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特許7502529決済処理装置、支払処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】決済処理装置、支払処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/24 20120101AFI20240611BHJP
【FI】
G06Q20/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023119396
(22)【出願日】2023-07-21
【審査請求日】2023-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 株式会社三井住友銀行 刊行物名 「iB-tle」請求企業向けチラシ 発行日 令和5年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕行
(72)【発明者】
【氏名】木村 陽介
(72)【発明者】
【氏名】平井 正和
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035271(JP,A)
【文献】特開2020-035268(JP,A)
【文献】特開2020-035269(JP,A)
【文献】特開2020-035270(JP,A)
【文献】特開2020-035370(JP,A)
【文献】特開2010-055178(JP,A)
【文献】特開2017-062550(JP,A)
【文献】特開2019-191916(JP,A)
【文献】NTTデータ smartID,NET B,日本,日経BP社,2002年03月25日,No.93,p.24-27
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備えた決済処理装置であって、
前記記憶部は、第1のユーザ及び第2のユーザ間の取引結果を示す請求データ及び請求明細データを格納しており、
前記制御部は、
前記第1のユーザが選択可能な決済手段として、前記請求明細データに示される支払予定日に行われる口座振替、銀行保証による早期資金化、及び自社保証による早期資金化を提供することと、
前記第1のユーザによって口座振替が決済手段として選択された場合、前記第1のユーザによって選択された請求明細データに基づく口座振替依頼データを生成することと、
前記第1のユーザによって銀行保証による早期資金化決済手段として選択された場合、前記第1のユーザによって選択された請求明細データ及び前記銀行保証を示す第1の値に基づいて早期資金化するための第1の試算依頼を生成し、前記通信部を介して受信した前記第1の試算依頼に対する試算結果を前記第1のユーザのために提供し、前記通信部を介して前記第1のユーザからの、前記第1の試算依頼に対する試算結果についての第1の申込を受信し、前記第1の申込に基づいて前記第1のユーザの口座に対する入金依頼データを生成することと、
前記第1のユーザによって自社保証による早期資金化決済手段として選択された場合、前記第1のユーザによって選択された請求明細データ及び前記自社保証を示す第2の値に基づいて早期資金化するための第2の申込を受信し、前記第2の申込に基づいて前記第1のユーザの口座に対する入金依頼データを生成することと
を実行する決済処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の試算依頼に対する試算結果についての前記第1の申込を受信したという条件で、銀行による保証を受けるための保証申込データを生成する、請求項1の決済処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記決済手段としての前記口座振替を選択するか、または前記決済手段としての前記銀行保証による早期資金化若しくは前記自社保証による早期資金化を選択するための第1のユーザインターフェースを生成することと、
前記第1のユーザインターフェースを介して前記銀行保証による早期資金化または前記自社保証による早期資金化が選択された場合に、請求明細データごとに前記銀行保証または前記自社保証を選択可能とする第2のユーザインターフェースを生成することと、
前記第1のユーザインターフェース及び前記第2のユーザインターフェースを含む入力インターフェースを前記通信部を介して第1のユーザ端末に提供することと
を実行する、請求項1の決済処理装置。
【請求項4】
決済処理装置によって実行される方法であって、
前記決済処理装置は、外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備え、
前記記憶部は、第1のユーザ及び第2のユーザ間の取引結果を示す請求データ及び請求明細データを格納しており、
前記方法は、
前記第1のユーザが選択可能な決済手段として、前記請求明細データに示される支払予定日に行われる口座振替、銀行保証による早期資金化、及び自社保証による早期資金化を提供することと、
前記第1のユーザによって口座振替が決済手段として選択された場合、前記第1のユーザによって選択された請求明細データに基づく口座振替依頼データを生成することと、
前記第1のユーザによって銀行保証による早期資金化決済手段として選択された場合、前記第1のユーザによって選択された請求明細データ及び前記銀行保証を示す第1の値に基づいて早期資金化するための第1の試算依頼を生成し、前記通信部を介して受信した前記第1の試算依頼に対する試算結果を前記第1のユーザのために提供し、前記通信部を介して前記第1のユーザからの、前記第1の試算依頼に対する試算結果についての第1の申込を受信し、前記第1の申込に基づいて前記第1のユーザの口座に対する入金依頼データを生成することと、
前記第1のユーザによって自社保証による早期資金化決済手段として選択された場合、前記第1のユーザによって選択された請求明細データ及び前記自社保証を示す第2の値に基づいて早期資金化するための第2の申込を受信し、前記第2の申込に基づいて前記第1のユーザの口座に対する入金依頼データを生成することと
を備える方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済処理装置、支払処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業間取引(BtoB:Business to Business)の分野において、バイヤー(債務者)からサプライヤー(債権者)に対する支払手段は、振込、口座振替、クレジットカード払いなどが知られており、近年、法人間の支払でもクレジットカードを利用することが増えてきつつある。
