(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】重量物支持装置、及び重量物支持方法
(51)【国際特許分類】
E01D 21/00 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
E01D21/00 B
(21)【出願番号】P 2023120845
(22)【出願日】2023-07-25
【審査請求日】2023-11-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508036743
【氏名又は名称】株式会社横河ブリッジ
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】村部 剛史
(72)【発明者】
【氏名】内山 徹
(72)【発明者】
【氏名】土谷 健太
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-151479(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113567027(CN,A)
【文献】実開平05-057630(JP,U)
【文献】特開2001-033321(JP,A)
【文献】実開昭54-086463(JP,U)
【文献】実開昭58-146929(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 21/00
B66F 3/00
G01G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物を支持する装置であって、
上下に配置される2つの載荷板と、
前記載荷板の間に配置されるとともに、それぞれの該載荷板に固定される
2以上の計測手段と、
受金具と、を備え、
前記計測手段は、前記載荷板に対して垂直又は略垂直方向の荷重の計測が可能であり、
前記載荷板と前記計測手段からなる計測装置を該載荷板が同方向となるように2以上の列で配置したうえで、該載荷板に対して垂直方向かつ2以上の該載荷板に架け渡すように配置された前記受金具が該載荷板に連結され、
前記計測手段に係る最大計測荷重以下の荷重が作用する前記重量物を支持することができる、
ことを特徴とする重量物支持装置。
【請求項2】
前記重量物が橋桁であり、
前記受金具と前記載荷板を連結する金具連結手段を、さらに備え、
前記金具連結手段によって、前記橋桁の下方に配置された前記受金具と、該受金具の直下に配置された前記載荷板と、を連結し得る、
ことを特徴とする請求項1記載の重量物支持装置。
【請求項3】
前記計測手段は、前記載荷板のうちいずれを上方にした配置であっても、前記載荷板に対して垂直又は略垂直方向の荷重の計測が可能である、
ことを特徴とする請求項1記載の重量物支持装置。
【請求項4】
上下に配置される2つの載荷板と、該載荷板の間に配置されるとともにそれぞれの該載荷板に固定される2以上の計測手段と、を有する計測装置を配置する装置配置工程と、
2以上の前記
計測装置の上面
に受金具を載置するとともに、該受金具とそれぞれの該
計測装置とを連結する受金具設置工程と、
前記受金具の上面に重量物を載置する重量物設置工程と、
前記計測装置及び前記受金具からなる重量物支持装置に作用する荷重を計測する荷重計測工程と、を備え、
前記計測手段は、前記載荷板に対して垂直又は略垂直方向の荷重の計測が可能であり、
前記装置配置工程では、前記載荷板が同方向となるように2以上の前記計測装置を同一又は略同一の平面上に配置し、
前記受金具設置工程では、前記載荷板と垂直方向に配置された前記受金具を、2以上の前記計測装置に架け渡すように配置し、
前記重量物支持装置は、前記計測手段に係る最大計測荷重以下の荷重が作用する前記重量物を支持することができる、
ことを特徴とする重量物支持方法。
【請求項5】
前記
計測装置は、2つの前記載荷板の間隔が変化するように伸縮可能であり、
前記荷重計測工程による計測結果に応じて、計測荷重が設計荷重に対して許容範囲に収まるように、又はそれぞれの前記
計測装置に均等に荷重が作用するように、それぞれの該
計測装置を伸縮させる荷重調整工程を、さらに備えた、
ことを特徴とする
請求項4記載の重量物支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、橋桁といった重量物を支持するための技術であり、より具体的には、作用する荷重を計測しつつ重量物を支持することができる重量物支持装置と、これを用いて重量物を支持する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋梁の建設工事は、橋台や橋脚などの下部工工事と、主に床版を構築する上部工工事に大別され、下部工工事の完成後に上部工工事が行われる。一般的な上部工の施工手順としては、まず橋桁を架設し、次いで床版や橋梁付属物を構築した後に舗装工を行い、標識や照明などの施設を設置する。
【0003】
