(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】高炉の操業方法、装入方法制御装置、装入方法制御プログラム
(51)【国際特許分類】
C21B 5/00 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
C21B5/00 311
(21)【出願番号】P 2020071418
(22)【出願日】2020-04-13
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】松田 航尚
(72)【発明者】
【氏名】三尾 浩
(72)【発明者】
【氏名】門脇 正具
(72)【発明者】
【氏名】中内 利樹
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-256712(JP,A)
【文献】特開昭54-037004(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146114(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/133005(WO,A1)
【文献】特開平07-018310(JP,A)
【文献】特開2021-113341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状に形成する高炉の操業方法において、
一の炉径方向について、鉱石原料を装入する前の炉壁部
(ただし、炉壁部は無次元炉口半径で0.5以上1.0以下とする)における
コークス層の層厚の最大値であるコークス最大層厚
が所定の第1の閾値を超える場合、又は、一の炉径方向について、鉱石原料を装入する前の炉壁部(ただし、炉壁部は無次元炉口半径で0.5以上1.0以下とする)における鉱石層の層厚の最小値である鉱石最小層厚が
所定の第2の閾値よりも低い場合に、装入物分布を変更する改善アクションを実施する高炉の操業方法。
【請求項2】
前記コークス最大層
厚は炉口半径を1として無次元化した
無次元値であり、
前記第1の閾値は0.1
である請求項1記載の高炉の操業方法。
【請求項3】
前記鉱石最小層
厚は炉口半径を1として無次元化した
無次元値であり、
前記第2の閾値は0.12
である請求項1又は2記載の高炉の操業方法。
【請求項4】
旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状に形成する高炉の操業方法において、
複数の炉径方向
のそれぞれについて
算出した、鉱石原料を装入する前の炉壁部
(ただし、炉壁部は無次元炉口半径で0.5以上1.0以下とする)における
コークス層の層厚の最大値であるコークス最大層
厚のうち少なくとも一つが
所定の第1の閾値を超える場合、
または、
複数の炉径方向のそれぞれについて算出した、鉱石原料を装入する前の炉壁部(ただし、炉壁部は無次元炉口半径で0.5以上1.0以下とする)における鉱石層の層厚の最小値である鉱石最小層厚
のうち少なくとも一つが所定の第2の閾値よりも低い場合に、
装入物分布を変更する改善アクションを実施する高炉の操業方法。
【請求項5】
前記第1の閾値を超えるコークス最大層厚の割合が所定割合以上の場合、または、前記第2の閾値よりも低い鉱石最小層厚が前記所定割合以上である場合に、前記改善アクションを実施する請求項4記載の高炉の操業方法。
【請求項6】
前記コークス最大層厚
は炉口半径を1として無次元化した
無次元値であり、
前記第1の閾値は0.1である請求項5記載の高炉の操業方法。
【請求項7】
前記鉱石最小層厚
は炉口半径を1として無次元化した
無次元値であり、
前記第2の閾値は0.12である請求項5又は6記載の高炉の操業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状に形成するベルレス式高炉の操業方法に関する。また本発明は、装入方法制御装置、装入方法制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高炉の炉内には、鉱石層とコークス層とが交互に積層されており、高炉装入物の堆積形状は高炉の操業に非常に大きな影響を与える。なお鉱石層には、焼結鉱、ペレット、塊鉱石、非焼成含炭塊成鉱などの鉱石原料のほか、副原料や小塊コークスなどが含まれている場合がある。なおまたコークス層には、フェロコークスなどが含まれている場合がある。
【0003】
高炉の安定操業のためには、炉径方向に均一にガスを分配させることが好ましく、それを実現可能なコークス層を形成させることが重要である。
【0004】
