(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】一体型紙パンツ
(51)【国際特許分類】
A41D 13/05 20060101AFI20240612BHJP
A41B 9/02 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
A41D13/05 143
A41D13/05 106
A41B9/02 P
(21)【出願番号】P 2021063524
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2021-07-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年12月5日にYAMADAグリーンドーム前橋で開催された、群馬イノベーションアワード2020で発表及びパンフレット配布
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年12月6日の上毛新聞朝刊第12面で公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年12月15日にウェブサイトhttps://www.gi-award.com/で公開
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】719006537
【氏名又は名称】北澤 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(72)【発明者】
【氏名】北澤 正人
【合議体】
【審判長】金丸 治之
【審判官】西堀 宏之
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3081159(JP,U)
【文献】米国特許第8065753(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0261656(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0259335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B9/02, A41D13/05, A61F13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状ヒップガードパッドと紙パンツが一体となっている一体型紙パンツであって、
前記ドーム状ヒップガードパッドはパルプモールドで構成され、前記紙パンツの左右両側の大腿骨頸部大転子部位に接合された構造からなり、
前記ドーム状ヒップガードパッドは、装着時に少なくとも前記大腿骨頸部大転子部位との間に空間部を形成するドーム状屋根部と、前記ドーム状屋根部の端部に環状に形成される縁部と、を
有することを特徴とする一体型紙パンツ。
【請求項2】
前記ドーム状ヒップガードパッドは前記紙パンツの内側に、接着又は縫製によって接合された構造からなることを特徴とする請求項1に記載の一体型紙パンツ。
【請求項3】
前記ドーム状ヒップガードパッドは前記紙パンツの内側に、その紙パンツ部材と宛がい部材との間に挟持されて接着又は縫製によって接合された構造からなることを特徴とする請求項1に記載の一体型紙パンツ。
【請求項4】
前記ドーム状ヒップガードパッドは前記紙パンツの外側に、接着又は縫製によって接合された構造からなることを特徴とする請求項1に記載の一体型紙パンツ。
【請求項5】
前記ドーム状ヒップガードパッドは前記紙パンツの外側に、その紙パンツ部材と宛がい部材との間に挟持されて接着又は縫製によって接合された構造からなることを特徴とする請求項1に記載の一体型紙パンツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大腿骨頸部骨折を惹起し長期の臥床の後、肺炎等を併発し死亡してしまうことの予防機能を備えたドーム状ヒップガードパッドを接合配置した一体型紙パンツに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者が寝たきりになるひとつの要因として、転倒による骨折、特に大腿骨頚部骨折が知られています(非特許文献1)。高齢者、特に高齢女性は骨粗鬆症などで骨がもろくなっており、若年者では骨折しないような軽いつまずきによる転倒によっても骨折が生じるリスクが高いです。
【0003】
わが国の老年人口は、2010年には2,941万人、2020年には3,590万人、2030年には3,667万人、2040年には3,853万人、老年人口がピークに達する2042年には3,863万人、2050年には3,764万人になると推計されています。したがって2002年における全国調査の年齢群別発生率が変化しないと仮定すると、2010年には約18万人、2020年には約25万人、2030年には約30万人、2042年には約32万人の大腿骨頚部/転子部骨折が発生すると推計されます。(非特許文献2)