橋桁を架設するには種々の工法が知られており、例えば鋼橋の場合、ベント工法や送出し工法、片持ち式架設工法などが用いられている。このうちベント工法は、最も一般的な工法であり、他の工法に比べ仮設備を軽減することができ、また短い工期で架設することができる。ベント工法の具体的な手順は、特許文献1(特に第2実施形態の橋梁架設方法)に開示されているように、まずは支持構造(橋台や橋脚)の間に仮設備としてのベントを設置する。そして揚重機を用い、分割された橋桁を支持構造やベントの上に架け渡すように並べていく。全ての橋桁が載置されるとこれら橋桁どうしを連結し、最後にベントを撤去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、ベント上に橋桁を載置するにあたっては受金具が用いられている。具体的には、ベントの上に2段以上(1段のケースもある)の受金具を重ねて配置し、その上に橋桁を載置するわけである。また、受金具に対する橋桁による荷重が均等に作用するように、まずはジャッキで橋桁を支持したうえで、徐々にジャッキを下げながら橋桁を受金具に降ろしていた。
【0006】
ところで、橋桁による荷重によって受金具に作用する荷重(つまり、設計荷重)は、設計計算を行うことであらかじめ把握しておくことができる。この場合、実際に施工を行う際に、受金具に作用する荷重を計測しながら実施するとよい。例えば、計測された荷重が設計荷重を超えそうなときに、ジャッキ等を用いて橋桁を一旦持ち上げたうえで、受金具の配置を修正するといった対策を講じることができ、その結果、事故を未然に防ぎつつ施工を行うことができる。
【0007】
しかしながら従来の工法では、上記したように計測荷重と設計荷重を照らし合わせながら施工することができなかった。ジャッキで橋桁を支持しているときはジャッキ荷重によって計測荷重を把握することができるものの、橋桁を受金具に載置した後は受金具に作用する荷重を計測することができないわけである。
【0008】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、自身に作用する荷重を計測しながら重量物を支持することができる重量物支持装置と、これを用いた重量物支持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、例えばロードセルといった荷重計(特に、圧縮型荷重計)と載荷板を組み合わせた構成にすることによって、荷重計測を行いながら重量物を支持する、という点に着目してなされたものであり、従来にはない発想に基づいて行われた発明である。
【0010】
本願発明の重量物支持装置は、重量物を支持する装置であって、載荷板と計測手段を備えたものである。なお計測手段は、上下に配置される2つの載荷板の間に配置されたうえで、それぞれの載荷板に固定される。また計測手段は、載荷板に対して略垂直(垂直を含む)方向の荷重の計測が可能である。そして本願発明の重量物支持装置は、計測手段に係る最大計測荷重以下の荷重が作用する重量物を支持することができる。
【0011】
本願発明の重量物支持装置は、重量物としての「橋桁」を支持し、受金具と載荷板を連結する金具連結手段をさらに備えたものとすることもできる。この場合、橋桁の下方に配置された受金具と、受金具の直下に配置された載荷板を、金具連結手段によって連結することができる。
【0012】
本願発明の重量物支持装置は、載荷板のうちいずれを上方にした配置であっても荷重計測が可能なものとすることもできる。
【0013】
本願発明の重量物支持装置は、載荷板の間に2以上の計測手段が配置されたものとすることもできる。この場合、それぞれの計測手段が載荷板に固定される。
【0014】
本願発明の重量物支持方法は、本願発明の重量物支持装置を用いて重量物を支持する方法であって、装置配置工程と受金具設置工程、重量物設置工程を備えた方法である。このうち装置配置工程では、2以上の重量物支持装置を略同一(同一を含む)の平面上に配置し、受金具設置工程では、2以上の重量物支持装置の上面に1つの受金具を載置するとともに受金具とそれぞれの重量物支持装置を連結する。また重量物設置工程では、受金具の上面に重量物を載置し、荷重計測工程では、重量物支持装置に作用する荷重を計測する。
【0015】
本願発明の重量物支持方法は、荷重調整工程をさらに備えた方法とすることもできる。この荷重調整工程では、荷重計測工程による計測結果に応じて、計測荷重が設計荷重に対して許容範囲に収まるように、あるいはそれぞれの重量物支持装置に均等に荷重が作用するように、それぞれの重量物支持装置を伸縮させる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の重量物支持装置、及び重量物支持方法には、次のような効果がある。
(1)重量物支持装置に作用する荷重を計測しながら橋桁を架設することができる。その結果、設計荷重を超えるといった不測の事態をいち早く察知することができ、これにより迅速かつ適切な対策を講じることができる。
(2)計測手段が上下の載荷板に固定されることから、重量物に起因する水平荷重が作用したとしても、引き続き安定して重量物を支持することができる。
