IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーウェーブの特許一覧

<>
  • 特許-食事評価システム 図1
  • 特許-食事評価システム 図2
  • 特許-食事評価システム 図3
  • 特許-食事評価システム 図4
  • 特許-食事評価システム 図5
  • 特許-食事評価システム 図6
  • 特許-食事評価システム 図7
  • 特許-食事評価システム 図8
  • 特許-食事評価システム 図9
  • 特許-食事評価システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】食事評価システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20240612BHJP
【FI】
G06Q50/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020154286
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048461
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】杉山 渉
(72)【発明者】
【氏名】森本 和晃
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇努
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-293395(JP,A)
【文献】特開2017-058826(JP,A)
【文献】特開2004-139141(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0054651(KR,A)
【文献】中国実用新案第209118354(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0336603(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器に盛り付けられた食事をユーザが評価可能な食事評価システムであって、
食事後に返却される前記食器を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記食器に盛り付けられていた前記食事を特定する特定部と、
前記撮像部による撮像結果を利用して前記特定部により特定された前記食事の評価を取得する取得部と、
を備え、
前記食器には、返却される際に前記撮像部により撮像可能な位置に、評価用マークが表示されており、
前記取得部は、撮像画像における前記評価用マークの位置に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする食事評価システム。
【請求項2】
食器に盛り付けられた食事を評価する食事評価システムであって、
食事後に返却される前記食器を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記食器に盛り付けられていた前記食事を特定する特定部と、
前記撮像部による撮像結果を利用して前記特定部により特定された前記食事の評価を取得する取得部と、
を備え、
前記取得部は、前記食器とともに撮像された所定の評価用基準に対する前記食器の位置に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする食事評価システム。
【請求項3】
前記撮像部は、食事後にトレイに載置されて返却される前記食器を撮像し、
前記取得部は、前記食器とともに前記所定の評価用基準として撮像された前記トレイに対する前記食器の位置に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする請求項2に記載の食事評価システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記食器とともに前記所定の評価用基準として撮像された箸に対する前記食器の位置に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする請求項2に記載の食事評価システム。
【請求項5】
食器に盛り付けられた食事を評価する食事評価システムであって、
前記食器の画像が評価用画像として予め記憶される記憶部と、
食事後に返却される前記食器を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記食器に盛り付けられていた前記食事を特定する特定部と、
前記撮像部による撮像結果を利用して前記特定部により特定された前記食事の評価を取得する取得部と、
