(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240611BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2023170318
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2023-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004152
【氏名又は名称】弁理士法人お茶の水内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 信寛
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-033319(JP,A)
【文献】特開2022-123579(JP,A)
【文献】特開2003-150812(JP,A)
【文献】特開2022-047624(JP,A)
【文献】特開2003-296429(JP,A)
【文献】特開2002-038729(JP,A)
【文献】特表2017-520944(JP,A)
【文献】特許第7233641(JP,B1)
【文献】特開2023-132142(JP,A)
【文献】特開2002-150033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して複数の利用者がアクセス可能な仮想空間において、物品及び/又はサービスの一部または全部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズすることを支援する、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムであって、
前記サービスは、物品の色彩及び/又は質感についての情報提供、物品の製造方法の情報提供、物品の加工方法の情報提供を含む情報提供のサービス、空間における色彩の演出、イベントにおける色彩の演出の1つ以上を含むものであり、
1つ以上のデータベースを含むデータベース部であって、実測により得られた色彩データ、実測により得られた素材の質感データ及び実測により得られた表面の仕上りデータから選ばれる1つ以上を収録したデータベースを少なくとも含むデータベース部と、
前記利用者に含まれる依頼者からの、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての要望を受付ける要望受付部と、
前記利用者に含まれる提案者及び/又は学習済みの第1人工知能から、前記要望受付部で受付けた前記要望に対応する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上の提案を受付ける提案受付部と、
前記要望受付部で受付けた要望及び/又は前記提案受付部で受付けた提案と適合する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上を、前記データベース部に含まれるデータベースに収録されたデータから選定するデータ選定部と、
前記データ選定部で得られたデータに基づいて、物品及び/又はサービスのサンプルを少なくとも1つ作製するサンプル作製部と、
前記仮想空間において、前記サンプル作製部で作製された少なくとも1つのサンプルを表示する表示部と、
を備えるマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項2】
前記データベース部は、API(Application Programming Interface)接続している前記提案者のデータベースを含む、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項3】
前記データ選定部は、文字情報、画像情報及び音声情報の1つ以上による要望及び/又は提案に基づき、前記学習済みの第1人工知能及び/又は学習済みの第2人工知能を用いて、前記データベース部に含まれるデータベースに収録されたデータの1つ以上を選定するものである、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項4】
前記サンプル作製部で作製されたそれぞれのサンプルに対して、商品化に際しての環境スコア、カラーユニバーサルデザイン適合度を含む情報が付与されている、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項5】
前記表示部は、表面のスペクトラルデータを基にした物理レンダリング手法を用い、前記サンプルを表示するものである、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項6】
前記表示部は、利用者が希望する条件でサンプルを表示し得るものである、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項7】
前記仮想空間において表示される前記少なくとも1つのサンプルから、依頼者が希望する1つ以上を選択可能とする選択部を備える、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項8】
前記選択部で選択されたサンプルを、ブロックチェーンにおいて取引可能なノン ファンジブル トークンを含むデータとして記録するNFT記録部を備える、請求項
7に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項9】
前記選択部で選択されたサンプルに基づいて、前記依頼者の1人以上と前記提案者の1人以上とをマッチングさせるマッチング部を備える、請求項
7に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項10】
依頼者からの要望に合致するサンプルの提案者に対して、
依頼者が見積もり及び/又は購入条件を含む事項の確認を行う問合せ部を備える、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項11】
前記要望受付部が受付ける要望は、依頼者が希望する購入条件及び/又は製造条件を含む、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項12】
依頼者からの要望に合致するサンプルがない場合又はサンプルに対する修正事項がある場合に、提案者に対する追加要望を受付ける追加要望受付部を備える、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項13】
前記要望受付部で受付けた要望、前記提案受付部で受付けた提案及び前記追加要望受付部で受付けた追加要望を記録する、要望・提案記録部を備える、請求項
12に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項14】
マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの利用者に対し、課金処理及び入金確認処理を行う課金部を備える、請求項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項15】
前記仮想空間においてサンプルの表示をコンペティション形式で行うとともに、依頼者は、要望を満足する1つ以上のサンプルを選択部で選択する、依頼者からの要望に対し、2以上の提案を競わせるコンペティション形式である、請求項
7に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
【請求項16】
コンピュータを請求項1に記載されているマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムとして機能させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線を介して複数の利用者がアクセス可能な仮想空間において、物品及び/又はサービスの一部または全部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズすることを支援する、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム、及び、コンピュータを当該マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムとして機能させる、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロダクトデザインに際しては、物品及び/又はサービスの印象や価値を決定づける要素として、カラー(C)、マテリアル(M)及びフィニッシュ(F)を意味する「CMF」がキーワードとして挙げられてきている。CMFは、色彩を表すカラー(C)、素材の質感を表すマテリアル(M)及び表面の仕上り(加工:FINISH)を表す(F)からの3要素を示す用語であり、物品及び/又はサービスの見栄えや手触り等に重要な役割を占めるものである。
しかし、従来は、物品及び/又はサービスの企画開発に際し、形状デザイン及び機能が確定した後に、色彩、素材の質感及び表面仕上がり状態の検討を行うことが多かった。そのため、物品及び/又はサービスの設計開発において、CMFを前面に出した設計開発は、ほとんど行われていなかった。
CMFは、物品及び/又はサービスの見栄えに加えて、品質向上、表面保護、コンセプト表現、機能性向上、消費者の購入動機等と密接に関連する事項であることから、物品及び/又はサービスの購入だけでなく、購入後の所持・使用等に際して、CMFの影響は非常に大きいものとなっている。
【0003】
しかしながら、物品及び/又はサービスの消費者は、自分好みのCMFを選びたいが見つけることができない、自分好みのCMFがわからない、特定のCMFの物品及び/又はサービスしか目にしない等の状況にあり、物品及び/又はサービスの購入に際して、すべての場合に十分に満足しているとはいえない状況であった。
一方、物品及び/又はサービスの提供者は、自らが有する製造・加工技術、素材力、各種データ等を、限られた物品及び/又はサービスに活用している。しかしながら、商流や慣習が固定化しているため、他の物品及び/又はサービスへの展開が十分でなく、物品及び/又はサービスやサービスの顧客接点を広げることを十分に行うことができなかった。このため、製造・加工技術、素材力、各種データは、それ自体優れたものではあるものの、それぞれの内部で眠ったままの状況となる場合があり、製造・加工技術、素材力等の可能性を、十分に活用できているとはいえない状況であった。
また、物品及び/又はサービスのデザインを行う者は、限られた範囲での製造・加工技術、素材力、各種データに基づいて、デザインを行うため、デザインに限界が生じていた。
【0004】
物品及び/又はサービスの色彩等に係る事項のコンサルティングについては、これまで、以下の技術が知られている。
特許文献1には、ユーザ自身がカラー分類に基づくユーザ固有のカラー情報を容易に得ることができ、このカラー情報を活用し商品の選択や、情報提供を受けるためのカラーコンサルティングシステムが開示されている。
特許文献2には、時間、場所に制限なく手軽にカラーコーディネートを受けることができる、カラー診断方法が開示されている。
引用文献3には、カラー関連製品を開発するために、製品設計、仕様、製造関連データ等の電子的な通信、調整、配布を複数の当事者間で行うシステム及び方法が開示されている。
引用文献4には、照明色及び室内設備の彩色を考慮した快適な室内空間の色彩デザインの評価を行うことが可能なシステム及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-118444号公報
【文献】特開2006-40105号公報
【文献】特開2009-193594号公報
