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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】高圧熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240612BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20240612BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H01L21/31 E
H01L21/22 511Q
H01L21/22 511A
H01L21/22 511S
H01L21/324 G
H01L21/324 J
H01L21/324 R
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022204717
(22)【出願日】2022-12-21
(65)【公開番号】P2023097404
(43)【公開日】2023-07-07
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0188405
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522494798
【氏名又は名称】エイチピエスピ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HPSP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】26, Samsung 1-ro 1-gil, Hwaseong-si, Gyeonggi-do, 18449, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イム グンヨン
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-016285(JP,A)
【文献】特開2005-167148(JP,A)
【文献】特開平05-299370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0084216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/22
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理のための対象物を収容するように形成された内部チャンバと、
前記内部チャンバを収容する高温区域と前記高温区域より低い温度を有する低温区域とを備える外部チャンバと、
前記内部チャンバに前記熱処理のためのプロセスガスを大気圧より高い第1圧力で供給するプロセスガスラインと、前記外部チャンバに保護ガスを前記第1圧力と関連して設定された第2圧力で供給する保護ガスラインとを備える給気モジュールと、
前記高温区域と前記低温区域を連通状態に切り替えるように構成された切り替えモジュールと、
前記連通状態で、高温区域内の前記保護ガスを低温区域に向かってパージするように構成されるパージングモジュールとを含み、
前記パージングモジュールは、
前記内部チャンバを囲むように配置されるリングボディと、
前記リングボディに形成され、入力されたパージングガスを前記内部チャンバに向かって吐出するように形成される吐出チャネルとを含み、
前記高温区域に配置され、前記プロセスガス及び前記高温区域内の前記保護ガスを加熱するヒーティングモジュールをさらに含み、
前記ヒーティングモジュールは、
前記内部チャンバを指向するように配置されるヒータと、
前記外部チャンバの内面に装着され、前記ヒータから発生する熱が前記外部チャンバの外に伝達されることを遮断する断熱ブロックとを含み、
前記吐出チャネルは、
前記断熱ブロックに向かって流動するように前記パージングガスを吐出する、高圧熱処理装置。
【請求項2】
前記吐出チャネルは、
前記リングボディの周囲方向に沿って延長形成されるループラインと、
前記ループラインに連結され、前記内部チャンバを指向するように配置される複数の分岐ラインとを含む、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項3】
前記吐出チャネルは、
前記パージングガスを前記内部チャンバと前記ヒーティングモジュールとの間の空間に吐出するように形成される、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項4】
前記給気モジュールは、