(3)重量物支持装置を伸縮可能にすることによって、それぞれの重量物支持装置に均等に荷重を作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】(a)は支持構造を上方から見た拡大斜視図、(b)は支持構造を正面方向から見た拡大斜視図。
【
図3】(a)は本願発明の重量物支持装置を側方から見た側面図、(b)は本願発明の重量物支持装置を上方から見た平面図。
【
図4】(a)は1組の載荷板の間に3つの計測手段を配置した重量物支持装置を示す側面図、(b)は1組の載荷板の間に3つの計測手段を配置した重量物支持装置を示す平面図。
【
図5】1組の載荷板の間に3つの計測手段を配置した重量物支持装置に係る載荷板を示す平面図。
【
図7】3列に配置された重量物支持装置に連結された受金具を示す平面図。
【
図8】(a)は
図7におけるA-A矢視の側面図、(b)は
図7におけるB-B矢視の側面図。
【
図9】本願発明の重量物支持方法の主な工程の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明の重量物支持装置、及び重量物支持方法の実施の例を、図に基づいて説明する。なお本願発明は、荷重を計測しながら支持作業を行うことが望ましい種々の重量物を対象として実施することができるが、便宜上ここでは重量物を「橋桁」とした例で説明する。
【0019】
1.重量物支持装置
はじめに、本願発明の重量物支持装置について説明する。なお、本願発明の重量物支持方法は、重量物支持装置を用いて重量物を支持する方法である。したがって、まずは本願発明の重量物支持装置について説明し、その後に本願発明の重量物支持方法について説明することとする。
【0020】
図1は、ベントBTに設置された支持構造300を示す斜視図であり、
図2(a)は
図1に示す支持構造300を拡大して上方から見た斜視図、
図2(b)は
図2(a)に示す支持構造300をさらに拡大して正面方向から見た斜視図である。この支持構造300は、
図2に示すように本願発明の重量物支持装置100と受金具200からなる構造体であり、ベントBTなどに設置されたうえで橋桁を支持することができるものである。なお、
図1に示すように支持構造300は、ベントBTの上方に設置されることで橋桁を支持することもできるし、ベントBTの下方に設置されることでベントBTそのものを支持することもできる。もちろん支持構造300は、ベントBTに限らず支保工など他の仮設構造物に設置した上で橋桁を支持することができる。
【0021】
図3は、本願発明の重量物支持装置100を示す図であり、(a)は側方から見た側面図、(b)は上方から見た平面図である。なお便宜上ここでは、重量物支持装置100に係る方向(特に、上下)については、使用時の状態で説明することとする。
図3に示すように本願発明の重量物支持装置100は、2つの載荷板110と、計測手段120を含んで構成される。この計測手段120は、上方に配置される上載荷板110Uと、下方に配置される下載荷板110Lとの間に配置され、後述する計測連結手段140によってそれぞれの載荷板110に固定される。
【0022】
図3に示す重量物支持装置100は、1組の載荷板110(つまり、1つの上載荷板110Uと1つの下載荷板110L)の間に計測手段120を配置した構成であるが、
図4に示すように1組の載荷板110の間に2以上の計測手段120を配置した構成とすることもできる。
図4は、1組の載荷板110の間に3つの計測手段120を配置した重量物支持装置100を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。
【0023】
図5は、
図4の重量物支持装置100に係る載荷板110を示す平面図である。この図に示すように載荷板110(上載荷板110Uと下載荷板110L)は板状の部材であり、載荷される荷重に対して抵抗し得るように鋼製や高強度の樹脂製にするとよい。また載荷板110には、計測手段120を固定するための載荷板ボルト孔141Hが形成されるとともに、受金具200と連結するための金具用ボルト孔130Hが形成される。なおこの図では、1箇所の計測手段120ごとに6つの載荷板ボルト孔141Hと4つの金具用ボルト孔130Hが形成されているが、これらの数や配置は条件に応じて適宜設計することができる。
【0024】
図6は、計測手段120を示す側面図である。計測手段120は、載荷板110(特に、上載荷板110U)に対して略垂直(垂直を含む)方向の荷重(
図3(a))を計測することができるものであり、例えば圧縮型のロードセルを利用することができる。もちろん、
図3(a)に示す荷重を計測することができれば、圧縮型ロードセルに限らず種々の計測装置を計測手段120として利用することができる。なお計測手段120には、
図6に示すように載荷板110(上載荷板110Uと下載荷板110L)に固定するための計測装置ボルト孔142Hが設けられている。もちろん計測装置ボルト孔142Hは、載荷板ボルト孔141Hと同じ配置であって同じ数だけ形成され、上載荷板110Uと下載荷板110Lのそれぞれに固定するため上面側と下面側の両方に形成される。
【0025】
