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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電気接続部品およびスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/193 20060101AFI20240611BHJP
   H01H 19/08 20060101ALI20240611BHJP
   H01H 21/12 20060101ALI20240611BHJP
   H01H 21/54 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01R13/193
H01H19/08 T
H01H21/12 B
H01H21/54 N
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023538249
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2022011146
(87)【国際公開番号】W WO2023007818
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2021123568
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】五明 英幸
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-190750(JP,A)
【文献】国際公開第2021/070637(WO,A1)
【文献】特開2007-149629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/193
H01H 19/08
H01H 21/12
H01H 21/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、外部から前記筐体内に挿入される外部端子を挟持可能に対向した一対の端子部を有する金属端子部材と、
前記筐体内において前記一対の端子部の周囲に配置され、前記外部端子が前記一対の端子部の間に挿通されるとき、当該挿通に係る荷重が加えられて回転動作することにより、前記一対の端子部のうちの一の端子部を、前記一対の端子部のうちの他の端子部から離間する方向に押圧するブロック状の補助部材と
を備えることを特徴とする電気接続部品。
【請求項2】
前記一の端子部は、
前記外部端子の先端部が当接する被当接部を有し、
前記被当接部が前記外部端子によって押圧されることにより、前記補助部材を付勢して前記補助部材を前記回転動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続部品。
【請求項3】
前記補助部材は、
前記筐体の内壁面に当接する回転支点部と、傾斜部とを有し、
前記一の端子部は、
前記傾斜部に当接する付勢部を有し、当該付勢部によって前記傾斜部を付勢することにより、前記回転支点部を回転中心として前記補助部材を前記回転動作させる
ことを特徴とする請求項2に記載の電気接続部品。
【請求項4】
前記補助部材は、
前記回転動作したときに前記一の端子部を前記離間する方向に押圧する突起部を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気接続部品。
【請求項5】
前記補助部材は、
筐体の内部で他の部材に当接することにより、当該補助部材の回転角度を所定角度に規制する規制面を有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気接続部品。
【請求項6】
前記補助部材は、
前記一対の端子部の間に前記外部端子が挿通されたとき、前記他の端子部に付勢されることにより、前記補助部材を逆回転方向に回転させ、且つ、前記他の端子部を外側から支持する支持面を有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気接続部品。
【請求項7】
前記金属端子部材は、
一枚の金属板が加工されることによって前記一対の端子部が一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気接続部品。
【請求項8】
一の方向に並べて設けられた複数の前記一対の端子部と、
前記一の方向に並べて設けられ、且つ、互いに連結された複数の前記補助部材と
を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気接続部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気接続部品を備える