前記吐出チャネルに対して前記パージングガスを入力するパージングガスラインをさらに含む、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項5】
前記外部チャンバは、
内部空間を有するハウジングと、
前記内部空間を前記高温区域と前記低温区域に区画する区画板とをさらに含み、
前記ハウジングは、
前記区画板と共に前記低温区域を限定するカバー部をさらに含み、
前記カバー部及び前記区画板の少なくとも1つは、
前記低温区域にパージされた保護ガスを冷却するための冷却媒体を収容するものである、請求項1に記載の高圧熱処理装置。
【請求項6】
前記区画板は、
前記高温区域と前記低温区域を連通するように開口される排出ホールを備え、
前記切り替えモジュールは、
前記排出ホールに対応して形成されるホールカバーと、
前記ホールカバーを前記排出ホールを閉鎖する閉鎖位置と前記排出ホールを開放する開放位置との間で移動させる駆動ユニットとを含む、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項7】
前記外部チャンバは、
前記保護ガスが前記低温区域において前記冷却媒体と熱交換して冷却された後、前記高温区域に循環するように形成される、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項8】
前記内部チャンバ及び前記外部チャンバから前記プロセスガス及び前記保護ガスを排気するように構成される排気モジュールをさらに含み、
前記排気モジュールは、
前記パージングモジュールの作動時に前記第2圧力が維持されるように前記保護ガスを排気する、請求項1に記載の高圧熱処理装置。
【請求項9】
熱処理のための物体を収容するように形成される内部チャンバと、
前記内部チャンバを収容する外部チャンバと、
前記内部チャンバに前記熱処理のためのプロセスガスを大気圧より高い第1圧力で供給するプロセスガスラインと、前記外部チャンバに保護ガスを前記第1圧力と関連して設定された第2圧力で供給する保護ガスラインとを備える給気モジュールと、
前記外部チャンバにパージングガスを投入して、前記保護ガスをパージするように構成されるパージングモジュールとを含み、
前記パージングモジュールは、
前記内部チャンバを囲むように配置されるリングボディと、
前記リングボディに形成され、前記パージングガスを入力されて前記内部チャンバに向かって吐出するように形成される吐出チャネルとを含
前記外部チャンバに配置され、前記プロセスガス及び前記保護ガスを加熱するヒーティングモジュールをさらに含み、
前記吐出チャネルは、
前記パージングガスを前記内部チャンバと前記ヒーティングモジュールとの間の空間に吐出するように形成され、
前記ヒーティングモジュールは、
前記内部チャンバを指向するように配置されるヒータと、
前記外部チャンバの内面に装着され、前記ヒータから発生する熱が前記外部チャンバの外に伝達されることを遮断する断熱ブロックとを含み、
前記吐出チャネルは、
前記断熱ブロックに向かって流動するように前記パージングガスを吐出する
高圧熱処理装置。
【請求項10】
前記吐出チャネルは、
前記リングボディの周囲方向に沿って延長形成されるループラインと、
前記ループラインに連結され、前記内部チャンバを指向するように配置される複数の分岐ラインとを含む、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項11】
前記給気モジュールは、
前記保護ガスラインに連結され、前記吐出チャネルに対して前記パージングガスを供給するパージングガスラインをさらに含む、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項12】
前記内部チャンバ及び前記外部チャンバから前記プロセスガス及び前記保護ガスを排気するように構成される排気モジュールをさらに含み、
前記排気モジュールは、
前記パージングガスの投入時に前記第2圧力が維持されるように前記保護ガスを排気する、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧環境において対象物を熱処理するために使用される熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体製作中においてイオンインプランテーション(Ion implantation)工程はウェハの界面にダメージを発生させる。アニーリング(Annealing)は熱処理により該当ウェハのダメージを治癒する工程である。アニーリング以外にも不純物を活性化する時、薄膜(CVD)を形成する時、Ohmic接触合金工程を進行する時にも、ウェハに対して熱処理が行われる。
【0003】