【0003】
企業間取引では、サプライヤーとバイヤーの間で締結された契約により、例えば、毎月月末払いなどの支払日が決められている。会社の経営状態によっては、サプライヤーは早期に資金を得たい場合があり、一方、バイヤーは予め決められた支払日を先延ばししたい場合があるが、そのような場合には、相手方の企業に相談して一定の制約条件のもとで早期資金化を行い、及び/または支払先延ばしを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5866418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のクレジットカードの機能では、カード会社の審査に応じた与信額を上限としており、決済金額が大きくなりがちな企業間取引では上限額を超えることもあり、クレジットカード払いをできる取引は限定されていてカード払いを使用しづらかった。クレジットカードの立替期間も約1ヵ月程度と短く、数か月単位での立替は利用できず不便であった。特許文献1は、カード会社の口座に対して事前に振込を行うことでカード上限額を引き上げることを提案しているが、この手法では事前に多額の資金を必要とするため、支払を数カ月単位で引き伸ばしたいユーザにとっては利用し辛かった。
【0006】
従来の早期資金化の申込では、例えば手形や電子記録債権を受領した場合には、サプライヤーは、通常の期日通りの代金回収かウィズリコースのみの早期資金化の選択、カード加盟店での代金回収では全件ウィズアウトリコースのみの早期資金化しかできず、状況に応じて通常の期日通りの回収、ウィズリコース/ウィズアウトリコースの早期資金化を選択することはできず、柔軟性に欠けていた。一方、バイヤーは、支払先延ばしをしたいと思っていても簡単には実現できなかった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、従来の口座振替の支払手段以外にも、保証機能を組み合わせたカード払いの支払手段をバイヤーに提供する決済処理装置、支払処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、従来の支払予定日通りの口座振替による支払以外に、早期資金化の申込と合わせてウィズリコース(自社保証)及びウィズアウトリコース(銀行保証)の一つを選択可能とする決済処理装置、支払処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の決済処理装置は、外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備えた決済処理装置であって、
前記記憶部は、第1のユーザ及び第2のユーザ間の取引結果を示す請求データ及び請求明細データを格納しており、
前記制御部は、
前記第1のユーザが選択可能な支払手段として、前記請求明細データに示される支払予定日に行われる口座振替、第1の保証による第1の早期資金化、及び第2の保証による第2の早期資金化を提供することと、
前記第1のユーザによって口座振替が支払手段として選択された場合、前記第1のユーザによって選択された請求明細データに基づく口座振替依頼データを生成することと、
前記第1のユーザによって第1の保証による第1の早期資金化が支払手段として選択された場合、前記第1のユーザによって選択された請求明細データ及び前記第1の保証を示す第1の値に基づいて早期資金化するための第1の試算依頼を生成することと、
前記第1のユーザによって第2の保証による第2の早期資金化が支払手段として選択された場合、前記第1のユーザによって選択された請求明細データ及び前記第2の保証を示す第2の値に基づいて早期資金化するための第2の試算依頼を生成することと
を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バイヤーは、決済処理装置が許容する保証限度額まで支払先延ばし(金融機関による立替払)を申込むことが可能となり、カード会社の与信額よりも高額の支払が可能となり、保証がつけられる限りはカード会社の与信リスクを外すことができるため数か月単位での立替が可能となる。
【0011】
本発明によれば、サプライヤーは、決済処理装置で3つの資金回収方法を選択することができるようになり、自社の資金繰りや与信管理の状況に応じて、入金日の早期化や与信リスクヘッジを柔軟に使い分けることが可能となる。すなわち、サプライヤーは、資金回収の選択肢として、バイヤーとの決済条件に基づいた入金予定日に収納代行による通常の代金回収、ウィズリコースでの早期資金化、及びウィズアウトリコースでの早期資金化のうちの1つを選択することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書において開示される実施形態の詳細な理解は、添付図面に関連して例示される以下の説明から得ることができる。
図1】決済処理装置10を含むシステム全体の構成図である。
図2】決済処理装置10のシステム構成図である。
図3】ユーザマスタ106のデータ構造の一例を示す図である。
図4】契約/決済情報107のデータ構造の一例を示す図である。
図5】請求データ108のデータ構造の一例を示す図である。
図6】請求明細データ109のデータ構造の一例を示す図である。
図7】口座振替及び振込によりサプライヤー及びバイヤー間で資金移動を行う処理フローを説明する図である。
図8】サプライヤーにとってのファイナンス処理を説明するフロー図である。
図9】バイヤーにとってのファイナンス処理を説明するフロー図である。
図10】早期資金化依頼画面1000の一例を説明する図である。
図11】試算結果表示画面1100の一例を説明する図である。
図12】支払先延ばし依頼画面1200の一例を説明する図である。
図13】試算結果表示画面1300の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る決済処理装置10、サプライヤー端末11、バイヤー端末12、口座振替システム13、ファイナンスシステム14、入金処理システム15、第1の銀行システム16、及び第2の銀行システム17を含むシステム全体の構成図である。
【0014】
決済処理装置10は、インターネットなどの第1のネットワーク21を介してサプライヤー端末11及びバイヤー端末12と相互に通信可能に接続されている。決済処理装置10は、インターネットあるいはLANやWANなどの第2のネットワーク22を介して口座振替システム13、ファイナンスシステム14、入金処理システム15、第1の銀行システム16、及び第2の銀行システム17と相互に通信可能に接続されている。
