(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】電子機器及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240612BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H02J1/00 308C
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2020191117
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】関山 良男
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-347462(JP,A)
【文献】特開2000-078771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給するための電力供給端子と、電池の状態を示す情報を提供するための情報提供端子とを有する電池を電源とする電子機器であって、
前記電子機器への前記電池の装着時に前記電力供給端子と接続され、前記電子機器の検査時に電力供給可能な検査治具と接続される電源端子と、
前記電源端子が前記電力供給端子と接続される場合に前記情報提供端子と接続され、前記電源端子が前記検査治具と接続される場合に開放される情報取得端子と、
前記情報取得端子の出力に応じて前記電源端子の接続先を判定する判定部と、
前記判定部にて前記接続先が前記検査治具であると判定されたとき前記電子機器の電源をオンにする電源制御部と、を備える電子機器。
【請求項2】
前記電池は、前記電池内部の温度を検出する温度検出部をさらに備え、
前記情報提供端子は、前記温度検出部が検出した前記電池内部の温度を示す温度情報を出力する前記電池の温度端子であり、
前記判定部は、前記情報取得端子を用いて前記温度情報を取得し、取得した前記温度情報に応じて前記接続先を判定する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判定部は、前記情報取得端子から取得した前記温度情報が所定電圧範囲に含まれる場合に、前記接続先が前記電池であると判定し、前記温度情報が前記所定電圧範囲に含まれない場合に、前記接続先が前記検査治具であると判定する、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記判定部は、前記情報取得端子の電圧を検知し、検知した前記情報取得端子の電圧に基づき前記電源端子の接続先を判定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
電力を供給するための電力供給端子と、電池の状態を示す情報を提供するための情報提供端子とを有する電池を電源とする電子機器の制御方法であって、
前記電子機器は、
前記電子機器への前記電池の装着時に前記電力供給端子と接続され、前記電子機器の検査時に電力供給可能な検査治具と接続される電源端子と、
前記電源端子が前記電力供給端子と接続される場合に前記情報提供端子と接続され、前記電源端子が前記検査治具と接続される場合に開放される情報取得端子とを備え、
前記電子機器が、
前記情報取得端子の出力に応じて前記電源端子の接続先を判定すること、及び、
前記接続先が前記検査治具であると判定されたとき前記電子機器の電源をオンにすること、
を含む電子機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電源スイッチ回路がオンの状態で電池を取り外した後、電池を再装着したときに、改めて電源スイッチを操作することなく自動的にオンの状態に復旧させる電源スイッチ回路を備える無線通信装置が開示されている。
【0003】
当該電源スイッチ回路では、電源制御回路は、リレー回路がオン状態となり、電池から駆動電力が供給されて再起動すると、所定の駆動信号を出力してリレー回路のオン状態を維持し、メモリにオン情報が記憶されているか否かを判断する。電源制御回路は、メモリにオン情報が記憶されているときは、所定の駆動信号の出力を継続してリレー回路のオン状態を維持し、オン情報が記憶されていないときは、所定の駆動信号の出力を停止して、リレー回路をオフ状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている無線通信装置では、始めに電源スイッチ回路をオンの状態にするために電源スイッチを操作する必要があり、そのときに電源スイッチの操作は人が行う必要があった。このため、無線通信装置の検査工程を自動化することが困難であった。
【0006】