従来は、コークスの装入量と高炉の炉腹径又は炉口径とから求めた平均コークス層厚で堆積形状を管理する技術が主流であり(例えば、特許文献1~4参照)、炉径方向のコークス層の形状を評価する管理方法は殆ど提案されていなかった。
【0005】
また、従来の堆積形状の管理は特定の炉径方向に限定されていたため、炉周方向における一部領域でしか適切な炉内ガスの分配が確保できずに、操業変動に至ることがあった。
【0006】
鉱石層については、炉径方向における厚みの不均一性が大きくなると、厚みの大きい領域に位置する鉱石の還元が進みにくい等の問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭60-228610号公報
【文献】特開平6-136414号公報
【文献】特開平7-18310号公報
【文献】特開2006-152317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、炉径方向におけるコークス層及び/又は鉱石層の形状を適切に制御し、ひいては炉径方向への炉内ガスの適切な分配を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る高炉の操業方法は、(1)旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状に形成する高炉の操業方法において、一の炉径方向について、鉱石原料を装入する前の炉壁部におけるコークス最大層厚及び鉱石最小層厚のうち少なくとも一つを評価し、当該評価値が許容範囲を逸脱している場合に、装入物分布を変更する改善アクションを実施する高炉の操業方法。
【0010】
(2)前記コークス最大層厚を評価する場合における評価値は炉口半径を1として無次元化した第1の評価値であり、この第1の評価値が0.1を超過している場合に前記改善アクションを実施する上記(1)記載の高炉の操業方法。
【0011】
(3)前記鉱石最小層厚を評価する場合における評価値は炉口半径を1として無次元化した第2の評価値であり、この第2の評価値が0.12未満である場合に前記改善アクションを実施する上記(1)又は(2)記載の高炉の操業方法。
【0012】
本発明に係る高炉の操業方法は、別の観点として、(4)旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状に形成する高炉の操業方法において、複数の炉径方向について、鉱石原料を装入する前の炉壁部におけるコークス最大層厚及び鉱石最小層厚のうち少なくとも一つを評価し、当該複数の評価値が所定の許容条件を逸脱している場合に、装入物分布を変更する改善アクションを実施する高炉の操業方法。
【0013】
(5)前記複数の評価値のうち許容範囲内の値であるものの割合が所定割合以上であることを前記所定の許容条件とする上記(4)記載の高炉の操業方法。
【0014】
(6)前記コークス最大層厚を測定する場合における評価値は炉口半径を1として無次元化した第1の評価値であり、得られた第1の評価値のうち0.1以下であるものの割合が所定割合未満である場合に前記改善アクションを実施する上記(5)記載の高炉の操業方法。
【0015】
(7)前記鉱石最小層厚を測定する場合における評価値は炉口半径を1として無次元化した第2の評価値であり、得られた第2の評価値のうち0.12以上であるものの割合が所定割合未満である場合に前記改善アクションを実施する上記(5)又は(6)記載の高炉の操業方法。
【0016】
本発明に係る高炉の操業方法は、別の観点として、(8)旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状とする高炉の操業方法において、一の炉径方向の、鉱石原料を装入する前の炉壁部におけるコークス最大層厚を、炉口半径を1として無次元化した値が0.1以下である高炉の操業方法。
【0017】
本発明に係る装入方法制御装置は、(9)旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状に形成する高炉の操業に用いられる装入方法制御装置であって、一の炉径方向について、鉱石原料を装入する前の炉壁部におけるコークス最大層厚及び鉱石最小層厚のうち少なくとも一つを評価する層厚評価部と、前記層厚評価部による当該評価値が許容範囲を逸脱しているか否かを判定する評価値判定部と、当該評価値が許容範囲を逸脱していると判定された場合に、装入物分布を変更する改善アクションを出力するアクション決定部と、を有する装入方法制御装置。
【0018】