【0015】
本明細書では、決済処理装置10を1つのシステムあるいは装置として説明するが、決済処理装置10によって実行される様々な処理を複数のシステムあるいは装置で分散して実行するように構成してもよい。図1では、説明の簡便化のため、サプライヤー端末11及びバイヤー端末12は1つずつしか示されていないが、これらは複数存在し得る。
【0016】
サプライヤー端末11は、企業間取引におけるサプライヤーによって使用される端末である。サプライヤー端末11は、通信機能やWebブラウザによるデータ編集・閲覧機能を備えたパーソナルコンピュータ(PC)やタブレット型端末などのコンピュータとすることができるが、特定の装置やデバイスに限定されることはない。
【0017】
バイヤー端末12は、企業間取引におけるバイヤーによって使用される端末である。バイヤー端末12は、通信機能やWebブラウザによるデータ編集・閲覧機能を備えたパーソナルコンピュータ(PC)やタブレット型端末などのコンピュータとすることができるが、特定の装置やデバイスに限定されることはない。
【0018】
口座振替システム13、ファイナンスシステム14、及び入金処理システム15は、所定の処理を実行するためのシステムであり、金融機関の外部システムまたはサブシステムであってよく、後述するような機能を提供する。
【0019】
第1の銀行システム16及び第2の銀行システム17は、金融機関によって制御される勘定系システムなどの銀行システムである。第1の銀行システム16は、サプライヤー取引銀行のシステムであり、第2の銀行システム17は、バイヤー取引銀行のシステムである。サプライヤー取引銀行及びバイヤー取引銀行が同一金融機関となる場合には、第1の銀行システム16及び第2の銀行システム17は同一のシステムである。
【0020】
決済処理装置10は、企業間取引の決済関連処理のために使用される装置であり、本願明細書で説明するような、基盤データの登録処理、決済処理、ファイナンス処理、保証処理、入金処理などをサポートする様々な機能を、ウェブベースの統一されたインターフェースを介してサプライヤー端末11及びバイヤー端末12に提供する。以下、決済処理装置10によって提供される様々な機能を説明する。
【0021】
(基盤データの登録処理)
本明細書において「基盤データ」は、サプライヤー及びバイヤーに関連するユーザ情報及び企業間取引の契約情報、並びに企業間取引の実態を示す情報(例えば、売上データ)を指す。決済処理装置10は、サプライヤー及びバイヤーのそれぞれに対してIDを発行し、サプライヤー及びバイヤーに関連する情報を受信してユーザ情報として記憶する。決済処理装置10は、締日、売上データ登録日、支払日などの決済関連の契約情報をサプライヤー端末11から受信して記憶する。
【0022】
決済処理装置10は、サプライヤー端末11から受信した売上データと、ユーザ情報及び契約情報とに基づいて予め定められたタイミングで未承認請求データを生成してサプライヤー端末11に提供する。決済処理装置10は、未承認請求データがサプライヤー端末11によって承認されたことに応答して、当該未承認請求データをバイヤー端末12に提供する。バイヤーは、当該未承認請求データの内容を確認してバイヤー端末12を介して承認すると、当該データは、承認済請求データとして決済処理装置10によって扱われる。承認済の請求データは、サプライヤー及びバイヤーの決済口座、サプライヤー及びバイヤー間の契約情報に基づく支払日などの情報を含んでいる。このため、バイヤーは、実際に支払を行う前に、支払額及び支払日を事前に確認することができる。以下の記載では、承認済請求データのことを単に「請求データ」あるいは「請求明細データ」と呼び、承認されていない請求データのことを「未承認請求データ」あるいは「未承認請求明細データ」と呼ぶこととする。
【0023】
(決済処理)
決済処理装置10は、請求データ及び請求明細データの金額情報とサプライヤー及びバイヤーの口座情報とに基づいて口座振替請求データを生成する。決済処理装置10は、口座振替請求データを口座振替請求データによって示される引落日に処理が行われるように口座振替システム13に送信する。口座振替請求データは、引落日、引落口座、入金口座、引落金額などの情報を含んでおり、口座振替システム13は、口座振替請求データを受信すると即座に(引落日は当日あるいは翌営業日にセット)、口座振替電文を生成して第2の銀行システム17に対して送信する。
【0024】
第2の銀行システム17は、口座振替処理を実行し、資金は、口座振替システム13を管理する決済代行業者の口座に送金される。決済処理装置10は、口座振替請求データのサプライヤー口座の情報に基づいて、決済代行業者の口座からサプライヤー口座への資金移動を示す振込電文を生成し、第1の銀行システム16に送信する。その後、第1の銀行システム16がサプライヤー口座に対する入金処理を実行する。
【0025】
(ファイナンス処理、入金処理、保証処理)
ファイナンスとは、金融機関による立替払のことであり、ファイナンスの種類として、サプライヤー(債権者)にとっての早期資金化、及びバイヤー(債務者)にとっての支払先延ばしがある。
【0026】
ファイナンスの一形態である早期資金化に関して、決済処理装置10は、支払日が到来していない請求データ及び請求明細データを、決済処理装置10が提供する画面インターフェース上でサプライヤー端末11に提供する。決済処理装置10は、サプライヤー端末11によって選択された請求明細データについてファイナンス希望の旨をサプライヤー端末11から受信すると、当該請求明細データに基づいて試算依頼データを生成してファイナンスシステム14に送信する。ファイナンス希望は、それぞれの明細データについて銀行保証(ウィズアウトリコース)及び自社保証(ウィズリコース)のいずれかの選択情報を含む。ファイナンスシステム14は、請求明細データの内容及び保証の情報に基づいて早期資金化の試算を行い、試算結果を決済処理装置10に送信する。決済処理装置10は、試算結果を別の画面インターフェース上でサプライヤー端末11に提供する。
【0027】
決済処理装置10は、試算結果を提供後にサプライヤー端末11から早期資金化申込データを受信すると、当該申込データに基づいて入金依頼データを生成し、入金処理システム15に送信する。入金処理システム15は、入金依頼データに基づいて振込電文を生成して第1の銀行システム16に送信する。第1の銀行システム16は、振込電文に基づいてサプライヤー口座に対して入金処理を行う。また、決済処理装置10は、当該申込データに基づいて口座振替請求データを生成し、口座振替システム13に送信する。その後、上述したように、元々の支払予定日に口座振替処理が行われる。口座振替処理後には、サプライヤー口座宛の入金処理は行われない。