橋桁を支持する各支点(例えば、ベント)には載荷重による反力が生じ、通常は設計計算等によってその反力が「設計反力」としてあらかじめ把握されている。そして本願発明の重量物支持装置100は、橋桁を支持する際に、その計測手段120によって適切な荷重、すなわち設計反力に等しい(あるいは、近似している)荷重が作用していることを把握することができる。また計測手段120は、ジャッキなどを利用することによって上下に伸縮可能なものとすることもできる。これにより、上載荷板110Uと下載荷板110Lの間隔が変化する重量物支持装置100を構成することができる。例えば、重量物支持装置100に載荷され、それぞれの計測手段120の荷重を計測した結果、その測定値が設計反力と異なるときに、所定の計測手段120が上下に伸縮することによって設計反力に近づけることがきるわけである。あるいは、計測手段120の荷重を計測した結果、複数の重量物支持装置100にそれぞれ均等に荷重が作用していないときに、所定の計測手段120が上下に伸縮することによって均等に荷重が作用するように調整することもできる。
【0026】
さらに計測手段120は、天地にかかわらず(つまり、どちら側を上方に向けても)荷重計測が可能なものとすることもできる。この場合、重量物支持装置100を使用する際、その天地を気にすることなく配置することができて好適となる。
【0027】
既述したとおり計測手段120は、上載荷板110Uと下載荷板110Lとの間に配置されたうえで、計測連結手段140によって上下の載荷板110に固定される。この計測連結手段140は、載荷板ボルト孔141Hと計測装置ボルト孔142H、そして計測装置ボルトによって構成することができる。なお載荷板ボルト孔141Hと計測装置ボルト孔142Hの内壁には、計測装置ボルトが螺合するためのネジが刻設されている。この場合、下載荷板110Lの載荷板ボルト孔141Hと計測手段120の計測装置ボルト孔142H(下面側)の位置を合わせたうえで、計測装置ボルトを載荷板ボルト孔141Hと計測装置ボルト孔142Hに挿通し、同様に上載荷板110Uの載荷板ボルト孔141Hと計測手段120の計測装置ボルト孔142H(上面側)の位置を合わせたうえで、計測装置ボルトを載荷板ボルト孔141Hと計測装置ボルト孔142Hに挿通することによって計測手段120を固定することができる。このように、計測連結手段140によって計測手段120が載荷板110に堅固に固定されるため、橋桁に起因する水平荷重が作用したとしても計測手段120と載荷板110の間に「ずれ」が生じるおそれがなく、すなわち引き続き安定して重量物を支持することができるわけである。なお計測連結手段140は、計測手段120を載荷板110に固定することができれば、載荷板ボルト孔141Hと計測装置ボルト孔142H、計測装置ボルトからなる構成に代えて、従来知られている種々の構成とすることもできる。
【0028】
ところで計測手段120は、無制限に荷重を計測することはできず、つまり計測可能な荷重の上限(以下、「計測最大荷重」という。)が定められている。そこで重量物支持装置100は、計測手段120の計測最大荷重までは重量物を支持することができる構造にするとよい。そのため、載荷板110や計測手段120の材質や形状、寸法、あるいは載荷板110と計測手段120の固定手段など、試験等を行いながら設計したうえで、重量物支持装置100を製作するとよい。つまり、この場合の重量物支持装置100は、計測最大荷重以下の荷重(例えば、自重)が作用する重量物を支持することができる。
【0029】
重量物支持装置100は、金具連結手段130を備えたものとすることもできる。この金具連結手段130は、重量物支持装置100と受金具200と連結する手段である。重量物支持装置100と受金具200を連結するにあたっては、2以上の重量物支持装置100に1つの受金具200を連結することもできる。例えば
図7や
図8では、その軸が縦方向なるように配置された受金具200を、その軸が横方向なるように3列に配置された重量物支持装置100に架け渡されるように配置したうえで、それぞれ重量物支持装置100に連結されている。このとき、複数の重量物支持装置100は、それぞれ略同一(同一を含む)の平面上に配置される。
図7は、3列に配置された重量物支持装置100に連結された受金具200を示す平面図であり、
図8(a)は
図7におけるA-A矢視の側面図、
図8(b)は
図7におけるB-B矢視の側面図である。
【0030】
金具連結手段130は、金具用ボルト孔130Hと金具用ボルト130B、受金具200に形成されるボルト孔(以下、「金具側ボルト孔」という。)によって構成することができる。なお金具用ボルト孔130Hと金具側ボルト孔の内壁には、金具用ボルト130Bが螺合するためのネジが刻設されている。この場合、
図8に示すように、載荷板110の金具用ボルト孔130Hと金具側ボルト孔の位置を合わせたうえで、金具用ボルト130Bを金具用ボルト孔130Hと金具側ボルト孔に挿通することによって、重量物支持装置100と受金具200を連結することができる。このように、金具連結手段130によって重量物支持装置100と受金具200が堅固に連結されるため、橋桁に起因する水平荷重が作用したとしても重量物支持装置100と受金具200との間に「ずれ」が生じるおそれがなく、すなわち引き続き安定して重量物を支持することができるわけである。
