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特許7502670出力システム、出力方法、出力プログラム、及び出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】出力システム、出力方法、出力プログラム、及び出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240612BHJP
   F24F 11/47 20180101ALI20240612BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240612BHJP
【FI】
G06Q10/04
F24F11/47
F24F11/64
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022102057
(22)【出願日】2022-06-24
(65)【公開番号】P2023010617
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2021113373
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021161501
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】西村 忠史
(72)【発明者】
【氏名】泉 裕太
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩
(72)【発明者】
【氏名】芝田 拓真
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/235109(WO,A1)
【文献】特開2012-184864(JP,A)
【文献】特開2012-007834(JP,A)
【文献】特開2006-048475(JP,A)
【文献】特開2003-084805(JP,A)
【文献】特開2010-002081(JP,A)
【文献】特開2021-012479(JP,A)
【文献】特開2014-238221(JP,A)
【文献】特開2020-060338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/04
F24F 11/47
F24F 11/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象建物(90)内の対象空間(91)の環境を制御する環境制御システム(100)のシステム構成を出力する、出力システム(1)であって、
前記システム構成、及び前記環境制御システムの運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する、選出部(11)と、
前記選出部が選出した前記システム構成の候補と、前記運用条件の候補との組み合わせに対して、環境指標、及びコストを算出する、算出部(12)と、
前記算出部が算出した前記環境指標及び前記コストが所定の条件を満たすような、前記システム構成を出力する、出力部(14)と、
を備え、
前記環境指標は、温熱快適性に関する指標を含む、
出力システム(1)。
【請求項2】
前記出力部は、前記算出部が算出した前記環境指標及び前記コストが前記所定の条件を満たすような、前記運用条件をさらに出力する、
請求項1に記載の出力システム(1)。
【請求項3】
前記システム構成は、前記対象建物に設置される設備機器に関する構成、及び前記対象建物に関する構成、を含み、
前記設備機器は、空調機器を含む、
請求項1又は2に記載の出力システム(1)。
【請求項4】
前記設備機器は、さらに日射遮蔽機器、照明機器、又は発熱機器、を含む、
請求項3に記載の出力システム(1)。
【請求項5】
前記運用条件は、前記設備機器の運用スケジュールに関する条件、前記空調機器の環境目標設定に関する条件、前記設備機器の保守に関する条件、又は前記対象建物の建築部材の保守に関する条件、を含む、
請求項3に記載の出力システム(1)。
【請求項6】
前記出力部は、さらに前記空調機器の容量や性能に関する条件、前記空調機器の接続構成に関する条件、及び前記対象建物の建築部材の性能に関する条件、の内の少なくとも1以上の条件を満たすように、前記システム構成、及び前記運用条件を出力する、
請求項3に記載の出力システム(1)。
【請求項7】
前記コストは、電気料金、前記設備機器の導入費用、前記設備機器の保守費用、前記対象建物の建築部材の導入費用、又は前記対象建物の建築部材の保守費用、に相関する値、を含む、
請求項3に記載の出力システム(1)。
【請求項8】
前記環境指標は、温度、湿度、気流、清浄度、又は熱放射をさらに含む、
請求項1又は2に記載の出力システム(1)。
【請求項9】
前記温熱快適性に関する指標は、PMV(Predicted Mean Vote、予想平均温冷感申告)を含む、
請求項1又は2に記載の出力システム(1)。
【請求項10】
前記コストが満たす前記所定の条件は、前記コストが小さくなる前記システム構成、及び前記運用条件を出力するための条件である、
請求項1又は2に記載の出力システム(1)。
【請求項11】
前記選出部は、前記空調機器に関する構成である空調構成の複数の候補と、前記運用条件の複数の候補と、を交互に選出する、
請求項3に記載の出力システム(1)。
【請求項12】
記憶部(13)をさらに備え、
前記選出部は、前記空調機器に関する構成である空調構成、の複数の第1候補を選出し、
前記算出部は、前記選出部が選出した複数の前記第1候補と、予め決められた前記運用条件を含む候補との組み合わせに対して、第1環境指標、及び第1コストを算出し、
前記記憶部は、複数の前記第1候補と、前記第1環境指標及び前記第1コストと、を対応付けて記憶し、
前記出力部は、前記記憶部に記憶された前記第1環境指標及び前記第1コストが前記所定の条件を満たすような、第1空調構成を出力し、
前記第1空調構成が適用された前記環境制御システムにおいて、
前記選出部は、前記運用条件を含む、複数の第2候補を選出し、
前記算出部は、前記選出部が選出した複数の前記第2候補と、前記第1空調構成を含む候補との組み合わせに対して、第2環境指標、及び第2コストを算出し、
前記記憶部は、複数の前記第2候補と、前記第2環境指標及び前記第2コストと、を対応付けて記憶し、
前記出力部は、前記記憶部に記憶された前記第2環境指標及び前記第2コストが前記所定の条件を満たすような、第1運用条件を含む候補を出力し、
前記第1運用条件を含む候補が適用された前記環境制御システムにおいて、
前記選出部は、前記空調構成の複数の第3候補を選出し、
前記算出部は、前記選出部が選出した複数の前記第3候補と、前記第1運用条件を含む候補との組み合わせに対して、第3環境指標、及び第3コストを算出し、
前記記憶部は、複数の前記第3候補と、前記第3環境指標及び前記第3コストと、を対応付けて記憶し、
前記出力部は、前記記憶部に記憶された前記第3環境指標及び前記第3コストが前記所定の条件を満たすような、第2空調構成を出力する、
請求項11に記載の出力システム(1)。
【請求項13】
前記運用条件を含む候補は、前記空調機器を除く前記設備機器に関する構成、前記対象建物に関する構成である建物構成、前記空調機器を除く前記設備機器に関する前記運用条件、及び前記建物構成に関する前記運用条件、を含む、
請求項12に記載の出力システム(1)。
【請求項14】
前記選出部は、前記空調構成の複数の候補を、局所探索法により選出し、前記運用条件を含む複数の候補を、ベイズ最適化により選出する、
請求項12に記載の出力システム(1)。
【請求項15】
前記環境指標、及び前記コストが所定の値となる日時を抽出する、抽出部、
をさらに備え、
前記第1空調構成が適用された前記環境制御システムにおいて、
前記算出部は、前記第1空調構成と、前記運用条件を含む候補との組み合わせに対して、第4環境指標、及び第4コストを算出し、
前記抽出部は、前記算出部によって算出された前記第4環境指標及び前記第4コストが所定の値となる第1日時を抽出し、
前記選出部は、前記第1日時における、前記運用条件を含む、複数の第2候補を選出する、
請求項12に記載の出力システム(1)。
【請求項16】
対象建物(90)内の対象空間(91)の環境を制御する環境制御システム(100)のシステム構成出力をコンピュータによって実現するための、出力方法であって、
前記コンピュータが、前記システム構成、及び前記環境制御システムの運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する、選出ステップ(S12,S18,S32,S37)と、
前記コンピュータが、前記選出ステップにおいて選出した前記システム構成の候補と、前記運用条件の候補との組み合わせに対して、環境指標、及びコストを算出する、算出ステップ(S14,S19,S33)と、
前記コンピュータが、前記算出ステップにおいて算出した前記環境指標及び前記コストが所定の条件を満たすような、前記システム構成を出力する、出力ステップ(S27、S39)と、
を備え、
前記環境指標は、温熱快適性に関する指標を含む、
出力方法。
【請求項17】
前記出力ステップは、前記算出ステップにおいて算出した前記環境指標及び前記コストが前記所定の条件を満たすような、前記運用条件をさらに出力する、
請求項16に記載の出力方法。
【請求項18】
前記コンピュータが情報を記憶する、記憶ステップ(S15,S20,S34)をさらに備え、
前記システム構成は、前記対象建物に設置される設備機器に関する構成、及び前記対象建物に関する構成、を含み、
前記設備機器は、空調機器を含み、
前記選出ステップは、前記空調機器に関する構成である空調構成、の複数の第1候補を選出し、
前記算出ステップは、前記選出ステップにおいて選出された複数の前記第1候補と、予め決められた前記運用条件を含む候補との組み合わせに対して、第1環境指標、及び第1コストを算出し、
前記記憶ステップは、複数の前記第1候補と、前記第1環境指標及び前記第1コストと、を対応付けて記憶し、
前記出力ステップは、前記記憶ステップにおいて記憶された前記第1環境指標及び前記第1コストが前記所定の条件を満たすような、第1空調構成を出力し、
前記第1空調構成が適用された前記環境制御システムにおいて、
前記選出ステップは、前記運用条件を含む、複数の第2候補を選出し、
前記算出ステップは、前記選出ステップにおいて選出された複数の前記第2候補と、前記第1空調構成を含む候補との組み合わせに対して、第2環境指標、及び第2コストを算出し、
前記記憶ステップは、複数の前記第2候補と、前記第2環境指標及び前記第2コストと、を対応付けて記憶し、
前記出力ステップは、前記記憶ステップにおいて記憶された前記第2環境指標及び前記第2コストが前記所定の条件を満たすような、第1運用条件を含む候補を出力する、