ことを特徴とするスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続部品およびスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、スイッチ装置に関し、筐体の内部において互いに対向して設けられた一対の弾性部(端子部)の間に、筐体の外部から外部端子を挿通させることで、外部端子を接続できるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-190750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、外部端子が位置ズレして挿し込まれて、端子部に対する外部端子の引っ掛かりが生じた場合、端子部が外部端子によって押し込まれることで塑性変形してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る電気接続部品は、筐体内に配置され、外部から筐体内に挿入される外部端子を挟持可能に対向した一対の端子部を有する金属端子部材と、筐体内において一対の端子部の周囲に配置され、外部端子が一対の端子部の間に挿通されるとき、当該挿通に係る荷重が加えられて回転動作することにより、一対の端子部のうちの一の端子部を、一対の端子部のうちの他の端子部から離間する方向に押圧するブロック状の補助部材とを備える。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、外部端子が位置ズレして挿し込まれて、端子部に対する外部端子の引っ掛かりが生じた場合であっても、端子部が塑性変形してしまうことを抑制することができ、且つ、一対の端子部の間に外部端子を確実に挿通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るスイッチ装置の正面側を示す外観斜視図
図2】一実施形態に係るスイッチ装置の正面図
図3】一実施形態に係るスイッチ装置の背面側を示す外観斜視図
図4】一実施形態に係るスイッチ装置(筐体を取り除いた状態)の外観斜視図
図5】一実施形態に係るスイッチ装置(筐体を取り除いた状態)の正面図
図6】一実施形態に係るスイッチ装置(筐体を取り除いた状態)の背面側を示す外観斜視図
図7】一実施形態に係るスイッチ装置の正面側を示す分解斜視図
図8】一実施形態に係るスイッチ装置の背面側を示す分解斜視図
図9】一実施形態に係るスイッチ装置の断面図
図10】一実施形態に係るスイッチ装置が備える支持体の外観斜視図
図11】一実施形態に係るスイッチ装置が備える支持体(樹脂部を取り除いた状態)の正面側を示す外観斜視図
図12】一実施形態に係るスイッチ装置が備える支持体(樹脂部を取り除いた状態)の背面側を示す外観斜視図
図13】一実施形態に係るスイッチ装置が備える補助部材の正面側を示す外観斜視図
図14】一実施形態に係るスイッチ装置が備える補助部材の背面面側を示す外観斜視図
図15】一実施形態に係るスイッチ装置が備える補助部材の側面図
図16】一実施形態に係る金属端子部材に補助部材が組み込まれる様子を示す側面図
図17】一実施形態に係る金属端子部材に補助部材が組み込まれる様子を示す側面図
図18】一実施形態に係る金属端子部材に補助部材が組み込まれた状態を示す一部拡大斜視図
図19】一実施形態に係る金属端子部材に補助部材が組み込まれた状態を示す一部拡大斜視図
図20】一実施形態に係るスイッチ装置のXZ平面による断面図
図21】一実施形態に係るスイッチ装置のXZ平面による断面図
図22】一実施形態に係るスイッチ装置における補助部材の動作を説明するための一部拡大断面図
図23A】一実施形態に係るスイッチ装置における補助部材の動作を説明するための一部拡大断面図
図23B】一実施形態に係るスイッチ装置における補助部材の動作を説明するための一部拡大断面図
図24A】一実施形態に係るスイッチ装置における補助部材の動作を説明するための一部拡大断面図
図24B】一実施形態に係るスイッチ装置における補助部材の動作を説明するための一部拡大断面図
図25A】一実施形態に係るスイッチ装置における補助部材の動作を説明するための一部拡大断面図
図25B】一実施形態に係るスイッチ装置における補助部材の動作を説明するための一部拡大断面図
図26A】一実施形態に係るスイッチ装置における補助部材の動作を説明するための一部拡大断面図
図26B】一実施形態に係るスイッチ装置における補助部材の動作を説明するための一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
(スイッチ装置の概要)
図1は、一実施形態に係るスイッチ装置100の正面側を示す外観斜視図である。図2は、一実施形態に係るスイッチ装置100の正面図である。図3は、一実施形態に係るスイッチ装置100の背面側を示す外観斜視図である。図1図3に示すように、スイッチ装置100は、筐体110およびレバー120を備える。
