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特許7502753ゴルフ用パターヘッド、及び当該ゴルフ用パターヘッドを装着したゴルフ用パター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】ゴルフ用パターヘッド、及び当該ゴルフ用パターヘッドを装着したゴルフ用パター
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20240612BHJP
   A63B 53/02 20150101ALI20240612BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240612BHJP
【FI】
A63B53/04 H
A63B53/02
A63B102:32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023166755
(22)【出願日】2023-09-28
【審査請求日】2023-10-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518414007
【氏名又は名称】有限会社八正精工
(74)【代理人】
【識別番号】712007658
【氏名又は名称】南舘 正士
(72)【発明者】
【氏名】南舘 正士
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-004627(JP,A)
【文献】米国特許第05890969(US,A)
【文献】実開平01-080164(JP,U)
【文献】特開平02-191476(JP,A)
【文献】特開平10-174730(JP,A)
【文献】実開昭59-193456(JP,U)
【文献】特表2005-518885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0076598(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ用パターのシャフトの先端側に取り付けられるゴルフ用パターヘッドであって、
第1方向に延伸する長細い形状を有する本体支持部を有するヘッド本体部と、
前記ヘッド本体部の上面に取り付けられ、前記シャフトを取り付けるためのネック部と、を備え、前記ヘッド本体部は、金属部材からなる芯部と、前記芯部の外表面を一体に、かつ全体的に被覆する樹脂製の被覆部を有し、
前記ヘッド本体部の前記芯部には、前記ネック部を取り付けるためのネック固定孔部が設けられており、
前記ネック固定孔部は、断面形状が前記第1方向と交差する第2方向に長い長円形状を有すると共に所定の深さを有し、
前記ネック部は、斜めに傾いた状態で前記ネック固定孔部の底部に到達するまで挿入されて当該ネック固定孔部の開口頂部で支持され、所定の角度で傾いた状態を維持しながら前記ネック固定孔部に樹脂を流し込むことにより、前記ヘッド本体部に固定され、
前記ネック部は、中空部を有すると共に、先端側にスリット部を有しており、
前記中空部の上端側に深さ調整部材が取り付けられており、
前記ネック固定孔部に樹脂を流し込むときに、前記スリット部から前記ネック部の前記中空部に樹脂を流し入れて、前記深さ調整部材が取り付けられた位置まで樹脂を充填することにより、前記ネック部が前記ヘッド本体部に固定されていることを特徴とするゴルフ用パターヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド本体部は、前記本体支持部の延伸方向の先端側に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する打面部を有し、
前記打面部に、ゴルフボールを打つためのフェイス面が前記第2方向に延伸して形成され、
前記本体支持部の第1方向の長さが、前記打面部の前記第2方向の長さより大きいことを特徴とする請求項1に記載のゴルフ用パターヘッド。
【請求項3】
前記打面部の前記第2方向の端部に突起部が設けられており、
前記突起部が、前記フェイス面を前記第2方向に延長し、当該突起部の表面が前記フェイス面と共面となっていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフ用パターヘッド。
【請求項4】
