(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】モーターモジュール
(51)【国際特許分類】
F16H 19/04 20060101AFI20240611BHJP
H02K 7/06 20060101ALI20240611BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F16H19/04 E
H02K7/06 Z
A61B17/00
(21)【出願番号】P 2023512780
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 GB2021052105
(87)【国際公開番号】W WO2022043657
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-21
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】522063697
【氏名又は名称】プレシジョン ロボティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャン ジャンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ドンデス,エティエンヌ フランソワ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナディ タマス クサバ
(72)【発明者】
【氏名】カメルレンゴ マイケル
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-514009(JP,A)
【文献】国際公開第2019/191420(WO,A1)
【文献】特表2020-513891(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265355(US,A1)
【文献】特表2019-520860(JP,A)
【文献】特開2008-201236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/04
H02K 7/06
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターモジュールであって、
一次モーターによって回転可能に駆動可能な一次ピニオンと、
前記一次ピニオンと移動可能に係合可能な第1一次ラックと、
前記一次ピニオンと移動可能に係合可能な第2一次ラックと、を含み、
前記一次ピニオンの回転が、前記第1一次ラックの第1方向への移動と、前記第2一次ラックの第2方向への移動とを引き起こし、それによって、前記第1と第2一次ラック及び前記一次ピニオンはともに
ラックアンドピニオン機構を形成
し、
前記モーターモジュールは、複数のモーター及び複数の
ラックアンドピニオン機構をさらに含み、各
ラックアンドピニオン機構の一次ピニオンは、前記モーターのそれぞれの1つによって駆動可能であ
り、
前記
ラックアンドピニオン機構の少なくとも1つは、
前記一次ピニオンと移動可能に
かつ直接係合可能な第3一次ラックと、
前記一次ピニオンと移動可能に
かつ直接係合可能な第4一次ラックとをさらに含むデュアル
ラックアンドピニオン機構であり、
前記一次ピニオンの回転は、前記第3一次ラックの前記第1方向への移動と、前記第4一次ラックの前記第2方向への移動
とを
同時に引き起こす、ことを特徴とするモーターモジュール。
【請求項2】
前記デュアル
ラックアンドピニオン機構又は各デュアル
ラックアンドピニオン機構の前記一次ピニオンは、第1部分と第2部分を含み、
前記第1と第2一次ラックは、前記一次ピニオンの前記第1部分と係合可能であり、
前記第3と第4一次ラックは、前記一次ピニオンの前記第2部分と係合可能である、ことを特徴とする請求項
1に記載のモーターモジュール。
【請求項3】
各一次ラックは、作動部をさらに含み、
前記モーターモジュールは、複数の第1開口部と複数の第2開口部を含むインターフェースプレートをさらに含み、
各第1一次ラック、又は各第1と第3一次ラックの作動部は、それぞれの第1開口部内で移動可能であり、
各第2一次ラック、又は各第2と第4一次ラックの作動部は、それぞれの第2開口部内で移動可能である、ことを特徴とする請求項
1または2に記載のモーターモジュール。
【請求項4】
各一次ラックは、直線的に移動可能である、
請求項
1~3のいずれか一項に記載のモーターモジュール。
【請求項5】
二次モーターと二次ラックアンドピニオン機構をさらに含み、前記二次ラックアンドピニオン機構は、
前記二次モーターによって回転可能に駆動可能な二次ピニオンと、
前記二次ピニオンと係合可能な二次ラックと、を含み、前記二次ピニオンの回転は、前記二次ラックの移動を引き起こす、
請求項
1~4のいずれか一項に記載のモーターモジュール。
【請求項6】
前記モーターモジュールは、装着ブラケットに取り外し可能に装着可能であり、前記装着ブラケットに沿って移動可能である、
請求項
1~5のいずれか一項に記載のモーターモジュール。
【請求項7】
前記装着ブラケットは並進ラックを含み、前記モーターモジュールは、並進モーターと並進ピニオンをさらに含み、前記並進ピニオンは、前記並進モーターによって回転可能に駆動可能であり、前記並進ピニオンの回転が前記モーターモジュールの前記装着ブラケットに対する移動を引き起こすように前記モーターモジュールが前記装着ブラケットに装着されると、前記並進ラックと係合可能である、ことを特徴とする請求項
6に記載のモーターモジュール。
【請求項8】
ギア配置をさらに含み、
前記ギア配置は、前記並進モーターによって回転可能に駆動可能であり、前記並進ピニオンが前記ギア配置を介して前記並進モーターによって回転可能に駆動されるように、前記並進ピニオンに回転可能かつ機械的に結合される、ことを特徴とする請求項
7に記載のモーターモジュール。
【請求項9】
前記モーターモジュールは、手術器具を作動させるように構成されている、
請求項
1~8のいずれか一項に記載のモーターモジュール。
【請求項10】
手術器具が前記モーターモジュールに取り外し可能に装着可能であるように、前記手術器具に機械的に結合可能である器具マウントをさらに含む、ことを特徴とする請求項
9に記載のモーターモジュール。
【請求項11】
少なくとも1つのモーターに電気的に接続可能であるプロセッサーをさらに含む、ことを特徴とする
請求項
1~10のいずれか一項に記載のモーターモジュール。
【請求項12】
前記プロセッサーに電気的に接続可能な安全ウォッチドッグをさらに含む、ことを特徴とする請求項
11に記載のモーターモジュール。
【請求項13】
ヒートシンク、冷却ファン、又はその両方をさらに含む、ことを特徴とする
請求項
1~12のいずれか一項に記載のモーターモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターモジュールに関し、特に、排他的ではないが、サージカルロボティクスの分野で使用され、手術器具を動作させるように構成されたモーターモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボティックシステムは、外科手術手技、特に、手技に必要な様々な動作を実行するために外科医により小型化された手術器具が遠隔制御され得る最小限な侵襲性の外科手術手技を行うために、ますます使用されている。
【0003】
