(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】電気コネクタおよび電気コネクタの実装方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/502 20060101AFI20240612BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20240612BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20240612BHJP
【FI】
H01R13/502 Z
H01R12/71
H01R24/38
(21)【出願番号】P 2020160479
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(72)【発明者】
【氏名】赤池 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】後藤 悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勲
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-140787(JP,A)
【文献】特開平05-205819(JP,A)
【文献】特開2019-169244(JP,A)
【文献】特開2020-021554(JP,A)
【文献】特開2003-142842(JP,A)
【文献】特開2007-131255(JP,A)
【文献】特開2018-022627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/502
H01R 12/71
H01R 24/38
H01R 13/6581
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグシェルを備える電気コネクタであって、
前記プラグシェルは、
コンタクトピンおよび前記コンタクトピンを保持するハウジングを収納するための収納部と、
前記コンタクトピンおよび前記ハウジングを前記収納部内に挿入するための挿入口と、
前記挿入口を塞ぐための蓋体と、
前記蓋体を保持するための保持構造と、を含み、
前記保持構造は、前記蓋体を載置するための台座と、前記蓋体を前記台座上に押し付けることにより前記蓋体を前記台座上で保持する一対の保持片と、を備えており、
前記蓋体は、中央部と、前記中央部の両側に位置する端部と、を有しており、
前記一対の保持片は、前記蓋体の前記端部を前記台座に向かって押し付けており、これにより、前記蓋体内に、前記蓋体の前記端部を前記台座から離間させる応力が生じて
おり、
前記一対の保持片のそれぞれは、前記台座から前記蓋体の厚さ方向に沿って直線状に延伸する延伸部と、前記延伸部の先端から前記蓋体の上面に接触するよう延伸する押圧部と、を有しており、
前記一対の保持片の前記押圧部は、前記蓋体を前記台座上に押し付けることにより、前記蓋体を前記台座上で保持していることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記保持構造は、前記台座上に形成された突起部をさらに備えており、
前記突起部は、前記蓋体の前記中央部を前記台座から離間する方向に押し上げている請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記蓋体は、前記中央部の前記台座と対向する面上に形成された突起部を備えており、
前記蓋体の前記突起部が前記台座と接触し、これにより、前記蓋体の前記中央部が前記台座から離間する方向に押し上げられている請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記蓋体は、前記台座上に前記蓋体を載置した際、前記中央部が前記台座に接触し、さらに、前記端部が前記台座から離間する湾曲形状を有しており、
前記一対の保持片は、前記台座から離間している前記蓋体の前記端部を前記台座に向かって押し付けており、これにより、前記蓋体に、前記蓋体の前記端部を前記台座から離間させる前記応力が生じている請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
請求項1ないし
4のいずれかに記載の電気コネクタの実装方法であって、
前記電気コネクタを回路基板上に固定するためのリフロー工程を含む電気コネクタの実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電気コネクタおよび電気コネクタの実装方法に関し、より具体的には、内部にコンタクトピンを挿入するための挿入口と、該挿入口を塞ぐための蓋体とを備えるプラグシェルを備える電気コネクタおよび該電気コネクタの実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルまたはデバイスと、他のケーブルまたは他のデバイスとの間の電気的接続を提供するために、レセプタクルコネクタとプラグコネクタの組み合わせが広く用いられている。例えば、特許文献1は、
図1に示されているような、ケーブル600を他のデバイスへ接続するためのプラグコネクタ500を開示している。
図1に示されているように、プラグコネクタ500は、ケーブル600の先端に取り付けられている。
【0003】
図2は、プラグコネクタ500およびケーブル600の断面図を示している。
図2に示されているように、ケーブル600の先端にプラグコネクタ500が取り付けられた状態において、プラグコネクタ500のコンタクトピン510は、プラグコネクタ500の金属製のプラグシェル520内部において、導電性部品540を介して、ケーブル600の芯線610と電気的に接続されている。また、コンタクトピン510の先端部が、プラグシェル520の円筒部521内部において露出している。また、プラグシェル520の大部分は、プラグシェル520を保護するカバー530によって覆われており、カバー530からプラグシェル520の円筒部521が先端側(レセプタクルコネクタ700側)に向かって露出している。
【0004】
このようなプラグコネクタ500を、他のデバイスに取り付けられたレセプタクルコネクタ700に接続することにより、ケーブル600と、他のデバイスとを容易に電気的に接続することができる。具体的には、プラグコネクタ500のプラグシェル520の円筒部521をレセプタクルコネクタ700の金属製の筒状部710と嵌合させることにより、プラグコネクタ500のコンタクトピン510の先端部が、筒状部710の中心孔720内に挿入され、プラグコネクタ500とレセプタクルコネクタ700とが電気的に接続される。この際、プラグコネクタ500およびレセプタクルコネクタ700を介して、ケーブル600と他のデバイスとが電気的に接続される。
【0005】
また、