前記請求項1~いずれかに記載のゴルフ用パターヘッドと、前記ネック部に取り付けられたシャフトと、を有することを特徴とするゴルフ用パター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ用パターヘッド、及び当該ゴルフ用パターヘッドを装着したゴルフ用パターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフ用パターヘッドとしては、金属製のものが用いられている。また、ゴルフボールを打つための打球面( パターフェイス)には、金属製のパターフェイスや、合成樹脂を金属製のパターヘッドのフェイス面に貼り付けてパターフェイスを形成したものなどが知られている。
【0003】
特許文献1(実用新案登録第3156719号公報)には、打球面に沿って、ゴルフボールの表皮より軟らかい樹脂と硬い樹脂を交互に配列したフェイス面形成部材を打球面( フェイス) の中央部に挿入したゴルフパターのヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3156719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の金属製のパターヘッドでは、反発係数が高く、このためゴルフボールのコントロールが難しい。また、材料として用いている金属が錆びやすく、劣化し易いといった課題を有している。また、特許文献1に記載のゴルフ用パターヘッドでは、金属製のパターヘッド本体のフェイス面に接着剤を用いて樹脂を貼り付け固定している。このように、金属製のパターヘッド本体のフェイス面に樹脂を貼り付け固定している場合は、樹脂の剥がれ等の不具合が生じる場合がある。
求められているのは、ゴルフボールを打つときのコントールが容易であり、また錆びや樹脂の剥がれを低減できる信頼性の高いゴルフ用パターヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るゴルフ用パターヘッドは、ゴルフ用パターのシャフトの先端側に取り付けられるゴルフ用パターヘッドであって、ヘッド本体部と、前記ヘッド本体部の上面に取り付けられ、前記シャフトを取り付けるためのネック部とを備える。また、前記ヘッド本体部は、金属部材からなる芯部と、前記芯部の外表面を全体的に被覆する樹脂製の被覆部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るゴルフ用パターヘッドでは、樹脂製の被覆部が、金属部材からなる芯部の外表面を全体的に被覆しているので、芯部が錆びることを効果的に防止することができる。また、樹脂製の被覆部により、芯部の外表面を全体的に被覆することにより、被覆部が芯部から剥がれることも防止することができる。また、ゴルフボールを打つフェイス面も樹脂でできているので、ゴルフボールに対して適度の反発係数を有する。従い、ゴルフボールを打つときのコントールが容易である。
【0008】
また、本発明に係るゴルフ用パターヘッドにおいて、前記ヘッド本体部は、第1方向に延伸する長細い形状を有する本体支持部と前記本体支持部の延伸方向の先端側に設けられた打面部を有し、前記打面部に、ゴルフボールを打つためのフェイス面が前記第1方向と交差する第2方向に延伸して形成されていることを特徴としてもよい。このゴルフ用パターヘッドが装着されたゴルフ用パターを用いることで、芝生の抵抗が低減でき、ゴルフコースのラフからでも、ゴルフボールを打つことができる。
【0009】
また、本発明に係るゴルフ用パターヘッドにおいて、前記打面部の前記第2方向の端部に突起部が設けられており、前記突起部が、前記フェイス面を前記第2方向に延長し、当該突起部の表面が前記ファイス面と共面となっていることを特徴としてもよい。打面部の第2方向の端部に、突起部の表面がファイス面と共面となるように突起部を設け、フェイス面を横方向に拡大した構造とすることにより、ゴルフボールを打撃する時に、ボールの視認が容易になる。
【0010】
また、本発明に係るゴルフ用パターヘッドにおいて、前記ヘッド本体部の前記芯部には、前記ネック部を取り付けるためのネック固定孔部が設けられており、
前記ネック固定孔部は、断面形状が前記第2方向に長い長円形状を有すると共に所定の深さを有し、前記ネック部は、斜めに傾いた状態で前記ネック固定孔部の底部に到達するまで挿入されて当該ネック固定孔部の開口頂部で支持され、所定の角度で傾いた状態を維持しながら前記ネック固定孔部に樹脂を流し込むことにより、前記ヘッド本体部に固定されていることを特徴としてもよい。
【0011】
