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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】ボリルイミド触媒
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/28 20060101AFI20240612BHJP
   C08F 4/64 20060101ALI20240612BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20240612BHJP
   C07D 231/12 20060101ALN20240612BHJP
   C07D 243/08 20060101ALN20240612BHJP
   C07D 251/04 20060101ALN20240612BHJP
   C07D 255/02 20060101ALN20240612BHJP
【FI】
C07F7/28 G CSP
C08F4/64
C08F10/00 510
C07D231/12 E
C07D243/08 501
C07D251/04
C07D255/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021528435
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 GB2019053263
(87)【国際公開番号】W WO2020104779
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】18207325.4
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514163756
【氏名又は名称】エスシージー ケミカルズ パブリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】マウントフォード,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クラフ,ベンジャミン・エイ.
(72)【発明者】
【氏名】シィエ,ボーエン
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】ORGANOMETALLICS,2006年,Vol.25,pp.3888-3903
【文献】INORGANIC CHEMISTRY,2017年,Vol.56,pp.10794-10814
【文献】JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2015年,Vol.137,pp.10140-10143
【文献】JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2009年,Vol.131, No.40,pp.14162-14163及びSupporting Information
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C08F
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】
[式中、
Mは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択され、
およびXは、ハロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)アルコキシから独立して選択され、
Yは、基:
【化2】
(式中、Xは、NR 10 、OおよびSから選択されるヘテロ原子であり、
複素環式環Aは、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、(1~6C)ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、ここで、前記アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
10 は、(1~6C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)であり、
Zは、以下の配位子:
【化3】
(式中、R 12 は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)のうちの1つから選択される]。
【請求項2】
Yが、以下の基:
【化4】
(式中、各R10は、独立して、(1~6C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
のうちの1つから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
10が、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されたアリール基である、請求項または請求項に記載の化合物。
【請求項4】
10が、(1~6C)アルキルである、請求項または請求項に記載の化合物。
【請求項5】
Zが、以下の多座配位子:
【化5】
(式中、R 12 は、フェニルで任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)
のうちの1つから選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Mが、チタンである、請求項1からのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
およびXが、クロロおよびメチルから独立して選択される、請求項1からのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
およびX が、ともにクロロである、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
固体担持材料に固定化された、請求項1からのいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項10】
前記固体担持材料が、シリカ、アルミナ、ゼオライト、層状複水酸化物、メチルアルミノキサン活性化シリカ、メチルアルミノキサン活性化層状複水酸化物および固体メチルアルミノキサンから選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のオレフィンを重合するための方法であって、前記少なくとも1種のオレフィンを、請求項1からのいずれか1項に記載の化合物、または請求項もしくは請求項10に記載の組成物と接触させるステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボリルイミド触媒に関する。本発明はまた、ボリルイミド触媒を含む組成物、およびボリルイミド触媒またはボリルイミド触媒を含む組成物を使用してオレフィン(例えば、エチレン)を重合するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン(および一般にα-オレフィン)が、ある特定の遷移金属触媒の存在下、低または中圧で容易に重合され得ることは周知である。これらの触媒は、一般に、チーグラー-ナッタ型触媒として知られている。
【0003】
この分野におけるその後の触媒開発は、メタロセン触媒、幾何拘束型触媒(constrained geometry catalyst)(CGC)錯体およびより最近では、メタロセン触媒系のシクロペンタジエニル配位子のうちの1つまたは複数が異なる部分により置き換えられているポストメタロセン系の発見をもたらした[Gibson & Spitzmesser,Chem.Rev.(2003),103,283-315]。
【0004】
Adams et al.(Organometallics,2006,25(16),3888-3903)およびBigmore et al.(Chem.Commun.,2006,436-438)は、多座配位子を含有するN-アルキルまたはN-アリールイミド置換チタン錯体であるエチレン重合触媒を開示している。
【0005】
それでもなお、メタロセン、CGC錯体およびより最近ではポストメタロセン触媒により遂げられた進歩にもかかわらず、オレフィンを有効に重合することが可能な新たな非メタロセン触媒が依然として必要とされている。そのような触媒は、高活性であり、かつ高い分子量および/または低い多分散性を示すポリオレフィンをもたらすことが望ましい。
【0006】
本発明は、前述のことを念頭に置いて考案された。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
Mは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択され、
およびXは、ハロ、水素、ホスホネート、スルホネートまたはボロネート基、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリール、アリールオキシおよびヘテロシクロアルキル(例えばTHF)から独立して選択され、ここで、前記(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリールおよびアリールオキシ基は、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、(1~6C)ハロアルキル、(1~6C)アルコキシ、アリールおよびSi[(1~4C)アルキル]から選択される1つまたは複数の基で任意選択で置換されていてもよく、
Yは、BRであり、
Zは、少なくとも2個のドナー原子QによりMに配位した多座配位子であり、ここで、各Qは、N、O、SおよびPから独立して選択され、
およびRは、NR、OR、SRおよびCRから独立して選択され、
、R、R、R、R、RおよびRは、水素、(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、ここで、前記(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
またはRおよびRは、それらが結合しているホウ素原子と組み合わさって、基:
【化2】
(式中、環Aは、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、(1~6C)ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された炭素環式または複素環式環であり、ここで、前記アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
を形成するように連結している]が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、固体担持材料に固定化された本明細書に定義された式(I)による化合物を含む組成物が提供される。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、少なくとも1種のオレフィンを重合するための方法であって、少なくとも1種のオレフィンを、本明細書に定義された式(I)による構造を有する化合物と接触させるステップを含む方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[定義]
単独でまたは接頭語として使用される「(m~nC)」または「(m~nC)基」という用語は、mからn個の炭素原子を有する任意の基を指す。
【0011】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、典型的には1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル部分を指す。この用語は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルまたはイソプロピル)、ブチル(n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチル)、ペンチル、ヘキシルおよび同類のものなどの基への言及を含む。特に、アルキルは、1、2、3または4個の炭素原子を有し得る。
【0012】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、典型的には1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する直鎖の二価アルキル部分を指す。この用語は、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン(-CHCHCH-)および同類のものなどの基への言及を含む。特に、アルキレンは、1、2または3個の炭素原子を有し得る。
【0013】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、典型的には2、3、4、5または6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルケニル部分を指す。この用語は、1、2または3個の炭素-炭素二重結合(C=C)を含有するアルケニル部分への言及を含む。この用語は、エテニル(ビニル)、プロペニル(アリル)、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルなどの基、ならびにそのcisおよびtrans異性体の両方への言及を含む。
【0014】
本明細書で使用される「アルケニレン」という用語は、典型的には2、3、4、5または6個の炭素原子を有する直鎖の二価アルキレニル(alkylenyl)部分を指す。この用語は、エテニレン(-CH=CH-)、プロペニレン(-CH=CHCH-)および同類のものなどの基、ならびにそのcisおよびtrans異性体の両方への言及を含む。特に、アルケニレンは、2または3個の炭素原子を有し得る。
【0015】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、典型的には1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキニル部分を指す。この用語は、1、2または3個の炭素-炭素三重結合(C≡C)を含有するアルキニル部分への言及を含む。この用語は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルなどの基への言及を含む。
【0016】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、1つまたは複数のハロゲン(例えば、F、Cl、BrまたはI)で置換されているアルキル基を指す。この用語は、2-フルオロプロピル、3-クロロペンチルなどの基、およびペルフルオロアルキル基、例えばペルフルオロメチルへの言及を含む。
【0017】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、-O-アルキルを指し、ここで、アルキルは、直鎖または分枝鎖であり、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含む。一クラスの実施形態では、アルコキシは、1、2、3または4個の炭素原子を有する。この用語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシおよび同類のものなどの基への言及を含む。
【0018】
本明細書で使用される「アリール」または「芳香族」という用語は、6、7、8、9または10個の環炭素原子を含む芳香族環系を意味する。アリールは、多くの場合フェニルであるが、2つ以上の環を有し、その少なくとも1つが芳香族である多環式環系であってもよい。この用語は、フェニル、ナフチルおよび同類のものなどの基への言及を含む。別段の定めがない限り、アリール基は、1つまたは複数の置換基により置換されていてもよい。特に好適なアリール基は、フェニルである。
【0019】
本明細書で使用される「アリールオキシ」という用語は、-O-アリールを指し、ここで、アリールは、本明細書で論じられた定義のいずれかを有する。Oとアリール基との間に位置するアルキレン鎖を有するアリールオキシ基もまたこの用語により包含される。
【0020】
「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」という用語は、窒素、酸素または硫黄から選択される1個または複数(例えば、1~4個、特に1、2または3個)のヘテロ原子を組み込んだ芳香族単環式、二環式、または多環式環を意味する。ヘテロアリール基の例は、5から12個の環員、より通常には5から10個の環員を含有する単環式および二環式基である。ヘテロアリール基は、例えば、5員もしくは6員の単環式環または9員もしくは10員の二環式環、例えば、縮合5員および6員環または2つの縮合6員環から形成される二環式構造であり得る。各環は、典型的には窒素、硫黄および酸素から選択される最大約4個のヘテロ原子を含有し得る。典型的には、ヘテロアリール環は、最大3個のヘテロ原子、より通常には最大2個、例えば単一のヘテロ原子を含有する。
【0021】
「カルボシクリル」、「炭素環式」または「炭素環」という用語は、非芳香族の飽和または部分飽和の単環式、または縮合、架橋、もしくはスピロ二環式炭素環式環系を意味する。単環式炭素環式環は、約3から12個(好適には3から7個)の環原子を含有する。二環式炭素環は、環内に7から17個の炭素原子、好適には環内に7から12個の炭素原子を含有する。二環式炭素環式環は、縮合、スピロ、または架橋環系であり得る。炭素環式環は、アリールまたはヘテロアリール環に縮合していてもよい。
【0022】
