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特許7502735地中ケーブル縁切り装置、および地中ケーブル撤去工法
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  • 特許-地中ケーブル縁切り装置、および地中ケーブル撤去工法 図1
  • 特許-地中ケーブル縁切り装置、および地中ケーブル撤去工法 図2
  • 特許-地中ケーブル縁切り装置、および地中ケーブル撤去工法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】地中ケーブル縁切り装置、および地中ケーブル撤去工法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20240612BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G9/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019205700
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021078325
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593027716
【氏名又は名称】株式会社エステック
(73)【特許権者】
【識別番号】519110227
【氏名又は名称】三桜機材サービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514136185
【氏名又は名称】株式会社ライフライン
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】戸矢 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】吉本 正浩
(72)【発明者】
【氏名】足立 倫海
(72)【発明者】
【氏名】椙島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】陶山 晃
(72)【発明者】
【氏名】岩下 修二
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-85380(JP,A)
【文献】特開平10-174238(JP,A)
【文献】特開平10-286540(JP,A)
【文献】特開2006-74939(JP,A)
【文献】特開2015-171190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/00-1/10
H02G 9/00-9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラフ内を通る地中ケーブルを撤去するために該トラフ内の土と地中ケーブルの縁切りを行う地中ケーブル縁切り装置において、
前記地中ケーブルを挿通する円筒部を有するヘッドと、
前記ヘッドを推進する中空ロッドと、
を備え、
前記ヘッドは、
前記円筒部の上方に配置され前記中空ロッドを介して供給されたエアを前方に噴射する前側噴射孔と、
前記円筒部の後方且つ前記前側噴射孔の下方のみに配置されエアを後方に噴射する後側噴射孔を有し、
前記前側噴射孔から前方にエアを噴射してトラフ内の埋設材と地中ケーブルとを縁切りしつつ、前記後側噴射孔から後方且つ斜め下方にもエアを噴射することにより前記地中ケーブルを持ち上げ、前記縁切りによって剥離した土を地中ケーブルの下方に導きながら前記トラフ内を推進することを特徴とする地中ケーブル縁切り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地中ケーブル縁切り装置を用いて地中ケーブルと土を縁切りした後に地中ケーブルを引き抜くことを特徴とする地中ケーブル撤去工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラフ内を通る地中ケーブルを撤去するためにトラフ内の土と地中ケーブルの縁切りを行う地中ケーブル縁切り装置、およびそれを用いた地中ケーブル撤去工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市における景観への配慮や安全性という観点から地中配線の普及が進んでいる。地中配線では、地中にトラフや管路を埋設し、その内部に電力ケーブルや通信ケーブル等(以下、地中ケーブルと称する)を敷設する。地中ケーブルは、経年劣化した際や、不要になった際には撤去される。
【0003】
例えば特許文献1では、トラフ内の地中ケーブルを撤去する電力ケーブル撤去工法が開示されている。特許文献1では、電力ケーブルが埋設されているトラフの一定長の両端箇所の地表面箇所から作業用立坑を掘削し、作業用立坑内において、撤去する電力ケーブルの両端を切断する。そして、高圧水を噴射することによってトラフ内の充填砂を崩した後に、トラフ内の電力ケーブルを引き抜いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-74939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トラフでは、地中ケーブルの周囲に埋設材(土や砂等)が充填されている。地中ケーブルは送電中に発熱する。このとき、埋設材は、放熱するための伝熱材として機能する。また発熱した地中ケーブルは昇温によって延びて蛇行しようとするが、このとき、埋設材は、蛇行を抑える支持部材としての役割も果たす。その一方で、埋設材は加熱されながら圧縮されるためトラフ内において固化してしまい、さらには固化した埋設材が地中ケーブルに固着してしまう。すると、摩擦抵抗が増加してしまい、地中ケーブルの引き抜きが難しくなる。
【0006】
