(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/30 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
B65G47/30 Z
(21)【出願番号】P 2021020324
(22)【出願日】2021-02-11
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】宮田 恭宏
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-031236(JP,A)
【文献】特表2000-506481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の缶詰が、その天板部と底板部が搬送方向の前後に位置する姿勢で前後に複数集積される集積体を搬送する物品搬送装置であって、
前記集積体を構成する複数の前記缶詰の側面が搬送面に接した状態で前進移動させる搬送手段と、
前記搬送面の上方の左右に配置され、前記缶詰の側面に接し、搬送方向に対する直交方向の移動を規制する製品ガイドと、
前記製品ガイドより下方に配置される磁力発生手段を備え、
前記磁力発生手段により発生する磁力により前記缶詰を吸引し、前記缶詰の側面と前記搬送面との間に生じる摩擦抵抗を、前記缶詰の自重に発生するものよりも増加させた状態にする
ようにし、
前記搬送手段は、フィンガーコンベアであり、
前記搬送面は、前記缶詰を載せた状態で前記フィンガーコンベアを構成するフィンガー部とともに移動する部材を備え、
前記製品ガイドと、前記フィンガー部とともに移動する前記部材との間に前記磁力発生手段を設けることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記磁力発生手段は、搬送方向に沿って前記缶詰と非接触の状態で配置される複数の永久磁石であることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
搬送方向に沿って前後に隣接する前記永久磁石の間隔は、前記集積体を構成する前記缶詰の搬送方向の長さ以下にすることを特徴とする請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
搬送方向に沿って配置される複数の前記永久磁石の全部または一部の複数個が、支持部材に取り付けられた状態で配置され、
前記支持部材を前記搬送面に対して接近離反させる機構を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば複数の円柱状の缶詰を重ねた状態でシュリンク包装する場合、複数の缶詰を横に倒して側面が搬送面に接するとともに、缶詰の天板部と底板部が搬送方向の前後に位置するようにし、前後に隣接する缶詰の底板部と天板部を対向させた駒立て状態の集積体を搬送し、その集積体を下流側のシュリンク包装機本体に順次供給するものがある。
【0003】
係る集積体を搬送供給する物品搬送装置は、例えばフィンガーコンベアからなり、集積体の搬送方向後面をフィンガーで押送する。このとき、個々の缶詰が搬送方向に対して直交する横方向に転がり移動することがないようにするため、搬送面の上方の左右両側の適宜の位置に、搬送方向に沿って延びる棒状のガイド部材を配置し、缶詰の側面を搬送面と左右のガイド部材の3点で支持することで横方向の移動を抑制しつつ、フィンガーにて前進移動するようにしている。係る構成の物品搬送装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