熱処理時にはウェハに対してガスが作用する。該当ガスは、ウェハが収容されたチャンバに対して高圧で供給される。熱処理の終了後に、使用されたガスはチャンバから排気される。ガス排気の後に、熱処理されたウェハはチャンバから引き出される。以後、新しいウェハとガスが次の熱処理のためにチャンバに提供される。
【0004】
チャンバはガスが外部に漏れないように一定水準以上の密閉力を有する。チャンバの密閉力(及び断熱能力)はチャンバ内の熱が外部に漏れないようにするための重要な要因である。このような密閉力はチャンバの温度を下げるのには障害要因ともなる。
【0005】
具体的に、熱処理は高温で行われるので、熱処理中又は熱処理終了後にチャンバの温度を下げる必要がある。例えば、熱処理終了後に熱処理されたウェハの引き出しのためには、まずチャンバの温度が低くならなければならない。しかしながら、チャンバの密閉力により、チャンバの冷却には多くの時間が必要となる。それにより、ウェハに対する熱処理工程のタクトタイム(Tact time)が長くなる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、必要に応じて高温チャンバを急速に冷却できるようにする、高圧熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を実現するための本発明の一側面による高圧熱処理装置は、熱処理のための対象物を収容するように形成された内部チャンバ;前記内部チャンバを収容する高温区域と前記高温区域より低い温度を有する低温区域とを備える外部チャンバ;前記内部チャンバに前記熱処理のためのプロセスガスを大気圧より高い第1圧力で供給するプロセスガスラインと、前記外部チャンバに保護ガスを前記第1圧力と関して設定された第2圧力で供給する保護ガスラインとを備える給気モジュールで前記高温区域と前記低温区域とを連通状態に切り替えるように構成される切り替えモジュール;及び前記連通状態で、前記高温区域内の前記保護ガスを前記低温区域に向かってパージするように構成されるパージングモジュールを含む。
【0008】
ここで、前記パージングモジュールは、前記内部チャンバを囲むように配置されるリングボディ;及び前記リングボディに形成され、入力されたパージングガスを前記内部チャンバに向かって吐出するように形成される吐出チャネルを含む。
【0009】
ここで、前記吐出チャネルは、前記リングボディの周囲方向に沿って延長形成されるループライン;前記ループラインに連結され、前記内部チャンバを指向するように配置される複数の分岐ラインを含む。
【0010】
ここで、前記高温区域に配置され、前記プロセスガス及び前記高温区域内の前記保護ガスを加熱するヒーティングモジュールがさらに含まれ、前記吐出チャネルは、前記パージングガスを前記内部チャンバと前記ヒーティングモジュールとの間の空間に吐出するように形成される。
【0011】
ここで、前記ヒーティングモジュールは、前記内部チャンバを指向するように配置されるヒータ;及び前記外部チャンバの内面に装着され、前記ヒータから発生する熱が前記外部チャンバの外に伝達されることを遮断する断熱ブロックを含み、前記吐出チャネルは、前記断熱ブロックに向かって流動するように前記パージングガスを吐出する。
【0012】
ここで、前記給気モジュールは、前記吐出チャネルに対して前記パージングガスを入力するパージングガスラインをさらに含む。
【0013】
ここで、前記外部チャンバは、内部空間を有するハウジング;前記内部空間を前記高温区域と前記低温区域に区画する区画板をさらに含み、前記ハウジングは、前記区画板と共に前記低温区域を限定するカバー部をさらに含み、前記カバー部及び前記区画板の少なくとも1つは、前記低温区域にパージされた前記保護ガスを冷却するための冷却媒体を収容するものであり得る。
【0014】
ここで、前記区画板は、前記高温区域と前記低温区域を連通するように開口される排出ホールを備え、前記切り替えモジュールは、前記排出ホールに対応して形成されるホールカバー;及び前記ホールカバーを前記排出ホールを閉鎖する閉鎖位置と前記排出ホールを開放する開放位置との間で移動させる駆動ユニットを含む。
【0015】
ここで、前記外部チャンバは、前記保護ガスが前記低温区域において前記冷却媒体と熱交換して冷却された後、前記高温区域に循環するように形成される。
【0016】
ここで、前記内部チャンバ及び前記外部チャンバから前記プロセスガス及び前記保護ガスを排気するように構成される排気モジュールがさらに含まれ、前記排気モジュールは、前記パージングモジュールの作動時に前記第2圧力が維持されるように前記保護ガスを排気する。
【0017】