ロボティック手術システムの一部を形成する既知の手術器具は、シャフト、関節部及びエンドエフェクタを含む。シャフトは、関節部とエンドエフェクタの移動を制御及び駆動する手術用ロボットの他のコンポーネントから延在し得る。それによって、シャフトは、関節部とエンドエフェクタを患者の必要な領域に配置することを容易にし得る。関節部は、シャフトに対するエンドエフェクタの移動の自由度を提供するために、互いに隣接して配置された複数のジョイントを含んでもよい。最後に、エンドエフェクタは、外科手術手技に必要な特定の動作を実行するように適合化されてもよい。例えば、エンドエフェクタは、鉗子又は外科用メスを提供してもよい。
【0004】
既知のエンドエフェクタ、関節部、シャフト及びそれらの組み合わせは、それらの最大幅又は直径が小さく、例えば1cm未満である。しかしながら、既知の手術器具のこれらの部分、特にシャフトは、最大幅よりかなり長い長さに分かって延在し得る。手術器具の狭い幅及び延長された長さにより、手術技術を最小限の侵襲で実行することができる。さらに、既知の手術器具は、外科手術手技のために使用されるときにそれらの無菌性を確保するために、使い捨て又は単回使用の製品であるように製造される。
【0005】
必要な寸法の関節部及びエンドエフェクタを提供するために、既知の手術器具は腱によって駆動され、腱の第1端は、エンドエフェクタの特定のジョイント又は部分に取り付けられ、腱は、シャフトのルーメンに沿って延在し、腱の第2端は、モーターに機械的に結合される。モーターは、腱を作動させ、順番に、それが取り付けられたジョイント又はエンドエフェクタを作動させることができる。
【0006】
複数のジョイントを作動させるために、複数の腱が必要とされる場合がある。順番に、腱を作動させるために幾つかのモーターが必要とされる場合がある。
【0007】
既知のロボット手術システムは、手術器具を作動させるために必要なすべてのモーターを提供するように構成されたモーターモジュールを含む。このようなモーターモジュールは、関与する電気部品のために生産コストが高く、したがって、幾つかの外科手術手技において繰り返し使用されるように製造される場合がある。
【0008】
既知のモーターモジュールは、モーターモジュールからの作動入力を受け取って、それらの作動を手術器具の腱の転送するように構成されたドライバモジュールを介して、手術器具に機械的に結合可能である場合がある。
【0009】
しかしながら、既知のモジュールは、モーターによって提供された回転に基づいて、回転作動として作動入力を提供する。その結果、モーターモジュールにおける電動アクチュエータとドライバモジュールにおけるキャプスタンとの位置合わせのために、駆動モジュールへのモーターモジュールの機械的結合が複雑になる。そして、この機械的結合は、手術器具の汚染を防止するために非無菌モーターモジュールと無菌ドライバモジュールとの間に無菌バリヤを提供する必要によって、さらに複雑になる場合がある。
【0010】
医療スタッフはロボット工学ではなく医学分野の専門知識を持っている傾向があるため、ロボット部品の複雑な機械的結合は困難である場合がある。従って、既知の手術用ロボットの使用は、関与する医療スタッフにとってイライラし、且つ/又は過度に時間がかかる可能性がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一態様によれば、モーターモジュールが提供される。モーターモジュールは、一次モーターによって回転可能に駆動可能な一次ピニオンと、一次ピニオンと移動可能に係合可能な第1一次ラックと、一次ピニオンと移動可能に係合可能な第2一次ラックとを含む。一次ピニオンの回転は、第1一次ラックの第1方向への移動と、第2一次ラックの第2方向への移動とを引き起こし、それによって、第1と第2一次ラック及び一次ピニオンはともに拮抗ラックアンドピニオン機構を形成する。
【0012】
各一次ラックは、任意の適切な手段によって一次ピニオンと移動可能に係合されてもよい。例えば、一次ピニオンは、その周囲から延在する複数の歯を含んでもよく、各一次ラックは、一次ピニオンに直近の一次ラックの側から延在する複数の歯を含んでもよく、ここで、一次ピニオンの歯は、各一次ラックの歯と連動するように適合化される。使用中、一次ピニオンが一次モーターによって回転させられると、一次ピニオンの歯の角運動は、一次ラックの歯に力を生じ、それによって一次ラックを一次ピニオンに対して並進的に移動させることができる。
【0013】
別の実施形態では、一次ピニオンの周囲、及び一次ピニオンに直近の各一次ラックの側は、高摩擦係数を有する材料を含んでもよく、各一次ラックは、高摩擦材が相互に接触するように、一次ピニオンに対して配置されてもよい。使用中、一次ピニオンが一次モーターによって回転させられると、一次ピニオンの高摩擦周面の角運動は、一次ラックの高摩擦面に力を生じ、それによって一次ラックを一次ピニオンに対して並進的に移動させることができる。
【0014】
第1一次ラックは、一次ピニオンに対する第1接線に沿って配置されてもよく、第2一次ラックは、第1接線とは異なる一次ピニオンに対する第2接線に沿って配置されてもよい。それに応じて、一次ピニオンの回転は、第1と第2一次ラックを、異なる方向に、例えば異なる接線に沿って移動させることができる。
【0015】
さらに、一次ピニオンに対する第1と第2接線の位置は、互いに実質的に反対であってもよい。従って、一次ピニオンの回転方向の回転(即ち、時計回り又は反時計回り)は、第1一次ラックの移動の方向(第1方向)を、第2一次ラックの移動の方向(第2方向)と実質的に反対にし得る。言い換えれば、第1と第2一次ラックは、拮抗ラックアンドピニオン機構の一部として互いに拮抗的に移動させられる。
【0016】
本発明により、ラックアンドピニオン機構を含むモーターモジュールが提供される。ラックアンドピニオン機構は、モーターによって提供される回転運動を第1と第2ラックの並進的移動に変換し、よって、ドライバモジュール内の腱の回転運動を並進的移動に変換する必要がなくなる。
【0017】
よって、ドライバモジュールが簡略化され得、その製造コストが低減され得る。これはドライバモジュールが使い捨てである場合に有利であり、これは、モーターモジュールが無菌環境で使用される場合に望ましい場合がある。
【0018】
このようなモーターモジュールはまた、モーターモジュールからドライバモジュールに作動を回転運動として転送する必要をなくし、これは、小さなコンポーネントの複雑な位置合わせを必要とし得る。むしろ、作動は、モーターモジュールからドライバモジュールに並進的移動として転送されてもよく、モーターモジュール全体とドライバモジュール全体の簡単な位置合わせは、モーター及びドライバモジュールの各々の一部を形成するコンポーネントの十分な位置合わせを提供して、一方から他方へ作動を転送することを容易にし得る。
【0019】
それに応じて、互いに拮抗的に移動する第1と第2一次ラックを有する拮抗ラックアンドピニオン機構の提供は、一対の拮抗腱の作動を容易にする。例えば、手術器具のジョイントを第1方向に作動させるために、第1腱を作動させる(引っ張る)ことができ、ジョイントを第2方向に作動させるために、第2の、拮抗的な、腱を作動させる(引っ張る)ことができる。本発明による拮抗ラックアンドピニオン機構は、一次ピニオンの第1方向への回転によって第1腱を作動させ、一次ピニオンの第2の、反対の、方向への回転によって第2腱を作動させることができる。
【0020】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、複数のモーターと複数の拮抗ラックアンドピニオン機構を含んでもよく、各拮抗ラックアンドピニオン機構の一次ピニオンは、モーターのそれぞれの1つによって駆動可能である。
【0021】
本発明のこのような実施形態では、モーターモジュールは、複数の腱を作動させ、それによって、手術器具を形成する様々なジョイント及びエンドエフェクタを作動させ得る。さらに、各モーター及び関連付けられた拮抗ラックアンドピニオン機構は、それぞれの対の拮抗腱を作動させ得る。