を備え、
前記取得部は、前記撮像部の撮像画像に含まれる前記食器の画像と当該食器に関して前記記憶部に記憶される前記評価用画像との比較結果から検出された前記食器の上に配置される箸の配置状態に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする食事評価システム。
【請求項6】
食器に盛り付けられた食事を評価する食事評価システムであって、
前記食器の画像が評価用画像として予め記憶される記憶部と、
食事後に返却される前記食器を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記食器に盛り付けられていた前記食事を特定する特定部と、
前記撮像部による撮像結果を利用して前記特定部により特定された前記食事の評価を取得する取得部と、
を備え、
前記取得部は、食事評価の意思を示すための第1の標示体が撮像画像に含まれる場合に、前記撮像部の撮像画像に含まれる前記食器の画像と当該食器に関して前記記憶部に記憶される前記評価用画像との比較結果に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする食事評価システム。
【請求項7】
食器に盛り付けられた食事を評価する食事評価システムであって、
前記食器の画像が評価用画像として予め記憶される記憶部と、
食事後に返却される前記食器を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記食器に盛り付けられていた前記食事を特定する特定部と、
前記撮像部による撮像結果を利用して前記特定部により特定された前記食事の評価を取得する取得部と、
を備え、
前記取得部は、前記特定部により前記食事が特定された前記撮像部の撮像画像に、食事評価の意思を示すための第2の標示体が含まれない場合に、前記撮像部の撮像画像に含まれる前記食器の画像と当該食器に関して前記記憶部に記憶される前記評価用画像との比較結果に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする食事評価システム。
【請求項8】
前記撮像部により撮像される前記食器の画像を利用して当該食器に盛り付けられた食事に関する決済処理を行う精算部を備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の食事評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザから食事の評価を取得する食事評価システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、社員食堂や飲食店などにおいて、利用者自身が物品の精算を可能なセルフ式の精算システムが導入されている。この種の精算システムとしては、例えば、特許文献1に開示される自動精算システムが知られている。この自動精算システムでは、利用者によってトレイ台にトレイが置かれたことが検知されると、トレイ上の食器の底面に付されたRFIDタグからタグ情報が読み取られて、このタグ情報に基づいて利用者が持ち運んだ料理品の合計金額が算出されて表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-170744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、食事提供側は、提供する食事の評価を実際に食事したユーザから得るために、例えば、各ユーザに対してアンケートを実施してそのアンケートに記入された事項を集計等していた。しかしながら、ユーザが煩雑さを感じやすいアンケートは集計率を高めることが困難であり、ある程度の件数を集計できたとしても、手書きのアンケートから記入事項を読み取って数値化等する必要があるため、手間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、実際に食事したユーザからその食事の評価を容易に取得可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
食器(10)に盛り付けられた食事をユーザが評価可能な食事評価システム(1)であって、
食事後に返却される前記食器を撮像する撮像部(23)と、
前記撮像部により撮像された前記食器に盛り付けられていた前記食事を特定する特定部(21)と、
前記撮像部による撮像結果を利用して前記特定部により特定された前記食事の評価を取得する取得部(21)と、
を備え、
前記食器には、返却される際に前記撮像部により撮像可能な位置に、評価用マーク(11)が表示されており、