【0004】
転倒は高齢者の寝たきり、要介護の重要な原因の1つとされており、大腿骨頸部骨折のおよそ9割が転倒によるとされています。
【0005】
従来から、骨折が生じるリスクを軽減するために硬質パットとしてポリプロピレンフォーム等の硬質樹脂からなる部材を用いたヒッププロテクターが提案されています。ヒッププロテクターは衝撃吸収パッドを下着に取り付けたもの(特許文献1,2)、紙おむつの外側に面ファスナーで取り付けるもの(特許文献5)、サポーター型のもの、巻きスカート型のものなどが開示されています(特許文献3)。
【0006】
しかし、硬質パッドを用いたヒッププロテクターは装着感が悪く、例えば就寝時などに意識的、もしくは無意識的に取り外してしまい、寝ぼけ眼での歩行時に転倒し、骨折してしまう恐れがあります。また、アクリル系重合体からなる軟質パッドが提案されていますが、このような軟質パッドを用いたヒッププロテクターを着用すると、その上に衣服を着用したとしても、外観からパッドの形状が分かり、外見を気にする高齢女性には受け入れ難いです。また、通気性も十分とは言えないです。その他にスポンジや発泡体などの衝撃吸収素材の別付け、高分子吸収体によるヒッププロテクターが使用されています。
【0007】
しかしながら高齢者は前記ヒッププロテクターを装着していたが、作業負担や動作負担となり、ごわつき感の増加や不快感を与えるなどの制約があります。
【0008】
加えて高齢者は認知症の方も多く前記ヒッププロテクターの着け忘れや衛生的な問題も多く見受けられます。
【0009】
上記の二重装着の問題を解消する技術として(特許文献4)、(特許文献5)にヒッププロテクター機能付き大人用パンツや衝撃吸収パッド及びパッドカバーが開示されています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2008-266867号公報
【文献】特開2012-122161号公報
【文献】特開2008-099766号公報
【文献】実用新案登録第3081159号
【文献】実用新案登録第3160640号
【文献】実用新案登録第3208287号
【非特許文献】
【0011】
【文献】Lauritzen JB,林泰史,折茂肇:ヒッププロテクターによる転倒・骨折の予防.Osteoporosis Japan,10:149-157,2002
【文献】大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン(改訂第2版) 「大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン」策定委員会「日本整形外科学会診療ガイドライン」委員会第2章大腿骨頚部/転子部骨折の疫学 発行日:2011-06-05 南江堂
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した(特許文献4)の従来技術のヒッププロテクター機能付き大人用紙パンツは使い捨てですが、吸収材にて衝撃吸収するため吸収材の量も多く重量もかさみ高額になります。そのため、ヒッププロテクター機能付き大人用紙パンツは利用者に経済的負担をかけています。
【0013】
加えて、(特許文献5)の衝撃吸収パッド及びパッドカバーは着脱容易なものではありますが、着け忘れの失念や衛生的配慮、製品の寿命があることへの考えが足りないです。
【0014】
紙パンツは使い捨てのものが一般的でありますが、パルプモールドを一体型として備えて、使い捨ての紙パンツで廃棄処分にも適して低コストのものはないです。
【0015】
そして、二重の衝撃吸収部材を備えようとすると無いものと比較すると余分なものが増えて、利用者の負担が大きくなるという問題があります。
【0016】
一方、紙パンツから着脱自在にすれば、装着の失念や交換、プロテクターの紛失やカバーの洗い替えのため複数購入が必要で、(特許文献6)のような衣類もあるが種々の経済的負担があります。
【0017】
紙パンツを使用する人の中には、認知症の人も少なくないことを考えると、大腿骨頸部骨折を予防する機能と紙パンツは、やはり一体となっているものの方が、利用者や介助者にとっては、簡便であり予防が確実です。加えて使い心地や機能などの向上が提供されれば望ましいことは言うまでもないです。
【0018】
よって、本発明のような一体型紙パンツで大腿骨頸部骨折の発生頻度を抑える予防機能を持ったものがどうしても必要と考えます。
【0019】
