してガス室204に通気することにより、ガス室204内の気圧が上昇し、これにより、当接部材320を駆動して受圧部111に作用する力を取り消す。入気口203を介してガス室204を排気することによってガス室204内の気圧を低下させることができ、それによって当接部材320を駆動させて受圧部111に作用する。すなわち、ピンチバルブ10の初期状態は常閉状態にあり、入気口203を介してガス室204内に通気してこそ、受圧部111に作用する付勢力を取り除くことができ、さらにピンチバルブ10を開状態に切り替えることができる。
【0036】
当接部材320は、ガス室204の内側壁に穿設され、受圧部111に当接する柱状であってもよい。当接部材320が受圧部111に対して伸縮することにより、受圧部111に外力の作用を施し、さらにピンチバルブ10を閉じたり開いたりすることができる。
【0037】
さらに、本実施形態では、動力アセンブリ310は、ピストン311と、ガイドスリーブ312と、弾性部材313と、を備える。
【0038】
ピストン311は、ガス室204内に取り付けられている。ガス室204にガスを入れた後、ピストン311がガス室204に沿ってスライドすることができる。ガイドスリーブ312はピストン311の一端に固定され、バルブコア100の周方向に合囲して配置され、ガイドスリーブ312は当接斜面3121を有する。弾性部材313は、ガス室204に収容され、ガイドスリーブ312に作用する。具体的には、弾性部材313は圧縮ばねであってもよい。当接斜面3121は、弾性部材313の作用で当接部材320に当接し、当接部材320が受圧部111に作用することによって、押出通路101を閉じる。ガス室204への通気は、ピストン311を駆動して、ガイドスリーブ312を弾性部材313の弾性力に抗してガス室204に沿ってスライドさせ、当接部材320は後退して、押出通路101を開くことができる。
【0039】
図2に示すように、初期状態では、ガイドスリーブ312は弾性部材313の作用でガス室204の下面に当接し、当接斜面3121は、バルブコア100に突出するように当接部材320を駆動し、押
出通路101を閉じてピンチバルブ10を閉じた状態にする。入気口203を介してガス室204にガスを入れた後、ピストン311を上にスライドさせるように駆動する。同時に、当接斜面3121は徐々に当接部材320への押圧を解除し、弁体110は当接部材320を後退させるように復帰することで、ピンチバルブ10を開状態に切り替える。
【0040】
なお、他の実施形態では、ピンチバルブ10の初期状態が常開状態であってもよい。このとき、入気口203を介してガス室204に通気することにより、ガス室204内の気圧を上昇させることができ、これにより、当接部材320が受圧部111に作用するように駆動し、ピンチバルブ10を閉状態に切り替える。
【0041】
図6~
図8を併せて参照して、押出通路101の内壁は対向して配置された2つの半壁構造112を備え、押出通路101の径方向断面内で、互いに垂直に等分された第1軸aと第2軸bを有し、第1軸aと第2軸bと共に円形又は楕円形を規定することができ、2つの半壁構造112は、第2軸bの両側に分布し、かついずれも上記の円形又は楕円形の範囲内に位置している。
【0042】
具体的には、第1軸aと第2軸bと共に規定される円形又は楕円形とは、第1軸aと第2軸bが直径としての円形、または長軸と短軸としての楕円形を意味する。なお、第1軸aと第2軸bはいずれも仮想的な軸線であり、押出通路101内に実在する輪郭線ではない。本実施形態では、第2軸bの長さは第1軸aの長さより大きいので、両者ともに楕円形cを規定することができ、かつ第2軸bと第1軸aはそれぞれ楕円形cの長軸と短軸とすることができる。円形または楕円形の孔に比べて、押出通路101はある程度内側に収縮していることがわかる。
【0043】
ここで、外力が受圧部111に作用して2つの半壁構造112を寄せ合いさせて、押出通路101を閉じることができる。上記の押出通路101は、円形または楕円形の流体通路に比べて、流量がほぼ同じであることを確保する前提で、厚い肉厚を有するため、バルブコア100の本体110の支持性がより強い。ピンチバルブ10の使用中に、押出通路101内の圧力の変化により引き起こさせる不必要な変形がバルブコア100に生じにくく、流量制御の精確さが確保される。厚い肉厚を有するため、バルブコア100の本体110の耐圧及び疲労抵抗性能もより優れて、本体110は複数回の開閉切換の後でも良好な弾性を維持することができる。また、2つの半壁構造112の接続箇所の間隔が小さく、本体110を押圧する際の接続箇所の変形量が小さいため、頻繁な変形による疲労が発生することによる材料の割れと破損および老化を招きにくい。このことから、上記のピンチバルブ10は、さらに長い寿命を有することがわかる。
【0044】
また、円形または楕円形の流体通路に比べて、2つの半壁構造112が互いに当接して押出通路101を閉じると、当接部材320に必要なストロークが小さくなるので、上述のピンチバルブ10の開閉の応答がよりタイムリーになる。
【0045】
具体的には、本実施形態では、第1軸aの長さは、第2軸bの長さより小さい。すなわち、押出通路101はより細長く、流量がほぼ同じであることを確保する前提で、2つの半壁構造112の接続箇所の間の間隔がより小さくなるため、押出通路101を閉じる際に当接部材320に必要なストロークをさらに小さくすることができる。
【0046】
具体的には、本実施形態では、押出通路101の径方向断面内で、2つの半壁構造112は、長軸bを対称軸として軸対称に分布している。このようにして、2つの半壁構造112の対称性がより良くなり、押出通路101を閉じるときにより緊密に嵌合することができ、したがって、ピンチバルブ10が確実に閉鎖したことを保証できる。