【文献】特開2020-91591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、「色彩を要望する側や提供する側を含めた関係者にもっと寄り添うサービスができるのではないか」という仮説を基に、検討を開始した。そして、さまざま分野のプロダクト等において共通性の高い構成要因である「色彩」を接点として、物品及び/又はサービスの消費者と、物品及び/又はサービスの提供者等(色彩情報の提供者・提案者、物品及び/又はサービスの提供者・提案者、クリエイター(物品及び/又はサービスのデザイナー)等)をマッチングする仕組みを構築し、「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」の概念を確立した。
「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」は、物品及び/又はサービスの消費者と、物品及び/又はサービスに関連する各提供者等との新しい関係を構築するとともに、それに伴う新しいユーザーエクスペリエンス(UX)の提供を目的とするものである。そして、仮想空間でリアルな色彩体験を通したモノやコトの選択を支援するサービサーが、色彩を起点に、消費者が欲するモノ(プロダクト)やコト(サービス)の選択や、それらにおける色彩のアップデートを支援するものである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題の1つは、自分好みのCMFの物品及び/又はサービスを求める消費者のうちの依頼者と、それに対応するCMFの提案者を、容易に結び付けてマッチングさせることで、物品及び/又はサービスの一部または全部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズすることを支援する、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムを提供することである。
本発明が解決しようとする課題の1つは、依頼者と提案者との間で新しい関係を構築することができ、依頼者は、新しいユーザーエクスペリエンス(UX)の提供を受けることができ、提案者は、自らが有する知見に基づいて、新たな顧客接点を拡大することができる、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムを提供することである。
本発明が解決しようとする課題の1つは、仮想空間において、それぞれ実測により得られた色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズすることを支援する、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(i)特定の構成を備える、通信回線を介して複数の利用者がアクセス可能な仮想空間において、物品及び/又はサービスの一部または全部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズすることを支援する、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム、及び、(ii)コンピュータを当該マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムとして機能させる、コンピュータプログラム、によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の項1~15に示すマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム及び項16に示すコンピュータプログラムを提供するものである。
【0009】
[項1] 通信回線を介して複数の利用者がアクセス可能な仮想空間において、物品及び/又はサービスの一部または全部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズすることを支援する、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムであって、
1つ以上のデータベースを含むデータベース部であって、実測により得られた色彩データ、実測により得られた素材の質感データ及び実測により得られた表面の仕上りデータから選ばれる1つ以上を収録したデータベースを少なくとも含むデータベース部と、
前記利用者に含まれる依頼者からの、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての要望を受付ける要望受付部と、
前記利用者に含まれる提案者及び/又は学習済みの第1人工知能から、前記要望受付部で受付けた前記要望に対応する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上の提案を受付ける提案受付部と、
前記要望受付部で受付けた要望及び/又は前記提案受付部で受付けた提案と適合する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上を、前記データベース部に含まれるデータベースに収録されたデータから選定するデータ選定部と、
前記データ選定部で得られたデータに基づいて、物品及び/又はサービスのサンプルを少なくとも1つ作製するサンプル作製部と、
前記仮想空間において、前記サンプル作製部で作製された少なくとも1つのサンプルを表示する表示部と、
を備えるマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項2] 前記データベース部は、API(Application Programming Interface)接続している前記提案者のデータベースを含む、項1に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項3] 前記データ選定部は、文字情報、画像情報及び音声情報の1つ以上による要望及び/又は提案に基づき、前記学習済みの第1人工知能及び/又は学習済みの第2人工知能を用いて、前記データベース部に含まれるデータベースに収録されたデータの1つ以上を選定するものである、項1又は2に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項4] 前記サンプル作製部で作製されたそれぞれのサンプルに対して、商品化に際しての環境スコア、カラーユニバーサルデザイン適合度を含む情報が付与されている、項1~3のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項5] 前記表示部は、表面のスペクトラルデータを基にした物理レンダリング手法を用い、前記サンプルを表示するものである、項1~4のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項6] 前記表示部は、利用者が希望する条件でサンプルを表示し得るものである、項1~5のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項7] 前記仮想空間において表示される前記少なくとも1つのサンプルから、依頼者が希望する1つ以上を選択可能とする選択部を備える、項1~6のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項8] 前記選択部で選択されたサンプルを、ブロックチェーンにおいて取引可能なノン ファンジブル トークンを含むデータとして記録するNFT記録部を備える、項1~7のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項9] 前記選択部で選択されたサンプルに基づいて、前記依頼者の1人以上と前記提案者の1人以上とをマッチングさせるマッチング部を備える、項1~8のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項10] 依頼者からの要望に合致するサンプルの提案者に対して、見積もり及び/又は購入条件を含む事項の確認を行う問合せ部を備える、項1~9のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項11] 前記要望受付部が受付ける要望は、依頼者が希望する購入条件及び/又は製造条件を含む、項1~10のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項12] 依頼者からの要望に合致するサンプルがない場合又はサンプルに対する修正事項がある場合に、提案者に対する追加要望を受付ける追加要望受付部を備える、項1~11のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項13] 前記要望受付部で受付けた要望、前記提案受付部で受付けた提案及び前記追加要望受付部で受付けた追加要望を記録する、要望・提案記録部を備える、項1~12のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項14] マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの利用者に対し、課金処理及び入金確認処理を行う課金部を備える、項1~13のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項15] 依頼者からの要望に対し、2以上の提案を競わせるコンペティション形式である、項1~14のいずれか1項に記載のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム。
[項16] コンピュータを項1~15のいずれか1項に記載されているマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムとして機能させる、コンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、自分好みのCMFの物品及び/又はサービスを求める依頼者と、それに対応するCMFの提案者を、容易に結び付けてマッチングさせることで、物品及び/又はサービスの一部または全部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズすることを支援する、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムが提供される。
本発明により、依頼者と提案者との間で新しい関係を構築することができ、依頼者は、新しいユーザーエクスペリエンス(UX)の提供を受けることができ、提案者は、自らが有する知見に基づいて、新たな顧客接点を拡大することができる、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムが提供される。
本発明により、仮想空間において、それぞれ実測により得られた色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズすることを支援する、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムが提供される。
【0011】
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、依頼者は、仮想空間において、好みのCMFを欲しい対象物に付与しカスタマイズすることができ、提案者は、CMFを起点に、自らの商品・サービス・知見を提供・開発することで、マネタイズすることが可能であり、その際に、実測により得られたデータに基づき、仮想空間においてCMFを再現することが可能である。
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、依頼者の意向(ユーザーニーズ)に合致したCMFの提案を行うことが可能であり、CMFについてもアップグレードさせることが可能であり、選択又は提案したCMFに紐づいた物品及び/又はサービスを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムのシステム構成例を示す図。