「ヘテロシクロアルキル」、「複素環式」または「複素環」という用語は、非芳香族の飽和または部分飽和の単環式、縮合、架橋、またはスピロ二環式複素環式環系を意味する。単環式複素環式環は、約3から12個(好適には3から7個)の環原子を含有し、環内に窒素、酸素または硫黄から選択される1から5個(好適には1、2または3個)のヘテロ原子を有する。二環式複素環は、環内に7から17個の員原子、好適には7から12個の員原子を含有する。二環式複素環式環は、縮合、スピロ、または架橋環系であり得る。複素環式環は、アリールまたはヘテロアリール環に縮合していてもよい。
【0023】
本明細書で使用される「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、F、Cl、BrまたはIを指す。特に、ハロゲンは、Clであり得る。
【0024】
ある部分に関連して本明細書で使用される「置換された」という用語は、前記部分中の水素原子の1個または複数、とりわけ最大5個、さらにとりわけ1、2または3個が、互いに独立して、対応する数の記載された置換基により置き換えられていることを意味する。本明細書で使用される「任意選択で置換された」という用語は、置換されているまたは非置換であることを意味する。
【0025】
当然ながら、置換基は、化学的に可能である位置にのみ存在し、当業者は、不当な努力なしに、特定の置換が可能であるか否かを(実験的にまたは理論的に)決定できることが理解されよう。
【0026】
ボリルイミド触媒
本発明の第1の態様によれば、式Iの化合物
【化3】
[式中、
Mは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択され、
およびXは、ハロ、水素、ホスホネート、スルホネートまたはボロネート基、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリール、アリールオキシおよびヘテロシクロアルキル(例えばTHF)から独立して選択され、ここで、前記(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリールおよびアリールオキシ基は、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、(1~6C)ハロアルキル、(1~6C)アルコキシ、アリールおよびSi[(1~4C)アルキル]から選択される1つまたは複数の基で任意選択で置換されていてもよく、
Yは、BRであり、
Zは、少なくとも2個のドナー原子QによりMに配位した多座配位子であり、ここで、各Qは、N、O、SおよびPから独立して選択され、
およびRは、NR、OR、SRおよびCRから独立して選択され、
、R、R、R、R、RおよびRは、水素、(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、ここで、前記(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
または RおよびRは、それらが結合しているホウ素原子と組み合わさって、基:
【化4】
(式中、環Aは、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、(1~6C)ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された炭素環式または複素環式環であり、ここで、前記アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
を形成するように連結している]が提供される。
【0027】
イミド-窒素に結合した置換基Yは、式Iの化合物のボリル-イミド部分を定義する。ボリル-イミド部分は、本質的に環式または非環式であり得る。好適な非環式ボリル-イミド部分は、ホウ素に結合した炭素連結またはヘテロ原子連結置換基を含む。一実施形態では、RおよびRは、NR、OR、SRおよびCRから独立して選択される。一実施形態では、RおよびRは、NR、ORおよびSRから独立して選択される。さらなる実施形態では、RおよびRは、ともにNRである。別の実施形態では、RおよびRは、ともにNRであり、RおよびRは、水素、(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、ここで、前記(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている。
【0028】
好適な環式ボリル-イミド部分は、炭素環式および/または複素環式環を含む。一実施形態では、RおよびRは、それらが結合しているホウ素原子と組み合わさって、基:
【化5】
(式中、環Aは、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、(1~6C)ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された炭素環式または複素環式環であり、ここで、前記アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
を形成するように連結している。環Aは、1個または複数の不飽和結合を含み得る。環Aは、アリールまたはヘテロアリール環に任意選択で縮合していてもよい。
【0029】
好ましくは、環Aは、複素環式環である。一実施形態では、RおよびRは、それらが結合しているホウ素原子と組み合わさって、基:
【化6】
(式中、
Xは、NR10、OおよびSから選択されるヘテロ原子であり、
複素環式環Aは、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、(1~6C)ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、ここで、前記アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、R10は、(1~6C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
を形成するように連結している。
【0030】
一実施形態では、RおよびRは、それらが結合しているホウ素原子と組み合わさって、基:
【化7】
(式中、複素環式環Aは、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、(1~6C)ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、ここで、前記アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、各R10は、独立して、(1~6C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
を形成するように連結している。さらなる実施形態では、各R10は、独立して、(1~6C)アルキルまたはアリールであり、ここで、前記アリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている。別の実施形態では、各R10は、独立して、(1~6C)アルキルまたはアリールであり、ここで、前記アリール基は、(1~6C)アルキルまたは(1~6C)ハロアルキルで任意選択で置換されている。一実施形態では、環Aは、5員または6員環、例えば5員環である。
【0031】
一実施形態では、Yは、以下の基:
【化8】
(式中、各R10は、独立して、(1~6C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
のうちの1つから選択される。さらなる実施形態では、各R10は、独立して、(1~6C)アルキルまたはアリールであり、ここで、前記アリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている。別の実施形態では、各R10は、独立して、(1~6C)アルキルまたはアリールであり、ここで、前記アリール基は、(1~6C)アルキルまたは(1~6C)ハロアルキルで任意選択で置換されている。別の実施形態では、R10は、(1~6C)アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである。好ましい実施形態では、両方の場合において、R10は、同じ(1~6C)アルキルである。より好ましい実施形態では、両方のR10は、メチルである。より好ましい実施形態では、両方のR10は、イソプロピルである。
【0032】
代替的な実施形態では、R10は、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されたアリール基である。さらなる実施形態では、R10は、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される2つの置換基で置換されたアリール基である。なお、さらなる実施形態では、R10は、以下の基:
【化9】
(式中、R11は、(1~6C)アルキルまたは(1~6C)ハロアルキル、例えば(1~6C)アルキル(例えば、イソプロピル)である)である。
【0033】
好ましい実施形態では、Yは、以下の基:
【化10】
のうちの1つから選択される。
【0034】
Zは、少なくとも2個のドナー原子Qにより金属(M)に配位した多座配位子であり、ここで、各Qは、N、O、SおよびPから独立して選択される。ドナー原子Qは、金属に結合し、よって、Zは、二座、三座、四座、五座またはより高い座数の配位子であり得る。各Q原子は、同じであっても異なっていてもよい。一実施形態では、Zは、3または4個のドナー原子QによりMに配位した三座または四座配位子である。さらなる実施形態では、Zは、3個のドナー原子QによりMに配位した三座配位子である。好ましい実施形態では、各ドナー原子Qは、Nである。
【0035】
一実施形態では、Zは、式IIによる配位子:
【化11】
(式中、
、QおよびQは、NR1213または少なくとも1個の窒素原子を含有するヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、-S-(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
12およびR13は、独立して、価数が許す限り、存在しないか、水素、(1~20C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~20C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
、LおよびLは、存在しないか、結合、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
は、存在しないか、CR14、[BR15、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルキレニレン(alkylenylene)であり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
14は、存在しないか、水素、(1~6C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールであり、
15は、水素または(1~6C)アルキルである)
である。
【0036】
一実施形態では、L、LおよびLの1つまたは複数が存在しない場合、Lは、CR14、[BR15、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルキレニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている。さらなる実施形態では、L、LおよびLが存在しない場合、Lは、CR14または(1~3C)アルキレンであり、前記(1~3C)アルキレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている。代替的な実施形態では、Lが存在しない場合、L、LおよびLは、結合、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている。
【0037】
一実施形態では、Q、QおよびQは、NR1213である。Q、QまたはQの窒素原子は、窒素の標準的な三価性を有する。したがって、価数が許す限り、かつ所与の窒素原子が結合しているリンカー基(L、L、LおよびL)の数に応じて、R12およびR13のうち存在しないものはないか、その一方または両方が存在しない場合がある。例えば、QがL、LおよびLに結合している場合、R12およびR13の両方が存在せず;QがLおよびLに結合しているが、Lが存在しない場合、R12およびR13の一方が存在せず;QがLに結合しているが、LおよびLが存在しない場合、R12またはR13はいずれも存在しないことはない。
【0038】
一実施形態では、Lは、CR14であり、R14は、存在しないか、水素、(1~6C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールのいずれかである。R14が存在しない場合、Lは、Cである。換言すれば、炭素原子は、負電荷を有する。一実施形態では、Lは、CR14であり、R14は、水素である。一実施形態では、Lは、[BR15であり、R15は、水素または(1~6C)アルキル、例えば水素である。Lが、したがって、結果として配位子Zが負電荷を有する場合、式Iの化合物中の電荷のバランスを取るために、XまたはXは、中性配位子、例えば、ヘテロシクロアルキル(例えばTHF)である。
【0039】
一実施形態では、Zは、式IIAまたはIIBの配位子:
【化12】
(式中、
、QおよびQは、NR1213または少なくとも1個の窒素原子を含有するヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、-S-(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
12およびR13は、独立して、価数が許す限り、存在しないか、水素、(1~20C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~20C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
、LおよびLは、結合、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
は、CR14、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルキレニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
である。
【0040】
一実施形態では、Zは、式IIAの配位子であり、L、LおよびLは、(1~3C)アルキレンである。
【0041】
一実施形態では、Zは、式IIAの配位子であり、Q、QおよびQは、NR12であり、L、LおよびLは、(1~3C)アルキレンである。
【0042】
一実施形態では、Zは、式IICの配位子:
【化13】
(式中、L、LおよびLは、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された(1~3C)アルキレンであり、各R12は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)
である。
【0043】
一実施形態では、Zは、式IICの配位子であり、L、LおよびLは、(1~3C)アルキレンであり、各R12は、独立して、(1~20C)アルキルである。
【0044】
一実施形態では、Zは、式IIBの配位子:
【化14】
(式中、Lは、CR14、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルキレニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、Q、QおよびQは、少なくとも1個の窒素原子を含有するヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
である。
【0045】
一実施形態では、Zは、式IIBの配位子であり、Lは、CR14である。好ましい実施形態では、R14は、水素である。
【0046】
一実施形態では、Zは、式IIBの配位子であり、Q、QおよびQは、ハロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されたピラゾリルまたはピリジニル基である。好ましい実施形態では、Q、QおよびQは、1つまたは複数の(1~6C)アルキル置換基で置換されたピラゾリル基である。
【0047】
一実施形態では、Zは、式IIBの配位子であり、Lは、CR14であり、Q、QおよびQは、ハロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されたピラゾリルまたはピリジニル基である。
【0048】
一実施形態では、Zは、以下の配位子:
【化15】
(式中、R12は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)
のうちの1つから選択される。
【0049】
一実施形態では、Zは、以下の配位子:
【化16】
(式中、R12は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)
のうちの1つから選択される。
【0050】
一実施形態では、Zは、以下の配位子:
【化17】
(式中、R12は、フェニルで任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)
のうちの1つから選択される。一実施形態では、すべてのR12置換基は、メチル、ヘキシル、ドデシルまたはベンジルである(すなわち、3つすべてのR12基が、メチルである、または3つすべてのR12基が、ヘキシルである、または3つすべてのR12基が、ドデシルである、または3つすべてのR12基が、ベンジルである)。好ましい実施形態では、すべてのR12置換基は、メチルである。
【0051】
金属、Mは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択される第IV族遷移金属である。好ましい実施形態では、Mは、チタンである。
【0052】