また、缶詰は、その側面にバーコードが印刷されているものがある。この場合に、集積体を構成する複数の缶詰に印刷されたバーコードを揃えた状態で物品搬送供給装置に供給し、その状態のまま搬送し、バーコードとパッケージデザインされたシュリンクフィルムの相対位置関係を合わせた状態でシュリンク包装している。このように位置合わせをすることで、例えばシュリンク包装体の外から、バーコードが見えるようにし、例えばPOSレジでそのバーコードを読み取れるようにする。また、例えばそれとは逆にシュリンクフィルムに印刷したデザイン部分等で缶詰に印刷したバーコードを隠し、シュリンクフィルムにパック用のバーコードを印刷したものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィンガーコンベアによって駒立集積した缶詰めを積み重ね方向に搬送した場合、コンベアの振動または缶詰めの内容物の偏り等によって搬送途中に搬送方向の中心を基準に回転してしまうことがある。すると、例えば集積する複数の物品の側面に形成したバーコードの位置が周方向に移動してしまい、複数の缶詰のバーコードを所望の位置で揃えてシュリンク包装することができない。
【0007】
そして、缶詰のバーコードの位置がずれると、例えば本来缶詰に印刷されたバーコードを露出させ読み取り可能にしたい場合において、そのバーコードがシュリンクフィルムのデザインの部分と重なり、バーコードが外部から見えなくなることがある。すると、店舗のPOSレジでバーコードを読めなくなる。
【0008】
また、缶詰に印刷されたバーコードをシュリンクフィルムのデザイン部分で隠し、シュリンクフィルムに印刷されたバーコードを読み取りたい場合に、缶詰のバーコードが表に見えてしまうことがある。すると、POSレジでバーコードを読み取った際に、誤って製品の方を読み取るおそれがある。
【0009】
かかる事態の発生を抑制するため、例えば物品搬送装置の搬出側付近で作業員が待機し、包装機本体に供給される手前の所定のタイミングで、作業員が集積体のバーコードの位置を確認し、回転していたら正しい位置に戻すことがおこなわれることがある。しかし、係る作業員による修正作業を必須とすると、高速対応は難しい。さらに、回転してバーコードの位置がずれる缶詰の発生数が多いと、高速でなくても処理できない。
【0010】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明の物品搬送装置は、(1)円形の缶詰が、その天板部と底板部が搬送方向の前後に位置する姿勢で前後に複数集積される集積体を搬送する物品搬送装置であって、前記集積体を構成する複数の前記缶詰の側面が搬送面に接した状態で前進移動させる搬送手段と、前記搬送面の上方の左右に配置され、前記缶詰の側面に接し、搬送方向に対する直交方向の移動を規制する製品ガイドと、前記製品ガイドより下方に配置される磁力発生手段を備え、前記磁力発生手段により発生する磁力により前記缶詰を吸引し、前記缶詰の側面と前記搬送面との間に生じる摩擦抵抗を、前記缶詰の自重に発生するものよりも増加させた状態にするようにし、前記搬送手段は、フィンガーコンベアであり、前記搬送面は、前記缶詰を載せた状態で前記フィンガーコンベアを構成するフィンガー部とともに移動する部材を備え、前記製品ガイドと、前記フィンガー部とともに移動する前記部材との間に前記磁力発生手段を設けた。
【0012】
このようにすると、磁力発生手段の磁力により缶詰が磁気吸引され搬送面との間で発生する摩擦抵抗が増加するため、例えば、缶詰内部の重心位置の偏心や、装置から受ける振動等から、缶詰が側面の円周方向に回転移動しようとしても、摩擦抵抗によりその回転が抑止され、回転することなく搬送方向に沿って前進移動する。よって、例えば缶詰の側面にバーコードが印刷されている場合に、物品搬送装置に集積体を構成する個々の缶詰のバーコードを備えた状態で供給すると、その揃った状態のまま搬送し、搬出できる。
【0013】
前記搬送手段は、フィンガーコンベアであり、前記搬送面は、前記缶詰を載せた状態で前記フィンガーコンベアを構成するフィンガー部とともに移動する部材を備え、前記製品ガイドと、前記フィンガー部とともに移動する前記部材との間に前記磁力発生手段を設けたため、集積体はフィンガー部で押送されるとともに、個々の缶詰の側面も、フィンガーとともに移動する部材により支持されるので、集積体の全体に搬送力を与え、安定して搬送することができる。