本発明に係る装入方法制御装置は、別の観点として、(10)旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状に形成する高炉の操業に用いられる装入方法制御装置であって、複数の炉径方向について、鉱石原料を装入する前の炉壁部におけるコークス最大層厚及び鉱石最小層厚のうち少なくとも一つを評価する層厚評価部と、当該複数の評価値が所定の許容条件を逸脱しているか否かを判定する評価値判定部と、当該複数の評価値が所定の許容条件を逸脱していると判定された場合に、装入物分布を変更する改善アクションを出力するアクション決定部と、を有する装入方法制御装置。
【0019】
本発明に係る装入方法制御プログラムは、(11)旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状に形成する高炉の操業に用いられる装入方法制御プログラムであって、一の炉径方向について、鉱石原料を装入する前の炉壁部におけるコークス最大層厚及び鉱石最小層厚のうち少なくとも一つを評価する層厚評価ステップと、前記層厚評価ステップによる当該評価値が許容範囲を逸脱しているか否かを判定する評価値判定ステップと、当該評価値が許容範囲を逸脱していると判定された場合に、装入物分布を変更する改善アクションを出力するアクション決定ステップと、をプロセスコンピュータに実行させるための装入方法制御プログラム。
【0020】
本発明に係る装入方法制御プログラムは、別の観点として、(12)旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状に形成する高炉の操業に用いられる装入方法制御プログラムであって、複数の炉径方向について、鉱石原料を装入する前の炉壁部におけるコークス最大層厚及び鉱石最小層厚のうち少なくとも一つを評価する層厚評価ステップと、前記層厚評価ステップによる当該複数の評価値が所定の許容条件を逸脱しているか否かを判定する評価値判定ステップと、当該複数の評価値が所定の許容条件を逸脱していると判定された場合に、装入物分布を変更する改善アクションを出力するアクション決定ステップと、をプロセスコンピュータに実行させるための装入方法制御プログラム。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、炉径方向におけるコークス層及び/又は鉱石層の形状を適切に制御し、炉内ガスを適切に分配することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】コークス最大層厚C
MAX/炉口半径(-)とCR(コークス比)との関係を示したグラフである(第1実施形態)。
【
図2】平均コークス層厚とCR(コークス比)との関係を示したグラフである。
【
図3】鉱石原料を装入する前のコークス最大層厚及び鉱石最小層厚を説明するための堆積形状を示す説明図である。
【
図4】鉱石最小層厚O
min/炉口半径(-)とCR(コークス比)との関係を示したグラフである(第2実施形態)。
【
図5】平均鉱石層厚とCR(コークス比)との関係を示したグラフである。
【
図6】装入方法制御装置を説明する機能ブロック図である。
【
図7】装入方法制御プログラムを説明するフローチャートである。
【
図8】各方位における最大無次元コークス層厚の値である。
【
図9】各方位における最小無次元鉱石層厚の値である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
本発明者等は、炉径方向に適切に炉内ガスを分配し得るコークス層の形成方法について検討したところ、鉱石原料を装入する前の、炉壁部におけるコークス層厚の最大値(以下、コークス最大層厚CMAXという)が所定の数値範囲内にあるとき、鉱石原料を装入した後に炉径方向に均一に炉内ガスが分配されることを知見した。なお、以下において鉱石原料を単に鉱石と表記する場合がある。
【0024】
この点について、
図1を参照しながら詳細に説明する。
図1のグラフは、多数の操業実績に基づく、コークス最大層厚C
MAX/炉口半径(-)とCR(コークス比)との関係を示している。コークス最大層厚C
MAXは、後述の通りプロフィールメータの測定結果による。なお、以下の説明において、コークス最大層厚C
MAX/炉口半径(-)を、簡略化して、コークス厚み管理値という場合がある。
【0025】
CR(コークス比)は高炉の操業状況の良否を示し、CRが低いとき安定操業が実現されていると考えることができる。例えば、CR<300kg/tであることを安定操業の一基準として考えることができる。すなわち、CR<300kg/tであるとき、スペーサとしてのコークスが少なくても、炉内ガスが適切に分配され、鉱石原料が炉径方向に均一に還元されていると考えることができる。安定操業していない場合には、コークス比を増やす必要があるため、コークス比が300kg/tを超過する。本発明者等の検討によれば、