【0010】
レバー120は、筐体110によって回転可能に支持されている。レバー120は、その操作部121が、筐体110の上側開口部110Aから上方(Z軸正方向)に突出して設けられている。
【0011】
レバー120は、正面側(X軸正側)から見て操作部121が右方向(Y軸正方向)に操作された場合、時計回り方向に回転し、操作部121が右側(Y軸正側)に傾倒する。
【0012】
一方、レバー120は、正面側(X軸正側)から見て操作部121が左方向(Y軸正方向)に操作された場合、反時計回り方向に回転し、操作部121が左側(Y軸負側)に傾倒する。
【0013】
筐体110の内部の下部には、3つの接続部131Aが左右方向(Y軸方向)に並べて設けられている。スイッチ装置100は、筐体110の外側(X軸負側)から、筐体110の背面に形成されている3つの挿通孔110Bを介して、3つの接続部131Aの各々に対して、平板状の外部端子20を接続できるようになっている。
【0014】
このように構成されたスイッチ装置100は、レバー120が操作されていない状態において、左右方向(Y軸方向)における中央の接続部131Aが、他の接続部131Aのいずれとも導通していないスイッチオフ状態にある。
【0015】
また、スイッチ装置100は、レバー120の操作部121が右方向(Y軸正方向)に操作された場合、左右方向(Y軸方向)における中央の接続部131Aが、左側(Y軸負側)の接続部131Aと導通した第1のスイッチオン状態になる。
【0016】
また、スイッチ装置100は、レバー120の操作部121が左方向(Y軸負方向)に操作された場合、左右方向(Y軸方向)における中央の接続部131Aが、右側(Y軸正側)の接続部131Aと導通した第2のスイッチオン状態になる。
【0017】
なお、スイッチ装置100は、レバー120の操作から解放されると、後述するトーションばね124からの付勢力によって、レバー120が中立状態に自動的に復帰する。これにより、スイッチ装置100は、スイッチオフ状態に自動的に復帰する。
【0018】
(スイッチ装置の構成)
図4は、一実施形態に係るスイッチ装置100(筐体110を取り除いた状態)の正面側を示す外観斜視図である。図5は、一実施形態に係るスイッチ装置100(筐体110を取り除いた状態)の正面図である。図6は、一実施形態に係るスイッチ装置100(筐体110を取り除いた状態)の背面側を示す外観斜視図である。図7は、一実施形態に係るスイッチ装置100の正面側を示す分解斜視図である。図8は、一実施形態に係るスイッチ装置100の背面側を示す分解斜視図である。図9は、一実施形態に係るスイッチ装置100の断面図である。図10は、一実施形態に係るスイッチ装置100が備える支持体130の外観斜視図である。図11は、一実施形態に係るスイッチ装置100が備える支持体130(樹脂部132を取り除いた状態)の正面側を示す外観斜視図である。図12は、一実施形態に係るスイッチ装置100が備える支持体130(樹脂部132を取り除いた状態)の背面側を示す外観斜視図である。
【0019】
図3図5に示すように、一実施形態に係るスイッチ装置100は、筐体110、レバー120、支持体130、および補助部材140を備える。
【0020】
<筐体110>
筐体110は、中空構造を有する樹脂製且つ箱状の部材である。筐体110は、概ね、上下方向(Z軸方向)を長手方向とする直方体形状を有する。筐体110の上面には、上側開口部110Aが形成されている。上側開口部110Aには、筐体110の内部から、レバー120の操作部121が挿通して配置される。筐体110の背面(X軸負側の表面)の下部には、いずれも矩形状の3つの挿通孔110Bが、左右方向(Y軸方向)に並べて形成されている。3つの挿通孔110Bの各々には、筐体110の外側(X軸負側)から、外部端子を挿通可能である。
【0021】
<レバー120>
レバー120は、ユーザによって回転操作がなされる樹脂製の部材である。レバー120は、操作部121および基部122を有する。
【0022】
操作部121は、上下方向(Z軸方向)に延在する四角柱状の部分である。操作部121は、筐体110の上側開口部110Aから上方(Z軸正方向)に突出することにより、ユーザによる回転操作がなされる部分である。
【0023】
基部122は、操作部121の下端部に接続されている。基部122は、筐体110の内部に配置される。基部122の背面側には、円柱状の軸部122Aが設けられている。基部122は、軸部122Aが支持体130の支持部132Aに形成されている支持孔132Bに挿通される。これにより、基部122は、筐体110の内部において、支持体130の支持部132Aによって回転可能に支持される。
【0024】