配位子XおよびXは、ハロ、水素、ホスホネート、スルホネートまたはボロネート基、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリール、アリールオキシおよびヘテロシクロアルキル(例えばTHF)から独立して選択され、ここで、前記(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリールおよびアリールオキシ基は、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、(1~6C)ハロアルキル、(1~6C)アルコキシ、アリールおよびSi[(1~4C)アルキル]3から選択される1つまたは複数の基で任意選択で置換されていてもよい。一実施形態では、XおよびXは、ハロ、水素、ホスホネート、スルホネートまたはボロネート基、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリール、アリールオキシおよびヘテロシクロアルキルから独立して選択される。一実施形態では、XおよびXは、ハロ、水素、ホスホネート、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリール、アリールオキシおよびヘテロシクロアルキルから独立して選択される。一実施形態では、XおよびXは、ハロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)アルコキシから独立して選択される。好ましい実施形態では、XおよびXは、クロロおよびメチルから独立して選択される。さらなる好ましい実施形態では、XおよびXは、ともにクロロである。
【0053】
一実施形態では、式Iの化合物は、以下の化合物:
【化18】
(式中、Ar’は、
【化19】
である)
のうちの1つから選択される。
【0054】
一実施形態では、式Iの化合物は、以下の化合物:
【化20】
(式中、Ar’は、
【化21】
である)
のうちの1つから選択される。
【0055】
本発明は、全体の正味電荷がゼロである式Iによる化合物、および全体の正味電荷がゼロ以外であり、したがって、好適な対イオンをさらに含むそれらの化合物の両方を包含する。
【0056】
[組成物]
本発明のさらなる態様では、固体担持材料に固定化された本明細書に記載された式Iの化合物を含む組成物が提供される。
【0057】
化合物は、1つまたは複数の共有結合性またはイオン性相互作用により、直接、または好適な連結部分を介して固体担持材料に固定化され得ることが認識されよう。化合物の担持材料への固定化の結果生じる軽微な構造上の改変(例えば、XおよびX基の一方または両方の喪失)は、なおも本発明の範囲内にあることが認識されよう。好適には、固体担持材料は、シリカ、アルミナ、ゼオライト、層状複水酸化物、メチルアルミノキサン活性化シリカ、メチルアルミノキサン活性化層状複水酸化物および固体メチルアルミノキサンから選択される。最も好適には、固体担持材料は、固体メチルアルミノキサンである。
【0058】
「固体MAO」、「sMAO」および「固体ポリメチルアルミノキサン」という用語は、本明細書では同義で使用され、一般式-[(Me)AlO]-(式中、nは、4から50(例えば、10から50)の整数である)を有する固体メチルアルミノキサン材料を指す。任意の好適な固体メチルアルミノキサンが使用され得る。
【0059】
固体ポリメチルアルミノキサンと他の非固体MAOとの間には多数の実質的な構造上および挙動上の差異が存在する。おそらく最も顕著には、固体ポリメチルアルミノキサンは、炭化水素溶媒に不溶性であり、そのため、典型的にはスラリー相オレフィン重合を行うための不均一担持系として作用することから、他のMAOと区別される。本発明の組成物において有用な固体ポリメチルアルミノキサンは、トルエンおよびヘキサンに不溶性である。
【0060】
一実施形態では、固体ポリメチルアルミノキサンのアルミニウム含有率は、36~41wt%の範囲内にある。
【0061】
本発明の一部として有用な固体ポリメチルアルミノキサンは、トルエンおよびn-ヘキサンへの極めて低い溶解度を特徴とする。一実施形態では、固体ポリメチルアルミノキサンの25℃のn-ヘキサンへの溶解度は、0~2mol%である。好適には、固体ポリメチルアルミノキサンの25℃のn-ヘキサンへの溶解度は、0~1mol%である。より好適には、固体ポリメチルアルミノキサンの25℃のn-ヘキサンへの溶解度は、0~0.2mol%である。あるいは、または加えて、固体ポリメチルアルミノキサンの25℃のトルエンへの溶解度は、0~2mol%である。好適には、固体ポリメチルアルミノキサンの25℃のトルエンへの溶解度は、0~1mol%である。より好適には、固体ポリメチルアルミノキサンの25℃のトルエンへの溶解度は、0~0.5mol%である。溶媒への溶解度は、特公平7-42301号公報に記載された方法により測定することができる。
【0062】
[オレフィン重合方法]
本発明のさらなる態様では、少なくとも1種のオレフィンを重合するための方法であって、少なくとも1種のオレフィンを、本明細書に記載された本発明の化合物または組成物と接触させるステップを含む方法が提供される。
【0063】
一実施形態では、少なくとも1種のオレフィンは、少なくとも1種の(2~10C)アルケンである。
【0064】
一実施形態では、少なくとも1種のオレフィンは、少なくとも1種のα-オレフィンである。
【0065】
一実施形態では、少なくとも1種のオレフィンは、エテンおよび任意選択で1種または複数の他の(3~10C)アルケンである。任意選択の1種または複数の他の(3~10C)アルケンが存在する場合、重合方法は、共重合方法である。好適な任意選択の1種または複数の他の(3~10C)アルケンは、1-ヘキセン、スチレンおよびメタクリル酸メチルを含む。
【0066】
一実施形態では、重合方法は、単独重合方法であり、少なくとも1種のオレフィンは、エテンである。
【0067】
一実施形態では、該方法は、トルエン、ヘキサンおよびヘプタンから選択される溶媒中で実行される。
【0068】
一実施形態では、該方法は、1分から96時間の期間実行される。好適には、該方法は、5分から72時間、例えば5分から4時間の期間実行される。
【0069】
一実施形態では、該方法は、0.9から10barの圧力で実行される。好適には、該方法は、1.5から3barの圧力で実行される。
【0070】
一実施形態では、該方法は、15から120℃の温度で実行される。好適には、該方法は、40から100℃の温度で実行される。一実施形態では、該方法は、15から30℃の温度で実行される。代替的な実施形態では、重合方法は、少なくとも1種のオレフィンを、固体担持材料に固定化された本発明の化合物を含む組成物と、50℃、60℃または70℃のいずれかの温度で接触させるステップを含む。
【0071】
一実施形態では、該方法は、共触媒の存在下で実行される。好適には、共触媒は、1種または複数の有機アルミニウム化合物である。より好適には、1種または複数の有機アルミニウム化合物は、アルキルアルミノキサン(例えば、メチルアルミニウムオキサン)、トリイソブチルアルミニウムおよびトリエチルアルミニウムから選択される。
【0072】
さらなる添加剤、例えば追加の捕捉剤、安定剤または担体をオレフィン重合方法に任意選択で含めてもよいことが当業者には認識されよう。
【0073】
本発明による重合方法は、スラリー相または溶液相方法として実施され得る。固体担持材料に固定化された式(I)による化合物の使用は、スラリー相方法に好ましいのに対し、式(I)による非担持触媒化合物は、溶液相方法に好ましい。
【0074】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載された方法により直接得られる、得られる、または得ることが可能なポリオレフィンを提供する。式Iによる触媒化合物は、本明細書に記載された方法において使用された場合、高い分子量および/または低い多分散性(比較的低いM/M値により実証される)を有するポリオレフィン(例えばポリエチレン)を生じさせる。一実施形態では、ポリオレフィンは、1×10g/mol超、例えば2×10g/mol超、好ましくは3×10g/mol超の平均分子量を有する。一実施形態では、ポリオレフィンは、15未満、例えば10未満、好ましくは5未満のM/M値を有する。一実施形態では、ポリオレフィンは、1×10g/mol超の平均分子量および15未満のM/M値を有する。さらなる実施形態では、ポリオレフィンは、2×10g/mol超の平均分子量および10未満のM/M値を有する。好ましい実施形態では、ポリオレフィンは、3×10g/mol超の平均分子量および5未満のM/M値を有する。
【0075】
以下の番号を付したステートメント1~48は、特許請求の範囲ではなく、代わりに本発明の様々な態様および実施形態を記載するものである。
【0076】
1.式Iの化合物:
【化22】
[式中、
Mは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択され、
およびXは、ハロ、水素、ホスホネート、スルホネートまたはボロネート基、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリール、アリールオキシおよびヘテロシクロアルキル(例えばTHF)から独立して選択され、ここで、前記(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリールおよびアリールオキシ基は、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、(1~6C)ハロアルキル、(1~6C)アルコキシ、アリールおよびSi[(1~4C)アルキル]から選択される1つまたは複数の基で任意選択で置換されていてもよく、
Yは、BRであり、
Zは、少なくとも2個のドナー原子QによりMに配位した多座配位子であり、ここで、各Qは、N、O、SおよびPから独立して選択され、
およびRは、NR、OR、SRおよびCRから独立して選択され、
、R、R、R、R、RおよびRは、水素、(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、ここで、前記(1~6C)アルキル、(2~6C)アルケニル、(2~6C)アルキニル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
またはRおよびRは、それらが結合しているホウ素原子と組み合わさって、基:
【化23】
(式中、環Aは、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、(1~6C)ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された炭素環式または複素環式環であり、ここで、前記アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
を形成するように連結している]。
【0077】
2.RおよびRが、NR、ORおよびSRから独立して選択される、ステートメント1に記載の化合物。
【0078】
3.RおよびRが、ともにNRである、ステートメント1に記載の化合物。
【0079】
4.RおよびRが、それらが結合しているホウ素原子と組み合わさって、基:
【化24】
(式中、
Xは、NR10、OおよびSから選択されるヘテロ原子であり、
複素環式環Aは、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、(1~6C)ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、ここで、前記アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
10は、(1~6C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
を形成するように連結している、ステートメント1に記載の化合物。
【0080】
5.RおよびRが、それらが結合しているホウ素原子と組み合わさって、基:
【化25】
(式中、
複素環式環Aは、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、(1~6C)ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、ここで、前記アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
各R10は、独立して、(1~6C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
を形成するように連結している、ステートメント1に記載の化合物。
【0081】
6.Yが、以下の基:
【化26】
(式中、各R10は、独立して、(1~6C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~6C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
のうちの1つから選択される、ステートメント1に記載の化合物。
【0082】
7.R10が、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されたアリール基である、ステートメント4から6のいずれか1つに記載の化合物。
【0083】
8.R10が、以下の基:
【化27】
(式中、R11は、(1~6C)アルキルである)
である、ステートメント4から7のいずれか1つに記載の化合物。
【0084】
9.両方のR11が、イソプロピルである、ステートメント8に記載の化合物。
【0085】
10.R10が、(1~6C)アルキルである、ステートメント4から6のいずれか1つに記載の化合物。
【0086】
11.R10が、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、ステートメント10に記載の化合物。
【0087】
12.両方のR10が、メチルである、ステートメント4から6のいずれか1つに記載の化合物。
【0088】
13.両方のR10が、イソプロピルである、ステートメント4から6のいずれか1つに記載の化合物。
【0089】
14.Zが、3~4個のドナー原子QによりMに配位した三座または四座配位子である、ステートメント1から13のいずれか1つに記載の化合物。
【0090】
15.Zが、3個のドナー原子QによりMに配位した三座配位子である、ステートメント14に記載の化合物。
【0091】
16.各ドナー原子Qが、Nである、ステートメント14またはステートメント15に記載の化合物。
【0092】
17.Zが、式IIによる配位子:
【化28】
(式中、
、QおよびQは、NR1213または少なくとも1個の窒素原子を含有するヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、-S-(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
12およびR13は、独立して、価数が許す限り、存在しないか、水素、(1~20C)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記(1~20C)アルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
、LおよびLは、存在しないか、結合、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
は、存在しないか、CR14、[BR15、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルキレニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
14は、存在しないか、水素、(1~6C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールであり、
15は、水素または(1~6C)アルキルである)
である、ステートメント1から16のいずれか1つに記載の化合物。
【0093】
18.Zが、式IIAまたはIIBの配位子:
【化29】
(式中、
、LおよびLは、結合、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、
は、CR14、(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルキレニレンであり、前記(1~3C)アルキレンまたは(2~3C)アルケニレン部分は、(1~3C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、(1~3C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
である、ステートメント17に記載の化合物。
【0094】
19.Zが、式IICの配位子:
【化30】
(式中、各R12は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)
である、ステートメント18に記載の化合物。
【0095】
20.Zが、式IIBの配位子:
【化31】
(式中、Q、QおよびQは、少なくとも1個の窒素原子を含有するヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されている)
である、ステートメント18に記載の化合物。
【0096】
21.Lが、CR14である、ステートメント20に記載の化合物。
【0097】
22.R14が、水素である、ステートメント21に記載の化合物。
【0098】
23.Q、QおよびQが、ハロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)ハロアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されたピラゾリルまたはピリジニル基である、ステートメント20から22のいずれか1つに記載の化合物。