前記取得部は、撮像画像における前記評価用マークの位置に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
食器(10)に盛り付けられた食事を評価する食事評価システム(1)であって、
食事後に返却される前記食器を撮像する撮像部(23)と、
前記撮像部により撮像された前記食器に盛り付けられていた前記食事を特定する特定部(21)と、
前記撮像部による撮像結果を利用して前記特定部により特定された前記食事の評価を取得する取得部(21)と、
を備え、
前記取得部は、前記食器とともに撮像された所定の評価用基準(3,4)に対する前記食器の位置に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、
食器(10)に盛り付けられた食事を評価する食事評価システム(1)であって、
前記食器の画像が評価用画像として予め記憶される記憶部(22)と、
食事後に返却される前記食器を撮像する撮像部(23)と、
前記撮像部により撮像された前記食器に盛り付けられていた前記食事を特定する特定部(21)と、
前記撮像部による撮像結果を利用して前記特定部により特定された前記食事の評価を取得する取得部(21)と、
を備え、
前記取得部は、前記撮像部の撮像画像に含まれる前記食器の画像と当該食器に関して前記記憶部に記憶される前記評価用画像との比較結果から検出された前記食器の上に配置される箸の配置状態に基づいて、前記食事の評価を取得することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、食事後に返却される食器を撮像する撮像部と、撮像部により撮像された食器に盛り付けられていた食事を特定する特定部と、撮像部による撮像結果を利用して特定部により特定された食事の評価を取得する取得部と、が設けられる。そして、食器には、返却される際に撮像部により撮像可能な位置に、評価用マークが表示されており、取得部により、撮像画像における評価用マークの位置に基づいて、食事の評価が取得される。
【0010】
これにより、実際に食事したユーザは、自分の食事評価に応じた位置に評価用マークが位置するように返却時のトレイ上での食器の位置を調整するだけで、そのユーザの評価が取得部によって取得される。これにより、ユーザに手間をかけさせることなく食事の評価を取得できるため、食事評価の取得率を容易に向上させることができる。さらに、取得率を向上させた食事評価であっても容易に数値化することができる。したがって、実際に食事したユーザからその食事の評価を容易に取得することができる。
【0011】
請求項2の発明では、食事後に返却される食器を撮像する撮像部と、撮像部により撮像された食器に盛り付けられていた食事を特定する特定部と、撮像部による撮像結果を利用して特定部により特定された食事の評価を取得する取得部と、が設けられる。そして、取得部により、食器とともに撮像された所定の評価用基準に対する食器の位置に基づいて、食事の評価が取得される。
【0012】
これにより、実際に食事したユーザは、所定の評価用基準に対する食器の位置が自分の食事評価に応じた位置となるように返却時のトレイ上での食器の位置を調整するだけで、そのユーザの評価が取得部によって取得される。このようにしても、ユーザに手間をかけさせることなく食事の評価を取得できるため、食事評価の取得率の向上や取得した食事評価の数値化も容易に実施することができる。したがって、実際に食事したユーザからその食事の評価を容易に取得することができる。
【0013】
請求項3の発明では、撮像部により、食事後にトレイに載置されて返却される食器が撮像され、取得部により、食器とともに所定の評価用基準として撮像されたトレイに対する食器の位置に基づいて、食事の評価が取得される。
【0014】
これにより、実際に食事したユーザは、返却時のトレイ上での食器の位置の調整だけでその食事を評価できるため、食事評価に関するユーザの手間をさらに省くことができるので、食事評価の取得率の更なる向上を図ることができる。
【0015】
請求項4の発明のように、取得部により、食器とともに所定の評価用基準として撮像された箸に対する食器の位置に基づいて、食事の評価が取得されてもよい。
【0016】
請求項5の発明では、食器の画像が評価用画像として予め記憶される記憶部と、食事後に返却される食器を撮像する撮像部と、撮像部により撮像された食器に盛り付けられていた食事を特定する特定部と、撮像部による撮像結果を利用して特定部により特定された食事の評価を取得する取得部と、が設けられる。そして、取得部により、撮像部の撮像画像に含まれる食器の画像と当該食器に関して記憶部に記憶される評価用画像との比較結果に基づいて、食事の評価が取得される。
【0017】