レバー120の下端部には、金属製の可動接点部材123が設けられている。可動接点部材123は、基部122によって保持されており、基部122とともに回転する。可動接点部材123は、いずれも下方(Z軸負方向)に向かって突出したクリップ状の、第1可動接点部123Aと第2可動接点部123Bとが、左右方向(X軸方向)に並べて設けられている。第1可動接点部123Aは、左側(Y軸負側)の摺接部131Bおよび中央の摺接部131Bを前後から挟み込んだ状態で、左側(Y軸負側)の摺接部131Bおよび中央の摺接部131Bに摺接する。第2可動接点部123Bは、右側(Y軸正側)の摺接部131Bおよび中央の摺接部131Bを前後から挟み込んだ状態で、右側(Y軸正側)の摺接部131Bおよび中央の摺接部131Bに摺接する。
【0025】
レバー120の正面側には、平面視において円形状を有する凹部が形成されており、当該凹部には、トーションばね124が配置される。トーションばね124は、一端部と両端部とが筐体110の内部に係合することにより(図9参照)、レバー120が回転したときに、レバー120を復帰方向へ付勢する付勢力を発生する。
【0026】
<支持体130>
支持体130は、筐体110の内部に配置される。支持体130は、インサート成形によって、3つの金属端子部材131(金属端子部材131-1,131-2,131-3)と、樹脂部132とが一体的に設けられている。
【0027】
樹脂部132は、その上部に概ね円盤状の支持部132Aを有する。支持部132Aの中央には、円形の支持孔132Bが設けられている。支持部132Aは、支持孔132Bに対して、レバー120の基部122の背面側に設けられている円柱状の軸部122Aが挿通されることにより、レバー120を回転可能に支持する。
【0028】
樹脂部132の正面および背面には、それぞれ2つの係合爪132Cが設けられている。支持体130は、複数の係合爪132Cの各々が、筐体110の正面および背面に形成されている複数の係合孔110Cの各々に係合することにより、筐体110の内部における所定の位置に位置決めおよび固定される。
【0029】
3つの金属端子部材131は、いずれも金属板が用いられて形成され、当該金属板が加工された形状を有する。図10および図11に示すように、3つの金属端子部材131は、互いに非接触に左右方向(Y軸方向)に並べて配置される。また、図10および図11に示すように、3つの金属端子部材131の各々は、一部(中間部分)が樹脂部132に埋設される。
【0030】
図10図12に示すように、3つの金属端子部材131の各々は、下端部(Z軸負側の端部)に接続部131Aを有する。すなわち、支持体130は、3つの接続部131Aを有する。3つの接続部131Aは、左右方向(Y軸方向)に並べて配置されている。各接続部131Aは、一対の弾性腕状の端子部131C,131Dが上下に対向して設けられている。一対の端子部131C,131Dは、両者の間に筐体110の外部から外部端子が挿通されることにより、外部端子を挟持することができ、且つ、外部端子に電気的に接続することができる。金属端子部材131は、一枚の金属板が加工されることによって一対の端子部131C,131Dが一体的に形成されている。
【0031】
また、図11および図12に示すように、各金属端子部材131は、上下方向(Z軸方向)における中央部に、垂直な壁状の中間部131Eを有する。中間部131Eは、樹脂部132に埋設される部分である。上側の端子部131Cは、中間部131Eの下端部における中央部から、前方(X軸正方向)および下方(Z軸負方向)に向かって、斜めに延出して設けられている。端子部131Cの先端部は、下方(Z軸負方向)に向かって凸状に湾曲した形状を有する。端子部131Cの先端部の頂部には、接点部131Caが設けられている(図22)。
【0032】
また、各金属端子部材131において、端子部131Dは、中間部131Eの下端部から、後方(X軸負方向)に延在した後、180°折り返して、前方(X軸正方向)に延在する、左右一対の折り返し部131Dcを有する。また、端子部131Dは、一対の折り返し部131Dcの先端部同士を連結する連結部131Dbを有する。さらに、端子部131Dは、連結部131Dbの左右方向(Y軸方向)における中央部から、前方(X軸正方向)に向かって延出する延出部131Ddを有する。延出部131Ddの先端部は、上方(Z軸正方向)に向かって凸状に湾曲した形状を有する。延出部131Ddの先端部の頂部には、接点部131Daが設けられている。
【0033】
ここで、各金属端子部材131において、端子部131Dにおける延出部131Ddの左右両外側には、折り返し部131Dcの破断面からなる、付勢部131Hが形成されている。付勢部131Hは、後述する補助部材140の傾斜部141A3に当接することにより、補助部材140を付勢する部分である。
【0034】