【0099】
24.Zが、以下の配位子:
【化32】
(式中、R12は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)
のうちの1つから選択される、ステートメント1から13のいずれか1つに記載の化合物。
【0100】
25.Zが、以下の配位子:
【化33】
(式中、R12は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、(1~6C)アルキル、(1~6C)ハロアルキルおよびアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)
のうちの1つから選択される、ステートメント1から13のいずれか1つに記載の化合物。
【0101】
26.Zが、以下の多座配位子:
【化34】
(式中、R12は、フェニルで任意選択で置換された(1~20C)アルキルである)
のうちの1つから選択される、ステートメント1から13のいずれか1つに記載の化合物。
【0102】
27.すべてのR12置換基が、メチル、ヘキシル、ドデシルまたはベンジルである、ステートメント26に記載の化合物。
【0103】
28.すべてのR12置換基が、メチルである、ステートメント27に記載の化合物。
【0104】
29.Mが、チタンである、ステートメント1から28のいずれか1つに記載の化合物。
【0105】
30.XおよびXが、ハロ、水素、ホスホネート、スルホネートまたはボロネート基、アミノ、(1~6C)アルキル、(1~6C)アルコキシ、アリール、アリールオキシおよびヘテロシクロアルキルから独立して選択される、ステートメント1から29のいずれか1つに記載の化合物。
【0106】
31.XおよびXが、ハロ、(1~6C)アルキルおよび(1~6C)アルコキシから独立して選択される、ステートメント1から29のいずれか1つに記載の化合物。
【0107】
32.XおよびXが、クロロおよびメチルから独立して選択される、ステートメント1から29のいずれか1つに記載の化合物。
【0108】
33.XおよびXが、ともにクロロである、ステートメント1から29のいずれか1つに記載の化合物。
【0109】
34.固体担持材料に固定化された、ステートメント1から33のいずれか1つに記載の化合物を含む組成物。
【0110】
35.固体担持材料が、シリカ、アルミナ、ゼオライト、層状複水酸化物、メチルアルミノキサン活性化シリカ、メチルアルミノキサン活性化層状複水酸化物および固体メチルアルミノキサンから選択される、ステートメント34に記載の組成物。
【0111】
36.固体担持材料が、固体メチルアルミノキサンである、ステートメント34に記載の組成物。
【0112】
37.エチレンの重合における触媒として使用された場合、1.1×10g/mol超、例えば1.5×10g/mol超、または2.5×10g/mol超の質量平均分子量(M)を有するポリエチレンを生成することが可能である、ステートメント1から33のいずれか1つに記載の化合物、またはステートメント34から36のいずれか1つに記載の組成物。
【0113】
38.エチレンの重合における触媒として使用された場合、10未満、例えば7未満、または5未満の多分散性指数(M/M)を有するポリエチレンを生成することが可能である、ステートメント1から33のいずれか1つに記載の化合物、またはステートメント34から36のいずれか1つに記載の組成物。
【0114】
39.エチレンの重合における触媒として使用された場合、1.1×10g/mol超の質量平均分子量(M)および10未満の多分散性指数(M/M)、例えば1.5×10g/mol超の質量平均分子量(M)および7未満の多分散性指数(M/M)、または2.5×10g/mol超の質量平均分子量(M)および5未満の多分散性指数(M/M)を有するポリエチレンを生成することが可能である、ステートメント1から33のいずれか1つに記載の化合物、またはステートメント34から36のいずれか1つに記載の組成物。
【0115】
40.触媒が、固体メチルアルミノキサンに担持され、エチレン重合が、担持触媒10mgをヘキサン50ml中のトリイソブチルアルミニウム150mgとともに3barの動圧のエチレン下で15分間60℃または70℃で加熱するというスラリー相条件下で行われる、ステートメント37から39のいずれか1つに記載の化合物または組成物。
【0116】
41.少なくとも1種のオレフィンを重合するための方法であって、少なくとも1種のオレフィンを、ステートメント1から33のいずれか1つに記載の化合物、またはステートメント34から36のいずれか1つに記載の組成物と接触させるステップを含む方法。
【0117】
42.少なくとも1種のオレフィンが、少なくとも1種の(2~10C)アルケンである、ステートメント41に記載の方法。
【0118】
43.少なくとも1種のオレフィンが、少なくとも1種のα-オレフィンである、ステートメント41またはステートメント42に記載の方法。
【0119】
44.少なくとも1種のオレフィンが、エテンおよび任意選択で1種または複数の他の(3~10C)アルケン(例えば、1-ヘキセン、スチレンおよび/またはメタクリル酸メチル)である、ステートメント41に記載の方法。
【0120】
45.少なくとも1種のオレフィンが、エテンである、ステートメント41に記載の方法。
【0121】
46.共触媒の存在下で実行される、ステートメント41から45のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
47.共触媒が、1種または複数の有機アルミニウム化合物である、ステートメント46に記載の方法。
【0123】
48.1種または複数の有機アルミニウム化合物が、メチルアルミノキサン、トリイソブチルアルミニウムおよびトリエチルアルミニウムから選択される、ステートメント47に記載の方法。
【実施例
【0124】
[材料および方法]
すべての操作は、アルゴンまたは二窒素の雰囲気下で、標準的なシュレンクラインまたはドライボックス技法を使用して行った。溶媒は、二窒素でスパージングすることにより脱気し、適当な乾燥剤のカラムを通過させることにより乾燥した(Pangborn et al.,Organometallics,1996,15,1518-1520)、またはナトリウム(トルエン)、カリウム(THF)、Na/K合金(EtO)もしくはCaH(ピリジン)上で還流し、蒸留した。すべての乾燥溶媒は、窒素下で保存し、数回の凍結-ポンプ-解凍サイクル(freeze-pump-thaw cycle)により脱気した。
【0125】
Me[6]aneN(1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリアジナン)およびMe[9]aneN(1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアゾナン)は、Kohn et al.,Inorg.Chem.,1997,36,6064-6069およびWO1994/000439に従って調製した。Hex[6]aneN(1,3,5-トリヘキシル-1,3,5-トリアジナン)およびDD[6]aneN(1,3,5-トリドデシル-1,3,5-トリアジナン)は、Hoerr et al.,J.Am.Chem.Soc.,1956,78,4667-4670に従って調製した。Bn[6]aneN(1,3,5-トリベンジル-1,3,5-トリアジナン)は、Kohn et al.,Eur.J.Inorg.Chem.,2005,4,3217-3223に従って調製した。MeDACH(N,N,1,4,6-ペンタメチル-1,4-ジアゼパン-6-アミン)は、Ge et al.,Chem.Commun.,2006,3320-3322に従って調製した。HC(Mepz)(トリス(3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メタン)は、Reger et al.,J.Organomet.Chem.,2000,607,120-128に従って調製した。
【0126】
H、13C{H}および11B{H}スペクトルは、Bruker Ascend 400 NMR分光計、Bruker Avance III 500 NMR分光計でまたは13Cクライオプローブを装着したBruker AVC 500分光計で記録した。別段の記述がない限り、すべてのNMRスペクトルは、298Kで記録した。Hおよび13C{H}スペクトルは、残留プロチオ溶媒(H)または溶媒(13C)共鳴を内部基準とし、テトラメチルシラン(δ=0ppm)を基準にして報告する。11B NMRスペクトルは、EtO・BFを外部基準とした。必要に応じて、2次元H-Hおよび13C-H相関実験の使用により割り当てを確認した。化学シフトはδ(ppm)で示し、カップリング定数はHzで示す。元素分析を行って、材料の全体の組成を確認した。
【0127】
[触媒前駆体の合成]
[中間体1]
【0128】
【化35】
【0129】
ボリルアミンHNB(NAr’CH)(中間体1)の簡便な大規模かつ高収率の合成は、Jonesおよび同僚ら(Hadlington et al.,Chem.Commun.,2016,52,1717-1720)により報告された。アンモニアガスを1,3,2-ジアザボロリルブロミド前駆体BrB(NAr’CH)(2)のヘキサン溶液に吹き込んだ。得られたボリルアミン1を濾過によりNHBr副生成物から容易に分離して、1を75%の収率で単離した。1,3,2-ジアザボロリルブロミド前駆体それ自体は、上に示された一連のステップで、文献(Jafarpour et al.,J.Organomet.Chem.,2000,606,49-54;Segawaki et al.,J.Am.Chem.Soc.,2008,130,16069-16079)に記載されたとおり、市販の材料であるグリオキサール、HNAr’およびBBrから最終的に調製される。
【0130】
[中間体3]
【0131】
【化36】
【0132】
文献の調製(Weber et al.,Dalton.Trans.,2013,42,2266-2281)に従って、1,2-フェニレンジアミンを2-ヨードプロパンと、次いでBBrと(CaHの存在下で)反応させて、ブロモボランBrB(NPr)(4)を44%の収率で形成した。4のヘキサン溶液を-78℃の液体アンモニアにゆっくり添加することにより、新規ボリルアミンHNB(NPr)(中間体3)を無色の油状物として60%の収率で制御して入手することができ、気体アンモニアとの反応によるビス(ボリル)アミン不純物の同時形成は観察されなかった(Clough et al.,J.Am.Chem.Soc.,2017,139,11165-11183)。
【0133】
[中間体5]
【0134】
【化37】
【0135】
(NHMe)前駆体は、文献の方法(N.Proust,J.C.Gallucci and L.A.Paquette,J.Org.Chem.,2009,74,2897-2900;T.Vlaar,R.C.Cioc,P.Mampuys,B.U.W.Maes,R.V.A.Orru and E.Ruijter,Angew.Chem.Int.Ed.,2012,51,13058-13061)に従って、トシル化、メチル化およびその後の濃硫酸による脱保護によって調製した。
【0136】
ヘキサン(120mL)中のBBr(6.40mL、56.4mmol)およびCaH(7.91g、188mmol)の混合物に、0℃で、ヘキサン(120mL)中の1,2-C(NHMe)(6.40g、47.0mmol)の溶液を滴下添加した。混合物を室温に温め、次いで、16時間撹拌した。この時間の後、混合物を濾過し、次いで、残存する白色固体をEtO(3×60mL)で抽出した。EtOを減圧下で抽出物から除去し、生成物を真空中で乾燥すると、中間体5が褐色のワックス状固体として残った。収量:4.30g(41%)。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.05 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.75 (2 H, m, 2,5-C6H4), 2.88 (6 H, s, NMe) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 137.8 (1,6-C6H4), 119.9 (3,4-C6H4), 108.9 (2,5-C6H4), 29.2 (NMe) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 23.9 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 2114 (w), 1907 (w), 1862 (w), 1816 (w), 1745 (w), 1608 (s), 1290 (s), 1233 (s), 1124 (s), 1071 (s), 909 (m), 807 (m), 734 (s), 615 (m), 552 (m). 元素分析:実測値 (C8H10BBrN2の計算値): C, 42.58 (42.73); H, 4.34 (4.48); N, 12.54 (12.46)%.
【0137】
[中間体6]
【0138】
【化38】
【0139】
BrB(NMe)(中間体5、4.30g、19.1mmol)のトルエン溶液(120mL)を、-78℃の液体NH(30mL)に1mLずつ添加し、次いで、混合物を4時間かけて室温に温め、この時間中に、蒸発した過剰のNHがN流とともにオイルバブラーを通して放出された。混合物を50℃に温めると、さらなるNHの蒸発が観察された。次いで、混合物を濾過し、揮発物を減圧下で濾液から除去して、中間体6を白色粉末として残し、次いで、これを真空中で乾燥した。収量:2.55g(83%)。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.09 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.75 (2 H, m, 2,5-C6H4), 2.64 (6 H, s, NMe), 1.50 (2 H, br. s, NH2) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 130.5 (1,6-C6H4), 118.3 (3,4-C6H4), 106.5 (2,5-C6H4), 29.2 (NMe) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 24.7 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 3454 (s), 3362 (s), 3196 (w), 2093 (w), 1883 (w), 1831 (w), 1716 (w), 1683 (w), 1606 (s), 1565 (m), 1502 (s), 1309 (s), 1235 (m), 1130 (m), 1049 (m), 891 (m), 860 (m), 735 (s), 636 (m). 元素分析:実測値 (C8H12BN3の計算値): C, 59.57 (59.68); H, 7.39 (7.51); N, 25.87 (26.10)%.
【0140】
[前駆体7]
【0141】
【化39】
【0142】
トルエン(10mL)中のTi(NMeCl(1.36g、6.58mmol)の溶液に、-78℃で、トルエン(10mL)中のHNB(NAr’CH)(中間体1、2.52g、6.25mmol)の溶液をゆっくり添加した。混合物を室温に温めると、これは赤色/褐色スラリーとなった。30分間撹拌した後、すべての固体が溶解して、深赤色溶液を残し、これを室温でさらに2.5時間撹拌した。次いで、揮発物を減圧下で除去すると、赤褐色のワックス状固体が残った。生成物をヘキサン中でトリチュレーションして、中間体7を橙褐色粉末として得た。収量:3.01g(79%)。回折品質の結晶を、室温の飽和ヘキサン溶液から成長させた。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.13 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 5.73 (2 H, s, NCH), 3.53 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 2.67 (2 H, 七重線, 3J = 6.1 Hz, NHMe2), 1.92 (12 H, d, 3J = 6.1 Hz, NHMe 2), 1.56 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 1.24 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 146.8 (i-C 6H3 iPr2), 140.2 (o-C 6H3 iPr2), 127.2 (p-C 6H3 iPr2), 123.3 (m-C 6H3 iPr2), 115.5 (NCH), 40.0 (NHMe 2), 28.4 (CHMeMe), 24.2 (CHMeMe), 24.0 (CHMeMe) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 14.2 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 3289 (w, 非架橋N-H), 3277 (w, 水素結合N-H), 1586 (m), 1260 (w), 1180 (w), 1076 (w), 1025 (m), 983 (m), 890 (m), 798 (m), 686 (w), 652 (m). IR (NaClセル, CH2Cl2, ν(N-H), cm-1): 3288. 元素分析:実測値 (C30H50BCl2N5Tiの計算値): C, 58.95 (59.04); H, 8.18 (8.26); N, 11.37 (11.47)%.