【
図2】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの動作の一例を示すシーケンス図。
【
図3】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの動作の別の一例を示すシーケンス図。
【
図4】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの動作の別の一例を示すシーケンス図。
【
図5】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの動作の別の一例を示すシーケンス図。
【
図6】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの動作の別の一例を示すシーケンス図。
【
図7】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの動作の別の一例を示すシーケンス図。
【
図8】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの動作の別の一例を示すシーケンス図。
【
図9】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの動作の別の一例を示すシーケンス図。
【
図10】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、仮想空間内で、少なくとも一部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上が適用された物品を依頼者が確認している様子を示す図。
【
図11】本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、仮想空間内で、物品の少なくとも一部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズする様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムについて詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
【0014】
[「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」の概要]
本発明に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの基本コンセプトとなる「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」の概要としては、例えば以下のように説明することができる。
「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」は、バーチャル空間でリアルな色彩体験を通したモノやコトの選択を支援するサービサーが中心となり、物品及び/又はサービスの消費者(企業、個人消費者)と、物品及び/又はサービスの提供者等(塗料会社、インク会社等の色彩情報の提供者・提案者、物品及び/又はサービスの提供者・提案者・加工者、クリエイター(色彩、物品、サービスのデザイナー)、その他の色彩に基づいた商品・サービスに関連する者)とをマッチングするものである。
【0015】
サービサーは、専門の管理者がサービサーとなってもよく、物品及び/又はサービスの提供者等のうちの1者以上が中心的な役割を果たすことで、全体としてサービサーとなっていてもよい。
物品及び/又はサービスの提供者等である、色彩情報の提供者・提案者、物品及び/又はサービスの提供者・提案者、クリエイター(物品及び/又はサービスのデザイナー)等は、それぞれ、サービサーに対して、色彩関連情報、色彩データ、色彩関連商品、色彩関連サービス、色彩に紐づいた商品、色彩に紐づいたサービス等の自らが専門とすることを提供及び/又は提案するか、自らがそれらを活用することでサービサーとしての役割を果たすこととなる。
【0016】
サービサーは、物品及び/又はサービスの消費者である企業や個人に対して、依頼・要望・ニーズに合った色彩提案、アップグレードできる色彩設計、選択した色彩に基づいた「商品・サービス」の提案、リアルタイムに「モノ・コト」の状況を可視化、遠隔地からも遅延なくサービスの提供、の1つ以上を行う。また、個人に対しては、決済プラットフォーマーを介し、消費先の提供による経済圏の体験価値の向上を提供し、また、消費者の送客を行うこととなる。さらに、サービサーは、これ等の活動を通して、消費者である企業からは企業行動データを、消費者である個人からは、消費者行動データを、それぞれ取得することが可能となる。
【0017】
サービサーは、取得した企業行動データや消費者行動データを、物品及び/又はサービスの提供者等に、無償で又は課金による有償で提供することができる。
また、消費者である企業や個人は、サービサーから、(a)依頼・要望・ニーズに合った色彩提案、(b)アップグレードできる色彩設計、(c)選択した色彩に基づいた「商品・サービス」の提案、(d)「モノ・コト」の状況のリアルタイムでの可視化、(e)遠隔地であっても遅延のないサービスの提供、のうちの1つ以上を、課金による有償で得ることとなる。
【0018】
これらにより、「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」の参加者は、それぞれの行動データをもとに、プロダクト又はサービスと、各参加者のユーザーエクスペリエンス(UX)を磨き上げることができる。
【0019】
[マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの利用者等]
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの利用者としては、前記「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」における、物品及び/又はサービスの消費者、物品及び/又はサービスに関連する各提供者等が該当する。
利用者のうち、少なくとも1者は、仮想空間において、物品及び/又はサービスの少なくとも一部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズする依頼を行う依頼者である。
図1では、依頼者が1者とされているが、第1依頼者、第2依頼者・・・第n依頼者が含まれていてもよい。
依頼者としては、色彩、素材の質感及び表面の仕上がりから選ばれる1つ以上に紐づいた物品及び/又はサービスを探す企業、個人等が挙げられる。通常、依頼者は、前記「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」における物品及び/又はサービスの消費者に相当する者である。
【0020】
利用者のうち、少なくとも1者は、仮想空間において、依頼者が指定する物品及び/又はサービスの少なくとも一部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を提案することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズについての提案を行う提案者である。提案者は、1者であってもよく、また、例えば、
図1に示すように第1提案者、第2提案者・・・第n提案者が含まれていてもよい。
提案者としては、色彩、素材の質感及び表面の仕上がりから選ばれる1つ以上に紐づいた物品及び/又はサービスを提案する企業、デザイナー、個人等が挙げられる。通常、提案者は、前記「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」における物品及び/又はサービスに関連する各提供者等に相当する者である。
【0021】
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおけるシステムの管理者としては、前記「Color as a Service(色彩のマスカスタマイゼーション・コミュニティ)」における、サービサーに相当する者である。システムの管理者は、システムの管理やメンテナンス、データ等の管理、参加者対応等を行う者である。
【0022】
[マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム システム構成例]
図1は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの構成の概要を示す図である。
図1に示すマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、依頼者1、第1提案者2a、第2提案者2b、管理・運営システム3及びブロックチェーンBが、通信回線Nを介して接続しており、さらに、仮想空間Mを備えている。
【0023】
依頼者1は、依頼者端末10を介して、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムと接続しており、依頼者端末10を通して、要望作製、送信、申込手続、意思決定、仮想空間Mの視聴等を行うこととなる。
第1提案者2aは、第1提案者端末20aを介して、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムと接続しており、必要に応じてデータベース21aを有している。第1提案者2aは、第1提案者端末20aを通して、提案作製、送信、仮想空間の視聴等を行うこととなる。第2提案者2bについても、同様である。
ブロックチェーンBは、NFT記録部401を備えている。
【0024】
管理・運営システム3は、少なくとも、要望受付部301、提案受付部302、表示部305を備えている。さらに、必要に応じて、データ選定部303、サンプル作製部304、第1人工知能317、課金部311、追加要望受付部312、選択部313、マッチング部314、問合せ部315、要望・提案記録部316、第2人工知能317及びデータベース部306を備えていてもよい。データベース部306は、第1データベース306xを含んでいてもよい。さらに、管理・運営者端末30を備えていてもよい。
管理・運営システム3における表示部305により、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムに形成された仮想空間Mに、各種の表示が行われることとなる。
【0025】
図1においては、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムに参加する複数の利用者として、依頼者1と、第1提案者2a及び第2提案者2aが示されているが、依頼者及び提案者は、
図1に示される例に限定されず、いずれも1者以上であればよい。
また、
図1には図示されていない、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理を行う管理者が1者以上存在している。
【0026】
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、物品及び/又はサービスの一部または全部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズすることを支援するものである。
【0027】
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおける物品は、物理的に空間の一部を占めて有形的存在をもつ有体物であることができる。また、本発明において、物品は、固体に限定されず、例えば、特定の色彩や質感を有する液体、気体又は光であってもよい。
