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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】スイングドアの制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/63 20150101AFI20240612BHJP
   E05F 15/611 20150101ALI20240612BHJP
【FI】
E05F15/63
E05F15/611
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021059126
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022155745
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】516000321
【氏名又は名称】AMYドアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103067
【弁理士】
【氏名又は名称】神戸 真澄
(72)【発明者】
【氏名】横井 裕治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 守十樹
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-089456(JP,A)
【文献】特開2003-182368(JP,A)
【文献】特開2002-121965(JP,A)
【文献】特開2008-308923(JP,A)
【文献】特開2018-094953(JP,A)
【文献】実開昭52-115560(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアをヒンジにより開閉可能にし、モータの回転に基づいて前記ドアを開閉するスイングドア機構を有し、速度走行パターン生成手段より生成された速度指令信号と前記モータの速度検出信号との差となる速度偏差信号に基づいて電力変換手段を介して前記モータを回転して前記ドアを開閉するスイングドアの制御装置であって、
前記スイングドア機構は、前記モータの第1の回転軸に設けられた主プーリーに掛けられたタイミングベルトを介して回転可能にする従動プーリーを有し、
第1の一端部と第1の他端部とを有し、前記従動プーリーの第2の回転軸に前記第1の一端部が連結固定された長尺状の伝達部材と、
第2の一端部と第2の他端部とを有し、前記第2の一端部が前記第1の他端部に回動可能に連結された第1の回動部を有しており、前記第2の他端部が第2の回動部を介して前記ドアに連結固定された長尺状の回動部材とを備え、
制御ゲインを有すると共に、前記速度偏差信号に基づいて速度出力指令信号を発生する速度制御手段と、
前記速度走行パターン生成手段は、前記ドアを閉鎖から開放する際には、前記ドアを第1の加速、第1の一定高速、第1の減速を成す第1の速度走行パターを生成して第1の速度指令信号を発生し、
前記ドアを開放から閉鎖する際には、前記ドアを第2の加速、第2の一定高速、第2の減速を成す第2の速度走行パターを生成して第2の速度指令信号を発生し、
前記制御ゲインを前記第1の減速の区間よりも、前記第1の一定高速の区間で高くすると共に、前記第2の減速の区間よりも、前記第2の一定高速の区間で高くする制御ゲイン変更手段と、
を備えていることを特徴とするスイングドアの制御装置。
【請求項2】
前記制御ゲイン変更手段は、前記第1の減速の区間よりも、前記第1の加速の区間で前記制御ゲインを高くする、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイングドアの制御装置。
【請求項3】
前記速度出力指令信号に基づいて電圧指令信号を生成して前記電力変換手段に入力する電圧指令手段と、
前記ドアが閉鎖端に位置したことを検出して閉鎖端検出信号を発生する閉鎖端検出手段と、
前記閉鎖端検出信号に基づいて前記速度検出信号により形成される速度フィードバックループを開放する第1のスイッチ手段と、を備え、
前記電圧指令手段は、前記閉鎖端検出信号に基づいて、予め定められた電圧指令信号を発生する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイングドアの制御装置。
【請求項4】
前記電力変換手段の入力を開放及び閉成する第2のスイッチ手段と、
前記速度検出信号に基づく速度検出値が予め定められた速度閾値を越えると、前記第2のスイッチ手段を開放する回生検出手段とを備え、
