(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】調剤支援システム、調剤支援プログラム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240612BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20240612BHJP
G16H 20/13 20180101ALI20240612BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
A61J3/00 310E
G16H20/10
G16H20/13
(21)【出願番号】P 2020152949
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】西尾 昌尚
(72)【発明者】
【氏名】藤井 謙順
(72)【発明者】
【氏名】▲杉▼本 知大
(72)【発明者】
【氏名】樋口 優太
(72)【発明者】
【氏名】木下 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】大久保 祐希
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-188403(JP,U)
【文献】特開2002-263168(JP,A)
【文献】特開2013-242749(JP,A)
【文献】特開2013-043051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
G16H 20/10
G16H 20/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の服用時期を一の配薬時期に割り当て可能な割当処理部と、
服用者に対応する薬品を服用時期ごとに薬包で分包する分包動作を分包装置に実行させる分包処理部と、
を備え、
前記割当処理部は、第1の服用日における最後の服用時期と前記第1の服用日の次の日である第2の服用日における最初の服用時期とを、前記第1の服用日における最後の服用時期に対応する一の配薬時期に割り当て、
前記分包処理部は、前記配薬時期が同じであり複数の前記服用者に対応する複数の前記薬包が連続
し、且つ、前記配薬時期及び前記服用者が同一である前記薬包が連続する態様で前記分包動作を前記分包装置に実行させる、
調剤支援システム。
【請求項2】
前記割当処理部は、予め設定された配薬グループごとに対応する前記服用時期と前記配薬時期との対応関係を示す情報に基づいて、当該配薬グループについての前記服用時期を前記配薬時期に割り当てる、
請求項
1に記載の調剤支援システム。
【請求項3】
前記服用時期には、食事との関係で規定された時期と、服用者の行動との関係で規定された時期と、時刻又は時間帯で規定される時期とのうち少なくとも2つ以上の種類の時期が含まれる、
請求項1
又は2に記載の調剤支援システム。
【請求項4】
前記割当処理部は、前記服用時期及び当該服用時期が属する服用日を前記配薬時期及び当該配薬時期が属する配薬日に割り当てるものであり、
前記分包処理部は、
前記配薬日ごとに、前記配薬時期が同じであり複数の前記服用者に対応する複数の前記薬包が連続する薬包群が前記配薬時期の単位で繰り返される態様で前記分包動作が実行される第1分包態様と、
前記配薬時期ごとに、前記配薬時期が同じであり複数の前記服用者に対応する複数の前記薬包が連続する薬包群が前記配薬日の単位で繰り返される態様で前記分包動作が実行される第2分包態様と、
の少なくとも一方で前記分包動作を前記分包装置に実行させることが可能である、
請求項1~
3のいずれかに記載の調剤支援システム。
【請求項5】
複数のセルに投入される薬品を当該セルの単位で払い出す個別払出部が、複数の服用者に対応する薬品についての前記分包動作で使用される場合に、複数の前記セルを複数の服用者に対応する薬品の投入先として割り当てる個別払出処理部と、
前記個別払出処理部による割り当て内容を表示する払出表示処理部と、
を備え、
前記個別払出処理部は、前記個別払出部を複数の前記セルに薬品が投入可能でない第1状態と複数の前記セルに投入可能な第2状態とに切り替え可能であり、前記第1状態において複数の前記セルが一
の前記配薬時期のみに対応する薬品の投入先として割り当てられた状態となる手法で割り当てを実行する
請求項1~4のいずれかに記載の調剤支援システム。
【請求項6】
プロセッサーに、
複数の服用時期を一の配薬時期に割り当てる割当ステップと、
服用者に対応する薬品を服用時期ごとに薬包で分包する分包動作を分包装置に実行させる分包ステップと、
を実行させるための調剤支援プログラムであって、
前記割当ステップは、第1の服用日における最後の服用時期と前記第1の服用日の次の日である第2の服用日における最初の服用時期とを、前記第1の服用日における最後の服用時期に対応する一の配薬時期に割り当て、
前記分包ステップは、前記配薬時期が同じであり複数の前記服用者に対応する複数の前記薬包が連続
し、且つ、前記配薬時期及び前記服用者が同一である前記薬包が連続する態様で前記分包動作を前記分包装置に実行させる、
調剤支援プログラム。
【請求項7】
複数の服用時期を一の配薬時期に割り当て可能な割当処理部と、
異なる服用者の薬包であって前記配薬時期が同一の薬包が連続
し、且つ、前記配薬時期及び前記服用者が同一である前記薬包が連続する態様で分包動作を実行させる分包処理部と、
を備え
、
前記割当処理部は、第1の服用日における最後の服用時期と前記第1の服用日の次の日である第2の服用日における最初の服用時期とを、前記第1の服用日における最後の服用時期に対応する一の配薬時期に割り当てる調剤支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品の調剤又は配薬の業務を支援するための調剤支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院又は薬局などでは、服用者が服用する薬品を服用時期ごとに薬包に分包する分包装置(特許文献1参照)が用いられることがある。そして、分包装置で分包された薬品は、服用者が入居する病院又は老健施設などの施設に搬送され、看護師などの配薬担当者によって服用者に配薬される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬品の調剤担当者又は配薬担当者などの作業者は、複数の服用者に配薬する薬品を、予め設定された配薬時期ごとに纏める作業を行うことがある。
【0005】
本発明の目的は、複数の服用者への配薬に関する作業者の作業効率を高めることのできる調剤支援システム、及び調剤支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る調剤支援システムは、複数の服用時期を一の配薬時期に割り当て可能な割当処理部と、服用者に対応する薬品を服用時期ごとに薬包で分包する分包動作を分包装置に実行させる分包処理部と、を備え、前記分包処理部は、同一の前記配薬時期について複数の前記服用者に対応する前記薬包が連続する態様で前記分包動作を前記分包装置に実行させる。
【0007】
本発明に係る調剤支援プログラムは、プロセッサーに、複数の服用時期を一の配薬時期に割り当てる割当ステップと、服用者に対応する薬品を服用時期ごとに薬包で分包する分包動作を分包装置に実行させる分包ステップと、を実行させるための調剤支援プログラムであって、前記分包ステップは、同一の前記配薬時期について複数の前記服用者に対応する前記薬包が連続する態様で前記分包動作を前記分包装置に実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の服用者への配薬に関する作業者の作業効率を高めることのできる調剤支援システム、及び調剤支援プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る分包装置の外観を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで使用される配薬管理情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで使用される分包態様情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで使用される配薬グループ情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで実行される調剤支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで使用される処方データの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで使用される分包データの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで使用される分包データの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムにおける分包結果の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムにおける分包結果の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで出力される配薬シートの一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで出力される配薬シートの一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムと共に用いられる収容部の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施の形態に係る調剤支援システムと共に用いられる収容部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
[調剤支援システム10]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る調剤支援システム10は、調剤支援装置1、調剤機器2、分包装置3、印刷装置4、及び鑑査支援装置5などを備える。前記調剤支援装置1、前記調剤機器2、前記分包装置3、前記印刷装置4、及び前記鑑査支援装置5は、ネットワークN1を介して無線又は有線で通信可能に接続されており、各種の情報が送受信可能である。前記ネットワークN1は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどである。
【0012】
また、前記調剤支援装置1には、前記調剤支援装置1に処方データを入力する電子カルテシステム又は処方入力端末などの上位システム6が前記ネットワークN1を介して接続される。なお、前記調剤支援装置1が、前記上位システム6から能動的に前記処方データを取得可能な構成であってもよい。
【0013】
前記処方データには、発行年月日、オーダーナンバー、処方区分(新規、変更など)、処方番号、服用者ID、服用者名、服用者生年月日、薬品識別情報(薬品名、JANコード、GS1コードなど)、剤形情報(内服、外用など)、服用開始日、服用期間、用量、用法(服用時期を含む)、診療種別(外来、入院、施設入居など)、診療科、担当医師などの情報が含まれる。また、前記処方データに、薬品の包装形体及び合包グループなどの調剤方法に関する情報が含まれてもよい。前記包装形体は、錠剤分包を示す「錠分」及び錠剤ヒートを示す「錠ヒ」などである。なお、ここで列挙した前記処方データの内容は単なる一例であって、上記のいずれかの情報を含まなくてもよく、上記に示していない他の情報が含まれてもよい。
【0014】