これにより、実際に食事したユーザは、撮像部により撮像される食器の撮像状態が自分の食事評価に応じた撮像状態となるように調整するだけで、そのユーザの評価が取得部によって取得される。このようにしても、ユーザに手間をかけさせることなく食事の評価を取得できるため、食事評価の取得率の向上や取得した食事評価の数値化も容易に実施することができる。したがって、実際に食事したユーザからその食事の評価を容易に取得することができる。
【0018】
請求項の発明では、取得部により、比較結果から検出された食器の上に配置される箸の配置状態に基づいて、食事の評価が取得される。これにより、実際に食事したユーザは、食器に対する箸の置き方だけでその食事を評価できるため、食事評価に関するユーザの手間をさらに省くことができるので、食事評価の取得率の更なる向上を図ることができる。
【0020】
請求項の発明では、食事評価の意思を示すための第1の標示体が撮像画像に含まれる場合に、撮像部による撮像結果を利用して特定部により特定された食事の評価が取得部により取得される。これにより、ユーザが第1の標示体を食器とともに撮像部に撮像させない場合には、食事の評価が取得されず、ユーザが第1の標示体を食器とともに撮像部に撮像させることで、その食事の評価が取得されるので、ユーザが意図しない食事評価が取得されてしまうことを抑制することができる。
【0021】
請求項の発明では、特定部により食事が特定された撮像画像に、食事評価の意思を示すための第2の標示体が含まれない場合に、撮像部による撮像結果を利用して特定部により特定された食事の評価が取得部により取得される。これにより、ユーザが第2の標示体を食器とともに撮像部に撮像させた場合には、食事の評価が取得されず、ユーザが第2の標示体を食器とともに撮像部に撮像させないことで、その食事の評価が取得されるので、ユーザが意図しない食事評価が取得されてしまうことを抑制することができる。
【0022】
請求項の発明では、撮像部により撮像される食器の画像を利用して当該食器に盛り付けられた食事に関する決済処理を行う精算部が設けられる。これにより、撮像部により撮像される食器の画像によって、食事の評価を取得できるだけでなく、その食事の決済処理も実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る食事評価システムを概略的に説明する説明図である。
図2】第1実施形態における食事の評価方法を説明する説明図であり、図2(A)は、比較的高い食事評価が取得される場合の食器の撮像画像を示し、図2(B)は、比較的低い食事評価が取得される場合の食器の撮像画像を示す。
図3図1の評価取得装置の電気的構成を例示するブロック図である。
図4】第1実施形態において評価取得装置にて行われる食事評価処理の流れを例示するフローチャートである。
図5】第1実施形態において評価取得許可状態で撮像された各食器及びトレイの撮像画像を例示する説明図である。
図6】第1実施形態の第1変形例において第1の標示体として機能するマーカーバッジが撮像されることで評価取得許可状態と判定される状態を例示する説明図である。
図7】第1実施形態の第2変形例において第2の標示体として機能する箸が撮像されないことで評価取得許可状態と判定される状態を例示する説明図である。
図8】第2実施形態において所定の評価用基準を利用した食事の評価方法を説明する説明図である。
図9】第2実施形態の変形例において所定の評価用基準を利用した食事の評価方法を説明する説明図である。
図10】第3実施形態における食事の評価方法を説明する説明図であり、図10(A)は、比較的高い食事評価が取得される場合の箸の置き方を示し、図10(B)は、標準的な食事評価が取得される場合の箸の置き方を示し、図10(C)は、比較的低い食事評価が取得される場合の箸の置き方を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る食事評価システムを具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す食事評価システム1は、社員食堂や飲食店などにおいて提供される食事を実際に食べたユーザが評価可能なシステムである。本実施形態では、食事評価システム1は、ユーザが返却台2に返却した食器10の撮像画像からそのユーザによる食事の評価を取得する評価取得装置20を備えるように構成されている。
【0025】
本実施形態では、食事ごとに盛り付けられる食器10の大きさや形状、色等が個別に決まっており、食事後の食器10の撮像画像からその食器10に盛り付けられていた食事を特定可能になっている。なお、食器10としては、例えば、円形の平皿や長皿、椀や鉢等を利用することができる。
【0026】