【0143】
【化40】
【0144】
[前駆体8]
トルエン(50mL)中のTi(NMeCl(2.00g、0.01mol)の溶液に、トルエン(25mL)中のHNB(NPr)(中間体3、2.10g、0.01mol)の溶液を添加した。反応物を室温で24時間撹拌させた。溶媒を真空中で除去し、次いで、固体をトルエン(3×10mL)で洗浄し、真空中で乾燥して、前駆体8を黄褐色固体として得た。収量:3.20g(65%)。回折品質の結晶を、室温の濃縮ヘキサン溶液から成長させた。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.05 (4 H, m, J = 2.4 Hz, 2,3,4,5-C6 H 4), 4.70 (2 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMe)2, 2.82 (2 H, 七重線, 3J = 6.2 Hz, NHMe2, 2.29 (12 H, d, 3J = 6.1 Hz, NHMe 2, 1.62 (12 H, d, 3J = 6.8 Hz, CHMe 2). 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): 134.5 (1,6-C6H4), 118.2 (2,5-C6H4), 109.9 (3,4-C6H4), 44.5 (CHMe)2), 40.6 (NHMe 2), 22.7 (CHMe 2). 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 14.4 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 3257 (m, N-H), 2851 (m), 2726 (w), 2360 (w), 1594 (m), 1463.34 (s), 1376 (s), 1338 (m), 1290 (m), 1261 (w), 1133 (w), 1017 (m), 993 (m), 892 (s), 801 (m), 747 (m), 722 (m), 659 (w). 元素分析:実測値 (C16H32BCl2N5Tiの計算値): C, 45.16 (45.32); H, 7.48 (7.61); N, 16.37 (16.52)%.
【0145】
[前駆体9]
シュレンク管中のTi(NMeCl(1.61g、7.76mmol)およびHNB(NMe)(中間体6、1.25g、7.76mmol)の混合物に、-78℃でトルエン(30mL)を添加した。混合物を室温に温め、1時間撹拌した。この時間の後、揮発物を減圧下で除去し、次いで、黄色固体をヘキサン(3×15mL)で洗浄し、真空中で乾燥して、前駆体9を鮮黄色粉末として得た。収量:2.17g(76%)。1H NMR (CD2Cl2, 400.1 MHz): δ 6.85 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.77 (2 H, m, 2,5-C6H4), 3.61 (2 H, br. m, NHMe2), 3.32 (6 H, s, B(NMe)2), 2.79 (12 H, d, 3J = 6.2 Hz, NHMe 2) ppm. 13C{1H} NMR (CD2Cl2, 100.6 MHz): δ 136.8 (1,6-C6H4), 118.9 (3,4-C6H4), 107.9 (2,5-C6H4), 41.8 (NHMe2), 28.9 (B(NMe)2) ppm. 11B{1H} NMR (CD2Cl2, 128.4 MHz): δ 14.5 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 3245 (s, 非架橋N-H), 3238 (s, 水素結合N-H), 1601 (m), 1504 (w), 1434 (s), 1419 (s), 1314 (s), 1231 (w), 1211 (w), 1132 (m), 1121 (m), 1059 (w), 1003 (m), 897 (s), 788 (w), 744 (s), 645 (m). 元素分析:実測値 (C12H24BCl2N5Tiの計算値): C, 39.25 (39.17); H, 6.36 (6.58); N, 18.79 (19.03)%.
【0146】
[前駆体10]
【0147】
【化41】
【0148】
Ti{NB(NAr’CH)}Cl(NHMe(前駆体7、3.0g、4.92mmol)を含有するシュレンクフラスコに、ピリジン(5mL)を添加した。褐色溶液を室温で10分間撹拌し、次いで、揮発物を減圧下で除去して、黄褐色のワックス状固体を得、これをヘキサン(10mL)中でトリチュレーションして、前駆体10を鮮黄色粉末として得た。収量:3.30g(89%)。回折品質の結晶を、5℃の飽和ヘキサン溶液から成長させた。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 8.72 (4 H, d, 3J = 4.9 Hz, NB(NAr'CH)2に対してシスの2,6-py), 8.63 (2 H, br. m, NB(NAr'CH)2に対してトランスの2,6-py), 7.13-7.06 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 6.89 (1 H, br. m, NB(NAr'CH)2に対してトランスの4-py), 6.77 (2 H, t, 3J = 7.6 Hz, NB(NAr'CH)2に対してシスの4-py), 6.57 (2 H, br. m, NB(NAr'CH)2に対してトランスの3,5-py), 6.40 (4 H, m, NB(NAr'CH)2に対してシスの3,5-py), 5.70 (2 H, s, NCH), 3.63 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 1.50 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 1.26 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 151.6 (NB(NAr'CH)2に対してシスの2,6-py), 150.8 (NB(NAr'CH)2に対してトランスの2,6-py), 147.3 (o-C 6H3 iPr2), 140.9 (i-C 6H3 iPr2), 137.3 (NB(NAr'CH)2に対してシスの4-py), 135.7 (NB(NAr'CH)2に対してトランスの4-py), 127.4 (p-C 6H3 iPr2), 123.7 (NB(NAr'CH)2に対してシスの3,5-py), 123.6 (m-C 6H3 iPr2), 123.4 (NB(NAr'CH)2に対してトランスの3,5-py), 116.2 (NCH), 28.8 (CHMeMe), 24.5 (CHMeMe), 24.3 (CHMeMe) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 13.8 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 3072 (w), 1606 (s), 1219 (s), 1117 (m), 1102 (m), 1073 (m), 1043 (m), 1015 (m), 896 (s), 802 (m), 710 (w), 698 (w), 686 (m), 667 (w), 646 (m), 638 (w), 616 (w). 元素分析:実測値 (C41H51BCl2N6Tiの計算値): C, 64.84 (65.01); H, 6.86 (6.79); N, 10.94 (11.09)%.
【0149】
[ボリルイミド触媒の各実施例の合成]
[実施例1]
【0150】
【化42】
【0151】
トルエン(15mL)中のTi{NB(NAr’CH)}Cl(NHMe(前駆体7、0.50g、0.819mmol)の溶液に、室温でマイクロシリンジによってMe[9]aneN(159μL、0.819mmol)を添加した。混合物を45℃に加熱し、次いで、16時間撹拌し、この時間の後、これは橙色溶液となっていた。揮発物を減圧下で除去し、黄色固体をヘキサン(2×8mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥すると、実施例1が淡黄色粉末として残った。収量:0.427g(75%)。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.29 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 5.89 (2 H, s, NCH), 3.69 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 2.74 (2 H, m, NCH2), 2.59 (6 H, s, NB(NAr'CH)2に対してシスのNMe), 2.38 (2 H, m, NCH2), 2.28 (3 H, s, NB(NAr'CH)2に対してトランスのNMe), 2.24 (2 H, m, NCH2), 1.74 (2 H, m, NCH2), 1.61 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 1.52 (2 H, m, NCH2), 1.38 (2 H, m, NCH2), 1.31 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 147.1 (o-C 6H3 iPr2), 141.3 (i-C 6H3 iPr2), 127.1 (p-C 6H3 iPr2), 123.4 (m-C 6H3 iPr2), 117.0 (NCH), 56.7 (NCH2), 56.6 (NCH2), 54.0 (NCH2), 53.7 (NB(NAr'CH)2に対してシスのNMe), 48.9 (NB(NAr'CH)2に対してトランスのNMe), 29.0 (CHMeMe), 26.4 (CHMeMe), 23.5 (CHMeMe) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 14.0 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 2359 (w), 2343 (w), 1701 (w), 1586 (w), 1497 (m), 1422 (m), 1399 (s), 1325 (s), 1274 (m), 1226 (w), 1206 (w), 1178 (w), 1115 (m), 1069 (s), 1005 (s), 994 (m), 937 (m), 892 (s), 804 (m), 762 (s), 751 (m), 698 (w), 670 (m), 660 (s), 621 (w), 584 (m). EI-MS: m/z = 690 [M]+ (14%). 元素分析:実測値 (C35H57BCl2N6Tiの計算値): C, 60.62 (60.80); H, 8.46 (8.31); N, 12.04 (12.15)%.
【0152】
【化43】
【0153】
[実施例2]
トルエン(10mL)中のTi{NB(NAr’CH)}Cl(Me[9]aneN)(実施例1、0.20g、0.289mmol)の溶液に、-78℃でMeLi(ヘキサン中1.6M、398μL、0.636mmol)を添加した。混合物を室温に温め、次いで、2時間撹拌し、この時間の後、これは黄色懸濁液となっていた。揮発物を減圧下で除去し、黄色固体をベンゼン(3×5mL)で抽出した。溶媒を減圧下で抽出物から除去し、生成物をヘキサン(3×5mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥すると、実施例2が黄色粉末として残った。収量:0.125g(64%)。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.28 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 5.98 (2 H, s, NCH), 3.91 (2 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CH aMeMe), 3.72 (2 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CH bMeMe), 2.69 (3 H, s, NMe), 2.57 (2 H, m, NCH2), 2.45 (1 H, m, NCH2), 2.28 (3 H s, NMe), 2.16 (1 H, m, NCH2), 2.15 (3 H, s, NMe), 2.03 (1 H, m, NCH2), 1.87 (1 H, m, NCH2), 1.72 (1 H, m, NCH2), 1.59 (12 H, 見かけ上t, 見かけ上3J = 7.9 Hz, 重複したCHMe aMeおよびCHMe bMe), 1.45 (5 H, 重複したm, NCH2), 1.35 (12 H, 見かけ上d, 見かけ上3J = 6.2 Hz, 重複したCHMe aMeおよびCHMe bMe), -0.19 (TiMe) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 147.4 (o-C 6H3 iPr2), 142.3 (i-C 6H3 iPr2), 126.8 (p-C 6H3 iPr2), 123.2 (m-C 6H3 iPr2), 116.8 (NCH), 56.8 (NCH2), 56.4 (NCH2), 55.5 (NCH2), 55.4 (NCH2), 55.0 (NCH2), 53.7 (NCH2), 53.6 (NMe), 51.9 (NMe), 48.9 (NMe), 37.6 (TiMe), 29.1 (C aHMeMe), 28.8 (C bHMeMe), 26.4 (CHMe 2), 26.3 (CHMe 2), 23.8 (CHMe 2), 23.3 (CHMe 2) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 14.0 ppm. 元素分析:実測値 (C36H60BClN6Tiの計算値): C, 64.00 (64.44); H, 8.88 (9.01); N, 12.39 (12.52)%.
【0154】
[実施例3]
トルエン(20mL)中のTi{NB(NAr’CH)}Cl(Me[9]aneN)(実施例1、0.50g、0.723mmol)の溶液に、-78℃でMeLi(ヘキサン中1.6M、0.995mL、1.59mmol)を添加した。混合物を室温に温め、次いで、60℃に加熱し、20時間撹拌し、この時間の後、これは黄色懸濁液となっていた。揮発物を減圧下で除去し、黄色固体をベンゼン(2×10mL)で抽出した。溶媒を減圧下で抽出物から除去し、次いで、真空中で乾燥すると、実施例3が黄色粉末として残った。収量:0.325g(69%)。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.29 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 6.05 (2 H, s, NCH), 3.97 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 2.42 (2 H, m, NCH2), 2.26 (6 H, s, NB(NAr'CH)2に対してシスのNMe), 2.23 (3 H, s, NB(NAr'CH)2に対してトランスのNMe), 2.14 (2 H, m, NCH2), 1.97 (2 H, m, NCH2), 1.56 (18 H, 重複したdおよびm, CHMeMeおよびNCH2), 1.40 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), -0.03 (6 H, s, TiMe) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 147.1 (o-C 6H3 iPr2), 142.8 (i-C 6H3 iPr2), 126.0 (p-C 6H3 iPr2), 122.8 (m-C 6H3 iPr2), 116.4 (NCH), 55.3 (NCH2), 54.7 (NCH2), 51.4 (NB(NAr'CH)2に対してシスのNMe), 48.4 (NB(NAr'CH)2に対してトランスのNMe), 32.4 (TiMe), 28.5 (CHMeMe), 25.8 (CHMeMe), 23.1 (CHMeMe) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 14.0 ppm.