本発明の一態様は、電子機器の検査工程において電子機器の電源投入を自動化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、電力を供給するための電力供給端子と、電池の状態を示す情報を提供するための情報提供端子とを有する電池を電源とする電子機器であって、前記電子機器への前記電池の装着時に前記電力供給端子と接続され、前記電子機器の検査時に電力供給可能な検査治具と接続される電源端子と、前記電源端子が前記電力供給端子と接続される場合に前記情報提供端子と接続され、前記電源端子が前記検査治具と接続される場合に開放される情報取得端子と、前記情報取得端子の出力に応じて前記電源端子の接続先を判定する判定部と、前記判定部にて前記接続先が前記検査治具であると判定されたとき前記電子機器の電源をオンにする電源制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る電子機器の制御方法は、電力を供給するための電力供給端子と、電池の状態を示す情報を提供するための情報提供端子とを有する電池を電源とする電子機器の制御方法であって、前記電子機器は、前記電子機器への前記電池の装着時に前記電力供給端子と接続され、前記電子機器の検査時に電力供給可能な検査治具と接続される電源端子と、前記電源端子が前記電力供給端子と接続される場合に前記情報提供端子と接続され、前記電源端子が前記検査治具と接続される場合に開放される情報取得端子とを備え、前記電子機器が、前記情報取得端子の出力に応じて前記電源端子の接続先を判定すること、及び、前記接続先が前記検査治具であると判定されたとき前記電子機器の電源をオンにすること、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、電子機器の検査工程において電子機器の電源投入を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す通信装置に関する動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図2に示す通信装置に関する動作の続きを示すフローチャートである。
【
図4】
図3に示す通信装置に関する動作の続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(通信装置1の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る通信装置1の構成を示すブロック図である。通信装置1は、例えば、無線通信により外部と通信を行うハンドヘルド式の無線通信装置である。通信装置1は、電池3から供給される電力で動作する電子機器の一例である。
【0012】
通信装置1は、電力を供給するための電力供給端子31と、電池3の状態を示す情報を提供するための情報提供端子32とを有する電池3を電源とする。電池3は、充電可能な二次電池であって、例えば、リチウムイオン電池である。なお、通信装置1は、電池3と併用して、外部電源を電源としてもよい。
【0013】
図1に示すように、通信装置1は、電源端子11と、情報取得端子12と、電池検出回路13と、電源スイッチ14と、第1電源回路15と、第2電源回路16と、制御部18と、記憶部19とを備える。また、通信装置1は、他の通信装置との通信のための信号を送受信するアンテナ、音声の入力を受け付けるマイク、マイクから入力された音声信号の変調処理などを行う送信部、アンテナから受信した信号の復調などを行う受信部、受信部で復調された音声を出力するスピーカ、情報を表示する表示部、ユーザの操作を受け付ける操作部などを備えているが、これらについては図示を省略している。
【0014】
ユーザが通信装置1を使用する場合、通信装置1には電池3が装着され、電源端子11は電力供給端子31と接続される。通信装置1の検査時には、電源端子11は電力供給可能な検査治具2と接続される。検査治具2は、通信装置1に対して検査が行われる場合に、通信装置1に電力を供給するためのものである。
【0015】
情報取得端子12は、電源端子11が電力供給端子31と接続される場合に情報提供端子32と接続され、電源端子11が検査治具2と接続される場合に開放される。つまり、情報取得端子12は、通信装置1に電池3を装着したときに情報提供端子32と接続され、検査治具2による通信装置1の検査時に開放される。電池検出回路13は、通信装置1に電池3が装着されたことを検出する。電池検出回路13に、電源端子11を介して電池3からの電圧が印加されると、電池検出回路13は、第2電源回路16をオン状態にする。
【0016】
電源スイッチ14は、ユーザが操作ボタンに押圧力を加えている間だけ接点が導通してオン状態となり、押圧力が解除されると接点が離反してオフ状態になる、例えばタクトスイッチなどのノンロック式のスイッチである。当該操作ボタンは、通信装置1の筐体に設けられている。電源スイッチ14は、第1電源回路15と接続されている。
【0017】
第1電源回路15は、電源スイッチ14が操作されたことを示す電源スイッチオン信号を制御部18に入力し、第2電源回路16をオン状態にする回路である。第2電源回路16は、電源端子11からの電力を制御部18に供給する回路である。