特に、各食器10には、食事の評価に利用するマークとして、外縁近傍に1つの円形状のマーク(以下、評価用マーク11ともいう)がそれぞれ表示されている。この評価用マーク11は、実際に食事したユーザがその食事を評価する際の基準となるもので、ユーザは、返却台2に食器10を返却した際の評価用マーク11の位置に応じて、その食事の評価を行う。
【0027】
具体的には、本実施形態では、返却台2の上方から食器10を撮像した撮像画像において、評価用マーク11が食器10の中心に対してユーザから見て返却台2の奥側に位置しているほど食事評価が高くなり、評価用マーク11が食器10の中心に対してユーザから見て返却台2の手前側に位置しているほど食事評価が低くなるように設定されている。
【0028】
このため、例えば、図2(A)に示すように、評価用マーク11が比較的奥側に位置していると、その食器10に盛り付けられていた食事の評価が比較的高いとして判定される。一方、図2(B)に示すように、評価用マーク11が比較的手前側に位置していると、その食器10に盛り付けられていた食事の評価が比較的低いとして判定される。
【0029】
次に、食器10の撮像画像によってユーザの食事評価を取得する評価取得装置20の構成について、図1及び図3を参照して説明する。
評価取得装置20は、図3に示すように、CPU等からなる制御部21、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部22、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部23、タッチパネルなどからなる表示部24、各種操作キーやタッチパネルを利用して構成される操作部25、管理サーバなどの外部装置と通信を行うための通信インタフェースとして機能する通信部26等を備えている。
【0030】
記憶部22には、後述する食事評価処理を制御部21にて実行するためのアプリケーションプログラムや各食器10の大きさや形状、色等と食事との関連付ける食器マスタ、食事評価登録用のデータベースなど等が記憶されている。
【0031】
撮像部23は、図1に示すように、返却台2の直上に配置されており、トレイ3を利用して返却台2に返却される各食器10をトレイ3とともに上方から撮像するように機能する。
【0032】
このように構成される評価取得装置20は、制御部21にてなされる食事評価処理によって、返却台2に返却された各食器10の撮像画像から特定された食事の評価を取得するように機能する。
【0033】
特に、本実施形態における食事評価処理では、ユーザが意図しない食事評価が取得されてしまうことを抑制するため、食事が特定された撮像画像に、食事評価の意思を示すための第1の標示体が所定の状態で含まれる状態(以下、評価取得許可状態ともいう)である場合に、その撮像画像から特定された食事の評価が取得される。具体的には、例えば、上記第1の標示体となる箸が、上記所定の状態として、箸の一方と他方とがそれぞれトレイ3の両端に配置される状態で撮像される場合に、評価取得許可状態であるとして、その撮像画像から特定された食事の評価が取得される。このため、上述のように評価取得許可状態が設定される場合には、例えば、箸の一方と他方とを並べた状態で撮像された撮像画像から食事の評価が取得されることはない。
【0034】
以下、制御部21にてなされる食事評価処理について、図4に示すフローチャートを参照して詳述する。
返却台2に食器10を載置したトレイ3が返却されたことがセンサ等によって検知されることで、制御部21にて食事評価処理が開始されると、図4のステップS101に示す撮像処理がなされ、撮像部23によって返却台2を上方から撮像した撮像画像が取得される。次に、ステップS103の判定処理にて、評価取得許可状態であるか否かについて判定される。ここで、上述したように、箸の一方と他方とがそれぞれトレイ3の両端に配置される状態で撮像されていないことから、評価取得許可状態でないと判定される場合には(S103でNo)、本食事評価処理が終了する。
【0035】
一方、図5に例示するように、箸の一方4aと他方4bとがそれぞれトレイ3の両端に配置される状態で撮像されていることから、評価取得許可状態であると判定されると(S103でYes)、ステップS105に示す食事特定処理がなされる。この処理では、撮像画像に含まれる1又は2以上の食器10の画像と記憶部22の食器マスタとを利用して、撮像した食器10に盛り付けられていた食事が特定される。なお、上記食事特定処理を実施する制御部21は、撮像部23により撮像された食器10に盛り付けられていた食事を特定する「特定部」の一例に相当し得る。
【0036】