前記速度閾値を前記第1の加速区間では、前記第1の一定高速の速度値の2倍を越えるように設定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のスイングドアの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイングドアの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動ドアの制御装置は、下記特許文献1に記載されたように、自動ドアのドアを開閉するモータへの入力電圧を、ドアの所定の速度走行パターンに対応する速度指令と、速度検出手段によって検出されたドアの検出開閉速度とに基づいて制御することで、ドアの開閉速度制御を行うフィードバックの速度制御部と、位置検出手段によって検出されたドアの現在位置に応じて上記速度制御部にゲイン変更指令を入力して、開閉速度制御の制御ゲインを変更するゲイン変更部とを備え、ゲイン変更部は、ドアの開閉開始位置での制御ゲインに比べて、ドアの開閉完了位置での制御ゲインを高くするものである。
【0003】
このような自動ドアの制御装置によれば、開閉開始位置での制御ゲインに比べて、開閉完了位置での制御を高くすることで、検出電流値を増大してドア本体が開閉完了位置に位置していることを検出するのに要する時間を短縮でき、該検出の検出精度を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-231490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明者はスイングドア機構を有する制御装置では、ドアを自動で開閉するには、スイングドア機構によるドアの開閉において、ドアを加速してから一定高速度の過程では、慣性モーメントにより徐々にドアの開放又は閉鎖に勢いが生じ、速度指令信号と速度検出信号との偏差が拡大することにより、ドアが速度指令信号に追従が遅れるという課題を見出した。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、スイングドアの開閉を自動化した際に、ドアの開放又は閉鎖の開始から加速中、加速してから一定高速度の過程で、ドアの開放又は閉鎖に勢いがついて、速度指令信号と速度検出信号との偏差が拡大することを抑制してドアが円滑に開閉できるスイングドアの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係るスイングドアの制御装置は、ドアをヒンジにより開閉可能にし、モータの回転に基づいて前記ドアを開閉するスイングドア機構を有し、速度パターン生成手段より生成された速度指令信号と前記モータの速度検出信号との差となる速度偏差信号に基づいて電力変換手段を介して前記モータを回転して前記ドアを開閉するスイングドアの制御装置であって、
前記スイングドア機構は、前記モータの第1の回転軸に設けられた主プーリーに掛けられたタイミングベルトを介して回転可能にする従動プーリーを有し、
第1の一端部と第1の他端部とを有し、前記従動プーリーの第2の回転軸に前記第1の一端部が連結固定された長尺状の伝達部材と、
第2の一端部と第2の他端部とを有し、前記第2の一端部が前記第1の他端部に回動可能に連結された第1の回動部を有しており、前記第2の他端部が第2の回動部を介して前記ドアに連結固定された長尺状の回動部材とを備え、
制御ゲインを有すると共に、前記速度偏差信号に基づいて速度出力指令信号を発生する速度制御手段と、
前記速度パターン生成手段は、前記ドアを閉鎖から開放する際には、前記ドアを第1の加速、第1の一定高速、第1の減速を成す第1の速度走行パターンを生成して第1の速度指令信号を発生し、
前記ドアを開放から閉鎖する際には、前記ドアを第2の加速、第2の一定高速、第2の減速を成す第2の速度走行パターンを生成して第2の速度指令信号を発生し、
前記制御ゲインを前記第1の減速の区間よりも、前記第1の一定高速の区間で高くすると共に、前記第2の減速の区間よりも、前記第2の一定高速の区間で高くする制御ゲイン変更手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
このようなスイングドアの制御装置よれば、スイングドアの機構は、モータの回転に伴い主プーリー、タイミングベルトを介して従動プーリーが回転し、伝達部材も回転して、第1の回動部を介して回動部材が回転することによりドアを自動開閉できる。速度パターン生成手段は、ドアを閉鎖から開放する際には、ドアを第1の加速、第1の一定高速、第1の減速を成す第1の速度走行パターンを生成して第1の速度指令信号を発生し、ドアを開放から閉鎖する際には、ドアを第2の加速、第2の一定高速、第2の減速する第2の速度走行パターンを生成して第2の速度指令信号を発生する。制御ゲイン変更手段は、制御ゲインを第1の減速の区間よりも、第1の一定高速の区間で高くすると共に、第2の減速の区間よりも、第2の一定高速の区間で高くする。これにより、ドアの開放又は閉鎖動作において、慣性モーメントにより徐々にドアの開放速度又は閉鎖速度に勢いが生じても、第1又は第2の速度指令信号に追従し易くなるので、ドアを円滑に開閉できる。