請求項17に記載の出力方法。
【請求項19】
対象建物(90)内の対象空間(91)の環境を制御する環境制御システム(100)のシステム構成の出力をコンピュータによって実現するための、出力プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記コンピュータが、前記システム構成、及び前記環境制御システムの運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する、選出ステップ(S12,S18,S32,S37)と、
前記コンピュータが、前記選出ステップにおいて選出した前記システム構成の候補と、前記運用条件の候補との組み合わせに対して、環境指標、及びコストを算出する、算出ステップ(S14,S19,S33)と、
前記コンピュータが、前記算出ステップにおいて算出した前記環境指標及び前記コストが所定の条件を満たすような、前記システム構成を出力する、出力ステップ(S27、S39)と、
を備える手段、として機能させ
前記環境指標は、温熱快適性に関する指標を含む、
出力プログラム。
【請求項20】
前記出力ステップは、前記算出ステップにおいて算出した前記環境指標及び前記コストが前記所定の条件を満たすような、前記運用条件をさらに出力する、
請求項19に記載の出力プログラム。
【請求項21】
対象建物(90)内の対象空間(91)の環境を制御する環境制御システム(100)のシステム構成の出力をコンピュータによって実現するための出力プログラム、を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(20)であって、
前記出力プログラムは、前記コンピュータを、
前記コンピュータが、前記システム構成、及び前記環境制御システムの運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する、選出ステップ(S12,S18,S32,S37)と、
前記コンピュータが、前記選出ステップにおいて選出した前記システム構成の候補と、前記運用条件の候補との組み合わせに対して、環境指標、及びコストを算出する、算出ステップ(S14,S19,S33)と、
前記コンピュータが、前記算出ステップにおいて算出した前記環境指標及び前記コストが所定の条件を満たすような、前記システム構成を出力する、出力ステップ(S27、S39)と、
を備える手段、として機能させ
前記環境指標は、温熱快適性に関する指標を含む、
出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(20)。
【請求項22】
前記出力ステップは、前記算出ステップにおいて算出した前記環境指標及び前記コストが前記所定の条件を満たすような、前記運用条件をさらに出力する、
請求項21に記載の出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出力システム、出力方法、出力プログラム、及び出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2009-20640号公報)に示されているように、空調機器に関する複数のシステム構成の中から、コストが小さくなるシステム構成を出力する技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コストは、システム構成だけでなく、運用条件にも依存する。そのため、特許文献1のように、システム構成に基づいて、コストを評価するだけでは不十分である、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の出力システムは、対象建物内の対象空間の環境を制御する環境制御システムのシステム構成を出力する。出力システムは、選出部と、算出部と、出力部と、を備える。選出部は、システム構成、及び環境制御システムの運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する。算出部は、選出部が選出したシステム構成の候補と、運用条件の候補との組み合わせに対して、環境指標、及びコストを算出する。出力部は、算出部が算出した環境指標及びコストが所定の条件を満たすような、システム構成を出力する。
【0005】
第1観点の決定システムでは、算出部は、選出部が選出したシステム構成の候補と、運用条件の候補との組み合わせに対して、環境指標、及びコストを算出する。出力部は、算出部が算出した環境指標及びコストが所定の条件を満たすような、システム構成を出力する。その結果、出力システムは、システム構成だけでなく、運用条件にも基づいて、コストを評価することができる。
【0006】
第2観点の出力システムは、第1観点の出力システムであって、出力部は、算出部が算出した環境指標及びコストが所定の条件を満たすような、運用条件をさらに出力する。
【0007】
第3観点の出力システムは、第1観点又は第2観点の出力システムであって、システム構成は、対象建物に設置される設備機器に関する構成、及び対象建物に関する構成、を含む。設備機器は、空調機器を含む。
【0008】
第4観点の出力システムは、第3観点の出力システムであって、設備機器は、さらに日射遮蔽機器、照明機器、又は発熱機器、を含む。
【0009】
第5観点の出力システムは、第3観点又は第4観点の出力システムであって、運用条件は、設備機器の運用スケジュールに関する条件、空調機器の環境目標設定に関する条件、設備機器の保守に関する条件、又は対象建物の建築部材の保守に関する条件、を含む。
【0010】
第6観点の出力システムは、第3観点から第5観点のいずれかの出力システムであって、出力部は、さらに空調機器の容量や性能に関する条件、空調機器の接続構成に関する条件、及び対象建物の建築部材の性能に関する条件、の内の少なくとも1以上の条件を満たすように、システム構成、及び運用条件を出力する。
【0011】
第7観点の出力システムは、第3観点から第6観点のいずれかの出力システムであって、コストは、電気料金、設備機器の導入費用、設備機器の保守費用、対象建物の建築部材の導入費用、又は対象建物の建築部材の保守費用、に相関する値、を含む。
【0012】
第8観点の出力システムは、第1観点から第7観点のいずれかの出力システムであって、環境指標は、温熱快適性に関する指標、温度、湿度、気流、清浄度、又は熱放射である。
【0013】
第9観点の出力システムは、第1観点から第8観点のいずれかの出力システムであって、コストが満たす所定の条件は、コストが小さくなるシステム構成、及び運用条件を出力するための条件である。
【0014】
このような構成により、第9観点の出力システムは、コストが小さくなるシステム構成、及び運用条件を、出力することができる。
【0015】
第10観点の出力システムは、第3観点から第7観点のいずれかの出力システムであって、選出部は、空調機器に関する構成である空調構成の複数の候補と、運用条件の複数の候補と、を交互に選出する。
【0016】
第11観点の出力システムは、第10観点の出力システムであって、記憶部をさらに備える。選出部は、空調機器に関する構成である空調構成、の複数の第1候補を選出する。算出部は、選出部が選出した複数の第1候補と、予め決められた運用条件を含む候補との組み合わせに対して、第1環境指標、及び第1コストを算出する。記憶部は、複数の第1候補と、第1環境指標及び第1コストと、を対応付けて記憶する。出力部は、記憶部に記憶された第1環境指標及び第1コストが所定の条件を満たすような、第1空調構成を出力する。第1空調構成が適用された環境制御システムにおいて、選出部は、運用条件を含む、複数の第2候補を選出する。算出部は、選出部が選出した複数の第2候補と、第1空調構成を含む候補の組み合わせに対して、第2環境指標、及び第2コストを算出する。記憶部は、複数の第2候補と、第2環境指標及び第2コストと、を対応付けて記憶する。出力部は、記憶部に記憶された第2環境指標及び第2コストが所定の条件を満たすような、第1運用条件を含む候補を出力する。第1運用条件を含む候補が適用された環境制御システムにおいて、選出部は、空調構成の複数の第3候補を選出する。算出部は、選出部が選出した複数の第3候補と、第1運用条件を含む候補の組み合わせに対して、第3環境指標、及び第3コストを算出する。記憶部は、複数の第3候補と、第3環境指標及び第3コストと、を対応付けて記憶する。出力部は、記憶部に記憶された第3環境指標及び第3コストが所定の条件を満たすような、第2空調構成を出力する。
【0017】
第12観点の出力システムは、第11観点の出力システムであって、運用条件を含む候補は、空調機器を除く設備機器に関する構成、建物構成、空調機器を除く設備機器に関する運用条件、及び建物構成に関する運用条件、を含む。
【0018】
第13観点の出力システムは、第11観点又は第12観点の出力システムであって、選出部は、空調構成の複数の候補を、局所探索法により選出する。選出部は、運用条件を含む複数の候補を、ベイズ最適化により選出する。
【0019】
第13観点の出力システムは、計算コストに応じて、最適化アルゴリズムを使い分けることにより、効率的に最適化問題を解くことができる。
【0020】
第14観点の出力システムは、第11観点から第13観点のいずれかの出力システムであって、抽出部をさらに備える。抽出部は、環境指標、及びコストが所定の値となる日時を抽出する。第1空調構成が適用された環境制御システムにおいて、算出部は、第1空調構成と、運用条件を含む候補との組み合わせに対して、第4環境指標、及び第4コストを算出する。抽出部は、算出部によって算出された第4環境指標及び第4コストが所定の値となる第1日時を抽出する。選出部は、第1日時における、運用条件を含む、複数の第2候補を選出する。
【0021】
このような構成により、第14観点の出力システムは、より効率的に最適化問題を解くことができる。
【0022】
第15観点の出力方法は、対象建物内の対象空間の環境を制御する環境制御システムのシステム構成を出力する。出力方法は、選出ステップと、算出ステップと、出力ステップと、を備える。選出ステップは、システム構成、及び環境制御システムの運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する。算出ステップは、選出ステップにおいて選出したシステム構成の候補と、運用条件の候補との組み合わせに対して、環境指標、及びコストを算出する。出力ステップは、算出ステップにおいて算出した環境指標及びコストが所定の条件を満たすような、システム構成を出力する。
【0023】
第16観点の出力方法は、第15観点の出力方法であって、出力ステップは、算出ステップにおいて算出した環境指標及びコストが所定の条件を満たすような、運用条件をさらに出力する。