また、図11に示すように、3つの金属端子部材131-1,131-2,131-3は、それぞれ、上端部(Z軸正側の端部)に摺接部131Bを有する。すなわち、支持体130は、3つの摺接部131Bを有する。3つの摺接部131Bは、同一平面上において、可動接点部材123が有する可動接点部123A,123Bの摺動経路に沿って左右方向(Y軸方向)に並べて配置されている。
【0035】
金属端子部材131-1が有する、左側(Y軸負側)の摺接部131Bは、可動接点部123Aに挟み込まれて、レバー120の回転に伴って可動接点部123Aが円周方向に摺接する部分である。
【0036】
金属端子部材131-2が有する、中央の摺接部131Bは、可動接点部123A,123Bに挟み込まれて、レバー120の回転に伴って可動接点部123A,123Bが円周方向に摺接する部分である。
【0037】
金属端子部材131-3が有する、右側(Y軸正側)の摺接部131Bは、可動接点部123Bに挟み込まれて、レバー120の回転に伴って可動接点部123Bが円周方向に摺接する部分である。
【0038】
<補助部材140>
補助部材140は、筐体110内において、3つの接続部131Aの周囲に配置される樹脂製且つブロック状の部材である。補助部材140は、接続部131Aが有する一対の端子部131C,131Dの間に外部端子が挿通されるとき、当該挿通に係る荷重が加えられて回転動作することにより、下側(Z軸負側)の端子部131Dを下方(Z軸負方向)に押し広げることができる。補助部材140の詳細については後述する。補助部材140は、3つの金属端子部材131とともに、「電気接続部品」を構成する。
【0039】
(補助部材140の構成)
図13は、一実施形態に係るスイッチ装置100が備える補助部材140の正面側を示す外観斜視図である。図14は、一実施形態に係るスイッチ装置100が備える補助部材140の背面側を示す外観斜視図である。
【0040】
図13および図14に示すように、補助部材140は、左側(Y軸負側)から順に、第1補助部材140A、第2補助部材140B、および第3補助部材140Cを有しており、これら3つの補助部材140A~140Cが互いに連結されたブロック状を有する。3つの補助部材140A~140Cは、いずれも同一の構成を有する。なお、補助部材140は、「一の方向(本実施形態では、Y軸方向)に並べて設けられ、且つ、互いに連結された複数の補助部材」の一例である。以下、第1補助部材140Aを代表的に用いて構成を説明する。
【0041】
第1補助部材140Aは、左右一対の側壁部141を有する。側壁部141は、垂直な壁状の部分である。左右一対の側壁部141は、互いに左右対称形状を有する。左右一対の側壁部141は、左右方向(Y軸方向)において、互いに所定の距離離間している。
【0042】
また、第1補助部材140Aは、上側(Z軸正側)の上壁部143と下側(Z軸負側)の下壁部144とを有する。上壁部143および下壁部144は、左右一対の側壁部141の間に設けられており、左右一対の側壁部141を接続する。
【0043】
これにより、第1補助部材140Aは、上壁部143と下壁部144との間に、第1補助部材140AをX方向に開口する開口部145が形成されている。
【0044】
図15は、一実施形態に係るスイッチ装置100が備える補助部材140の側面図である。側壁部141は、左右方向(Y軸方向)に一定の横幅W1(図13参照)を有する。これにより、側壁部141は、いずれも横幅W1を有する、背面141A、正面141B、上面141C、および下面141Dを有するものとなっている。
【0045】
上面141Cおよび下面141Dは、水平な平面である。
【0046】
背面141Aは、上下方向(Z軸方向)における中央部に、後方(X軸負方向)に向かって突出した突起部141A1を有する。
【0047】
また、背面141Aは、突起部141A1よりも上側(Z軸正側)に、垂直部141A2を有する。垂直部141A2の上端部は、上面141Cに接続されている。
【0048】
また、背面141Aは、突起部141A1よりも下側(Z軸負側)に、下方且つ前方に向かって傾斜した傾斜部141A3を有する。傾斜部141A3の下端部は、下面141Dに接続されている。
【0049】
また、正面141Bは、下側から順に、下側傾斜部141B1、曲面部141B2、上側傾斜部141B3を有する。
【0050】
下側傾斜部141B1は、曲面部141B2から下方(Z軸負方向)且つ後方(X軸負方向)に向かって傾斜して設けられている。下側傾斜部141B1の下端部は、下面141Dに接続されている。
【0051】
上側傾斜部141B3は、曲面部141B2から上方(Z軸正方向)且つ後方(X軸負方向)に向かって傾斜して設けられている。上側傾斜部141B3の上端部は、上面141Cに接続されている。
【0052】
(補助部材140の組み込み)
図16および図17は、一実施形態に係る金属端子部材131に補助部材140が組み込まれる様子を示す側面図である。図18および図19は、一実施形態に係る金属端子部材131に補助部材140が組み込まれた状態を示す一部拡大斜視図である。