【0009】
第2の発明に係るスイングドアの制御装置における前記制御ゲイン変更手段は、前記ドアを第1の減速の区間よりも、前記第1の加速の区間で前記制御ゲインを高くする、
ことを特徴とするものである。
このようなスイングドアの制御装置よれば、ドアが閉鎖端から開放に向かう第1の加速区間では、伝達部材と回動部材との位置関係などによりドアの開放に勢いがつき易いので、速度制御ゲインを第1の減速の区間よりも、第1の加速の区間で高くすることにより、ドアを開放する際に、第1の速度指令信号に追従し易くなる。
【0010】
第3の発明に係るスイングドアの制御装置は、速度出力指令信号に基づいて電圧指令信号を生成して前記電力変換手段に入力する電圧指令手段と、
前記ドアが閉鎖端に位置したことを検出して閉鎖端検出信号を発生する閉鎖端検出手段と、
前記閉鎖端検出信号に基づいて前記速度フィードバックループを開放する第1のスイッチ手段と、を備え、
前記電圧指令手段は、前記第1のスイッチ手段の開放に基づいて、予め定められた一定の電圧指令信号を発生するように形成されている、
ことを特徴とするものである。
このようなスイングドアの制御装置よれば、閉鎖端検出手段は、ドアが閉鎖端に位置したことを検出して閉鎖端検出信号を発生すると、第1のスイッチ手段が速度フィードバックループを開放し、電圧指令手段は、第1のスイッチ手段の開放に基づいて、予め定められた電圧指令信号を発生して電力変換手段に入力する。これにより、モータが回転しようとするがドアが閉鎖端で停止してドアを適当な力で閉鎖端に押付けることができるので、風などでドアの開放を防止できる。
【0011】
第4の発明に係るスイングドアの制御装置は、前記電力変換手段の入力を開放及び閉成する第2のスイッチ手段と、
前記速度検出信号に基づく速度検出値が予め定められた速度閾値を越えると、前記第2のスイッチ手段を開放する回生検出手段とを備え、
前記速度閾値を前記第1の加速区間では、前記第1の一定高速の速度値の2倍を越えるように設定する、
ことを特徴とするものである。
このようなスイングドアの制御装置よれば、ドアの開放時に手動によるアシストによって、ドアの開放速度が増加しても、回生検出手段の速度閾値をドアの開放における第1の加速区間では、第1の一定高速の速度値の2倍を越えるように設定している。これにより、手動のアシストによってドアの開放速度が高くなっても、回生検出手段の速度閾値を高く設定しているので、ドアが制御状態から自由に開放することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スイングドアの開閉を自動化した際において、ドアの開閉の開始から開閉の加速中、加速してから一定高速度の過程で、速度制御をしているが、ドアの開閉に勢いがついて、速度指令信号と速度検出信号との偏差が拡大を抑制してドアの開閉を円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態によるスイングドアを裏面から見た全体図である。
図2図1に示すスイングドアの平面図である。
図3図1に示すスイングドアの右側面図である。
図4図1によるスイングドアの制御装置を示すブロック図である。
図5図1によるスイングドアの速度走行パターンを示す図である。
図6図4によるスイングドアの制御装置の開放動作を示すフローチャートである。
図7図4によるスイングドアの制御装置の閉鎖動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を示すスイングドアの制御装置を図1から図3によって説明する。図1から図3において、スイングドア1は、スイングドア機構30と制御装置100とから成り、住居内には、下枠3、上枠5、二つの側枠7にて形成された長方形状の開口9に上吊り型で、長方形の板状のドア10が設けられている。なお、制御装置100が上枠5に連結固定されている。スイングドア1は、側枠3の二か所にヒンジ12によりドア10をスイングドア機構30により開放したり、閉成したりするように形成されている。側枠7には、開放釦スイッチ101、閉鎖釦スイッチ102が並べて設けられている。なお、手動でドア10を開閉するドアノブ10aがドア10に設けられている。
【0015】
