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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】遠隔操作装置および手術支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20240611BHJP
【FI】
A61B34/35
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023060141
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2021166866の分割
【原出願日】2017-06-08
(65)【公開番号】P2023078478
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】石原 一樹
(72)【発明者】
【氏名】堀田 志郎
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0025547(US,A1)
【文献】特開平10-230489(JP,A)
【文献】特開平06-148528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30 - 30/37
90/00 - 90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニピュレータに保持された手術器具を操作するための遠隔操作装置であって、
操作者が覗き込んで表示された画像を見るように構成され、前記操作者が片手で把持するための把持部が側部に設けられたスコープ型表示部と、
関節および前記関節をロック状態とするロック機構を含み、前記スコープ型表示部を支持するように構成された表示部支持アームと、
前記ロック機構による前記関節のロック状態を解除するために前記把持部に設けられた解除機構と、を備え、
前記操作者により前記解除機構が操作されている場合、前記ロック機構は、前記関節のロック状態を解除するように構成されており、
前記操作者により前記解除機構が操作されていない場合、前記ロック機構は、前記関節のロック状態を維持するように構成されている、遠隔操作装置。
【請求項2】
前記表示部支持アームは、複数の前記関節および複数の前記ロック機構を含み、前記解除機構が操作されている場合、前記表示部支持アームの全ての前記ロック機構によるロック状態が解除されるように構成されている、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、通電されてない場合に前記関節をロック状態とする電磁ブレーキを含み、
前記解除機構は、前記操作者により操作されている場合、前記電磁ブレーキに通電を行うことにより前記電磁ブレーキによる前記関節のロック状態を解除する、請求項1または2に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記解除機構は、前記操作者により押圧操作されている間、前記ロック機構による前記関節のロック状態を解除するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記表示部支持アームは、前記スコープ型表示部の表示面に対して前記操作者と反対側に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前記解除機構が前記操作者により操作されている場合、前記表示部支持アームは、前記操作者が前記把持部を持って前記スコープ型表示部を移動させることを許容するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項7】
前記手術器具を操作するための操作ハンドルと、
前記操作ハンドルおよび前記表示部支持アームを支持し、上下方向に移動可能な支持部と、
モータおよびエンコーダを含み、前記支持部を上下方向に移動させる駆動部と、を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項8】
前記操作者の腕を支えるアームレストを備え、
前記支持部は、前記操作ハンドル、前記アームレストおよび前記表示部支持アームを上下方向に移動可能に支持する、請求項7に記載の遠隔操作装置。
【請求項9】
前記操作ハンドルによって操作される前記手術器具に動作の指示を行うための操作ペダルを備える、請求項7または8に記載の遠隔操作装置。
【請求項10】
マニピュレータに保持された手術器具を操作するための遠隔操作装置であって、
操作者が覗き込んで表示された画像を見るように構成され、前記操作者が片手で把持するための把持部を側部に備えるスコープ型表示部と、
関節および前記関節をロック状態とするロック機構を含み、前記スコープ型表示部を支持するように構成された表示部支持アームと、
前記ロック機構による前記関節のロック状態を解除するために前記把持部に設けられた解除機構と、を備え、
前記操作者により前記解除機構が操作されている場合、前記表示部支持アームは、前記ロック機構が前記関節のロック状態を解除し、手動によって前記スコープ型表示部を移動させることができるように構成されており、
前記操作者により前記解除機構が操作されていない場合、前記表示部支持アームは、前記ロック機構が前記関節のロック状態を維持し、手動によって前記スコープ型表示部を移動させることができないように構成されている、遠隔操作装置。
【請求項11】
前記表示部支持アームは、前記関節を駆動するためのモータを備えていない、請求項10に記載の遠隔操作装置。
【請求項12】
手術器具を保持するマニピュレータを備えた患者側装置と、前記手術器具を操作するための遠隔操作装置と、を備えた手術支援システムであって、
前記遠隔操作装置は、
操作者が覗き込んで表示された画像を見るように構成され、前記操作者が片手で把持するための把持部が側部に設けられたスコープ型表示部と、
関節および前記関節をロック状態とするロック機構を含み、前記スコープ型表示部を支持するように構成された表示部支持アームと、
前記ロック機構による前記関節のロック状態を解除するために前記把持部に設けられた解除機構と、を備え、
前記操作者により前記解除機構が操作されている場合、前記ロック機構は、前記関節のロック状態を解除するように構成されており、
前記操作者により前記解除機構が操作されていない場合、前記ロック機構は、前記関節のロック状態を維持するように構成されている、手術支援システム。
【請求項13】
前記患者側装置は、内視鏡を保持するマニピュレータをさらに備え、
前記スコープ型表示部は、前記内視鏡で撮影された画像を表示する、請求項12に記載の手術支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠隔操作装置および手術支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、腹腔鏡など様々な手術において手術ロボットが用いられるようになり、手術ロボットの遠隔操作装置の操作性の向上が期待されている。従来、操作者の手術への没入感を高めるため、特許文献1のような、操作者の顔を埋めて覗き込むビューワが設けられた遠隔操作装置を用いることが主流である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/077552号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の遠隔操作装置では、表示部の位置調整はできるものの高さ、奥行き、及び角度をそれぞれ調整するといった単純な調整しかできなかった。また、手術中でも簡単に操作姿勢を変更することはできなかった。
【0005】
この発明は、容易に表示部の位置を変更でき、長時間に及ぶ手術中でも操作姿勢を変更することが可能な遠隔操作装置および手術支援システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の局面による遠隔操作装置は、マニピュレータに保持された手術器具を操作するための遠隔操作装置であって、操作者が覗き込んで表示された画像を見るように構成され、操作者が片手で把持するための把持部が側部に設けられたスコープ型表示部と、関節および関節をロック状態とするロック機構を含み、スコープ型表示部を支持するように構成された表示部支持アームと、ロック機構による関節のロック状態を解除するために把持部に設けられた解除機構と、を備え、操作者により解除機構が操作されている場合、ロック機構は、関節のロック状態を解除するように構成されており、操作者により解除機構が操作されていない場合、ロック機構は、関節のロック状態を維持するように構成されている。
【0007】
この発明の第2の局面による遠隔操作装置は、マニピュレータに保持された手術器具を操作するための遠隔操作装置であって、操作者が覗き込んで表示された画像を見るように構成され、操作者が片手で把持するための把持部を側部に備えるスコープ型表示部と、関節および関節をロック状態とするロック機構を含み、スコープ型表示部を支持するように構成された表示部支持アームと、ロック機構による関節のロック状態を解除するために把持部に設けられた解除機構と、を備え、操作者により解除機構が操作されている場合、表示部支持アームは、ロック機構が関節のロック状態を解除し、手動によってスコープ型表示部を移動させることができるように構成されており、操作者により解除機構が操作されていない場合、表示部支持アームは、ロック機構が関節のロック状態を維持し、手動によってスコープ型表示部を移動させることができないように構成されている。
【0008】
この発明の第3の局面による手術支援システムは、手術器具を保持するマニピュレータを備えた患者側装置と、手術器具を操作するための遠隔操作装置と、を備えた手術支援システムであって、遠隔操作装置は、操作者が覗き込んで表示された画像を見るように構成され、操作者が片手で把持するための把持部が側部に設けられたスコープ型表示部と、関節および関節をロック状態とするロック機構を含み、スコープ型表示部を支持するように構成された表示部支持アームと、ロック機構による関節のロック状態を解除するために把持部に設けられた解除機構と、を備え、操作者により解除機構が操作されている場合、ロック機構は、関節のロック状態を解除するように構成されており、操作者により解除機構が操作されていない場合、ロック機構は、関節のロック状態を維持するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば手術中のような場面であっても、遠隔操作装置の操作者が表示部を自由な位置に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態による遠隔操作装置の概略を示した図である。