例えば、前記調剤支援装置1、前記調剤機器2、前記分包装置3、前記印刷装置4、前記鑑査支援装置5は、前記処方データに基づいて薬品の調剤が行われる薬局又は病院などの調剤施設に配置される。他の実施形態として、前記調剤支援装置1、前記印刷装置4、前記上位システム6などの配置場所は、前記ネットワークN1に接続可能であれば前記調剤施設の外部であってもよい。
【0015】
前記処方データに基づいて前記調剤施設で調剤された薬品は、当該薬品を服用する複数の服用者が入居する病棟又は老健施設などの入居施設に配送される。前記服用者は、病棟に入院している患者、又は、老健施設に入居している入居者などである。前記入居施設は、前記調剤施設で調剤された薬品を服用する複数の服用者が属する予め設定された配薬グループの一例である。前記配薬グループは、前記入居施設の単位に限らず、前記入居施設における部屋又はフロアなどの単位であってもよく、複数の服用者の自宅を含む地域又は配送ルートなどの単位であってもよい。
【0016】
[調剤機器2]
前記調剤機器2は、前記調剤施設における薬品の調剤作業で使用される。例えば、前記調剤機器2各々は、PTPシート払出装置、又はピッキング支援装置などである。例えば、前記PTPシート払出装置は、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットを有し、前記調剤支援装置1から入力される調剤データに従って、前記シートカセットから前記PTPシート又は前記ヒートシールを自動的に払い出す。前記ピッキング支援装置は、前記調剤支援装置1から入力される調剤データに基づいて、薬剤師又はテクニシャンなどによる薬品の取り揃え業務を支援するための各種情報の表示処理を実行する。
【0017】
[分包装置3]
前記分包装置3は、
図1及び
図2に示されるように、制御部31、記憶部32、操作表示部33、錠剤払出部34、錠剤払出部35、個別払出部36、分包部37、分包プリンタ38、コード読取部39などを備える。前記分包装置3は、前記調剤施設に配置される調剤機器の一種である。前記コード読取部39は、一次元コード又は二次元コードのシンボルから、例えばJANコード又はGSIコードのような薬品識別情報を読み取り可能な所謂バーコードリーダーである。
【0018】
前記錠剤払出部34各々は、前記分包装置3の装着部341に着脱可能な錠剤の収容部を含み、当該錠剤払出部34に対応する予め定められた特定の種類の錠剤を、所定量ずつ払い出すことが可能である。前記錠剤払出部35各々は、前記分包装置3の装着部351に着脱可能な錠剤の収容部を含み、当該錠剤払出部35に割り当てられる任意の種類の錠剤を、所定量ずつ払い出すことが可能である。前記錠剤払出部34及び前記錠剤払出部35から払い出される錠剤は前記分包部37に供給される。
【0019】
前記個別払出部36は、例えば複数行及び複数列のマトリクス状に並設された複数のセルを備え、当該マス各々に投入される服用時期などの分包単位の錠剤を、当該マスの単位で前記分包部37に供給することが可能である。
【0020】
前記分包部37は、前記錠剤払出部34、前記錠剤払出部35、及び前記個別払出部36などから供給される錠剤を服用時期などの分包単位で包装する分包動作を実行する。例えば、前記分包部37は、
図14及び
図15に示されるように、前記分包部37に装填される長尺状の薬包シート80の一部を加熱溶融することにより、当該薬包シート80に複数の薬包81を形成する。そして、前記分包部37は、前記薬包81各々に服用時期ごとの錠剤を収容して封止し、当該薬包81各々が連続して形成された前記薬包シート80を分包結果として出力する。なお、図示の便宜上、
図14及び
図15では、前記薬包シート80が複数段に分けて示されているが、二点鎖線で接続された前記薬包81は切り離されておらず前記薬包シート80において連続して形成されているものとする。
【0021】
また、前記分包部37は、前記薬包81各々の間に、当該薬包81を容易に切り離すためのミシン目82を形成する。そして、前記薬包81各々は、当該薬包81の服用日及び服用時期に対応する配薬日及び配薬時期に当該薬包81の服用者に配薬されることになる。
【0022】
ところで、薬品の調剤担当者又は配薬担当者などの作業者は、複数の服用者に配薬する薬品を、予め設定された配薬時期ごとに纏める作業を行うことがある。これに対し、本実施形態に係る前記調剤支援システム10では、複数の服用者への配薬に関する作業者の作業効率を高めることができる。
【0023】
より具体的に、他の手法として、前記分包装置3から出力される前記薬包シート80において、複数の服用者に対応する前記薬包81が従来のように服用者ごとに並べられている場合には、例えば一人目の服用者の各配薬時期に対応する前記薬包81が出力された後、二人目の服用者の各配薬時期に対応する前記薬包81が出力されることになる。このような場合には、同一の配薬時期に対応する異なる服用者の前記薬包81を纏めるための作業の作業効率が悪くなる。これに対し、前記調剤支援システム10では、前記分包装置3によって、服用者に対応する薬品を服用時期ごとに前記薬包81で分包する分包動作が実行される際に、同一の前記配薬時期について複数の服用者に対応する薬品が収容される前記薬包81が連続する態様で前記分包動作が実行される(
図14、
図15参照)。これにより、前記薬包81を配薬時期ごとに纏める等の作業における作業者の作業効率を高めることができる。
【0024】
なお、本実施形態では、前記分包装置3が、薬品として錠剤を分包する場合を例に挙げて説明するが、散薬を分包する散薬分包装置であってもよい。前記散薬分包装置は、作業者によって投入された散薬を服用時期ごとに分配して前記薬包81で包装する分包動作を実行する。また、前記散薬分包装置は、複数の散薬カセットを有し、前記散薬カセットから自動的に散薬を払い出して服用時期ごとに前記薬包81で包装する分包動作を実行する全自動散薬分包期であってもよい。さらに、前記分包装置3は、錠剤及び散薬を纏めて服用時期ごとに前記薬包81で一包化することが可能な構成であってもよい。
【0025】
前記分包プリンタ38は、前記分包部37において薬品を包装する前記薬包81に、当該薬包81で包装される薬品の服用時期、及び後述の薬包識別情報などの各種の情報を印刷可能である。前記操作表示部33は、各種の情報を表示する液晶モニター等の表示部と、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス又はタッチパネル等の操作部とを備える。前記記憶部32は、前記制御部31によって実行される各種の制御プログラム、及び前記調剤支援装置1から受信する後述の分包データなどが記憶される不揮発性の記憶装置である。
【0026】
前記制御部31は、CPUなどのプロセッサー、ROM、及びRAMなどを備え、前記プロセッサーによって、前記ROM又は前記記憶部32に記憶されている制御プログラムに従った処理を実行し、前記分包装置3の動作を制御する。
【0027】
具体的に、前記制御部31は、前記調剤支援装置1から入力される後述の分包データに基づいて、前記錠剤払出部34、前記錠剤払出部35、前記個別払出部36、前記分包部37などを制御し、服用者が服用する薬品を服用時期ごとに薬包81で分包させる分包処理を実行する。また、前記制御部31は、一連の前記薬包シート80の先頭又は最後に、当該薬包シート80を識別可能な薬包シート識別情報を含む検薬コードを前記分包プリンタ38によって印刷した空の前記薬包81を出力する。
【0028】
さらに、前記制御部31は、前記分包処理において、前記分包プリンタ38を用いて、前記薬包81に、服用者識別情報、配薬位置情報、服用時期識別情報、及び薬包識別情報などを含む薬包情報を印刷する。
【0029】
前記服用者識別情報は、前記薬包81に収容される薬品を服用する服用者を識別可能な服用者名又は服用者IDなどであり、例えば、
図14の一包目の前記薬包81には、前記服用者識別情報として、「湯山 一郎」の文字が印刷されている。また、前記配薬位置情報は、前記薬包81を配薬する位置を示す情報であって、例えば、
図14の一包目の前記薬包81には、前記配薬位置情報として、服用者が入居する部屋番号「301」及びベッド番号「1」を組み合わせた「301-1」の文字が印刷されている。前記服用時期識別情報は、前記薬包81に収容される薬品の服用日及び服用時期を識別可能な情報であって、例えば、
図14の一包目の前記薬包81には、前記服用時期識別情報として、服用日「2020/4/1」及び服用時期「起床時」の文字が印刷されている。
【0030】
前記薬包識別情報は、前記分包装置3で予め設定された特定期間内に出力された前記薬包81を識別可能な情報であって、前記特定期間ごとにユニークな情報である。前記特定期間は、例えば時間単位、時間帯単位、日単位、週単位、月単位、又は年単位で設定される。また、前記特定期間は、前記分包装置3における分包対象の前記配薬グループが切り替わるまでの期間などであってもよい。具体的に、本実施形態において、前記薬包識別情報は、例えば3ヶ月ごとのような前記特定期間ごとに、予め設定された初期値から連番で付される番号である。例えば、
図14の一包目の前記薬包81には、前記薬包識別情報として、「000001」の文字が記載されている。なお、前記薬包識別情報が連番ではなく、予め設定された規則に基づいて、前記特定期間においてユニークとなるように生成される情報であってもよい。例えば、前記薬包識別情報が、前記分包装置3の号機番号及び日時などの組み合わせで表現されてもよい。
【0031】
[印刷装置4]
前記印刷装置4は、後述の配薬シートなどの印刷に用いられるプリンタである。また、処方データ又は調剤データなどの印刷に用いられてもよい。
【0032】
[鑑査支援装置5]
前記鑑査支援装置5は、前記分包装置3で分包された後の前記薬包81各々に収容されている薬品が後述の分包データと一致するか否かを鑑査する薬剤師の鑑査作業を支援するために用いられる。なお、この種の前記鑑査支援装置5は、例えば特許第6287844号公報などにも記載されている。
【0033】
前記鑑査支援装置5は、制御部51、記憶部52、撮影部53、操作表示部54などを備える。前記記憶部52は、前記制御部51によって実行される各種の制御プログラム、前記鑑査支援装置5における鑑査結果、及び前記撮影部53で撮影された撮影画像などが記憶される不揮発性の記憶装置である。前記撮影部53は、前記鑑査支援装置5に投入される前記薬包シート80に含まれる前記薬包81各々の撮影画像を順に撮影する。前記操作表示部54は、各種の情報を表示する液晶モニター等の表示部と、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス又はタッチパネル等の操作部とを備える。
【0034】
前記制御部51は、CPUなどのプロセッサー、ROM、及びRAMなどを備え、前記プロセッサーによって、前記ROM又は前記記憶部52などに記憶されている制御プログラムに従って各種の処理を実行し、前記鑑査支援装置5の動作を制御する。
【0035】
具体的に、前記制御部51は、前記薬包シート80の先頭又は最後の空の前記薬包81に印刷された前記検薬コードを前記撮影部53によって撮影される撮影画像から読み取り、当該検薬コードから前記薬包シート識別情報を取得する。また、前記制御部51は、前記調剤支援装置1又は前記分包装置3から後述の分包データを取得し、前記記憶部52に記憶する。そして、前記制御部51は、前記薬包シート識別情報に基づいて、当該薬包シート識別情報に対応する前記分包データを鑑査対象として選択する。なお、前記制御部51は、ユーザー操作に応じて、鑑査対象となる前記分包データを選択してもよい。そして、前記制御部51は、前記撮影部53によって撮影される前記薬包81各々の撮影画像に基づいて、前記薬包81各々の薬品の種類及び数量の少なくとも一方を、前記薬包シート識別情報に対応する後述の分包データの内容と照合する鑑査処理を実行する。例えば、前記制御部51は、前記分包データにおける前記薬包81各々に対応するデータの順番と、前記薬包シート80に順に形成されている前記薬包81各々の順番とが同じであるとの前提で、当該薬包81各々の薬品の種類及び数量の少なくとも一方を、前記分包データにおける当該薬包81各々に対応するデータと照合する。