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおけるサービスとしては、例えば、物品の色彩や質感についての情報提供、物品の製造方法、加工方法等の情報提供のサービスを含めることができる。さらに、サービスには、例えば、住居、店舗、都市・街等の空間における色彩等の演出、例えば、コンサート、冠婚葬祭、式典、スポーツイベント等のイベントにおける色彩等の演出を含めることができる。
【0028】
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおける色彩は、一般的に知られている色に関する情報である。例えば、色を表すのに使用されている、L*a*b*色空間表色系、L*c*h*色空間表色系、マンセル表色系、XYZ表色系、
RGB表色系、ハンターLab表色系等の表色系に基づく色彩情報を用いることができる。また、一般的な表色系との相関関係を明確にすることで、言語による表色を用いることもできる。
【0029】
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおける素材の質感は、素材自体が持つ質感、例えば、木であれば木目などの風合い、金属であれば可視光反射率の角度による変化、粉末状の金属であれば目視による金属粒子感やキラキラ感等が挙げられる。例えば、光輝性顔料を含む塗膜等の被測色表面を観察した際に感じられる質感として、巨視的な観察で知覚される質感であるマクロ光輝感、微視的な観察で知覚される質感であるミクロ光輝感、奥行感覚(深み感)、鮮明度等に関する情報である。
【0030】
マクロ光輝感としては、被測色表面を均一な光で照射し、反射する光を角度毎に受光して色を測定することによって得られる多角度分光反射率が挙げられる。また、測色表面を遠距離から観察した際に、照明と観察角度の加減で色(明度、彩度、色相)が変化するフリップフロップ現象を表すFF値(フリップフロップ値)、入射光の反対側に現れる正反射光からの開き角度10度から25度の間におけるハイライト側の目視での明るさを表すIV値(intensity value値)、ハイライト側の正面の明度を示すSV値(scatter value値)、cFF値、メタル感指数、深み感指数、鮮明度、光沢を表す光沢値等が挙げられる。マクロ光輝感は、例えば、多角度分光光度計、レーザー式メタリック感測定機器、変角分光光度計、光沢計等を用いることで直接取得でき、また、これらから算出することができる。
【0031】
ミクロ光輝感は、測色表面を近距離から観察した際に、被測色表面中の光輝性顔料によって発現する、キラキラ感や粒子感といった二次元的な輝度の不均一に関する感性である。
ミクロ光輝感は、ミクロ光輝感測定器を用いて取得することができる。ミクロ光輝感測定器としては、例えば、光輝塗膜面に光を照射する光照射装置、光照射された塗膜面を照射光が入射しない角度にて撮影して画像を形成するCCDカメラ、該CCDカメラに接続され該画像を解析する画像解析装置を具備したミクロ光輝感測定器が挙げられる。
【0032】
キラキラ感は、例えば、特許第6703639号公報に記載される方法で求められる輝き値BVによって、光輝塗膜の「キラキラ感」を定量的に表すことができ、輝き値BVと目視観察による「キラキラ感」の官能評価との間に高い相関性を持たせることができる。
【0033】
粒子感は、例えば、特許第6703639号公報に記載される方法で求められるMGR値によって表すことができる。MGR値は、微視的に観察した場合における質感であるミクロ光輝感の尺度の一つで、ハイライト(複層塗膜を入射光に対して正反射近傍から観察)における粒子感を表わすパラメータである。
「粒子感」を定量的に測定する好適な方法としては、光照射された光輝塗膜面をCCDカメラで撮影して2次元画像を得て、この2次元画像を2次元フーリエ変換してなる空間周波数スペクトルから低空間周波数成分のパワーを積分及び直流成分で正規化して得られる2次元パワースペクトル積分値を得て、この2次元パワースペクトル積分値から塗膜の粒子感を定量的に評価する方法が挙げられる。
【0034】
深み感は、光輝性顔料によって付与される奥行感覚を表し、代表角度での分光反射率から求めたL*c*h表色系におけるL*値及びc*値をそれぞれL*R及びc*Rとし、これらを用いc*R/L*Rによって求められる。例えば、特許第6703639号公報に記載される方法で求められるシェードの深み感が挙げられる。
鮮明度は、前記L*R及びc*Rを用い、例えば、特許第6703639号公報に記載される方法で求められる鮮明度が挙げられる。
【0035】
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおける表面の仕上げは、物品の表面をどのように仕上げるかに係る情報である。例えば、光沢感のある表面とするか、艶消し感のある表面とするか、表面にヘアラインを入れるか等の表面の仕上げ状態が挙げられる。
【0036】
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおける物品及び/又はサービスの見栄えは、物品及び/又はサービスにおいて、色彩、素材の質感及び表面の仕上がりから選ばれる1つ以上に基づいて、物品及び/又はサービスの見た目や触感を調整し、それにより物品及び/又はサービス全体の価値評価を行う要素である。このような物品及び/又はサービスの見栄えは、物品及び/又はサービスの購入に際して、非常に大きなウエイトを占めるものである。
【0037】
<通信回線・利用者端末>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、通信回線を介して複数の利用者端末と接続することで、複数の利用者が参加することが可能となっている。
【0038】
通信回線は、データの授受が可能な通信路であれば、特に限定されない。例えば、直接接続の専用線(専用ケーブル)、LAN(Local Area Network)、電話通信網、ケーブル網、インターネット等の通信網の1種以上が挙げられる。通信回線における通信方法は、有線及び/又は無線である。
【0039】
利用者端末は、データの送受信を行うことができる端末であれば特に限定されない。例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話(スマートフォン)等が挙げられる。
【0040】
<仮想空間>
仮想空間は、通信回線を介して複数のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの利用者がアクセス可能とされている。仮想空間は、例えば、3次元画像をリアルタイムに作り出す3D CG技術によって形成された空間であって、「メタバース」と呼ばれているものである。仮想空間では、視覚、聴覚、触覚等の人間の感覚器官に対し、コンピュータ等により合成された情報が示され、その情報に基づいて仮想空間に利用者が没入して体感することができる。仮想空間は、例えば、
図10に示す利用者の視界を覆うヘッドマウントディスプレイ、携帯電話、ディスプレイ等の表示装置に表示され、それを視聴する利用者は、仮想空間内に没入したような感覚を得ることができる。本発明においては、仮想空間内に利用者に対応するアバターを存在させることで、利用者の仮想空間への没入感を高めることができる。
【0041】
<データベース部>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、1つ以上のデータベースを含むデータベース部を備えている。データベース部は、実測により得られた色彩データ、実測により得られた素材の質感データ及び実測により得られた表面の仕上りデータから選ばれる1つ以上を収録したデータベースを少なくとも含んでいる。
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、実測により得られた色彩データ、実測により得られた素材の質感データ及び実測により得られた表面の仕上りデータから選ばれる1つ以上を用いることで、物品及び/又はサービスの一部または全部に適用される、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を現実に即したものに近づけることが可能となる。これにより、物品及び/又はサービスの見栄えの選択及び/又はカスタマイズを、現実に即した見栄えに基づいて行うことが可能となる。
【0042】
データベース部は、
図1に示すように、1つ以上のデータベースから構成されている。なお、
図1においては、データベース部は、管理・運営システムに備えられているが、管理・運営システムと独立したものであってもよく、提案者等の利用者が備えているものであってもよい。
データベース部は、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理者が有するデータベースを含んでいてもよい。また、API(Application Programming Interface)接続している提案者のデータベースを含んでいてもよい。提案者のデータベースは、実測により得られた色彩データ、実測により得られた素材の質感データ及び実測により得られた表面の仕上りデータから選ばれる1つ以上を収録したデータベースであってもよい。例えば、
図1において、第1提案者が所有する第1所有者データベースが、実測により得られた色彩データ、実測により得られた素材の質感データ及び実測により得られた表面の仕上りデータから選ばれる1つ以上を収録したデータベースであり、API(Application Programming Interface)接続している構成であってもよい。データベースをAPI(Application Programming Interface)接続することで、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの参加者(特に、提案者や管理・運営者)が、当該データベースにアクセスすることが可能となる。
【0043】
<要望受付部>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、利用者に含まれる依頼者からの要望を受付ける要望受付部を備えている。
図1に示すように要望受付部は、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理・運営システムに含まれている。
要望受付部は、依頼者からの、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての要望を受付けるためのものである。要望受付部は、マテリアルデータ、2Dオブジェクトデータ、3Dのオブジェクトデータ等の依頼者指定のデータを受け付けることができる。依頼者からの要望は、自然言語や画像等を用いた要望であってもよい。要望受付部は、依頼者が希望する購入条件及び/又は製造条件を含んでいてもよい。
【0044】
要望受付部で受付けた依頼者からの要望は、管理・運営システムから、提案者を募るために適当な手段により公表してもよい。公表を確認した1者以上の提案者は、依頼者からの要望に沿い、各種の提案を作製する。
要望受付部で受け付けた依頼者からの要望は、管理・運営システムから、特定の1者以上の提案者に対して送付してもよい。送付を受けた提案者は、要望に沿う提案を作製する。
要望受付部で受け付けた依頼者からの要望は、管理・運営システム内に備えている学習済みの第1人工知能に送信してもよく、受信した学習済みの第1人工知能は、要望に沿う提案を作製することができる。学習済み第1人工知能は、自然言語や画像等を用いた依頼者からの要望、感覚的に記載されている依頼者からの要望から、それに対応する色彩データ、素材の質感データ、表面の仕上がりデータ及び見栄えに関する各種のパラメータを規定し、提案を作製することができるものである。
これらのいずれか1以上により、要望受付部で受付けた依頼者からの要望に対して、提案が作成されることとなる。
【0045】
<学習済みの第1人工知能>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、要望受付部で受付けた依頼者からの要望に対応する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上の提案を作製する、学習済みの第1人工知能を備えていてもよい。