【0022】
本発明の実施形態では、拮抗ラックアンドピニオン機構の少なくとも1つは、一次ピニオンに移動可能に係合可能な第3一次ラックと、一次ピニオンに移動可能に係合可能な第4一次ラックとをさらに含むデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構であってもよい。一次ピニオンの回転は、第3一次ラックの第1方向への移動と、第4一次ラックの第2方向への移動を引き起こす。
【0023】
本発明のこのような実施形態では、4つの一次ラックは、同じ一次ピニオン、従って同じモーターによって移動させることができる。特に、一次ピニオンは、第1と第3ラックを互いに同じ方向に移動させ、第2と第4ラックを互いに同じ方向に、且つ第1と第3ラックの方向に実質的に反対に移動させ得る。よって、2対の拮抗作動が提供され得る。
【0024】
これは、同じ方向に回転可能な2つの隣接するジョイントを含む手術器具の作動を提供するために特に有利であり得る。例えば、各ジョイントが最大±45°の回転を提供できる場合、互いに隣接する2つのジョイントは、±90°までの回転を提供するように組み合わせられ得る。
【0025】
デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構は、隣接するジョイントの各々に関連付けられた拮抗的な腱の対の同時作動を提供し得る。言い換えれば、デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構は、隣接するジョイントの両方を同時に作動させるために使用され得る。これにより、2つの隣接するジョイントは互いに補完的に作動することが可能になり、それらの作動が互いに矛盾して互いに打ち消し合う状況が回避される。さらに、両方のジョイントの作動は、単一のモーターのみによって駆動され得、それによって、モーターモジュールの複雑さ、サイズ、及びコストが削減される。
【0026】
本発明の実施形態では、前記又は各デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構の一次ピニオンは、第1部分と第2部分を含んでもよく、第1と第2一次ラックは、一次ピニオンの第1部分と係合可能であり、第3と第4一次ラックは、一次ピニオンの第2部分と係合可能である。
【0027】
本発明のこのような実施形態では、一次ピニオンの第1と第2部分は、異なる半径を有してもよく、それによって、第1と第2一次ラックを、第3と第4一次ラックに対して異なるギアリング比で移動させ得る。例えば、第2部分が第1部分よりも大きい半径を有する場合、一次ピニオンの回転は、第3と第4一次ラックを、それぞれの方向に第1と第2一次ラックよりも大きい距離移動させ得る。
【0028】
第1と第2部分の半径は、手術器具の2つの隣接するジョイントが、2つのジョイントのより遠位に必要とされるより大きな腱の作動に関係なく、同じ回転角度で回転するようにそれぞれ作動させられることを確保するように構成され得る。
【0029】
本発明の実施形態では、各一次ラックは作動部をさらに含んでもよく、モーターモジュールは、複数の第1開口部及び複数の第2開口部を含むインターフェースプレートをさらに含んでもよい。各第1一次ラック又は各第1と第3一次ラックの作動部は、それぞれの第1開口部内で移動可能であり得、各第2一次ラック又は各第2と第4一次ラックの作動部は、それぞれの第2開口部内で移動可能であり得る。
【0030】
本発明のこのような実施形態では、インターフェースプレートは、モーター及び一次ピニオンなど、モーターモジュールの内部コンポーネントをカバーして保護し得る。さらに、インターフェースプレートは、ドライバモジュール、又は順番にドライバモジュールと係合可能な無菌バリヤと係合可能であり得る。
【0031】
しかしながら、ドライバモジュールの一部を形成するアクチュエータを作動させる(順番に手術器具の腱を作動させる)ために、インターフェースプレートは、開口部を含み、一次ラックの作動部は、開口部を介して、ドライバモジュールのアクチュエータ(又は、無菌バリヤの中間アクチュエータ)と相互作用し得る。
【0032】
本発明の実施形態では、各一次ラックは、直線的に移動可能であり得る。
【0033】
本発明のこのような実施形態では、モーターモジュールは、各第1と第2一次ラックに関連付けられた直線チャネルを含んでもよく、それぞれの一次ラックは、直線チャネル内で移動可能受け入れ可能であるが、直線チャネルの第1端と第2端との間のみで直線的に移動することに制限される。
【0034】
本発明のこのような実施形態では、1つ以上のデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構も含み、各第3と第4一次ラックは、関連付けられた第1又は第2一次ラックと同じ直線チャネル内で移動可能に受け入れ可能であり得るか、あるいは、関連付けられた第1又は第2一次ラックに対して別個の直線チャネル内で移動可能に受け入れ可能であり得る。いずれにしても、各第3と第4一次ラックは、それが受け入れられる直線チャネルの第1端と第2端との間でのみ直線的に移動するように制限され得る。
【0035】
モーターによって提供される回転運動を直線運動に変換することは、手術器具を作動させるために使用される腱が理想的には手術器具のシャフトに平行に直線的に作動するため、特に有利であり得る。さらに、一次ラックの直線チャネル及び結果として生じる直線運動は、手術器具のシャフトの軸に平行になるように構成されてもよく、それによって、腱がボーデンケーブル又はプーリでシャフトを出るときに、腱の方向を大幅に変更する必要がなくなる。
【0036】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、二次モーターと二次ラックアンドピニオン機構をさらに含んでもよい。二次ラックアンドピニオン機構は、二次モーターによって回転可能に駆動可能な二次ピニオンと、二次ピニオンと移動可能に係合可能な二次ラックを含み、ピニオンの回転は、二次ラックの移動を引き起こす。
【0037】
本発明のこのような実施形態では、第2ラックアンドピニオン機構は、二次モーターの回転運動を、二次ラックの単一の並進的、オプションで直線の、移動に変換し得る。二次ラックアンドピニオン機構は、(拮抗的にではなく)独立して作動する腱を作動させるため、又は手術器具のシャフトの回転を提供するなど、手術器具の異なる形態の作動のためのものであり得る。
【0038】
二次ラックは、任意の適切な手段によって二次ピニオンと移動可能に係合する二次ピニオンの接線に沿って配置されてもよい。例えば、二次ピニオンは、その周囲から延在する複数の歯を含んでもよく、二次ラックは、二次ピニオンに直近の二次ラックの側から延在する複数の歯を含んでもよく、ここで、二次ピニオンの歯は、二次ラックの歯と連動するように適合化される。別の例では、二次ピニオンの周囲、及び二次ピニオンに直近の二次ラックの側は、高摩擦係数を有する材料を含んでもよく、二次ラックは、高摩擦材が相互に接触するように、二次ピニオンに対して配置されてもよい。
【0039】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、任意の適切な数の二次モーター及び二次ラックアンドピニオン機構を含んでもよい。
【0040】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、装着ブラケットに取り外し可能に装着可能であり、装着ブラケットに沿って移動可能である。
【0041】