図2に示されているように、コンタクトピン510は、プラグシェル520の内部において、絶縁性のハウジング522により保持されている。コンタクトピン510がハウジング522に保持されている状態において、コンタクトピン510の基端部は、導電性部品540に接触している。導電性部品540は、ケーブル600の芯線610と接触しているので、導電性部品540を介してコンタクトピン510とケーブル600の芯線610とか電気的に接続されている。
【0006】
プラグコネクタ500を組み立てる際、コンタクトピン510およびハウジング522を含む複数の部品をプラグシェル520内に挿入する必要がある。そのため、部品をプラグシェル520内に挿入するための挿入口523が、プラグシェル520の基端側(
図2中の右側)の面に形成されている。一方、プラグコネクタ500の耐ノイズ性能を向上させるためには、プラグシェル520の挿入口523は、導電性部材によって塞がれていることが好ましい。そのため、
図2に示されているように、プラグシェル520の挿入口523は、金属材料によって構成された蓋体524によって塞がれている。
【0007】
蓋体524は、挿入口523を塞ぐように、プラグシェル520上で固定されている。蓋体524をプラグシェル520上で固定するため、かしめによる固定方法が用いられることが多い。かしめによる固定方法は、例えば、
図3に示されている手順で実行される。
図3は、プラグシェル520の挿入口523および蓋体524の断面図である。なお、かしめによる固定方法のための説明を分かりやすくするため、
図3では、プラグシェル520および蓋体524の一部が省略・変形されている。
【0008】
かしめによる固定方法は、蓋体524を挟むように挿入口523の端面525から延伸する一対の保持片526の先端部を、蓋体524に向かって押し付けるように折り曲げることにより実行される。最初に、
図3(a)に示されているように、プラグシェル520の挿入口523の端面525上に蓋体524が載置される。その後、
図3(b)に示されているように、プラグシェル520の挿入口523の端面525から延伸する一対の保持片526の先端部が蓋体524に向かって折り曲げられ、一対の保持片526の先端部が、蓋体524を、挿入口523の端面525に向かって押し付ける。この結果、蓋体524が挿入口523の端面525上で保持される。このようなかしめによる固定方法によって、蓋体524が、プラグシェル520上で固定される。
【0009】
しかしながら、一対の保持片526の先端部を蓋体524に向かって折り曲げると、折り曲げられた部分に残留応力が生じる。このような残留応力は、折り曲げられた部分に熱が加えられると、解放される。そのため、一対の保持片526の先端部を折り曲げて蓋体524をプラグシェル520上で固定した後に、一対の保持片526に対して熱が加わると、残留応力の解放および一対の保持片526の熱膨張によって、一対の保持片526の先端部が開いてしまう。また、その後、一対の保持片526が冷却されても、一対の保持片526の先端部は、加熱前の状態に完全には戻らない。そのため、蓋体524と一対の保持片526の先端部との間に隙間が生じてしまい、挿入口523の端面525と一対の保持片526との間での蓋体524の揺動(ガタつき)を防止することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、コンタクトピンを内部に挿入するための挿入口を塞ぐ蓋体の揺動を防止可能なプラグシェルを備える電気コネクタおよび該電気コネクタの実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的は、以下の(1)~(5)の本発明により達成される。
(1)プラグシェルを備える電気コネクタであって、
前記プラグシェルは、
コンタクトピンおよび前記コンタクトピンを保持するハウジングを収納するための収納部と、
前記コンタクトピンおよび前記ハウジングを前記収納部内に挿入するための挿入口と、
前記挿入口を塞ぐための蓋体と、
前記蓋体を保持するための保持構造と、を含み、
前記保持構造は、前記蓋体を載置するための台座と、前記蓋体を前記台座上に押し付けることにより前記蓋体を前記台座上で保持する一対の保持片と、を備えており、
前記蓋体は、中央部と、前記中央部の両側に位置する端部と、を有しており、
前記一対の保持片は、前記蓋体の前記端部を前記台座に向かって押し付けており、これにより、前記蓋体内に、前記蓋体の前記端部を前記台座から離間させる応力が生じており、
前記一対の保持片のそれぞれは、前記台座から前記蓋体の厚さ方向に沿って直線状に延伸する延伸部と、前記延伸部の先端から前記蓋体の上面に接触するよう延伸する押圧部と、を有しており、
前記一対の保持片の前記押圧部は、前記蓋体を前記台座上に押し付けることにより、前記蓋体を前記台座上で保持していることを特徴とする電気コネクタ。
【0013】
(2)前記保持構造は、前記台座上に形成された突起部をさらに備えており、
前記突起部は、前記蓋体の前記中央部を前記台座から離間する方向に押し上げている上記(1)に記載の電気コネクタ。
【0014】
(3)前記蓋体は、前記中央部の前記台座と対向する面上に形成された突起部を備えており、
前記蓋体の前記突起部が前記台座と接触し、これにより、前記蓋体の前記中央部が前記台座から離間する方向に押し上げられている上記(1)に記載の電気コネクタ。
【0015】
(4)前記蓋体は、前記台座上に前記蓋体を載置した際、前記中央部が前記台座に接触し、さらに、前記端部が前記台座から離間する湾曲形状を有しており、
前記一対の保持片は、前記台座から離間している前記蓋体の前記端部を前記台座に向かって押し付けており、これにより、前記蓋体に、前記蓋体の前記端部を前記台座から離間させる前記応力が生じている上記(1)に記載の電気コネクタ。
【0019】
(5)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の電気コネクタの実装方法であって、
前記電気コネクタを回路基板上に固定するためのリフロー工程を含む電気コネクタの実装方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、蓋体を台座上で強固に保持することができる。そのため、一対の保持片に熱が加わり、一対の保持片の先端部が開いたとしても、蓋体の揺動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術のコネクタの概要を説明するための図である。
【
図2】
図1に示すコネクタおよびケーブルの断面図である。
【
図3】かしめによる固定方法を説明するための図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタおよび電気コネクタが搭載される回路基板を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す電気コネクタの分解斜視図である。
【
図6】コンタクトピンを含む切断面における
図4に示す電気コネクタの断面図である。
【
図7】