【0155】
[実施例4]
【0156】
【化44】
【0157】
-78℃のトルエン(10mL)中のTi{NB(NAr’CH)}Cl(NHMe(前駆体7、0.25g、0.410mmol)の溶液に、Me[6]aneN(57.5μL、0.409mmol)を添加した。次いで、溶液を室温に温め、3時間撹拌し、この時間の後、これは橙色スラリーとなっていた。スラリーを濃縮し(約75%)、濾過し、次いで、得られた固体をヘキサン(3×2mL)で洗浄し、真空中で乾燥して、実施例4を淡橙色粉末として得た。収量:0.154g(58%)。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.27 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 5.83 (2 H, s, NCH), 4.00 (1 H, d, 2J = 7.3 Hz, NCH2), 3.56 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 3.33 (2 H, d, 2J = 7.9 Hz, NCH2), 2.24 (1 H, d, 2J = 7.3 Hz, NCH2), 1.95 (2 H, d, 2J = 7.9 Hz, NCH2), 1.87 (6 H, s, NB(NAr'CH)2に対してシスのNMe), 1.66 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 1.48 (3 H, s, NB(NAr'CH)2に対してトランスのNMe), 1.31 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 147.3 (o-C 6H3 iPr2), 141.0 (i-C 6H3 iPr2), 127.4 (p-C 6H3 iPr2), 123.7 (m-C 6H3 iPr2), 116.5 (NCH), 77.0 (NCH2), 76.0 (NCH2), 40.6 (NB(NAr'CH)2に対してシスのNMe), 36.8 (NB(NAr'CH)2に対してトランスのNMe), 29.3 (CHMeMe), 25.5 (CHMeMe), 24.6 (CHMeMe) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 13.4 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 1595 (m), 1459 (s), 1380 (s), 1273 (m), 1260 (m), 1175 (w), 1113 (w), 1083 (m), 935 (w), 899 (w), 799 (m), 758 (w), 721 (w), 657 (w). 元素分析:実測値 (C32H51BCl2N6Tiの計算値): C, 56.28 (59.19); H, 7.46 (7.92); N, 12.75 (12.94)%.十分な%C値を有する元素分析を得ようと繰り返し試みたが、推定では化合物の不完全燃焼に起因して得られなかった。
【0158】
[実施例5]
【0159】
【化45】
【0160】
シュレンク管中のTi{NB(NPr)}Cl(NHMe(前駆体8、0.50g、1.18mmol)およびHC(Mepz)(0.352g、1.18mmol)の混合物に、トルエン(15mL)を添加した。混合物を75℃に加熱し、16時間撹拌した。この時間の後、揮発物を減圧下で除去し、次いで、黄色固体をベンゼン(4×5mL)で洗浄し、真空中で乾燥して、実施例5を黄色粉末として得た。収量:0.478g(64%)。回折品質の結晶を、ヘキサン層を有するCHCl溶液から成長させた。1H NMR (CD2Cl2, 400.1 MHz, 183 K): δ 7.77 (1 H, s, HC(Me2pz)3), 6.77 (2 H, 重複した2×m, 3,4-C6H4), 6.70 (1 H, m, 2-または5-C6H4), 6.61 (1 H, m, 2-または5-C6H4), 6.14 (2 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してシスの4-N2C3Me2 H), 5.89 (1 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してトランスの4-N2C3Me2 H), 4.01 (1 H, br. m, CH aMe2), 3.28 (1 H, br. m, CH bMe2), 2.68 (6 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してシスのN2C3 Me 2H), 2.57 (6 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してシスのN2C3 Me 2H), 2.45 (3 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのN2C3 Me 2H), 2.42 (3 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのN2C3 Me 2H), 1.75 (6 H, br. m, CHMe 2a), 0.92 (6 H, br. d, 3J = 6.5 Hz, CHMe 2b) ppm. 13C{1H} NMR (CD2Cl2, 100.6 MHz, 183 K): δ 155.9 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスの3-pz), 154.7 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスの3-pz), 139.7 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスの5-pz), 138.8 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスの5-pz), 138.2 (1,6-C6H4), 118.0 (2,5-C6H4), 116.6 (2,5-C6H4), 111.8 (3,4-C6H4), 108.3 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスの4-pz), 108.2 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスの4-pz), 67.2 (HC(Me2pz)3), 44.4 (C aHMe2), 44.0 (C bHMe2), 23.9 (CHMe 2a), 20.7 (CHMe 2b), 16.5 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスのN2C3 Me 2H), 14.6 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのN2C3 Me 2H), 11.7 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスのN2C3 Me 2H), 11.2 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのN2C3 Me 2H) ppm. 11B{1H} NMR (CD2Cl2, 128.4 MHz): δ 14.2 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 1595 (m), 1566 (s), 1414 (s), 1390 (s), 1336 (s), 1226 (m), 1179 (m), 1139 (m), 1111 (w), 1043 (s), 992 (m), 978 (m), 647 (w), 913 (s), 899 (w), 863 (w), 767 (w), 734 (s), 704 (s), 687 (m), 669 (w), 663 (w), 632 (w), 555 (w). 元素分析:実測値 (C28H40BCl2N9Tiの計算値): C, 52.99 (53.19); H, 6.33 (6.38); N, 19.82 (19.94)%.
【0161】
[実施例6]
【0162】
【化46】
【0163】
シュレンク管中のTi{NB(NMe)}Cl(NHMe(前駆体9、0.50g、1.36mmol)およびHC(Mepz)(0.405g、1.36mmol)の混合物に、トルエン(15mL)を添加した。混合物を70℃に加熱し、16時間撹拌した。この時間の後、揮発物を減圧下で除去し、次いで、黄褐色固体をベンゼン(2×10mL)で洗浄し、真空中で乾燥して、実施例6を黄色粉末として得た。収量:0.450g(57%)。回折品質の結晶を、ベンゼン層を有するCHCl溶液から成長させた。1H NMR (CD2Cl2, 400.1 MHz): δ 7.84 (1 H, s, HC(Me2pz)3), 6.81 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.68 (2 H, m, 2,5-C6H4), 6.61 (1 H, m, 2,5-C6H4), 6.11 (2 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してシスの4-N2C3Me2 H), 5.91 (1 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してトランスの4-N2C3Me2 H), 3.11 (6 H, s, B(NMe)2), 2.73 (6 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してシスのN2C3 Me 2H), 2.58 (6 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してシスのN2C3 Me 2H), 2.56 (3 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのN2C3 Me 2H), 2.45 (3 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのN2C3 Me 2H) ppm. 13C{1H} NMR (CD2Cl2, 100.6 MHz): δ 156.7 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスの3-pz), 151.6 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスの3-pz), 140.0 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスの5-pz), 137.5 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスの5-pzと1,6-C6H4が重複), 118.4 (3,4-C6H4), 109.0 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスの4-pz), 108.7 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスの4-pz), 107.3 (2,5-C6H4), 68.1 (HC(Me2pz)3), 28.9 (B(NMe)2), 16.2 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスのN2C3 Me 2H), 14.9 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのN2C3 Me 2H), 11.6 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスのN2C3 Me 2H), 11.2 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのN2C3 Me 2H) ppm. 11B{1H} NMR (CD2Cl2, 128.4 MHz): δ 14.0 ppm.
【0164】
[実施例7]
【0165】
【化47】
【0166】
ベンゼン(15mL)中のTi{NB(NPr)}Cl(NHMe(前駆体8、0.50g、1.18mmol)の懸濁液に、マイクロシリンジによってMe[9]aneN(228μL、1.18mmol)を添加した。混合物を室温で90分間撹拌し、次いで、濾過した。橙色固体をベンゼン(10mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥して、実施例7を橙色粉末として得た。収量:0.401g(67%)。回折品質の結晶を、ヘキサン層を有するCHCl溶液から成長させた。1H NMR (CD2Cl2, 400.1 MHz): δ 6.99 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.71 (2 H, m, 2,5-C6H4), 4.98 (2 H, 七重線, 3J = 7.0 Hz, CHMe2), 3.69 (2 H, m, NCH2), 3.33 (6 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してシスのNMe), 3.23 (2 H, m, NCH2), 3.07 (2 H, m, NCH2), 2.99 (2 H, m, NCH2), 2.77 (2 H, m, NCH2), 2.56 (5 H,sとmが重複, NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのNMe,およびNCH2), 1.49 (12 H, d, 3J = 7.0 Hz, CHMe 2) ppm. 13C{1H} NMR (CD2Cl2, 100.6 MHz): δ 135.2 (1,6-C6H4), 117.3 (2,5-C6H4), 111.4 (3,4-C6H4), 57.9 (NCH2), 57.8 (NCH2), 54.9 (NCH2およびNB(NiPr)2C6H4に対してシスのNMe), 49.1 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのNMe), 45.5 (CHMe2), 21.9 (CHMe 2) ppm. 11B{1H} NMR (CD2Cl2, 128.4 MHz): δ 14.5 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 1594 (m), 1573 (w), 1483 (s), 1421 (s), 1288 (s), 1198 (m), 1140 (s), 1067 (s), 1031 (w), 1000 (s), 984 (m), 892 (m), 864 (w), 784 (s), 738 (s), 682 (w), 663 (m), 583 (w). EI-MS: m/z = 504 [M]+(1%). 元素分析:実測値 (C21H39BCl2N6Tiの計算値): C, 49.85 (49.93); H, 7.89 (7.78); N, 16.48 (16.64)%.
【0167】
[実施例8]
【0168】
【化48】
【0169】
ベンゼン(15mL)中のTi{NB(NPr)}Cl(NHMe(前駆体8、0.50g、1.18mmol)の懸濁液に、マイクロシリンジによってMe[6]aneN(166μL、1.18mmol)を添加した。混合物を室温で90分間撹拌し、次いで、濾過した。橙色固体をベンゼン(5mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥して、実施例8を橙色粉末として得た。収量:0.330g(60%)。回折品質の結晶を、室温のベンゼン溶液から成長させた。1H NMR (CD2Cl2, 500.3 MHz, 253 K): δ 6.91 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.72 (2 H, m, 2,5-C6H4), 4.84 (1 H, d, 2J = 7.9 Hz, NCH2), 4.66 (2 H, 七重線, 3J = 6.8 Hz, CHMe2), 4.21 (2 H, d, 2J = 7.8 Hz, NCH2), 3.81 (1 H, d, 2J = 7.9 Hz, NCH2), 3.42 (2 H, d, 2J = 7.8 Hz, NCH2), 2.86 (6 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してシスのNMe), 2.20 (3 H, s, NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのNMe), 1.50 (12 H, d, 3J = 6.8 Hz, CHMe 2) ppm. 13C{1H} NMR (CD2Cl2, 125.7 MHz, 253 K): δ 134.6 (1,6-C6H4), 117.4 (2,5-C6H4), 110.1 (3,4-C6H4), 77.8 (NCH2), 77.3 (NCH2), 44.8 (CHMe2), 41.8 (NB(NiPr)2C6H4に対してシスのNMe), 37.3 (NB(NiPr)2C6H4に対してトランスのNMe), 22.2 (CHMe 2) ppm. 11B{1H} NMR (CD2Cl2, 160.4 MHz, 253 K): δ14.8 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1):1913 (w), 1859 (w), 1805 (w), 1737 (w), 1597 (s), 1578 (m), 1409 (s), 1336 (s), 1292 (s), 1224 (m), 1138 (s), 1128 (s), 1110 (s), 1033 (w), 1010 (m), 996 (m), 939 (w), 903 (w), 866 (w), 766 (m), 743 (s), 678 (w), 667 (w), 658 (m), 621 (w), 556 (m). 元素分析:実測値 (C18H33BCl2N6Tiの計算値): C, 46.87 (46.69); H, 7.34 (7.18); N, 18.05 (18.15)%.