本発明のこのような実施形態では、無菌バリヤ、及び関連付けられた手術器具を有するドライバモジュールも、装着ブラケットに取り外し可能に装着可能であり得る。装着ブラケットは、手術器具を患者に対して必要な位置に配置するために適合化されてもよい。例えば、装着ブラケットは、マニプレータアームの第1端に結合されてもよく、マニプレータアームの第2端は、表面(床又は手術台など)に装着可能であり得る。マニプレータアームは、装着ブラケットが選択的に配置されて、手術器具が患者に必要なアクセスを可能にするために、複数の自由度を提供し得る。
【0042】
モーターモジュール、及びドライバモジュールは、モーターモジュール(及びドライバモジュール)と患者との間に自由度を提供するために、装着ブラケットに沿って移動可能であり得る。例えば、これは、手術器具を患者に近づいたり離れたりするように移動させることを可能にし得る。
【0043】
本発明の実施形態では、複数のモーターモジュールは、複数の手術器具を一緒に配置し、外科手術手技のために一緒に使用することを可能にするために、同時に装着ブラケットに取り外し可能に装着可能であり得る。
【0044】
本発明の実施形態では、装着ブラケットは並進ラックをさらに含んでもよく、モーターモジュールは、並進モーターと並進ピニオンをさらに含んでもよい。前記並進ピニオンは、並進モーターによって回転可能に駆動可能であり、並進ピニオンの回転がモーターモジュールの装着ブラケットに対する移動を引き起こすようにモーターモジュールが装着ブラケットに装着されると、並進ラックと係合可能である。
【0045】
本発明のこのような実施形態では、並進ピニオンは、並進ラックと移動可能に係合可能であり得、並進ピニオンの回転は、並進ピニオンを並進ラックに沿って転動させる。並進ピニオンと並進ラックの組み合わせは、並進モーターの回転運動の、装着ブラケットに対するモーターモジュールの並進的、オプションで直線の、移動への変換を提供し得る。
【0046】
並進ラック及び並進ピニオンは、モーターモジュールが装着ブラケットに装着されると、並進ラックが並進ピニオンの接線に沿って配置されるように、それぞれ配置され得る。
【0047】
並進ピノンは、任意の適切な手段で並進ラックと係合可能であり得る。例えば、並進ピニオンは、その周囲から延在する複数の歯を含んでもよく、並進ラックは、並進ピニオンに直近の並進ラックの側(モーターモジュールが装着ブラケットに装着されたとき)から延在する複数の歯を含んでもよい。並進ピニオンの歯は、並進ラックの歯と連動するように適合化される。別の例では、並進ピニオンの周囲、及び並進ピニオンに直近の並進ラックの側(モーターモジュールが装着ブラケットに装着されたとき)は、高摩擦係数を有する材料を含んでもよく、並進ラックは、高摩擦材が相互に接触するように、並進ピニオンに対して配置されてもよい。
【0048】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、任意の適切な数の並進モーター及び並進ピニオンを含んでもよく、装着ブラケットは、任意の適切な数の並進ラックを含んでもよい。
【0049】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、ギア配置をさらに含んでもよい。前記ギア配置は、並進モーターによって回転可能に駆動可能であり、並進ピニオンがギア配置を介して並進モーターによって回転可能に駆動されるように、並進ピニオンに回転可能かつ機械的に結合される。
【0050】
本発明のこのような実施形態では、ギア配置は、並進モーターに対しては異なる軸の周りの並進ピニオンの回転を提供するために適合化されてもよい。これは、モーターモジュールが装着ブラケットに装着されたときに並進ピニオンの一部が並進ラックと係合するためにモーターモジュールから外側に延在するように、並進ピニオンがモーターモジュールの縁又は側に直近に配置されることを可能にし得るため、有利であり得る。一方、並進モーターは、モーターモジュールのケーシングによってカバーされて保護され得るように、モーターモジュール内のより中央に配置されてもよい。
【0051】
また、ギア配置は、並進モーターによって生成された回転に対して、並進ピニオンの回転のギアリングを提供するために適合化されてもよい。例えば、並進ピニオンは、モーターによって提供された入力に対してより大きな応答性を有するモーターモジュールの結果としての並進を提供するために、並進モーターよりも大きな角速度で回転するようにギアリングすることができる。あるいは、並進ピニオンは、より大きな精度でモーターモジュールによって達成され得る並進移動を提供するために、並進モーターよりも低い角速度で回転するようにギアリングすることができる。
【0052】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、手術器具を作動させるように構成されてもよい。さらに、モーターモジュールは、手術器具がモーターモジュールに取り外し可能に装着可能であるように、手術器具に機械的に結合可能である器具マウントをさらに含んでもよい。
【0053】
本発明のこのような実施形態では、手術器具は、モーターモジュールに直接装着可能であり得るか、あるいは、ドライバモジュール及び/又は無菌バリヤを介してモーターモジュールに装着可能であり得る。
【0054】
器具マウントは、手術器具の一部を形成する対応するチャネル、溝又はリッジとスライド可能に係合するように構成されたチャネル、溝若しくはリッジなどのモーターモジュール、又は、関連付けられたドライバモジュール若しくは無菌バリヤへの、手術器具の(直接的又は間接的に)スライド可能な係合を容易にするために手段を含んでもよい。
【0055】
また、器具マウントは、手術器具の一部を形成する対応する凹部とロック可能に係合するように構成されたラッチなどのモーターモジュール、又は、関連付けられたドライバモジュール若しくは無菌バリヤへの、手術器具の(直接的又は間接的に)ロック可能な係合を容易にするための手段を含んでもよい。あるいは、手術器具の(直接的又は間接的に)ロック可能な係合を容易にするための手段は、手術器具の一部を形成するラッチ、又は関連付けられたドライバモジュール若しくは無菌バリヤを受け入れるための凹部であってもよい。
【0056】
しかしながら、本発明の実施形態では、モーターモジュールは、他の器具を作動させるように構成されてもよい。例えば、モーターモジュールは、製造プロセス、爆弾処理、又は人間にとって小さすぎる又は過酷な環境での他のタスクの実行のために構成されたロボティックシステムの一部を形成してもよい。
【0057】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、少なくとも1つモーターに電気的に接続可能なプロセッサーを含む。
【0058】
本発明のこのような実施形態では、プロセッサーは、ロボティック手術システムの一部を形成する制御モジュールから制御信号を受信し得る。制御信号に基づいて、プロセッサーは、モーターに回転運動を提供させるために、モーターモジュールの一部を形成する前記又は各モーターに電力を選択的に提供し得る。
【0059】
本発明の幾つかの実施形態では、プロセッサーは、マザーボードに装着されてもよく、マザーボードを介して少なくとも1つモーターに電気的に接続可能であってもよい。
【0060】
本発明の幾つかの実施形態では、モーターモジュールは、任意の適切な数のプロセッサーを含んでもよい。例えば、モーターモジュールは、各モーターを制御するためにプロセッサーを含んでもよく、又は、モーターモジュールは、各タイプのモーターを制御するためにプロセッサー(即ち、すべての一次モーターを制御するためにプロセッサー、すべての二次モーターを制御するためにプロセッサー、並びに、すべての並進モーターを制御するためにモーター)を含んでもよい。
【0061】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、プロセッサーに電気的に接続可能な安全ウォッチドッグを含んでもよい。