【0036】
さらに、前記制御部51は、前記薬包81各々についての前記鑑査処理の結果及び当該薬包81各々に対応する前記撮影画像を含む鑑査情報を、当該薬包81各々に対応する後述の分包データの前記薬包シート識別情報と当該分包データにおける当該薬包81各々に対応する前記薬包識別情報とに対応付けて前記記憶部52に記憶する。その後、前記制御部51は、ユーザー操作に応じて、前記薬包81各々についての前記鑑査情報を前記記憶部52から読み出して前記操作表示部54に表示することが可能である。これにより、薬剤師は、前記鑑査情報を参照して、前記分包装置3による錠剤の分包結果の適否を判定する鑑査作業を容易に行うことが可能である。なお、前記鑑査情報の記憶態様は、前記制御部651が、任意の前記薬包81の前記鑑査情報を読み出して出力可能な態様であれば、ここで説明する方法に限らない。例えば、前記鑑査情報が、前記薬包シート識別情報と前記分包データにおいて前記薬包81が何番目の薬包であるかを示す番号情報とに対応付けて記憶され、前記番号情報と前記分包データにおける前記薬包識別情報とが対応付けて記憶されている場合であっても、前記制御部51は、前記薬包シート識別情報及び前記薬包識別情報に基づいて、当該薬包識別情報に対応する前記番号情報を特定し、当該番号情報に対応する前記薬包81の前記鑑査情報を出力することが可能である。なお、前記制御部51は、前記薬包81各々の前記撮影画像から当該薬包81の前記薬包識別情報を読み取ってもよい。
【0037】
また、前記制御部51は、前記薬包81各々についての前記鑑査情報及び前記薬包識別情報を前記調剤支援装置1及び前記分包装置3などに送信することも可能である。これにより、例えば、前記調剤支援装置1において前記薬包81各々の前記鑑査情報を参照すること、又は、前記分包装置3で前記鑑査情報に基づいて前記薬包81についての前記分包動作を再実行することが可能である。
【0038】
[調剤支援装置1]
前記調剤支援装置1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及びドライブ装置14などを備えるパーソナルコンピュータである。本実施形態では、前記調剤支援装置1の単体を本発明に係る調剤支援システムの一例として捉えてもよい。また、前記分包装置3が、前記調剤支援装置1から必要な情報を取得しつつ、後述の調剤支援処理を実行してもよく、この場合、当該分包装置3を本発明に係る調剤支援システムの一例として捉えてもよい。さらに、前記調剤支援装置1及び前記分包装置3が協働して後述の調剤支援処理を実行してもよく、この場合、前記調剤支援装置1及び前記分包装置3を含むシステムを本発明に係る調剤支援システムの一例として捉えてもよい。
【0039】
なお、本実施形態で説明する前記調剤支援装置1における操作及び表示などは、前記ネットワークN1を介して当該調剤支援装置1と通信可能な不図示のクライアント端末の操作装置及び表示装置で行われてもよい。この場合、前記制御部11は、前記クライアント端末に対するユーザー操作を受け付けて各種の処理を実行し、当該クライアント端末に各種の表示データを送信して情報を表示させる。即ち、前記調剤支援装置1及び前記クライアント端末がサーバークライアントシステムを構成し、当該クライアント端末が前記調剤支援装置1の操作端末として使用されてもよい。
【0040】
前記操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶モニター等の表示部と、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス又はタッチパネル等の操作部とを備える。前記ドライブ装置14は、調剤支援プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能なCD、DVD、BD、又はUSBメモリなどの記録媒体15から前記調剤支援プログラムを読み取ることが可能である。
【0041】
前記記憶部12は、前記制御部11に後述の調剤支援処理を実行させるための前記調剤支援プログラムなどの制御プログラム、及び各種のデータを記憶する不揮発性の記憶装置である。また、前記記憶部12には、前記上位システム6から取得する前記処方データ、及び当該処方データに基づいて前記制御部11によって生成される調剤データ及び分包データなどの各種の情報が記憶される。さらに、前記記憶部12には、薬品マスター及び服用者マスターなどの各種データベースが記憶され、前記制御部11は、前記各種データベースをユーザー操作によって編集することが可能である。
【0042】
前記薬品マスターには、薬品ごとに対応する、薬品名、JANコード、GS1コード、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品分類(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの情報が含まれる。前記薬品コード、前記薬品名、前記JANコード、前記GS1コードなどは薬品を識別可能な薬品識別情報の一例である。
【0043】
前記服用者マスターには、服用者各々の服用者ID、服用者名、性別、年齢、住所、既往歴、家族情報、診療科、配薬グループ、及び配薬位置情報などの情報が含まれる。前記服用者ID又は前記服用者名は、服用者を識別可能な服用者識別情報の一例である。前記配薬グループは、服用者が入居する病棟、施設、病室、又はフロアなどの予め設定される配薬単位を識別するための識別情報である。前記配薬位置情報は、薬品の配薬先となる服用者が入居している部屋及びベッド番号などの位置情報を識別するための識別情報である。なお、前記服用者マスターとは別に、前記服用者識別情報と、前記配薬グループ及び前記配薬位置情報とが対応付けられたマスター情報が前記記憶部12に記憶されていてもよい。
【0044】
また、前記記憶部12には、前記配薬グループごとに対応付けて、配薬管理情報D1、分包態様情報D2、配薬グループ情報D3などの各種の情報が記憶されており、前記制御部11は、前記各種の情報をユーザー操作によって編集することが可能である。なお、前記記憶部12には、複数の前記配薬グループに共通の前記配薬管理情報D1及び前記分包態様情報D2が記憶されてもよい。
【0045】
前記配薬管理情報D1では、
図3に示されるように、配薬時期各々について一又は複数の服用時期が対応付けて記憶される。前記服用時期には、例えば「朝食前」、「朝食間」、「朝食後」、「朝食前」、「朝食間」、「昼食後」、「昼食前」、「昼食間」、「朝食後」、「夕食後」、「夕食前」、「夕食間」、「夕食後」、「寝る前」、「起床時(当日)」、「起床時(翌日)」、「頓服」、「外用」などが含まれる。また、前記配薬時期には、例えば「朝」、「昼」、「夕」、「寝る前」などが含まれる。さらに、前記配薬管理情報D1では、複数の前記配薬時期についての出力順序(分包順序)が設定されており、
図3に示される例では、前記配薬管理情報D1において上から並べられた「朝」、「昼」、「夕」、「寝る前」の順が出力順序として設定されている。
【0046】
なお、前記服用時期及び前記配薬時期には、「昼食後」のように食事との関係で規定された時期と、「寝る前」のように服用者の行動との関係で規定された時期と、「11時」、「午後」のように時刻又は時間帯で規定される時期とのうち2つ以上の種類の時期が含まれてもよい。例えば、「11時」及び「15時」などの時刻で表現された複数の前記服用時期が、「11時」又は「昼」などの一つの前記配薬時期に対応付けられてもよい。また、例えば「11時」及び「昼食後」などの複数の前記服用時期が、「11時」などの一つの前記配薬時期に対応付けられてもよい。
【0047】
前記制御部11は、ユーザー操作に応じて、前記配薬管理情報D1における前記服用時期と前記配薬時期との対応付けを設定することが可能である。具体的に、
図3に示される前記配薬管理情報D1では、「朝」の配薬時期に、「朝食前」及び「朝食後」の服用時期が対応付けられ、「昼」の配薬時期に、「昼食前」及び「昼食後」の服用時期が対応付けられている。また、前記配薬管理情報D1では、「夕」の配薬時期に、「夕食前」及び「夕食後」の服用時期が対応付けられている。
【0048】
また、「起床時」の服用時期に対応する薬品は、当該服用時期が属する服用日の1日前の最後の服用時期である「寝る前」に対応する薬品が服用者に配薬される際に纏めて服用者に配薬されることがある。これに対し、
図3に示されるように、前記制御部11は、前記配薬管理情報D1において、「寝る前」の配薬時期に、「寝る前」及び「起床時」の服用時期を対応付けることが可能である。即ち、前記制御部11は、服用日が異なる「寝る前」の服用時期と「起床時」の服用時期とを、同一の「寝る前」の配薬時期に対応付けることが可能である。これにより、前記配薬管理情報D1に基づいて前記服用時期各々の配薬時期が特定される場合には、例えば服用日が4月1日の「寝る前」の服用時期、及び、服用日が翌4月2日の「起床時」の服用時期に対応する配薬時期として、配薬日が4月1日の「寝る前」の配薬時期が特定される。
【0049】
前記分包態様情報D2では、
図4に示されるように、前記配薬グループと前記分包装置3で実行される前記分包動作における分包態様とが対応付けて記憶される。前記分包態様には、前記分包動作によって出力される前記薬包シート80における前記薬包81の並び順が異なる第1分包態様及び第2分包態様が含まれる。そして、前記制御部11は、ユーザー操作に応じて、前記分包態様情報D2における前記配薬グループと前記分包態様との対応付けを設定することが可能である。なお、前記調剤支援システム1では、前記第1分包態様及び前記第2分包態様のいずれか一方が実行可能であってもよい。
【0050】
前記第1分包態様及び前記第2分包態様は、同一の前記配薬時期について複数の服用者に対応する前記薬包81が連続する態様で前記分包動作が実行される点は共通である。換言すれば、前記第1分包態様及び前記第2分包態様では、異なる服用者の前記薬包81であって前記配薬時期が同一の前記薬包81が連続する態様で分包動作が実行される。一方、前記第1分包態様及び前記第2分包態様は、下記の点で異なる。
【0051】
前記第1分包態様では、配薬日ごとに、同一の前記配薬時期について複数の前記服用者に対応する前記薬包81が連続する薬包群が前記配薬時期の単位で繰り返される態様で前記分包動作が実行される。換言すれば、同一の前記配薬時期について複数の服用者に対応する前記薬包81が連続する薬包群が前記配薬時期の単位で繰り返される態様で前記分包動作が実行される。
図14は、前記第1分包態様で前記分包動作が実行された場合の分包結果の一例を示す図である。具体的に、
図14に示されるように、配薬日(2020/4/1)に対応する薬包群801では、当該配薬日について配薬時期ごとに複数の服用者に対応する前記薬包81が連続する薬包群802が形成され、次の配薬日以降も同様に、当該配薬日について配薬時期ごとに複数の服用者に対応する前記薬包81が連続して形成されることになる。なお、前記第1分包態様では、配薬日及び配薬時期が同じ前記複数の服用者に対応する分包は、前記配薬グループ情報D3などで予め設定された前記配薬位置情報の順で実行される。また、前記第1分包態様では、例えば
図14に示されるように、同じ服用者「湯山一郎」について、同じ配薬時期「寝る前」に割り当てられた「寝る前」及び「起床時」に対応する複数の前記薬包81が連続することがある。
【0052】