図2】第1実施形態による遠隔操作装置を示した斜視図である。
図3】第1実施形態による遠隔操作装置の表示部支持アームを示した図である。
図4】第1実施形態による遠隔操作装置の制御的な構成を示したブロック図である。
図5】第1実施形態による遠隔操作装置の第1形態の状態を示した側面図である。
図6】第1実施形態による遠隔操作装置の第2形態の状態を示した側面図である。
図7】第1実施形態による遠隔操作装置の操作者のモデルを示した図である。
図8】第1実施形態による遠隔操作装置の表示部固定機構および固定解除機構の第1例を説明するための概略図である。
図9】第1実施形態による遠隔操作装置の表示部固定機構および固定解除機構の第2例を説明するための概略図である。
図10】第1実施形態による遠隔操作装置の表示部固定機構および固定解除機構の第3例を説明するための概略図である。
図11】XYZ空間における一平面を例示する斜視図である。
図12】第2実施形態による遠隔操作装置を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[第1実施形態]
(遠隔操作装置の構成)
図1図11を参照して、第1実施形態による遠隔操作装置100の構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、遠隔操作装置100は、患者側システム200に設けられた医療器具(medical equipment)を遠隔操作するために設けられている。患者側システム200によって実行されるべき動作態様指令が術者(surgeon)である操作者Oにより遠隔操作装置100に入力されると、遠隔操作装置100は、動作態様指令をコントローラ206を介して患者側システム200に送信する。そして、患者側システム200は、遠隔操作装置100から送信された動作態様指令に応答して、手術マニピュレータ201に把持された手術器具(surgical instrument)、内視鏡等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。手術支援システムは、遠隔操作装置100と、手術マニピュレータ201を有する患者側システム200とを備えている。なお、遠隔操作装置100は、特許請求の範囲の「医療器具の遠隔操作装置」の一例である。
【0014】
患者側システム200は、患者Pに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側システム200は、患者Pが横たわる手術台300の傍らに配置される。患者側システム200は、複数の手術マニピュレータ201を有し、このうち1つの手術マニピュレータ201が内視鏡201bを把持し、その他の手術マニピュレータ201が手術器具(インストゥルメント201a)を把持する。手術器具(インストゥルメント201a)を把持する手術マニピュレータ201がインストゥルメントアーム201Aとして機能し、内視鏡201bを把持する手術マニピュレータ201がカメラアーム201Bとして機能する。各インストゥルメントアーム201Aおよびカメラアーム201Bは、プラットホーム203に共通に支持されている。複数の手術マニピュレータ201は複数の関節を有し、それぞれの関節には、サーボモーターを含む駆動部と、エンコーダ等の位置検出器とが設けられている。手術マニピュレータ201は、コントローラ206を介して与えられた駆動信号により手術マニピュレータ201に取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。
【0015】
プラットホーム203は、手術室の床の上に載置されたポジショナ202に支持されている。ポジショナ202は、鉛直方向に調整可能な昇降軸を有する柱部204が、車輪を備え床面を移動可能なベース205に連結されている。
【0016】
インストゥルメントアーム201Aは、先端部において、医療器具としてのインストゥルメント201aを着脱可能に保持している。インストゥルメント201aは、インストゥルメントアーム201Aに取り付けられるハウジングと細長形状のシャフトの先端部に設けられたエンドエフェクタを備えている。エンドエフェクタとして、例えば、把持鉗子、シザーズ、フック、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーが挙げられるがこれに限られるものではなく、各種の処置具を適用することができる。患者側システム200を用いた手術において、インストゥルメントアーム201Aは、患者Pの体表に留置したカニューラ(トロカー)を介して患者Pの体内に導入され、インストゥルメント201aのエンドエフェクタが手術部位の近傍に配置される。
【0017】
カメラアーム201Bには、先端部に医療器具としての内視鏡201b(図4参照)が着脱可能に取り付けられる。内視鏡201bは、患者Pの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置100に対して出力される。内視鏡201bとして、3次元画像を撮影することができる3D内視鏡若しくは2D内視鏡が用いられる。患者側システム200を用いた手術において、カメラアーム201Bは、患者Pに体表に留置したトロカーを介して患者Pの体内に導入され、内視鏡201bが手術部位の近傍に配置される。なお、内視鏡201bは、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0018】
遠隔操作装置100は、操作者Oとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置100は、手術マニピュレータ201が把持する医療器具を操作者Oが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置100は、操作者Oによって入力されたインストゥルメント201aおよび内視鏡201bによって実行されるべき動作態様指令をコントローラ206を介して患者側システム200へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置100は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Pの様子がよく見えるように手術台300の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置100は、例えば動作態様指令を無線で送信するようにし、手術台300が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。
【0019】
インストゥルメント201aによって実行されるべき動作態様とは、インストゥルメント201aの動作(一連の位置及び姿勢)及びインストゥルメント201a個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、インストゥルメント201aが把持鉗子である場合には、インストゥルメント201aによって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタの手首のロール回転位置及びピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、インストゥルメント201aが高周波ナイフである場合には、インストゥルメント201aによって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、インストゥルメント201aがスネアワイヤである場合には、インストゥルメント201aによって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。
【0020】
内視鏡201bによって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡201b先端の位置及び姿勢、又はズーム倍率の設定である。
【0021】
遠隔操作装置100には、図1に示すように、カバー101が設けられている。カバー101は、遠隔操作装置100の左右方向(X方向)の側面、背面(Y2方向)側の側面、および上面(Z1方向側の面)を覆うように設けられている。なお、図2以降は、便宜的にカバー101を外した状態の遠隔操作装置100を示す。
【0022】
遠隔操作装置100は、図2および図4に示すように、操作ハンドル1と、操作ペダル部2と、表示部3を支持する表示部支持アーム4と、操作者Oの腕を支えるアームレスト5と、制御装置6と、基台7とを備えている。また、遠隔操作装置100は、姿勢操作部8aと、操作部8bと、操作ハンドル1およびアームレスト5を支持する支持機構9とを備えている。
【0023】
操作ハンドル1は、手術マニピュレータ201が把持する医療器具を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル1は、医療器具(インストゥルメント201a、内視鏡201b)を操作するための操作者Oによる操作を受け付ける。操作ハンドル1は、X方向に沿って一対設けられている。つまり、一対の操作ハンドル1のうちX2方向側(右側)の操作ハンドル1は、操作者Oの右手により操作され、一対の操作ハンドル1のうちX1方向側(左側)の操作ハンドル1は、操作者Oの左手により操作される。
【0024】
また、操作ハンドル1は、支持機構9の支持部91に取り付けられている。また、操作ハンドル1は、遠隔操作装置100の後方(Y2方向)側から、前方(Y1方向)側に向かって延びるように配置されている。支持部91と操作ハンドル1との間には複数の関節が設けられ、操作ハンドル1は支持部91に対して所定の3次元の操作領域A(図5および図6参照)内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル1は、支持部91に対して、上下方向(Z方向)、左右方向(X方向)、および前後方向(Y方向)に動かすことができるように構成されている。支持部91と操作ハンドル1との間の各関節には、各関節の位置関係を検出する図示しない位置検出部が設けられている。この位置検出部は、例えばエンコーダ、レゾルバ、若しくはポテンショメータなどであり、支持部91に対する操作ハンドル1の位置を検出する。
【0025】