【0053】
図16図18に示すように、補助部材140は、3つの金属端子部材131が有する3つの接続部131Aの前方(X軸正方向)から、当該補助部材140が有する3つの開口部145の各々に対して、3つの接続部131Aの各々が挿通されつつ、3つの接続部131Aの各々の周囲に配置される。
【0054】
このとき、補助部材140の背面141Aの突起部141A1は、端子部131Dの折り返し部131Dcの内側に配置される。また、補助部材140の背面141Aの傾斜部141A3は、折り返し部131Dcの先端部にある付勢部131Hに突き当たる。
【0055】
(筐体110内における補助部材140の配置)
図20および図21は、一実施形態に係るスイッチ装置100のXZ平面による断面図である。図20および図21に示すように、補助部材140は、3つの接続部131Aに組み込まれた状態で、支持体130とともに、筐体110の下側開口部110Dから、筐体110の内部における、支持体130の樹脂部132よりも下側の空間内に配置される。
【0056】
(補助部材140の動作)
以下、図22図26を参照して、一実施形態に係るスイッチ装置100における補助部材140の動作について説明する。図22図26は、一実施形態に係るスイッチ装置100における補助部材140の動作を説明するための一部拡大断面図である。
【0057】
まず、図22に示すように、筐体110の背面側(X軸負側)から、筐体110の平面に設けられている挿通孔110Bを通じて、筐体110内に外部端子20が挿し込まれる。このとき、図22の破線の円で示すように、外部端子20の先端部が、端子部131Dが有する連結部131Dbの後側(Y軸負側)の破断面で形成される被当接部131Deに当接する場合がある。
【0058】
そして、図23Aに示すように、外部端子20の先端部が被当接部131Deに当接した状態で、外部端子20がさらに前方(X軸正方向)に押し込まれると、端子部131Dが、外部端子20からの押圧荷重により、前方(X軸正方向)に移動する。このとき、図23Bに示すように、折り返し部131Dcの先端に設けられている付勢部131Hが、補助部材140の傾斜部141A3を前方に押し込む。これにより、補助部材140は、正面141Bにおいて最も外側(内壁面110E側)に設けられている曲面部141B2が筐体110の内壁面110Eに当接した状態で、背面141Aにおいて曲面部141B2よりも下方に設けられている傾斜部141A3が押圧されるため、曲面部141B2が「回転支点部」および「回転中心」となって、正面141Bが上方に向かって回転し、背面141Aが下方に向かって回転するように、回転動作する。
【0059】
そして、図24Bに示すように、補助部材140が回転することにより、補助部材140の背面141Aに設けられている突起部141A1が、端子部131Dの折り返し部131Dcを下方(Z軸負方向)に押し込む。これにより、図24Aに示すように、折り返し部131Dcが弾性変形し、折り返し部131Dcに繋がっている連結部131Dbおよび延出部131Ddが、下方(Z軸負方向)に移動する。その結果、図24Aに示すように、端子部131Cの接点部131Caと端子部131Dの接点部131Daとの間の隙間が、押し広げられる。また、図24Aに示すように、連結部131Dbが下方に移動することによって、被当接部131Deに対する外部端子20の当接(引っ掛かり)も解除される。
【0060】
なお、補助部材140の回転は、補助部材140の上面141Cが樹脂部132の底面132D(すなわち、天井面)に当接することにより、所定の回転角度で停止される。これにより、突起部141A1による、端子部131Dの押し下げは、所定の押し下げ量で停止される。すなわち、上面141Cは、筐体110の内部で他の部材に当接することにより、補助部材140の回転角度を所定角度に規制する「規制面」の一例である。
【0061】
そして、図25および図26に示すように、補助部材140の突起部141A1によって、端子部131Dが押し下げられ、被当接部131Deに対する外部端子20の当接(引っ掛かり)が解除されることにより、外部端子20は、端子部131Dを前方に押し込むことなく前方に移動し、補助部材140の突起部141A1によって押し広げられた状態の接点部131Caと接点部131Daとの間の隙間内にスムーズに入り込むことができる。
【0062】