図4に示すプラグシェルの分解斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る電気コネクタのプラグシェルの保持構造を示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態の電気コネクタのプラグシェルの蓋体の1つの例および該蓋体の保持状態を詳述するための図である。
【
図11】第2実施形態の電気コネクタのプラグシェルの蓋体の別の例および該蓋体の保持状態を詳述するための図である。
【
図12】第2実施形態の電気コネクタのプラグシェルの保持構造の変形例および該保持構造による蓋体の保持状態を詳述するための図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係る電気コネクタのプラグシェルの分解斜視図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの斜視図である。
【
図15】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの平面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの底面図である。
【
図17】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの正面図である。
【
図18】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの背面図である。
【
図19】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの左側面図である。
【
図20】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の電気コネクタおよび該電気コネクタの実装方法を、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて、説明する。なお、以下で参照する各図は、本発明の説明のために用意された模式的な図である。図面に示された各構成要素の寸法(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法を反映したものではない。また、各図において、同一または対応する要素には、同じ参照番号が付されている。以下の説明において、各図のZ軸の正方向を「先端側」といい、Z軸の負方向を「基端側」といい、Y軸の正方向を「手前側」といい、Y軸の負方向を「奥側」といい、X軸の正方向を「上側」といい、X軸の負方向を「下側」ということがある。
【0023】
<第1実施形態>
最初に、
図4~
図8を参照して、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタを詳述する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタおよび電気コネクタが搭載される回路基板を示す斜視図である。
図5は、
図4に示す電気コネクタの分解斜視図である。
図6は、コンタクトピンを含む切断面における
図4に示す電気コネクタの断面図である。
図7は、
図4に示すプラグシェルの分解斜視図である。
図8は、蓋体の保持状態を詳述するための図である。
【0024】
図4に示す本発明の第1実施形態に係る電気コネクタ1は、任意のデバイス内に設けられた回路基板200上に搭載される。電気コネクタ1の先端(+Z方向)側から、電気コネクタ1に対して、図示しない外部ケーブルの先端に取り付けられた相手側コネクタが挿入されると、電気コネクタ1が搭載された回路基板200と、外部ケーブルとの間の電気的接続が提供される。典型的には、電気コネクタ1は、カーナビ、カーオーディオ、車載カメラ、車載GPS、車載TV、車載ラジオ等の車載デバイスを、自動車の動作を制御するECU(Electronic Control Unit)へ接続するために用いられるHSD(高速データ)コネクタやFAKRA(Fachkreis Automobiltechnik)コネクタである。電気コネクタ1は、1つのコンタクトピンを有し、同軸接続を提供するための同軸ケーブルコネクタであってもよいし、複数のコンタクトピンの接続を提供する複数ピンコネクタであってもよい。以下、電気コネクタ1は、4ピン接続を提供するための4ピンコネクタであり、4つのコンタクトピンを有しているものとして説明を提供する。
【0025】
回路基板200は、電気コネクタ1の4つのグランドピン46を挿入するための4つのグランド端子210と、電気コネクタ1の4つのコンタクトピン2の端子部23を挿入するための4つのコンタクトピン端子220と、を備えている。電気コネクタ1の4つのグランドピン46および4つのコンタクトピン2の端子部23が、それぞれ回路基板200の4つのグランド端子210および4つのコンタクトピン端子220に挿入されるように、電気コネクタ1が回路基板200上に取り付けられる。その後、電気コネクタ1を回路基板200上に固定するためのリフローが実行され、電気コネクタ1が回路基板200上に実装される。
【0026】
図4~
図6に示されているように、電気コネクタ1は、相手方コネクタの端子と接触する4つのコンタクトピン2と、4つのコンタクトピン2を互いに絶縁した状態で保持する絶縁性のハウジング3と、相手方コネクタと嵌合する筒状部41および4つのコンタクトピン2およびハウジング3を収納するための収納部42を有する金属製のプラグシェル4と、プラグシェル4の先端側に取り付けられたカバー5と、を含んでいる。
【0027】
コンタクトピン2のそれぞれは、銅合金等の導電性材料により構成され、先端側から電気コネクタ1に相手側コネクタが差し込まれた際に、相手側コネクタの対応する端子と接触し、相手側コネクタと電気コネクタ1との間の電気的接続を提供する機能を有している。コンタクトピン2のそれぞれは、相手方コネクタの対応する端子と接触する接点部21と、接点部21から基端側に向かって延伸する延伸部22と、回路基板200の対応するコンタクトピン端子220と接続される端子部23と、を有している。また、端子部23は、下方向(-X方向)に向かって延伸しており、コンタクトピン2のそれぞれは、L字の全体形状を有している。
【0028】
接点部21は、先端側から電気コネクタ1に相手側コネクタが差し込まれた際に、相手側コネクタの対応する端子と接触する円柱部分である。電気コネクタ1が相手側コネクタと嵌合状態になると、接点部21が相手側コネクタの対応する端子と接触し、相手側コネクタと電気コネクタ1との間の電気的接続が提供される。延伸部22は、接点部21の基端から基端側(-Z方向)に水平に延伸し、その後下方(-X方向)に延伸するL字状部分である。4つのコンタクトピン2の延伸部22の水平に延伸する部分がハウジング3内に埋め込まれ、4つのコンタクトピン2が互いに絶縁された状態で、ハウジング3によって固定的に保持される。端子部23は、延伸部22の下方に延伸する部分の下端部から下方に延伸している。
図4および
図6に示されているように、端子部23の下端部がハウジング3から外部に露出している。4つのコンタクトピン2の端子部23は、回路基板200の4つのコンタクトピン端子220にそれぞれ挿入されて、接続される。