遠隔操作装置100と患者側システム200とは、インストゥルメントアーム201Aおよびカメラアーム201Bの動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル1は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成し、医療器具を把持するインストゥルメントアーム201Aおよびカメラアーム201Bはスレーブ側の動作部を構成する。そして、操作ハンドル1を操作者Oが操作すると、操作ハンドル1の動きをインストゥルメントアーム201Aの先端部(インストゥルメント201aのエンドエフェクタ)またはカメラアーム201Bの先端部(内視鏡201b)がトレースして移動するようにインストゥルメントアーム201Aまたはカメラアーム201Bの動作が制御される。
【0026】
また、患者側システム200は、設定された動作倍率に応じてインストゥルメントアーム201Aの動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が1/2倍に設定されている場合、インストゥルメント201aのエンドエフェクタは、操作ハンドル1の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。操作ハンドル1は、基台7に取り付けられ、操作者Oに向かってY方向に延びるように形成されている。
【0027】
操作ペダル部2は、操作者Oの足により操作可能なペダルを含む。各ペダルには、特定の機能が割り当てられ、ある機能では操作ハンドル1によって制御される対象を、複数のインストゥルメントアーム201Aおよびカメラアーム201Bの間で切り替える切替指令を入力することができる。したがって、手術中に視野を変更したい時は、操作ペダル部2を操作して、操作ハンドル1によって制御される対象をインストゥルメントアーム201Aからカメラアーム201Bに切り替え、操作ハンドル1を操作することによって内視鏡201bを移動させることができる。内視鏡201bを移動させた後は、操作ペダル部2を再度操作して、操作ハンドル1によって制御される対象をカメラアーム201Bからインストゥルメントアーム201Aに復帰させ、手術を続行することができる。操作ペダル部2は、足で操作可能なように下方に設けられている。また、操作ペダル部2は、Y方向に移動可能に構成されている。
【0028】
また、操作ペダル部2の他の機能では、インストゥルメントアーム201Aの先端に取り付けられたインストゥルメント201aによる動作の指示を入力することができる。たとえば、操作ペダル部2は、インストゥルメント201aによる手術部位の切断または凝固を行うための操作を入力することができる。たとえば、操作ペダル部2の操作により、インストゥルメント201aに切断用の電圧または凝固用の電圧が印加される。
【0029】
表示部3は、内視鏡201bが撮像した画像を表示することができるものである。表示部3は、スコープ型表示部3aまたは非スコープ型表示部3b(図12参照)からなる。スコープ型表示部3aとは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部3bとは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む概念である。また、スコープ型表示部3aおよび非スコープ型表示部3bは、遠隔操作装置100に選択的に取り付けることが可能に構成されている。図2に示す例では、スコープ型表示部3aが、遠隔操作装置100に取り付けられている。スコープ型表示部3aは、図2に示すように、ディスプレイ31aと、把持部32と、装着部33と、端子34(図4参照)と、角度調整関節35とを含んでいる。また、非スコープ型表示部3bは、図12に示すように、ディスプレイ31bと、把持部32と、装着部33と、端子34(図4参照)と、角度調整関節35とを含んでいる。そして、スコープ型表示部3aまたは非スコープ型表示部3bの装着部33は、遠隔操作装置100の表示部支持アーム4の被装着部41に取り付けられるように構成されている。つまり、遠隔操作装置100に取り付けられたスコープ型表示部3aまたは非スコープ型表示部3bは、表示部支持アーム4により支持されるように構成されている。これにより、没入型の遠隔操作装置および開放型の遠隔操作装置のいずれをも選択することができるので、表示部3に関して汎用性のある遠隔操作装置100を提供することができる。
【0030】
また、手術は通常数時間かかるため、没入型の遠隔操作装置によって長時間作業していると術者が孤独感を感じることがある。しかし、術前または術中に遠隔操作装置を開放型に切り替えることによってチームとして手術を行っている感覚を得やすい態様に変更することができる。
【0031】
さらに、表示部に関して汎用性及び拡張性を有する遠隔操作装置であれば、表示部について故障や損傷が生じても表示部だけの修理で済み、装置全体の交換が不要であるという利点を有する。また、高精細・高画質の表示部が開発されるたびに装置全体を置き換えることなく、表示部をアップグレードすることができるという利点も有する。そして、操作者は、好みのメーカー・仕様(大きさ、形状、操作パネルなど)の表示部を選択することができるという利点も有する。
【0032】
端子34は、たとえば、SDI(シリアルデジタルインターフェース)端子や、アナログのコンポーネント端子、HDMI(登録商標)(高精細度マルチメディアインターフェース)端子、USB(ユニバーサルシリアルバス)端子などの映像を伝送可能な端子を含む。端子34は、制御装置6に接続されている。つまり、端子34に接続線を接続することにより、表示部3に制御装置6から画像情報が送信される。また、端子34から接続線を外すことにより、表示部3を遠隔操作装置100から外すことが可能となる。
【0033】
スコープ型表示部3aが取り付けられた場合、患者側システム200のカメラアーム201Bに把持された内視鏡201bにより撮像された3D画像が表示される。非スコープ型表示部3bが取り付けられた場合にも、患者側システム200に設けられた内視鏡201bにより撮像された3D画像が表示される。なお、非スコープ型表示部3bが取り付けられた場合、患者側システム200に設けられた内視鏡201bにより撮像された2D画像が表示されてもよい。
【0034】
スコープ型表示部3aは、操作者Oが覗き込むタイプのビューワである。また、スコープ型表示部3aは、操作者Oの右目用の画像と、左目用の画像とをそれぞれ表示する。スコープ型表示部3aは、たとえば、ステレオスコープである。つまり、ディスプレイ31aは、左目用のディスプレイと、右目用のディスプレイを含んでいる。また、ディスプレイ31aを覗き込むことにより、左目には右目用のディスプレイが見えず、右目には左目用のディスプレイが見えない。ディスプレイ31aは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにより構成されている。また、ディスプレイ31aに投影型のディスプレイを用いてもよい。
【0035】
非スコープ型表示部3bは、覗き込まなくても見ることが可能な開放型の表示部である。また、非スコープ型表示部3bは、直視タイプの表示部である。つまり、非スコープ型表示部3bのディスプレイ31bは、平面または曲面を有する画面を有している。たとえば、ディスプレイ31bは、対角線が10インチ~90インチのディスプレイを用いることができるが、術野の十分な視認性を確保することと取り替え容易なことのバランスを考えると、15インチ~35インチ程度が適当である。ディスプレイ31bは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにより構成されている。また、ディスプレイ31bに投影型のディスプレイを用いてもよい。なお、内視鏡201bが撮像した画像を操作者Oが立体的に視認するため、偏光グラスを用いる方式、アクティブシャッターグラスを用いる方式等の公知の立体視の方式を適用してもよい。
【0036】
把持部32は、表示部3の取り付け、取り外し、または、位置を移動させる際に把持される。把持部32は、片手により把持可能である。たとえば、把持部32は、取っ手状、凹状、凸状などの形状を有している。把持部32は、ディスプレイ31a(31b)の視認に邪魔にならないように、表示部3の側面または背面に設けられている。なお、把持部32は片手で把持可能であるが、複数設けられていてもよい。例えば、図2に示されるように表示部3の両サイドに把持部32を設け、正面に座った操作者が右手でも左手でも把持できるようにしていてもよい。把持部32には、トリガーレバー321が設けられている。なお、トリガーレバー321は、特許請求の範囲の「解除機構」の一例である。
【0037】
装着部33は、表示部支持アーム4の被装着部41に取り付けられる。つまり、被装着部41は、スコープ型表示部3aおよび非スコープ型表示部3bが選択的に着脱可能に取り付けられる。たとえば、装着部33は、図8に示す第1例のように、係合部331を含んでいる。また、被装着部41は、固定解除ボタン411と、係合部412とを含んでいる。図8(A)に示すように、固定状態では、装着部33の係合部331と、被装着部41の係合部412とが係合し、表示部支持アーム4の被装着部41に対して装着部33が固定される。これにより、表示部3が表示部支持アーム4に固定されて支持される。つまり、係合部331と、係合部412とにより、表示部3(スコープ型表示部3aまたは非スコープ型表示部3b)を固定するための表示部固定機構が構成される。
【0038】
図8(B)に示すように、固定解除ボタン411が下方に押下されると、係合部412が移動して、係合部331と、係合部412との係合が解除される。これにより、被装着部41に対する装着部33の固定状態(ロック状態)が解除される。つまり、固定解除ボタン411は、係合部331および係合部412により構成される表示部固定機構による固定状態を解除する固定解除機構として機能する。また、固定解除機構は、鉛直方向下側への力の作用によって表示部固定機構による固定状態を解除するように構成される。これにより、固定解除機構により表示部固定機構による固定状態を容易に解除することができる。
【0039】
図8(C)に示すように、固定解除機構の鉛直方向下側への作用中に表示部3の把持部32を鉛直方向上側に作用させることにより、表示部3が遠隔操作装置100から取り外される。これにより、鉛直方向下側への解除操作と鉛直方向上側への操作部の持ち上げという反対方向の力を作用させながら表示部3を取り外すため、安定的にまた安全に表示部3を取り外すことができる。表示部3を表示部支持アーム4に対して上方向に離間させて外すことができるので、下方に位置する操作ハンドル1に干渉することなく表示部3を取り外すことができる。