本発明の他の側面による高圧熱処理装置は、熱処理のための対象物を収容するように形成される内部チャンバ;前記内部チャンバを収容する外部チャンバ;前記内部チャンバに熱処理のためのプロセスガスを大気圧より高い第1圧力で供給するプロセスガスラインと、前記外部チャンバに保護ガスを第1圧力に関連して設定された第2圧力で供給する保護ガスラインとを備える給気モジュール;及び前記外部チャンバにパージングガスを投入して、前記保護ガスをパージするように構成されるパージングモジュールを含み、前記パージングモジュールは、前記内部チャンバを囲むように配置されるリングボディ;及び前記リングボディに形成され、前記パージングガスを入力されて前記内部チャンバに向かって吐出するように形成される吐出チャネルを含む。
【0018】
ここで、前記吐出チャネルは、前記リングボディの周囲方向に沿って延長形成されるループライン;及び前記ループラインに連結され、前記内部チャンバを指向するように配置される複数の分岐ラインを含む。
【0019】
ここで、前記外部チャンバに配置され、前記プロセスガス及び前記保護ガスを加熱するヒーティングモジュールがさらに含まれ、前記吐出チャネルは、前記パージングガスを前記内部チャンバと前記ヒーティングモジュールとの間の空間に吐出するように形成される。
【0020】
ここで、前記給気モジュールは、前記保護ガスラインに連結され、前記吐出チャネルに対して前記パージングガスを供給するパージングガスラインをさらに含む。
【0021】
ここで、前記内部チャンバ及び前記外部チャンバから前記プロセスガス及び前記保護ガスを排気するように構成される排気モジュールがさらに含まれ、前記排気モジュールは、前記パージングガスの投入時に前記第2圧力が維持されるように前記保護ガスを排気する。
【発明の効果】
【0022】
前記のように構成される本発明による高圧熱処理装置によれば、内部チャンバを収容する高温区域と低い温度を有する低温区域に区分される外部チャンバに対してパージングモジュールが吐出するパージングガスは、切り替えモジュールにより形成された通路を介して高温区域の保護ガスを低温区域に拡散するため、高温区域において加熱された保護ガスは低温区域に強制対流により移動して熱交換して冷却される。
【0023】
冷却された保護ガスも先の強制対流により迅速に高温区域に循環して高温区域及び内部チャンバを急速冷却させることができる。これにより、半導体ウェハに対する熱処理工程のタクトタイム(Tact time)を劇的に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例による高圧熱処理装置100に対する概念図である。
図2図1の高圧熱処理装置100の制御的構成を説明するためのブロック図である。
図3図1の高圧熱処理装置100の切り替えモジュール150及びパージングモジュール160に関連した構成の一状態を示した部分断面図である。
図4図3の切り替えモジュール150及びパージングモジュール160に関連した構成の他の状態を示した部分断面図である。
図5図4の区画板123に対する平面図である。
図6図3の切り替えモジュール150の一状態を示した概念図である。
図7図3の切り替えモジュール150の他の状態を示した概念図である。
図8図3のパージングモジュール160を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施例による高圧熱処理装置について添付の図面を参照して詳しく説明する。本明細書においては、異なる実施例であっても同一・類似の構成に対しては同一・類似の参照番号を付与し、その説明は最初の説明に代える。
【0026】
図1は、本発明の一実施例による高圧熱処理装置100に対する概念図である。
【0027】
本図を参照すると、高圧熱処理装置100は、内部チャンバ110、外部チャンバ120、給気モジュール130、排気モジュール140、切り替えモジュール150、及びパージングモジュール160を含む。
【0028】
内部チャンバ110は、熱処理のための対象物を収容する収容空間を形成する。内部チャンバ110は、高温と高圧の工程環境において汚染物(パーティクル)が発生する可能性を減らすために、非金属材、例えば、石英で製作することができる。図面上簡略化されているが、内部チャンバ110の下段には前記収容空間を開放するドア(図示せず)が備えられる。前記ドアが下降することにより前記収容空間が開放され、前記対象物はホルダー(図示せず)に装着されたまま内部チャンバ110に投入される。内部チャンバ110の外側に配置されるヒータ(図示せず)の作動により、内部チャンバ110の温度は数百℃に達することができる。前記対象物は、例えば、半導体ウェハであってもよい。その場合、前記ホルダーは前記半導体ウェハを複数層に積層できるウェハボート(wafer boat)であってもよい。
【0029】