【0018】
制御部18は、通信装置1の動作を制御する。制御部18は、信号処理部181と、判定部182と、電源制御部183とを備える。信号処理部181、判定部182及び電源制御部183については、後述するフローチャートを参照しながら説明する。記憶部19は、通信装置1の制御に必要な情報を記憶する不揮発性メモリである。
【0019】
(通信装置1に関する動作)
図2から
図4は、
図1に示す通信装置1に電池3を取り外した後に、再度、電池3を装着する、または、検査治具2を接続する場合の動作を示すフローチャートである。
図2から
図4の説明の前に、通信装置1から電池3が取り外される前の動作について説明する。
【0020】
通信装置1は、使用状態において電池3が装着されている。ユーザが電源スイッチ14を操作することによって電池3の電力が通信装置1の制御部18及び各ブロックに供給される。電源スイッチ14が操作されると、第1電源回路15は、第2電源回路16をオンするとともに、電源スイッチ14が操作されたことを示す電源スイッチオン信号を制御部18へ出力する。
【0021】
第2電源回路16がオンすることで電源端子11に供給されている電池3の電力が制御部18に供給され、制御部18が起動する。このとき、制御部18は起動しているが制御部18以外のブロックへの電力の供給はなされてない。制御部18が起動すると、信号処理部181は、電源スイッチオン信号の入力を検知し、第1電源回路15への電源維持信号を出力する。
【0022】
第1電源回路15は、信号処理部181からの電源維持信号の入力がある間、第2電源回路16をオン状態に維持させ、電池3の電力の制御部18への供給を維持させる。例えば、電源維持信号がハイレベルのとき、電池3から制御部18への電力供給が維持され、電源維持信号がローレベルのとき、電池3から制御部18への電力供給が停止する。
【0023】
上述の通り、電源スイッチ14はノンロック式のスイッチであるため、電源スイッチ14の押圧力が解除されるとオフしてしまうが、このようにして電池3の電力の制御部18への供給を維持する。この後、電源制御部183は、通信装置1の各ブロックへの電力供給を制御し通信装置1が使用可能なオン状態となる。
【0024】
また、信号処理部181が電源維持信号を出力するとともに、電源制御部183は、記憶部19の電源オンフラグをセットする。通信装置1が使用可能なオン状態となった後に、電源をオフするために電源スイッチ14が操作されたとき、電源制御部183は、記憶部19の電源オンフラグをリセットし、各ブロックへの電源供給を停止したのち、通信装置1はオフ状態となる。
図2から
図4は、通信装置1が使用可能なオン状態、または、オフ状態において電池3が通信装置1から取り外され、再度、通信装置1に電池3が装着された場合と、検査治具2が通信装置1に接続された場合と、の通信装置1の動作を説明するものである。
【0025】
図2に示すように、通信装置1に電池3を装着する、または、通信装置1を検査するために通信装置1の電源端子11に検査治具2を接続する(S1)。通信装置1に電池3が装着された場合、電力供給端子31は電源端子11に接続され、情報提供端子32は情報取得端子12に接続される。通信装置1に検査治具2が接続された場合、検査治具2は電源端子11に接続され、情報取得端子12は開放される。
【0026】
ステップS1の動作が行われることにより、通信装置1への電力供給が開始される(S2)。通信装置1に電池3が装着された、または、通信装置1に検査治具2が接続された場合、電池3または検査治具2から電源端子11を介して電池検出回路13に電力が供給される。電池検出回路13に電力が供給されると、電池検出回路13は、第2電源回路16をオン状態にする。第2電源回路16がオン状態となることで、電池3の電力が制御部18に供給され、制御部18が起動する(S3)。
【0027】
また、このとき、第1電源回路15は、電源スイッチ14がオンされたことを示す電源スイッチオン信号を制御部18に出力しない。電源制御部183は、電源スイッチオン信号の入力がないため、各ブロックへの電力供給は行わない。
【0028】
つまり、通信装置1は、制御部18のみが起動した状態であり、表示部への表示やユーザによる操作部への操作を受け付けない。そのため、制御部18が起動している以外は、電池3などから通信装置1へ電力の供給が遮断されている電源オフ状態である。逆に、通信装置1の電源オン状態とは、音声信号の送受信や、表示部への表示、ユーザによる各種操作を受け付ける状態のことである。
【0029】
制御部18が起動した後、制御部18内の判定部182は、電源端子11の電圧が所定閾値以上であるか否かを判定する(S4)。判定部182は、電源端子11から第2電源回路16を介して電源端子11の電圧を検知する。電源端子11の電圧が所定閾値以上であることは、電池3の残量が、通信装置1を起動させるために必要な量であること、または、検査治具2から供給される電力量が、通信装置1を起動させるために必要な量であることを示す。