【0028】
ファイナンスの他の形態である支払先延ばしに関して、決済処理装置10は、支払日が到来していない請求データ及び請求明細データを、決済処理装置10が提供する画面インターフェース上でバイヤー端末12に提供する。決済処理装置10は、バイヤー端末12によって選択された請求明細データ及び希望支払日についてのファイナンス希望の旨をバイヤー端末12から受信すると、当該請求明細データ及び希望支払日に基づいて試算依頼データを生成してファイナンスシステム14に送信する。ファイナンスシステム14は、請求明細データの内容及び希望支払日の情報に基づいて支払先延ばしの試算を行い、試算結果を決済処理装置10に送信する。決済処理装置10は、試算結果を別の画面インターフェース上でバイヤー端末12に提供する。
【0029】
決済処理装置10は、試算結果を提供後にバイヤー端末12から支払先延ばし申込データを受信すると、当該申込データに基づいて入金依頼データを生成し、入金処理システム15に送信する。入金処理システム15は、入金依頼データに基づいて振込電文を生成して第1の銀行システム16に送信する。第1の銀行システム16は、振込電文に基づいてサプライヤー口座に対して入金処理を行う。この入金は、元々の支払予定日に行われる。また、決済処理装置10は、当該申込データに関連付けられる請求明細データに基づいて口座振替請求データを生成し、口座振替請求データによって示される引落日に処理が行われるように口座振替システム13に送信する。この引落日は、バイヤーが設定した希望支払日である。口座振替処理後には、サプライヤー口座宛の入金処理は行われない。
【0030】
なお、ファイナンス処理における振込電文の振込元口座は、入金処理システム15を管理する事業者の銀行の口座であり、口座振替処理における入金口座は、決済代行業者の口座である。
【0031】
さらに、決済処理装置10は、早期資金化申込データまたは支払先延ばし申込データを受信すると、それぞれの申込に対応する保証申込データを生成してファイナンスシステム14に送信する。ファイナンスシステム14は、保証申込データに基づいて早期資金化あるいは支払先延ばしについての保証取組の処理を実行する。
【0032】
(金融機関の外部システムまたはサブシステムの機能)
口座振替システム13は、受信した口座振替請求データに基づいて、バイヤー口座を有する金融機関の第2の銀行システム17に対してバイヤー口座から資金を引き落とす口座振替処理を依頼し、第2の銀行システム17は、引き落とした資金を所定の口座に資金移動する。受信した口座振替請求データは、契約情報に含まれる支払予定日、すなわち、口座振替請求データを受信した当日(あるいは翌営業日)、またはバイヤー希望のファイナンス(立替払)依頼の際に指定した希望支払日に口座振替が実行されることを示してもよい。
【0033】
ファイナンスシステム14は、ファイナンス希望のあった請求明細データ及び保証の情報に基づいて試算を行い、早期資金化に対する試算結果を決済処理装置10に提供する。ファイナンスシステム14は、ファイナンス希望のあった請求明細データ、保証の情報及びバイヤーが指定した希望支払日に基づいて試算を行い、支払い先延ばしに対する試算結果を決済処理装置10に提供する。ファイナンスシステム14は、保証申込データに基づいて保証取組の処理を実行する。
【0034】
入金処理システム15は、決済処理装置10から受信した入金依頼データに基づいて振込電文を生成し、入金依頼データに含まれる振込先口座に対応する金融機関のシステム、例えば、サプライヤー口座を有する第1の銀行システム16に振込電文を送信して入金処理を実行する。
【0035】
(決済処理装置10のシステム構成)
次に、決済処理装置10のシステム構成を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る決済処理装置10のシステム構成図である。図2に示すように、決済処理装置10は、一般的なコンピュータと同様に、バス120などによって相互に接続された制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、IF部104、及び出力部105を備える。補助記憶部103は、決済処理装置10の各機能を実装するプログラム、及び当該プログラムで取り扱うデータを格納する。補助記憶部103は、ファイル/データベースなどの形式で、ユーザマスタ106、契約/決済情報107、請求データ108、及び請求明細データ109を備える。決済処理装置10は、ユーザマスタ106、契約/決済情報107、請求データ108、及び請求明細データ109に格納されている情報を読み出し、編集し、あるいは更新できる。補助記憶部103に格納されている各種プログラムは、決済処理装置10によって実行される。
【0036】
制御部101は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、決済処理装置10の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部103に格納されている各種プログラムを主記憶部102に読み出して実行する。主記憶部102は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令及び当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。補助記憶部103は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。
【0037】
図2の実施形態は、制御部101、主記憶部102及び補助記憶部103を同一のコンピュータの内部に設ける実施形態について説明するが、他の実施形態として、決済処理装置10は、制御部101、主記憶部102及び補助記憶部103を複数個使用することにより、複数のコンピュータによる並列分散処理を実現するように構成することもできる。他の実施形態として、決済処理装置10のための複数のサーバを設置し、複数サーバが一つの補助記憶部103を共有する実施形態にすることも可能である。
【0038】