外部チャンバ120は、内部チャンバ110を収容する構成である。外部チャンバ120は、内部チャンバ110とは異なり、半導体ウェハに対する汚染問題から自由であるため、金属材で製作されてもよい。外部チャンバ120は、内部チャンバ110を収容する内部空間を有するハウジング121を備える。ハウジング121も下部にはドア(図示せず)を備える。前記ドアは内部チャンバ110のドアと共に下降し、前記内部空間を開放する。
【0030】
前記内部空間は区画板123により2つの区域に区分される。区画板123の下側は内部チャンバ110が位置する高温区域125となり得る。区画板123の上側は高温区域125より低い温度を有する低温区域127となり得る。高温区域125は、前記ヒータの加熱により内部チャンバ110に匹敵する温度を有するが、低温区域127は高温区域125に比べて非常に低い温度を有する。低温区域127は冷却媒体、例えば、冷却水の影響を受ける。
【0031】
給気モジュール130はチャンバ110、120に対してガスを供給する構成である。給気モジュール130は半導体工場のユーティリティ(ガス供給設備)に連通するガス供給機131を有する。ガス供給機131は、内部チャンバ110に対してプロセスガスとして、例えば、水素/重水素、フッ素、アンモニア、塩素、窒素などを選択的に提供する。ガス供給機131は、外部チャンバ120に対しては保護ガスとして、例えば、不活性ガスである窒素を提供する。外部チャンバ120に投入された前記保護ガスは、具体的に、外部チャンバ120と内部チャンバ110の間の空間に満たされる。これらの前記プロセスガス及び前記保護ガスは、それぞれプロセスガスライン133又は保護ガスライン135を介して内部チャンバ110又は外部チャンバ120に投入される。ガス供給機131はまた、外部チャンバ120に対してパージングガスを提供することができる。前記パージングガスは、保護ガスをパージ(purge)するために外部チャンバ120、具体的に、外部チャンバ120と内部チャンバ110との間の空間に投入される。前記パージングガスは、例えば、不活性ガスである窒素であってもよい。前記パージングガスは、前記保護ガスライン135から分岐したパージングガスライン137を介して外部チャンバ120に投入される。
【0032】
前記プロセスガス及び前記保護ガスは、大気圧より高い圧力であって、例えば、数気圧ないし数十気圧に達する高圧を形成するように供給されることができる。また、前記プロセスガスの圧力が第1圧力であり、前記保護ガスの圧力が第2圧力である時、これらは設定された関係で維持されることができる。例えば、前記第2圧力が前記第1圧力より多少大きく設定されることがある。その圧力差は、前記プロセスガスが内部チャンバ110から漏れなくなる利点を提供する。前記パージングガスの供給中に前記保護ガスは部分的に排気されて、前記第2圧力はそのまま維持できる。
【0033】
排気モジュール140は、前記プロセスガス及び前記保護ガスをチャンバ110、120から排気するための構成である。内部チャンバ110から前記プロセスガスを排気するために、内部チャンバ110の上部には排気管141が連結される。排気管141は低温区域127に配置され、低温区域127から外部チャンバ120の外に延長される。排気管141にはガス排出器143が設置されてもよい。ガス排出器143は前記プロセスガスの排気を断続するバルブであってもよい。
【0034】
外部チャンバ120から前記保護ガスを排出するためにも、同様に外部チャンバ120に連通される排気管145とそれに設置されるガス排出器147が備えられる。これらの排気管141及び145は互いに連通されるため、前記プロセスガスは前記保護ガスに希釈されてその濃度が低くなって排気される。
【0035】
切り替えモジュール150は、高温区域125と低温区域127を連通状態に切り替えるための構成である。切り替えモジュール150は、区画板123の状態を切り替えるように作動して、前記連通状態にすることができる。前記連通状態になると、高温区域125の保護ガスは低温区域127に向かって流動できるようになる。
【0036】
パージングモジュール160は、高温区域125内の前記保護ガスを低温区域127に向かってパージ(purge)する構成である。パージングモジュール160は、内部チャンバ110を囲むように配置される。パージングモジュール160はまた、内部チャンバ110の下部に対応する高さに位置することができる。パージングモジュール160は、外部チャンバ120、具体的に、高温区域125に前記パージングガスを吐出する。前記パージングガスの圧力により、高温区域125内の前記保護ガスは低温区域127に強制に流動されることができる。これは、切り替えモジュール150が高温区域125と低温区域127を連通した状態であるため可能である。高温区域125に存在する前記保護ガスは低温区域127に移動して熱エネルギーを失い、再び高温区域125に回帰する。前記保護ガスの強制循環と熱交換により、高温区域125及び内部チャンバ110{及び半導体ウェハ}は急速に冷却できる。