スイングドア機構30は、駆動源としてモータ31と、モータ31の第1の回転軸31aに設けられた主プーリー33を有しており、主プーリー33とタイミングベルト35を介して回転可能な従動プーリー54に第2の回転軸52aが設けられている。ここで、主プーリー33よりも従動プーリー54の直径を大きくして、モータ31から発生したトルクよりも従動プーリー54へ伝達されるトルクを大きくしている。なお、モータ31は、L状部材22を介して上枠5に固定されている。
【0016】
さらに、スイングドア機構30は、従動プーリー54の第2の回転軸54aに一端部60aが連結固定された板状で長尺状の伝達部材60を有しており、伝達部材60の第1の他端部60cに第2の一端部62aを第1の回動部70により回動可能に連結された板状で長尺状の回動部材62を備え、回動部材62の第2の他端部62cが第2の回動部80を介してL形状の取付け金具90によりドア10の裏面に固定されている。これにより、スイングドア機構30は、モータ31の回転に伴い主プーリー33、タイミングベルト35を介して従動プーリー54、伝達部材60が回転し、第1の回動部70を介して回動部材62も回転し、第2の回動部80を介して取付け金具90に固定されたドア10を開閉できるように形成されている。ここで、伝達部材60、第1の回動部70、回動部材62によりリンクを成している。
【0017】
図3において、第1の回動部70は、伝達部材60の第1の他端部60cに設けられた第1の孔60eを有し、第2の一端部62aに設けられた第2の孔62eを有しており、第1及び第2の孔60e、62eを遊挿する胴部72dを有する第1のボルト72を備え、胴部72dには、第1のねじと第2のねじとから成る二重ねじ72nが形成されており、第1のねじに螺合する第1のナット74と、第2のねじに螺合する第2のナット76とを備えている。そして、第1の回動部70は、伝達部材60の第1の他端部60cと回動部材62の第2の一端部62aとが円滑に回動可能で、第1の他端部60cと第2の一端部62aとの隙間が少なるように第1のねじに第1のナット74、第2のねじに第2のナット76がそれぞれ螺合されている。なお、第1のボルト72に挿入された第1の平座金73が伝達部材60の第1の他端部60cと回動部材62の第2の一端部62aとの間に挿入されている。
【0018】
第2の回動部80は、第2の他端部62cに設けられた第1の取付け孔62oを有し、取付け金具90に設けられた第2の取付け孔90eを有しており、第1及び第2の取付け孔62o、90eを遊挿する第2の胴部82dを有する第2のボルト82を備え、第2の胴部82dには、第1の取付けねじと第2の取付けねじとから成る第2の二重ねじ82nが形成され、第1の取付けねじに螺合する第1の取付けナット84と、第2の取付けねじに螺合する第2の取付けナット86がそれぞれ螺合されている。そして、第2の回動部80は、回動部材62の第2の他端部62cと取付け金具90とが円滑に回動可能で、第2の他端部62cと取付け金具90との隙間が少なるように第1の取付けねじに第1の取付けナット84、第2の取付けねじに第2の取付けナット86がそれぞれ螺合されている。
なお、第2のボルト82に挿入された第2の平座金83が回動部材62の第2の他端部62cと取付け金具90との間に挿入されている。
【0019】
図4において、スイングドア1は、モータ31を駆動制御する制御装置100を有している。制御装置100は、開放釦スイッチ101、閉鎖釦スイッチ102のオンによって開閉位置指令部111が開放位置指令信号、閉鎖位置指令信号をそれぞれ発生して速度パターン生成部113に入力するように形成されている。なお、開放位置指令信号、閉鎖位置指令信号を併せて位置指令信号paという。
【0020】
図5に示すように、速度パターン生成部113は、ドア10を閉鎖から開放する際には、ドア10を第1の加速、第1の一定高速、第1の減速、第1の微速、第1のクリープを成す第1の速度走行パターンを生成して第1の速度指令信号を発生すると共に、ドア10を開放から閉鎖する際には、ドア10を第2の加速、第2の一定高速、第2の減速、第1の微速、第1のクリープを成す第2の速度走行パターンを生成して第2の速度指令信号を発生するように形成されている。なお、第1の速度指令信号と第2の速度指令信号を併せて速度指令信号という。
【0021】
一方、モータ31の回転位置を検出して位置検出信号psを発生するエンコーダ131を有しており、速度検出部133は、位置検出信号を微分して速度検出信号が発生し、第1のスイッチ手段としての速度ループスイッチVfを介して速度偏差器esに入力される。速度偏差器esは、速度指令信号と速度検出信号との偏差となる速度偏差信号を発生して速度制御器115に入力する。速度指令信号が入力される速度制御部115は、積分器と、制御ゲインとを有しており、速度偏差信号が入力されると、速度出力指令信号が電圧指令部117に入力される。なお、モータ31に流れる電流を電流検出器125が検出して電流検出信号を発生するように形成されている。