【0040】
表示部固定機構および固定解除機構は、他の構成でもよい。たとえば、図9に示す第2例のようにしてもよい。装着部33は、図9に示す第2例のように、係合部332を含んでいる。また、被装着部41は、係合部413を含んでいる。図9(A)に示すように、固定状態では、装着部33の係合部332と、被装着部41の係合部413とが係合し、表示部支持アーム4の被装着部41に対して装着部33が固定される。具体的には、係合部332が係合部413を挟み込んで把持して係合する。これにより、表示部3が表示部支持アーム4に固定されて支持される。つまり、係合部332と、係合部413とにより、表示部3(スコープ型表示部3aまたは非スコープ型表示部3b)を固定するための表示部固定機構が構成される。
【0041】
図9(B)に示すように、係合部332を両側から押圧すると、係合部332による挟み込みが解除され、係合部332と、係合部413との係合が解除されるこれにより、被装着部41に対する装着部33の固定状態(ロック状態)が解除される。図9(C)に示すように、固定状態が解除されている際に表示部3の把持部32を鉛直方向上側に作用させることにより、表示部3が遠隔操作装置100から取り外される。
【0042】
表示部固定機構および固定解除機構は、さらに他の構成でもよい。たとえば、図10に示す第3例のようにしてもよい。装着部33は、図10に示す第3例のように、切欠き333を含んでいる。また、被装着部41は、固定解除ボタン414と、嵌合部415と、係合部416とを含んでいる。図10(A)に示すように、固定解除ボタン414はバネなどにより鉛直方向上方に付勢され、係合部416は水平方向において嵌合部415から遠ざかる方向に付勢され、固定解除ボタン414の鉛直方向の動作と係合部416の水平方向の動作とは、ギアなどにより連動して動く機構となっている。
【0043】
固定状態では、装着部33の切欠き333と、被装着部41の係合部416とが係合し、表示部支持アーム4の被装着部41に対して装着部33が固定される。これにより、表示部3が表示部支持アーム4に固定されて支持される。つまり、切欠き333と、係合部416とにより、表示部3(スコープ型表示部3aまたは非スコープ型表示部3b)を固定するための表示部固定機構が構成される。
【0044】
図10(B)に示すように、固定解除ボタン414が下方に押下されると、嵌合部415が下方に移動する。これに連動して係合部416が嵌合部415に近づく方向に移動し、係合部416が嵌合部415に嵌まり込む。これにより、切欠き333と、係合部416との係合が解除される。その結果、被装着部41に対する装着部33の固定状態(ロック状態)が解除される。つまり、固定解除ボタン414は、切欠き333および係合部416により構成される表示部固定機構による固定状態を解除する固定解除機構として機能する。また、固定解除機構は、鉛直方向下側への力の作用によって表示部固定機構による固定状態を解除するように構成される。
【0045】
図10(C)に示すように、固定状態が解除されている際に表示部3の把持部32を鉛直方向上側に作用させることにより、表示部3が遠隔操作装置100から取り外される。
【0046】
なお、係合部416は下側寸法が上側寸法より大きな傾斜面を有しているため、装着部33を被装着部41に対して鉛直方向下側へ押し込んだ場合、装着部33が係合部416の傾斜面に当接して係合部416を水平方向の嵌合部415側へ押し込み、所定位置まで移動すると係合部416が切欠き333に嵌合してロックされる固定状態となる。
【0047】
表示部支持アーム4は、図2に示すように、表示部3を支持するように構成されている。表示部支持アーム4は、被装着部41と、アーム部42と、複数の関節43と、平行リンク機構44とを含んでいる。表示部支持アーム4は、一方端に被装着部41が設けられ、他方端が柱45に支持されている。柱45は、支持機構9の支持部91に固定されている。つまり、表示部3は、支持部91により支持されている。表示部支持アーム4は、鉛直方向の回動軸線A1、A2およびA3を中心に回動可能に構成されている。また、表示部支持アーム4は、平行リンク機構44により、被装着部41を上下方向に移動させることが可能に構成されている。つまり、被装着部41は、表示部支持アーム4に4の自由度により支持されている。
【0048】
表示部支持アーム4は、関節43として、関節43aと、関節43bと、関節43cとを含んでいる。関節43a、43bおよび43cには、それぞれ、電磁ブレーキ431として、それぞれ、電磁ブレーキ431a、431bおよび431cが設けられている。平行リンク機構44には、電磁ブレーキ441として、電磁ブレーキ441aが設けられている。なお、関節43a、43b、43c、平行リンク機構44は、特許請求の範囲の「関節」の一例であり、電磁ブレーキ431a、431b、431cおよび441aは、特許請求の範囲の「ロック機構」の一例である。
【0049】
図2に示すように、表示部支持アーム4には、スコープ型表示部3aが取り付けられている。つまり、表示部支持アーム4は、スコープ型表示部3aを支持している。
【0050】
関節43aは、被装着部41と第3リンク48とを、回動軸線A3を中心に回動可能に接続している。関節43bは、第2リンク47と第1リンク46とを、回動軸線A2を中心に回動可能に接続している。関節43cは、第1リンク46と柱45とを、回動軸線A1を中心に回動可能に接続している。平行リンク機構44は、図3に示すように、第3リンク48と第2リンク47とを、回動軸線A1~A3と直交する、水平方向の回動軸線回りのB1方向に回動可能に接続している。
【0051】
電磁ブレーキ431は、関節43をロック状態にするように構成されている。具体的には、電磁ブレーキ431は、通電されていない場合に、回転軸において接続している2つのリンクのうち少なくとも一方を押圧することで関節43の動作を妨げロック状態とする。また、電磁ブレーキ431は、通電されている場合に、電磁石のコイルに磁力が生じ上記第1リンク46を押圧しているブレーキを引き離して関節43のロック状態を解除する。電磁ブレーキ431aは、回動軸線A3において被装着部41を押圧することで、関節43aをロック状態とする。電磁ブレーキ431bは、回動軸線A2において第2リンク47を押圧することで、関節43bをロック状態とする。電磁ブレーキ431cは、回動軸線A1において第1リンク46を押圧することで、関節43cをロック状態とする。
【0052】
電磁ブレーキ441aは、平行リンク機構44をロック状態にするように構成されている。具体的には、電磁ブレーキ441aは、通電されていない場合に、平行リンク機構44を押圧することで、ロック状態とする。また、電磁ブレーキ441aは、通電されている場合に平行リンク機構44のロック状態を解除する。
【0053】
表示部3の把持部32には、電磁ブレーキ431および441のロック状態を解除する解除機構として、トリガーレバー321が設けられている。トリガーレバー321が押下されることにより、対応する電磁ブレーキ431および441に通電されて、ロック状態が解除される。トリガーレバー321は、操作者Oにより操作されることにより、対応する関節(関節43a~43cおよび平行リンク機構44のうち少なくともひとつ)のロック状態を解除する。
【0054】
本実施形態では、例として、トリガーレバー321が、表示部3の左右に1つずつ計2つ設けられている。図2に示すように、トリガーレバー321aは、スコープ型表示部3aの左右に1つずつ設けられている。また、図12に示すように、トリガーレバー321bは、非スコープ型表示部3bの左右に1つずつ設けられている。トリガーレバー321は、把持部32とともに握り込むこと(押圧操作)により、解除操作が行われる。左右のトリガーレバー321の両方が押圧操作されると、全ての関節(関節43a~43cおよび平行リンク機構44)のロック状態が解除され、左右のトリガーレバー321の何れも押圧操作しない、若しくは何れかのみを押圧する場合には、何れの関節のロック状態も解除しない。このような構成であると、1つのトリガーレバー321に意図せずに触れて解除操作を行った場合でも、ロック状態が解除されないので、意図せずに関節43および平行リンク機構44のロック状態が解除されるのを抑制することができる。
【0055】
これにより、左右両方のトリガーレバー321を押圧操作しない状態では、表示部支持アーム4の全ての関節をロックすることができるので、操作ハンドル1の操作中に表示部3の位置がずれるのを抑制することができる。一方、操作ハンドル1の操作を中断し、左右両方のトリガーレバー321を押圧操作した場合には、表示部支持アーム4の全ての関節のロックを解除することにより、操作者Oが表示部3の位置を任意に変えることができるので、簡易に表示部3を任意位置に変更することができる。表示部3は上述したように複数の関節及びリンクにより構成された表示部支持アーム4により支持されているため、特許文献1のような、単に表示部角度調整、高さ方向調整、及び奥行き方向調整が可能な機構と比較して、表示部3の調整範囲が広く、また任意の場所に直線的に表示部3を移動させることができる。また、表示部3に覗き込むタイプのスコープ型表示部3aを用いる場合であっても、スコープ型表示部3aを覗き込みながら左右両方のトリガーレバー321を押圧操作してスコープ型表示部3aを任意の位置に移動させることができるので、表示部3の角度、高さ、奥行きを個別に設定しては顔を埋めて操作姿勢を確認する場合と比べて、感覚的かつ迅速に操作姿勢を変更することができる。
【0056】
以上のように、長時間に及ぶ手術中でも簡単にかつ広い調整範囲で操作姿勢を変更することができるため、操作者の疲労感や同一姿勢をとり続けることによる健康への悪影響を軽減することができる。
【0057】
表示部支持アーム4は、表示部3に対して操作者Oと反対側に配置されている。つまり、表示部支持アーム4は、表示部3に対して後方側(Y2方向側)に配置されている。これにより、表示部支持アーム4と操作者Oとが干渉するのを抑制することができるので、表示部支持アーム4の移動の自由度を効果的に高めることができる。
【0058】
平行リンク機構44は、図3に示すように、電磁ブレーキ441と、リンク442aおよび442bと、ピボット443a、443b、443cおよび443dと、バネ444と、基端部445とを含んでいる。平行リンク機構44は、被装着部41に装着される表示部3を上下方向に並進移動させるように構成されている。つまり、平行リンク機構44は、表示部3の表示面の角度を変えることなく、表示部3を上下方向に移動させるように構成されている。