【0030】
判定部182が、電源端子11の電圧が所定閾値未満であると判定した場合(S4でNO)、
図4に示すステップS15の処理に移る。判定部182が、電源端子11の電圧が所定閾値以上であると判定した場合(S4でYES)、信号処理部181は、電池3からの電力供給を維持するために、ハイレベルの電源維持信号を第1電源回路15に出力する(S5)。
【0031】
通信装置1に電池3が装着されたとき、電池検出回路13は、ワンショットパルスを第2電源回路16に出力するため、第2電源回路16のオン状態は維持されない。電池3からの電力が供給されて起動した制御部18は、電池3からの電力供給を維持するために以下の処理を実行する。
【0032】
具体的には、ステップS4で判定部182が電源端子11の電圧が所定閾値以上であると判定した場合、信号処理部181は電源維持信号を第1電源回路15に出力し、第1電源回路15は電源維持信号に応じて第2電源回路16のオン状態を維持する。これにより、電池3から制御部18への電力供給が維持される。このとき、通信装置1への電力供給が継続されているが、制御部18以外の各ブロックは起動しておらず通常動作を行わない状態である。
【0033】
ステップS5の処理の後、
図3に示すように、判定部182は、情報取得端子12の電圧が、所定電圧範囲に含まれるか否かを判定する(S6)。具体的に以下に説明する。例えば、電池3の情報提供端子32が電池3の温度端子である場合、電池3の温度端子は、電池3に内蔵されているサーミスタ、温度センサ等から構成される温度検出部33と接続されている。電池3の温度端子は、温度検出部33が検出した電池3の内部の温度を示す温度情報を出力する。この場合、電池3は温度検出部33を備え、温度検出部33は、電池3の内部の温度を検出する。
【0034】
ここでは、情報提供端子32が電池3の温度端子である場合について説明しているが、これに限定されない。例えば、情報提供端子32は、電池3の異常を通知するための異常通知用端子、または、電池3に関する情報を提供する通信端子等であってもよい。当該通信端子が通信装置1に提供する情報としては、例えば、電池3の残量または電池3の充電量等が挙げられる。その場合、電池3は、温度検出部33に替えて、電池の異常、電池3の残量や充電量を検出する検出部を備えている。
【0035】
情報取得端子12は、電池3の温度端子と接続される。判定部182は、情報取得端子12を介して電池3の温度情報を取得する。具体的には、判定部182は、情報取得端子12の電圧を検知することにより、検知した情報取得端子12の電圧から電池3の温度を判定する。ステップS6では、判定部182は、情報取得端子12から取得した電池3の温度情報が所定電圧範囲に含まれるか否かを判定することになる。
【0036】
情報取得端子12に電池3の温度端子が接続されている場合、所定範囲の電圧値を取得するが、検査治具2が接続されている場合、情報取得端子12は開放状態となり、所定範囲外の電圧を取得する。このとき、情報取得端子12の電圧から判定される電池3の温度は、例えば、-30℃未満である。これは、電池3の温度が実際に-30℃未満となっているわけではなく、情報取得端子12の電圧値が、通常の使用状態において温度端子から出力されることのない温度を示すということである。
【0037】
判定部182は、情報取得端子12の電圧が、所定電圧範囲に含まれると判定した場合(S6でYES)、判定部182は、電源端子11の接続先が電池3の電力供給端子31であると判定する。このとき、判定部182は、記憶部19に電源オンフラグがセットされているか否かを判定する(S7)。
【0038】
電源オンフラグは、上述の通り、通信装置1の電源がオンの状態となったときに記憶部19に書き込まれるフラグである。電池3を通信装置1に再装着したときに電源オンフラグがセットされているということは、(1)通信装置1の電源がオン状態で電池3が取り外された、または、(2)先の検査で検査治具2が通信装置1に装着され、通信装置1の電源がオン状態となり、検査終了後、電源スイッチ14をオフせず検査治具2が取り外されたことである。
【0039】
判定部182が、記憶部19に電源オンフラグがセットされていないと判定した場合(S7でNO)、電源制御部183は、電源スイッチ14をオフ状態にすることにより、通信装置1の電源をオフにする処理を実行して電源維持信号をローレベルにする(S8)。ステップS8の処理の後、
図4に示すステップS15の処理に移る。判定部182が、記憶部19に電源オンフラグがセットされていると判定した場合(S7でYES)、ステップS9の処理に移る。
【0040】