【0170】
[実施例9]
【0171】
【化49】
【0172】
ベンゼン(15mL)中のTi{NB(NMe)}Cl(NHMe(前駆体9、0.50g、1.36mmol)の懸濁液に、マイクロシリンジによってMe[9]aneN(263μL、1.36mmol)を添加した。混合物を室温で60分間撹拌し、次いで、濾過した。橙色固体をベンゼン(5mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥して、実施例9を橙色粉末として得た。収量:0.509g(83%)。回折品質の結晶を、ベンゼン層を有するCHCl溶液から成長させた。1H NMR (CD2Cl2, 400.1 MHz): δ 6.83 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.72 (2 H, m, 2,5-C6H4), 3.70 (2 H, m, NCH2), 3.38 (6 H, s, B(NMe)2), 3.35 (6 H, s, NB(NMe)2C6H4に対してシスのMe 3[9]aneN3), 3.22 (2 H, m, NCH2), 3.01 (4 H, 重複した2×m, NCH2), 2.78 (2 H, m, NCH2), 2.55 (5 H, 重複したsおよびm, NB(NMe)2C6H4に対してトランスのMe 3[9]aneN3,およびNCH2) ppm. 13C{1H} NMR (CD2Cl2, 100.6 MHz): δ 137.6 (1,6-C6H4), 118.5 (3,4-C6H4), 107.3 (2,5-C6H4), 57.9 (NCH2), 57.7 (NCH2), 55.0 (NCH2), 54.9 (NB(NMe)2C6H4) に対してシスのMe 3[9]aneN3, 49.2 (NB(NMe)2C6H4に対してトランスのMe 3[9]aneN3), 29.9 (B(NMe)2) ppm. 11B{1H} NMR (CD2Cl2, 128.4 MHz): δ 14.9 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 1809 (w), 1699 (w), 1602 (m), 1407 (s), 1312 (s), 1225 (m), 1202 (w), 1127 (s), 1073 (s), 1004 (s), 893 (m), 779 (s), 757 (s), 736 (m), 690 (m), 674 (m), 649 (m). 元素分析:実測値 (C14H25BCl2N6Tiの計算値): C, 45.58 (45.47); H, 7.01 (6.96); N, 18.57 (18.72)%.
【0173】
[実施例10]
【0174】
【化50】
【0175】
ベンゼン(15mL)中のTi{NB(NMe)}Cl(NHMe(前駆体9、0.500g、1.36mmol)の懸濁液に、マイクロシリンジによってMe[6]aneN(191μL、1.36mmol)を添加した。混合物を室温で60分間撹拌し、次いで、濾過した。橙色固体をベンゼン(5mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥して、実施例10を橙色粉末として得た。収量:0.410g(74%)。回折品質の結晶を、ヘキサン層を有するCHCl溶液から成長させた。1H NMR (CD2Cl2, 500.3 MHz, 253 K): δ 6.83 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.70 (2 H, m, 2,5-C6H4), 4.80 (1 H, d, 2J = 7.9 Hz, NCH2), 4.20 (2 H, d, 2J = 7.9 Hz, NCH2), 3.83 (1 H, d, 2J = 7.9 Hz, NCH2), 3.48 (2 H, d, 2J = 7.9 Hz, NCH2), 3.29 (6 H, s, B(NMe)2), 2.85 (6 H, s, NB(NMe)2C6H4に対してシスのNMe), 2.19 (3 H, s, NB(NMe)2C6H4に対してトランスのNMe) ppm. 13C{1H} NMR (CD2Cl2, 125.7 MHz, 253 K): δ 136.7 (1,6-C6H4), 118.4 (3,4-C6H4), 107.3 (2,5-C6H4), 77.8 (NCH2), 77.3 (NCH2), 41.9 (NB(NMe)2C6H4に対してシスのNMe), 37.4 (NB(NMe)2C6H4に対してトランスのNMe), 29.0 (B(NMe)2) ppm. 11B{1H} NMR (CD2Cl2, 160.4 MHz, 253 K): δ14.2 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 2460 (w), 1602 (m), 1430 (s), 1413 (s), 1395 (s), 1273 (s), 1230 (w), 1175 (m), 1119 (s), 1006 (m), 935 (m), 892 (w), 783 (m), 734 (s), 691 (w), 662 (w), 642 (s), 623 (w), 610 (w). 元素分析:実測値 (C14H25BCl2N6Tiの計算値): C, 39.07 (41.32); H, 5.94 (6.19); N, 16.27 (20.65)%.
【0176】
[実施例11]
【0177】
【化51】
【0178】
トルエン(15mL)中のTi{NB(NAr’CH)}Cl(NHMe(前駆体7、0.35g、0.573mmol)の溶液に、室温でマイクロシリンジによってMeDACH(168μL、0.860mmol)を添加した。混合物を60℃に加熱し、次いで、16時間撹拌し、この時間の後、これは橙色溶液となっていた。揮発物を減圧下で除去し、橙色固体をヘキサン(3×8mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥すると、実施例11が淡橙色粉末として残った。収量:0.344g(85%)。H NMRスペクトルは、cisおよびtrans異性体のおよそ55:45の混合物を示した。回折品質の結晶を、4℃のヘキサン溶液から成長させた。
【0179】
【化52】
【0180】
主異性体(cis):1H NMR (トルエン-d8, 400.1 MHz): δ 7.28 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 5.85 (2 H, s, NCH), 3.70 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 3.20 (1 H, m, Hf(ダウン)), 3.02 (1 H, m, He(ダウン)), 2.84 (1 H, d, 2J = 14.6 Hz, Hg(ダウン)), 2.54 (3 H, s, NMeb), 2.36 (3 H, s, NMed), 2.14 (1 H, 重複したd, 2J = 14.6 Hz, Hh(ダウン)), 2.13 (3 H, s, NMec), 2.00 (3 H, s, NMea), 1.66 (12 H, 見かけ上dd, 3J = 6.8 Hz, CHMeMe), 1.61 (1 H, m, Hf(アップ)), 1.51 (1 H, d, 2J = 14.6 Hz, Hg(アップ)), 1.48 (1 H, m, He(アップ)), 1.31 (12 H, 重複した見かけ上dd, 3J = 6.8 Hz, CHMeMe), 1.25 (1 H, 重複したd, 2J = 14.6 Hz, Hh(アップ)), 0.05 (3 H, s, CMe) ppm. 13C{1H} NMR (トルエン-d8, 100.6 MHz): δ 148.0 (o-C 6H3 iPr2), 142.3 (i-C 6H3 iPr2), 128.0 (p-C 6H3 iPr2), 124.3 (m-C 6H3 iPr2), 117.8 (NCH), 71.0 (Cg), 68.7 (Ch), 64.1 (Cf), 61.1 (CMe), 59.9 (Ce), 54.9 (NMed), 50.9 (NMea), 48.2 (NMeb), 46.9 (NMec), 29.8 (CHMe2), 24.1 - 27.8 (CHMe 2 ), 11.6 (CMe) ppm. 11B{1H} NMR (トルエン-d8, 128.4 MHz): δ 14.0 ppm.
【0181】
副異性体(trans):1H NMR (トルエン-d8, 400.1 MHz): δ 7.28 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 5.87 (2 H, s, NCH), 3.69 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 3.33 (2 H, m, Ha(ダウン)), 2.41 (2 H, d, 2J = 14.4 Hz, Hb(ダウン)), 2.29 (6 H, s, NMe), 1.84 (2 H, m, Ha(アップ)), 1.80 (6 H, s, NMe2), 1.59 (12 H, d, 3J = 6.8 Hz, CHMeMe), 1.48 (2 H, d, 2J = 14.4 Hz, Hb(アップ)), 1.30 (12 H, d, 3J = 6.8 Hz, CHMeMe),0.00 (3 H, s, CMe) ppm. 13C{1H} NMR (トルエン-d8, 100.6 MHz): δ 147.9 (o-C 6H3 iPr2), 142.2 (i-C 6H3 iPr2), 127.9 (p-C 6H3 iPr2), 124.2 (m-C 6H3 iPr2), 117.9 (NCH), 70.3 (Cb), 64.1 (Ca), 59.8 (CMe), 54.6 (NMe), 43.2 (NMe2), 29.8 (CHMeMe), 27.3 (CHMeMe), 24.4 (CHMeMe), 11.1 (CMe) ppm. 11B{1H} NMR (トルエン-d8, 128.4 MHz): δ 14.0 ppm.
【0182】
共通データ:IR(NaClプレート、Nujol mull、cm-1):2356(w)、1580(w)、1406(m)、1317(m)、1249(m)、1223(w)、1173(w)、1111(m)、1072(m)、1013(m)、965(m)、920(m)、830(m)、808(m)、754(s)、710(m)、652(s)。分析実測値(C3659BClTiの計算値):C、61.38(61.29);H、8.58(8.43);N、11.95(11.91)%。
【0183】
[実施例12]
【0184】
【化53】
【0185】
トルエン(15mL)中のTi{NB(NPr)}Cl(NHMe(前駆体8、0.35g、0.826mmol)の溶液に、室温でマイクロシリンジによってMeDACH(212μL、1.07mmol)を添加した。混合物を50℃に加熱し、次いで、16時間撹拌し、この時間の後、これは褐色溶液となっていた。揮発物を減圧下で除去し、橙色固体をヘキサン(3×10mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥すると、実施例12が橙色粉末として残った。収量:0.369g(86%)。H NMRスペクトルは、cisおよびtrans異性体のおよそ2:1の混合物を示した。回折品質の結晶を、室温のベンゼン溶液から成長させた。
【0186】
主異性体(cis):1H NMR (CD2Cl2, 400.1 MHz): δ 6.96 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.72 (2 H, m, 2,5-C6H4), 4.95 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMe2), 3.83 (1 H, m, Hf(ダウン)), 3.43 (1 H, m, He(ダウン)), 3.40 (1 H, 重複したd, 2J = 14.6 Hz, Hg(ダウン)), 3.29 (3 H, s, NMeb), 3.19 (3 H, s, NMed), 3.10 (1 H, 重複したd, 2J = 14.6 Hz, Hh(ダウン)), 2.77 (3 H, s, NMec), 2.69 (1 H, m, He(アップ)), 2.60 (1 H, 重複したd, 2J = 14.6 Hz, Hg(アップ)), 2.46 (1 H, 重複したm, Hf(アップ)), 2.44 (3 H, s, NMea), 2.36 (1 H, 重複したd, 2J = 14.6 Hz, Hh(アップ)), 1.51 (12 H, 重複したd, 3J = 6.9 Hz, CHMe 2), 0.95 (3 H, s, CMe) ppm. 13C{1H} NMR (CD2Cl2, 100.6 MHz): δ 135.0 (1,6-C6H4), 117.2 (2,5-C6H4), 111.1 (3,4-C6H4), 71.1 (Cg), 69.1 (Ch), 63.8 (Cf), 62.8 (CMe), 59.6 (Ce), 55.0 (NMeb), 50.6 (NMea), 48.0 (NMed), 46.3 (NMec), 45.2 (CHMe2), 21.9 (CHMe 2), 11.7 (CMe) ppm. 11B{1H} NMR (CD2Cl2, 128.4 MHz): δ 13.6 ppm.
【0187】
副異性体(trans):1H NMR (CD2Cl2, 400.1 MHz): δ 6.96 (2 H, m, 3,4-C6H4), 6.72 (2 H, m, 2,5-C6H4), 4.95 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMe2), 4.96 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 4.00 (2 H, d, 3J = 6.4 Hz, Ha(ダウン)), 3.81 (2 H, d, 2J = 14.4 Hz, Hb(ダウン)), 3.01 (2 H, d, 3J = 6.4 Hz, Ha(アップ)), 2.72 (2 H, d, 2J = 14.4 Hz, Hb(アップ)), 3.08 (6 H, s, NMe), 2.30 (6 H, s, NMe2), 1.51 (12 H, 重複したd, 3J = 6.9 Hz, CHMe 2), 0.83 (3 H, s, CMe) ppm. 13C{1H} NMR (CD2Cl2, 100.6 MHz): δ 134.9 (1,6-C6H4), 117.3 (2,5-C6H4), 111.2 (3,4-C6H4), 70.6 (Cb), 63.8 (Ca), 59.8 (CMe), 54.2 (NMe), 45.2 (CHMe2), 42.9 (NMe2), 21.9 (CHMe 2), 11.0 (CMe). 11B{1H} NMR (CD2Cl2, 128.4 MHz): δ 13.6 ppm.