本発明に係るゴルフ用パターヘッドでは、ネック部が斜めに傾いた状態でネック固定孔部に挿入されて、傾いた状態で、ネック固定孔部の開口頂部で支持されている。ネック固定孔部にネック部が挿入された状態で、樹脂をネック固定孔部内に流し込むことにより、ネック部とヘッド本体部の表面との成す角度が、所定の角度となるように、ネック部を芯部に固定することができる。
【0012】
また、本発明に係るゴルフ用パターヘッドにおいて、前記ネック部は、中空部を有すると共に、先端側にスリット部を有しており、前記中空部上端側に深さ調整部材が取り付けられており、前記ネック固定孔部に樹脂を流し込むときに、前記スリット部から前記ネック部の前記中空部に樹脂を流し入れて、前記深さ調整部材が取り付けられた位置まで樹脂を充填することにより、前記ネック部が前記ヘッド本体部に固定されていることを特徴としてもよい。深さ調整部材の位置によって、ネック部材の内孔に挿入し固定されるシャフトの挿入深さを決定することができる。また、樹脂が、ネック部に設けられたスリットを介して、ネック部の孔部まで充填されるので、より強度に、ネック部を芯部に固定することができる。
【0013】
また、本発明に係るゴルフ用パターは、上記に記載のゴルフ用パターヘッドと、前記ネック部に取り付けられたシャフトとを有することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るゴルフ用パターヘッドは、ヘッド本体部と、ヘッド本体部の上面に取り付けられ、シャフトを取り付けるためのネック部とを備えており、ヘッド本体部は、金属部材からなる芯部と、芯部の外表面を全体的に被覆する樹脂製の被覆部を有している。樹脂製の被覆部が、金属部材からなる芯部の外表面を全体的に被覆しているので、芯部が錆びることを効果的に防止することができる。また、樹脂製の被覆部により、芯部の外表面を全体的に被覆することにより、被覆部が芯部から剥がれることも防止することができる。また、ゴルフボールを打つフェイス面も樹脂でできているので、ゴルフボールに対して適度の反発係数を有する。従い、ゴルフボールを打つときのコントールが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係るゴルフ用パターヘッドの斜視図を概略的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るゴルフ用パターヘッドを説明するための図である。図2(a)は、ゴルフ用パターヘッドの上面図を示し、図2(b)は、ゴルフ用パターヘッドの正面図を概略的に示す図である。
図3図3は、本実施形態に係るゴルフ用パターヘッドを説明するための図である。図3(a)は、ゴルフ用パターヘッドの側面図を示し、図3(b)は、ゴルフ用パターヘッドの底面図を概略的に示す図である。
図4図4は、本実施形態に係るゴルフ用パターヘッドの芯部を概略的に示す図である。
図5図5は、本実施形態に係るゴルフ用パターヘッドの芯部の上面側に設けたネック固定孔部にネック部を樹脂で固定する前の状態を説明するための図である。
図6図6は、図5のVI線―VI線に沿って切り取った断面斜視図を概略的に示す図である。
図7図7は、ネック部を説明するための図である。図7(a)は、ネック部の正面図を示す。図7(b)は、図7(a)のVII線―VII線に沿って切り取った断面図を示す。
図8図8は、本実施形態に係るゴルフ用パターの斜視図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面と共に本発明に係るゴルフ用パターヘッド及びゴルフ用パターの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。説明中、「上」、「下」、「表」、「裏」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0017】
図1に、本実施形態に係るゴルフ用パターヘッドの斜視図を概略的に示す。また、図2及び図3に、本実施形態に係るゴルフ用パターヘッドの概略図を示す。図2において、図2(a)及ぶ、(b)は、それぞれゴルフ用パターヘッドの上面図、及ぶ正面図を示す。また、図3において、図3(a)及ぶ、(b)は、それぞれゴルフ用パターヘッドの側面図、及び底面図を示す。
【0018】
図1に示すように、ゴルフ用パターヘッド1は、第1方向に延伸するヘッド本体部2と、ヘッド本体部2の上面側に取り付けられたネック部3を有することができる。ネック部3に、シャフトを取り付けることにより、ゴルフ用パターヘッド1を支持することができる。