【0062】
本発明のこのような実施形態では、安全ウォッチドッグは、故障したモーター、その制御された移動を完了できない(システム内の閉塞を示している可能性がある)モーター、又は制御信号を実行できないプロセッサーなどのエラーについて、モーターモジュールを監視してもよい。
【0063】
本発明の幾つかの実施形態では、安全ウォッチドッグは、マザーボードに装着されてもよく、マザーボードを介して前記又は各プロセッサーに電気的に接続可能であってもよい。安全ウォッチドッグはまた、マザーボードを介して1つ以上のモーターに電気的に接続可能であってもよい。
【0064】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、冷却ファンをさらに含む。
【0065】
本発明のこのような実施形態では、冷却ファンは、空気がモーターモジュールを通って流れ、内部コンポーネントの冷却を容易にするように動作され得る。さらに、冷却ファンは、これらのコンポーネントの冷却を改善するために空気がモーター及びプロセッサーに平行に流れるように配向されてもよい。
【0066】
本発明の実施形態では、モーターモジュールは、ヒートシンクをさらに含む。
【0067】
このような実施形態では、ヒートシンクは、モーターモジュールの使用中に、プロセッサー、安全ウォッチドッグ及び/又はモーターによって生成された熱を吸収し得る。従って、ヒートシンクは、モーターモジュールのコンポーネントが過熱しないようにするのに役立ち得る。モーターモジュールは、任意の適切な数のヒートシンクを含んでもよい。例えば、別個のヒートシンクは、各プロセッサー及び安全ウォッチドッグに付随してもよい。
【0068】
各ヒートシンクは、例えば、ヒートシンクの表面積を増加させ、ヒートシンクからの放熱を改善するチャネル、溝、リッジ又はフィンなどの特徴を有する冷却面を含んでもよい。さらに、チャネル、溝、リッジ又はフィンは、ヒートシンクからの放熱及び関連付けられたコンポーネントの冷却をさらに改善するために、冷却ファンによって引き起こされる空気流の方向に平行に延在してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
ここでは、添付の図面を参照して、例としてのみ本発明を説明する。
【
図1】本発明の一実施形態によるモーターモジュールの模式図である。
【
図2】モーターモジュールの一部を形成する複数のモーターを示す、
図1のモーターモジュールの模式図である。
【
図3】
図1のモーターモジュールの一部を形成する拮抗ラックアンドピニオン機構の模式図である。
【
図4】
図1のモーターモジュールの一部を形成する複数の拮抗ラックアンドピニオン機構の模式図である。
【
図5】
図1のモーターモジュールの一部を形成するデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構の模式図である。
【
図6】
図1のモーターモジュールの一部を形成する複数のデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構の模式図である。
【
図7】
図1のモーターモジュールの一部を形成する二次ラックアンドピニオン機構の模式図である。
【
図8】
図1のモーターモジュールの一部を形成する二次ラックアンドピニオン機構の模式図である。
【
図9】
図1のモーターモジュールの一部を形成する並進ピニオンの各模式図である。
【
図10】
図1のモーターモジュールの一部を形成する並進ピニオンの各模式図である。
【
図11】本発明の別の実施形態による、インターフェースプレートを含むモーターモジュールの模式図である。
【
図12】本発明の別の実施形態による、インターフェースプレートを含むモーターモジュールの模式図である。
【
図13】13a、13b及び13cは、
図11と12のモーターモジュールを、装着ブラケット、無菌バリヤ、ドライバモジュール及び手術器具とともに示す模式図である。
【
図14】
図13a、13b及び13cの無菌バリヤの第1と第2側の模式図である。
【
図15】
図13a、13b及び13cの無菌バリヤの第1と第2側の模式図である。
【
図16】
図13a、13b及び13cの手術器具の模式図である。
【
図17】
図1及び
図11と12に示されるモーターモジュールの一部を形成する内部コンポーネントの模式図である。
【
図18】
図1及び
図11と12に示されるモーターモジュールの一部を形成する内部コンポーネントの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
最初に
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるモーターモジュールは、一般に参照番号2で指定されている。モーターモジュール2は、3つの拮抗ラックアンドピニオン機構10、2つのデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20、二次ラックアンドピニオン機構30及び並進ピニオン36を含む。モーターモジュールは、外部ケーシング46をさらに含む(
図13a、13b及び13cにより明確に示される)。
【0071】
しかしながら、本発明の他の実施形態は、これらの特徴の各々をより多く又はより少なく含んでもよい。
【0072】
各拮抗ラックアンドピニオン機構10は、第1一次ラック11、第2一次ラック12及び一次ピニオン16を含む。
【0073】
各デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20は、第1一次ラック21、第2一次ラック22、第3一次ラック23、第4一次ラック24及び一次ピニオン26を含む。
【0074】
二次ラックアンドピニオン機構30は、二次ラック32と二次ピニオン34を含む。
【0075】
モーターモジュール2はまた複数のモーターを含み、複数のモーターの各々は、拮抗ラックアンドピニオン機構10、デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20、二次ラックアンドピニオン機構30及び並進ピノン36のそれぞれの1つに関連付けられる。
【0076】
各モーターの位置は、参照符号A、B、C、D、E、F及びGで示されている。
【0077】
図2は、内部ケーシング47を現すために外部ケーシング46が取り外されたモーターモジュール2の下側を示す。モーターモジュール2は、5つの一次モーター4、二次モーター6及び並進モーター8を含み、それぞれが内部ケーシング47に装着されている。一次モーター4のうちの3つは、位置B、C及びDに配置され、
図1に示される拮抗ラックアンドピニオン機構10に関連付けられる。一次モーター4の残りの2つは、位置A及びEに配置され、
図1に示されるデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20に関連付けられる。
【0078】
並進モーター8は、位置Fに配置され、並進ピニオン36に関連付けられる。
【0079】
二次モーター6は、位置Gに配置され、二次ラック及びピニオン機構30に関連付けられる。
【0080】
図1に戻って参照すると、モーターモジュール2の位置Fとは反対側に配置された位置F’もある。並進モーター8は、位置Fではなく位置F’に配置されてもよく、それに応じて、並進ピニオン36は、モーターモジュール2の、
図1に位置する場所とは反対側に配置されてもよい。並進ピニオン36をモーターモジュール2のいずれかの側に配置して作動させる可能性により、2つのモーターモジュール2は互いに対称となるように構成されることが可能になる。
【0081】
図3は、