【0022】
電圧指令部117は、速度出力指令信号が入力されると電圧指令信号を第2のスイッチ手段としての回生検出スイッチSfを介して電力変換器119に入力する。電力変換器119は、電圧指令信号により可変電圧可変周波数の三相交流をモータ31に印可するように形成されている。ゲイン変更部121は、速度制御部115の制御ゲインを第1の減速の区間よりも、第1の一定高速の区間で2倍に高くすると共に、第2の減速の区間よりも、第2の一定高速の区間で2倍高くするように形成されている。さらに、制御ゲインを第1の減速の区間よりも、第1の加速の区間で2倍に高くしている。
【0023】
閉鎖端部検出部130は、第2の速度指令信号によりドア10が閉鎖端に移動して、閉鎖端に位置して閉鎖端に押付けられることにより、電流検出器125からの電流検出信号に基づく検出電流値が予め定められた電流閾値123aを越えると、閉鎖端検出信号を発生するように形成されている。ここで、上記電流閾値を越えると閉鎖端検出信号を発生するのは、タイミングベルト35などの緩みなどの誤差を考慮して確実性を向上するためである。回生検出部150は、速度検出信号に基づく速度検出値が予め定められた第1の一定高速の速度値となる閾値を越えると、回生検出スイッチSfを開放するもので、速度閾値が第1の加速区間では、第1の一定高速の速度値の2倍を越えるように設定されている。
【0024】
上記のように構成されたスイングドアの動作を図1から図7を参照して説明する。
<ドアの開放動作>
いま、ドア10が閉鎖した状態で、開放釦スイッチ101がオンになると(ステップS101)、開閉位置指令部111が開放位置指令信号を発生して速度パターン生成部113に入力すると、速度パターン生成部113が第1の速度走行パターンを生成して第1の速度指令信号を発生する(ステップS103)。ドア10を開放する際に、第1の速度指令信号が第1の加速の区間となると(ステップS105)、回生検出部150の速度閾値を第1の一定高速の速度の2倍に設定すると共に、ゲイン変更部121が速度制御部115の制御ゲインを第1の減速の区間よりも、第1の加速の区間で2倍に高く設定する(ステップS107)。
【0025】
回生検出部150はドア10の開放速度が速度閾値を越えないか判断して(ステップS109)、越えないと、第1の速度指令信号が第1の一定高速区間に入ると(ステップS111)、ゲイン変更部121が速度制御部115の制御ゲインを第1の減速の区間よりも、第1の一定高速の区間で2倍に高く設定する(ステップS113)。やがて、第1の速度指令信号が第1のクリープの区間が終了し(ステップS115)、ドア10の開放動作が終了する。
なお、ステップS109において、回生検出部150が速度閾値を超えると、回生検出スイッチSfを開放して、ドア10の制御を終了する(ステップS130)。
【0026】
<ドアの閉成動作>
いま、ドア10が閉鎖した状態で、閉鎖釦スイッチ102がオンになると(ステップS201)、開閉位置指令部111が閉鎖位置指令信号を発生して速度パターン生成部113に入力すると、速度パターン生成部113が第2の速度走行パターンを生成して第2の速度指令信号を発生する(ステップS203)。ドア10を閉鎖する際に、第2の速度走行パターンが第2の加速の区間となると(ステップS205)、ゲイン変更部121が速度制御部115の制御ゲインを第1の減速の区間よりも、第2の一定高速の区間で2倍に高く設定する(ステップS207)。
【0027】
やがて、第2の速度走行パターンの第2のクリープ区間が終了すると(ステップS211)、閉鎖端検出部123から閉鎖端検出信号が発生する(ステップS213)。速度ループスイッチVfが開放して、速度フィードバックループを切り離すと共に、電圧指令部117から一定の電圧指令信号を電力変換器119に入力すると(ステップS215)、電力変換器119から三相交流電圧をモータ31に印可して、ドア10を閉鎖端に押付ける。
【0028】
本発明は、上記発明の実施の形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
10 ドア、12 ヒンジ、30 スイングドア機構、31 モータ、33 主プーリー、35 タイミングベルト、54 従動プーリー、60 伝達部材、62 回動部材、70 第1の回動部、80 第2の回動部、100 制御装置、115 ゲイン変更部(ゲイン変更手段)、117 電圧指令部(電圧指令手段)、123 閉鎖端検出部(閉鎖端検出手段)、150 回生検出部(回生検出手段)、Vf 速度ループスイッチ、Sf 回生検出スイッチ。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7