図1に図示するように、CR<300kg/tを満足するときのコークス厚み管理値は、0.1以下(以下、コークス厚み目標範囲という場合がある)である。加えて、CR(コークス比)300kg/tを臨界点としてコークス厚み管理値の値が大きく変化しており、コークス厚み管理値の目標範囲を明瞭に定めることができる。つまり、コークス厚み管理値をコークス厚み目標範囲に管理することにより、高炉の安定操業を継続することができる。なお、厚み目標範囲の上限値は、炉口半径5mの高炉においてコークス最大層厚C
MAXの絶対値で500mmに対応する。
【0026】
コークス厚み目標範囲の下限値は、特に限定しないが、例えば、0.08(絶対値では400mm)に設定することができる。
図1に図示するように、コークス厚み管理値が0.08程度の操業においてCR(コークス比)が280~290kg/tであった操業実績が確認されている。上記範囲(0.08~0.1)を、コークス厚み管理値の許容範囲ということもできる。なお、上述のCR(コークス比)の数値範囲は例示に過ぎず、高炉や操業条件に応じて数値範囲は異なる。
【0027】
ここで、上述のコークス最大層厚CMAX(またはコークス最大層厚CMAXを炉口半径で無次元化したコークス厚み管理値)が、高炉の操業状況の良否を示す管理指標となるのかについて、本発明者等は次の通りに考察した。
【0028】
すなわち、コークスが炉内に装入されてコークス層が形成されたのち、鉱石原料が炉内に装入されて鉱石層が形成される。このとき、鉱石原料がコークス層に衝突し、コークスの再配置が起こり、コークス層厚の形状が変化すると考えられる。鉱石原料を装入する前のコークス最大層厚CMAXやコークス厚み管理値は「鉱石装入後において適切な炉内ガスの分配を実現できるか否か」の指標であり、言い換えると、操業安定性を間接的に表す指標である。例えば、コークス厚み管理値が0.1よりも厚いと、鉱石装入箇所のコークス層厚が過剰に厚くなってしまい、適切なコークス層厚、ひいては炉内ガスの分配を実現できない。
【0029】
以上の知見に基づき、本実施形態では、鉱石原料を装入する際に、コークスとの衝突が発生するような装入方法において、鉱石原料を装入する前の、炉壁部におけるコークス最大層厚CMAX(コークス厚み管理値)を所定範囲(0.1以下)に管理する。コークス層に鉱石が衝突してコークス層厚の分布が変化すると考えられるところ、鉱石原料を装入する前のコークス層の最大層厚CMAXを適切に管理することにより、炉径方向における炉内ガスの不適切な分配を抑制することが可能となる。
【0030】
旋回シュートを備えたベルレス式高炉において、旋回シュートを炉壁側から炉中心側に向かって駆動する、いわゆる順傾動と称される駆動方法が知られている。旋回シュートを順傾動で駆動すると、鉱石原料とコークスとの安息角の違いからコークス層の堆積形状は炉壁付近が相対的に厚くなり、上述の鉱石原料の装入よるコークス層の形状変化がより生じやすい。本実施形態に係る高炉の操業方法は、順傾動により高炉装入物の装入を行う高炉において好適に用いることができる。なお、常に順傾動で高炉装入物の装入を行う場合に限らず、順傾動と逆傾動を組み合わせて高炉装入物の装入を行う場合についても、好適に用いることができる。
【0031】
炉中間部と炉壁部との境界は、炉口無次元半径0.5以上0.9以下の範囲で適宜設定することができる。以下の実施形態では、炉口無次元半径で0.7以上1.0以下の範囲を炉壁部、炉口無次元範囲で0.3以上0.7未満の範囲を炉中間部と定義するものとする。
【0032】
鉱石原料を装入する前のコークス層厚の最大値(コークス最大層厚CMAX)は、プロフィールメータ(PFM)の測定結果に基づき算出できる。コークス最大層厚CMAXは、鉱石原料を装入する前の装入物分布の炉壁部に現れる。コークス最大層厚CMAXは、上述の通り絶対値(mm)(評価値に相当する)であってもよいし、炉口半径を1として無次元化した値(-)(評価値及び第1の評価値に相当する)であってもよい。高炉の装入物分布は炉容積に応じて決定されるところ、炉口半径で無次元化することにより炉容積の異なる高炉についても同じ管理値で管理することが可能である。
【0033】
図2のグラフは、従来の管理指標である平均コークス層厚とCR(コークス比)との関係を示している。
図2の平均コークス層厚は、プロフィールメータの測定によらず、1チャージ当たりのコークスの装入量(kg/ch)をコークスの嵩密度(kg/m
3)で除し、さらに炉口断面積(m
2)で除すことによって求めた値である。
【0034】
CR(コークス比)を下げる際には鉱石原料の装入量を一定に維持しながらコークスの装入量を減らすアクションを取ることが多く(いわゆるOreベース一定)、この場合、