【0024】
第17観点の出力方法は、第16観点の出力方法であって、記憶ステップをさらに備える。システム構成は、対象建物に設置される設備機器に関する構成、及び対象建物に関する構成、を含む。設備機器は、空調機器を含む。選出ステップは、空調機器に関する構成である空調構成、の複数の第1候補を選出する。算出ステップは、選出ステップにおいて選出された複数の第1候補と、予め決められた運用条件を含む候補との組み合わせに対して、第1環境指標、及び第1コストを算出する。記憶ステップは、複数の第1候補と、第1環境指標及び第1コストと、を対応付けて記憶する。出力ステップは、記憶ステップにおいて記憶された第1環境指標及び第1コストが所定の条件を満たすような、第1空調構成を出力する。第1空調構成が適用された環境制御システムにおいて、選出ステップは、運用条件を含む、複数の第2候補を選出する。算出ステップは、選出ステップにおいて選出された複数の第2候補と、第1空調構成を含む候補との組み合わせに対して、第2環境指標、及び第2コストを算出する。記憶ステップは、複数の第2候補と、第2環境指標及び第2コストと、を対応付けて記憶する。出力ステップは、記憶ステップにおいて記憶された第2環境指標及び第2コストが所定の条件を満たすような、第1運用条件を含む候補を出力する。
【0025】
第18観点の出力プログラムは、対象建物内の対象空間の環境を制御する環境制御システムのシステム構成の出力をコンピュータによって実現する。出力プログラムは、選出ステップと、算出ステップと、出力ステップと、を備える。選出ステップは、システム構成、及び環境制御システムの運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する。算出ステップは、選出ステップにおいて選出したシステム構成の候補と、運用条件の候補との組み合わせに対して、環境指標、及びコストを算出する。出力ステップは、算出ステップにおいて算出した環境指標及びコストが所定の条件を満たすような、システム構成を出力する。
【0026】
第19観点の出力プログラムは、第18観点の出力プログラムであって、出力ステップは、算出ステップにおいて算出した環境指標及びコストが所定の条件を満たすような、運用条件をさらに出力する。
【0027】
第20観点の出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、対象建物内の対象空間の環境を制御する環境制御システムのシステム構成の出力をコンピュータによって実現するための出力プログラムを記録する。出力プログラムは、選出ステップと、算出ステップと、出力ステップと、を備える。選出ステップは、システム構成、及び環境制御システムの運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する。算出ステップは、選出ステップにおいて選出したシステム構成の候補と、運用条件の候補との組み合わせに対して、環境指標、及びコストを算出する。出力ステップは、算出ステップにおいて算出した環境指標及びコストが所定の条件を満たすような、システム構成を出力する。
【0028】
第21観点の出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、第20観点の出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、出力ステップは、算出ステップにおいて算出した環境指標及びコストが所定の条件を満たすような、運用条件をさらに出力する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】システム構成の組合せ例を示す図である。
図2】出力システムの機能ブロック図である。
図3A】局所探索法を説明するための図である。
図3B1】ベイズ最適化を説明するための図である。
図3B2】ベイズ最適化を説明するための図である。
図3B3】ベイズ最適化を説明するための図である。
図3B4】ベイズ最適化を説明するための図である。
図4】選出部のデータフローを示す図である。
図5A】空調構成を最適化する場合における算出部のデータフロー図である。
図5B】建物構成、建物運用、及び空調運用を最適化する場合における算出部のデータフロー図である。
図6A】出力システムの最適化処理のフローチャートである。
図6B1】出力システムの最適化処理における局所探索法のフローチャートである。
図6B2】出力システムの最適化処理における局所探索法のフローチャートである。
図6B3】出力システムの最適化処理における局所探索法のフローチャートである。
図6C】出力システムの最適化処理におけるベイズ最適化のフローチャートである。
図6D】変形例1Cにおけるベイズ最適化のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(1)出力システムの概要
出力システム1は、環境制御システム100において、トータルコスト、及び環境指標が最適となる、環境制御システム100の構成を出力するシステムである。環境制御システム100の構成は、環境制御システム100のシステム構成(以下、単にシステム構成と記載することがある。)と、環境制御システム100の運用条件(以下、単に運用条件と記載することがある。)と、によって定まる。システム構成、及び運用条件には、それぞれ複数の組合せ候補が考えられる。システム構成の組合せを1つ定め、運用条件の組合せを1つ定めると、環境制御システム100の構成の組合せ(以下、環境制御システム100の組合せ、と記載することがある。)が1つ定まる。環境制御システム100の組合せが1つ定まると、環境制御システム100が当該組合せであるときのトータルコスト、及び環境指標が算出される。出力システム1は、環境制御システム100のトータルコスト、及び環境指標が最適となるような、環境制御システム100の組合せを出力する。言い換えると、出力システム1は、環境制御システム100の組合せをパラメータとする最適化問題を解くためのシステムである。
【0031】
本実施形態では、環境指標として、温熱快適性に関する指標を用いる。本実施形態における温熱快適性に関する指標は、PMV(予想平均温冷感申告)である。
【0032】
(2)環境制御システム
環境制御システム100は、対象建物90内の対象空間91の環境を制御する。対象建物90は、例えば、オフィスビルや、商業用ビル等である。対象空間91は、例えば、オフィス空間や、コンピュータ室等である。
【0033】
(2-1)システム構成
環境制御システム100のシステム構成は、対象建物90に設置される設備機器に関する構成を含む。本実施形態では、設備機器は、空調機器、日射遮蔽機器、照明機器、及び発熱機器、を含む。本実施形態における空調機器は、室内機、室外機、及び換気装置を含む。しかし、空調機器は、これらに限定されず、さらにチラー、冷凍機、冷却塔、ボイラー、AHU(Air Handling Unit)、FCU(Fan Coil Unit)、RTU(Roof Top Unit)、及び外調機等を含んでもよい。日射遮蔽機器は、例えば、ブラインド等である。照明機器は、例えば、シーリングライト等である。発熱機器は、例えば、OA機器である。本実施形態では、設備機器に関する構成として、空調機器に関する構成(以下、空調構成と記載することがある。)のみを最適化する。本実施形態では、日射遮蔽機器、照明機器、及び発熱機器に関する構成は変化させず、所定の構成に固定しておく。空調構成の組合せは、例えば、どの対象空間91に、どの室内機を設置するかという配置構成の組合せや、どの室内機と、どの室外機とを接続するかという接続構成の組合せである。図1は、システム構成の組合せ例を示す図である。図1における環境制御システム100は、2台の室外機81a,81bと、6台の室内機82a~82fと、2台の換気装置83a,83bと、を有している。室外機81a,81bはそれぞれ、3台の室内機82a~82c,82d~82fと、冷媒配管RP1,RP2を介して接続されている。室内機82a,82bは、対象空間91aに設置され、室外機81aと連動して、対象空間91aの空気調和を行う。室内機82c,82dは、対象空間91bに設置され、それぞれ室外機81a,81bと連動して、対象空間91bの空気調和を行う。室内機82e,82fは、対象空間91cに設置され、室外機81bと連動して、対象空間90cの空気調和を行う。換気装置83aは、対象空間91aに設置され、それぞれ対象空間91aの換気を行う。換気装置83bは、対象空間91b,91cの兼用として設置され、対象空間90b,90cの換気を行う。このような空調機器の配置構成の組合せや、空調機器の接続構成の組合せが、空調構成の1つの組合せとなる。空調構成の組合せ候補は、空調構成情報21として、最適化処理の前に、出力システム1の記憶装置20に記憶される。
【0034】
また、環境制御システム100のシステム構成は、対象建物90に関する構成を含む。対象建物90に関する構成(以下、建物構成と記載することがある。)の組合せは、対象建物90の建築部材の組合せを含む。対象建物90の建築部材は、例えば、対象空間91を形成する壁材である。図1では、対象空間91aは壁材92aによって形成されている。対象空間91bは壁材92bによって形成されている。対象空間91cは壁材92cによって形成されている。このような対象建物90の建築部材の組合せが、建物構成の1つの組合せとなる。建物構成の組合せ候補は、建物構成情報22として、最適化処理の前に、出力システム1の記憶装置20に記憶される。建物構成の組合せは、例えば、対象建物90の形状や、隣棟や、対象空間91の区画割り等に関する組合せを含んでもよい。
【0035】
(2-2)運用条件
環境制御システム100の運用条件は、設備機器の運用スケジュールに関する条件、空調機器の環境目標設定に関する条件、設備機器の保守に関する条件、及び対象建物90の建築部材の保守に関する条件、を含む。
【0036】
設備機器の運用スケジュールに関する条件は、所定期間の日時ごと、設備機器ごとに、定められる。所定期間は、例えば、1年間である。「日時ごと」は、例えば、1時間ごとである。
【0037】
設備機器が空調機器である場合、設備機器の運用スケジュールに関する条件の組合せは、例えば、どの空調機器を、所定期間のどの日時に、起動又は停止させるか等の組合せである。設備機器が空調機器である場合、設備機器の運用スケジュールに関する条件の組合せ候補は、空調運用情報24として、最適化処理の前に、出力システム1の記憶装置20に記憶される。
【0038】
設備機器が、日射遮蔽機器、照明機器、又は発熱機器である場合、設備機器の運用スケジュールに関する条件の組合せは、例えば、どの日射遮蔽機器を、所定期間のどの日時に、動作させるか等の組合せである。設備機器が、日射遮蔽機器、照明機器、又は発熱機器である場合、設備機器の運用スケジュールに関する条件の組合せ候補は、建物運用情報23として、最適化処理の前に、出力システム1の記憶装置20に記憶される。