学習済みの第1人工知能は、
図1においては、管理・運営システム内に備えられているが、例えば、1者以上の提案者が有している人工知能であってもよい。
【0046】
学習済み第1人工知能の学習(機械学習)に用いた機械学習用データは、文字情報、画像情報及び音声情報と、色彩データ、素材の質感データ、表面の仕上がりデータ及び見栄えのデータとが関連付けられて格納されているデータベースのデータから作製されたものである。例えば、(i)各種色彩データと色彩名・色彩写真が関連付けられて格納されているデータベースのデータ、(ii)各種素材の質感とその表現・質感写真とが関連付けられて格納されているデータベースのデータ、(iii)各種表面の仕上がりデータと仕上げ方法・仕上がり写真等が関連付けられて格納されているデータベースのデータ、等を用いて作成した機械学習用データを入力することで行うことができる。
学習済み第1人工知能における人工知能としては、例えば、勾配ブースティングを用いた決定木、線形回帰、ロジスティック回帰、単純パーセプトロン、MLP、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、ガウス過程、ベイジアンネットワーク、k近傍法、深層学習、トランスフォーマー、CLIP、拡散モデル、敵対的生成ネットワーク等からなる群より選ばれる1種以上の機械学習アルゴリズムにより機械学習を行うことで学習済み人工知能となり得るものにより構成することができる。
【0047】
<提案受付部>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、依頼者からの要望に対応して作成された、提案者及び/又は学習済みの第1人工知能からの提案を受付ける提案受付部を備えている。提案受付部は、マテリアルデータ、2Dオブジェクトデータ、3Dのオブジェクトデータ等の提案者所有のデータを受け付けることができる。提案受付部は、管理・運営システムに備えられており、提案受付部において提案の受付けを把握することで、依頼者からの要望に対する提案の状況等を管理・運営システムが把握することが可能となる。
提案受付部で受付けた提案のうち、データ選定部においてデータ選定を行う必要がある場合には、データ選定部に提案データを送ることとなる。
提案受付部で受付けた提案のうち、提案者がサンプル作製まで行うとしたものについては、進捗管理等のデータとして用いることができる。
提案受付部で受付けた提案データについては、必要に応じて又は依頼者の希望に応じて、依頼者に送信し、ミスマッチを防ぐ等の措置をとることができる。
【0048】
<データ選定部>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、データ選定部を備えている。データ選定部は、要望受付部で受付けた要望及び/又は前記提案受付部で受付けた提案と適合する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上を、データベース部に含まれるデータベースに収録されたデータから選定するものである。
【0049】
データ選定部は、要望受付部で受付けた要望及び/又は提案受付部で受付けた提案と適合するデータを選定し得るものであれば、特に限定されない。例えば、データベース部に含まれる実測により得られた色彩データ、実測により得られた素材の質感データ及び実測により得られた表面の仕上りデータから選ばれる1つ以上を収録したデータベースからデータを選定することで、よりリアリティの高い物品及び/又はサービスに係るデータを取得することができる。また、コンピュータグラフィックや計算により導かれるデータを収録しているデータベースから、これまでにない新規な、色彩、素材の質感、表面の仕上がり及び見栄えに係るデータを選定することができる。
本発明においては、データベース部に含まれる実測により得られた色彩データ、実測により得られた素材の質感データ及び実測により得られた表面の仕上りデータから選ばれる1つ以上を収録したデータベースからデータを選定することが好ましい。
【0050】
データ選定部は、文字情報、画像情報及び音声情報の1つ以上による要望及び/又は提案に基づき、学習済みの第1人工知能及び/又は学習済みの第2人工知能を用いて、前記データベース部に含まれるデータベースに収録されたデータの1つ以上を選定するものであってもよい。
【0051】
学習済みの第1人工知能は、前記<学習済みの第1人工知能>において記載した、要望受付部で受付けた依頼者からの要望に対応する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上の提案を作製する、学習済みの第1人工知能である。
学習済み第1人工知能の学習(機械学習)に用いた機械学習用データは、文字情報、画像情報及び音声情報と、色彩データ、素材の質感データ、表面の仕上がりデータ及び見栄えのデータとが関連付けられて格納されているデータベースのデータから作製されたものである。
【0052】
学習済みの第2人工知能は、文字情報、画像情報及び音声情報の1つ以上による要望及び/又は提案に基づき、データベース部に含まれるデータベースに収録されたデータの1つ以上を選定するものであってもよい。
【0053】
学習済み第2人工知能の学習(機械学習)に用いた機械学習用データは、学習済み第1人工知能の学習(機械学習)と同様のものであってよく、文字情報、画像情報及び音声情報と、色彩データ、素材の質感データ、表面の仕上がりデータ及び見栄えのデータとが関連付けられて格納されているデータベースのデータから作製されたものである。例えば、(i)各種色彩データと色彩名・色彩写真が関連付けられて格納されているデータベースのデータ、(ii)各種素材の質感とその表現・質感写真とが関連付けられて格納されているデータベースのデータ、(iii)各種表面の仕上がりデータと仕上げ方法・仕上がり写真等が関連付けられて格納されているデータベースのデータ等を用いて作成した機械学習用データを入力することで行うことができる。
【0054】
学習済み第2人工知能における人工知能としては、例えば、勾配ブースティングを用いた決定木、線形回帰、ロジスティック回帰、単純パーセプトロン、MLP、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、ガウス過程、ベイジアンネットワーク、k近傍法、深層学習、トランスフォーマー、CLIP、拡散モデル、敵対的生成ネットワーク等からなる群より選ばれる1種以上の機械学習アルゴリズムにより機械学習を行うことで学習済み人工知能となり得るものにより構成することができる。
【0055】
学習済みの第1人工知能及び学習済みの第2人工知能は、
図1においては、管理・運営システム内に備えられているが、例えば、学習済みの第1人工知能及び学習済みの第2人工知能の1つ以上は、1者以上の提案者が有している人工知能であってもよい。
【0056】
データ選定部は、要望受付部で受付けた要望及び/又は前記提案受付部で受付けた提案と適合する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上を、データベース部に含まれるデータベースに収録されたデータから容易に選定するものである。これにより、依頼者の意向に合致するサンプル作製を容易に行うことが可能となる。
【0057】
<サンプル作製部>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、少なくとも1つのサンプル作製部を備えている。サンプル作製部は、依頼者の要望に沿って作成された提案と、データベースに収録されている各種データを組み合わせ、仮想空間において示す、依頼者の要望に対応する物品及び/又はサービスの具体例となるサンプルを作製するものである。
サンプル作製部は、
図1においては管理・運営システムに備えられているが、管理運営システムに限定されず、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム内に備えられていればよい。例えば、提案者がサンプル作製までも行うためにサンプル作製部を備えていてもよく、また、サンプル作製のみを行う者がサンプル作製部を備えていてもよい。
本発明においては、サンプル作製部で作製されたそれぞれのサンプルには、商品化に際しての環境スコア、カラーユニバーサルデザイン適合度を含む情報が付与されていることが好ましい。商品化に際しての環境スコアを付与することで、すべての企業へ求められる、地球環境への配慮を示すことができる。商品化に際してのカラーユニバーサルデザイン適合度を付与することで、色覚の多様性に配慮し、多くの人に利用しやすい物品、環境、サービス、サービス、情報を提供することを意識した商品化を進めることが可能である。
【0058】
<表示部>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、表示部を備えている。表示部は、仮想空間において、サンプル作製部で作製された少なくとも1つのサンプルを表示するものである。表示部は、仮想空間を描画するためのデータ、サンプル作製部で作製された少なくとも1つのサンプルに係るデータ、仮想空間において活動するアバターに関するデータ、物理レンダリング手法のためのデータ等を含んでいてもよい各種データを記録する、表示関連データ記録手段を備えてしてもよい。これらのデータは、仮想空間ごとに複数種類用いられてもよく、仮想空間ごとに使い分けされていてもよい。
仮想空間を視聴するためのデバイスとしては、ディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、携帯情報端末、携帯電話、パソコン等が挙げられる。
【0059】
表示部は、表面のスペクトラルデータを基にした物理レンダリング手法を用い、サンプルを表示するものであってもよい。
表面のスペクトラルデータは、物品の表面を、各種の解析手法により分析して得られる大量のデータである。表面のスペクトラルデータにより、表面色彩、表面光沢、表面形状、表面の形成素材等の表面状態を、それぞれ数値化したものである。
物理レンダリング手法(Physical Based Rendering)は、現実世界の光の振る舞いを近似させる3DCGレンダリング手法であり、リアルな質感や照明をシミュレートしてより正確かつ自然な見た目とすることができる手法である。
表面のスペクトラルデータを基にすることで、物品の表面を多角的に解析し数値化して得られた大量のデータのうちの必要なデータを基にして、リアルな質感や照明をシミュレートしてより正確かつ自然な見た目とすることができる物理レンダリング手法を用いてサンプルを表示することで、リアルなCMFを備えるサンプルを仮想空間に表示することができる。
【0060】
表示部は、利用者が希望する条件でサンプルを表示し得るものであってもよい。例えば、物品をあらゆる角度から観察し得る条件、照明等の条件、少なくとも一部のCMFの変更が可能となる条件等が挙げられる。
表示部は、マテリアルデータ、2Dオブジェクトデータ、3Dのオブジェクトデータ等の依頼者指定のデータを基に、サンプルを表示し得るものであってもよい。
表示部は、マテリアルデータ、2Dオブジェクトデータ、3Dのオブジェクトデータ等の提案者所有のデータを基に、サンプルを表示し得るものであってもよい。
さらに、表示部は、依頼者及び提案者を含む利用者が指定するデータ又は所有するデータを基に、サンプルを表示し得るものであってもよい。
【0061】
<管理・運営システム>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、通信回線を介してマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理・運営システムと接続していてもよい。管理・運営システムは、管理・運営者端末を備えていてもよい。管理・運営者は、管理・運営者端末を用いることで、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの各種設定、制御、動作指示、動作確認等の管理・運営を行うことが可能である。