図1に示されるモーターモジュール2の一部を形成する拮抗ラックアンドピニオン機構10の1つを示す。第1と第2一次ラック11、12はそれぞれ、一次ピニオン16と移動可能に係合可能であり、一次ピニオン16の回転は、第1一次ラック11の第1方向への移動、及び第2一次ラック12の第2方向への移動を引き起こす。例えば、一次ピニオン16の時計回り回転により、第1一次ラック11は上方に移動し、第2一次ラック12は下方に移動する。一方、一次ピニオン16の反時計回り回転により、第1と第2一次ラック11、12は反対方向(それぞれ下方と上方)に移動する。
【0082】
手術器具を作動させるために使用される場合、第1と第2一次ラック11、12の拮抗的な移動は、手術器具の一部を形成する拮抗腱の対の作動を容易にし得る。例えば、手術器具のジョイントを第1方向に作動させるために、第1腱を作動させる(引っ張る)ことができ、ジョイントを第2方向に作動させるために、第2の、拮抗的な、腱を作動させる(引っ張る)ことができる。拮抗ラックアンドピニオン機構10は、一次ピニオン16の第1方向への回転によって第1腱を作動させ、一次ピニオン16の第2の、反対の、方向への回転によって第2腱を作動させることができる。
【0083】
第1と第2一次ラック11、12の各々は、作動部15を含み、モーターモジュール2の一部を形成する直線チャネル44内で直線的に移動可能である。
【0084】
各直線チャネル44は、関連付けられた第1又は第2一次ラック11、12の配置を、それが関連付けられた一次ピニオン16と接触して接線方向に維持するように、制限し得る。さらに、直線チャネル44は、関連付けられた第1又は第2一次ラック11、12の移動を、それが直線チャネル44の第1端と第2端との間で直線的にのみ移動し得るように、制限し得る。
【0085】
直線チャネル44は、モーターモジュール2が手術器具とともに使用されるとき、直線チャネル44が手術器具シャフトの軸に平行であるように、モーターモジュール2内に構成されてもよい。従って、一次ラック11、12及び特に作動部15の直線運動は、手術器具の腱の必要な移動に平行であってもよい。これにより、モーターモジュール2の拮抗ラックアンドピニオン機構10の一部を形成する作動部によって作動させるために、腱がボーデンケーブル又はプーリでシャフトを出るときに腱の方向を大幅に変更する必要がなくなる。
【0086】
図4は、
図1に示されるモーターモジュール2の一部を形成する3つの拮抗ラックアンドピニオン機構10のすべてを示す。本発明のこの実施形態では、一次ピニオン16は、その周囲から延在する複数の歯を含み、第1と第2一次ラック11、12はそれぞれ、一次ピニオン16に直近の一次ラック11、12側から延在する複数の歯を含む。一次ピニオンの歯16は、各一次ラック11、12の歯と連動するように適合化されている。使用中、一次ピニオン16が一次モーター4(
図2に示される)によって回転させられると、一次ピニオンの歯の角運動は、一次ラックの歯に力を生じ、それによって一次ラック11、12を一次ピニオン16に対して並進的に移動させることができる。
【0087】
本発明の他の実施形態では、第1と第2一次ラック11、12は、任意の適切な手段によって一次ピニオン16と移動可能に係合可能であり得る。
【0088】
図5は、
図1に示されるモーターモジュール2の一部を形成するデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20の1つを示す。第1、第2、第3及び第4一次ラック21、22、23及び24は、それぞれ一次ピニオン26と移動可能に係合可能であり、一次ピニオン26の回転は、第1と第3一次ラック21、23の第1方向への移動、及び第2と第4一次ラック22、24の第2方向への移動を同時に引き起こす。例えば、一次ピニオン26の時計回り回転により、第1と第3一次ラック21、23は上方に移動し、第2と第4一次ラック22、24は下方に移動する。
【0089】
従って、デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20は、2対の拮抗的に移動可能な一次ラック(第1拮抗対は第1と第2一次ラック21、22であり、第2拮抗対は第3と第4一次ラック23、24である)を提供する。
【0090】
これは、同じ方向に回転可能な2つの隣接するジョイント(隣接するジョイントの例のための
図16を参照)を含む手術器具の作動を提供することに特に有利であり得る。デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20は、隣接するジョイントの各々に関連付けられた拮抗的な腱の対の同時作動を提供し得る。言い換えれば、デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20は、隣接するジョイントの両方を同時に作動させるために使用され得る。これにより、2つの隣接するジョイントは互いに補完的に作動することが可能になる。さらに、両方のジョイントの作動は、単一の一次モーター4のみによって駆動され得、それによって、モーターモジュール2の複雑さ、サイズ、及びコストが削減される2。
【0091】
第1、第2、第3及び第4一次ラック21、22、23、24の各々は、作動部25を含み、
図3に示される拮抗ラックアンドピニオン機構の一部を形成する第1と第2一次ラックと同様に、直線チャネル44内で直線的に移動可能である。
【0092】
各直線チャネル44は、関連付けられた第1と第3一次ラック21、23又は第2と第4一次ラック22、24を、それらが関連付けられた一次ピニオン26と接触して接線方向に維持するように、制限し得る。さらに、直線チャネル44は、関連付けられた第1と第3一次ラック21、23又は第2と第4一次ラック22、24の移動を、それらが直線チャネル44の第1端と第2端との間で直線的にのみ移動できるように、制限し得る。
【0093】
拮抗ラックアンドピニオン機構10に関連付けられた直線チャネル44と同様に、デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20に関連付けられた直線チャネル44は、モーターモジュール2が手術器具とともに使用されるとき、直線チャネル44が手術器具シャフトの軸に平行であるように、モーターモジュール2内に構成されてもよい。従って、一次ラック21、22、23、24及び特に作動部25の直線運動は、手術器具の腱の必要な移動に平行であってもよい。
【0094】
図6は、
図1に示されるモーターモジュール2の一部を形成するデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20の両方を示す。本発明のこの実施形態では、一次ピニオン26は、第1部分27と第2部分28を含み、第1と第2一次ラック21、22は、第1部分27と係合可能であり、第3と第4一次ラック23、24は、第2部分28と係合可能である。
【0095】
さらに、第1と第2部分27、28は、異なる半径を有し、それによって、第1と第2一次ラック21、22を第3と第4一次ラック23、24に対して異なるギアリング比で移動させ得る。本発明のこの実施形態では、第2部分28は、第1部分27よりも大きい半径を有するので、使用中、一次ピニオン26の回転は、第3と第4一次ラック23、24を、それらのそれぞれの方向に第1と第2一次ラック21、22よりも大きい距離移動させ得る。
【0096】
第1と第2部分27、28の半径は、モーターモジュール2が2つの隣接するジョイントを有する手術器具を作動させるために使用される場合、両方のジョイントが、2つのジョイントのより遠位に必要とされるより大きな腱の作動に関係なく、同じ回転角度で回転するように作動させられ得ることを確保するように、構成され得る。例えば、本発明のこの実施形態では、第3と第4一次ラック23、24は、それらが第1と第2一次ラック21、22によって提供される作動に対してより大きな作動を提供するため、手術器具の一部を形成する隣接するジョイントのより遠位に関連付けられた拮抗腱の対を作動させるように構成されてもよい。