IF部104は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェース(IF)の役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供する。出力部105は、処理されたデータを表示する表示画面や当該データを印刷するための印刷手段などを提供する。
【0039】
ユーザマスタ106は、本発明に係る決済処理装置10を利用するサプライヤー及びバイヤーなどのユーザの情報を格納する。図3は、本発明の実施形態に係るユーザマスタ106のデータ構造の一例を示す図である。ユーザマスタ106は、ユーザID301、ユーザ名称302、及びユーザ情報303を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0040】
ユーザID301は、本発明に係る決済処理装置10を利用するユーザ(企業、企業内の任意の部署など)を識別する識別子である。ユーザは、企業間取引においてサプライヤーにもなり得るし、バイヤーにもなり得る。ユーザ名称302は、ユーザの名称(企業名、企業内の部署名など)を示す。ユーザ情報303は、ユーザの連絡先(電子メールアドレス、電話番号、住所など)、決済口座、決裁者、及び決裁ルートなどのユーザの各種情報を示す。決済口座は、入出金処理の際に使用される銀行口座の情報を示す。決裁者は、未承認請求データに対してサプライヤーやバイヤーにおいて承認を行う者を示し、承認を行う者は、ユーザにおける部署であってよい。決裁ルートは、決裁者が複数いる場合の決裁順序のルートを示す。
【0041】
図2に戻って説明すると、契約/決済情報107は、企業間取引におけるサプライヤー及びバイヤー間の取引に関する契約情報及び決済情報を格納する。サプライヤーは、決済処理装置10によって提供される契約/決済情報登録画面(不図示)を介して、契約情報及び決済情報を登録する。図4は、本発明の実施形態に係る契約/決済情報107のデータ構造の一例を示す図である。契約/決済情報107は、サプライヤーID401、バイヤーID402、決済条件403、及び与信状況404を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0042】
サプライヤーID401は、企業間取引におけるサプライヤーを示す識別子である。バイヤーID402は、企業間取引におけるバイヤーを示す識別子である。サプライヤーID401及びバイヤーID402として設定される識別子は、ユーザID301であってよい。決済条件403は、サプライヤーとバイヤーの間で予め取り交わされている決済条件を示す。決済条件は、締日、売上データ登録期限、及び支払日(例えば、月末)などであってよい。与信状況404は、サプライヤーがバイヤーに対して設定した債権の枠(上限額)及び現在残高を示す。
【0043】
図2に戻って説明すると、請求データ108は、サプライヤーによってアップロードされた売上データのサマリー情報を格納する。サマリー情報は、未承認請求データまたは請求データを示す。図5は、本発明の実施形態に係る請求データ108のデータ構造の一例を示す図である。請求データ108は、サプライヤーID401、バイヤーID402、ファイルID501、ファイル名502、作成日503、データ件数504,合計金額505、支払日506、変更前支払予定日507、支払方法508、及びステータス509を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0044】
サプライヤーID401は、請求データにおけるサプライヤーを示す識別子である。バイヤーID402は、請求データにおけるバイヤーを示す識別子である。ファイルID501は、サプライヤーによってアップロードされた売上データファイルを識別する識別子である。売上データファイルには、1または複数の未承認請求明細データが含まれている。ファイル名502は、アップロードされた売上データファイルに付された名称である。作成日503は、売上データファイルの作成日である。データ件数504は、売上データファイルに含まれる明細データのデータ件数である。合計金額505は、売上データファイルに含まれる請求明細の合計請求額を示す。
【0045】
支払日506は、支払が行われる予定日を示す。変更前支払予定日507は、支払日が変更された場合の以前の支払予定日を示す。支払方法508は、バイヤーからサプライヤーに対する支払が行われる方法(例えば、口座振替、振込、カード払いなど)を示す。ステータス509は、未承認請求データまたは請求データの状態を示す。この状態は、例えば、サプライヤー承認待ち、バイヤー承認待ち、口座振替依頼待ち、カード払い、入金待ち、入金済などを示し、通常、請求明細データ109の対応するデータ群のステータスと同期する。
【0046】
図2に戻って説明すると、請求明細データ109は、未承認請求データに関連付けられる未承認請求明細データまたは請求データに関連付けられる請求明細データを格納する。図6は、本発明の実施形態に係る請求明細データ109のデータ構造の一例を示す図である。請求明細データ109は、サプライヤーID401、バイヤーID402、ファイルID501、支払日506、請求番号601、請求内容602、請求金額603、支払予定日604、ステータス605、ファイナンスフラグ606、保証フラグ607、入金口座608、及び出金口座609を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0047】
サプライヤーID401は、請求明細データにおけるサプライヤーを示す識別子である。バイヤーID402は、請求明細データにおけるバイヤーを示す識別子である。ファイルID501は、それぞれの請求明細データに関連付けられる売上ファイルの識別子である。支払日506は、請求明細データに関連付けられる請求データの支払日を示し、サプライヤー及びバイヤー間の1つ以上の明細データをまとめる単位となる。請求番号601は、請求明細データを識別する識別子である。請求内容602は、請求の内容(例えば、物品代、サービス代)を示す。請求金額603は、請求明細データによって示される請求金額を示す。支払予定日604は、個々の請求に対して支払が予定される日を示す。
【0048】
ステータス605は、請求明細データの状態を示す。請求明細データの状態は、例えば、サプライヤー承認待ち、バイヤー承認待ち、口座振替依頼待ち、カード払い、入金待ち、入金済などを示す。ファイナンスフラグ606は、サプライヤー及びバイヤーの間で予め取り決めた支払サイトよりも早期に資金化する希望があるかどうか、あるいはバイヤーが支払先延ばしを希望しているかどうかを示すフラグである。保証フラグ607は、銀行保証または自社保証が選択されているかどうかを示す。入金口座608は、入金口座、例えば、サプライヤー口座を示す。出金口座609は、出金口座、例えば、バイヤー口座を示す。