【0059】
具体的には、平行リンク機構44は、リンク442aは、ピボット443aおよび443dに回動可能に接続されている。また、リンク442bは、ピボット443bおよび443cに回動可能に接続されている。また、リンク442aおよび442bは、互いに平行に配置されている。そして、ピボット443aおよび443bは、鉛直方向に平行な直線上に所定の間隔を隔てて上下方向に並んで配置されている。ピボット443cおよび443dは、鉛直方向に平行な直線上に所定の間隔を隔てて上下方向に並んで配置されている。つまり、ピボット443a~443dは、それぞれ、平行四辺形の頂点に配置されている。言い換えると、ピボット443aおよび443bを結ぶ線と、ピボット443dおよび443cを結ぶ線とは、平行になる。これにより、ピボット443dおよびピボット443cを結ぶ線は、常に鉛直方向と平行となる。これにより、被装着部41を上下方向に移動した場合に、上下方向の角度は同じに保たれる。ただし、平行リンク機構44により、被装着部41を上下方向に移動させた場合、被装着部41の水平方向の位置は、若干変位する。
【0060】
電磁ブレーキ441は、ピボット443aに取り付けられている。つまり、電磁ブレーキ441は、第2リンク47及び平行リンク機構44を押圧することにより、ピボット443aの回動をロックするように構成されている。ピボット443aの回動がロックされた場合、リンク442aおよび442bにより接続されているため、ピボット443b~443dの回動もロックされる。
【0061】
バネ444は、弓型に突出した形状の第2リンク47の基端部445を押圧するように設けられている。バネ444の第2リンク47側の端部が弓型の基端部445を押圧することにより、バネ444の端部が弓型の基端部445に沿って上側へ移動しようとすることにより、平行リンク機構44の第2リンク47とは反対側の端部を上方に回動させる力が作用する。これにより、表示部3を重力に逆らって移動させなければならない場合でも、操作者Oが容易に上方に移動させることが可能である。
【0062】
表示部支持アーム4の関節43および平行リンク機構44とは別個に、表示部支持アーム4と表示部3との間に、表示部3の表示面の角度を調整する角度調整関節35が設けられている。角度調整関節35aは、スコープ型表示部3aをC1方向(図2参照)に回動可能に支持している。また、角度調整関節35bは、非スコープ型表示部3bをC2方向(図12参照)に回動可能に支持している。また、角度調整関節35は、表示部3を表示部支持アーム4から取り外した場合に、表示部3側に配置される。これにより、表示部3の表示面の角度を独立して変更することができるので、表示部3の表示面の角度を容易に調整することができる。
【0063】
なお、表示部支持アーム4は、操作者Oまたは他の者により手動により姿勢を変更させてもよいし、モーター、エンコーダなどの位置検出器、およびブレーキを含む駆動部を設けて動作制御させて姿勢を変更させてもよい。この場合でも、表示部支持アーム4は、手動により移動させることが可能であり、かつ、電動によっても移動させることも可能である。手動で表示部3を動かす場合は、ブレーキが解除された状態で動かすと、手動での動きに合わせてモーターも動き、位置検出器で位置を記憶することが可能である。また、表示部を電動で動かす場合は、ハンドヘルドのようなもので動作指示するようにしてもよい。ハンドヘルドには、ブレーキを解除する解除ボタンを設けておいてもよいし、移動方向指示ボタンの操作で自動的にブレーキが解除されるようになっていてもよい。ハンドヘルドは、たとえば、複数のボタンを有するリモコンにより構成してもよい。また、ハンドヘルドは、ティーチングペンダントにより構成してもよい。また、術者毎に、表示部3の位置(表示部支持アーム4の姿勢)を記憶させておいてもよい。また、立位/座位の変更時に、表示部3の位置(表示部支持アーム4の姿勢)も連動して変更するようにしてもよい。
【0064】
アームレスト5は、操作者Oの腕を支えるように構成されている。アームレスト5は、腕支持部51と、一対の接続部52と、操作部53とを含んでいる。腕支持部51は、操作ハンドル1の手前側(Y1方向側)に配置され、操作者Oの腕を支持するように構成されている。これにより、操作者Oの腕を安定させることができるので、操作者Oによる操作ハンドル1の操作を安定して行うことができる。つまり、エンドエフェクタを細かく動作させる場合でも、操作者Oがアームレスト5に肘等をもたれかけさせて安定させながら操作を行うことができる。また、手術が長時間におよぶ場合でも、操作者Oの負担を軽減することができる。腕支持部51は、X方向に延びるように形成されている。接続部52は、一対設けられている。一対の接続部52は、X方向において腕支持部51を挟み込むように腕支持部51の両端に各々設けられている。接続部52は、腕支持部51を支持するように構成されている。また、接続部52は、Y方向に延びるように形成されている。つまり、接続部52は、Y1方向の端部が腕支持部51に接続されている。また、接続部52は、Y2方向の端部が支持機構9の支持部91に接続されている。つまり、アームレスト5は、支持機構9により支持されている。また、接続部52は、図2に示すように、奥側(Y2方向側)から手前側(Y1方向側)に沿って下方に延びるように形成されていてもよい。また、接続部52は、図5および図6に示すように、奥側(Y2方向側)から手前側(Y1方向側)に沿って上方に延びるように形成されていてもよい。また、接続部52は、水平方向に沿って延びるように形成されていてもよい。操作部53は、遠隔操作装置100の設定を操作することが可能である。たとえば、操作部53により、遠隔操作装置100の姿勢を操作することが可能である。この場合、操作部53は、姿勢操作部8aとして機能する。また、操作部53は、操作部8bとして機能してもよい。操作部53は、たとえば、タッチパネルを含んでいる。
【0065】
図4に示すように、制御装置6は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部61と、ROMおよびRAM等のメモリを有する記憶部62と、画像制御部63とを含んでいる。制御装置6は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。制御部61は、操作ハンドル1により入力された動作態様指令を、操作ペダル部2の切替状態に応じて、インストゥルメントアーム201Aによって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡201bによって実行されるべき動作態様指令であるかを判定する。そして、制御部61は、操作ハンドル1に入力された動作態様指令がインストゥルメント201aによって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をインストゥルメントアーム201Aに対して送信する。これによって、インストゥルメントアーム201Aが駆動され、この駆動によってインストゥルメントアーム201Aに取り付けられたインストゥルメント201aの動作が制御される。
【0066】
また、制御部61は、操作ハンドル1に入力された動作態様指令が内視鏡201bによって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をカメラアーム201Bに対して送信する。これによって、カメラアーム201Bが駆動され、この駆動によってカメラアーム201Bに取り付けられた内視鏡201bの動作が制御される。
【0067】
記憶部62には例えばインストゥルメント201aの種類に応じた制御プログラムが記憶されていて、取り付けられたインストゥルメント201aの種類に応じて制御部61がこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置100の操作ハンドル1及び/又は操作ペダル部2の動作指令が個別のインストゥルメント201aに適合した動作をさせることができる。
【0068】
画像制御部63は、内視鏡201bが取得した画像を表示部3の端子34に伝送する。画像制御部63は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。
【0069】
姿勢操作部8aは、操作ハンドル1と、表示部支持アーム4に支持された表示部3と、アームレスト5とを上下移動させるための操作を受け付けるように構成されている。また、姿勢操作部8aは、遠隔操作装置100を第1姿勢と、第2姿勢との間で変形させる操作を受け付けるように構成されている。
【0070】
つまり、姿勢操作部8aは、遠隔操作装置100の姿勢を立位(第1姿勢)と座位(第2姿勢)とに変更する姿勢変更指令を入力することができる操作部である。姿勢操作部8aは、複数の操作ボタンを有している。
【0071】
支持機構9は、支持部91と、駆動部92とを含んでいる。支持部91は、操作ハンドル1、アームレスト5を支持している。また、支持部91は、表示部支持アーム4を介して表示部3を支持している。駆動部92は、支持部91を上下方向に移動させるように構成されている。具体的には、駆動部92は、たとえば、モーターと、エンコーダとを含み、制御部61の制御により支持部91を上下方向に移動させる。なお、支持機構9は、操作者Oまたは他の者により手動により姿勢を変更させてもよい。また、支持機構9の駆動部92は、空気圧や油圧により駆動してもよい。また、アームレスト5は、支持機構9に対して回動して位置が調整されてもよい。たとえば、アームレスト5は、X方向に沿った回動軸線を中心に回動してもよい。
【0072】
支持機構9は、たとえば、遠隔操作装置100が設置される床面から85cm以上の高さ位置H1に、操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1を位置させて、操作ハンドル1を保持する第1形態(図5参照)と、高さ位置H1から48cm以上下方の高さ位置H2に、操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1を位置させて、操作ハンドル1を保持する第2形態(図6参照)との間で遷移可能に構成されている。これにより、床面から85cm以上の高さ位置H1に、操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1を位置させることにより、操作者Oが立った状態で操作ハンドル1を操作することができる。また、高さ位置H1から48cm以上下方の高さ位置H2に、操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1を位置させることにより、操作者Oが座った状態で操作ハンドル1を操作することができる。これにより、遠隔操作装置100を操作者Oが所望の姿勢で操作することができる。また、操作ハンドル1が支持機構9により支持されるので、操作者Oが操作ハンドル1を支持する必要がない。これにより、操作者Oの負担が増大するのを抑制することができる。また、操作者Oの腕を支えるアームレスト5により、操作者Oの負担をより軽減することができるとともに、操作者Oの腕を安定させることができるので、操作者Oによる操作ハンドル1の操作を安定して行うことができる。