前記第2分包態様では、前記配薬時期ごとに、同一の前記配薬時期について複数の前記服用者に対応する前記薬包が連続する薬包群が前記配薬日の単位で繰り返される態様で前記分包動作が実行される。換言すれば、配薬時期の順で、配薬日ごとに当該配薬日の当該配薬時期に配薬が必要な服用者各々に対応する前記薬包81が並ぶように分包される。
図15は、前記第2分包態様で前記分包動作が実行された場合の分包結果の一例を示す図である。具体的に、
図15に示されるように、最初の一の配薬時期(朝)に対応する薬包群811では、当該配薬時期について配薬日ごとに複数の服用者に対応する前記薬包81が連続した後、次の配薬時期についても同様に、当該配薬日ごとに複数の服用者に対応する前記薬包81が連続して形成されることになる。なお、前記第2分包態様では、配薬日及び配薬時期が同じ前記複数の服用者に対応する分包は、前記配薬グループ情報D3などで予め設定された前記配薬位置情報の順で実行される。
【0053】
前記配薬グループ情報D3では、
図5に示されるように、前記配薬グループと当該配薬グループに属する前記配薬位置情報とが対応付けて記憶される。例えば、前記配薬グループが老健施設である場合、前記配薬位置情報は、前記老健施設に設けられた部屋番号及び当該部屋番号に対応する部屋に設けられたベッドのベッド番号を示す情報である。そして、前記制御部11は、ユーザー操作に応じて、前記配薬グループ情報D3における前記配薬グループと前記配薬位置情報との対応付けを設定することが可能である。また、前記配薬グループ情報D3では、前記配薬位置情報のデータ順により、配薬日及び配薬時期が同じ前記複数の服用者に対応する分包の実行順序も設定可能である。
【0054】
前記制御部11は、CPUなどのプロセッサー、ROM、及びRAMなどを備え、前記プロセッサーによって、前記ROM又は前記記憶部12に記憶されている各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行し、前記調剤支援装置1の動作を制御する。
【0055】
具体的に、前記制御部11は、割当処理部111、分包処理部112、シート出力処理部113、形体変更処理部114などの各種の処理部を含む。前記制御部11は、前記調剤支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより前記各種の処理部として機能する。また、前記各種の処理部のいずれか一又は複数がASIC又はDSPなどの電子回路であってもよい。
【0056】
前記割当処理部111は、前記上位システム6から取得する複数の服用者に対応する複数の処方データと前記配薬管理情報D1とに基づいて、当該処方データ各々に基づいて特定される服用日及び服用時期を、配薬日及び配薬時期に割り当てる。例えば、前記処方データにおける服用開始日が4月1日であり、当該処方データにおける用法に対応する服用時期が「起床時」、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」、「寝る前」であり、服用期間が7日である場合を例に挙げる。この場合、前記割当処理部111は、服用開始日の4月1日から4月7日までの7日間の服用日に対応する「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」、「寝る前」の服用時期を、それぞれ同日の4月1日から4月7日までの配薬日に対応する「朝」、「昼」、「夕」、「寝る前」の配薬時期に割り当てる。一方、前記割当処理部111は、前記服用日及び前記服用時期を予め設定された条件に基づいて前記配薬日及び前記配薬時期に割り当てる。具体的に、前記割当処理部111は、予め設定された特定の服用時期である「起床時」については、前記服用開始日の4月1日から4月7日までの服用日に対応する服用時期を、それぞれ服用日の前日の3月31日から4月6日までの配薬日に対応する「寝る前」の配薬時期に割り当てる。このように、前記割当処理部111は、一又は複数の服用時期を一又は複数の配薬時期に割り当てることが可能である。特に、前記割当処理部111は、前記配薬管理情報D1に基づいて、服用日が異なる「寝る前」、「起床時」などの複数の前記服用時期を、同日の配薬日に対応する「寝る前」などの一の前記配薬時期に割り当てることが可能である。なお、前記割当処理部111は、前記特定の服用時期について、当該服用時期に対応する服用日の前日を配薬日とするか、当該服用時期に対応する服用日の当日を配薬日とするかなどの条件を、ユーザー操作に応じて前記配薬グループごとに予め設定可能であってもよい。さらに、前記割当処理部111は、ユーザー操作に応じて、任意の服用時期を前記特定の服用時期として設定可能であってもよい。なお、前記特定の服用時期、及び前記服用日と前記配薬日との関係などは、前記配薬管理情報D1に登録されていてもよい。
【0057】
前記分包処理部112は、前記割当処理部111によって割り当てられた前記配薬日及び前記配薬時期に基づいて、複数の服用者に対応する前記服用時期各々の薬品を収容した前記薬包81の出力順序を決定し、当該出力順序で前記薬包81を出力するための分包動作を前記分包装置3に実行させる。具体的に、前記分包処理部112は、前記割当処理部111によって前記服用時期が割り当てられた前記配薬時期ごとに、複数の服用者に対応する薬品が収容される前記薬包81が連続する態様で分包動作を前記分包装置3に実行させる。より具体的に、前記分包処理部112は、複数の服用者に対応する処方データに基づいて、前記分包装置3で前記分包動作を実行するための分包データを生成して当該分包装置3に出力する。これにより、前記分包装置3では、前記分包データに基づいて、同一の前記配薬時期について複数の前記服用者に対応する前記薬包81が連続する態様で前記分包動作が実行されることになる。なお、前記分包データは、前記配薬管理情報D1に登録されている複数の前記配薬時期の並び順に従って前記分包動作を前記分包装置3に実行させることが可能なデータである。
【0058】
また、前記分包処理部112は、一又は複数の前記服用時期と前記配薬時期との対応関係を示す前記配薬管理情報D1をユーザー操作に応じて登録することが可能である。特に、前述したように、前記分包処理部112は、前記配薬管理情報D1において、服用日が異なる複数の前記服用時期を同一の前記配薬時期に対応付けて登録することが可能である。
【0059】
前記シート出力処理部113は、前記薬包81に対応する前記服用者、前記薬品、及び前記薬品の包装形体の情報が前記分包動作における分包の実行順序に基づいて配置された配薬シートを出力する。例えば、前記シート出力処理部113は、前記配薬シートを前記印刷装置4に出力して配薬シートとして印刷することが可能である。また、前記シート出力処理部113は、前記配薬シートを前記入居施設に設けられた情報処理装置などに送信することも可能である。
【0060】
形体変更処理部114は、複数の服用者に対応する前記処方データに基づいて前記分包動作が実行される場合に、いずれかの前記処方データに基づく前記分包動作における前記薬品の包装形体と前記配薬シートにおける前記薬包の包装形体の情報をユーザー操作に応じて変更することが可能である。
【0061】
[調剤支援処理]
以下、
図6を参照しつつ、前記調剤支援システム10で実行される調剤支援処理の手順の一例について説明する。前記調剤支援処理は、前記調剤支援装置1に対して前記調剤支援プログラムを実行するための所定のユーザー操作が実行された場合に、前記制御部11によって実行される。なお、本発明は、前記調剤支援処理の処理手順の一部又は全部を実行する調剤支援方法、又は当該調剤支援方法を前記調剤支援装置1等に搭載されたプロサッセーに実行させるための前記調剤支援プログラムの発明として捉えてもよい。
【0062】
<ステップS1>
ステップS1において、前記制御部11は、前記調剤支援処理の処理対象となる前記配薬グループをユーザー操作などに応じて選択する選択処理を実行する。例えば、前記制御部11は、
図7に示されるように、前記調剤支援処理の処理対象の候補となる前記配薬グループの一覧が表示される領域A11を含む選択画面P10を前記操作表示部13に表示させる。そして、前記制御部11は、前記操作表示部13を用いたユーザーによる選択操作に応じて前記処理対象となる前記配薬グループを選択する。なお、前記制御部11は、前記選択画面P10の領域A11で前記配薬グループが選択された場合には、当該配薬グループに属する前記服用者各々に対応する前記処方データの一覧を前記選択画面P10の領域A12に表示させる。また、前記制御部11は、前記配薬グループごとに予め設定された予約時刻などの所定タイミングが到来した場合に、当該配薬グループを自動的に処理対象として選択してもよい。
【0063】
ところで、前記制御部11は、前記上位システム6から入力される前記処方データに示された前記診療種別が外来である場合には、自動的に当該処方データに基づく分包データを生成して前記分包装置3に出力する。一方、前記制御部11は、前記処方データに示された前記診療種別が外来でない場合(例えば入院又は施設入居である場合)には、当該処方データについての処理を待機させる。これにより、前記診療種別が入院又は施設入居などである前記処方データについては、前記配薬グループの単位で分包データを生成して前記分包動作を開始させることが可能である。なお、他の実施形態として、前記制御部11が、前記処方データに前記配薬グループの情報が含まれていない場合に、自動的に当該処方データに基づく分包データを生成して前記分包装置3に入力し、前記処方データに前記配薬グループの情報が含まれる場合に、当該処方データについての処理を待機させてもよい。
【0064】
<ステップS2>
ステップS2において、前記制御部11は、前記ステップS1で選択された前記配薬グループに属する複数の前記服用者の前記処方データのいずれかについての調剤方法の変更が要求されたか否かを判断する。そして、前記調剤方法の変更が要求されたと判断されると(S2:Yes)、処理がステップS21に移行し、前記調剤方法の変更が要求されていなければ(S2:No)、処理がステップS3に移行する。
【0065】
例えば、前記制御部11は、前記選択画面P10の前記領域A12において、前記処方データのいずれかが選択されてダブルクリックなどのユーザー操作が行われた場合に、
図8に示されるように、当該処方データの詳細を示す詳細画面P20を表示させる。その後、前記制御部11は、前記詳細画面P20において、「修正処方」の操作キーK21が操作された場合に、前記処方データの調剤方法の変更が要求されたと判断する。例えば、前記調剤方法には、前記処方データに基づいて調剤される薬品の包装形体(分包、ヒートなど)又は合包グループなどが含まれる。前記合包グループは、前記処方データに処方薬として複数の薬品が含まれる場合に、同一の前記薬包81に分包される薬品のグループである。
【0066】
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部11は、前記調剤方法の変更対象として選択された前記処方データについて、前記調剤方法をユーザー操作に応じて変更し、当該調剤方法の変更内容を前記処方データに対応づけて前記記憶部12に記憶する。そして、前記制御部11は、前記調剤方法の変更内容を、後述のステップS41又はS5で生成される分包データ、及び、後述のステップS7で生成される配薬シートに反映する。前記ステップS21は、前記制御部11の形体変更処理部114によって実行される。
【0067】
例えば、前記ステップS21において、前記制御部11は、
図9に示されるように、前記処方データを変更するための第1変更画面P30を表示させる。次に、前記制御部11は、前記第1変更画面P30で、変更対象の薬品が選択され、包装形体を変更するための操作キーK31又は操作領域A31などのユーザー操作が行われた場合に、当該薬品について包装形体を変更すると判断する。そして、前記制御部11は、