【0039】
空調機器の環境目標設定に関する条件は、所定期間の日時ごと、空調機器ごとに、定められる。空調機器の環境目標設定に関する条件の組合せは、例えば、どの室内機及び室外機を、所定期間のどの日時に、どの設定温度や設定湿度で、稼働させるか等の組合せである。また、空調機器の環境目標設定に関する条件の組合せは、例えば、どの換気装置を、所定期間のどの日時に、どの設定換気量で稼働させるか等の組合せである。空調機器の環境目標設定に関する条件の組合せ候補は、空調運用情報24として、最適化処理の前に、出力システム1の記憶装置20に記憶される。
【0040】
設備機器の保守に関する条件は、所定期間において、設備機器ごとに定められる。
【0041】
設備機器が空調機器である場合、設備機器の保守に関する条件の組合せは、例えば、どの空調機器を、所定期間のどの日時に、メンテナンスするか等の組合せである。設備機器が空調機器である場合、設備機器の保守に関する条件の組合せ候補は、空調運用情報24として、最適化処理の前に、出力システム1の記憶装置20に記憶される。
【0042】
設備機器が、日射遮蔽機器、照明機器、又は発熱機器である場合、設備機器の保守に関する条件の組合せは、例えば、どの日射遮蔽機器を、所定期間のどの日時に、メンテナンスするか等の組合せである。設備機器が、日射遮蔽機器、照明機器、又は発熱機器である場合、設備機器の保守に関する条件の組合せ候補は、建物運用情報23として、最適化処理の前に、出力システム1の記憶装置20に記憶される。
【0043】
対象建物90の建築部材の保守に関する条件は、所定期間において、建築部材ごとに定められる。対象建物90の建築部材の保守に関する条件の組合せは、例えば、どの壁材を、所定期間のどの日時に、メンテナンスするか等の組合せである。対象建物90の建築部材の保守に関する条件の組合せ候補は、建物運用情報23として、最適化処理の前に、出力システム1の記憶装置20に記憶される。
【0044】
(3)出力システムの構成
出力システム1は、1つ又は複数のコンピュータから構成される。図2は、出力システム1の機能ブロック図である。図2に示すように、出力システム1は、制御演算装置10と、記憶装置20と、を有する。制御演算装置10は、CPUやGPU等のプロセッサである。記憶装置20は、RAM、ROM、及びフラッシュメモリ等の記憶媒体である。制御演算装置10は、記憶装置20に記憶されているプログラム(出力プログラムを含む)を読み出し、プログラムに従って所定の演算処理を行う。さらに、制御演算装置10は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置20に書き込んだり、記憶装置20に記憶されている情報を読み出したりすることができる。また、記憶装置20には、WEBブラウザや、メーラー等の一般的なアプリケーションがインストールされている。
【0045】
さらに、出力システム1は、(図示しない)入力装置と、(図示しない)出力装置と、を有する。入力装置は、例えば、キーボード、及びマウス等である。出力装置は、例えば、モニターである。
【0046】
図2に示すように、制御演算装置10は、機能ブロックとして、選出部11と、算出部12と、記憶部13と、出力部14と、を有する。選出部11と、算出部12と、記憶部13と、出力部14とは、主として、環境制御システム100の最適化問題を解くために機能する。
【0047】
(3-1)最適化問題
最適化問題では、目的関数が定義される。目的関数は、環境制御システム100の組合せの関数であり、「最適」の指標となる。出力システム1は、目的関数の値が最小になるように、環境制御システム100の組合せを出力する。本実施形態では、環境制御システム100の組合せは、システム構成の組合せと、運用条件の組合せと、を含む。システム構成の組合せにおいて、変化する組合せは、空調構成の組合せ、及び建物構成の組合せ、である。運用条件の組合せにおいて、変化する組合せは、空調運用の組合せ、及び建物運用の組合せ、である。
【0048】
本実施形態における目的関数は、トータルコストと、制約条件に関する項と、の和である。
【0049】
トータルコストは、環境制御システム100の電気料金を示す項と、設備機器の導入費用を示す項と、設備機器の保守費用を示す項と、対象建物90の建築部材の導入費用を示す項と、対象建物90の建築部材の保守費用を示す項と、の和である。トータルコストが小さくなる程、目的関数の値は小さくなる。
【0050】
制約条件に関する項は、PMVに関する制約条件を示す項と、未処理負荷に関する制約条件を示す項と、の和である。それぞれの項は、それぞれの制約条件を満たす程、項の値が小さくなるように構成される。言い換えると、それぞれの項が、それぞれの制約条件を満たす程、目的関数の値は小さくなるように構成される。PMVに関する制約条件を示す項は、環境制御システム100の組合せから算出されたPMVが、規定範囲に収まる程、項の値が小さくなるように構成される。未処理負荷に関する制約条件を示す項は、環境制御システム100の組合せから算出された未処理負荷が、基準値より小さくなる程、項の値が小さくなるように構成される。
【0051】
目的関数が最小になるような環境制御システム100の組合せを出力することは、制約条件を満たしつつ、トータルコストが最小になるような環境制御システム100の組合せを出力することに相当する。言い換えると、目的関数が最小になるような環境制御システム100の組合せを出力することは、環境制御システム100のトータルコスト、及びPMVが最適となるような、環境制御システム100の組合せを出力することに相当する。
【0052】
本実施形態では、目的関数を計算するために、シミュレーションを用いる。そのため、本実施形態の目的関数は、数学的に表現することができない。本実施形態の最適化問題は、いわゆる制約条件付きブラックボックス最適化問題に該当する。制約条件付きブラックボックス最適化問題を解く方法としては、局所探索法や、ベイズ最適化が挙げられる。局所探索法は、ベイズ最適化よりも、最適な組合せに到達するまでの探索回数は多いが、次に探索する組合せを出力するための計算コストが小さい、という性質を有する。反対に、ベイズ最適化は、局所探索法よりも、最適な組合せに到達するまでの探索回数は少ないが、次に探索する組合せを出力するための計算コストが大きい、という性質を有する。
【0053】
一方、本実施形態で使用するシミュレーションの性質から、建物構成、空調運用、及び建物運用の組合せを変化させたときの目的関数の計算コストは、空調構成の組合せのみを変化させたときの目的関数の計算コストよりも高くなる。
【0054】
そのため、本実施形態では、空調構成と、建物構成、空調運用、及び建物運用と、を交互に異なる方法で最適化する。具体的には、空調構成は、局所探索法により最適化する。空調構成を最適化している間、建物構成、空調運用、及び建物運用は、ある1つの組合せに固定しておく。また、建物構成、空調運用、及び建物運用は、ベイズ最適化により最適化する。建物構成、空調運用、及び建物運用を最適化している間、空調構成は、ある1つの組合せに固定しておく。
【0055】
以下、局所探索法と、ベイズ最適化と、について説明する。
【0056】
(3-1-1)局所探索法
図3Aは、局所探索法を説明するための図である。図3Aの横軸は空調構成の組合せを、縦軸は目的関数の値を、曲線OFは目的関数を表す。本実施形態では、局所探索法によって空調構成の組合せを最適化する場合、建物構成、空調運用、及び建物運用の組合せは固定されているため、目的関数は、実質的には、空調構成の組合せの関数となる。
【0057】
横軸方向の近さは、空調構成の組合せの近さを表す。そのため、空調構成の組合せを、横軸方向に連続的に変化させることは、空調構成の組合せの構成を、少しずつ変化させることを意味する。
【0058】
本実施形態の最適化問題は、ブラックボックス最適化問題であるため、本来目的関数の形は未知であるが、説明の都合上表示している。最適化問題の目的は、目的関数の値が最小となる、曲線OF上の点OPの組合せを見つけることである。
【0059】
局所探索法では、最初に、ランダムに組合せを1つ選出する。以下、後述する近傍探索と異なり、ランダムに組合せを1つ選出することを、初期化すると表現する。また、初期化の場合であっても、後述する近傍探索の場合であっても、選出した組合せは、その目的関数の値と対応付けて、記憶装置20に記憶される。ここでは、初期化した組合せは、図3Aの点P1であるとする。初期化した組合せは、他の組合せを探索する元となるため、探索元組合せとして設定される。ここでは、点P1の組合せが、探索元組合せとして設定される。
【0060】
次に、局所探索法では、探索元組合せの構成を少しだけ変化させた、新たな組合せを探索する。以下、この探索を、近傍探索と記載する。もし、近傍探索して選出した組合せの目的関数の値が、探索元組合せの目的関数の値よりも小さければ、近傍探索して選出した組合せを探索元組合せとして設定し、次の近傍探索を行う。一方、もし、近傍探索して選出した組合せの目的関数の値が、探索元組合せの目的関数の値以上であれば、探索元組合せは更新せず、次の近傍探索を行う。
【0061】
この近傍探索をある程度繰り返すと、当初、図3Aの点P1の組合せであった探索元組合せは、曲線を転がるように移動し、点P2の組合せを経て、やがて点P3の組合せとなる。点P3の組合せの目的関数の値は、局所的な最小値である。そのため、探索元組合せが点P3の組合せになると、これ以上近傍探索を繰り返しても、これより小さな目的関数の値をもつ組合せを見つけることができない。そこで、局所探索法は、近傍探索を所定回数(以下、探索回数T1と記載することがある。)繰り返しても、探索元組合せが変化しないことをトリガーとして、再び初期化を行う。ここでは、初期化した組合せは、図3Aの点P4であるとする。このとき、探索元組合せには、点P4の組合せが設定される。
【0062】
以降、同様にして近傍探索を繰り返すと、探索元組合せは、図3Aの点P5の組合せとなる。探索元組合せが点P5の組合せになると、これ以上近傍探索を繰り返しても、これより小さな目的関数の値となる組合せを見つけることができないため、局所探索法は、再度初期化を行う。
【0063】
局所探索法では、初期化を所定回数(以下、初期化回数T2と記載することがある。)繰り返すと、組合せの探索を終了する。
【0064】
最後に、局所探索法では、記憶装置20に蓄積された、選出した組合せと、その目的関数の値とを対応付けたデータの中から、目的関数の値が最小である組合せを、最適な組合せとして出力する。図3Aでは、点P5の組合せが、最適な組合せとして出力されることになる。
【0065】
(3-1-2)ベイズ最適化