【0073】
また、支持機構9は、遠隔操作装置100が設置される床面から所定の高さ以上に設定された清潔区域に操作ハンドル1の操作領域Aが収まるように操作ハンドル1を保持する第1形態(図5参照)と、清潔区域よりも下方の区域に操作ハンドル1の操作領域Aの少なくとも一部が位置するように操作ハンドル1を保持する第2形態(図6参照)との間で遷移可能に構成されている。
【0074】
ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。そして、塵や埃等の異物が落ちている可能性が高い床面から一定の高さHまでの区域は、原則、汚染区域として扱い、清潔区域から除外される。この区域は、たとえば、床面から約70cmの高さまでの区域である。つまり、清潔区域として、たとえば、遠隔操作装置100が設置される床面から約70cm以上の高さの区域が設定される。操作者Oを含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させるときは、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Oを含む手術チームのメンバーがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。なお、操作ハンドル1は、清潔ではないものとして扱い、清潔区域にあっても、滅菌処理またはドレープの対応をしない場合、操作者Oが操作ハンドル1を操作しながら患者Pにアクセスすることはしない。
【0075】
これにより、床面から所定の高さ以上に設定された清潔区域に操作ハンドル1の操作領域Aが収まるように操作ハンドル1を位置させることにより、操作者Oが清潔区域内から手を出すことなく操作ハンドル1を操作することができる。これにより、たとえば、操作ハンドル1を清潔に処理すれば、操作者Oの手を清潔に保った状態にすることができる。また、清潔区域よりも下方の区域に操作ハンドル1の操作領域Aの少なくとも一部が位置するように操作ハンドル1を保持することにより、操作者Oが座った状態の低い位置において操作ハンドル1を操作することができる。これにより、遠隔操作装置100を操作者Oが所望の姿勢で操作することができる。また、操作ハンドル1が支持機構9により支持されるので、操作者Oが操作ハンドル1を支持する必要がない。これにより、操作者Oの負担が増大するのを抑制することができる。
【0076】
また、支持機構9は、操作ハンドル1を操作者Oが立位で操作するのに適応した位置に操作ハンドル1を保持する第1形態(図5参照)と、操作ハンドル1を操作者Oが座位で操作するのに適応した位置に操作ハンドル1を保持する第2形態(図6参照)との間で遷移可能に構成されている。これにより、遠隔操作装置100を第1形態にすることにより、操作者Oが立った状態で操作ハンドル1を操作することができる。また、遠隔操作装置100を第2形態にすることにより、操作者Oが座った状態で操作ハンドル1を操作することができる。これにより、遠隔操作装置100を操作者Oが所望の姿勢で操作することができる。また、操作ハンドル1が支持機構9により支持されるので、操作者Oが操作ハンドル1を支持する必要がない。これにより、操作者Oの負担が増大するのを抑制することができる。
【0077】
また、支持機構9は、第1形態と第2形態との間で、操作ハンドル1およびアームレスト5の両方を上下方向に移動可能なように構成されている。具体的には、支持機構9は、第1形態と第2形態との間で、操作ハンドル1およびアームレスト5の両方を一体的に上下方向に移動可能なように構成されている。これにより、操作ハンドル1と、アームレスト5とを上下方向に移動させるための部材を別個に設ける場合に比べて、部品点数を減少させることができるので、装置構成を簡素化することができるとともに、装置が大型化するのを抑制することができる。また、支持機構9は、第1形態と第2形態との間で、表示部支持アーム4に支持された表示部3も上下方向に移動可能なように構成されている。つまり、支持機構9は、第1形態と第2形態との間で、操作ハンドル1、アームレスト5および表示部3を一体的に上下方向に移動可能なように構成されている。
【0078】
言い換えると、支持機構9は、内視鏡201bが撮像した画像を表示する表示部3を支持するとともに、第1形態と第2形態のそれぞれにおいて、操作ハンドル1に対する表示部3の相対的な位置を変更可能に表示部3を支持する。具体的には、支持機構9により支持された表示部支持アーム4により、表示部3の位置が操作ハンドル1に対して移動される。これにより、操作者Oの体格や姿勢に応じて、操作ハンドル1に対して表示部3の位置を変更することができるので、表示部3に関して汎用性を高めることができる。
【0079】
また、第1形態および第2形態との間で形態を変形する場合には、操作ハンドル1により患者側システム200を操作することが無効にされるように構成されている。具体的には、第1形態および第2形態との間で形態を変形する場合には、操作ハンドル1による操作が無効化される、または、動作態様指令の送信が無効化されるように構成されている。つまり、制御部61は、第1形態および第2形態との間で形態を変形している際に、操作ハンドル1から指令が送信されたとしても、動作態様指令を患者側システム200に送信しない。これにより、第1形態および第2形態との間で形態を変形させている途中に、操作ハンドル1が意図せずに操作されて、患者側システム200が動作するのを抑制することができる。
【0080】
図5示すように、遠隔操作装置100の姿勢が立位(第1姿勢)の場合、起立した状態の操作者Oがその腕を略直角に曲げた状態で中立位置A0に位置する操作ハンドル1を把持するために適した高さ位置に操作ハンドル1が位置するように設定される。また、起立した状態の操作者Oが表示部3を視認するために適した高さ位置に表示部3が位置するように設定される。たとえば、スコープ型表示部3aが取り付けられている場合、スコープ型表示部3aが操作者Oの目の高さ位置になるように設定される。
【0081】
手術室において、床面から70cmの高さHまでの区域が汚染区域として設定されている場合、人間工学における人間モデルに基づいて設計すると、立位適応形態(第1姿勢)においては、操作ハンドル1の操作領域Aは、全体が床面から70cm以上の清潔区域に収まるよう構成することができる。
【0082】
また、遠隔操作装置100の姿勢が立位(第1姿勢)の場合、操作ペダル部2は、遠隔操作装置100の手前側(Y1方向側)の位置P1に移動される。つまり、起立した状態の操作者Oが、操作ハンドル1に手を触れた状態において、操作ペダル部2に足が届く位置に、操作ペダル部2が移動される。
【0083】
図6に示すように、遠隔操作装置100の姿勢が座位(第2姿勢)の場合、椅子に座った状態の操作者Oがその腕を略直角に曲げた状態で中立位置A0に位置する操作ハンドル1を把持するために適した高さ位置に操作ハンドル1が位置するように設定される。また、椅子に座った状態の操作者Oが表示部3を視認するために適した高さ位置に表示部3が位置するように設定される。たとえば、スコープ型表示部3aが取り付けられている場合、スコープ型表示部3aが操作者Oの目の高さ位置になるように設定される。長時間に及ぶ手術においては、操作者Oは座位で手術を行うことにより、操作者Oの疲労の蓄積を緩和することができる。
【0084】
手術室において、床面から70cmの高さHまでの区域が汚染区域として設定されている場合、人間工学における人間モデルに基づいて設計すると、座位適応形態(第2姿勢)においては、操作ハンドル1の操作領域Aは、少なくとも一部が汚染区域に位置する。
【0085】
また、遠隔操作装置100の姿勢が座位(第2姿勢)の場合、操作ペダル部2は、遠隔操作装置100の後側(Y2方向側)の位置P2に移動される。つまり、椅子に座った状態の操作者Oが、操作ハンドル1に手を触れた状態において、操作ペダル部2に足が届く位置に、操作ペダル部2が移動される。たとえば、操作ペダル部2は、前後方向(Y方向)において、300mm以上移動することが可能に構成されている。好ましくは、操作ペダル部2は、前後方向(Y方向)において、350mm以上移動することが可能に構成されている。これにより、操作ペダル部2を、第1姿勢および第2姿勢のそれぞれに適した位置に容易に移動させることができる。
【0086】
遠隔操作装置100の寸法等を具体的に設計するために、「1988 ANTHROPOMETRIC SURVEY OF U.S. ARMY PERSONNEL:METHODS AND SUMMARY STATISTICS(1988)」に記載されている測定データを用いた。
【0087】
遠隔操作装置100を設計するためにJIS規格を参考にすることができ、例えば、「JIS Z8503-4:2006(ISO 11064-4:2004)人間工学―コントロールセンターの設計―第4部:ワークステーションの配置及び寸法」では5パーセンタイルと95パーセンタイルの人間モデルを使用することが規定されている。
【0088】
操作領域Aは、中立位置A0から上方および下方にそれぞれ15cm、すなわち操作領域Aの高さ方向の寸法は30cmと定義している。これは、腹腔鏡手術時の術具の操作性を良好に保つために設定された術具の動作領域の高さ方向の寸法および操作ハンドル1の動作倍率に基づいて定義されている。この設定された術具の動作領域の高さ方向の寸法は30cmであり、操作ハンドル1の動作倍率は1/2である。したがって、上記術具の動作領域の高さ方向の寸法および操作ハンドル1の動作倍率に基づいて導かれる操作領域Aの高さ方向の寸法は30cmとなる。
【0089】
図7(A)は、操作者Oのモデルを示す図であり、大柄な操作者O1のモデルを示す図である。図7(B)は、操作者Oのモデルを示す図であり、小柄な操作者O2のモデルを示す図である。
【0090】