図10に示されるように、前記包装形体を変更するための第2変更画面P40を表示させる。続いて、前記制御部11は、前記第2変更画面P40で、前記包装形体を、「分包」、「DTA」、「ヒート」、「つぶし」から選択するための操作キーK41~K44の操作、又は、操作領域A41におけるプルダウンメニューからの選択操作により前記包装形体を変更する。その後、前記調剤方法の変更処理が終了すると、処理が前記ステップS2に戻される。また、前記第1変更画面P30において、前記合包グループを変更するための操作キーK32又は操作領域A32などのユーザー操作が行われた場合にも同様に当該合包グループを変更するための処理が実行される。
【0068】
<ステップS3>
ステップS3において、前記制御部11は、前記ステップS1で選択された前記配薬グループについての調剤を開始するか否かを判断する。そして、調剤を開始すると判断されると(S3:Yes)、処理がステップS31に移行し、調剤を開始しないと判断されると(S3:No)、処理が前記ステップS2に戻される。
【0069】
例えば、前記制御部11は、前記選択画面P10(
図7参照)において選択された前記配薬グループについて調剤を開始するための操作キーK11のユーザー操作が行われた場合に、当該配薬グループについての調剤を開始すると判断する。また、前記制御部11は、予め設定された予約時刻などの特定タイミングが到来した場合に自動的に調剤を開始すると判断してもよい。
【0070】
<ステップS31>
ステップS31において、前記制御部11は、前記配薬グループに属する複数の服用者に対応する複数の処方データと前記配薬管理情報D1とに基づいて、当該処方データ各々に基づいて特定される服用日及び服用時期を、配薬日及び配薬時期を割り当てる。なお、前記服用日は、服用者が薬品を服用する日であり、前記服用時期は、服用者が前記服用日において薬品を服用する時期である。また、前記配薬日は、病院又は老健施設などにおいて服用者に薬品を配薬する看護師、施設職員、又は薬剤師などの配薬担当者が薬品を配薬する日であり、前記配薬時期は、前記配薬担当者が前記配薬日において薬品を配薬する時期である。なお、前記ステップS31は、前記制御部11の割当処理部111によって実行される。
【0071】
例えば、
図11には、前記処方データの一例である処方データD11が示されている。
図11に示される前記処方データD11は、前記処方データD11の内容を展開して模式的に示したものであり、当該処方データD11のデータ構造はこれに限らない。
図11に示されるように、前記処方データD11では、服用者ID「100001」、服用者名「湯山 一郎」に対応する「4/1」~「4/7」の7日分の処方データであって、用法に含まれる服用時期が「起床時」、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」、及び「寝る前」である。なお、前記処方データD11の前記処方番号は「10000000001」である。また、服用時期「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」に服用する薬品が薬品M1、M2、M3であり、服用時期「寝る前」に服用する薬品が薬品M11であり、服用時期「起床時」に服用する薬品が薬品M12である。この場合、前記制御部11は、前記配薬管理情報D1に基づいて、「4/1」~「4/7」のそれぞれの服用日における「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」、「寝る前」の服用時期を、「4/1」~「4/7」のそれぞれの配薬日における「朝」、「昼」、「夕」、「寝る前」の配薬時期に割り当てる。また、前記制御部11は、前記配薬管理情報D1に基づいて、「4/1」~「4/7」のそれぞれの服用日における「起床時」の服用時期を、「3/31」~「4/6」のそれぞれの配薬日における「寝る前」の配薬時期に割り当てる。即ち、前記制御部11は、服用日が異なる複数の服用時期である「寝る前」及び「起床時」を、同一の配薬日の一つの配薬時期である「寝る前」に割り当てる。
【0072】
<ステップS4>
ステップS4において、前記制御部11は、処理対象の前記配薬グループに対応する前記分包態様が前記第1分包態様であるか否かを前記分包態様情報D2に基づいて判断する。ここで、前記分包態様が前記第1分包態様であると判断されると(S4:Yes)、処理がステップS5に移行し、前記分包態様が前記第1分包態様である場合には前記第1分包態様ではないと判断され(S4:No)、処理がステップS41に移行する。また、他の実施形態として、3つ以上の分包態様から任意の分包態様が選択可能であってもよい。
【0073】
なお、前記調剤支援処理において、前記制御部11は、処理対象の前記配薬グループに含まれる服用者の前記処方データに、前記調剤機器2を用いて調剤する薬品が存在する場合には、当該処方データに基づいて当該調剤機器2に入力する調剤データを生成し、当該調剤データを前記調剤機器2各々に入力する処理も実行するが、ここではその詳細な説明を省略する。
【0074】
<ステップS5、S41>
ステップS5において、前記制御部11は、処理対象の前記配薬グループに属する複数の服用者に対応する前記処方データと、前記ステップS31における割り当て結果と、前記配薬グループ情報D3とに基づいて、前記第1分包態様に対応する分包データを生成し、前記記憶部12に記憶する。また、ステップS41において、前記制御部11は、処理対象の前記配薬グループに属する複数の服用者に対応する前記処方データと、前記ステップS31における割り当て結果と、前記配薬グループ情報D3とに基づいて、前記第2分包態様に対応する分包データを生成し、前記記憶部12に記憶する。
【0075】
また、前記制御部11は、前記配薬グループに属する複数の服用者に対応する前記処方データのうち前記調剤方法の変更内容が前記記憶部12に記憶されている処方データについては、前記ステップS5及び前記ステップS41において、当該調剤方法の変更内容を前記分包データに反映する。例えば、前記調剤支援装置1に入力される前記処方データにおいて、錠剤の包装形体が「分包」である旨が示されていることがある。また、前記制御部11が、前記処方データと当該処方データに対応する前記服用者又は前記配薬グループとに基づいて、当該処方データに含まれる錠剤の包装形体を「分包」に自動的に設定することがある。このように前記包装形体が「分包」である錠剤について、前記ステップS21で、前記包装形体が「分包」から「ヒート」に変更された場合、前記制御部11は、当該錠剤を前記分包データの作成対象から除外する。この場合、前記制御部11は、前記錠剤の包装形体を「ヒート」に変更し、例えば前記ピッキング支援装置又は前記PTPシート払出装置に入力される調剤データに含める。これにより、前記処方データに基づいて調剤が行われる場合に、前記錠剤は、前記分包装置3で分包されずに、「ヒート」の包装形体で調剤される。即ち、前記制御部11は、前記包装形体が「ヒート」に変更された錠剤を前記分包装置3による分包対象から除外する。
【0076】
ここで、
図12には、前記分包態様が前記第1分包態様である場合に前記制御部11によって生成される前記分包データの一例である分包データD12が示されている。なお、
図12に示される前記分包データD12は、当該分包データD12の内容を展開して模式的に示したものであり、当該分包データD12のデータ構造はこれに限らない。前記分包データD12における各行のレコードは、前記薬包81各々に対応するデータである。また、前記分包データD12では、前記薬包81各々に対応するレコードに、当該薬包81に対応する前記処方データの前記処方番号が対応付けられている。
図12に示される前記分包データD12では、「4/1」の配薬日について、複数の「湯山 一郎」、「湯山 二郎」、「湯山 三郎」、「湯山 四郎」の服用者に対応するデータが「朝」、「昼」、「夕」、「寝る前」の配薬時期ごとに順に並べられている。また、続いて、「4/2」の配薬日について、複数の「湯山 一郎」、「湯山 二郎」、「湯山 三郎」、「湯山 四郎」の服用者に対応するデータが「朝」、「昼」、「夕」、「寝る前」の配薬時期ごとに順に並べられている。ここで、同一の配薬日及び配薬時期に対応する複数の「湯山 一郎」、「湯山 二郎」、「湯山 三郎」、「湯山 四郎」の服用者に対応するデータは、前記配薬グループ情報D3におけるデータ順に従って並べられている。その後も同様に、「4/3」~「4/7」の配薬日について、複数の「湯山 一郎」、「湯山 二郎」、「湯山 三郎」、「湯山 四郎」の服用者に対応するデータが「朝」、「昼」、「夕」、「寝る前」の配薬時期ごとに順に並べられている。なお、
図12に示される前記分包データD12では、先頭に、配薬日が「3/31」であり、配薬時期が「寝る前」である「湯山 一郎」の服用者に対応するデータも含まれている。また、
図12では省略するが、前記分包データには、各薬品の数量及び合包グループなどの他の情報も含まれる。
【0077】
図13には、前記分包態様が前記第2分包態様である場合に前記制御部11によって生成される前記分包データの一例である分包データD12が示されている。なお、
図13に示される前記分包データD12は、当該分包データD12の内容を展開して模式的に示したものであり、当該分包データD12のデータ構造はこれに限らない。前記分包データD12における各行のレコードは、前記薬包81各々に対応するデータである。
図13に示される前記分包データD12では、まず、「朝」の配薬時期について、複数の「湯山 一郎」、「湯山 二郎」、「湯山 三郎」、「湯山 四郎」の服用者に対応するデータが「4/1」~「4/7」の配薬日ごとに順に並べられている。また、続いて、「昼」の配薬時期について、複数の「湯山 一郎」、「湯山 二郎」、「湯山 三郎」、「湯山 四郎」の服用者に対応するデータが「4/1」~「4/7」の配薬日ごとに順に並べられている。ここで、同一の配薬日及び配薬時期に対応する複数の「湯山 一郎」、「湯山 二郎」、「湯山 三郎」、「湯山 四郎」の服用者に対応するデータは、前記配薬グループ情報D3におけるデータ順に従って並べられている。その後も同様に、「夕」の配薬時期について、複数の「湯山 一郎」、「湯山 二郎」、「湯山 三郎」の服用者に対応するデータが「4/1」~「4/7」の配薬日ごとに順に並べられている。また、「寝る前」の配薬時期については、複数の「湯山 一郎」、「湯山 二郎」、「湯山 三郎」の服用者に対応するデータが「3/31」~「4/7」の配薬日ごとに順に並べられている。
【0078】
また、前記制御部11は、前記分包データD12における前記薬包81各々に対応するレコードに対応付けて、当該薬包81を識別可能な薬包識別情報を設定する。具体的に、前記制御部11は、前記分包データD12に基づいて実行される前記分包動作で出力される前記薬包81の総数と同じ数の連番の数字を採番し、当該数字各々を前記薬包81各々に対応する前記薬包識別情報として設定する。例えば、
図12及び
図13に示される例では、前記分包データD12におけるレコードの総数(薬包81の総数)である112個の数字「000001」~「000112」が採番されて、前記分包データに基づく前記分包動作における分包の実行順で各レコードに対応付けられている。これにより、前記分包装置3では、前記分包データD12に基づいて、前記薬包識別情報を前記薬包81に印刷する。
【0079】