図3B1~B4は、ベイズ最適化を説明するための図である。図3B1~B4の横軸は、建物構成、空調運用、及び建物運用の組合せを表す。本実施形態では、ベイズ最適化によって建物構成、空調運用、及び建物運用の組合せを最適化する場合、空調構成の組合せは固定されているため、目的関数は、実質的には、建物構成、空調運用、及び建物運用の組合せの関数となる。
【0066】
最適化問題の目的は、図3B1において、目的関数の値が最小となる、曲線OF上の点OPの組合せを見つけることである。
【0067】
ベイズ最適化では、最初に、ランダムに複数の組合せを選出する。ベイズ最適化においても、選出した組合せは、その目的関数の値と対応付けて、記憶装置20に記憶される。図3B1では、ランダムに選出した4つの組合せとして、点P1~P4を表示している。
【0068】
次に、ベイズ最適化では、これらの4つの組合せから、目的関数(曲線OF)を、ガウス過程を用いて予測する。図3B2では、目的関数の期待値を表す曲線EC1(1点鎖線の曲線)と、目的関数の標準偏差を表す曲線SC1(破線の曲線)によって、目的関数を予測している。ベイズ最適化では、この予測した目的関数に基づいて、次の組合せを選出する。ベイズ最適化では、例えば、予測した目的関数の標準偏差を考慮し、最も目的関数の値が小さくなる可能性がある組合せを選出する。図3B2では、点P5が選出されている。
【0069】
次に、ベイズ最適化では、これまでに選出した5つの組合せから、目的関数(曲線OF)を、ガウス過程を用いて予測する。図3B3では、目的関数の期待値を表す曲線EC2(1点鎖線の曲線)と、目的関数の標準偏差を表す曲線SC2(破線の曲線)によって、目的関数を予測している。ベイズ最適化では、この予測した目的関数に基づいて、同様にして、最も目的関数の値が小さくなる可能性がある組合せを選出する。図3B3では、点P6が選出されている。
【0070】
このような操作を所定回数(以下、探索回数T3と記載することがある。)繰り返すと、図3B4に示すように、目的関数の期待値を表す曲線EC3(1点鎖線の曲線)は、目的関数(曲線OF)に近づいていく。図3B4では、さらに、点P7~P10が選出されている。
【0071】
最後に、ベイズ最適化では、記憶装置20に蓄積された、選出した組合せと、その目的関数の値とを対応付けたデータの中から、目的関数の値が最小である組合せを、最適な組合せとして出力する。図3B4では、点P9の組合せが、最適な組合せとして出力されることになる。
【0072】
(3-2)記憶部
記憶部13は、各種情報を、記憶装置20に記憶する。図2に示すように、記憶部13は、空調構成情報21、建物構成情報22、建物運用情報23、空調運用情報24、気象情報25、初期設定情報26、最適化履歴情報27、及び快適性情報28、を記憶装置20に記憶する。
【0073】
空調構成情報21は、空調構成の組合せ候補についての情報である。記憶部13は、例えば、ユーザから入力装置を介して、空調構成情報21を、記憶装置20に記憶する。
【0074】
建物構成情報22は、建物構成の組合せ候補についての情報である。記憶部13は、例えば、ユーザから入力装置を介して、建物構成情報22を、記憶装置20に記憶する。
【0075】
建物運用情報23、及び空調運用情報24は、運用条件の組合せ候補についての情報である。記憶部13は、例えば、ユーザから入力装置を介して、建物運用情報23、及び空調運用情報24を、記憶装置20に記憶する。
【0076】
気象情報25は、後述する建物負荷シミュレーションによって、空調負荷を算出するために必要な情報である。気象情報25は、例えば、所定期間の日時ごとの、外気温度、外気湿度、日射量、及び風速等である。記憶部13は、例えば、外部サーバからのダウンロードを介して、気象情報25を記憶装置20に記憶する。
【0077】
初期設定情報26は、最適化処理の初期設定についての情報である。
【0078】
空調構成の最適化に用いる初期設定情報26は、最適化処理における初期の建物構成、建物運用、空調運用の組合せ、PMVの規定範囲、未処理負荷の基準値、局所探索法における探索回数T1、及び局所探索法における初期化回数T2を含む。記憶部13は、例えば、ユーザから入力装置を介して、空調構成の最適化に用いる初期設定情報26を記憶装置20に記憶する。
【0079】
建物構成、建物運用、及び空調運用の最適化に用いる初期設定情報26は、PMVの規定範囲、未処理負荷の基準値、及びベイズ最適化における探索回数T3を含む。記憶部13は、例えば、ユーザから入力装置を介して、建物構成、建物運用、及び空調運用の最適化に用いる初期設定情報26を記憶装置20に記憶する。
【0080】
最適化履歴情報27は、最適化処理の過程で選出した組合せと、その目的関数の値と、を対応付けて記憶した情報である。記憶部13は、最適化処理の間、選出した組合せと、その目的関数の値とを、対応付けて記憶する。記憶部13は、さらに、トータルコスト、及びPMVの値を、対応付けて記憶してもよい。
【0081】
快適性情報28は、PMVを算出するために必要な情報である。快適性情報28は、例えば、着衣量、活動量、及び風速等である。記憶部13は、例えば、ユーザから入力装置を介して、快適性情報28を記憶装置20に記憶する。
【0082】
(3-3)選出部
選出部11は、所定のアルゴリズムに従って、空調構成情報21、建物構成情報22、建物運用情報23、及び空調運用情報24から、環境制御システム100の組合せ候補を選出する。図4は、選出部11のデータフローを示す図である。
【0083】
図4の実線矢印で示すように、選出部11は、空調構成を最適化する際、空調構成情報21から、局所探索法に基づいて、空調構成の組合せ候補を選出する。これにより、空調構成の組合せのみが変化した、新たな環境制御システム100の組合せ候補が選出されることになる。
【0084】
図4の破線矢印で示すように、選出部11は、建物構成、空調運用、及び建物運用を最適化する際、建物構成情報22、建物運用情報23、及び空調運用情報24から、ベイズ最適化に基づいて、それぞれ建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せ候補を選出する。これにより、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せのみが変化した、新たな環境制御システム100の組合せ候補が選出されることになる。
【0085】
(3-4)算出部
算出部12は、選出部11が選出した環境制御システム100の組合せに対して、目的関数の値を算出する。
【0086】
本実施形態では、算出部12は、目的関数の算出過程において、建物負荷シミュレーション、及び空調シミュレーションを用いる。シミュレーション計算には、例えば、「energy+」等の既存のシミュレーションソフトを用いる。
【0087】
建物負荷シミュレーションは、建物構成の組合せと、建物運用の組合せと、空調運用の組合せと、気象情報25とから、所定期間の日時ごとに、空調負荷を算出する。言い換えると、建物負荷シミュレーションでは、空調構成の組合せが変化しても、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せが変化しない限り、算出結果は同じである。そのため、建物構成、空調運用、及び建物運用がある1つの組合せに固定される、空調構成の最適化の際は、建物負荷シミュレーションは、最初の環境制御システム100の組合せに対して、一度行うことで足りる。このことが、建物構成、空調運用、及び建物運用の組合せを変化させたときの目的関数の計算コストが、空調構成の組合せのみを変化させたときの目的関数の計算コストよりも高くなる理由である。
【0088】
空調シミュレーションは、建物負荷シミュレーションにより算出した、所定期間の日時ごとの空調負荷と、空調構成の組合せと、から、所定期間の日時ごとに、未処理負荷、及び消費電力を算出する。空調シミュレーションは、さらに所定期間の日時ごと、対象空間91ごと、に室内温度、及び室内湿度を算出することができる。空調シミュレーションは、空調構成の組合せと、建物負荷シミュレーションにより算出した空調負荷と、を用いるため、空調構成の組合せ、建物構成の組合せ、建物運用の組合せ、及び空調運用の組合せの内のどの組合せが変化しても、一般に算出結果は異なる。
【0089】
以下、空調構成の最適化の場合と、建物構成、建物運用、及び空調運用の最適化の場合と、に分けて、目的関数の算出過程を説明する。
【0090】
(3-4-1)空調構成の最適化の場合の目的関数の算出過程
空調構成を最適化する場合の目的関数の算出過程を、図5Aのデータフロー図を用いて説明する。
【0091】
算出部12は、フローD1に示すように、建物構成の組合せと、建物運用の組合せと、空調運用の組合せと、気象情報25と、に基づいて、建物負荷シミュレーションにより、所定期間の日時ごとに、空調負荷を算出する。
【0092】
算出部12は、フローD1を終えると、フローD2に示すように、空調負荷と、空調構成の組合せと、に基づいて、空調シミュレーションにより、所定期間の日時ごとに、未処理負荷と、消費電力と、を算出する。
【0093】
算出部12は、フローD2を終えると、フローD3に示すように、所定期間の日時ごとの消費電力に基づいて、所定の計算により、所定期間の日時ごとに、環境制御システム100の電気料金を算出する。
【0094】
算出部12は、フローD3を終えると、フローD4に示すように、空調構成の組合せと、建物構成の組合せと、に基づいて、所定の計算により、所定期間における、設備機器の導入費用と、対象建物90の建築部材の導入費用と、を算出する。
【0095】
算出部12は、フローD4を終えると、フローD5に示すように、建物運用の組合せと、空調運用の組合せと、に基づいて、所定の計算により、所定期間における、設備機器の保守費用と、対象建物90の建築部材の保守費用と、を算出する。
【0096】
算出部12は、フローD5を終えると、フローD6に示すように、空調運用の組合せに含まれる、所定期間の日時ごと、空調機器ごとの、設定温度と設定湿度の組合せと、快適性情報28と、に基づいて、所定の計算により、所定期間の日時ごとに、PMVを算出する。
【0097】
算出部12は、フローD6を終えると、フローD7に示すように、環境制御システム100の電気料金と、設備機器の導入費用と、対象建物90の建築部材の導入費用と、設備機器の保守費用と、対象建物90の建築部材の保守費用とを、それぞれ目的関数のトータルコストに含まれる、環境制御システム100の電気料金を示す項、設備機器の導入費用を示す項、対象建物90の建築部材の導入費用を示す項、設備機器の保守費用を示す項、及び対象建物90の建築部材の保守費用を示す項、に代入する。このとき、所定期間の日時ごとに算出された値は、所定期間単位となるように合計される。
【0098】