【0049】
(各種フローについての説明)
図7図9を参照しながら、決済処理装置10によって実行される様々な処理、すなわち、口座振替及び振込による資金移動の処理フロー、サプライヤーの依頼による早期資金化の処理フロー、バイヤーの依頼によるカード払いを使用した支払先延ばしの処理フローを説明する。これらの処理フローを説明する前提として、サプライヤー及びバイヤーとなり得るユーザは、決済処理装置10によってユーザIDが割り当てられており、ユーザ関連の各種情報はユーザマスタ106に登録されており、企業間取引におけるサプライヤー及びバイヤー間の取引に関する契約情報及び決済情報は、契約/決済情報107に登録されており、サプライヤー及びバイヤー間の取引に基づく請求データ及び請求明細データは請求データ108及び請求明細データ109に格納されているものとする。
【0050】
(処理フロー:口座振替及び振込による資金移動)
図7は、口座振替及び振込によりサプライヤー及びバイヤー間で資金移動を行う処理フローを説明する図である。より詳細に言えば、決済処理装置10が、支払予定日が到来する請求明細データに基づいて口座振替依頼データを生成し、口座振替システム13に口座振替依頼データ送信して資金移動を実行する処理フローを説明する。
【0051】
S701にて、決済処理装置10は、ステータス605が「口座振替依頼待ち」を示す請求明細データを請求明細データ109から読み出す。
【0052】
S702にて、決済処理装置10は、読み出した請求明細データに含まれる支払予定日604、請求金額603、入金口座608,及び出金口座609の情報に基づいて口座振替依頼データを生成するとともに、読み出した請求明細データと当該請求明細データに関連付けられる請求データのステータス509、605をそれぞれ「入金待ち」に更新する。口座振替依頼データの入金口座は、サプライヤー口座あるいは口座振替システム13を管理する決済代行業者の口座であってよい。
【0053】
決済処理装置10は、口座振替依頼データを口座振替システム13に送信する。口座振替システム13は、口座振替依頼データに基づいて所定フォーマットに基づく口座振替依頼電文を生成し、口座振替依頼データに含まれるバイヤー口座に対応する金融機関の第2の銀行システム17に口座振替依頼電文を送信する。第2の銀行システム17は、口座振替処理の結果データを口座振替システム13を介して決済処理装置10に送信する。また、第2の銀行システム17は、バイヤー口座から資金を引き落とし、決済代行業者の口座を有する銀行に送金する。当該銀行は、決済代行業者の口座に対して入金処理を行う。
【0054】
S703にて、決済処理装置10は、口座振替処理の結果データを第2の銀行システム17から受信したことに応答して、口座振替依頼データに対応する入金依頼データを生成する。入金依頼データは、決済代行業者の口座を出金口座として、サプライヤー口座を入金口座とする入金依頼データであってよい。決済処理装置10は、入金依頼データを口座振替システム13に送信し、口座振替システム13が入金依頼データに基づいて振込電文を生成し、第1の銀行システム16に送信する。第1の銀行システム16は、振込電文に基づいてサプライヤー口座に対して入金処理を実行する。
【0055】
S704にて、決済処理装置10は、口座振替処理の結果データに基づいて、口座振替処理に関連付けられる請求明細データのステータス605を「入金済」に更新するとともに、当該請求明細データに関連付けられる請求データのステータス509を「入金済」に更新する。
【0056】
これらの処理により、サプライヤーは、請求金額及び支払期日を管理する事務作業を大幅に削減することができるようになる。また、S704の更新処理により、請求データ及び請求明細データのステータスが「入金済」と表示されることにより、それぞれの請求に対する入金消込の事務作業を従来よりも簡便に行うことができるようになる。サプライヤー端末11は、ステータスが「入金済」の請求データ及び請求明細データを取得できるので、サプライヤーは、入金消込の確認が簡単に行えるようになる。
【0057】
(処理フロー:ファイナンス及び保証取組)
ファイナンスとは、金融機関による立替払のことであり、ファイナンスの種類として、サプライヤー(債権者)にとっての早期資金化、及びバイヤー(債務者)にとっての支払先延ばしがある。図8は、サプライヤーにとってのファイナンス処理を説明するフロー図であり、図9は、バイヤーにとってのファイナンス処理を説明するフロー図である。
【0058】
図8を参照しながら、決済処理装置10が、サプライヤーからのファイナンス依頼(早期資金化依頼)を受信したことに応答して試算を行った結果をサプライヤーに提供し、サプライヤーからファイナンス申込を受信したことに応答して入金依頼データを生成するとともに、保証申込データを生成する処理フローを説明する。
【0059】
S801にて、決済処理装置10は、サプライヤー端末11からの要求に応答して、口座振替依頼データを生成していない請求明細データ、すなわち、ステータス605が「口座振替依頼待ち」の請求明細データを、それらに関連付けられる売上データファイル単位で早期資金化依頼画面1000を介してサプライヤー端末11に提供する。
【0060】
図10は、早期資金化依頼画面1000の一例を説明する図である。早期資金化依頼画面1000は、請求データ概要1001、早期資金化依頼概要1002、請求明細データ選択欄1003、及び登録ボタン1004を含む。請求データ概要1001は、1以上の請求明細データに関連付けられる売上データファイルのサマリー情報を示す。早期資金化依頼概要1002は、サプライヤーが行う依頼内容の概要を示す。依頼内容の概要は、早期資金化を希望するかどうか、銀行保証の早期資金化の内容、及び自社保証の早期資金化の内容を含む。請求明細データ選択欄1003は、売上データファイルに関連付けられる請求明細データのそれぞれを表示する。登録ボタン1004は、サプライヤーによって入力された早期資金化依頼の内容を登録するためのボタンである。
【0061】