【0188】
共通データ:IR(NaClプレート、Nujol mull、cm-1):2361(w)、1940(w)、1591(s)、1410(w)、1333(m)、1285(s)、1223(w)、1201(m)、1142(s)、1086(s)、1055(w)、1024(s)、987(m)、931(s)、881(w)、827(m)、785(s)、754(s)、664(s)。分析実測値(C3659BClTiの計算値):C、51.02(50.90);H、8.02(7.96);N、16.00(16.19)%。
【0189】
[実施例13]
【0190】
【化54】
【0191】
Ti{NB(NAr’CH)}Cl(NHMe(前駆体7、0.27g、0.443mmol)およびDD[6]aneN(0.262g、0.443mmol)のシュレンク管に、室温でトルエン(10mL)を添加し、これを6時間撹拌した。次いで、揮発物を減圧下で除去し、残渣をトルエンに再溶解した。これを6時間の撹拌ごとに4回繰り返し、この時間の後、これは赤色溶液となっていた。次いで、これを真空中で乾燥すると、実施例13が橙色ワックスとして残った。収量:0.468g(95%)。H NMRスペクトルは、7%の1および7%の未反応の7が所望の生成物に含有されることを示した。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.31 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 5.82 (2 H, s, NCH), 4.35 (1 H, d, 2J = 6.9 Hz, NCH2N), 3.76 (2 H, d, 2J = 6.9 Hz, NCH2N), 3.63 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 3.11 (2 H, m, CH2), 2.62 (2 H, d, 2J = 6.9 Hz, NCH2N), 2.59 (2 H, m, CH2), 2.51 (2 H, m, CH2), 2.06 (2 H, m, CH2), 1.95 (2 H, d, 2J = 7.9 Hz, NCH2), 1.73 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 1.48 - 0.95 (25 H, 重複したm, CH2), 1.34 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 0.92 (9 H, 重複したt, CH2 Me) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 146.9 (o-C 6H3 iPr2), 140.9 (i-C 6H3 iPr2), 127.2 (p-C 6H3 iPr2), 123.8 (m-C 6H3 iPr2), 116.4 (NCH), 73.7 (NCH2N), 73.0 (NCH2N), 56.2 (CH2), 53.1 (CH2), 51.8 (CH2), 30.2 - 27.6 (CH2), 29.8 (CHMeMe), 25.2 (CHMeMe), 24.4 (CHMeMe), 22.8 (CH2), 14.1 (CH3) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 13.9 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 1580 (m), 1322 (w), 1277 (w), 1257 (m), 1111 (m), 1094 (w), 1069 (w), 1015 (m), 942 (m), 897 (m), 801 (s), 763 (s), 715 (s), 650 (s). 元素分析:実測値 (C65H117BCl2N6Tiの計算値): C, 70.08 (70.19); H, 10.46 (10.60); N, 7.54 (7.56)%.
【0192】
[実施例14]
【0193】
【化55】
【0194】
室温のトルエン(10mL)中のTi{NB(NAr’CH)}Cl(NHMe(前駆体7、0.30g、0.492mmol)の溶液に、Hex[6]aneN(193μL、0.492mmol)を添加し、3時間撹拌した。次いで、揮発物を減圧下で除去し、残渣をトルエンに再溶解した。これを3時間の撹拌ごとに繰り返し、この時間の後、これは黄色溶液となっていた。揮発物を減圧下で除去し、黄色固体をヘキサン(3×5mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥すると、実施例14が黄色粉末として残った。収量:0.262g(62%)。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.29 (6 H, 重複した2×m, m-およびp-C6 H 3 iPr2), 5.82 (2 H, s, NCH), 4.31 (1 H, d, 2J = 7.2 Hz, NCH2N), 3.72 (2 H, d, 2J = 7.2 Hz, NCH2N), 3.64 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 3.14 (1 H, d, 2J = 7.2 Hz, NCH2N), 3.07 (2 H, m, CH2), 2.57 (2 H, d, 2J = 7.2 Hz, NCH2N), 2.50 (2 H, m, CH2), 2.03 (2 H, m, CH2), 1.71 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 1.37 - 1.03 (9 H, 重複したm, CH2), 1.33 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 1.01 (6 H, t, 3J = 7.3 Hz, CH2 Me), 0.84 (3 H, t, 3J = 7.3 Hz, CH2 Me) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 146.9 (o-C 6H3 iPr2), 140.8 (i-C 6H3 iPr2), 127.2 (p-C 6H3 iPr2), 123.4 (m-C 6H3 iPr2), 116.4 (NCH), 73.6 (NCH2N), 73.0 (NCH2N), 56.2 (NCH2), 51.7 (NCH2), 32.2 (CH2), 31.9 (CH2), 29.0 (CHMeMe), 27.3 (CH2), 25.2 (CHMeMe), 25.0 (CH2), 24.3 (CHMeMe), 24.1 (CH2), 23.1 (CH2), 23.0 (CH2), 14.3 (CH2 Me), 14.2 (CH2 Me) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 14.5 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 2354 (w), 1584 (w), 1416 (w), 1331 (w), 1308 (w), 1261 (m), 1277 (m), 1232 (w), 1160 (m), 1110 (s), 1084 (m), 1068 (w), 1011 (s), 945 (s), 894 (s), 805 (s), 751 (s), 720 (m), 647 (s). 元素分析:実測値 (C47H83BCl2N6Tiの計算値): C, 65.43 (65.50); H, 9.68 (9.71); N, 9.59 (9.75)%.
【0195】
[実施例15]
【0196】
【化56】
【0197】
室温のトルエン(10mL)中のTi{NB(NAr’CH)}Cl(py)(前駆体10、0.35g、0.453mmol)の溶液に、BF-OEt(173μL、1.359mmol)を添加し、これにより直ちに暗緑色溶液が得られた。溶液を室温で10分間撹拌した後、溶液をBn[6]aneN(0.17g、0.453mmol)を仕込んだ別のシュレンク管にカニューレによって移し、室温で1時間撹拌し、この時間の後、これは黄色溶液となっていた。次いで、トルエン溶液を3mLに濃縮し、室温のヘキサン15mLを積層することにより、4日後に実施例15の黄色結晶が得られた。収量:0.224g(48%)。H NMRスペクトルは、1当量の副生成物BF-pyが共結晶化されたことを示した。1H NMR (C6D6, 400.1 MHz): δ 7.30 (4 H, d, 3J = 7.3 Hz, m-C6 H 3 iPr2), 7.19 (4 H, m, o-C6 H 3 iPr2), 6.96 (8 H, 重複したm, o-およびm-C6H5), 6.91 3 H, 重複したm, p-C6H5), 6.67 (4 H, 重複したm, o-およびm-C6H5), 5.89 (2 H, s, NCH), 4.93 (1 H, d, 2J = 7.2 Hz, NCH2N), 4.36 (2 H, d, 2J = 14.7 Hz, CH 2Ph), 3,89 (2 H, d, 2J = 7.2 Hz, NCH2N), 3.78 (4 H, 七重線, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 3.76 (2 H, d, 2J = 14.7 Hz, CH 2Ph), 3.10 (1 H, d, 2J = 7.2 Hz, NCH2N), 3.01 (2 H, s, CH 2Ph), 2.13 (2 H, d, 2J = 7.2 Hz, NCH2N), 1.80 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe), 1.35 (12 H, d, 3J = 6.9 Hz, CHMeMe) ppm. 13C{1H} NMR (C6D6, 100.6 MHz): δ 147.0 (o-C 6H3 iPr2), 140.8 (i-C 6H3 iPr2), 132.2 (i-C6H5), 130.5 - 128.3 (o-, m-およびp- C6H5), 127.4 (p-C 6H3 iPr2), 123.5 (m-C 6H3 iPr2), 116.4 (NCH), 73.1 (NCH2N), 73.0 (NCH2N), 60.5 (CH2Ph), 55.8 (CH2Ph), 29.0 (CHMeMe), 25.1 (CHMeMe), 24.6 (CHMeMe) ppm. 11B{1H} NMR (C6D6, 128.4 MHz): δ 15.1 ppm. IR (NaCl板, ヌジョールマル, cm-1): 2367 (w), 1628 (s), 1496 (w), 1344 (w), 1304 (w), 1280 (w), 1222 (w), 1117 (m), 1114 (s), 1088 (m), 1069 (m), 1015 (s), 968 (s), 934 (m), 895 (s), 805 (s), 779 (s), 763 (s), 698 (s), 687 (s), 656(s), 616 (m).残留BF-pyを完全に分離することができず、十分な元素分析が得られなかった。
【0198】
[比較例]
【0199】
【化57】
【0200】
比較例1は、Adams et al.,Organometallics,2006,25(16),3888-3903に従って調製した。比較例2は、Bigmore et al.,Chem.Commun.,2006,436-438に従って調製した。
【0201】
[実施例16]
[触媒固定化]
ボリルイミド触媒(実施例1~15)および比較例1~2を、以前に報告された方法(T.A.Q.Arnold,Z.R.Turner,J.C.Buffet and D.O’Hare,J.Organomet.Chem.,2016,822,85-90;D.A.X.Fraser,Z.R.Turner,J.C.Buffet and D.O’Hare,Organometallics,2016,35,2664-2674)を使用して、ポリメチルアルミノキサン(sMAO)に固定化した。
【0202】
グローブボックスにおいて、sMAO(250mg、200当量)および所望の触媒(1当量)をシュレンクフラスコに添加した。次いで、トルエン(40mL)を添加し、スラリーを手で時々かき混ぜながら60℃で1時間加熱した。この時間の後、混合物を濾過して、sMAO固定化触媒(1:200の比のTi:Al)を淡黄色粉末として残し、次いで、これを真空中で乾燥した。
【0203】
[実施例17]
[重合研究]
[エチレン重合:スラリー相]
グローブボックスにおいて、固定化触媒(10mg)を、共触媒としてのトリイソブチルアルミニウム(TIBA、150mg)、およびヘキサン(50mL)とともに、厚肉アンプル中に秤量した。次いで、アンプルをシュレンクラインへ循環させ、N雰囲気を真空下で部分的に除去した。スラリーを所望の温度(50、60、70または80℃)に加熱し、激しく撹拌した後、3barの動圧でエチレンを添加した。生成されたポリエチレンの質量を15、30および60分後にモニタリングした。重合を終了させるために、アンプルを熱から除去し、エチレンを真空下で系から除去し、Nで置き換えた。得られたポリマーを濾過し、ペンタンで数回洗浄し、乾燥した。
【0204】
スラリー相重合の結果を下の表1にまとめる。
【0205】
【表1】
【0206】
[エチレン重合:溶液相]
グローブボックスにおいて、触媒(0.5mgまたは2mg)を、共触媒としてのメチルアルミノキサン(MAO、2mgの触媒担持量の場合は500当量、または0.5mgの触媒担持量の場合は1000当量)、およびトルエン(50mL)とともに、厚肉アンプル中に秤量した。次いで、アンプルをシュレンクラインへ循環させ、N雰囲気を真空下で部分的に除去した。スラリーを室温で激しく撹拌した後、3barの動圧でエチレンを添加した。生成されたポリエチレンの質量を2、6および15分後にモニタリングした。重合を終了させるために、エチレンを真空下で系から除去し、Nで置き換えた。得られたポリマーを濾過し、ペンタンで数回洗浄し、乾燥した。
【0207】
溶液相重合の結果を下の表2にまとめる。
【0208】
【表2】
【0209】
表1および2に提示された結果は、実施例触媒が、スラリーおよび溶液相中の両方でオレフィン、例えばエチレンの重合において有効であり、典型的には良好な触媒活性を有することを示している。それらは、超高分子量および/または中程度の多分散性を有する直鎖状ポリエチレンを生成した。
【0210】
本発明の具体的な実施形態を参照および例示の目的で本明細書に記載しているが、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改変が当業者には明白であろう。