図2に図示するように平均コークス層厚の低下に伴って一次関数的にCR(コークス比)が低下するため、管理指標として平均コークス層厚の目標範囲を設定することが難しい。また、鉱石原料の装入によってコークス層の層厚分布が変化するため、この点においても、平均コークス層厚で管理することは望ましくない。
【0035】
本実施形態のコークス厚み管理値に基づく管理は、特定の炉径方向に絞って行ってもよいし、炉周方向全体に亘って行ってもよい。なお、特定の炉径方向とはある一の半径方向をいう。特定の炉径方向に絞ってコークス厚み管理値を管理する場合には、2次元プロフィールメータを用いて、特定の炉径方向における堆積形状を取得してコークス厚み管理値を把握した後、コークス厚み目標範囲を指向した高炉操業(言い換えると、装入物分布を変更する改善アクション)を行えばよい。
【0036】
例えば、コークス厚み管理値が0.1超である場合は、コークスの装入位置を相対的に炉中心側に動かすことによりコークス厚み管理値を低下させることができる。具体的には、コークスの装入ノッチパターンを炉中心側にずらす改善アクションや、鉱石の装入ノッチパターンを炉壁側にずらす改善アクションや、コークス装入時の装入ストックラインを上げる改善アクションなどが考えられる。また例えば、コークス厚み管理値が0.08未満である場合は、コークスの装入位置を相対的に炉壁側に動かすことによりコークス厚み管理値を増加させることができる。具体的には、コークスの装入ノッチパターンを炉壁側にずらす改善アクションや、鉱石の装入ノッチパターンを炉中心側にずらす改善アクションや、コークス装入時の装入ストックラインを下げる改善アクションなどが考えられる。
【0037】
炉周方向全体に亘ってコークス厚み管理値を管理する場合には、3次元プロフィールメータを用いて、炉周方向所定角度毎に堆積形状を取得し、各炉径方向の堆積形状からコークス厚み管理値を算出し、算出した複数のコークス厚み管理値に基づき、必要に応じて装入物分布を変更する改善アクションを実施すればよい。例えば、算出した複数のコークス厚み管理値のうち所定割合がコークス厚み目標範囲を満足していない場合に、これを改善するアクションを実施すればよい。所定割合は、例えば5割に設定することができる。このとき、複数のコークス厚み管理値のうち許容範囲内の値であるものの割合が所定割合以上であることを許容条件として、許容条件を逸脱したときに改善アクションを実施することになる。
また例えば、算出した複数のコークス厚み管理値の代表値(平均値、中央値、最頻値、不均一性など)がコークス厚み目標範囲を満足していない場合に、許容条件を逸脱しているとしてこれを改善するアクションを実施するようにしてもよい。具体的な改善アクションについては、上述した2次元プロフィールメータの場合と同様であるから、詳細な説明を省略する。
【0038】
高炉操業においては、羽口から吹き込まれる微粉炭の円周偏差や炉内付着物の影響等により、炉口部での装入物分布においても円周偏差が生じることが一般的であるため、炉全周で所望のコークス層厚分布を実現することが困難な場合がある。すなわち、2次元プロフィールメータを用いる場合、特定の炉径方向におけるコークス層形状及び鉱石装入位置が共に狙い通りとなり、コークス層厚分布が適当であったとしても、他の炉径方向におけるコークス層厚分布が適当であるとは限らない。すなわち、2次元プロフィールメータの測定結果のみでは、炉全周で所望の装入物分布を実現できないおそれがある。したがって、3次元プロフィールメータの測定結果を用いて炉周方向における複数の位置でコークス厚み管理値を管理する方法が、より好ましい。なお、2次元プロフィールメータを複数用いることにより炉周方向全体に亘ってコークス厚み管理値を管理することも可能である。
【0039】
(第2実施形態)
本発明者等は、コークス最大層厚C
MAXの代わりに、又はコークス最大層厚C
MAXとともに鉱石最小層厚O
minを適切に管理することにより、安定操業が可能となることを発見した。本明細書において、鉱石最小層厚O
minとは、プロフィールメータの測定結果に基づいて求められる炉径方向の鉱石層の層厚分布における最小層厚であり、鉱石原料を装入する前の鉱石最小層厚という場合がある。
図3は、プロフィールメータの測定結果から算出されたコークス層厚と鉱石層厚の炉径方向分布を示す説明図である。
図3中コークス層Cの堆積形状は、コークス層Cを形成した後、鉱石層Oを形成する前に測定される。
図3中鉱石層Oの堆積形状(表面形状)は、鉱石層Oを形成した後に測定され、推定ではあるが、このときコークス層Cは鉱石原料の装入により
図3の状態とは異なった状態になっており、すなわち鉱石層Oの層厚分布も
図3の状態とは異なっているものと考察される。
【0040】
本発明においては、コークス最大層厚C
MAXと同様に鉱石最小層厚O
minを管理値として用いるべく、
図3に示す状態についてコークス最大層厚C
MAXと同様に鉱石最小層厚O