使い捨てゆえに廃棄処分に関して社会問題化している時代に、素材自体が国連の開発目標である「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)の目標達成を目指して生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図れることが重要です。
【0020】
加えて、本発明は国が検討して開発中の使用済み紙パンツのディスポーザーでの下水道に流す処理ができることが重要です。
【0021】
(特許文献1)(特許文献2)(特許文献3)(特許文献4)(特許文献5)(特許文献6)については外付け、内付けに関わらず衝撃吸収の材料で衝撃吸収をさせようとしていることが課題です。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明における一体型紙パンツ1はドーム状ヒップガードパッド3と紙パンツが一体となっています。前記ドーム状ヒップガードパッド3はパルプモールドで構成され、前記紙パンツの左右両側の大腿骨頸部大転子部位5に接合されている構造からなっていることを特徴としています。
【0023】
本発明における一体型紙パンツ1はドーム状ヒップガードパッド3を紙パンツの内側に位置させて、接着又は縫製によって接合された構造からなることを特徴としています。
【0024】
本発明における一体型紙パンツ1はドーム状ヒップガードパッド3を紙パンツの内側に位置させて、その紙パンツ部材と宛がい部材6との間にサンドイッチ様に挟持されていて、接着又は縫製によって接合された構造からなることを特徴としています。
【0025】
本発明における一体型紙パンツ1はドーム状ヒップガードパッド3を紙パンツの外側に位置させて、接着又は縫製によって接合された構造からなることを特徴としています。
【0026】
本発明における一体型紙パンツ1はドーム状ヒップガードパッド3を紙パンツの外側に位置させて、その紙パンツ部材と宛がい部材6との間にサンドイッチ様に挟持されていて、接着又は縫製によって接合された構造からなることを特徴としています。
【0027】
本発明における一体型紙パンツ1のドーム状ヒップガードパッド3は、大腿骨頸部大転子部5の隆起部分を覆う目的のための形状になっていています。窪みを有していて、一体型紙パンツ1の装着時に、前記ドーム状ヒップガードパッド3の窪みの部分の空間によって、ドーム状ヒップガードパッドの天井9に前記隆起部分が直接触れない構造になっていることを特徴としています。
【0028】
本発明における一体型紙パンツ1のドーム状ヒップガードパッド3は、パルプモールドで構成されていることを特徴としています。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一体型紙パンツ1は、使い捨てができて水溶性素材なのでディスポーザー処理が可能で且つ衛生的に使用することができます。
【0030】
本発明の一体型紙パンツ1は、別々になっている場合に起こり得る装着の失念や紛失といった問題などが解決でき、特に認知症の方や介助者の方にとっては使用がより簡便で骨折予防が確実になります。
【0031】
本発明の一体型紙パンツ1は、紙素材を用いているので廃棄処理ができ、使い捨ても可能で、衛生的な面も優れていて、利用者の経済的負担も大きくならずに済みます。
【0032】
本発明におけるドーム状ヒップガードパッド3は、窪みのあるドーム状構造によって形成されるドーム状ヒップガードパッドの天井9の空間が、あたかも生卵を衝撃から保護するように、大腿骨頸部大転子部5への直接的な衝撃をドーム状ヒップガードパッドの接触部8aで効果的に緩和し、骨折の予防を図ることができます。
【0033】
本発明の一体型紙パンツ1の使い捨て廃棄処理は将来的に国が検討し開発中のディスポーザー処理になっても対応可能です。
【0034】
本発明は(特許文献1)(特許文献2)(特許文献3)(特許文献4)(特許文献5)(特許文献6)のような形状のものとの差は根本的には材料の差で、特許文献のような尿を吸収するおむつは構成する必要がなく、大腿骨頸部大転子部5への直接的な衝撃吸収なのか、本発明のドーム状ヒップガードパッドの天井9のように空間をもたせてドーム状ヒップガードパッドの接触部8aで、大腿骨頸部大転子部5のまわりの部分での衝撃吸収する構造なのか、とても大きな差があります。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3と骨模式図の大腿骨頸部大転子部5の位置関係を示す図(a)及び拡大図(b)です。
【
図2】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3におけるドーム状構造の裏側凹部(a)とドーム状構造の表側凸部(b)の全体斜位図です。
【