【0019】
ヘッド本体部2は、内部の芯部4と、芯部4の外表面を被覆する被覆部5を有することができる。芯部4は、例えば、鉄などの金属材料からなることができる。また、被覆部5は、樹脂材料からなることができる。樹脂材料としては、例えば、6ナイロンのようなポリアミド合成樹脂を用いることができる。また、樹脂材料に、無機フィラーとしてクレイなどを混入してもよい。クレイとしては層状シリケート(層状珪酸塩)を用いることができる。また、アルミニウムなどの顔料を混入してもよい。
【0020】
被覆部5は、ネック部3が取り付けられている領域を除いて、芯部4のほぼ全外表面にわたって、芯部4を被覆している。また、後で詳述するが、被覆部5は、突起部11を除いて、全体がほぼ同じ厚みで形成されている。被覆部5の厚みは、約1mm~7mm程度とすることができる。本実施形態では、被覆部5の厚みは、約3.5mm程度としている。
【0021】
ヘッド本体部2は、第1方向に延伸する本体支持部6と,本体支持部6の延伸方向の先端側に設けられた打面部7を有することができる。本体支持部6の打面部7に対向する後端側は、先端部が尖った形状を有することができる。また、本実施形態において、ネック部3は、本体支持部6の表面側に設けられている。
【0022】
図1を参照すると、本体支持部6は、第1方向に延伸し、断面形状が略矩形形状の縦長形状を有することができる。本体支持部の延伸方向(第1方向)の長さは、約100mm程度とすることができる。打面部7の長さは、約13mm~15mm程度とすることができる。また、本体支持部6の厚みは、約30mm程度とすることができる。
【0023】
本体支持部6が、第1方向に延伸し、縦長形状を有することにより、本実施形態のゴルフ用パターヘッド1が装着されたゴルフ用パターを用いて、ゴルフボールを打った時の芝生の抵抗を低減できる。一般に、パターは、グリーン上のゴルフボールを打つときに用いられるが、本実施形態のゴルフ用パターヘッド1が装着されたゴルフ用パターを用いることで、芝生の抵抗が低減できるので、ゴルフコースのラフ(フェアウェイの外側の刈り込んでいない芝生や雑草の生えている領域)からでも、ゴルフボールを打つことができる。この結果、パターをスムーズに移動させて、ラフ領域にあるゴルフボールを打ち、カップを確実に狙うことができる。
【0024】
また、本体支持部6の延伸方向(第1方向)の前面側に設けられた打面部7の前面側には、ゴルフボールを打つためのフェイス面10が形成されている。フェイス面10は、第1方向と交差する第2方向に延伸している。
【0025】
また、打面部7の第2方向の両端部に突起部11が設けられている。打面部7に設けられたフェイス面10は、突起部11の表面側まで延伸している。換言すると、打面部5のファイス面10と突起部11の表面を共面とし、ほぼ同一面となるように形成されている。
【0026】
フェイス面10には、略半円上の打撃部12を設けている。打撃部12には、上下方向に延伸する凹状の溝凸状の溝部が並行して複数個設けられている。溝部を設けることにより、ゴルフボールを打つときに、フェイス面でボールが滑ることを防止し、目標とする方向にボールを打ち出すことができる。溝部の深さは、約0.1mm~0.7mm程度とすることができる。本実施形態では、打撃部12の溝部の深さは約0.5mm程度である。また、溝部の間隔は、0.5mm程度とすることができる。
【0027】
また、打面部7の第2方向の両端部に設けられた突起部11は、被覆部5を形成している材料と同じ樹脂材料からなることができる。なお、突起部11には、芯部4は設けられていない。図1を参照すると、突起部11の後面側は、外側に向かうにつれ、先端側に湾曲した形状を有することができる。突起部11を設け、フェイス面10を横方向に拡大した構造とすることにより、ゴルフボールを打撃する時に、ボールの視認が容易になる。
【0028】
また、突起部11の後面側が、外側に向かうにつれ、先端側に湾曲した形状を有しており、これによっても、本実施形態のゴルフ用パターヘッド1が装着されたゴルフ用パターをバックスイングのときに、芝生の抵抗を低減できる。特に、ラフからゴルフボールを打ったときに、ラフの芝の抵抗を低減できる。
【0029】