そして、前記制御部11は、前記薬包識別情報として連番で採番される数字を、予め設定された特定期間ごとに「000001」などの初期値にリセットする。即ち、前記制御部11は、前記特定期間が経過するまでの間は、前記薬包識別情報として連番で採番される数字をリセットしない。これにより、前記分包データD12の次に生成される分包データでは、当該分包データD12の最後の前記薬包識別情報である「000112」の次の「000113」から連番となる数字が前記薬包識別情報として設定されることになる。従って、前記調剤支援システム10において、前記薬包識別情報は、前記分包装置3で分包された前記薬包81を識別するための情報として、前記特定期間ごとにユニークな情報となる。このように、前記薬包81に前記特定期間ごとにユニークな前記薬包識別情報を印刷させるための処理は前記制御部11によって実行され、当該制御部11が本発明における印刷処理部の一例である。なお、前記薬包識別情報を前記薬包81に印刷する処理を実行する前記分包装置3の制御部31を本発明における印刷処理部として捉えてもよい。なお、他の実施形態として、前記薬包識別情報が連番の数字ではなく、予め設定された規則に基づいて前記特定期間でユニークとなる数字、文字、又はこれらの組み合わせであってもよい。例えば、前記薬包識別情報が、前記分包装置3の号機番号及び日時などの組み合わせで表現されてもよい。
【0080】
なお、本実施形態では、前記分包データが前記調剤支援装置1で生成される場合について説明するが、他の実施形態として、前記処方データが前記調剤支援装置1から前記分包装置3に入力され、当該分包装置3の前記制御部31によって前記分包データが生成されてもよい。また、前記分包装置3の前記制御部31が、前記分包データにおいて前記薬包81各々に対応するレコードに、前記特定期間ごとにユニークとなる連番などの前記薬包識別情報を設定してもよい。
【0081】
<ステップS6>
ステップS6において、前記ステップS5及び前記ステップS41で生成された前記分包データを前記分包装置3に入力し、当該分包装置3に前記分包データに基づく分包動作を実行させる。前記ステップS4~S6は、前記制御部11の分包処理部112によって実行される。
【0082】
具体的に、前記ステップS5において前記第1分包態様に対応する前記分包データが生成されていた場合には、前記分包装置3において、前記制御部31が前記分包データにおける前記薬包識別情報の順で前記分包動作を実行させ、当該第1分包態様に従った順で前記薬包81が出力されることになる。即ち、前記分包動作では、前記配薬日ごとに、同一の前記配薬時期について当該配薬時期に配薬が必要な複数の服用者に対応する前記薬包81が連続する薬包群が前記配薬時期の単位で繰り返されるように分包される。例えば、
図14に示されるように、配薬日(2020/4/1)に対応する薬包群801では、当該配薬日について配薬時期ごとに複数の服用者に対応する前記薬包81が連続する薬包群802が形成され、次の配薬日以降も同様に、当該配薬日について配薬時期ごとに複数の服用者に対応する前記薬包81が連続して形成されることになる。特に、
図14に示される例では、前記配薬日各々における最後の前記薬包群802では、配薬時期が「寝る前」に割り当てられた「寝る前」、「起床時」の服用時期に対応する前記薬包81が連続して形成されている。例えば、
図14に示される例では、「湯山 一郎」の「寝る前」の薬包81、「起床時」の薬包81、「湯山 二郎」の「寝る前」の薬包81、「湯山 三郎」の「寝る前」の薬包81が順に前記薬包シート80に形成されている。これにより、例えば
図19に示されるように、配薬日及び配薬時期の組み合わせ各々に対応する複数の服用者の前記薬包81が収容されるケース等の収容部83が配薬に用いられる場合に、前記薬包81を前記薬包群811から切り離して前記収容部83に順次収容する作業が容易となる。例えば、前記入居施設における配薬担当者は、当該入居施設内において前記配薬時期各々のタイミングで、当該配薬時期に対応する前記収容部83を持ち運び、当該収容部83に収容されている前記薬包81を服用者各々に配薬する。また、服用時期が「寝る前」及び「起床時」である前記薬包81が同一の配薬時期である「寝る前」に割り当てられており、前記薬包群811において「寝る前」及び「起床時」である前記薬包81が連続して形成されることになるため、当該薬包81を纏めて前記収容部83に収容する作業も容易である。さらに、配薬担当者が、服用時期が「起床時」の前記薬包81を服用者の就寝中(起床前)に配薬すると当該服用者を起こしてしまうおそれがあるが、服用時期が「寝る前」及び「起床時」である前記薬包81が同一の配薬時期である「寝る前」に割り当てられ、その配薬時期である「寝る前」に前記薬包81が配薬されれば、服用者を就寝中(起床前)に起こしてしまうこともない。なお、
図19では、前記収容部83に、前記配薬位置情報ごとに対応する個別収容部が設けられているが、前記配薬日ごとに一つの個別収容部が設けられている場合も同様に、前記薬包81を前記配薬日及び前記配薬時期の組み合わせごとの単位で前記薬包群811から切り離して前記収容部83に順次収容する作業が容易である。なお、ここでは
図19に示されるように、前記収容部83が、前記配薬日及び前記配薬時期ごとに独立したものである場合を例に挙げて説明したが、前記第1分包態様に対応する前記分包データに基づいて前記薬包81が出力された場合に、
図20に示される後述の収容部83が用いられてもよい。また、図示は省略するが、前記収容部83は、前記配薬日ごとに独立したものであって、当該収容部83各々に複数の前記配薬時期に対応する前記個別収容部が設けられていてもよい。
【0083】
また、前記ステップS5において前記第2分包態様に対応する前記分包データが生成されていた場合には、前記分包装置3において、前記制御部31が前記分包データにおける前記薬包識別情報の順で前記分包動作を実行させ、当該第2分包態様に従った順で前記薬包81が出力されることになる。即ち、前記分包動作では、前記配薬時期ごとに、同一の前記配薬時期について当該配薬時期に配薬が必要な複数の服用者に対応する前記薬包81が連続する薬包群が前記配薬日の単位で繰り返されるように分包される。例えば、
図15に示されるように、最初の一の配薬時期(朝)に対応する薬包群811では、当該配薬時期について配薬日ごとに複数の服用者に対応する前記薬包81が連続した後、次の配薬時期についても同様に、当該配薬日ごとに複数の服用者に対応する前記薬包81が連続して形成されることになる。これにより、例えば
図20に示されるように、配薬時期ごとに複数の配薬日に対応する前記薬包81が収容されるケース等の収容部84が用いられる場合に、前記薬包81を前記薬包群811から切り離して前記収容部84に順次収容する作業が容易となる。また、服用時期が「寝る前」及び「起床時」である前記薬包81が同一の配薬時期である「寝る前」に割り当てられており、前記薬包群811において「寝る前」及び「起床時」である前記薬包81が連続して形成されることになるため、当該薬包81を纏めて前記収容部84に収容する作業も容易である。なお、
図20では、前記収容部84に、前記配薬位置情報ごとに対応する個別収容部が設けられているが、前記配薬時期ごとに一つの個別収容部が設けられている場合も同様に、前記薬包81を前記配薬時期ごとの単位で前記薬包群811から切り離して前記収容部84に順次収容する作業が容易である。また、ここでは
図20に示されるように、前記収容部83が、前記配薬時期ごとに独立したものであって、当該収容部83各々に複数の前記配薬日に対応する前記個別収容部が設けられている場合を例に挙げて説明したが、前記第2分包態様に対応する前記分包データに基づいて前記薬包81が出力された場合に、
図19に示される収容部83が用いられてもよい。また、図示は省略するが、前記収容部83は、前記配薬日ごとに独立したものであって、当該収容部83各々に複数の前記配薬時期に対応する個別収容部が設けられていてもよい。
【0084】
<ステップS7>
ステップS7において、前記制御部11は、処理対象の前記配薬グループに属する複数の服用者に対応する前記処方データ、前記調剤データ、前記分包データ、前記服用者マスター、及び前記配薬グループ情報D3などに基づいて配薬シートを生成する。ここで、
図16及び
図17を参照しつつ、前記配薬シートの一例である配薬シートP1について説明する。
【0085】
具体的に、前記制御部11は、配薬日及び配薬時期の組み合わせごとに対応する前記配薬シートを生成する。
図16は、前記配薬日が「4月1日」、前記配薬時期が「朝」に対応する前記配薬シートP1の一例、
図17は、前記配薬日が「4月1日」、前記配薬時期が「寝る前」に対応する前記配薬シートP1の一例を示す図である。なお、前記配薬時期が「昼」、「夕」に対応する前記配薬シートP1の図示は省略する。
【0086】
前記制御部11は、服用者の数が所定数以上である場合には、同一の配薬日及び配薬時期の組み合わせについて、複数ページの前記配薬シートを出力する。また、前記制御部11は、前記配薬日及び前記配薬時期の組み合わせが切り替わるごとに改頁された前記配薬シートを生成する。なお、前記配薬シートが両面印刷で出力される場合、前記改頁には、1枚の前記配薬シートの表面から裏面への切り替えも含まれる。前記配薬シートの各頁には、配薬グループ、配薬日、及び配薬時期の情報を含むタイトル領域A10が配置される。
【0087】
また、前記制御部11は、前記配薬シート各々において、前記配薬グループ情報D3及び前記服用者マスターに基づいて、前記配薬位置情報各々に対応する領域D21及び領域D22を、予め設定されたレイアウトに従った順で配置する。前記レイアウトでは、前記配薬位置情報各々に対応する前記領域D21及び前記領域D22が、前記分包動作における分包の実行順序に基づいて並べて配置される。
【0088】
前記領域D21には、前記配薬位置情報と当該配薬位置情報に対応する服用者の服用者名などの識別情報とが含まれる。また、前記領域D22には、前記配薬位置情報に対応する服用者の薬品の服用時期、薬品識別情報、薬品の包装形体、及び薬品の服用量などの情報が含まれる。なお、前記領域D22における前記服用時期の表示は、前記タイトル領域A10における前記配薬時期との関係で、前記服用時期を特定可能な情報であればよく、例えば、服用時期が「朝食後」であり、前記タイトル領域A10における前記配薬時期が「朝」である場合には、
図16及び
図17に示されるように、前記領域D21における前記服用時期が「食後」であってもよい。
【0089】
また、前記制御部11は、前記配薬シート各々において、前記配薬グループに属する前記配薬位置情報のうち服用者が入居していない配薬位置情報に対応する前記領域D21を識別可能な態様に設定する。例えば、
図16及び
図17に示されるように、前記制御部11は、前記配薬グループに属する前記配薬位置情報のうち服用者が入居している配薬位置情報に対応する前記領域D21については網掛けなし又は白色などの態様に設定し、服用者が入居していない「304-1」の前記配薬位置情報に対応する領域D21-1については網掛けあり又はグレーアウトなどの態様に設定する。これにより、前記配薬シートを参照すれば、前記配薬位置情報各々について前記服用者が入居しているか否かを容易に判断することが可能である。また、前記配薬位置情報に対応する前記薬包81が存在しない理由が、当該配薬位置情報に対応する服用者が存在しないためであることを把握することが可能である。
【0090】
また、前記配薬シート各々において、前記配薬グループに属する前記配薬位置情報のうち服用者が入居しているが、前記配薬日及び前記配薬時期に対応する配薬する前記薬包81が存在しないことがある。この場合、前記制御部11は、前記配薬位置情報に対応する前記領域D21については、前記配薬位置情報のうち服用者が入居している配薬位置情報に対応する前記領域D21と同様の態様に設定する。一方、前記制御部11は、前記配薬位置情報に対応する前記領域D22を空白で表示する。例えば、
図16に示されるように、前記制御部11は、前記配薬時期に配薬する前記薬包81が存在しない「304-2」の前記配薬位置情報に対応する領域D22-1を空白にする。これにより、前記配薬シートを参照すれば、前記配薬位置情報に対応する前記薬包81が存在しない理由が、当該配薬位置情報に対応する服用者が存在しないためではなく、当該配薬位置情報に対応する服用者は存在するが当該服用者が当該配薬時期に対応する前記服用時期には服用する薬品が存在しないことを把握することが可能である。