【0037】
高圧熱処理装置100の制御的構成は、図2を参照して説明する。図2は、図1の高圧熱処理装置100の制御的構成を説明するためのブロック図である。
【0038】
本図(及び図1)を参照すると、高圧熱処理装置100は、前述の給気モジュール130などに加えて、ヒーティングモジュール170、感知モジュール180、制御モジュール190、及び格納モジュール195をさらに含む。
【0039】
ヒーティングモジュール170は、前述のヒータを含む構成である。前記ヒータは外部チャンバ120の内部空間に配置されてもよい。前記ヒータは、前記プロセスガスを加熱して工程温度に至るようにする。
【0040】
感知モジュール180はチャンバ110、120の環境を感知するための構成である。感知モジュール180は圧力ゲージ181と温度ゲージ185を備える。圧力ゲージ181及び温度ゲージ185は、チャンバ110、120ごとに設置されてもよい。
【0041】
制御モジュール190は、給気モジュール130、排気モジュール140などを制御する構成である。制御モジュール190は、感知モジュール180の感知結果に基づいて、給気モジュール130などを制御することができる。
【0042】
格納モジュール195は、制御モジュール190が制御のために参照できるデータ、プログラムなどを格納する構成である。格納モジュール195は、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスク(hard disk)、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの格納媒体を含む。
【0043】
このような構成によれば、制御モジュール190は圧力ゲージ181により得られたチャンバ110、120の圧力に基づいて、給気モジュール130の作動を制御することができる。これにより、前記プロセスガス及び前記保護ガスをチャンバ110、120に供給して、チャンバ110、120が前記第1圧力及び前記第2圧力に至るようになる。
【0044】
制御モジュール190はまた、温度ゲージ185により得られたチャンバ110、120の温度に基づいて、切り替えモジュール150及び給気モジュール130の作動を制御することができる。切り替えモジュール150及び給気モジュール130、さらにパージングモジュール160の作動は、熱処理進行中にチャンバ110、120の温度を下方調整する必要がある場合、又は熱処理が終了した場合に行われる。
【0045】
切り替えモジュール150、給気モジュール130、及びパージングモジュール160の作動による前記保護ガスの強制循環及び熱交換により、前記プロセスガスは設定温度以下に冷却される。制御モジュール190は排気モジュール140を作動させて前記冷却されたプロセスガスを排気することができる。これにより、前記プロセスガスが高温状態で排気されることで発生しうる爆発などの危険要因を先制的に除去することができる。
【0046】
制御モジュール190は、外部チャンバ120に前記パージングガスを投入する中に、排気モジュール140が前記保護ガスを部分的に排気するようにすることもできる。これにより、前記パージングガスの投入にも関わらず前記第2圧力が維持される。
【0047】
切り替えモジュール150及びパージングモジュール160の具体的な構成と作動については図3ないし図8を参照して説明する。
【0048】
まず、図3は、図1の高圧熱処理装置100の切り替えモジュール150及びパージングモジュール160に関連した構成の一状態を示した部分断面図であり、図4は、図3の切り替えモジュール150及びパージングモジュール160に関連した構成の他の状態を示した部分断面図である。本図においては、図面が複雑になることを避けるために、チャンバ110、120のドアと半導体ウェハなどに対する図示は省略する。
【0049】
本図を追加で参照すると、ハウジング121は胴部121aとカバー部121bを含む。胴部121aは概してシリンダ形態を有し、カバー部121bは胴部121aの開放された上部に対応する形態を有する。カバー部121bは、概してドーム状を有する。
【0050】
区画板123は、カバー部121bと対面したままそれに対して離隔配置される。区画板123は、胴部121aに支持されたままカバー部121bの下側に配置される。区画板123は、胴部121aと共に高温区域125を限定し、カバー部121bと共に低温区域127を限定する。
【0051】