【0029】
ハウジング3は、樹脂材料等の絶縁性材料により構成され、4つのコンタクトピン2を互いに絶縁した状態で保持する機能を有している。また、ハウジング3は、4つのコンタクトピン2を保持した状態でプラグシェル4の内部に収納される。ハウジング3は、プラグシェル4の内面形状に対応した外形を有する長尺の部材である。ハウジング3は、基部31と、基部31の先端から先端側に突出する筒状部32と、筒状部32から先端側に突出する3つの位置決め部33と、4つのコンタクトピン2がそれぞれ圧入される4つの圧入孔34と、を有している。
【0030】
基部31は、箱状部分であって、
図6に示されているように、ハウジング3がプラグシェル4内に収納された際に、プラグシェル4の収納部42内に位置する。4つのコンタクトピン2が4つの圧入孔34にそれぞれ圧入され、ハウジング3によって保持された状態において、4つのコンタクトピン2の端子部23が基部31から下方に向かって突出する。また、
図5に示されているように、基部31は、基部31の上面に形成された係合凸部311を有している。係合凸部311は、基部31の上面において、電気コネクタ1の挿抜方向(Z方向)に沿って直線状に延伸する凸部であり、プラグシェル4の収納部42の内側面上に形成された係合溝423(
図7参照)と係合する。
【0031】
係合凸部311がプラグシェル4の収納部42の内側面に形成された係合溝423と係合するように、ハウジング3をプラグシェル4内にスライド挿入することにより、ハウジング3がプラグシェル4内において固定および収納される。したがって、係合凸部311は、プラグシェル4内へのハウジング3の挿入をガイドすると共に、プラグシェル4内におけるハウジング3の位置決めを行う機能を有している。
【0032】
図5に戻り、筒状部32は、基部31の先端から延伸する筒状部分である。
図6に示されているように、電気コネクタ1が組み立てられた状態において、筒状部32の基端部がプラグシェル4の収納部42内に位置し、筒状部32の先端部がプラグシェル4の筒状部41内に位置する。
【0033】
図5に戻り、3つの位置決め部33は、筒状部32の先端面から先端側へ互いに離間して延伸する部分である。電気コネクタ1を組み立てた状態において、3つの位置決め部33は、プラグシェル4の筒状部41の内側面に接触し、プラグシェル4の筒状部41内での筒状部32の揺動を防止する。
【0034】
4つの圧入孔34は、電気コネクタ1の挿抜方向(Z方向)に沿って基部31および筒状部32を貫通する貫通孔である。基部31の基端側から、4つのコンタクトピン2の接点部21を4つの圧入孔34にそれぞれ圧入し、4つのコンタクトピン2の接点部21を筒状部32から先端側に突出させ、さらに、4つのコンタクトピン2の接点部21の基端部分および延伸部22を基部31および筒状部32内に埋め込むことにより、4つのコンタクトピン2が互いに絶縁した状態で、ハウジング3によって保持される。
【0035】
電気コネクタ1が組み立てられる際、最初に、基部31の基端側から、4つのコンタクトピン2の接点部21がハウジング3の4つの圧入孔34にそれぞれ圧入され、4つのコンタクトピン2がハウジング3に保持される。その後、4つのコンタクトピン2を保持した状態のハウジング3がプラグシェル4内に挿入される。
【0036】
プラグシェル4は、導電性材料から構成されており、その内部において4つのコンタクトピン2およびハウジング3を収納するとともに、4つのコンタクトピン2への外部の電磁波の影響をシールドすることにより、電気コネクタ1の耐ノイズ性能を向上させる機能を有している。プラグシェル4を構成する導電性材料としては、金属材料や金属材料の合金等を用いることができる。典型的には、コストや加工のし易さの観点から、亜鉛合金が、プラグシェル4を構成する導電性材料として用いられる。プラグシェル4を形成する方法は、特に限定されないが、典型的には、加熱により溶融した導電性材料を金型に流し込み、その後、導電性材料を冷却することにより固化させる鋳造法によってプラグシェル4を形成することができる。
【0037】
図7に示されているように、プラグシェル4は、相手方コネクタと嵌合する筒状部41と、筒状部41と連通するように形成された収納部42と、収納部42内にコンタクトピン2およびハウジング3を挿入するために収納部42の基端側部分に形成された挿入口43と、挿入口43を塞ぐ蓋体44と、蓋体44を保持するための保持構造45と、収納部42の下側端面から下方に突出する4つのグランドピン46と、を備えている。
【0038】
筒状部41は、中空の円筒部である。
図6に示されているように、筒状部41の内部にハウジング3の筒状部32の先端部が位置する。さらに、筒状部41の内部において、筒状部41の内側面から離間した状態で、4つのコンタクトピン2の接点部21がハウジング3の筒状部32の先端面から先端側に向かって延伸している。また、この状態において、4つのコンタクトピン2の接点部21は、互いに離間している。相手方コネクタが先端側から電気コネクタ1に挿入されると、プラグシェル4の筒状部41は、相手側コネクタの対応する筒状部と嵌合する。
【0039】
筒状部41は、カバー5を取り付けるための取り付け部411を有している。取り付け部411は、筒状部41の外周面の基端側部分から外側に向かって突出するように形成されている。カバー5の係合部51が筒状部41の取り付け部411と係合することにより、カバー5がプラグシェル4に取り付けられる。
【0040】
収納部42は、筒状部41の基端側に、筒状部41と連通するよう一体的に形成されている。収納部42は、4つのコンタクトピン2を保持しているハウジング3をその内部において収納する機能を有している。
図7に示されているように、収納部42は、上板421と、上板421の奥側および手前側の端部から下方に延伸する一対の壁部422と、から形成され、下方向(-X方向)および基端方向(-Z方向)に向かって開放している。収納部42の上板421と一対の壁部422によって収納部42の内部空間が規定され、該内部空間内に、4つのコンタクトピン2を保持するハウジング3が収納される。また、収納部42を規定する上板421の内側面上には、係合溝423が形成されている。係合溝423は、ハウジング3の基部31に形成された係合凸部311に対応した形状を有している。ハウジング3の係合凸部311がプラグシェル4の係合溝423と係合するように、ハウジング3をプラグシェル4の内部空間内にスライド挿入することにより、ハウジング3がプラグシェル4内において固定および収納される。
【0041】
挿入口43は、収納部42の基端側部分に形成された矩形開口であり、収納部42の上板421と一対の壁部422の基端側部分によって規定されている。電気コネクタ1を組み立てる際に、4つのコンタクトピン2を保持した状態のハウジング3が、挿入口43を介して、プラグシェル4内に挿入される。
【0042】