【0031】
重量物支持装置100に連結された受金具200には、さらに他の受金具200を重ねながら連結していくこともできる。例えば
図8では、3列に配置された1段目の受金具200が重量物支持装置100に連結されており、さらに1段目の受金具200の上面で同じく3列に配置された2段目の受金具200が連結されている。なお
図8では、重量物支持装置100の上面に受金具200が連結されているが、もちろん重量物支持装置100の下面に受金具200を連結することもできるし、重量物支持装置100の上面と下面の両方に受金具200を連結することもできる。
【0032】
2.重量物支持方法
続いて、本願発明の重量物支持方法について
図9を参照しながら説明する。なお、本願発明の重量物支持方法は、ここまで説明した重量物支持装置100を用いて重量物を支持する方法である。したがって、重量物支持装置100について説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の重量物支持方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.重量物支持装置」で説明したものと同様である。
【0033】
図9は、本願発明の重量物支持方法の主な工程の流れを示すフロー図である。重量物支持装置100を用いて重量物を支持するにあたっては、この図に示すようにまずはベントBTの頂部や下端といった所定の位置に重量物支持装置100を配置する(
図8のStep401)。このとき、複数の重量物支持装置100を利用する場合、それぞれ略同一(同一を含む)の平面上に配置するとよい。
【0034】
所定位置に重量物支持装置100を配置すると、例えば、複数の重量物支持装置100に架け渡すように受金具200を配置したうえで(
図8のStep402)、金具連結手段130によって受金具200をそれぞれの重量物支持装置100に連結する(
図8のStep403)。
【0035】
受金具200を重量物支持装置100に連結すると、別途設置されたジャッキ(以下、「橋桁用ジャッキ」という。)の上に橋桁を置き、その橋桁用ジャッキを徐々に下げながら橋桁を受金具200の上に載置していく(
図8のStep404)。このとき、計測手段120によって荷重を計測するとともに(
図8のStep405)、あらかじめ算出された設計荷重(例えば、設計反力)と照らし合わせる。そして、計測荷重が設計荷重に対して許容範囲内にあるときは(
図8のStep406のYes)、そのまま橋桁を受金具200の上に載置していく。一方、計測荷重が設計荷重の許容範囲から外れるとき(
図8のStep406のNo)、あるいは重量物支持装置100に作用する荷重にバラツキが生じているときは、橋桁用ジャッキによって橋桁を一旦持ち上げたうえで、所定の計測手段120を上下に伸縮することによって調整する(
図8のStep407)。そして、再び計測手段120によって得られた計測荷重と設計荷重を照らし合わせ、計測荷重が設計荷重に対して許容範囲内に収まれば、そのまま橋桁を受金具200の上に載置していく。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本願発明の重量物支持装置、及び重量物支持方法は、道路橋や鉄道橋といったあらゆる用途の橋梁に利用でき、河川を跨ぐ橋、跨道橋、跨線橋など種々のものを越える橋梁に利用することができる。本願発明によれば、設計荷重を超えるといった不測の事態に伴う事故を未然に防ぎつつ施工を行うことができ、すなわち本願発明がより安全な作業を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0037】
100 本願発明の重量物支持装置
110 (重量物支持装置の)載荷板
110U (載荷板の)上載荷板
110L (載荷板の)下載荷板
120 (重量物支持装置の)計測手段
130 (重量物支持装置の)金具連結手段
130H (金具連結手段の)金具用ボルト孔
130B (金具連結手段の)金具用ボルト
140 (重量物支持装置の)計測連結手段
141H (計測連結手段の)載荷板ボルト孔
142H (計測連結手段の)計測装置ボルト孔
200 (重量物支持装置の)受金具
300 (重量物支持装置の)支持構造
BT ベント
【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、自身に作用する荷重を計測しながら重量物を支持することができる重量物支持装置と、これを用いた重量物支持方法を提供することにある。
【解決手段】本願発明の重量物支持装置は、重量物を支持する装置であって、載荷板と計測手段を備えたものである。なお計測手段は、上下に配置される2つの載荷板の間に配置されたうえで、それぞれの載荷板に固定される。また計測手段は、載荷板に対して略垂直(垂直を含む)方向の荷重の計測が可能である。そして本願発明の重量物支持装置は、計測手段に係る最大計測荷重以下の荷重が作用する重量物を支持することができる。
【選択図】
図3