minを定義した。コークス最大層厚C
MAXと鉱石最小層厚O
minとは、炉壁部の、炉径方向において対応した、または、互い近接した位置に現れる。なお、
図3は鉱石とコークスをそれぞれ一回のダンプで装入する2ダンプ装入による堆積形状を例示するが、本発明の適用対象とする装入方法はこれに限定されない。
【0041】
鉱石最小層厚Ominは、プロフィールメータ(PFM)の測定結果に基づき、算出できる。鉱石最小層厚Ominは、鉱石原料Oを装入する前の装入物分布の炉壁部に現れる。鉱石最小層厚Ominは、絶対値(mm)(評価値に相当する)であってもよいし、炉口半径を1として無次元化した値(-)(評価値及び第2の評価値に相当する)であってもよい。高炉の装入物分布は炉容積に応じて決定されるところ、炉口半径で無次元化することにより炉容積の異なる高炉についても同じ管理値で管理することが可能である。
【0042】
そして、実炉の操業実績であるCR(コークス比)と炉口半径で無次元化した上記鉱石最小層厚O
minの関係から、最適な鉱石層厚を算出することができる。この点について、
図4を参照しながら詳細に説明する。
図4は、多数の操業実績に基づく、CR(コークス比)と鉱石最小層厚O
min/炉口半径(-)の関係を示したグラフであり、第1実施形態の
図1に対応している。鉱石最小層厚O
minは、前述の通りプロフィールメータの測定結果による。なお、以下の説明において、鉱石最小層厚O
min/炉口半径(-)を簡略化して、鉱石厚み管理値という場合がある。
【0043】
図4に示すように、CR<300kg/tを満足するときの鉱石厚み管理値は、0.12以上(以下、鉱石厚み目標範囲という場合がある)である。なお、鉱石厚み目標範囲の下限値は、炉口半径5mの高炉において鉱石最小層厚の絶対値で600mmに対応する。加えて、コークス厚み管理値の場合と同様に、CR(コークス比)300kg/tを臨界点として鉱石厚み管理値の値が大きく変化しており、鉱石厚み管理値の目標範囲を明瞭に定めることができる。つまり、鉱石厚み管理値を鉱石厚み目標範囲に管理することにより、高炉の安定操業を継続することができる。
【0044】
鉱石厚み目標範囲の上限値は、特に限定しないが、例えば、0.18(絶対値で900mm)に設定することができる。
図4に図示するように、鉱石厚み管理値が0.18程度の操業においてCR(コークス比)が290~300kg/tであった操業実績が確認されている。上記範囲(0.12~0.18)を、鉱石厚み管理値の許容範囲ということもできる。
【0045】
図5のグラフは、従来の管理指標である平均鉱石層厚とCR(コークス比)との関係を示している。
図5の平均鉱石層厚は、プロフィールメータの測定によらず、1チャージ当たりの鉱石の装入量(kg/ch)を鉱石の嵩密度(kg/m
3)で除し、さらに炉口断面積(m
2)で除すことによって求めた値である。上述の通り、CR(コークス比)を下げる際には鉱石原料の装入量を一定に維持しながらコークスの装入量を減らすアクションを取ることが多く(いわゆるOreベース一定)、この場合、
図5に図示するように、高CR操業を除いて平均鉱石層厚はCR(コークス比)によらずほぼ一定値である。CR330kg/t以上の高CR操業では鉱石層厚を薄くして還元負荷を軽減するアクションが取られる場合があるが、ある程度の高効率操業では平均鉱石層厚はCRによらず一定となり、よって管理指標として目標範囲を設定して管理することには適さない。
【0046】
ここで、鉱石厚み管理値に基づく管理は、特定の炉径方向に絞って行ってもよいし、炉周方向全体に亘って行ってもよい。特定の炉径方向に絞って鉱石厚み管理値を管理する場合には、2次元プロフィールメータを用いて、特定の炉径方向における堆積形状を取得して鉱石厚み管理値を把握した後、鉱石厚み目標範囲を指向した高炉操業(言い換えると、装入物分布を変更する改善アクション)を行えばよい。
【0047】
炉周方向全体に亘って鉱石厚み管理値を管理する場合には、3次元プロフィールメータを用いて、炉周方向所定角度毎に堆積形状を取得し、各堆積形状から鉱石厚み管理値を算出し、算出した複数の鉱石厚み管理値について許容条件を逸脱するか否か判定し、必要に応じて改善アクションを実施すればよい。
【0048】
鉱石厚み管理値を増加させるための改善アクションは、コークス厚み管理値を低下させる改善アクションに対応する。すなわち、鉱石厚み管理値が0.12未満である場合は、鉱石の装入位置を相対的に炉壁側に動かす(コークスの装入位置を相対的に炉中心側に動かす)ことにより、鉱石厚み管理値を増加させることができる。また、鉱石厚み管理値を低下させるための改善アクションは、コークス厚み管理値を増加させる改善アクションに対応する。すなわち、鉱石厚み管理値が0.18超である場合は、鉱石の装入位置を相対的に炉中心側に動かす(コークスの装入位置を相対的に炉壁側に動かす)ことにより、鉱石厚み管理値を低下させることができる。