【0097】
図7と8は、
図1に示されるモーターモジュール2の一部を形成する二次ラックアンドピニオン機構30を示す。二次ラック32は、二次ピニオン34と移動可能に係合可能であり、二次ピニオン34の回転は、二次ラック32の移動を引き起こす。例えば、本発明のこの実施形態では、二次ピニオン34の時計回り回転は、二次ラック32を右に移動させ、反時計回り回転は、二次ラック32を左に移動させる。
【0098】
二次ラック32は作動部35を含み、作動部35を介して、二次ラックアンドピニオン機構30は、手術器具の態様を作動させ得る。本発明のこの実施形態では、二次ラックアンドピニオン機構30は、一次ラックアンドピニオン機構10、20によって提供される移動に垂直な並進移動を提供するように構成されている。二次ラック32の「側から側へ」の移動は、例えば、手術器具のシャフトのその軸の周りの回転を提供し得る。
【0099】
特に
図7を参照すると、二次ラック32は、拮抗及びデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構10、20に関連付けられた直線チャネル44と同様の直線チャネル44内で移動可能である。直線チャネル44は、二次ラック32の配置を、それが関連付けられた二次ピニオン34と接触して接線方向に維持するように、制限し得る。さらに、直線チャネル44は、二次ラック32の移動を、それが直線チャネル44の第1端と第2端との間で直線的にのみ移動し得るように、制限し得る。
【0100】
図9と10は、
図1に示されるモーターモジュール2の一部を形成する並進ピニオン36を示す。
【0101】
特に
図9を参照すると、並進ピニオン36は、並進ラック(
図13を参照してさらに詳細に説明される)と相互作用し得るために、モーターモジュール2から少なくとも部分的に延在するように配置される。並進ピニオン36が、位置Fに配置された並進モーター8によって依然として駆動されている間に、モーターモジュールの縁の近くに配置され得るために、本発明のこの実施形態は、並進モーター(位置F)に対して異なる軸の周りの並進ピニオン36の回転を提供するように適合化されたギア配置37(
図10に示される)をさらに含む。
【0102】
図11と12は、インターフェースプレート140と器具マウントをさらに含むことを除いて、
図1に示されるモーターモジュール2と同様のモーターモジュール102を示す。本発明のこの実施形態では、器具マウントは、無菌バリヤを介して手術器具のスライド可能な係合を容易にする一対のチャネル50aと、無菌バリヤを介して手術器具のロック可能な係合を容易にするラッチ50bとを含む。(
図2と同様に、内部ケーシング47及びモーター4、6、8を現すために、外部ケーシング46が取り外された。)
【0103】
特に
図11を参照すると、インターフェースプレート140は、複数の第1開口部141と複数の第2開口部142を含む。各第1一次ラック11、又は各第1と第3一次ラック21、23の作動部15、25は、第1開口部141のそれぞれの1つ内で移動可能である。同様に、各第2一次ラック12、又は各第2と第4一次ラック22、24の作動部15、25は、第2開口部142のそれぞれの1つ内で移動可能である。また、二次ラック32の一部を形成する作動部35は、二次開口部144内で移動可能である。
【0104】
インターフェースプレート140は、モーター4、6、8(
図2に示される)及びピニオン16、26、34、36(
図1に示される)などの、モーターモジュール102の内部コンポーネントをカバーして保護する。
【0105】
今、
図12を参照すると、並進ピニオン36(
図1、9及び10に示される並進ピニオンと同様)は、装着ブラケットの一部を形成する並進ラックと係合し得るように、モーターモジュール2から延在する。
【0106】
図13a、13b及び13cは、モーター4、6、8をカバーしている外部ケーシング46を有するモーターモジュール102を示す。モーターモジュール102は、並進ピニオン36(
図12により明確に示される)が装着ブラケット60の一部を形成する並進ラック61(特に
図13cに示される)と係合するように、装着ブラケット60に取り外し可能に装着される。
【0107】
ギア配置37(
図10に示される)は、並進モーター8(
図2に示される)によって生成された回転に対して並進ピニオンの回転のギアリングを提供するように適合化されてもよい。例えば、並進ピニオン36は、モーター8によって提供された入力に対してより大きな応答性を有する装着ブラケット60に沿ったモーターモジュール102の結果としての並進を提供するために、並進モーター8(
図2に示される)よりも良い大きな角速度で回転するようにギアリングすることができる。あるいは、並進ピニオン36は、装着ブラケット60に対してより大きな精度でモーターモジュール102によって達成され得る並進移動を提供するために、並進モーター8よりも低い角速度で回転するようにギアリングすることができる。
【0108】
図13a、13b及び13cはまた、モーターモジュール102に順番に取り外し可能に装着された無菌バリヤ64に取り外し可能に装着されたドライバモジュール62から延在する手術器具70を示す。
【0109】
無菌バリヤ64は、補完的に構成されたチャネル、リッジ又は溝など、一対のチャネル50a(
図11と12に示される)と係合可能なスライド可能な係合特徴、及び、ラッチ50bを受け入れるように構成された凹部などのラッチ50b(
図11と12に示される)と係合可能なロック可能な係合特徴を含んでもよい。使用中、無菌バリヤ64は、無菌バリヤ64のラッチ凹部がラッチ50bと位置合わせされるまでチャネル50aと係合し、モーターモジュール102が無菌バリヤとロック可能に係合することを可能にするように、無菌バリヤ64をインターフェースプレート140上でスライドさせることによって、モーターモジュール102にスライド可能に装着され得る。
【0110】
ドライバモジュール62は、ライバモジュールに関連付けられた手術器具がモーターモジュール102に間接的に取り外し可能に装着されるように、同様の方式で、又は任意の適切な手段によって、無菌バリヤ64に装着され得る。
【0111】
図14は、モーターモジュール102に取り外し可能に装着され得る無菌バリヤ64の第1側66を示し、
図15は、ドライバモジュール62が装着され得る無菌バリヤ64の第2側68示す。無菌バリヤ64は、複数の可動トランスレーター67を含む。
【0112】
モーターモジュール102が手術器具を作動させるために、作動部15、25及び35(
図11に示される)は、無菌バリヤ66の第1側を介してトランスレーター67と係合し得る。トランスレーター67は、第2側68を介してドライバモジュール62の一部を形成するアクチュエータと係合し得るように、無菌バリヤ64を通って延在する。モーターモジュール102の作動部15、25及び35の移動は、トランスレーター67の対応する移動を引き起こし得、それは順番にドライバモジュール62のアクチュエータを引き起こし得る。ドライバモジュールアクチュエータの移動は、おそらく腱を介して手術器具の作動を引き起こし得る。
【0113】
図16は、(
図13a、13b及び13cに示されるように)ドライバモジュール62から延在する手術器具70を示す。手術器具70は、ドライバモジュール62から延在し得るシャフト72、シャフト72に結合された関節部74、及び関節部74に結合されたエンドエフェクタ76を含む。