なお、上述したように補助部材140が回転された後、一対の端子部131C,131Dの間に外部端子20が挿通されるとき、図26Aに示すように、端子部131Dの下側の面の押圧部131Dfが補助部材140を下方に押すことにより補助部材140を逆回転させ、これによって、補助部材140の上壁部143は、支持面143Aを端子部131Cの上側の傾斜面の近くに配置させ、端子部131Cが挿入される外部端子20によって過度に上方に持ち上げられる場合には当接して規制することが可能となる。なお、図26に示される外部端子20は外部端子20の挿入過程の状態を説明するために左下に傾いた状態で示されているが、実際には外部端子20が端子部131Cと端子部131Dとの間に挿入される過程で水平方向(X軸方向)に延びる方向へと案内されるように押し上げられて修正される。以上により、一実施形態に係るスイッチ装置100は、一対の端子部131C,131Dの間の押し広げを解消でき、一対の端子部131C,131Dによって外部端子20をより確実に挟持することができる。
【0063】
以上説明したように、一実施形態に係るスイッチ装置100は、筐体110内に配置され、外部から筐体110内に挿入される外部端子20を挟持可能に対向した一対の端子部131C,131Dを有する金属端子部材131と、筐体110内において一対の端子部131C,131Dの周囲に配置され、外部端子20が一対の端子部131C,131Dの間に挿通されるとき、当該挿通に係る荷重が加えられて回転動作することにより、一対の端子部131C,131Dのうちの端子部131Dを、一対の端子部131C,131Dのうちの端子部131Cから離間する方向に押圧するブロック状の補助部材140とを備える。
【0064】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置100は、外部端子20が位置ズレして挿し込まれて、端子部131Dに対する外部端子20の引っ掛かりが生じた場合であっても、補助部材140の回転動作によって端子部131Dを離間方向に押圧することにより、外部端子20の引っ掛かりを解消できるとともに、一対の端子部131C,131Dの間の隙間を押し広げることができるため、一対の端子部131C,131Dの間に外部端子20を確実に挿通させることができる。したがって、位置ズレして挿し込まれた外部端子20が、被当接部131Deに対して引っ掛かりを生じさせたまま押し込まれることにより端子部131Dが塑性変形してしまうことを抑制することができ、外部端子20を適切な位置に挿通させることが可能となる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【0066】
本発明の電気接続部品は、スイッチ装置への適用に限らず、その他の如何なる装置に適用されてもよい。
【0067】
なお、図26に示すように、外部端子20が接点部131Caと接点部131Daとの間の隙間内に挿通された状態で、上側の接点部131Caが補助部材140の開口部145内で上壁部143に当接し、下側の接点部131Daが補助部材140の開口部145内で下壁部144に当接するようにしてもよい。
【0068】
これにより、補助部材140が接点部131Caおよび接点部131Daによって押さえ付けられ、筐体110の内部での補助部材140のガタつき音の発生を抑制することができる。また、これにより、接点部131Caおよび接点部131Daの上下方向の開き量を抑制することができ、よって、接点部131Caおよび接点部131Daの開き過ぎによる変型を抑制することができる。
【0069】
本国際出願は、2021年7月28日に出願した日本国特許出願第2021-123568号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0070】
20 外部端子
100 スイッチ装置
110 筐体
110A 上側開口部
110B 挿通孔
110C 係合孔
110D 下側開口部
110E 内壁面
120 レバー
121 操作部
122 基部
122A 軸部
123 可動接点部材
123A 第1可動接点部
123B 第2可動接点部
124 トーションばね
130 支持体
131,131-1,131-2,131-3 金属端子部材(電気接続部品)
131A 接続部
131B 摺接部
131C 端子部(一対の端子部および他の端子部)
131Ca 接点部
131D 端子部(一対の端子部および一の端子部)
131Da 接点部
131Db 連結部
131Dc 折り返し部
131Dd 延出部
131De 被当接部
131Df 押圧部
131E 中間部
131H 付勢部
132 樹脂部
132A 支持部
132B 支持孔
132C 係合爪
132D 底面
140 補助部材(電気接続部品)
140A 第1補助部材
140B 第2補助部材
140C 第3補助部材
141 側壁部
141A 背面
141A1 突起部
141A2 垂直部
141A3 傾斜部
141B 正面
141B1 下側傾斜部
141B2 曲面部(回転支点部)
141B3 上側傾斜部
141C 上面(規制面)
141D 下面
141A3 傾斜部
143 上壁部
143A 支持面
144 下壁部
145 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B