【0047】
再び
図5を参照して、本実施例では、本体110の中央部が内側に収縮して収縮部113を形成し、受圧部111が収縮部113に位置し、押出通路101は本体110が収縮部113と対応する位置に形成されている。
【0048】
すなわち、押出通路101は、本体110を完全に貫通することなく、収縮部113に対応する位置にのみ形成されている。収縮部113の径方向寸法は小さく、押出通路101を閉じる必要がある場合、受圧部111は小さく変形するだけでよいので、押圧部320のストロークを著しく減少することができ、それによって上記ピンチバルブ10の開閉中の応答速度をさらに向上させることができる。
【0049】
図6と
図7に示すように、一実施形態では、各半壁構造112は、第1円弧壁1121と、第1円弧壁1121の両端に接続された第2円弧壁1122とを含む。そして、第1円弧壁1121は押出通路101の外側に突出し、第2円弧壁1122は押出通路101の内側に突出する。
【0050】
すなわち、第1円弧壁1121は第2円弧壁1122の湾曲方向と逆であり、第1円弧壁1121は押出通路101を第1円弧壁1121の範囲に対応して外側に膨張させ、大きな流れ面積を有し、一方、第2円弧壁1122は、押出通路101を第2円弧壁1122の領域に対応して内向きに収縮させ、流れ面積を減少させるが、本体110の第2円弧壁1122の領域に対応する肉厚を増加させる。
【0051】
さらに、押出通路101の径方向断面内で、第1軸aは第1円弧壁1121を2つのセグメントに分割し、第2円弧壁1122は第1円弧壁1121から離れる延在方向に第2軸Bに向かって徐々に収束する。
【0052】
第2円弧壁1122は延在方向に第2軸bに向かって徐々に収束することは、第2円弧壁1122は第2軸bに徐々に近づくことを意味する。このように、第2円弧壁1122の延在方向においても、2つの半壁構造112間の間隔は徐々に減少する。また、第1円弧壁1121および第2円弧壁1122は、半壁構造112の内壁をより滑らかにし、押出通路101が閉じたときに2つの半壁構造112をより良好に密着させることができる。
【0053】
再び
図6を参照して、第1の実施形態では、押出通路101の径方向断面内で、2つの半壁構造112の同一端ある2つの第2円弧壁1122が第2軸bまで延在して接続されている。
【0054】
すなわち、上端に位置する2つの第2円弧壁1122は第2軸bの上端まで延びて接続されており、下端に位置する2つの第2円弧壁1122も第2軸bの下端まで延びて接続されていることが図に示されている。このように、2つの半壁構造112はより密着しやすいので、ピンチバルブ10を閉じた後により良好な遮断効果が得られる。あるいは、上端に位置する2つの第2円弧壁1122は第2軸bの上端で接線し、下端に位置する2つの第2円弧壁1122は第2軸bの下端で接線する。
【0055】
再び
図7を参照して、第2の実施形態では、2つの半壁構造112の同一端にある2つの第2円弧壁1122が第3円弧壁114を介して接続され、押出通路101の径方向断面内で、第2軸bが第3円弧壁114を2つのセグメントに分割し、かつ第3円弧壁114が前記押出通路101の外側に突出している。
【0056】
すなわち、2つの半壁構造112の第2円弧壁1122は、第3円弧壁114を介して移行し、2つの第2円弧壁1122の間に角度の小さい折り角度が形成されるのを回避し、押出通路101の内壁はより滑らかになる。このように、押出通路101を流れる流体が押出通路101内に残留することを効果的に回避することができ、押出通路101の流れ面積をある程度増加することもできる。
【0057】
さらに、具体的には、本実施形態では、第3円弧壁114は、隣接する2つの第2円弧壁1122と滑らかに接続されている。このようにすれば、さらに折り角度の発生を回避し、押出通路101の内壁の各所を滑らかな曲面にし、残留の発生をさらに回避することができる。
【0058】
再び
図8を参照して、第3の実施形態では、各半壁構造
112は、互いに接続された2つの平面壁
1123を含み、かつ2つの平面壁
1123の間の角度は鈍角である。
【0059】
このとき、押出通路101は菱形状を呈している。なお、押出通路101は、上記3つの実施形態に示す形状に限定されない。
【0060】
上記の内容に基づいて、本願は電解液注液装置をさらに提供する。この電解液注液装置は、ピンチバルブ10と、注液カップ(図示せず)と、注液ノズル(図示せず)とを備え、注液カップおよび注液ノズルはそれぞれ入液口201および出液口202に連通する。
【0061】
注液カップは電解液を貯蔵するために用いられ、注液ノズルは電池ケース内に電解液を注入するために用いられる。注液操作を行うとき、ピンチバルブ10を開状態に切り替え、注液カップ内の電解液がピンチバルブ10を介して注液ノズルに流し、注液ノズルから注液操作を完了する。ピンチバルブ10は流量制御の精度を確保することができるため、上記の電解液注液装置の注液精度も高い。
【0062】
上記の実施形態の各技術的特徴は、任意の組み合わせが可能であるが、説明を簡潔にするために、上記の実施形態における各技術的特徴の可能な組み合わせのすべてについて説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載された範囲であると考えられるべきである。
【0063】
上記の実施形態は、本願のいくつかの実施形態のみを表しており、その説明はより具体的で詳細であるが、だからと言って特許出願の範囲を制限するものだと理解するべきではない。当業者にとっては、本願の趣旨を逸脱することなく、いくつかの変形および改良を行うことができ、これらは本願の保護範囲に属することを指摘すべきである。したがって、本願特許の保護範囲は添付の特許請求の範囲に準ずるべきである。