算出部12は、フローD7を終えると、フローD8に示すように、未処理負荷と、PMVとを、それぞれ目的関数の制約条件に関する項に含まれる、未処理負荷に関する制約条件を示す項、及びPMVに関する制約条件を示す項、に代入する。このとき、所定期間の日時ごとに算出された値は、所定期間単位となるように合計される。
【0099】
以上により、目的関数の値が算出される。
【0100】
(3-4-2)建物構成、建物運用、及び空調運用の最適化の場合の目的関数の算出過程
建物構成、建物運用、及び空調運用を最適化する場合の目的関数の算出過程を、図5Bのデータフロー図を用いて説明する。建物構成、建物運用、及び空調運用を最適化する場合の目的関数の算出過程は、空調構成を最適化する場合の目的関数の算出過程と、基本的に同様であるため、異なる部分のみを説明する。
【0101】
算出部12は、フローD1を終えると、フローD2に示すように、空調負荷と、空調構成の組合せと、に基づいて、空調シミュレーションにより、所定期間の日時ごとに、未処理負荷と、消費電力と、を算出する。このとき、算出部12は、さらに所定期間の日時ごと、対象空間91ごと、に室内温度、及び室内湿度を算出する。
【0102】
算出部12は、フローD2を終えると、フローD3を行う前に、フローD21に示すように、空調シミュレーションにより算出された未処理負荷が、基準値以上であるか否かを判断する。未処理負荷が基準値以上である場合、算出部12は、空調運用の組合せに含まれる、所定期間の日時ごと、空調機器ごとの設定温度と設定湿度の組合せを、空調シミュレーションにより算出された、所定期間の日時ごと、対象空間91ごとの室内温度と室内湿度の組合せ、に置き換えて(空調機器の設定温度と設定湿度とを、その空調機器が存在する対象空間91の室内温度と室内湿度とに置き換えて)、再度フローD1、及びフローD2を行う。言い換えると、算出部12は、空調シミュレーションにより算出された未処理負荷が、基準値よりも小さくなるまで、フローD21、フローD1、及びフローD2を繰り返す。さらに言い換えると、算出部12は、空調シミュレーションにより算出された、所定期間の日時ごと、対象空間91ごとの室内温度と室内湿度の組合せが、所定期間の日時ごと、空調機器ごとの設定温度と設定湿度の組合せに近づくまで、フローD21、フローD1、及びフローD2を繰り返す。
【0103】
算出部12は、フローD5を終えると、フローD6に示すように、空調シミュレーションにより算出された、所定期間の日時ごと、対象空間91ごとの室内温度と室内湿度の組合せと、快適性情報28と、に基づいて、所定の計算により、所定期間の日時ごとに、PMVを算出する。
【0104】
(3-5)出力部
出力部14は、最適化履歴情報27に蓄積された、環境制御システム100の組合せと、その目的関数の値と、を対応付けたデータの中から、目的関数の値が最小である環境制御システム100の組合せを、最適な環境制御システム100の組合せとして出力する。
【0105】
(4)最適化処理
出力システム1の最適化処理の一例を、図6A図6B1~B3、図6Cのフローチャートを用いて説明する。
【0106】
(4-1)全体の流れ
図6Aは、最適化処理の全体の流れを示している。
【0107】
まず、出力システム1は、環境制御システム100の組合せCM1を準備する。環境制御システム100の組合せCM1は、初期設定情報26に記憶されている、初期の建物構成の組合せ、初期の建物運用の組合せ、及び初期の空調運用の組合せ、を含む。
【0108】
出力システム1は、環境制御システム100の組合せCM1を準備すると、ステップS1に示すように、局所探索法により、環境制御システム100の組合せCM1に含まれる空調構成の組合せを最適化する。このとき、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せは、固定されている。ここでは、最適化された空調構成の組合せを、第1最適空調構成とし、第1最適空調構成を含む環境制御システム100の組合せを、環境制御システム100の組合せCM2と記載している。
【0109】
出力システム1は、環境制御システム100の組合せCM2を出力すると、ステップS2に示すように、ベイズ最適化により、環境制御システム100の組合せCM2に含まれる建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せを最適化する。このとき、空調構成の組合せは、固定されている。ここでは、最適化された建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せを、それぞれ最適建物構成、最低建物運用、及び最適空調運用とし、最適建物構成、最低建物運用、及び最適空調運用を含む環境制御システム100の組合せを、環境制御システム100の組合せCM3と記載している。
【0110】
出力システム1は、環境制御システム100の組合せCM3を出力すると、ステップS3に示すように、再び局所探索法により、環境制御システム100の組合せCM3に含まれる空調構成の組合せを最適化する。ステップS3は、ステップS2において最適化された、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せに応じた、さらに最適な空調構成の組合せを出力するために行う。このとき、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せは、固定されている。ここでは、最適化された空調構成の組合せを、第2最適空調構成とし、第2最適空調構成を含む環境制御システム100の組合せを、環境制御システム100の組合せCM4と記載している。
【0111】
最終的に出力された環境制御システム100の組合せCM4は、出力システム1における最適化問題の解となる。
【0112】
(4-2)局所探索法による空調構成の最適化
ここでは、局所探索法による空調構成の最適化を行う、ステップS1、及びステップS3の詳細を、図6B1~B3のフローチャートを用いて説明する。
【0113】
出力システム1は、ステップS11に示すように、初期化カウントを0にリセットする。初期化カウントは、初期化を行う回数を意味する。
【0114】
出力システム1は、ステップS11を終えると、ステップS12に示すように、初期化によって、空調構成の組合せを選出する。
【0115】
出力システム1は、ステップS12を終えると、ステップS13に示すように、初期化カウントに1を加える。
【0116】
出力システム1は、ステップS13を終えると、ステップS14に示すように、ステップS12で選出した空調構成の組合せの目的関数の値を算出する。
【0117】
出力システム1は、ステップS14を終えると、ステップS15に示すように、ステップS12で選出した空調構成の組合せと、その目的関数の値と、を最適化履歴情報27として、記憶装置20に記憶する。
【0118】
出力システム1は、ステップS15を終えると、ステップS16に示すように、ステップS12で選出した空調構成の組合せを、探索元組合せとして設定する。
【0119】
出力システム1は、ステップS16を終えると、ステップS17に示すように、探索カウントを0にリセットする。探索カウントは、次に初期化を行うまでに、近傍探索を行う回数を意味する。
【0120】
出力システム1は、ステップS17を終えると、ステップS18に示すように、近傍探索によって、空調構成の組合せを選出する。
【0121】
出力システム1は、ステップS18を終えると、ステップS19に示すように、ステップS18で選出した空調構成の組合せの目的関数の値を算出する。
【0122】
出力システム1は、ステップS19を終えると、ステップS20に示すように、ステップS18で選出した空調構成の組合せと、その目的関数の値と、を最適化履歴情報27として、記憶装置20に記憶する。
【0123】
出力システム1は、ステップS20を終えると、ステップS21に示すように、ステップS18で選出した空調構成の組合せの目的関数の値が、探索元組合せの目的関数の値よりも小さいか否かを判定する。ステップS18で選出した空調構成の組合せの目的関数の値が、探索元組合せの目的関数の値よりも小さい場合、ステップS22に進む。ステップS18で選出した空調構成の組合せの目的関数の値が、探索元組合せの目的関数の値よりも小さくない場合、ステップS24に進む。
【0124】
出力システム1は、ステップS21からステップS22に進むと、ステップS22に示すように、ステップS18で選出した空調構成の組合せを、探索元組合せとして設定する。
【0125】
出力システム1は、ステップS22を終えると、ステップS23に示すように、探索カウントを0にリセットする。
【0126】
一方、出力システム1は、ステップS21からステップS24に進むと、ステップS24に示すように、探索カウントに1を加える。
【0127】
出力システム1は、ステップS23、又はステップS24を終えると、ステップS25に示すように、探索カウントが、初期設定情報26に記憶されている探索回数T1よりも小さいか否かを判定する。探索カウントが、探索回数T1よりも小さい場合、ステップS18に戻り、出力システム1は、再度、近傍探索によって、空調構成の組合せを選出する。探索カウントが、探索回数T1よりも小さくない場合、ステップS26に進む。
【0128】
出力システム1は、ステップS25からステップS26に進むと、ステップS26に示すように、初期化カウントが、初期設定情報26に記憶されている初期化回数T2よりも小さいか否かを判定する。初期化カウントが、初期化回数T2よりも小さい場合、ステップS12に戻り、出力システム1は、再度、初期化によって、空調構成の組合せを選出する。初期化カウントが、初期化回数T2よりも小さくない場合、ステップS27に進む。
【0129】
出力システム1は、ステップS26からステップS27に進むと、ステップS27に示すように、最適化履歴情報27に蓄積された空調構成の組合せと、その目的関数の値と、を対応付けたデータの中から、目的関数の値が最小である空調構成の組合せを、最適な空調構成の組合せとして出力する。
【0130】
(4-3)ベイズ最適化による建物構成、建物運用、及び空調運用の最適化
ここでは、ベイズ最適化による建物構成、建物運用、及び空調運用の最適化を行う、ステップS2の詳細を、図6Cのフローチャートを用いて説明する。
【0131】
出力システム1は、ステップS31に示すように、探索カウントを0にリセットする。探索カウントは、予測した目的関数に基づいて、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せを選出する回数を意味する。
【0132】
出力システム1は、ステップS31を終えると、ステップS32に示すように、ランダムに、複数の建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せを選出する。