管理・運営システムは、前記要望受付部、前記提案受付部、前記表示部を少なくとも備えている。
管理・運営システムは、前記データ選定部、前記サンプル作製部、前記表示部、前記データベース部を備えていてもよい。さらに、課金部、マッチング部、追加要望受付部、選択部、問合せ部及び要望・提案記録部を備えていてもよい。
【0062】
(課金部)
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理・運営システムは、利用者に対し、課金処理及び入金確認処理を行う課金部を備えていてもよい。
課金処理は、管理・運営者が必要と認めるタイミングで、依頼者及び/又は提案者に対して行うことができる。例えば、(i)提案者のみに対して課金する、(ii)依頼者及び提案者がシステムにログインする際に課金する、(iii)依頼者と提案者の間で取引が成立した際に課金する、(iv)マッチングが成立した際に依頼者と提案者に課金する、(v)仮想空間でのサンプル確認時に依頼者に課金する、(vi)入会時に課金する、等により、課金することができる。また、利用時における課金だけでなく、年単位契約、月単位契約等の課金であってもよい。課金処理の具体的な手段等については、通信回線を通じた商取引で一般的に行われている方法をとることができる。
入金確認処理は、決済機関等から決済が完了した旨の通知の確認や銀行口座への入金確認により、これを行うことができる。
課金に対する決済手段は、特に限定されない。例えば、クレジットカード決済、電子マネー決済、口座引き落とし決済、予納決済、商品届時の代金引換決済等のいずれか1つ以上とすることができる。
【0063】
(追加要望受付部)
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理・運営システムは、追加要望受付部を備えていてもよい。追加要望受付部は、依頼者からの要望に合致するサンプルがない場合又はサンプルに対する修正事項がある場合に、変更した要望、修正した要望、提案・サンプルへの修正等の追加要望を受付けるためのものである。追加要望受付部を備えることで、依頼者からの要望により近い提案・サンプルとすることができ、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムに対する満足度を高めることが可能となる。
【0064】
(選択部)
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理・運営システムは、選択部を備えていてもよい。選択部は、仮想空間に表示されている、提案者の提案に基づいて作成されたサンプルの1つ以上から、依頼者が希望する1つ以上を選択可能とするものである。依頼者に選択されたサンプルに関する提案者には、選択された旨の通知を行うようにしてもよい。
選択部で選択したサンプルについては、必要に応じて、ブロックチェーンにおいて取引可能なノン ファンジブル トークン(NFT)を含むデータとして、ブロックチェーンにおけるNFT記録部に記録することができる。
また、選択部で選択したサンプルに基づいて、提案者との間で、購入に向けた問い合わせ等を開始することができる。
【0065】
(マッチング部)
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理・運営システムは、マッチング部を備えていてもよい。マッチング部は、依頼者が選択部で選択したサンプルに基づいて、依頼者の1人以上と提案者の1人以上とが結ばれるようにマッチングを行う。これにより、マッチングした依頼者と提案者は、サンプルの購入、サンプルの商品化等に向けた交渉・契約を行うことが可能となる。
【0066】
(問合せ部)
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理・運営システムは、依頼者が提案者に対してサンプルの商品化に向けた事項を含む事項を問合わせるための問合せ部を備えていてもよい。依頼者が提案者に対して問合わせる事項としては、例えば、サンプルを商品化した際の見積もり額、サンプルを商品化する際の購入条件、納期、生産可能数等の1つ以上が挙げられる。
依頼者と提案者は、問合せ部を介し、サンプルの購入、サンプルの商品化等に向けた交渉・契約を行うことが可能となる。
問合せ部において、依頼者と提案者とを取り次ぐ方法としては、任意の通信手段が挙げられる。なお、前記マッチング部で依頼者の1人以上と提案者の1人以上とが結ばれマッチングしている場合には、問合せ部を介してのやり取りを行うことなく、依頼者と提案者間で連絡を行うことができる。また、管理・運営者に対して本システムや実際の取り引きに関する問い合わせを行うことができる。
【0067】
(要望・提案記録部)
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの管理・運営システムは、要望・提案記録部を備えていてもよい。要望・提案記録部は、前記要望受付部で受付けた要望、前記提案受付部で受付けた提案及び前記追加要望受付部で受付けた追加要望の少なくとも一部を記録するするものである。具体的には、管理・運営システムが備えているデータベース、管理・運営システムに備えられているコンピュータのハードディスクメモリ、クラウドシステム、各種記録媒体等に記録することで、要望・提案記録部が構成される。
【0068】
要望・提案記録部におけるデータとしては、利用者からの要望データや提案データ等が挙げられる。管理者は、必要に応じてこれらのデータを整理・解析し、要望等に応じてデータを提供・公表するシステムを構築してもよい。例えば、利用者のうちの依頼者からの要望データを主として依頼者の行動データを作成することができ、また、利用者のうちの提案者からの提案データを主として提案者の行動データを作成することができ、これらのデータを、希望した者に対して有償又は無償で提供することができる。これらにより、消費者が求めている色彩、デザイン、消費財等に係る行動データを的確に把握することができ、提案者(製造者)が検討している又は得意である色彩、デザイン、消費財等に係る行動データを的確に把握することができる。さらに、これらのデータを人工知能等により解析して活用すること等で、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおける依頼者及び/又は提案者の満足度を向上させることが可能となり、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの完成度・信頼性等をより高めることができる。
【0069】
<ブロックチェーン>
本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、ブロックチェーンを備えている。ブロックチェーンは、依頼者が選択したサンプルを、ブロックチェーンにおいて取引可能なノン ファンジブル トークンを含むデータとして記録するNFT記録部を備えている。
【0070】
ブロックチェーンは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータに暗号技術適用して、データを同期して記録するものである。一定の期間内に生成されたデータを、ブロックごとにまとめ、コンピュータ間で相互に検証して正しい記録をチェーン(鎖)のように連結させて蓄積する。ブロックチェーンにおいては、一部のコンピュータでデータが改竄されたとしても、他のコンピュータとの間で、多数決によって正しいデータが選択されるため、データの改竄や不正な取引を防止することが可能である。
【0071】
ノン ファンジブル トークンは、Ethereum(登録商標)の規格であるERC721に基づいて発行される、唯一無二の価値を持ったトークンのことである。「Non-Fangible-Token」の頭文字から、NFTと略されることがある。NFTは、代替不可能な固有のデータを持つことができるトークンであり、ブロックチェーン上のNFT記録部において格納されて蓄積・保存される。
発行されたNFTは、個人が所有することが可能であり、また、譲渡することも可能である。これにより、依頼者は、マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムで得たサンプルの所有権を、客観的かつ電子的に証明することができる。
【0072】
[マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム システム動作例]
図2~
図9は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図10は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、仮想空間内で、少なくとも一部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上が適用された物品及び/又はサービスを依頼者が確認している様子を示す図である。
図11は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、仮想空間内で、物品及び/又はサービスの少なくとも一部に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズする様子を示す図である。
以下、詳細に説明する。
【0073】
<
図2に示すシーケンス図>
図2は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、依頼者が要望を作製してから仮想空間にサンプルが表示されるまでの、依頼者、管理・運営システム、第1人工知能及び第1提案者の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0074】
依頼者は、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての要望を作製し、管理・運営システムに要望を送信する。
【0075】
管理・運営システムは、要望受付部において依頼者より要望を受け付け、(i)学習済みの第1人工知能に要望を送信する、(ii)第1提案者に要望を送信する、(iii)マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム内に要望を公表する、のいずれか1以上を行う。
【0076】
管理・運営システムから要望を送信された第1提案者及び/又は公表された要望を確認した第1提案者は、依頼者の要望を確認又は受領した後に、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての提案を要望に沿うようにして作製し、管理・運営システムに作製した提案を送信する。
【0077】
管理・運営システムから要望を送信された学習済みの第1人工知能は、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての提案を要望に沿うようにして作製し、管理・運営システムに作製した提案を送信する。
【0078】
第1提案者及び学習済みの第1人工知能からの提案を受け付けた管理・運営システムのデータ選定部は、要望及び/又は提案に適合する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上を、データベース部に含まれるデータベースに収録したデータから選定する。その際、必要に応じて、API(Application Programming Interface)接続している他者のデータベースからデータを選定することができる。なお、
図1においては、データ選定部は管理・運営システムのみに存在しているが、第1提案者が有していてもよく、この場合、第1提案者において、データの選定が行われる。
【0079】