【0091】
また、前記制御部11は、前記ステップS21において前記処方データに対応する前記調剤方法の変更内容が前記記憶部12に記憶されている場合には、当該変更内容にも基づいて前記配薬シートを生成する。例えば、前記制御部11は、前記ステップS21で前記包装形体が「分包」から「ヒート」に変更された錠剤については、前記配薬シートにおける前記包装形体を、錠剤の分包を示す「錠分」から錠剤のヒートを示す「錠ヒ」に変更する。また、前記制御部11は、前記ステップS21で前記包装形体が「ヒート」から「分包」に変更された錠剤については、前記配薬シートにおける前記包装形体を、錠剤のヒートを示す「錠ヒ」から錠剤の分包を示す「錠分」に変更する。
【0092】
<ステップS8>
ステップS8において、前記制御部11は、前記ステップS7で生成された前記配薬シートを出力する。具体的に、前記制御部11は、前記プリンタ4に前記配薬シートの印刷データを出力し、当該プリンタ4によって前記配薬シートを印刷させる。また、前記制御部11は、前記配薬シートを前記表示装置14等に表示してもよく、前記配薬シートのデータをモバイル端末等の外部機器に送信してもよい。なお、このように前記ステップS7~S8において、前記配薬シートを出力する出力ステップは、前記制御部11のシート出力処理部113によって実行される。
【0093】
また、他の実施形態として、前記制御部11が、前記ステップS7~S8における前記配薬シートの出力の有無をユーザー操作に応じて切り替え可能であってもよい。例えば、前記制御部11は、前記ステップS1で前記配薬グループが選択される際に、ユーザー操作に応じて前記配薬シートの出力の有無を切り替える。また、前記制御部11は、前記調剤支援処理が実行されるタイミングとは別のタイミングで、自動的に又はユーザー操作に応じて、前記配薬シートを出力することが可能であってもよい。
【0094】
以上説明したように、前記調剤支援システム10では、前記配薬時期ごとに複数の服用者に対応する薬品の分包が連続する態様で分包動作が実行されることにより、複数の服用者への配薬に関する作業者の作業効率を高めることができる。例えば、作業者は、複数の服用者に対応する薬包81を配薬時期ごとに容易に纏めることができる。具体的に、
図19及び
図20に示される前記収容部83又は前記収容部84などに、前記薬包群811に形成された前記薬包81各々を配薬時期ごとに順次収容する作業が容易となる。さらに、前記調剤支援システム10では、服用時期が「寝る前」及び「起床時」である前記薬包81が同一の配薬時期である「寝る前」に割り当てられており、前記薬包群811において「寝る前」及び「起床時」である前記薬包81が連続して形成されることになるため、当該薬包81を纏めて前記収容部84に収容する作業も容易である。
【0095】
以下、前記調剤支援システム10が備える他の機能について説明する。また、以下では、前記調剤支援システム10の構成を前提として各種の機能について説明するが、当該各種の機能については、前記第1実施形態に係る構成を前提とするものに限らず、従来の調剤支援システムなどに適用可能であってもよい。
【0096】
[個別払出支援機能]
例えば、前記分包装置3の分包動作で払い出される錠剤が払い出し可能な前記錠剤払出部34又は35が存在しない場合などには、錠剤の払い出しに前記個別払出部36が用いられることがある。この場合、作業者は、前記個別払出部36に設けられたセル各々に服用時期各々に対応する錠剤を投入する必要がある。特に、前記第1分包態様又は前記第2分包態様のように、前記配薬グループの単位で、服用時期ごとに複数の服用者各々に対応する前記薬包81が連続するように前記分包動作が実行される場合には、前記セル各々に異なる服用者に対応する錠剤を投入する必要がある。そのため、作業者による前記セル各々への錠剤の投入作業の作業効率が低下すること、又は、人為的ミスが生じることがある。これに対し、前記分包装置3は、異なる服用者に対応する錠剤を、前記個別払出部36の前記セル各々に投入する際の作業を支援する個別払出支援機能を備える。
【0097】
まず、前記分包装置3において、前記制御部31は、複数の服用者に対応する薬品についての前記分包動作で前記個別払出部36が使用される場合には、複数の前記セルを複数の服用者に対応する薬品の投入先として割り当てる。具体的に、前記制御部31は、前記薬包識別情報のうち前記分包動作で前記個別払出部36が使用される薬包識別情報各々に対応する薬品の投入先を、当該薬包識別情報の順で、前記セル各々に割り当てる。このように、前記薬品の投入先を前記セル各々に割り当てる処理を実行するときの前記制御部31が本発明における個別払出処理部の一例である。
【0098】
そして、前記制御部31は、前記操作表示部33に、前記個別払出部36に薬品を投入する必要がある旨を表示させる。その後、前記制御部31は、前記個別払出部36の前記セル各々に割り当てられた薬品の種類及び数量などを、当該セル各々に対応付けて前記操作表示部33に表示させる。これにより、作業者は、前記セル各々に投入する薬品の種類及び数量などを容易に把握することが可能である。
【0099】
また、前記制御部31は、前記コード読取部39によって薬箱又はPTPシートなどに記載されたコード情報から前記薬品識別情報が読み取られると、当該薬品識別情報が前記個別払出部36の前記セル各々に現在投入する必要のある薬品のいずれかの薬品識別情報と一致するか否かを照合する。そして、照合結果が不一致である場合、前記制御部31は、予め設定されたエラーメッセージ等を表示してエラーをユーザーに報知する。一方、照合結果が一致である場合、前記制御部31は、前記薬品識別情報に対応する薬品の投入先として割り当てられた一又は複数の前記セルの位置を示す情報を前記操作表示部33に表示させ、又は前記セルに設けられた不図示のLEDなどの点灯部を点灯させる位置表示処理を実行する。このような表示処理を実行するときの前記制御部31が本発明における払出表示処理部の一例である。なお、前記制御部31は、前記個別払出部36の前記セル各々に割り当てられた薬品の種類のリストを前記操作表示部33に表示させ、いずれかの薬品の種類が選択された場合に前記位置表示処理を実行してもよい。
【0100】
ところで、前記制御部31は、前記個別払出部36を複数の前記セルに薬品が投入可能でない第1状態と複数の前記セルに投入可能な第2状態とに切り替え可能である。例えば、前記分包装置3は、前記制御部31によって不図示の駆動部が駆動されることにより、前記個別払出部36に設けられるカバー部材が開放される前記第1状態と、前記カバー部材が閉鎖される前記第2状態とに切り替えられる。また、前記分包装置3は、前記制御部31によって不図示の駆動部が駆動されることにより、前記個別払出部36が露出する前記第1状態と、前記個別払出部36が前記分包装置3の筐体内に収納される前記第2状態とに切り替えられてもよい。ここで、前記第1状態において、複数の前記セルが異なる配薬時期又は服用時期に対応する薬品の投入先として割り当てられると、作業者による前記セル各々への薬品の投入作業の作業効率が低下すること、又は、人為的ミスが生じることがある。
【0101】
これに対し、前記制御部31は、前記第1状態において複数の前記セルが一の前記服用時期又は前記配薬時期のみに対応する薬品の投入先として割り当てられた状態となる手法で割り当てを実行することが考えられる。例えば、前記制御部31は、前記配薬時期が「朝」である薬品を複数の前記セルに割り当てた後、前記個別払出部36に未割当の前記セルが存在する場合であっても、他の前記配薬時期の「昼」などに対応する薬品を当該未割当のセルには割り当てない。なお、一度の前記第1状態のタイミングで複数の前記セルに投入された薬品は、前記セルから移動して貯留部で一時的に貯留され、当該分包動作の開始時に前記貯留部から供給されることが考えられる。また、一度の前記第1状態のタイミングで複数の前記セルに投入された一の服用時期又は配薬時期に対応する薬品が前記薬包81に分包される前記分包動作が開始され、その後も繰り返し、前記第2状態から前記第1状態に移行し、当該第1状態のタイミングで複数の前記セルに投入された一の服用時期又は配薬時期に対応する薬品が前記薬包81に分包される前記分包動作が開始されてもよい。これにより、作業者は、前記第1状態となる各タイミングにおいて、一の前記服用時期又は前記配薬時期のみに対応する薬品を複数の前記セルに投入することになる。そのため、作業者による前記セル各々への薬品の投入作業の作業効率が高まり、又は、人為的ミスが抑制される。
【0102】
[配薬ラベル出力機能]
前記分包装置3は、前記薬包シート80において、予め設定された薬包群ごとに当該薬包群を識別可能な薬包群識別情報が印刷された薬包81Aを配薬ラベルとして出力する配薬ラベル出力機能を有する。
【0103】
具体的に、
図14に示されるように、前記制御部31は、前記第1分包態様に対応する前記分包データに基づいて前記分包動作が実行される場合には、前記配薬日が切り替わるタイミングで空の前記薬包81Aを前記薬包81の間に出力する。例えば、本実施形態では、前記配薬管理情報D1において、前記配薬時期のうち最下段に登録されている配薬時期(
図3では「寝る前」)が配薬日の最後の配薬時期として登録されており、前記配薬時期のうち最上段に登録されている配薬時期が配薬日の最初の配薬時期(
図3では「朝」)として登録されている。そして、前記制御部31は、前記配薬管理情報D1に基づいて前記配薬日の切り替わりタイミングを判断する。例えば、
図3に示される前記配薬管理情報D1が用いられる場合には、配薬時期が「寝る前」から「朝」に切り替わるタイミングが前記配薬日の切り替わりタイミングとして判断され、「寝る前」と「朝」との間に前記薬包81Aが出力される。また、前記制御部31は、前記分包プリンタ38を用いて、切り替わり前又は切り替え後の前記配薬日を示す文字又は画像などの情報を前記薬包81Aに印刷する。このように前記薬包81Aを前記配薬ラベルとして出力するための処理を実行するときの前記制御部31が本発明における薬包ラベル出力処理の一例である。なお、他の実施形態として、前記制御部31は、前記配薬日が切り替わるタイミングに代えて、又は当該タイミングに加えて、前記配薬時期が切り替わるタイミングで空の前記薬包81Aを出力し、切り替わり前又は切り替え後の前記配薬時期を示す文字又は画像などの情報を当該薬包81Aに印刷してもよい。
【0104】
また、同様に、
図15に示されるように、前記制御部31は、前記第2分包態様に対応する前記分包データに基づいて前記分包動作が実行される場合には、前記配薬時期が切り替わるタイミングで空の前記薬包81Aを前記薬包81の間に出力する。また、前記制御部31は、前記分包プリンタ38を用いて、切り替わり前又は切り替え後の前記配薬時期を示す文字又は画像などの情報を前記薬包81Aに印刷する。また、
図15に示されるように、前記制御部31は、前記薬包81Aには前記配薬時期に対応する前記配薬日の期間を印刷してもよい。このように前記薬包81Aを前記配薬ラベルとして出力するための処理を実行するときの前記制御部31が本発明における薬包ラベル出力処理の一例である。なお、他の実施形態として、前記制御部31は、前記配薬時期が切り替わるタイミングに代えて、又は当該タイミングに加えて、前記配薬日が切り替わるタイミングで空の前記薬包81Aを出力し、切り替わり前又は切り替え後の前記配薬日を示す文字又は画像などの情報を当該薬包81Aに印刷してもよい。
【0105】
これにより、前記作業者は、前記配薬ラベルとして出力される前記薬包81Aを参照することにより、当該薬包81Aの前又は後に連続して形成されている前記薬包81各々の前記配薬日又は前記配薬時期などを容易に把握することが可能である。そのため、前記作業者は、例えば複数の服用者に対応する前記薬包81各々を前記配薬日又は前記配薬時期ごとに纏める作業などの配薬に関する作業を効率的に行うことができる。なお、前記制御部31は、前記配薬グループを示す情報などの他の情報を前記薬包81Aに印刷させてもよい。