【0114】
手術器具70は、以下に挙げられる複数の作動が可能である:
- 手術器具70の前方又は後方への並進、
- 手術器具70の時計回り又は反時計回りの回転、
- 第1ピッチジョイント81及び第2ピッチジョイント82の上又は下の作動、
- 第1ヨージョイント83及び第2ヨージョイント84の左又は右の作動、
- 手首ジョイント85の上又は下の作動、
- 左ジョー86の時計回り又は反時計回りの作動、
- 右ジョー87の時計回り又は反時計回りの作動、
- ジョー86及び87の同じ方向の同じ速度での作動は、ジョイントのような移動をもたらし、
- ジョー86及び87の反対方向への作動は、ジョーの開閉をもたらす。
【0115】
図1~13に示される対応する特徴を参照すると、以上に挙げられた作動の各々は、それに応じて、モーターモジュール2又は102によって引き起こされ得る:
並進ピニオン36
【0116】
位置Fに配置された並進モーター8は、並進ピニオン36が装着ブラケット60の一部を形成する並進ラックに沿って転動するように、並進ピニオン36を時計回り又は反時計回りに回転させ得る。それにより、モーターモジュール2/102(及びそれに装着された手術器具70)は、装着ブラケット60に対して前方又は後方に並進し得る。
二次ラックアンドピニオン機構30
【0117】
位置Gに配置された二次モーター6は、二次ラック32を左又は右に並進させるために、二次ピニオン34を時計回り又は反時計回りに回転させ得る。結果としての作動部35の移動は、手術器具70の時計回り又は反時計回りの回転を提供するために、ドライバモジュール内で変換され得る。
デュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20
【0118】
位置Aに配置された一次モーター4は、対応する第2と第4一次ラック22、24を手術器具70(手術器具は
図1の上部に配置される)から離れて移動させるために、対応するデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20の一次ピニオン26を時計回りに回転させ得る。第2と第4一次ラック22、24のこのような移動は、ピッチジョイント81、82に関連付けられた腱を上方に作動させるように引っ張り得る。逆に、一次ピニオン26の反時計回り回転は、対応する第1と第3一次ラック21、23を手術器具70から離れて移動させ、それによって、ピッチジョイント81、82にも関連付けられた腱を下方に作動させるように引張リ得る。
【0119】
同様に、位置Eに配置された一次モーター4は、ヨージョイント83、84をそれぞれ右又は左に作動させるために、対応するデュアル拮抗ラックアンドピニオン機構20の一次ピノン26を時計回り又は反時計回りに回転させ得る。
拮抗ラックアンドピニオン機構10
【0120】
位置Cに配置された一次モーター4は、対応する第2一次ラック12を手術器具70から離れて移動させるために、対応する拮抗ラックの一次ピニオン16とピノン機構10とを時計回りに回転させ得る。第2一次ラックのこのような移動は、手首ジョイント85に関連付けられた腱を上方に作動させるように引っ張り得る。逆に、一次ピニオン16の反時計回り回転は、対応する第1一次ラック11を手術器具70から離れて移動させ、それによって、手首ジョイント85を下方に作動させるために手首ジョイント85に関連付けられた拮抗腱の他方を引っ張り得る。
【0121】
同様に、位置D及びBに配置された一次モーター4はそれぞれ、左ジョー86及び右ジョー87にそれぞれ関連付けられた腱を引っ張るために、対応する拮抗ラックアンドピニオン機構の一次ピニオン16を時計回り又は反時計回りに回転させ得る。それぞれの場合において、一次ピニオン16の時計回りの回転は、関連するジョー86、87の時計回りの作動を引き起こし、一次ピニオン16の反時計回りの回転は、関連するジョー86、87の反時計回りの作動を引き起こす。
【0122】
手術器具70は、本発明の一実施形態によるモーターモジュールによって作動させられ得る手術器具の例である。本発明の一実施形態によるモーターモジュールは、任意の適切な手術器具を作動させるために使用され得る。例えば、シャフトは、示されるシャフト72よりも長くても短くてもよく、関節部は、示される関節部74よりも多くの又は少なくのジョイントを含んでもよく、エンドエフェクタは、示されるエンドエフェクタ76とは異なってもよい。エンドエフェクタは、例えば、外科用メス、はさみ、焼灼ツール、吸引ツール又は注射針であってもよい。
【0123】
今、
図17を参照すると、モーターモジュール2、102の内部コンポーネントが示される。内部コンポーネントは、それぞれがマザーボード80に装着された4つのプロセッサー82及び安全ウォッチドッグ84を含む。安全ウォッチドッグ84は、マザーボード80を介してプロセッサー82に電気的に接続可能であり得る。
【0124】
各プロセッサー82は、ロボティック手術システムの一部を形成する制御モジュールから制御信号を受信し得る。制御信号に基づいて、各プロセッサー82は、モーターに回転運動を提供させるために、モーターモジュール2、102の一部を形成する1つ以上のモーター4、6、8に選択的に電力を提供し得る。
【0125】
安全ウォッチドッグ84は、故障したモーター、その制御された移動を完了できない(システム内の閉塞を示している可能性がある)モーター、又は制御信号を実行できないプロセッサーなどのエラーについて、モーターモジュール2、102を監視し得る。
【0126】
さらに、ヒートシンク86は、各プロセッサー82及び安全ウォッチドッグ84に装着される。各ヒートシンク86は、モーターモジュール2、102の使用中にプロセッサー82及び安全ウォッチドッグ84によって生成された熱を吸収し得る。各ヒートシンク86は、ヒートシンク86の表面積を増大させ、放熱を改善するフィンを含む冷却面を含む。従って、各ヒートシンク86は、モーターモジュール2、102のコンポーネントが過熱しないようにするのに役立ち得る。
【0127】
今、
図18を参照すると、マザーボード80は、プロセッサー82及び安全ウォッチドッグ84がモーターs4、6、8の周りに配置されるように、モーターモジュール2、102(
図2と12に示される)の内部ケーシング47に装着される。シャシー48も内部ケーシング47に装着され、シャシー48は、モーターモジュール2、102内のそれらの意図した位置で様々な内部コンポーネントを支持するように適合化されている。
【0128】
冷却ファン88は、シャシー48に装着される。冷却ファンは、空気がモーターモジュール2、102を通って流れるようにして、内部コンポーネント、特にモーター4、6、8、プロセッサー82及びヒートシンク86の冷却を容易にするように作動され得る。さらに、冷却ファン88は、空気がモーター4、6、8、プロセッサー82及び安全ウォッチドッグ84に平行に流れるように配向され得る。
【0129】
また、ヒートシンク86のフィンは、冷却ファン88によって引き起こされた空気流に平行に延在する。これにより、空気がヒートシンクの冷却面にわたって流れることを促進し、それらからの放熱を改善し、従って、モーターモジュール2、102のコンポーネントが過熱することを防止するのにさらに役立ち得る。
【0130】
本発明の所与の態様、特徴、又はパラメーターの好み及び選択肢は、文脈が別段の指示をしない限り、本発明の他のすべての態様、特徴、及びパラメーターのあらゆる好み及び選択肢と組み合わせて開示されたと見なされるべきである。例えば、本発明の実施形態によるモーターモジュールは、1つより多くの二次ラックアンドピニオン機構を含んでもよいか、又は、
図1~15に示されるように二次ラックアンドピニオン機構を1つだけ含むのではなく、二次ラックアンドピニオン機構を含まなくてもよい。