続いて、ステップS107の評価取得処理がなされ、上記撮像画像での評価用マーク11の位置に基づいて、食事評価が取得される。図5の例では、食器10aの評価用マーク11aが食器10の中心に対して最も奥側となるように位置しているため、食器10aを利用した食事に関して最も高い評価が取得される。また、図5の例では、評価用マーク11bの位置に応じて、食器10bを利用した食事に関して標準的な評価が取得され、評価用マーク11cの位置に応じて、食器10cを利用した食事に関して最も低い評価が取得される。なお、上記評価取得処理を実施する制御部21は、撮像部23による撮像結果を利用して上記食事特定処理により特定された食事の評価を取得する「取得部」の一例に相当し得る。
【0037】
そして、ステップS109に示す登録処理がなされて、上述のように取得された食事評価が記憶部22のデータベースに登録されることで、本食事評価処理が終了する。なお、記憶部22のデータベースに順次登録される各食事評価は、所定のタイミングにて通信部26を介して管理サーバに送信することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る食事評価システム1において評価取得装置20の制御部21にてなされる食事評価処理では、食事後に返却される食器10が撮像部23にて撮像されることで、撮像部23により撮像された食器10に盛り付けられていた食事を特定する食事特定処理と、撮像部23による撮像結果を利用して食事特定処理により特定された食事の評価を取得する評価取得処理と、が実施される。そして、食器10には、返却される際に撮像部23により撮像可能な位置に、評価用マーク11が表示されており、評価取得処理により、撮像画像における評価用マーク11の位置に基づいて、食事の評価が取得される。
【0039】
これにより、実際に食事したユーザは、自分の食事評価に応じた位置に評価用マーク11が位置するように返却時のトレイ3上での食器10の位置を調整するだけで、そのユーザの評価が評価取得装置20にて取得される。これにより、ユーザに手間をかけさせることなく食事の評価を取得できるため、食事評価の取得率を容易に向上させることができる。さらに、取得率を向上させた食事評価であっても容易に数値化することができる。したがって、実際に食事したユーザからその食事の評価を容易に取得することができる。なお、評価用マーク11は、円形状のマークとして表示されることに限らず、他の視認容易な形状のマーク、例えば、正方形状のマークとして表示されてもよい。また、評価用マーク11が食器10の中心に対してユーザから見て返却台2の奥側に位置しているほど食事評価が高くなるように設定されることに限らず、本システムが採用される環境等によっては、例えば、評価用マーク11が食器10の中心に対してユーザから見て返却台2の手前側に位置しているほど食事評価が高くなるように設定されてもよい。
【0040】
特に、評価取得許可状態であると判定される場合(食事評価の意思を示すための第1の標示体が撮像画像に含まれる場合:S103でYes)に、撮像部23による撮像結果を利用して食事特定処理により特定された食事の評価が評価取得処理にて取得される。これにより、ユーザが第1の標示体を食器10とともに撮像部23に撮像させない場合には、食事の評価が取得されず、ユーザが第1の標示体を所定の状態にて食器10とともに撮像部23に撮像させることで、その食事の評価が取得されるので、ユーザが意図しない食事評価が取得されてしまうことを抑制することができる。
【0041】
なお、上記評価取得許可状態(食事評価の意思を示すための第1の標示体が撮像画像に含まれる場合)は、箸の一方4aと他方4bとがそれぞれトレイ3の両端に配置される状態で撮像される状態に限らず、例えば、図6に例示するように、トレイ3上に第1の標示体となる専用のマーカーバッジ5が所定の位置に配置される状態で撮像される状態であってもよい。
【0042】
また、上記評価取得許可状態は、食事特定処理により食事が特定された撮像画像に、食事評価の意思を示すための第2の標示体が含まれない撮像状態であってもよい。すなわち、食事特定処理により食事が特定された撮像画像に、食事評価の意思を示すための第2の標示体が含まれない場合に、撮像部23による撮像結果を利用して食事特定処理により特定された食事の評価が評価取得処理により取得される。具体的には、例えば、図7に例示するように、トレイ3上に第2の標示体となる箸がない状態で撮像される場合に、上記評価取得許可状態であるとして、上述のようにして食事の評価が取得される。これにより、ユーザが第2の標示体を食器10とともに撮像部23に撮像させた場合には、食事の評価が取得されず、ユーザが第2の標示体を食器10とともに撮像部23に撮像させないことで、その食事の評価が取得されるので、ユーザが意図しない食事評価が取得されてしまうことを抑制することができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る食事評価システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、食器10とともに撮像された所定の評価用基準に対する食器10の位置に基づいて食事の評価を取得する点が、上記第1実施形態等と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、所定の評価用基準として、食器10が載置されるトレイ3が採用されており、上記ステップS107の評価取得処理では、食器10とともに上記所定の評価用基準として撮像されたトレイ3に対する食器10の位置に基づいて、食事の評価が取得される。