データを選定後、管理・運営システムは、サンプル作製部において、サンプルを少なくとも1つ作製する。作製されたサンプルは、管理・運営システムの表示部により仮想空間に表示される。依頼者及び第1提案者は、サンプルが表示された旨の通知を管理・運営システムより受信し、必要に応じて仮想空間に表示されたサンプルの確認を行う。
【0080】
<
図3に示すシーケンス図>
図3は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、依頼者が要望を作製してから仮想空間にサンプルが表示されるまでの、依頼者、管理・運営システム及び第1提案者の動作の一例を示すシーケンス図である。
図3において、第1人工知能は使用されない。
【0081】
依頼者は、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての要望を作製し、管理・運営システムに要望を送信する。
【0082】
管理・運営システムは、要望受付部において依頼者より要望を受け付け、第1提案者に要望を送信する及び/又はマスカスタマイゼーション・コミュニティシステム内に要望を公表する、のいずれか1以上を行う。
【0083】
管理・運営システムから要望を送信された第1提案者及び/又は公表された要望を確認した第1提案者は、依頼者の要望を確認又は受領した後に、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての提案を要望に沿うようにして作製し、管理・運営システムに作製した提案を送信する。その際、サンプル作製まで一貫して行う旨の通知も併せて行う。
管理・運営システムは、第1提案者からの提案を、提案受付部で受付ける。
【0084】
第1提案者は、自ら所有するデータ選定部により、要望及び/又は提案に適合する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上を、データベース部に含まれるデータベースに収録したデータから選定する。その際、必要に応じて、API(Application Programming Interface)接続している他者のデータベースからデータを選定することができる。
【0085】
データを選定後、第1提案者は、自ら所有するサンプル作製部において、サンプルを少なくとも1つ作製し、管理・運営システムに送信する。送信されたサンプルは、管理・運営システムの表示部により仮想空間に表示される。依頼者及び第1提案者は、サンプルが表示された旨の通知を管理・運営システムより受信し、必要に応じて仮想空間に表示されたサンプルの確認を行う。
【0086】
<
図4に示すシーケンス図>
図4は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、依頼者が要望を作製してから仮想空間にサンプルが表示されるまでの、依頼者、管理・運営システム、第1人工知能、第2人工知能及び第1提案者の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0087】
依頼者は、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての要望を作製し、管理・運営システムに要望を送信する。
【0088】
管理・運営システムは、要望受付部において依頼者より要望を受け付け、(i)学習済みの第1人工知能に要望を送信する、(ii)第1提案者に要望を送信する、(iii)マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム内に要望を公表する、のいずれか1以上を行う。
【0089】
管理・運営システムから要望を送信された第1提案者及び/又は公表された要望を確認した第1提案者は、依頼者の要望を確認又は受領した後に、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての提案を要望に沿うようにして作製し、管理・運営システムに作製した提案を送信する。
【0090】
管理・運営システムから要望を送信された学習済みの第1人工知能は、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての提案を要望に沿うようにして作製し、管理・運営システムに作製した提案を送信する。
【0091】
第1提案者及び学習済みの第1人工知能からの提案を受け付けた管理・運営システムのデータ選定部は、学習済みの第1人工知能及び学習済みの第2人工知能に対して、要望及び/又は提案に適合する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上を、データベース部に含まれるデータベースに収録したデータから選定する指示を出す。その際、必要に応じて、API(Application Programming Interface)接続している他者のデータベースからデータを選定することができる。なお、
図1においては、データ選定部は管理・運営システムのみに存在しているが、第1提案者が有していてもよく、この場合、第1提案者において、データの選定が行われる。
【0092】
データを選定後、管理・運営システムは、サンプル作製部において、サンプルを少なくとも1つ作製する。作製されたサンプルは、管理・運営システムの表示部により仮想空間に表示される。依頼者及び第1提案者は、サンプルが表示された旨の通知を管理・運営システムより受信し、必要に応じて仮想空間に表示されたサンプルの確認を行う。
【0093】
<
図5に示すシーケンス図>
図5は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、依頼者が要望を作製してから、依頼者が選択したサンプルが、ブロックチェーンにおいて取引可能なノン ファンジブル トークン(NFT)を含むデータとして記録され、NFT発行が行われるまでの、依頼者、管理・運営システム、第1人工知能及び第1提案者の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0094】
図5において、依頼者が要望を作製してから、依頼者及び第1提案者が、必要に応じて仮想空間に表示された少なくとも1つのサンプルの確認を行うまでの動作は、
図2に示すものと同様である。
【0095】
依頼者は、仮想空間に表示された少なくとも1つのサンプルを確認し、その中から要望を満足する1つ以上のサンプルを選択し、管理・運営システムにおける選択部に通知する。さらに、依頼者は、管理・運営システムに対して、選択したサンプルが、ブロックチェーンにおいて取引可能なノン ファンジブル トークン(NFT)を含むデータとして記録され、NFT発行を行うように要求する。
依頼者からのNFT発行要求を受付けた管理・運営システムは、依頼者が選択したサンプルのデータをブロックチェーンに送信しNFT発行要求を行う。ブロックチェーンにおいては、受信した依頼者が選択したサンプルのデータをNFT登録し、NFT発効し、その旨を管理・運営システムに通知する。NFT発行通知を受けた管理・運営システムは、その旨を依頼者に通知する。
【0096】
<
図6に示すシーケンス図>
図6は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、依頼者が要望を作製してから、依頼者が選択したサンプルが製品として生産され、依頼者に納品されるまでの、依頼者、管理・運営システム、第1提案者及び第2提案者の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0097】
依頼者は、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての要望を作製し、管理・運営システムに要望を送信する。
【0098】
管理・運営システムは、要望受付部において依頼者より要望を受け付け、(i)第1提案者及び/又は第2提案者に要望を送信する、(ii)マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム内に要望を公表する、のいずれか1以上を行う。
【0099】
第1提案者及び/又は第2提案者は、管理・運営システムから送信された依頼者の要望及び/又はマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムで公表された依頼者の要望に基づいて、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての提案を要望に沿うようにして作製し、管理・運営システムに作製した提案を送信する。
【0100】
第1提案者及び第2提案者からの提案を受け付けた管理・運営システムのデータ選定部は、要望及び/又は第1提案者の提案に適合する、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上を、データベース部に含まれるデータベースに収録したデータから選定する。その際、必要に応じて、API(Application Programming Interface)接続している他者のデータベースからデータを選定することができる。
【0101】
データを選定後、管理・運営システムは、サンプル作製部において、サンプルを少なくとも1つ作製する。作製されたサンプルは、管理・運営システムの表示部により仮想空間に表示される。依頼者及び第1提案者は、サンプルが表示された旨の通知を管理・運営システムより受信し、必要に応じて仮想空間に表示されたサンプルの確認を行う。
【0102】
一方、第2提案者は、管理・運営システムに提案を送信した後に、自らの提案に基づいて、サンプル作製を行い、作製後にサンプルのデータを管理・運営システムに送信する。
なお、
図6においては、学習済みの第1人工知能を用いていないが、要望受付部で受付けた依頼者を学習済みの第1人工知能に送信し、
図2に示されるシーケンス図において示したのと同様にして、学習済みの第1人工知能からの提案に基づいて管理・運営システムはサンプル作製部においてサンプルを作製し、依頼者が要望を満たすサンプルを選択する際の候補としてもよい。
【0103】
第1提案者の提案に基づき作製されたサンプル及び第2提案者の提案に基づき作製されたサンプルは、管理・運営システムの表示部により仮想空間に表示される。依頼者、第1提案者及び第2提案者は、サンプルが表示された旨の通知を管理・運営システムより受信し、必要に応じて仮想空間に表示されたサンプルの確認を行う。
【0104】
依頼者は、仮想空間に表示された少なくとも1つのサンプルを確認し、その中から要望を満足する1つ以上のサンプルを選択し、管理・運営システムにおける選択部に通知する。管理・運営システムは、マッチング部において、依頼者と、依頼者が選択したサンプルの提案者のマッチングを行う。
マッチング後に、依頼者は、提案者に対してサンプルの商品化に向けた事項を含む事項を管理・運営システムに問合わせる。管理・運営システムからの連絡を受けた提案者(
図6においては、第2提案者)は、確認事項への回答を管理・運営システムに送信し、管理・運営システムは、提案者からの回答を依頼者に送信する。
【0105】
依頼者は、確認事項に対する回答等に基づいて判断し、管理・運営システムに対して、購入申込みを行い、管理・運営システムは、提案者に対して購入申込みがあった、旨を通知する。また、購入の申し込みが行われた時点で、依頼者及び/又は提案者に対して課金処理を行う。なお、課金処理は、どのような段階であってもよい。
図6においては、マッチングが成立し、商品化に向けて動き出すタイミングで、依頼者及び/又は提案者に課金処理を行うことができる。
課金処理に対する入金が確認されたのちに、契約書作成、製品の生産開始、納品、費用支払いに進むこととなる。
なお、
図6では、選択したサンプルに対してNFTの付与について記載されていないが、
図5におけるNFT付与のシーケンスと同様にして、NFTが付与されるようにしてもよい。、
【0106】
<
図7に示すシーケンス図>