高温区域125にはヒーティングモジュール170が配置される。ヒーティングモジュール170はヒータ171と断熱ブロック175とを含む。ヒータ171は、内部チャンバ110を指向するように配置される。ヒータ171から発生した熱は高温区域125内の前記保護ガス、そして内部チャンバ110内の前記プロセスガスを加熱する。断熱ブロック175は胴部121aの内面に装着されてもよい。断熱ブロック175は、ヒータ171の熱が胴部121a側に伝達されることを遮断する。ヒータ171は、内部チャンバ110を囲む熱線であって、断熱ブロック175に内蔵されてもよい。
【0052】
ヒータ171に対応して、区画板123の下部には断熱層123aが備えられる。断熱層123aはヒータ171と対面するようにヒーティングモジュール170の上側に配置される。断熱層123aはヒータ171から発生した熱が低温区域127に伝達されることを遮断する。
【0053】
区画板123の上部には冷却層123bが備えられる。冷却層123bは冷却媒体、例えば、冷却水を収容する空間を有する。冷却層123bに対応して、カバー部121bにも冷却水を収容する空間が備えられてもよい。カバー部121bは区画板123より多量の冷却水を収容することができる。カバー部121bは低温区域127の上部を限定するため、低温区域127に排出された保護ガスは最大に上昇すると、主にカバー部121bと熱交換するようになる。
【0054】
カバー部121b及び/又は冷却層123bに収容された冷却水は、低温区域127を冷気で充填する。これにより、低温区域127の温度は低く維持される。低温区域127に排出された保護ガスは、前記冷気と熱交換して冷却される。
【0055】
区画板123には排出ホール123cが貫通形成される。排出ホール123cは高温区域125と低温区域127を連通させる。排出ホール123cは、内部チャンバ110とヒーティングモジュール170との間の空間に対応する位置に形成される。排出ホール123cは切り替えモジュール150により開閉される。
【0056】
外部チャンバ120は、前記保護ガスが低温区域127から高温区域125に循環するように形成される。例えば、外部チャンバ120は、区画板123と胴部121aとの間、そして胴部121aとヒーティングモジュール170との間に隙間Gが形成されたものであり得る。その場合、前記保護ガスは隙間Gを介して循環できるようになる。
【0057】
パージングモジュール160は、前記パージングガスを内部チャンバ110とヒーティングモジュール170との間の空間に吐出するように形成される。前記パージングガスは内部チャンバ110において反射されて断熱ブロック175に向かって流動する。前記パージングガスは常温状態で吐出されるため、内部チャンバ110及び断熱ブロック175に蓄積された熱を冷やすことができる。
【0058】
このような構成によれば、切り替えモジュール150が排出ホール123cを閉鎖している状態(図3)では、ヒータ171から発生した熱は内部チャンバ110と高温区域125内のガスを加熱する。ヒータ171から発生した熱は断熱層123aにより低温区域127に容易に伝達されない。低温区域127は、カバー部121b及び/又は冷却層123bの冷却水によっても低温に維持される。これにより、高温区域125と低温区域127は互いに同じ圧力を有しても、相互間の温度差は大きくなる。
【0059】
前記プロセスガスを冷却しようとする場合、切り替えモジュール150の作動により排出ホール123cが開放される。パージングガスライン137及びパージングモジュール160を介して吐出される前記パージングガスは、高温区域125内の前記保護ガスを強制対流させる。前記保護ガスは排出ホール123cを介して低温区域127に流動する。高温の前記保護ガスは低温区域127において前記冷却水の冷気と熱交換して冷却される。冷却された低温の前記保護ガスは、区画板123と胴部121aとの間の隙間G{又は排出ホール123c}などを介して高温区域125に回帰することができる。
【0060】
前記保護ガスが強制対流により循環されることにより、前記プロセスガスは前記保護ガスとの熱交換により急速冷却されることができる。前記プロセスガスは十分に冷却された後、排気管141を介して外部に排気される。
【0061】
次に、図5は、図4の区画板123に対する平面図である。
【0062】
本図を参照すると、排出ホール123cは冷却層123bの中心から外れて位置する。排出ホール123cは内部チャンバ110とヒーティングモジュール170との間の空間に対応して位置するためである(図3参照)。
【0063】
冷却層123bは円板形状を有するが、排出ホール123cも円形に開口されることができる。その場合、排出ホール123cの直径(D)は冷却層123bの直径(D)に比べて特定比率を有する。具体的に、その比率は、高温区域125においての前記保護ガスが低温区域127に排出される過程で、急激な熱気排出により内部チャンバ110に熱的衝撃が加えられることを防止できる水準に決定される。
【0064】