また、図3(b)を参照すると、ヘッド本体部2の底面側に、ゴルフ用パターヘッド1の延伸方向(第1方向)に延伸する溝形状のガイド用溝13が形成されている。本実施形態では、ヘッド本体部2の底面において、本体支持部6と打面部7にわたって、ヘッド本体部の先端側から後端側までガイド用溝13が形成されている。ガイド用溝13の溝の幅は、約3mm程度であり、溝の深さは約1mm程度である。ヘッド本体部の底面側にガイド用溝13を設けることにより、ゴルフコースのラフからゴルフボールを打ったとき、ラフの芝の抵抗を低減できる。また、同様に、パターをバックスイングした時もラフの芝の抵抗を低減できる。従い、本実施形態のゴルフ用パターヘッド1を用いることにより、ラフの芝生の影響を小さくしてパターを振ることができるので、ラフからでも、容易にゴルフボールを打つことができる。また、ガイド用溝13を設けることにより、ガイド用溝13の溝が、ラフの芝生に沿って、一定方向に動いて、ゴルフ用パターヘッド1をガイドすることができるので、ゴルフ用パターヘッド1のブレを小さくすることができる。この結果、より正確な打撃をすることができる。
【0030】
次に、本実施形態に係るゴルフ用パターヘッド1の芯部4について詳細に説明する。図4に、本実施形態に係るゴルフ用パターヘッド1の芯部4を概略的に示す。
【0031】
図4示すように、芯部4は、第1方向に延伸し、断面形状が略矩形形状の縦長四角柱状であって、後端側が尖った形状を有することができる。また、芯部4の上面側には、ネック部3を挿入し固定するためのネック固定孔部20が設けられている。また、図4に示すように、芯部4は、芯部本体21と、芯部本体21の裏面側に組み込まれた重量調整部22から成ることができる。本実施形態では、芯部本体21の重量調整部22を組みこむ領域に溝部を形成し、この溝部に重量調整部22を圧入固定して、芯部4を形成している。芯部本体21は、例えばアルミニウムなどの比較的比重が小さい金属を用いることができ、また、重量調整部22には、鉄、ステンレス鋼などの比較的比重が大きい金属が用いられる。なお、芯部4を、一種類の金属材料から形成することもできる。
【0032】
また、芯部4の後端側が尖った形状を有することにより、芯部4の表面を被覆部5で覆った本体支持部4の後端面側も、同様の突起形状を有することができる。具体的には、後端面は、後方に向かって、上方に湾曲した面形状を有することができる。また、側面側は、後方に向かって内側に傾斜した面形状を有することができる。前述したように、本実施形態のゴルフ用パターヘッド1が装着されたゴルフ用パターを用いて、ゴルフコースのラフからゴルフボールを打ったとき、本体支持部4の後端面側が、上記のような突起形状を有することにより、パターのバックスイング時のラフの芝の抵抗を低減できる。従い、本実施形態のゴルフ用パターヘッド1を用いることにより、ラフからでも、容易にゴルフボールを打つことができる。
【0033】
次に、本実施形態のゴルフ用パターヘッド1のネック部3について、詳細に説明する。図5に、ゴルフ用パターヘッドの芯部の上面側に設けたネック固定孔部20にネック部を樹脂で固定する前の状態を説明するための図を示す。また、図6に、図5のVI線―VI線に沿って切り取った断面図を概略的に示す。なお、図5は、芯部4の上面側に設けられたネック固定孔部20にネック部3が挿入された状態であって、樹脂材料で被覆される前の状態を示している。
【0034】
図4を参照すると、ネック固定孔部20は、芯部4の延伸方向(第1方向)と交差する第2方向に長い長円形状を有している。また、図5及び図6に示すように、ネック部3が背面側に斜めに傾いた状態でネック固定孔部20の底部に到達するまでに挿入されており、傾いた状態で、ネック部3が、ネック固定孔部20の開口頂部で支持されている。このとき、ネック部3とヘッド本体部2の表面との成す角度が、所定の角度となるように、ネック固定孔部20の長円の第2方向の長さ、及びネック固定孔部20の孔の深さを設定している。長円の第1方向の長さ(幅)は、ネック部3の外径とほぼ同じか又は、僅かに大きくなるように設定されている。本実施形態では、ネック固定孔部20の長円の第2方向の長さは、約17mm程度である。また、ネック部3の外径(直径)は、約12mmφ程度であり、長円の第1方向の長さ(幅)は、約15mm程度である。また、ネック固定孔部20の孔の深さは、約18mm程度である。また、ネック部3とヘッド本体部2の表面との成す角度は、約20度に設定されている。なお、ネック部3を芯部4に固定する際は、ネック固定孔部20にネック部3が挿入された状態で、樹脂材料を例えばインサート成型(射出成型)により芯部4の外表面を被覆すると共に、ネック固定孔部20内に流し込み、樹脂材料によりネック部3を芯部4に固定することができる。このように本実施形態では、ネック固定孔部20にネック部3が挿入された状態で、樹脂材料をネック固定孔部20内に流し込むことにより、ネック部3とヘッド本体部2の表面との成す角度が、所定の角度となるように、ネック部を芯部に固定することができる。