蓋体44は、導電性材料により構成され、幅方向(Y方向)の中央部441と、中央部441の幅方向の両側に位置する一対の端部442と、を有する板状部材である。典型的には、蓋体44は、金属材料により構成される。本実施形態では、蓋体44は、蓋体44に押圧力が印加されていない自然状態において、中央部441と一対の端部442とが同一平面状にある平板形状を有している。すなわち、蓋体44に押圧力が印加されていない自然状態において、蓋体44は、湾曲または折り曲げられていない。
【0043】
挿入口43を介してプラグシェル4内に4つのコンタクトピン2を保持した状態のハウジング3を挿入し、プラグシェル4内部に4つのコンタクトピン2およびハウジング3を収納した後、蓋体44によって挿入口43が塞がれる。このように、電気コネクタ1を組み立てる際に、プラグシェル4内に4つのコンタクトピン2を保持した状態のハウジング3を挿入することを可能とするため、挿入口43を収納部42の基端側部分に形成しなければならない。一方、電気コネクタ1の耐ノイズ性能を向上させるためには、電気コネクタ1を組み立てた状態において、4つのコンタクトピン2の基端側(-Z方向側)に位置する挿入口43を、導電性部材で塞ぐ必要がある。このような理由により、蓋体44は、挿入口43を塞ぎ、電気コネクタ1の耐ノイズ性能を向上させるために用いられる。
【0044】
保持構造45は、挿入口43を塞ぐように蓋体44を保持する機能を有している。
図7に示されているように、保持構造45は、蓋体44を載置するための台座451と、蓋体44を台座451上に押し付けることにより蓋体44を保持する一対の保持片452と、台座451上において蓋体44を上側から支持する上側支持部453と、台座451上において蓋体44を下側から支持する一対の下側支持部454と、台座451上に形成された突起部455と、を備えている。
【0045】
台座451は、その上に蓋体44が載置される部分である。図示の形態では、台座451は、挿入口43を規定する収納部42の上板421と一対の壁部422の基端面であるが、本発明はこれに限られない。例えば、プラグシェル4の収納部42の内側面に、プラグシェル4の内側に向かって延伸する1つ以上の板状部が形成されており、該板状部が台座451として機能するような態様も本発明の範囲内である。
【0046】
一対の保持片452は、台座451の幅方向(Y方向)の両端部からそれぞれ基端側に延伸する板状部分である。一対の保持片452のそれぞれの幅(X方向の長さ)は、蓋体44のX方向の長さと略等しく、一対の保持片452のそれぞれの高さ(Z方向の長さ)は、蓋体44の厚さよりも大きくなっている。一対の保持片452は、電気コネクタ1が組み立てられた状態において、台座451上に載置された蓋体44を挟みこむよう台座451上に形成されている。一対の保持片452のそれぞれは、台座451から蓋体44の厚さ方向(Z方向)に沿って直線状に延伸する延伸部4521と、延伸部4521の先端から蓋体44の上面に接触するよう延伸する押圧部4522と、を有している。一対の保持片452の延伸部4521の内側面間の離間距離は、蓋体44の幅(Y方向の長さ)と略等しい。そのため、台座451上に載置された蓋体44は、一対の保持片452の延伸部4521の間に位置する。一対の押圧部4522は、台座451上に載置された蓋体44の一対の端部442を、台座451に向かって押し付けることにより、台座451上で蓋体44を保持している。
【0047】
電気コネクタ1が組み立てられる前の段階において、一対の保持片452のそれぞれは、延伸部4521を有しているが、押圧部4522を有していない。電気コネクタ1が組み立てられる際において、一対の保持片452のそれぞれに、蓋体44を台座451上で保持するためのかしめ作業が実行され、押圧部4522が形成される。かしめ作業において、蓋体44の両側に位置する一対の保持片452の延伸部4521の先端部のそれぞれが、蓋体44の一対の端部442を台座451に向かって押し付けるように、蓋体44の中央部441(内側)に向かって折り曲げられる。このようなかしめ作業によって、一対の保持片452の延伸部4521の先端部のそれぞれに、押圧部4522が形成される。このようなかしめ作業を実行することにより、蓋体44が、一対の保持片452によって台座451上で保持される。
【0048】
上側支持部453は、台座451の上方向(+X方向)の端部から基端側に向かって延伸する平板状部である。上側支持部453は、自身の内側面上に形成された一対の支持突起4531を有している。台座451上に蓋体44が載置された際、上側支持部453の一対の支持突起4531が蓋体44の上側端面と接触し、蓋体44を上側から支持する。下側支持部454は、台座451の一対の保持片452が形成されている箇所よりも下側(-X方向)の部分からそれぞれ基端側に向かって延伸する一対のブロック状部である。台座451上に蓋体44が載置された際、下側支持部454が蓋体44の下側端面と接触し、蓋体44を下側から支持する。
【0049】
突起部455は、台座451の上側支持部453が形成されている箇所よりも下方(-X方向)の部分であって、台座451上に蓋体44が載置された際に蓋体44の中央部441と対向する部分から、基端側に突出するよう形成されている。突起部455は、一対の押圧部4522が蓋体44の一対の端部442を、台座451に向かって押し付けた際に、蓋体44の中央部441を台座451から離間する方向に押し上げるために形成された部分である。このような突起部455を台座451上に形成することにより、結果的に蓋体44を平板状の自然状態から湾曲変形した状態で、台座451上において蓋体44を保持することができる。以下、
図8を参照して、蓋体44が自然状態から湾曲変形した状態で、台座451上において蓋体44を保持することをどのようにして可能とするかについて詳述する。なお、
図8では、プラグシェル4の保持構造45および蓋体44を明確に示すため、保持構造45の台座451、一対の保持片452、および突起部455、並びに、蓋体44以外の部材が省略されている。
【0050】
電気コネクタ1を組み立てる際、コンタクトピン2を保持しているハウジング3をプラグシェル4の挿入口43を介してプラグシェル4内部に挿入し、コンタクトピン2およびハウジング3をプラグシェル4の収納部42内に収納する。次に、台座451上に蓋体44を載置する。この際、保持構造45の一対の保持片452には、押圧部4522は形成されていない。
【0051】
図8(a)は、この状態における、台座451、一対の保持片452、突起部455、および蓋体44の断面図を概略的に示している。
図8(a)に示されているように、蓋体44の中央部441は、台座451上に形成されている突起部455と接触する。そのため、かしめ作業を実行する前の段階においては、蓋体44の中央部441のみが台座451と接触しており、蓋体44の一対の端部442は、台座451から離間している。
【0052】
この状態で、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行し、一対の保持片452のそれぞれに、蓋体44の一対の端部442を台座451に向かって押し付ける押圧部4522を形成する。
図8(b)は、かしめ作業を実行した後の台座451、一対の保持片452、突起部455、および蓋体44の断面図を概略的に示している。