判定部182は、情報取得端子12の電圧が、所定電圧範囲に含まれないと判定した場合(S6でNO)、判定部182は、電源端子11の接続先が検査治具2であると判定する。これにより、情報取得端子12から出力される所定電圧範囲に基づき、電源端子11の接続先が検査治具2であることを適切に判定することができる。また、このとき、判定部182は、通信装置1の電源をオンにする処理を実行して電源オンフラグのセットを維持する(S9)。通信装置1に検査治具2が接続された場合、電源オンフラグがセットされているか否かに関わらず、電源制御部183は、電源をオンする処理を実行する。
【0041】
ステップS6の通り、判定部182は、情報取得端子12の出力に応じて電源端子11の接続先を判定する。判定部182は、情報取得端子12を用いて電池3の温度情報を取得し、取得した電池3の温度情報に基づき電源端子11の接続先を判定するため、電源端子11の接続先を容易に判定することができる。
【0042】
また、ステップS6において、判定部182は、情報取得端子12の電圧を検知し、検知した情報取得端子12の電圧に基づき電源端子11の接続先を判定する。情報取得端子12が開放されている場合における判定部182が検知する情報取得端子12の電圧は、情報取得端子12が電池3の情報提供端子32と接続されている場合における判定部182が検知する情報取得端子12の電圧と大きく異なる。
【0043】
ここで、判定部182が検知した情報取得端子12の電圧に基づき判定を行うことにより、情報取得端子12が開放されている場合において、検査治具2が電源端子11と接続されていると判定することができる。
【0044】
さらに、ステップS9の通り、電源制御部183は、判定部182にて電源端子11の接続先が検査治具2であると判定されたとき通信装置1の電源をオンにする。この構成により、通信装置1を検査するために検査治具2を通信装置1に接続すると、通信装置1の電源オンフラグがセットされているか否かに関わらず、電源が自動的にオンになる。
【0045】
このため、通信装置1の電源スイッチ14を人手による操作を行うことなく、検査治具2を通信装置1に接続するだけで通信装置1の電源をオンにすることができる。したがって、通信装置1の検査にあたり、製造工程または検査工程の途中で電源スイッチ14を操作して電源をオンにする必要がなくなるため、通信装置1の検査工程の自動化、無人化、ロボット化を実現することができる。
【0046】
ステップS9の処理の後、判定部182は、電源スイッチ14が押されたか否かを判定する(S10)。具体的には、判定部182は、信号処理部181によって取得された電源スイッチオン信号から、電源スイッチ14が操作されたか否かを判定する。電源スイッチオン信号が取得された場合、電源スイッチ14が押されたことになり、電源スイッチオン信号が取得されない場合、電源スイッチ14が押されていないことになる。ステップS10で電源スイッチ14が押されるということは、通信装置1の電源をオフすることである。
【0047】
判定部182は、電源スイッチ14が押されたと判定した場合(S10でYES)、
図4に示すステップS13の処理に移る。判定部182は、電源スイッチ14が押されていないと判定した場合(S10でNO)、判定部182は、電源端子11の電圧が所定閾値未満であるか否かを判定する(S11)。
【0048】
判定部182は、電源端子11の電圧が所定閾値以上と判定した場合(S11でNO)、判定部182は、通信装置1から電池3または検査治具2が取り外されたか否かを判定する(S12)。つまり、判定部182は、電力供給端子31と電源端子11との接続、及び、情報提供端子32と情報取得端子12との接続が切れたか否かを判定する。また、判定部182は、検査治具2と電源端子11との接続が切れたか否かを判定する。判定部182は、電源端子11の電圧及び情報取得端子12の電圧を検知することにより、これらの接続が切れたか否かを判定することができる。
【0049】
判定部182は、通信装置1から電池3または検査治具2が取り外されたと判定した場合(S12でYES)、
図4に示すステップS15の処理に移る。判定部182は、通信装置1から電池3または検査治具2が取り外されていないと判定した場合(S12でNO)、ステップS10の処理に戻る。
【0050】
判定部182は、電源端子11の電圧が所定閾値未満と判定した場合(S11でYES)、
図4に示すように、判定部182は、記憶部19に記憶されている電源オンフラグを削除する(S13)。判定部182が電源オンフラグを削除した後、電源制御部183は、電源スイッチ14をオフ状態にすることにより、通信装置1の電源をオフにする処理を実行して電源維持信号をローレベルにする(S14)。
【0051】
電源制御部183が通信装置1の電源をオフにする処理を実行して電源維持信号をローレベルにすることにより、通信装置1への電力供給が停止する(S15)。これにより、電池3または検査治具2から通信装置1の各部への電力供給が停止する。
【0052】