図7(A)に示すように、大柄な操作者O1のモデルとして、ドイツ人男性の身体データを用いた。ランダムに選択した100人のドイツ人男性のモデルうち、上から5番目のモデルが起立した状態(立位)で腕を直角に曲げて操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1を握る場合の操作ハンドル1の高さ位置は約1176mmであり、操作領域Aの高さ位置の下限は約1026mmであり、上限は約1326mmである。一方、着席した状態で腕を直角に曲げて操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1を握る場合の操作ハンドル1の高さ位置は約703mmであり、操作領域Aの高さ位置の下限は約553mmであり、上限は約853mmである。
【0091】
図7(B)に示すように、小柄な操作者O2のモデルとして、日本人女性の身体データを用いた。ランダムに選択した100人の日本人女性のモデルのうち、下から5番目のモデルが起立した状態で腕を直角に曲げて操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1を握る場合の操作ハンドル1の高さ位置は約992mmであり、操作領域Aの高さ位置の下限は約842mmであり、上限は約1142mmである。一方、着席した状態で腕を直角に曲げて操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1を握る場合の操作ハンドル1の高さ位置は約643mmであり、操作領域Aの高さ位置の下限は約493mmであり、上限は約793mmである。
【0092】
以上のデータに基づき、体格の異なる複数の操作者Oが問題なく立位と座位の姿勢を取ることができる操作ハンドル1の高さ位置は以下の通りである。まず、立位適応形態(第1形態)における操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置は、立位の小柄な操作者O2のモデルに対応する約99cm以上に設定することが好ましい。これによって、ほとんどの操作者Oが立位で操作ハンドル1を快適に操作することができる。この場合、中立位置A0から下方に15cm動かすことができるように構成されている操作ハンドル1において、立位適応形態における操作ハンドル1の操作領域Aの高さ位置の下限は、上記の通り84cm以上である。
【0093】
また、立位適応形態(第1状態)における中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置は、85cm以上に設定することが好ましい。これによって、中立位置A0から下方に15cm動かすことができるように構成されている操作ハンドル1において、立位適応形態における操作ハンドル1の操作領域Aの高さ位置の下限は70cm以上となり、操作ハンドル1の操作領域Aを清潔区域に収めることができる。また、上記したとおり、立位の小柄な操作者O2のモデルに対応する操作領域Aの高さ位置の下限は約84cmであるので、操作領域Aの高さ位置の下限を70cmに設定することで体格差を有する更に多数の操作者Oが立位で操作ハンドル1を快適に操作することができる。
【0094】
次に、座位適応形態(第2状態)における操作領域Aの中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置は、座位の小柄な操作者O2のモデルに対応する約64cm以上に設定することが好ましい。これによって、ほとんどの操作者Oが座位で操作ハンドル1を快適に操作することができる。
【0095】
次に、遠隔操作装置100を立位適応形態と座位適応形態との間で遷移させたときの操作ハンドル1の高さ位置の変位(調整幅)は、立位の小柄な操作者O2のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置約99cmと座位の小柄な操作者O2のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置約64cmとの差である約35cm以上を確保しておくことが好ましい。
【0096】
また、遠隔操作装置100を立位適応形態と座位適応形態との間で遷移させたときの操作ハンドル1の高さ位置の変位は、立位の大柄な操作者O1のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置約118cm(本モデルにおいて、立位適応形態における中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置が最大となる位置)と座位の大柄な操作者O1のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置約70cmとの差である約48cm以上を確保しておくことが好ましい。
【0097】
このように、立位適応形態と座位適応形態との間で遷移させたときの操作ハンドル1の高さ位置の調整幅は、立位適応形態における操作者Oの体格に合わせるために確保しておくことが望ましい調整幅(例えば、大柄な操作者O1のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置と小柄な操作者O2のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置との差の約19cm)や、座位適応形態における操作者Oの体格に合わせるために確保しておくことが望ましい調整幅(例えば、大柄な操作者O1のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置と小柄な操作者O2のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置との差の約6cm)よりも大きくなる。
【0098】
なお、操作ハンドル1の位置を立位の大柄な操作者O1のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置約118cmよりも更に高く設定した場合は、この調整幅はさらに拡大することとなる。そして、立位適応形態における操作ハンドル1の位置の高さ位置から50cm以上を確保しておくことが好ましい。更に、遠隔操作装置100を立位適応形態と座位適応形態との間で遷移させたときの操作ハンドル1の高さ位置の変位は、立位の大柄な操作者O1のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置約118cmと座位の小柄な操作者O2のモデルに対応した中立位置A0に位置する操作ハンドル1の高さ位置約64cmとの差である約54cm以上を確保しておくことが好ましい。なお、操作領域Aの定義に関しても、今回は上下幅を30cmとして考えたが、20cm、25cmや35cmにするなど、操作ハンドル1の大きさなども加味して設計の変更を加えてもよい。
【0099】
[第2実施形態]
次に、図12を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、遠隔操作装置に表示部支持アームが1つ設けられていた上記第1実施形態とは異なり、遠隔操作装置に表示部支持アームが複数取り付けられている構成の例について説明する。
【0100】
第2実施形態の遠隔操作装置400には、図12に示すように、表示部支持アーム4が複数取り付けられている。遠隔操作装置400には、表示部支持アーム4は、表示部支持アーム4aおよび4bを含んでいる。図12に示す例では、遠隔操作装置400の表示部支持アーム4aおよび4bには、それぞれ、表示部3としてのスコープ型表示部3aおよび非スコープ型表示部3bが取り付けられている。2つの表示部3は、左右方向(X方向)に並べて配置されている。なお、表示部支持アーム4aおよび4bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1表示部支持アーム」および「第2表示部支持アーム」の一例である。
【0101】
言い換えると、遠隔操作装置400は、被装着部41が複数(2つ)設けられている。具体的には、遠隔操作装置400は、表示部支持アーム4(4a、4b)が複数(2つ)設けられている。そして、表示部支持アーム4aおよび4bの各々の先端に被装着部41が設けられている。これにより、スコープ型表示部3aおよび非スコープ型表示部3bの両方を遠隔操作装置400に取り付けることができるので、表示部3に関して汎用性を効果的に高めることができる。
【0102】
第2実施形態において、一方に用いられる非スコープ型表示部3bには、予め取得された手術部分の画像、手術状態を示す情報、操作情報のうち少なくとも1つが表示される。たとえば、当該一方の非スコープ型表示部3bには、予め撮像したX線撮像画像や、磁気共鳴画像が表示される。他方(もう一方)のスコープ型または非スコープ型の表示部には内視鏡201bより取得した3D画像又は2D画像を表示する。これにより、操作者Oが主として他方の表示部の内視鏡画像を見ながら、必要に応じて予め取得された手術部分の画像、手術状態を示す情報、操作情報のうち少なくとも1つの補助情報を参照しつつ、手術を行うなどさらに汎用性及び拡張性を拡大することができる。
【0103】
これにより、第2実施形態にかかる遠隔操作装置400は、メインの表示部3としてスコープ型表示部3aまたは非スコープ型表示部3bが選択的に着脱可能に取り付けられるように構成され、さらに補助の表示部として非スコープ型表示部3bが取り付けられている。これにより、没入型の遠隔操作装置および開放型の遠隔操作装置のいずれかを選択可能としつつ、補助情報も参照することができる。また、被装着部を複数設けているので、メインの表示部を左右どちら側に設置するかも自由に選択することができる。
【0104】
表示部支持アーム4aは、関節43として、関節43aと、関節43bと、関節43cとを含んでいる。また、表示部支持アーム4aは、平行リンク機構44として、平行リンク機構44aを含んでいる。関節43a、43bおよび43cには、それぞれ、電磁ブレーキ431として、それぞれ、電磁ブレーキ431a、431bおよび431cが設けられている。平行リンク機構44aには、電磁ブレーキ441として、電磁ブレーキ441aが設けられている。なお、関節43a、43b、43c、平行リンク機構44aは、特許請求の範囲の「関節」および「第1関節」の一例であり、電磁ブレーキ431a、431b、431cおよび441aは、特許請求の範囲の「ロック機構」および「第1ロック機構」の一例である。
【0105】