図8(b)に示されているように、一対の保持片452の押圧部4522から印加される押圧力よって、載置された蓋体44の一対の端部442が台座451に向かって押し下げられる。この状態において、蓋体44の形状は、平板形状から、上側凸のドーム形状に湾曲変形している。より具体的には、
図8(b)中において矢印で示されているように、蓋体44の中央部441が、台座451上に形成されている突起部455によって相対的に台座451から離間する方向に押し上げられており、かつ、蓋体44の一対の端部442が、一対の保持片452の押圧部4522によって中央部441よりも台座451側に押し下げられている。この結果、蓋体44の中央部441には台座451から離間する方向の押圧力が印加され、一方、蓋体44の一対の端部442には台座451に向かう方向の押圧力が印加されることになる。したがって、蓋体44は、蓋体44の一対の端部442が台座451に向かって湾曲変形した状態で、一対の保持片452によって台座451上で保持される。
【0053】
このように、一対の保持片452の押圧部4522は、蓋体44の一対の端部442を台座451に向かって押し付けており、これにより、蓋体44が自然状態から湾曲変形された状態で、台座451上で保持されている。そのため、蓋体44が台座451上で保持された状態において、蓋体44内に、蓋体44を構成する導電性材料の弾性によって、蓋体44の一対の端部442を台座451から離間させ、自然状態(平板形状)に戻ろうとする応力(復元力)が生じている。このような応力が蓋体44に生じているため、電気コネクタ1を回路基板200上に実装する際のリフロー作業等において生じる熱等によって一対の保持片452が加熱され、一対の保持片452の押圧部4522が開くように変形したとしても、蓋体44内に生じた応力によって、一対の保持片452の押圧部4522の変形に追従するよう、蓋体44の一対の端部442が弾性復元する。したがって、本実施形態では、一対の保持片452が加熱され、一対の保持片452の押圧部4522が開くように変形したとしても、一対の保持片452の押圧部4522と蓋体44との間に隙間が生じない。そのため、台座451上で蓋体44を強固に保持することができ、台座451上での蓋体44の揺動を確実に防止することができる。
【0054】
図7に戻り、4つのグランドピン46のそれぞれは、収納部42の一対の壁部422のそれぞれの下側端面から下方に延伸する円柱部分である。4つのグランドピン46は、電気コネクタ1を回路基板200上に搭載する際に、回路基板200の4つのグランド端子210にそれぞれ挿入され、接続される。
【0055】
図4~
図6に示されているように、カバー5は、樹脂材料等の絶縁材料から構成された中空の筒状部材であり、プラグシェル4の筒状部41の取り付け部411に取り付けられる。カバー5は、プラグシェル4の筒状部41に対する相手側コネクタの嵌合をガイドするとともに、プラグシェル4の筒状部41と嵌合した相手側コネクタを支持する機能を有している。カバー5は、プラグシェル4の筒状部41の取り付け部411と係合する係合部51と、係合部51と連通するように形成された受け部52と、を有している。
【0056】
係合部51は、プラグシェル4の筒状部41の取り付け部411と係合する部分である。係合部51がプラグシェル4の筒状部41の取り付け部411と係合すると、カバー5がプラグシェル4に取り付けられる。受け部52は、電気コネクタ1と接続される相手側コネクタの先端部を受け入れる部分である。
図6に示されているように、プラグシェル4の筒状部41の先端部分および4つのコンタクトピン2の接点部21の先端部が、受け部52内部に位置している。先端側から受け部52内に相手側コネクタの先端部を挿入すると、相手側コネクタがプラグシェル4の筒状部41と嵌合するように、相手側コネクタの挿入がガイドされる。
【0057】
上述した電気コネクタ1は、以下に詳述する本発明の電気コネクタ1の実装方法によって回路基板200上に実装される。具体的には、最初に、電気コネクタ1の4つのグランドピン46および4つのコンタクトピン2の端子部23が、それぞれ回路基板200の4つのグランド端子210および4つのコンタクトピン端子220に挿入されるように、電気コネクタ1が回路基板200上に取り付けられる。その後、電気コネクタ1を回路基板200上に固定するためのリフローが実行され、電気コネクタ1が回路基板200上に実装される。電気コネクタ1が回路基板200上に実装された状態において、電気コネクタ1のカバー5よりも基端側の部分のみが回路基板200上に位置し、電気コネクタ1のカバー5は、回路基板200から外側に突出する。
【0058】
ここまで詳述したように、本実施形態のプラグシェル4において、挿入口43を塞ぐための蓋体44は、自然状態から湾曲変形した状態、より具体的には、蓋体44の一対の端部442が台座451に向かって湾曲変形した状態で、台座451上で保持されている。そのため、蓋体44が台座451上で保持された状態において、蓋体44内に、蓋体44の一対の端部442を台座451から離間させる応力が生じている。したがって、電気コネクタ1を回路基板200上に実装する際のリフロー工程等において生じる熱等によって一対の保持片452が加熱され、一対の保持片452の押圧部4522が開くように変形したとしても、一対の保持片452の押圧部4522の変形に追従するよう、蓋体44の一対の端部442が弾性復元し、一対の保持片452の押圧部4522と蓋体44との間に隙間が生じない。そのため、台座451上で蓋体44を強固に保持することができ、台座451上での蓋体44の揺動を確実に防止することができる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、
図9~
図12を参照して、本発明の第2実施形態に係る電気コネクタを詳述する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る電気コネクタのプラグシェルの保持構造を示す斜視図である。
図10は、第2実施形態の電気コネクタのプラグシェルの蓋体の1つの例および該蓋体の保持状態を詳述するための図である。
図11は、第2実施形態の電気コネクタのプラグシェルの蓋体の別の例および該蓋体の保持状態を詳述するための図である。
図12は、第2実施形態の電気コネクタのプラグシェルの保持構造の変形例および該保持構造による蓋体の保持状態を詳述するための図である。
【0060】
以下、第2実施形態の電気コネクタについて、第1実施形態の電気コネクタとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、本実施形態の電気コネクタは、第1実施形態の電気コネクタと同様の実装方法によって、回路基板200上に実装される。本実施形態の電気コネクタは、蓋体を台座上で保持した状態において、蓋体内に、蓋体の一対の端部が台座から離間させる応力を生じさせるための構成が異なる点を除き、第1実施形態の電気コネクタと同様の構成を有している。
【0061】