【0035】
また、樹脂材料によりネック部3を芯部4に固定するときには、ネック部3を治具(図示せず)により把持し、ネック部3をネック固定孔部2に挿入し、ネック部3とヘッド本体部2の表面との成す角度を調整した状態で、ネック固定孔部20に樹脂材料を流し込むことにより、固定することもできる。本実施形態では、ネック部3が、ネック固定孔部2に第2方向に傾くように傾斜されて挿入され、その状態を維持したまま、樹脂材料で被覆される。この結果、樹脂材料で被覆する際に、ネック部3の外側全周にわたって樹脂が入り込み固定するようにすることができる。
【0036】
また、図7に、ネック部3を説明するための図を示す。図7(a)は、芯部4に固定する前のネック部の正面図を示す。また、図7(b)は、図7(a)のVII線―VII線に沿って切り取った断面図を示す。図7に示すように、ネック部3は、パイプ状の形状を有し、ネック部3の中空状の内孔には、深さ調整部材25が圧入固定されている。この深さ調整部材25の位置によって、ネック部材3の内孔に挿入し固定されるシャフトの挿入深さが決定される。また、ネック部3の上側(シャフトが挿入される側)には、シャフトを固定するためのネジ(雌ネジ)が形成されている。
【0037】
一方、ネック部3の下側(シャフトが挿入される側と反対側)には、孔部に貫通するスリットが設けられている。ネック部3に形成されたスリットは、上下方向に延伸している。ネック部3を芯部4に固定するときに、ネック固定孔部20にネック部3が挿入された状態で、ネック固定孔部20内に流し込まれた樹脂材料は、ネック部3の下側に設けられたスリットを介して、ネック部3の孔部まで充填されて、より強度に、ネック部3を芯部4に固定することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、ネック固定孔部20内に射出成型により樹脂材料を流し込んでいる。このため、ネック部3を芯部4に固定するときに、ネック部3の中空状の内孔に圧入固定されている深さ調整部材25が樹脂材料の射出圧力により押圧されて、上側に移動する場合がある。これを回避するために、射出成型の際に、ネック部3の上側(シャフトが挿入される側)の内孔に調整押具(図示せず)を挿入し、深さ調整部材25の頂部に突き当て、この状態を保持するように治具(図示せず)で調整押具を保持しながら、射出成型により樹脂材料を流し込んでいる。射出成型により樹脂材料の流し込みが完了した後は、調整押具は、ネック部3の上側(シャフトが挿入される側)の内孔から取り外される。
【0039】
次に、本実施形態のゴルフ用パターヘッド1を装着したゴルフ用パター100について、図8を用いて説明する。図8に、本実施形態に係るゴルフ用パターの斜視図を概略的に示す。図8に示すように、ゴルフ用パター100は、ゴルフ用パターヘッド1のネック部3にシャフト101の先端部が取り付けられている。本実施形態では、シャフト101の先端に雄ネジが形成されており、ネック部3の内孔に形成されている雌ネジに、このシャフト先端の雄ネジをねじ込んでシャフト101をゴルフ用パターヘッド1に固定することができる。シャフト101は、ゴルフ用パターヘッド1の表面に対して約20度傾斜させて取り付けられている。
【符号の説明】
【0040】
1 ゴルフ用パターヘッド
2 ヘッド本体部
3 ネック部
4 芯部
5 被覆部
6 本体支持部
7 打面部
10 フェイス面
11 突起部
12 打撃部
13 ガイド用溝
20 ネック固定孔部
21 芯部本体
22 重量調整部22
25 深さ調整部材
100 ゴルフ用パター
101 シャフト
【要約】
【課題】 従来のパターヘッドでは、ボールのコントロールが難しく、また錆びやすいなど信頼性が低いものであった。
【解決手段】ゴルフ用パターヘッドは、ゴルフ用パターのシャフトの先端側に取り付けられるゴルフ用パターヘッドであって、ヘッド本体部と、ヘッド本体部の上面に取り付けられ、シャフトを取り付けるためのネック部とを備える。ヘッド本体部は、金属部材からなる芯部と、芯部の外表面を全体的に被覆する樹脂製の被覆部を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8