【0045】
具体的には、例えば、図8に示すように各食器10a~10cとトレイ3とが撮像される場合に、トレイ3の一側縁3aに近くなるように載置された食器10ほど食事の評価が高くなり、トレイ3の他側縁3bに近くなるように載置された食器10ほど食事の評価が低くなるように設定されていると、食器10aの食事の評価が最も高く、食器10bの食事の評価が次に高く、食器10cの食事の評価が最も低くなるように取得される。
【0046】
これにより、実際に食事したユーザは、所定の評価用基準となるトレイ3に対する食器10の位置が自分の食事評価に応じた位置となるように返却時のトレイ3上での食器10の位置を調整するだけで、そのユーザの評価が評価取得装置20によって取得される。このようにしても、ユーザに手間をかけさせることなく食事の評価を取得できるため、食事評価の取得率の向上や取得した食事評価の数値化も容易に実施することができる。したがって、実際に食事したユーザからその食事の評価を容易に取得することができる。
【0047】
なお、上記ステップS107の評価取得処理では、トレイ3の一側縁3aに近くなるように載置された食器10ほど食事の評価が高くなるように取得されることに限らず、例えば、トレイ3の他側縁3bに近くなるように載置された食器10ほど食事の評価が高くなるように取得されてもよいし、トレイ3の奥側に近くなるように載置された食器10ほど食事の評価が高くなるように取得されてもよい。
【0048】
また、本実施形態の変形例に係る上記所定の評価用基準として、他の食事用の器具、例えば、箸4をトレイ3に代えて採用してもよい。この場合、例えば、図9に例示するように、箸4とトレイ3の一側縁3aとの間に位置する食器10aの食事の評価を高くし、箸4とトレイ3の他側縁3bとの間に位置する食器10b,10cの食事の評価を低くすることもできる。なお、上記所定の評価用基準として箸4を利用する場合には、上記評価取得許可状態では箸4と異なる標示体が採用される。このようにしても、ユーザに手間をかけさせることなく食事の評価を取得できるため、食事評価の取得率の向上や取得した食事評価の数値化も容易に実施することができる。
【0049】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る食事評価システムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、食後に撮像された食器10の画像と記憶部22に予め記憶される評価用画像との比較結果に基づいて食事の評価を取得する点が、上記第1実施形態等と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
本実施形態では、評価対象となる全ての食器10の画像が評価用画像として予め取得されて記憶部22のデータベースに登録されており、上記ステップS107の評価取得処理では、撮像部23にて撮像された食器10の画像と記憶部22に予め記憶される評価用画像との比較結果に基づいて、食事の評価が取得される。
【0051】
具体的には、本実施形態では、上記比較結果から食器10の上の置かれた片方の箸の細先4cの向きを検出して、この検出された箸の細先4cの向きに応じて、その食事の評価が行われる。食器10の上に片方の箸が置かれている場合には、その撮像画像での食器10の輪郭部分と評価用画像での食器10の輪郭部分とでは、箸の先端側と根元側とによって2カ所の差異が生じる。そうすると、幅の狭い差異の部分が箸の先端側となり、幅の広い差異の部分が箸の根元側となるので、幅の広い差異の部分から幅の狭い差異の部分に向かう方向を、箸の細先4cの向きとして検出することができる。
【0052】
本実施形態では、箸4の細先4cがトレイ3の他側縁3bに向かうほど食事評価が高くなり、箸4の細先4cがトレイ3の一側縁3aに向かうほど食事評価が低くなるように設定されている。特に、本実施形態では、箸4の細先4cが向かう範囲を5つの評価領域に分けることで5段階にて食事評価を行い、「評価5」が最も高い食事評価となり、「評価1」が最も低い食事評価となる。
【0053】