表示部支持アーム4bは、関節43として、関節43dと、関節43eと、関節43fとを含んでいる。また、表示部支持アーム4bは、平行リンク機構44として、平行リンク機構44bを含んでいる。関節43d、43eおよび43fには、図3に示すように、それぞれ、電磁ブレーキ431として、それぞれ、電磁ブレーキ431d、431eおよび431fが設けられている。平行リンク機構44bには、電磁ブレーキ441として、電磁ブレーキ441bが設けられている。なお、関節43d、43e、43f、平行リンク機構44bは、特許請求の範囲の「関節」および「第2関節」の一例であり、電磁ブレーキ431d、431e、431fおよび441bは、特許請求の範囲の「ロック機構」および「第2ロック機構」の一例である。
【0106】
トリガーレバー321aは、スコープ型表示部3aの左右に1つずつ設けられている。また、トリガーレバー321bは、非スコープ型表示部3bの左右に1つずつ設けられている。トリガーレバー321は、把持部32とともに握り込むことにより、解除操作が行われる。具体的には、トリガーレバー321aは、表示部支持アーム4aの電磁ブレーキ431a~431cおよび441aのロック状態を解除するように構成されている。また、トリガーレバー321bは、表示部支持アーム4bの電磁ブレーキ431d~431fおよび441bのロック状態を解除するように構成されている。つまり、表示部支持アーム4aの関節43a~43cおよび平行リンク機構44aのロック状態と、表示部支持アーム4bの関節43d~43fおよび平行リンク機構44bのロック状態とは、独立して、解除することが可能である。なお、トリガーレバー321aおよび321bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1解除機構」および「第2解除機構」の一例である。
【0107】
図12の例では、2つの被装着部41に、スコープ型表示部3aおよび非スコープ型表示部3bを取り付けているが、2つの被装着部41の両方に、スコープ型表示部3aを取り付けてもよいし、2つの被装着部41の両方に、非スコープ型表示部3bを取り付けてもよい。
【0108】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0109】
(解除機構の変形例)
上述の実施形態では、表示部3の左右2つのトリガーレバー321の両方を押圧操作してはじめて全ての関節(関節43a~43cおよび平行リンク機構44)が解除される例を示したが関節のロック機構を解除する態様はこれに限定されない。
【0110】
例えば、表示部3の左右2つのトリガーレバー321のうち、ひとつのトリガーレバー321のみで全ての関節を解除するように構成してもよい。この場合、操作者Oは片手で表示部3の位置を移動させることができるため、より容易に表示部3の位置を変更することができる。また、操作者Oが左利き又は右利きの何れであっても片手で表示部3の位置を変更することができる。
【0111】
また、トリガーレバー321は表示部3にひとつのみ設けるような構成にしてもよい。このような構成であれば、表示部3周辺の物理的機構が少なくなるため、他の部分との接触を少なくするこができる。用いる表示部3は左利き操作者用、右利き操作者用の何れかを適宜設置すればよい。遠隔操作装置100が表示部3を着脱可能な被装着部を有している場合は、左利き操作者用の表示部と右利き操作者用の表示部を適宜選択して使用することができる。
【0112】
さらに、トリガーレバー321は3つ以上設けられていてもよい。例えば、表示部3の左右に2つのトリガーレバー321を設け、さらにフットペダルのうちのひとつをトリガーレバー321とすると、3つのトリガーレバー321が押圧操作されてはじめて表示部3を移動するようになる。この場合、操作者Oが表示部3の位置を移動させたいというより確実な意思があって初めて表示部3の位置を変更することができる。
【0113】
トリガーレバー321を複数設ける場合、それぞれのトリガーレバー321が解除する関節を別々にしてもよい。例えば、表示部3の左右に2つのトリガーレバー321を設ける場合、左右のトリガーレバーのうち一方が表示部3の水平方向への移動に寄与する関節のうち少なくともひとつ(例えば、関節43aのみ)のロック状態を解除するようにし、左右のトリガーレバーのうち他方が表示部3を鉛直方向への移動に寄与する関節(図3の例では平行リンク機構44)のうち少なくともひとつのロック状態を解除するようにしてもよい。このような構成であれば、これまで説明した複数のトリガーレバーを設ける場合の利点に加えて、表示部3を主として移動させたい方向のみに移動させるという制限を設けることも可能である。また、このような構成であれば、必要な関節のみが動作状態となるため、表示部3の移動に際して表示部支持アーム4への負担も小さくなる。
【0114】
また、表示部支持アーム4の各関節が、モーター、及び位置検出器(例えば、エンコーダ)を有する場合には、表示部3の移動範囲を制御的に制限することが可能である。例えば、表示部3をある平面に沿って並進移動させるように制限することができる。例えば仮に、表示部3の表示面が、図11に示すように、XYZ座標においてXZ平面からX軸を中心に10度傾いた平面PLと平行な状態で表示部支持アーム4に支持されているとすると、制御部61は表示部3を平面PLに沿ってのみ並進移動させることができるように制御することができる。たとえば、角度調整関節35の状態に応じて平面PLが決定されるようにしてもよい。また、操作部8bにより、平面PLを設定可能にしてもよい。つまり、並進させる平面PLの角度を操作部8bから入力することが可能にしてもよい。
【0115】
また、制御部61は、表示部3の位置及び姿勢変更をより安全に行うために、操作ハンドル1が操作されている場合には、トリガーレバー321の押圧操作を検知しても各関節のロック状態を解除しないように制御するようにしてもよい。操作ハンドル1が操作されているか否かは、例えばモーションセンサーにより検知することができる。これにより、一方の手で操作ハンドル1を操作しながら、他方の手でトリガーレバー321を操作するといったようなことを禁止し、医療機器としての安全性を高めることができる。
【0116】
そして以上説明したような解除機構のバリエーションのどれを採用するか、すなわち、解除機構であるトリガーレバー321により関節のロック機構を作動させる条件を、操作部8b(図4参照)により設定できるようにしておくことが好ましい。例えば、以下のような設定をすることが考えられる。
【0117】
(1)複数のトリガーレバー321の全てが解除操作された場合に全ての関節(関節43および平行リンク機構44)のロック状態が解除されるか、または、複数のトリガーレバー321のうち少なくとも1つを解除操作した場合に全ての関節のロック状態が解除されるか
(2)表示部3の左右の離間した位置に各々トリガーレバー321が設けられている場合において、何れのトリガーレバーにより全ての関節のロック状態を解除するか(例えば、左利き操作者用か右利き操作者用か)
(3)複数のトリガーレバー321が設けられている場合に、各トリガーレバーが何れの関節のロック状態を解除するか
(4)表示部3が移動できる範囲(例えば、表示部3の傾きと平行な平面に沿ってのみ移動できる)
(5)複数の表示部支持アーム4が設けられている場合、移動させることができる表示部3の選択
(他の変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0118】
たとえば、上記第1実施形態では、表示部を支持する表示部支持アームが1つ設けられている構成の例を示し、上記第2実施形態では、表示部を支持する表示部支持アームが2つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表示部を支持する表示部支持アームが3つ以上設けられていてもよい。つまり、遠隔操作装置に3つ以上の表示部が設けられていてもよい。
【0119】
また、上記第1および第2実施形態では、表示部支持アームに複数の関節が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表示部支持アームに1つの関節が設けられていてもよい。
【0120】
また、上記第1および第2実施形態では、表示部支持アームに対して表示部が着脱可能である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表示部支持アームに対して表示部が固定的に設けられていてもよい。
【0121】
また、上記第2実施形態では、遠隔操作装置に、スコープ型表示部と非スコープ型表示部とが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、遠隔操作装置に、スコープ型表示部のみが設けられていてもよいし、非スコープ型表示部のみが設けられていてもよい。
【0122】
また、上記第1および第2実施形態では、取り付けられた表示部が遠隔操作装置に対して有線のケーブルにより情報通信可能に接続される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、取り付けられた表示部が遠隔操作装置に対して無線通信により情報通信可能に接続されてもよい。
【0123】
また、上記第1および第2実施形態では、支持機構が、操作ハンドルおよびアームレストを上下方向に移動させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、支持機構が、操作ハンドルおよびアームレストを、上下方向に加えて、水平方向に移動させてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1:操作ハンドル、3:表示部、3a:スコープ型表示部、3b:非スコープ型表示部、4:表示部支持アーム、4a:表示部支持アーム(第1表示部支持アーム)、4b:表示部支持アーム(第2表示部支持アーム)、8b:操作部、9:支持機構、32:把持部、35:角度調整関節、41:被装着部、43:関節、43a、43b、43c:関節(第1関節)、43d、43e、43f:関節(第2関節)、44:平行リンク機構(関節)、44a:平行リンク機構(第1関節)、44b:平行リンク機構(第2関節)、100、400:遠隔操作装置、201b:内視鏡(撮像部)、321:トリガーレバー(解除機構)、321a:トリガーレバー(第1解除機構)、321b:トリガーレバー(第2解除機構)、431:電磁ブレーキ(ロック機構)、431a、431b、431c:電磁ブレーキ(第1ロック機構)、431d、431e、431f:電磁ブレーキ(第2ロック機構)、441:電磁ブレーキ(ロック機構)、441a:電磁ブレーキ(第1ロック機構)、441b:電磁ブレーキ(第2ロック機構)
図1
図2
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図12