なお、本実施形態では通信装置1について説明したが、本発明は、通信装置1に適用範囲が限定されるものではなく、通信装置1以外の電子機器にも適用されるものである。
【0053】
〔ソフトウェアによる実現例〕
通信装置1の制御ブロック(制御部18、特に信号処理部181、判定部182及び電源制御部183)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0054】
後者の場合、通信装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えているとともに、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0055】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電子機器は、電力を供給するための電力供給端子と、電池の状態を示す情報を提供するための情報提供端子とを有する電池を電源とする電子機器であって、前記電子機器への前記電池の装着時に前記電力供給端子と接続され、前記電子機器の検査時に電力供給可能な検査治具と接続される電源端子と、前記電源端子が前記電力供給端子と接続される場合に前記情報提供端子と接続され、前記電源端子が前記検査治具と接続される場合に開放される情報取得端子と、前記情報取得端子の出力に応じて前記電源端子の接続先を判定する判定部と、前記判定部にて前記接続先が前記検査治具であると判定されたとき前記電子機器の電源をオンにする電源制御部と、を備える。
【0056】
上記の構成によれば、電子機器を検査するために検査治具を電子機器に接続すると、電子機器の電源が自動的にオンになる。このため、電子機器の電源スイッチを人手による操作を行うことなく、検査治具を電子機器に接続するだけで電子機器の電源をオンにすることができる。これにより、電子機器の検査工程の自動化、無人化、ロボット化を実現することができる。
【0057】
本発明の態様2に係る電子機器は、上記態様1において、前記電池は、前記電池内部の温度を検出する温度検出部をさらに備え、前記情報提供端子は、前記温度検出部が検出した前記電池内部の温度を示す温度情報を出力する前記電池の温度端子であり、前記判定部は、前記情報取得端子を用いて前記温度情報を取得し、取得した前記温度情報に応じて前記接続先を判定することが好ましい。上記の構成によれば、電池の温度端子を用いて取得された電池の温度情報に基づき、電源端子の接続先を容易に判定することができる。
【0058】
本発明の態様3に係る電子機器では、上記態様2において、前記判定部は、前記情報取得端子から取得した前記温度情報が所定電圧範囲に含まれる場合に、前記接続先が前記電池であると判定し、前記温度情報が前記所定電圧範囲に含まれない場合に、前記接続先が前記検査治具であると判定することが好ましい。上記の構成によれば、所定電圧範囲に基づき、電源端子の接続先が検査治具であることを適切に判定することができる。
【0059】
本発明の態様4に係る電子機器では、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記判定部は、前記情報取得端子の電圧を検知し、検知した前記情報取得端子の電圧に基づき前記電源端子の接続先を判定することが好ましい。
【0060】
上記の構成において、情報取得端子が開放されている場合における判定部が検知する情報取得端子の電圧は、情報取得端子が電池の情報提供端子と接続されている場合における判定部が検知する情報取得端子の電圧と大きく異なる。ここで、判定部が検知した情報取得端子の電圧に基づき判定を行うことにより、情報取得端子が開放されている場合において、検査治具が電源端子と接続されていると判定することができる。
【0061】
本発明の態様5に係る電子機器の制御方法は、電力を供給するための電力供給端子と、電池の状態を示す情報を提供するための情報提供端子とを有する電池を電源とする電子機器の制御方法であって、前記電子機器は、前記電子機器への前記電池の装着時に前記電力供給端子と接続され、前記電子機器の検査時に電力供給可能な検査治具と接続される電源端子と、前記電源端子が前記電力供給端子と接続される場合に前記情報提供端子と接続され、前記電源端子が前記検査治具と接続される場合に開放される情報取得端子とを備え、前記電子機器が、前記情報取得端子の出力に応じて前記電源端子の接続先を判定すること、及び、前記接続先が前記検査治具であると判定されたとき前記電子機器の電源をオンにすること、を含む。上記の構成によれば、上記態様1と同様の効果を奏する。
【0062】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 通信装置(電子機器)
2 検査治具
3 電池
11 電源端子
12 情報取得端子
18 制御部
31 電力供給端子
32 情報提供端子
33 温度検出部
182 判定部
183 電源制御部