【0106】
[分包自動切り離し機能]
前記分包装置3から出力される前記薬包81が連続して形成された前記薬包シート80を自動的に巻き取る自動巻き取り装置が前記分包装置3と共に用いられることがある。なお、前記自動巻き取り装置の構成については、例えば特許第6287844号公報にも開示されているように従来周知であるためここでは説明を省略する。
【0107】
ところで、前記自動巻き取り装置では、巻き取り可能な前記薬包81の上限数が定められているため、前記分包装置3の前記制御部31は、前記上限数の分包動作が連続して実行された場合に、不図示の切断部を用いて前記薬包シート80を切断する切断処理を実行することが考えられる。なお、前記切断処理を実行するときの前記制御部31が切断処理部の一例である。この場合には、前記分包動作で出力される前記薬包81の総数が前記上限数に達したタイミングで前記薬包シート80が切断されるため、本来は連続して出力される同一の前記服用者に対応する前記薬包81が途切れて、異なる前記薬包シート80として巻き取られることがある。
【0108】
これに対し、前記分包装置3では、前記制御部31が、連続して実行する前記分包動作で出力される前記薬包81の総数が前記上限数を超える場合であって、本来は連続して出力される同一の服用者に対応する複数の前記薬包81の途中で当該薬包81の総数が前記上限数に達する場合には、当該服用者に対応する前記薬包81と当該服用者の直前の他の服用者に対応する前記薬包81との間で前記薬包シート80を切断する。換言すると、前記制御部31は、前記薬包81の総数が、前記上限数に達する前及び前記上限数に達した後に同一の服用者の前記薬包81が出力される場合には、複数の前記薬包シート80に同一の服用者の前記薬包81が跨がらないように、当該服用者に対応する前記薬包81が出力される前に前記薬包シート80を切断する。例えば、前記上限数が400であり、特定の服用者に対応する前記薬包81が一連の前記薬包シート80において連続する400包目~401包目に亘っている場合、前記制御部31は、前記薬包シート80を399包目の前記薬包81を出力した時点で自動的に切断する。これにより、本来は連続して出力される同一の服用者に対応する前記薬包81が途中で途切れることが防止される。
【0109】
なお、他の実施形態として、前記上限数が400であり、特定の服用者に対応する前記薬包81が一連の前記薬包シート80において399包目と401包目とに形成され、400包目には前記特定の服用者とは異なる服用者の前記薬包81が出力されることになる場合に、前記制御部31が、前記薬包シート80を399包目の一つ前の398包目の前記薬包81を出力した時点で自動的に切断してもよい。また、前記服用者の単位に限らず、例えば同一の服用日又は同一の服用時期に対応する前記薬包81が連続する場合であって、同一の服用日又は服用時に対応して連続して出力される前記薬包81が途中で前記薬包81の総数が前記上限値に達する場合に、当該服用者の直前の他の服用者に対応する前記薬包81が出力された場合に前記薬包シート80が切断されてもよい。
【0110】
[鑑査結果表示機能]
前記鑑査支援装置5では、前述したように、前記薬包シート80に含まれる前記薬包81内の薬品の種類及び数量と、前記分包データの内容とを照合する鑑査処理が前記制御部51によって実行され、当該鑑査処理による鑑査結果として前記鑑査情報が出力される。なお、前記鑑査処理を実行するときの前記制御部51が本発明における鑑査処理部の一例である。特に、前記鑑査支援装置5は、ユーザー操作に応じて、任意の前記薬包81についての前記鑑査情報を検索して表示する鑑査結果表示機能を備えることが考えられる。
【0111】
具体的に、前記制御部51は、前記分包データにおける前記薬包81各々に対応するデータの順と、前記鑑査支援装置5に挿入される前記薬包シート80に形成された前記薬包81の順とが同一であるとの前提で、前記薬包81各々に対応する前記薬包識別情報と前記鑑査情報とを対応付けて記憶部52に記憶する。また、前記制御部51は、前記薬包識別情報及び前記鑑査情報に、前記鑑査処理における照合対象の前記分包データに対応する前記薬包シート識別情報又は前記処方番号などの処方識別情報も対応付けて記憶する。なお、前記鑑査処理における照合対象の前記分包データは、ユーザーによる選択操作に応じて前記制御部51によって特定され、又は、前記薬包シート80から読み取られる前記検薬コードに基づいて前記制御部51によって選択される。また、他の実施形態として、前記制御部51は、前記薬包81各々の撮影画像から当該薬包81の予め設定された位置に印刷されている当該薬包81の前記薬包識別情報を取得し、当該薬包識別情報を、当該薬包81に対応する前記処方識別情報と共に前記薬包81各々の前記鑑査情報に対応付けて記憶してもよい。そして、前記制御部51は、前記操作表示部54に対するユーザー操作により前記薬包識別情報が入力されると、当該薬包識別情報に対応する前記薬包81の前記鑑査情報を検索して前記操作表示部54に表示する。これにより、ユーザーは、任意の前記薬包81に対応する前記鑑査情報を容易に参照することが可能である。このように、前記鑑査情報の表示処理を実行するときの前記制御部51が本発明における鑑査表示処理部の一例である。なお、前記処方識別情報に対応する前記処方データ又は前記分包データにおける何包目の薬包81であるかを識別可能な薬包番号が前記鑑査情報に対応付けられてもよい。また、前記処方識別情報が前記薬包識別情報に対応付けられており、当該処方識別情報と前記鑑査情報とが対応付けられていてもよい。この場合、前記制御部51は、前記薬包識別情報に基づいて前記処方識別情報を特定し、当該処方識別情報に対応する前記鑑査情報を表示させることが可能である。
【0112】
ところで、本実施形態において、前記薬包81に対応する前記薬包識別情報は、前記特定期間ごとにユニークな情報である。そのため、前記制御部51は、前記特定期間が一つである場合には、前記薬包識別情報のみで一つの前記薬包81を特定することが可能である。しかしながら、前記特定期間が複数存在する場合には、前記薬包識別情報だけでは一つの前記薬包81を特定することができない。なお、前記制御部51は、前記薬包識別情報と共に前記処方識別情報などが入力された場合には、当該薬包識別情報に対応する前記薬包81のうち前記処方識別情報に対応する薬包81を特定して当該薬包81に対応する前記鑑査情報を表示することが可能である。但し、操作者には、前記薬包識別情報と共に前記処方識別情報を入力するための手間がかかる。
【0113】
これに対し、前記制御部51は、前記薬包識別情報が入力された場合に、当該薬包識別情報に対応する前記薬包81が複数存在する場合には、当該薬包81のうち最新の薬包81に対応する前記鑑査情報を抽出して表示することが考えられる。前記最新の薬包81とは、同一の前記薬包識別情報に対応する前記薬包81のうち、前記分包装置3における分包が最後に行われた薬包81である。具体的に、前記鑑査支援装置5では、前記分包データ各々に基づく前記分包動作の実行日時が当該分包データ各々と対応付けて記憶されている。そして、前記制御部51は、前記薬包識別情報に対応する前記薬包81を検索し、当該薬包81が複数存在する場合に、前記分包動作の実行日時が最も新しい前記分包データに対応する前記鑑査情報から前記薬包識別情報に対応する前記薬包81の鑑査情報を抽出する。また、他の実施形態として、前記制御部51は、前記分包動作の実行日時が最も新しい前記分包データから順に、前記薬包識別情報に対応する前記鑑査情報を検索し、最初に抽出された前記鑑査情報を最新の薬包81に対応する前記鑑査情報として抽出してもよい。なお、前記分包動作の実行日時の情報は、例えば前記分包装置3から前記鑑査支援装置5に入力されてもよく、前記薬包シート80に形成された空の前記薬包81から読み取られる前記検薬コードに含まれていてもよい。なお、前記制御部51は、入力された前記薬包識別情報に対応する前記薬包81が複数存在する場合には、当該薬包81のいずれかを選択するユーザー操作に応じて、一つの前記薬包81を特定し、当該薬包81に対応する前記鑑査情報を抽出して表示してもよい。なお、
図18は、前記鑑査情報が表示される鑑査表示画面P50の一例である。
【0114】
また、前記制御部51は、前記薬包識別情報に対応する一つの前記薬包81についての前記鑑査情報を表示した後、ユーザー操作に応じて、他の前記薬包81についての前記鑑査情報を表示することが可能である。ここで、
図18を参照しつつ、前記鑑査情報の表示対象となる前記薬包81の切り替え手法の一例について説明する。
【0115】
図18に示されるように、前記鑑査表示画面P50では、前記分包データに基づいて、前記薬包81に対応する服用者の服用者名などの服用者識別情報、配薬位置情報、服用時期、薬品名などの薬品識別情報、薬品の数量などが表示される。また、前記鑑査表示画面P50には、前記薬包81の撮影画像P51が表示されている。さらに、前記鑑査表示画面P50では、前記薬包81における鑑査結果として当該薬包81の分包の適否を示す「OK」又は「NG」などの情報が表示される。具体的に、前記鑑査表示画面P50では、前記薬包81に収容されている薬品の個数についての適否が表示される領域A51と、前記薬包81に収容されている薬品の種類についての適否が表示される領域A52とが含まれる。なお、他の実施形態として、前記領域A51及び前記領域A52が分かれておらず、前記薬包81に収容されている薬品の適否が纏めて一つで表示されてもよい。そして、前記鑑査表示画面P50には、前記鑑査情報の表示対象の前記薬包81を切り替えるための操作部K51が表示されており、前記制御部51は、前記操作部K51を操作する第1操作に応じて、前記鑑査表示画面P50に前記鑑査情報を表示する前記薬包81を順に変更する。例えば、前記操作部K51には、表示対象の前記薬包81を一つ前、一つ後、所定数(二つ以上)前、所定数(二つ以上)後などの薬包81に切り替えるための操作キーが含まれる。
【0116】
また、前記鑑査表示画面P50には、操作キーK52が表示されている。そして、前記制御部51は、前記操作部K51の操作に応じた前記表示対象の薬包81の変更順を、前記分包動作における分包順序(薬包識別情報順)と、同一の前記服用者に対応する前記服用時期の順とに切り替える。
【0117】
具体的に、前記制御部51は、前記操作キーK52に「患者反復多数表示」が表示されている状態である場合には、前記操作部K51の操作に応じて、前記鑑査表示画面P50に前記鑑査情報を表示する前記薬包81を、前記薬包シート80における前記薬包81の並び順で変更する。一方、前記制御部51は、前記操作キーK52が操作されると、「患者反復多数表示」の表示を「処方表示」に切り替える。そして、前記制御部51は、前記操作キーK52に「処方表示」が表示されている状態である場合には、前記操作部K51の操作に応じて、前記鑑査表示画面P50に前記鑑査情報を表示する対象を、現在の表示対象となっている薬包81に対応する服用者の別の薬包81に変更する。このように、前記制御部51は、前記鑑査表示画面P50における表示対象の前記鑑査結果を変更する際の変更順を切り替え可能である。これにより、前記鑑査表示画面P50において所望の前記薬包81の前記鑑査情報を容易に表示させることが可能となり、作業者による鑑査作業の作業効率を高めることができる。
【0118】
また、前記鑑査情報及び前記薬包識別情報が前記鑑査支援装置5から前記分包装置3又は前記鑑査支援装置1に送信される場合には、当該分包装置3の制御部31又は当該鑑査支援装置1の制御部11が、前記薬包識別情報の入力に応じて当該薬包識別情報に対応する前記薬包81についての前記鑑査情報を前記鑑査表示画面P50に表示し、前記制御部51と同様の表示処理を実行してもよい。