以上では、前記保護ガスが高温区域125から低温区域127に流動する通路として排出ホール123cを例示しているが、前記通路は他の形態になることもできる。例えば、区画板123が水平軸を中心に回転または昇降するように構成されると、区画板123とハウジング121との間に開いた空間が前記通路になり得る。ここで、区画板123の回転/昇降は、切り替えモジュール150の作動により行われることができる。
【0065】
図6は、図3の切り替えモジュール150の一状態を示した概念図であり、図7は、図3の切り替えモジュール150の他の状態を示した概念図である。
【0066】
本図を追加で参照すると、切り替えモジュール150は、ホールカバー151、ヒンジ153、アクチュエータ155、及びリンク157を含む。
【0067】
ホールカバー151は排出ホール123cに対応するサイズを有する。ホールカバー151は閉鎖位置(図6)において排出ホール123cを閉鎖する。ホールカバー151は、開放位置(図7)においては排出ホール123cを開放する。
【0068】
ホールカバー151はヒンジ153により区画板123に回転可能に結合される。これにより、ホールカバー151が前記閉鎖位置と前記開放位置との間で回転できるようになる。
【0069】
ホールカバー151を移動させるために駆動ユニットが備えられる。前記駆動ユニットは、アクチュエータ155とリンク157を含む。
【0070】
アクチュエータ155は前後進運動する構成である。アクチュエータ155は、例えば、前後進作動するシリンダであってもよい。より具体的に、前記シリンダは電気モータにより作動する電動シリンダであってもよい。
【0071】
リンク157は、前記シリンダの移動部をホールカバー151と連結する構成である。リンク157の一端はホールカバー151に結合される。リンク157の他端は前記移動部に対して回転可能に結合される。リンク157の回転に対応して、リンク157及び前記移動部のうち1つには長ホールが形成され、他の1つには長ホールに移動可能に挿入されるピンが設置される。
【0072】
パージングモジュール160の具体的な構成は、図8を参照して説明する。図8は、図3のパージングモジュール160を示した平面図である。
【0073】
本図を参照すると、パージングモジュール160はリングボディ161と吐出チャネル165を含む。
【0074】
リングボディ161は概してドーナツ形状を有する。リングボディ161は内部チャンバ110を囲むように配置されるため、その中空部は内部チャンバ110が挿入されるサイズを有する。吐出チャネル165を加工するために、リングボディ161は2つのリング状のプレートが積層されたものであり得る。
【0075】
吐出チャネル165はリングボディ161に形成され、前記パージングガスが内部チャンバ110に向かって吐出される経路を提供する。吐出チャネル165は、ループライン166と分岐ライン167を有する。
【0076】
ループライン166はリングボディ161の周囲方向に沿って延長形成される。ループライン166は、例えば、円形経路を形成することができる。分岐ライン167はループライン166に連結され、内部チャンバ110を指向するように配置される。分岐ライン167は、一定の間隔を置いて配置される複数で備えられてもよい。
【0077】
ループライン166に対する前記パージングガスの入力は、入力端169を介して行われる。このために、入力端169はパージングガスライン137と連結される。入力端169はリングボディ161の底面に形成されてもよい。
【0078】
前記のような高圧熱処理装置は、前述の実施例の構成と作動方式に限定されるものではない。前記実施例は、各実施例の全部または一部が選択的に組み合わされて多様な変形ができるように構成されることもできる。
【0079】
例えば、パージングモジュール160は、切り替えモジュール150及び低温区域127を有しない外部チャンバ120において使用されることもできる。その場合、パージングモジュール160は内部チャンバ110と断熱ブロック175との間の空間にパージングガスを供給して、高温の前記保護ガスをパージすることができる。前記保護ガスはパージされることで、排気モジュール140により排気されることができる。
【符号の説明】
【0080】
100:高圧熱処理装置
110:内部チャンバ
120:外部チャンバ
121:ハウジング
123:区画板
125:高温領域
127:低温領域
130:給気モジュール
140:排気モジュール
150:切り替えモジュール
151:ホールカバー
155:アクチュエータ
160:パージングモジュール
161:リングボディ
165:吐出チャネル
170:ヒーティングモジュール
180:感知モジュール
190:制御モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8