サプライヤーが早期資金化依頼概要1002において「希望しない」を選択した場合、請求明細データに格納されている支払予定日通りに口座振替処理が行われることになる。一方、サプライヤーが早期資金化依頼概要1002において「希望する」を選択した場合、サプライヤーは、請求明細データ選択欄1003に表示されている請求明細データのうち早期資金化を希望する明細データを選択し、さらに銀行保証及び自社保証のいずれか一方を選択する。早期資金化の手段としては、銀行保証(ウィズアウトリコース)及び自社保証(ウィズリコース)がある。銀行保証(ウィズアウトリコース)は、バイヤー(債務者)が支払期日になっても支払を行えず、債務不履行になったとしても早期入金した資金がサプライヤーから振込元の金融機関に戻されることはないことを意味しており、債務不履行時のリスクを金融機関が負うことを意味している。一方、自社保証(ウィズリコース)は、債務不履行時に早期入金した資金がサプライヤーから振込元の金融機関に戻されることを意味しており、債務不履行時のリスクをサプライヤー自身が負うことを意味している。
【0062】
サプライヤーが登録ボタン1004を押下すると、決済処理装置10は、選択された請求明細データについての早期資金化依頼を受信する。受信した請求明細データのファイナンスフラグ606には所定の値がセットされる。例えば、銀行保証が選択されている請求明細データのファイナンスフラグ606には第1の値がセットされ、一方、自社保証が選択されている請求明細データのファイナンスフラグ606には第2の値がセットされる。
【0063】
S802にて、決済処理装置10は、早期資金化依頼された請求明細データの内容及び保証の情報(例えば、第1の値、第2の値)に基づいて早期資金化するための試算依頼をファイナンスシステム14に送信する。ファイナンスシステム14は、受信した請求明細データの内容及び保証の情報に基づいて試算を行い、試算結果を決済処理装置10に送信する。ファイナンスシステム14は、支払予定日までの日数によって試算結果が変わることを示してもよい。
【0064】
S803にて、決済処理装置10は、ファイナンスシステム14から試算結果を受信したことに応答して、試算結果表示画面1100を介してサプライヤー端末11に試算結果を提供する。
【0065】
図11は、試算結果表示画面1100の一例を説明する図である。試算結果表示画面1100は、早期入金対象明細情報1101、試算結果1102、申込ボタン1103、及び取下ボタン1104を含む。早期入金対象明細情報1101は、試算を行った1以上の請求明細データと、それぞれの請求明細データに対する試算結果とを示す。試算結果1102は、1以上の請求明細データに対して行われた試算結果のサマリーを示す。申込ボタン1103は、試算結果に従って早期資金化を正式に申し込むためのボタンである。取下ボタン1104は、試算結果を承諾しない場合に依頼を取り下げるためのボタンであり、このボタンが押下された場合には、決済処理装置10は、取下対象の請求明細データのファイナンスフラグ606にNull値をセットする。
【0066】
試算結果が許容可能なものであれば、サプライヤーは、サプライヤー端末11を介して申込ボタン1103を押下し、試算結果に基づく早期資金化を正式に申し込む。決済処理装置10は、サプライヤー端末11から早期資金化申込を受信する。
【0067】
S804にて、決済処理装置10は、早期資金化申込を受信すると、ユーザマスタ106に問い合わせを行ってサプライヤーの決済口座の情報を取得し、サプライヤー口座に対する入金処理を行うための入金依頼データを生成して入金処理システム15に送信する。入金処理システム15は、入金依頼データに基づいて第1の銀行システム16に振込電文を送信し、第1の銀行システム16は、サプライヤー口座に対して入金処理を行う。
【0068】
S805にて、決済処理装置10は、早期資金化申込を受信すると、銀行による保証を受けるための保証申込データを生成し、生成した保証申込データをファイナンスシステム14に送信する。ファイナンスシステム14は、保証申込データに基づいて保証取組の処理を実行する。
【0069】
上述の処理により、サプライヤーは、入金予定日よりも早期に債権を資金化することができるようになる。決済処理装置10は、早期資金化を行った請求明細データについては支払予定日に口座振替処理を行う。口座振替処理は、図7を参照しながら説明した処理に従って行われる。口座振替の結果、バイヤー口座から引き落とされた資金は、決済代行業者の口座に入金され、その後、振込電文の出金元口座に入金される。
【0070】
次に、図9を参照しながら、決済処理装置10が、バイヤーからのファイナンス依頼(カード利用による支払先延ばし依頼)を受信したことに応答して、請求明細データと希望支払日に基づいて試算を行った結果をバイヤーに提供し、バイヤーから正式なファイナンス申込を受信したことに応答してカード売上データ及び入金依頼データを生成するとともに、保証申込データを生成する処理フローを説明する。
【0071】
S901にて、決済処理装置10は、バイヤー端末12からの要求に応答して、口座振替依頼データを生成していない請求明細データ、すなわち、ステータス605が「口座振替依頼待ち」の請求明細データを、それらに関連付けられる売上データファイル単位で支払先延ばし依頼画面1200を介してバイヤー端末12に提供する。
【0072】
図12は、支払先延ばし依頼画面1200の一例を説明する図である。支払先延ばし依頼画面1200は、請求データ概要1201、支払先延ばし依頼概要1202、請求明細データ選択欄1203、及び登録ボタン1204を含む。請求データ概要1201は、1以上の請求明細データに関連付けられる売上データファイルのサマリー情報を示す。支払先延ばし依頼概要1202は、バイヤーが行う依頼内容の概要を示す。支払先延ばし依頼概要1202に含まれる支払希望日は、バイヤーが保有するクレジットカードの支払日に基づく複数の候補から選択されるように構成されてよい。例えば、クレジットカードの支払日が「月末払い」であった場合、複数の候補は、翌月末、翌々月末、3カ月後の月末・・・などであってよく、バイヤーが「3カ月後の月末」を選択した場合には、その日が希望支払日となる。請求明細データ選択欄1203は、売上データファイルに関連付けられる請求明細データのそれぞれを表示する。登録ボタン1204は、バイヤーによって入力された支払先延ばし依頼の内容を登録するためのボタンである。
【0073】
バイヤーは、請求明細データ選択欄1203に表示されている請求明細データのうち支払先延ばしを希望するデータを選択する。バイヤーが登録ボタン1204を押下すると、決済処理装置10は、選択された請求明細データについての支払先延ばし依頼を受信し、依頼された請求明細データのファイナンスフラグ606に所定の値(例えば、支払先延ばしを示す「第3の値」)をセットする。支払先延ばし依頼は、選択された請求明細データと希望支払日の情報を含む。
【0074】