図9に示されているように、本実施形態の電気コネクタ1のプラグシェル4では、保持構造45の台座451上に突起部455が形成されていない。一方、蓋体44は、1つの例では、自然状態において、
図10(a)に示すような突起部443を有する平板形状を有しており、別の例では、自然状態において、
図11(a)に示すような湾曲形状を有している。
【0062】
最初に、蓋体44が、自然状態において、
図10(a)に示すような突起部443を有する平板形状を有している場合について説明する。この場合、蓋体44は、蓋体44の中央部441の台座451と対向する面上に、突起部443を有している。突起部443は、蓋体44を台座451上に載置した際、突起部443は、台座451と接触するような位置および形状で形成されている。
【0063】
図10(b)は、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行する前の台座451、一対の保持片452、および蓋体44の断面図を概略的に示している。
図10(b)に示されているように、電気コネクタ1を組み立てるために蓋体44を台座451上に載置した際、蓋体44の突起部443が台座451に接触し、蓋体44の一対の端部442は、台座451から離間している。この状態で、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行し、一対の保持片452のそれぞれに押圧部4522を形成すると、一対の保持片452の押圧部4522から印加される押圧力によって、台座451上に載置された蓋体44の一対の端部442が台座451に向かって湾曲変形する。
図10(c)は、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行した後の台座451、一対の保持片452、および蓋体44の断面図を概略的に示している。
図10(c)に示されているように、蓋体44は、蓋体44の一対の端部442が台座451に向かって湾曲変形した状態で、一対の保持片452によって台座451上で保持される。
【0064】
次に、蓋体44が、自然状態において、
図11(a)に示すような湾曲形状を有している場合について説明する。この場合、蓋体44は、自然状態において、一対の端部442が中央部441よりも基端側(-Z方向側)に位置する湾曲形状を有している。
図11(b)は、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行する前の台座451、一対の保持片452、および蓋体44の断面図を概略的に示している。
図11(b)に示されているように、電気コネクタ1を組み立てるために蓋体44を台座451上に載置した際、蓋体44の中央部441が台座451に接触し、蓋体44の一対の端部442は、台座451から離間している。この状態で、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行し、一対の保持片452のそれぞれに押圧部4522を形成すると、一対の保持片452の押圧部4522が、台座451から離間している蓋体44の一対の端部442を台座451に向かって押し付ける。これにより、台座451上に載置された蓋体44の一対の端部442が、台座451に向かって湾曲変形する。
図11(c)は、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行した後の台座451、一対の保持片452、および蓋体44の断面図を概略的に示している。
図11(c)に示されているように、蓋体44は、蓋体44の一対の端部442が台座451に向かって湾曲変形した状態で、一対の保持片452によって台座451上で保持される。
【0065】
このように、本実施形態によっても、挿入口43を塞ぐための蓋体44は、自然状態から湾曲変形した状態、より具体的には、蓋体44の一対の端部442が台座451に向かって湾曲変形した状態で、台座451上で保持されている。そのため、蓋体44が台座451上で保持された状態において、蓋体44内に、蓋体44の一対の端部442を台座451から離間させる応力が生じている。したがって、電気コネクタ1を回路基板200上に実装する際のリフロー工程等において生じる熱等によって一対の保持片452が加熱され、一対の保持片452の押圧部4522が開くように変形したとしても、一対の保持片452の押圧部4522の変形に追従するよう、蓋体44の一対の端部442が弾性復元し、一対の保持片452の押圧部4522と蓋体44との間に隙間が生じない。そのため、台座451上で蓋体44を強固に保持することができ、台座451上での蓋体44の揺動を確実に防止することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、蓋体44を台座451上で保持した状態において、蓋体44内に、蓋体44の一対の端部442が台座451から離間させる応力を生じさせるため、蓋体44に突起部443を形成する、または、蓋体44が自然状態において湾曲形状を有するように蓋体44を形成する等の変形を蓋体44に加えたが、本発明はこれに限られない。例えば、
図12を参照して詳述するように、プラグシェル4の保持構造45に変形が加えられることによって、蓋体44を台座451上で保持した状態において、蓋体44内に、蓋体44の一対の端部442が台座451から離間させる応力を生じさること可能とした変形例も本発明の範囲内である。
【0067】
図12(a)は、本変形例において保持構造45によって保持される蓋体44を示している。
図12(b)は、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行する前の台座451、一対の保持片452、および蓋体44の断面図を概略的に示している。
図12(c)は、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行した後の台座451、一対の保持片452、および蓋体44の断面図を概略的に示している。
【0068】
図12(a)に示されているように、本変形例において保持構造45によって保持される蓋体44は、第1実施形態と同様に自然状態において平板形状を有している。
図12(b)に示されているように、本変形例においては、プラグシェル4の保持構造45の台座451上の蓋体44の一対の端部442と対向する部分に、凹部4511が形成されている。そのため、電気コネクタ1を組み立てるために蓋体44を台座451上に載置した際、蓋体44の中央部441が台座451に接触し、蓋体44の一対の端部442は、台座451の凹部4511の上側に位置している。この状態で、一対の保持片452に対するかしめ作業を実行し、一対の保持片452のそれぞれに押圧部4522を形成すると、一対の保持片452の押圧部4522から印加される押圧力によって、台座451上に載置された蓋体44の一対の端部442が台座451の凹部4511に向かって湾曲変形する。