このため、例えば、図10(A)に示すように、箸4の細先4cがトレイ3の他側縁3bから2番目となる評価領域に向かっている状態が検出されると、食事評価が比較的高い「評価4」として判定される。また、例えば、例えば、図10(B)に示すように、箸4の細先4cがトレイ3の他側縁3bとトレイ3の一側縁3aとの間となる評価領域に向かっている状態が検出されると、標準的な食事評価である「評価3」として判定される。また、例えば、例えば、図10(C)に示すように、箸4の細先4cがトレイ3の一側縁3aから2番目となる評価領域に向かっている状態が検出されると、食事評価が比較的低い「評価2」として判定される。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る食事評価システム1において評価取得装置20の制御部21にてなされる食事評価処理では、食器10の画像が評価用画像として記憶部22に予め記憶されていることを前提に、食事後に返却される食器10が撮像部23にて撮像されることで、撮像部23により撮像された食器10に盛り付けられていた食事を特定する食事特定処理と、撮像部23による撮像結果を利用して食事特定処理により特定された食事の評価を取得する評価取得処理と、が実施される。そして、評価取得処理により、撮像部23の撮像画像に含まれる食器10の画像と当該食器10に関して記憶部22に記憶される評価用画像との比較結果に基づいて、食事の評価が取得される。より具体的には、評価取得処理により、上記比較結果から検出された食器10の上に配置される箸4の配置状態に基づいて、食事の評価が取得される。
【0055】
これにより、実際に食事したユーザは、食器10に対する箸4の置き方だけでその食事を評価できるため、食事評価に関するユーザの手間をさらに省くことができるので、食事評価の取得率の更なる向上を図ることができる。
【0056】
なお、上記ステップS107の評価取得処理では、箸4の細先4cがトレイ3の他側縁3bに向かうほど食事評価が高くなるように取得されることに限らず、例えば、箸4の細先4cがトレイ3の一側縁3aに向かうほど食事評価が高くなるように取得されてもよいし、箸4の細先4cがトレイ3の奥側に向かうほど食事評価が高くなるように取得されてもよい。また、食器10の上の置かれた箸4の長手方向を検出することで、この検出された箸4の長手方向に応じて、その食事の評価を行ってもよい。
【0057】
なお、本実施形態の変形例として、上記比較結果から検出された食器10に残されている残飯の量に基づいて、食事の評価が取得されてもよい。食後に撮像された食器10の画像と記憶部22に予め記憶される評価用画像との比較結果に基づいて、当該比較結果における差異がある範囲を、残飯がある範囲、すなわち、残飯の量として検出することができる。残飯の量は、実際に食事したユーザの食事評価に直結しやすいため、食事評価に関してユーザが何ら作業等を行うことなくその食事を評価できる。このようにしても、食事評価に関するユーザの手間をさらに省くことができるので、食事評価の取得率の更なる向上を図ることができる。
【0058】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上述したステップS105に示す食事特定処理では、撮像した食器10に盛り付けられていた食事を特定できるので、食事名と料金とを紐付けた料金マスタ等を利用することで、食事代を算出することができる。このため、制御部21にてなされる食事評価処理では、返却台2に食事後のトレイ3を返却する際に、トレイ3上の食器10に盛り付けられた食事に関する決済処理を行うことができる。これにより、撮像部23により撮像される食器10の画像によって、食事の評価を取得できるだけでなく、その食事の決済処理も実施することができる。なお、上記決済処理を行う制御部21は、「精算部」の一例に相当し得る。
【0059】
(2)上記食事評価処理では、取得された食事の評価結果を表示部24に表示等して報知することで、ユーザが取得された評価結果を確認できるようにしてもよい。
【0060】
(3)本発明は、社員食堂や飲食店などで提供される食事を評価するシステムに採用されることに限らず、例えば、イベント会場などで一定期間提供される食事を評価するシステムに採用されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…食事評価システム
2…返却台
3…トレイ(所定の評価用基準)
4…箸(所定の評価用基準)
10,10a~10c…食器
11,11a~11c…評価用マーク
20…評価取得装置
21…制御部(特定部,取得部,精算部)
22…記憶部
23…撮像部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10