そこで、トラフに敷設されている地中ケーブルを引き抜く際には、まずトラフ内の埋設材と地中ケーブルとの縁切り処理を行う。例えば特許文献1のように高圧水を噴射することによっても地中ケーブルと埋設材と縁切りすることができる。しかしながら、トラフ内に高圧水を噴射しながら排水を吸引する作業は、推進時間がかかるため、作業が長時間化してしまう。また地中ケーブルがOFケーブルであった場合、仮にケーブルの内部のオイルが漏れると、そのオイルが高圧水によって周囲に拡散してしまう。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、トラフ内の土と地中ケーブルの縁切り作業を効率的に行うことができ、且つ地中ケーブル内のオイルが万が一漏れてもその拡散を抑制することが可能な地中ケーブル縁切り装置、および地中ケーブル撤去工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる地中ケーブル縁切り装置の代表的な構成は、トラフ内を通る地中ケーブルを撤去するためにトラフ内の土と地中ケーブルの縁切りを行う地中ケーブル縁切り装置において、地中ケーブルを挿通する円筒部を有するヘッドと、ヘッドを推進する中空ロッドと、を備え、ヘッドは、中空ロッドを介して前方にエアを噴射することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、ヘッドから噴射されるエアによって、トラフ内の土と地中ケーブルとが縁切りされる。このとき、高圧水のような液体を用いないため、排水を回収する作業が不要となる。トラフ内の土と地中ケーブルの縁切り作業を効率的に行うことができる。また高圧水のような液体を用いないため、地中ケーブル内のオイルが万が一漏れることがあっても、その拡散を抑制することが可能となる。
【0010】
上記ヘッドは、後方の斜め下方にもエアを噴射するとよい。これにより、縁切りによって剥離した土を地中ケーブルの下方に導くことができる。したがって、縁切りされた地中ケーブルの土への埋もれを好適に防ぐことが可能となる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる地中ケーブル撤去工法の代表的な構成は、上述した地中ケーブル縁切り装置を用いて地中ケーブルと土を縁切りした後に地中ケーブルを引き抜くことを特徴とする。上述した地中ケーブル撤去用の削進管における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該地中ケーブル撤去工法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トラフ内の土と地中ケーブルの縁切り作業を効率的に行うことができ、且つ地中ケーブル内のオイルが万が一漏れてもその拡散を抑制することが可能な地中ケーブル縁切り装置、および地中ケーブル撤去工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態にかかる地中ケーブル縁切り装置を説明する図である。
図2】本実施形態の地中ケーブル撤去工法を説明する図である。
図3図2(b)のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態にかかる地中ケーブル縁切り装置(以下、縁切り装置100と称する)を説明する図である。図1(a)は、縁切り装置100の全体図であり、図1(b)は、図1(a)のA方向からの断面図である。図1(b)に示すように、作業現場10では、路面の下の地中にトラフ12が埋設されていて、そのトラフ12の内部に地中ケーブル14が敷設されている。
【0016】
トラフ12内に埋設材18(例えば土)が充填されていることにより、地中ケーブル14の周囲は埋設材18によって被覆されている。トラフ12の上面には蓋16が設けられている。本実施形態の地中ケーブル撤去工法では、縁切り装置100によってトラフ12内の埋設材18である土と地中ケーブル14の縁切りを行い、トラフ12内を通る地中ケーブル14を撤去する。
【0017】
図1(a)に示すように、本実施形態の縁切り装置は、ヘッド110および中空ロッド120を備える。ヘッド110は、地中ケーブル14を挿通する円筒部112、および円筒部112と中空ロッド120を連結する連結部114を有する。中空ロッド120は、連結部114を介して円筒部112に連結されていて、ヘッド110を推進する。
【0018】
詳細には、縁切り装置100の中空ロッド120には油圧シリンダ130が接続されている。油圧シリンダ130は、油圧コンプレッサ140によって推進力が付与され、かかる油圧シリンダ130によって縁切り装置100がトラフ12内を推進する。また縁切り装置100の中空ロッド120には、エアコンプレッサ150が接続されていて、このエアコンプレッサ150から縁切り装置100にエアが供給される。
【0019】
図2は、本実施形態の地中ケーブル撤去工法(以下、撤去工法と称する)を説明する図である。図3は、図2(b)のB-B断面図である。本実施形態の撤去工法では、図2(a)に示すように円筒部112に地中ケーブル14を挿通する。そして、油圧シリンダ130からの推進力によって中空ロッド120を介してヘッド110を推進しつつ、中空ロッド120を介してヘッド110に供給されたエアを前側噴射孔112aから前方に噴出する。
【0020】
上記構成によれば、ヘッド110から噴射されるエアによって、トラフ12内の埋設材18と地中ケーブル14とが縁切りされる。このように縁切りの際にエアを用いることにより、高圧水等の液体を用いた際の排水を回収する作業が不要となる。したがって、トラフ12内の土等の埋設材18と地中ケーブル14の縁切り作業を効率的に行うことができる。
【0021】
また高圧水のような液体を用いないため、地中ケーブル14内のオイルが万が一漏れることがあっても、その拡散を抑制することが可能となる。そして、図2(b)に示すようにトラフ12内の埋設材18と地中ケーブル14とを縁切りしたら、地中ケーブル14をトラフ12から引き抜いて撤去する。
【0022】
更に本実施形態では、図1図2に示すように、ヘッド110は、円筒部112の後方にも後側噴射孔112bが形成されていて、そこから後方の斜め下方にもエアを噴射する。これにより、図3に示すように、縁切りによって剥離した埋設材18を、持ち上げられた地中ケーブル14の下方の隙間に導くことができる。したがって、縁切りされた地中ケーブル14がふたたび隙間に落ち込んで埋設材18に埋もれてしまうことを好適に防ぐことが可能となる。
【0023】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、トラフ内を通る地中ケーブルを撤去するためにトラフ内の土と地中ケーブルの縁切りを行う地中ケーブル縁切り装置、およびそれを用いた地中ケーブル撤去工法に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
10…作業現場、12…トラフ、14…地中ケーブル、16…蓋、18…埋設材、100…縁切り装置、110…ヘッド、112…円筒部、112a…前側噴射孔、112b…後側噴射孔、114…連結部、120…中空ロッド、130…油圧シリンダ、140…油圧コンプレッサ、150…エアコンプレッサ
図1
図2
図3