図3】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3と一体型紙パンツ1の全体の正面図です。
【
図4】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3と一体型紙パンツ1の全体の正面右斜位図です。
【
図5】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3と一体型紙パンツ1の実施形態で紙パンツの内側に挟持して接合する分解配置図です。
【
図6】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3と一体型紙パンツ1の実施形態で紙パンツの外側に挟持して接合する分解配置図です。
【
図7】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3を紙パンツ外側へ接合した断面図です。
【
図8】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3を紙パンツ内側へ接合した断面図です。
【
図9】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3を紙パンツの外側に紙パンツ部材1と宛がい部材6の間に挟持させて接合した断面図です。
【
図10】本発明に関わるドーム状ヒップガードパッド3を紙パンツの内側に紙パンツ部材1と宛がい部材6の間に挟持させて接合した断面図です。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明について図面を参照にしながら説明すると、
図1、
図3、
図4、
図7、
図8、
図9、
図10が示すように大腿骨頸部大転子部5に位置するようにドーム状ヒップガードパッド3が配置されています。
図3、
図4の前記ドーム状ヒップガードパッドの位置3aに前記ドーム状ヒップガードパッド3があることを示しています。よって本発明の一体型紙パンツ1となります。
【0037】
図1(a)は、大腿骨頸部大転子部5が転倒時に衝撃を受けると頻繁に骨折を惹起しやすい部位の為、衝撃を緩和するドーム状ヒップガードパッド3と骨盤骨と股関節を含めたものの模式図で背面方向から示しています。
図1(b)は片方の股関節部に衝撃を緩和するドーム状ヒップガードパッド3を含めて拡大して描いたもので、大腿骨頸部大転子部5を完璧に保護している様子が理解できます。
【0038】
図2(a)はドーム状ヒップガードパッド3を斜方向の裏側から描いたもので、前記ドーム状ヒップガードパッド3の窪んでいるドーム状ヒップガードパッドの天井9の空間と、前記ドーム状ヒップガードパッド3の円形廻りのドーム状ヒップガードパッドの接触部8aがあり、ドーム状ヒップガードパッド3のドーム状構造全体で衝撃吸収するものです。
【0039】
図2(b)ドーム状ヒップガードパッドの屋根7と前記ドーム状ヒップガードパッド3の円形廻りのドーム状ヒップガードパッドの縁8があります。
【0040】
図3は臍4があることから一体型紙パンツ1の正面からと見た図です。パンツギャザー2の位置からみてドーム状ヒップガードパッド3が前記一体型紙パンツ1のドーム状ヒップガードパッドの位置3aにある為大腿骨頸部大転子部5を保護していることが理解できます。
【0041】
図4は臍4があることから一体型紙パンツ1を正面斜位から見た図です。ドーム状ヒップガードパッド3が前記一体型紙パンツ1のドーム状ヒップガードパッドの位置3aに縫製接合部3bにより挟持されて接合されていることがわかります。前記ドーム状ヒップガードパッド3が正確に大腿骨頸部大転子部5に位置します。
【0042】
図5は一体型紙パンツ1の内側で点線部分ドーム状ヒップガードパッドの想定位置11に、ドーム状ヒップガードパッドの屋根7と、前記ドーム状ヒップガードパッドの天井9にあたる所の全部又は少なくとも一部分および、宛がい部材と紙パンツ部材の重なる部分12に、接着剤、のり、又は両面テープの少なくともいずれか一つを付け、挟持して接合します。または前記宛がい部材6と前記紙パンツ部材との間に前記ドーム状ヒップガードパッド3を挟持して前記宛がい部材6と前記紙パンツ部材をヒートシール、超音波シール又は縫製のいずれかで接合します。なお、前記宛がい部材6は通常使用されている前記紙パンツ部材と同一の素材でできています。
【0043】
図6は一体型紙パンツ1の外側で点線部分の想定位置11に、ドーム状ヒップガードパッドの屋根7と、前記ドーム状ヒップガードパッドの天井9にあたる所の全部又は少なくとも一部分および、宛がい部材と紙パンツ部材の重なる部分12に、接着剤、のり、又は両面テープの少なくともいずれか一つを付け、挟持して接合します。または前記宛がい部材6と前記紙パンツ部材との間に前記ドーム状ヒップガードパッド3を挟持して前記宛がい部材6と前記紙パンツ部材をヒートシール、超音波シール又は縫製のいずれかで接合します。