【0014】
(2)前記磁力発生手段は、搬送方向に沿って前記缶詰と非接触の状態で配置される複数の永久磁石とするとよい。簡単かつコンパクトな構成で、搬送領域の全体にわって磁力を発生することができる。
【0015】
(3)搬送方向に沿って前後に隣接する前記永久磁石の間隔は、前記集積体を構成する前記缶詰の搬送方向の長さ以下にするとよい。このようにすると、集積体を構成する複数の缶詰は、必ず少なくとも1つの永久磁石に対向し磁力による吸引を受けるため、搬送区間の全域にわたって回転の抑止を図ることができる。
【0016】
(4)搬送方向に沿って配置される複数の前記永久磁石の全部または一部の複数個が、支持部材に取り付けられた状態で配置され、前記支持部材を前記搬送面に対して接近離反させる機構を備えるとよい。このようにすると、缶詰に与える磁力の大きさを調整できるとともに、係る調整を複数の永久磁石に対して一括して行えるのでよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、円形状の缶詰を、その天板部と底板部が搬送方向の前後に位置する姿勢で前後に複数集積した集積体の状態で搬送するに際し、その搬送途中で缶詰が側面周りに回転するのを抑制し、供給された向き、姿勢で搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明に係る物品搬送装置の好適な一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、その要部を拡大して示す正面図であり、
図2(b)はその側面図であり、(c)は支持部材21に永久磁石20を取り付けた部分を示す拡大図である。
【
図3】
図3は、使用状態を示す斜視図(その1)である。
【
図4】
図4は、使用状態を示す斜視図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0020】
本実施形態の物品搬送装置10は、例えばシュリンク包装機における包装機本体の上流側に配置されるものであり、缶詰1を倒した駒立の状態で前後に集積した複数の缶詰1から構成される集積体2を一定間隔で搬送し、包装機本体に供給するものである。本実施形態の物品搬送装置10の搬送対象である缶詰1は、高さが低い偏平な円柱形状からなる。缶詰1は、横に倒されて駒立て状になり、円柱形状の側面1aが搬送面に接するとともに、缶詰1の蓋部が設けられる天板部1bと底板部1cが搬送方向の前後に位置する。本実施形態では、天板部1bが進行方向の後ろ側に位置した姿勢で搬送される。そして、搬送方向の前後に隣接する缶詰1の天板部1bと底板部1cを対向させた状態で集積体2を構成する。また、缶詰1の側面1aにはバーコード3が印刷されており、集積体2を構成する複数の缶詰1に印刷されたバーコード3は、上流側の装置により搬送方向に沿って揃うように配置される。
【0021】
物品搬送装置10は、垂直平面内で回転移動するエンドレスチェーン12に一定間隔ごとに取付けられたフィンガー13を備える。フィンガー13は、集積体2の搬送区間を移動するエンドレスチェーン12の上面側を跨ぐように取り付けられるベース部13aと、そのベース部13aの進行方向前端側に上方に向けて突出する棒状のフィンガー部13bと、ベース部13aの左右両側面の外側にそれぞれ取り付けられるローラ13cを備える。ローラ13cは、ベース部13aの側面の外側に搬送方向と直交する方向に延びる回転軸を中心に自転可能に装着される。
【0022】