【0133】
出力システム1は、ステップS32を終えると、ステップS33に示すように、ステップS32で選出した、複数の建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せ、それぞれの目的関数の値を算出する。
【0134】
出力システム1は、ステップS33を終えると、ステップS34に示すように、ステップS32で選出した、複数の建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せと、それぞれの目的関数の値と、を最適化履歴情報27として、記憶装置20に記憶する。
【0135】
出力システム1は、ステップS34を終えると、ステップS35に示すように、探索カウントが、初期設定情報26に記憶されている探索回数T3よりも小さいか否かを判定する。探索カウントが、探索回数T3よりも小さい場合、ステップS36に進む。探索カウントが、探索回数T3よりも小さくない場合、ステップS39に進む。
【0136】
出力システム1は、ステップS35からステップS36に進むと、ステップS36に示すように、最適化履歴情報27に蓄積された、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せと、その目的関数の値と、を対応付けたデータに基づいて、目的関数を予測する。
【0137】
出力システム1は、ステップS36を終えると、ステップS37に示すように、予測した目的関数に基づいて、最も目的関数の値が小さくなる可能性がある、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せを選出する。
【0138】
出力システム1は、ステップS37を終えると、ステップS38に示すように、探索カウントに1を加える。
【0139】
出力システム1は、ステップS38を終えると、ステップS33に戻り、ステップS38で選出した、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せの目的関数の値を算出する。
【0140】
以降は、ステップS35において、探索カウントが、探索回数T3よりも小さくないと判定されるまで、出力システム1は、ステップS33~S38を繰り返す。
【0141】
一方、出力システム1は、ステップS35からステップS39に進むと、ステップS39に示すように、最適化履歴情報27に蓄積された、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せと、その目的関数の値と、を対応付けたデータの中から、目的関数の値が最小である建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せを、最適な建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せとして出力する。
【0142】
(5)特徴
(5-1)
従来、空調機器に関する複数のシステム構成の中から、コストが小さくなるシステム構成を出力する技術がある。コストは、システム構成だけでなく、運用条件にも依存する。そのため、従来のように、システム構成に基づいて、コストを評価するだけでは不十分である、という課題がある。
【0143】
本実施形態の出力システム1は、対象建物90内の対象空間91の環境を制御する環境制御システム100のシステム構成を出力する。出力システム1は、選出部11と、算出部12と、出力部14と、を備える。選出部11は、システム構成、及び環境制御システム100の運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する。算出部12は、選出部11が選出したシステム構成の候補と、運用条件の候補との組み合わせに対して、PMV(環境指標)、及びトータルコスト(コスト)を算出する。出力部14は、算出部12が算出したPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、システム構成を出力する。
【0144】
その結果、出力システム1は、システム構成だけでなく、運用条件にも基づいて、トータルコストを評価することができる。
【0145】
(5-2)
本実施形態の出力システム1では、出力部14は、算出部12が算出したPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、運用条件をさらに出力する。
【0146】
(5-3)
本実施形態の出力システム1では、システム構成は、対象建物90に設置される設備機器に関する構成、及び対象建物90に関する構成、を含む。設備機器は、空調機器を含む。
【0147】
(5-4)
本実施形態の出力システム1では、設備機器は、さらに日射遮蔽機器、照明機器、及び発熱機器、を含む。
【0148】
(5-5)
本実施形態の出力システム1では、運用条件は、設備機器の運用スケジュールに関する条件、空調機器の環境目標設定に関する条件、設備機器の保守に関する条件、及び対象建物90の建築部材の保守に関する条件、を含む。
【0149】
(5-6)
本実施形態の出力システム1では、トータルコストは、環境制御システム100の電気料金、設備機器の導入費用、設備機器の保守費用、対象建物90の建築部材の導入費用、及び対象建物90の建築部材の保守費用、を含む。
【0150】
(5-7)
本実施形態の出力システム1では、選出部11は、空調機器に関する構成である空調構成の複数の候補と、運用条件の複数の候補と、を交互に選出する。
【0151】
(5-8)
本実施形態の出力システム1は、記憶部13をさらに備える。選出部11は、空調機器に関する構成である空調構成、の複数の第1候補を選出する。算出部12は、選出部11が選出した複数の第1候補と、予め決められた運用条件を含む候補との組み合わせに対して、PMV、及びトータルコストを算出する。記憶部13は、複数の第1候補と、PMV及びトータルコストと、を対応付けて記憶する。出力部14は、記憶部13に記憶されたPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、第1空調構成を出力する。第1空調構成が適用された環境制御システム100において、選出部11は、運用条件を含む、複数の第2候補を選出する。算出部12は、選出部11が選出した複数の第2候補と、第1空調構成を含む候補の組み合わせに対して、PMV、及びトータルコストを算出する。記憶部13は、複数の第2候補と、PMV及びトータルコストと、を対応付けて記憶する。出力部14は、記憶部13に記憶されたPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、第1運用条件を含む候補を出力する。第1運用条件を含む候補が適用された環境制御システム100において、選出部11は、空調構成の複数の第3候補を選出する。算出部12は、選出部11が選出した複数の第3候補と、第1運用条件を含む候補の組み合わせに対して、PMV、及びトータルコストを算出する。記憶部13は、複数の第3候補と、PMV及びトータルコストと、を対応付けて記憶する。出力部14は、記憶部13に記憶されたPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、第2空調構成を出力する。
【0152】
(5-9)
本実施形態の出力システム1では、運用条件を含む候補は、空調機器を除く設備機器に関する構成、建物構成、空調機器を除く設備機器に関する運用条件、及び建物構成に関する運用条件、を含む。
【0153】
(5-10)
本実施形態の出力システム1では、選出部11は、空調構成の複数の候補を、局所探索法により選出する。選出部11は、建物構成、建物運用、及び運用条件の複数の候補を、ベイズ最適化により選出する。その結果、出力システム1は、計算コストに応じて、最適化アルゴリズムを使い分けることにより、効率的に最適化問題を解くことができる。
【0154】
(5-11)
本実施形態の出力方法は、対象建物90内の対象空間91の環境を制御する環境制御システム100のシステム構成を出力する。出力方法は、選出ステップS12,S18,S32,S37と、算出ステップS14,S19,S33と、出力ステップS27、S39と、を備える。選出ステップS12,S18,S32,S37は、システム構成、及び環境制御システム100の運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する。算出ステップS14,S19,S33は、選出ステップS12,S18,S32,S37において選出したシステム構成の候補と、運用条件の候補との組み合わせに対して、PMV、及びトータルコストを算出する。出力ステップS27、S39は、算出ステップS14,S19,S33において算出したPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、システム構成を出力する。
【0155】
(5-12)
本実施形態の出力方法では、出力ステップS27、S39は、算出ステップS14,S19,S33において算出したPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、運用条件をさらに出力する。
【0156】
(5-13)
本実施形態の出力方法は、記憶ステップS15,S20,S34をさらに備える。システム構成は、対象建物90に設置される設備機器に関する構成、及び対象建物90に関する構成、を含む。設備機器は、空調機器を含む。選出ステップS12,S18,S32,S37は、空調機器に関する構成である空調構成、の複数の第1候補を選出する。算出ステップS14,S19,S33は、選出ステップS12,S18,S32,S37において選出された複数の第1候補と、予め決められた運用条件を含む候補との組み合わせに対して、PMV、及びトータルコストを算出する。記憶ステップS15,S20,S34は、複数の第1候補と、PMV及びトータルコストと、を対応付けて記憶する。出力ステップS27、S39は、記憶ステップS15,S20,S34において記憶されたPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、第1空調構成を出力する。第1空調構成が適用された環境制御システム100において、選出ステップS12,S18,S32,S37は、運用条件を含む、複数の第2候補を選出する。算出ステップS14,S19,S33は、選出ステップS12,S18,S32,S37において選出された複数の第2候補と、第1空調構成を含む候補との組み合わせに対して、PMV、及びトータルコストを算出する。記憶ステップS15,S20,S34は、複数の第2候補と、PMV及びトータルコストと、を対応付けて記憶する。出力ステップS27、S39は、記憶ステップS15,S20,S34において記憶されたPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、第1運用条件を含む候補を出力する。