図7は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、依頼者が要望を作製してから、作製され仮想空間に表示されたサンプルに対して、修正/追加を行い、最終的にすべての要望及び提案が管理・運営システムの要望・提案記録部に記録されるまでの、依頼者、管理・運営システム、第1提案者及び第2提案者の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0107】
図7において、依頼者が要望を作製してから、依頼者、第1提案者及び第2提案者が、必要に応じて仮想空間に表示された少なくとも1つのサンプルの確認を行うまでの動作は、
図6に示すものと同様である。
【0108】
依頼者は、仮想空間に表示された少なくとも1つのサンプルを確認する。
依頼者は、(i)選択したサンプルに修正事項がある場合又は(ii)仮想空間に表示された少なくとも1つのサンプルが、要望を満たすものでない場合に、提案者に対する追加要望やサンプルに対する修正要望等を、管理・運営システムに送信する。
【0109】
(i)選択したサンプルに修正事項がある場合、依頼者の作成した修正事項等は、管理・運営システムの追加要望受付部で受付けられ、
図7においては第2提案者に送信され、第2提案者は、追加要望等に基づき修正サンプルを作製し、管理・運営システムに送信する。管理・運営システムは、仮想空間に修正サンプルを表示する。依頼者及び第2提案者は、修正サンプルが表示された旨の通知を管理・運営システムより受信し、必要に応じて仮想空間に表示されたサンプルの確認を行う。このような追加要望・修正に対する対応を、依頼者が満足できるサンプルが得られるまで行うことができる。
【0110】
(ii)仮想空間に表示された少なくとも1つのサンプルが、要望を満たすものでない場合、依頼者は、修正事項や追加事項等を、管理運営システムに送信し、管理運営システムは、再度、提案作製からサンプル表示までの手順を繰り返す。このような要望・修正に対する対応を、依頼者が満足できるサンプルが得られるまで行うことができる。
【0111】
最終的に、依頼者が満足できるサンプルが得られた場合に、すべての要望及び提案を管理・運営システムの要望・提案記録部に記録し、必要に応じてデータの活用を図る。
【0112】
<
図8に示すシーケンス図>
図8は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、依頼者及び/又は提案者に対する課金処理の一例における、依頼者、管理・運営システム及び第1提案者の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0113】
依頼者が本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの利用を開始する際、管理・運営システムにログイン要求を行う。管理・運営システムは、ログイン認証を行い、課金及び入金の確認を行う。なお、課金は、ログインごとに行うことができ、また、会費として課金することができる。会費として課金されている場合には、例えば、入会時に発行するIDとパスワードを用いて認証を行うことも可能である。
提案者(
図8では、第1提案者)が本発明のマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムの利用を開始する際においても、依頼者に対する課金処理と同様の課金処理を行うことができる。
【0114】
図8において、依頼者及び第1提案者がマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにログインした後に、依頼者が要望を作製してから、仮想空間でサンプルが表示されるまでの動作は、
図3に示すものと同様である。
【0115】
<
図9に示すシーケンス図>
図9は、本発明の一実施態様に係るマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムにおいて、依頼者の要望に対して、第1提案者の提案及びサンプルと、第2提案者による提案及びサンプルを競わせるコンペティション形式を行う一例における、依頼者、管理・運営システム、第1提案者及び第2提案者の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0116】
依頼者は、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての要望を作製し、管理・運営システムに要望を送信する。
【0117】
管理・運営システムは、要望受付部において依頼者より要望を受け付け、(i)第1提案者及び/又は第2提案者に要望を送信する、(ii)マスカスタマイゼーション・コミュニティシステム内に要望を公表する、のいずれか1以上を行う。
【0118】
第1提案者は、管理・運営システムから送信された依頼者の要望及び/又はマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムで公表された依頼者の要望に基づいて、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品及び/又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上についての提案1を要望に沿うようにして作製し、管理・運営システムに作製した提案を送信する。
第2提案者も、第1提案者と同様にして、提案2を要望に沿うようにして作製し、管理・運営システムに作製した提案を送信する。
【0119】
図9において、管理・運営システムは、第1提案者からの提案1に基づいて、データ選定及び少なくとも1つのサンプル1の作製を行う。一方、第2提案者は、自らの提案2に基づいて、データ選定及び少なくとも1つのサンプル2の作製を行い、作製したサンプル2のデータを管理・運営システムに送信する。
【0120】
サンプル1及びサンプル2がそろった後に、管理・運営システムは、仮想空間においてサンプルの表示を、コンペティション形式で行うとともに、依頼者、第1提案者及び第2提案者に対して、その旨を通知する。
【0121】
依頼者は、仮想空間に表示されたサンプルを確認し、要望を満足する1つ以上のサンプルを選択し、コンペティションの結果として管理・運営システムに連絡する。管理・運営システムは、受付けたコンペティションの結果を、各提案者に連絡する。
【0122】
<
図10>
図10は、仮想空間M内において、表示された物品及び/又はサービスのサンプル60(
図11では、帽子のサンプル)を、依頼者1が、依頼者表示デバイス(ヘッドマウントディスプレイ)50を用いて確認している様子を示す図である。
図10では、表示された物品及び/又はサービスのサンプル60の一部を拡大し、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を観察する様子が示されている。
図10において、依頼者1は、仮想空間内Mにおいて、物品及び/又はサービスのサンプル60の一部を拡大して観察を行っているが、それに限らず、一部拡大だけでなく、回転、全体拡大、縮小、変形等を任意に行うことが可能である
【0123】
<
図11>
図11は、仮想空間M内において依頼者1と第1提案者2aが会し対話することで、物品及び/又はサービスのサンプル60の少なくとも一部(
図11では、帽子の一部分)に、色彩、素材の質感及び表面の仕上りから選ばれる1つ以上を適用することを通して、物品及び/又はサービスの見栄えを選択及び/又はカスタマイズする様子を示すものである。
仮想空間Mには、物品及び/又はサービスのサンプル60(
図11では、帽子のサンプル)が表示され、さらに、依頼者1を示す依頼者表示デバイス(ヘッドマウントディスプレイ)50、第1提案者2aの一員である第1アバター70a及び第1提案者2aの一員である第1アバター70bが表示されている。
【0124】
依頼者1を示す依頼者表示デバイス(ヘッドマウントディスプレイ)50から、物品及び/又はサービスのサンプル60に対する要望が吹き出しの形で表示されており、それに対して、第1アバター70a及び第2アバター70bの応答が吹き出しの形で文字で表示されている。これらは、それぞれ音声で伝えられる形態とすることもできる。
仮想空間Mの一部には、物品及び/又はサービスの色彩、素材の質感及び表面の仕上がりの調整部801が設けられており、物品及び/又はサービスのサンプル60の一部分における色彩、素材の質感及び表面の仕上がりの1つ以上が、依頼者の要望に応えられ量に調整される。
【0125】
なお、物品又はサービスの色彩、素材の質感及び表面の仕上がりの調整部調整部801は、必要に応じて、画面全体とすることができ、また、表示されないようにすることができる。
また、第1アバター70a及び第2アバター70bのいずれか一方を、第2提案者2bとすることで、仮想空間M内においてコンペティション形式で提案を競わせることも可能である。
【0126】
[コンピュータプログラム]
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを前記マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムとして機能させるためのものである。コンピュータとしては、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末(スマートフォン)、携帯型情報機器とすることができる。これにより、利用者は、自身のコンピュータ端末から、通信回線を介してマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムに容易に参加することが可能となる。
コンピュータプログラムは、クラウドからのダウンロードにより配布し、コンピュータにインストールすることが可能であり、また、適当な媒体に格納した状態で配布され、コンピュータにインストールすることができる。
【0127】
上記各実施態様は、全ての点で例示であり、上記の実施態様に限定されるものではあい。本発明の要旨を逸脱しない範囲で、他の種々の実施形態とすることができる。
【符号の説明】
【0128】
1 依頼者
10 依頼者端末
2a 第1提案者
20a 第1提案者端末
21a 第1提案者データベース
2b 第2提案者
20a 第2提案者端末
20b 第2提案者データベース
N 通信回線
M 仮想空間
3 管理・運営システム
30 管理・運営者端末
301 要望受付部
302 提案受付部
303 データ選定部
304 サンプル作製部
305 表示部
306 データベース部
306x 第1データベース
307 第1人工知能
311 課金部
312 追加要望受付部
313 選択部
314 マッチング部
315 問合せ部
316 要望・提案記録部
317 第2人工知能
B ブロックチェーン
401 NFT記録部
50 依頼者表示デバイス(ヘッドマウントディスプレイ)
60 物品及び/又はサービスのサンプル
70a 第1アバター(提案者)
70b 第2アバター(提案者)
801 物品又はサービスの色彩、素材の質感及び表面の仕上がりの調整部
【要約】 (修正有)
【課題】物品又はサービスの見栄えを選択又はカスタマイズを支援するマスカスタマイゼーション・コミュニティシステムを提供する。
【解決手段】マスカスタマイゼーション・コミュニティシステムは、実測により得た色彩データ、素材の質感データ及び表面の仕上りデータから選ばれる1つ以上を収録したデータベース部306、依頼者1からの、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品又はサービスの見栄えから選ばれる要望を受付ける要望受付部301、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品又はサービスの見栄えから選ばれる提案を受付ける提案受付部302、物品、サービス、色彩、素材の質感、表面の仕上り、物品又はサービスの見栄えから選ばれる1つ以上を選定するデータ選定部303、物品又はサービスのサンプルを作製するサンプル作製部304及び仮想空間において、作製されたサンプルを表示する表示部305を備える。
【選択図】
図1