さらにフィンガー13は、エンドレスチェーン12に対して垂直面内の所定角度範囲内で正逆回転可能に連結される。そして集積体2の搬送区間では、図示するようにフィンガー部13bが起立した姿勢を維持し、搬出側端に移動すると、フィンガー部13bが後方に倒れるようにフィンガー13全体がエンドレスチェーン12に対する連結地点を中心に回転する。これにより、エンドレスチェーン12の搬出端側位置を、包装機本体の搬入口に近づけることができる。係る動作を行うため、集積体2の搬送方向に沿って移動するエンドレスチェーン12の下方領域には、幅広で帯板状のガイド板状部16を配置する。このガイド板状部16の横幅は、エンドレスチェーン12の幅よりも充分広くし、エンドレスチェーン12を跨ぐように配置されたフィンガー13のベース部13aの左右両側壁の下端面を受けるように構成する。これにより、ガイド板状部16を配置した区間では、ベース部13aが支持されるのでフィンガー部13bが起立した姿勢で移動する。そして、搬出端近傍でガイド板状部16がなくなると、ベース部13aの支えがなくなり、上述したようにベース部13aの進行方向後端側が下降移動し、それに伴いフィンガー13の全体が回転し、フィンガー部13bも後ろに倒れる。そして、フィンガー13は、所定角度回転した姿勢でエンドレスチェーン12の回転に伴い移動し上流側に至る。そして、搬送区間に近づくと、ローラ13cが、図示省略するガイドに案内されて移動し、それに伴いフィンガー13が上記と逆方向に回転しフィンガー部13bが起立した姿勢になり、ベース部13aの下面がガイド板状部16に支持される位置に至り、起立した姿勢を維持しながら前進移動する。
【0023】
また、ガイド板状部16の上面の幅方向の中央部位には、搬送方向に沿って延びるガイドレール部15が設けられる。エンドレスチェーン12の搬送面に沿って移動する部位は、ガイドレール部15に接した状態で案内され、搬送方向に沿って水平移動する。
【0024】
さらにエンドレスチェーン12の適宜位置に複数の受け部材14を備える。この受け部材14を取り付ける適宜位置は、前後のフィンガー13間の区間の全体としてもよいが、本実施形態では、缶詰1が供給され配置される各フィンガー13の進行方向の前方側の一定区間としている。受け部材14は、矩形のブロック状であり、その上面は平坦面となっている。この受け部材14の上面が搬送面となり、缶詰1の側面1aが受け部材14で支持される。この物品搬送装置10は、図示するように4個の缶詰1を前後に駒立て状態で集積した集積体2と、同じ缶詰を前後に3個並べた集積体の2種類を搬送する兼用タイプである。
【0025】
一方、集積体2を搬送する搬送区間では、エンドレスチェーン12よりも上方側で、左右両側に離れた所定位置に、搬送方向に沿って延びる製品ガイド17を備える。この製品ガイド17は、丸棒状の本体17aと、その本体17aの外周囲に被せるカバー部材17bを備える。また、カバー部材17bは樹脂製とするとよい。
【0026】
上述した基本構成の物品搬送装置10に対し、上流側に設置された装置により、フィンガー13間にバーコード3の位置が揃った集積体2が順次供給される。この集積体2を構成する各缶詰1は、上述したように前後に接触した状態となり、その側面1aが受け部材14の上に載るとともに、その側面1aの所定位置が左右一対の製品ガイド17に接触した状態になる。これにより、缶詰1は、その側面1aが、受け部材14と左右の製品ガイド17の3点で支持される。よって、受け部材14の平坦な上面の上で缶詰1が、側面1aの円周方向すなわち集積体2の搬送方向に対する左右方向に転がり移動しようとする力が働いても、それを抑制する。
【0027】
さらにフィンガー部13bが、集積体2の後端面、すなわち、進行方向の最後尾の缶詰1の天板部1bに接した状態となる。そして、エンドレスチェーン12の回転移動に伴い、一体となってフィンガー部13b並びに受け部材14も前進移動する。これにより、集積体2は、フィンガー部13bで押されて前進移動する。また、搬送面を構成する受け部材14も前進移動するため、フィンガー部13bにより前方に押される集積体2の前進移動を補助する。
【0028】
また、上述したように缶詰1が進行方向に対して横に転がるのは抑止されるものの、例えば、缶詰1に充填された内容物の重心が中心からずれている場合には、搬送方向に対して直交する方向には移動せずに搬送方向に沿った缶詰1の中心を回転中心として自転する方向の力が働く。係る力に対しては、例えば缶詰1の自重にともなう缶詰1と受け部材14との間で発生する接触抵抗により、回転防止の力が発生する。しかし、例えば、側面1aと受け部材14との間に隙間が発生して十分な接触抵抗が生じなかったり、缶詰1の自重と、重心の偏心に伴い発生する回転方向の力のバランスがとれなかったりして、回転してしまうおそれが残る。