【0157】
(5-14)
本実施形態の出力プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶装置20(記録媒体)に記録される。出力プログラムは、対象建物90内の対象空間91の環境を制御する環境制御システム100のシステム構成の出力をコンピュータによって実現する。出力プログラムは、選出ステップS12,S18,S32,S37と、算出ステップS14,S19,S33と、出力ステップS27、S39と、を備える。選出ステップS12,S18,S32,S37は、システム構成、及び環境制御システム100の運用条件について、それぞれ複数の候補を選出する。算出ステップS14,S19,S33は、選出ステップS12,S18,S32,S37において選出したシステム構成の候補と、運用条件の候補との組み合わせに対して、PMV、及びトータルコストを算出する。出力ステップS27、S39は、算出ステップS14,S19,S33において算出したPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、システム構成を出力する。
【0158】
(5-15)
本実施形態の出力プログラムでは、出力ステップS27、S39は、算出ステップS14,S19,S33において算出したPMV及びトータルコストの内、目的関数が最小となるPMV及びトータルコストに対応する、運用条件をさらに出力する。
【0159】
(6)変形例
(6-1)変形例1A
本実施形態では、制約条件に関する項は、PMVに関する制約条件を示す項と、未処理負荷に関する制約条件を示す項と、を含んでいた。しかし、制約条件に関する項は、さらに、空調機器の容量や性能に関する制約条件を示す項、空調機器の接続構成に関する制約条件を示す項、及び対象建物90の建築部材の性能に関する制約条件を示す項、の内の少なくとも1以上の制約条件を示す項を含んでもよい。このとき、出力部14は、さらに空調機器の容量や性能に関する制約条件、空調機器の接続構成に関する制約条件、及び対象建物90の建築部材の性能に関する制約条件、の内の少なくとも1以上の制約条件を満たすように、システム構成、及び運用条件を出力する。
【0160】
空調機器の容量や性能に関する制約条件は、例えば、換気装置による換気量が、基準値
より大きくなるように制約する条件である。空調構成の組合せから算出される換気装置による換気量が、基準値より大きくなる程、空調機器の容量や性能に関する制約条件を示す項の値は小さくなるように構成される。
【0161】
空調機器の接続構成に関する制約条件は、例えば、互いに接続される室内機と室外機の能力が、規定範囲に収まっていることを制約する条件である。空調構成の組合せから算出される、互いに接続される室内機と室外機の能力が、規定範囲に収まる程、空調機器の接続構成に関する制約条件を示す項の値は小さくなるように構成される。
【0162】
(6-2)変形例1B
本実施形態では、制約条件に関する項は、環境指標として、PMV(温熱快適性に関する指標)に関する制約条件を示す項を含んでいた。しかし、制約条件に関する項は、さらに環境指標として、温度、湿度、気流、清浄度、又は熱放射に関する制約条件を示す項を含んでもよい。
【0163】
温度、湿度、気流、清浄度、又は熱放射に関する制約条件は、例えば、環境制御システム100の組合せから、建物負荷シミュレーション、及び空調シミュレーションを用いて算出した、所定期間の日時ごと、対象空間91ごとの温度、湿度、気流、清浄度、又は熱放射が、規定範囲に収まるように制約する条件である。環境制御システム100の組合せから算出した、温度、湿度、気流、清浄度、又は熱放射が、規定範囲に収まる程、温度、湿度、気流、清浄度、又は熱放射に関する制約条件を示す項の値は小さくなるように構成される。
【0164】
(6-3)変形例1C
本実施形態では、目的関数は、トータルコストと、PMVや未処理負荷等の制約条件に関する項と、を含んでいた。しかし、出力システム1は、制約条件に関する項を金額に変換し、トータルコストの一部として、目的関数に含めてもよい。
【0165】
このとき、制約条件に関する項に対応する金額は、当該制約条件を満たす程、低くなるように構成される。
【0166】
(6-4)変形例1D
目的関数に含まれる、設備機器の導入費用を示す項や、PMVの制約条件に関する項等の各項には、重み係数がかけられてもよい。このとき、例えば、PMVの制約条件に関する項の重み係数を大きくし、設備機器の導入費用を示す項の重み係数を小さくすることにより、設備機器の導入費用の減額よりもPMVを重視した、環境制御システム100の組合せが出力される。
【0167】
その結果、出力システム1は、目的関数に含まれる所望の項を重視した、環境制御システム100の組合せを出力することができる。
【0168】
(6-5)変形例1E
本実施形態では、ベイズ最適化により、建物構成、建物運用、及び空調運用の最適化を行った。しかし、建物運用や空調運用は、所定期間の日時ごとの組合せを含んでいるため、最適化を行う際の組合せの数は膨大である。
【0169】
そのため、建物構成、建物運用、及び空調運用の最適化は、所定の日時ごとに行ってもよい。その結果、出力システム1は、より効率的に最適化問題を解くことができる。
【0170】
このとき、出力システム1は、図2に示すように、制御演算装置10の機能ブロックとして、抽出部15をさらに有する。抽出部15は、目的関数の値が最大となる日時を抽出する。
【0171】
本変形例における、出力システム1の最適化処理の一例を、図6Dのフローチャートを用いて説明する。
【0172】
出力システム1は、ステップS41に示すように、日時抽出カウントを0にリセットする。日時抽出カウントは、抽出部15によって、日時を抽出する回数を意味する。
【0173】
出力システム1は、ステップS41を終えると、ステップS42に示すように、図6Aの環境制御システム100の組合せCM2の目的関数の値を、所定期間の日時ごとに算出し、目的関数の値が最大となる日時を抽出する。
【0174】
出力システム1は、ステップS42を終えると、ステップS43に示すように、日時抽出カウントに1を加える。
【0175】
出力システム1は、ステップS43を終えると、ステップS44に示すように、ステップS42で抽出した日時に関する、建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せのみを、ベイズ最適化によって最適化する。当該最適化は、ステップS42で抽出した日時の目的関数の値が、すべての日時の目的関数の値の中で、最大ではなくなるまで続けられる。
【0176】
出力システム1は、ステップS44を終えると、ステップS45に示すように、日時抽出カウントが、抽出回数T4よりも小さいか否かを判定する。日時抽出カウントが、抽出回数T4よりも小さい場合、ステップS42に戻り、再度、目的関数の値が最大となる日時を抽出する。日時抽出カウントが、抽出回数T4よりも小さくない場合、ステップS46に進む。
【0177】
出力システム1は、ステップS45からステップS46に進むと、ステップS46に示すように、所定期間の日時ごとに最適化された、最適な建物構成、建物運用、及び空調運用の組合せを出力する。
【0178】
言い換えると、第1空調構成が適用された環境制御システム100において、算出部12は、第1空調構成と、運用条件を含む候補との組み合わせに対して、PMV、及びトータルコストを算出する。抽出部15は、算出部12によって算出されたPMV及びトータルコストの内、目的関数が最大となるPMV及びトータルコストに対応する第1日時を抽出する。選出部11は、第1日時における、運用条件を含む、複数の候補を選出する。
【0179】
(6-6)変形例1F
本実施形態では、出力システム1は、選出部11が選出した環境制御システム100の組合せ候補、それぞれに対して、目的関数の値を算出した。しかし、出力システム1は、選出部11が選出した環境制御システム100の組合せ候補すべてに対して、目的関数の値を算出しなくてもよい。例えば、出力システム1は、組合せ候補の目的関数の値を算出する際、まずPMVを算出する。出力システム1は、当該PMVが規定範囲から極端に外れていれば、当該組合せ候補の目的関数の値を算出せず、次の組合せ候補の目的関数の値の算出に取り組む。
【0180】
その結果、出力システム1は、環境制御システム100の組合せに対して、より柔軟な条件を課すことができる。また、出力システム1は、計算コストを抑えることができる。
【0181】
(6-7)変形例1G
本実施形態では、設備機器は、空調機器に加えて、日射遮蔽機器、照明機器、及び発熱機器、を含んでいた。しかし、設備機器は、空調機器に加えて、日射遮蔽機器、照明機器、及び発熱機器、の内のすべてではなく、一部のみを含んでもよい。
【0182】
(6-8)変形例1H
本実施形態では、運用条件は、設備機器の運用スケジュールに関する条件、空調機器の環境目標設定に関する条件、設備機器の保守に関する条件、及び対象建物90の建築部材の保守に関する条件、を含んでいた。しかし、運用条件は、設備機器の運用スケジュールに関する条件、空調機器の環境目標設定に関する条件、設備機器の保守に関する条件、及び対象建物90の建築部材の保守に関する条件、の内のすべてではなく、一部のみを含んでもよい。
【0183】
(6-9)変形例1I
本実施形態では、トータルコストは、環境制御システム100の電気料金、設備機器の導入費用、設備機器の保守費用、対象建物90の建築部材の導入費用、及び対象建物90の建築部材の保守費用、を含んでいた。しかし、トータルコストは、環境制御システム100の電気料金、設備機器の導入費用、設備機器の保守費用、対象建物90の建築部材の導入費用、又は対象建物90の建築部材の保守費用、に相関する値、を含んでもよい。
【0184】
(6-10)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0185】
1 出力システム
11 選出部
12 算出部
13 記憶部
14 出力部
15 抽出部
20 記憶装置(記憶媒体)
90 対象建物
91 対象空間
100 環境制御システム
S12,S18,S32,S37 選出ステップ
S14,S19,S33 算出ステップ
S15,S20,S34 記憶ステップ
S27,S39 出力ステップ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0186】
【文献】特開2009-20640号公報
図1
図2
図3A
図3B1
図3B2
図3B3
図3B4
図4
図5A
図5B
図6A
図6B1
図6B2
図6B3
図6C
図6D