【0044】
図7は一体型紙パンツ1の外側で大腿骨頸部大転子部5の位置に、ドーム状ヒップガードパッドの天井9を含む接着接合部10にあたる所の全部又は少なくとも一部分に、接着剤、のり、又は両面テープの少なくともいずれか一つを付け、紙パンツ部材と接合した一体型断面です。
【0045】
図8は一体型紙パンツ1の内側で大腿骨頸部大転子部5の位置に、ドーム状ヒップガードパッドの屋根7を含む接着接合部10にあたる所の全部又は少なくとも一部分に、接着剤、のり、又は両面テープの少なくともいずれか一つを付け、紙パンツ部材と接合した一体型断面です。
【0046】
図9は一体型紙パンツ1の外側の大腿骨頸部大転子部5の位置に、ドーム状ヒップガードパッドの屋根7を含む接着接合部10と、前記ドーム状ヒップガードパッドの天井9を含む接着接合部10にあたる所の全部又は少なくとも一部分と、宛がい部材6と紙パンツ部材の重なる部分12に、接着剤、のり、又は両面テープの少なくともいずれか一つを付け、前記ドーム状ヒップガードパッド3を挟持して接合します。または前記紙パンツ部材と前記宛がい部材6との間に前記ドーム状ヒップガードパッド3を挟持して宛がい部材と紙パンツ部材の重なる部分12をヒートシール、超音波シール又は縫製のいずれかで接合します。
【0047】
図10は一体型紙パンツ1の内側の大腿骨頸部大転子部5の位置に、ドーム状ヒップガードパッドの屋根7を含む接着接合部10と、前記ドーム状ヒップガードパッドの天井9を含む接着接合部10にあたる所の全部又は少なくとも一部分と、宛がい部材6の紙パンツ部材と重なる部分12に、接着剤、のり、又は両面テープの少なくともいずれか一つを付け、前記ドーム状ヒップガードパッド3を挟持して接合します。または前記紙パンツ部材と前記宛がい部材6との間に前記ドーム状ヒップガードパッド3を挟持して宛がい部材と紙パンツ部材の重なる部分12をヒートシール、超音波シール又は縫製のいずれかで接合します。
【0048】
各図のドーム状ヒップガードパッド3のパルプモールドとは植物繊維を水で溶かして、金網などで抄き上げた後、乾燥してできる紙成形品で、緩衝材などに多く使われています。新聞・雑誌・段ボール・牛乳パックなどの古紙を集めて再資源化したものが原料です。紙を利用しているので、通気性や保水性、形状の柔軟性に優れ、生卵、青果物などの品質の持続に大きく貢献するのが特長です。使い終わった前記パルプモールドを燃やした灰は木や草を燃やした灰と同じで、人に有害な物質などはなく、焼却中も塩化水素などといった有害物質を排出しないので大気を汚すことはないのです。溶解時や成形時に使う大量の水にも有害な薬品は使っていないので、自然環境への負担はほとんどないです。もちろんきれいにしてから川へ返すのです。このように前記パルプモールドは、身の回りの紙類をもう一度資源として「再利用する」だけでなく、 最終的に土にかえるまですべて、環境にやさしい紙成形品です。EU圏では、土壌や地下水を汚染する恐れのある特定物質の使用が禁止されています。前記パルプモールドは、製造過程で接着剤や化学物質を使うことがなく、有害な物質が含まれないため、EU圏でも安心して使用できます。また、リサイクルやマイクロプラスチック問題に関心の高いEU圏で、古紙をリサイクルした前記パルプモールドは歓迎される材料と言えるのです。
【0049】
一体型紙パンツ1の試作品を作成し、被検者に使用して頂いたらとても好評でした。ドーム状ヒップガードパッド3と一体型のおかげで安心感があると感想を述べました。
【0050】
一体型紙パンツ1のドーム状ヒップガードパッド3はその他の用途も可能です。例として尻にある尾骨のガードにもなります。褥瘡の予防にも使用可能です。
【0051】
本発明の一体型紙パンツ1は紙パンツの大腿骨頸部大転子部5の位置に穴をあけてドーム状ヒップガードパッド3を接合したものも含むものです。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は上述のごとく一体型紙パンツ1の為、衝撃緩和部材の付け忘れがなく必ず大腿骨頸部骨折の予防ができます。廃棄処分も簡単です。加えて使い捨てなので衛生的にもよいと考えます。よって広く汎用されます。
【符号の説明】
【0053】
1 一体型紙パンツ
2 パンツギャザー部
3 ドーム状ヒップガードパッド
3a ドーム状ヒップガードパッドの位置
3b 縫製接合部
4 臍
5 大腿骨頸部大転子部
6 宛がい部材
7 ドーム状ヒップガードパッドの屋根
8 ドーム状ヒップガードパッドの縁
8a ドーム状ヒップガードパッドの接触部
9 ドーム状ヒップガードパッドの天井
10 接着接合部
11 ドーム状ヒップガードパッドの想定位置
12 宛がい部材と紙パンツ部材の重なる部分