【0049】
本実施形態によれば、鉱石層の炉径方向における厚みの不均一性を小さくすることができる。また、コークス層の形状を適切に管理し、炉内ガスを適切に分配することができる。よって、鉱石層内における鉱石全体を、より均等に還元することができる。
【0050】
(変形例1)
上述の実施形態において、炉中間部のコークス最小層厚を用いた操業管理を併用してもよい。この場合、コークス最小層厚/炉口半径(-)は、例えば0.01以上0.04以下に設定することができる。
(変形例2)
上述の実施形態及び変形例1において、炉中間部の鉱石最大層厚を用いた操業管理を併用してもよい。この場合、鉱石最大層厚/炉口半径(-)は、例えば0.23以上0.2 7以下に設定することができる。
【0051】
本発明は、別の観点によれば、旋回シュートによる高炉装入物の装入を行い、炉頂での堆積形状を炉中心側にむかって下方に傾斜させるすり鉢状とする高炉の操業方法において、一の炉径方向の、鉱石原料を装入する前の炉壁部におけるコークス最大層厚を、炉口半径を1として無次元化した値が0.1以下である高炉の操業方法である。
【0052】
本発明は、また別の観点によれば、
図6に示す装入方法制御装置により実現される。装入方法制御装置1は、層厚評価部11と、評価値判定部12と、アクション決定部13と、を有する。層厚評価部11は、プロフィールメータ等から測定データを取得し、コークス最大層厚及び鉱石最小層厚のうち少なくとも一つを算出し、評価値として評価値判定部12に送信する。なお、層厚評価部11が一の炉径方向を対象としている場合には、当該一の炉径方向について評価値が算出され、複数の炉径方向を対象としている場合には、炉径方向毎に評価値が算出される。この点については、詳細な説明を繰り返さない。評価値判定部12は、受信した評価値と、別途入力された許容範囲・許容条件とを対比して、当該評価値が許容範囲・許容条件を逸脱しているか否かを判定し、判定結果をアクション決定部13に送信する。アクション決定部13は、評価値判定部12が当該評価値が許容範囲・許容条件を逸脱していると判定した場合に、装入物分布を変更する改善アクションを実行させるための指示信号を、旋回シュート3に出力する。
【0053】
上述の装入方法制御装置1の各部の機能は、プログラムによって実現可能であり、各機能を実現するために予め用意された装入方法制御プログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等のプロセスコンピュータが補助記憶装置に格納された当該プログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された当該プログラムをプロセスコンピュータが実行することで、各部の機能が実現される。
【0054】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、プロセスコンピュータ(例えば、サーバ)に提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD-ROM等の光ディスク、DVD-ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【0055】
上記プログラムにより実現される処理を
図7のフローチャートを参照しながら説明する。S201において、コークス最大層厚及び鉱石最小層厚のうち少なくとも一つが評価値として算出される。次に、S202において、当該評価値が所定の許容範囲・許容条件と照らし合わされ、許容範囲・許容条件を逸脱しているか否かが判定される。S202において許容範囲・許容条件を逸脱していると判定されたとき(S202-Yes)、S203において装入物分布を変更する改善アクションが決定される。S202において当該評価値が許容範囲・許容条件を逸脱していないと判定されたとき(S202-No)、改善アクションは実行されず、同様の装入方法が繰り返される。
【実施例】
【0056】
次に、実施例を示して、本発明について具体的に説明する。
(第1実施例)
第1実施例では、コークス最大層厚CMAXを管理指標とした。1/3ベルレス試験装置を用いて実高炉と同一の条件で高炉原料の装入を行い、コークス最大層厚CMAXと装入方法の関係を調べた。1/3ベルレス試験装置とは、ベルレス式炉頂装入装置を模した実炉の1/3サイズの模型実験装置(半径1800mm程度)のことである。平均粒径は実炉の約1/3とし、装入量は実炉の約1/27とした。コークスの1チャージ当たりの装入量は約1.3t、鉱石の1チャージ当たりの装入量は約7.3tとした。