【0029】
そこで本実施形態では、搬送区間の全体に磁力発生手段を配置し、その磁力発生手段により発生する磁力により缶詰1を下方に吸引し、磁力により搬送面に押しつけてさらに強く缶詰1を受け部材14に接触させ、接触抵抗を大きくすることで回転を抑止する。
【0030】
磁力発生手段は、本実施形態では、永久磁石20を用いた。具体的には、細長なブロック状の支持部材21の表面に、複数の永久磁石20を等ピッチで取り付ける。支持部材21は、矩形体の1つの角部を面取りした取付面21aを有し、その取付面21aに板状の永久磁石20を固定する。そして、永久磁石20を搬送面の下方の所定位置に設置した状態では、永久磁石20は缶詰1と非接触で、発生する磁力が缶詰1を吸引するように構成し、搬送区間のほぼ全域に配置するとよい。
【0031】
支持部材21は、搬送面の左右両側にそれぞれ搬送方向に沿って水平に延びるように配置し、取付面21aは、水平方向に対して所定角度傾斜した傾斜面となる。そして、取付面21aを設ける1つの角部は、支持部材21を設置した際に、上面の搬送方向に対して直交する幅方向の内側、すなわち、搬送面の中央側としている。よって、板状の永久磁石20の上面は、取付面21aと平行になり、左右に配置される永久磁石20は、それぞれ斜め上方中央側を向く。そして、缶詰1の側面1aに正対或いはそれに近い角度で対向するとよい。このようにすると、缶詰1は、左右両側の下方から、それぞれ斜め下外側に向けて吸引され、缶詰1は、搬送姿勢における側面1aの下端部位が受け部材14との間、並びに側面1aの下方の左右の所定部位と左右の製品ガイド17との間で、所望の接触抵抗が生じ、回転が抑止される。その状態で集積体2はフィンガー部13bで押送され、回転が抑止された状態で前進移動する。
【0032】
また永久磁石20は、円形のリング状で、中央の孔部にボルトやネジ等の締結具(ここではネジ22)を挿入し、ネジ22を締め付けることで支持部材21に固定する。永久磁石20の外形状を円形としたことで、ネジ22を装着して止めている部分を中心に永久磁石20が回転したとしても、永久磁石20の外周縁の位置は変化せず、周囲に接触したり、周囲に発生する磁界も変化したりしないのでよい。これに対し、例えば正方形等の四角形の永久磁石を用い、その中心をネジ等で固定した場合、その止めている部分を中心に四角形の永久磁石が回転すると、四角形の各頂点が中心からの距離が長いために周囲の部材等にぶつかったり、発生する磁界がばらついて缶詰1に適切に磁力を与えられなかったりするおそれもあるが、円形にすることでそのおそれがなくなる。また、四角形の永久磁石を用いる場合には、回転しないように固定するとよい。但し、本実施形態のように丸いリング状にすることで、例えば中央の一点止めなど簡単に取り付けることができるのでよい。
【0033】
磁力発生手段から発生する磁力は、搬送中の各缶詰1に対して、常に加わるようにするとよい。本実施形態では、1つの永久磁石20の直径は缶詰1の高さ、すなわち搬送方向の長さよりも小さいものを用いており、その永久磁石20の取り付けの配置ピッチは、缶詰1の高さ、すなわち、搬送姿勢にある缶詰1の搬送方向の長さ以下にするとよい。例えば前後に隣接する永久磁石20の配置間隔が、缶詰1の搬送方向の長さよりも長くなると、隣接する前後の永久磁石の間の区間に位置して永久磁石に対向しない缶詰が発生し、そこで一旦缶詰に対する吸引力が弱まり、それに伴い接触抵抗が低下し、缶詰1が回転するおそれが出てくるが、永久磁石20の配置ピッチを缶詰の配置方向の長さ(高さ)よりも短くすることで、缶詰は連続していずれかの永久磁石に対向し、その永久磁石からの吸引がかかる。よって、缶詰の回転を搬送区間の全体にわたり可及的に抑制できる。
【0034】