図13(c)に示されているように、蓋体44は、蓋体44の一対の端部442が台座451の凹部4511に向かって湾曲変形した状態で、一対の保持片452によって台座451上で保持される。そのため、蓋体44を台座451上で保持した状態において、蓋体44内に、蓋体44の一対の端部442が台座451から離間させる応力が生じる。このような変形例によっても、台座451上で蓋体44を強固に保持することができ、台座451上での蓋体44の揺動を確実に防止することができる。なお、
図12に示した変形例では、台座451上に凹部4511が形成されているが、凹部4511は、台座451を貫通する貫通孔であってもよい。
【0069】
<第3実施形態>
次に、
図13を参照して、本発明の第3実施形態に係るプラグシェルおよびコネクタを詳述する。
図13は、本発明の第3実施形態に係る電気コネクタのプラグシェルの分解斜視図である。
【0070】
以下、第3実施形態の電気コネクタについて、第1実施形態の電気コネクタとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、本実施形態の電気コネクタは、第1実施形態の電気コネクタと同様の実装方法によって、回路基板200上に実装される。本実施形態の電気コネクタは、台座上での蓋体の揺動を防止するための構成が異なる点を除き、第1実施形態の電気コネクタと同様の構成を有している。
【0071】
図13に示されているように、本実施形態の電気コネクタ1のプラグシェル4では、蓋体44は、第1実施形態と同様に、自然状態において平板形状を有している。また、第2実施形態と同様に、保持構造45の台座451上に突起部455が形成されていない。
【0072】
本実施形態においては、挿入口43を塞ぐための蓋体44は、台座451上において自然状態で一対の保持片452によって保持されている。すなわち、本実施形態位のプラグシェル4は、前述した第1実施形態および第2実施形態と異なり、蓋体44を台座451上で保持した状態において、蓋体44内に、蓋体44の一対の端部442が台座451から離間させる応力を生じさせるための構成を有していない。代替的に、
図13に示されているように、本実施形態の電気コネクタ1のプラグシェル4は、台座451上に塗布された粘性材料47を含んでいる。
【0073】
粘性材料47は、電気コネクタ1が組み立てられた状態において、台座451上での蓋体44の揺動を防止する機能を有している。本実施形態の電気コネクタ1を組み立てる際、台座451上に粘性材料47が塗布される。なお、この際、粘性材料47は、台座451の蓋体44と対向する面の全体に塗布されていてもよいし、台座451の蓋体44と対向する面の一部にのみ塗布されていてもよい。その後、粘性材料47が塗布された台座451上に蓋体44が載置される。次に、一対の保持片452に対して、押圧部4522を形成するためのかしめ作業が実行され、蓋体44が台座451上に向かって押し付けられ、固定される。電気コネクタ1が組み立てられた状態において、粘性材料47は、蓋体44と台座451との間に位置する。
【0074】
粘性材料47は、自身の粘性により台座451上での蓋体44の揺動を防止する。このような粘性材料47としては、一般的に滑り止め用途で用いられる、常温、または、電気コネクタ1の使用環境下において液体のグリス(サンケイ化学社製「サンコール TKG-6」等)のようなグリスや、シリコン系接着剤(例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のシリコン系接着剤等)のような接着剤を用いることができる。
【0075】
このように、本実施形態では、蓋体44と台座451との間に、粘性材料47が存在している。そのため、電気コネクタ1を回路基板200上に実装する際のリフロー工程等において生じる熱等によって一対の保持片452が加熱され、一対の保持片452の押圧部4522が開くように変形したとしても、粘性材料47の粘性によって、台座451上での蓋体44の揺動を防止することができる。
【0076】
以上、本発明の電気コネクタおよび該電気コネクタの実装方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、本発明の各構成に任意の構成のものを付加することができる。
【0077】
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明の電気コネクタの構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有する電気コネクタもまた、本発明の範囲内である。
【0078】
また、図面に示された電気コネクタの構成要素の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の構成要素が追加若しくは組み合わされ、または任意の構成要素が削除された態様も、本発明の範囲内である。
【0079】
また、参考のため、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの正確な斜視図および6面図を、
図14~
図20に示す。
図14は、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの斜視図である。
図15は、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの平面図である。
図16は、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの底面図である。
図17は、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの正面図である。
図18は、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの背面図である。
図19は、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタの左側面図である。
図20は、本発明の電気コネクタの右側面図である。
【符号の説明】
【0080】
1…電気コネクタ 2…コンタクトピン 21…接点部 22…延伸部 23…端子部 3…ハウジング 31…基部 32…筒状部 33…位置決め部 311…係合凸部 34…圧入孔 4…プラグシェル 41…筒状部 411…取り付け部 42…収納部 421…上板 422…壁部 423…係合溝 43…挿入口 44…蓋体 441…中央部 442…端部 443…突起部 45…保持構造 451…台座 4511…凹部 452…保持片 4521…延伸部 4522…押圧部 453…上側支持部 4531…支持突起 454…下側支持部 455…突起部 46…グランドピン 47…粘性材料 5…カバー 51…係合部 52…受け部 200…回路基板 210…グランド端子 220…コンタクトピン端子 500…プラグコネクタ 510…コンタクトピン 520…プラグシェル 521…円筒部 522…ハウジング 523…挿入口 524…蓋体 525…端面 526…保持片 530…カバー 540…導電性部品 600…ケーブル 610…芯線 700…レセプタクルコネクタ 710…筒状部 720…中心孔