【0057】
鉱石層及びコークス層の堆積形状を2次元プロフィールメータで測定し、堆積形状を取得した。堆積形状を取得した後、コークスの層厚分布を求めるとともに、無次元炉口半径0.5~1.0における最大コークス層厚を算出した。装入位置を調整する前において、無次元炉口半径0.5~1.0におけるコークス最大層厚は0.17であり、適正範囲の上限値0.1を超過していた。
【0058】
そこで、炉壁側のコークスの存在割合を減少させるため、鉱石ダンプにおいて、炉壁側に全ノッチを1ノッチだけずらし、鉱石ダンプを外振りに変更することで相対的にコークスが炉中心側へ装入されるようにし、炉壁側に存在するコークス量を減少させた。鉱石の装入方法を調整した結果、無次元炉口半径0.5~1.0における最大コークス層厚は0.1に改善され、適正範囲内に収めることができた。
【0059】
堆積形状の測定手段を2次元プロフィールメータから3次元プロフィールメータに変更して、装入方法を変更することによる効果を確認した。すなわち、鉱石層及びコークス層の3次元堆積形状を3次元プロフィールメータで測定し、この測定した3次元堆積形状を炉周方向10°間隔ずつ切り出し、各方位における堆積形状を取得した。各方位における堆積形状を取得した後、各方位のコークス層の層厚分布を求めるとともに、各方位について無次元炉口半径0.5~1.0における最大無次元コークス層厚を算出した。
図8のグラフに、各方位の無次元炉口半径0.5~1.0における最大無次元コークス層厚の値を示す。
図8中の白抜きのプロット(○)は、装入方法を調整する前のコークス層の層厚分布から求められる最大無次元コークス層厚の値であり、
図8中の破線は目標範囲の上限値(0.1)を示す。装入方法を調整する前の、目標範囲内に入る方位の割合は、3割であった。
【0060】
そこで、炉壁側のコークス量を減少させるため、鉱石ダンプにおいて、炉壁側に全ノッチを1ノッチだけずらし、相対的にコークスが炉中心側へ装入されるようにし、炉壁側に存在するコークス量を減少させた。
図8中の黒丸のプロット(●)は、鉱石の装入方法を調整した後のコークス層の層厚分布から算出された無次元炉口半径0.5~1.0における最大無次元コークス層厚の値である。鉱石の装入方法を調整した結果、目標範囲内に入る方位の割合は、7割に改善された。
【0061】
(第2実施例)
第2実施例では鉱石最小層厚OMinを管理指標とした。1/3ベルレス試験装置を用いて実高炉と同一の条件で高炉原料の装入を行い、鉱石最小層厚と装入方法の関係を調べた。試験条件は第1実施例と同様である。
【0062】
鉱石層及びコークス層の堆積形状を2次元プロフィールメータで測定し、堆積形状を取得した。堆積形状を取得した後、鉱石の層厚分布を求めるとともに、無次元炉口半径0.5~1.0における最小鉱石層厚を算出した。装入位置を調整する前において、無次元炉口半径0.5~1.0における鉱石最小層厚は0.10であり、適正範囲の下限値0.12を下回っていた。そこで、炉壁側の鉱石の存在割合を増加させるため、鉱石ダンプにおいて、炉壁側に全ノッチを1ノッチだけずらし、鉱石ダンプを外振りに変更した。鉱石の装入方法を調整した結果、無次元炉口半径0.5~1.0における最小鉱石層厚は0.16に改善され、適正範囲内に収めることができた。
【0063】
堆積形状の測定手段を2次元プロフィールメータから3次元プロフィールメータに変更して、装入方法を変更することによる効果を確認した。すなわち、鉱石層及びコークス層の3次元堆積形状を3次元プロフィールメータで測定し、この測定した3次元堆積形状を炉周方向10°間隔ずつ切り出し、各方位における堆積形状を取得した。各方位における堆積形状を取得した後、各方位の鉱石層の層厚分布を求めるとともに、各方位について無次元炉口半径0.5~1.0における最小無次元鉱石層厚を算出した。
図9のグラフに、各方位の無次元炉口半径0.5~1.0における最小無次元鉱石層厚の値を示す。
図9中の白抜きのプロット(○)は、装入方法を調整する前の鉱石層の層厚分布から求められる最小無次元鉱石層厚の値であり、
図9中の一点鎖線は目標範囲の下限値(0.12)を示す。装入方法を調整する前の、目標範囲内に入る方位の割合は、1割であった。
【0064】
そこで、炉壁側の鉱石量を増大させるため、鉱石ダンプにおいて、炉壁側に全ノッチを1ノッチだけずらした。
図9中の黒丸のプロット(●)は、鉱石の装入方法を調整した後の鉱石層の層厚分布から算出された無次元炉口半径0.5~1.0における最小無次元鉱石層厚の値である。鉱石の装入方法を調整した結果、目標範囲内に入る方位の割合は、7割に改善された。
【符号の説明】
【0065】
1 装入方法制御装置 2 プロフィールメータ 3 旋回シュート
11 層厚評価部 12 評価値判定部 13 アクション決定部