支持部材21の外側の側面21bは、図示省略する取付ブラケットに連結される。装置の機枠側に設けられる取付ブラケットには、支持部材21の側面21bに設けたネジ穴21cに対向する箇所に、例えば上下方向に延びる長孔を設ける。そして、その長孔を介してネジ穴21cに装着する固定ネジ(図示省略)を緩めた状態で長孔に沿って支持部材21を昇降移動し、適宜の位置で固定ネジを締め付けて固定する。このようにすることで、支持部材21に取り付けられた複数の永久磁石20を一括して昇降移動させ、搬送される缶詰1に対して接近離反し、適宜の位置で固定できるようになる。このようにすることで、缶詰1にかかる磁力に基づく吸引力を調整し、缶詰1と受け部材14等との接触抵抗を調整し、回転抑止のための過不足ない大きさにするとよい。なお、ここでは支持部材21の側面21bのネジ穴21cに、取付ブラケットに装着するためのネジを装着するとしたが、この支持部材21の側面21bに所定の連結部材を取付け、その連結部材を介して取付ブラケットに連結してもよい。また、支持部材21の移動方向は、垂直な上下方向に限ることはなく、例えば水平方向に移動したり、例えばそれらを組み合わせる等して斜め方向に昇降させるなど各種の機構をとることができる。
【0035】
例えば永久磁石20を缶詰1に接近させ、両者間の距離を短くし、磁力を強くしすぎた場合、例えば、搬送経路上を移動する受け部材14が下方に強く付勢され、その付勢力がエンドレスチェーン12に加わり、チェーンが延びたり、エンドレスチェーン12とガイドレール部15との接触圧や、フィンガー13とガイド板状部16との接触圧が強くなり、搬送時の負荷が大きくなったりするおそれがある。かかる事態の発生を抑制するため、缶詰の回転を抑止しつつ、必要以上の過大な磁力を与えないようにするとよい。
【0036】
また、本実施形態のように、ネジで固定することで、長期間の使用に渡って緩むことがなく、永久磁石20と缶詰1の距離も当初設定した適切な位置で維持できる。さらに本実施形態では、複数の永久磁石20を取り付けた支持部材21を用いて位置の調整をするため、その複数の永久磁石20の位置調整を一括して行うことができ、永久磁石20同士の相対位置関係は変わらず、全ての永久磁石20を適切な位置に固定できる。また、支持部材21は、例えば片側に搬送方向に沿って2~3個に分割されるとよく、このようにすると数回の位置調整で全ての永久磁石の位置調整が行える。
【0037】
磁力発生手段は、永久磁石に限ることはなく、例えば、電磁石その他の各種のものを用いることができる。但し、永久磁石にすると、簡単な構成で小型に設置できるので特によい。
【0038】
また、本実施形態では、同じ缶詰を3個或いは4個前後に並べた状態で一つの集積体として搬送する。個数が変わっても缶詰は同じため、缶詰の高さすなわち搬送方向の前後方向のピッチは変わらず、永久磁石の配置も換えなくてよい。なお、高さが異なる缶詰の搬送装置として兼用する場合、それに併せて永久磁石の配置ピッチを変えたものを取り付けたり、一番小さいサイズに合わせて永久磁石のピッチを設定したりするとよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、エンドレスチェーン12に缶詰1の側面1aを支持する受け部材14を設けたが、受け部材14は必ずしも設ける必要はない。この場合に、製品ガイド17を、搬送方向に沿って配置される多数のコロ(回転軸は上下方向或いは上下傾斜方向)を備えたコロ付のガイドとするとよい。
【0040】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0041】
1 :缶詰
1a :側面
1b :天板部
1c :底板部
2 :集積体
3 :バーコード
10 :物品搬送装置
12 :エンドレスチェーン
13 :フィンガー
13b :フィンガー部
14 :受け部材
15 :ガイドレール部
16 :ガイド板状部
17 :製品ガイド
20 :永久磁石
21 :支持部材
21a :取付面
21b :側面
21c :ネジ穴
22 :ネジ