S902にて、決済処理装置10は、カード払いによる支払先延ばしを依頼された請求明細データの内容と希望支払日を含む試算依頼をファイナンスシステム14に送信する。ファイナンスシステム14は、受信した請求明細データの内容と希望支払日に基づいて試算を行い、試算結果を決済処理装置10に送信する。
【0075】
S903にて、決済処理装置10は、ファイナンスシステム14から試算結果を受信したことに応答して、試算結果表示画面1300を介してバイヤー端末12に試算結果を提供する。
【0076】
図13は、試算結果表示画面1300の一例を説明する図である。試算結果表示画面1300は、支払先延ばし対象明細情報1301、試算結果1302、申込ボタン1303、及び取下ボタン1304を含む。支払先延ばし対象明細情報1301は、試算を行った1以上の請求明細データと、それぞれの請求明細データに対する試算結果とを示す。試算結果1302は、1以上の請求明細データに対して行われた試算結果のサマリーを示す。申込ボタン1303は、試算結果に従って支払先延ばしのための処理を正式に申し込むためのボタンである。取下ボタン1304は、試算結果を承諾しない場合に依頼を取り下げるためのボタンであり、このボタンが押下された場合には、決済処理装置10は、取下対象の請求明細データのファイナンスフラグ606にNull値をセットする。
【0077】
試算結果が許容可能なものであれば、バイヤーは、バイヤー端末12を介して支払先延ばし申込を登録する。決済処理装置10は、バイヤー端末12から試算結果に基づくカード払いによる支払先延ばし申込を受信する。この申込は、支払先延ばしを行いたい請求明細データの情報とバイヤーの希望支払日とを含む。
【0078】
S904にて、決済処理装置10は、カード払いによる支払先延ばし申込を受信すると、請求明細データに元々登録されていた支払予定日に入金処理を行うための入金依頼データを生成して入金処理システム15に送信する。入金処理システム15は、入金依頼データに基づいて第1の銀行システム16に振込電文を送信し、第1の銀行システム16は、サプライヤー口座に対して入金処理を行う。
【0079】
S905にて、決済処理装置10は、カード払いによる支払先延ばし申込を受信すると、銀行による保証を受けるための保証申込データを生成し、生成した保証申込データをファイナンスシステム14に送信する。ファイナンスシステム14は、保証申込データに基づいて保証取組の処理を実行する。
【0080】
S906にて、決済処理装置10は、カード払いによる支払先延ばし申込を行った請求明細データの請求金額603の金額を決済額とし、及び希望支払日に口座引落が実行されるような日付を売上日とするカード売上データを生成し、入金処理システム15に送信する。通常、カード決済は、カード事業会社のシステムがカード番号、決裁金額、及びカード保有者の与信情報などの情報に基づいて決済可否を判断するオーソリゼーションと呼ばれる処理を実行するが、本発明では、このようなオーソリゼーション処理は行われない。そのため、決済処理装置10は、オーソリゼーションデータを生成せず、請求明細データ及び希望支払日に基づいて売上データを生成するように構成される。
【0081】
また、通常のカード決済では、売上日に従って口座振替により口座引落が行われる日が決定される。通常のケースでは、最短で約1カ月、最長でも約2カ月後に口座引落が実行される。本発明では、決済処理装置10は、バイヤーの希望支払日であって、かつ保証が付けられる限りの日付に口座引落が実行されるように、売上日を設定したカード売上データを生成する。
【0082】
決済処理装置10は、カード売上データに関連付けられる請求明細データのステータス605及び当該請求明細データに関連付けられる請求データのステータス509を「カード払い」に変更する。ステータスが「カード払い」となっている請求データ及び請求明細データについては、図7を参照しながら説明したような口座振替処理は実行されず、クレジットカードの支払日、すなわち、希望支払日に決済額がバイヤーの口座から引き落とされる。
【0083】
上述の処理により、入金処理システム15を管理しているクレジットカード事業会社がサプライヤーに対する立替払いを行うため、サプライヤーは、当初の入金予定日に資金を受け取ることができ、一方、バイヤーは、クレジットカード払いを選択することにより当初の支払予定日を希望支払日に先延ばしすることができるようになる。
【0084】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成及び細部において変更する様々な実施形態を実現可能であることを当業者は理解するだろう。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施態様を採ることが可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 決済処理装置
11 サプライヤー端末
12 バイヤー端末
13 口座振替システム
14 ファイナンスシステム
15 入金処理システム
16 第1の銀行システム
17 第2の銀行システム
21 第1のネットワーク
22 第2のネットワーク
101 制御部
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 インターフェース(IF)部
105 出力部
106 ユーザマスタ
107 契約/決済情報
108 請求データ
109 請求明細データ
1000 早期資金化依頼画面
1100、1300 試算結果表示画面
1200 支払先延ばし依頼画面
【要約】
【課題】支払予定日通りの口座振替による支払以外に、早期資金化の申込と合わせてウィズリコース及びウィズアウトリコースの一つを選択可能とする。
【解決手段】決済処理装置は、第1のユーザが選択可能な支払手段として、請求明細データに示される支払予定日に行われる口座振替、第1の保証による第1の早期資金化、及び第2の保証に基づく第2の早期資金化を提供する。第1のユーザによって口座振替が選択された場合、決済処理装置は、選択された請求明細データに基づく口座振替依頼データを生成する。第1の保証による第1の早期資金化が選択された場合、決済処理装置は、第1のユーザによって選択された請求明細データ及び第1の保証を示す第1の値に基づいて早期資金化するための第1の試算依頼を生成する。第2の保証による第2の早期資金化が選択された場合、決済処理装置は、第1のユーザによって選択された請求明細データ及び第2の保証を示す第2の値に基づいて早期資金化するための第2の試算依頼を生成する。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13